JP2004271341A - アデノウィルス用イムノクロマトグラフィー検出法およびイムノクロマトグラフィーテストストリップ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アデノウイルスに対する第一のモノクローナル抗体を予め所定位置に固定せしめて形成された捕捉部位を備える膜担体を用意し、アデノウイルスに対する第二のモノクローナル抗体と被験試料との混合液を、前記捕捉部位に向けて前記膜担体中をクロマト展開せしめ、前記被験試料液中に含まれるアデノウィルス由来の蛋白と第二のモノクローナル抗体との複合体を前記捕捉部位に捕捉させる検出法において、第二のモノクローナル抗体は少なくともアデノウイルス3、4、8、19及び37型に反応性を示す標識された抗体であり、第一のモノクローナル抗体は好ましくはアデノウイルス3型と反応性を示す抗体である。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アデノウィルス用イムノクロマトグラフィー検出法およびそれに用られるイムノクロマトグラフィーテストストリップに関し、さらに詳細には、被験試料に含まれるアデノウィルスを迅速、かつ、簡便に、しかも高感度で検出し得るアデノウィルス用イムノクロマトグラフィー検出法およびイムノクロマトグラフィーテストストリップに係る。
【0002】
【従来の技術】
哺乳類のアデノウイルスは、ヒト、ウシ、ウマ、イヌ、マウス、サル、ブタなどの動物種に特異的な80種以上の血清型が知られている。ヒトのアデノウイルスは49の血清型に分類されており、各血清型のヒトアデノウイルスを本明細書中では「アデノウイルスn型」(nは数字及び/又は文字)と表記する。これらのヒトアデノウイルスのうち、一部の型が、熱性咽頭炎、急性上気道炎などの呼吸器疾患、咽頭結膜熱(プール熱)、流行性角結膜炎などのウイルス性結膜炎の他、乳幼児の胃腸炎、腸重積などの消化器疾患等の原因ウイルスとして知られている。このような疾患に対しては、被験試料中の少量のアデノウィルスを測定、検出し、可及的早期に治療し、または、予防することが好ましいことは言うまでもない。
【0003】
従来、アデノウィルスの検出、測定に、免疫学的方法、就中、サンドイッチ法が採用されており、たとえば、特開平9−171019号公報には、担体に固定されたアデノウイルス抗原に対するポリクローナル抗体とアデノウイルス抗原に対する標識モノクローナル抗体とを用いたイムノクロマトグラフィーテストストリップが開示されている。このテストストリップは、使用が簡便で、かつ、迅速に測定できるという利点を有するものの、感度の点では、更に改良が望まれている。
【0004】
特開2000−290298号公報には複数の型のアデノウィルスに反応する新規なモノクローナル抗体が記載されてはいるが、イムノクロマトグラフィーテストストリップに適用することについては記載されていない。
【0005】
【特許文献1】特開平9−171019号公報
【特許文献2】特開2000−290298号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、被験試料中に含まれるアデノウィルスを迅速、かつ、簡便に、しかも高感度で検出および測定し得る免疫学的方法および器具を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述のような2種のアデノウイルス抗原に対する抗体を使用するイムノクロマトグラフィーテストストリップにおいて、抗体として特定の2種のモノクローナル抗体を使用することで、被験試料中に含まれるアデノウィルスを、従来よりも迅速、かつ、簡便に、しかも、高感度で検出し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の第1の局面によれば、アデノウイルスに対する第一のモノクローナル抗体を予め所定位置に固定せしめて形成された捕捉部位を備える膜担体を用意し、アデノウイルスに対する第二のモノクローナル抗体と被験試料との混合液を、前記捕捉部位に向けて前記膜担体中をクロマト展開せしめ、前記被験試料液中に含まれるアデノウィルス由来の蛋白と前記第二のモノクローナル抗体との複合体を前記捕捉部位に捕捉させる検出法において、前記第二のモノクローナル抗体は少なくともアデノウイルス血清型3、4、8、19及び37型に反応性を示す標識された抗体であることを特徴とするアデノウィルス用イムノクロマトグラフィー検出法が提供される。
