JP2004268536A - 液体噴射装置 - Google Patents

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正弘 中村
Seiji Mochizuki
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Abstract

【課題】フラッシングによりキャップ内に吐出された廃インク等の液体に対する空吸引の実行回数を抑制するとともに、吸引装置内に廃インク等の液体が長期間残留することがない液体噴射装置を提供すること。
【解決手段】ユーザーが電源スイッチ91をオフ操作すると、吸引指令検知手段80に制御信号が送出されるとともに、電源オフタイマ92が経時動作を開始し、所定時間電源の切断が延期され、電源回路95より動作電源の供給が続けられる。吸引指令検知手段80は、前記制御信号を受けて電源オフ時空吸引制御手段85に吸引量の大きな第3空吸引モードの実行指令を送り、空吸引動作が実行される。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット式記録装置等の液体噴射装置の改良に関する。ここで、液体噴射装置とは、インクジェット式記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録媒体に記録を行うプリンタ、複写機、ファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから、被記録媒体に相当する被噴射媒体に噴射して前記液体を前記被噴射媒体に付着させる装置を含む意味で用いる。液体噴射ヘッドとしては、前記記録ヘッドのほかに、例えば液晶ディスプレー等のカラーフィルタ製造に用いる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等が挙げられる。
【0002】
【従来の技術】
液体噴射装置の代表例であるインクジェット式記録装置は、記録実行中に使用していないノズルあるいは使用頻度の低いノズルにおいて、インクが増粘して吐出不良になることを防ぐため、記録中に定期的に全ノズルからインクを記録領域外に吐出し、ノズル部分のインクを排出するフラッシング(空吐出)動作を行っている。また、印字中以外にも、例えば電源オン時、記録開始時、記録終了時において前記フラッシングが行われる。
【0003】
フラッシングが実行される場所は、記録領域外であり、例えば記録領域外でインクを受けられる形状になっており、接続されている吸引装置によって溜まったインクを容易に排出できる構造を持つキャップ内に設定されていることがある。かかる構成のインクジェット式記録装置においては、フラッシングによってキャップ内に溜まったインクを排出するための吸引動作(空吸引)が行われる。
【0004】
ところで、近年、インクジェット式記録装置の記録品質を向上させるとともに、多色化、発色性、滲みの抑制、耐環境性(耐光性や耐水性)等を確保する目的でインク組成の改良が図られてきている。また、記録ヘッドについては、高品位の画質を実現するため、ノズル径を小さくすることや、駆動波形を工夫することによって、小さなドットを吐出するようになっている。その結果、従来に比べ、インクを吐出する際に記録ヘッドのノズル部分でインクが増粘し易くなっているとともに、増粘した場合の影響も受けやすくなってきている。
【0005】
ノズル部分でのインクの増粘を防止するためには、各タイミングで行われるフラッシング処理において、空吐出するインク量を増やす必要があり、また、記録中にも短い間隔で定期的にフラッシングを行う必要がある。このような空吐出インク量の増加や、フラッシング回数の増加に伴い、フラッシングにより打ち捨てられたインクを受けるキャップ内のインクも短時間でキャップの許容量に達するため、空吸引動作の回数も必然的に増加してくる。
【0006】
また、近年では大型のインクジェット式記録装置も増えてきており、このような装置ではメカレイアウトの都合で吸引装置から吸引排出されたインクを最終的に保持する廃液貯留部(廃液ボトルあるいは廃液吸収材)までの距離が長いものもある。このような場合には、空吸引における吸引量の設定は重要であり、例えば記録終了後に吸引装置およびこれと接続する流路内にインクが残った状態のまま放置されると、インクジェット式記録装置を移動した際にインクがキャップ側に戻る(逆流する)ことによってヘッド面にインクが付着し、吐出不良を引き起こす場合がある。また、吸引装置内にインクが残留したまま長期間経過するとインクが増粘し、その後のインクの排出性に弊害を及ぼす場合がある。従って、通常の空吸引動作は、キャップ内に溜まったインクの排出のみならず、キャップと接続されている吸引装置内に残留しているインクも排出できるような吸引量で行われる。
【0007】
以上のように空吸引動作の実行回数は増える傾向にあり、また、大型のインクジェット式記録装置では、インクを廃液貯留部まで排出するための1回の空吸引の実行時間も長くなってきており、吸引装置の耐久的な劣化が進みやすい状況になりつつある。
【0008】
一方、空吸引に関しては、不必要に実行される空吸引によって記録時間が遅延することを防止するため、前回実行された空吸引後に行われたフラッシング回数が所定数に達した段階で空吸引を実行する制御手段を備えたインクジェット式記録装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平3−234664号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1では、空吸引回数の低減による記録時間の短期化が図られているものの、吸引性能の維持については考慮されておらず、インクジェット式記録装置の使用後にインクが吸引装置内に長期間滞留することに伴う吸引性能の低下への対策は全くなされていない。しかし、吸引装置は、記録ヘッドの吐出不良を予防し、また吐出不良が生じた際にはその原因となる記録ヘッド内の気泡や増粘インクを吸引排出するために備えられている装置であるから、吸引性能を維持することは極めて重要であり、その対策が求められている。同様の要請は、インクジェット式記録装置に限らず、例えば液晶ディスプレー等のカラーフィルタ製造に用いる色材噴射ヘッドや、精密ピペットとしての試料噴射ヘッドなどにおいても存在する。