JP2004271495A - 回転角センサ及びこの回転角センサを具備した回転角検出装置 - Google Patents

回転角センサ及びこの回転角センサを具備した回転角検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】回転角に対し、磁束密度変化の直線性が良好な磁気回路の提供と、その磁気回路を用いて回転角演算負荷が小さいアルゴリズムを備えた回転角センサを提供することを目的とする。
【解決手段】磁石3の軸方向の厚さhは、周方向にN極3aとS極3bとの境界部3cからN極3a及びS極3bの周方向中央部に向かって漸減している。これにより、N極3a及びS極3bの周方向中央付近のいずれの部分から径方向に発生する磁束量は、厚さhが全周に渡って等しい磁石3のN極3a及びS極3bの周方向中央付近のいずれの部分から発生する磁束量よりも小さくできる。このことから、磁石3のN極3a及びS極3bの周方向中央付近のいずれの部分からから発生する磁束量をほぼ一定に設定することができる。この磁石3が回転することで、ギャップ41の磁束密度変化を略三角波にすることができるため、磁気センサ5が直線性の良い出力信号を得ることができる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転軸の回転角を検出する回転角センサに関する。
【0002】
【従来技術】
従来、回転軸の回転角を検出する回転角センサは、回転軸に連結され、且つN極とS極とが周方向に着磁されているリング状の磁石と、この磁石の外周に設けられ、且つギャップを構成するための放射状の溝を有する磁気ヨークと、この磁気ヨークのギャップ内に設けられ、磁気ヨークの磁束密度を検出する磁気センサとから構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特許2842482号公報(第4頁右欄第21行〜第5頁左欄第17行、第2図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述の回転角センサの磁石は、磁束密度が周方向に一定の割合で変化するN極とS極とが180度間隔に着磁されていることから、回転軸の回転による磁気センサが検出する磁束密度の周期波形が正弦波となり、磁気センサが直線性の良い磁束密度を検出することができない。そのため、回転軸の回転を絶対角として検出するためには、三角関数やマップ演算等の規模が大きい処理を行う必要があり、演算負荷が高くなってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、磁気センサが直線性の良い磁束密度を検出することができる回転角センサを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1では、回転する回転軸と、回転軸に連結され、且つ周方向に着磁されており、周囲に磁界を形成するリング状の硬磁性体と、硬磁性体により形成される磁界内に配置されて磁気回路を形成し、この磁気回路が回転軸の回転によって硬磁性体との相対位置が変化すると、磁束密度が変化するように構成された軟磁性体と、軟磁性体と非接触に設置され、軟磁性体の磁気回路に発生する磁束密度を検出する磁束密度検出器とを備え、硬磁性体の周方向の所定領域のいずれの部分から発生する磁束量をほぼ一定に設定することを特徴としている。
【0007】
この構成により、硬磁性体の周方向の所定領域のいずれの部分から発生する磁束量をほぼ一定に設定することで、硬磁性体が周方向に回転する際の軟磁性体の磁気回路に発生する磁束密度を比例して変化させることができる。これにより、磁気検出器が直線性の良い磁束密度を検出することができる。
【0008】
また、請求項2では、硬磁性体は、磁気極性の異なる第1の磁極と第2の磁極とが連結され、第1及び第2の磁極の周方向の略中央付近のいずれの部分から発生する磁束量をほぼ一定に設定することを特徴としている。
【0009】
この構成により、第1及び第2の磁極の周方向の略中央付近のいずれの部分から発生する磁束量をほぼ一定に設定することで、硬磁性体から発生する周方向の磁束量の変化を略矩形波にできる。そのため、磁気検出器が検出する磁束密度の変化を略三角波形にすることができる。
【0010】
また、請求項3では、第1及び第2の磁極の周方向の中央部の軸方向の厚さは、第1及び第2の磁極の周方向の境界付近の軸方向の厚さよりも薄いことを特徴としている。
【0011】
この構成により、第1及び第2の磁極の周方向の中央部の軸方向の厚さを第1及び第2の磁極の周方向の境界付近の軸方向の厚さよりも薄くすることで、第1及び第2の磁極の周方向の中央付近の外周面積が小さくなり、第1及び第2の磁極の周方向の略中央付近のいずれの部分から発生する磁束量を低減させることができ、ほぼ一定に設定することができる。
【0012】
また、請求項4では、第1及び第2の磁極の周方向の中央部の径方向の厚さは、第1及び第2の磁極の周方向の境界付近の径方向の厚さよりも薄いことを特徴としている。
【0013】
この構成により、第1及び第2の磁極の周方向の中央部の径方向の厚さを第1及び第2の磁極の周方向の境界付近の径方向の厚さよりも薄くすることで、第1及び第2の磁極の周方向の中央付近の径方向体積が小さくなり、第1及び第2の磁極の周方向の略中央付近のいずれの部分から発生する磁束密度を低減させることができるため、第1及び第2の磁極の周方向の略中央付近のいずれの部分から発生する磁束量を低減させることができ、ほぼ一定に設定することができる。
【0014】
また、請求項5では、硬磁性体は、ほぼ一定の磁束密度もしくは磁束量に変換するための補助軟磁性体を有し、第1及び第2の磁極の外周で、且つ周方向の略中央付近に補助軟磁性体が設けられることを特徴としている。
【0015】
この構成により、第1及び第2の磁極の外周で、且つ周方向の略中央付近に補助軟磁性体を設けることで、第1及び第2の磁極の周方向の略中央付近のいずれの部分から発生する磁束量をほぼ一定に設定することができる。
【0016】
また、請求項6では、硬磁性体の軸方向の厚さは、軟磁性体の軸方向の厚さよりも薄く、硬磁性体と軟磁性体との軸方向の厚さ方向の中心が全周に渡って軸方向に一致して設けられることを特徴としている。
【0017】
この構成により、硬磁性体が連結されている回転軸が軸方向に少しずれたとしても、硬磁性体が軟磁性体から軸方向にはみ出すことを抑制できるため、硬磁性体から発生する磁束量の漏洩を抑制できる。これにより、磁束密度検出器が検出する磁束密度の変動を抑制できる。
【0018】
また、請求項7では、軟磁性体の外周側は、磁気シールドによって覆われていることを特徴としている。
【0019】
この構成により、回転角センサの外部からの磁束の影響を抑制できると共に、硬磁性体から発生する磁束密度が回転角センサの外部へ漏洩することを抑制できる。
【0020】
また、請求項8では、軟磁性体は、硬磁性体の外周側に設けられ、且つ周方向の略90度毎に放射状の第1から第4のギャップが形成され、磁気ヨークの外周から磁気シールドまでの径方向の距離は、第1から第4のギャップの周方向の長さよりも大きいことを特徴としている。
【0021】
この構成により、軟磁性体で集めた磁束密度が磁気シールドに漏洩することを抑制できる。
【0022】
また、請求項9では、請求項1から8のいずれか1つに記載の回転角センサを具備した回転角検出装置において、硬磁性体は、第1及び第2の磁極が周方向略180度間隔に連結され、軟磁性体は、硬磁性体の外周側に設けられ、且つ周方向の略90度毎に放射状のギャップが形成され、磁束密度検出器は、周方向に連続した2つのギャップ内にそれぞれ1つずつ配置され、且つこのギャップ内に発生する磁束密度を検出すると共に、電気信号に変換し、磁束密度検出器で変換された電気信号に基づいて回転軸の回転角を演算するための回転角演算部を有していることを特徴としている。
【0023】
