JP2004269214A - 浄化空気通風式の保管設備 - Google Patents

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多通夫 中尾
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Abstract

【課題】物品が収納される収納部から塵埃が発生した場合であっても、塵埃が隣接する収納部や清浄化された設置用空間等に侵入してそれらを汚染することを未然に防止することが可能となる浄化空気通風式の保管設備を提供する。
【解決手段】前方が開口される複数の収納部を上下方向並びに横幅方向に並ぶ状態で備えた収納棚9A,9Bの背面側箇所に、外部との間で遮蔽される状態で背部側空気通風路L1が区画形成され、背部側空気通風路L1内の空気を吸引して背部側から前部側外方空間L2に向けて浄化空気を通風する浄化空気送風ユニットFUが各収納部8に設けられ、各収納部の夫々に収納空間とその周囲の空間とを仕切る仕切り部材20が備えられ、互いに隣接する一対の収納部夫々の各仕切り部材の間に、前部側外方空間L2に対して遮蔽され且つ背部側空気通風路L1に連通して、収納空間に対して陰圧となる陰圧空間IKが設けられている。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、液晶表示素子や半導体製品等の物品を塵埃の少ない清浄な環境において保管するための浄化空気通風式の保管設備に関し、詳しくは、物品収納用の収納空間を前方が開口される状態で備えた複数の収納部を上下方向又は横幅方向に並ぶ状態で備えた収納棚が備えられ、この収納棚の背面側箇所に、外気取り入れ口を備えるとともに外部との間で気密状態に遮蔽される状態で背部側空気通風路が区画形成され、空気浄化フィルター及び送風機を備えた複数の浄化空気送風ユニットが、前記背部側空気通風路内の空気を吸引して、複数の収納部の収納空間の夫々に対して、その背部側から前部側外方空間に向けて浄化空気を通風する状態で、前記収納棚の背部側に設置された浄化空気通風式の保管設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記構成の浄化空気通風式の保管設備は、収納棚の背部側に設置された複数の浄化空気送風ユニットにより、背部側浄化用空気通風路内の空気を吸引して収納部の収納空間に対してその背部側から前部側に向けて空気浄化フィルターによって浄化された空気を通風するようにして、収納部に収納される液晶表示素子や半導体製品等の塵埃により不具合を発生し易い物品を塵埃の少ない清浄な環境において保管できるようにしたものである。そして、このような浄化空気通風式の保管設備において、従来では、例えば次のように構成されたものがあった。
すなわち、上下方向に並ぶ複数の収納部を一体的な構造の矩形箱状の筐体で構成するとともに、そのような筐体を複数横幅方向に並べて複数の収納部が上下方向及び横幅方向の夫々に並ぶ状態で収納棚を構成するようになっており、前記筐体の内部にて形成される上下方向に並ぶ複数の収納部夫々の収納空間は互いに連通する状態となっていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところで、このような保管設備は、上記したような物品を塵埃の少ない清浄な環境において保管する必要があることから、天井部から空気清浄化フィルターを通して清浄化されたクリーンエアーを下方側に向けて吹き出し供給するようなクリーンルーム内に設置されて使用されるものである。
【0004】
【特許文献1】
特許第3156666号公報(第4−5頁、図2、図3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来構成においては、前記筐体の内部にて形成される上下方向に並ぶ複数の収納部は互いに連通する構成となっているので次のような不利な面があった。
つまり、ある収納部に収納されている物品から塵埃が発生したような場合において、その塵埃の多くは浄化空気送風ユニットの送風力によって前部側外方空間に向けて通風案内されるが、その収納部の内部圧力と上下方向に隣接する収納部の内部圧力とはほぼ同じであるから、上記したような1つ収納部から発生する塵埃が隣接する収納部に侵入してそこに収納されている物品を汚染させるという不利を招くおそれがある。
