JP2004270855A - ドライブシャフトのナット脱落防止構造 - Google Patents
ドライブシャフトのナット脱落防止構造 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004270855A JP2004270855A JP2003064431A JP2003064431A JP2004270855A JP 2004270855 A JP2004270855 A JP 2004270855A JP 2003064431 A JP2003064431 A JP 2003064431A JP 2003064431 A JP2003064431 A JP 2003064431A JP 2004270855 A JP2004270855 A JP 2004270855A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- nut
- drive shaft
- hub
- insertion hole
- falling
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Motor Power Transmission Devices (AREA)
Abstract
【課題】部品の数を増やすことなく、かつ容易に組み立てることができるとともに、容易にナットの脱落を防止することのできるドライブシャフトのナット脱落防止構造を提供する。
【解決手段】車体側に懸架されるハブのドライブシャフト組付け孔に挿入されたドライブシャフトの軸端部を固定するナットの脱落防止構造において、上記ハブ2のドライブシャフト組付け孔7の外側開口端部に、ナット3を挿入可能な挿入穴8を設け、該挿入穴8の内周面と上記ナット3の外側面に、半径方向に突出する突起部をそれぞれ設けるとともに、これら突起部に、上記ナット3を挿入穴8に入れるときに、通過が可能で、かつナット3が上記ドライブシャフト1の軸端部1aから抜ける方向に移動したとき、該ナット3の端面を係止する手段を設けている。
【選択図】 図1
【解決手段】車体側に懸架されるハブのドライブシャフト組付け孔に挿入されたドライブシャフトの軸端部を固定するナットの脱落防止構造において、上記ハブ2のドライブシャフト組付け孔7の外側開口端部に、ナット3を挿入可能な挿入穴8を設け、該挿入穴8の内周面と上記ナット3の外側面に、半径方向に突出する突起部をそれぞれ設けるとともに、これら突起部に、上記ナット3を挿入穴8に入れるときに、通過が可能で、かつナット3が上記ドライブシャフト1の軸端部1aから抜ける方向に移動したとき、該ナット3の端面を係止する手段を設けている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体側に懸架されるハブをドライブシャフトの軸端部に固定するナットの脱落防止構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8は、四輪駆動車の前輪の車輪懸架部を示したもので、自動車の前輪を駆動するためのドライブシャフト51は、車体側に懸架されたハブ52に組付けられている。ハブ52には、ベアリング53を介してナックル54が取付けられ、ナックル54はサスペンション55等の自動車本体側に取付けられている。
図9(a),(b)は、従来のドライブシャフトのナット脱落防止構造を示す。ドライブシャフト51の両端部には、ハブ52を固定するためのねじ部56がそれぞれ設けられており、ハブ52に設けたドライブシャフト組付け孔57にドライブシャフト51の両端部を挿入した後、ハブ52の外側からドライブシャフト51のねじ部56にナット58を締付けてドライブシャフト51とハブ52を締結している。このナット58には、通常、緩み止め構造が採用されて外側方向に緩まない構造となっている。
【0003】
ナット58の緩み止め構造としては、例えば、以下の技術が実施されている。(1)ドライブシャフト51のねじ部56には、ねじ部56の一部にキー溝のような切欠き溝59が設けられている。また、ナット58には、ナット58の頭部60から外側方向に突出し、ナット58と同一の中心線を有する円筒部61が設けられている。ねじ部56にナット58を締結した後、切欠き溝59を覆う円筒部61の一部を切欠き溝59にかしめることにより、ナット58が緩まないようにしている。
(2)また、ナットの緩み止め構造としては、例えば、特許文献1が知られている。この構造は、ナット(ボルト)の締結部にナットの外形の周囲を包囲する立壁面を設け、さらにこの立壁面に小凹部を形成する。ハブを固定するためにナットを締結した後、ナットの六角形状に合わせた内形部と前記小凹部に係合する外形部を有する薄鋼板のプレス加工で形成したカップ状のキャップを外側から圧入嵌合することにより、ナットが緩まないようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−206003号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記(1)の方法では、ドライブシャフト51の両端にねじ加工56と切欠き溝加工59の両方を行なっているので、ねじ部56の精度が低下したり、ねじ部56にバリが発生する問題が生じている。また、かしめ工具やかしめ工程が必要になるとともに、かしめ用の特殊なナットが必要となる。さらに、かしめ作業を自動化しようとする場合、切欠き溝59の向きとかしめ工具の動作方向を合わせなければならないため、設備が複雑になる。
