JP2004271347A - 生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法およびアッセイ装置 - Google Patents

生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法およびアッセイ装置 Download PDF

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芳和 天野
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Abstract

【課題】ハイブリダイゼーション反応の反応特異性を向上させる。
【解決手段】多孔性の吸着性領域を有する生化学解析用ユニットの吸着性領域に、特異的結合至適温度が同一のDNAを結合させる。固定されたDNAの特異的結合至適温度が互いに異なる2枚の生化学解析用ユニットを準備し、特異的結合至適温度のより高い生化学解析用ユニットU1を第1反応容器10に、特異的結合至適温度のより低い生化学解析用ユニットU2を第2反応容器20にセットする。続いて、DNAが添加された反応液を吸着性領域を横切るように強制的に流動させる。この際、反応液を生化学解析用ユニットU1については温度制御ユニット40によって生化学解析用ユニットU1の特異的結合至適温度に、生化学解析用ユニットU2については温度制御ユニット41によって生化学解析用ユニットU2の特異的結合至適温度にそれぞれ制御する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レセプタまたはリガンドを検出するアッセイ法に関し、詳しくは多孔性の吸着性領域を有する生化学解析用ユニットを利用して、レセプタまたはリガンドを検出するアッセイ法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マイクロアレイ解析システムやマクロアレイ解析システムにおいては、メンブレンフィルタなどの生化学解析用ユニットの表面の異なる位置に、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNAなど、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成、特性などが既知のリガンドまたはレセプタを含む溶液を滴下して多数の吸着性領域を形成し、放射線標識物質、蛍光物質、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質などによって標識されたレセプタまたはリガンド(ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、DNA、mRNAなどの抽出、単離などによって生体から採取された、あるいは、採取された後に化学的処理が施された物質)を、吸着性領域に含まれているリガンドまたはレセプタにハイブリダイズ等させてリガンドまたはレセプタと特異的に結合させ、多数の吸着性領域に選択的に含まれている放射性標識物質によって蓄積性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層を露光し、露光された輝尽性蛍光体層を励起光によって走査して、輝尽性蛍光体層に含まれている輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体から放出された輝尽光を光電的に検出して生化学解析用データを生成し、あるいは、多数の吸着性領域を励起光によって走査して多数の吸着性領域に選択的に含まれている蛍光物質を励起し、蛍光物質から放出された蛍光を光電的に検出して生化学解析用データを生成し、あるいは、多数の吸着性領域に選択的に含まれている標識物質を化学発光基質と接触させ、標識物質から放出される化学発光を光電的に検出して生化学解析用データを生成するシステムが開発されている(特開2002−355036号公報)。
【0003】
このシステムによれば、生化学解析用ユニット上に数多くのリガンドまたはレセプタを結合した吸着性領域を高密度に形成して、標識物質によって標識されたレセプタまたはリガンドをハイブリダイズ等させることによって、短時間でレセプタまたはリガンドを解析することが可能になるという利点がある。
【0004】
従来、生化学解析用ユニットを利用した解析システムにおいては、上記ハイブリダイゼーションはハイブリダイゼーションバッグに生化学解析用ユニットを入れ、ここに標識されたレセプタまたはリガンドを含む反応液を加え、ハイブリダイゼーションバッグに振動を加えて標識されたレセプタまたはリガンドを対流あるいは拡散によって移動させて、リガンドまたはレセプタに標識されたレセプタまたはリガンドを特異的に結合させる、いわゆる振盪方式によって行うのが一般的であった。
【0005】
しかし、上述の振盪方式の場合、反応液をリガンドまたはレセプタを含む多数の吸着性領域に均一に接触させることは困難であり、リガンドまたはレセプタと標識されたレセプタまたはリガンドとを効率的にハイブリダイズさせることができないという問題があった。このような問題を解決するために、本出願人は吸着性領域に標識されたレセプタまたはリガンドを含む反応液を強制的に流動させ、標識されたレセプタまたはリガンドを生化学解析用ユニットの吸着性領域の内部にまで充分に浸透させる方法を提案している(特願2002−26816号)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−355036号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のハイブリダイゼーションはハイブリダイゼーションに適した所定温度で実施されているが、各々の吸着性領域に結合されているリガンドまたはレセプタの種類、配列等はさまざまであって、ハイブリダイゼーション反応の行われる所定温度が、吸着性領域に結合されている全てのリガンドまたはレセプタのハイブリダイゼーション反応において至適温度となっていない場合がある。このため、吸着性領域からのシグナルが充分でなかったり、本来、吸着性領域に結合されているリガンドまたはレセプタとは特異的に結合しないレセプタまたはリガンドがハイブリダイゼーション反応を起こす、いわゆるクロスハイブリを起こすことがある。充分でないシグナルは生化学解析の定量性を低下させたり、クロスハイブリは生化学解析用データを生成する際にノイズを生じさせるといった問題を引き起こすことになる。
【0008】
