JP2004268540A5 - - Google Patents
Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004268540A5 JP2004268540A5 JP2003066014A JP2003066014A JP2004268540A5 JP 2004268540 A5 JP2004268540 A5 JP 2004268540A5 JP 2003066014 A JP2003066014 A JP 2003066014A JP 2003066014 A JP2003066014 A JP 2003066014A JP 2004268540 A5 JP2004268540 A5 JP 2004268540A5
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- seat
- polyurethane foam
- subjected
- film removal
- cushioning material
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Description
【書類名】 明細書
【発明の名称】 座席用緩衝材
【特許請求の範囲】
【請求項1】 除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体の裏面に樹脂が散点状に付着してなることを特徴とする座席用緩衝材。
【請求項2】 前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体は、厚み10mmにおける通気量が200〜380ml/cm2/secであることを特徴とする請求項1に記載の座席用緩衝材。
【請求項3】 前記樹脂は付着点での大きさが0.3〜1.5mmの範囲にあり、隣り合う前記付着点の中心間隔dが0.4〜4.0mmの範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の座席用緩衝材。
【請求項4】 前記樹脂は、一液性ポリウレタン接着剤の硬化物からなることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の座席用緩衝材。
【請求項5】 前記樹脂は、一液性ポリウレタン接着剤がスライドコータにより散点状に塗布されて硬化したものであることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の座席用緩衝材。
【請求項6】 前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体の表面に表面材を備えることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の座席用緩衝材。
【請求項7】 前記座席用緩衝材が、縫製によりクッションパッドを覆う形状に賦形されたものであることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の座席用緩衝材。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調可能な座席(座部用、背もたれ用の両方を含む。)のクッションパッドに被着されるのに好適な座席用緩衝材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の座席等においては、温度調節された空気をクッションパッド内に導入してクッションパッドの表面から座席表皮材を通して吹き出すようにされた空調可能なものがある(特許文献1参照。)。前記空調可能なクッションパッド等に被着される座席表皮材は、温調空気が通りやすいように通気性の高いものが好ましい。
【0003】
従来、座席表皮材として用いられている座席用緩衝材には、(1)通常の軟質ポリウレタン発泡体の表面にファブリック等からなる表面材が溶着されたラミネートタイプのもの、(2)通常の軟質ポリウレタン発泡体の表面に本革からなる表面材が非接着で積層されたカバータイプのものが知られている。また、座席用緩衝材として、通常の軟質ポリウレタン発泡体等からなる通気性シート材の裏面にホットメルト接着剤を散点状に塗布して硬化させ、前記散点状の接着剤間に空間を残すことによってクッションパッドと座席用緩衝材間の通気性を高めたものがある(特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−327362号公報
【特許文献2】
特開2000−107471号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の座席用緩衝材は、温調空気で温調されるタイプのクッションパッドに用いられる場合、通気性が十分なものとは言い難く、前記クッションパッド側から吹き込まれた温調空気が緩衝材内を通って緩衝材表面から吹き出すことによる座席表面の温調を、効率的に実現しにくい問題がある。
【0006】
また、前記座席用緩衝材は、ラミネートタイプ及びカバータイプ何れの場合にも、複数の裁断片を縫製によってクッションパッドを覆う形状に賦形されることが多い。前記縫製は、縫製機械上で前記座席用緩衝材を滑らせながら行うため、前記座席用緩衝材に滑り性が求められる。さらに、縫製後の座席用緩衝材は、クッションパッドへの被着作業においても、裏面の滑り性が求められる。ところが、前記座席用緩衝材の裏側を構成する軟質ポリウレタン発泡体は、摩擦抵抗が大きく、そのままでは前記座席用緩衝材の縫製作業やクッションパッドへの被着作業が行い難い問題がある。しかもその滑りの問題を解消するために前記軟質ポリウレタン発泡体の裏面に不織布やフィルムを接着すると、それによって、通気性が損なわれるようになる。なお、前記接着剤を通常の軟質ポリウレタン発泡体の裏面に散点状に設けた場合にあっては、軟質ポリウレタン発泡体とクッションパッドとの接触面積が少なくなるため、前記滑りの問題を改善することができる。
【0007】