上記(2)の方法では、前記キャップをハブに圧入するのに、立壁面とナットの取付け位置の両方に精度が必要となるため、圧入をするのに専用ラインを作らなければならない。また、キャップを新しく製作する必要があるので、部品数が増加する。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、部品数を増やすことなく、かつ容易に組み立てることができるとともに、容易にナットの脱落を防止することのできるドライブシャフトのナット脱落防止構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、車体側に懸架されるハブのドライブシャフト組付け孔に挿入されたドライブシャフトの軸端部を固定するナットの脱落防止構造において、上記ハブのドライブシャフト組付け孔の外側開口端部に、ナットを挿入可能な挿入穴を設け、該挿入穴の内周面と上記ナットの外側面に、半径方向に突出する突起部をそれぞれ設けるとともに、これら突起部に、上記ナットを挿入穴に入れるときに、通過が可能で、かつナットが上記ドライブシャフトの軸端部から抜ける方向に移動したとき、該ナットの端面を係止する手段を設けている。
また、上記ナットの端面を係止する手段として、上記突起部に互いに螺合するねじ部を設けている。
さらに、上記ハブに設けられたナットの挿入穴には、ナットを取付けるときに挿入穴に案内するガイド部を設けている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態に係るドライブシャフトのナット脱落防止構造について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明のドライブシャフトのナット脱落防止構造の組立完了後の縦断面図を、図2から図6は、ドライブシャフトのナット脱落防止構造の組立手順の模式図を示したものであり、図2から順に図6に進むに従い組立が進行するように示している。なお、上記図面は車体前方から見て左側のみを示しているが、右側も同様に組立てられる。
【0009】
ドライブシャフト1の軸端部1aは、ハブ2に挿通され、それぞれ外側からナット3が組付けられてドライブシャフト1とハブ2が締結されている。
ドライブシャフト1の軸端部1aの先端部分の外周面には、ドライブシャフト1の軸線Xの長手方向に沿ってねじ部5が設けられており、ねじ部5の内側部分の外周面にはスプライン加工部6aが設けられている。スプライン加工部6aの直径は、ねじ部5の直径に比べて大きくなっている。スプライン加工部6aのさらに内側の部分には、スプライン加工部6aの直径より大きい段付部4が設けられている。
【0010】
上記ハブ2には、ドライブシャフト1の軸端部1aが挿通されるドライブシャフト組付け孔7が設けられている。このドライブシャフト組付け孔7には、ドライブシャフト1のスプライン加工部6aと係合するスプライン加工部6bが設けられている。
ドライブシャフト組付け孔7の内側の開口端部は、ドライブシャフト1の段付部4と当接して、ハブ2の内側方向の取付位置を規制している。また、ドライブシャフト組付け孔7の外側の開口端部には、ナット3を収容する挿入穴8が形成されている。この挿入穴8は、ナット3の座面3aを係止する底部9とナット3の側面を囲む内周面10で構成されている。
【0011】
上記ナット3には、突起部としてフランジ部11が設けられており、このフランジ部11は、ナット3の外側面から、ナット3の半径方向の外側方向に突出している。また、フランジ部11は、ナット3の座面3a側に設けられている。このフランジ部11は、軸線Xを中心とする環状に形成されており、このフランジ部11の周面には、ナット3の締付け方向と同じ方向に螺合するおねじ加工部12が設けられている。
【0012】
上記ハブ2の挿入穴8の内周面10には、突起部として、突出部14と、溝部13が設けられている。
この突出部14は、挿入穴8の内周面10から軸線Xと略直交する面内に軸線Xの中心に向かって突出している。この突出部14の先端は、挿入穴8の外側から見ると、軸線Xを中心とする円周状に形成されている。この突出部14の内周の先端には、軸線Xと同じ中心線であり、かつナット3の締付け方向と同じ方向に螺合されるめねじ加工部16が設けられており、このめねじ加工部16は、おねじ加工部12と係合できるようになっている。
【0013】
溝部13は、底部9と突出部14の間に形成されており、その長さはフランジ部11の厚み寸法より長くなるように設けられている。また、溝部13の深さは、フランジ部11の直径より大きくなるように形成されている。
【0014】
