JP2004270813A - 変速機のシフト制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】変速時間を比較的速くすると共に、ギヤ入れショックを低減した変速機のシフト制御装置を提供する。
【解決手段】シフトレバーの操作位置に応じて、変速機のシフト位置を移動させて変速する時に、少なくとも、変速機のギヤ同士が同期する直前の位置となるramp range1から変速機のギヤ同士の同期が完了する位置となるramp range2までと、変速機のギヤが係合する直前の位置となるramp range3から変速機のギヤ入れが完了する位置となるramp range4までのシフトストロークのスピードを、他のシフト位置における移動速度より遅くした変速機のシフト制御装置。
【選択図】 図3
【解決手段】シフトレバーの操作位置に応じて、変速機のシフト位置を移動させて変速する時に、少なくとも、変速機のギヤ同士が同期する直前の位置となるramp range1から変速機のギヤ同士の同期が完了する位置となるramp range2までと、変速機のギヤが係合する直前の位置となるramp range3から変速機のギヤ入れが完了する位置となるramp range4までのシフトストロークのスピードを、他のシフト位置における移動速度より遅くした変速機のシフト制御装置。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等の変速機のシフト操作を行なうシフト制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両等の変速機(トランスミッション)のシフト制御装置として、シフトレバーからのシフト指令を、電動モータ等による駆動力を用いて、シフト操作を行なう技術が知られている。特に、大型の変速機を有するトラック、バス等の車両においては、変速機のシフト操作に比較的大きな操作力が必要であるため、上記技術により、シフト操作時の運転者の負担を軽減して、円滑なシフト操作が行なえるようにしている。
【0003】
上記シフト操作を行なう装置の1つとして、電動GSU(Gear Shift Unit)と呼ばれているものがある。電動GSUは、変速機の上部に設けられており、変速機内部のギヤを選択するシフト軸と、シフト軸を移動させる電動モータ等のアクチュエータと、シフト軸の位置を検出するシフト位置センサ等とを有している。シフト操作時には、アクチュエータを用いてシフト軸を移動させると共に、シフト位置センサからの出力値をフィードバックしてシフト軸の位置を制御することで、所定のギヤを選択してシフト操作を行なう。
【0004】
具体的には、シフト軸の移動目標位置を設定し、その移動目標位置と実際のシフト軸の位置との差によりPID制御を行い、移動目標位置に実際のシフト軸の位置を追従させることで、電動GSUのシフト軸の位置制御、つまり、シフト操作を行なう。このような制御を行なう従来のシフト制御のタイムチャートを図7に示す。
【0005】
図7(a)、(b)に示すように、従来のシフト制御の方法としては、移動目標位置の与え方が異なる以下の2つの方法がある。
(a)シフト軸の移動目標位置として、ニュートラル位置からギヤ入れ位置を直接設定する(図7(a)参照、太線が時間に対するシフト軸の移動の目標値の軌跡となる。)。
(b)シフト軸の移動目標位置として、まず、ニュートラル位置から変速機のギヤ同士が同期する位置(ramp range)を設定し、ニュートラル位置から変速機のギヤ同士が同期する位置(ramp range)まで、所定の移動スピード(shift speed)でシフト軸をゆっくり動かす。その後、変速機のギヤ同士が同期する位置(ramp range)からギヤ入れ位置を設定する(図7(b)参照、太線が時間に対するシフト軸の移動の目標値の軌跡となる。)。
なお、シフトストロークとはシフト軸の移動量(mm)であるが、制御上では移動量(mm)に相関するシフト位置センサの出力値(V)を用いている。
【0006】
(c)他のシフト制御の方法として、変速機内部のギヤの選択を行なうシフトフォークと、シフトフォークをシフト動作させるシフトアクチュエータと、シフトアクチュエータを駆動する電気的制御可能な駆動手段とを有し、変速開始後、インプットシャフトの回転変化率が既定値以上であるボーク点(同期位置に相当)を正確に検出し、ボーク点と判定されたインプットシャフトの回転変化率でのインプットシャフトの回転数とアウトプットシャフトの回転数との相対回転差に基づいて、ボーク点以後の、シフトフォークへかけるシフトアクチュエータへの作用荷重を設定することで、回転数の変化に応じたアクチュエータの押付けの強さを変えて、車両ショックのないシフト制御を行う技術もある(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特許第3313327号公報(第3−6頁、第1−6図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のシフト制御方法のうち、(a)のシフト制御方法では、シフト操作の開始時に、目標値と実際のシフト軸の位置の差が大きく、ギヤ同士の同期開始時に過大な荷重が発生し、大きなギヤ入れショックとなる。
【0009】
又、(b)のシフト制御方法は、(a)のシフト制御方法のギヤ入れショック対策のため、同期開始時にシフト軸をゆっくり移動させることで、同期開始時の発生荷重を小さくしてギヤ入れショックを低減させているが、同期開始までの時間が比較的長くなり、その結果、変速時間が長くなってしまう。これは、運転者のシフト操作と実際の変速との間に時間差ができてしまい、操作フィーリングが合わないうえに、変速時間が長いために損失によりエンジン回転数が落ちてしまう問題がある。更に、ギヤ同士の同期位置(ramp range)からはギヤ入れ位置を直接設定しているため、同期位置とギヤ入れ位置との差により、ギヤ同士の係合開始時に急に大きな荷重が発生し、係合ショック(係合時異音)となる。この係合ショックは(c)のシフト制御方法でも同様に発生する。このようなギヤ入れショックは、エネルギーの損失となるだけでなく、関連する部材の耐久性の点からも好ましくない。