【0006】
上記従来構成においては、上下方向に隣接する収納部だけでなく前記1つの収納部と横幅方向に隣接する収納部に対しても塵埃が侵入するおそれがある。つまり、前記筐体が一体構造にて形成されるものであっても、隣接する収納部の収納部空間同士が1枚板構造の筐体の側面部分を通して隣接するものであるから、実際の製品として加工するときには、筐体同士を組み付けるための組み付け用の挿通孔や支持片を取り付けるための挿通孔等も形成されるので収納部同士の間に僅かな隙間が存在することがあり、このような細かな隙間から塵埃が侵入するおそれがある。しかも、このような塵埃は隣接する収納部のみならず細かな隙間を通してクリ−ンルーム等の当該設備が設置される清浄化された設置用空間内へ侵入してその空間を汚染してしまうおそれもある。
【0007】
本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、物品が収納される収納部から塵埃が発生した場合であっても、塵埃が隣接する収納部や清浄化された設置用空間等に侵入してそれらを汚染することを未然に防止することが可能となる浄化空気通風式の保管設備を提供する点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の浄化空気通風式の保管設備は、物品収納用の収納空間を前方が開口される状態で備えた複数の収納部を上下方向又は横幅方向に並ぶ状態で備えた収納棚が備えられ、
この収納棚の背面側箇所に、外気取り入れ口を備えるとともに外部との間で気密状態に遮蔽される状態で背部側空気通風路が区画形成され、
空気浄化フィルター及び送風機を備えた複数の浄化空気送風ユニットが、前記背部側空気通風路内の空気を吸引して、複数の収納部の収納空間の夫々に対して、その背部側から前部側外方空間に向けて浄化空気を通風する状態で、前記収納棚の背部側に設置されたものであって、
前記収納棚の前記各収納部の夫々に、物品収納用の収納空間とその周囲の空間とを前記上下方向並びに前記横幅方向に仕切る仕切り部材が備えられ、
互いに隣接する一対の収納部夫々の各仕切り部材の間に、前記前部側外方空間に対して遮蔽され且つ前記背部側空気通風路に連通する状態に形成されて前記収納空間に対して陰圧となる陰圧空間が設けられていることを特徴とする。
【0009】
すなわち、前記収納棚の各収納部の夫々には物品収納用の収納空間とその周囲の空間とを上下方向並びに横幅方向に仕切る仕切り部材が備えられているから、収納空間は仕切り部材によって周囲の空間と仕切られ、浄化空気送風ユニットから送り出される浄化空気はその仕切り部材によって通風案内されて前部側外方空間に向けて通風されることになる。尚、前部側外方空間に向けて通風された後は、浄化空気送風ユニットによる送風力や他の送風手段を用いて外部に排気したり、あるいは、前記背部側空気通風路を通して循環通風させて再度浄化空気送風ユニットにて浄化させることで、収納部や外部空間を汚染させることがないように処理することができる。
【0010】
そして、互いに隣接する一対の収納部夫々の各仕切り部材の間に、前部側外方空間に対して遮蔽され且つ背部側空気通風路に連通する状態に形成されて収納空間に対して陰圧となる陰圧空間が設けられているので、いずれかの収納部にて収納される物品から塵埃が発生してその塵埃が仕切り部材の細かな隙間を通して収納部の外方側に漏れ出ることがあっても、その塵埃は前記陰圧空間に向けて漏れ出ることになるから、浄化空気送風ユニットの送風に伴って吸引されて背部側空気通風路を通して浄化空気送風ユニットの浄化フィルターに吸着して除去されることになる。
【0011】
この陰圧空間は前部側外方空間に対して遮蔽されているので、前部側外方空間に存在する塵埃が吸引されるおそれは少なく、又、前記陰圧空間は収納部における収納空間に対して陰圧となるので、収納部からこの陰圧空間に塵埃が漏れ出しても、このような塵埃が隣接する収納部や隣接する収納部を通して当該設備が設置される清浄化された設置用空間等に向けて侵入するおそれは少ないものとなる。
【0012】
