JP2004270792A - 多点接触玉軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】ボールねじのボールねじ軸を支持する軸受として好適な多点接触玉軸受を提供する。
【解決手段】玉10cの直径をD、外輪側軌道溝10eの曲率をRe、内輪側軌道溝10fの曲率をRi、玉10cと軌道溝10a,10bとの接触角をαとしたとき、接触角αを12.5°<α≦32.5°とし、かつ玉10cの直径に対する軌道溝10e,10fの曲率比をRe/D=Ri/D=0.54〜0.61とする。また、封入グリースの基油動粘度を基油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sとする。
【選択図】 図6
【解決手段】玉10cの直径をD、外輪側軌道溝10eの曲率をRe、内輪側軌道溝10fの曲率をRi、玉10cと軌道溝10a,10bとの接触角をαとしたとき、接触角αを12.5°<α≦32.5°とし、かつ玉10cの直径に対する軌道溝10e,10fの曲率比をRe/D=Ri/D=0.54〜0.61とする。また、封入グリースの基油動粘度を基油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sとする。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般産業機械に使用される回転軸支持用軸受や減速機、ロボットの間節部用多点接触玉軸受あるいはIT関連製品の製造工程や組立工程などで半導体チップ、液晶等の電子部品を基板上に実装もしくは装着する電子部品実装装置や、放電加工機、レーザ加工機等の非切削型工作機械あるいは小径ねじ、穴加工で使用されるタッピングセンター等の軽切削型工作機械などで使用される精密位置決め用ボールねじのボールねじ軸を支持するボールねじ軸支持用軸受などとして用いられる多点接触玉軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、たとえば電子部品実装装置や工作機械等で使用される精密位置決め用ボールねじのボールねじ軸は、図25に示されるような軸受装置によって支持されていることが多い。この軸受装置は二列組合せ軸受1と、この二列組合せ軸受1の周囲を密封する軸受ハウジング2と、この軸受ハウジング2の軸方向両端部に設けられたオイルシール3とからなり、二列組合せ軸受1は、図26に示されるように、二つのアンギュラ玉軸受4から構成されている。これらのアンギュラ玉軸受4は外輪4a、内輪4b、玉4c等からなり、内輪4bは、図25に示されるように、ボールねじ軸5の端部に形成された大径軸部5aの端面に押えリング6及びナット7によって押付け固定されている。なお、軸受ハウジング2は円筒状のハウジング本体2aと、このハウジング本体2aのフランジ部2bにボルト接合される環状の外輪押え2cとから構成されている。一般の産業機械等の回転軸端支持においても、ほぼ同様の構造を用いている場合が多い。
【0003】
ところで、アンギュラ玉軸受は深溝玉軸受に比べ、以下のような特徴を持っている。
▲1▼ 一列当りの玉数が多く、荷重負荷能力や剛性が大きい。
▲2▼ 保持器形状が強固であり、高速回転が可能。
▲3▼ 単列では一方向のアキシャル荷重しか負荷することができないが、アンギュラ玉軸受を二列の組合せとすることにより、両方向のアキシャル荷重を負荷することが可能となる。
【0004】
▲4▼ 二つのアンギュラ玉軸受の端面間に形成されるギャップg(図26参照)を調整することにより、軸受の内部すき間を無くし、予め内部荷重を発生させること(いわゆる定位置予圧)が容易である。予圧をかけることで、軸受剛性の向上や高回転精度を得ることが可能となる。
アンギュラ玉軸受は以上のような特徴を持っていることから、一般産業機械の回転軸端支持や減速機の軸、あるいはロボットの関節部等に広く使用されている。他にも、旋盤やフライス盤、研削盤等の工作機械においてスピンドルを支持する軸受と使用される他、高精度の位置決めを必要とする機械(例えば工作機械用精密ボールねじ、電子部品高速装着機用精密ボールねじ、搬送ロボット用ボールねじ等)にも広く使用されている。しかし、ボールねじのボールねじ軸を支持する軸受としてアンギュラ玉軸受を使用する場合、ボールねじ軸には両アキシャル方向の負荷荷重が作用するため、単列のアンギュラ玉軸受のみではボールねじ軸に作用する負荷荷重を支持することができない。従って、切削型あるいは研削型工作機械のベッドを移動させる手段として用いられるボールねじでは、加工荷重の反力による変位を最小限に抑え、かつ所要の加工精度を得るために、軸方向剛性が極めて大きく、かつ接触角が60°程度のスラストアンギュラ玉軸受を2〜4列に組合せたものをボールねじ支持用軸受として使用している場合が多い。この場合、ラジアル方向の負荷荷重は、ボールねじとセットで使用されるリニアガイドやアリ溝が受ける構造となっている。
【0005】
一方、放電加工機、レーザ加工機等の電解加工型工作機械や電子部品実装装置、部品搬送ロボット等では、実加工時の負荷荷重が比較的小さいことから、ボールねじ軸を支持する軸受として、例えば内径寸法が6mm〜40mm程度で、接触角が15°〜30°程度の標準型アンギュラ玉軸受(寸法系列70××、72××等)を二列に組合せ、数十Nから数百Nの比較的小さな予圧をかけたものを使用する場合が多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなボールねじ支持用軸受は、単列のものに比較して約2倍のスペースを必要とするため、ボールねじの軸方向長さ増大を招くという問題があった。また、1つの機械で数ヶ所に使用される場合、ボールねじ支持用軸受同士が干渉することが懸念される。これに加えて、最近では、部品の実装速度を上げてタクトタイムを短縮化することが要求されており、可動部分の軽量化による急加減速時の慣性力軽減要求も非常に高い。これらの急加減速下の使用条件下では、停止状態から急加速する過程で、軸受の転がり接触部のEHL油膜形成が不十分であるため、金属接触により局部発熱が生じ易くなり、特に、100min−1前後の低速の領域では、回転増に伴う滑り速度の増加も加わって摩耗等が発生し易くなる。
【0007】
一方、減速機のアウトプット軸やロボットの関節部等の用途でも、工場内の組立や搬送工程の中で使用されることが多いため、省スペース化の志向も出てきている。また、これらの用途では、ラジアル荷重やモーメント荷重を負荷しながら、60〜100min−1前後の低速回転で使用される場合が多く、やはり転がり接触部のEHL油膜が不完全な状態となっている。昼夜にわたる連続運転等の使用条件の過酷化が重なると、軸受に不具合が発生することがある。
【0008】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、各種機械の回転支持用軸受として、現在使用されている二列組合せアンギュラ玉軸受からの代替が可能で、かつ正確な位置決めと予圧付与が可能であると共に、油膜形成が不十分な急加減速時や低速回転時などに安定した性能を得ることのできる多点接触玉軸受を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが12.5°<α≦17.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/DがR/D=0.54〜0.555であり、かつ封入グリースの基油動粘度が基油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが17.5°<α≦22.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/Dが0.555<R/D≦0.57であり、かつ封入グリースの基油動粘度が基油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが22.5°<α≦27.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/Dが0.57<R/D≦0.59であり、かつ封入グリースの基油動粘度が基油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが27.5°<α≦32.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/Dを0.59<R/D≦0.61であり、かつ封入グリースの基油動粘度が基油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが12.5°<α≦17.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/DがR/D=0.54〜0.555であり、かつ潤滑油の動粘度が潤滑油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが17.5°<α≦22.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/Dが0.555<R/D≦0.57であり、かつ潤滑油の動粘度が潤滑油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが22.5°<α≦27.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/Dが0.57<R/D≦0.59であり、かつ潤滑油の動粘度が潤滑油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが27.5°<α≦32.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/Dを0.59<R/D≦0.61であり、かつ潤滑油の動粘度が潤滑油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする。
【0017】
【作用】
本発明に係る多点接触玉軸受は、一般産業機械の回転支持や、減速機出力軸あるいはロボットの関節部の支持軸受、放電加工機、レーザ加工機等の電解加工型工作機械や電子部品実装装置、電子部品装着機、各種ボンダー、ハンドラー、搬送ロボット等で使用される精密位置決め用ボールねじのボールねじ軸を支持する軸受として好適である。
