JP2004268943A - 内容物放出機構およびエアゾール製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】内容物放出動作開始時の応答性の改善を図る。
【解決手段】ステム11に設けたステムラバー支持用の環状段部14の側面にテーパ面14aを形成し、当該テーパ面とステム11のすり鉢状部分13の間に静止モードにおいても放出用孔部12aにつながる内容物通過用の環状空間域14bが形成されるようにした。ステム11の傾動方向と放出用孔部12aの位置がずれている使用モードにおいてすり鉢状部分13の肩部13bがステムラバー31から離れて通路13cが形成されると、内容物は環状空間域14bを経由する補助ルートを通って放出用孔部12aへ向かう。当該補助ルートの断面積は環状空間域14bの分だけ大きいので、内容物放出開始時の応答性が良い。また、放出用孔部12aの断面積を下流側に行くほど小さくしているので、内容物は放出用縦通路11aに送出される際に加速され、放出動作開始時の応答性をより一層よいものとしている。
【選択図】 図1
【解決手段】ステム11に設けたステムラバー支持用の環状段部14の側面にテーパ面14aを形成し、当該テーパ面とステム11のすり鉢状部分13の間に静止モードにおいても放出用孔部12aにつながる内容物通過用の環状空間域14bが形成されるようにした。ステム11の傾動方向と放出用孔部12aの位置がずれている使用モードにおいてすり鉢状部分13の肩部13bがステムラバー31から離れて通路13cが形成されると、内容物は環状空間域14bを経由する補助ルートを通って放出用孔部12aへ向かう。当該補助ルートの断面積は環状空間域14bの分だけ大きいので、内容物放出開始時の応答性が良い。また、放出用孔部12aの断面積を下流側に行くほど小さくしているので、内容物は放出用縦通路11aに送出される際に加速され、放出動作開始時の応答性をより一層よいものとしている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステムに対する放出操作から内容物が放出するまでの時間差が少ない、いわゆる応答性の良い内容物放出機構、およびこの内容物放出機構を備えたエアゾール式製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4および図5は従来の内容物放出機構の説明図であり、図4は静止モード、図5は作動モードをそれぞれ示している。
【0003】
これらの図において、20はティルト式の内容物放出機構、21はステム,21aは放出用縦通路,21cはすり鉢状部分,21dは当該すり鉢状部分に形成されて垂直方向の側面を有する環状段部,21eは当該環状段部の側面部分に形成される環状隙間,21gはすり鉢状部分21cの外縁側の肩部,21hは作動モードのときに当該肩部と後述のステムラバー31との間に生成されて環状隙間21eに連通する通路,21jは環状段部21dの対向する位置2箇所に形成されて放出用縦通路21aに連通する横通路,
31はステムラバー,31aは当該ステムラバーの内側部分,
32はハウジング,
33はステムを上方向に付勢するスプリング,
34はマウンテンカップ,
35は吸上管,
をそれぞれ示している。
【0004】
図4に示すように、ステム21には、ステムラバー31の内側部分31aの底面側を支持する環状段部21dが設けられている。
【0005】
そして静止モードのとき、この環状段部21dによって支持されたステムラバー31と、ステム21のすり鉢状部分21cとの間には横通路21jに連通する環状隙間21eが形成されている。
【0006】
ステム21を傾動させた作動モードでは、図5に示すように当該ステムの肩部21gがステムラバー31から離れて通路21hが形成され、当該通路は環状隙間21eに連通する。
【0007】
それは、環状段部21dがステムラバー31の内側部分31aを上方向に支え、ステム21の傾動にともなって下方に撓むかたちとなる当該内側部分の変形を抑制して環状隙間21eが閉塞されないように作用するからである。
【0008】
そして容器本体(図示省略)の内容物は、吸上管35−ハウジング32−通路21h−環状隙間21e−横通路21j−放出用縦通路21aの経路(後述の補助ルート)によっても外部空間に放出される(例えば特許文献1および特許文献2参照)。
【0009】
なお、作動モード設定時におけるステム21の傾動方向は利用者の操作によって任意に決められる。
【0010】
そのため、対向位置にある二つの横通路21jの延長線上のステムラバー31部分が作動モードにおいて、ともにすり鉢状部分21cから離れた開状態となる確率よりも、二つの当該横通路の一方のみが開状態となる確率のほうが大きい。