この構成により、硬磁性体が周方向に回転する際の周方向に連続した2つのギャップ内に発生する磁束密度は、周方向に略90度ずれて発生するため、その2つのギャップ内に配置される2つの磁束密度検出器が変換する電気信号も周方向に略90度ずれる。そして、磁束密度検出器で変換された電気信号に基づいて回転角演算部が回転軸の回転角を演算することで、回転軸の回転角を求めることができる。
【0024】
また、請求項10では、回転角演算部は、2つの磁束密度検出器で変換された電気信号をそれぞれつなぎ合わせて回転軸の回転角を演算することを特徴としている。
【0025】
この構成により、回転角演算部が連続した回転軸の回転角を演算することができる。
【0026】
また、請求項11では、回転角演算部は、加減乗除の少なくとも1つによって回転軸の回転角を演算することを特徴としている。
【0027】
この構成により、磁束密度検出器が直線性の良い磁束密度を検出して電気信号に変換することから、回転角演算部が回転軸の回転角を演算する際に、三角関数等の規模が大きい処理を行う必要がなく、簡単な演算のみで対応できるため、演算負荷の低減を図ることができる。
【0028】
また、請求項12では、回転軸は、車両のステアリングと連結されるステアリング軸であることを特徴としている。
【0029】
この構成により、本発明の回転角センサ及び回転角検出装置によって、ステアリング軸と連結されるステアリングの回転角を検出することができる。
また、請求項13では、回転する回転軸と、回転軸に連結されると共に、磁気極性の異なる第1の磁極と第2の磁極とが周方向略180度間隔に連結されたリング状の硬磁性体と、硬磁性体の外周側に設けられると共に、周方向の略90度毎に放射状のギャップが形成され、回転軸の回転によって硬磁性体との相対位置が変化すると、ギャップ内に発生する磁束密度が変化するように構成された軟磁性体と、周方向に連続した2つのギャップ内にそれぞれ1つずつ配置され、2つのギャップ内に発生する磁束密度を検出して電気信号に変換する磁束密度検出器と、磁束密度検出器で変換した2つの電気信号に基づいて、回転軸の回転角を演算するための回転角演算部とを備えた回転角検出装置において、硬磁性体の周方向の所定領域のいずれの部分から発生する磁束量がほぼ一定に設定され、磁束密度検出器で変換した2つの電気信号は、直線部を有する略90度位相のずれた略三角波であって、回転角演算部での回転角の演算は、2つの電気信号の直線部をつなぎ合わせた線が略直線となるように実際の直線部の電気信号を補正して行われることを特徴としている。
【0030】
この構成により、硬磁性体の周方向の所定領域のいずれの部分から発生する磁束量がほぼ一定に設定されていることから、硬磁性体の周方向に回転する際の軟磁性体に形成されたギャップ内に発生する磁束密度を比例して変化させることができ、磁束密度検出器が直線性の良い磁束密度を検出することができる。さらに、実際の磁束密度検出器で変換した2つの電気信号は、ばらつきを生じ、回転角演算部が正確な回転軸の回転角を演算できないことから、回転角演算部が2つの電気信号の直線部をつなぎ合わせた線が略直線となるように実際の直線部の前記電圧信号を補正することで、回転軸の回転角を、誤差を抑制して演算することができる。
【0031】
また、請求項14では、磁束密度検出器で変換した2つの電気信号は、回転軸の回転角に対する電圧値であって、実際の直線部の電圧信号の補正は、2つの電気信号の直線部を所定の幅で区切って抽出し、抽出したそれぞれの直線部の傾きの符号を一致させると共に、それぞれの直線部がつなぎ合わされるつなぎ合わせ部の電圧値が一致するように平行移動させて1本の線を生成し、生成した前記1本の線の最大電圧値と最小電圧値とを直線的に結び、最大電圧値と最小電圧値とを結んだ直線の中間電圧値を理想の中間電圧値に補正するための電圧補正値を決定し、最大電圧値と最小電圧値とを結んだ直線の傾きを理想の傾きに補正するための傾き補正値を決定することを特徴としている。
【0032】
実際の回転角演算部で変換した直線部の電圧信号は、例えば磁石の形状などによってばらつきが生じ、それぞれの直線部のつなぎ合わせ部の電圧値、それぞれの直線部の傾き及び電気信号の中間電圧値が回転軸の回転角0に必ずしも一致しない。このことから、実際の直線部の電圧信号の補正は、2つの電気信号の直線部を所定の幅で区切って抽出し、抽出したそれぞれの直線部の傾きの符号を一致させると共に、それぞれの直線部がつなぎ合わされるつなぎ合わせ部の電圧値が一致するように平行移動させて1本の線を生成し、生成した前記1本の線の最大電圧値と最小電圧値とを直線的に結び、最大電圧値と最小電圧値とを結んだ直線の中間電圧値を理想の中間電圧値に補正するための電圧補正値を決定し、最大電圧値と最小電圧値とを結んだ直線の傾きを理想の傾きに補正するための傾き補正値を決定することで、回転角演算部が2つの電気信号の直線部をつなぎ合わせた線が略直線にできると共に、回転角演算部で変換した直線部の電圧信号を理想の電圧信号と略一致させることができる。
【0033】
また、請求項15では、周囲の温度を検出する温度検出手段を有し、磁束密度検出器は、温度検出手段で検出した温度に基づいて、2つの磁束密度検出器で変換された電気信号を補正することを特徴としている。
【0034】
硬磁性体は、周囲の温度が高くなるにつれて磁束量が小さくなる特性を持っているため、2つの磁束密度検出器で検出する磁束密度の大きさも小さくなってしまう。このことから、回転角演算部で周囲の温度に基づいて、2つの磁束密度検出器で変換された電気信号を補正することで、硬磁性体の温度特性によって、回転角検出部で変換する電気信号の出力低下を防止することができる。
【0035】
また、請求項16では、磁束密度検出器には、温度に応じて電気信号を補正するための電圧信号補正値が予めマップに記憶されており、電圧信号の補正は、マップに記憶されている電圧信号補正値によって行われることを特徴としている。
【0036】
この構成により、磁束密度検出器に電圧信号補正値を予めマップに記憶させておくことで、磁束密度検出器が電圧信号補正値に基づいて、2つの磁束密度検出器で変換された電気信号を補正することができる。
【0037】
また、請求項17では、回転角演算部には、理想の電気信号の最大電圧信号値及び最小電圧信号値が予め記憶されており、実際の電気信号の最大電圧信号値と理想の最大電圧信号値との第1の偏差及び実際の電気信号の最小電圧信号値と理想の最小電圧信号値と第2の偏差をそれぞれ演算し、演算された第1及び第2の偏差に基づいて、実際の最大電圧信号値及び最小電圧信号値を補正することを特徴としている。
【0038】
硬磁性体は、周囲の温度が高くなるにつれて磁束量が小さくなる特性を持っているため、2つの磁束密度検出器で検出する磁束密度の大きさも小さくなってしまう。このことから、回転角演算部が実際の電気信号の最大電圧信号値と予め記憶された理想の最大電圧信号値との第1の偏差及び実際の電気信号の最小電圧信号値と理想の最小電圧信号値と第2の偏差をそれぞれ演算し、演算された第1及び第2の偏差に基づいて、実際の最大電圧信号値及び最小電圧信号値を補正することで、硬磁性体の温度特性によって、回転角検出部で変換する電気信号の出力低下を防止することができる。
【0039】
また、請求項18では、第1及び第2の磁極の径方向の厚さは、周方向中央部に向かって漸減していることを特徴としている。
【0040】
この構成により、第1及び第2の磁極の径方向に厚さを周方向の中央部に向かって漸減させることで、第1及び第2の磁極の径方向体積が周方向の中央部に向かって徐々に小さくなり、第1及び第2の磁極の周方向の略中央付近のいずれの部分から発生する磁束密度を低減させることができる。これにより、第1及び第2の磁極の周方向の略中央付近のいずれの部分から発生する磁束量も低減させることができ、ほぼ一定に設定することができる。
【0041】
また、請求項19では、硬磁性体及び軟磁性体の内周が円形状であって、第1及び第2の磁極の周方向の中央部の径方向の厚さよりも厚い境界付近の径方向の厚さを薄くすることで、硬磁性体の外周を略円形状にすることを特徴としている。
【0042】