【0018】
一般産業機械の一部に使用されている多点接触玉軸受は、図18に示されるように、内部すき間Gが残っている状態で製作され、アキシャル荷重を専用で負荷する用途で使用される場合が多い。例えば、多点接触玉軸受をスクリューコンプレッサ等で使用する場合は、ラジアル荷重負荷用円筒ころ軸受と並列に使用され、スクリューローダ軸に作用するアキシャル荷重のみを受ける構造となっている。また、ジェットエンジンやガスタービン等で多点接触玉軸受を使用する場合は、タービン軸推力のみを負荷し、ラジアル荷重がほとんど負荷しない条件での使用となる。つまり、多点接触玉軸受とは呼びつつも実際の使用条件においては、図19に示されるように、軌道輪10a,10bに形成された軌道溝10e,10fと玉10cとはそれぞれ一点で接触する標準の玉軸受としての使用がほとんどであった。この理由は、玉と軌道溝とが多点で接触することによって、通常の転がり運動と共に発生するスピン滑り等が標準アンギュラ玉軸受に比べ玉と軌道溝との接触部間で極端に増加するためである。このため、運転時の発生トルクも大きく、発熱も異常に高くなり、安定した運転は望めない。
【0019】
このような理由から、多点で常時接触する予圧条件下での使用は極めて少なく、インデックステーブルや旋回輪等、軸受のdmn値(dm:転動体ピッチ円直径(mm)とn:回転数(min−1)との積)が数万程度の回転数が極めて低い用途に限定されていた。
本発明に係る多点接触玉軸受は、加工物の位置決め精度を確保するために、単列軸受でありながら予圧をかけられる構造である。また、予圧による多点接触条件下においても玉と軌道溝との接触部のスピン滑り等を抑制し、油膜形成不良を発生させることもなく、軸受の発熱や摩耗を抑え、低トルクで円滑に回転できる構造である。
【0020】
本発明に係る多点接触玉軸受では、軸方向の取付けスペースが従来の二列組合せアンギュラ玉軸受の約半分で済むため、省スペース化が可能となり、部品間の干渉問題が軽減される。また、内輪取付け分のねじ軸端部寸法が短くなる分を含めた可動部分の軽量化が図られ、急加速及び急減速時のイナーシャ(慣性力)が軽減されるので、電子部品の製造工程や組立工程で使用される機械(例えば電子部品実装装置、各種ボンダー、ハンドラー、搬送ロボット等)の実装速度を向上してタクトタイムの短縮に寄与できる。
【0021】
本発明に係る多点接触玉軸受は、内外輪に形成された軌道溝が単一の曲率ではなく、二種類の円弧(いわゆるゴシックアーチ)で形成されている多点接触玉軸受である。外輪または内輪のいずれか一方はラジアル方向にニ分割されている。保持器は一例として、冠型で柔軟性のある形状を採用でき、保持器材質は例えばポリアミド・ポリアセタール・ポリフェニレンサルファイド等の合成樹脂材を用いることができる。本発明に係る多点接触玉軸受は、軸受の負荷容量や剛性を上げるために、隣り合う玉間の円周ピッチを極力小さくし、標準のアンギュラ玉軸受に比べ、玉径を同等サイズかやや小さくし、玉数を多くしている。また、負荷容量を上げる等の必要性が生じた場合、保持器のない総玉設計も可能である。この場合、玉同士が接触して玉表面の摩耗が発生することがあり得るが、表面を窒化処理して表面硬度を高めたDSボール(特願2000−368602号)や窒化ケイ素、ジルコニア等のセラミックからなる玉を用いれば、玉の摩耗は解消できる。また、軌道溝の摩耗対策として、軌道輪の軌道面にNV窒化処理(特願2000−356211号)やリン系被膜処理(特開平9−53641号公報)を施してもよい。さらに、転がり疲労寿命を向上させる方策として、従来の軸受鋼に対して材料内部の不純物濃度を少なくした高清浄度EP鋼(特許第3018355号)を軌道輪材料として用いてもよい。
【0022】
また、防水性や防塵性を向上させるために、必要に応じて軌道輪の両端面に接触または非接触タイプのシールを付属することもできる。従来のアンギュラ玉軸受にシールを装着する場合、軸方向スペースがさらに増加する問題があったが、本発明では小径玉化と保持器の考案により、単列の幅で可能である。
仮に、旋盤、フライス盤、マニシングセンター等の工作機械に使用される精密位置決め用ボールねじの支持軸受として本発明に係る軸受を使用する場合、内外輪端面の段差を調整した(通称、差幅調整という)本発明品を2列〜3列程度組合せ使用することで、負荷容量や剛性に対応することができる。
【0023】
分割された内輪または外輪の隣り合う端面間には、幾何的に4点接触した状態(軸受接触角α)で適度な予圧すき間が形成されており、標準組合せアンギュラ玉軸受同様に、軸受ナットや抑えふたで分割された内輪または外輪端部を軸方向に押付け固定することで、適正な予圧をかけることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係るボールねじ支持用軸受の構造を示す断面図であり、同図に示されるように、第1の実施形態に係るボールねじ支持用軸受は、ボールねじ軸5を支持する4点接触玉軸受10と、この玉軸受10の周囲を密封する軸受ハウジング2と、この軸受ハウジング2の軸方向両端部に設けられたオイルシール3とから構成されている。
【0025】
図2は、4点接触玉軸受10の軸方向断面図である。同図に示されるように、4点接触玉軸受10は外輪10a、内輪10b、玉10c及び保持器10d等から形成されており、外輪10aの内周面には、軌道溝10eが外輪10aの円周方向に沿って形成されている。この軌道溝10eの軸方向断面は、図3に示されるように、Reの曲率半径を有する二つの円弧つまりゴシックアーチ状に形成されており、これにより、玉10cは軌道溝10eと二点で接触するようになっている。
【0026】
一方、内輪10bの外周面には軌道溝10fが内輪10bの円周方向に沿って形成されている。この軌道溝10fの軸方向断面は、図4に示されるように、Riの曲率半径を有する二つの円弧つまりゴシックアーチ状に形成されており、これにより、玉10cは軌道溝10fと二点で接触するようになっている。
4点接触玉軸受10の内輪10bは、図1に示されるように、ボールねじ軸5の端部に形成された大径軸部5aの端面に押えリング6及びナット7によって押付け固定されている。また、この内輪10bはその軸方向中央部がラジアル方向にニ分割されており、分割された内輪の隣り合う端面間には、幾何的に4点接触した状態(軸受接触角α)で適度な予圧すき間11(図6参照)が形成されている。
【0027】
図5は、玉10cと保持器10dの一部を示す斜視図である。同図に示されるように、保持器10dは冠形の形状を有しており、ポリアミド・ポリアセタール・ポリフェニレンサルファイド等の合成樹脂材から形成されている。なお、軸受ハウジング2は円筒状のハウジング本体2aと、このハウジング本体2aのフランジ部2bにボルト接合される環状の外輪押え2cとから構成されている。
【0028】
このような構成において、玉10cの直径をD、軌道溝10e,10fの曲率をRe,Ri、玉10cと軌道溝10e,10fとの接触角をαとすると、本実施形態に係る4点接触玉軸受10は、接触角αが12.5°<α≦32.5°の範囲内にあり、かつ玉の直径に対する軌道溝10e,10fの曲率比Re/D,Ri/DがRe/D=0.54〜0.61、Ri/D=0.54〜0.61の範囲内にある。
【0029】
図7は本発明の第2の実施形態に係るボールねじ支持用軸受の構造を示す断面図であり、同図に示されるように、第2の実施形態に係るボールねじ支持用軸受は、ボールねじ軸5を支持する4点接触玉軸受10と、この玉軸受10の周囲を密封する軸受ハウジング2と、この軸受ハウジング2の軸方向両端部に設けられたオイルシール3とから構成されている。
【0030】
4点接触玉軸受10は、図8に示されるように、外輪10a、内輪10b、玉10c等から形成されており、外輪10aの内周面には、軌道溝10eが外輪10aの円周方向に沿って形成されている。この軌道溝10eの軸方向断面は曲率半径がReの二つの円弧つまりゴシックアーチ状に形成されており、これにより、玉10cは軌道溝10eと二点で接触するようになっている。
【0031】
一方、内輪10bの外周面には軌道溝10fが軌道溝10eに対向して形成されている。この軌道溝10fの軸方向断面は曲率半径がRiの二つの円弧つまりゴシックアーチ状に形成されており、これにより、玉10cは軌道溝10fと二点で接触するようになっている。
4点接触玉軸受10の内輪10bは、図7に示されるように、ボールねじ軸5の端部に形成された大径軸部5aの端面に押えリング6及びナット7によって押付け固定されている。また、外輪10aはその軸方向中央部がラジアル方向にニ分割されており、分割された外輪の隣り合う端面間には、幾何的に4点接触した状態(軸受接触角α)で適度な予圧すき間11(図8参照)が形成されている。
【0032】
このような構成において、玉10cの直径をD、軌道溝10e,10fの曲率をRe,Ri、玉10cと軌道溝10e,10fとの接触角をαとすると、本実施形態に係る4点接触玉軸受10は、接触角αが12.5°<α≦32.5°の範囲内にあり、かつ玉の直径に対する軌道溝10e,10fの曲率比Re/D,Ri/DがRe/D=0.54〜0.61、Ri/D=0.54〜0.61の範囲内にある。
【0033】
ところで、多点接触玉軸受をボールねじ支持用軸受として使用する場合、多点接触玉軸受に要求される点は動トルクをある範囲内に抑え、かつスムーズな回転立上り性と回転立下り性を得られる点である。このような要求を満たすために、本発明者は、種々の組合せ条件についてコンピュータによる解析を行い、その解析結果から表1に示すような仕様の実施例A〜Dを見出した。
【0034】
【表1】
【0035】
表1において、実施例Aは接触角αを12.5°<α≦17.5°とし、かつ玉10cの直径Dに対する軌道溝10e,10fの曲率比(以下、「溝曲率比」という)fi,feを0.54≦fi≦0.555、0.54≦fe≦0.555とした4点接触玉軸受であり、実施例Bは接触角αを17.5°<α≦22.5°とし、かつ溝曲率比fi,feを0.555<fi≦0.57、0.555<fe≦0.57とした4点接触玉軸受である。また、実施例Cは接触角αを22.5°<α≦27.5°とし、かつ溝曲率比fi,feを0.57<fi≦0.59、0.57<fe≦0.59とした4点接触玉軸受であり、実施例Dは接触角αを27.5°<α≦32.5°とし、かつ溝曲率比fi,feを0.59<fi≦0.61、0.59<fe≦0.61とした4点接触玉軸受である。
