JP2004271125A - 冷凍システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】室内空調を行うための空調系統と、この空調系統と熱的に結合されると共に、冷却貯蔵設備の庫内冷却を行うための冷却貯蔵設備系統とから構築される。空調系統制御手段及び冷却貯蔵設備系統制御手段は、主制御手段からの最適運転パターンに関するデータに基づいて各系統の運転をそれぞれ制御すると共に、主制御手段との間の通信が絶たれた場合には、自らが保有するデフォルトの制御データにて各系統の運転をそれぞれ制御する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば店舗等において室内空調や冷却貯蔵設備の庫内冷却を行うための冷凍システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりコンビニエンスストア等の店舗の店内(室内)は、空気調和機によって冷暖房空調されている。また、店内には商品を陳列販売する冷蔵或いは冷凍用のオープンショーケースや扉付きのショーケース(冷却貯蔵設備)が設置されており、これらは冷凍機によって庫内冷却が行われている。
【0003】
また、従来これら空気調和機や冷凍機の冷媒回路は、それぞれ独立して構成され、独自に運転が行われていた。そのため、空調と冷却貯蔵設備の運転を融合した省エネを図ることが困難な状況であったが、一方で、店舗の空調と冷却貯蔵設備の冷媒回路を一つの回路として構成したものも提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−174470号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、例えば省エネを目的として空調と冷却貯蔵設備を熱的に結合した運転を実現するためには、空調系統を制御するためのコントローラと、冷却貯蔵設備系統を制御するためのコントローラを統合して制御可能な主コントローラを設ける必要がある。
【0006】
その場合は、主コントローラに各系統のコントローラから運転状態などのデータを収集し、最適な運転パターンを決定して各コントローラに配信するかたちとなるが、もしこれらコントローラ間のデータ通信が絶たれた場合には、各系統が極めて不安定な制御状態に陥る危険性がある。
【0007】
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、空調系統と冷却貯蔵設備系統を熱的に結合した冷凍システムにおける統合的運転制御を安全に実現できる冷凍システムを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の冷凍システムは、室内空調を行うための空調系統と、この空調系統と熱的に結合されると共に、冷却貯蔵設備の庫内冷却を行うための冷却貯蔵設備系統とから構築され、空調系統の運転制御を行う空調系統制御手段と、冷却貯蔵設備系統の運転制御を行う冷却貯蔵設備系統制御手段と、空調系統制御手段及び冷却貯蔵設備系統制御手段から運転状態に関するデータを受信し、当該受信データに基づいて各系統の最適運転パターンに関するデータを生成して空調系統制御手段及び冷却貯蔵設備系統制御手段に送信する主制御手段とを備え、空調系統制御手段及び冷却貯蔵設備系統制御手段は、主制御手段からの最適運転パターンに関するデータに基づいて各系統の運転をそれぞれ制御すると共に、主制御手段との間の通信が絶たれた場合には、自らが保有するデフォルトの制御データにて各系統の運転をそれぞれ制御するようにしたので、主制御手段と各系統の制御手段との間で通信異常が発生した際にも空調系統及び冷却貯蔵設備系統を安全に運転制御することが可能となる。
【0009】
特に、請求項2の如く空調系統が、圧縮機、熱源側熱交換器及び利用側熱交換器等から構成され、冷却貯蔵設備系統が、圧縮機、凝縮器及び蒸発器等から構成されており、空調用冷媒回路の低圧側と冷却貯蔵設備用冷媒回路の高圧側とを熱交換させるカスケード熱交換器により熱的に結合した冷凍システムにおいては、係る通信異常時にもデフォルトの制御データにより、可能な限り適切且つ省エネを考慮した運転で各系統を制御することが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明を適用した実施例の冷凍システム1(冷凍サイクル装置)の冷媒回路を含むシステム構成を説明する図である。実施例の冷凍システム1は、例えばコンビニエンスストアの室内2(店内)の空調とそこに設置されている冷却貯蔵設備としての冷蔵ケース3や冷凍ケース4の庫内冷却を実現するものである。
【0011】
尚、これら冷蔵ケース3、冷凍ケース4は前面や上面が開口するオープンショーケースの他、透明ガラス扉にて開口が開閉自在に閉塞されたショーケースであり、冷蔵ケース3の庫内は冷蔵温度(+3℃〜+10℃)に冷却され、飲料やサンドイッチなどの冷蔵食品が陳列されると共に、冷凍ケース4の庫内は冷凍温度(−10℃〜ー20℃)に冷却され、冷凍食品やアイスクリームなどの冷菓が陳列されるものである。
【0012】
この図において、6は空調用冷媒回路7を備える空気調和機(空調系統)であり、8は前記冷蔵ケース3や冷凍ケース4の庫内を冷却するための冷却貯蔵設備用冷媒回路9を備えた冷却装置(冷却貯蔵設備系統)である。空気調和機6は、室内2の天井などに設置された室内機11と、店外に設置された室外ユニット12とから構成され、これらの間に渡って空調用冷媒回路7が配管構成されている。
【0013】
この空調用冷媒回路7は、室外ユニット12の外装ケース内に設置された二台の圧縮機(ロータリコンプレッサ)13A、13Bと、四方弁14と、室外側熱交換器16と、膨張弁(減圧手段)17、18、19と、カスケード熱交換器21と、逆止弁22、アキュムレータ23等と、室内機11側に設置された室内側熱交換器27から系統構成されている(空調系統)。
【0014】