このような問題を解決するためには、吸着性領域に結合されているリガンドまたはレセプタごとにハイブリダイゼーション反応の至適温度を調整するという方法が考えられるが、吸着性領域は高密度に形成されるものであるため、実現は困難である。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、生化学解析用ユニットに固定されているリガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度でハイブリダイゼーション反応を行うことが可能な生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法およびその方法を実施することが可能なアッセイ装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法は、リガンドまたはレセプタが結合された多孔性の吸着性領域を有する複数の生化学解析用ユニットの前記リガンドまたはレセプタに、レセプタまたはリガンドが添加された同一の反応液を前記吸着性領域を横切るように強制的に流動させて前記レセプタまたはリガンドを特異的に結合させ、該レセプタまたはリガンドを標識物質を利用して検出するアッセイ法において、前記生化学解析用ユニットの1枚ごとに固定されている前記リガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度が同一であり、前記複数の生化学解析用ユニットは固定されている前記リガンドまたはレセプタの前記特異的結合至適温度が互いに異なるものであって、前記複数の生化学解析用ユニットごとに、該生化学解析用ユニットに固定されている前記リガンドまたはレセプタの前記特異的結合至適温度に制御された前記反応液を強制的に流動させることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法の別の態様としては、リガンドまたはレセプタが結合された多孔性の吸着性領域を有する複数の生化学解析用ユニットの前記リガンドまたはレセプタに、標識物質によって標識された標識レセプタまたは標識リガンドが添加された同一の反応液を前記吸着性領域を横切るように強制的に流動させて前記リガンドまたはレセプタに前記標識レセプタまたは標識リガンドを特異的に結合させ、該標識レセプタまたは標識リガンドを検出するアッセイ法において、前記生化学解析用ユニットの1枚ごとに固定されている前記リガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度が同一であり、前記複数の生化学解析用ユニットは固定されている前記リガンドまたはレセプタの前記特異的結合至適温度が互いに異なるものであって、前記複数の生化学解析用ユニットごとに、該生化学解析用ユニットに固定されている前記リガンドまたはレセプタの前記特異的結合至適温度に制御された前記反応液を強制的に流動させることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法の別の態様としては、リガンドまたはレセプタが結合された多孔性の吸着性領域を有する複数の生化学解析用ユニットの前記リガンドまたはレセプタに、レセプタまたはリガンドが添加された同一の反応液を前記吸着性領域を横切るように強制的に流動させて前記リガンドまたはレセプタに前記レセプタまたはリガンドを特異的に結合させ、レセプタまたはリガンドに標識物質によって標識された標識体を特異的に結合させ、前記レセプタまたはリガンドを検出するアッセイ法において、前記生化学解析用ユニットの1枚ごとに固定されている前記リガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度が同一であり、前記複数の生化学解析用ユニットは固定されている前記リガンドまたはレセプタの前記特異的結合至適温度が互いに異なるものであって、前記複数の生化学解析用ユニットごとに、該生化学解析用ユニットに固定されている前記リガンドまたはレセプタの前記特異的結合至適温度に制御された前記反応液を強制的に流動させることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法のさらに別の態様としては、リガンドまたはレセプタが結合された多孔性の吸着性領域を有する複数の生化学解析用ユニットの前記リガンドまたはレセプタに、補助物質が結合された補助物質結合レセプタまたは補助物質結合リガンドが添加された同一の反応液を前記吸着性領域を横切るように強制的に流動させて前記リガンドまたはレセプタに補助物質結合レセプタまたは補助物質結合リガンドを特異的に結合させ、前記補助物質に特異的に結合可能な結合可能標識物質を前記補助物質結合レセプタまたは補助物質結合リガンドと特異的に結合させ、該補助物質結合レセプタまたは補助物質結合リガンドを検出するアッセイ法において、前記生化学解析用ユニットの1枚ごとに固定されている前記リガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度が同一であり、前記複数の生化学解析用ユニットは固定されている前記リガンドまたはレセプタの前記特異的結合至適温度が互いに異なるものであって、前記複数の生化学解析用ユニットごとに、該生化学解析用ユニットに固定されている前記リガンドまたはレセプタの前記特異的結合至適温度に制御された前記反応液を強制的に流動させることを特徴とするものである。
【0014】
同一の反応液を前記吸着性領域を横切るように強制的に流動させとは、ある反応液を複数の生化学解析用ユニットのいずれにも強制的に流動させることを意味し、成分が同一の反応液であっても、複数の各生化学解析用ユニットごとに別個に反応液を流す場合は除く意味である。
【0015】
前記生化学解析用ユニットの1枚ごとに固定されている前記リガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度が同一であるとは、前記生化学解析用ユニットの1枚ごとに固定されている前記リガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度が実質的に同一であればよく、実質的に同一とは、1つのアッセイ法に使用する複数の生化学解析用ユニットの1枚1枚に固定されている前記リガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度のばらつきが、生化学解析用ユニット間の特異的結合至適温度差の2分の1よりも小さいことを意味する。
【0016】
前記吸着性領域に結合されたリガンドまたはレセプタの一例としてはcDNAまたはオリゴヌクレオチドがあげられ、前記リガンドまたはレセプタと特異的に結合する前記レセプタまたはリガンド、前記標識レセプタまたは標識リガンドまたは前記補助物質結合レセプタまたは補助物質結合リガンドの一例としては、細胞等から抽出されたmRNAまたは該mRNAの標識物があげられる。
【0017】