本発明は前記の点に鑑みなされたもので、通気性が高く、温調空気により座席表面の温調が可能なクッションパッドに被着された場合に温調空気が通り易く、座席表面の温調を効率よく行うことができ、しかもクッションパッドへの被着時や縫製時に裏面の滑りが良好で作業性が良好な座席用緩衝材を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体の裏面に樹脂が散点状に付着してなることを特徴とする座席用緩衝材に係る。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体は、厚み10mmにおける通気量が200〜380ml/cm2/secであることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記樹脂は付着点での大きさが0.3〜1.5mmの範囲にあり、隣り合う前記付着点の中心間隔dが0.4〜4.0mmの範囲にあることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1から3の何れか一項において、前記樹脂が、一液性ポリウレタン接着剤の硬化物からなることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1から3の何れか一項において、前記樹脂を、一液性ポリウレタン接着剤がスライドコータにより散点状に塗布されて硬化したもので構成したことを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1から5の何れか一項において、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体の表面に表面材を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1から6の何れか一項において、前記座席用緩衝材が、縫製によりクッションパッドを覆う形状に賦形されたものであることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施例に係る座席用緩衝材の断面図、図2は図1の座席用緩衝材における裏面の一部を示す図、図3は塗布装置の概略を示す図、図4は図1の座席用緩衝材をクッションパッドに被着した座席の断面図である。
【0016】
図1及び図2に示す座席用緩衝材10は、除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11と、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12に付着した樹脂21と、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の表面13に積層された表面材31とよりなる。
【0017】
前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11は、気泡膜(セル膜とも称される)が除去された三次元網状骨格からなる公知の軟質ポリウレタン発泡体であり、通気性に優れる。前記除膜処理としては、公知の爆発処理あるいは溶剤処理等が挙げられる。前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11は、厚み10mmのものに対してJIS L 1096に準じて測定された通気性が、200〜380ml/cm2/secであるのが好ましい。200ml/cm2/secよりも低いと、温調空気により座席表面の温調が可能なクッションパッドに、前記座席用緩衝材10を被着して使用した際、前記座席用緩衝材10を温調空気が通過し難く、座席表面の温調効率に劣るようになる。それに対して、380ml/cm2/secよりも高いと、クッションパッド側から前記座席用緩衝材10の裏面側へ供給された温調用空気が直ちに前記座席用緩衝材10を通過して座席表面へ抜け易くなり、前記座席用緩衝材10内全体に拡散した後に座席用緩衝材10の表面全体から吹き出すようにし難くなり、座席表面全体を効率よく温調し難くなる。
【0018】
前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の厚みは、前記座席用緩衝材10が被着されるクッションパッドの形状等に応じて適宜とされる。通常、5〜15mmの範囲とされる。
【0019】
前記樹脂21は、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12に散点状に小塊形状で付着している。前記樹脂21は、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12に塗布可能なものであって、塗布後に硬化可能な樹脂が好適である。かかる樹脂として、特に一液性ポリウレタン接着剤の硬化したものが好ましい。一液性ポリウレタン接着剤は、水又は空気中の水分と反応して硬化するもので、湿分硬化性ポリウレタン接着剤とも称され、末端にイソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーが多用される。また、一液性ポリウレタン接着剤には有機金属触媒やアミン触媒等が含まれていてもよい。前記一液性ポリウレタン接着剤は、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12に散点状に塗布され、その後、空気中の水分で反応硬化し、あるいは前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12に吹き付けられた水蒸気により反応硬化し、前記樹脂21になる。このように、前記一液性ポリウレタン接着剤を用いると、反応硬化作業が簡単になり、前記樹脂21を容易に前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12に形成することができる。
【0020】
前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12への一液性ポリウレタン接着剤の塗布は、公知のスライドコータによるのが好ましい。図3に、スライドコータによる塗布の例を示す。まず、タンク等の容器53に収容された一液性ポリウレタン接着剤22をポンプPによってTダイ52に供給し、他方、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11を回転ロール51によって所要速度で連続的に一方向へ供給し、前記連続供給中の前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12に対してギャップを設けて(離して)位置させた前記Tダイ52の先端から、前記一液性ポリウレタン接着剤22を前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12に塗布して散点状に付着させ、その付着後の前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11をさらに前方へ送って、前記散点状に付着した一液性ポリウレタン接着剤22を空気中の水分により、あるいは水蒸気により硬化させる。前記水蒸気により硬化させる場合、前記一液性ポリウレタン接着剤22の付着後、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12に水蒸気を吹き付け、その後に乾燥させて余分な水分を除去することが行われる。