表1に示した実施例A〜Dと従来例(二列組合せアンギュラ玉軸受(7010A、軸受内径:50mm)の玉径、玉数、玉PCD及び予圧すき間の選定値を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
表2に示される従来例E(従来軸受で製造範囲内で最も動トルクが大きくなる条件)及び実施例A〜Dの接触角αをαE=30°、αA=17.5°、αB=22.5°、αC=27.5°、αD=32.5°とし、溝曲率比fe及びfiをfeE=fiE=0.52、feA=fiA=0.54、feB=fiB=0.556、feC=fiC=0.571、feD=fiD=0.591とした場合における動トルクを表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】
表3の結果から、接触角αを17.5°≦α≦32.5°とし、溝曲率比fe,fiをfe=fi=0.54〜0.591とすると、動トルクTrがTr=0.28〜0.282N・mとなり、従来例Eの動トルクと同一かそれより低い値となることがわかる。
次に、実施例A〜Dの接触角αをαA=15°、αB=20°、αC=25°、αD=30°とし、溝曲率比fe及びfiをfeA=fiA=0.55、feB=fiB=0.56、feC=fiC=0.58、feD=fiD=0.60とした場合における動トルクを表4に示す。
【0040】
【表4】
【0041】
表4の結果から、接触角αを15°≦α≦30°とし、溝曲率比fe,fiをfe=fi=0.55〜0.60とすると、動トルクTrがTr=0.24〜0.255N・mとなり、表2に示す従来例Eの動トルクより低い値となることがわかる。
次に、従来例E(従来軸受で製造範囲内で最も動トルクが小さくなる条件)及び実施例A〜Dの接触角αをαE=29°、αA=12.6°、αB=17.6°、αC=22.6°、αD=27.6°とし、溝曲率比fe及びfiをfeE=fiE=0.53、feA=fiA=0.555、feB=fiB=0.57、feC=fiC=0.59、feD=fiD=0.61とした場合における動トルクを表5に示す。
【0042】
【表5】
【0043】
表5の結果から、接触角αを12.6°≦α≦27.6°とし、溝曲率比fe,fiをfe=fi=0.555〜0.61とすると、動トルクTrがTr=0.215〜0.222N・mとなり、表2に示す従来例Eの動トルク下限値より大きい値となることがわかる。つまり、表1に示す実施例A〜Dを採用することで、従来例の(製造)実績範囲内の動トルク内に抑えることが可能となる。
【0044】
表3〜表5の結果を基に動トルクTrと接触角αおよび溝曲率比fi,feとの関係を三次元的に解析した結果を図9に、また動トルクTrと溝曲率比fi,feとの関係を解析した結果を図10に示す。図9及び図10の結果からも明らかなように、動トルクを抑えるためには、接触角αと溝曲率比fi,feを適正な値で組合せる必要があることがわかる。また、接触角αを12.6°≦α≦27.6°とし、溝曲率比fe,fiをfe=fi=0.555〜0.61とすると、動トルクが小さくなっていくが、動トルクが小さ過ぎると、ボールねじの回転停止時における減速イナーシャにより、速やかな停止ができず、指示位置に対してオーバーシュートする可能性がある。また、軸受のアキシャル剛性が小さくなり、やはり、オーバーシュートが発生し易くなる。さらに、アキシャル負荷容量も小さくなるので、転がり疲労寿命も短くなる不具合が生じる。このことから、動トルクを従来例のバラツキ範囲内に抑え、スムーズな回転立上り性と回転立下り性を得るためには、接触角αと溝曲率比fe,fiを表1に示す範囲内で組合せる必要があることがわかる。
【0045】
次に、実施例A〜Dの接触角αをαA=15°、αB=20°、αC=25°、αD=30°とし、溝曲率比fe及びfiをfeA=fiA=0.55、feB=fiB=0.56、feC=fiC=0.58、feD=fiD=0.60とした場合における各軸受のPV値を表6に示す。
【0046】
【表6】
【0047】
表6の結果から、接触角αを15°≦α≦30°とし、溝曲率比fe,fiをfe=fi=0.55〜0.60とすることによって、内輪と玉とのPV値PViがPVi=47〜80MPa・m/sになると共に外輪と玉とのPV値PVeがPVe=32〜58MPa・m/sとなり、いずれも従来例のそれより高い値を示すことがわかる。
【0048】
図11は表6の結果を基に内輪PV値と溝曲率比及び接触角との関係を示す図で、図12は同じく表6の結果を基に内輪PV値と溝曲率比との関係を示す図である。また、図13は表6の結果を基に外輪PV値と溝曲率比及び接触角との関係を示す図で、図14は同じく表6の結果を基に外輪PV値と溝曲率比との関係を示す図である。
【0049】
図11〜図14からわかるように、PV値の大小は動トルク、軸受温度上昇以外に接触部の耐摩耗特性にも影響する。半導体チップ等の電子部品を基板上に実装する電子部品実装装置や放電加工機、レーザ加工機等の電解加工機などでは、最近、ボールねじの高速回転が要求されている。急加速及び急減速時の不安定な滑り条件での耐摩耗特性を満足させるためには、PV値をより小さくする必要がある。従来例E及び実施例A〜DにおけるPV値をまとめると、表6の通りとなる。動トルク値を一定にした場合、接触角が小さく、かつ溝曲率比の小さいほうがPV値は小さくなる(実施例Aの方)。いずれの仕様も過去の軸受の実績から判断される限界PV値以下であるので、摩耗の問題は極めて少ないが、ボールねじ回転部の重量や急加速及び急減速時の発生Gに対応して、必要とされるアキシャル剛性要求値や軸受温度上昇特性に応じ、いずれの考案仕様(実施例A〜D)を選定してもよい。
【0050】
次に、実施例A〜Dの接触角αをαA=15°、αB=20°、αC=25°、αD=30°とし、溝曲率比fe及びfiをfeA=fiA=0.55、feB=fiB=0.56、feC=fiC=0.58、feD=fiD=0.60とした場合における各軸受のアキシャル変位ad(μm/1000N:1000Nのアキシャル荷重を負荷した時のアキシャル変位を表す)を表7に示す。
【0051】
【表7】
【0052】
表7の結果から、接触角αを15°≦α≦30°とし、溝曲率比fe,fiをfe=fi=0.55〜0.60とすることによって、各軸受のアキシャル変位adがad=4〜14となり、いずれの場合も従来例のアキシャル変位と同一かそれより大きい値を示すことがわかる。
【0053】
ボールねじのアキシャル剛性は、ボールねじ支持用軸受以外にボールねじ軸とナット間の剛性やボールねじ軸自身の剛性にも影響する。また、使用される機械の種類や使用条件により、要求される剛性値は変わる。
表7の結果から、接触角が大きく、かつ溝曲率比が大きいほう(実施例D)がアキシャル剛性は大きくなる。前述のPV値の要求も考慮し、必要とされるアキシャル剛性要求に応じて、いずれの考案仕様(実施例A〜D)を選定してもよい。
【0054】
図15は、予圧された多点接触玉軸受(実施例Bに相当)に外部からアキシャル荷重を負荷した時の動トルクを、3種類の予圧すき間(Δα=−5μm、−10μm、−15μm)の条件で解析した結果を示す図である。いずれの予圧すき間の場合も動トルクはアキシャル荷重の増加と共に一時的に上昇し、その後、減少して再上昇するという傾向であることがわかる。これは、アキシャル荷重によって軸受の軸方向弾性変形が生じ、内外輪と玉との接触点が初期外部荷重時(0N)の4点接触から3点あるいは2点接触に変化したことによるものである。このように、初期4点接触からアキシャル荷重の増加と共に2点接触に移行することで、アキシャル荷重が増加しても結果的に動トルクを少なくすることができる。
【0055】
また、図15からわかるように、予圧すき間を小さく設定すると、4点から2点接触に移行する過渡期の動トルク最大値も小さくできる。このことは、実使用条件に置き換えれば適正な予圧すき間選定により、急加速及び急減速時の往復動イナーシャ荷重による動トルク増加を接触点の減少によって軽減できることを意味する。種々の解析結果、最低限、ボールねじの軸方向がたを抑え、かつスムーズな回転特性を得るためには、実際の想定荷重条件を考慮した結果、予圧すき間を0〜−10μm程度に設定することで、動トルク軽減効果が出て来ることがわかった。
【0056】
以上のことから、実施例A及びDは従来品に比べPV値およびアキシャル剛性の点で機能の低下がやや大きめであり、実施例Bあるいは実施例Cはバランスがとれており、より好ましい。
次に、表8に示される仕様の試験軸受A〜E(軸受内径:12mm、軸受外径:28mm、玉ピッチ円径:20mm)を使用して、玉軸受の動トルク特性を回転数:10〜5000min−1(5000min−1は軸受のdmn値として10万に相当)、潤滑:グリース(40℃での基油動粘度;15×10−6m2/s)の条件で試験した結果を図16に、また玉軸受の温度上昇特性を上記と同じ条件で試験した結果を図17に示す。
【0057】
【表8】
【0058】
図16及び図17に示される試験結果から、表8の実施例A〜Dは回転数が5000min−1(ボールねじ用多点接触玉軸受として使用した場合に想定される最高回転数領域)のときに、その動トルクと軸受温度上昇(軸受温度−室温)が従来のアンギュラ玉軸受(従来例E)のそれらとほぼ同じ値を示すことがわかる。
【0059】
また、図16に示される試験結果から、表8の実施例A〜Dは回転数が低速域から高速域に移行したときに、その動トルクの変化が従来例Eに比べて小さいことがわかる。したがって、表8の実施例A〜Dでは急加減速したときの動トルク変動によるイナーシャ変動を抑えることができ、その結果、ボールねじが急停止したときのオーバーシュート等をより効果的に防止することができる。
【0060】
以上のことから、本発明に係る多点接触玉軸受は、アンギュラ玉軸受と同等レベル若しくはそれ以上の動トルク特性と温度上昇特性を保持しつつ省スペース化を得ることができる。
次に、同じく表8に示される仕様の軸受から、試験軸受B(実施例B)を使用して、封入グリースの基油の動粘度を変えて、動トルクを測定した結果を図20に示す。