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、フラッシングによりキャップ内に吐出された廃液体に対する空吸引の実行回数を抑制するとともに、吸引装置内に廃液体が長期間残留することがない液体噴射装置を提供することを課題とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様に係る液体噴射装置は、被噴射媒体ヘ向けてノズルから液体を吐出する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止するキャップを備えたキャッピング装置と、前記キャップと接続し、負圧を作用させて前記キャップ内の液体を強制的に排出させる吸引装置と、を備えた液体噴射装置であって、前記液体噴射装置の電源がオフ操作されたときに、前記吸引装置を作動させて前記キャップ内の液体を排出させる電源オフ時空吸引制御手段を備えたことを特徴とする。本態様では、電源オフ時吸引制御手段を備えることにより、電源オフ操作後の空吸引が可能となり、吸引装置内に残留する液体量を低減することができる。従って、例えば液体噴射装置を長期間不使用の状態においても、残留液体による装置の汚損や増粘による吸引性能の低下などの問題を回避できる。
【0013】
本発明の第2の態様に係る液体噴射装置は、被噴射媒体ヘ向けてノズルから液体を吐出する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止するキャップを備えたキャッピング装置と、前記キャップと接続し、負圧を作用させて前記キャップ内の液体を強制的に排出させる吸引装置と、前記ノズルから前記キャップへ向け液体を空吐出させるフラッシング制御手段と、前記吸引手段を作動させて前記キャップ内の液体を排出させる空吸引制御手段と、前記液体噴射装置の電源がオフ操作されたときに、前記吸引装置を作動させて前記キャップ内の液体を排出させる電源オフ時空吸引制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
本態様では、空吸引制御手段とは別に電源オフ時空吸引制御手段とを備えたので、電源オフ操作後の空吸引が可能となり、吸引装置内に残留する液体量の低減が可能になり、吸引性能の低下を防止できる。また、液体噴射装置の動作中は空吸引制御手段によって空吸引を実行し、電源オフ時には電源オフ時空吸引制御手段によって空吸引を実行できるため、電源オフ時空吸引制御手段における空吸引量と空吸引制御手段における空吸引量とを別々に設定することができる。例えば、電源オフ時空吸引制御手段による空吸引で吸引装置内の液体を排出できるようになるので、液体噴射装置の動作中の空吸引制御手段による空吸引量を小さく設定することができるようになる。これにより、1回の空吸引あたりの吸引装置の駆動量を少なくして、吸引装置の劣化等を防止できる。
【0015】
本発明の第3の態様に係る液体噴射装置は、第2の態様において、前記空吸引制御手段により実行される空吸引の吸引量が、前記キャップの内部容積量以上であることを特徴とする。これにより、フラッシングによるキャップ内の滞留インクを確実に吸引除去できる。なお、本発明においてキャップ内にインク吸収材を配備している場合の「キャップの内部容積量」は、該インク吸収材の容積(インク保持容量)とみなす(以下、同様である)。
【0016】
本発明の第4の態様に係る液体噴射装置は、第2または第3の態様において、前記電源オフ時吸引制御手段により実行される吸引量が、前記キャップの内部容積量と前記吸引装置の内部容積量との合計量以上であることを特徴とする。これにより、電源オフ操作が行われた場合には、吸引装置内に残留する液体をすべて排出できるので、長期間液体噴射装置が不使用状態に置かれても吸引装置内で液体が増粘する等の問題が生じない。
【0017】
本発明の第5の態様に係る液体噴射装置は、第2の態様において、前記空吸引制御手段により実行される空吸引の回数を計数する空吸引カウント手段を備え、前記空吸引制御手段は、第一の空吸引と、前記空吸引カウント手段により計数された前記第一の空吸引回数が所定回数に達した場合に実行される、吸引量が前記第一の空吸引よりも大きな第二の空吸引と、を実行可能に構成されていることを特徴とする。
【0018】
電源オフ時吸引制御手段とともに、液体噴射装置の電源オン時において、吸引量の少ない第一の空吸引および吸引量の多い第二の空吸引を実行する空吸引制御手段と、前記第一の空吸引の回数を計数する空吸引カウント手段を備えることにより、空吸引カウント手段による計数値が所定回数に達した場合(例えば、第一の空吸引が一定回数繰返された場合)に、吸引量の多い第二の空吸引を実行するという制御が可能になる。吸引量の少ない第一の空吸引は吸引装置の駆動量が少なくて済むため、吸引装置の劣化を回避できるとともに、少ない頻度で行われる吸引量の多い第二の空吸引によって吸引装置内に残留する液体も排出できる。従って、停電等により電源オフ操作が行われない場合(従って、電源オフ時吸引も行われない)でも吸引装置内に液体が残留する確率を低減できるとともに、電源オンの状態では定常的に吸引装置内に液体が残留する事態を防止できる。よって、吸引装置の吸引性能の低下などの問題を回避できる。
【0019】
本発明の第6の態様に係る液体噴射装置は、被噴射媒体ヘ向けてノズルから液体を吐出する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止するキャップを備えたキャッピング装置と、前記キャップと接続し、負圧を作用させて前記キャップ内の液体を強制的に排出させる吸引装置と、前記ノズルから前記キャップへ向け液体を空吐出させるフラッシング制御手段と、前記吸引手段を作動させて前記キャップ内の液体を排出させる空吸引制御手段と、前記空吸引制御手段により実行される空吸引の回数を計数する空吸引カウント手段を備え、前記空吸引制御手段は、第一の空吸引と、前記空吸引カウント手段により計数された前記第一の空吸引回数が所定回数に達した場合に実行される、吸引量が前記第一の空吸引よりも大きな第二の空吸引と、を実行可能に構成されていることを特徴とする。
【0020】