【0021】
前記スライドコータによれば、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の移動速度(供給速度)、前記Tダイ52からの吐出量(塗布量)、前記Tダイ52の先端と前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12間の距離(ギャップ)を変化させることにより、前記一液性ポリウレタン接着剤22の塗布パターン(散点状のドット間隔等)を所望のものにすることができる。例えば、前記回転ロール51の速度が速く、かつ前記一液性ポリウレタン接着剤22の塗布量が少なく、さらに前記ギャップが大であれば、前記一液性ポリウレタン接着剤22が散点状に付着して硬化した樹脂21における隣り合う付着点21a,21aの中心間隔dが大きくなって、付着樹脂の存在しない非塗布面積が大きい、まばらな散点状となる。それに対し、前記回転ロール51の速度が遅く、かつ前記塗布量が多く、前記ギャップが小であれば、前記隣り合う付着点21a,21aの中心間隔dが小さくなって、前記非塗布面積が小さくなる。
【0022】
前記樹脂21どうしにおける隣り合う付着点21a,21aの中心間隔dは、0.4〜4.0mmの範囲が、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面における滑り及び通気性を損ない難い点で好ましい。前記0.4mmよりも小さいと、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12で前記樹脂21が密に存在することになって、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の通気抵抗が大きくなりすぎるようになる。それに対し、4.0mmより大きいと、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12における滑り易さが十分ではなく、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の縫製時における縫製機械上の滑り性や、クッションパッドへの被着作業時の滑り性に劣るようになる。
【0023】
また、前記樹脂21の付着点での大きさは0.3〜1.5mmの範囲が好ましい。0.3mmより小さいと、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12の滑り性が十分ではなくなり、それに対して1.5mmより大きいと、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の通気抵抗が大きくなりすぎる。
【0024】
前記表面材31は、前記座席用緩衝材10の表面保護や装飾性向上等のために前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の表面13に設けられ、通気性を有するもので構成される。前記表面材31の具体的な材質としては、各種織物、編物、毛織物、天然皮革に微細な貫通孔が形成されたもの等を挙げることができる。また、前記表面材31は、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の表面の通気性を損なわないように、縫合あるいは散点状に塗布された接着剤による部分的な接着等により行われるのが好ましい。
【0025】
前記構成の座席用緩衝材10は、所要サイズからなる複数の裁断片とされて、縫製により座席用クッションパッドを覆う形状にされる。図4は、前記座席用緩衝材10を縫製により所要形状にして座席用クッションパッド41の表面に被着したクッション体40の例である。前記クッションパッド41は、着座部用のものであり、モールド成形されたポリウレタン発泡体など、所要形状に形成された弾性体で構成される。前記クッションパッド41には表裏面を貫通する温調空気導入孔43が形成され、裏面側の一端が温調空気供給口44、表面側の一端が温調空気吹き出し口45とされる。前記温調空気吹き出し口45を、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12で覆うようにして、前記座席用緩衝材10が前記クッションパッド41の表面に被着されている。前記被着作業時、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12には散点状に付着した樹脂21が存在するため、前記クッションパッド40の表面と前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12との接触面積が小さくなって、前記座席用緩衝材10の滑りが良好となり、前記被着作業を良好に行うことができる。
【0026】
前記クッションパッド41における温調空気導入孔43の温調空気供給口44には、温調空気供給装置が接続される。そして、前記温調空気供給口44から温調空気が前記温調空気導入孔43に導入され、前記温調空気吹き出し口45から、前記座席用緩衝材10における除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12に向けて吹き出される。前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12に向けて吹き出された温調空気は、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11内を通り、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11を経て前記座席用緩衝材10の表面から吹き出され、座席表面の温調が行われる。
【0027】
なお、図示の例は着座部用のクッション体40であるが、本発明は、座席の背もたれ用のクッション体にも適用される。
【0028】
表1に本発明の座席用緩衝材における実施例1及び2、参考のための比較例1及び2について、構成、除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体の通気量、裏面に対する摩擦力の測定値等を示す。通気量はJIS−L−1096、静摩擦力及び動摩擦力はJIS K7125−1999にしたがい測定した。なお、比較例の摩擦力は、一方向について測定した。
【0029】
【表1】
【0030】
