JP2004271500A - 活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法、その評価方法の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置 - Google Patents

活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法、その評価方法の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 各種の活性化ガスが各種の抗原性物質を失活させる性能を正確かつ簡便に評価することのできる評価方法を提供する。
【解決手段】 抗原性物質と活性化ガスとを反応させて、処理済抗原性物質を得るステップと、この抗原性物質に対する抗体とこの処理済抗原性物質とを反応させて、この抗体に対するこの処理済抗原性物質の結合活性を測定するステップと、を備える、活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法に関する。より詳しくは、本発明は、哺乳類動物にアレルギー反応を生じさせる物質である抗原性物質と活性化ガスとの反応により、活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法に関する。
また、本発明は、活性化ガスによる処理済抗原性物質の作成装置に関する。より詳しくは、本発明は、容器を備える、活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置に関する。
近年、住環境の変化に伴い、ヒトを含む哺乳類動物の花粉症、喘息、皮膚アトピー、結膜炎などのアレルギー疾患の原因となる花粉、ダニ、ダニの糞およびハウスダストなどの有害な空気中の浮遊物質を取除き、健康で快適な生活を送りたいという要望が強くなっている。
この要望に応えるためには、上記アレルギー疾患の原因となる抗原性物質(アレルゲン)を除去することが有効であり、各種のフィルタや集塵手段を用いた空気清浄機が開発されている(たとえば、特許文献1参照。)。
しかしながら、このような空気調節装置では、雰囲気中の空気を吸引してフィルタにより有害な浮遊物質を吸着またはろ過する方式であるため、長期にわたる使用によりフィルタの交換などのメンテナンスが不可欠であり、しかもフィルタの特性が十分でないため満足のいく性能が得られない場合がある。
そして、このような空気調節装置では、たとえば花粉を捕集することを目的とする場合には、花粉は花粉症の原因となる抗原性タンパク質が存在した状態で捕集フィルタに物理的に捕集されて残存している。このように物理的に捕集された花粉は、捕集フィルタから容易に離脱するので、運転開始時、運転停止時またはフィルタ交換時などに、捕集された花粉の再飛散が起こる可能性があるという問題があった。さらに、花粉自体は捕集フィルタで捕集できても、花粉よりもさらに粒径の小さい抗原性タンパク質は捕集フィルタを通過してしまう可能性があり、根本的に抗原性物質を除去するには至らないという問題もある。
また、各種のフィルタに加えて、加熱処理により抗原性物質を変性させる花粉の処理装置も開発されている(たとえば、特許文献2参照。)。
しかし、このような空気調節装置では、加熱処理に膨大なエネルギーを消費するため、家庭の支払う電気料金を増大させ、地球環境に悪影響を与えるという問題がある。また、このような空気調節装置を夏場あるいは高温地域において用いた場合には、室内の気温を著しく上昇させ、不快感を感じるという問題がある。そのため、冷房装置に組込んで用いることはできないという問題もある。
さらに、各種のフィルタに加えて、紫外線照射を行うことによりスギ花粉症抗原を不活性化する装置も開発されている(たとえば、特許文献3参照。)。
しかしながら、このような空気調節装置では、紫外線照射に膨大なエネルギーを消費するため、家庭の支払う電気料金を増大させ、地球環境に悪影響を与えるという問題がある。また、上記文献によれば、スギ花粉によるサンプルの抗体価の低下には、最低でも1.3mW/cm2以上の強度で、50秒以上の紫外線照射を要する。そのため、スギ花粉症抗原の不活性化能力は低く、実用的な技術であるとはいい難い。
そして、各種のフィルタに加えて、紫外線を照射し、オゾンを発生させる空気清浄機も開発されている(たとえば、特許文献4参照。)。
しかしながら、このような空気調節装置では、紫外線照射に膨大なエネルギーを消費するため、家庭の支払う電気料金を増大させ、地球環境に悪影響を与えるという問題がある。また、オゾンが雰囲気中に放出されるため、条件によりヒトを含む哺乳動物の生体に悪影響を及ぼすおそれがある。
さらに、これらのいずれの空気調節装置でも、個人により個体差のあるアレルギー反応を起こす抗原性物質の種類に応じた抗原性物質の処理が行なえないという問題は全く解決されていない。そして、抗原性物質の種類に応じて、各種除去手段あるいは失活手段の効果が異なるという問題も解決されていない。
特開平8−173843号公報 特開平7−807号公報 特開平6−154298号公報 特開2000−111106号公報
上記の現状より、本発明の課題は、個人により個体差のある抗原性物質の種類および/または量に応じた種類および/または量の活性化ガスにより、抗原性物質を効率良く除去および/または失活することのできる空気調節装置を実現するために必要となる、各種の活性化ガスが各種の抗原性物質を失活させる性能の評価方法を提供することである。
また、本発明の他の課題は、上記の評価方法において、評価試料として用いる活性化ガスによる処理済の抗原性物質を、均質かつ簡便に作成することのできる処理済抗原性物質の作成装置を提供することである。
本発明者は、上記の課題を解決するため、活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法を確立すべく試行錯誤に励んだ。
その結果、発明者は、容器中に抗原性物質を撒布して、撒布された抗原性物質を含む溶液を容器中で浮遊させた状態で活性化ガスと反応させることにより、均質な活性化ガス処理済抗原性物質を簡便に得ることができることを見出した。
そして、本発明者は、この処理済抗原性物質を用いることにより、活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能を正確かつ簡便に評価することができることを見出した。
すなわち、本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法は、抗原性物質と活性化ガスとを反応させて、処理済抗原性物質を得るステップと、この抗原性物質に対する抗体とこの処理済抗原性物質とを反応させて、この抗体に対するこの処理済抗原性物質の結合活性を測定するステップと、この処理済抗原性物質の結合活性を、この抗体に対するこの抗原性物質の結合活性と比較するステップと、を備える、活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法である。
ここで、この処理済抗原性物質を得るステップは、空中に浮遊するこの抗原性物質とこの活性化ガスとを反応させるステップを含むことが好ましい。
また、この反応させるステップは、容器中にこの抗原性物質を含む溶液を撒布するステップと、この撒布されたこの抗原性物質を含む溶液をこの容器中で浮遊させるステップと、この容器中にこの活性化ガスを導入するステップと、を含むことが望ましい。
さらに、この処理済抗原性物質を得るステップは、この抗原性物質と正負両イオンを含むガス、オゾンガス、硝酸ガスからなる群より選ばれる一種以上を含有するガスとを反応させるステップを含むことが好ましい。
そして、この測定するステップは、ELISA法および/またはELISA インヒビッション(inhibition)法により、この抗原性物質に対する抗体とこの処理済抗原性物質とを反応させて、この抗体に対するこの処理済抗原性物質の結合活性を測定するステップを含むことが望ましい。
また、この測定するステップは、この抗原性物質に対する抗体の産生細胞を保有するヒト以外の動物への皮内反応試験および/または結膜反応試験により、この抗体とこの処理済抗原性物質とを反応させて、この抗体に対するこの処理済抗原性物質の結合活性を測定するステップを含むことが好ましい。
そして、本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置は、容器と、この容器内に抗原性物質を撒布する手段と、この抗原性物質をこの容器内で浮遊させる手段と、この活性化ガスをこの容器内に導入する手段と、を備える、活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置である。
ここで、この容器は、透明な材質を一部または全部に含むことが好ましい。
下記に示すように、本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法および装置を用いることにより、各種の活性化ガスが各種の抗原性物質を失活させる性能を正確かつ簡便に評価することができる。
以下、実施の形態を示して本発明をより詳細に説明する。
<抗原性物質>
本明細書において、抗原性物質とは、スギ、ヒノキ、ブタクサなどの花粉類やダニなどの生物、ダニなどの生物の糞あるいはハウスダストなどの家庭内浮遊物などに含まれる物質であって、ヒトを含む哺乳類動物の生体に作用することにより抗原抗体反応の一種であるアレルギー反応を生ぜしめ、アレルギー疾患を誘発する物質をいうものとする。
該抗原性物質は、通常、タンパク質もしくは糖タンパク質からなるものであるが、本明細書では、その形状または大きさは特に限定されず、それらのタンパク質や糖タンパク質自体の分子状のもの、あるいはそれらが集合して粒子状になったもの、またあるいはその分子状のものの一部である抗体反応部位(抗原決定基やエピトープとも呼ばれる)などが含まれるものとする。
なお、上記抗原性物質は、スギ花粉自体またはスギ花粉に含まれる抗原性物質(スギ抗原性物質)とすることができる。また、上記抗原性物質は、ダニ粉塵自体またはダニ粉塵に含まれる抗原性物質(ダニ抗原性物質)とすることができる。
