JP2004271072A - 高温加熱炉 - Google Patents
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Abstract
【課題】高真空、高温雰囲気、または、高純度の若干の希ガス雰囲気下における高温での熱処理を行うことができる高温加熱炉を提供する。
【解決手段】真空高温加熱炉において、真空高温炉の内部が2槽以上の複数の分離された槽からなり、その複数の槽内部が主加熱槽1と予備加熱槽2から構成される。予備加熱槽2が主に試料6に吸着したガスと試料6に内蔵するガスの脱ガスのため室温から800℃に加熱される。脱ガス終了後、試料6は、常に10−3Pa以下の圧力で、800℃〜2600℃の温度に加熱真空排気されて、清浄高温下に保持されている主加熱槽1に速やかに移動することにより、最適処理温度800℃〜2600℃の高温かつ高純度雰囲気にて熱処理する。
【選択図】 図2
【解決手段】真空高温加熱炉において、真空高温炉の内部が2槽以上の複数の分離された槽からなり、その複数の槽内部が主加熱槽1と予備加熱槽2から構成される。予備加熱槽2が主に試料6に吸着したガスと試料6に内蔵するガスの脱ガスのため室温から800℃に加熱される。脱ガス終了後、試料6は、常に10−3Pa以下の圧力で、800℃〜2600℃の温度に加熱真空排気されて、清浄高温下に保持されている主加熱槽1に速やかに移動することにより、最適処理温度800℃〜2600℃の高温かつ高純度雰囲気にて熱処理する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高真空高温雰囲気または、高純度の若干の希ガス雰囲気高温における、結晶成長、化学反応、成膜等の何らかの化学変化、及び、物理変化を求める高純度雰囲気高温炉に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、結晶成長炉、化学反応炉、CVD等の真空中及び、ガス雰囲気中での高温処理には、炭素ヒーターによる加熱、金属ヒーターによる加熱、高周波誘導加熱、太陽炉、ランプ集光型加熱等が加熱手段として使用されてきた。
【0003】
また高温処理工程において従来使用される熱処理装置の一般的な形状としては、単槽型の上記装置があった他に、試料の高速で熱処理に対応する為の半連続炉、連続炉等があった。
【0004】
これら、従来の各種目的の製造工程に使用されていた熱処理装置としては、例えば、特許文献1に記載のように、真空熱処理装置に接続するロードロック室を設けることにより、超高真空雰囲気まで真空排気時間が短くて済むなどの特徴を有する熱処理装置がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−260738号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のこれらの高温炉の場合、次の大きな問題点があった。
一槽型の高温炉の場合、試料の加熱最適領域が1500℃〜2600℃の高温の時、試料を急速に、かつ、均一に高温加熱が難しいという欠点があった。
また、試料の性質によっては、加熱の初期段階において、試料に吸着している水素等の吸着ガス、試料内部の内蔵ガスの加熱初期段階における多量の放出ガスの発生があり、高温炉中の高純度な処理雰囲気を破壊して、不純物ガスの多い劣悪な雰囲気になる場合もあった。
また、熱処理温度が1500℃以上の高温の場合、試料が対流の無い高真空(低圧力)下の場合または、室温に近い作業温度まで、容易に低下しないという欠点があった。
さらに、通常使用されている連続処理炉の場合は、試料の均熱領域が狭く、かつ、その均熱領域内の温度制御が難しいという欠点があった。
また熱処理温度が1500℃以上の高温の場合、加熱源としてグラファイト、また加熱源を取り巻く保温材として、グラファイトが一般的に使用される場合が多いが、装置内を真空(10−3Pa以下の低圧力)と大気圧とを往復する事により、グラファイト自身がガスの吸着、吸収ガスの放出の主要原因となる場合が多かった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高真空(低圧力)、高温雰囲気、または、高純度の若干の希ガス雰囲気下における高温での熱処理を行うことができる高温加熱炉を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために次の構成としてある。
請求項1に記載の発明は、真空高温加熱炉において、高温炉の内部が2槽以上の複数の分離された槽からなり、その複数槽内部が主加熱槽と予備加熱槽から構成されている。
そして予備加熱槽が主に試料に吸着したガスと試料に内蔵するガスの脱ガスのため室温から800℃に加熱され、脱ガス終了後、予め加熱真空排気されて、清浄高温下に保持されている主加熱槽に速やかに移動される。