【0011】
また、それ以上にステムの傾動方向が二つの横通路21jの延長線からずれている可能性がきわめて高い。この場合、利用者の傾動操作に基づく傾動方向のステムラバー部分が先ず開いてから、横通路が上記開状態となるまでには所定の時間差が生じる。
【0012】
上述の環状隙間21eを介した経路は、このような、二つの横通路21jの一方のみが上記開状態となったときの他方の横通路への内容物の移動ルートや、ステムラバー部分の一部がすり鉢状部分21cから離れてはいるものの当該横通路の延長線上のステムラバー部分がまだ上記開状態となっていないときの双方の当該横通路への内容物の移動ルートを形成している。
【0013】
すなわち、この環状隙間経路は内容物放出用のいわば補助ルートであって、これにより放出動作開始時のレスポンスを高めている。放出動作の定常状態におけるメインルートは、ステムラバー31とすり鉢状部分21cの肩部21gとの間の開空間域から、上記開状態の横通路21jへと直接向かう経路である。
【0014】
【特許文献1】
実公平5−38844号公報
【特許文献2】
特開2001−170524号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
このように上述のティルト式内容物放出機構は、ステムラバーを上方向に支える環状段部を設け、静止モードにおいても放出用孔部(横通路)につながる内容物通過用の環状隙間が形成されるようにしているので、作動モードへの移行時にはこの環状隙間を介した補助ルートにより内容物が応答性良く放出されるものとなっている。
【0016】
本発明は、この内容物放出用の補助ルートの作用をより有効なものとして、放出動作開始時の応答性のいっそうの改善を図ることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明はこの課題を次のようにして解決する。
(1)外部空間と容器本体側とを連通させるための孔部(例えば後述の放出用孔部12a)を持つステム(例えば後述のステム11)と、当該孔部に対するステムラバー(例えば後述のステムラバー31)とを少なくとも備え、当該孔部の外側に、前記ステムラバーを支持するための周方向段部(例えば後述の環状支持部14)およびその外方に広がる形の環状鍔部(例えば後述のすり鉢状部分13)を設け、静止モード時には当該ステムラバーがその一周にわたって当該環状鍔部と接することにより前記連通状態を阻止するようにした内容物放出機構において、前記周方向段部の側面部分をその下端側が内側に入り込んだ態様(例えば後述のテーパ面14a)で形成して、当該側面部分と前記環状鍔部との間に、凹み状で前記孔部に通じる周方向空間域(例えば後述の環状空間域14b)を確保する。
(2)上記(1)において、前記周方向段部の側面部分をテーパ状(例えば後述のテーパ面14a)にする。
【0018】
本発明によれば、ステムラバーを支持する周方向段部の側面部分の下端側が内側に入り込んだ態様、例えばテーパ状にして、放出用孔部につながる周方向空間域を確保している。これにより、ステムの放出操作を行った際に内容物は確実に当該周方向空間域に流入し、内容物放出開始時の応答性の改善を図っている。
【0019】
本発明は、以上の特徴を持つ内容物放出機構を対象とするとともに、この内容物放出機構を備えたエアゾール式製品も対象にしている。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1乃至図3を用いて、本発明の実施の形態を説明する。
図1は内容物放出用の補助ルートの断面積を大きく確保したティルト式内容物放出機構の作動モードを示す説明図である。図2は本発明と従来例の、ステム傾動開始時における補助ルートの内容物の流れを比較した説明図であり、(a)は本発明の内容物の流れ、(b)は従来例の内容物の流れをそれぞれ示している。図3は、図1の内容物放出機構のステムの放出用孔部部分の詳細図を示している。
【0021】
これらの図において、
1はティルト式内容物放出機構,
11はステム,11aは放出用縦通路,11bは後述の放出用孔部12aの周方向の幅を狭めるように設けたリブ,12は静止モードでステムラバー31が密着する首部,12aは当該首部の対向する位置二箇所に形成された放出用孔部,13は当該ステムの一部であり下方に形成されたすり鉢状部分,13aは当該すり鉢状部分とステムラバー31との環状隙間,13bは当該すり鉢状部分の外縁の肩部,13cは作動モードのときに当該肩部とステムラバー31との間に生成されて環状隙間13aと連通する通路,14は断面が逆ハの字状でステムラバー31の内側部分31aを支えるための環状支持部,14aは当該環状支持部の側面であって内側に入り込むように形成されたテーパ面,14bは当該テーパ面によって確保される環状空間域,14cは当該環状支持部に形成されて放出用孔部12aに続く横通路,