吸引量の少ない第一の空吸引および吸引量の多い第二の空吸引を実行する空吸引制御手段と、前記第一の空吸引の回数を計数する空吸引カウント手段を備えることにより、空吸引カウント手段による計数値が所定回数に達した場合(例えば、第一の空吸引が一定回数繰返された場合)に、吸引量の多い第二の空吸引を実行するという制御が可能になる。吸引量の少ない第一の空吸引は吸引装置の駆動量が少なくて済むため、吸引装置の劣化を回避できるとともに、少ない頻度で行われる吸引量の多い第二の空吸引によって吸引装置内に残留する液体も排出できる。従って、電源オンの状態で定常的に吸引装置内に液体が残留する事態を防止でき、吸引装置の吸引性能の低下などの問題を回避できる。
【0021】
本発明の第7の態様に係る液体噴射装置は、第5の態様または第6の態様において、前記第一の空吸引の吸引量が、前記キャップの内部容積量と略等しい量であることを特徴とする。これにより、フラッシングによるキャップ内の滞留インクを確実に吸引除去できるとともに、1回あたり空吸引における吸引装置の駆動を最小限に抑えることができる。
【0022】
本発明の第8の態様に係る液体噴射装置は、第7の態様において、前記第二の空吸引の吸引量が、前記キャップの内部容積量と前記吸引装置の内部容積量との合計量と略等しい量であることを特徴とする。これにより、少ない頻度で行われる第二の空吸引によって吸引装置内に残留する液体を一掃できる。このように、第一の空吸引の吸引量をフラッシングによりキャップ内に滞留する液体を排出できる最小値に設定しつつ、第二の空吸引によって第一の空吸引を補うことにより、吸引装置内に液体が残留する確率を低減できるとともに、電源オンの状態でも定常的に吸引装置内に液体が残留する事態を防止できる。よって、吸引装置の吸引性能の低下などの問題を回避できる。
【0023】
本発明の第9の態様では、第1の態様から第8の態様のいずれか一つに記載の液体噴射装置が、前記液体としてのインクを前記液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドから被噴射媒体としての被記録媒体に吐出して記録を行うインクジェット式記録装置であることを特徴とする。液体としてのインクが増粘しやすい場合や、吸引装置までの経路が長い大型プリンタなどにおいても上記第1の態様から第8の態様と同様の作用効果が得られるので、吸引装置の動作信頼性が向上し、ひいてはインクジェット式記録装置の吐出性能の安定性が確保される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。ここでは、(1)インクジェット式記録装置の概要;(2)空吸引モードの内容;(3)インクジェット式記録装置の制御回路の概要;(4)第一実施形態;(5)第二実施形態;(6)第3実施形態;(7)その他の実施形態の順に説明を行う。
【0025】
<インクジェット式記録装置の概要>
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録装置50の概要を示す図面である。ここでは、内部構造を明らかにするため本体カバーをはずした状態を示している。キャリッジ53は、駆動モータ56に接続されたタイミングベルト57により、キャリッジガイド軸55に沿って主走査方向に往復移動しながら、記録ヘッド51より記録媒体Pへインクを吐出して記録を行う。キャリッジ53には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローなど複数の異なる色のインクカートリッジ54を装着できるようになっている。
【0026】
キャリッジ53のホームポジションに対応する位置には、記録ヘッド51の吐出特性を維持するための吐出特性維持装置40が配設されている。この吐出特性維持装置40は、ワイピング装置10、キャッピング装置20および吸引装置30から構成されている。そして、キャリッジ53がホームポジションに位置している状態のときに、この吐出特性維持装置40によって、記録ヘッド51の吐出特性を維持するためのキャッピング動作、吸引動作およびワイピング動作が行われるようになっている。また、記録ヘッド51のノズル形成面52(図2参照)がキャッピング装置20のキャップ21に対向した状態で、フラッシング動作が行われる。
【0027】
図2は、図1のインクジェット式記録装置50の内部構造の要部を示す図面である。
キャッピング装置20は、記録ヘッド51がホームポジションにある状態で、キャップ21がそのノズル形成面52に当接し、または離間できるような既知の変位機構を備えている。すなわち、図2においてキャッピング装置20は上下に昇降し、記録ヘッド51のノズル形成面52を封止した状態と、ノズル形成面52と離間対向した状態を取り得る。
【0028】
図3は、ホルダ22と一体化されたキャップ21の拡大図であり、(a)は平面の状態、(b)は断面の状態を示す。キャッピング装置20は、ホルダ22と、ホルダ22の開口周縁にゴム、エラストマー等の弾性材料により形成されたキャップ21を備えている。ホルダ22とキャップ21とは、例えば二色成形などの方法で一体的に形成されている。また、ホルダ22の底部にはインク排出孔23が形成されており、このインク排出孔23には、チューブポンプ31の可撓性チューブ35(図4、図5参照)が接続されている。
【0029】
図3のキャップ21の内部容積量Mは、長尺部の長さL、幅L、高さLとすると、概略M1=L×L×Lとして表すことができる。なお、キャップ21の内部空間の形状は立方形ではない方が多いため、上記Mは厳密な容積とは若干異なるが、ここでは便宜上単純化している。また、図3に例示の態様は、ホルダ22と一体化されたキャップ21であるため、前記したように、ホルダ22の窪み部分の容積を合計したものを「キャップ21の内部容積量M」としているが、窪み部分がキャップ21だけから形成されている場合には、内部容積量Mはキャップ21における窪み部分の長さ、幅および高さ(深さ)によって決定される。
【0030】