また主加熱槽は常に10−3Pa以下の圧力、または、一度、10−3Pa以下の圧力に到達し後、若干の不活性ガスを導入し、大気圧から10−3Paまでの任意の圧力の希薄ガス雰囲気下で800℃〜2600℃の高温に常に加熱されており、予備加熱槽が試料の出し入れのための大気圧から、主加熱槽との間で試料を移動させるために必要な、主加熱槽と同等の10−3Pa以下の圧力下の間で排気可能な機能を有し、室温から800℃の温度に試料を予備加熱した後、主加熱槽に早く移動することにより、試料の最適処理温度1800℃〜2600℃の高温かつ高純度雰囲気を速やかに達成することができるように構成してある。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の高温加熱炉において、主加熱槽の処理温度が1800℃〜2600℃の高純度雰囲気での、高温炉の発熱部がWまたはTaの高融点金属からなり、高温領域を取り巻く、熱反射及び保温領域の構成材料が、W,Ta,Moの中から選択した高融点金属材料からなる複合構造に構成されている。
また熱遮断領域の構成材料の高融点金属の表面に発熱部の発光波長領域を反射する波長が0.4〜3.5μmの中の任意の波長領域の赤外線反射膜が形成されている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の高温加熱炉において、主加熱槽のヒーター部を取り巻く高融点金属板で構成される保温領域が、保温層と熱線反射層からなる複合構造になっている。また、各層が高温保持及び熱線反射する機能を有し、保温領域を構成する高融点金属板表面を、WC、TaC、MoC、ZrC、HfC、BNなどの高耐熱性金属炭化物、または、金属窒化物によって単独、もしくは、複合で被覆することで、高融点金属の劣化、変形を防止することができるように構成されている。
また、熱線反射層となる高融点金属表面をAuなどの赤外線反射膜で被覆することで、WやTaヒーター等から発する0.4〜3.5μmの任意の波長エネルギー領域を高効率で反射する機能を有し、試料を急速に加熱、かつ高温保持が可能となるよう構成されている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、試料を急速に加熱するため、加熱室が主加熱槽と予備加熱槽の二つに分かれ、かつ、高純度な雰囲気を維持するため、各々の室内が個々の独立した真空排気系と、あるいは個々の独立したガス導入系、及び大気圧雰囲気に維持可能で、かつ、主加熱槽と予備加熱槽が、真空バルブの開閉によって、一体化と分離とを相互に維持できるようになっている。
また主加熱槽が常用時に常に10−3Pa以下の圧力、または、大気圧から10−3Paまでの任意の圧力の希ガス雰囲気中に保持されており、更に800℃〜2600℃の高温状態に保持されている。そして、予備加熱槽が室温〜1000℃の温度範囲に保持されている状態において、試料等から発生する内蔵ガスを吸着するためのコールドトラップが内装され、加熱終了後の高温から室温に速やかに冷却するための急冷用ガス循環装置が内蔵されている。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の高温加熱炉において、予備加熱槽の加熱源が、短時間に急速に加熱するために、試料に近赤外線を集光するための反射鏡を持つ、ハロゲン及びXeランプまたはランプの風袋外面に赤外線発生機能膜を付加した赤外線加熱ランプを用いて構成してある。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項4及び請求項5に記載の高温加熱炉において、主加熱槽の加熱部が高融点金属からなる円筒状の主ヒーターと平面状の補助ヒーターとから構成されている。
この2つのヒーターの加熱コントロールと試料位置の変化によって、円盤状の均熱領域内の温度の均熱性向上と円盤状加熱領域内における面内方向に温度勾配を設け、任意の温度勾配制御の2つの目的を可能としてある。
【0014】
上記した発明によると、次に記載の作用効果がある。
前述したように加熱源、また加熱源を取り巻く保温材として、グラファイトを使用すると、処理槽が10−3Pa以下の圧力と大気圧を往復する事により、グラファイト自身がガスの吸着、吸収ガスの放出の主要原因となる場合が多かったため、発熱体、保温用反射板としてガス吸着の少ない高融点金属のタングステン(W)を主として用いた。Wヒーターの発する波長エネルギーは、次の式によって表される。
Wの波長エネルギー=Wの分光放射率×理想黒体の波長エネルギー
なお、理想黒体の波長エネルギーはPlankの放射則から容易に求めることが可能である。また、分光放射率は文献“The Science Of Incandescence”著者“Dr. Milan R. Vukcevich”に記載されている下式より算出した。
ε〔λ、T〕=a〔λ〕−b〔λ、T〕{(T−1600)/1000}
ここで、ε:放射率、λ:波長〔μm〕、T:温度〔K〕とした。
【0015】
Plankの放射則によるWの高温領域1800℃〜2600℃の波長エネルギー特性を図1に示す。
【0016】
図1の結果から、Wの高温領域1800℃〜2600℃での波長エネルギーは、1.0〜1.5μmの間でピークを持ち、0.4〜3.5μmの波長領域の間に波長エネルギーのほとんどが入っていることがわかる。つまり、波長0.4〜3.5μmにおいて高い反射特性を有する反射材料が炉体内の試料の高効率な加熱を可能とする。
【0017】
また、この温度領域において使用可能な金属と化合物のいくつか例を表1に示した。これらを参考として、Wをヒーターとして、W及びTaを赤外線領域を主とした波長が0.4〜3.5μmの反射板として用いた。
【0018】
【表1】
【0019】
本発明に係る高温加熱炉は、加熱槽として、主加熱槽と予備加熱槽に分け、各々の作業分担を明確に分ける事により、最適処理温度の主加熱槽内の高純度雰囲気を保ち最適な処理条件を維持できるようにした。