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、変速時間を比較的速くすると共に、ギヤ入れショックを低減したシフト制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明に係る変速機のシフト制御装置は、変速機のギヤのシフト操作を行なうシフト軸と、シフト軸をシフト方向に移動させるシフト方向移動手段と、シフト軸をセレクト方向に移動させるセレクト方向移動手段と、シフト軸のシフト方向の位置を検出するシフト方向検出手段と、シフト軸のセレクト方向の位置を検出するセレクト方向検出手段と、シフトレバーの操作位置に応じて、シフト方向移動手段及びセレクト方向移動手段により、シフト軸を移動させて変速を行なうシフト制御手段とを有する。シフト制御手段にはシフト方向のシフト軸の移動目標位置として、変速機のギヤ同士が同期する直前の位置となる第1目標位置と、変速機のギヤ同士の同期が完了する位置となる第2目標位置と、変速機のギヤ同士が係合する直前の位置となる第3目標位置と、変速機のギヤ入れが完了する位置となる第4目標位置とが設定されており、少なくとも、第1目標位置から第2目標位置までと、第3目標位置から第4目標位置までのシフト軸の移動速度を、他のシフト位置における移動速度より遅くなるように、シフト制御手段がシフト軸を制御する。
【0012】
上記課題を解決する本発明に係る変速機のシフト制御装置は、シフト制御手段が、シフト方向検出手段によりシフト軸の位置が第1目標位置であることを検出すると、シフト軸の移動速度を、他のシフト位置における移動速度より遅い第1シフトスピードに変更して、例えば、シフト軸を第4目標位置まで移動させる。
【0013】
上記課題を解決する本発明に係る変速機のシフト制御装置は、シフト制御手段が、シフト方向検出手段によりシフト軸の位置が第3目標位置であることを検出すると、シフト軸の移動速度を、更に、他のシフト位置における移動速度より遅い第2シフトスピードに変更して、シフト軸を第4目標位置まで移動させる。
【0014】
上記課題を解決する本発明に係る変速機のシフト制御装置は、シフト制御手段が、シフト方向検出手段によりシフト軸の位置が第2目標位置であることを検出すると、更に、シフト軸の移動速度を第1シフトスピードより速くして、シフト軸を第3目標位置まで移動させる。
【0015】
【発明の実施の形態】
変速機の変速時、特に、ギヤ入れ時には、ギヤ同士の周速度が異なるため、ギヤ同士が同じ周速度となる「同期」と、その後のギヤ同士が噛合う「係合」と、2段階のステップを経てギヤ入れが完了する。つまり、ニュートラルの位置からギヤ入れの完了する位置までに、ギヤ同士の伝達駆動力の大きな変化点、即ち、ギヤ入れショックが発生しやすい点が、この2つの段階、1つ目はギヤ同士の同期位置に、2つ目はギヤ同士の係合位置にあることとなる。
【0016】
ギヤ同士の同期動作は、その開始から完了までに、ギヤ同士の相対位置に所定の幅を持って行われ、同様にギヤ同士の係合動作も、その開始から完了までに、ギヤ同士の相対位置に所定の幅を持って行われる。更に、同期から係合までのギヤ同士の相対位置にも所定の幅がある。この同期から係合までのギヤ同士の相対位置の幅は、実際のギヤの歯の大きさに相当するものと考えられる。これらのギヤ同士の相対位置は、シフト操作を行なうシフト軸の位置と相関し、正確なシフト操作を行なうためには、シフト軸の位置の制御を正確に行なう必要がある。本発明では、特に、ギヤ入れ時のギヤ同士の同期位置と、係合位置に着目し、ギヤ同士の同期位置と係合位置の動作幅に相関するシフト軸の位置で、シフト軸の移動速度を他のシフト軸の位置より遅くすることで、ギヤ同士の噛み合せを緩やかにしてギヤ入れショックの発生を抑制すると共に、その他のシフト軸の位置、例えば、ニュートラル位置から同期開始位置までは、シフト軸の移動速度を速くすることで、従来と比較して変速時間を短縮している。以下、図を用いて、上記効果を実現する本発明に係るシフト制御装置を詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明に係るシフト制御装置が用いられるエンジン、クラッチ装置及び変速機の概略構成図である。
【0018】
本発明に係るシフト制御装置は、エンジン1からクラッチ装置2を介して変速機3に伝達された出力を変速するために、変速機3の上部に設けた電動GSU4を制御することで、変速機3内部のシフト操作を行なって適切なギヤ比を選択している。本発明の場合、エンジン1としては、出力が比較的大きいものが好適である。
【0019】
クラッチ装置2は通常用いられている機械摩擦式クラッチ装置でよいが、クラッチ板の断接動作を手動及び自動で実施可能であり、変速機3が変速される際には、変速制御に合わせて自動的に断接制御されるように構成されている。クラッチ装置2の入力側には、エンジン1の回転速度を検出するエンジン回転センサ5が設けられ、クラッチ装置2の出力側には、クラッチ板の回転速度を検出するクラッチ回転センサ6が設けられており、変速後のクラッチ板の接続動作時には、エンジン1の回転数とクラッチ板との回転速度を合わせて接続される。
【0020】
変速機3は、シンクロメッシュ機構のギヤを有する出力シャフトと、後退段を含め複数の前進段を有する変速段のギヤとを組み合わせて構成されており、後述する電動GSU4によりシフト軸の位置が制御されて、所定のギヤ比が選択される。具体的には、出力シャフトが有するシンクロナイザスリーブの外周に設けられた溝部にシフトフォークが係合され、このシフトフォークがシフト軸を介して電動GSU4によりストローク駆動される。そして、シフト操作時には、シフト軸のストローク動作により、シフトフォーク、シンクロナイザスリーブを介して、出力シャフトのギヤが所定の変速段のギヤに噛合うことで、ギヤの回転が出力シャフトに円滑に伝達されるように構成されている。
【0021】
これらのシフト制御は、シフトレバー7aのシフト位置に応じて行われる。シフトレバー7aは、シフト操作、つまり、変速機3のシフト軸の位置を制御するためのものであり、シフトレバー7aがどの位置にあるかを検知するシフト位置検出センサ7bを有している。シフト位置検出センサ7bは、変速機用ECU(電子コントロールユニット)9に接続されており、変速機用ECU9に供給されたシフト位置検出センサ7bからの検出信号L1に応じて、変速機用ECU9からのGSU制御信号L3が電動GSU4へ供給され、後述するシフトストロークセンサ17、セレクトストロークセンサ18からのシフト軸位置信号L4をフィードバックしながら、シフト軸の位置を制御して、変速機3のギヤを選択している。