スギ花粉症の原因となる抗原性物質を例にとれば、抗原性物質には、スギ花粉症の原因物質として知られている、Cry j Iタンパク質およびCry j IIタンパク質に加えて、Cry j Iタンパク質およびCry j IIタンパク質のエピトープも含まれ、さらに、Cry j Iタンパク質およびCry j IIタンパク質が多量に含まれるスギ花粉中の粒状物(ユービッシュボディーやオービクルとも呼ばれる)も含まれ、スギ花粉そのものも含まれるものとする。
なお、ダニ抗原性物質は、ダニ自身の体内に含まれるものであるが、一般の生活環境においては、ダニ自身のみよりもむしろダニ粉塵中に含まれるものとして問題となることが多い。ここでダニ粉塵とは、ダニ自身をはじめ、ダニの死骸や身体の一部、およびダニの食物や排泄物、抜殻や卵を含んだ微粒状のものをいうものとする。本発明における抗原性物質とは、このようなダニ粉塵をも含むものとする。
<抗体反応部位>
本明細書において、抗体反応部位とは、抗原性物質に含まれる特定の部分であって、抗体と結合する部位を意味する。一般に、抗原性物質は、この抗体反応部位が変性ないし破壊(分解)されると、抗体と結合することができなくなり、このためアレルギー反応を抑制することができる。
<活性化ガス>
本明細書において、活性化ガスとは、抗原性物質に対して何らかの化学反応および/または物理的作用を起こすガスを意味する。活性化ガスの具体例としては、特に限定されず、正イオンを含むガス、負イオンを含むガス、正負イオンを共に含むガス、オゾンを含むガス、硝酸ガスを含むガス、ラジカルを含むガスなどが挙げられる。他にも抗原性物質に対する活性化ガスには種々の組成のガスがあり得ると想定されるが、それらの活性化ガスについては、後述する本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法を用いて見出すことが可能である。
なお、後述するように正負イオンを共に含むガスが抗原性物質に対して活性化ガスとして作用し、その抗原性物質を失活させる機能を有することは、従来公知の現象ではなく、本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法を用いて、本発明者により初めて見出された現象である。
<抗原性物質の失活>
本明細書において、抗原性物質の失活とは、抗原性物質の抗原性物質としての活性の消滅または低減を意味する。すなわち、抗原性物質の抗体と反応する能力の消滅または低減を意味する。
ここで、本発明者は、活性化ガスによる抗原性物質の失活のメカニズムは、この活性化ガスが抗原性物質を構成するタンパク質、とりわけその抗体反応部位を攻撃することによリ、該タンパク質を変性ないし破壊(分解)することによって抗原性物質を失活させるメカニズムによるものと解している。
また、後述するように、本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法を用いて、本発明者により初めて見出された現象であるが、正負イオンを共に含むガスは、抗原性物質に対して活性化ガスとして作用し、その抗原性物質を失活させる機能を有する。この失活機能は、抗原性物質に対して正イオンと負イオンとを作用させることにより達成されるものである。
そして、従来は知られていなかったが、本発明者の知見によれば、正イオンを含むガスもしくは負イオンを含むガスそれぞれ単独では抗原性物質に対して格別の失活効果は示されない。本発明者の知見によれば、これらの正負イオンが共存するガスを使用すると、後述のような化学反応によって活性物質を発生し、この活性物質が抗原性物質を構成するタンパク質、とりわけその抗体反応部位を攻撃することによリ、該タンパク質を変性ないし破壊(分解)することによって抗原性物質を失活させるものと解せられる。
すなわち、本明細書において、抗原性物質を失活させるとは、より詳しく定義すると、上述のように抗原性物質を変性ないし破壊(分解)することにより、抗原性物質を消滅させることのみならず、雰囲気ガス中の単位体積あたりの該抗原性物質の量を減少させたり、その抗原性物質の抗体反応部位の抗体との反応性を低下させることをも含むものとする。
ここで、抗原性物質の反応失活率(あるいは残存活性)の測定手法(あるいは定義手法)には種々あり、抗原性物質の種類および活性化ガスの種類に応じて、適当な手法を選ぶことができる。このような測定手法としては、特に限定するものではないが、例として、イライザインヒビッション(ELISA inhibition)法を使用することができる。この方法によれば、活性化ガスで処理された抗原性物質の50%阻害を示す濃度を測定した場合に、その50%阻害濃度が、活性化ガス未処理の抗原性物質の50%阻害濃度と比較して、たとえば5倍以上となる場合に、残存活性は20%(すなわち反応失活率80%)となる。
また、どの程度の反応失活率を実現する場合に、活性化ガスに抗原性物質に対する失活能力があると判断するかは、活性化ガスの種類および抗原性物質の種類に応じて異なり、適宜適当な閾値により判断することができる。たとえば、特に限定するものではないが、活性化ガスとして正負イオンを含むガスを用い、抗原性物質としてスギ花粉由来の抗原性物質を用いることができる。
<活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法>
図1は、本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法の概略を示すフロー図である。
本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法は、抗原性物質と活性化ガスとを反応させて、処理済抗原性物質を得るステップ(S101)と、この抗原性物質に対する抗体とこの処理済抗原性物質とを反応させて、この抗体に対するこの処理済抗原性物質の結合活性を測定するステップ(S103)と、この処理済抗原性物質の結合活性を、この抗体に対するこの抗原性物質の結合活性と比較するステップ(S105)と、を備える、活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法である。
このような、対照試料との比較を取入れた評価方法を用いることにより、この抗原性物質に対するこの活性化ガスの失活能力を、正確かつ簡便に、しかも定量的に評価することができるという利点がある。ここで、この抗体に対するこの抗原性物質(一般に、活性化ガス未処理の抗原性物質を用いる場合が多いと予想される)の結合活性と比較する際には、この抗体に対するこの抗原性物質の結合活性は、あらかじめ測定しておいた測定値を用いてもよく、あるいは本発明の評価方法を実施するたびに測定した測定値を用いてもよい。評価結果の正確性という面からは、そのたびに測定した測定値を用いることが好ましいが、評価結果を簡便かつ迅速に得るためには、あらかじめ測定しておいた測定値を用いることが好ましい。
ここで、この処理済抗原性物質を得るステップは、空中に浮遊するこの抗原性物質とこの活性化ガスとを反応させるステップを含むことが好ましい。
このように、空中に浮遊する抗原性物質に活性化ガスを反応させることにより、抗原性物質と活性化ガスを均一な状態で反応させることができ、抗原性物質の浮遊時間を調節することにより、抗原性物質と活性化ガスの反応時間を容易に調節することができるという利点もある。なお、空中に浮遊させるには、活性化ガスを含む雰囲気ガスを撹拌あるいは流動させることにより抗原性物質を巻上げて空中に浮遊させてもよく、あるいは単に抗原性物質を一定の距離落下させることにより空中に浮遊させてもよい。
また、この反応させるステップは、容器中にこの抗原性物質を撒布するステップと、この撒布されたこの抗原性物質を含む溶液をこの容器中で浮遊させるステップと、この容器中にこの活性化ガスを導入するステップと、を含むことが望ましい。
このように、容器中に抗原性物質を含む溶液を撒布することにより、抗原性物質がいたずらに拡散してしまうことを防ぐことができ、容器内の抗原性物質の濃度を一定の範囲に容易に保つことができる利点がある。ここで、容器は、密閉系であることが好ましいが、一部開放口を有する半密閉系であってもよい。
また、このように撒布されたこの抗原性物質を含む溶液を容器中で浮遊させることにより、活性化ガスを含む雰囲気ガスを撹拌あるいは流動させることにより抗原性物質を巻上げた場合にも、抗原性物質がいたずらに拡散してしまうことを防ぐことができ、容器内の抗原性物質の濃度を一定の範囲に容易に保つことができる利点がある。
そして、このように容器中に活性化ガスを導入することにより、活性化ガスがいたずらに拡散することを防ぐことができるため、抗原性物質の濃度が一定の範囲に保たれた容器内で、一定の範囲の濃度の活性化ガスを抗原性物質と均一に反応させることができるという利点がある。
ここで、抗原性物質は溶液中に含まれているから、抗原性物質を含む溶液を容器内に撒布する際には、ネブライザーなどを用いて噴霧することが好ましい。微小かつ均一な粒径の溶液を噴霧でき、抗原性物質と活性化ガスの反応をより均一にできるためである。
さらに、この処理済抗原性物質を得るステップは、この抗原性物質と正負両イオンを含むガス、オゾンガス、硝酸ガスからなる群より選ばれる一種以上を含有するガスとを反応させるステップを含むことが好ましい。
この正負両イオンを含むガスについては、後述するように、本発明者が、スギ花粉由来の抗原性物質を失活させる機能を有することを初めて明らかにしたものであり、他の抗原性物質を失活する機能を有することが期待されるためである。また、オゾンガス、硝酸ガスについても、ガス状の物質であるため、本明細書の評価方法を用いることにより、抗原性物質に対する失活能力を評価することができる。
そして、この測定するステップは、ELISA法および/またはELISA inhibition法により、この抗原性物質に対する抗体とこの処理済抗原性物質とを反応させて、この抗体に対するこの処理済抗原性物質の結合活性を測定するステップを含むことが望ましい。
このように、ELISA法および/またはELISA inhibition法を用いることにより、抗体に対する処理済抗原性物質の結合活性を正確かつ簡便に測定することができる。