26は温度や圧力に基づいて空気調和機6の室外ユニット12側の機器を制御するための室外機コントローラ(空調系統制御手段を構成するコントローラであり、汎用のマイクロコンピュータにて構成される)であり、室外ユニット12に設けられている。また、24は室外側熱交換器16に外気を通風するための送風機であり、室外ユニット12内の室外側熱交換器16に対応する位置に設けられている。28は温度や圧力に基づいて空気調和機6の室内機11側の機器を制御するための室内機コントローラ(空調系統制御手段を構成するコントローラであり、汎用のマイクロコンピュータで構成される)であり、室内機11に設けられている。
【0015】
圧縮機13A及び13Bは相互に並列接続されており、各圧縮機13A、13Bの吐出側13Dは四方弁14の一方の入口に接続され、四方弁14の一方の出口は室外側熱交換器16の入口に接続されている。室外側熱交換器16の出口は膨張弁17を介して膨張弁18の入口に接続され、膨張弁18の出口は室内機11に渡って室内側熱交換器27の入口に接続されている。
【0016】
室内側熱交換器27の出口は四方弁14の他方の入口に接続され、四方弁14の他方の出口は逆止弁22を介してアキュムレータ23に接続されている。そして、このアキュムレータ23の出口が圧縮機13A、13Bの吸込側13Sに接続されている。尚、逆止弁22はアキュムレータ23側が順方向とされている。
【0017】
また、膨張弁17と18の間の配管は膨張弁19の入口に接続され、膨張弁19の出口はカスケード熱交換器21の空調側通路21Aの入口に接続されている。このカスケード熱交換器21の空調側通路21Aの出口はアキュムレータ23を介して圧縮機13A、13Bの吸込側13Sに接続されている。尚、29は室外側熱交換器12の温度を検出する温度センサである。
【0018】
一方、冷却装置8は前記室外ユニット12と店内に設置された冷蔵ケース3及び冷凍ケース4との間に渡って冷却貯蔵設備用冷媒回路9が配管構成されている。この冷却貯蔵設備用冷媒回路9は、室外ユニット12の外装ケース内に設置された第1の圧縮機(スクロールコンプレッサ)37と、凝縮器(熱交換器)38と、電磁弁(流路制御手段)39、41と、逆止弁42と、オイルセパレータ31と、レシーバータンク36等と、冷蔵ケース3に設置されて冷蔵ケース3の庫内を冷却する冷蔵用蒸発器43、膨張弁44、電磁弁46、47、逆止弁48(冷却貯蔵設備系統の一部を構成する冷蔵系統)と、冷凍ケース4に設置されて冷凍ケース4の庫内を冷却する冷凍用蒸発器49、膨張弁51、電磁弁52、53、第2の圧縮機(ロータリコンプレッサ)54、及び、オイルセパレータ45(冷却貯蔵設備系統の一部を構成する冷凍系統)等から構成されている。
【0019】
32は温度や圧力に基づいて冷却装置8の室外ユニット12側の機器を制御する冷凍機コントローラ(冷却貯蔵設備系統制御手段を構成するコントローラであり、汎用のマイクロコンピュータで構成される)であり、室外ユニット12に設けられている。また、35は凝縮器38に外気を通風するための送風機であり、室外ユニット12の凝縮器38に対応する位置に設けられている。また、50は温度や圧力に基づいて冷蔵ケース3側の機器を制御する冷蔵ケースコントローラ(冷却貯蔵設備系統制御手段を構成するコントローラであり、汎用のマイクロコンピュータで構成される)であり、冷蔵ケース3に設けられている。更に、55は温度や圧力に基づいて冷凍ケース4側の機器を制御する冷凍ケースコントローラ(冷却貯蔵設備系統制御手段を構成するコントローラであり、汎用のマイクロコンピュータで構成される)であり、冷凍ケース4に設けられている。
【0020】
圧縮機37の吐出側37Dはオイルセパレータ31を介して凝縮器38の入口に接続され、凝縮器38の出口は電磁弁39を介してカスケード熱交換器21のケース側通路21Bの入口に接続されている。尚、電磁弁41はオイルセパレータ31と電磁弁39の出口側の配管の間に接続されている。また、カスケード熱交換器21は内部に構成された空調側通路21Aとケース側通路21Bをそれぞれ通過する冷媒を相互に熱交換させるものであり、これによって空調用冷媒回路7の低圧側と冷却貯蔵設備用冷媒回路9の高圧側とは熱的に結合される。
【0021】
カスケード熱交換器21のケース側通路21Bの出口(そこにレシーバータンク36は接続される)は、室外ユニット12から出て店内に入り分岐する。分岐した一方の配管は、電磁弁47、46を順次介して膨張弁44の入口に接続され、膨張弁44の出口は冷蔵用蒸発器43の入口に接続されている。分岐した他方の配管は、電磁弁52を介して膨張弁51の入口に接続され、膨張弁51の出口は冷凍用蒸発器49の入口に接続されている。尚、電磁弁53は電磁弁52と膨張弁51の直列回路に並列に接続されている。
【0022】
冷凍用蒸発器49の出口は、圧縮機54の吸込側54Sに接続されている。この圧縮機54は圧縮機37よりも出力の小さい圧縮機であり、その吐出側54Dはオイルセパレータ45を介して圧縮機37の吸込側37Sに接続されている。即ち、圧縮機37と圧縮機54は冷媒回路上直列に接続される。尚、冷蔵用蒸発器43の出口は圧縮機54の吐出側のオイルセパレータ45の出口側に接続されている。また、逆止弁48は圧縮機54の吸込側54Sと電磁弁46、47間に接続され、電磁弁46、47方向が順方向とされている。更に、凝縮器38は圧縮機37の吸込側37Sと電磁弁39を出た配管の間に接続され、電磁弁39方向が順方向とされている。そして、冷媒回路7、9内には例えばR−410、R−404A等の冷媒が所定量封入される。また、57は凝縮器38の温度を検出する温度センサである。
【0023】
以上の構成で本発明の冷凍システム1の動作を説明する。尚、前記圧縮機37と13Bはインバータ制御され、圧縮機13Aと圧縮機54は定速で運転されるものとする。また、図1の左上に示すモリエル線図は、冷凍システム1内の前記空調系統、冷蔵系統及び冷凍系統内の冷媒の状態を示すものである。そして、冷凍システム1全体の動作は汎用マイクロコンピュータから構成された主コントローラ(主制御手段)56により統合的に制御される。