Aはテーパ面14aのすり鉢状部分13からの立ち上がり角度,
Bは水平方向に対するすり鉢状部分13の角度,
をそれぞれ示している。なお、その他の構成要素は従来例と同様であり、同一の参照番号を用いて説明する。
【0022】
内容物放出機構1は、ステム11の傾動方向が放出用孔部12aからずれている場合に当該内容物放出用孔部に連通する補助ルートの断面積を大きく設定して内容物放出開始時の応答性を良くしたものである。
【0023】
図1乃至図3に示すように、内容物放出機構1の環状支持部14は、側面が内側に入り込んでテーパ面14aを形成する態様である。これにより、テーパ面14aとすり鉢状部分13との間に環状空間域14bが確保され、前述の補助ルートの断面積を大きくすることができる。
【0024】
なお、環状支持部14のテーパ面14aの、すり鉢状部分13からの立ち上がり角度Aは40°〜80°であり、すり鉢状部分13の角度Bは水平方向に対して3°〜20°である(図2(a)参照)。
【0025】
また、環状支持部14には、ステム11の首部12の二箇所に形成された放出用孔部12aに連通する横通路14cが形成されている。したがって環状空間域14bは、横通路14c,放出用孔部12aを介して常時、放出用縦通路11aに連通している。
【0026】
放出用孔部12aは、
・ステム12の外側から放出用縦通路11aの方に進むにしたがって上下方向に狭くなり、
・放出用縦通路11aの内周面に設けられたリブ11bによって周方向にも狭くなるように、
形成されており、下流側に行くほどその断面積を小さくした、いわゆる先細の態様である(図3参照)。
【0027】
以下、作動モードにおいて、例えばステム11の傾動方向が放出用孔部12aからずれている場合の内容物の流れについて説明する。
【0028】
図1に示すように、ステム11を傾動すると、すり鉢状部分13の肩部13bがステムラバー31から離れて通路13cが形成される。
【0029】
これにより、容器本体(図示省略)の内容物は、吸上管35−ハウジング32−通路13c−環状隙間13a−環状空間域14b−横通路14c−放出用孔部12a−放出用縦通路11aに流入し、外部空間に放出される。
【0030】
図2(a)に示すように、本発明の内容物放出機構1には、環状支持部14にテーパ面14aを形成することによって環状空間域14bが確保されているので、図2(b)の従来例に比べて内容物放出用の補助ルートの断面積が大きい。
【0031】
したがって、ステム11の傾動方向が放出用孔部12aからずれている場合にも、内容物はこの広い環状空間域14bを通過することができ、内容物放出開始時の応答性がよい。
【0032】
また図3に示すように、放出用孔部12aの断面積は下流側に行くほど小さくなっているので、内容物は放出用縦通路11aに送出される際に加速され、ステム11を傾動操作してから内容物が放出されるまでの時間差をより少ないものにしている。
【0033】
なお、本発明の内容物放出機構は、
・上下方向に直線移動する押釦形式の操作部材
・直線移動と傾動との機能を備えた操作部材
なども対象とすることができる。
【0034】
本発明が適用される製品としては、染毛剤,育毛剤,脱色剤,化粧品,シェービングフォーム,ヘアスタイリングフォーム,医薬品,外用薬,医薬部外品,コンタクトレンズ用品,液滴状のもの(ビタミンなど),塗料園芸用剤,殺虫剤,クリーナー,消臭剤,ウレタンフォーム,消火剤,潤滑剤,洗浄剤,清掃剤,制汗剤,忌避剤(殺虫剤),洗濯のりなどの各種用途のものがある。
【0035】
また、本発明の内容物放出機構の内容物には、液状,ペースト状,ジェル状,泡状,粉状などの各種性状のものがあり、染料,脱色剤,アルカリ剤,金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えばパラフェニレンジアミン,アンモニア,過酸化水素,タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などである。また、安定剤,PH調整剤,紫外線吸収剤,油性原料,界面活性剤,保湿剤,高分子化合物,酸化防止剤,金属イオン封鎖剤なども用いる。
【0036】
エアゾール式製品の放出用ガスには、LPG,ジメチルエーテル,フルオロカーボン,炭酸ガス,窒素ガス,圧縮空気,酸素ガス,希ガス,これらの混合ガスなどを用いる。
【0037】