硬磁性体の内周が円形状であって、第1及び第2の磁極の径方向の厚さが周方向の中央部に向かって漸減していると、一般的に硬磁性体の外周が楕円形状となる。また、軟磁性体の内周も円形状であるため、第1及び第2の磁極の周方向の中央部から軟磁性体の内周までの径方向の距離は、第1及び第2の磁極の周方向の境界部から軟磁性体の内周までの径方向の距離よりも長くなる。そのため、第1及び第2の磁極の周方向の中央付近から発生する磁束が軟磁性体に流れずに外部に漏洩する磁束が増加してしまい、磁束密度検出器が検出する磁束密度が小さくなってしまう。しかし、本構成では、第1及び第2の磁極の周方向の中央部の径方向の厚さよりも厚い境界付近の径方向の厚さを薄くして、硬磁性体の外周を略円形状にすることから、第1及び第2の磁極の周方向の中央部から軟磁性体の内周までの径方向の距離を第1及び第2の磁極の周方向の境界部から軟磁性体の内周までの径方向の距離に近づけることができ、外部に漏洩する磁束が低減され、磁束密度検出器が検出する磁束密度が小さくなることを抑制できると共に、磁束密度検出器に外部からの磁束の影響を与えることも抑制できる。
【0043】
また、請求項20では、硬磁性体の軸方向の厚さは、軟磁性体の軸方向の厚さよりも厚く、硬磁性体の軸方向両端が軟磁性体の軸方向両端よりも軸方向に突出して設けられることを特徴としている。
【0044】
この構成により、硬磁性体の軸方向両端が軟磁性体の軸方向両端よりも軸方向に突出して設けられることから、硬磁性体が連結されている回転軸が軸方向に少しずれたとしても、硬磁性体の外周と軟磁性体の内周とが径方向に対向するため、硬磁性体から発生する磁束を確実に軟磁性体に流すことができる。また、硬磁性体から発生する磁束量は、淵部分が最も大きくなるため、外部からの例えば摩耗鉄粉などが硬磁性体の淵部分に優先的に付着し、硬磁性体の軟磁性体との対向面から発生する磁束に影響を与えない。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施形態について説明する。
【0046】
[第1実施形態]
図1の(a)は、本発明の回転角センサの側面図、(b)は、(a)のI−I矢視断面図及びこの回転角センサを具備した回転角検出装置である。図2は、本発明の磁石を示した斜視図である。図3の(a)は、本発明の磁石から発生する磁束量φの方向を示した図、(b)は、(a)の周方向の角度θにおける磁石から発生する磁束量φの周期波形を示したグラフである。図4の(a)は、磁石が周方向に回転した状態を示した図、(b)は、磁気センサが変換した電気信号の周期波形を示したグラフである。図5は、本発明の回転角演算部での演算手順を示したフローチャートである。図6は、本発明の回転角演算部で演算された電気信号の周期波形を示したグラフである。
【0047】
本実施形態での回転角検出装置1は、図1(a)及び(b)に示すように、回転軸2の外周側に設けられる回転角センサと回転角演算部6とから構成され、回転角センサで検出した信号に基づいて、回転角演算部6が演算することで、回転軸2の回転角を検出している。
【0048】
回転角センサは、硬磁性体を成す磁石3、軟磁性体を成すヨーク4及び磁束密度検出器を成す磁気センサ5から構成されている。
【0049】
磁石3は、リング状であって、回転軸2の外周に連結され、且つ磁気極性の異なる第1の磁極を成すN極3aと第2の磁極を成すS極3bとから成っている。このN極3aとS極3bとは、周方向の略180度間隔に連結されている。また、図2に示すように、磁石3の軸方向の厚さhは、周方向にN極3aとS極3bとの境界部3cからN極3a及びS極3bの周方向中央部に向かって漸減している。
【0050】
ヨーク4は、磁石3の外周に近接して配置される環状体であって、第1から第4のヨーク4a〜4dから構成されている。この第1から第4のヨーク4a〜4dは、それぞれ周方向の略90度間隔にギャップ41を介して設けられている。また、図1(a)に示すように、ヨーク4の軸方向の厚さは、磁石3の軸方向の厚さよりも厚く形成され、且つヨーク4の軸方向の厚さ方向の中心位置は、磁石3の軸方向の厚さ方向の中心位置と全周に渡って軸方向に一致して設けられている。
【0051】
磁気センサ5は、第1及び第2の磁気センサ5a、5bとから構成されている。第1の磁気センサ5aは、第1及び第4のヨーク4a、4dとの周方向の間のギャップ41内に、第2の磁気センサ5bは、第1及び第2のヨーク4a、4bとの周方向の間のギャップ41内に挿入されており、それぞれ挿入されたギャップ41に生じる磁束量を磁束密度として検出する。但し、この第1及び第2の磁気センサ5a、5bは、ヨーク4と非接触に設けられている。また、磁気センサ5としては、例えばホール素子、ホールIC及び磁気抵抗素子等を使用することができ、検出した磁束密度を電気信号(例えば電圧信号)に変換して回転角演算部6に出力する。
【0052】
回転角演算部6は、第1及び第2の磁気センサ5a、5bで変換された電気信号に基づいて、回転軸2の回転角(絶対角)を演算する。具体的には、第1及び第2の磁気センサ5a、5bで変換された2つの電気信号をそれぞれつなぎ合わせることで、90deg以上の連続した回転軸2の回転角を演算する。
【0053】
次に、本実施形態の作動について説明する。
【0054】
先ず、磁石3から発生する磁束の磁束密度について説明する。上述のように磁石3の軸方向の厚さhは、周方向にN極3aとS極3bとの境界部3cからN極3a及びS極3bの周方向中央部に向かって漸減していることから、N極3a及びS極3bの周方向中央部分の厚さがN極3a及びS極3bの境界部3cの厚さよりも薄くなる。そのため、N極3a及びS極3bの周方向中央付近の外周面の面線が小さくなり、N極3a及びS極3bの周方向中央付近のいずれの部分から径方向に発生する磁束の磁束密度が厚さhが全周に渡って等しい磁石3のN極3a及びS極3bの周方向中央付近のいずれの部分から発生する磁束の磁束密度よりも低減する。このことから、N極3a及びS極3bの周方向中央付近のいずれの部分から径方向に発生する磁束量は、厚さhが全周に渡って等しい磁石3のN極3a及びS極3bの周方向中央付近のいずれの部分から発生する磁束量よりも低減する。つまり、N極3a及びS極3bの磁束量が大きい部分から発生する磁束量を低減させることができる。このことから、本実施形態の磁石3から発生する磁束量の周期波形は、図3(b)に示す波形となり、範囲X(N極3aの周方向中央付近)と範囲Y(S極3bの周方向中央付近)との磁束量をそれぞれほぼ一定に設定することができる。
【0055】
なお、図3(b)のように、N極3a及びS極3bの周方向中央付近のいずれの部分から発生する磁束量をほぼ一定になるように、磁石3の厚さhをN極3a及びS極3bの境界部3cからN極及びS極の周方向中央部に向かって漸減させる。
【0056】
次に、図4に示すように、回転軸2が周方向に回転した場合の磁気センサ5が検出する磁束密度の変化について説明する。
【0057】
図4(a)に示す(I)の状態(0deg)の場合、第1のヨーク4aと第4のヨーク4dとの間のギャップ41には、磁束が流れず磁束密度としては0となる。また、第1のヨーク4aと第2のヨーク4bとの間のギャップ41には、負の極性の磁束密度の最大値が生じる。このことから、第1及び第2の磁気センサ5a、5bは、図4(b)の点線(I)に示す電圧信号に変換する。
そして、図4(a)に示す(I)の状態から回転軸2が周方向に90度右回転し、(I)の状態(90deg)になった場合、第1のヨーク4aと第4のヨーク4dとの間のギャップ41には、正の極性の磁束密度の最大値が生じる。また、第1のヨーク4aと第2のヨーク4bとの間のギャップ41には、磁束が流れず磁束密度としては0となる。このことから、第1及び第2の磁気センサ5a、5bは、図4(b)の点線(II)に示す電圧信号に変換する。
さらに、図4(a)に示す(II)の状態から回転軸2が周方向に90度右回転
し、(III)の状態(180deg)になった場合、第1のヨーク4aと第4のヨ
ーク4dとの間のギャップ41には、磁束が流れず磁束密度としては0となる。また、第1のヨーク4aと第2のヨーク4bとの間のギャップ41には、正の極性の磁束密度の最大値が生じる。このことから、第1及び第2の磁気センサ5a、5bは、図4(b)の点線(II)に示す電圧信号に変換する。