前記複数の生化学解析用ユニットは、前記反応液の流動方向に対して直列に並べてもよく、この場合、特異的結合至適温度がより高いリガンドまたはレセプタが固定されている生化学解析用ユニットを反応液の流動方向の上流側に配置することが好ましい。
【0018】
本発明の生化学解析用ユニットを利用したアッセイ装置は、リガンドまたはレセプタが結合された多孔性の吸着性領域を有する生化学解析用ユニットを着脱可能に取り付ける複数の取付部と、該複数の取付部に取り付けられた生化学解析用ユニットの吸着性領域を横切るように反応液を強制的に流動させる流動手段とからなるアッセイ装置において、前記吸着性領域を流動する前記反応液の温度を、前記各取付部に取り付けられた前記生化学解析用ユニットごとに、該生化学解析用ユニットに固定された前記リガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度に制御する温度制御手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0019】
前記複数の取付部は前記反応液の流動方向に対して直列に設けられていることが好ましい。
【0020】
【発明の効果】
本発明の生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法は、生化学解析用ユニットの1枚ごとに固定されているリガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度が同一であり、複数の生化学解析用ユニットは固定されているリガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度が互いに異なるものであって、複数の生化学解析用ユニットごとに、その生化学解析用ユニットに固定されているリガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度に制御された反応液を強制的に流動させるので、吸着性領域に結合されているリガンドまたはレセプタと反応液中のレセプタまたはリガンドとのハイブリダイゼーション反応の反応効率を高くすることが可能となるので、吸着性領域からのシグナルを充分なものとすることが可能となる。
【0021】
また、強制的に流動する反応液は、それぞれの生化学解析用ユニットごとに固定されているリガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度に制御されているので、吸着性領域に結合されているリガンドまたはレセプタと特異的に結合したレセプタまたはリガンドが、吸着性領域に結合されているリガンドまたはレセプタから剥離することを防止することができる。
【0022】
さらに、それぞれの生化学解析用ユニットごとに固定されているリガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度に制御された反応液により吸着性領域に結合されているリガンドまたはレセプタとレセプタまたはリガンドを反応させるので、本来、吸着性領域に結合されているリガンドまたはレセプタと特異的に結合しないレセプタまたはリガンドがハイブリダイゼーション反応を起こすクロスハイブリを抑制することが可能となり、生化学解析用データを生成する際のノイズの発生をより少なくすることができる。
【0023】
なお、複数の生化学解析用ユニットを反応液の流動方向に対して直列に並べ、至適温度がより高い生化学解析用ユニットを反応液の流動方向の上流側に配置すれば、クロスハイブリの発生をさらに抑制することができ、従って生化学解析用データを生成する際のノイズの発生をより少なくすることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明のアッセイ法に用いられる生化学解析用ユニットの概略斜視図である。図1に示す生化学解析用ユニット1は、孔3が複数設けられた基板2と、孔3の内部に充填され、多孔性材料が基板2と接着された吸着性領域4とからなる。この吸着性領域4には、構造または特性が既知であって、ハイブリダイゼーション反応の特異的結合至適温度が同一のリガンドまたはレセプタ5が滴下され、その後の処理により固定化されている。
【0025】
基板2の材質としては、生化学解析用ユニット内部での光の散乱を防止するために、光を透過させないか、減衰させる材質が好ましく、金属、セラミックが好ましい。また、孔を開ける加工が容易であるプラスチックを基板として用いる場合は、光をより一層減衰させるために、粒子をプラスチック内部に分散させることが好ましい。
【0026】
金属としては、銅、銀、金、亜鉛、鉛、アルミニウム、チタン、錫、クロム、鉄、ニッケル、コバルト、タンタルあるいは、ステンレス鋼や黄銅などの合金が好ましくあげられる。セラミックとしては、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、石英などが好ましくあげられる。プラスチックとしては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレートやポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン−6やナイロン−6,6などの脂肪族ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリジフェニルシロキサンなどのケイ素樹脂、ノボラックなどのフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、酢酸セルロースやニトロセルロースなどのセルロース類、ブタジエン−スチレン共重合体などのコポリマー、さらにはプラスチックをブレンドしたものなどが好ましくあげられる。
【0027】
基板2に開ける孔3の開口部の面積(サイズ)は、孔3の密度を高めるために、一般には5mm未満であり、好ましくは1mm未満であり、0.3mm未満がより好ましく、さらには0.01mm未満であることが好ましい。そして、より好ましくは0.001mm以上であることが好ましい。
【0028】
孔3のピッチ(隣接する二つの孔の中心から中心までの距離)は0.05〜3mmの範囲であることが好ましく、孔3の間隔(隣接する二つの孔の端部から端部までの最短距離)は、0.0l〜1.5mmの範囲であることが好ましい。孔3の数(密度)は、一般には10個/cm以上であり、好ましくは100個/cm以上、より好ましくは500個/cm以上、さらには1000個/cm以上であることが好ましい。そして、好ましくは100000個/cm以下、さらには10000個/cm以下であることが好ましい。なお、必ずしも、孔3は全て図1に示したように等間隔で設けられている必要はなく、幾つかのブロック(単位)に別れてブロック毎に複数の孔が設けられていてもよい。
【0029】