【発明の効果】
本発明は、このように、ステムラバーを支持する周方向段部の側面部分の下端側が内側に入り込んだ態様として、放出用孔部につながる周方向空間域を確保しているので、ステムの放出操作を行った際に内容物は当該周方向空間域を通過することができ、放出開始時の応答性の改善を図ることができる。
【0038】
また、周方向段部の側面部分をテーパ状にしているので、内容物を孔部に円滑に送出することができ、放出開始時の応答性の一層の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、内容物放出用の補助ルートの断面積を大きく確保したティルト式内容物放出機構の作動モードを示す説明図でる。
【図2】本発明と従来例の、ステム傾動開始時における補助ルートのないの流れを比較した説明図であり、(a)は本発明の内容物の流れ、(b)は従来例の内容物の流れをそれぞれ示している。
【図3】本発明の、内容物放出機構のステムの放出用孔部部分の詳細図を示している。
【図4】従来の、ティルト式内容物放出機構の静止モードを示す説明図である。
【図5】本発明の、ティルト式内容物放出機構の作動モードを示す説明図である。
【符号の説明】
1:ティルト式内容物放出機構
11:ステム
11a:放出用縦通路
11b:リブ
12:首部
12a:放出用孔部
13:すり鉢状部分
13a:環状隙間
13b:肩部
13c:通路
14:環状支持部
14a:テーパ面
14b:環状空間域
14c:横通路
31:ステムラバー
31a:内側部分
32:ハウジング
33:スプリング
34:マウンテンカップ
35:吸上管
Aはテーパ面14aのすり鉢状部分13からの立ち上がり角度
Bは水平方向に対するすり鉢状部分13の角度
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステムに対する放出操作から内容物が放出するまでの時間差が少ない、いわゆる応答性の良い内容物放出機構、およびこの内容物放出機構を備えたエアゾール式製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4および図5は従来の内容物放出機構の説明図であり、図4は静止モード、図5は作動モードをそれぞれ示している。
【0003】
これらの図において、20はティルト式の内容物放出機構、21はステム,21aは放出用縦通路,21cはすり鉢状部分,21dは当該すり鉢状部分に形成されて垂直方向の側面を有する環状段部,21eは当該環状段部の側面部分に形成される環状隙間,21gはすり鉢状部分21cの外縁側の肩部,21hは作動モードのときに当該肩部と後述のステムラバー31との間に生成されて環状隙間21eに連通する通路,21jは環状段部21dの対向する位置2箇所に形成されて放出用縦通路21aに連通する横通路,
31はステムラバー,31aは当該ステムラバーの内側部分,
32はハウジング,
33はステムを上方向に付勢するスプリング,
34はマウンテンカップ,
35は吸上管,
をそれぞれ示している。
【0004】
図4に示すように、ステム21には、ステムラバー31の内側部分31aの底面側を支持する環状段部21dが設けられている。
【0005】
そして静止モードのとき、この環状段部21dによって支持されたステムラバー31と、ステム21のすり鉢状部分21cとの間には横通路21jに連通する環状隙間21eが形成されている。
【0006】
ステム21を傾動させた作動モードでは、図5に示すように当該ステムの肩部21gがステムラバー31から離れて通路21hが形成され、当該通路は環状隙間21eに連通する。
【0007】
それは、環状段部21dがステムラバー31の内側部分31aを上方向に支え、ステム21の傾動にともなって下方に撓むかたちとなる当該内側部分の変形を抑制して環状隙間21eが閉塞されないように作用するからである。
【0008】
そして容器本体(図示省略)の内容物は、吸上管35−ハウジング32−通路21h−環状隙間21e−横通路21j−放出用縦通路21aの経路(後述の補助ルート)によっても外部空間に放出される(例えば特許文献1および特許文献2参照)。
【0009】
なお、作動モード設定時におけるステム21の傾動方向は利用者の操作によって任意に決められる。
【0010】
そのため、対向位置にある二つの横通路21jの延長線上のステムラバー31部分が作動モードにおいて、ともにすり鉢状部分21cから離れた開状態となる確率よりも、二つの当該横通路の一方のみが開状態となる確率のほうが大きい。
【0011】