【0022】
又、変速機の変速制御は、エンジン1の回転数の制御やクラッチ装置2の断接制御等、他の制御機器と連動して行われている。そのため、変速機用ECU9は、エンジン1の駆動制御を行うために設けられたエンジン用ECU10と、直接、又は共通の通信ラインLcを介して、制御上必要な信号や情報をやり取りしている。例えば、アクセルペダル8aに設けられたアクセル開度センサ8bからのアクセル開度信号L2は、変速機用ECU9、エンジン用ECU10両方に接続されており、クラッチ装置2のエンジン回転センサ5からエンジン回転数信号L7は、エンジン用ECU10を介して変速機用ECU9に接続されている。又、クラッチ装置2のクラッチ回転センサ5からクラッチ回転数信号L6は変速機用ECU9へ接続されており、クラッチ装置2への断接制御信号L6は変速機用ECUから出力されて、変速時のクラッチ装置2の断接制御が行われる。
【0023】
なお、上記変速機用ECU9及びエンジン用ECU11は、マイクロコンピュータ(CPU)、メモリ(プログラムやデータを有するROMと、演算作業領域となるRAMとを有する。)及び入出力信号の処理回路となるインタフェイスとで構成されているものである。変速機ECU9では、上述したセンサ等から入力された情報に基づき、制御プログラムにより適切な制御信号が出力されて、本発明に係るシフト制御が実施される。
【0024】
図2は、本発明に係るシフト制御装置が制御する電動GSUの概略構成図である。(a)は上面図を示し、(b)は(a)のB−B線矢視断面図、(c)は(a)のC−C線矢視断面図である。
【0025】
本発明に係るシフト制御装置が制御する電動GSU4は、変速機3の上部に配設されており、手動式のシフト装置に代わって電動式でシフト操作を行なうものである。図2に示すように、電動GSU4は、ECUからのGSU制御信号により作動するシフトモータ11、セレクトモータ12と、シフトモータ11、セレクトモータ12により各々駆動され、互いに直交する方向に設けられた2つのボールネジ13、14と、シフト方向のボールネジ13のナット13aに取付けられたガイドシャフト15と、セレクト方向のボールネジ14のナット14aに取付けられ、ガイドシャフト15に貫通されたストライカ16とを有し、ストライカ16下部に設けられたレバー16aが図示していない変速機内部のシフト軸に嵌合されている。つまり、シフト軸(ストライカ16)を移動させるシフト方向移動手段として、シフトモータ11及びシフト方向のボールネジ13を有し、セレクト方向移動手段として、セレクトモータ12及びセレクト方向のボールネジ14を有する構成である。
【0026】
更に、ナット13a、14a(ストライカ16)の位置を検出するシフト方向検出手段及びセレクト方向検出手段となるシフトストロークセンサ17及びセレクトストロークセンサ18を有する。シフトストロークセンサ17及びセレクトストロークセンサ18は、ナット13a、14a(ストライカ16)の位置を角度の変化として検出するアングルセンサであり、センサの回転軸を中心に回転するセンサ・バー17a、18aが各々のナット13a、13bに接続されている。ガイドシャフト15はセレクト方向のボールネジ14と同一方向に配設され、セレクトモータ12の回転により、ストライカ16はセレクト方向へ移動可能であり、シフトモータ11の回転により、ストライカ16はシフト方向へ移動可能である。この時、センサ・バー17a、18aの先端は、ナット13a、14aの移動とともに移動に応じた回転角となり、この角度を検出して、ストライカ16の位置、即ちシフト軸の位置を正確に把握することができる。シフトストロークセンサ17及びセレクトストロークセンサ18からは現在のストライカ16の位置を示す信号が、変速機用ECUに向けてフィードバックされており、この信号によりシフト軸の位置制御が行われている。
【0027】
図3は、本発明に係る実施形態の一例を示すシフト制御のタイムチャートである。又、図4は、本発明に係る実施形態の一例を示すシフト制御のフローチャートである。この図3、図4を用いて本発明に係る制御を説明する。
【0028】
なお、図3及び後述の図5では、シフトパターンがニュートラルから2速側へシフトするタイムチャートを記載した。これは、ニュートラルから4速側へは同じようなタイムチャートとなり、逆に、1、3、5速側では、ニュートラル位置を中心にして線対称なタイムチャートとなる。なお、ここで示すシフトストロークは、シフトストロークセンサの検出電圧値(V)である。
【0029】
ステップS1では、シフトレバーの操作により、変速機におけるシフト操作(ギヤ入れ)が開始する。この時、シフトレバーのセレクト方向に対応するセレクトストロークの位置にシフト軸(ストライカ)は移動しており、シフト軸のシフトストロークの位置は、ニュートラルの位置である。
【0030】
ステップS2、S3では、シフト軸のシフト方向の移動目標位置となる第1目標位置として、ギヤ同士の同期位置直前の位置(ramp range1)を設定し、実際のシフトストロークが第1目標位置になるまで、PID制御によりシフトモータを駆動してシフト軸を移動させる。PID制御の場合、目標値と実際の値との差が大きくなると、目標値までできるだけ短い時間で制御しようとする。つまり、ここでは、ギヤ同士が同期する直前の位置までは、シフト軸を速く動作させている。
【0031】
ステップS4、S5では、実際のシフトストロークが第1目標位置を過ぎると、シフト軸の移動速度が第1シフトスピード(shift speed1)になるように、シフト軸の移動目標位置を随時与えながらシフト軸を移動させる。この時、第1シフトスピードは、ギヤ同士の同期時のショックを低減するような遅いスピードに設定する。このように、ギヤ同士が同期する直前の位置を移動目標値として与え、それを過ぎるとシフト軸の移動速度を遅くすることで、ギヤ入れ時のショックを抑制する。
【0032】
ステップS6、S7では、第3目標位置、つまり、ギヤ同士の係合位置直前の位置(ramp range3)を設定し、実際のシフトストロークが第3目標位置になるまで、第1シフトスピードでシフトモータを駆動して、シフト軸を移動させる。
【0033】