たとえば、上述したように、イライザインヒビッション(ELISA inhibition)法により、活性化ガスで処理された抗原性物質の50%阻害を示す濃度を測定した場合に、その50%阻害濃度を、活性化ガス未処理の抗原性物質の50%阻害濃度と比較することができる。その場合、たとえば50%阻害濃度が5倍となる場合に、残存活性は20%(すなわち反応失活率80%)となる。
また、この測定するステップは、この抗原性物質に対する抗体の産生細胞を保有するヒト以外の動物への皮内反応試験および/または結膜反応試験により、この抗体とこの処理済抗原性物質とを反応させて、この抗体に対するこの処理済抗原性物質の結合活性を測定するステップを含むことが好ましい。
このように、この抗原性物質に対する抗体の産生細胞を保有するヒト以外の動物への皮内反応試験および/または結膜反応試験により、抗体に対する処理済抗原性物質の結合活性を、よりヒトの生体内の状態に近い条件で測定することができるという利点がある。ここで、後述する実施例においては、ヒトへの皮内反応試験および結膜反応試験を行っているが、一般にヒトにおいて可能な生体試験は、マウスやラットやウサギなどのヒト以外の哺乳動物を用いる場合、ヒトを用いるよりも遥かに容易に実施可能であることは、医学、薬学、農学、生物学、生化学、分子生物学などの分野における技術常識である。
<処理済抗原性物質の作成装置>
本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置は、容器と、この容器内に抗原性物質を撒布する手段と、この抗原性物質をこの容器内で浮遊させる手段と、この活性化ガスをこの容器内に導入する手段と、を備える、活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置である。
このような装置を用いることにより、活性化ガスと抗原性物質とを均一な状態で容易に反応させることができ、活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として好適に用いることのできる、高品質の処理済抗原性物質を作成することができる。活性化ガスおよび抗原性物質の拡散が容器の存在により防がれるため、抗原性物質を活性化ガスを含む雰囲気ガスの撹拌または流動により巻上げて容器内で浮遊させたとしても、抗原性物質と活性化ガスの濃度が一定の範囲に保持されるためである。
ここで、この容器は、透明な材質を一部または全部に含むことが好ましい。
このように容器の一部または全部が透明であることにより、容器内部の抗原性物質の浮遊状況などを目視により観察することができるため、抗原性物質と活性化ガスの反応条件の調節が容易になるという利点がある。
図2は、本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置の一例の概要を示す図である。
図2に示した装置は、容器として半密閉型の円筒型容器1027を備えている。また、抗原性物質を撒布する手段としてネブライザー1024および注入口1028を備えている。さらに、抗原性物質を容器内で浮遊させる手段として一定の高さを有するためその内部で必然的に抗原性物質が浮遊することになる半密閉型の円筒型容器1027を備えている。そして、活性化ガスとして正イオン1022、負イオン1023を共に含むガスをこの容器内に導入する手段としてイオン発生素子1021を備えている。
なお、図2に示した装置には、その他にも、活性化ガスによる処理済みの抗原性物質の回収容器1025および活性化ガスを含む雰囲気ガスの脱気口1026が示されている。
図3は、本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置の他の一例の概要を示す図である。
図3に示した装置は、容器として半密閉型の円筒型容器1037を備えている。また、抗原性物質を撒布する手段として注入口1038を備えている。さらに、抗原性物質を容器内で浮遊させる手段として一定の高さを有するためその内部で必然的に抗原性物質が浮遊することになる半密閉型の円筒型容器1037を備えている。そして、活性化ガスとして正負両イオンを含むガスをこの容器内に導入する手段としてイオン発生素子1031を備えている。
図4は、本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置の別の一例の概要を示す図である。
図4に示した装置は、容器として密閉型の円筒型容器1047を備えている。また、抗原性物質を撒布する手段として開閉式の蓋1048を備えている。さらに、抗原性物質を容器内で浮遊させる手段として一定の高さを有するため、長手方向に直立させることにより、あるいは長手方向に繰返しひっくり返すことにより、その内部で必然的に抗原性物質が浮遊することになる密閉型の円筒型容器1047を備えている。そして、活性化ガスとして正負両イオンを含むガスをこの容器内に導入する手段としてイオン発生素子1041を備えている。
なお、図4に示した装置には、その他にも、抗原性物質1049、電圧印加電極1042、誘電体1043、接地電極1044が示されている。
図5は、本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置のさらに他の一例の概要を示す図である。
図5に示した装置は、容器として密閉型の円筒型容器1057を備えている。また、抗原性物質1053を撒布する手段として開閉式の蓋1058を備えている。さらに、抗原性物質1053を容器内で浮遊させる手段としてファン1059を備えている。そして、活性化ガスとして正負両イオン1052を含むガスをこの容器内に導入する手段としてイオン発生素子1051を備えている。
図6は、本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置のさらに別の一例の概要を示す図である。
図6に示した装置は、容器として密閉型の円筒型容器1067を備えている。また、抗原性物質1063を撒布する手段として開閉式の蓋1068を備えている。さらに、抗原性物質1063を容器内で浮遊させる手段としてファン1069および活性化ガスを透過するが抗原性物質を透過しないフィルタ1065を備えている。そして、活性化ガスとして正負両イオン1062を含むガスをこの容器内に導入する手段としてイオン発生素子1061を備えている。
<イオン発生素子>
本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置において用いるイオン発生素子は、正イオンと負イオンとを発生させるものであり、また後述のような電気的衝撃により直接的に抗原性物質のアレルギー反応を失活させることができるものともなり得ることが好ましい。
このようなイオン発生素子は、その付設箇所は特に限定されないものの、通常は抗原性物質を失活させる装置の風路に付設されていることが好ましい。イオン発生素子により発生させられる正負両イオンは短時間で消失するため、これらの正負両イオンを効率良く空気中に拡散させることができるようにするためである。なお、イオン発生素子の設置個数は、1個であっても、2個以上であっても差し支えない。
このようなイオン発生素子としては、放電機構により正負両イオンを発生する従来公知のイオン発生素子が用いられる。特に、抗原性物質に対して正イオンと負イオンとを作用させる雰囲気中の正負両イオンの濃度が、それぞれ10万個/cm3以上となるように正イオンと負イオンとを空気中に送出できるものを選ぶことができる。なお、本明細書ではイオン濃度とは、小イオンの濃度を意味しており、該小イオンの濃度測定方法としては、臨界移動度を1cm2/V・秒として、空気イオンイオンカウンター(ダン科学製空気イオンカウンタ(品番83−1001B))にて測定した値を用いている。
ここでいう放電機構とは、絶縁体を電極で挟み込んだ構造を持ち、片側に交流の高電圧を印加させるとともに、もう一方の電極は接地させ、高電圧を印加させることにより接地電極に接している空気層にプラズマ放電を形成し、空気中の水分子や酸素分子を電離または解離することにより正負両イオンを生成するような機構をいう。このような放電機構において、たとえば電極の形状を電圧印加側は板状またはメッシュ状とし、接地側電極をメッシュ状とした場合、高電圧を印加すると接地側電極のメッシュ端面部で電界が集中して沿面放電が起こりプラズマ領域が形成される。このプラズマ領域に空気を流し込むと正負両イオンが生成する。
このよう放電機構を有する素子としては、たとえば沿面放電素子、コロナ放電素子、プラズマ放電素子等を挙げることができるがこれらのみに限られるものではない。また、放電素子の電極の形状や材質においても、上述のようなもののみに限られるものではなく、あらゆる形状、材質のものを選択することができる。
図7は、本発明に用いるイオン発生素子の構造の一例の概要を示す図である。
このようなイオン発生素子としてより具体的には、図7に示すように、誘電体7003を板形状の電圧印加電極7002とメッシュ形状の接地電極7004で挟込み、高圧電源7001により板形状の電極に正極と負極の電圧を交互に印加することによって、メッシュ形状電極のメッシュ端面で電界が集中してプラズマ放電が起こりプラズマ領域7005が形成され正負両イオンが生成されるような構造のものが特に好ましい。
なお、これらの正負両イオンの発生、送出に必要な印加電圧は、イオン発生素子の構造にもよるが電極間のpeak to peak電圧として2〜10kV、好ましくは3〜7kVの範囲とすることができる。
<正負両イオンを含むガスによる抗原性物質の失活>
本発明者は、本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置を用いて、本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法により、後述の実施例で示すように、正負両イオンを含むガスは、抗原性物質を失活させる機能を有することを見出した。
ただし、本発明は、正負イオンに限定されるものではなく、様々なガス種あるいはガス濃度を対象として使用できるものである。
なお、正負両イオンを含むガスによる抗原性物質の失活のメカニズムには、上述のような化学反応によるメカニズムばかりではなく、抗原性物質の抗体反応部位をイオン発生素子における電気的衝撃により変性ないし破壊させることによる失活というメカニズムも含まれていると考えられる。