なお、キャップ21内には、例えばポリビニルアルコール、発泡ウレタンなどの材質からなる多孔質体や、ポリエチレンテレフタレート等の繊維からなる不織布をインク吸収材(図示せず)として配備することができる。インク吸収材を配備することによって、廃インクがインク吸収材に保持されるため、吸引後のキャップ開放時にインクがこぼれ難くなり、廃インクの泡立ちを防止したり、封止時のノズルの乾燥を抑制したり、さらに、フラッシングの際にミストの発生を抑え、空吸引でのインクのはけを良くしたりする効果が期待できる。インク吸収材を配備した場合には、後記するようにインク吸収材の容積(インク保持容量)をキャップ21の内部容積量Mとみなして空吸引インク量を設定することが好ましい。
【0031】
吸引装置30による吸引動作は、記録ヘッド51のクリーニングの場合は、キャッピング装置20のキャップ21が記録ヘッド51のノズル形成面52を封止した状態で、また空吸引の場合は、ノズル形成面52を非封止状態(大気開放状態を含む)で、それぞれ吸引装置30を動作させることにより行われる。吸引装置30は、回転体により可撓性チューブを圧迫することによって負圧を発生させる機構のチューブポンプ31(図4、図5参照)を内蔵しており、図示しない紙送りモータ等の動力を利用して駆動するものである。このチューブポンプ31は、比較的構造が簡単で小形化が図りやすく、しかもインクの汚染を生じさせ難い構造であるため、インクジェット式記録装置50の吸引装置30として汎用されている。チューブポンプ31の構造の一例を図4および図5に示す。図4はポンプを正転駆動させて吸引動作を実行している状態を示し、また図5はポンプを逆転駆動させている非吸引状態を示している。
【0032】
チューブポンプ31は、可撓性チューブ35を円弧状に巻いた状態で内周面(チューブ支持面36)に沿って収納するポンプフレーム34と、紙送りモータ等によって回動するポンプホイル32と、このポンプホイル32に形成された一対のガイド溝32a,32bに沿って移動する押圧ローラ33a,33bとを備えている。
【0033】
吸引動作時には、図4に示すように、チューブポンプ31のポンプホイル32を正方向(矢印A方向)に回転させる。ポンプホイル32の回転によって、押圧ローラ33a,33bがガイド溝32a,32bに沿ってポンプホイル32の外周部側に移動し、回転しながら可撓性チューブ35を順次矢印A方向に圧迫して押し潰していく。この圧迫により、可撓性チューブ35内に圧力変化を生じさせ、キャッピング装置20のキャップ21内に負圧を与える。この負圧により、クリーニング時には記録ヘッド51のノズルから強制的にインクを吸引してキャップ21内へ排出させ、空吸引時には、キャップ21内に排出されたインクを廃インクタンク59に排出することが可能になる。チューブポンプ31の吸引量は、モータの駆動によって回動するポンプホイル32の回転量を調整することによって制御されている。
【0034】
また、図5に示すように、ポンプホイル32を逆方向(矢印B方向)に回転させると、各押圧ローラ33a,33bがガイド溝32a,32bをポンプホイル32の内周部側へ移動する。この押圧ローラ33a,33bの移動によって、非吸引動作時には、押圧ローラ33a,33bによる可撓性チューブ35への圧迫が解除される。
【0035】
以上において、チューブポンプ31の内部容積量Mは、可撓性チューブ35の内容積(全長×チューブ内空部の断面積)として算出される。
【0036】
前記したとおり、クリーニング動作は、キャップ21が記録ヘッド51のノズル形成面52を封止した状態でチューブポンプ31を駆動することで、記録ヘッド51のノズル形成面に負圧を与え、記録ヘッド51内のインクを吸引して強制的に排出させるものである。吸引後は、キャップ21によるノズル形成面の封止を解いた状態(あるいは弁の開放等による大気開放状態)でさらにチューブポンプ31を駆動すると、キャップ21内の廃インクがインク排出孔23から排出される。このように、キャップ21が大気開放された状態(例えば記録ヘッド51のノズル形成面52の封止を行わない状態)でチューブポンプ31を駆動することで、キャップ21内に残留しているインクを吸引排出する動作が空吸引である。この空吸引は主に二つの場面で実行される。すなわち、クリーニング動作時の空吸引は、前記のようにクリーニングによってキャップ21内に吸い出された記録ヘッド51内のインクを排出するための動作であるのに対し、フラッシング(空吐出)動作時の空吸引は、フラッシングによってキャップ21内に打ち捨てられた廃インクをキャップ内(さらにはチューブポンプ31内)から除去するために行われる吸引動作である。本発明における空吸引は主に後者の場面(フラッシング動作時)で実行されるものであるが、例えばクリーニング動作後の空吸引量が少なく設定されている場合(チューブポンプ31の駆動量を抑制している場合)には、キャップ内あるいはチューブポンプ31内にインクが残留した状態になることがあり、このような残留インクも後述する第2空吸引モードや第3空吸引モードの空吸引によって除去できる効果がある。
【0037】
チューブポンプ31によってキャップ21内から排出された廃インクは、排出管37を介して廃液タンク59内に導入され、廃液吸収材61の片端のインク溜り部62に滴下される。
【0038】
<空吸引モードの内容>
本実施形態に係るインクジェット式記録装置50は、以下に例示するように、吸引量が異なる複数の空吸引モードを備えている。
【0039】
空吸引モード 吸引インクの量(体積)
第1空吸引モード : x ml
第2空吸引モード : y ml
第3空吸引モード : z ml
第1空吸引モードは、吸引量が前記キャップ21の内部容積量Mと略等しい量である吸引量の少ない空吸引であり、後述する吐出インク量計測手段76による計数値が所定回数に達した場合に行われる。
また、第2空吸引モードは、空吸引の吸引量が少なくとも前記キャップ21の内部容積量Mと前記チューブポンプ31の内部容積量Mとの合計量以上である吸引量の多い空吸引であり、後述する空吸引カウント手段84による計数値が所定回数に達した場合に行われる。
第3空吸引モードは、インクジェット式記録装置50の電源がオフ操作された後に、前記チューブポンプ31を作動させて前記キャップ21内のインクを排出させる電源オフ時空吸引であり、空吸引の吸引量が第3空吸引モードと同量、すなわち、少なくとも前記キャップ21の内部容積量Mと前記チューブポンプ31の内部容積量Mとの合計量以上である吸引量の多い空吸引である。