【0061】
また、動トルク測定と同時に、ハウジングと回転軸との間に微細電流を流し、内外輪溝と転動体(玉)との転がり接触部の回転数変化に伴う導通状態の変動を検証した。これにより、軸受の内外輪溝と転動体との転がり接触部の油膜形成状態の良否を確認できる。転がり接触部の導通状態の変動を測定した測定結果を図21に示す。なお、図21において、実線は封入グリースの基油動粘度を100×10−6m2/s(基油温度:40℃)とした場合、破線は封入グリースの基油動粘度を80×10−6m2/s(基油温度:40℃)とした場合、一点鎖線は封入グリースの基油動粘度を15×10−6m2/s(基油温度:40℃)とした場合をそれぞれ示している。
【0062】
図20の測定結果から、封入グリースの基油の動粘度(基油温度:40℃)が130×10−6m2/s以下の場合は動トルクが同等サイズのアンギュラ玉軸受の動トルクとほぼ同じ値となるが、封入グリースの基油の動粘度が130×10−6m2/s(40℃)を超えると動トルクがかなり大きくなることが分かる。このことから、従来のアンギュラ玉軸受の製造実績範囲内での動トルクのバラツキを考慮すると、封入グリースの基油の動粘度を基油温度40℃で130×10−6m2/s以下とすることが望ましい。
【0063】
また、図21に示す測定結果から、多点接触玉軸受を100min−1以上500min−1以下の回転数で低速回転させた場合には、封入グリースの基油の動粘度が小さくなるに従ってハウジングと回転軸との間を流れる微細電流の電流値にバラツキが生じ、油膜形成が不安定になることが分かる。
さらに、回転数が100min−1のときの電流値を観察すると、封入グリースの基油の動粘度(基油温度:40℃)が100×10−6m2/s未満の場合は、内外輪溝と転動体間を流れる微細電流の電流値が増加することが分かる。このことは、内外輪溝と転動体との間に良好な油膜が形成されず、内外輪溝と転動体とが金属接触状態になっていることを意味する。また、封入グリースの基油の動粘度(基油温度:40℃)が100×10−6m2/s以上の場合は、内外輪溝と転動体間を流れる微細電流の電流値が低下することが分かり、このことは内外輪溝と転動体との間に良好な油膜が形成され、内外輪溝と転動体とが絶縁状態に保たれていることを意味する。
【0064】
ところで、転がり軸受の潤滑は、弾性流体潤滑理論で説明される。転がり軸受の走行面は非常に滑らかであるが、ミクロ的にみると細かい凹凸を持っている。内外輪溝と転動体との転がり接触部に形成される、いわゆるEHL油膜厚さは走行面の表面粗さと同じオーダーであり(図22参照)、現在、油膜パラメータ(Λ)という数値で転がり接触面の油膜形成の良否が論じられており、広く使われている。
【0065】
Λ=h/σ
h:EHL油膜厚さ
σ:合成粗さ(√(σ1 2+σ2 2))
σ1、σ2は接触2面の2乗平均粗さ
油膜パラメータ(Λ)と油膜形成との間には、図23に示す関係があることが分かっており、潤滑の程度は図中の3領域に分けられる。
【0066】
今回の実験条件について、油膜パラメータ(Λ)の計算結果を図24に示す。回転数が100min−1では、基油の動粘度が100×10−6m2/s(ただし、基油温度40℃)で油膜パラメータ(Λ)0.75程度となり、図23に示す第I領域と第II領域の境界点に位置することが分かり、図21の実験結果と良く対応する。
【0067】
減速機のアウトプット軸は、60〜120min−1程度で連続使用される場合があり、図21〜図24の結果から、基油の動粘度を100×10−6m2/s以上(ただし、基油温度40℃)とすることで、油膜形成を良好とし、摩耗等を未然に防止するうえで必要である。
また、前述したように、電子部品実装機やタッピングセンター等でも、急加減速運転をする機会が増加していることから、停止状態から回転数が増加する過程でできるだけ早く油膜が形成されることが必要であり、基油の動粘度をより大きくしたほうがよい。
【0068】
以上のことから、グリース潤滑の場合は封入グリースの基油動粘度を基油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sとし、潤滑油潤滑の場合は潤滑油の動粘度を潤滑油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sとすることが望ましい。なお、基油の動粘度が上記の範囲内であれば、潤滑方式はグリース潤滑、油潤滑のいずれでも構わない。
【0069】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。たとえば、上述した実施形態では本発明を4点接触玉軸受に適用したが、本発明を3点接触玉軸受に適用してもよい。また、予圧隙間とせず、図18に示すように、数μm〜数十μmの軸方向ガタ(プラス隙間)の設定も必要に応じて可能である。
【0070】
【発明の効果】
以上のように、試作品の実験結果から、本発明は、アンギュラ玉軸受に比べ、同等レベルの動トルク・温度上昇特性が得られることが確認され、本発明に係る多点接触玉軸受を使用することによって、従来のアンギュラ玉軸受と同等又はそれ以上の特性を保持しつつ、省スペース化を図ることができる。
また、軸受内部に封入するグリースの基油の動粘度または油潤滑等で使用する潤滑油の動粘度を100×10−6m2/s〜130×10−6m2/s(ただし、基油または潤滑油温度40℃)としたことにより、低速回転での油膜形成を良好とし、かつ動トルクの上昇も適正範囲内に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るボールねじ支持用軸受の構造を示す断面図である。
【図2】図1に示される4点接触玉軸受の軸方向断面図である。
【図3】図2に示される外輪側軌道溝の断面図である。
【図4】図2に示される内輪側軌道溝の断面図である。
【図5】図2に示される保持器の一部を示す斜視図である。
【図6】図2に示される4点接触玉軸受の予圧すき間を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るボールねじ支持用軸受の構造を示す断面図である。
【図8】図7に示される4点接触玉軸受の軸方向断面図である。
【図9】表3〜表5の結果を基に動トルクと接触角及び溝曲率比との関係を三次元的に示す図である。
【図10】表3〜表5の結果を基に動トルクと溝曲率比との関係を示す線図である。
【図11】表6の結果を基に内輪PV値と接触角と溝曲率比との関係を三次元的に示す図である。
【図12】表6の結果を基に内輪PV値と溝曲率比との関係を示す線図である。
【図13】表6の結果を基に外輪PV値と接触角と溝曲率比との関係を三次元的に示す図である。
【図14】表6の結果を基に外輪PV値と溝曲率比との関係を示す線図である。
【図15】外部からアキシャル荷重を負荷した時の動トルクを解析した結果を示す図である。
【図16】玉軸受の動トルクと回転数との関係を示す図である。
【図17】玉軸受の軸受温度上昇(軸受温度−室温)と回転数との関係を示す図である。
【図18】多点接触玉軸受の軸方向断面図である。
【図19】二点接触玉軸受の軸方向断面図である。
【図20】封入グリースの基油動粘度を15×10−6m2/sと150×10−6m2/s(ただし、基油温度40℃)との間で変更した場合の多点接触玉軸受の動トルクを示す図である。
【図21】封入グリースの基油動粘度を15×10−6m2/sと100×10−6m2/s(ただし、基油温度40℃)との間で変更した場合の内外輪溝と転動体との油膜状態を示す図である。
【図22】転動体走行面の表面粗さと転動体走行面に形成される油膜との関係を示す模式図である。
【図23】油膜パラメータと油膜形成率との関係を示す図である。
【図24】軸受回転数と油膜パラメータとの関係を示す図である。
【図25】従来のボールねじ支持用軸受を示す断面図である。
【図26】図25に示される二列組合せ玉軸受の軸方向断面図である。
【符号の説明】
2 軸受ハウジング
3 オイルシール
5 ボールねじ軸
6 押えリング
7 軸受ナット
10 4点接触玉軸受
10a 外輪
10b 内輪
10c 玉
10d 保持器
10e 外輪側軌道溝
10f 内輪側軌道溝
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般産業機械に使用される回転軸支持用軸受や減速機、ロボットの間節部用多点接触玉軸受あるいはIT関連製品の製造工程や組立工程などで半導体チップ、液晶等の電子部品を基板上に実装もしくは装着する電子部品実装装置や、放電加工機、レーザ加工機等の非切削型工作機械あるいは小径ねじ、穴加工で使用されるタッピングセンター等の軽切削型工作機械などで使用される精密位置決め用ボールねじのボールねじ軸を支持するボールねじ軸支持用軸受などとして用いられる多点接触玉軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、たとえば電子部品実装装置や工作機械等で使用される精密位置決め用ボールねじのボールねじ軸は、図25に示されるような軸受装置によって支持されていることが多い。この軸受装置は二列組合せ軸受1と、この二列組合せ軸受1の周囲を密封する軸受ハウジング2と、この軸受ハウジング2の軸方向両端部に設けられたオイルシール3とからなり、二列組合せ軸受1は、図26に示されるように、二つのアンギュラ玉軸受4から構成されている。これらのアンギュラ玉軸受4は外輪4a、内輪4b、玉4c等からなり、内輪4bは、図25に示されるように、ボールねじ軸5の端部に形成された大径軸部5aの端面に押えリング6及びナット7によって押付け固定されている。なお、軸受ハウジング2は円筒状のハウジング本体2aと、このハウジング本体2aのフランジ部2bにボルト接合される環状の外輪押え2cとから構成されている。一般の産業機械等の回転軸端支持においても、ほぼ同様の構造を用いている場合が多い。
【0003】
ところで、アンギュラ玉軸受は深溝玉軸受に比べ、以下のような特徴を持っている。
▲1▼ 一列当りの玉数が多く、荷重負荷能力や剛性が大きい。
▲2▼ 保持器形状が強固であり、高速回転が可能。
▲3▼ 単列では一方向のアキシャル荷重しか負荷することができないが、アンギュラ玉軸受を二列の組合せとすることにより、両方向のアキシャル荷重を負荷することが可能となる。