なお、上記挿入穴8の内周面10には、ナット3を案内するガイド部15を設けることができる(図7参照)。ガイド部15は、突出部14よりも挿入穴8の開口側に設けられており、このガイド部15は、突出部14の位置から開口側に向けて徐々に径が大きくなるテーパ状に形成されている。このガイド部15により、ナット3は挿入穴8の内部に案内され、おねじ加工部12のねじ山の歯先部分と嵌合して締結される。
【0015】
次に、ドライブシャフトの組立手順を説明する。
ドライブシャフト1の軸端部1aをハブ2のドライブシャフト組付け孔7に挿通させる。(図2参照)。ドライブシャフト1とハブ2は、スプライン6a,6bにより軸線X方向に係合される。
【0016】
次に、ナット3のおねじ加工部12をハブ2の挿入穴8の内周面に設けられた突出部14のめねじ加工部16に螺合させる。ナット3は、おねじ加工部12が突出部14のめねじ加工部16との噛み合いから抜けて、フランジ部11が溝部13に完全に入り込むまで締め込む。そして、ドライブシャフト1のねじ部5にナット3をあてがい、ナット3を溝部13の中で回しながら締結する(図3、4,5参照)。このとき、ドライブシャフト1とハブ2は、スプラインで横方向に摺動可能であるため、ナット3を締付けながらドライブシャフト1を外側方向にスライドさせる。
【0017】
さらに、ドライブシャフト組付け孔7の開口端部とドライブシャフト1の段付部が当接するまでナット3を締付ける。ナット3は、一般に使用されるインパクトレンチ17を用いて締付けることができる(図6参照)。
【0018】
本実施例のナット脱落防止構造では、締結していたナット3が緩んだときに、ハブ2に設けた突出部14にナット3に設けたフランジ部11が当接する構造となっているので、ナット3が一定長さ以上に緩まないようにすることができる。仮に、ナット3が緩み、おねじ加工部12とめねじ加工部16が噛み合いそうになったとしても、おねじ加工部12の呼び径は、ナット3の呼び径よりも大きく、ねじ山の1ピッチの長さが異なるため、同時に噛み合ってナット3が外側方向に移動することはない。
【0019】
また、本実施例のナット脱落防止構造では、ナット3とハブ2におねじ加工部12とめねじ加工部16を設けているので、従来におこなっていたねじ部5にキー溝加工をする必要がなくなり、加工時間を短縮することができる。また、キー溝加工をおこなわないことにより、ドライブシャフト1に設けたねじ部5にバリを発生させたり、ねじ部5の精度を低下させることがなく、組立工程時の問題をより少なくすることができる。
【0020】
さらに、本実施例のナット脱落防止構造では、その組立作業が、おねじ加工部12とめねじ加工部16を螺合して、フランジ部11を溝部13に入り込ませるように組み立てているので、従来、おこなっていたかしめ作業などの特殊工程を設ける必要がなく、容易に組み立てることができる。また、かしめ作業をおこなう際に、ナット3の端部とドライブシャフト1の端部をそろえなければ、かしめ機を用いて作業することができなかったが、本案によれば端部をそろえる必要がないので、ドライブシャフト1のねじ部5の長さのばらつき等を管理する必要がなく、組み立て時間をより短縮することができる。
【0021】
また、おねじ加工部12およびめねじ加工部16の螺合方向の中心線と、ドライブシャフト1の軸端に設けたねじ部5およびナット3のねじ部の中心線(ドライブシャフト1の軸線X)が製作誤差などにより同軸線とならずに、おねじ加工部12およびめねじ加工部16の円周方向に多少のずれが生じたとしても、組み立て作業に影響が及ばないので、おねじ加工部12とめねじ加工部16の加工精度を厳しく管理する必要がなく、部品単価の低減を行なうことができる。
【0022】
さらにまた、本実施例のナット脱落防止構造では、緩み止めのためにカラーなどの部品を必要としないので、部品数を少なく抑えることができる。
【0023】
以上、本発明の実施の形態について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
例えば、上述の実施例ではナット3の脱落について記載したが、ナット3をボルト類に置き換えて使用した場合に、ボルトの頭部の外周面の半径方向にフランジ部を設けることにより、本発明の脱落防止構造を使用することができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明に係るドライブシャフトのナット脱落防止構造によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)車体側に懸架されるハブのドライブシャフト組付け孔に挿入されたドライブシャフトの軸端部を固定するナットの脱落防止構造において、上記ハブのドライブシャフト組付け孔の外側開口端部に、ナットを挿入可能な挿入穴を設け、該挿入穴の内周面と上記ナットの外側面に、半径方向に突出する突起部をそれぞれ設けるとともに、これら突起部に、上記ナットを挿入穴内に入れるときに、通過が可能で、かつナットが上記ドライブシャフトの軸端部から抜ける方向に移動したとき、該ナットの端面を係止する手段を設けているので、ナットが緩む方向に移動した場合にフランジ部が突出部と当接して、ナットが一定値以上に緩まない構造にすることができる。
【0025】
(2)上記ナットの端面を係止する手段として、上記突起部に互いに螺合するねじ部を設けているので、ナットの緩み止め構造を容易に組み立てることができる。