また、磁石3のN極3a及びS極3bの周方向中央付近のいずれの部分から発生する磁束量がほぼ一定であることから、回転軸2が周方向に回転している際の第1及び第4のギャップ41と第1及び第2のギャップ41とに生じる磁束の磁束密度は、一定の割合で変化する。このことから、第1及び第2の磁気センサ5a、5bは、図4(b)の太線のように、一定の割合で変化する電圧信号に変換する。
【0058】
次に、図5に示すフローチャートに基づいて回転角演算部6の処理手順について説明する。なお、第1の磁気センサ5aの出力電圧をVa、第2の磁気センサ5bの出力電圧をVb及び回転角演算部6の出力電圧をVoutとする。
【0059】
S1では、Vaが3.0[V]よりも大きいかを判定する。Vaが3.0[V]よりも大きい場合には、S6に進み、以下の式▲1▼の演算を行い、S1に戻る。また、Vaが3.0[V]よりも小さい場合には、S2に進む。
【0060】
Vout=1+Vb・・・・・・・・・・▲1▼
S2では、Vaが2.0[V]よりも小さいかを判定する。Vaが2.0[V]よりも小さい場合には、S7に進み、以下の式▲2▼の演算を行い、S1に戻る。また、Vaが2.0[V]よりも大きい場合には、S3に進む。
【0061】
Vout=4−Vb・・・・・・・・・・▲2▼
S3では、Vbが2.4[V]よりも小さいかを判定する。Vbが2.4[V]よりも小さい場合には、S8に進み、以下の式▲3▼の演算を行い、S1に戻る。また、Vbが2.4[V]よりも大きい場合には、S4に進む。
【0062】
Vout=Va・・・・・・・・・・・・▲3▼
S4では、Vbが2.6[V]よりも大きいか、Vaが2.5[V]よりも小さいかを判定する。Vbが2.6[V]よりも大きく、Vaが2.5[V]よりも小さい場合には、S9に進み、以下の式▲4▼の演算を行い、S1に戻る。また、それ以外の場合には、S5に進む。
【0063】
Vout=3−Va・・・・・・・・・・▲4▼
S5では、Vbが2.6[V]よりも大きいか、Vaが2.5[V]以上であるかを判定する。Vbが2.6[V]よりも大きく、Vaが2.5[V]以上の場合には、S10に進み、以下の式▲5▼の演算を行い、S1に戻る。また、それ以外の場合には、S11に進み、以下の式▲6▼の演算を行い、S1に戻る。
【0064】
Vout=7−Va・・・・・・・・・・▲5▼
Vout=0・・・・・・・・・・・・・▲6▼
以上の処理を回転角演算部6が演算することで、Voutは、図6に示すように、回転軸2の回転角360度(−180deg〜180deg)の範囲で一定の割合で変化させることができるため、回転軸2の360度の絶対角を検出することができる。
【0065】
[第1実施形態の効果]
本実施形態の磁石3の軸方向の厚さhは、周方向にN極3aとS極3bとの境界部3cからN極3a及びS極3bの周方向中央部に向かって漸減していることから、N極3a及びS極3bの周方向中央付近の外周面の面積が小さくなり、N極3a及びS極3bの周方向中央付近のいずれの部分から径方向に発生する磁束の磁束密度をほぼ一定に設定することができる。そのため、回転軸2が周方向に回転する際のギャップ41に生じる磁束量は、ほぼ一定の割合で変化する。これにより、第1及び第2の磁気センサ5a、5bが直線性の良い磁束密度を検出することができる。
【0066】
さらに、磁石3が発生する周方向の磁束量の変化を略矩形波にできるため、磁気センサ5が検出する磁束密度の変化を略三角波形にすることができる。これにより、回転角演算部6が三角関数等の規模が大きい処理を行う必要がなく、例えば加算、減算、乗算及び除算の簡単な演算のみによって処理させることができるため、演算負荷の低減を図ることができる。
【0067】
また、ヨーク4の軸方向の厚さは、磁石3の厚さよりも厚く形成され、且つヨーク4の軸方向の中心位置は、磁石3の軸方向の中心位置と全周に渡って軸方向に一致して設けられていることから、磁石3が連結されている回転軸2が軸方向に少しずれたとしても、磁石3がヨーク4から軸方向にはみ出すことを抑制できるため、磁石3から発生する磁束量の漏洩を抑制できる。これにより、磁気センサ5が検出する磁束密度の変動を抑制できる。
【0068】
また、第1及び第2の磁気センサ5a、5bで変換された2つの電気信号をそれぞれつなぎ合わせることで、回転軸2の回転角を90deg以上の連続した角度信号とすることができる。
【0069】
なお、回転角演算部6での演算処理では、磁気センサ5の出力電圧値と特定な電圧値とを比較することによって演算しているが、本実施形態での磁気センサ5の出力電圧値と異なる出力電圧値の場合には、比較する電圧値を磁気センサ5の出力電圧値に対応した値に変更することで、回転軸2の絶対角360度を検出することができる。
【0070】
なお、図5に示すように、本実施形態での回転角演算部6の処理手順でのVa及びVbの比較値は、あくまでも一例であり、本実施形態の比較値と異なる値であってもよい。
【0071】
[第2実施形態]
図7の(a)は、本発明の回転角センサの側面図、(b)は、(a)のVII−VII矢視断面図及びこの回転角センサを具備した回転角検出装置である。ここでは、第1実施形態と同様な箇所は省略し、相違する部分についてのみ説明する。
【0072】
第1実施形態でのヨーク4は、第1から第4のヨーク4a〜4dから構成しているが、本実施形態でのヨーク4は、図7に示すように、一体で構成している。また、ヨーク4の周方向の略90間隔に溝部42を形成することで、ギャップ41が形成されている。なお、この溝部42は、例えば研削等によって形成している。
【0073】
以上のように、ヨーク4を一体で形成することで、磁石3の外周側へ設ける際の位置決めが容易になると共に、部品点数の低減を図ることができる。
また、ヨーク4を研削等によって溝部42を形成することで、ギャップ41を形成させることができるため、ギャップ41を形成する周方向の位置ずれが生じたり、ギャップ41の周方向の間の長さの誤差が生じる等の不具合を抑制することができる。
【0074】
[第3実施形態]
図8の(a)は、回転角検出装置の軸方向断面図、(b)は、(a)のVIII−VIII
矢視断面図である。図9は、外部磁束の流れを示した図である。図10は、本発明の磁気センサと回転角演算部との接続方法を示した図である。ここでは、第1実施形態と同様な箇所は省略し、相違する部分についてのみ説明する。
【0075】
本実施形態では、図8に示すように、回転角検出装置1の外側に磁気シールド7を設けられている。この磁気シールド7は、軟磁性体から形成されており、ヨーク4の外周を覆うように設けられている。また、図8(b)に示すように、磁気シールド7は、ヨーク4の外周から磁気シールド7までの径方向の距離がギャップ41の周方向の長さLよりも大きくなるように設けられている。
【0076】
また、磁気センサ5のターミナルは、長手方向が軸方向に向かって設けられ、且つ回転角演算部6に接続されている。さらに、回転角演算部6は、ワイヤーハーネス8を介して図示しないマイコンに接続されている。
【0077】
以上のように、磁気シールド7をヨーク4の外周を覆うように設けることで、図9に示すように、回転角検出装置1の外部からの磁束10がヨーク4を通過することを抑制できるため、ギャップ41に生じる磁束の磁束密度に影響を与えることを抑制できる。
【0078】
さらに、磁気シールド7は、ヨーク4の外周から磁気シールド7までの径方向の距離がギャップ41の周方向の長さLよりも大きくなるように設けられることから、ヨーク4に流れる磁束が磁気シールド7に漏洩することを抑制できる。
【0079】
なお、本実施形態での磁気センサ5のターミナルは、長手方向が軸方向に向かって設けられ、且つ回転角演算部6に接続されているが、図10に示すように、磁気センサ5のターミナルは、長手方向が径方向に向かって設けられ、且つ回転角演算部6に接続されていてもよい。
【0080】
[第4実施形態]
図11は、本発明の回転角検出装置を電動パワーステアリング装置に適用した図である。ここでは、第1実施形態と同様な箇所は省略し、相違する部分についてのみ説明する。