【0004】
▲4▼ 二つのアンギュラ玉軸受の端面間に形成されるギャップg(図26参照)を調整することにより、軸受の内部すき間を無くし、予め内部荷重を発生させること(いわゆる定位置予圧)が容易である。予圧をかけることで、軸受剛性の向上や高回転精度を得ることが可能となる。
アンギュラ玉軸受は以上のような特徴を持っていることから、一般産業機械の回転軸端支持や減速機の軸、あるいはロボットの関節部等に広く使用されている。他にも、旋盤やフライス盤、研削盤等の工作機械においてスピンドルを支持する軸受と使用される他、高精度の位置決めを必要とする機械(例えば工作機械用精密ボールねじ、電子部品高速装着機用精密ボールねじ、搬送ロボット用ボールねじ等)にも広く使用されている。しかし、ボールねじのボールねじ軸を支持する軸受としてアンギュラ玉軸受を使用する場合、ボールねじ軸には両アキシャル方向の負荷荷重が作用するため、単列のアンギュラ玉軸受のみではボールねじ軸に作用する負荷荷重を支持することができない。従って、切削型あるいは研削型工作機械のベッドを移動させる手段として用いられるボールねじでは、加工荷重の反力による変位を最小限に抑え、かつ所要の加工精度を得るために、軸方向剛性が極めて大きく、かつ接触角が60°程度のスラストアンギュラ玉軸受を2〜4列に組合せたものをボールねじ支持用軸受として使用している場合が多い。この場合、ラジアル方向の負荷荷重は、ボールねじとセットで使用されるリニアガイドやアリ溝が受ける構造となっている。
【0005】
一方、放電加工機、レーザ加工機等の電解加工型工作機械や電子部品実装装置、部品搬送ロボット等では、実加工時の負荷荷重が比較的小さいことから、ボールねじ軸を支持する軸受として、例えば内径寸法が6mm〜40mm程度で、接触角が15°〜30°程度の標準型アンギュラ玉軸受(寸法系列70××、72××等)を二列に組合せ、数十Nから数百Nの比較的小さな予圧をかけたものを使用する場合が多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなボールねじ支持用軸受は、単列のものに比較して約2倍のスペースを必要とするため、ボールねじの軸方向長さ増大を招くという問題があった。また、1つの機械で数ヶ所に使用される場合、ボールねじ支持用軸受同士が干渉することが懸念される。これに加えて、最近では、部品の実装速度を上げてタクトタイムを短縮化することが要求されており、可動部分の軽量化による急加減速時の慣性力軽減要求も非常に高い。これらの急加減速下の使用条件下では、停止状態から急加速する過程で、軸受の転がり接触部のEHL油膜形成が不十分であるため、金属接触により局部発熱が生じ易くなり、特に、100min−1前後の低速の領域では、回転増に伴う滑り速度の増加も加わって摩耗等が発生し易くなる。
【0007】
一方、減速機のアウトプット軸やロボットの関節部等の用途でも、工場内の組立や搬送工程の中で使用されることが多いため、省スペース化の志向も出てきている。また、これらの用途では、ラジアル荷重やモーメント荷重を負荷しながら、60〜100min−1前後の低速回転で使用される場合が多く、やはり転がり接触部のEHL油膜が不完全な状態となっている。昼夜にわたる連続運転等の使用条件の過酷化が重なると、軸受に不具合が発生することがある。
【0008】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、各種機械の回転支持用軸受として、現在使用されている二列組合せアンギュラ玉軸受からの代替が可能で、かつ正確な位置決めと予圧付与が可能であると共に、油膜形成が不十分な急加減速時や低速回転時などに安定した性能を得ることのできる多点接触玉軸受を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが12.5°<α≦17.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/DがR/D=0.54〜0.555であり、かつ封入グリースの基油動粘度が基油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが17.5°<α≦22.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/Dが0.555<R/D≦0.57であり、かつ封入グリースの基油動粘度が基油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが22.5°<α≦27.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/Dが0.57<R/D≦0.59であり、かつ封入グリースの基油動粘度が基油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが27.5°<α≦32.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/Dを0.59<R/D≦0.61であり、かつ封入グリースの基油動粘度が基油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが12.5°<α≦17.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/DがR/D=0.54〜0.555であり、かつ潤滑油の動粘度が潤滑油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが17.5°<α≦22.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/Dが0.555<R/D≦0.57であり、かつ潤滑油の動粘度が潤滑油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが22.5°<α≦27.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/Dが0.57<R/D≦0.59であり、かつ潤滑油の動粘度が潤滑油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが27.5°<α≦32.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/Dを0.59<R/D≦0.61であり、かつ潤滑油の動粘度が潤滑油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする。
【0017】
【作用】
本発明に係る多点接触玉軸受は、一般産業機械の回転支持や、減速機出力軸あるいはロボットの関節部の支持軸受、放電加工機、レーザ加工機等の電解加工型工作機械や電子部品実装装置、電子部品装着機、各種ボンダー、ハンドラー、搬送ロボット等で使用される精密位置決め用ボールねじのボールねじ軸を支持する軸受として好適である。
【0018】
一般産業機械の一部に使用されている多点接触玉軸受は、図18に示されるように、内部すき間Gが残っている状態で製作され、アキシャル荷重を専用で負荷する用途で使用される場合が多い。例えば、多点接触玉軸受をスクリューコンプレッサ等で使用する場合は、ラジアル荷重負荷用円筒ころ軸受と並列に使用され、スクリューローダ軸に作用するアキシャル荷重のみを受ける構造となっている。また、ジェットエンジンやガスタービン等で多点接触玉軸受を使用する場合は、タービン軸推力のみを負荷し、ラジアル荷重がほとんど負荷しない条件での使用となる。つまり、多点接触玉軸受とは呼びつつも実際の使用条件においては、図19に示されるように、軌道輪10a,10bに形成された軌道溝10e,10fと玉10cとはそれぞれ一点で接触する標準の玉軸受としての使用がほとんどであった。この理由は、玉と軌道溝とが多点で接触することによって、通常の転がり運動と共に発生するスピン滑り等が標準アンギュラ玉軸受に比べ玉と軌道溝との接触部間で極端に増加するためである。このため、運転時の発生トルクも大きく、発熱も異常に高くなり、安定した運転は望めない。
【0019】
このような理由から、多点で常時接触する予圧条件下での使用は極めて少なく、インデックステーブルや旋回輪等、軸受のdmn値(dm:転動体ピッチ円直径(mm)とn:回転数(min−1)との積)が数万程度の回転数が極めて低い用途に限定されていた。
本発明に係る多点接触玉軸受は、加工物の位置決め精度を確保するために、単列軸受でありながら予圧をかけられる構造である。また、予圧による多点接触条件下においても玉と軌道溝との接触部のスピン滑り等を抑制し、油膜形成不良を発生させることもなく、軸受の発熱や摩耗を抑え、低トルクで円滑に回転できる構造である。
【0020】
本発明に係る多点接触玉軸受では、軸方向の取付けスペースが従来の二列組合せアンギュラ玉軸受の約半分で済むため、省スペース化が可能となり、部品間の干渉問題が軽減される。また、内輪取付け分のねじ軸端部寸法が短くなる分を含めた可動部分の軽量化が図られ、急加速及び急減速時のイナーシャ(慣性力)が軽減されるので、電子部品の製造工程や組立工程で使用される機械(例えば電子部品実装装置、各種ボンダー、ハンドラー、搬送ロボット等)の実装速度を向上してタクトタイムの短縮に寄与できる。
【0021】
本発明に係る多点接触玉軸受は、内外輪に形成された軌道溝が単一の曲率ではなく、二種類の円弧(いわゆるゴシックアーチ)で形成されている多点接触玉軸受である。外輪または内輪のいずれか一方はラジアル方向にニ分割されている。保持器は一例として、冠型で柔軟性のある形状を採用でき、保持器材質は例えばポリアミド・ポリアセタール・ポリフェニレンサルファイド等の合成樹脂材を用いることができる。本発明に係る多点接触玉軸受は、軸受の負荷容量や剛性を上げるために、隣り合う玉間の円周ピッチを極力小さくし、標準のアンギュラ玉軸受に比べ、玉径を同等サイズかやや小さくし、玉数を多くしている。また、負荷容量を上げる等の必要性が生じた場合、保持器のない総玉設計も可能である。この場合、玉同士が接触して玉表面の摩耗が発生することがあり得るが、表面を窒化処理して表面硬度を高めたDSボール(特願2000−368602号)や窒化ケイ素、ジルコニア等のセラミックからなる玉を用いれば、玉の摩耗は解消できる。また、軌道溝の摩耗対策として、軌道輪の軌道面にNV窒化処理(特願2000−356211号)やリン系被膜処理(特開平9−53641号公報)を施してもよい。さらに、転がり疲労寿命を向上させる方策として、従来の軸受鋼に対して材料内部の不純物濃度を少なくした高清浄度EP鋼(特許第3018355号)を軌道輪材料として用いてもよい。