従って、物品が収納される収納部から塵埃が発生した場合であっても、塵埃が隣接する収納部や清浄化された設置用空間等に侵入してそれらを汚染することを未然に防止することが可能となる浄化空気通風式の保管設備を提供できるに至った。
【0013】
請求項2に記載の浄化空気通風式の保管設備は、請求項1において、前記複数の収納部のうちの並び方向の端部に位置する収納部における前記仕切り部材と、前記収納棚の上下方向側端部及び横幅方向側端部夫々の外周部を外気遮蔽状態で囲う遮蔽部材との間に、前記前部側外方空間に対して遮蔽され且つ前記背部側空気通風路に連通する状態に形成されて前記収納空間に対して陰圧となる陰圧空間が設けられていることを特徴とする。
【0014】
すなわち、並び方向の端部に位置する収納部における仕切り部材と、収納棚の外周部を外気遮蔽状態で囲う遮蔽部材との間に、前部側外方空間に対して遮蔽され且つ背部側空気通風路に連通する状態に形成されて収納空間に対して陰圧となる陰圧空間が設けられているから、並び方向の端部に位置する収納部にて収納される物品から塵埃が発生してその塵埃が仕切り部材の細かな隙間を通して収納棚の外周部側に向けて漏れ出ることがあっても、その塵埃は陰圧空間に向けて漏れ出ることになるから、浄化空気送風ユニットの送風に伴って吸引されて背部側空気通風路を通して浄化空気送風ユニットの浄化フィルターに吸着して除去されることになる。
【0015】
従って、いずれかの収納部にて塵埃が発生した場合であっても、収納棚にて発生したその塵埃が清浄化された設置用空間に侵入してそれらを汚染することをより的確に防止することが可能となる。
【0016】
請求項3記載の浄化空気通風式の保管設備は、請求項1又は2において、前記収納棚が、物品を受け止め支持するための複数の受け止め部材と、その受け止め部材を支持するための複数の支柱とを備えて構成され、前記支柱が前記陰圧空間の内部に位置させる状態で配備されていることを特徴とする。
【0017】
すなわち、収納棚が複数の支柱とそれに備えられた複数の受け止め部材とを備えて構成されるから、複数の支柱によって支持される複数の受け止め部材によって物品を受け止め支持することになる。そして、これらの支柱が前記陰圧空間の内部に位置させる状態で配備されているので、例えば、この支柱から塵埃が発生する場合であっても、その塵埃は浄化空気送風ユニットの送風に伴って吸引されて背部側空気通風路を通して浄化空気送風ユニットの浄化フィルターに吸着して除去されることになる。
【0018】
従って、錆の発生を防止する等の目的のために塗装を施すような構成の支柱を用いる場合において、長期の使用に伴ってその塗装が剥がれて塵埃が発生することがあっても、そのような塵埃を浄化空気送風ユニットによって除去することが可能となるので、塗装付きの支柱や塵埃を発生し易い構成の支柱を用いて収納棚を構成することが可能であり、それだけコスト低減が可能なものとなる。
【0019】
請求項4記載の浄化空気通風式の保管設備は、請求項3において、前記支柱が鉄鋼材にて形成されていることを特徴とする。
【0020】
すなわち、前記支柱が鉄鋼材にて形成されているので、物品の重量が大きな場合であっても充分大きな支持力を発揮して極力多くの物品を収納することができ、しかも、アルミ材や強化プラスチック等の材質のものに比べて低コストで収納棚を構成することが可能となる。
【0021】
請求項5記載の浄化空気通風式の保管設備は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記仕切り部材が、前記収納部における前後幅方向ほぼ全長にわたる状態で形成されていることを特徴とする。
【0022】
すなわち、物品収納用の収納空間とその周囲の空間とを前記上下方向並びに前記横幅方向に仕切る仕切り部材が、収納部における前後幅方向ほぼ全長にわたる状態で形成されているから、前記陰圧空間も同様に収納部における前後幅方向ほぼ全長にわたる状態で形成されることになる。又、前記陰圧空間は前部側外方空間に対して遮蔽されているので、結果として、前記陰圧空間は、収納部の収納空間及び前部側外方空間に対して遮蔽される状態となる。
【0023】