【0024】
ここで、主コントローラ56は前記室外機コントローラ26、室内機コントローラ28、冷凍機コントローラ32、冷蔵ケースコントローラ50、及び、冷凍ケースコントローラ55とデータ通信可能に接続されており、各コントローラから現在の運転状態に関するデータ(冷凍ケースコントローラ55からの冷凍ケース4の霜取り情報など)を受信して収集する。そして、受信データに基づき、後述するその時点での最適な運転パターンを決定し、この最適運転パターンに関するデータ及び各機器の運転データを室外機コントローラ26、室内機コントローラ28、冷凍機コントローラ32、冷蔵ケースコントローラ50、及び、冷凍ケースコントローラ55に送信する。室外機コントローラ26、室内機コントローラ28、冷凍機コントローラ32、冷蔵ケースコントローラ50、及び、冷凍ケースコントローラ55は主コントローラ56から受信した最適運転パターンに関するデータ及び各機器の運転データに基づいて後述する制御動作を実行する。
【0025】
(1)最適運転パターン1:空気調和機の冷房運転(図1)
先ず、夏場等に主コントローラ56が空気調和機6の冷房運転が最適であると判断した場合、最適運転パターン1に関するデータが室外機コントローラ26、室内機コントローラ28、冷凍機コントローラ32、冷蔵ケースコントローラ50、及び、冷凍ケースコントローラ55に送信される。
【0026】
受信データに基づき、室外機コントローラ26は四方弁14の第1の流通口を第2の流通口に、第3の流通口を第4の流通口に連通させる。また、膨張弁17を全開とする。そして、圧縮機13A、13Bを運転する。尚、室外機コントローラ26は圧縮機13Bの運転周波数を調整して能力制御するものとする。
【0027】
圧縮機13A、13Bが運転されると、圧縮機13A、13Bの吐出側13Dから吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁14を経て室外側熱交換器16に入る。この室外側熱交換器16には送風機24により外気が通風されており、冷媒はここで放熱し、凝縮液化する。即ち、この場合室外側熱交換器16は凝縮器として機能する。この液冷媒は室外側熱交換器16から出て膨張弁17を通り、分岐する。分岐した一方は膨張弁18に至り、そこで絞られて低圧とされた後(減圧)、室内側熱交換器27に流入し、そこで蒸発する。
【0028】
この室内側熱交換器27には図示しない送風機により室内2(店内)の空気が通風されており、冷媒の蒸発による吸熱作用で室内空気は冷却される。これにより、室内2(店内)の冷房が行われる。室内側熱交換器27を出た低温のガス冷媒は四方弁14の第4の流通口から第3の流通口へと通過し、逆止弁22、アキュムレータ23を順次経て圧縮機13A、13Bの吸込側13Sに吸い込まれる循環を繰り返す。室内機コントローラ28は室内側熱交換器27の温度やそこに吸い込まれる空気温度に基づき、室内(店内)温度を設定温度とするよう室内側熱交換器27に通風する送風機を制御する。室内機コントローラ28からの情報は主コントローラ56に送信されており、室外機コントローラ26はこの情報に基づいて圧縮機13A、13Bの運転を制御する。
【0029】
膨張弁17を通過して分岐した冷媒の他方は膨張弁19に至り、そこで絞られて低圧とされた後(減圧)、カスケード熱交換器21の空調側通路21Aに流入し、そこで蒸発する。係る空調用冷媒回路7の冷媒の蒸発による吸熱作用でカスケード熱交換器21は冷却され、低温となる。カスケード熱交換器21を出た低温のガス冷媒はアキュムレータ23を経て圧縮機13A、13Bの吸込側13Sに吸い込まれる循環を繰り返す。
【0030】
室外機コントローラ26は室内側熱交換器27の出入口の冷媒温度、或いは、室内側熱交換器27の温度と、カスケード熱交換器21の出入口の冷媒温度、或いは、カスケード熱交換器21の温度に基づいて適正な過熱度となるように膨張弁18及び19の弁開度を調整する。
【0031】
一方、冷凍機コントローラ32は冷却装置8の冷却貯蔵設備用冷媒回路9の電磁弁39、52、46及び47を開き、電磁弁41、53は閉じる。そして、圧縮機37及び圧縮機54を運転する。圧縮機37から吐出された高温高圧のガス冷媒は、オイルセパレータ31にてオイルを分離された後、凝縮器38に入る。この凝縮器38にも送風機35により外気が通風されており、凝縮器38に流入した冷媒はそこで放熱し、凝縮していく。
【0032】
この凝縮器38を出た冷媒は電磁弁39を経てカスケード熱交換器21のケース側通路21Bに入る。このケース側通路21Bに入った冷却貯蔵設備用冷媒回路9の冷媒は、前述の如き空調用冷媒回路7の冷媒の蒸発によって低温となっているカスケード熱交換器21によって冷却され、更に凝縮液化が進んで過冷却状態となる。
【0033】
このカスケード熱交換器21にて過冷却された冷媒は次に分岐し、一方は電磁弁47、46を順次通過して膨張弁44に至り、そこで絞られた後(減圧)、冷蔵用蒸発器43に流入し、そこで蒸発する。この冷蔵用蒸発器43には図示しない送風機により冷蔵ケース3の庫内空気が通風・循環されており、冷媒の蒸発による吸熱作用で庫内空気は冷却される。これにより、冷蔵ケース3の庫内冷却が行われる。冷蔵用蒸発器43を出た低温のガス冷媒は圧縮機54のオイルセパレータ45の出口側に至る。
【0034】
カスケード熱交換器21を出て分岐した冷媒の他方は電磁弁52を通過して膨張弁51に至り、そこで絞られた後(減圧)、冷凍用蒸発器49に流入し、そこで蒸発する。この冷凍用蒸発器49にも図示しない送風機により冷凍ケース4の庫内空気が通風・循環されており、冷媒の蒸発による吸熱作用で庫内空気は冷却される。これにより、冷凍ケース4の庫内冷却が行われる。
【0035】
冷凍用蒸発器49を出た低温のガス冷媒は圧縮機54に至り、そこで、圧縮されて冷蔵用蒸発器43の出口側の圧力(冷蔵系統の低圧側圧力)まで昇圧された後、圧縮機54から吐出され、オイルセパレータ45でオイルを分離された後、冷蔵用蒸発器43からの冷媒と合流する。この合流した冷媒は圧縮機37の吸込側37Sに吸い込まれる循環を繰り返す。