【0009】
また、本発明の第2の局面によれば、アデノウイルスに対する第一のモノクローナル抗体と、アデノウィルスに対する第二のモノクローナル抗体と、膜担体とを少なくとも備え、前記第一のモノクローナル抗体は前記膜担体の所定位置に予め固定されて捕捉部位を形成し、前記第二のモノクローナル抗体は少なくともアデノウイルス血清型3、4、8、19及び37型に反応性を示す抗体であって適当な標識物質で標識され、かつ、前記捕捉部位に向けて前記膜担体中をクロマト展開可能なように配置されてなるアデノウイルス検出用イムノクロマトグラフィーテストストリップが提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における第一のモノクローナル抗体は、下記第二のモノクローナル抗体が結合するアデノウイルスの部位とは異なる結合部位に結合し得るものであれば特に限定されないが、好ましくは、アデノウイルス3型に対するモノクローナル抗体であり、特に好ましくはアデノウイルス3型及びアデノウイルス2型との両方に反応性を有するモノクローナル抗体である。かかるモノクローナル抗体は、例えば、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)VR847株として保存されているアデノウィルスを免疫原として投与して免疫したマウスの脾細胞とミエローマ細胞とを細胞融合させて多数のハイブリドーマを作成し、これらのハイブリドーマから安定してアデノウイルス3型および必要に応じてアデノウイルス2型に強い反応性を示す抗体を産生するハイブリドーマを常法によりスクリーニングし、選択されたハイブリドーマをマウスの腹腔内に投与し、その腹水からモノクローナル抗体を精製することにより製造できる。
【0011】
本発明における第二のモノクローナル抗体は、少なくともアデノウイルス3、4、8、19及び37型の全てに反応性を示す抗体であり、さらにアデノウイルス2型に反応性を示す抗体であることが好ましい。さらに、第二のモノクローナル抗体はアデノウイルス1、5、6、7及び11の少なくとも何れかと反応性を示してもよい。
【0012】
かかる第二のモノクローナル抗体は、特開2000−290298号公報に記載の方法に従って容易に取得することができる。例えば、3、4、8、19及び37型にそれぞれ分類されるアデノウィルス臨床株Ad3x、Ad4x、Ad8x、Ad19xおよびAd37x型を免疫原として投与して免疫したマウスの脾細胞とミエローマ細胞とを細胞融合させて多数のハイブリドーマを作成し、これらのハイブリドーマから安定してアデノウイルス3、4、8、19及び37型の全てに強い反応性を示す抗体を産生するハイブリドーマを常法によりスクリーニングし、選択されたハイブリドーマをマウスの腹腔内に投与し、その腹水からモノクローナル抗体を精製することにより製造できる。このモノクローナル抗体が本発明の第二のモノクローナル抗体として使用できるかどうかは、これとアデノウイルス3、4、8、19及び37型とを反応させることにより容易に確認できる。かくして得られるモノクローナル抗体の中には、本発明者の知見によれば、さらにアデノウイルス2型と反応するものも含まれることがわかった。したがって、本発明の第二のモノクローナル抗体は、アデノウイルス3、4、8、19及び37型のほかに、さらにアデノウイルス2型にも反応性を有するものが好ましい。なお、アデノウイルス2型にも反応性を有するモノクローナル抗体は、例えば、上記アデノウィルス臨床株Ad3x、Ad4x、Ad8x、Ad19xおよびAd37x型に加えてアデノウイルス2型に分類されるAd2x型を免疫原として投与し、それ以外は上記と同様の方法によって取得できると考えられる。
【0013】