実施例1及び比較例1には除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体として、商品名:WF−17、イノアックコーポレーション製(厚み10mmの通気量が210ml/cm2/sec)を、実施例2には除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体として、商品名:WF−18、イノアックコーポレーション製(厚み10mmの通気量が370ml/cm2/sec)を、また比較例2には除膜処理が行われていない軟質ポリウレタン発泡体(商品名:UEI−3、イノアックコーポレーション製、厚み10mmの通気量が80ml/cm2/sec)を、それぞれ厚み10mmにして用いた。また、前記実施例1及び2における除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体の裏面には、一液性ポリウレタン接着剤(商品名:ハイボンYR067−1、日立化成ポリマー製)をスライドコータにより散点状に塗布して付着硬化させた樹脂を設けた。付着硬化した樹脂の付着点における大きさは、実施例1で0.3〜0.6mm、実施例2で0.8〜1.2mm、また隣り合う付着点の中心間距離は、実施例1で2.5〜3.5mm、実施例2で0.6〜1.5mmである。さらに、実施例1,2及び比較例1では除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体の表面に、また比較例2においては除膜処理のされていない軟質ポリウレタン発泡体の表面に、それぞれ天然皮革(微細な貫通孔が形成されている)からなる表面材を縫製により積層した。
【0031】
表1の測定結果に示すように、実施例1及び実施例2では、いずれも座席用緩衝材の裏面の摩擦力が、比較例1及び比較例2と比べて小さく、縫製作業やクッションパッドへの被着作業性が良好であるのがわかる。
【0032】
また、モールド成形され、前記温調空気導入孔が中央位置の表裏面間に貫通形成された密度0.060g/cm3のポリウレタン発泡体からなるクッションパッドを用意し、前記クッションパッドの表面に、前記各実施例及び各比較例の座席用緩衝材を縫製によって所要形状としたものを被せ、さらに前記クッションパッドの温調空気導入孔に温風を供給し、線香の煙を座席用緩衝材の表面に近づけて、線香の煙の動きにより、座席用緩衝材の表面からの温風の吹き出し具合について調べた。その結果、実施例1、実施例2及び比較例1では、座席用緩衝材の表面ほぼ全体から温風が吹き出しているのを確認できたのに対し、比較例2では表面から温風がほとんど吹き出していなかった。
【0033】
【発明の効果】
以上図示し説明したように、本発明によれば、座席用緩衝材は、除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体の裏面に樹脂が散点状に付着しているため、裁断作業やクッションパッドへの被着作業に求められる滑りが良好で、作業性に優れる。しかも、温調空気により座席表面の温調が可能とされるクッションパッドに被着されて使用される場合、温風が座席用緩衝材の表面から良好に吹き出し、温調効率に優れる。
【0034】
さらに、本発明において、前記除膜処理されたポリウレタン発泡体を、厚み10mmにおける通気量が200〜380ml/cm2/secの範囲となるようにすれば、前記温風による温調タイプのクッションパッドに被着されて使用される場合に、より効率のよい温調が可能になる。
【0035】
また、本発明において、前記除膜処理されたポリウレタン発泡体の裏面に付着した樹脂を、付着点での大きさが0.3〜1.5mmの範囲、隣り合う付着点の中心間隔dが0.4〜4.0mmの範囲となるようにすれば、前記縫製作業や被着作業性における滑り性と温風による温調タイプのクッションパッドに被着された場合における通気性の両方を好ましいものにできる。
【0036】
さらに、本発明において、前記除膜処理されたポリウレタン発泡体の裏面に付着した樹脂を、一液性ポリウレタン接着剤の硬化物とすれば、樹脂の付着形成作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施例に係る座席用緩衝材の断面図である。
【図2】
図1の座席用緩衝材における裏面の一部を示す図である。
【図3】
塗布装置の概略を示す図である。
【図4】
図1の座席用緩衝材をクッションパッドに被着した座席の断面図である。
【符号の説明】
10 座席用緩衝材
11 除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体
12 除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体の裏面
21 樹脂
31 表面材
41 クッションパッド
d 隣り合う付着点の中心間距離
【発明の名称】 座席用緩衝材
【特許請求の範囲】
【請求項1】 除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体の裏面に樹脂が散点状に付着してなることを特徴とする座席用緩衝材。
【請求項2】 前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体は、厚み10mmにおける通気量が200〜380ml/cm2/secであることを特徴とする請求項1に記載の座席用緩衝材。
【請求項3】 前記樹脂は付着点での大きさが0.3〜1.5mmの範囲にあり、隣り合う前記付着点の中心間隔dが0.4〜4.0mmの範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の座席用緩衝材。
【請求項4】 前記樹脂は、一液性ポリウレタン接着剤の硬化物からなることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の座席用緩衝材。
【請求項5】 前記樹脂は、一液性ポリウレタン接着剤がスライドコータにより散点状に塗布されて硬化したものであることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の座席用緩衝材。
【請求項6】 前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体の表面に表面材を備えることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の座席用緩衝材。