【0036】
冷蔵ケースコントローラ50は冷蔵ケース3の庫内温度若しくは冷蔵用蒸発器43を経た吐出冷気温度或いは冷蔵用蒸発器43への吸込冷気温度に基づいて電磁弁46を開閉制御する。これにより、冷蔵ケース3の庫内を前述した冷蔵温度に冷却維持する。また、冷凍ケースコントローラ55は冷凍ケース4の庫内温度若しくは冷凍用蒸発器49を経た吐出冷気温度或いは冷凍用蒸発器49への吸込冷気温度に基づいて電磁弁52を開閉制御する。これにより、冷凍ケース4の庫内を前述した冷凍温度に冷却維持する。
【0037】
冷蔵ケースコントローラ50は冷蔵用蒸発器43の出口側の冷媒温度、或いは、冷蔵用蒸発器43の温度に基づいて適正な過熱度となるように膨張弁44の弁開度を調整する。また、冷凍ケースコントローラ55は冷凍用蒸発器49の出口側の冷媒温度、或いは、冷凍用蒸発器49の温度に基づいて適正な過熱度となるように膨張弁51の弁開度を調整する。圧縮機37は吸込側37Sの圧力(低圧圧力)に基づいて制御され、電磁弁46、52の双方が閉じられた場合には停止され、何れかが開放されているときは運転される。
【0038】
このように、カスケード熱交換器21の空調側通路21Aを流れる空調用冷媒回路7の低圧側冷媒によって冷却貯蔵設備用冷媒回路9の高圧側冷媒を過冷却することができるので、冷蔵ケース3や冷凍ケース4の蒸発器43、49における冷却能力と冷却貯蔵設備用冷媒回路9の運転効率が改善される。また、空気調和機6の空調用冷媒回路7の室内側熱交換器27の冷媒の蒸発温度が高くなることから空調用冷媒回路7の運転効率の改善も図ることができる。尚、この場合、冷却貯蔵設備用冷媒回路9の高圧側の冷媒は、凝縮器38を介してカスケード熱交換器21のケース側通路21Bに流すので、空調用冷媒回路7の過熱度も適正範囲に維持できる。
【0039】
また、冷却貯蔵設備用冷媒回路9の冷凍用蒸発器49から出た冷媒の圧力は、その蒸発温度が低くなることから冷蔵用蒸発器43を出た冷媒より低くなるが、冷蔵用蒸発器43から出た冷媒と合流させる以前に圧縮機54により圧縮されて昇圧されるので、冷蔵ケース3と冷凍ケース4の庫内を各蒸発器43、49によりそれぞれ円滑に冷却しながら、冷却貯蔵設備用冷媒回路9の圧縮機37に吸い込まれる冷媒の圧力を調整して支障無く運転を行うことができるようになる。
【0040】
ここで、空調用冷媒回路7の室外側熱交換器16の温度は温度センサ29により検出され、その温度データは室外機コントローラ26に取り込まれ、この室外機コントローラ26から主コントローラ56に送信される。また、冷却貯蔵設備用冷媒回路9の凝縮器38の温度は温度センサ57により検出され、その温度データは冷凍機コントローラ32に取り込まれ、この冷凍機コントローラ32から主コントローラ56に送信される。
【0041】
主コントローラ56では、送信された温度データから室外側熱交換器16の温度と凝縮器38の温度の何れかの方が高いかを判断する。そして、高い方の温度に基づき、それに適した送風量が得られる送風機24及び35の回転数の運転データを作成し、室外機コントローラ26と冷凍機コントローラ32に配信する。尚、室外側熱交換器16と凝縮器38の温度が同一の場合には、当該同一の温度に適した送風量が得られる送風機24及び35の回転数の運転データを作成し、室外機コントローラ26と冷凍機コントローラ32に配信する(これらコントローラ56、26、32により室外側熱交換器16及び凝縮器38の温度制御装置が構成される)。
【0042】
室外機コントローラ26と冷凍機コントローラ32は配信された運転データに基づいて各送風機24、35を同一の回転数にそれぞれ制御する。これにより、少なくとも温度の高い方の熱交換器(室外側熱交換器16若しくは凝縮器38)に必要な空冷能力を両送風機24及び35により確保することができるようになる。従って、同一の室外ユニット12内に凝縮器として機能する室外側熱交換器16と凝縮器38を設置している場合にも、少ない送風機で各熱交換器(室外側熱交換器16及び凝縮器38)を適切に空冷することができるようになる。
【0043】
(2)最適運転パターン2:空気調和機の暖房運転(図2)
次に、冬場等の空気調和機6の暖房運転について図2を用いて説明する。主コントローラ56が空気調和機6の暖房運転が最適であると判断した場合、最適運転パターン2に関するデータが室外機コントローラ26、室内機コントローラ28、冷凍機コントローラ32、冷蔵ケースコントローラ50、及び、冷凍ケースコントローラ55に送信される。
【0044】
受信データに基づき、室外機コントローラ26は四方弁14の第1の流通口を第4の流通口に、第2の流通口を第3の流通口に連通させるように切り換える。また、膨張弁17は全閉、膨張弁18は全開とされる。そして、圧縮機13A、13Bを運転する。圧縮機13A、13Bが運転されると、圧縮機13A、13Bの吐出側13Dから吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁14を経て室内側熱交換器27に入る。この室内側熱交換器27には前述の如く図示しない送風機により室内(店内)空気が通風されており、冷媒はここで放熱し、室内空気を加熱する一方自らは凝縮液化する。これにより、室内2(店内)の暖房が行われる。
【0045】
室内側熱交換器27で液化した冷媒は室内側熱交換器27から出て膨張弁18を通り、膨張弁19に至り、そこで絞られて低圧とされた後(減圧)、カスケード熱交換器21の空調側通路21Aに流入し、そこで蒸発して吸熱した後、アキュムレータ23を経て圧縮機13A、13Bの吸込側13Sに吸い込まれる循環を繰り返す。
【0046】
室外機コントローラ26は、カスケード熱交換器21の出入口の冷媒温度、或いは、カスケード熱交換器21の温度に基づいて適正な過熱度となるように膨張弁19の弁開度を調整する。また、室内機コントローラ28は室内側熱交換器27の温度やそこに吸い込まれる空気温度に基づき、室内(店内)温度を設定温度とするよう室内側熱交換器27に通風する送風機を制御する。また、前述同様に室外機コントローラ26により圧縮機13A、13Bの運転が制御される。