ステップS8、S9では、実際のシフトストロークが第3目標位置を過ぎると、シフト軸の移動速度が第2シフトスピード(shift speed2)になるように、シフト軸の移動目標位置を順次与えながらシフト軸を移動させる。この時、第2シフトスピードも、ギヤ同士の係合時のショックを低減するような遅いスピードに設定する。ここでも、ギヤ同士が係合する直前の位置を移動目標値として与え、それを過ぎるとシフト軸の移動速度を遅くすることで、ギヤ入れ時のショックを抑制する。なお、第3目標位置を設定せずに、第1目標位置からギヤ入れ完了位置(第4目標位置)まで、第1シフトスピードでシフト軸を移動させてもよい。
【0034】
ステップS10、S11、S12では、第4目標位置(ramp range4)、つまり、ギヤ入れが完了する位置を設定し、実際のシフトストロークが第4目標位置になるまで、第2シフトスピードでシフトモータを駆動して、シフト軸を移動させて、ギヤ入れを完了させる。
【0035】
次に、本発明に係る実施形態の他の一例を示すシフト制御のタイムチャートとフローチャートを図5、図6に示し、図5、図6を用いて本発明に係る制御を説明する。
【0036】
ステップS21、S22、S23での制御は、前述のS1、S2、S3の制御と同等であるのでここでは説明を省略する。
【0037】
ステップS24、S25、S26では、実際のシフトストロークが第1目標位置を過ぎると、シフト軸の移動速度が第1シフトスピード(shift speed1)になるように、シフト軸の移動目標位置を随時与えながらシフト軸を移動させ、更に、第2目標位置(ramp range2)を設定する。ここでは、第2目標位置に到達するまで、実際のシフトスピードを第1シフトスピードへと変更制御するが、第1シフトスピードに変更される前に第2目標位置に到達すればS27へ進む。第1シフトスピードは、ギヤ同士の同期時のショックを低減するような遅いスピードであり、ギヤ同士が同期する直前の位置を移動目標値として与え、それを過ぎるとシフト軸の移動速度を遅くすることで、ギヤ入れ時のショックを抑制する。
【0038】
ステップS27、S28では、第3目標位置、つまり、ギヤ同士の係合位置直前の位置(ramp range3)を設定し、実際のシフトストロークが第3目標位置になるまで、PID制御によりシフトモータを駆動して、シフト軸を移動させる。
これにより、同期完了位置から係合開始位置までの時間を短縮することができる。
【0039】
ステップS29、S30では、実際のシフトストロークが第3目標位置を過ぎると、シフト軸の移動速度が第2シフトスピード(shift speed2)になるように、シフト軸の移動目標位置を順次与えながらシフト軸を移動させる。第2シフトスピードも、ギヤ同士の係合時のショックを低減するような遅いスピードであり、ギヤ同士が係合する直前の位置を移動目標値として与え、それを過ぎるとシフト軸の移動速度を遅くすることで、ギヤ入れ時のショックを抑制する。
【0040】
ステップS31、S32、S33では、第4目標位置(ramp range4)、つまり、ギヤ入れが完了する位置を設定し、実際のシフトストロークが第4目標位置になるまで、第2シフトスピードでシフトモータを駆動して、シフト軸を移動させて、ギヤ入れを完了させる。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、変速機のシフト軸の移動目標位置として、ギヤ入れ位置だけではなく、中間点となる同期位置、係合位置を設置し、この位置でのみシフト軸の移動速度を遅くすることで、同期開始時及び係合開始時の伝達荷重を低減して、ギヤ入れショックを低減すると共に、比較的短い時間で変速を行なうことができる。その結果、エンジンの回転数が落ちるのを防止することもでき、運転者に不自然なフィーリングを与えることなく、変速を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシフト制御装置が用いられるエンジン、クラッチ装置及び変速機の概略構成図である。
【図2】本発明に係るシフト制御装置が制御するシフト操作装置である。
【図3】本発明に係る実施形態の一例を示すシフト制御のタイムチャートである。
【図4】本発明に係る実施形態の一例を示すシフト制御のフローチャートである。
【図5】本発明に係る実施形態の他の一例を示すシフト制御のタイムチャートである。
【図6】本発明に係る実施形態の他の一例を示すシフト制御のフローチャートである。
【図7】従来のシフト制御のタイムチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 クラッチ装置
3 変速機
4 電動GSU
5 エンジン回転センサ
6 クラッチ回転センサ
7a シフトレバー
7b シフトレバー位置検出センサ
8a アクセルペダル
8b アクセル開度検出センサ
9 変速機用ECU
10 エンジン用ECU
11 シフトモータ
12 セレクトモータ
13 ボールネジ
14 ボールネジ
15 ガイドシャフト
16 ストライカ
17 シフトストロークセンサ
18 セレクトストロークセンサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等の変速機のシフト操作を行なうシフト制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両等の変速機(トランスミッション)のシフト制御装置として、シフトレバーからのシフト指令を、電動モータ等による駆動力を用いて、シフト操作を行なう技術が知られている。特に、大型の変速機を有するトラック、バス等の車両においては、変速機のシフト操作に比較的大きな操作力が必要であるため、上記技術により、シフト操作時の運転者の負担を軽減して、円滑なシフト操作が行なえるようにしている。
【0003】
上記シフト操作を行なう装置の1つとして、電動GSU(Gear Shift Unit)と呼ばれているものがある。電動GSUは、変速機の上部に設けられており、変速機内部のギヤを選択するシフト軸と、シフト軸を移動させる電動モータ等のアクチュエータと、シフト軸の位置を検出するシフト位置センサ等とを有している。シフト操作時には、アクチュエータを用いてシフト軸を移動させると共に、シフト位置センサからの出力値をフィードバックしてシフト軸の位置を制御することで、所定のギヤを選択してシフト操作を行なう。