【0020】
ここで、予備加熱槽は、試料を10−3Pa以下の圧力下において予め800℃以上に加熱することにより、アウトガスの除去と中間段階までの昇温を行うものである。また、主加熱槽は、試料を10−3Pa以下の圧力下において短時間に最適処理温度、例えば1800℃以上に加熱するものである。
【0021】
主加熱槽と予備加熱槽間の試料の移動には、空気起動による直線移動または、モーター駆動による円移動による1分以内の高速移動が可能である。また、主加熱槽内において、新たなガス放出があった場合、同槽専用の十分な排気能力を持つ真空ポンプを設置することにより、汚染ガスを速やかに槽外部へ除去する事が出来るものである。さらに、予備加熱槽内にコールドトラップ等の補助的な物理吸着除去機構を併設する事により主加熱槽内に設けられているヒーター、反射板等の劣化をさらに完全に防止することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る高温加熱炉の実施例を説明する。
【0023】
図2は、本発明に係る高温加熱炉の第1の実施形態例に係る高温加熱炉の主要部の断面図である。図2に示すように、本実施形態例に係る高温加熱炉は、主加熱槽1と、予備加熱槽2と、これら主加熱槽1と予備加熱槽2とを連通及び分離可能とする真空バルブ9と、試料6をこれら主加熱槽1と予備加熱槽2間を移動させることが可能な治具及び昇降テーブル7とを主要部として構成されている。主加熱槽1及び予備加熱槽2内には、それぞれ高融点金属主加熱ヒーター3、予備加熱ヒーター4が設けられている。また、主加熱槽1内には、高融点金属主加熱ヒーター3による加熱を効率的に行うことを可能とする高融点金属反射板5が設けられている。また、予備加熱槽2内には吸着トラップ8が設けられており、予備加熱槽2内の圧力を所定の圧力に維持することを可能としている。また、ヒーター3は、図示しないが円筒状の主ヒーターと平面状の補助ヒーターとからなり、この2つのヒーターの加熱コントロールと試料位置の変化によって、円盤状の均熱領域内の温度の均熱性向上と円盤状加熱領域内における面内方向に温度勾配を設けることが可能である。
【0024】
主加熱槽1及び予備加熱槽2内の加熱源、また加熱源を取り巻く保温材には、ガス発生の原因となるグラファイトの使用を避け、発熱体、保温用反射板としてガス吸着の少ない高融点金属のタングステン(W)が主に用いられている。
【0025】
図2に示す本実施形態例に係る高温加熱炉は、まず、予備加熱槽2に試料6が設置されると予備加熱槽2は大気圧から図示しない真空ポンプによって真空に排気されつつ、試料6に吸着したガスと試料6に内蔵するガスの脱ガスのため、予備加熱ヒーター4によって、室温から800℃に加熱され、吸着ガス及び内蔵ガスが槽外に真空ポンプによって排気される。
【0026】
そして、試料6の脱ガス終了後、予め加熱、真空排気されて、清浄高温下に保持されている主加熱槽1に1分以内に移動される(図2(b)参照)。移動に際しては、真空バルブ9を開き、昇降テーブル7を上昇させることで行う。なお、主加熱槽1は常に10−3Pa以下の圧力の高真空または、一度、高真空に到達した後、若干の不活性ガスを導入し、10−2Paに設定した希薄ガス雰囲気下で800℃〜2600℃の高温に常に維持されている。
【0027】
次いで、試料6の移動終了後、試料6の最適処理温度1800℃〜2600℃の高温を速やかに達成し、かつ、予め加熱されているため、均一な高温状態を必要な処理時間の間維持する事ができる。また、高融点反射金属板5が設けられているため、熱輻射によって、試料6を効率よく加熱することができる。
【0028】
図3は、Wの分光放射率と反射率の図である。図中の分光放射率は前述の文献“The Science Of Incandescence”著者“Dr. Milan R. Vukcevich”に記載されている下式より算出した。
ε〔λ、T〕=a〔λ〕−b〔λ、T〕{(T−1600)/1000}
ここで、ε:放射率、λ:波長〔μm〕、T:温度〔K〕とした。また、図3中の反射率については、下式のキルヒホッフの法則より算出した。
R=1−ε
ここで、R:反射率、ε:放射率とした。
【0029】
図1より2200℃におけるW放射の波長エネルギーのピークは約1.1μmであり、このときのWの反射率は0.65である。また、比較的波長エネルギーの高い1.1〜3.0μmの領域では、波長が長くなるにつれて反射率は増加し、3.0μmにおいては0.8に達する。すなわち、清浄な高純度雰囲気でのWヒーターの反射板としてWの反射特性は十分であるといえる。
【0030】
また、図3のWの高温下における放射率と反射率の関係特性から、Wヒーター及び試料を取り巻く、金属反射板5の設計例を表2に示す。各反射板5は、ヒーター3および試料6を密閉状態で囲み、かつ、各反射板5の間隔は3mmである。また、高融点金属反射板5の上に形成される高耐熱金属酸化物及び、赤外線反射膜の構成例を表3に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