【0047】
一方、冷凍機コントローラ32は冷却装置8の冷却貯蔵設備用冷媒回路9の電磁弁39を閉じ、電磁弁41を開く。尚、他の電磁弁は前述した冷房運転時と同様である。即ち、電磁弁46、47、52を開き、電磁弁39、41、53は閉じ、圧縮機37及び54を運転する。
【0048】
これにより、圧縮機37から吐出された高温高圧のガス冷媒は、電磁弁41を経てカスケード熱交換器21のケース側通路21Bに入る。即ち、圧縮機37から吐出された高温高圧のガス冷媒は凝縮器38を介すること無く、直接カスケード熱交換器21のケース側通路21Bに供給される。このケース側通路21Bに入った冷却貯蔵設備用冷媒回路9の冷媒は、カスケード熱交換器21において放熱するので、前述の如く空調側通路21Aで蒸発する空調用冷媒回路7の冷媒によって冷却され、熱量を受け渡す。
【0049】
これにより、空調用冷媒回路7の冷媒は冷却貯蔵設備用冷媒回路9の冷媒の廃熱を汲み上げることになる。冷却貯蔵設備用冷媒回路9は以後、前述と同様の冷媒循環が行われる。
【0050】
このような運転により、空気調和機6の空調用冷媒回路7の暖房運転時には、カスケード熱交換器21で冷却貯蔵設備用冷媒回路9の高圧側冷媒の廃熱を回収して空調用冷媒回路7の室内側熱交換器27に搬送することができるようになる。これにより、空気調和機6の暖房能力の改善を図ることができるようになり、総じて、室内空調と冷蔵ケース3、冷凍ケース4の庫内冷却を行う冷凍システム1の効率改善を図り、省エネ化を図ることが可能となる。
【0051】
特に、空調用冷媒回路7の暖房運転時には、冷却貯蔵設備用冷媒回路9の高圧側の冷媒を、凝縮器38を介すること無くカスケード熱交換器21のケース側通路21Bに流すので、冷却貯蔵設備用冷媒回路9の高圧側冷媒からの廃熱回収を効率的に行い、空調用冷媒回路7の室内側熱交換器27における暖房能力をより一層向上させることができるようになる。
【0052】
(3)最適運転パターン3:空気調和機の暖房運転時の冷却装置のカスケード熱交換器における放熱過剰時の制御(図3)
ここで、上述の如き空気調和機6の暖房運転時に、室内(店内)空気の負荷が小さく、暖房能力が過大となると、室外機コントローラ26は室内温度の情報に基づいて圧縮機13Bの運転周波数を低下させ、暖房能力を低下させていく。一方、このような制御を行っても、冷却装置8の冷却貯蔵設備用冷媒回路9のカスケード熱交換器21における放熱量(廃熱)が必要以上に大きい場合には、空気調和機6の暖房能力が過剰となる。
【0053】
係る場合には、冷凍機コントローラ32は図2から図3の状態に流路を切り換える。即ち、この場合冷凍機コントローラ32は電磁弁39を開く。他の運転状態は図2と同様である。電磁弁39が開放されると、圧縮機37から吐出された高温高圧のガス冷媒が電磁弁41からカスケード熱交換器21に向かうものから一部分流し、凝縮器38に流入するようになる。即ち、冷却貯蔵設備用冷媒回路9の高圧側の冷媒の一部は凝縮器38にて放熱した後、電磁弁39を経てカスケード熱交換器21に至ることになる。
【0054】
このように、空調用冷媒回路7の暖房運転時に、冷却貯蔵設備用冷媒回路9のカスケード熱交換器21における冷媒の放熱量が過大となる場合には、冷却貯蔵設備用冷媒回路9の高圧側の冷媒の一部を凝縮器38に流せば、冷却貯蔵設備用冷媒回路9の高圧側の冷媒の一部を凝縮器38にて放熱させ、カスケード熱交換器21で冷却貯蔵設備用冷媒回路9の冷媒から放出される熱量を低下させて空調用冷媒回路7の過剰な暖房能力を調節することができるようになる。特に、この場合には空調用冷媒回路7における冷媒循環を通常の暖房運転時から変更する必要がないので、空調用冷媒回路7の暖房運転も安定的なものとなる。尚、カスケード熱交換器21における冷却貯蔵設備用冷媒回路9の放熱量が空調用冷媒回路7にとって過剰でなくなれば、冷凍機コントローラ32は各電磁弁を図2の状態に復帰させる。
【0055】
(4)最適運転パターン4:空気調和機の暖房運転時の冷却装置のカスケード熱交換器における放熱不足時の制御(図4)
一方、図2に示す如き空気調和機6の暖房運転時に、室内(店内)空気の負荷が大きくなると、室外機コントローラ26は室内温度の情報に基づいて圧縮機13Bの運転周波数を上昇させ、暖房能力を増大させていく。しかしながら、このような制御を行っても、冷却装置8の冷却貯蔵設備用冷媒回路9のカスケード熱交換器21における放熱量(廃熱)が不足する場合には、空気調和機6の暖房能力は不足するようになる。
【0056】
係る場合には、室外機コントローラ26は図2から図4の状態に流路を切り換える。即ち、この場合室外機コントローラ26は膨張弁17を開いてその開度調節を行う。他の運転状態は図2と同様である。これにより、膨張弁18を経た冷媒の一部が膨張弁19及びカスケード熱交換器21に向かうものから分流し、膨張弁17で絞られた後、室外側熱交換器16に流入するようになる。即ち、空調用冷媒回路7の低圧側の冷媒の一部は室外側熱交換器16にて蒸発し、外気から吸熱した後、四方弁14の第2の流路口から第3の流路口を通過し、逆止弁22、アキュムレータ23を経て圧縮機13A、13Bの吸込側13Sに戻ることになる。
【0057】
このように、空調用冷媒回路7の暖房運転時に、冷却貯蔵設備用冷媒回路9のカスケード熱交換器21における冷媒の放熱量が不足する場合には、空調用冷媒回路7の低圧側の冷媒の一部を室外側熱交換器16に流すようにしたので、室外側熱交換器16にて外気からも熱を汲み上げることができるようになる。外気から汲み上げられた熱量は、圧縮機13A、13Bにより、カスケード熱交換器21に汲み上げられた冷却貯蔵設備用冷媒回路9からの熱量と共に室内側熱交換器27に搬送されることになる。
【0058】