【0004】
具体的には、シフト軸の移動目標位置を設定し、その移動目標位置と実際のシフト軸の位置との差によりPID制御を行い、移動目標位置に実際のシフト軸の位置を追従させることで、電動GSUのシフト軸の位置制御、つまり、シフト操作を行なう。このような制御を行なう従来のシフト制御のタイムチャートを図7に示す。
【0005】
図7(a)、(b)に示すように、従来のシフト制御の方法としては、移動目標位置の与え方が異なる以下の2つの方法がある。
(a)シフト軸の移動目標位置として、ニュートラル位置からギヤ入れ位置を直接設定する(図7(a)参照、太線が時間に対するシフト軸の移動の目標値の軌跡となる。)。
(b)シフト軸の移動目標位置として、まず、ニュートラル位置から変速機のギヤ同士が同期する位置(ramp range)を設定し、ニュートラル位置から変速機のギヤ同士が同期する位置(ramp range)まで、所定の移動スピード(shift speed)でシフト軸をゆっくり動かす。その後、変速機のギヤ同士が同期する位置(ramp range)からギヤ入れ位置を設定する(図7(b)参照、太線が時間に対するシフト軸の移動の目標値の軌跡となる。)。
なお、シフトストロークとはシフト軸の移動量(mm)であるが、制御上では移動量(mm)に相関するシフト位置センサの出力値(V)を用いている。
【0006】
(c)他のシフト制御の方法として、変速機内部のギヤの選択を行なうシフトフォークと、シフトフォークをシフト動作させるシフトアクチュエータと、シフトアクチュエータを駆動する電気的制御可能な駆動手段とを有し、変速開始後、インプットシャフトの回転変化率が既定値以上であるボーク点(同期位置に相当)を正確に検出し、ボーク点と判定されたインプットシャフトの回転変化率でのインプットシャフトの回転数とアウトプットシャフトの回転数との相対回転差に基づいて、ボーク点以後の、シフトフォークへかけるシフトアクチュエータへの作用荷重を設定することで、回転数の変化に応じたアクチュエータの押付けの強さを変えて、車両ショックのないシフト制御を行う技術もある(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特許第3313327号公報(第3−6頁、第1−6図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のシフト制御方法のうち、(a)のシフト制御方法では、シフト操作の開始時に、目標値と実際のシフト軸の位置の差が大きく、ギヤ同士の同期開始時に過大な荷重が発生し、大きなギヤ入れショックとなる。
【0009】
又、(b)のシフト制御方法は、(a)のシフト制御方法のギヤ入れショック対策のため、同期開始時にシフト軸をゆっくり移動させることで、同期開始時の発生荷重を小さくしてギヤ入れショックを低減させているが、同期開始までの時間が比較的長くなり、その結果、変速時間が長くなってしまう。これは、運転者のシフト操作と実際の変速との間に時間差ができてしまい、操作フィーリングが合わないうえに、変速時間が長いために損失によりエンジン回転数が落ちてしまう問題がある。更に、ギヤ同士の同期位置(ramp range)からはギヤ入れ位置を直接設定しているため、同期位置とギヤ入れ位置との差により、ギヤ同士の係合開始時に急に大きな荷重が発生し、係合ショック(係合時異音)となる。この係合ショックは(c)のシフト制御方法でも同様に発生する。このようなギヤ入れショックは、エネルギーの損失となるだけでなく、関連する部材の耐久性の点からも好ましくない。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、変速時間を比較的速くすると共に、ギヤ入れショックを低減したシフト制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明に係る変速機のシフト制御装置は、変速機のギヤのシフト操作を行なうシフト軸と、シフト軸をシフト方向に移動させるシフト方向移動手段と、シフト軸をセレクト方向に移動させるセレクト方向移動手段と、シフト軸のシフト方向の位置を検出するシフト方向検出手段と、シフト軸のセレクト方向の位置を検出するセレクト方向検出手段と、シフトレバーの操作位置に応じて、シフト方向移動手段及びセレクト方向移動手段により、シフト軸を移動させて変速を行なうシフト制御手段とを有する。シフト制御手段にはシフト方向のシフト軸の移動目標位置として、変速機のギヤ同士が同期する直前の位置となる第1目標位置と、変速機のギヤ同士の同期が完了する位置となる第2目標位置と、変速機のギヤ同士が係合する直前の位置となる第3目標位置と、変速機のギヤ入れが完了する位置となる第4目標位置とが設定されており、少なくとも、第1目標位置から第2目標位置までと、第3目標位置から第4目標位置までのシフト軸の移動速度を、他のシフト位置における移動速度より遅くなるように、シフト制御手段がシフト軸を制御する。
【0012】
上記課題を解決する本発明に係る変速機のシフト制御装置は、シフト制御手段が、シフト方向検出手段によりシフト軸の位置が第1目標位置であることを検出すると、シフト軸の移動速度を、他のシフト位置における移動速度より遅い第1シフトスピードに変更して、例えば、シフト軸を第4目標位置まで移動させる。
【0013】
上記課題を解決する本発明に係る変速機のシフト制御装置は、シフト制御手段が、シフト方向検出手段によりシフト軸の位置が第3目標位置であることを検出すると、シフト軸の移動速度を、更に、他のシフト位置における移動速度より遅い第2シフトスピードに変更して、シフト軸を第4目標位置まで移動させる。
【0014】
上記課題を解決する本発明に係る変速機のシフト制御装置は、シフト制御手段が、シフト方向検出手段によりシフト軸の位置が第2目標位置であることを検出すると、更に、シフト軸の移動速度を第1シフトスピードより速くして、シフト軸を第3目標位置まで移動させる。
【0015】
【発明の実施の形態】
変速機の変速時、特に、ギヤ入れ時には、ギヤ同士の周速度が異なるため、ギヤ同士が同じ周速度となる「同期」と、その後のギヤ同士が噛合う「係合」と、2段階のステップを経てギヤ入れが完了する。つまり、ニュートラルの位置からギヤ入れの完了する位置までに、ギヤ同士の伝達駆動力の大きな変化点、即ち、ギヤ入れショックが発生しやすい点が、この2つの段階、1つ目はギヤ同士の同期位置に、2つ目はギヤ同士の係合位置にあることとなる。