以上において、本実施形態では、M=x<y、M+M=yであり、y=zに設定されている。なお、確実な空吸引を行うためには、xをM以上とすればよいが、頻度の高いxを大きく設定し過ぎるとチューブポンプ31の劣化を招きやすくなるので、例えばM≦x≦2×M程度の範囲が好ましい。同様に、y、zも、M+M以上であればよいが、y、zを大きく設定し過ぎるとチューブポンプ31の劣化を招きやすくなる上、駆動力を無駄に消費することになるので、例えばM+M≦y≦2×(M+M)程度、M+M≦z≦2×(M+M)程度の範囲が好ましい。なお、キャップ21からチューブポンプ31へ連なる接続部分が長い場合は、その間のチューブ等の内容積量を考慮に入れるべきことは言うまでもない。
【0040】
また、キャップ21内にインク吸収材を配備した形態では、フラッシングによってキャップ21内に打ち捨てられるインクが多いと、新しく打ち捨てられたインクがインク吸収材に保持されたインクの上に溢れてくるため、キャッピング時にノズル形成面52にインクが触れたり、フラッシングによって溢れたインクが跳ねてノズル形成面51に飛び付く等の不都合が生じ易くなる。そのため、インク吸収材を配備した場合には、フラッシングによってキャップ21に打ち捨てられるインクの許容量を、インク吸収材の容積(インク保持容量)を上限として設定することが好ましい。
【0041】
すなわち、インク吸収材を配備した場合には、前記内部容積量M1として、キャップ21の容積ではなく、インク吸収材の容積(インク保持容量)を基準に空吸引量を設定することが好ましい。より具体的には、第1空吸引モードの空吸引量x(ml)は、インク吸収材の容積と略等しい量になる。これによって、チューブポンプ31の駆動量をより小さくすることが可能になり、その劣化をさらに抑制できる。
【0042】
<インクジェット式記録装置の制御回路の概要>
図6はインクジェット式記録装置50に搭載された制御回路の構成を示したブロック図である。図6において、符号70はホストコンピュータを示しており、このホストコンピュータ70にはプリンタドライバ71が内蔵され、このプリンタドライバのユーティリティ上で、入力装置72からの入力によって記録媒体のサイズ、モノクロ/カラー印字の選択、記録モードの選択、フォント等のデータおよび印字指令などが入力できるように構成されていると共に、クリーニング指令を受けてヘッドクリーニング動作が実行できるように構成されている。また、印字指令の入力により、プリンタドライバ71からは記録制御手段73に対して記録データが送出されるように構成されており、また記録制御手段73は記録データに基づいてビットマップデータを生成し、ヘッド駆動手段74により駆動信号を発生させて、記録ヘッド51からインクを吐出するように構成されている。
【0043】
ヘッド駆動手段74は、記録データに基づく駆動信号の他に、フラッシング制御手段75からのフラッシング指令信号を受けてフラッシング操作のための駆動信号を記録ヘッド51に出力し、印字とは関係のないインクの空吐出を行なうことができるように構成されている。
【0044】
フラッシング制御手段75により行われたフラッシングによりキャップ21に向けて吐出されたインク量は、吐出インク量計測手段76により計測される。すなわち、吐出インク量計測手段76は、フラッシングによる吐出インク滴数を計数するとともに、この計数値に1滴当りのインク量を乗算して吐出インク量を積算する。この積算値は、後述する空吸引制御手段84または電源オフ時空吸引制御手段85による第1〜第3空吸引モードの空吸引が行われた場合にゼロリセットされる。
【0045】
符号78はクリーニング制御手段、符号84は空吸引制御手段、符号85は電源オフ時空吸引制御手段であり、これらからの指令によりポンプ駆動手段77が動作して、チューブポンプ31が駆動されるように構成されている。そして、クリーニングを行う場合は、記録ヘッド51のノズル形成面を封止した状態でキャップ21の内部空間を負圧にして記録ヘッド51のノズル開口よりインクを吸引し、キャップ21に排出されたインクを廃インクタンク59に送り出すように作用する。また、空吸引の場合は、キャップ21内のインクを大気開放状態で吸引して廃インクタンク59への排出が行われる。
【0046】
一方、吸引指令検知手段80は、後述する電源スイッチ91が「オフ」操作された場合、その信号を検知できるように構成されており、制御信号を電源オフ時空吸引制御手段85に送って空吸引を行うようにする。また、吸引指令検知手段80は、吐出インク量計測手段76において計測されたキャップ21内のインク量が設定値を超えた場合は、その信号を受けて空吸引制御手段84に制御信号を送り空吸引が行えるようにする。
【0047】
さらに、吸引指令検知手段80は、プリンタドライバ71のユーティリティ上で入力された吸引指令(記録ヘッド51のクリーニング指令)を受けて、クリーニング制御手段へ制御信号を送り、吸引動作がなされるように構成されている。また、吸引指令検知手段80は、例えば記録装置の操作パネルに配置されたクリーニング指令ボタン79が操作された場合も、これを検知し、クリーニング操作がなされるように構成されている。
【0048】
空吸引カウント手段81は、空吸引制御手段84からの信号を受けて、第1吸引モードの空吸引回数をカウントできるように構成されている。これにより、吸引指令検知手段80から空吸引指令が出された場合には、空吸引カウント手段81に格納されている第1吸引モードの空吸引実行回数が抽出され、当該データが吸引モード選択手段82に供給されるように構成されている。
【0049】
また、空吸引制御手段84または電源オフ時空吸引制御手段85からは、空吸引カウント手段81に制御信号が送出できるように構成されており、これにより空吸引カウント手段81は第2吸引モードまたは第3吸引モードの空吸引動作の終了時点で空吸引履歴がゼロリセットされる。
【0050】
吸引モード選択手段82は、吸引指令検知手段80からの信号、および空吸引カウント手段81による第1空吸引モードの空吸引回数(前回の第2または第3空吸引モードの空吸引動作実行後における回数)の信号を受けて、ROM83にアクセスし、空吸引モードを決定し、空吸引制御手段84に制御信号を送出する。
【0051】