【0026】
(3)上記ハブに設けられたナットの挿入穴には、ナットを取付けるときに挿入穴に案内するガイド部が設けられているので、おねじ加工部をめねじ加工部に容易に係合させて、組立作業の負荷を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るドライブシャフトのナットの脱落防止構造を示す縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るドライブシャフトにハブを組み立てる状態を示す縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るドライブシャフトにナットを取付ける状態を示す縦断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るドライブシャフトにナットを締付ける状態を示す縦断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るドライブシャフトにナットを締付ける状態を示す縦断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るドライブシャフトにナットを締付ける状態を示す縦断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る内周面にインロー部を設けた状態を示す縦断面図である。
【図8】自動車の車輪懸架部を示す全体斜視図である。
【図9】(a)は、従来のドライブシャフトのナットの脱落防止構造を示す縦断面図であり、(b)は、(a)のナットを左側(ナットの頭部側)から見た側面図である。
【符号の説明】
1 ドライブシャフト
2 ハブ
3 ナット
3a 座面
4 段付部
5 ねじ部
6a ドライブシャフトのスプライン加工部
6b ハブのスプライン加工部
7 ドライブシャフト組付け孔
8 挿入穴
9 底部
10 内周面
11 フランジ部(突起部)
12 おねじ加工部
13 溝部
14 突出部(突起部)
15 ガイド部
16 めねじ加工部
17 インパクトレンチ
X 軸線
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体側に懸架されるハブをドライブシャフトの軸端部に固定するナットの脱落防止構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8は、四輪駆動車の前輪の車輪懸架部を示したもので、自動車の前輪を駆動するためのドライブシャフト51は、車体側に懸架されたハブ52に組付けられている。ハブ52には、ベアリング53を介してナックル54が取付けられ、ナックル54はサスペンション55等の自動車本体側に取付けられている。
図9(a),(b)は、従来のドライブシャフトのナット脱落防止構造を示す。ドライブシャフト51の両端部には、ハブ52を固定するためのねじ部56がそれぞれ設けられており、ハブ52に設けたドライブシャフト組付け孔57にドライブシャフト51の両端部を挿入した後、ハブ52の外側からドライブシャフト51のねじ部56にナット58を締付けてドライブシャフト51とハブ52を締結している。このナット58には、通常、緩み止め構造が採用されて外側方向に緩まない構造となっている。
【0003】
ナット58の緩み止め構造としては、例えば、以下の技術が実施されている。(1)ドライブシャフト51のねじ部56には、ねじ部56の一部にキー溝のような切欠き溝59が設けられている。また、ナット58には、ナット58の頭部60から外側方向に突出し、ナット58と同一の中心線を有する円筒部61が設けられている。ねじ部56にナット58を締結した後、切欠き溝59を覆う円筒部61の一部を切欠き溝59にかしめることにより、ナット58が緩まないようにしている。
(2)また、ナットの緩み止め構造としては、例えば、特許文献1が知られている。この構造は、ナット(ボルト)の締結部にナットの外形の周囲を包囲する立壁面を設け、さらにこの立壁面に小凹部を形成する。ハブを固定するためにナットを締結した後、ナットの六角形状に合わせた内形部と前記小凹部に係合する外形部を有する薄鋼板のプレス加工で形成したカップ状のキャップを外側から圧入嵌合することにより、ナットが緩まないようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−206003号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記(1)の方法では、ドライブシャフト51の両端にねじ加工56と切欠き溝加工59の両方を行なっているので、ねじ部56の精度が低下したり、ねじ部56にバリが発生する問題が生じている。また、かしめ工具やかしめ工程が必要になるとともに、かしめ用の特殊なナットが必要となる。さらに、かしめ作業を自動化しようとする場合、切欠き溝59の向きとかしめ工具の動作方向を合わせなければならないため、設備が複雑になる。