すなわち、抗原性物質の抗体反応部位は、正負両イオンを発生させる際の電圧印加によるプラズマ放電自体によっても変性ないし破壊され、このような電気的衝撃によっても抗原性物質と抗体との結合能力は喪失し、抗原性物質を失活させると考えられる。
このように本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法により、抗原性物質の抗体反応部位を電気的衝撃および/または化学反応により変性ないし破壊させることによって抗原性物質を失活させることができるものであり、特に電気的衝撃と化学反応の両者が相乗的に奏されることにより抗原性物質を効果的に失活させることを示唆する結果を得ることができた。
<正負両イオンを含むガスの送出方法>
また、本発明者は、本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法により、後述するように、活性化ガスとして正負両イオンを含むガスを用いる場合には、正負両イオンを含むガスの送出方法としていかなる方法が好ましいかを見出した。
すなわち、本発明に用いる正負両イオンは、主としてイオン発生素子の放電現象により発生するものであり、通常、正負の電圧を交互に印加させることにより正負両イオンをほぼ同時に発生させ空気中に送出することができる。しかしながら、本発明の正負両イオンの送出方法はこれのみに限られることはなく、正負いずれか一方の電圧のみを一定時間印加し正負いずれか一方のみのイオンを先に送出させた後、次に逆の電圧を一定時間印加しすでに送出されたイオンとは逆の電荷をもったイオンを送出させることもできる。
なお、これらの正負両イオンの発生、送出に必要な印加電圧は、電極の構造にもよるが電極間のpeak to peak電圧として2〜10kV、好ましくは3〜7kVの範囲とすることができる。
また、本発明に用いる正イオンおよび負イオンは、20〜90%、好ましくは40〜70%の相対湿度の下で発生させることが好適である。後述の通り正負両イオンの発生は、空気中の水分子の存在と関係するからである。すなわち、相対湿度が20%未満の場合は、イオンを中心に据えた水分子によるクラスター化が適切に進まず、イオン同士の再結合が起こりやすくなるので発生したイオンの寿命が短くなってしまう。また90%を超える場合は、イオン発生素子の表面に水分が結露することによりイオンの発生効率が著しく低下するし、発生したイオンもクラスター化が進み過ぎて多くの水分子により取囲まれてしまうので、重量が増しあまり遠くへ放出されないまま沈降してしまうという状況となるおそれがある。したがって、このように極端な低湿度や高湿度でのイオンの発生はいずれの場合も好ましくない。
なお、本発明の正負両イオンの送出方法としては、上述のような放電現象のみにかかわらず、紫外線や電子線を放射するデバイスなどを利用する方法を用いてもよい。
<正負両イオンの同定>
本発明において、活性化ガスとして正負両イオンを含むガスを用いる場合には、正イオンおよび負イオンは、放電素子の表面に存在する酸素分子および/または水分子を原料として発生させることができる。この発生方法によれば、特別な原料を必要としないためコスト的に有利であるばかりでなく、原料自体に有害性がなく、また他の有害なイオンや物質を発生することがないため好ましい。
ここで、上記のイオン発生素子の放電現象により発生した正負両イオンの組成は、主として正イオンとしてはプラズマ放電により空気中の水分子が電離して水素イオンH+が生成し、これが溶媒和エネルギーにより空気中の水分子とクラスタリングすることによりH3+(H2O)n(nは0または自然数)を形成したものである。なおここで、正イオンとして記載したH3+(H2O)n(nは0または自然数)は、表記方法を変更するとH+(H2O)n(nは自然数)と記述することが可能であり、同等のイオンを示すものである。
図8は、イオン発生素子から生成される正イオンおよび負イオンの質量スペクトルを示した図である。なお、図8は、図8(a)と図8(b)とを含む。
水分子がクラスタリングしていることは、図8(a)において最小に観測されるピークが分子量19の位置にあり、後のピークはこの分子量19に対して水の分子量に相当する18を順次足した位置に現れることから明らかである。すなわち、この結果は分子量1の水素イオンH+に分子量18の水分子が一体となって水和していることを示している。一方、負イオンとしてはプラズマ放電により空気中の酸素分子または水分子が電離して酸素イオンO2 -が生成し、これが溶媒和エネルギーにより空気中の水分子とクラスタリングすることによりO2 -(H2O)m(mは0または自然数)を形成したものである。水分子がクラスタリングしていることは、図2(b)において最小に観測されるピークが分子量32の位置にあり、後のピークはこの分子量32に対して水の分子量に相当する18を順次足した位置に現れることから明らかである。すなわち、この結果は分子量32の酸素イオンO2 -に分子量18の水分子が一体となって水和していることを示している。
そして、空間に送出されたこれらの正負両イオンは空気中に浮遊している抗原性物質を取囲み、抗原性物質の表面で正負両イオンが以下のような化学反応(1)〜(2)によって活性種である過酸化水素H22、二酸化水素HO2またはヒドロキシラジカル・OHを生成すると推定される。
Figure 2004271500
そして、このように正負両イオンが作用して生成した過酸化水素H22、二酸化水素HO2またはヒドロキシラジカル・OHは、抗原性物質の抗体反応部位を変性ないし破壊(分解)して抗原性物質と抗体との結合能力を喪失させることにより、効率的に空気中の抗原性物質を失活させることができるものと解される。
なお、上記の説明においては、正イオンとしてH3+(H2O)n(nは0または自然数)、負イオンとしてO2 -(H2O)m(mは0または自然数)をそれぞれ中心に述べてきたが、本発明における正負イオンはこれらのみに限られるものではない。上記2種の正負イオンを主体としつつ、たとえば、正イオンとしてはN2 +、O2 +等を、負イオンとしてはNO2 -、CO2 -などをそれぞれ例示することができ、これらを含んでいたとしても同様の効果が期待できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<スギ花粉>
広島県豊町に生育する日本杉(Cryptomeria japonica)の枝より採取した。その際、メッシュを取り付けた掃除機を用い、その後ふるいにかけて収集した。収集後の保存は−30℃のフリーザーを用いた。
<スギ抗原性物質>
スギ花粉80gを20mM PBS (pH7.4)3.2L中で4℃、4時間撹拌した後、6000rpm,30分遠心分離した。遠心分離後、上清に終濃度80%飽和になるように硫酸アンモニウムを加え、6000rpm,30分遠心分離した。遠心後、6時間の透析を6回繰り返し行い、10000rpm,30分遠心分離した。遠心分離後、得られた上清を凍結乾燥し、スギ抗原性物質とした。なお、本明細書では、スギ抗原性物質をCJPとも記載するものとする。
<Folin−Lowry法による蛋白量の測定>
[試薬の組成]
A液; フェノール試薬を酸として1Nとした溶液
B液; 2% Na2CO3
0.1N NaOH
C液; 0.5% CuSO4・5H2
1% クエン酸ナトリウム
D液; B:C=50:1(v/v)の混合液
[測定方法]
サンプル0.2mlとD液1mlを混合し10分放置した。次にA液を0.1ml加え30分放置した後750nmで吸光度を測定した。また、BSAで標準系列を作り、同手順で検量線を作成し、サンプルの蛋白量をBSA換算量として定量した。
<スギ抗原性物質の撒布、回収>
スギ花粉より抽出したスギ抗原性物質(蛋白濃度200ng/ml)を正と負のクラスターイオン照射下においてネブライザーで撒布した。撒布容器の底に回収皿を置き、壁面に触れることなくイオン処理された抗原のみを回収した。なお、8mlの溶液(スギ抗原性物質を含む)を1.5時間かけて撒布した。
<実施例1>
本実施例は、スギ花粉の抗原性物質を用いて、正負両イオンの作用による抗原性物質のアレルギー反応の低下を確認したものである。
ここで、図2は、本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置の一例の概要を示す図である。また、図8は、図2に示す装置に備わるイオン発生素子から生成される正イオンおよび負イオンの質量スペクトルを示した図である。
まず、図2に示した装置では、イオン発生素子1021として縦37mm、横15mmの平板状の沿面放電素子を用いた。そして、電極間に正と負の電圧を交互に印加することにより表面電極部で沿面放電を起こし、大気圧下での放電プラズマにより正イオン1022と負イオン1023を同時に生成し送出させた。印加した電圧は電極間のpeak to peak電圧として3.3kV〜3.7kVであり、この範囲の電圧において人体に有害なレベルのオゾンが発生することはなかった。該イオン発生素子は、内径150mm、長さ370mmのアクリル製の半密閉型の円筒型容器1027の内部に4個取り付け固定し、この容器の一方には抗原物質溶液を撒布する注入口1028を、もう一方には抗原性物質液の回収容器1025を取り付けた。
抗原物質としてスギ花粉より抽出した抗原物質を用いた場合、スギ花粉は広島県豊町に生育する日本杉(Cryptomeria japonica)の枝より採取した。その際、メッシュを取り付けた掃除機を用い、その後ふるいにかけて収集した。収集後の保存は−30℃のフリーザーを用いた。また、スギ花粉より抗原物質の抽出方法はスギ花粉80gを20mMPBS(pH7.4)3.2L中で4℃、4時間攪拌した後、6000rpm、30分遠心分離後、上清に終濃度80%飽和になるように硫酸アンモニウムを加え、6000rpm、30分遠心分離した。遠心後、6時間の透析を6回繰り返し行い、10000rpm、30分遠心分離した。遠心分離後、得られた上清を凍結乾燥し、抗原物質液とした。