なお、上記第二のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、例えば、特開2000−290298号公報に記載のとおり、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託番号FERM P−17354、FERM P−17355、FERM P−17356、およびFERM P−17357の下に寄託されており、入手できる。
【0014】
なお、本発明で用いられる第一及び第二のモノクローナル抗体は、アデノウイルスには反応するが、それ以外のウィルスとは反応しないものであることは言うまでもない。
【0015】
本発明におけるイムノクロマトグラフィー検出法は、公知のイムノクロマトグラフィーテストストリップに応用して容易に実施できる。一般に、イムノクロマトグラフィーテストストリップは、抗原の第一の抗原決定基にて抗体抗原反応可能な第一の抗体と、前記抗原の第二の抗原決定基にて抗体抗原反応可能で且つ標識された第二の抗体と、膜担体とを少なくとも備え、前記第一の抗体は前記膜担体の所定位置に予め固定されて捕捉部位を形成し、前記第二の抗体は前記捕捉部位から離隔した位置で前記膜担体中をクロマト展開可能なように配置されて構成される。具体的には、例えば、図1に示されるイムノクロマトグラフィーテストストリップが挙げられる。本発明においては、第一の抗体として前記第一のモノクローナル抗体が使用され、第二の抗体として前記第二のモノクローナル抗体が使用される。
【0016】
図1において、数字1は粘着シート、2は含浸部材、3は膜担体、31は捕捉部位、4は吸収用部材、5は試料添加用部材を示している。図示の例では、膜担体3は、幅5mm、長さ36mmの細長い帯状のニトロセルロース製メンブレンフィルターで作成されている。該膜担体3には、そのクロマト展開始点側の末端から7.5mmの位置に、本発明の第一のモノクローナル抗体が常法により固定され、検体の捕捉部位31が形成される。図示の例では、膜担体3は、ニトロセルロース製メンブレンフィルターを用いているが、被験試料液に含まれるアデノウィルスをクロマト展開可能で、かつ、上記捕捉部位31を形成する抗体を固定可能なものであれば、いかなるものであってもよく、他のセルロース類の膜、ナイロン膜、ガラス繊維膜なども使用できる。
【0017】
含浸部材2は、本発明の標識された第二のモノクローナル抗体を非固定状態で含浸せしめた部材である。なお、含浸部材2は、前記捕捉部位31から離隔した位置にて膜担体3に接続配置される。図示の例では、含浸部材2として、5mm×15mmの帯状のガラス繊維不織布を用いているが、これに限定されるものではなく、例えば、セルロース類布(濾紙、ニトロセルロース膜等)、ポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔質プラスチック布類なども使用できる。
【0018】
本発明の第二のモノクローナル抗体の標識に用いる標識物質としては、当該抗体を標識可能なものであればいかなる物質であってもよく、呈色標識物質、酵素標識物質、放射線標識物質などが挙げられる。このうち、捕捉部位31での色の変化を肉眼で観察することにより迅速かつ簡便に判定できる点から、呈色標識物質を用いることが好ましい。呈色標識物質としては、金コロイド、白金コロイド等の金属コロイドの他、赤色および青色などのそれぞれの顔料で着色されたポリスチレンラテックスなどの合成ラテックスや、天然ゴムラテックスなどのラテックスが挙げられ、このうち、金コロイドなどの金属コロイドが特に好ましい。当該含浸部材2は、本発明の標識された第二のモノクローナル抗体の懸濁液を前記ガラス繊維不織布等の部材に含浸せしめ、これを乾燥させることなどによって作製できる。
【0019】