ここで、高融点金属であるWは、融点が約3400℃であり、Moは約2620℃である。また、本実施形態で例として上げたWCは約2720℃であり、Auは約1060℃である。そのため、W上に高融点であり、基材と馴染みの良いWCを使用し、Mo上に融点の比較的低いAuを用いた。WCの近赤外線領域の反射率は成膜条件にもよる平滑な平面状態では比較的高い。同領域でのAuは反射率95%以上の高反射材料であるが、融点が低いため、中温領域から後半(外側)のMo上に成膜した。図7に、Au反射層の0.4〜3.5μm波長領域における分光反射特性を示す。
【0034】
図5に本発明に係る高温加熱炉の第2の実施形態例を示す。図5に示す本実施形態例における予備加熱槽2は、ハロゲンランプ又はロッドヒーター4が設けられ、急速に800〜1800℃程度にまで加熱が可能なランプ又はロッドヒーター式加熱炉になっている。また、予備加熱室2の両脇に試料を複数個装填出来るカセット10が配置され、一方に処理前、他方に処理済の試料が置かれ、カセットを装填している入出槽11と、予備加熱室2aは真空バルブ9で仕切られている。主加熱槽1には高融点金属でできたヒーター3、例えば、Wのメッシュ状のヒーターと、高融点金属からなる金属反射板5で構成されている。
【0035】
本実施形態例に係る高温加熱炉は、未処理の試料が複数個装填してあるカセット10から試料6が治具及び昇降テーブル7に乗せられ、予備加熱槽2で、800℃以上に予め加熱された後、予備加熱室2と主加熱槽との圧力調整が済み次第、予備加熱槽2と主加熱槽1との間の真空バルブ9が開き、試料6と治具及び昇降テーブル7が移動し主加熱槽1にて2000℃で処理される。
【0036】
主加熱槽1にて処理が終了すると、治具及び昇降テーブル7が降り、予備加熱槽2と主加熱槽1との間の真空バルブ9が閉じる。そして、加熱処理済の試料を受けるカセット10に試料が搬送される。これを繰り返すことにより、バッチ式の処理炉より短時間でかつ、量産性向上が顕著であることがわかる。
また、このときの加熱温度特性例を図4に示す。
【0037】
図6に本発明に係る高温加熱炉の第3の実施形態例を示す。図6に示すの本実施形態例に係る高温加熱炉は、連続式加熱炉であって、予備加熱槽2に複数の主加熱槽1が設けられ、予備加熱槽2が、真空バルブ9によって、各主加熱槽1に対応するように区画されている。このような構成によると、主加熱槽1の設定温度を各個それぞれ異ならせ、各工程に応じ各主加熱槽1により処理し、試料6に異なる熱履歴を連続的に与えることが可能となる。また、バッチ処理と比較し、量産性向上が顕著となる。
【0038】
【発明の効果】
従来の高温処理炉の場合、試料の均熱領域が狭く、かつ、その均熱領域内の温度制御が難しいという欠点、加熱雰囲気が高真空(10−3Pa以下の圧力下)または、若干の希ガス雰囲気の場合、不純ガスの混入しない高温領域の保持が難しいという欠点があったが、本発明によれば、試料から加熱の初期段階において放出される、水素等の多量の吸着ガス、内蔵ガスは、予備加熱槽において、順次加熱(室温〜800℃)排気された後、高純度な処理雰囲気の主加熱槽中に急速移動され、さらに、試料の加熱最適処理領域が1800℃〜2600℃の高温の時には、予め主加熱槽を800℃〜2600℃に予熱しておく事により、従来にない、高速均一な加熱が可能となった。また、従来の高温処理炉の場合、加熱処理後、試料を室温に近い作業温度まで冷却するのに長時間を要したが、本装置においては、予備加熱槽内にガス冷却装置を内蔵することによって、試料の急速冷却が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】1800℃〜2600℃におけるWの波長エネルギーを示す図である。
【図2】本発明に係る第1の実施形態例における高温加熱炉の主要部の断面図である。
【図3】Wの高温下における分光放射率と反射率との関係を示す図である。
【図4】加熱温度特性例を示す図である。
【図5】本発明に係る第2の実施形態例における高温加熱炉の主要部の断面図である。
【図6】本発明に係る第3の実施形態例における高温加熱炉の主要部の断面図である。
【図7】金属反射板5の表面に被覆するAuの分光反射特性を示す図である。
【符号の説明】
1 主加熱槽
2 予備加熱槽
3 高融点金属主加熱ヒーター
4 高融点金属予備加熱ヒーター
5 高融点金属反射板
6 試料
7 治具及び昇降テーブル
8 コールドトラップ
9 真空バルブ
10 試料カセット
11 入出槽
【発明の属する技術分野】
本発明は、高真空高温雰囲気または、高純度の若干の希ガス雰囲気高温における、結晶成長、化学反応、成膜等の何らかの化学変化、及び、物理変化を求める高純度雰囲気高温炉に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、結晶成長炉、化学反応炉、CVD等の真空中及び、ガス雰囲気中での高温処理には、炭素ヒーターによる加熱、金属ヒーターによる加熱、高周波誘導加熱、太陽炉、ランプ集光型加熱等が加熱手段として使用されてきた。
【0003】
また高温処理工程において従来使用される熱処理装置の一般的な形状としては、単槽型の上記装置があった他に、試料の高速で熱処理に対応する為の半連続炉、連続炉等があった。
【0004】
これら、従来の各種目的の製造工程に使用されていた熱処理装置としては、例えば、特許文献1に記載のように、真空熱処理装置に接続するロードロック室を設けることにより、超高真空雰囲気まで真空排気時間が短くて済むなどの特徴を有する熱処理装置がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−260738号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のこれらの高温炉の場合、次の大きな問題点があった。