供試抗原物質液をネブライザー1024に8ml入れ、図2に示した装置の抗原性物質液撒布用の注入口1028に接続した。同装置の抗原物質液の回収容器1025は、半密閉型の円筒型容器1027の底に設置した。ネブライザーは、エアコンプレッサーと接続して、圧縮空気(流量5L/分)により注入口1028から供試抗原性物質を撒布した。撒布量は8.0ml(撒布時間90分)とした。90分間半密閉型の円筒型容器の底に沈降した抗原性物質を回収容器で捕集した。なお、噴霧された抗原性物質は、空気中に90秒間かけて自然落下し、空気中の正イオン1022および負イオン1023と作用する。
花粉症患者より採取した血清IgE抗体との反応性をELISA法で測定を行った。なお、正負両イオンの濃度は上記のようにイオン発生素子1021を設置した半密閉型の円筒型容器1027の抗原性物質液撒布用の注入口1028よりエアコンプレッサーにより流量5L/分で空気を流し、抗原性物質液の回収容器1025にダン科学製空気イオンカウンタ(品番83−1001B)を設置し、該空間の正負両イオンの合計濃度を測定した。空間雰囲気は温度25℃、相対湿度60%RHであった。また、図8に示したように送出された正イオンはH3+(H2O)n(nは0または任意の自然数)、負イオンはO2 -(H2O)m(mは0または任意の自然数)であり、これらの正負両イオンは前記の化学反応(1)および(2)により過酸化水素H22、二酸化水素HO2またはヒドロキシラジカル・OHを生成するものと推定された。
そして、イオン発生素子1021を作動させない状態の時を未処理とし、該素子に電極間のpeak to peak電圧として3.3kV〜3.7kVの電圧をそれぞれ印加して正負両イオンを送出し、半密閉型の円筒型容器1027内の正負両イオンの濃度を正負両イオンそれぞれ10万個/cm3とした場合の抗原性物質とIgE抗体とのアレルギー反応性の低下を調べた。その結果を図9および図10に示す。
図9は、スギ抗原性物質を正負両イオンを含むガスにより処理した場合と未処理の場合とについて、花粉症患者19〜40の血清IgE抗体とのアレルギー反応の関係を示した図である。
図10は、スギ抗原性物質を正負両イオンを含むガスにより処理した場合と未処理の場合とについて、花粉症患者41〜60の血清IgE抗体とのアレルギー反応の関係を示した図である。
図9および図10に示すように、イオン発生素子を作動させない場合(すなわち正負イオンが発生していない状態)と、正負両イオンの濃度がそれぞれ10万個/cm3となった場合、花粉患者の血清IgE抗体の反応性(結合性)は花粉患者42人中33人の血清IgE抗体反応性が有意に低下していることが確認された。
また、ネブライザーで撒布後、イオン発生素子を作動させない未処理の場合と、該素子に電極間のpeak to peak電圧として3.3kV〜3.7kVの電圧をそれぞれ印加して正負両イオンを送出し、半密閉型の円筒型容器1027内の正負両イオンの濃度を正負両イオンがそれぞれ10万個/cm3とした場合のCry j 1およびCry j 2モノクロ−ナル抗体と血清IgE抗体の反応性の低下を調べた。その結果を図11に示す。
図11は、スギ抗原性物質を正負両イオンを含むガスにより処理した場合と未処理の場合とについて、Cry j 1およびCry j 2とそのモノクロ−ナル抗体との反応性の関係を示した図である。
イオン発生素子を作動させない場合(すなわち正負イオンが発生していない状態)と、正負両イオンがそれぞれ10万個/cm3とした場合の、花粉患者の血清IgE抗体の反応性(結合性)は、イオン処理を行った場合において、Cry j 1およびCry j 2モノクロ−ナル抗体の血清IgE抗体反応性が有意に低下していることが確認された。
また、イオン処理および未処理スギ抗原性物質の花粉症患者血清IgEとの反応性の相違を定量的に評価するためにELISA inhibition法による実験を行った。
具体的には、噴霧後回収したスギ抗原性物質を、遠心分離機(Centriprep YM−10)に入れ、2500rpmで遠心濃縮した。さらに、この濃縮液を遠心分離機(ULTRA FLEE−MC)に入れ7000rpmで遠心濃縮した。濃縮したイオン処理スギ抗原性物質および未処理スギ抗原性物質をタンパク質濃度11μg/mlから5倍希釈を8回繰り返し行なった。希釈したそれぞれの抗原性物質50μlと10倍希釈した患者血清IgE50μlとを混合し4℃で一晩プレインキュベートした。
ELISA用96−well plateにBicarbonate bufferで1μg/mlに希釈したスギ抗原性物質(撒布も行っていない)をwellに50μlアプライし2時間静置した。Washing bufferでプレートを3回洗浄後、Blocking bufferを300μlアプライし、4℃で一晩静置した。プレートを3回洗浄後、プレインキュベートしていたサンプルをそれぞれ50μlウェルにアプライし、4時間静置した。
プレートを3回洗浄後、(3%スキムミルク+1%BSA)/PBSTで1000倍希釈したBiotin−labeled anti−human IgEをwellに50μlアプライし2.5時間静置した。プレートを3回洗浄後、(3%スキムミルク+1%BSA)/PBSTで1000倍希釈したアルカリフォスファターゼ標識streptavidinを50μlアプライし、室温で1.5時間静置した。
プレートを4回洗浄後、AttophosTM substrate bufferをwellに50μlアプライし、遮光の状態で発色するまで放置した。蛍光強度をCytoTMFluorIIで測定した。イオン発生素子を作動させない未処理の場合と、該素子に電極間のpeak to peak電圧として3.3kV〜3.7kVの電圧をそれぞれ印加して正負両イオンを送出し、半密閉型の円筒型容器1027内の正負両イオンの濃度を正負両イオンがそれぞれ10万個/cm3とした場合の花粉患者の血清IgE抗体の反応性(結合性)を調べた。その結果を図12に示す。
図12は、イライザインヒビッション(ELISA inhibition)法により、スギ抗原性物質を正負両イオンを含むガスにより処理した場合と未処理の場合とについて、抗原性物質と花粉症患者の血清IgE抗体のアレルギー反応性の関係を示した図である。
イオン発生素子を作動させない場合(すなわち正負イオンが発生していない状態)は50%阻害に必要なスギ抗原性物質量は2.53×103pgに対し、正負両イオンの濃度がそれぞれ10万個/cm3となった場合では、50%阻害に必要なスギ抗原性物質量は1.34×104pgとなり、反応失活率は81%であることが確認された。
また、イオン処理および未処理スギ抗原性物質を0.9%NaClで蛋白濃度0.5μg/mlに希釈したものを、ツベルクリン用注射器で0.02mlをスギ花粉症患者の前腕屈側皮内に注射した。約15分後に現れた紅斑、膨疹の直径と短径を測定し、それらの平均径から反応性を評価した。結果は表1に示す。
Figure 2004271500
紅斑<10mmを−、紅斑10−20mmを±、紅斑20−30mm、膨疹<10mmを+、紅斑30−40mm、膨疹10−14mmを++、紅斑>40mm、膨疹>15mm、膨疹に偽足を呈するものを+++とした。表1に示すように、イオン発生素子を作動させない未処理場合(すなわち正負イオンが発生していない状態)と、正負両イオンの濃度がそれぞれ10万個/cm3となった場合、花粉症患者の皮内反応性は有意に低下していることが確認された。
さらに、イオン処理および未処理スギ抗原性物質を0.9%NaClで蛋白濃度5μg/mlに希釈したものをピペットマンで5μlスギ花粉症患者の眼に滴下し、約15分後結膜反応半月皮壁、眼瞼皮および球結膜の充血、痒み、流涙等を観察した。判定は全く充血が認められない場合を−、わずかに充血が認められ痒み感のある場合を±、球結膜上部または下部の一方に充血の認められる場合を+、球結膜の上部および下部のいずれにも充血の認められる場合を++、球結膜全体に充血が認められる場合を+++、さらに眼瞼の浮腫等を認めた場合を++++とした。結果は表1に示す。
表1に示すように、イオン発生素子を作動させない未処理場合(すなわち正負イオンが発生していない状態)と、正負両イオンの濃度がそれぞれ10万個/cm3となった場合、花粉症患者の結膜反応性は有意に低下していることが確認された。
<実施例2>
上記のイライザ(ELISA)法における患者19の血清IgEを抗体として用い、抗原性物質(スギ抗原性物質)の濃度(タンパク質濃度として)を100ng/ml、200ng/ml、400ng/ml、800ng/mlの4通りの濃度として、上記と同様(すなわち装置としては図3の装置を用い、イオン処理する場合は正負イオンそれぞれ10万個/cm3の濃度とする)にしてイライザ法によりそれぞれ未処理スギ抗原性物質とイオン処理スギ抗原性物質の蛍光強度を求めた。そして、この蛍光強度から以下の式(3)に基づいてアレルギー反応の反応失活率を求めた。その結果を以下の表2に示す。
Figure 2004271500
反応失活率%=(1−C/D)×100・・・(3)
C:イオン処理スギ抗原性物質の蛍光強度
D:未処理スギ抗原性物質の蛍光強度
続いて、上記抗原性物質の濃度が200ng/mlの場合を基準として選択し、イオン濃度と抗原性物質の濃度との間には以下の関係が成り立つとの前提の下、正負それぞれのイオン濃度と反応失活率との関係を求めた。すなわち、反応失活率が一定であれば、イオン濃度と抗原性物質濃度との間には一定の関係が成立すると考えられ、たとえばイオン濃度を一定にしておき抗原性物質濃度を半分にした状態と、抗原性物質濃度を一定にしておきイオン濃度を2倍にした状態とでは、同じ反応失活率が得られると考えられる。このため、上記抗原性物質の濃度が200ng/mlであることの2点を基準として、正負それぞれのイオン濃度と反応失活率との関係を図13に示した。すなわち、図13中の正負イオン濃度が2.5万個/cm3、5万個/cm3、10万個/cm3、20万個/cm3のデータは、それぞれ上記のイライザ法における抗原性物質濃度が800ng/ml、400ng/ml、200ng/ml、100ng/mlの場合のデータに対応している(なお、図13の横軸は、正負イオンそれぞれの濃度を示している)。