【請求項7】 前記座席用緩衝材が、縫製によりクッションパッドを覆う形状に賦形されたものであることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の座席用緩衝材。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調可能な座席(座部用、背もたれ用の両方を含む。)のクッションパッドに被着されるのに好適な座席用緩衝材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の座席等においては、温度調節された空気をクッションパッド内に導入してクッションパッドの表面から座席表皮材を通して吹き出すようにされた空調可能なものがある(特許文献1参照。)。前記空調可能なクッションパッド等に被着される座席表皮材は、温調空気が通りやすいように通気性の高いものが好ましい。
【0003】
従来、座席表皮材として用いられている座席用緩衝材には、(1)通常の軟質ポリウレタン発泡体の表面にファブリック等からなる表面材が溶着されたラミネートタイプのもの、(2)通常の軟質ポリウレタン発泡体の表面に本革からなる表面材が非接着で積層されたカバータイプのものが知られている。また、座席用緩衝材として、通常の軟質ポリウレタン発泡体等からなる通気性シート材の裏面にホットメルト接着剤を散点状に塗布して硬化させ、前記散点状の接着剤間に空間を残すことによってクッションパッドと座席用緩衝材間の通気性を高めたものがある(特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−327362号公報
【特許文献2】
特開2000−107471号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の座席用緩衝材は、温調空気で温調されるタイプのクッションパッドに用いられる場合、通気性が十分なものとは言い難く、前記クッションパッド側から吹き込まれた温調空気が緩衝材内を通って緩衝材表面から吹き出すことによる座席表面の温調を、効率的に実現しにくい問題がある。
【0006】
また、前記座席用緩衝材は、ラミネートタイプ及びカバータイプ何れの場合にも、複数の裁断片を縫製によってクッションパッドを覆う形状に賦形されることが多い。前記縫製は、縫製機械上で前記座席用緩衝材を滑らせながら行うため、前記座席用緩衝材に滑り性が求められる。さらに、縫製後の座席用緩衝材は、クッションパッドへの被着作業においても、裏面の滑り性が求められる。ところが、前記座席用緩衝材の裏側を構成する軟質ポリウレタン発泡体は、摩擦抵抗が大きく、そのままでは前記座席用緩衝材の縫製作業やクッションパッドへの被着作業が行い難い問題がある。しかもその滑りの問題を解消するために前記軟質ポリウレタン発泡体の裏面に不織布やフィルムを接着すると、それによって、通気性が損なわれるようになる。なお、前記接着剤を通常の軟質ポリウレタン発泡体の裏面に散点状に設けた場合にあっては、軟質ポリウレタン発泡体とクッションパッドとの接触面積が少なくなるため、前記滑りの問題を改善することができる。
【0007】
本発明は前記の点に鑑みなされたもので、通気性が高く、温調空気により座席表面の温調が可能なクッションパッドに被着された場合に温調空気が通り易く、座席表面の温調を効率よく行うことができ、しかもクッションパッドへの被着時や縫製時に裏面の滑りが良好で作業性が良好な座席用緩衝材を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体の裏面に樹脂が散点状に付着してなることを特徴とする座席用緩衝材に係る。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体は、厚み10mmにおける通気量が200〜380ml/cm2/secであることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記樹脂は付着点での大きさが0.3〜1.5mmの範囲にあり、隣り合う前記付着点の中心間隔dが0.4〜4.0mmの範囲にあることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1から3の何れか一項において、前記樹脂が、一液性ポリウレタン接着剤の硬化物からなることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1から3の何れか一項において、前記樹脂を、一液性ポリウレタン接着剤がスライドコータにより散点状に塗布されて硬化したもので構成したことを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1から5の何れか一項において、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体の表面に表面材を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1から6の何れか一項において、前記座席用緩衝材が、縫製によりクッションパッドを覆う形状に賦形されたものであることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施例に係る座席用緩衝材の断面図、図2は図1の座席用緩衝材における裏面の一部を示す図、図3は塗布装置の概略を示す図、図4は図1の座席用緩衝材をクッションパッドに被着した座席の断面図である。
【0016】
図1及び図2に示す座席用緩衝材10は、除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11と、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12に付着した樹脂21と、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の表面13に積層された表面材31とよりなる。
【0017】
前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11は、気泡膜(セル膜とも称される)が除去された三次元網状骨格からなる公知の軟質ポリウレタン発泡体であり、通気性に優れる。前記除膜処理としては、公知の爆発処理あるいは溶剤処理等が挙げられる。前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11は、厚み10mmのものに対してJIS L 1096に準じて測定された通気性が、200〜380ml/cm2/secであるのが好ましい。200ml/cm2/secよりも低いと、温調空気により座席表面の温調が可能なクッションパッドに、前記座席用緩衝材10を被着して使用した際、前記座席用緩衝材10を温調空気が通過し難く、座席表面の温調効率に劣るようになる。それに対して、380ml/cm2/secよりも高いと、クッションパッド側から前記座席用緩衝材10の裏面側へ供給された温調用空気が直ちに前記座席用緩衝材10を通過して座席表面へ抜け易くなり、前記座席用緩衝材10内全体に拡散した後に座席用緩衝材10の表面全体から吹き出すようにし難くなり、座席表面全体を効率よく温調し難くなる。