一槽型の高温炉の場合、試料の加熱最適領域が1500℃〜2600℃の高温の時、試料を急速に、かつ、均一に高温加熱が難しいという欠点があった。
また、試料の性質によっては、加熱の初期段階において、試料に吸着している水素等の吸着ガス、試料内部の内蔵ガスの加熱初期段階における多量の放出ガスの発生があり、高温炉中の高純度な処理雰囲気を破壊して、不純物ガスの多い劣悪な雰囲気になる場合もあった。
また、熱処理温度が1500℃以上の高温の場合、試料が対流の無い高真空(低圧力)下の場合または、室温に近い作業温度まで、容易に低下しないという欠点があった。
さらに、通常使用されている連続処理炉の場合は、試料の均熱領域が狭く、かつ、その均熱領域内の温度制御が難しいという欠点があった。
また熱処理温度が1500℃以上の高温の場合、加熱源としてグラファイト、また加熱源を取り巻く保温材として、グラファイトが一般的に使用される場合が多いが、装置内を真空(10−3Pa以下の低圧力)と大気圧とを往復する事により、グラファイト自身がガスの吸着、吸収ガスの放出の主要原因となる場合が多かった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高真空(低圧力)、高温雰囲気、または、高純度の若干の希ガス雰囲気下における高温での熱処理を行うことができる高温加熱炉を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために次の構成としてある。
請求項1に記載の発明は、真空高温加熱炉において、高温炉の内部が2槽以上の複数の分離された槽からなり、その複数槽内部が主加熱槽と予備加熱槽から構成されている。
そして予備加熱槽が主に試料に吸着したガスと試料に内蔵するガスの脱ガスのため室温から800℃に加熱され、脱ガス終了後、予め加熱真空排気されて、清浄高温下に保持されている主加熱槽に速やかに移動される。
また主加熱槽は常に10−3Pa以下の圧力、または、一度、10−3Pa以下の圧力に到達し後、若干の不活性ガスを導入し、大気圧から10−3Paまでの任意の圧力の希薄ガス雰囲気下で800℃〜2600℃の高温に常に加熱されており、予備加熱槽が試料の出し入れのための大気圧から、主加熱槽との間で試料を移動させるために必要な、主加熱槽と同等の10−3Pa以下の圧力下の間で排気可能な機能を有し、室温から800℃の温度に試料を予備加熱した後、主加熱槽に早く移動することにより、試料の最適処理温度1800℃〜2600℃の高温かつ高純度雰囲気を速やかに達成することができるように構成してある。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の高温加熱炉において、主加熱槽の処理温度が1800℃〜2600℃の高純度雰囲気での、高温炉の発熱部がWまたはTaの高融点金属からなり、高温領域を取り巻く、熱反射及び保温領域の構成材料が、W,Ta,Moの中から選択した高融点金属材料からなる複合構造に構成されている。
また熱遮断領域の構成材料の高融点金属の表面に発熱部の発光波長領域を反射する波長が0.4〜3.5μmの中の任意の波長領域の赤外線反射膜が形成されている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の高温加熱炉において、主加熱槽のヒーター部を取り巻く高融点金属板で構成される保温領域が、保温層と熱線反射層からなる複合構造になっている。また、各層が高温保持及び熱線反射する機能を有し、保温領域を構成する高融点金属板表面を、WC、TaC、MoC、ZrC、HfC、BNなどの高耐熱性金属炭化物、または、金属窒化物によって単独、もしくは、複合で被覆することで、高融点金属の劣化、変形を防止することができるように構成されている。
また、熱線反射層となる高融点金属表面をAuなどの赤外線反射膜で被覆することで、WやTaヒーター等から発する0.4〜3.5μmの任意の波長エネルギー領域を高効率で反射する機能を有し、試料を急速に加熱、かつ高温保持が可能となるよう構成されている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、試料を急速に加熱するため、加熱室が主加熱槽と予備加熱槽の二つに分かれ、かつ、高純度な雰囲気を維持するため、各々の室内が個々の独立した真空排気系と、あるいは個々の独立したガス導入系、及び大気圧雰囲気に維持可能で、かつ、主加熱槽と予備加熱槽が、真空バルブの開閉によって、一体化と分離とを相互に維持できるようになっている。
また主加熱槽が常用時に常に10−3Pa以下の圧力、または、大気圧から10−3Paまでの任意の圧力の希ガス雰囲気中に保持されており、更に800℃〜2600℃の高温状態に保持されている。そして、予備加熱槽が室温〜1000℃の温度範囲に保持されている状態において、試料等から発生する内蔵ガスを吸着するためのコールドトラップが内装され、加熱終了後の高温から室温に速やかに冷却するための急冷用ガス循環装置が内蔵されている。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の高温加熱炉において、予備加熱槽の加熱源が、短時間に急速に加熱するために、試料に近赤外線を集光するための反射鏡を持つ、ハロゲン及びXeランプまたはランプの風袋外面に赤外線発生機能膜を付加した赤外線加熱ランプを用いて構成してある。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項4及び請求項5に記載の高温加熱炉において、主加熱槽の加熱部が高融点金属からなる円筒状の主ヒーターと平面状の補助ヒーターとから構成されている。