図13より明らかな通り、正負イオン濃度が増加すれば反応失活率も向上しており、特に正負イオン濃度がそれぞれ5万個/cm3とすれば、78%程度の反応失活率が達成され、抗原性物質の安定した失活効果を得ることができる。また、正負イオン濃度をそれぞれ10万個/cm3とすれば、83%の反応失活率を達成することができ、さらに正負イオン濃度をそれぞれ20万個/cm3とすれば、94%の反応失活率を達成することができ、花粉症やダニアレルギーなどのアレルギー疾患を効果的に抑制することが期待できる。
なお、実施例1および実施例2においては、活性化ガスとして正負両イオンを含むガスを用い、抗原性物質としてスギ花粉由来の抗原性物質を用いたが、本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法を用いることにより、他の種類の活性化ガスおよび他の種類の抗原性物質についても、同様に正確かつ簡便に活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能を評価することができる。
また、実施例1および実施例2においては、図2に示す本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置を用いて処理済抗原性物質を作成したが、図3〜図6に示す装置を用いて処理済抗原性物質を作成しても、上記と同様に正確かつ簡便に活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能を評価することができる。
<実施例3>
本実施例は、ダニ粉塵の抗原性物質を用いて、正負両イオンの作用による抗原性物質の失活を確認したものである。以下、図14および15を参照して説明する。
図14は、正イオンと負イオンの作用による抗原性物質を失活させる方法を実行するための装置の概略図である。図15は、イライザ(ELISA)法によるダニ抗原性物質(略称Derf)と、患者a〜rの計18名の血清IgEとの反応性評価を示した図である。なお、図14の装置は、図2の装置と同様に、図7のイオン発生素子を備えており、これにより送出される正イオンおよび負イオンの質量スペクトルは、図8に示されたものとなる。
<抗原性物質を失活させる方法を実行するための装置>
まず、本実施例において使用する図14に示した装置は、図2に示した装置と同様のものであり(このため、図2と図14において同じ参照符号を付したものは同一部分または相当部分を示す)、ただオゾン濃度を減少させる装備を備えている点のみが異なっている。すなわち、図14の装置においては、一方の脱気口1026とネブライザー1024がフィルター1029を介して接続されている。該フィルター1029は、活性炭とモレキュラーシーブを含んでおり、円筒型密閉容器1027中で発生したオゾンを除去する作用を有するものである。このため、該円筒型密閉容器1027中のオゾン濃度は0.025ppm以下に維持されている。
この図14に示した装置においては、図2の装置と同様に、抗原性物質1038は注入口1028から噴霧されて回収容器1025まで自然落下する間に正負両イオンに晒されてその作用を受けることになる。
<ダニ粉塵および抗原性物質>
抗原性物質としては、ダニ粉塵より抽出した抗原性物質を用いた。ダニ粉塵は一般家庭に存在するものを対象とし、座布団や絨毯からメッシュを取り付けた掃除機を用いて捕集した。
また、ダニ粉塵より抗原性物質を抽出するために、ダニ粉塵0.1gを20mMのリン酸緩衝溶液(PBS、pH7.4)15mL中で、温度4℃の下16時間攪拌した後、メンブレンフィルター(0.2μm)に通したものをダニ抗原性物質とした。なお、このダニ抗原性物質には、さらに抗原性物質であるデルエフ1(Derf 1)とデルエフ2(Derf 2)が含まれている。
<フォーリンローリー(Folin−Lowry)法によるタンパク質の定量>
ダニ抗原性物質を含んだ溶液0.2mlと下記D液1mlとを混合し、10分間放置した。つぎに、下記A液を0.1ml加え30分間放置した後750nmで吸光度を測定した。また、牛血清タンパク質(BSA)で標準系列を作成し、同手順で検量線を作成することにより、ダニ抗原性物質のタンパク質の量をBSA換算量として定量した。その結果、そのタンパク質の濃度は94.1ng/mlであった。なお、ここで用いた各試薬は、以下の通りである。
(試薬)
A液;フェノール試薬を酸として1Nとしたもの。
B液;2%Na2CO3+0.1NのNaOH
C液;0.5%CuSO4・5H2O+1%クエン酸ナトリウム
D液;B液:C液=50:1(v/v)
<抗原性物質の噴霧と回収>
このようにして得られた抗原性物質であるダニ抗原性物質を含んだ溶液(タンパク質濃度200ng/ml)をネブライザー1024に8ml入れ、図14に示した装置の抗原性物質溶液噴霧用の注入口1028に接続した。一方、噴霧された抗原性物質を含んだ溶液を回収できるように、回収容器1025を円筒型密閉容器1027の底に設置した。
ネブライザーは、エアコンプレッサーと接続して、圧縮空気(流量5L/分)により注入口1028から抗原性物質1038を噴霧した。噴霧量は8.0ml(噴霧時間90分)とした。90分後円筒型密閉容器1027の底に沈降した抗原性物質を回収容器1025で回収した。なお、噴霧された抗原性物質1038は、円筒型密閉容器1027中を自然落下するのに約90秒間かかった。
なお、このような抗原性物質1038の噴霧と回収は、イオン発生素子1021を作動させる場合(すなわちイオン処理の場合)と作動させない場合(すなわち未処理の場合)の2通りについて行なった。
イオン発生素子1021を作動させて抗原性物質に対して正イオンと負イオンとを作用させる場合、その雰囲気中(すなわち円筒型密閉容器1027中)の正負両イオンの濃度は、イオン発生素子1021を設置した円筒型密閉容器1027の抗原性物質溶液噴霧用の注入口1028よりエアコンプレッサーにより流量5L/分で空気を流し、抗原性物質溶液の回収容器1025にアンデス電気製空気イオンカウンター(品番ITC−201A)を設置し、正負両イオンの濃度を測定することにより求めた。その結果、該イオン発生素子1021に電極間のピークトゥーピーク(peak to peak)電圧として3.3kV〜3.7kVの電圧をそれぞれ印加した場合、円筒型密閉容器1027内の正負両イオンの濃度はそれぞれ10万個/cm3となる雰囲気であった。なお、他の空間雰囲気は温度25℃、相対湿度60%RHであった。また、図8に示したように送出された正イオンはH3+(H2O)n(nは0または自然数)、負イオンはO2 -(H2O)m(mは0または自然数)であり、これらの正負両イオンは前記の化学反応(1)〜(2)により過酸化水素H22、二酸化水素HO2およびヒドロキシラジカル・OHを生成しているものと推定された。
<イライザ(ELISA)法による反応性の評価>
次いで、このようにして捕集されたダニ抗原性物質と、ダニアレルギーの患者a〜rより採取した血清IgE抗体との反応性をイライザ(ELISA:enzyme−liked immunosorbent assay)法で測定した。なお、抗原性物質については、上記の通り正イオンと負イオンとを作用させたもの(イオン処理ダニ抗原性物質)と未処理のもの(未処理ダニ抗原性物質)とを比較することにより該反応性を評価した。
具体的には、イライザ用96穴プレート(ELISA用96−well plate)に炭酸水素ナトリウム緩衝溶液(Bicarbonate buffer)で0.1μg/mlに希釈したイオン処理ダニ抗原性物質と未処理ダニ抗原性物質とをウェル(well)に50μlアプライした。同時にヒトIgE標準(human IgE standard)を炭酸水素ナトリウム緩衝溶液で200μg/mlから2倍希釈を5回繰り返したものをそれぞれ50μlづつウェル(well)にアプライし、室温で2時間静置した。洗浄用緩衝溶液(Washing buffer)でプレートを3回洗浄後、ブロッキング用緩衝溶液(Blocking buffer)を300μlアプライし、4℃で一晩静置した。
一晩静置後、プレートを3回洗浄し、(3%スキムミルク+1%BSA)/PBSTでダニアレルギーの患者の血清を20倍希釈し1時間インキュべートしたものをウェル(well)に50μlアプライし、4時間静置した。プレートを3回洗浄後、(3%スキムミルク+1%BSA)/PBSTで1000倍希釈したビオチン標識抗ヒトIgE(Biotin−labeled anti−human IgE)をウェル(well)に50μlアプライし2時間静置した。
該静置後、プレートを4回洗浄し、(3%スキムミルク+1%BSA)/PBSTで1000倍希釈したアルカリフォスファターゼ標識streptavidinを50μlアプライし、室温で1時間静置した。プレートを5回洗浄後、アトフォス(商標)基質緩衝溶液(Attophos(商標) substrate buffer)をウェル(well)に50μlアプライし、遮光の状態で発色するまで放置した。その蛍光強度を分光光度計(Cyto(商標)FluorII)で測定した。その結果を図15に示す。
図15に示すように、イオン発生素子1021を作動させない場合(すなわち正負両イオンが発生せず未処理の状態)と、正負両イオンの濃度がそれぞれ10万個/cm3となった場合とにおける、ダニアレルギーの患者の血清IgE抗体とダニ抗原性物質との反応性(結合性)は、ダニアレルギーの患者a〜rの18人中、全18人の患者において、前記イオン処理を行なった抗原と、上記患者の血清IgE抗体との反応性が著しく低下していることが確認された(蛍光強度が低いほど、反応性が低いことを示している)。なお、ここで用いた各試薬は、以下の通りである。
(試薬)
炭酸水素ナトリウム緩衝溶液;100mMのNaHCO3(pH9.2〜9.5)
リン酸緩衝溶液(PBS);4gのNaCl、0.1gのNa2HPO4・12H2O、1.45gのKCl、1gのKH2PO4を蒸留水で500mlにメスアップ
PBST;PBS+0.5%ツウィーン20(Tween−20)
ブロッキング用緩衝溶液;PBS+3%スキムミルク+1%BSA
洗浄用緩衝溶液;43gのNa2HPO4・12H2O、3.6gのNaH2PO4、263gのNaCl、15mlのツウィーン20(Tween−20)を蒸留水で3Lにメスアップ
<反応失活率>
上記のイライザ(ELISA)法における患者a〜rの血清IgEを抗体として用い、イライザ法によりそれぞれ未処理ダニ抗原性物質とイオン処理ダニ抗原性物質の蛍光強度を求め、そして、この蛍光強度から以下の式(4)に基づいてアレルギー反応の反応失活率を求めた。その結果を以下の表3に示す。