図1に示されるように、膜担体3を粘着シート1の中程に貼着し、該膜担体3のクロマト展開の開始点側、すなわち、図1における左側(以下「上流側」と記す。なお、その逆の側、すなわち、図1の右側は、以下「下流側」と記す)の末端の上に、含浸部材2の下流側末端を重ね合わせて連接するとともに、この含浸部材2の上流側部分を粘着シート1に貼着して本発明のイムノクロマトグラフィーテストストリップを作成できる。さらに、必要に応じて、含浸部材2の上面に試料添加用部材5の下流側部分を載置するとともに、該試料添加用部材5の上流側部分を粘着シート1に貼着してもよく、また、膜担体3の下流側部分の上面に吸収用部材4の上流側部分を載置するとともに、該吸収用部材4の下流側部分を粘着シート1に貼着せしめることもできる。
【0020】
試料添加用部材5としては、例えば、多孔質ポリエチレンおよび多孔質ポリプロピレンなどのような多孔質合成樹脂のシートまたはフィルム、ならびに、濾紙および綿布などのようなセルロース製の紙または織布もしくは不織布を用いることができる。吸収用部材4は、液体をすみやかに吸収、保持できる材質のものであればよく、綿布、濾紙、およびポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質プラスチック不織布等を挙げることができるが、特に濾紙が最適である。
【0021】
さらに、市販品の場合、図1のイムノクロマトグラフィーテストストリップは、試料添加用部材5と捕捉部位31の上方にそれぞれ被験試料注入部と判定部が開口された適当なプラスチック製ケース内に収容されて提供される。
【0022】
かくして、適当な展開溶媒と所定量の被験試料を混合してクロマト展開可能とされた混合液を被験試料液として得た後、当該被験試料液を図1に示されるイムノクロマトグラフィーテストストリップの試料添加用部材5上に注入すると、該被験試料液は、該試料添加用部材5を通過して含浸部材2において、本発明の標識された第二のモノクローナル抗体と混合して混合液となる。その際、該被験試料中にアデノウィルスが存在すれば、抗原抗体反応により被験試料中のアデノウィルスと第二のモノクローナル抗体との複合体が形成される。この複合体は、膜担体3中をクロマト展開されて捕捉部位31に到達し、そこに固定された第一のモノクローナル抗体と抗原抗体反応して捕捉される。このとき、標識物質として金コロイドなどの呈色標識物質が使用されていれば、当該呈色標識物質の集積により発色するので、直ちに、検体の有無を判定することができる。
【0023】
被験試料液は、たとえば、被疑患者からの涙、目脂、喀痰、唾液および大便などの生体試料を、生理食塩水、りん酸緩衝液などの展開溶剤と混合し、または、被疑患者の患部を清拭したガーゼおよびスワブなどから前記の展開溶剤で洗滌・抽出して得られ、または、被疑患者の患部の前記展開溶剤による洗滌液などであってもよい。
【0024】
【実施例】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0025】
参考例(第一のモノクローナル抗体の調製)
ヒトアデノウイルス3型(ATCC VR847株)200μg(50μl)をフロインドの完全アジュバンド50μlと混合してエマルジョンを作製し、これをBalb/cメスマウス皮下に注射した。この免疫操作を3週間後に再度行い、さらに3週間後にタイター価の上昇を確認した後、50μg(50μl)の上記ヒトアデノウイルス3型を腹腔に注射し、3日後に脾臓を摘出し、その脾臓細胞とマウス・ミエローマ細胞(SPII細胞)とを50%ポリエチレングリコール(分子量1500)溶液を用いて細胞融合した。融合細胞は、一般的方法のHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)含有培養液で選別後、PRMI1640培地(日水製薬(株)製、10%牛胎児血清(FBS(Fetal Bovine Serum))含有RPMI(Roswell Park Memorial Institute)培地)で培養増殖させた。
【0026】
ヒトアデノウイルス3型をリン酸緩衝液(PBS)で2μg/mlに希釈し、その100μlを96穴プレートの各ウェルに添加し、室温で約16時間放置して固相化した。このヒトアデノウイルス固相化プレートを0.2% BSA(ウシ血清アルブミン)含有PBS溶液でブロッキング処理した後、ヒトアデノウイルス3型に高い反応性を示す抗体産生株の選別に使用した。
【0027】