【0022】
また、防水性や防塵性を向上させるために、必要に応じて軌道輪の両端面に接触または非接触タイプのシールを付属することもできる。従来のアンギュラ玉軸受にシールを装着する場合、軸方向スペースがさらに増加する問題があったが、本発明では小径玉化と保持器の考案により、単列の幅で可能である。
仮に、旋盤、フライス盤、マニシングセンター等の工作機械に使用される精密位置決め用ボールねじの支持軸受として本発明に係る軸受を使用する場合、内外輪端面の段差を調整した(通称、差幅調整という)本発明品を2列〜3列程度組合せ使用することで、負荷容量や剛性に対応することができる。
【0023】
分割された内輪または外輪の隣り合う端面間には、幾何的に4点接触した状態(軸受接触角α)で適度な予圧すき間が形成されており、標準組合せアンギュラ玉軸受同様に、軸受ナットや抑えふたで分割された内輪または外輪端部を軸方向に押付け固定することで、適正な予圧をかけることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係るボールねじ支持用軸受の構造を示す断面図であり、同図に示されるように、第1の実施形態に係るボールねじ支持用軸受は、ボールねじ軸5を支持する4点接触玉軸受10と、この玉軸受10の周囲を密封する軸受ハウジング2と、この軸受ハウジング2の軸方向両端部に設けられたオイルシール3とから構成されている。
【0025】
図2は、4点接触玉軸受10の軸方向断面図である。同図に示されるように、4点接触玉軸受10は外輪10a、内輪10b、玉10c及び保持器10d等から形成されており、外輪10aの内周面には、軌道溝10eが外輪10aの円周方向に沿って形成されている。この軌道溝10eの軸方向断面は、図3に示されるように、Reの曲率半径を有する二つの円弧つまりゴシックアーチ状に形成されており、これにより、玉10cは軌道溝10eと二点で接触するようになっている。
【0026】
一方、内輪10bの外周面には軌道溝10fが内輪10bの円周方向に沿って形成されている。この軌道溝10fの軸方向断面は、図4に示されるように、Riの曲率半径を有する二つの円弧つまりゴシックアーチ状に形成されており、これにより、玉10cは軌道溝10fと二点で接触するようになっている。
4点接触玉軸受10の内輪10bは、図1に示されるように、ボールねじ軸5の端部に形成された大径軸部5aの端面に押えリング6及びナット7によって押付け固定されている。また、この内輪10bはその軸方向中央部がラジアル方向にニ分割されており、分割された内輪の隣り合う端面間には、幾何的に4点接触した状態(軸受接触角α)で適度な予圧すき間11(図6参照)が形成されている。
【0027】
図5は、玉10cと保持器10dの一部を示す斜視図である。同図に示されるように、保持器10dは冠形の形状を有しており、ポリアミド・ポリアセタール・ポリフェニレンサルファイド等の合成樹脂材から形成されている。なお、軸受ハウジング2は円筒状のハウジング本体2aと、このハウジング本体2aのフランジ部2bにボルト接合される環状の外輪押え2cとから構成されている。
【0028】
このような構成において、玉10cの直径をD、軌道溝10e,10fの曲率をRe,Ri、玉10cと軌道溝10e,10fとの接触角をαとすると、本実施形態に係る4点接触玉軸受10は、接触角αが12.5°<α≦32.5°の範囲内にあり、かつ玉の直径に対する軌道溝10e,10fの曲率比Re/D,Ri/DがRe/D=0.54〜0.61、Ri/D=0.54〜0.61の範囲内にある。
【0029】
図7は本発明の第2の実施形態に係るボールねじ支持用軸受の構造を示す断面図であり、同図に示されるように、第2の実施形態に係るボールねじ支持用軸受は、ボールねじ軸5を支持する4点接触玉軸受10と、この玉軸受10の周囲を密封する軸受ハウジング2と、この軸受ハウジング2の軸方向両端部に設けられたオイルシール3とから構成されている。
【0030】
4点接触玉軸受10は、図8に示されるように、外輪10a、内輪10b、玉10c等から形成されており、外輪10aの内周面には、軌道溝10eが外輪10aの円周方向に沿って形成されている。この軌道溝10eの軸方向断面は曲率半径がReの二つの円弧つまりゴシックアーチ状に形成されており、これにより、玉10cは軌道溝10eと二点で接触するようになっている。
【0031】
一方、内輪10bの外周面には軌道溝10fが軌道溝10eに対向して形成されている。この軌道溝10fの軸方向断面は曲率半径がRiの二つの円弧つまりゴシックアーチ状に形成されており、これにより、玉10cは軌道溝10fと二点で接触するようになっている。
4点接触玉軸受10の内輪10bは、図7に示されるように、ボールねじ軸5の端部に形成された大径軸部5aの端面に押えリング6及びナット7によって押付け固定されている。また、外輪10aはその軸方向中央部がラジアル方向にニ分割されており、分割された外輪の隣り合う端面間には、幾何的に4点接触した状態(軸受接触角α)で適度な予圧すき間11(図8参照)が形成されている。
【0032】
このような構成において、玉10cの直径をD、軌道溝10e,10fの曲率をRe,Ri、玉10cと軌道溝10e,10fとの接触角をαとすると、本実施形態に係る4点接触玉軸受10は、接触角αが12.5°<α≦32.5°の範囲内にあり、かつ玉の直径に対する軌道溝10e,10fの曲率比Re/D,Ri/DがRe/D=0.54〜0.61、Ri/D=0.54〜0.61の範囲内にある。
【0033】
ところで、多点接触玉軸受をボールねじ支持用軸受として使用する場合、多点接触玉軸受に要求される点は動トルクをある範囲内に抑え、かつスムーズな回転立上り性と回転立下り性を得られる点である。このような要求を満たすために、本発明者は、種々の組合せ条件についてコンピュータによる解析を行い、その解析結果から表1に示すような仕様の実施例A〜Dを見出した。
【0034】
【表1】
【0035】
表1において、実施例Aは接触角αを12.5°<α≦17.5°とし、かつ玉10cの直径Dに対する軌道溝10e,10fの曲率比(以下、「溝曲率比」という)fi,feを0.54≦fi≦0.555、0.54≦fe≦0.555とした4点接触玉軸受であり、実施例Bは接触角αを17.5°<α≦22.5°とし、かつ溝曲率比fi,feを0.555<fi≦0.57、0.555<fe≦0.57とした4点接触玉軸受である。また、実施例Cは接触角αを22.5°<α≦27.5°とし、かつ溝曲率比fi,feを0.57<fi≦0.59、0.57<fe≦0.59とした4点接触玉軸受であり、実施例Dは接触角αを27.5°<α≦32.5°とし、かつ溝曲率比fi,feを0.59<fi≦0.61、0.59<fe≦0.61とした4点接触玉軸受である。
表1に示した実施例A〜Dと従来例(二列組合せアンギュラ玉軸受(7010A、軸受内径:50mm)の玉径、玉数、玉PCD及び予圧すき間の選定値を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
表2に示される従来例E(従来軸受で製造範囲内で最も動トルクが大きくなる条件)及び実施例A〜Dの接触角αをαE=30°、αA=17.5°、αB=22.5°、αC=27.5°、αD=32.5°とし、溝曲率比fe及びfiをfeE=fiE=0.52、feA=fiA=0.54、feB=fiB=0.556、feC=fiC=0.571、feD=fiD=0.591とした場合における動トルクを表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】
表3の結果から、接触角αを17.5°≦α≦32.5°とし、溝曲率比fe,fiをfe=fi=0.54〜0.591とすると、動トルクTrがTr=0.28〜0.282N・mとなり、従来例Eの動トルクと同一かそれより低い値となることがわかる。
次に、実施例A〜Dの接触角αをαA=15°、αB=20°、αC=25°、αD=30°とし、溝曲率比fe及びfiをfeA=fiA=0.55、feB=fiB=0.56、feC=fiC=0.58、feD=fiD=0.60とした場合における動トルクを表4に示す。
【0040】
【表4】
【0041】
表4の結果から、接触角αを15°≦α≦30°とし、溝曲率比fe,fiをfe=fi=0.55〜0.60とすると、動トルクTrがTr=0.24〜0.255N・mとなり、表2に示す従来例Eの動トルクより低い値となることがわかる。
次に、従来例E(従来軸受で製造範囲内で最も動トルクが小さくなる条件)及び実施例A〜Dの接触角αをαE=29°、αA=12.6°、αB=17.6°、αC=22.6°、αD=27.6°とし、溝曲率比fe及びfiをfeE=fiE=0.53、feA=fiA=0.555、feB=fiB=0.57、feC=fiC=0.59、feD=fiD=0.61とした場合における動トルクを表5に示す。
【0042】
【表5】
【0043】
表5の結果から、接触角αを12.6°≦α≦27.6°とし、溝曲率比fe,fiをfe=fi=0.555〜0.61とすると、動トルクTrがTr=0.215〜0.222N・mとなり、表2に示す従来例Eの動トルク下限値より大きい値となることがわかる。つまり、表1に示す実施例A〜Dを採用することで、従来例の(製造)実績範囲内の動トルク内に抑えることが可能となる。
【0044】