【0081】
本実施形態では、回転角検出装置1を図示しないステアリングの操舵力を軽減させるための電動パワーステアリング装置11に適用している。
【0082】
電動パワーステアリング装置11は、ステアリングに連結されている入力軸11aと、車両の転舵輪側に連結されている出力軸11bと、入力軸11a及び出力軸11bとの間に設けられているトーションバー11cと、ステアリングに加えられた操舵力を検出するトルクセンサ11dと、本発明の回転角演算部6内に設けられ、且つトルクセンサ11dからの検出値に基づいて操舵補助力を決定する制御部と、制御部で決定された操舵補助力を発生させる電動モータ11eと、電動モータ11eで発生した操舵補助力を減速して出力軸11bに伝達させる動力伝達部11fと、動力伝達部11fを覆うためのハウジング11gと、から構成されている。
【0083】
回転角検出装置1の回転角センサは、入力軸11aの外周に設けられている。また、回転角演算部6は、ハウジングに固定され、且つ回転角センサ及びトルクセンサからの電気信号が信号線を介して入力される。
【0084】
以上のように、本発明の回転角センサを入力軸11aの外周に設けることで、ステアリングの回転角を検出することができる。
【0085】
[第5実施形態]
図12は、本発明の磁石の軸方向平面図である。図13の(a)は、本発明の磁石の軸方向断面図、(b)は、(a)のA−A矢視断面図である。図14は、本発明の磁石の軸方向断面図である。ここでは、第1実施形態と同様な箇所は省略し、相違する部分についてのみ説明する。
【0086】
本実施形態での磁石3は、図12に示すように、楕円形状で、且つ径方向の厚さFが周方向にN極3aとS極3bとの境界部3cからN極3a及びS極3bの周方向中央部に向かって漸減している。
【0087】
以上のことから、N極3a及びS極3bの周方向中央部分の径方向の厚さがN極3a及びS極3bの境界部3cの径方向の厚さよりも薄くなり、N極3a及びS極3bの周方向中央付近の径方向の体積が小さくなる。そのため、N極3a及びS極3bの周方向中央付近のいずれの部分から径方向に発生する磁束の磁束密度は、厚さFが全周に渡って等しい磁石3のN極3a及びS極3bの周方向中央付近のいずれの部分から発生する磁束の磁束密度よりも低減する。このことから、N極3a及びS極3bの周方向中央付近のいずれの部分から径方向に発生する磁束量は、厚さFが全周に渡って等しい磁石3のN極3a及びS極3bの周方向中央付近のいずれの部分から発生する磁束量よりも低減する。これにより、第1実施形態と同様に、磁石3から発生する磁束量の周期波形は、図3(b)に示す波形となり、範囲X(N極3aの周方向中央付近)と範囲Y(S極3bの周方向中央付近)との磁束量をそれぞれほぼ一定に設定することができる。
【0088】
なお、図13に示すように、軸方向にN極3aとS極3bとが等間隔で着磁されている磁石3の外周に補助ヨーク44a、44bを設けていても磁石3から径方向に発生する磁束量をほぼ一定に設定することができる。この補助ヨーク44a、44bは、軟磁性体から成っており、磁石3から発生する磁束を平均してほぼ一定の磁束量に変換するものである。また、磁石3の軸方向両端面に補助ヨーク44a、44bが設けられている。さらに、補助ヨーク44aと補助ヨーク44bとは、軸を挟んで対称位置に設けられている。
【0089】
なお、周方向にN極とS極とが等間隔で着磁されている磁石3を用いる場合において、図14に示すように、磁石3の外周面で、且つN極3aとS極3bとの周方向中央付近に補助ヨーク44a、44bが設けられていても同様の構成とすることができる。
【0090】
[第6実施形態]
図15の(a)は、本発明の回転角センサの軸方向平面図、(b)は、本発明の回転角センサの側面図である。ここでは、第1実施形態と同様な箇所は省略し、相違する部分についてのみ説明する。
【0091】
本実施形態での磁石3は、図15(b)に示すように、周方向及び軸方向にN極3aとS極3bとが等間隔で着磁されている。また、図15(a)に示すように、磁石3の内径は、ヨーク4の内径よりも大きく、且つ磁石3の外径は、ヨーク4の外径よりも小さく構成されている。さらに、磁石3の軸方向一端面とヨーク4の軸方向一端面とが軸方向に対向して設けられている。この構成により、回転角センサを第1実施形態と同様の構成とすることができる。
【0092】
なお、以上説明した第1から第6実施形態でのヨーク4は、第1から第4のヨーク4a〜4dから構成されており、この第1から第4のヨーク4a〜4dは、それぞれ周方向の略90度間隔にギャップ41を介して設けられているが、図16に示すように、ヨーク4を2つのヨーク4e、4fのみから構成してもよい。この場合、ヨーク4e、4fは、例えば周方向の略180度間隔にギャップ41を介して設けられ、2つのギャップ41のいずれか一方に磁気センサ5cが設けられる。また、ヨーク4を4つ以上で構成していてもよい。
【0093】
[第7実施形態]
図17は、磁気センサ5a、5bの出力電圧Va,Vbの理想の周期波形を示したグラフである。図18は、理想の回転角演算部6の出力電圧Vlを示したグラフである。
【0094】
磁気センサ5a、5bの出力電圧Va,Vbの周期波形は、図17に示すように、所定の幅で区切られた直線部Val1、Val2、Val3、Vbl1、Vbl2を有する90度位相のずれた略三角波形となる。そして、回転角演算部6は、第1実施形態で説明した演算を行い、直線部Val1、Val2、Val3、Vbl1、Vbl2を図18に示す直線部VaL1、VaL2、VaL3、VbL1、VbL2となるように、傾きの符号を一致させ、且つ平行移動させる。そして、直線部VaL1、VaL2、VaL3、VbL1、VbL2をそれぞれつなぎ合わせて一直線とする。これにより、回転角演算部6が回転軸2の360度の絶対角を正確に検出することができる。
【0095】
しかしながら、磁気センサ5は、磁石3から発生する磁束量を磁束密度として検出するが、実際、例えば磁石3の形状誤差等によって、磁石3から発生する磁束にばらつきが生じ、磁気センサ5の出力電圧Va,Vbにもばらつきが生じてしまう。さらに、磁気センサ5の出力電圧Va,Vbにばらつきが生じることで、回転角演算部6の出力電圧Vlにもばらつきが生じてしまう。そのため、図18に示す直線部VaL1、VaL2、VaL3、VbL1、VbL2がつなぎ合わされるそれぞれのつなぎ合わせ部P1〜P3の電圧値が必ずしも一致せず、直線部VaL1、VaL2、VaL3、VbL1、VbL2をつなぎ合わせた線が1本の線とならない。
【0096】
そこで、本実施形態では、磁気センサ5の出力電圧Va,Vbにばらつきが生じた場合において、その出力電圧Va,Vbの周期波形の所定の幅で区切られた直線部Val1、Val2、Val3、Vbl1、Vbl2のそれぞれ傾きの符号を一致させ、且つ平行移動させた直線部La1、La2、La3、Lb1、Lb2をつなぎ合わせた線が略直線となるように補正するための補正方法について説明する。なお、この補正は、回転角演算部6で行われる。
【0097】
図19は、磁気センサ5a、5bの出力電圧Va,Vbの実際の周期波形の一例を示したグラフである。図20は、回転角演算部6の出力電圧LHの一例を示したグラフである。図21は、図20の回転角演算部6の出力電圧LHのつなぎ合わせ部P1〜P3を補正した後のグラフである。図22は、実際の回転角演算部6の出力電圧LHを補正するための処理手順を示したフローチャートである。
【0098】
図19に示すように、実際の磁気センサ5a、5bの出力電圧Va,Vbは、ばらつきを生じ、周期波形が必ずしも最大値を軸とした対称の略三角波形にならない。そのため、図20に示すように、回転角演算部6で傾きの符号を一致させ、且つ平行移動させた直線部La1、La2、La3、Lb1、Lb2のそれぞれのつなぎ合わせ部P1、P2、P3の出力電圧Va,Vbの値が必ずしも一致しない。これにより、実際の回転角演算部6の出力電圧LHは、1本の線とならない。
【0099】
そこで、実際の回転角演算部6の出力電圧LHが理想の直線と略一致するように、回転角演算部6での実際の回転角演算部6の出力電圧LHの補正方法について説明する。