上記(2)の方法では、前記キャップをハブに圧入するのに、立壁面とナットの取付け位置の両方に精度が必要となるため、圧入をするのに専用ラインを作らなければならない。また、キャップを新しく製作する必要があるので、部品数が増加する。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、部品数を増やすことなく、かつ容易に組み立てることができるとともに、容易にナットの脱落を防止することのできるドライブシャフトのナット脱落防止構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、車体側に懸架されるハブのドライブシャフト組付け孔に挿入されたドライブシャフトの軸端部を固定するナットの脱落防止構造において、上記ハブのドライブシャフト組付け孔の外側開口端部に、ナットを挿入可能な挿入穴を設け、該挿入穴の内周面と上記ナットの外側面に、半径方向に突出する突起部をそれぞれ設けるとともに、これら突起部に、上記ナットを挿入穴に入れるときに、通過が可能で、かつナットが上記ドライブシャフトの軸端部から抜ける方向に移動したとき、該ナットの端面を係止する手段を設けている。
また、上記ナットの端面を係止する手段として、上記突起部に互いに螺合するねじ部を設けている。
さらに、上記ハブに設けられたナットの挿入穴には、ナットを取付けるときに挿入穴に案内するガイド部を設けている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態に係るドライブシャフトのナット脱落防止構造について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明のドライブシャフトのナット脱落防止構造の組立完了後の縦断面図を、図2から図6は、ドライブシャフトのナット脱落防止構造の組立手順の模式図を示したものであり、図2から順に図6に進むに従い組立が進行するように示している。なお、上記図面は車体前方から見て左側のみを示しているが、右側も同様に組立てられる。
【0009】
ドライブシャフト1の軸端部1aは、ハブ2に挿通され、それぞれ外側からナット3が組付けられてドライブシャフト1とハブ2が締結されている。
ドライブシャフト1の軸端部1aの先端部分の外周面には、ドライブシャフト1の軸線Xの長手方向に沿ってねじ部5が設けられており、ねじ部5の内側部分の外周面にはスプライン加工部6aが設けられている。スプライン加工部6aの直径は、ねじ部5の直径に比べて大きくなっている。スプライン加工部6aのさらに内側の部分には、スプライン加工部6aの直径より大きい段付部4が設けられている。
【0010】
上記ハブ2には、ドライブシャフト1の軸端部1aが挿通されるドライブシャフト組付け孔7が設けられている。このドライブシャフト組付け孔7には、ドライブシャフト1のスプライン加工部6aと係合するスプライン加工部6bが設けられている。
ドライブシャフト組付け孔7の内側の開口端部は、ドライブシャフト1の段付部4と当接して、ハブ2の内側方向の取付位置を規制している。また、ドライブシャフト組付け孔7の外側の開口端部には、ナット3を収容する挿入穴8が形成されている。この挿入穴8は、ナット3の座面3aを係止する底部9とナット3の側面を囲む内周面10で構成されている。
【0011】
上記ナット3には、突起部としてフランジ部11が設けられており、このフランジ部11は、ナット3の外側面から、ナット3の半径方向の外側方向に突出している。また、フランジ部11は、ナット3の座面3a側に設けられている。このフランジ部11は、軸線Xを中心とする環状に形成されており、このフランジ部11の周面には、ナット3の締付け方向と同じ方向に螺合するおねじ加工部12が設けられている。
【0012】
上記ハブ2の挿入穴8の内周面10には、突起部として、突出部14と、溝部13が設けられている。
この突出部14は、挿入穴8の内周面10から軸線Xと略直交する面内に軸線Xの中心に向かって突出している。この突出部14の先端は、挿入穴8の外側から見ると、軸線Xを中心とする円周状に形成されている。この突出部14の内周の先端には、軸線Xと同じ中心線であり、かつナット3の締付け方向と同じ方向に螺合されるめねじ加工部16が設けられており、このめねじ加工部16は、おねじ加工部12と係合できるようになっている。
【0013】
溝部13は、底部9と突出部14の間に形成されており、その長さはフランジ部11の厚み寸法より長くなるように設けられている。また、溝部13の深さは、フランジ部11の直径より大きくなるように形成されている。
【0014】
なお、上記挿入穴8の内周面10には、ナット3を案内するガイド部15を設けることができる(図7参照)。ガイド部15は、突出部14よりも挿入穴8の開口側に設けられており、このガイド部15は、突出部14の位置から開口側に向けて徐々に径が大きくなるテーパ状に形成されている。このガイド部15により、ナット3は挿入穴8の内部に案内され、おねじ加工部12のねじ山の歯先部分と嵌合して締結される。
【0015】
次に、ドライブシャフトの組立手順を説明する。
ドライブシャフト1の軸端部1aをハブ2のドライブシャフト組付け孔7に挿通させる。(図2参照)。ドライブシャフト1とハブ2は、スプライン6a,6bにより軸線X方向に係合される。
【0016】