【0018】
前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の厚みは、前記座席用緩衝材10が被着されるクッションパッドの形状等に応じて適宜とされる。通常、5〜15mmの範囲とされる。
【0019】
前記樹脂21は、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12に散点状に小塊形状で付着している。前記樹脂21は、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12に塗布可能なものであって、塗布後に硬化可能な樹脂が好適である。かかる樹脂として、特に一液性ポリウレタン接着剤の硬化したものが好ましい。一液性ポリウレタン接着剤は、水又は空気中の水分と反応して硬化するもので、湿分硬化性ポリウレタン接着剤とも称され、末端にイソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーが多用される。また、一液性ポリウレタン接着剤には有機金属触媒やアミン触媒等が含まれていてもよい。前記一液性ポリウレタン接着剤は、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12に散点状に塗布され、その後、空気中の水分で反応硬化し、あるいは前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12に吹き付けられた水蒸気により反応硬化し、前記樹脂21になる。このように、前記一液性ポリウレタン接着剤を用いると、反応硬化作業が簡単になり、前記樹脂21を容易に前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12に形成することができる。
【0020】
前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12への一液性ポリウレタン接着剤の塗布は、公知のスライドコータによるのが好ましい。図3に、スライドコータによる塗布の例を示す。まず、タンク等の容器53に収容された一液性ポリウレタン接着剤22をポンプPによってTダイ52に供給し、他方、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11を回転ロール51によって所要速度で連続的に一方向へ供給し、前記連続供給中の前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12に対してギャップを設けて(離して)位置させた前記Tダイ52の先端から、前記一液性ポリウレタン接着剤22を前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12に塗布して散点状に付着させ、その付着後の前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11をさらに前方へ送って、前記散点状に付着した一液性ポリウレタン接着剤22を空気中の水分により、あるいは水蒸気により硬化させる。前記水蒸気により硬化させる場合、前記一液性ポリウレタン接着剤22の付着後、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12に水蒸気を吹き付け、その後に乾燥させて余分な水分を除去することが行われる。
【0021】
前記スライドコータによれば、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の移動速度(供給速度)、前記Tダイ52からの吐出量(塗布量)、前記Tダイ52の先端と前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12間の距離(ギャップ)を変化させることにより、前記一液性ポリウレタン接着剤22の塗布パターン(散点状のドット間隔等)を所望のものにすることができる。例えば、前記回転ロール51の速度が速く、かつ前記一液性ポリウレタン接着剤22の塗布量が少なく、さらに前記ギャップが大であれば、前記一液性ポリウレタン接着剤22が散点状に付着して硬化した樹脂21における隣り合う付着点21a,21aの中心間隔dが大きくなって、付着樹脂の存在しない非塗布面積が大きい、まばらな散点状となる。それに対し、前記回転ロール51の速度が遅く、かつ前記塗布量が多く、前記ギャップが小であれば、前記隣り合う付着点21a,21aの中心間隔dが小さくなって、前記非塗布面積が小さくなる。
【0022】
前記樹脂21どうしにおける隣り合う付着点21a,21aの中心間隔dは、0.4〜4.0mmの範囲が、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面における滑り及び通気性を損ない難い点で好ましい。前記0.4mmよりも小さいと、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12で前記樹脂21が密に存在することになって、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の通気抵抗が大きくなりすぎるようになる。それに対し、4.0mmより大きいと、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12における滑り易さが十分ではなく、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の縫製時における縫製機械上の滑り性や、クッションパッドへの被着作業時の滑り性に劣るようになる。
【0023】
また、前記樹脂21の付着点での大きさは0.3〜1.5mmの範囲が好ましい。0.3mmより小さいと、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12の滑り性が十分ではなくなり、それに対して1.5mmより大きいと、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の通気抵抗が大きくなりすぎる。
【0024】