これにより、冷却貯蔵設備用冷媒回路9のカスケード熱交換器21における冷媒の放熱量が不足する場合にも、空調用冷媒回路7の室内側熱交換器27における暖房能力を確保することができるようになる。
【0059】
次に、図9は冷却貯蔵設備用冷媒回路9の第1の圧縮機37及びオイルセパレータ31の概略構成を示している。尚、第2の圧縮機54とオイルセパレータ45も基本構成は同一であるので図9では圧縮機37について説明する。この図において、圧縮機37の密閉容器61内にはモータから成る駆動要素62と、この駆動要素62の下側には、駆動要素62の回転軸にて回転駆動される回転圧縮要素63が設けられている。この回転圧縮要素63により吸込側の配管64から吸込側37Sに吸い込まれた冷媒は圧縮され、吐出弁66から密閉容器61内に吐出される。
【0060】
密閉容器61内に吐出された冷媒中には圧縮機37内の潤滑とシールを確保するためのオイルが溶け込んでおり、密閉容器61上部の吐出側の配管67より密閉容器61から出てオイルセパレータ31に入る。オイルセパレータ31は所定容量のタンク68から構成されており、このタンク68内には下から冷媒流出用の配管69が挿入され、タンク68内上部にて開放している。更に、タンク68の下端から所定の高さの位置(配管69の上端より下方)の配管69には流出孔72が穿設されている。
【0061】
また、タンク68の底部にはオイル戻し用の細管71が引き出され、配管64に接続されている。更に、密閉容器61の吐出弁66の高さ位置にはオイルリリーフ管73が引き出され、配管67に接続されている。
【0062】
ここで、冷却貯蔵設備用冷媒回路9では、上述したように第1の圧縮機37と第2の圧縮機54とが直列に接続されたかたちとなる。そして、各圧縮機37、54の吐出側37D、54Dにはそれぞれオイルセパレータ31、45が接続されている。従って、各圧縮機37、54から冷媒と共に吐出されたオイルは、各オイルセパレータ31、45のタンク68内に流入し、オイルはタンク68内底部に溜まり、冷媒は配管69上端から流出していく。これによって、オイル分離が成され、分離されたオイルは細管71を通って配管64から密閉容器61に戻されることになる。
【0063】
しかしながら、一部のオイルはどうしても冷媒に溶け込んだ状態で冷媒回路中を循環するため、冷却貯蔵設備用冷媒回路9の如く圧縮機37と54とが冷媒回路において直列に接続されると、次第に何れか一方のオイルセパレータ31若しくは45にオイルが多量に貯溜され、他方は少なくなると云う偏り現象が生じてくる。特に、実施例のように第1の圧縮機37の方が出力が大きい場合には、オイルセパレータ31にオイルが多く溜まり、オイルセパレータ45には溜まりにくくなる。
【0064】
このような状態になると、オイルが少ない方のオイルセパレータ31若しくは45の圧縮機37若しくは54にはオイルが戻り難くなるため、オイル枯渇が生じ、潤滑性やシール性が低下する問題が生じる。一方、オイルが偏って場合には両オイルセパレータ31、45でオイルの分配を行えば解消できるが、冷却貯蔵設備用冷媒回路9の第1の圧縮機37は室外ユニット12に設けられ、第2の圧縮機54は室外ユニット12とは別のユニットである冷凍ケース4に設けられているので、オイルセパレータ同士を連通させることは困難である。
【0065】
そこで、前述した如くタンク68内で起立する配管69の所定高さの位置に流出孔72を設ける。これにより、タンク68内に溜まったオイルのレベルがこの流出孔72まで上昇すると、オイルは配管69に流入して冷却貯蔵設備用冷媒回路9内に流出していき、やがてオイルが少ない方のオイルセパレータの圧縮機に戻されることになる。これにより、オイルセパレータ31及び45内のオイルレベルは流出孔72の高さまでの規定量で制限されることになるので、係る偏りは解消され、両圧縮機37、54においてオイルの枯渇の発生を防止できるようになる。
【0066】
尚、圧縮機からのオイル吐出量は出力の大きい第1の圧縮機37の方が多くなるため、前述した如くオイルは第1の圧縮機37のオイルセパレータ31に偏って多く溜まるようになる。従って、オイルセパレータ31のみを設けて流出孔72を形成し、第2の圧縮機54のオイルセパレータ45は省略してもよい。また、密閉容器61の吐出弁66の高さの位置にはオイルリリーフ管73があり、密閉容器61内のオイルレベルがオイルリリーフ管73まで至ると、このオイルリリーフ管73を通って配管67に流出し、冷却貯蔵設備用冷媒回路9中に出ていくことになる。これにより、密閉容器61内のオイルレベルはオイルリリーフ管73の開口位置(吐出弁66の高さ)以上とはならず、その高さに規定されるので、何れか一方の圧縮機37、54の密閉容器61内に偏って過剰にオイルが溜まる不都合も解消される。
【0067】
(5)最適運転パターン5及び6:冷凍ケースの霜取り運転(図5、図6)
ここで、冷凍ケース4の冷凍用蒸発器49は凍結温度で運転され、着霜が生じるため、冷凍ケースコントローラ55は例えば定期的に冷凍用蒸発器49の霜取りを行う。この霜取り運転では、空気調和機6が冷房運転している場合、室外機コントローラ26は図1の状態から空調用冷媒回路7の膨張弁19を閉じる(最適運転パターン5:図5)。また、暖房運転している場合には、図2の状態から膨張弁19を閉じ、膨張弁17を開いて開度調整を行う(最適運転パターン6:図6)。これにより、カスケード熱交換器21の空調側通路21Aには冷媒が流れなくなる。
【0068】
一方、冷却装置8の各コントローラ32、50、55は冷却貯蔵設備用冷媒回路9の電磁弁39を閉じ、電磁弁41を開く。また、電磁弁52、47を閉じ、電磁弁53を開く。尚、圧縮機54は運転を停止する。
【0069】
これにより、圧縮機37から吐出された高温高圧のガス冷媒の全てが電磁弁41を経てカスケード熱交換器21を通過し(このときには空調用冷媒回路7からの熱の授受は無い)、分流すること無く、電磁弁53を通り、冷凍用蒸発器49に入ることになる。即ち、冷凍用蒸発器49には高温のガス冷媒が流入することにより、冷凍用蒸発器49は強力に加熱されて霜が迅速に融解されていく。
【0070】