次に、ナット3のおねじ加工部12をハブ2の挿入穴8の内周面に設けられた突出部14のめねじ加工部16に螺合させる。ナット3は、おねじ加工部12が突出部14のめねじ加工部16との噛み合いから抜けて、フランジ部11が溝部13に完全に入り込むまで締め込む。そして、ドライブシャフト1のねじ部5にナット3をあてがい、ナット3を溝部13の中で回しながら締結する(図3、4,5参照)。このとき、ドライブシャフト1とハブ2は、スプラインで横方向に摺動可能であるため、ナット3を締付けながらドライブシャフト1を外側方向にスライドさせる。
【0017】
さらに、ドライブシャフト組付け孔7の開口端部とドライブシャフト1の段付部が当接するまでナット3を締付ける。ナット3は、一般に使用されるインパクトレンチ17を用いて締付けることができる(図6参照)。
【0018】
本実施例のナット脱落防止構造では、締結していたナット3が緩んだときに、ハブ2に設けた突出部14にナット3に設けたフランジ部11が当接する構造となっているので、ナット3が一定長さ以上に緩まないようにすることができる。仮に、ナット3が緩み、おねじ加工部12とめねじ加工部16が噛み合いそうになったとしても、おねじ加工部12の呼び径は、ナット3の呼び径よりも大きく、ねじ山の1ピッチの長さが異なるため、同時に噛み合ってナット3が外側方向に移動することはない。
【0019】
また、本実施例のナット脱落防止構造では、ナット3とハブ2におねじ加工部12とめねじ加工部16を設けているので、従来におこなっていたねじ部5にキー溝加工をする必要がなくなり、加工時間を短縮することができる。また、キー溝加工をおこなわないことにより、ドライブシャフト1に設けたねじ部5にバリを発生させたり、ねじ部5の精度を低下させることがなく、組立工程時の問題をより少なくすることができる。
【0020】
さらに、本実施例のナット脱落防止構造では、その組立作業が、おねじ加工部12とめねじ加工部16を螺合して、フランジ部11を溝部13に入り込ませるように組み立てているので、従来、おこなっていたかしめ作業などの特殊工程を設ける必要がなく、容易に組み立てることができる。また、かしめ作業をおこなう際に、ナット3の端部とドライブシャフト1の端部をそろえなければ、かしめ機を用いて作業することができなかったが、本案によれば端部をそろえる必要がないので、ドライブシャフト1のねじ部5の長さのばらつき等を管理する必要がなく、組み立て時間をより短縮することができる。
【0021】
また、おねじ加工部12およびめねじ加工部16の螺合方向の中心線と、ドライブシャフト1の軸端に設けたねじ部5およびナット3のねじ部の中心線(ドライブシャフト1の軸線X)が製作誤差などにより同軸線とならずに、おねじ加工部12およびめねじ加工部16の円周方向に多少のずれが生じたとしても、組み立て作業に影響が及ばないので、おねじ加工部12とめねじ加工部16の加工精度を厳しく管理する必要がなく、部品単価の低減を行なうことができる。
【0022】
さらにまた、本実施例のナット脱落防止構造では、緩み止めのためにカラーなどの部品を必要としないので、部品数を少なく抑えることができる。
【0023】
以上、本発明の実施の形態について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
例えば、上述の実施例ではナット3の脱落について記載したが、ナット3をボルト類に置き換えて使用した場合に、ボルトの頭部の外周面の半径方向にフランジ部を設けることにより、本発明の脱落防止構造を使用することができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明に係るドライブシャフトのナット脱落防止構造によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)車体側に懸架されるハブのドライブシャフト組付け孔に挿入されたドライブシャフトの軸端部を固定するナットの脱落防止構造において、上記ハブのドライブシャフト組付け孔の外側開口端部に、ナットを挿入可能な挿入穴を設け、該挿入穴の内周面と上記ナットの外側面に、半径方向に突出する突起部をそれぞれ設けるとともに、これら突起部に、上記ナットを挿入穴内に入れるときに、通過が可能で、かつナットが上記ドライブシャフトの軸端部から抜ける方向に移動したとき、該ナットの端面を係止する手段を設けているので、ナットが緩む方向に移動した場合にフランジ部が突出部と当接して、ナットが一定値以上に緩まない構造にすることができる。
【0025】
(2)上記ナットの端面を係止する手段として、上記突起部に互いに螺合するねじ部を設けているので、ナットの緩み止め構造を容易に組み立てることができる。
【0026】