【0100】
磁気センサ5a、5bの出力電圧Va、Vbの周期波形は、90度位相のずれた周期波形となるため、出力電圧Vaの周期波形と出力電圧Vbの周期波形とが交差(一致)する点が2点存在する。そして、図22に示すステップS100では、その2つの交差点Xmax、Xminの出力電圧VXH、VXLをそれぞれ算出し、ステップS101に進む。
【0101】
ステップS101では、ステップS100で算出した出力電圧VXH、VHLに基づいて、出力電圧VXH、VHLの中間電圧VXMを演算し、ステップS102に進む。なお、ここでは、以下の式▲1▼の演算により出力電圧VXH、VHLの中間電圧VXMを求めることができる。
【0102】
VXM=(VXH+VXL)/2・・・・・▲1▼
ステップS102では、回転角演算部6が第1実施形態で説明した演算処理(図5参照)を行い、直線部La1、La2、La3、Lb1、Lb2のそれぞれのつなぎ合わせ部P1、P2、P3を決定する。なお、図5のステップS1の3.0が出力電圧VXHに、ステップS2の2.0が出力電圧VXLに、ステップS4、S5の2.5が中間電圧VXMに相当する。
【0103】
ここで、つなぎ合わせ部P1、P2、P3の決定方法を具体的に説明する。まず、上述したように、実際の直線部La1、La2、La3、Lb1、Lb2のそれぞれのつなぎ合わせ部の電圧P10〜P17は、一致していない。このため、例えば直線部Lb1の電圧P11と直線部La3の電圧P10との偏差に基づき、直線部Lb1の電圧P11が直線部La3の電圧P10に一致するように直線部Lb1の電圧P11を平行移動させ、直線部La1の電圧P13と補正後の直線部Lb1の電圧P12との偏差に基づき、直線部La1の電圧P13が補正後の直線部Lb1の電圧P12に一致するように直線部La1の電圧P13を平行移動させる。そして、直線部Lb2の電圧P15を補正後の直線部La1の電圧P14に、直線部La2の電圧P17を補正後の直線部Lb2の電圧P16にそれぞれ順番に一致するように平行移動させていくことで、1本の線となる。なお、このとき、直線部La1、La2、La3、Lb1、Lb2の傾きを変えずに平行移動させる。そのため、平行移動した後の直線部La2の電圧P18は、図21に示す電圧P18aとなる。
【0104】
そして、図21に示すように、電圧P9と平行移動した後の電圧P18aとを直線的に結ぶ。これにより、最大値P18aの電圧値VH及び最小値P9の電圧値VLから以下の式▲2▼の演算により電圧値VHと電圧値VLとの中間値VMを求めることができる。
【0105】
VM=(VH+VL)/2・・・・・▲2▼
次に、ステップS102で求めた電圧値VHと電圧値VLとの中間値VMは、図21に示す理想の直線の中間値のように必ずしも2.5Vとならないため、ステップS103では、中間値VMを理想の2.5Vに補正するための中間電圧補正値Vofsを以下の式▲3▼により演算して求め、ステップS104に進む。
【0106】
Vofs=VM−2.5・・・・・▲3▼
ステップS102で電圧P9と平行移動した後の電圧P18aとを直線的に結んだ直線LHの傾きKは、図21に示す理想の直線の傾きと必ずしも一致しないため、ステップS104では、直線LHの傾きKを理想の直線の傾きに一致させるための傾き補正値Kfを以下の式▲4▼により演算して求め、ステップS105に進む。
【0107】
Kf=4/(VH−VL)・・・・・▲4▼
ステップS105では、補正後の回転角演算部6の出力電圧をVout’、実際の回転角演算部6の出力電圧をVjとし、以下の式▲5▼の演算を行い、処理を終了する。これにより、補正後の回転角演算部6の出力電圧Vout’(図21に示す直線部La1、La2、La3、Lb1、Lb2)を理想の回転角演算部6の出力電圧Vl(図21に示す直線部VaL1、VaL2、VaL3、VbL1、VbL2)と略一致させることができると共に、回転角演算部6の出力電圧範囲を理想の出力電圧範囲と同じ0.5〜4.5Vとすることができ、回転角演算部6が回転軸2の360度の絶対角を、誤差を抑制して検出することができる。
【0108】
Vout’=(Vj−2.5+Vofs)×Kf+2.5・・・・・▲5▼
なお、つなぎ合わせ部P1、P2、P3は、2つの磁気センサ5a、5bの出力電圧Va,Vbの直線部La1、La2、La3、Lb1、Lb2がそれぞれ補正されて、つなぎ合わされることから、直線部La1、La2、La3、Lb1、Lb2をつなぎ合わせる際に、平行移動させるための補正値がそれぞれ異なるため、つなぎ合わせ部P1、P2、P3付近での演算負荷が高くなる。このため、本発明の回転角検出装置1が電動パワーステアリング装置11に具備された場合、ステアリングは、中立位置(回転角0deg)に位置する頻度が高いため、つなぎ合わせ部P1、P2、P3をステアリングの中立位置(0deg)以外にすることで、2つの異なる電圧信号をつなぎ合わせる頻度が低くなり、回転角演算部6の演算負荷が高くなることを抑制できる。具体的には、磁石3を回転軸2に連結させる際に、周方向に位置合わせをして連結させることで、つなぎ合わせ部P1、P2、P3をステアリングの中立位置(0deg)以外にすることができる。
【0109】
なお、図19に示す実際の磁気センサ5a,5bの出力電圧Va,Vbは、変化しないことから、本実施形態では、回転角検出装置1を電動パワーステアリング装置11に搭載した時に、ステアリングを2回360度左右に回転させて、中間電圧補正値Vofsと傾き補正値Kfとを演算して求める。これにより、中間電圧補正値Vofsと傾き補正値Kfとの演算を1回のみ行うため、回転角演算部6での演算負荷が高くなることを抑制できる。
【0110】
[第8実施形態]
図23は、実際の磁気センサ5a、5bの出力電圧Va,Vbの周期波形と理想の磁気センサ5a、5bの出力電圧Va,Vbの周期波形とを示したグラフである。
【0111】
磁石3から発生する磁束量は、周囲の温度が高くなるにつれて徐々に低減していく。そして、磁石3から発生する磁束量が低減することで、磁気センサ5a、5bが検出する磁束密度が小さくなり、磁気センサ5a、5bの出力電圧Va,Vbも同様に小さくなってしまう。本実施形態では、周囲の温度が高くなることで、磁石3から発生する磁束量の低減による磁気センサ5a、5bの出力電圧Va,Vbの出力低下を補正する方法について説明する。
【0112】
図23に示す点線の周期波形は、理想の磁気センサ5a、5bの出力電圧Vam,Vbmの周期波形である。また、実線の周期波形は、周囲の温度が所定温度であるときの実際の磁気センサ5a、5bの出力電圧Vaj、Vbjの周期波形である。
【0113】
磁気センサ5は、周囲の温度を検出する温度検出手段(図示しない)を有しており、温度検出手段で検出した周囲の温度に基づいて、実際の磁気センサ5a、5bの出力電圧Vaj,Vbjをそれぞれ理想の磁気センサ5a、5bの出力電圧Vam,Vbmに一致させるための補正値が予めマップに記憶されている。なお、予めマップに記憶された補正値は、使用する磁石3の種類もしくは磁石3から発生する磁束量の大きさによって変更させる。
【0114】
そして、磁気センサ5は、温度検出手段で検出した周囲の温度に基づき、マップから補正値を決定し、実際の磁気センサ5a,5bの出力電圧Vaj,Vbjを補正する。これにより、実際の磁気センサ5a、5bの出力電圧Vaj,Vbjを理想の出力電圧Vam,Vbmに一致させることができる。よって、磁石3の温度特性による出力電圧Va,Vbの低下を抑制できる。
【0115】
なお、温度検出手段によって周囲の温度に基づいて実際の磁気センサ5a、5bの出力電圧Vaj,Vbjを補正するのではなく、例えば回転角演算部6に理想の磁気センサ5a、5bの出力電圧Vam,Vbmの最大値Vammax,Vbmmax及び最小値Vammin,Vbmminを予め記憶させておき、実際の磁気センサ5a、5bの出力電圧Vaj,Vbjの最大値Vajmax,Vbjmax及び最小値Vajmin,Vbjminと、記憶している出力電圧Vam,Vbmの最大値Vammax,Vbmmax及び最小値Vammin,Vbmminとのそれぞれの偏差Hmax,Hminを演算する。そして、演算した偏差Hmax,Hminに基づいて、実際の磁気センサ5a,5bの出力電圧Vaj,Vbjの最大値Vajmax,Vbjmax及び最小値Vajmin,Vbjminを補正する。これにより、実際の磁気センサ5a、5bの出力電圧Vaj,Vbjを理想の電圧信号Vam,Vbmに一致させることができる。