吸着性領域を形成する多孔性材料としては、多孔質材料あるいは繊維材料が好ましく使用される。また、多孔質材料と繊維材料とを併用して吸着性領域を形成することもできる。吸着性領域を形成するために使用される多孔性材料は、有機材料、無機材料のいずれでもよく、有機/無機複合体でもよい。
【0030】
吸着性領域を形成するために使用される有機多孔質材料は、特に限定されるものではないが、活性炭などの炭素多孔質材料あるいはメンブレンフィルタを形成可能な多孔質材料が好ましく用いられる。メンブレンフィルタを形成可能な多孔質材料としては、溶媒に溶解可能なポリマーが好ましく用いられる。溶媒に溶解可能なポリマーとしては、セルロース誘導体(例えば、ニトロセルロース、再生セルロース、セルロースアセテート、酢酸セルロース、酪酸酢酸セルロースなど)、脂肪族ポリアミド類(例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10など)、ポリオレフィン類(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、含塩素ポリマー類(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなど)、フッ素樹脂類(例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオライドなど)、ポリカーボネート、ポリスルフォン、アルギン酸及びその誘導体(例えば、アルギン酸、アルギン酸カルシウム、アルギン酸/ポリリシンポリイオンコンプレックスなど)、コラーゲンなどがあげられ、これらポリマーの共重合体や複合体(混合体)も用いることができる。
【0031】
また、吸着性領域を形成するための繊維材料としては、特に限定されるものではないが、好ましくは前述したセルロース誘導体類、脂肪族ポリアミド類などがあげられる。
【0032】
吸着性領域を形成するために使用される無機多孔質材料は、特に限定されるものではないが、好ましくは、金属(例えば、白金、金、鉄、銀、ニッケル、アルミニウムなど)、金属等の酸化物(例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ゼオライトなど)、金属塩(例えば、ヒドロキシアパタイト、硫酸カルシウムなど)及びこれらの複合体などがあげられる。
【0033】
基板2に複数の孔3を開ける方法としては、ピンで打ち抜くパンチング、電極に高電圧をパルス状に印加して基板を揮発する放電加工、エッチング、レーザー照射などがあげられる。基板の材料が、金属材料またはプラスチック材料の場合は、基板の表面にコロナ放電またはプラズマ放電を施して接着剤を塗工した後、吸着性領域を形成するための多孔性材料をプレスなどの手段により貼り合わせることで生化学解析用ユニットが作製される。貼り合わせる際に、吸着性領域を形成するための多孔性材料を加熱して軟化すると、孔内部に吸着性領域が容易に形成される。また、基板に吸着性領域を形成するための多孔性材料をプレスする場合には、基板と吸着性領域を形成するための材料を、事前に1枚毎に分割してから間欠的にプレスしてもよいし、基板と吸着性領域を形成するための材料をそれぞれ長尺帯状としたものを2つのロール間に連続搬送してもよい。
【0034】
なお、本発明の生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法においては、上記の材料や方法によって作製した生化学解析用ユニットを使用することも可能であるが、市販されている生化学解析用ユニットを用いてもよく、また、多孔性の吸着性領域にハイブリダイゼーション反応の特異的結合至適温度が同一のリガンドまたはレセプタが結合されている生化学解析用ユニットを用いることも可能である。
【0035】
生化学解析用ユニットの多孔性の吸着性領域に結合されるリガンドまたはレセプタは、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNAなどであって、特性、組成、構造あるいは塩基配列や塩基の長さなどが既知のものであって、1枚の生化学解析用ユニットの吸着性領域に結合されるリガンドまたはレセプタは、特異的結合至適温度が同一のものである。
【0036】
特異的結合至適温度とは吸着性領域に結合されたリガンドまたはレセプタが、反応液に添加されたレセプタまたはリガンドと特異的に結合するための至適温度であって、リガンドまたはレセプタの種類や構造等によって異なる。特異的結合至適温度が同一とは、実質的に同一であればよく、1つのアッセイに使用する複数の生化学解析用ユニット1枚1枚に固定されているリガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度のばらつきが、生化学解析用ユニット間の特異的結合至適温度差の2分の1よりも小さいことを意味する。例えば、2枚の生化学解析用ユニットを使用してアッセイを行う場合、一方の生化学解析用ユニットに固定されているそれぞれのリガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度の平均をT1、他方の生化学解析用ユニットに固定されているそれぞれのリガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度の平均をT2とした場合、1枚の生化学解析用ユニットに固定されているリガンドまたはレセプタのそれぞれの特異的結合至適温度のばらつきがT1−T2の絶対値の2分の1よりも小さい場合には実質的に同一である。
【0037】
図2は、本発明の生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法に用いられるリアクタ(アッセイ装置)の一の実施の形態を示す概略断面図である。このリアクタは第1反応容器10と第1反応容器10内に入る反応液の温度を制御する第1温度制御ユニット40と、第2反応容器20と第2反応容器20内に入る反応液の温度を制御する第2温度制御ユニット41と、流動手段30とからなる。第1反応容器10、第12応容器20、第1温度制御ユニット40、第2温度制御ユニット41は1本の流路(流動手段30)中に直列に配設されてなる。
【0038】
第1反応容器10は、反応容器上半部11と反応容器下半部12とからなり、反応容器上半部11は反応容器下半部12に取り外し可能に設けられている。また、第1反応容器10は、リガンドまたはレセプタが結合された多孔性の吸着性領域を有する生化学解析用ユニットU1を内部に着脱可能に取り付ける、上側挟持片13と下側挟時片14からなる取付部を有し、生化学解析用ユニットU1は反応容器上半部11を取り外すことによってセットすることができるように構成されている。さらに、反応容器上半部11の頂壁には反応液が流通可能な溶液流入口16が形成され、反応容器下半部14の底壁には同様に反応液が流通可能な溶液流出口17が形成されている。