【0016】
ギヤ同士の同期動作は、その開始から完了までに、ギヤ同士の相対位置に所定の幅を持って行われ、同様にギヤ同士の係合動作も、その開始から完了までに、ギヤ同士の相対位置に所定の幅を持って行われる。更に、同期から係合までのギヤ同士の相対位置にも所定の幅がある。この同期から係合までのギヤ同士の相対位置の幅は、実際のギヤの歯の大きさに相当するものと考えられる。これらのギヤ同士の相対位置は、シフト操作を行なうシフト軸の位置と相関し、正確なシフト操作を行なうためには、シフト軸の位置の制御を正確に行なう必要がある。本発明では、特に、ギヤ入れ時のギヤ同士の同期位置と、係合位置に着目し、ギヤ同士の同期位置と係合位置の動作幅に相関するシフト軸の位置で、シフト軸の移動速度を他のシフト軸の位置より遅くすることで、ギヤ同士の噛み合せを緩やかにしてギヤ入れショックの発生を抑制すると共に、その他のシフト軸の位置、例えば、ニュートラル位置から同期開始位置までは、シフト軸の移動速度を速くすることで、従来と比較して変速時間を短縮している。以下、図を用いて、上記効果を実現する本発明に係るシフト制御装置を詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明に係るシフト制御装置が用いられるエンジン、クラッチ装置及び変速機の概略構成図である。
【0018】
本発明に係るシフト制御装置は、エンジン1からクラッチ装置2を介して変速機3に伝達された出力を変速するために、変速機3の上部に設けた電動GSU4を制御することで、変速機3内部のシフト操作を行なって適切なギヤ比を選択している。本発明の場合、エンジン1としては、出力が比較的大きいものが好適である。
【0019】
クラッチ装置2は通常用いられている機械摩擦式クラッチ装置でよいが、クラッチ板の断接動作を手動及び自動で実施可能であり、変速機3が変速される際には、変速制御に合わせて自動的に断接制御されるように構成されている。クラッチ装置2の入力側には、エンジン1の回転速度を検出するエンジン回転センサ5が設けられ、クラッチ装置2の出力側には、クラッチ板の回転速度を検出するクラッチ回転センサ6が設けられており、変速後のクラッチ板の接続動作時には、エンジン1の回転数とクラッチ板との回転速度を合わせて接続される。
【0020】
変速機3は、シンクロメッシュ機構のギヤを有する出力シャフトと、後退段を含め複数の前進段を有する変速段のギヤとを組み合わせて構成されており、後述する電動GSU4によりシフト軸の位置が制御されて、所定のギヤ比が選択される。具体的には、出力シャフトが有するシンクロナイザスリーブの外周に設けられた溝部にシフトフォークが係合され、このシフトフォークがシフト軸を介して電動GSU4によりストローク駆動される。そして、シフト操作時には、シフト軸のストローク動作により、シフトフォーク、シンクロナイザスリーブを介して、出力シャフトのギヤが所定の変速段のギヤに噛合うことで、ギヤの回転が出力シャフトに円滑に伝達されるように構成されている。
【0021】
これらのシフト制御は、シフトレバー7aのシフト位置に応じて行われる。シフトレバー7aは、シフト操作、つまり、変速機3のシフト軸の位置を制御するためのものであり、シフトレバー7aがどの位置にあるかを検知するシフト位置検出センサ7bを有している。シフト位置検出センサ7bは、変速機用ECU(電子コントロールユニット)9に接続されており、変速機用ECU9に供給されたシフト位置検出センサ7bからの検出信号L1に応じて、変速機用ECU9からのGSU制御信号L3が電動GSU4へ供給され、後述するシフトストロークセンサ17、セレクトストロークセンサ18からのシフト軸位置信号L4をフィードバックしながら、シフト軸の位置を制御して、変速機3のギヤを選択している。
【0022】
又、変速機の変速制御は、エンジン1の回転数の制御やクラッチ装置2の断接制御等、他の制御機器と連動して行われている。そのため、変速機用ECU9は、エンジン1の駆動制御を行うために設けられたエンジン用ECU10と、直接、又は共通の通信ラインLcを介して、制御上必要な信号や情報をやり取りしている。例えば、アクセルペダル8aに設けられたアクセル開度センサ8bからのアクセル開度信号L2は、変速機用ECU9、エンジン用ECU10両方に接続されており、クラッチ装置2のエンジン回転センサ5からエンジン回転数信号L7は、エンジン用ECU10を介して変速機用ECU9に接続されている。又、クラッチ装置2のクラッチ回転センサ5からクラッチ回転数信号L6は変速機用ECU9へ接続されており、クラッチ装置2への断接制御信号L6は変速機用ECUから出力されて、変速時のクラッチ装置2の断接制御が行われる。
【0023】
なお、上記変速機用ECU9及びエンジン用ECU11は、マイクロコンピュータ(CPU)、メモリ(プログラムやデータを有するROMと、演算作業領域となるRAMとを有する。)及び入出力信号の処理回路となるインタフェイスとで構成されているものである。変速機ECU9では、上述したセンサ等から入力された情報に基づき、制御プログラムにより適切な制御信号が出力されて、本発明に係るシフト制御が実施される。
【0024】
図2は、本発明に係るシフト制御装置が制御する電動GSUの概略構成図である。(a)は上面図を示し、(b)は(a)のB−B線矢視断面図、(c)は(a)のC−C線矢視断面図である。
【0025】
本発明に係るシフト制御装置が制御する電動GSU4は、変速機3の上部に配設されており、手動式のシフト装置に代わって電動式でシフト操作を行なうものである。図2に示すように、電動GSU4は、ECUからのGSU制御信号により作動するシフトモータ11、セレクトモータ12と、シフトモータ11、セレクトモータ12により各々駆動され、互いに直交する方向に設けられた2つのボールネジ13、14と、シフト方向のボールネジ13のナット13aに取付けられたガイドシャフト15と、セレクト方向のボールネジ14のナット14aに取付けられ、ガイドシャフト15に貫通されたストライカ16とを有し、ストライカ16下部に設けられたレバー16aが図示していない変速機内部のシフト軸に嵌合されている。つまり、シフト軸(ストライカ16)を移動させるシフト方向移動手段として、シフトモータ11及びシフト方向のボールネジ13を有し、セレクト方向移動手段として、セレクトモータ12及びセレクト方向のボールネジ14を有する構成である。