他方、冷媒はここで凝縮される。そして、冷凍用蒸発器49を出た後、逆止弁48、電磁弁46を経て膨張弁44に至る。この膨張弁44で冷媒は絞られた後(減圧)、冷蔵用蒸発器43に流入し、そこで蒸発する。この冷蔵用蒸発器43を出た低温のガス冷媒は同様にオイルセパレータ45の出口側に至り、その後圧縮機37の吸込側37Sに吸い込まれる循環を繰り返すようになる。
【0071】
このように、冷凍用蒸発器49の霜取り時、冷却貯蔵設備用冷媒回路9の高圧側の冷媒を冷凍用蒸発器49に流した後、減圧して冷蔵用蒸発器43に供給するので、冷却貯蔵設備用冷媒回路9の高圧側冷媒の廃熱で冷凍ケース4の冷凍用蒸発器49の霜取りを行いながら、そこで凝縮した冷媒を用いて冷蔵用蒸発器43により冷蔵ケース3の冷却を行うことができるようになり、効率的な運転を実現して省エネ化を図ることができるようになる。
【0072】
特に、この場合には冷却貯蔵設備用冷媒回路9の高圧側の冷媒を、凝縮器38に介すること無く冷凍用蒸発器49に流すので、圧縮機37から吐出された高温のガス冷媒を冷凍用蒸発器49に供給して迅速な霜取りを実現することができるようになる。
【0073】
また、冷凍用蒸発器49の霜取りを行う際には、空調用冷媒回路7の冷媒をカスケード熱交換器21に流さないので、冷却貯蔵設備用冷媒回路9の高圧側冷媒の熱がカスケード熱交換器21において空調用冷媒回路7側に奪われることが無くなり、冷凍用蒸発器49の霜取りを円滑に行うことができるようになる。
【0074】
(6)最適運転パターン7及び8:冷却装置の圧縮機故障時の運転(図7、図8)
ここで、冷却装置8の冷却貯蔵設備用冷媒回路9の圧縮機37が故障し、運転不能状態に陥った場合、空気調和機6が冷房運転している場合、室外機コントローラ26は図1の各弁の状態を維持し(図7)、暖房運転している場合は図2の状態から膨張弁17を開いて開度調整を行う(図8)。
【0075】
一方、冷却装置8の各コントローラ32、50、55は冷却貯蔵設備用冷媒回路9の電磁弁39、41、46、47及び53を閉じ、電磁弁52を開く。そして、圧縮機54を運転する(図7が最適運転パターン7、図8が最適運転パターン8)。
【0076】
冷却貯蔵設備用冷媒回路9の各電磁弁が図7や図8の状態となることにより、冷媒は圧縮機54とカスケード熱交換器21及び冷凍用蒸発器49の間で循環されるようになる。即ち、圧縮機54で圧縮された冷媒は、逆止弁42を経てカスケード熱交換器21のケース側通路21Bに至り、そこで空調用冷媒回路7の冷媒の蒸発によって冷却され、凝縮される。
【0077】
凝縮された液冷媒は電磁弁52を経て膨張弁51に至り、そこで絞られて低圧となり、冷凍用蒸発器49に流入して蒸発する。これにより、冷凍ケース4の庫内は前述の如く冷却されることになる。この冷凍用蒸発器49を出た冷媒は再び圧縮機54に吸い込まれ、カスケード熱交換器21に向けて吐出される循環を繰り返す。
【0078】
このように、冷却貯蔵設備用冷媒回路9の圧縮機37の故障時、圧縮機54により、カスケード熱交換器21と冷凍用蒸発器49の間で冷媒を循環させることにより、冷却貯蔵設備用冷媒回路9の圧縮機37が故障した場合でも、カスケード熱交換器21で冷媒を凝縮させて冷凍用蒸発器49で冷媒を蒸発させることができるようになる。これにより、係る異常時にも少なくとも冷凍ケース4の冷却を確保し、温度上昇で変質し易いアイスクリームや冷凍食品などの商品の損害を防止若しくは最小限に抑えること可能となる。
【0079】
(7)通信異常時の運転
前述の如く主コントローラ56は室外機コントローラ26、室内機コントローラ28、冷凍機コントローラ32、冷蔵ケースコントローラ50、及び、冷凍ケースコントローラ55とデータ通信可能に接続され、各コントローラから現在の運転状態に関するデータを受信して収集し、受信データに基づき、その時点での最適な運転パターンを決定し、この最適運転パターンに関するデータ及び各機器の運転データを室外機コントローラ26、室内機コントローラ28、冷凍機コントローラ32、冷蔵ケースコントローラ50、及び、冷凍ケースコントローラ55に送信する。
【0080】
そして、室外機コントローラ26、室内機コントローラ28、冷凍機コントローラ32、冷蔵ケースコントローラ50、及び、冷凍ケースコントローラ55は主コントローラ56から受信した最適運転パターンに関するデータ及び各機器の運転データに基づいて前述した制御動作を実行するものであるため、主コントローラ56と室外機コントローラ26、室内機コントローラ28、冷凍機コントローラ32、冷蔵ケースコントローラ50、及び、冷凍ケースコントローラ55との間のデータ通信が絶たれた場合には、主コントローラ56からのデータの配信が成されなくなる。
【0081】
そこで、室外機コントローラ26、室内機コントローラ28、冷凍機コントローラ32、冷蔵ケースコントローラ50、及び、冷凍ケースコントローラ55には予め空調系統、冷蔵系統及び冷凍系統の各系統を安全に運転することができる制御データがデフォルトとしてそれぞれ格納されている。そして、主コントローラ56との間のデータ通信が断たれた場合には、このデフォルトの制御データに基づき、室外機コントローラ26、室内機コントローラ28、冷凍機コントローラ32、冷蔵ケースコントローラ50、及び、冷凍ケースコントローラ55は自らが保有するデフォルトの制御データを使用して各機器の運転を制御する。これにより、デフォルトの制御データとして、各系統を可能な限り省エネ運転可能なものを予め実験により求めておくことにより、係る通信異常時にも空気調和機6及び冷却装置8の適切且つ省エネを考慮した運転を実現する。
【0082】
尚、主コントローラ56との間の通信が回復した場合、室外機コントローラ26、室内機コントローラ28、冷凍機コントローラ32、冷蔵ケースコントローラ50、及び、冷凍ケースコントローラ55は主コントローラ56から受信したデータによる制御に復帰するものである。
【0083】