従って、収納部にて塵埃が発生しても、浄化空気送風ユニットから送り出される浄化空気は外方側に流出することなく略全量が仕切り部材によって案内されながら前部側外方空間に向けて通風されることになるから、収納部にて発生する塵埃が隣接する収納部や清浄化された設置用空間等に侵入するおそれをより少ないものにすることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る浄化空気通風式の保管設備について図面に基づいて説明する。
図1に、例えば、半導体製品や液晶表示素子等を製造するために塵埃の少ない清浄化された室内空間に設置される浄化空気通風式の保管設備を示している。上記したような製品の仕掛かり品や製造途中での半製品等は、細かな粉塵等の塵埃の少ない環境にて保管する必要があるが、前記保管設備は、このような物品を保管対象として、塵埃の少ない清浄化された空間にて物品を保管するようになっている。
【0025】
この保管設備が設置される設置空間について説明を加えると、上記したような製品についての製造装置や搬送装置等が設置される室はクリーンルームR1として構成されている。そして、このクリーンルームR1の床部1は、通気孔が多数形成された床にて構成され、この床部1の下方側には吸気ルームR2が設けられており、クリーンルームR1内の空気が吸気ルームR2内の空間及び循環路Qを通して通風ファンFによって吸気されるとともに、吸気された空気はクリーンルームR1の天井面2の上方側に形成された空気チャンバー室3を経由して、クリーンルームR1の天井面2に備えられた例えばHEPAフィルター等からなるエアーフィルター4を通して清浄化された後に、クリーンルームR1内に向けて下向きに吹き出し供給される構成となっている。従って、クリーンルームR1の空気が、上記したような経路を通して循環通風されて、常に清浄化された空気が天井面2から下方に吹き出される状態で供給されて清浄度の高い状態が維持できる構成となっている。そして、前記保管設備は、前記クリーンルームR1における床部1に載置される状態で設置される。
【0026】
次に、保管設備の構成について説明する。
図2、図3に示すように、その外周部を覆う略箱形のカバー体7によって、外気遮蔽状態に区画形成された設置空間が形成されており、この外気遮蔽状態に区画形成された設置空間内部に、物品収納用の収納空間を前方が開口される状態で備えた複数の収納部8を上下方向並びに横幅方向の夫々に並ぶ状態で備えた収納棚9A,9Bが、水平方向に所定間隔を隔てて一対並べて備えられ、それら一対の収納棚9A,9Bの中間部に、複数の収納部8との間及び後述するコンベア装置11との間での物品搬送を行う物品搬送手段としてのスタッカークレーン10が配備されている。このスタッカークレーン10は、床面に設置された走行レール10a上を走行しながら上端部が天井部に設置された案内レール10bに沿って案内されて横方向に移動走行自在な移動台車10cに、複数の収納部8との間及び後述するコンベア装置11との間での物品を移載させる移載装置10dを昇降自在に備えて構成されている。又、一方の収納棚9Aの複数の収納部8のうちの一部の空間を利用して、スタッカークレーン10から物品Cを受け取り、前記カバー体7に形成された物品搬出入用の開口部Kを通して物品Cを搬送させるためのコンベア装置11が備えられている。
【0027】
図3、図4に示すように、前記各収納棚9A,9Bは、それらが互いに向かい合う側、すなわち、スタッカークレーン10側を前面側とし、それと反対側を背面側として、前記各収納棚9A,9B夫々の背面側箇所には、外気取り入れ口12,13を備えるとともに外部との間で気密状態に遮蔽される状態で背部側空気通風路L1が区画形成されており、又、前記各収納棚9A,9B夫々の前面側箇所には、スタッカークレーン10が配備される空間である前部側空気通風路L2が形成されている。つまり、各収納棚9A,9Bの背面側に、前記カバー体7によって背面部が閉塞されるとともに、カバー体7の天井面部分に形成された外気取り入れ口12及びカバー体7の背面壁の下方側部分に形成された外気取り入れ口13から外気を取り入れることが可能な状態で且つ外部との間で気密状態に遮蔽される状態で背部側空気通風路L1が区画形成されている。
【0028】