【0026】
更に、ナット13a、14a(ストライカ16)の位置を検出するシフト方向検出手段及びセレクト方向検出手段となるシフトストロークセンサ17及びセレクトストロークセンサ18を有する。シフトストロークセンサ17及びセレクトストロークセンサ18は、ナット13a、14a(ストライカ16)の位置を角度の変化として検出するアングルセンサであり、センサの回転軸を中心に回転するセンサ・バー17a、18aが各々のナット13a、13bに接続されている。ガイドシャフト15はセレクト方向のボールネジ14と同一方向に配設され、セレクトモータ12の回転により、ストライカ16はセレクト方向へ移動可能であり、シフトモータ11の回転により、ストライカ16はシフト方向へ移動可能である。この時、センサ・バー17a、18aの先端は、ナット13a、14aの移動とともに移動に応じた回転角となり、この角度を検出して、ストライカ16の位置、即ちシフト軸の位置を正確に把握することができる。シフトストロークセンサ17及びセレクトストロークセンサ18からは現在のストライカ16の位置を示す信号が、変速機用ECUに向けてフィードバックされており、この信号によりシフト軸の位置制御が行われている。
【0027】
図3は、本発明に係る実施形態の一例を示すシフト制御のタイムチャートである。又、図4は、本発明に係る実施形態の一例を示すシフト制御のフローチャートである。この図3、図4を用いて本発明に係る制御を説明する。
【0028】
なお、図3及び後述の図5では、シフトパターンがニュートラルから2速側へシフトするタイムチャートを記載した。これは、ニュートラルから4速側へは同じようなタイムチャートとなり、逆に、1、3、5速側では、ニュートラル位置を中心にして線対称なタイムチャートとなる。なお、ここで示すシフトストロークは、シフトストロークセンサの検出電圧値(V)である。
【0029】
ステップS1では、シフトレバーの操作により、変速機におけるシフト操作(ギヤ入れ)が開始する。この時、シフトレバーのセレクト方向に対応するセレクトストロークの位置にシフト軸(ストライカ)は移動しており、シフト軸のシフトストロークの位置は、ニュートラルの位置である。
【0030】
ステップS2、S3では、シフト軸のシフト方向の移動目標位置となる第1目標位置として、ギヤ同士の同期位置直前の位置(ramp range1)を設定し、実際のシフトストロークが第1目標位置になるまで、PID制御によりシフトモータを駆動してシフト軸を移動させる。PID制御の場合、目標値と実際の値との差が大きくなると、目標値までできるだけ短い時間で制御しようとする。つまり、ここでは、ギヤ同士が同期する直前の位置までは、シフト軸を速く動作させている。
【0031】
ステップS4、S5では、実際のシフトストロークが第1目標位置を過ぎると、シフト軸の移動速度が第1シフトスピード(shift speed1)になるように、シフト軸の移動目標位置を随時与えながらシフト軸を移動させる。この時、第1シフトスピードは、ギヤ同士の同期時のショックを低減するような遅いスピードに設定する。このように、ギヤ同士が同期する直前の位置を移動目標値として与え、それを過ぎるとシフト軸の移動速度を遅くすることで、ギヤ入れ時のショックを抑制する。
【0032】
ステップS6、S7では、第3目標位置、つまり、ギヤ同士の係合位置直前の位置(ramp range3)を設定し、実際のシフトストロークが第3目標位置になるまで、第1シフトスピードでシフトモータを駆動して、シフト軸を移動させる。
【0033】
ステップS8、S9では、実際のシフトストロークが第3目標位置を過ぎると、シフト軸の移動速度が第2シフトスピード(shift speed2)になるように、シフト軸の移動目標位置を順次与えながらシフト軸を移動させる。この時、第2シフトスピードも、ギヤ同士の係合時のショックを低減するような遅いスピードに設定する。ここでも、ギヤ同士が係合する直前の位置を移動目標値として与え、それを過ぎるとシフト軸の移動速度を遅くすることで、ギヤ入れ時のショックを抑制する。なお、第3目標位置を設定せずに、第1目標位置からギヤ入れ完了位置(第4目標位置)まで、第1シフトスピードでシフト軸を移動させてもよい。
【0034】
ステップS10、S11、S12では、第4目標位置(ramp range4)、つまり、ギヤ入れが完了する位置を設定し、実際のシフトストロークが第4目標位置になるまで、第2シフトスピードでシフトモータを駆動して、シフト軸を移動させて、ギヤ入れを完了させる。
【0035】
次に、本発明に係る実施形態の他の一例を示すシフト制御のタイムチャートとフローチャートを図5、図6に示し、図5、図6を用いて本発明に係る制御を説明する。
【0036】
ステップS21、S22、S23での制御は、前述のS1、S2、S3の制御と同等であるのでここでは説明を省略する。
【0037】
ステップS24、S25、S26では、実際のシフトストロークが第1目標位置を過ぎると、シフト軸の移動速度が第1シフトスピード(shift speed1)になるように、シフト軸の移動目標位置を随時与えながらシフト軸を移動させ、更に、第2目標位置(ramp range2)を設定する。ここでは、第2目標位置に到達するまで、実際のシフトスピードを第1シフトスピードへと変更制御するが、第1シフトスピードに変更される前に第2目標位置に到達すればS27へ進む。第1シフトスピードは、ギヤ同士の同期時のショックを低減するような遅いスピードであり、ギヤ同士が同期する直前の位置を移動目標値として与え、それを過ぎるとシフト軸の移動速度を遅くすることで、ギヤ入れ時のショックを抑制する。
【0038】
ステップS27、S28では、第3目標位置、つまり、ギヤ同士の係合位置直前の位置(ramp range3)を設定し、実際のシフトストロークが第3目標位置になるまで、PID制御によりシフトモータを駆動して、シフト軸を移動させる。
これにより、同期完了位置から係合開始位置までの時間を短縮することができる。
【0039】