この2つのヒーターの加熱コントロールと試料位置の変化によって、円盤状の均熱領域内の温度の均熱性向上と円盤状加熱領域内における面内方向に温度勾配を設け、任意の温度勾配制御の2つの目的を可能としてある。
【0014】
上記した発明によると、次に記載の作用効果がある。
前述したように加熱源、また加熱源を取り巻く保温材として、グラファイトを使用すると、処理槽が10−3Pa以下の圧力と大気圧を往復する事により、グラファイト自身がガスの吸着、吸収ガスの放出の主要原因となる場合が多かったため、発熱体、保温用反射板としてガス吸着の少ない高融点金属のタングステン(W)を主として用いた。Wヒーターの発する波長エネルギーは、次の式によって表される。
Wの波長エネルギー=Wの分光放射率×理想黒体の波長エネルギー
なお、理想黒体の波長エネルギーはPlankの放射則から容易に求めることが可能である。また、分光放射率は文献“The Science Of Incandescence”著者“Dr. Milan R. Vukcevich”に記載されている下式より算出した。
ε〔λ、T〕=a〔λ〕−b〔λ、T〕{(T−1600)/1000}
ここで、ε:放射率、λ:波長〔μm〕、T:温度〔K〕とした。
【0015】
Plankの放射則によるWの高温領域1800℃〜2600℃の波長エネルギー特性を図1に示す。
【0016】
図1の結果から、Wの高温領域1800℃〜2600℃での波長エネルギーは、1.0〜1.5μmの間でピークを持ち、0.4〜3.5μmの波長領域の間に波長エネルギーのほとんどが入っていることがわかる。つまり、波長0.4〜3.5μmにおいて高い反射特性を有する反射材料が炉体内の試料の高効率な加熱を可能とする。
【0017】
また、この温度領域において使用可能な金属と化合物のいくつか例を表1に示した。これらを参考として、Wをヒーターとして、W及びTaを赤外線領域を主とした波長が0.4〜3.5μmの反射板として用いた。
【0018】
【表1】
【0019】
本発明に係る高温加熱炉は、加熱槽として、主加熱槽と予備加熱槽に分け、各々の作業分担を明確に分ける事により、最適処理温度の主加熱槽内の高純度雰囲気を保ち最適な処理条件を維持できるようにした。
【0020】
ここで、予備加熱槽は、試料を10−3Pa以下の圧力下において予め800℃以上に加熱することにより、アウトガスの除去と中間段階までの昇温を行うものである。また、主加熱槽は、試料を10−3Pa以下の圧力下において短時間に最適処理温度、例えば1800℃以上に加熱するものである。
【0021】
主加熱槽と予備加熱槽間の試料の移動には、空気起動による直線移動または、モーター駆動による円移動による1分以内の高速移動が可能である。また、主加熱槽内において、新たなガス放出があった場合、同槽専用の十分な排気能力を持つ真空ポンプを設置することにより、汚染ガスを速やかに槽外部へ除去する事が出来るものである。さらに、予備加熱槽内にコールドトラップ等の補助的な物理吸着除去機構を併設する事により主加熱槽内に設けられているヒーター、反射板等の劣化をさらに完全に防止することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る高温加熱炉の実施例を説明する。
【0023】
図2は、本発明に係る高温加熱炉の第1の実施形態例に係る高温加熱炉の主要部の断面図である。図2に示すように、本実施形態例に係る高温加熱炉は、主加熱槽1と、予備加熱槽2と、これら主加熱槽1と予備加熱槽2とを連通及び分離可能とする真空バルブ9と、試料6をこれら主加熱槽1と予備加熱槽2間を移動させることが可能な治具及び昇降テーブル7とを主要部として構成されている。主加熱槽1及び予備加熱槽2内には、それぞれ高融点金属主加熱ヒーター3、予備加熱ヒーター4が設けられている。また、主加熱槽1内には、高融点金属主加熱ヒーター3による加熱を効率的に行うことを可能とする高融点金属反射板5が設けられている。また、予備加熱槽2内には吸着トラップ8が設けられており、予備加熱槽2内の圧力を所定の圧力に維持することを可能としている。また、ヒーター3は、図示しないが円筒状の主ヒーターと平面状の補助ヒーターとからなり、この2つのヒーターの加熱コントロールと試料位置の変化によって、円盤状の均熱領域内の温度の均熱性向上と円盤状加熱領域内における面内方向に温度勾配を設けることが可能である。
【0024】
主加熱槽1及び予備加熱槽2内の加熱源、また加熱源を取り巻く保温材には、ガス発生の原因となるグラファイトの使用を避け、発熱体、保温用反射板としてガス吸着の少ない高融点金属のタングステン(W)が主に用いられている。
【0025】
図2に示す本実施形態例に係る高温加熱炉は、まず、予備加熱槽2に試料6が設置されると予備加熱槽2は大気圧から図示しない真空ポンプによって真空に排気されつつ、試料6に吸着したガスと試料6に内蔵するガスの脱ガスのため、予備加熱ヒーター4によって、室温から800℃に加熱され、吸着ガス及び内蔵ガスが槽外に真空ポンプによって排気される。