また、それ以上にステムの傾動方向が二つの横通路21jの延長線からずれている可能性がきわめて高い。この場合、利用者の傾動操作に基づく傾動方向のステムラバー部分が先ず開いてから、横通路が上記開状態となるまでには所定の時間差が生じる。
【0012】
上述の環状隙間21eを介した経路は、このような、二つの横通路21jの一方のみが上記開状態となったときの他方の横通路への内容物の移動ルートや、ステムラバー部分の一部がすり鉢状部分21cから離れてはいるものの当該横通路の延長線上のステムラバー部分がまだ上記開状態となっていないときの双方の当該横通路への内容物の移動ルートを形成している。
【0013】
すなわち、この環状隙間経路は内容物放出用のいわば補助ルートであって、これにより放出動作開始時のレスポンスを高めている。放出動作の定常状態におけるメインルートは、ステムラバー31とすり鉢状部分21cの肩部21gとの間の開空間域から、上記開状態の横通路21jへと直接向かう経路である。
【0014】
【特許文献1】
実公平5−38844号公報
【特許文献2】
特開2001−170524号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
このように上述のティルト式内容物放出機構は、ステムラバーを上方向に支える環状段部を設け、静止モードにおいても放出用孔部(横通路)につながる内容物通過用の環状隙間が形成されるようにしているので、作動モードへの移行時にはこの環状隙間を介した補助ルートにより内容物が応答性良く放出されるものとなっている。
【0016】
本発明は、この内容物放出用の補助ルートの作用をより有効なものとして、放出動作開始時の応答性のいっそうの改善を図ることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明はこの課題を次のようにして解決する。
(1)外部空間と容器本体側とを連通させるための孔部(例えば後述の放出用孔部12a)を持つステム(例えば後述のステム11)と、当該孔部に対するステムラバー(例えば後述のステムラバー31)とを少なくとも備え、当該孔部の外側に、前記ステムラバーを支持するための周方向段部(例えば後述の環状支持部14)およびその外方に広がる形の環状鍔部(例えば後述のすり鉢状部分13)を設け、静止モード時には当該ステムラバーがその一周にわたって当該環状鍔部と接することにより前記連通状態を阻止するようにした内容物放出機構において、前記周方向段部の側面部分をその下端側が内側に入り込んだ態様(例えば後述のテーパ面14a)で形成して、当該側面部分と前記環状鍔部との間に、凹み状で前記孔部に通じる周方向空間域(例えば後述の環状空間域14b)を確保する。
(2)上記(1)において、前記周方向段部の側面部分をテーパ状(例えば後述のテーパ面14a)にする。
【0018】
本発明によれば、ステムラバーを支持する周方向段部の側面部分の下端側が内側に入り込んだ態様、例えばテーパ状にして、放出用孔部につながる周方向空間域を確保している。これにより、ステムの放出操作を行った際に内容物は確実に当該周方向空間域に流入し、内容物放出開始時の応答性の改善を図っている。
【0019】
本発明は、以上の特徴を持つ内容物放出機構を対象とするとともに、この内容物放出機構を備えたエアゾール式製品も対象にしている。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1乃至図3を用いて、本発明の実施の形態を説明する。
図1は内容物放出用の補助ルートの断面積を大きく確保したティルト式内容物放出機構の作動モードを示す説明図である。図2は本発明と従来例の、ステム傾動開始時における補助ルートの内容物の流れを比較した説明図であり、(a)は本発明の内容物の流れ、(b)は従来例の内容物の流れをそれぞれ示している。図3は、図1の内容物放出機構のステムの放出用孔部部分の詳細図を示している。
【0021】
これらの図において、
1はティルト式内容物放出機構,
11はステム,11aは放出用縦通路,11bは後述の放出用孔部12aの周方向の幅を狭めるように設けたリブ,12は静止モードでステムラバー31が密着する首部,12aは当該首部の対向する位置二箇所に形成された放出用孔部,13は当該ステムの一部であり下方に形成されたすり鉢状部分,13aは当該すり鉢状部分とステムラバー31との環状隙間,13bは当該すり鉢状部分の外縁の肩部,13cは作動モードのときに当該肩部とステムラバー31との間に生成されて環状隙間13aと連通する通路,14は断面が逆ハの字状でステムラバー31の内側部分31aを支えるための環状支持部,14aは当該環状支持部の側面であって内側に入り込むように形成されたテーパ面,14bは当該テーパ面によって確保される環状空間域,14cは当該環状支持部に形成されて放出用孔部12aに続く横通路,