すなわち、上記で得られた種々のハイブリドーマの培養上清をそれぞれ採取し、その100μlを上記プレートの各ウェルに添加した。約1時間室温でインキュベーション後、培養上清を廃棄し、プレートを洗浄した。それに、ビオチン標識抗マウス・IgG(H+L)抗体を100μl添加し、約30分間室温でインキュベーション後に反応液を廃棄し、その後、プレートを洗浄した。
【0028】
そのプレートに、アビジンとビオチン標識ホースラディッシュ・ぺルオキシダーゼ(以下 HRP−ビオチン と記す)との複合体溶液を100μl添加し、約30分間室温でインキュベーション後、反応液を廃棄し、プレートを洗浄した。洗浄プレートにHRP基質、TMBZ(3,3’,5,5’−tetramethylbenzidine)と過酸化水素との混合溶液を100μl添加し、室温で10分間反応後、0.2Nリン酸溶液50μlを添加し反応を停止した。各ウェルの色度をマイクロプレートリーダーで測定し、その強度を指標にヒトアデノウイルス3型に高い反応性を示す抗体産生株を選別した。常法に従い、この抗体産生株をマウスの腹腔内に投与して、その腹水からモノクローナル抗体を精製し取得した。
【0029】
実施例1
参考例で得られたモノクローナル抗体を第一のモノクローナル抗体として用意した。また、アデノウイルス3、4、8、19及び37型に反応性を示すモノクローナル抗体を東亞合成株式会社から購入し、これを常法により金コロイド標識して、第二のモノクローナル抗体として用意した。これらのモノクローナル抗体を用いて、常法により、図1に示すイムノクロマトグラフィーテストストリップを作成した。
【0030】
アデノウィルス2型をHeLa細胞で培養して増殖させ、この増殖した細胞を生理食塩水で希釈し、所定濃度に調整して被験試料液とした。
【0031】
前記被験試料液100μlを、上記イムノクロマトグラフィーテストストリップの試料添加用部材5上に滴下し、15分後に捕捉部位31における呈色を肉眼で評価し、結果を表1に示した。評価は基準で行った。
【0032】
++:強い呈色が認められた、
+:普通に呈色が認められた、
±:ごくわずかに呈色が認められた、
−:呈色が認められなかった。
【0033】
対照として、捕捉部位31に相当する部分に固定される抗体として、市販の抗アデノウイルスポリクローナル抗体(BIODESIGN社、アデノウイルス2型をヤギに免疫して得られた抗体)を用いた以外、上記と同様のイムノクロマトグラフィーテストストリップを作成し、上記と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
また、アデノウィルス3、4、8、19および37型を被験試料として用いた場合も、表1と同様の結果が得られた。これらの結果より、捕捉部位に抗アデノウィルスポリクローナル抗体が固定化された対照よりも、本発明のイムノクロマトグラフィーテストストリップの方が感度が高く、より少ないウィルス量でも検出できることが証明された。また、使用した第一のモノクローナル抗体及び第二のモノクローナル抗体は、何れも、アデノウイルス3型及びアデノウイルス2型と交叉反応するものであることが示された。
【0036】
実施例2
角結膜炎に罹患した病院患者由来の臨床生体試料である角結膜ぬぐい液の被験試料液について、実施例1で作成した本発明のイムノクロマトグラフィーテストストリップと、アデノチェック(図1の捕捉部位に相当する箇所に固定される抗体としてポリクローナル抗体を用いた市販のアデノウイルス検査用の体外診断用医薬品、販売元 参天製薬(株))との相関を調べた。結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