【0039】
第2反応容器20の構成は、第1反応容器10の構成と同様であって、反応容器上半部21と反応容器下半部22とからなり、反応容器上半部21は反応容器下半部22に取り外し可能に設けられている。また、第2反応容器20は、リガンドまたはレセプタが結合された多孔性の吸着性領域を有する生化学解析用ユニットU2を内部に着脱可能に取り付ける、上側挟持片23と下側挟時片24からなる取付部を有し、生化学解析用ユニットU2は反応容器上半部21を取り外すことによってセットすることができるように構成されている。さらに、反応容器上半部21の頂壁には反応液が流通可能な溶液流入口26が形成され、反応容器下半部24の底壁には同様に反応液が流通可能な溶液流出口27が形成されている。
【0040】
流動手段30は溶液循環パイプ31とポンプ32から構成され、溶液循環パイプ31は、第1温度制御ユニット40と第1反応容器10の溶液流入口16、第1反応容器10の溶液流出口17と第2温度制御ユニット41、第2温度制御手段41と第2反応容器20の溶液流入口26、第2反応容器の溶液流出口27とポンプ32、ポンプ32と第1温度制御ユニット40を1本の流路で接続してなる。
【0041】
反応液はポンプ32により溶液循環パイプ31内を循環し、第1温度制御ユニット40によって第1反応容器10に取り付けられた生化学解析用ユニットU1に固定されているリガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度に調整される。特異的結合至適温度に調整された反応液は第1反応容器10の溶液流入口16から第1反応容器10内に入り、生化学解析用ユニットU1の吸着性領域を横切るように強制的に流動した後、溶液流出口17から流出する。溶液流出口17から流出した反応液は第2温度制御ユニット41によって第2反応容器20に取り付けられた生化学解析用ユニットU2に固定されているリガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度に調整される。特異的結合至適温度に調整された反応液は溶液流入口26から第2反応容器20内に入り、生化学解析用ユニットU2の吸着性領域を横切るように強制的に流動した後、溶液流出口27から流出し、溶液循環パイプ31を通ってポンプ32に戻り、再び同様の経路を循環するように構成されている。
【0042】
2つの温度制御ユニットで制御する温度は反応液の流動方向の上流側の方が下流側よりも高く設定されていること、すなわち図2のリアクタでは第1温度制御ユニット40の方が第2温度制御ユニット41よりも高く設定されることが好ましい。ハイブリダイゼーション反応は一般に温度が低い方で起こりやすいため、流動方向に対して上流側の温度制御ユニットによって反応液が低く設定されると、クロスハイブリが起こりやすくなるからである。従って、流動方向の上流側に取り付けられる生化学解析用ユニットU1に固定されるレセプタまたはリガンドの特異的結合至適温度は、下流側の生化学解析用ユニットU2に固定されるレセプタまたはリガンドの特異的結合至適温度よりも必然的に高いものとなる。
【0043】
温度制御ユニットとしては反応液の温度を制御することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ヒーターやペルチェ素子等を用いることができる。もちろん、例えばヒーターとペルチェ素子の双方といったように、いくつかの温度制御手段を組みあわせて温度制御ユニットを構成してもよい。
【0044】
なお、図2では、反応容器の外側に温度制御ユニットが設けられたリアクタを示したが、温度制御ユニットがそれぞれの反応容器の中に組み込まれたものであってもよい。また、反応容器の中に複数の生化学解析用ユニットを取り付ける複数の取付部を有し、それぞれの生化学解析用ユニットごとに温度制御ユニットが設けられたものであってもよい。
【0045】
また、図2は2枚の生化学解析用ユニットが反応液の流動方向(流路)に対して直列に配設されたものを示しているが、図3に示すように、溶液循環パイプ51を溶液循環パイプ52と溶液循環パイプ53とに分岐させ、分岐させたそれぞれの溶液循環パイプに、第1温度制御ユニット60と第1反応容器62、第2温度制御ユニット61と第2反応容器63を設け、2枚の生化学解析用ユニットU1とU2が反応液の流動方向に対して並列に配置されるように構成してもよい。
【0046】
なお、図2および図3では説明を簡単にするため、1度に反応させる生化学解析用ユニットが2枚の場合を例にとって説明したが、生化学解析用ユニットの枚数はこれに限定されるものではなく、必要に応じて増やすことは可能である。
【0047】
また、図2および図3はともに、反応液が生化学解析用ユニットを循環するタイプのリアクタを示しているが、反応液が生化学解析用ユニットの下から上(あるいは上から下)に通過するのみで、反応液が循環しないタイプのリアクタを用いることも可能である。
【0048】
本発明は、リガンドまたはレセプタが結合された多孔性の吸着性領域を有する複数の生化学解析用ユニットのリガンドまたはレセプタに、レセプタまたはリガンドが添加された同一の反応液を吸着性領域を横切るように強制的に流動させてレセプタまたはリガンドを特異的に結合させ、レセプタまたはリガンドを標識物質を利用して検出するアッセイ法に広く適用することができる。
【0049】
1つの態様として本発明は、リガンドまたはレセプタが結合された多孔性の吸着性領域を有する複数の生化学解析用ユニットのリガンドまたはレセプタに、標識物質によって標識された標識レセプタまたは標識リガンドが添加された同一の反応液を、吸着性領域を横切るように強制的に流動させてリガンドまたはレセプタに標識レセプタまたは標識リガンドを特異的に結合させ、標識レセプタまたは標識リガンドを検出するアッセイ法に適用することができる。
【0050】
標識レセプタまたは標識リガンドは、多孔性の吸着性領域に結合されるリガンドまたはレセプタと特異的に結合するホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、DNA、mRNAなどの抽出、単離などによって生体から採取された、あるいは、採取された後に化学的処理が施され、標識物質によって標識されたものである。
【0051】
標識物質としては、放射線標識物質、蛍光標識物質、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質などがあげられ、標識物質そのものが放射線、発光、発色あるいは光を照射することによって蛍光を放出するものであっても、標識物質に何らかの化学物質を接触させて、標識物質によって化学物質が分解あるいは反応する等して発光、発色あるいは蛍光を放出するものであってもよい。前者の標識物質としては、放射線同位元素、発光物質にアクリジニウムエステル等、発色物質に金コロイド粒子等、蛍光物質にフルオレセイン等を用いることができる。また、後者の標識物質としては、酵素を用いることができ、例えばアルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、ベータガラクトシダーゼなどの酵素を好ましく用いることができる。これらの酵素に、化学発光基質あるいは色素基質あるいは蛍光基質を接触させることによってそれぞれ、化学発光、発色、蛍光を放出する。