Aはテーパ面14aのすり鉢状部分13からの立ち上がり角度,
Bは水平方向に対するすり鉢状部分13の角度,
をそれぞれ示している。なお、その他の構成要素は従来例と同様であり、同一の参照番号を用いて説明する。
【0022】
内容物放出機構1は、ステム11の傾動方向が放出用孔部12aからずれている場合に当該内容物放出用孔部に連通する補助ルートの断面積を大きく設定して内容物放出開始時の応答性を良くしたものである。
【0023】
図1乃至図3に示すように、内容物放出機構1の環状支持部14は、側面が内側に入り込んでテーパ面14aを形成する態様である。これにより、テーパ面14aとすり鉢状部分13との間に環状空間域14bが確保され、前述の補助ルートの断面積を大きくすることができる。
【0024】
なお、環状支持部14のテーパ面14aの、すり鉢状部分13からの立ち上がり角度Aは40°〜80°であり、すり鉢状部分13の角度Bは水平方向に対して3°〜20°である(図2(a)参照)。
【0025】
また、環状支持部14には、ステム11の首部12の二箇所に形成された放出用孔部12aに連通する横通路14cが形成されている。したがって環状空間域14bは、横通路14c,放出用孔部12aを介して常時、放出用縦通路11aに連通している。
【0026】
放出用孔部12aは、
・ステム12の外側から放出用縦通路11aの方に進むにしたがって上下方向に狭くなり、
・放出用縦通路11aの内周面に設けられたリブ11bによって周方向にも狭くなるように、
形成されており、下流側に行くほどその断面積を小さくした、いわゆる先細の態様である(図3参照)。
【0027】
以下、作動モードにおいて、例えばステム11の傾動方向が放出用孔部12aからずれている場合の内容物の流れについて説明する。
【0028】
図1に示すように、ステム11を傾動すると、すり鉢状部分13の肩部13bがステムラバー31から離れて通路13cが形成される。
【0029】
これにより、容器本体(図示省略)の内容物は、吸上管35−ハウジング32−通路13c−環状隙間13a−環状空間域14b−横通路14c−放出用孔部12a−放出用縦通路11aに流入し、外部空間に放出される。
【0030】
図2(a)に示すように、本発明の内容物放出機構1には、環状支持部14にテーパ面14aを形成することによって環状空間域14bが確保されているので、図2(b)の従来例に比べて内容物放出用の補助ルートの断面積が大きい。
【0031】
したがって、ステム11の傾動方向が放出用孔部12aからずれている場合にも、内容物はこの広い環状空間域14bを通過することができ、内容物放出開始時の応答性がよい。
【0032】
また図3に示すように、放出用孔部12aの断面積は下流側に行くほど小さくなっているので、内容物は放出用縦通路11aに送出される際に加速され、ステム11を傾動操作してから内容物が放出されるまでの時間差をより少ないものにしている。
【0033】
なお、本発明の内容物放出機構は、
・上下方向に直線移動する押釦形式の操作部材
・直線移動と傾動との機能を備えた操作部材
なども対象とすることができる。
【0034】
本発明が適用される製品としては、染毛剤,育毛剤,脱色剤,化粧品,シェービングフォーム,ヘアスタイリングフォーム,医薬品,外用薬,医薬部外品,コンタクトレンズ用品,液滴状のもの(ビタミンなど),塗料園芸用剤,殺虫剤,クリーナー,消臭剤,ウレタンフォーム,消火剤,潤滑剤,洗浄剤,清掃剤,制汗剤,忌避剤(殺虫剤),洗濯のりなどの各種用途のものがある。
【0035】
また、本発明の内容物放出機構の内容物には、液状,ペースト状,ジェル状,泡状,粉状などの各種性状のものがあり、染料,脱色剤,アルカリ剤,金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えばパラフェニレンジアミン,アンモニア,過酸化水素,タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などである。また、安定剤,PH調整剤,紫外線吸収剤,油性原料,界面活性剤,保湿剤,高分子化合物,酸化防止剤,金属イオン封鎖剤なども用いる。
【0036】
エアゾール式製品の放出用ガスには、LPG,ジメチルエーテル,フルオロカーボン,炭酸ガス,窒素ガス,圧縮空気,酸素ガス,希ガス,これらの混合ガスなどを用いる。
【0037】
【発明の効果】
本発明は、このように、ステムラバーを支持する周方向段部の側面部分の下端側が内側に入り込んだ態様として、放出用孔部につながる周方向空間域を確保しているので、ステムの放出操作を行った際に内容物は当該周方向空間域を通過することができ、放出開始時の応答性の改善を図ることができる。