(3)上記ハブに設けられたナットの挿入穴には、ナットを取付けるときに挿入穴に案内するガイド部が設けられているので、おねじ加工部をめねじ加工部に容易に係合させて、組立作業の負荷を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るドライブシャフトのナットの脱落防止構造を示す縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るドライブシャフトにハブを組み立てる状態を示す縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るドライブシャフトにナットを取付ける状態を示す縦断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るドライブシャフトにナットを締付ける状態を示す縦断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るドライブシャフトにナットを締付ける状態を示す縦断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るドライブシャフトにナットを締付ける状態を示す縦断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る内周面にインロー部を設けた状態を示す縦断面図である。
【図8】自動車の車輪懸架部を示す全体斜視図である。
【図9】(a)は、従来のドライブシャフトのナットの脱落防止構造を示す縦断面図であり、(b)は、(a)のナットを左側(ナットの頭部側)から見た側面図である。
【符号の説明】
1 ドライブシャフト
2 ハブ
3 ナット
3a 座面
4 段付部
5 ねじ部
6a ドライブシャフトのスプライン加工部
6b ハブのスプライン加工部
7 ドライブシャフト組付け孔
8 挿入穴
9 底部
10 内周面
11 フランジ部(突起部)
12 おねじ加工部
13 溝部
14 突出部(突起部)
15 ガイド部
16 めねじ加工部
17 インパクトレンチ
X 軸線
Claims (3)
- 車体側に懸架されるハブのドライブシャフト組付け孔に挿入されたドライブシャフトの軸端部を固定するナットの脱落防止構造において、上記ハブのドライブシャフト組付け孔の外側開口端部に、ナットを挿入可能な挿入穴を設け、該挿入穴の内周面と上記ナットの外側面に、半径方向に突出する突起部をそれぞれ設けるとともに、これら突起部に、上記ナットを挿入穴に入れるときに、通過が可能で、かつナットが上記ドライブシャフトの軸端部から抜ける方向に移動したとき、該ナットの端面を係止する手段を設けたことを特徴とするナットの脱落防止構造。
- 上記ナットの端面を係止する手段として、上記突起部に互いに螺合するねじ部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のナットの脱落防止構造。
- 上記ハブに設けられたナットの挿入穴には、ナットを取付けるときに挿入穴に案内するガイド部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のナット脱落防止構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003064431A JP2004270855A (ja) | 2003-03-11 | 2003-03-11 | ドライブシャフトのナット脱落防止構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003064431A JP2004270855A (ja) | 2003-03-11 | 2003-03-11 | ドライブシャフトのナット脱落防止構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004270855A true JP2004270855A (ja) | 2004-09-30 |
Family
ID=33125726
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003064431A Pending JP2004270855A (ja) | 2003-03-11 | 2003-03-11 | ドライブシャフトのナット脱落防止構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004270855A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE112007001443T5 (de) | 2006-06-14 | 2009-04-23 | Ntn Corp. | Lagereinheit für Antriebsräder |
DE112007001485T5 (de) | 2006-06-28 | 2009-04-30 | Ntn Corp. | Lagereinheit für ein Rad |
JP2010269427A (ja) * | 2009-05-22 | 2010-12-02 | Hitachi Koki Co Ltd | オイルパルス工具 |
US8083598B2 (en) | 2006-07-11 | 2011-12-27 | Ntn Corporation | Bearing device for wheel |