Figure 2004271500
反応失活率%=(1−E/F)×100・・・(4)
E:イオン処理ダニ抗原性物質の蛍光強度
F:未処理ダニ抗原性物質の蛍光強度
表3より明らかな通り、患者a〜rの平均反応失活率は57.8%であり、ダニアレルギー疾患を効果的に抑制することが期待できる。
<実施例4>
本実施例は、ダニ粉塵を直接用いて、正負両イオンの作用によるダニ粉塵(中に含まれる抗原性物質)の失活を確認したものである。以下図11〜13を参照して説明する。なお、ダニ粉塵に含まれるダニ抗原性物質中のタンパク質量のフォーリンローリー法による定量は、実施例3と同じ操作により行なった。
<ダニ粉塵の拡散と回収>
ダニ粉塵の拡散と回収は、図16に示した装置を用いて行なった(なお、図16中他の図と同一の参照付号を付したものは、同一部分または相当部分を示す)。すなわち、該装置は、送風機1033と作業用の窓1034とを備えた密閉状態のボックス1030からなり、該送風機1033の空気噴出し口のところにはイオン発生素子1021が付設されている。
まず、イオン発生素子1021を作動させるとともに送風機1033も作動させた。その条件は、正負両イオンの空間平均濃度がそれぞれ3000個/cm3となるように該イオン発生素子1021の電極間のピークトゥーピーク(peak to peak)電圧を90Vに調節し、また該送風機1033のファン風量を2m3/分とした。
なお、該ボックス1030中の正負両イオンの空間平均濃度は、該ボックスの中心付近の互いに50cm以上離れた5つのポイントにおける正負両イオンそれぞれの濃度をアンデス電気製空気イオンカウンター(品番ITC−201A)を用いて測定し、その平均が正負両イオンそれぞれについて3000個/cm3となるようにした。また、該ボックス1030中の空間雰囲気は温度25℃、相対湿度60%RHであった。また、図8に示したように送出された正イオンはH3+(H2O)n(nは0または自然数)、負イオンはO2 -(H2O)m(mは0または自然数)であり、これらの正負両イオンは前記の化学反応(1)〜(2)により過酸化水素H22、二酸化水素HO2およびヒドロキシラジカル・OHを生成しているものと推定された。
なお、本発明における正負両イオンの空間平均濃度とは、ある体積を有する空間全体の平均濃度をいうものとし、たとえば適度に空気が滞留する室内の中心付近において互いに50cm以上離れた5つのポイントにおける正負両イオンそれぞれの濃度をイオンカウンタ(たとえばアンデス電気製空気イオンカウンター、(品番ITC−201A))を用いて測定し、その5つのポイントの平均濃度を求めることにより測定することができる。
次に、一旦該イオン発生素子1021と該送風機1033を停止させた。その後、該ボックス1030において、ダニ粉塵(2g)を担持させた物品1032を配置させた後、再度上記と同一の条件でイオン発生素子1021と送風機1033を作動させた。
続いて、窓1034を介して拡散具1035を用いて物品1032を叩く等してダニ粉塵1031を拡散(散布、浮遊)させた。ここで、物品1032としては、たとえば布団、毛布、絨毯、畳、枕、座布団、クッション等を挙げることができるが、本実施例では座布団を用いた。また、拡散具1035としては、たとえば布団たたき、はたき、ほうき等を挙げることができるが、本実施例では布団たたきを用いた。また、拡散させる操作としては、物品1032を叩く以外にも振るったり落下させたりする方法を採用することができる。本実施例では、拡散具1035として布団たたきを用いて、5分間で合計20回、物品1032である座布団を強く叩いた。
次いで、座布団を叩き終わったところで、該ボックス1030の上部に付設されている空気吸引ポンプ1037を作動させ、30分間ボックス1030中の粉塵を回収フィルター1036により吸引捕集した。
続いて、30分間経過後、空気吸引ポンプ1037を停止させ、再度物品1032である座布団を拡散具1035である布団たたきにより5分かけて20回叩いた。その後、再度空気吸引ポンプ1037を作動させ、30分間ボックス1030中の粉塵を回収フィルター1036により吸引捕集した。
上記のようにして、2回の吸引捕集により回収フィルター1036により捕集された粉塵量を秤量すると0.7mgであった。
なお、以上の操作は、イオン発生素子1021を作動させてダニ粉塵に対して正イオンと負イオンを作用させたものであるが(すなわちこのように処理されたものをイオン処理ダニ粉塵と呼び、それから抽出されたものをイオン処理ダニ抗原性物質と呼ぶものとする)、比較のためにイオン発生素子1021を作動させないことを除きその他は全て上記と同じ操作を行なうことによりダニ粉塵を捕集した(すなわちこの比較のものを未処理ダニ粉塵と呼び、それから抽出されたものを未処理ダニ抗原性物質と呼ぶものとする)。
また、このような操作に用いられる装置としては、上記のような図16に示した装置以外にも種々の装置を用いることができ、たとえば、図17(図16と同一の参照符号は同一部分または相当部分を示す)に示したように、図16の空気吸引ポンプ1037と回収フィルター1036を付設する代わりに回収容器1025を設置し、自然落下してくる粉塵を捕集するようにしてもよい。
<イライザインヒビッション(ELISA inhibition)法による評価>
イオン処理ダニ抗原性物質および未処理ダニ抗原性物質と、ダニアレルギー患者の血清IgEとの反応性を定量的に評価するためにイライザインヒビッション(ELISA inhibition:enzyme−liked immunosorbent assay inhibition)法により確認した。
具体的には、拡散後回収したダニ粉塵からダニ抗原を抽出し、遠心分離機(Centriprep YM−10)に入れ、2500rpmで遠心濃縮した。さらに、この濃縮液を遠心分離機(ULTRA FLEE−MC)に入れ7000rpmで遠心濃縮した。濃縮したイオン処理ダニ抗原性物質および未処理ダニ抗原性物質をタンパク質濃度7.66μg/mlから5倍希釈を11回繰り返し行なった。希釈したそれぞれの抗原性物質50μlと10倍希釈した患者血清IgE50μlとを混合し4℃で一晩プレインキュベートした。
イライザ用96穴プレート(ELISA用96−well plate)に炭酸水素ナトリウム緩衝溶液(Bicarbonate buffer)で1μg/mlに希釈したダニ抗原性物質(噴霧も行なっていないもの)をウェル(well)に50μlアプライし2時間静置した。洗浄用緩衝溶液(Washing buffer)でプレートを3回洗浄後、ブロッキング用緩衝溶液(Blocking buffer)を300μlアプライし、4℃で一晩静置した。
一晩静置後、プレートを4回洗浄し、プレインキュベートしていたサンプルをそれぞれ50μlウェルにアプライし、4時間静置した。プレートを5回洗浄後、(3%スキムミルク+1%BSA)/PBSTで1000倍希釈したビオチン標識抗ヒトIgE(Biotin−labeled anti−human IgE)をウェル(well)に50μlアプライし2.5時間静置した。
該静置後、プレートを3回洗浄し、(3%スキムミルク+1%BSA)/PBSTで1000倍希釈したアルカリフォスファターゼ標識streptavidinを50μlアプライし、室温で1.5時間静置した。プレートを4回洗浄後、アトフォス(商標)基質緩衝溶液(Attophos(商標) substrate buffer)をウェル(well)に50μlアプライし、遮光の状態で発色するまで放置した。その蛍光強度を分光光度計(Cyto(商標)FluorII)で測定した。なお、試薬は、特に断りのない限り上記と同じものを各用いた。
イオン発生素子を作動させない未処理の場合(すなわち未処理ダニ抗原性物質)と、該素子を作動させて正負両イオンそれぞれの空間平均濃度が3000個/cm3となる条件下でイオン処理した場合(すなわちイオン処理ダニ抗原性物質)についての、ダニアレルギー患者の血清IgE抗体との反応性(結合性)を調べた。その結果を図18に示す。
図18に示したように、未処理ダニ抗原性物質は、50%阻害(ダニ抗原性物質の血清IgE抗体に対する反応性が50%に低下すること)に必要なダニ抗原性物質量が500ng/mlであるのに対し、イオン処理ダニ抗原性物質は、50%阻害に必要なダニ抗原性物質量が500ng/mlとなり、反応失活率は74%であることを確認した。なお、ここでいう反応失活率は、上記化学式(1)と同様の化学式により求めた。
このようにして、正負両イオンの作用は、抗原性物質に対して直接的に作用するばかりではなく、抗原性物質を含んだダニ粉塵に対しても及ぶことが確認された。しかも、正負両イオンそれぞれの空間平均濃度が3000個/cm3となる場合において、抗原性物質を失活させるという効果が発揮されることを確認することができた。
<実施例5>
本実施例においては、正負両イオンそれぞれの空間平均濃度を10000個/cm3とすること(該イオン発生素子1021の電極間のピークトゥーピーク(peak to peak)電圧を100Vとし、該送風機1033のファン風量を8m3/分とすること)を除き、その他は実施例4と全て同様にしてダニ粉塵に対する正負両イオンの作用を確認した。その結果を図19に示す。
図19に示したように、未処理ダニ抗原性物質は、60%阻害(ダニ抗原性物質の血清IgE抗体に対する反応性が60%に低下すること)に必要なダニ抗原性物質量が345ng/mlであるのに対し、イオン処理ダニ抗原性物質は、60%阻害に必要なダニ抗原性物質量が3823ng/mlとなり、反応失活率は91%であることを確認した。なお、ここでいう反応失活率は、上記同様に式(1)により求めた。
このようにして、正負両イオンそれぞれの空間平均濃度が10000個/cm3となる場合において、抗原性物質を失活させるという効果が発揮されることを確認することができた。
また、図18と図19を比較すると、50%阻害と60%阻害の差異は存するものの、図18より判断して50%阻害の場合と60%阻害の場合とにおける反応失活率はほぼ同じと考えられるため、空間平均濃度が高くなる程反応失活率が高くなることが認められる。