また、実施例ではコンビニエンスストアを例にあげて本発明を説明したが、それに限らず、室内の空調と冷却貯蔵設備の冷却を行う種々の冷凍システムに本発明は有効である。更に、実施例で示した各設定値や配管構成はそれに限定されるものでは無く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0084】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明によれば、室内空調を行うための空調系統と、この空調系統と熱的に結合されると共に、冷却貯蔵設備の庫内冷却を行うための冷却貯蔵設備系統とから構築され、空調系統の運転制御を行う空調系統制御手段と、冷却貯蔵設備系統の運転制御を行う冷却貯蔵設備系統制御手段と、空調系統制御手段及び冷却貯蔵設備系統制御手段から運転状態に関するデータを受信し、当該受信データに基づいて各系統の最適運転パターンに関するデータを生成して空調系統制御手段及び冷却貯蔵設備系統制御手段に送信する主制御手段とを備え、空調系統制御手段及び冷却貯蔵設備系統制御手段は、主制御手段からの最適運転パターンに関するデータに基づいて各系統の運転をそれぞれ制御すると共に、主制御手段との間の通信が絶たれた場合には、自らが保有するデフォルトの制御データにて各系統の運転をそれぞれ制御するようにしたので、主制御手段と各系統の制御手段との間で通信異常が発生した際にも空調系統及び冷却貯蔵設備系統を安全に運転制御することが可能となる。
【0085】
特に、請求項2の如く空調系統が、圧縮機、熱源側熱交換器及び利用側熱交換器等から構成され、冷却貯蔵設備系統が、圧縮機、凝縮器及び蒸発器等から構成されており、空調用冷媒回路の低圧側と冷却貯蔵設備用冷媒回路の高圧側とを熱交換させるカスケード熱交換器により熱的に結合した冷凍システムにおいては、係る通信異常時にもデフォルトの制御データにより、可能な限り適切且つ省エネを考慮した運転で各系統を制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した実施例の冷凍システムの冷媒回路を含むシステム構成を説明する図である(空気調和機の冷房運転時)。
【図2】本発明を適用した実施例の冷凍システムの空気調和機の暖房運転を説明する図である。
【図3】本発明を適用した実施例の冷凍システムの空気調和機の暖房運転時に冷却装置のカスケード熱交換器における放熱量が過大となった場合の運転を説明する図である。
【図4】本発明を適用した実施例の冷凍システムの空気調和機の暖房運転時に冷却装置のカスケード熱交換器における放熱量が不足する場合の運転を説明する図である。
【図5】本発明を適用した実施例の冷凍システムの空気調和機の冷房運転時の冷凍ケースの霜取り運転を説明する図である。
【図6】本発明を適用した実施例の冷凍システムの空気調和機の暖房運転時の冷凍ケースの霜取り運転を説明する図である。
【図7】本発明を適用した実施例の冷凍システムの空気調和機の冷房運転時の冷却装置の圧縮機故障の際の運転を説明する図である。
【図8】本発明を適用した実施例の冷凍システムの空気調和機の暖房運転時の冷却装置の圧縮機故障の際の運転を説明する図である。
【図9】本発明を適用した実施例の冷凍システムの冷却貯蔵設備用冷媒回路の圧縮機とオイルセパレータの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1 冷凍システム
3 冷蔵ケース
4 冷凍ケース
6 空気調和機
7 空調用冷媒回路
8 冷却装置
9 冷却貯蔵設備用冷媒回路
13A、13B、37、54 圧縮機
14 四方弁
16 室外側熱交換器
21 カスケード熱交換器
28 室内側熱交換器
31、45 オイルセパレータ
38 凝縮器
43 冷蔵用蒸発器
49 冷凍用蒸発器
72 流出孔
73 オイルリリーフ管
Claims (2)
- 室内空調を行うための空調系統と、該空調系統と熱的に結合されると共に、冷却貯蔵設備の庫内冷却を行うための冷却貯蔵設備系統とから構築され、
前記空調系統の運転制御を行う空調系統制御手段と、
前記冷却貯蔵設備系統の運転制御を行う冷却貯蔵設備系統制御手段と、
前記空調系統制御手段及び冷却貯蔵設備系統制御手段から運転状態に関するデータを受信し、当該受信データに基づいて前記各系統の最適運転パターンに関するデータを生成して前記空調系統制御手段及び冷却貯蔵設備系統制御手段に送信する主制御手段とを備え、
前記空調系統制御手段及び冷却貯蔵設備系統制御手段は、前記主制御手段からの最適運転パターンに関するデータに基づいて前記各系統の運転をそれぞれ制御すると共に、前記主制御手段との間の通信が絶たれた場合には、自らが保有するデフォルトの制御データにて各系統の運転をそれぞれ制御することを特徴とする冷凍システム。 - 前記空調系統は、圧縮機、熱源側熱交換器及び利用側熱交換器等から構成され、前記冷却貯蔵設備系統は、圧縮機、凝縮器及び蒸発器等から構成されると共に、
前記空調用冷媒回路の低圧側と前記冷却貯蔵設備用冷媒回路の高圧側とを熱交換させるカスケード熱交換器により熱的に結合されていることを特徴とする請求項1の冷凍システム。
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JP2006145115A (ja) * | 2004-11-19 | 2006-06-08 | Daikin Ind Ltd | 換気制御装置 |
WO2011105489A1 (ja) * | 2010-02-25 | 2011-09-01 | 三洋電機株式会社 | 冷設機器の制御装置 |
EP2169337A3 (en) * | 2008-09-25 | 2016-10-05 | Sanyo Electric Co., Ltd. | Controller for cooling system |
-
2003
- 2003-03-11 JP JP2003065414A patent/JP2004271125A/ja active Pending
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