US8323117B2 (en) | 2007-05-15 | 2012-12-04 | Ntn Corporation | Wheel bearing device, method of assembling wheel bearing device, assembly configured by wheel bearing device and drive shaft, and method of assembling assembly |
-
2003
- 2003-03-11 JP JP2003064431A patent/JP2004270855A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE112007001443T5 (de) | 2006-06-14 | 2009-04-23 | Ntn Corp. | Lagereinheit für Antriebsräder |
US8480306B2 (en) | 2006-06-14 | 2013-07-09 | Ntn Corporation | Bearing unit for driving wheels |
DE112007001485T5 (de) | 2006-06-28 | 2009-04-30 | Ntn Corp. | Lagereinheit für ein Rad |
US8083598B2 (en) | 2006-07-11 | 2011-12-27 | Ntn Corporation | Bearing device for wheel |
US8323117B2 (en) | 2007-05-15 | 2012-12-04 | Ntn Corporation | Wheel bearing device, method of assembling wheel bearing device, assembly configured by wheel bearing device and drive shaft, and method of assembling assembly |
JP2010269427A (ja) * | 2009-05-22 | 2010-12-02 | Hitachi Koki Co Ltd | オイルパルス工具 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6190102B1 (en) | Studs for connecting a wheel and a brake element to a motor vehicle wheel hub unit | |
US10718368B2 (en) | Lock nut with offset retaining ring | |
EP1364131B1 (en) | Self-tapping insert, insert assembly, and method for mounting the insert | |
AU2002241870A1 (en) | Self-tapping insert, insert assembly, and method for mounting the insert | |
JP2009208769A (ja) | ディスクロータ案内装置及び外径案内装置 | |
JPH07229509A (ja) | 耐振性ネジ | |
JP2004270855A (ja) | ドライブシャフトのナット脱落防止構造 | |
JPH10324108A (ja) | ベアリングロックナット・ワッシャ構造 | |
JP2008168817A (ja) | 車輪用軸受装置 | |
US20080067811A1 (en) | Fastener assembly and manufacturing method therefor | |
JP2005042832A (ja) | 軸と回転体の締結具 | |
US20080174169A1 (en) | Rolling bearing apparatus for wheel | |
JP2006194291A (ja) | 緩止座金、締結構造及び締結方法 | |
JP2008240865A (ja) | ダストカバーの固定構造 | |
JP2011051386A (ja) | 電動パワーステアリング装置 | |
JP5556997B2 (ja) | 摩擦締結具 | |
JP2019113111A (ja) | 部材締結構造 | |
KR200345713Y1 (ko) | 너트 풀림방지구조 | |
US10888979B2 (en) | Lockable socket insert, insert tool and insert lock and method of making and using the same | |
JPH0518410A (ja) | ボルトのナツト止め | |
JPH10141349A (ja) | 緩み止めナット、並びに、その製造方法 | |
JP2000220616A (ja) | ブラインド型締結具 | |
JP2001050237A (ja) | ナット外し防止構造及びナット外し防止具並びにナット外し防止方法 | |
WO2012111130A1 (ja) | 摩擦締結具 | |
KR200277983Y1 (ko) | 허브 스페이서의 결합 구조 |