また、吸引モード選択手段81は、空吸引だけでなく、記録ヘッド51内のインクの吸引動作を実行するクリーニングを行うか否かも決定すると共に、クリーニング動作を実行する場合においては、予め定められたクリーニングモードに基づく制御信号を、前記クリーニング制御手段78に対して送出する。
【0052】
図6における符号93は、インクジェット式記録装置50に与えられる商用電源であり、電源遮断器94を介して電源回路95に供給され、この電源回路95においてインクジェット式記録装置50の動作電源である直流の低電圧が生成される。電源遮断器94は、インクジェット式記録装置50の操作パネルに配置された電源スイッチ91の操作に基づいて、電源供給制御手段である電源オフタイマ92を介し、オンオフ駆動されるように構成されている。また、電源スイッチ91がオフ操作された場合は、その信号を吸引指令検知手段80で検知できるように構成されている。
【0053】
電源スイッチ91の操作によりインクジェット式記録装置50に動作電源を与える場合には、電源オフタイマ92は即座に電源遮断器94をオン状態に制御し、電源スイッチ91の操作によりインクジェット式記録装置50への動作電源を遮断させようとする場合には、電源オフタイマ92は所定の時間経過後に電源遮断器94をオフ状態に制御する。
【0054】
上記のような制御をなすために前記電源オフタイマ92は、電源スイッチ91がオフ操作された時点で計時動作を開始し、所定の時間経過後に電源遮断器94をオフ制御して装置への動作電源を断つように構成されている。なお、前記電源オフタイマ92によって管理される所定の時間とは、少なくとも電源オフ時空吸引動作を実行するのに必要な時間に設定され、好ましくは他の電源オフ時処理、例えばキャップ21を上昇させて記録ヘッド51のノズル形成面52を封止するキャッピング動作や、キャリッジ53の移動経路に掛止部材を進出させる等して固定するキャリッジロック動作などを行う時間も含めるように設定される。
【0055】
電源オフ時に行う第3空吸引モードの空吸引動作は、比較的吸引量が多い為、本実施形態のように電源オフタイマ92を使用する構成にすることにより、空吸引動作を実行する間の電源が確保され、空吸引動作の信頼性を高めることができる。
【0056】
<第一実施形態>
図7〜図8は、フラッシング動作に伴う空吸引動作の制御手順を示すフローチャートである。
【0057】
図7のステップS11においては、前記したようにフラッシング制御手段75からフラッシング指令信号が送出され、これを受けたヘッド駆動手段74が記録ヘッド51を駆動してインクのフラッシング(空吐出)が行われる。ステップS12では、フラッシングによってキャップ21内に吐出されたインク量を計測するカウントアップが行われる。この処理は、フラッシングにより吐出されたインク滴を計数し、1滴当りのインク量を乗算することにより行われ、吐出インク量計測手段76においてなされる。
【0058】
ステップS13では、ステップS12で計測されたキャップ21内のインク量が設定値以上であるか否かの判定が行われる。キャップ21内のインク量が設定値に満たない(つまり、「No」である)場合は、フラッシング動作が継続される。一方、ステップS13において、キャップ21内のインク量が設定値を超えている(つまり、「Yes」である)場合は、吐出インク量計測手段76から吸引指令検知手段80に制御信号が送出される。これを受けて吸引指令検知手段80から空吸引制御手段84に制御信号が送られ、ステップS14において吸引量の少ない第1空吸引モードの空吸引が実行される。第1空吸引モードの空吸引の実行により、キャップ21内のインクはほぼすべて排出されるため、ステップS15では、吐出インク量計測手段76のカウンタをリセットする。
【0059】
空吸引に伴うチューブポンプ31の使用頻度の増加により、チューブポンプ31の構成部品が摩擦等の原因によって消耗劣化した場合、吸引動作を行っても所望のインク吸引量、インク流速が得られなくなるおそれがある。その結果、吐出不良の要因を取り除くことが困難になり、インクジェット式記録装置50としては致命的とも言える記録品質の低下を招くことになる。さらに、使用者が気づかない間に耐久性に起因するチューブポンプ31構成部品の損傷が発生した場合は、インク漏れの原因となり、漏れ出したインクによってインクジェット式記録装置50本体の故障を引き起こす可能性もある。
【0060】
このため、上記したフラッシング動作における空吸引動作の制御(図7のフローチャート)では、フラッシング時に吐出インク量計測手段76によってキャップ21内のインク量を計測し、キャップ21内のインク量が一定量(例えばキャップ21の容積の60%程度、あるいは、インク吸収材を配備している場合にはそのインク保持容量相当)に達した場合に第1空吸引モードの空吸引を実行している。これによって、空吸引頻度を低減し、最小限の空吸引回数と少ないチューブポンプ31の駆動量でフラッシング動作に伴う廃インクをキャップ21内から排出することが可能になる。
【0061】
しかし、第1空吸引モードでの吸引量は、前記したようにキャップ21の内部容積量に相当する量であるため、チューブポンプ31内には排出されないインクが残留している。この残留インクを放置すると、逆流したインクが記録ヘッド51のノズル形成面52を汚損したり、チューブポンプ31内で増粘して吸引性能を低下させるおそれがある。そこで、本実施形態では、第1空吸引モードによる吸引量の減少を補完するため、記録動作が終了し、ユーザーがインクジェット式記録装置50の電源スイッチ91をオフ操作した段階で、吸引量の大きな第3空吸引モード(電源オフ時空吸引)の吸引を実行するようにした。
【0062】
図8は、電源オフ時空吸引を実行するための制御手順の例である。前記したように、ユーザーが電源スイッチ91をオフ操作すると、吸引指令検知手段80に制御信号が送出されるとともに、電源オフタイマ92が経時動作を開始し、所定時間電源の切断が延期され、電源回路95より動作電源の供給が続けられる。吸引指令検知手段80は、前記制御信号を受けて電源オフ時空吸引制御手段85に第3空吸引モードの実行指令を送る。これにより、吸引量の大きな第3空吸引モードの空吸引動作が実行される。引き続くステップS22では、電源オフ時の空吸引以外の処理(例えば、キャリッジロックやキャッピング)が行われる。電源オフ操作後に吸引量の大きな第3空吸引モードの空吸引が実行される結果、キャップ21内だけでなく、チューブポンプ31内の残留インクも一掃され、残留インクによる弊害の発生が防止される。