このように本発明の方法によると、正負両イオンを作用させることにより抗原性物質を有効に失活させることができるため、この種の抗原性物質が原因となる花粉症やダニアレルギーなどの各種アレルギー疾患を有効に低減することが期待できる。
また、本発明の方法または装置を空気調節装置の内部または外部に用いることにより、抗原性物質の失活した空気の送風や、上記イオン放出による空中に浮遊する抗原性物質の直接失活が可能になる。
上記各実施の形態では、花粉およびダニに含まれるアレルゲンに特に注目して説明したが、花粉やダニ以外にカビなどに含まれるアレルゲンに対しても、本発明に基づく空気浄化装置は、効果を発揮すると考えられる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法の概略を示すフロー図である。 本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置の一例の概要を示す図である。 本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置の一例の概要を示す図である。 本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置の一例の概要を示す図である。 本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置の一例の概要を示す図である。 本発明の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置の一例の概要を示す図である。 本発明に用いるイオン発生素子の構造の一例の概要を示す図である。 イオン発生素子から生成される正イオンおよび負イオンの質量スペクトルを示した図である。 スギ抗原性物質を正負両イオンを含むガスにより処理した場合と未処理の場合とについて、花粉症患者19〜40の血清IgE抗体とのアレルギー反応の関係を示した図である。 スギ抗原性物質を正負両イオンを含むガスにより処理した場合と未処理の場合とについて、花粉症患者41〜60の血清IgE抗体とのアレルギー反応の関係を示した図である。 スギ抗原性物質を正負両イオンを含むガスにより処理した場合と未処理の場合とについて、Cry j 1およびCry j 2とそのモノクロ−ナル抗体との反応性の関係を示した図である。 イライザインヒビッション(ELISA inhibition)法により、スギ抗原性物質を正負両イオンを含むガスにより処理した場合と未処理の場合とについて、抗原性物質と花粉症患者の血清IgE抗体のアレルギー反応性の関係を示した図である。 活性化ガスにおける正負両イオンのそれぞれの濃度とスギ花粉由来の抗原性物質の反応失活率との関係を示した図である。 抗原性物質を失活させる方法を実行するための装置の一例であって、オゾン濃度を減少させる装備を備えている装置を示す概略図である。 抗原性物質(ダニ抗原性物質)をイオン処理した場合と未処理の場合とについて、ダニアレルギー患者a〜rの血清IgE抗体とのアレルギー反応の関係を示した図である。 抗原性物質を失活させる方法を実行するための装置の一例であって、送風機と回収フィルターとを備えている装置を示す概略図である。 抗原性物質を失活させる方法を実行するための装置の一例であって、送風機と回収容器とを備えている装置を示す概略図である。 正負両イオンの空間平均濃度(3000個/cm3)の下、イライザインヒビッション(ELISA inhibition)法により、ダニ粉塵をイオン処理した場合と未処理の場合とについて、抗原性物質とダニアレルギー患者の血清IgE抗体のアレルギー反応性の関係を示した図である。 正負両イオンの空間平均濃度(10000個/cm3)の下、イライザインヒビッション(ELISA inhibition)法により、ダニ粉塵をイオン処理した場合と未処理の場合とについて、抗原性物質とダニアレルギー患者の血清IgE抗体のアレルギー反応性の関係を示した図である。
符号の説明
7001 高圧電源、1042,7002 電圧印加電極、1043,7003 誘電体、1044,7004 接地電極、7005 プラズマ領域、1021,1031,1041,1051,1061 イオン発生素子、1022 正イオン、1023 負イオン、1024 ネブライザー、1025 回収容器、1026 脱気口、1027,1037,1047,1057,1067 円筒型容器、1028,1038 注入口、1029 フィルター、1030 ボックス、1031 ダニ粉塵、1032 物品、1033 送風機、1034 窓、1035 拡散具、1036 回収フィルター、1037 空気吸引ポンプ、1038 抗原性物質、1048,1058,1068 開閉式の蓋、1049,1053,1063 抗原性物質、1052,1062 正負両イオン、1059,1069 ファン、1065 フィルタ。

Claims (14)

  1. 抗原性物質と活性化ガスとを反応させて、処理済抗原性物質を得るステップと、
    前記抗原性物質に対する抗体と前記処理済抗原性物質とを反応させて、前記抗体に対する前記処理済抗原性物質の結合活性を測定するステップと、
    を備える、活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法。
  2. 抗原性物質と活性化ガスとを反応させて、処理済抗原性物質を得るステップと、
    前記抗原性物質に対する抗体と前記処理済抗原性物質とを反応させて、前記抗体に対する前記処理済抗原性物質の結合活性を測定するステップと、
    前記処理済抗原性物質の結合活性を、前記抗体に対する前記抗原性物質の結合活性と比較するステップと、
    を備える、活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法。
  3. 前記処理済抗原性物質を得るステップは、空中に浮遊する前記抗原性物質と前記活性化ガスとを反応させるステップを含む、請求項1または2に記載の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法。
  4. 前記反応させるステップは、容器中に前記抗原性物質を含む溶液を撒布するステップと、前記撒布された前記抗原性物質を含む溶液を前記容器中で浮遊させるステップと、前記容器中に前記活性化ガスを導入するステップと、を含む、請求項3に記載の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法。
  5. 前記処理済抗原性物質を得るステップは、前記抗原性物質に振動および/または衝撃を与えることにより、前記抗原性物質を空中に浮遊させるステップを含む、請求項3に記載の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法。
  6. 前記浮遊させるステップは、前記抗原性物質を可曉性を有する試料台に設置するステップと、前記試料台に振動および/または衝撃を与えるステップとを含む、請求項5に記載の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法。
  7. 前記浮遊させるステップは、前記抗原性物質を布団、毛布、座布団、枕、マット、スポンジ、布、紙、発泡スチロールからなる群より選ばれる1種以上の可曉性を有する試料台に設置するステップと、前記試料台を叩くおよび/または振ることにより前記試料台に振動および/または衝撃を与えるステップとを含む、請求項5に記載の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法。
  8. 前記処理済抗原性物質を得るステップは、前記抗原性物質と、正イオンを含むガス、負イオンを含むガス、ラジカルを含むガス、オゾンガス、硝酸ガスからなる群より選ばれる一種以上を含有するガスとを反応させるステップを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法。
  9. 前記処理済抗原性物質を得るステップは、スギ花粉および/またはダニ粉塵に含まれる抗原性物質、スギ花粉、ダニ粉塵からなる群より選ばれる1種以上と活性化ガスとを反応させて、処理済抗原性物質を得るステップを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法。
  10. 前記測定するステップは、ELISA法および/またはELISA インヒビッション法により、前記抗原性物質に対する抗体と前記処理済抗原性物質とを反応させて、前記抗体に対する前記処理済抗原性物質の結合活性を測定するステップを含む、請求項1〜9のいずれかに記載の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法。
  11. 前記測定するステップは、前記抗原性物質に対する抗体の産生細胞を保有するヒト以外の動物への皮内反応試験および/または結膜反応試験により、前記抗体と前記処理済抗原性物質とを反応させて、前記抗体に対する前記処理済抗原性物質の結合活性を測定するステップを含む、請求項1〜10のいずれかに記載の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価方法。
  12. 容器と、
    前記容器内に抗原性物質を撒布する手段と、
    前記活性化ガスを前記容器内で発生もしくは導入する手段と、
    を備える、活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置。
  13. 容器と、
    前記容器内に抗原性物質を封入する手段と
    前記活性化ガスを前記容器内で発生もしくは導入する手段と、
    を備える、活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置。
  14. 前記容器は、透明な材質を一部または全部に含む、請求項12または13に記載の活性化ガスが抗原性物質を失活させる性能の評価試料として用いる処理済抗原性物質の作成装置。
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