【0052】
化学発光基質としては、酵素がアルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼである場合には、特に限定するものではないが、それぞれジオキセタン、ルミノール、ルシフェリンを用いることができる。また、色素基質としては、酵素がアルカリホスファターゼの場合にはパラニトロフェノールリン酸、酵素がペルオキシダーゼの場合には4−アミノアンチピリンとトリンダー試薬の組合せ、ジアミノベンチジン、テトラメチルベンチジン、酵素がベータガラクトシダーゼの場合にはパラニトロフェニルβ−D−ガラクトシド等を用いることができる。蛍光基質としては、酵素がアルカリホスファターゼの場合4−メチルウンベリフェニルリン酸、酵素がペルオキシダーゼの場合には3(4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸、酵素がベータガラクトシダーゼの場合には、4−メチルウンベリフェニルβ−D−ガラクトシド等を用いることができる。
【0053】
別の態様として、本発明はリガンドまたはレセプタが結合された多孔性の吸着性領域を有する複数の生化学解析用ユニットのリガンドまたはレセプタに、レセプタまたはリガンドが添加された同一の反応液を吸着性領域を横切るように強制的に流動させてレセプタまたはリガンドを特異的に結合させ、レセプタまたはリガンドを標識物質によって標識された標識体と特異的に結合させ、レセプタまたはリガンドを検出するアッセイ法にも利用することができる。
【0054】
これは、検出するレセプタまたはリガンドを、吸着性領域のリガンドまたはレセプタと標識体によって挟み込む、いわゆるサンドイッチ法と呼ばれる手法に適用したものである。ここでいう、レセプタまたはリガンドは、多孔性の吸着性領域に結合されるリガンドまたはレセプタと特異的に結合するホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、DNA、mRNAなどの抽出、単離などによって生体から採取された、あるいは、採取された後に化学的処理が施された物質である。
【0055】
標識物質によって標識された標識体とは、前述の標識物質によって標識され、レセプタまたはリガンドの反応部位に特異的に結合することができる抗原、抗体の他、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNAなどであって、特性、組成、構造あるいは塩基配列や塩基の長さなどが既知のものを意味する。
【0056】
さらに別の態様として本発明は、リガンドまたはレセプタが結合された多孔性の吸着性領域を有する複数の生化学解析用ユニットのリガンドまたはレセプタに、補助物質が結合された補助物質結合レセプタまたは補助物質結合リガンドが添加された反応液を吸着性領域を横切るように強制的に流動させて補助物質結合レセプタまたは補助物質結合リガンドと特異的に結合させ、補助物質に特異的に結合可能な結合可能標識物質を補助物質結合レセプタまたは補助物質結合リガンドと特異的に結合させ、補助物質結合レセプタまたは補助物質結合リガンドを検出するアッセイ法にも利用することができる。
【0057】
補助物質は結合可能標識物質が結合する物質であって、ジゴキシゲニン、ビオチン、アビジン、フルオロセインなどの抗原、及びこれらの抗原に対する抗体などを好ましくあげることができる。また、ビオチンに対するアビジンのような生物学的結合パートナーであってもよい。結合可能標識物質は、補助物質に特異的に結合可能であって前述の標識物質によって標識された物質である。
【0058】
次に、本発明の生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法のうち、生化学解析用ユニットの吸着性領域にDNAを固定し、抗原(補助物質)で標識された抗原結合DNAをハイブリダイゼーション反応によって、吸着性領域に結合されたDNAと特異的に結合させ、続いて、抗原結合DNAを標識している抗原に対する抗体を、化学発光を生じさせる酵素で標識し(以下、酵素標識抗体という)、この酵素標識抗体を抗原結合DNAの抗原と特異的に結合させ、さらに酵素標識抗体の酵素と特異的に結合する化学発光基質を接触させて、化学発光基質と酵素との接触によって生ずる可視光波長領域の化学発光を光電的に検出する化学発光法によるアッセイ法を例に、順を追って説明する。
【0059】
まず、多孔性の吸着性領域を有する生化学解析用ユニットの吸着性領域にDNAを結合させる。この場合、1枚の生化学解析用ユニットの吸着性領域に結合するDNAは特異的結合至適温度が同じものが選択される。DNAの場合、DNAの鎖長が長いとハイブリダイゼーション反応の特異的結合至適温度は高くなり、鎖長が短いとハイブリダイゼーション反応の特異的結合至適温度は低くなる。また、DNAのGC含量が多くなると特異的結合至適温度は高く、GC含量が少なくなると特異的結合至適温度は低くなる。従って、1枚の生化学解析用ユニットの吸着性領域に結合されるDNAは、その鎖長やGC含量を合わせる等の調整によって選択される。
【0060】
生化学解析用ユニットに固定されているDNAの特異的結合至適温度は固定されているDNAの塩基配列、鎖長、ハイブリダイゼーション反応液の組成等にもよるが、35℃〜70℃の範囲であり、1枚の生化学解析用ユニットに固定されるDNAの特異的結合至適温度は66℃、68℃といったように生化学解析用ユニット間での特異的結合至適温度が近くなるため、1枚の生化学解析用ユニットに固定されるDNAの特異的結合至適温度のばらつきは1℃より小さくすることが好ましく、ハイブリダイゼーション反応の特異性の向上、クロスハイブリの抑制のためには0.5℃よりも小さいくなるように選択されることがより好ましい。
【0061】
多孔性の吸着性領域に結合されるDNAを選択したら、吸着性領域に滴下した後、紫外線の照射などによって吸着性領域に結合することができる。なお、上述したように、多孔性の吸着性領域にDNAがすでに結合されている生化学解析用ユニットを用いる場合には、この段階は省略されるが、本発明のアッセイ法に用いる生化学解析用ユニットは1枚の特異的結合至適温度が同一に作製されたものを用いることが好ましい。
【0062】