【0026】
そして、試料6の脱ガス終了後、予め加熱、真空排気されて、清浄高温下に保持されている主加熱槽1に1分以内に移動される(図2(b)参照)。移動に際しては、真空バルブ9を開き、昇降テーブル7を上昇させることで行う。なお、主加熱槽1は常に10−3Pa以下の圧力の高真空または、一度、高真空に到達した後、若干の不活性ガスを導入し、10−2Paに設定した希薄ガス雰囲気下で800℃〜2600℃の高温に常に維持されている。
【0027】
次いで、試料6の移動終了後、試料6の最適処理温度1800℃〜2600℃の高温を速やかに達成し、かつ、予め加熱されているため、均一な高温状態を必要な処理時間の間維持する事ができる。また、高融点反射金属板5が設けられているため、熱輻射によって、試料6を効率よく加熱することができる。
【0028】
図3は、Wの分光放射率と反射率の図である。図中の分光放射率は前述の文献“The Science Of Incandescence”著者“Dr. Milan R. Vukcevich”に記載されている下式より算出した。
ε〔λ、T〕=a〔λ〕−b〔λ、T〕{(T−1600)/1000}
ここで、ε:放射率、λ:波長〔μm〕、T:温度〔K〕とした。また、図3中の反射率については、下式のキルヒホッフの法則より算出した。
R=1−ε
ここで、R:反射率、ε:放射率とした。
【0029】
図1より2200℃におけるW放射の波長エネルギーのピークは約1.1μmであり、このときのWの反射率は0.65である。また、比較的波長エネルギーの高い1.1〜3.0μmの領域では、波長が長くなるにつれて反射率は増加し、3.0μmにおいては0.8に達する。すなわち、清浄な高純度雰囲気でのWヒーターの反射板としてWの反射特性は十分であるといえる。
【0030】
また、図3のWの高温下における放射率と反射率の関係特性から、Wヒーター及び試料を取り巻く、金属反射板5の設計例を表2に示す。各反射板5は、ヒーター3および試料6を密閉状態で囲み、かつ、各反射板5の間隔は3mmである。また、高融点金属反射板5の上に形成される高耐熱金属酸化物及び、赤外線反射膜の構成例を表3に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
ここで、高融点金属であるWは、融点が約3400℃であり、Moは約2620℃である。また、本実施形態で例として上げたWCは約2720℃であり、Auは約1060℃である。そのため、W上に高融点であり、基材と馴染みの良いWCを使用し、Mo上に融点の比較的低いAuを用いた。WCの近赤外線領域の反射率は成膜条件にもよる平滑な平面状態では比較的高い。同領域でのAuは反射率95%以上の高反射材料であるが、融点が低いため、中温領域から後半(外側)のMo上に成膜した。図7に、Au反射層の0.4〜3.5μm波長領域における分光反射特性を示す。
【0034】
図5に本発明に係る高温加熱炉の第2の実施形態例を示す。図5に示す本実施形態例における予備加熱槽2は、ハロゲンランプ又はロッドヒーター4が設けられ、急速に800〜1800℃程度にまで加熱が可能なランプ又はロッドヒーター式加熱炉になっている。また、予備加熱室2の両脇に試料を複数個装填出来るカセット10が配置され、一方に処理前、他方に処理済の試料が置かれ、カセットを装填している入出槽11と、予備加熱室2aは真空バルブ9で仕切られている。主加熱槽1には高融点金属でできたヒーター3、例えば、Wのメッシュ状のヒーターと、高融点金属からなる金属反射板5で構成されている。
【0035】
本実施形態例に係る高温加熱炉は、未処理の試料が複数個装填してあるカセット10から試料6が治具及び昇降テーブル7に乗せられ、予備加熱槽2で、800℃以上に予め加熱された後、予備加熱室2と主加熱槽との圧力調整が済み次第、予備加熱槽2と主加熱槽1との間の真空バルブ9が開き、試料6と治具及び昇降テーブル7が移動し主加熱槽1にて2000℃で処理される。
【0036】
主加熱槽1にて処理が終了すると、治具及び昇降テーブル7が降り、予備加熱槽2と主加熱槽1との間の真空バルブ9が閉じる。そして、加熱処理済の試料を受けるカセット10に試料が搬送される。これを繰り返すことにより、バッチ式の処理炉より短時間でかつ、量産性向上が顕著であることがわかる。
また、このときの加熱温度特性例を図4に示す。
【0037】
図6に本発明に係る高温加熱炉の第3の実施形態例を示す。図6に示すの本実施形態例に係る高温加熱炉は、連続式加熱炉であって、予備加熱槽2に複数の主加熱槽1が設けられ、予備加熱槽2が、真空バルブ9によって、各主加熱槽1に対応するように区画されている。このような構成によると、主加熱槽1の設定温度を各個それぞれ異ならせ、各工程に応じ各主加熱槽1により処理し、試料6に異なる熱履歴を連続的に与えることが可能となる。また、バッチ処理と比較し、量産性向上が顕著となる。
【0038】
【発明の効果】