表3〜表5の結果を基に動トルクTrと接触角αおよび溝曲率比fi,feとの関係を三次元的に解析した結果を図9に、また動トルクTrと溝曲率比fi,feとの関係を解析した結果を図10に示す。図9及び図10の結果からも明らかなように、動トルクを抑えるためには、接触角αと溝曲率比fi,feを適正な値で組合せる必要があることがわかる。また、接触角αを12.6°≦α≦27.6°とし、溝曲率比fe,fiをfe=fi=0.555〜0.61とすると、動トルクが小さくなっていくが、動トルクが小さ過ぎると、ボールねじの回転停止時における減速イナーシャにより、速やかな停止ができず、指示位置に対してオーバーシュートする可能性がある。また、軸受のアキシャル剛性が小さくなり、やはり、オーバーシュートが発生し易くなる。さらに、アキシャル負荷容量も小さくなるので、転がり疲労寿命も短くなる不具合が生じる。このことから、動トルクを従来例のバラツキ範囲内に抑え、スムーズな回転立上り性と回転立下り性を得るためには、接触角αと溝曲率比fe,fiを表1に示す範囲内で組合せる必要があることがわかる。
【0045】
次に、実施例A〜Dの接触角αをαA=15°、αB=20°、αC=25°、αD=30°とし、溝曲率比fe及びfiをfeA=fiA=0.55、feB=fiB=0.56、feC=fiC=0.58、feD=fiD=0.60とした場合における各軸受のPV値を表6に示す。
【0046】
【表6】
【0047】
表6の結果から、接触角αを15°≦α≦30°とし、溝曲率比fe,fiをfe=fi=0.55〜0.60とすることによって、内輪と玉とのPV値PViがPVi=47〜80MPa・m/sになると共に外輪と玉とのPV値PVeがPVe=32〜58MPa・m/sとなり、いずれも従来例のそれより高い値を示すことがわかる。
【0048】
図11は表6の結果を基に内輪PV値と溝曲率比及び接触角との関係を示す図で、図12は同じく表6の結果を基に内輪PV値と溝曲率比との関係を示す図である。また、図13は表6の結果を基に外輪PV値と溝曲率比及び接触角との関係を示す図で、図14は同じく表6の結果を基に外輪PV値と溝曲率比との関係を示す図である。
【0049】
図11〜図14からわかるように、PV値の大小は動トルク、軸受温度上昇以外に接触部の耐摩耗特性にも影響する。半導体チップ等の電子部品を基板上に実装する電子部品実装装置や放電加工機、レーザ加工機等の電解加工機などでは、最近、ボールねじの高速回転が要求されている。急加速及び急減速時の不安定な滑り条件での耐摩耗特性を満足させるためには、PV値をより小さくする必要がある。従来例E及び実施例A〜DにおけるPV値をまとめると、表6の通りとなる。動トルク値を一定にした場合、接触角が小さく、かつ溝曲率比の小さいほうがPV値は小さくなる(実施例Aの方)。いずれの仕様も過去の軸受の実績から判断される限界PV値以下であるので、摩耗の問題は極めて少ないが、ボールねじ回転部の重量や急加速及び急減速時の発生Gに対応して、必要とされるアキシャル剛性要求値や軸受温度上昇特性に応じ、いずれの考案仕様(実施例A〜D)を選定してもよい。
【0050】
次に、実施例A〜Dの接触角αをαA=15°、αB=20°、αC=25°、αD=30°とし、溝曲率比fe及びfiをfeA=fiA=0.55、feB=fiB=0.56、feC=fiC=0.58、feD=fiD=0.60とした場合における各軸受のアキシャル変位ad(μm/1000N:1000Nのアキシャル荷重を負荷した時のアキシャル変位を表す)を表7に示す。
【0051】
【表7】
【0052】
表7の結果から、接触角αを15°≦α≦30°とし、溝曲率比fe,fiをfe=fi=0.55〜0.60とすることによって、各軸受のアキシャル変位adがad=4〜14となり、いずれの場合も従来例のアキシャル変位と同一かそれより大きい値を示すことがわかる。
【0053】
ボールねじのアキシャル剛性は、ボールねじ支持用軸受以外にボールねじ軸とナット間の剛性やボールねじ軸自身の剛性にも影響する。また、使用される機械の種類や使用条件により、要求される剛性値は変わる。
表7の結果から、接触角が大きく、かつ溝曲率比が大きいほう(実施例D)がアキシャル剛性は大きくなる。前述のPV値の要求も考慮し、必要とされるアキシャル剛性要求に応じて、いずれの考案仕様(実施例A〜D)を選定してもよい。
【0054】
図15は、予圧された多点接触玉軸受(実施例Bに相当)に外部からアキシャル荷重を負荷した時の動トルクを、3種類の予圧すき間(Δα=−5μm、−10μm、−15μm)の条件で解析した結果を示す図である。いずれの予圧すき間の場合も動トルクはアキシャル荷重の増加と共に一時的に上昇し、その後、減少して再上昇するという傾向であることがわかる。これは、アキシャル荷重によって軸受の軸方向弾性変形が生じ、内外輪と玉との接触点が初期外部荷重時(0N)の4点接触から3点あるいは2点接触に変化したことによるものである。このように、初期4点接触からアキシャル荷重の増加と共に2点接触に移行することで、アキシャル荷重が増加しても結果的に動トルクを少なくすることができる。
【0055】
また、図15からわかるように、予圧すき間を小さく設定すると、4点から2点接触に移行する過渡期の動トルク最大値も小さくできる。このことは、実使用条件に置き換えれば適正な予圧すき間選定により、急加速及び急減速時の往復動イナーシャ荷重による動トルク増加を接触点の減少によって軽減できることを意味する。種々の解析結果、最低限、ボールねじの軸方向がたを抑え、かつスムーズな回転特性を得るためには、実際の想定荷重条件を考慮した結果、予圧すき間を0〜−10μm程度に設定することで、動トルク軽減効果が出て来ることがわかった。
【0056】
以上のことから、実施例A及びDは従来品に比べPV値およびアキシャル剛性の点で機能の低下がやや大きめであり、実施例Bあるいは実施例Cはバランスがとれており、より好ましい。
次に、表8に示される仕様の試験軸受A〜E(軸受内径:12mm、軸受外径:28mm、玉ピッチ円径:20mm)を使用して、玉軸受の動トルク特性を回転数:10〜5000min−1(5000min−1は軸受のdmn値として10万に相当)、潤滑:グリース(40℃での基油動粘度;15×10−6m2/s)の条件で試験した結果を図16に、また玉軸受の温度上昇特性を上記と同じ条件で試験した結果を図17に示す。
【0057】
【表8】
【0058】
図16及び図17に示される試験結果から、表8の実施例A〜Dは回転数が5000min−1(ボールねじ用多点接触玉軸受として使用した場合に想定される最高回転数領域)のときに、その動トルクと軸受温度上昇(軸受温度−室温)が従来のアンギュラ玉軸受(従来例E)のそれらとほぼ同じ値を示すことがわかる。
【0059】
また、図16に示される試験結果から、表8の実施例A〜Dは回転数が低速域から高速域に移行したときに、その動トルクの変化が従来例Eに比べて小さいことがわかる。したがって、表8の実施例A〜Dでは急加減速したときの動トルク変動によるイナーシャ変動を抑えることができ、その結果、ボールねじが急停止したときのオーバーシュート等をより効果的に防止することができる。
【0060】
以上のことから、本発明に係る多点接触玉軸受は、アンギュラ玉軸受と同等レベル若しくはそれ以上の動トルク特性と温度上昇特性を保持しつつ省スペース化を得ることができる。
次に、同じく表8に示される仕様の軸受から、試験軸受B(実施例B)を使用して、封入グリースの基油の動粘度を変えて、動トルクを測定した結果を図20に示す。
【0061】
また、動トルク測定と同時に、ハウジングと回転軸との間に微細電流を流し、内外輪溝と転動体(玉)との転がり接触部の回転数変化に伴う導通状態の変動を検証した。これにより、軸受の内外輪溝と転動体との転がり接触部の油膜形成状態の良否を確認できる。転がり接触部の導通状態の変動を測定した測定結果を図21に示す。なお、図21において、実線は封入グリースの基油動粘度を100×10−6m2/s(基油温度:40℃)とした場合、破線は封入グリースの基油動粘度を80×10−6m2/s(基油温度:40℃)とした場合、一点鎖線は封入グリースの基油動粘度を15×10−6m2/s(基油温度:40℃)とした場合をそれぞれ示している。
【0062】
図20の測定結果から、封入グリースの基油の動粘度(基油温度:40℃)が130×10−6m2/s以下の場合は動トルクが同等サイズのアンギュラ玉軸受の動トルクとほぼ同じ値となるが、封入グリースの基油の動粘度が130×10−6m2/s(40℃)を超えると動トルクがかなり大きくなることが分かる。このことから、従来のアンギュラ玉軸受の製造実績範囲内での動トルクのバラツキを考慮すると、封入グリースの基油の動粘度を基油温度40℃で130×10−6m2/s以下とすることが望ましい。
【0063】
また、図21に示す測定結果から、多点接触玉軸受を100min−1以上500min−1以下の回転数で低速回転させた場合には、封入グリースの基油の動粘度が小さくなるに従ってハウジングと回転軸との間を流れる微細電流の電流値にバラツキが生じ、油膜形成が不安定になることが分かる。
さらに、回転数が100min−1のときの電流値を観察すると、封入グリースの基油の動粘度(基油温度:40℃)が100×10−6m2/s未満の場合は、内外輪溝と転動体間を流れる微細電流の電流値が増加することが分かる。このことは、内外輪溝と転動体との間に良好な油膜が形成されず、内外輪溝と転動体とが金属接触状態になっていることを意味する。また、封入グリースの基油の動粘度(基油温度:40℃)が100×10−6m2/s以上の場合は、内外輪溝と転動体間を流れる微細電流の電流値が低下することが分かり、このことは内外輪溝と転動体との間に良好な油膜が形成され、内外輪溝と転動体とが絶縁状態に保たれていることを意味する。
【0064】
ところで、転がり軸受の潤滑は、弾性流体潤滑理論で説明される。転がり軸受の走行面は非常に滑らかであるが、ミクロ的にみると細かい凹凸を持っている。内外輪溝と転動体との転がり接触部に形成される、いわゆるEHL油膜厚さは走行面の表面粗さと同じオーダーであり(図22参照)、現在、油膜パラメータ(Λ)という数値で転がり接触面の油膜形成の良否が論じられており、広く使われている。
【0065】
Λ=h/σ
h:EHL油膜厚さ
σ:合成粗さ(√(σ1 2+σ2 2))
σ1、σ2は接触2面の2乗平均粗さ
油膜パラメータ(Λ)と油膜形成との間には、図23に示す関係があることが分かっており、潤滑の程度は図中の3領域に分けられる。
【0066】
今回の実験条件について、油膜パラメータ(Λ)の計算結果を図24に示す。回転数が100min−1では、基油の動粘度が100×10−6m2/s(ただし、基油温度40℃)で油膜パラメータ(Λ)0.75程度となり、図23に示す第I領域と第II領域の境界点に位置することが分かり、図21の実験結果と良く対応する。