前記表面材31は、前記座席用緩衝材10の表面保護や装飾性向上等のために前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の表面13に設けられ、通気性を有するもので構成される。前記表面材31の具体的な材質としては、各種織物、編物、毛織物、天然皮革に微細な貫通孔が形成されたもの等を挙げることができる。また、前記表面材31は、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の表面の通気性を損なわないように、縫合あるいは散点状に塗布された接着剤による部分的な接着等により行われるのが好ましい。
【0025】
前記構成の座席用緩衝材10は、所要サイズからなる複数の裁断片とされて、縫製により座席用クッションパッドを覆う形状にされる。図4は、前記座席用緩衝材10を縫製により所要形状にして座席用クッションパッド41の表面に被着したクッション体40の例である。前記クッションパッド41は、着座部用のものであり、モールド成形されたポリウレタン発泡体など、所要形状に形成された弾性体で構成される。前記クッションパッド41には表裏面を貫通する温調空気導入孔43が形成され、裏面側の一端が温調空気供給口44、表面側の一端が温調空気吹き出し口45とされる。前記温調空気吹き出し口45を、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12で覆うようにして、前記座席用緩衝材10が前記クッションパッド41の表面に被着されている。前記被着作業時、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12には散点状に付着した樹脂21が存在するため、前記クッションパッド40の表面と前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12との接触面積が小さくなって、前記座席用緩衝材10の滑りが良好となり、前記被着作業を良好に行うことができる。
【0026】
前記クッションパッド41における温調空気導入孔43の温調空気供給口44には、温調空気供給装置が接続される。そして、前記温調空気供給口44から温調空気が前記温調空気導入孔43に導入され、前記温調空気吹き出し口45から、前記座席用緩衝材10における除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12に向けて吹き出される。前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11の裏面12に向けて吹き出された温調空気は、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11内を通り、前記除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体11を経て前記座席用緩衝材10の表面から吹き出され、座席表面の温調が行われる。
【0027】
なお、図示の例は着座部用のクッション体40であるが、本発明は、座席の背もたれ用のクッション体にも適用される。
【0028】
表1に本発明の座席用緩衝材における実施例1及び2、参考のための比較例1及び2について、構成、除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体の通気量、裏面に対する摩擦力の測定値等を示す。通気量はJIS−L−1096、静摩擦力及び動摩擦力はJIS K7125−1999にしたがい測定した。なお、比較例の摩擦力は、一方向について測定した。
【0029】
【表1】
【0030】
実施例1及び比較例1には除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体として、商品名:WF−17、イノアックコーポレーション製(厚み10mmの通気量が210ml/cm2/sec)を、実施例2には除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体として、商品名:WF−18、イノアックコーポレーション製(厚み10mmの通気量が370ml/cm2/sec)を、また比較例2には除膜処理が行われていない軟質ポリウレタン発泡体(商品名:UEI−3、イノアックコーポレーション製、厚み10mmの通気量が80ml/cm2/sec)を、それぞれ厚み10mmにして用いた。また、前記実施例1及び2における除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体の裏面には、一液性ポリウレタン接着剤(商品名:ハイボンYR067−1、日立化成ポリマー製)をスライドコータにより散点状に塗布して付着硬化させた樹脂を設けた。付着硬化した樹脂の付着点における大きさは、実施例1で0.3〜0.6mm、実施例2で0.8〜1.2mm、また隣り合う付着点の中心間距離は、実施例1で2.5〜3.5mm、実施例2で0.6〜1.5mmである。さらに、実施例1,2及び比較例1では除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体の表面に、また比較例2においては除膜処理のされていない軟質ポリウレタン発泡体の表面に、それぞれ天然皮革(微細な貫通孔が形成されている)からなる表面材を縫製により積層した。
【0031】
表1の測定結果に示すように、実施例1及び実施例2では、いずれも座席用緩衝材の裏面の摩擦力が、比較例1及び比較例2と比べて小さく、縫製作業やクッションパッドへの被着作業性が良好であるのがわかる。
【0032】
また、モールド成形され、前記温調空気導入孔が中央位置の表裏面間に貫通形成された密度0.060g/cm3のポリウレタン発泡体からなるクッションパッドを用意し、前記クッションパッドの表面に、前記各実施例及び各比較例の座席用緩衝材を縫製によって所要形状としたものを被せ、さらに前記クッションパッドの温調空気導入孔に温風を供給し、線香の煙を座席用緩衝材の表面に近づけて、線香の煙の動きにより、座席用緩衝材の表面からの温風の吹き出し具合について調べた。その結果、実施例1、実施例2及び比較例1では、座席用緩衝材の表面ほぼ全体から温風が吹き出しているのを確認できたのに対し、比較例2では表面から温風がほとんど吹き出していなかった。
【0033】
【発明の効果】
以上図示し説明したように、本発明によれば、座席用緩衝材は、除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体の裏面に樹脂が散点状に付着しているため、裁断作業やクッションパッドへの被着作業に求められる滑りが良好で、作業性に優れる。しかも、温調空気により座席表面の温調が可能とされるクッションパッドに被着されて使用される場合、温風が座席用緩衝材の表面から良好に吹き出し、温調効率に優れる。