次に、生化学解析用ユニットを上記図2に示すリアクタに取り付ける。この際、吸着性領域に結合されているDNAのハイブリダイゼーション反応の特異的結合至適温度が高い方の生化学解析用ユニットをハイブリダイゼーション反応液の流動方向に対して上流側の第1反応容器10に、吸着性領域に結合されているDNAのハイブリダイゼーション反応の特異的結合至適温度が低い方の生化学解析用ユニットをハイブリダイゼーション反応液の流動方向に対して下流側の第2反応容器20に取り付ける。ハイブリダイゼーション反応は一般に温度が低い方で起こりやすいため、流動方向に対して上流側に至適温度の高い生化学解析用ユニットを、下流側に至適温度の低い生化学解析用ユニットを取り付けることによって、クロスハイブリを起こりにくくすることが可能となる。
【0063】
抗原結合DNAが添加さえたハイブリダイゼーション反応液を吸着性領域を横切るように強制的に流動させて、吸着性領域に結合されているDNAに特異的に結合させる。この際、流動方向に対して上流側の生化学解析用ユニットU1は第1温度制御ユニット40によって生化学解析用ユニットU1の至適温度にハイブリダイゼーション反応液が調整され、流動方向に対して下流側の生化学解析用ユニットU2は第2温度制御ユニット41によって生化学解析用ユニットU2の至適温度にハイブリダイゼーション反応液が調整される。これによって、生化学解析用ユニットの吸着性領域に結合されているDNAに抗原結合DNAがより特異的に結合することが可能になるとともに、クロスハイブリを抑制することができ、さらに、一旦特異的に結合した抗原結合DNAが剥離することを防止することが可能となる。
【0064】
反応容器に取り付けた生化学解析用ユニットは、多孔性の吸着性領域に結合されているDNAに特異的に結合しなかった抗原結合DNAを除去するために、吸着性領域にいわゆる洗浄液を強制的に流動させて洗浄することが好ましい。吸着性領域を洗浄液が強制的に流動するので、多孔性の吸着性領域に結合されているDNAに特異的に結合していない抗原結合DNAを、効率的に剥離させ、除去することが可能になり、洗浄効率を大幅に向上することができる。
【0065】
なお、この洗浄工程は、後述する酵素標識抗体を吸着性領域を横切るように強制的に流動させて抗原結合DNAと特異的に結合させた後、特異的に結合しなかった酵素標識抗体を除去する場合にも行うことが好ましい。これによって、抗原結合DNAと特異的に結合していない酵素標識抗体を効率的に剥離させ、除去することが可能になり、洗浄効率を大幅に向上することができる。
【0066】
次に、酵素標識抗体を吸着性領域を横切るように強制的に流動させて抗原結合DNAと特異的に結合させる。酵素標識抗体の酵素としては、上記したアルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼなどの酵素を好ましく用いることができる。なお、酵素標識抗体を結合させる前に、酵素標識抗体に対するブロッキングバッファを吸着性領域を横切るように強制的に流動させて吸着性領域をブロッキングしておくことが好ましい。
【0067】
続いて、生化学解析用ユニットを反応容器から取り出して、抗原結合DNAと特異的に結合した酵素標識抗体に化学発光基質を接触させる。化学発光基質と酵素との接触によって各吸着性領域から可視光波長領域の化学発光を生ずるので、これを光電的に検出して生化学解析用画像データを生成すれば、抗原結合DNAを検出、測定することができる。
【0068】
なお、ここでは具体的な例として生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法の例として化学発光法を利用したものについて説明したが、本発明の生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法はこれに限定されるものではなく、生化学解析用ユニットの吸着性領域に結合されたリガンドまたはレセプタに、放射線標識物質によって標識された標識されたレセプタまたはリガンドをハイブリダイズ等させて特異的に結合させ、多数の吸着性領域に選択的に含まれている放射性標識物質によって蓄積性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層を露光し、露光された輝尽性蛍光体層を励起光によって走査して、輝尽性蛍光体層に含まれている輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体から放出された輝尽光を光電的に検出して生化学解析用データを生成するアッセイ法、あるいは、生化学解析用ユニットの吸着性領域に結合されたリガンドまたはレセプタに、蛍光物質によって標識された標識されたレセプタまたはリガンドをハイブリダイズ等させて特異的に結合させ、多数の吸着性領域を励起光によって走査して多数の吸着性領域に選択的に含まれている蛍光物質を励起し、蛍光物質から放出された蛍光を光電的に検出して生化学解析用データを生成するアッセイ法においても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアッセイ法に用いられる生化学解析用ユニットの概略斜視図
【図2】本発明の生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法に用いられるリアクタの実施の形態を示す概略断面図
【図3】本発明の生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法に用いられるリアクタの別の実施の形態を示す概略断面図
【符号の説明】
1 生化学解析用ユニット
2 基板
3 孔
4 吸着性領域
5 リガンドまたはレセプタ
10 第1反応容器
20 第2反応容器
30 流動手段
U1 生化学解析用ユニット
U2 生化学解析用ユニット
40 第1温度制御ユニット
41 第2温度制御ユニット

Claims (12)

  1. リガンドまたはレセプタが結合された多孔性の吸着性領域を有する複数の生化学解析用ユニットの前記リガンドまたはレセプタに、レセプタまたはリガンドが添加された同一の反応液を前記吸着性領域を横切るように強制的に流動させて前記レセプタまたはリガンドを特異的に結合させ、該レセプタまたはリガンドを標識物質を利用して検出するアッセイ法において、
    前記生化学解析用ユニットの1枚ごとに固定されている前記リガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度が同一であり、前記複数の生化学解析用ユニットは固定されている前記リガンドまたはレセプタの前記特異的結合至適温度が互いに異なるものであって、前記複数の生化学解析用ユニットごとに、該生化学解析用ユニットに固定されている前記リガンドまたはレセプタの前記特異的結合至適温度に制御された前記反応液を強制的に流動させることを特徴とする生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法。