【0067】
減速機のアウトプット軸は、60〜120min−1程度で連続使用される場合があり、図21〜図24の結果から、基油の動粘度を100×10−6m2/s以上(ただし、基油温度40℃)とすることで、油膜形成を良好とし、摩耗等を未然に防止するうえで必要である。
また、前述したように、電子部品実装機やタッピングセンター等でも、急加減速運転をする機会が増加していることから、停止状態から回転数が増加する過程でできるだけ早く油膜が形成されることが必要であり、基油の動粘度をより大きくしたほうがよい。
【0068】
以上のことから、グリース潤滑の場合は封入グリースの基油動粘度を基油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sとし、潤滑油潤滑の場合は潤滑油の動粘度を潤滑油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sとすることが望ましい。なお、基油の動粘度が上記の範囲内であれば、潤滑方式はグリース潤滑、油潤滑のいずれでも構わない。
【0069】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。たとえば、上述した実施形態では本発明を4点接触玉軸受に適用したが、本発明を3点接触玉軸受に適用してもよい。また、予圧隙間とせず、図18に示すように、数μm〜数十μmの軸方向ガタ(プラス隙間)の設定も必要に応じて可能である。
【0070】
【発明の効果】
以上のように、試作品の実験結果から、本発明は、アンギュラ玉軸受に比べ、同等レベルの動トルク・温度上昇特性が得られることが確認され、本発明に係る多点接触玉軸受を使用することによって、従来のアンギュラ玉軸受と同等又はそれ以上の特性を保持しつつ、省スペース化を図ることができる。
また、軸受内部に封入するグリースの基油の動粘度または油潤滑等で使用する潤滑油の動粘度を100×10−6m2/s〜130×10−6m2/s(ただし、基油または潤滑油温度40℃)としたことにより、低速回転での油膜形成を良好とし、かつ動トルクの上昇も適正範囲内に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るボールねじ支持用軸受の構造を示す断面図である。
【図2】図1に示される4点接触玉軸受の軸方向断面図である。
【図3】図2に示される外輪側軌道溝の断面図である。
【図4】図2に示される内輪側軌道溝の断面図である。
【図5】図2に示される保持器の一部を示す斜視図である。
【図6】図2に示される4点接触玉軸受の予圧すき間を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るボールねじ支持用軸受の構造を示す断面図である。
【図8】図7に示される4点接触玉軸受の軸方向断面図である。
【図9】表3〜表5の結果を基に動トルクと接触角及び溝曲率比との関係を三次元的に示す図である。
【図10】表3〜表5の結果を基に動トルクと溝曲率比との関係を示す線図である。
【図11】表6の結果を基に内輪PV値と接触角と溝曲率比との関係を三次元的に示す図である。
【図12】表6の結果を基に内輪PV値と溝曲率比との関係を示す線図である。
【図13】表6の結果を基に外輪PV値と接触角と溝曲率比との関係を三次元的に示す図である。
【図14】表6の結果を基に外輪PV値と溝曲率比との関係を示す線図である。
【図15】外部からアキシャル荷重を負荷した時の動トルクを解析した結果を示す図である。
【図16】玉軸受の動トルクと回転数との関係を示す図である。
【図17】玉軸受の軸受温度上昇(軸受温度−室温)と回転数との関係を示す図である。
【図18】多点接触玉軸受の軸方向断面図である。
【図19】二点接触玉軸受の軸方向断面図である。
【図20】封入グリースの基油動粘度を15×10−6m2/sと150×10−6m2/s(ただし、基油温度40℃)との間で変更した場合の多点接触玉軸受の動トルクを示す図である。
【図21】封入グリースの基油動粘度を15×10−6m2/sと100×10−6m2/s(ただし、基油温度40℃)との間で変更した場合の内外輪溝と転動体との油膜状態を示す図である。
【図22】転動体走行面の表面粗さと転動体走行面に形成される油膜との関係を示す模式図である。
【図23】油膜パラメータと油膜形成率との関係を示す図である。
【図24】軸受回転数と油膜パラメータとの関係を示す図である。
【図25】従来のボールねじ支持用軸受を示す断面図である。
【図26】図25に示される二列組合せ玉軸受の軸方向断面図である。
【符号の説明】
2 軸受ハウジング
3 オイルシール
5 ボールねじ軸
6 押えリング
7 軸受ナット
10 4点接触玉軸受
10a 外輪
10b 内輪
10c 玉
10d 保持器
10e 外輪側軌道溝
10f 内輪側軌道溝
Claims (8)
- 外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、
前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが12.5°<α≦17.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/DがR/D=0.54〜0.555であり、かつ封入グリースの基油動粘度が基油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする多点接触玉軸受。 - 外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、
前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが17.5°<α≦22.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/Dが0.555<R/D≦0.57であり、かつ封入グリースの基油動粘度が基油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする多点接触玉軸受。 - 外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、
前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが22.5°<α≦27.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/Dが0.57<R/D≦0.59であり、かつ封入グリースの基油動粘度が基油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする多点接触玉軸受。 - 外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、
前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが27.5°<α≦32.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/Dを0.59<R/D≦0.61であり、かつ封入グリースの基油動粘度が基油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする多点接触玉軸受。 - 外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、
前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが12.5°<α≦17.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/DがR/D=0.54〜0.555であり、かつ潤滑油の動粘度が潤滑油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする多点接触玉軸受。 - 外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、
前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが17.5°<α≦22.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/Dが0.555<R/D≦0.57であり、かつ潤滑油の動粘度が潤滑油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする多点接触玉軸受。 - 外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、
前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが22.5°<α≦27.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/Dが0.57<R/D≦0.59であり、かつ潤滑油の動粘度が潤滑油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする多点接触玉軸受。 - 外輪および内輪に形成された軌道溝に対して3点以上で接触する多数の玉を有する多点接触玉軸受であって、
前記玉の直径をD、前記軌道溝の曲率をR、前記玉と軌道溝との接触角をαとしたとき、前記接触角αが27.5°<α≦32.5°であると共に前記玉の直径に対する前記軌道溝の曲率比R/Dを0.59<R/D≦0.61であり、かつ潤滑油の動粘度が潤滑油温度40℃で100×10−6〜130×10−6m2/sであることを特徴とする多点接触玉軸受。
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-
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- 2003-03-07 JP JP2003061883A patent/JP2004270792A/ja active Pending
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