【0034】
さらに、本発明において、前記除膜処理されたポリウレタン発泡体を、厚み10mmにおける通気量が200〜380ml/cm2/secの範囲となるようにすれば、前記温風による温調タイプのクッションパッドに被着されて使用される場合に、より効率のよい温調が可能になる。
【0035】
また、本発明において、前記除膜処理されたポリウレタン発泡体の裏面に付着した樹脂を、付着点での大きさが0.3〜1.5mmの範囲、隣り合う付着点の中心間隔dが0.4〜4.0mmの範囲となるようにすれば、前記縫製作業や被着作業性における滑り性と温風による温調タイプのクッションパッドに被着された場合における通気性の両方を好ましいものにできる。
【0036】
さらに、本発明において、前記除膜処理されたポリウレタン発泡体の裏面に付着した樹脂を、一液性ポリウレタン接着剤の硬化物とすれば、樹脂の付着形成作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施例に係る座席用緩衝材の断面図である。
【図2】
図1の座席用緩衝材における裏面の一部を示す図である。
【図3】
塗布装置の概略を示す図である。
【図4】
図1の座席用緩衝材をクッションパッドに被着した座席の断面図である。
【符号の説明】
10 座席用緩衝材
11 除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体
12 除膜処理された軟質ポリウレタン発泡体の裏面
21 樹脂
31 表面材
41 クッションパッド
d 隣り合う付着点の中心間距離
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003066014A JP4141866B2 (ja) | 2003-03-12 | 2003-03-12 | 座席用緩衝材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003066014A JP4141866B2 (ja) | 2003-03-12 | 2003-03-12 | 座席用緩衝材 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004268540A JP2004268540A (ja) | 2004-09-30 |
JP2004268540A5 true JP2004268540A5 (ja) | 2006-10-26 |
JP4141866B2 JP4141866B2 (ja) | 2008-08-27 |
Family
ID=33126842
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003066014A Expired - Lifetime JP4141866B2 (ja) | 2003-03-12 | 2003-03-12 | 座席用緩衝材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4141866B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4828110B2 (ja) * | 2004-10-18 | 2011-11-30 | ブリヂストン化成品株式会社 | 革とウレタンフォ−ムとの積層体の製法 |
KR101510023B1 (ko) | 2013-12-26 | 2015-04-07 | 현대자동차주식회사 | 통풍성과 계면접착성이 우수한 시트커버재 |
DE102017112596B4 (de) * | 2017-06-08 | 2020-06-18 | Carcoustics Techconsult Gmbh | Polyurethan-Formteil mit integrierter Montagehilfe, Verfahren zu dessen Herstellung sowie Verfahren zu dessen Montage |
-
2003
- 2003-03-12 JP JP2003066014A patent/JP4141866B2/ja not_active Expired - Lifetime
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4125721B2 (ja) | 車両シート用インサート | |
US7131689B2 (en) | Automotive vehicle seating comfort system | |
JP4540148B2 (ja) | 表皮材付きクッションの製造方法 | |
JP2004268540A5 (ja) | ||
JP4141866B2 (ja) | 座席用緩衝材 | |
KR20210113514A (ko) | 멀티 패턴을 갖는 연속 타공시스템 및 타공방법 | |
KR20060092199A (ko) | 트림 커버용 옷감 보강체 | |
JP2020110948A (ja) | 表皮一体発泡成形品と、その製造方法 | |
CN104691385A (zh) | 一种座椅靠背及汽车座椅 | |
JP6459737B2 (ja) | 乗物用シート | |
JP4828110B2 (ja) | 革とウレタンフォ−ムとの積層体の製法 | |
KR20210112879A (ko) | 멀티 패턴 연속 타공 시스템 | |
JP5048041B2 (ja) | 表皮材の製造方法 | |
JPH0425458A (ja) | 表装材の製造方法 | |
JP5005231B2 (ja) | クッションシート及びその製造方法 | |
JP5236928B2 (ja) | 積層体及びその製造方法 | |
JP2008018655A (ja) | 車両シート用表皮材 | |
US20030198822A1 (en) | Leather assembly and method of fabricating a leather assembly | |
JPS62284606A (ja) | 化粧用塗布具およびその製造方法 | |
JP2004236938A (ja) | クッション体 | |
JP2613553B2 (ja) | 伸長性表装材 | |
JP3590331B2 (ja) | 身体サポート具 | |
JPH06114957A (ja) | 自動車用内装材の製造法 | |
JPS627476Y2 (ja) | ||
JPH07195600A (ja) | 滑り性に優れたシート材 |