ステップS29、S30では、実際のシフトストロークが第3目標位置を過ぎると、シフト軸の移動速度が第2シフトスピード(shift speed2)になるように、シフト軸の移動目標位置を順次与えながらシフト軸を移動させる。第2シフトスピードも、ギヤ同士の係合時のショックを低減するような遅いスピードであり、ギヤ同士が係合する直前の位置を移動目標値として与え、それを過ぎるとシフト軸の移動速度を遅くすることで、ギヤ入れ時のショックを抑制する。
【0040】
ステップS31、S32、S33では、第4目標位置(ramp range4)、つまり、ギヤ入れが完了する位置を設定し、実際のシフトストロークが第4目標位置になるまで、第2シフトスピードでシフトモータを駆動して、シフト軸を移動させて、ギヤ入れを完了させる。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、変速機のシフト軸の移動目標位置として、ギヤ入れ位置だけではなく、中間点となる同期位置、係合位置を設置し、この位置でのみシフト軸の移動速度を遅くすることで、同期開始時及び係合開始時の伝達荷重を低減して、ギヤ入れショックを低減すると共に、比較的短い時間で変速を行なうことができる。その結果、エンジンの回転数が落ちるのを防止することもでき、運転者に不自然なフィーリングを与えることなく、変速を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシフト制御装置が用いられるエンジン、クラッチ装置及び変速機の概略構成図である。
【図2】本発明に係るシフト制御装置が制御するシフト操作装置である。
【図3】本発明に係る実施形態の一例を示すシフト制御のタイムチャートである。
【図4】本発明に係る実施形態の一例を示すシフト制御のフローチャートである。
【図5】本発明に係る実施形態の他の一例を示すシフト制御のタイムチャートである。
【図6】本発明に係る実施形態の他の一例を示すシフト制御のフローチャートである。
【図7】従来のシフト制御のタイムチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 クラッチ装置
3 変速機
4 電動GSU
5 エンジン回転センサ
6 クラッチ回転センサ
7a シフトレバー
7b シフトレバー位置検出センサ
8a アクセルペダル
8b アクセル開度検出センサ
9 変速機用ECU
10 エンジン用ECU
11 シフトモータ
12 セレクトモータ
13 ボールネジ
14 ボールネジ
15 ガイドシャフト
16 ストライカ
17 シフトストロークセンサ
18 セレクトストロークセンサ
Claims (4)
- 変速機のギヤのシフト操作を行なうシフト軸と、前記シフト軸をシフト方向に移動させるシフト方向移動手段と、前記シフト軸をセレクト方向に移動させるセレクト方向移動手段と、前記シフト軸のシフト方向の位置を検出するシフト方向検出手段と、前記シフト軸のセレクト方向の位置を検出するセレクト方向検出手段と、シフトレバーの操作位置に応じて、前記シフト方向移動手段及び前記セレクト方向移動手段により、前記シフト軸を移動させて変速を行なうシフト制御手段とを有する変速機のシフト制御装置において、
前記シフト軸のシフト方向の移動目標位置として、前記変速機のギヤ同士が同期する直前の位置となる第1目標位置と、前記変速機のギヤ同士の同期が完了する位置となる第2目標位置と、前記変速機のギヤ同士が係合する直前の位置となる第3目標位置と、前記変速機のギヤ入れが完了する位置となる第4目標位置とを設定し、
前記シフト制御手段は、少なくとも、前記第1目標位置から前記第2目標位置までと、前記第3目標位置から前記第4目標位置までの前記シフト軸の移動速度を、他のシフト位置における移動速度より遅くしたことを特徴とする変速機のシフト制御装置。 - 請求項1記載のシフト制御装置において、
前記シフト制御手段は、前記シフト方向検出手段により前記シフト軸の位置が前記第1目標位置であることを検出すると、前記シフト軸の移動速度を第1シフトスピードに変更することを特徴とする変速機のシフト制御装置。 - 請求項2記載のシフト制御装置において、
前記シフト制御手段は、前記シフト方向検出手段により前記シフト軸の位置が前記第3目標位置であることを検出すると、更に、前記シフト軸の移動速度を第2シフトスピードに変更して、前記シフト軸を前記第4目標位置まで移動させることを特徴とする変速機のシフト制御装置。 - 請求項2又は請求項3記載のシフト制御装置において、
前記シフト制御手段は、前記シフト方向検出手段により前記シフト軸の位置が前記第2目標位置であることを検出すると、前記シフト軸の移動速度を前記第1シフトスピードより速くして、前記シフト軸を前記第3目標位置まで移動させることを特徴とする変速機のシフト制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003062788A JP2004270813A (ja) | 2003-03-10 | 2003-03-10 | 変速機のシフト制御装置 |
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JP2003062788A JP2004270813A (ja) | 2003-03-10 | 2003-03-10 | 変速機のシフト制御装置 |
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Cited By (3)
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JP2008151194A (ja) * | 2006-12-15 | 2008-07-03 | Hitachi Ltd | 自動変速機の制御方法および制御装置 |
JP2013092189A (ja) * | 2011-10-25 | 2013-05-16 | Bosch Corp | 変速機操作装置 |
JP2013148111A (ja) * | 2012-01-17 | 2013-08-01 | Toyota Motor Corp | 車両の変速機制御装置 |
-
2003
- 2003-03-10 JP JP2003062788A patent/JP2004270813A/ja active Pending
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