表2から、両者の陽性一致率:100%(28/28)、陰性一致率:82.5%(80/97)、従って、全体一致率:86.4%(108/125)であることが判る。なお、本発明において陽性を示したがアデノチェックでは陰性を示した被験試料液17例はすべてRT−PCR法において陽性であった。表2の結果から、臨床生体試料についても本発明の優位さが確認できた。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、アデノウィルス検出用のイムノクロマトグラフィーテストストリップにおいて、膜担体に固定される抗アデノウイルス抗体としてモノクローナル抗体を使用し、標識抗体として少なくともアデノウイルス3、4、8、19及び37型に反応性を示すモノクローナル抗体を使用することにより、アデノウィルスを迅速、かつ、簡便に、しかも高感度に検出および測定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】aはイムノクロマトグラフィーテストストリップの平面図、bはaで示されたイムノクロマトグラフィーテストストリップの縦断面図。
【符号の説明】
1 粘着シート
2 含浸部材
3 膜担体
31 捕捉部位
4 吸収用部材
5 試料添加用部材
Claims (14)
- アデノウイルスに対する第一のモノクローナル抗体を予め所定位置に固定せしめて形成された捕捉部位を備える膜担体を用意し、アデノウイルスに対する第二のモノクローナル抗体と被験試料との混合液を、前記捕捉部位に向けて前記膜担体中をクロマト展開せしめ、前記被験試料液中に含まれるアデノウィルス由来の蛋白と前記第二のモノクローナル抗体との複合体を前記捕捉部位に捕捉させる検出法において、前記第二のモノクローナル抗体は少なくともアデノウイルス血清型3、4、8、19及び37型に反応性を示す標識された抗体であることを特徴とするアデノウィルス用イムノクロマトグラフィー検出法。
- 前記第一のモノクローナル抗体はアデノウイルス3型と反応する抗体である請求項1に記載の検出法。
- 前記第一のモノクローナル抗体はアデノウイルス3型及びアデノウイルス2型と交叉反応する抗体である請求項2に記載の検出法。
- 前記第二のモノクローナル抗体は、さらにアデノウイルス2型に反応性を示す抗体である請求項1に記載の検出法。
- 前記第二のモノクローナル抗体は、前記捕捉部位から離隔した位置にて前記膜担体に接続配置された含浸部材に予め含浸されており、被験試料を含有する液体を前記含浸部材に接触させることにより、前記第二のモノクローナル抗体と前記被験試料との混合液をクロマト展開せしめる請求項1乃至4の何れか1項に記載の検出法。
- 前記第二のモノクローナル抗体が金属コロイドまたはラテックスで標識されたものである請求項5に記載の検出法。
- 前記膜担体がニトロセルロース膜である請求項6に記載の検出法。
- アデノウイルスに対する第一のモノクローナル抗体と、アデノウィルスに対する第二のモノクローナル抗体と、膜担体とを少なくとも備え、前記第一のモノクローナル抗体は前記膜担体の所定位置に予め固定されて捕捉部位を形成し、前記第二のモノクローナル抗体は少なくともアデノウイルス血清型3、4、8、19及び37型に反応性を示す抗体であって適当な標識物質で標識され、かつ、前記捕捉部位に向けて前記膜担体中をクロマト展開可能なように配置されてなるアデノウイルス検出用イムノクロマトグラフィーテストストリップ。
- 前記第一のモノクローナル抗体はアデノウイルス3型と反応する抗体である請求項8に記載のイムノクロマトグラフィーテストストリップ。
- 前記第一のモノクローナル抗体はアデノウイルス3型及びアデノウイルス2型と交叉反応する抗体である請求項9に記載のイムノクロマトグラフィーテストストリップ。
- 前記第二のモノクローナル抗体は、さらにアデノウイルス2型に反応性を示す抗体である請求項8に記載のイムノクロマトグラフィーテストストリップ。
- 前記第二のモノクローナル抗体は、前記捕捉部位から離隔した位置にて前記膜担体に接続配置された含浸部材に予め含浸されている請求項8乃至11の何れか1項に記載のイムノクロマトグラフィーテストストリップ。
- 前記第二のモノクローナル抗体が金属コロイドまたはラテックスで標識されたものである請求項12に記載のイムノクロマトグラフィーテストストリップ。
- 前記膜担体がニトロセルロース膜である請求項13に記載のイムノクロマトグラフィーテストストリップ。
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