【0063】
<第二実施形態>
前記図7のフラッシング動作における空吸引動作の制御では、吐出インク量計測手段76によるキャップ21内のインク量に基づき、フラッシング時の空吸引量を第1空吸引モードで実行している。これによって、最小限の吸引回数と少ないチューブポンプ31の駆動量でフラッシング動作に伴う廃インクをキャップ21内から排出することが可能である。しかし、第1空吸引モードでの吸引量は、前記したように略キャップ21内のインク量に相当する量に過ぎないため、チューブポンプ31内には排出されないインクが残留している。これを補完するために図8に示す電源オフ時の空吸引を行うようにしているが、例えば停電等により電源オフ操作されずに放置された場合、図8の制御手順が実行されることはない。従って、チューブポンプ31内のインクは排出されずに滞留したままとなり、前記したように逆流による汚損や増粘による吸引性能の低下等の問題を生じさせるおそれがある。そこで、本実施形態では、第1空吸引モードによる吸引量の減少を補完するため、第1空吸引モードの空吸引が所定回数行われる毎に、吸引量の大きな第2空吸引モードの吸引を実行するようにした。
【0064】
図9〜図10は、本発明の第二実施形態に係るフラッシング動作に伴う空吸引動作の制御手順を示すフローチャートである。以下では、第一実施形態と共通する処理については説明を省略し、第一実施形態との相違点を中心に述べる。
【0065】
図9の制御手順のステップS31においては、前記したようにフラッシング制御手段75からのフラッシング指令信号を受けたヘッド駆動手段74が記録ヘッド51を駆動してフラッシングが行われる。ステップS32では、吐出インク量計測手段76によりフラッシングによってキャップ21内に吐出されたインク量を計測する。
【0066】
ステップS33では、ステップS32で計測されたキャップ21内のインク量が設定値以上であるか否かの判定が行われる。キャップ21内のインク量が設定値に満たない(つまり「No」である)場合は、フラッシング動作が継続される。一方、ステップS33において、キャップ21内のインク量が設定値を超えている(つまり「Yes」である)場合は、吐出インク量計測手段76から吸引指令検知手段80に信号が送出される。
【0067】
ステップS34では、後記する図10のフローチャートに示す処理手順により、吸引量の少ない第1空吸引モードまたは吸引量の多い第2空吸引モードの空吸引のいずれかが選択されて実行される。空吸引の実行により、キャップ21内のインクはすべて排出されるため、ステップS35では、吐出インク量計測手段76のカウンタをリセットする。
【0068】
図10は、図9のステップS34における空吸引動作を実行するための処理手順を示すフローチャートである。吐出インク量計測手段76から吸引指令検知手段80に制御信号が送出されると、吸引指令検知手段80からは吸引動作を実行するように信号が送出される。前記したように、空吸引カウント手段81は、第1吸引モードの空吸引回数をカウントできるように構成されている。これにより、吸引指令検知手段80からの空吸引指令を受けた場合には、空吸引カウント手段81に格納されている第1空吸引モードの空吸引実行回数が抽出され、当該データが吸引モード選択手段82に供給されるように構成されている。
【0069】
ステップS41では、空吸引制御手段84は、空吸引カウント手段81のカウンタ値を参照し、前回の第2空吸引モード後に行われた第1空吸引モードの空吸引動作回数Nを読み出し、その値が設定値以上であるか否かを判断する。Nが設定値未満である(つまり「No」である)場合、ステップS42に移行し、吸引モード選択手段82により第1空吸引モードが選択されて空吸引動作が実行される。ここでは、吸引モード選択手段82と接続するROM83に格納された吸引モードの中から第一空吸引モードが選定され、該選定に基づいて吸引動作が行われる。
【0070】
第1空吸引モードの空吸引が実行された後のステップS43では、空吸引カウント手段81へ制御信号が送られ、空吸引実行回数NとしてN+1の値が定義しなおされ、セットされる。これにより第1空吸引モードの実行回数が積算される。
【0071】
一方、ステップS41で、前回の第2空吸引モード後に行われた第1空吸引モードの空吸引動作回数Nが設定値以上である(つまり「Yes」である)場合には、ステップS44に移行する。ステップS44では、ステップS42と同様に吸引モード選択手段82と接続するROM83に格納された吸引モードの中から吸引量の多い第2空吸引モードが選択されて空吸引動作が実行される。
【0072】
第2空吸引モードの空吸引が実行されると、ステップS45では、空吸引制御手段84から、空吸引カウント手段81に制御信号が送出され、空吸引回数Nがゼロリセットされる。
【0073】
以上のような制御を行うことによって、吸引量が少ない第一空吸引モードを第二空吸引モードによって補完することが可能になり、チューブポンプ31内にインクが定常的に滞留することを回避できる。
【0074】
<第三実施形態>
本実施形態では、前記第二実施形態の制御例において、電源オフ時空吸引(図8のフローチャート)を組み合わせて実行するようにしたものである(各制御手順は同じであるので、図示は省略する)。これによって、第一実施形態と第二実施形態で得られる作用効果に加えて、さらに停電等の電源オフ操作以外の事由でインクジェット式記録装置50が停止した場合でも、所定回数毎に第一空吸引モードの間に挿入される第二空吸引モードの実行によって、チューブポンプ31内にインクが残留する確率を大幅に低減できる。
【0075】
<その他の実施形態>
以上、本発明を種々の実施形態に関して述べたが、本発明は上記実施形態に制約されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、他の実施形態についても適用可能である。
【0076】
例えば、上記実施形態では、電源オフ時空吸引を実施する間の電気的供給を確実なものとするため、電源オフタイマ92を使用しているが、電源オフ時の一定時間内に動作を行うための電源の確保は、例えば、コンデンサーを利用する方法、リレー回路を利用する方法、バッテリーなどの二次電源を利用する方法等によっても達成できる。