【0116】
[第9実施形態]
図24は、(a)は、図12(b)の磁石3を適用した場合の回転角センサの軸方向平面図、(b)は、本実施形態の磁石3を適用した場合の回転角センサの軸方向平面図である。図25は、周方向の角度θにおける図24(b)の磁石3から発生する磁束量φの周期波形を示したグラフである。
【0117】
図12(b)の磁石3は、内周が円形状であって、外周が楕円形状であるため、磁石3の外周側に設けられるヨーク4の内周が円形状である回転角センサに適用した場合、図24(a)に示すように、N極3a及びS極3bの周方向中央部からヨーク4の内周までの径方向の距離Gは、N極3a及びS極3bの周方向境界部からヨーク4の内周までの径方向の距離よりも長くなってしまう。これにより、N極3a及びS極3bの周方向中央付近から発生する磁束がヨーク4に流れずに外部への漏洩する磁束が増加してしまう。そのため、ヨーク4内に流れる磁束密度が小さくなり、磁気センサ5の検出値も小さくなってしまう。
【0118】
そこで、本実施形態では、外周が楕円形状である磁石3のN極3a及びS極3bの周方向中央部からヨーク4の内周までの径方向の距離Gを短くすることで、N極3a及びS極3bの周方向中央部から発生する磁束の漏洩を抑制させる。
【0119】
具体的な手段としては、図24(b)に示すように、外周が楕円形状である磁石3のN極3a及びS極3bの周方向境界付近の径方向の厚さを例えば研削等によって薄くすることで、磁石3の外周を略円形状となるようにする。これにより、N極3a及びS極3bの周方向中央部からヨーク4の内周までの径方向の距離Gを短くすることでき、N極3a及びS極3bの周方向中央部から発生する磁束の漏洩を抑制できる。
【0120】
なお、N極3a及びS極3bの周方向境界付近の径方向の厚さを薄くするが、本発明部分のほぼ一定の磁束量が発生する磁石3のN極3a及びS極3bの周方向中央付近の厚さは、薄くしない。これにより、図25に示すように、範囲X(N極3aの周方向中央付近)と範囲Y(S極3bの周方向中央付近)との磁束量をほぼ一定に設定することができる。
【0121】
なお、N極3a及びS極3bの周方向境界付近の径方向の厚さを薄くすることで、範囲X及び範囲Y以外の磁石3から発生する磁束は変化するが、回転角演算部6で回転軸2の回転角の360度を演算するために、必要でなく問題ない。
【0122】
[第10実施形態]
図26は、本実施形態の回転角センサの軸方向平面図である。
【0123】
第1から第9実施形態でのヨーク4は、金属製からなる軟磁性体で構成されているが、本実施形態でのヨーク4は、第1から第9実施形態のヨーク4よりも径方向の厚さが薄い軟磁性体の板材で構成されている。そして、4本の板材をそれぞれプレス加工(例えば、打ち抜き加工、曲げ加工)によって図26に示すように成形する。これにより、体積S分のヨーク4の軽量化が図れる。
【0124】
なお、本実施形態でのヨーク4を板材によって構成されているが、金属製のヨーク4を例えば研削等によって、径方向の厚さが薄くなるようにしてもよい。この場合、研削した体積分のヨーク4の軽量化が図れる。
【0125】
[第11実施形態]
図27は、本実施形態の回転角センサの側面の断面図である。
【0126】
図27(a)に示すように、磁石3は、淵31を有する円板状であって、磁石3の軸方向の厚さBは、ヨーク4の軸方向の厚さCよりも厚く構成されている。さらに、磁石3の軸方向両端がヨーク4の軸方向両端よりも軸方向に突出している。また、磁石3は、回転軸2の外周に一体成形されている。
【0127】
この構成により、磁石3の淵31付近から発生する磁束量は、最も大きく、磁石3の軸方向両端がヨーク4の軸方向両端よりも軸方向に突出しているため、外部からの例えば摩耗鉄粉などが磁石3の淵31に優先的に付着する。これにより、ヨーク4の内周面と対向する磁石3の対向面に外部からの摩耗鉄粉が付着しく難いため、磁石3の対向面からヨーク4の内周面に流れる磁束が変化することを抑制できる。
【0128】
また、磁石3は、回転軸2の外周に一体成形されているため、磁石3と回転軸2との同軸度を向上させることができる。
【0129】
なお、磁石3は、回転軸2の外周に一体成形されているが、図27(b)に示すように、樹脂部材9を介して回転軸2の外周に一体成形させていてもよい。
【0130】
なお、磁石3の種類は、特に限定することなく、例えばフェライト磁石やプラスティック製のボンド磁石などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の回転角センサの側面図、(b)は、(a)のI−I矢視断面図及びこの回転角センサを具備した回転角検出装置である。(第1実施形態)
【図2】本発明の磁石を示した斜視図である。(第1実施形態)
【図3】(a)は、本発明の磁石から発生する磁束量φの方向を示した図、(b)は、(a)の周方向の角度θにおける磁石から発生する磁束量φの周期波形を示したグラフである。(第1実施形態)
【図4】(a)は、磁石が周方向に回転した状態を示した図、(b)は、磁気センサが変換した電気信号の周期波形を示したグラフである。(第1実施形態)
【図5】本発明の回転角演算部での演算手順を示したフローチャートである。(第1実施形態)
【図6】本発明の回転角演算部で演算された電気信号の周期波形を示したグラフである。(第1実施形態)
【図7】(a)は、本発明の回転角センサの側面図、(b)は、(a)のVII−VII矢視断面図及びこの回転角センサを具備した回転角検出装置である。(第2実施形態)
【図8】(a)は、回転角検出装置の軸方向断面図、(b)は、(a)のVIII−VIII矢視断面図である。(第2実施形態)
【図9】外部磁束の流れを示した図である。(第2実施形態)
【図10】本発明の磁気センサと回転角演算部との接続方法を示した図である。(第3実施形態)
【図11】本発明の回転角検出装置を電動パワーステアリング装置に適用した図である。(第4実施形態)
【図12】本発明の磁石の軸方向平面図である。(第5実施形態)
【図13】(a)は、本発明の磁石の軸方向断面図、(b)は、(a)のA−A矢視断面図である。(第5実施形態)
【図14】本発明の磁石の軸方向断面図である。(第5実施形態)
【図15】(a)は、本発明の回転角センサの軸方向平面図、(b)は、本発明の回転角センサの側面図である。(第6実施形態)
【図16】(a)は、他の実施例を示した回転角センサの側面図、(b)は、(a)のX−X矢視断面図及びこの回転角センサを具備した回転角検出装置である。
【図17】磁気センサの出力電圧の理想の周期波形を示したグラフである。(第7実施形態)
【図18】理想の回転角演算部の出力電圧を示したグラフである。(第7実施形態)
【図19】磁気センサの出力電圧の実際の周期波形の一例を示したグラフである。(第7実施形態)
【図20】実際の回転角演算部の出力電圧の一例を示したグラフである。(第7実施形態)
【図21】図20の実際の回転角演算部の出力電圧のつなぎ合わせ部を補正した後のグラフである。(第7実施形態)
【図22】実際の回転角演算部の出力電圧を補正するための処理手順を示したフローチャートである。(第7実施形態)
【図23】実際の磁気センサの出力電圧の周期波形と理想の磁気センサの出力電圧の周期波形とを示したグラフである。(第8実施形態)
【図24】(a)は、図12(b)の磁石を適用した場合の回転角センサの軸方向平面図、(b)は、本実施形態の磁石を適用した場合の回転角センサの軸方向平面図である。(第9実施形態)
【図25】周方向の角度θにおける図24(b)の磁石から発生する磁束量φの周期波形を示したグラフである。(第9実施形態)
【図26】本実施形態の回転角センサの軸方向平面図である。(第10実施形態)