  2. 前記吸着性領域に結合されたリガンドまたはレセプタが、cDNAまたはオリゴヌクレオチドであって、前記リガンドまたはレセプタと特異的に結合する前記レセプタまたはリガンドが、細胞等から抽出されたmRNAであることを特徴とする請求項1記載の生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法。
  3. リガンドまたはレセプタが結合された多孔性の吸着性領域を有する複数の生化学解析用ユニットの前記リガンドまたはレセプタに、標識物質によって標識された標識レセプタまたは標識リガンドが添加された同一の反応液を前記吸着性領域を横切るように強制的に流動させて前記リガンドまたはレセプタに前記標識レセプタまたは標識リガンドを特異的に結合させ、該標識レセプタまたは標識リガンドを検出するアッセイ法において、
    前記生化学解析用ユニットの1枚ごとに固定されている前記リガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度が同一であり、前記複数の生化学解析用ユニットは固定されている前記リガンドまたはレセプタの前記特異的結合至適温度が互いに異なるものであって、前記複数の生化学解析用ユニットごとに、該生化学解析用ユニットに固定されている前記リガンドまたはレセプタの前記特異的結合至適温度に制御された前記反応液を強制的に流動させることを特徴とする生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法。
  4. 前記吸着性領域に結合されたリガンドまたはレセプタが、cDNAまたはオリゴヌクレオチドであって、前記リガンドまたはレセプタと特異的に結合する前記標識レセプタまたは標識リガンドが、細胞等から抽出された前記標識物質によって標識されたmRNAであることを特徴とする請求項3記載の生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法。
  5. リガンドまたはレセプタが結合された多孔性の吸着性領域を有する複数の生化学解析用ユニットの前記リガンドまたはレセプタに、レセプタまたはリガンドが添加された同一の反応液を前記吸着性領域を横切るように強制的に流動させて前記リガンドまたはレセプタに前記レセプタまたはリガンドを特異的に結合させ、レセプタまたはリガンドに標識物質によって標識された標識体を特異的に結合させ、前記レセプタまたはリガンドを検出するアッセイ法において、
    前記生化学解析用ユニットの1枚ごとに固定されている前記リガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度が同一であり、前記複数の生化学解析用ユニットは固定されている前記リガンドまたはレセプタの前記特異的結合至適温度が互いに異なるものであって、前記複数の生化学解析用ユニットごとに、該生化学解析用ユニットに固定されている前記リガンドまたはレセプタの前記特異的結合至適温度に制御された前記反応液を強制的に流動させることを特徴とする生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法。
  6. 前記吸着性領域に結合されたリガンドまたはレセプタが、cDNAまたはオリゴヌクレオチドであって、前記リガンドまたはレセプタと特異的に結合する前記レセプタまたはリガンドが、細胞等から抽出されたmRNAであることを特徴とする請求項5記載の生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法。
  7. リガンドまたはレセプタが結合された多孔性の吸着性領域を有する複数の生化学解析用ユニットの前記リガンドまたはレセプタに、補助物質が結合された補助物質結合レセプタまたは補助物質結合リガンドが添加された同一の反応液を前記吸着性領域を横切るように強制的に流動させて前記リガンドまたはレセプタに補助物質結合レセプタまたは補助物質結合リガンドを特異的に結合させ、前記補助物質に特異的に結合可能な結合可能標識物質を前記補助物質結合レセプタまたは補助物質結合リガンドと特異的に結合させ、該補助物質結合レセプタまたは補助物質結合リガンドを検出するアッセイ法において、
    前記生化学解析用ユニットの1枚ごとに固定されている前記リガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度が同一であり、前記複数の生化学解析用ユニットは固定されている前記リガンドまたはレセプタの前記特異的結合至適温度が互いに異なるものであって、前記複数の生化学解析用ユニットごとに、該生化学解析用ユニットに固定されている前記リガンドまたはレセプタの前記特異的結合至適温度に制御された前記反応液を強制的に流動させることを特徴とする生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法。
  8. 前記吸着性領域に結合されたリガンドまたはレセプタが、cDNAまたはオリゴヌクレオチドであって、前記リガンドまたはレセプタと特異的に結合する前記補助物質結合レセプタまたは補助物質結合リガンドが、細胞等から抽出された前記補助物質で結合されたmRNAであることを特徴とする請求項7記載の生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法。
  9. 前記複数の生化学解析用ユニットを前記反応液の流動方向に対して直列に並べることを特徴とする請求項1から8いずれか1項記載の生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法。
  10. 前記特異的結合至適温度がより高い生化学解析用ユニットを反応液の流動方向の上流側に配置することを特徴とする請求項9記載の生化学解析用ユニットを利用したアッセイ法。
  11. リガンドまたはレセプタが結合された多孔性の吸着性領域を有する生化学解析用ユニットを着脱可能に取り付ける複数の取付部と、該複数の取付部に取り付けられた生化学解析用ユニットの吸着性領域を横切るように反応液を強制的に流動させる流動手段とからなるアッセイ装置において、
    前記吸着性領域を流動する前記反応液の温度を、前記各取付部に取り付けられた前記生化学解析用ユニットごとに、該生化学解析用ユニットに固定された前記リガンドまたはレセプタの特異的結合至適温度に制御する温度制御手段が設けられていることを特徴とするアッセイ装置。
  12. 前記複数の取付部が前記反応液の流動方向に対して直列に設けられていることを特徴とする請求項11記載のアッセイ装置。
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