一方、各収納棚9A,9Bの下方側部分のうちコンベア装置11が備えられていない箇所には、収納棚9A,9Bの下方側に沿って設けられた下側遮蔽部材14によって収納棚9A,9Bの内部空間と遮蔽する状態で、前部側空気通風路L2を通風する空気のうちの一部を空気取り入れ部15から取り入れて前記背部側空気通風路L1に循環通風させるための循環用通風路L3が形成されている。又、スタッカークレーン10が配置される前部側外方空間L2の下方側には、前記各収納空間から通風される空気のうちの一部をクリーンルームR1の床部1から吸気ルームに排出させるように構成されている。そして、前記各収納空間から前部側外方空間L2に向けて通風される空気は、そのうちの一部が循環用通風路L3及び背部側空気通風路L1を通して前記各収納部8における後述するようなファンフィルターユニットFUにて吸気されて循環通風するとともに、循環通風される空気の一部が床部1を通して吸気ルームR2に排出される構成となっている。尚、前部側空気通風路L2を通風する空気のうちの一部を取り入れるための前記空気取り入れ部15及び背面壁の下方側部分に形成された外気取り入れ口13は、詳述はしないが、複数の収納部における物品の収納状況等に応じて適宜遮断して空気の取り入れを停止することが可能な状態と通気を許容する状態とに切換自在なシャッターを備えている。
【0029】
前記各収納部8の前面側はスタッカークレーン10により物品Cを出し入れするために開放状態となっており、前記各収納部8の背面側には、前記背部側通風路L1内の空気を吸引して各収納部8の収納空間に対して、その背部側から前部側に向けて浄化空気を通風する複数の浄化空気送風ユニットとしてのファンフィルターユニットFUが各収納部8に対応して夫々設置されている。このファンフィルターユニットFUは、図5に示すように、支持ケース16内に、空気を清浄化させる空気浄化フィルター17と、背部側から前部側に向けて空気を通風するモータ駆動式の送風機18と、空気浄化フィルター17を通した後の空気を収納部8の収納空間の全領域に沿って通風するように上下方向並びに横幅方向夫々に吹き出し方向を拡大分散させるダクト19とを備えて構成され、送風機18によって背部側通風路L1内の空気を吸引して収納部8の収納空間に対してその背部側から前部側に向けて空気を通風することにより、通過する空気中に含まれる細かな粉塵等の塵埃が空気浄化フィルター17により吸着して除去され清浄化させた空気が収納部8の収納空間に供給されるように構成されている。
【0030】
前記ダクト19は、空気浄化フィルター17を通過した空気を受け入れる略矩形箱状のケーシング19aを備えており、図6に示すように、そのケーシング19aの収納空間に臨む面19bにほぼ均等に小径の通風孔19cを多数分散形成して、空気を収納空間内にほぼ均等な状態で吹き出し供給するように構成されている。又、前記複数のファンフィルターユニットFUは夫々、前記各送風機18の回転速度を変更調節することで送風量を変更調節可能な構成となっている。
【0031】
前記各収納棚9A,9Bにおける複数の収納部8の夫々には、物品収納用の収納空間とその周囲の空間とを上下方向並びに横幅方向に仕切る仕切り部材20が備えられている。つまり、図7、図8に示すように、この仕切り部材20は、各収納部8における物品収納用の収納空間の上下方向両側端部に設けられた上下一対の横向き仕切り板20aと、各収納空間の横幅方向両側端部に設けられた左右一対の縦向き仕切り板20bとを備えてそれらが気密状態になるように接合されて略角筒状に形成されている。この仕切り部材20の背面側端部は前記ダクト19の外周部に気密状態で接続されており、仕切り部材20の前面側は収納棚9A,9Bの前面側端部にまで延びており、収納部8における前後幅方向ほぼ全長にわたる状態で形成されている。従って、ファンフィルターユニットFUにて通風される清浄化された空気は、そのほぼ全量が収納部8内部の収納空間を通して通風されて前部側空気通風路L2に供給されることになる。
【0032】