従来の高温処理炉の場合、試料の均熱領域が狭く、かつ、その均熱領域内の温度制御が難しいという欠点、加熱雰囲気が高真空(10−3Pa以下の圧力下)または、若干の希ガス雰囲気の場合、不純ガスの混入しない高温領域の保持が難しいという欠点があったが、本発明によれば、試料から加熱の初期段階において放出される、水素等の多量の吸着ガス、内蔵ガスは、予備加熱槽において、順次加熱(室温〜800℃)排気された後、高純度な処理雰囲気の主加熱槽中に急速移動され、さらに、試料の加熱最適処理領域が1800℃〜2600℃の高温の時には、予め主加熱槽を800℃〜2600℃に予熱しておく事により、従来にない、高速均一な加熱が可能となった。また、従来の高温処理炉の場合、加熱処理後、試料を室温に近い作業温度まで冷却するのに長時間を要したが、本装置においては、予備加熱槽内にガス冷却装置を内蔵することによって、試料の急速冷却が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】1800℃〜2600℃におけるWの波長エネルギーを示す図である。
【図2】本発明に係る第1の実施形態例における高温加熱炉の主要部の断面図である。
【図3】Wの高温下における分光放射率と反射率との関係を示す図である。
【図4】加熱温度特性例を示す図である。
【図5】本発明に係る第2の実施形態例における高温加熱炉の主要部の断面図である。
【図6】本発明に係る第3の実施形態例における高温加熱炉の主要部の断面図である。
【図7】金属反射板5の表面に被覆するAuの分光反射特性を示す図である。
【符号の説明】
1 主加熱槽
2 予備加熱槽
3 高融点金属主加熱ヒーター
4 高融点金属予備加熱ヒーター
5 高融点金属反射板
6 試料
7 治具及び昇降テーブル
8 コールドトラップ
9 真空バルブ
10 試料カセット
11 入出槽
Claims (6)
- 真空高温加熱炉において、真空高温炉の内部が2槽以上の複数の分離された槽からなり、その複数の槽内部が主加熱槽と予備加熱槽から構成され、前記予備加熱槽が主に試料に吸着したガスと試料に内蔵するガスの脱ガスのため室温から800℃に加熱され、脱ガス終了後、予め加熱真空排気されて、清浄高温下に保持されている前記主加熱槽に速やかに移動され、また前記主加熱槽は常に10−3Pa以下の圧力、または、一度10−3Pa以下の圧力に到達した後、若干の不活性ガスを導入し、大気圧から10−3Paまでの任意の圧力の希薄ガス雰囲気下で800℃〜2600℃の高温に常に加熱されており、前記予備加熱槽が試料の出し入れのための大気圧から、前記主加熱槽との間で試料を移動させるために必要な、前記主加熱槽と同等の圧力に排気可能な機能を有し、室温から800℃の温度に試料を予備加熱した後、前記主加熱槽に早く移動することにより、試料の最適処理温度800℃〜2600℃の高温かつ高純度雰囲気を速やかに達成することを特徴とする高温加熱炉。
- 前記主加熱槽の処理温度が1800℃〜2600℃の高純度雰囲気の高温加熱炉で、高温炉の発熱部がWまたはTaの高融点金属からなり、高温領域を取り巻く、熱反射及び保温領域の構成材料が、W,Ta,Moの中から選択した高融点金属材料からなる複合構造になっており、熱遮断領域の構成材料の高融点金属の表面に発熱部の発光波長領域を反射する波長が0.4〜3.5μmの中の任意の波長領域の赤外反射膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の高温加熱炉。
- 前記主加熱槽のヒーター部を取り巻く高融点金属板で構成される保温領域が、保温層と熱線反射層からなる複合構造になっており、各層が高温保持および熱線反射する機能を有し、保温領域を構成する高融点金属板表面が、WC、TaC、MoC、ZrC、HfC、BNなどの高耐熱性金属炭化物、または、金属窒化物が単独、もしくは、複合で被覆されることで、高融点金属の劣化、変形を防止する機能を有し、かつ、熱線反射層となる高融点金属表面がAuなどの赤外線反射膜で被覆されることで、0.4〜3.5μmの任意の発光波長領域を高効率で反射する機能を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の高温加熱炉。
- 試料を急速に加熱するため、加熱室が主加熱槽と予備加熱槽の二つに分かれ、かつ、高純度な雰囲気を維持するため、各々の室内が個々の独立した真空排気系と、あるいは個々の独立したガス導入系、及び大気圧雰囲気に維持可能で、かつ、主加熱槽と予備加熱槽が、遮断バルブの開閉によって、一体化と分離を相互に維持されている高速な高温加熱炉において、前記主加熱槽が常用時に常に10−3Pa以下の圧力、または、一度10−3Pa以下の圧力に到達した後、若干の不活性ガスを導入し、大気圧から10−3Paまでの任意の圧力の希薄ガス雰囲気下に800℃〜2600℃の高温状態に保持されており、前記予備加熱槽が室温〜1000℃の温度範囲に保持されている状態において、試料等から発生する内蔵ガスを吸着するためのコールドトラップが内蔵され、加熱終了後の高温から室温に速やかに冷却する為の急冷用ガス循環装置が内蔵されていることを特徴とする高温加熱炉。
- 前記予備加熱槽の加熱源が、短時間に急速に加熱するために、試料に近赤外線を集光するための反射鏡を持つ、ハロゲン及びXeランプまたはランプの風袋外面に赤外線発生機能膜を付加した赤外線加熱ランプであることを特徴とする請求項4記載の高温加熱炉。
- 前記主加熱槽の加熱部が高融点金属からなる円筒状の主ヒーターと平面状の補助ヒーターとからなることを特徴とする請求項4又は5に記載の高温加熱炉。
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