【図27】本実施形態の回転角センサの側面の断面図である。(第11実施形態)
【符号の説明】
1…回転角検出装置、
2…回転軸、
3…磁石
4…ヨーク、
5…磁気センサ、
6…回転角演算部、
7…磁気シールド

Claims (20)

  1. 回転する回転軸と、
    前記回転軸に連結され、且つ周方向に着磁されており、周囲に磁界を形成するリング状の硬磁性体と、
    前記硬磁性体により形成される磁界内に配置されて磁気回路を形成し、この磁気回路が前記回転軸の回転によって前記硬磁性体との相対位置が変化すると、磁束密度が変化するように構成された軟磁性体と、
    前記軟磁性体と非接触に設置され、前記軟磁性体の磁気回路に発生する磁束密度を検出する磁束密度検出器とを備え、
    前記硬磁性体の周方向の所定領域のいずれの部分から発生する磁束量をほぼ一定に設定することを特徴とする回転角センサ。
  2. 前記硬磁性体は、磁気極性の異なる第1の磁極と第2の磁極とが連結され、
    前記第1及び第2の磁極の周方向の略中央付近のいずれの部分から発生する前記磁束量をほぼ一定に設定することを特徴とする請求項1記載の回転角センサ。
  3. 前記第1及び第2の磁極の周方向の中央部の軸方向の厚さは、前記第1及び第2の磁極の周方向の境界付近の軸方向の厚さよりも薄いことを特徴とする請求項2記載の回転角センサ。
  4. 前記第1及び第2の磁極の周方向の中央部の径方向の厚さは、前記第1及び第2の磁極の周方向の境界付近の径方向の厚さよりも薄いことを特徴とする請求項2記載の回転角センサ。
  5. 前記硬磁性体は、ほぼ一定の前記磁束量に変換するための補助軟磁性体を有し、
    前記第1及び第2の磁極の外周で、且つ周方向の略中央付近に前記補助軟磁性体が設けられることを特徴とする請求項2記載の回転角センサ。
  6. 前記硬磁性体の軸方向の厚さは、前記軟磁性体の軸方向の厚さよりも薄く、
    前記硬磁性体と前記軟磁性体との軸方向の厚さ方向の中心が全周に渡って軸方向に一致して設けられることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の回転角センサ。
  7. 前記軟磁性体の外周側は、磁気シールドによって覆われていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の回転角センサ。
  8. 前記軟磁性体は、前記硬磁性体の外周側に設けられ、且つ周方向の略90度毎に放射状の第1から第4のギャップが形成され、
    前記磁気ヨークの外周から前記磁気シールドまでの径方向の距離は、前記第1から第4のギャップの周方向の長さよりも大きいことを特徴とする請求項7記載の回転角センサ。
  9. 請求項1から8のいずれか1つに記載の回転角センサを具備した回転角検出装置において、
    前記硬磁性体は、前記第1及び第2の磁極が周方向略180度間隔に連結され、
    前記軟磁性体は、前記硬磁性体の外周側に設けられ、且つ周方向の略90度毎に放射状のギャップが形成され、
    前記磁束密度検出器は、周方向に連続した2つのギャップ内にそれぞれ1つずつ配置され、且つこの前記ギャップ内に発生する磁束密度を検出すると共に、電気信号に変換し、
    前記磁束密度検出器で変換された前記電気信号に基づいて前記回転軸の回転角を演算するための回転角演算部を有していることを特徴とする回転角検出装置。
  10. 前記回転角演算部は、2つの前記磁束密度検出器で変換された前記電気信号をそれぞれつなぎ合わせて前記回転軸の回転角を演算することを特徴とする請求項9記載の回転角検出装置。
  11. 前記回転角演算部は、加減乗除の少なくとも1つによって前記回転軸の回転角を演算することを特徴とする請求項9又は10記載の回転角検出装置。
  12. 前記回転軸は、車両のステアリングと連結されるステアリング軸であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1つに記載の回転角センサ及び回転角検出装置。
  13. 回転する回転軸と、
    前記回転軸に連結されると共に、磁気極性の異なる第1の磁極と第2の磁極とが周方向略180度間隔に連結されたリング状の硬磁性体と、
    前記硬磁性体の外周側に設けられると共に、周方向の略90度毎に放射状のギャップが形成され、前記回転軸の回転によって前記硬磁性体との相対位置が変化すると、前記ギャップ内に発生する磁束密度が変化するように構成された軟磁性体と、
    周方向に連続した2つのギャップ内にそれぞれ1つずつ配置され、前記2つのギャップ内に発生する磁束密度を検出して電気信号に変換する磁束密度検出器と、
    前記磁束密度検出器で変換した2つの前記電気信号に基づいて、前記回転軸の回転角を演算するための回転角演算部とを備えた回転角検出装置において、
    前記硬磁性体の周方向の所定領域のいずれの部分から発生する磁束量がほぼ一定に設定され、
    前記磁束密度検出器で変換した2つの前記電気信号は、直線部を有する略90度位相のずれた略三角波であって、
    前記回転角演算部での前記回転角の演算は、前記2つの電気信号の直線部をつなぎ合わせた線が略直線となるように実際の前記直線部の前記電気信号を補正して行われることを特徴とする回転角検出装置。
  14. 前記磁束密度検出器で変換した2つの電気信号は、前記回転軸の回転角に対する電圧値であって、
    実際の前記直線部の前記電圧信号の補正は、前記2つの電気信号の直線部を所定の幅で区切って抽出し、
    抽出したそれぞれの前記直線部の傾きの符号を一致させると共に、それぞれの前記直線部がつなぎ合わされるつなぎ合わせ部の電圧値が一致するように平行移動させて1本の線を生成し、
    生成した前記1本の線の最大電圧値と最小電圧値とを直線的に結び、
    前記最大電圧値と前記最小電圧値とを結んだ直線の中間電圧値を理想の中間電圧値に補正するための電圧補正値を決定し、
    前記最大電圧値と前記最小電圧値とを結んだ直線の傾きを理想の傾きに補正するための傾き補正値を決定することを特徴とする請求項13記載の回転角検出装置。
  15. 周囲の温度を検出する温度検出手段を有し、
    前記磁束密度検出器は、前記温度検出手段で検出した温度に基づいて、2つの前記磁束密度検出器で変換された前記電気信号を補正することを特徴とする請求項13又は14記載の回転角検出装置。
  16. 前記磁束密度検出器には、前記温度に応じて前記電気信号を補正するための電圧信号補正値が予めマップに記憶されており、
    前記電圧信号の補正は、前記マップに記憶されている前記電圧信号補正値によって行われることを特徴とする請求項15記載の回転角検出装置。
  17. 前記回転角演算部には、理想の前記電気信号の最大電圧信号値及び最小電圧信号値が予め記憶されており、
    実際の前記電気信号の最大電圧信号値と理想の前記最大電圧信号値との第1の偏差及び実際の前記電気信号の最小電圧信号値と理想の前記最小電圧信号値と第2の偏差をそれぞれ演算し、
    演算された前記第1及び第2の偏差に基づいて、実際の前記最大電圧信号値及び前記最小電圧信号値を補正することを特徴とする請求項13又は14記載の回転角検出装置。
  18. 前記第1及び第2の磁極の径方向の厚さは、周方向中央部に向かって漸減していることを特徴とする請求項2記載の回転角センサ。
  19. 前記硬磁性体及び前記軟磁性体の内周が円形状であって、前記第1及び第2の磁極の周方向の中央部の径方向の厚さよりも厚い境界付近の径方向の厚さを薄くすることで、前記硬磁性体の外周を略円形状にすることを特徴とする請求項18記載の回転角センサ。
  20. 前記硬磁性体の軸方向の厚さは、前記軟磁性体の軸方向の厚さよりも厚く、
    前記硬磁性体の軸方向両端が前記軟磁性体の軸方向両端よりも軸方向に突出して設けられることを特徴とする請求項1から5、請求項18及び請求項19のいずれか1つに記載の回転角センサ。
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