【0077】
また、上記実施形態では、吐出インク量計測手段を設け、フラッシング時にキャップ21内に吐出されたインク量を計測し空吸引を実行しているが、例えば、フラッシング処理動作回数に基づいて空吸引を実行させる制御手段、記録頁毎あるいは記録頁数に応じて空吸引を実行させる制御手段、記録終了毎に空吸引を実行する制御手段においても、同様に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット式記録装置の概要を示す斜視図。
【図2】インクジェット式記録装置の内部構造の要部を示す図面。
【図3】キャップを示す図面であり、(a)は平面図、(b)は断面図。
【図4】チューブポンプの動作説明に供する図面。
【図5】チューブポンプの動作説明に供する図面。
【図6】インクジェット式記録装置の制御回路の構成を示すブロック図。
【図7】フラッシング動作の処理手順の例を示すフローチャート。
【図8】電源オフ時処理の手順を示すフローチャート。
【図9】フラッシング動作の処理手順の例を示すフローチャート。
【図10】空吸引動作の処理手順の例を示すフローチャート。
【符号の説明】
10 ワイピング装置、20 キャッピング装置、21 キャップ、22 ホルダ、23 インク排出孔、30 吸引装置、31 チューブポンプ、40 吐出特性維持装置、50 インクジェット式記録装置、51 記録ヘッド、52 ノズル形成面、53 キャリッジ、54 インクカートリッジ、55 キャリッジガイド軸、56 駆動モータ、57 タイミングベルト、58 プラテン、59 廃インクタンク、70 ホストコンピュータ、71 プリンタドライバ、72 入力装置、73 記録制御手段、74 ヘッド駆動手段、75 フラッシング制御手段、76 吐出インク量計測手段、77 ポンプ駆動手段、78 クリーニング制御手段、79 クリーニング指令ボタン、80 吸引指令検知手段、81 空吸引カウント手段、82 吸引モード選択手段、83 ROM、84 空吸引制御手段、85 電源オフ時空吸引制御手段、91 電源スイッチ、92
電源オフタイマ、93 商用電源、94 電源遮断器、95 電源回路

Claims (9)

  1. 被噴射媒体ヘ向けてノズルから液体を吐出する液体噴射ヘッドと、
    該液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止するキャップを備えたキャッピング装置と、
    前記キャップと接続し、負圧を作用させて前記キャップ内の液体を強制的に排出させる吸引装置と、
    を備えた液体噴射装置であって、
    前記液体噴射装置の電源がオフ操作されたときに、前記吸引装置を作動させて前記キャップ内の液体を排出させる電源オフ時空吸引制御手段を備えたことを特徴とする、液体噴射装置。
  2. 被噴射媒体ヘ向けてノズルから液体を吐出する液体噴射ヘッドと、
    該液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止するキャップを備えたキャッピング装置と、
    前記キャップと接続し、負圧を作用させて前記キャップ内の液体を強制的に排出させる吸引装置と、
    前記ノズルから前記キャップへ向け液体を空吐出させるフラッシング制御手段と、
    前記吸引手段を作動させて前記キャップ内の液体を排出させる空吸引制御手段と、
    前記液体噴射装置の電源がオフ操作されたときに、前記吸引装置を作動させて前記キャップ内の液体を排出させる電源オフ時空吸引制御手段と、を備えたことを特徴とする、液体噴射装置。
  3. 請求項2において、前記空吸引制御手段により実行される空吸引の吸引量が、前記キャップの内部容積量以上であることを特徴とする、液体噴射装置。
  4. 請求項2または請求項3において、前記電源オフ時吸引制御手段により実行される吸引量が、前記キャップの内部容積量と前記吸引装置の内部容積量との合計量以上であることを特徴とする、液体噴射装置。
  5. 請求項2において、前記空吸引制御手段により実行される空吸引の回数を計数する空吸引カウント手段を備え、
    前記空吸引制御手段は、第一の空吸引と、前記空吸引カウント手段により計数された前記第一の空吸引回数が所定回数に達した場合に実行される、吸引量が前記第一の空吸引よりも大きな第二の空吸引と、を実行可能に構成されていることを特徴とする、液体噴射装置。
  6. 被噴射媒体ヘ向けてノズルから液体を吐出する液体噴射ヘッドと、
    該液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止するキャップを備えたキャッピング装置と、
    前記キャップと接続し、負圧を作用させて前記キャップ内の液体を強制的に排出させる吸引装置と、
    前記ノズルから前記キャップへ向け液体を空吐出させるフラッシング制御手段と、
    前記吸引手段を作動させて前記キャップ内の液体を排出させる空吸引制御手段と、
    前記空吸引制御手段により実行される空吸引の回数を計数する空吸引カウント手段を備え、
    前記空吸引制御手段は、第一の空吸引と、前記空吸引カウント手段により計数された前記第一の空吸引回数が所定回数に達した場合に実行される、吸引量が前記第一の空吸引よりも大きな第二の空吸引と、を実行可能に構成されていることを特徴とする、液体噴射装置。
  7. 請求項5または請求項6において、前記第一の空吸引の吸引量が、前記キャップの内部容積量と略等しい量であることを特徴とする、液体噴射装置。
  8. 請求項7において、前記第二の空吸引の吸引量が、前記キャップの内部容積量と前記吸引装置の内部容積量との合計量と略等しい量であることを特徴とする、液体噴射装置。
  9. 前記液体としてのインクを前記液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドから被噴射媒体としての被記録媒体に吐出して記録を行うインクジェット式記録装置である、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の液体噴射装置。
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