【0038】
また、周方向段部の側面部分をテーパ状にしているので、内容物を孔部に円滑に送出することができ、放出開始時の応答性の一層の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、内容物放出用の補助ルートの断面積を大きく確保したティルト式内容物放出機構の作動モードを示す説明図でる。
【図2】本発明と従来例の、ステム傾動開始時における補助ルートのないの流れを比較した説明図であり、(a)は本発明の内容物の流れ、(b)は従来例の内容物の流れをそれぞれ示している。
【図3】本発明の、内容物放出機構のステムの放出用孔部部分の詳細図を示している。
【図4】従来の、ティルト式内容物放出機構の静止モードを示す説明図である。
【図5】本発明の、ティルト式内容物放出機構の作動モードを示す説明図である。
【符号の説明】
1:ティルト式内容物放出機構
11:ステム
11a:放出用縦通路
11b:リブ
12:首部
12a:放出用孔部
13:すり鉢状部分
13a:環状隙間
13b:肩部
13c:通路
14:環状支持部
14a:テーパ面
14b:環状空間域
14c:横通路
31:ステムラバー
31a:内側部分
32:ハウジング
33:スプリング
34:マウンテンカップ
35:吸上管
Aはテーパ面14aのすり鉢状部分13からの立ち上がり角度
Bは水平方向に対するすり鉢状部分13の角度
Claims (3)
- 外部空間と容器本体側とを連通させるための孔部を持つステムと、当該孔部に対するステムラバーとを少なくとも備え、当該孔部の外側に、前記ステムラバーを支持するための周方向段部およびその外方に広がる形の環状鍔部を設け、静止モード時には当該ステムラバーがその一周にわたって当該環状鍔部と接することにより前記連通状態を阻止するようにした内容物放出機構において、
前記周方向段部の側面部分をその下端側が内側に入り込んだ態様で形成して、当該側面部分と前記環状鍔部との間に、凹み状で前記孔部に通じる周方向空間域を確保した、
ことを特徴とする内容物放出機構。 - 前記周方向段部の側面部分をテーパ状にした、
ことを特徴とする請求項1記載の内容物放出機構。 - 請求項1および2記載の内容物放出機構を備え、かつ、放出用ガスおよび内容物を収容したエアゾール式製品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003059431A JP2004268943A (ja) | 2003-03-06 | 2003-03-06 | 内容物放出機構およびエアゾール製品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003059431A JP2004268943A (ja) | 2003-03-06 | 2003-03-06 | 内容物放出機構およびエアゾール製品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004268943A true JP2004268943A (ja) | 2004-09-30 |
Family
ID=33122244
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003059431A Pending JP2004268943A (ja) | 2003-03-06 | 2003-03-06 | 内容物放出機構およびエアゾール製品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004268943A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009227286A (ja) * | 2008-03-19 | 2009-10-08 | Mitani Valve Co Ltd | エアゾール容器および該エアゾール容器を用いたエアゾール製品 |
-
2003
- 2003-03-06 JP JP2003059431A patent/JP2004268943A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009227286A (ja) * | 2008-03-19 | 2009-10-08 | Mitani Valve Co Ltd | エアゾール容器および該エアゾール容器を用いたエアゾール製品 |
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