そして、上下方向並びに横幅方向夫々に対して互いに隣接する一対の収納部8夫々の各仕切り部材20の間に、前部側外方空間L2に対して遮蔽され且つ背部側空気通風路L1に連通する状態に形成されて収納空間に対して陰圧となる陰圧空間IKが設けられている。又、複数の収納部8のうちの並び方向の端部に位置する収納部8における仕切り部材20と、収納棚9A,9Bの上下方向側端部及び横幅方向側端部夫々の外周部を外気遮蔽状態で囲う遮蔽部材Sとしての前記カバー体7及び前記下側遮蔽部材14との間に、前部側外方空間L2に対して遮蔽され且つ背部側空気通風路L1に連通する状態に形成されて収納空間に対して陰圧となる陰圧空間IKが設けられている。つまり、前記各収納部8の上下方向並びに横幅方向夫々の外方側には収納空間に対して陰圧となる陰圧空間IKが形成されており、収納空間から外方側に塵埃が漏れ出すことがあってもこの陰圧空間IKから背部側空気通風路L1を通してファンフィルターユニットFUにて吸引されて吸着除去されることになる。
尚、前記コンベア装置11が配備される空間の上部側には、前記背部側空気通風路L1から吸引して清浄化した空気をコンベア装置11が配備される空間に向けて下方側に吹き出し供給するコンベア装置用のファンフィルターユニットFUが備えられている。
【0033】
次に物品収納構造の具体構造について説明すると、前記各収納棚9A,9Bは、物品を受け止め支持するための複数の受け止め部材21と、その受け止め部材21を支持するための複数の支柱22とを備えて構成され、前記支柱22が前記陰圧空間IKの内部に位置させる状態で配備されている。説明を加えると、図8に示すように、前記各収納棚9A,9Bは、前部側及び背部側の夫々に横幅方向に沿って適宜間隔をあけて複数の支柱22が設けられ、これらの支柱22によって横幅方向に挟まれた領域に前記各収納部8が形成されている。図9に示すように、前後両側夫々の左右一対の合計4本の支柱22の夫々に物品の4隅を受け止め支持するための4個の受け止め部材21が固定取り付けされており、又、前記各支柱22に対してブラケット23を介して前記仕切り部材20が取り付け支持されている。又、この仕切り部材20の前部側端部には、収納部8の上下両側の陰圧空間IK及び収納部8の横幅方向両側の陰圧空間IKの夫々を前部側外方空間に対して遮蔽する前部側カバー体24が気密状態で接続されている。
【0034】
そして、前記支柱22は、収納部8の横幅方向両側の陰圧空間IKの内部に位置させる状態で配備されており、この支柱22は鉄鋼材にて形成され、錆の発生を防止するための表面に塗装を施している。一方、前記仕切り部材20はアルミ材にて構成され、錆や塗装剥れ等により収納空間内が汚染されないようにしている。上述したように鉄鋼材にて構成されて外面が塗装されている前記各支柱22は、収納部8の横幅方向両側の陰圧空間IKの内部に位置させる状態で配備されているので、錆や塗装剥れ等により塵埃が発生することがあっても、それらの塵埃は収納空間内に侵入することはなく、この陰圧空間IKから背部側空気通風路L1を通してファンフィルターユニットFUにて吸引されて吸着除去される構成となっている。
【0035】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0036】
(1)上記実施形態では、前記仕切り部材20が、前記収納部における前後幅方向ほぼ全長にわたる状態で形成されているものを例示したが、このような構成に限らず、例えば、図10に示すように、収納部における前後幅方向の途中箇所まで形成するような構成としてもよい。この構成においては、隣接する収納部同士の仕切り部材にて囲まれる領域が陰圧空間となるが、収納部の内部空気はファンフィルターユニットによる通風作用によって前部側外方空間L2に向けて送り出されるので、収納部にて塵埃が発生しても外部に漏れ出すおそれは少ない。しかも、前部側外方空間L2に対しては前部側カバー体で遮蔽されるので、前部側外方空間L2から塵埃を吸引するおそれもない。尚、この構成においては、複数の支柱のうち背部側に位置する支柱22aは鉄鋼材で構成し、前部側に位置する支柱22bを錆びの発生を考慮してアルミ材で構成するようにしてもよい。
【0037】
(2)上記実施形態では、支柱が鉄鋼材にて形成されているものを例示したが、このような構成に限らず、他の材質、例えば、アルミ材や他の金属あるいは硬質の合成樹脂材で構成するなど各種の材質のもので構成してもよい。
【0038】
(3)上記実施形態では、複数の収納部のうちの並び方向の端部に位置する収納部における仕切り部材と、収納棚の上下方向側端部及び横幅方向側端部夫々の外周部を外気遮蔽状態で囲う遮蔽部材との間に収納空間に対して陰圧となる陰圧空間が設けられる構成を例示したが、このような構成に限らず、前記遮蔽部材と仕切り部材との間は空間を形成せずに密着させる構成としてもよい。
【0039】
(4)上記実施形態では、前記各収納空間を通過して通風される空気が前部側空気通風路L2から循環用通風路L3を介して背部側空気通風路L1に循環通風される構成としたが、このような構成に限らず、各収納空間を通過して前部側空気通風路L2に通風される空気の全量を吸気ルームR2に排気させる構成としてもよい。
【0040】
(5)上記実施形態では、複数の収納部が上下方向並びに横幅方向の夫々に並ぶ状態で備えられる構成としたが、このような構成に限らず、上下方向に一列状態で並ぶ状態としたり、横幅方向に一列状態で並ぶ状態とするなど各種の形態で収納棚を構成するようにしてもよい。
【0041】
(6)上記実施形態では、一対の収納棚9A,9Bを前後に並ぶ状態で配備する構成としたが、前後一対の収納棚を設ける構成に限らず1つの収納棚だけを設ける構成としてもよく、要するに、収納棚の背面側箇所に背部側空気通風路が形成され、収納棚の前面側箇所に前部側空気通風路が形成される構成であれば本発明は適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】保管設備の設置状態を示す側面図
【図2】保管設備の構成を示す一部切欠斜視図
【図3】保管設備の構成を示す側面図
【図4】保管設備内の空気の流れを示す図
【図5】ファンフィルターユニットの構成を示す図
【図6】ダクトを示す斜視図
【図7】収納部の構成を示す斜視図
【図8】収納部の構成を示す平面図
【図9】収納部の物品支持構成を示す図
【図10】別実施形態の収納部の構成を示す平面図
【符号の説明】
8 収納部
9A,9B 収納部
12,13 外気取り入れ口
14 空気浄化フィルタ
15 送風機
20 仕切り部材
21 受け止め部材
22 支柱
FU 浄化空気送風ユニット
IK 陰圧空間
L1 背部側空気通風路
L2 前部側空気通風路
S 遮蔽部材

Claims (5)

  1. 物品収納用の収納空間を前方が開口される状態で備えた複数の収納部を上下方向又は横幅方向に並ぶ状態で備えた収納棚が備えられ、
    この収納棚の背面側箇所に、外気取り入れ口を備えるとともに外部との間で気密状態に遮蔽される状態で背部側空気通風路が区画形成され、
    空気浄化フィルター及び送風機を備えた複数の浄化空気送風ユニットが、前記背部側空気通風路内の空気を吸引して、複数の収納部の収納空間の夫々に対して、その背部側から前部側外方空間に向けて浄化空気を通風する状態で、前記収納棚の背部側に設置された浄化空気通風式の保管設備であって、
    前記収納棚の前記各収納部の夫々に、物品収納用の収納空間とその周囲の空間とを前記上下方向並びに前記横幅方向に仕切る仕切り部材が備えられ、
    互いに隣接する一対の収納部夫々の各仕切り部材の間に、前記前部側外方空間に対して遮蔽され且つ前記背部側空気通風路に連通する状態に形成されて前記収納空間に対して陰圧となる陰圧空間が設けられている浄化空気通風式の保管設備。
  2. 前記複数の収納部のうちの並び方向の端部に位置する収納部における前記仕切り部材と、前記収納棚の上下方向側端部及び横幅方向側端部夫々の外周部を外気遮蔽状態で囲う遮蔽部材との間に、前記前部側外方空間に対して遮蔽され且つ前記背部側空気通風路に連通する状態に形成されて前記収納空間に対して陰圧となる陰圧空間が設けられている請求項1記載の浄化空気通風式の保管設備。
  3. 前記収納棚が、物品を受け止め支持するための複数の受け止め部材と、その受け止め部材を支持するための複数の支柱とを備えて構成され、
    前記支柱が前記陰圧空間の内部に位置させる状態で配備されている請求項1又は2記載の浄化空気通風式の保管設備。
  4. 前記支柱が鉄鋼材にて形成されている請求項3記載の浄化空気通風式の保管設備。
  5. 前記仕切り部材が、前記収納部における前後幅方向ほぼ全長にわたる状態で形成されている請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の浄化空気通風式の保管設備。
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