JP2004268160A - ロボットハンドおよびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロボットハンドによる把持物体の静止摩擦係数を正確に測定することができるロボットハンドおよびその制御方法を提供する。
【解決手段】把持物体Mを把持する2本の指部41,42を有し、この各指部の指体41a,42a,42bの接触部43に凹部43aを設け、この凹部内に、把持物体に作用する力を検出する力検出部51を設ける。凹部内で相対的に位置変位可能な力検出部を接触部表面に対して略垂直方向及び略平行方向に静電力発生部の静電力により駆動させかつ凹部内での力検出部の相対的な位置変位情報を検出する力検出部コントローラ52を設ける。この力検出部コントローラによる力検出部の略垂直方向及び略平行方向の駆動力情報並びに力検出部の位置変位情報に基づいて把持物体の静止摩擦係数を算出する摩擦係数算出部55と、この摩擦係数算出部からの情報に基づいて把持物体に適した把持力を算出する把持力算出部56とを有するメインコントローラ5を具備する。
【選択図】 図1
【解決手段】把持物体Mを把持する2本の指部41,42を有し、この各指部の指体41a,42a,42bの接触部43に凹部43aを設け、この凹部内に、把持物体に作用する力を検出する力検出部51を設ける。凹部内で相対的に位置変位可能な力検出部を接触部表面に対して略垂直方向及び略平行方向に静電力発生部の静電力により駆動させかつ凹部内での力検出部の相対的な位置変位情報を検出する力検出部コントローラ52を設ける。この力検出部コントローラによる力検出部の略垂直方向及び略平行方向の駆動力情報並びに力検出部の位置変位情報に基づいて把持物体の静止摩擦係数を算出する摩擦係数算出部55と、この摩擦係数算出部からの情報に基づいて把持物体に適した把持力を算出する把持力算出部56とを有するメインコントローラ5を具備する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、把持物体を把持するロボットハンドおよびその制御方法に関し、詳しくは、ロボットハンドによる未知の把持物体の静止摩擦係数を正確に測定し得る対策に係わる。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ロボットハンドやマニピュレータにより、未知の把持物体を把持しつつ持ち上げて搬送等を行うには、この把持物体がロボットハンドなどの把持力でつぶされず、かつ把持物体が滑り落ちないような力で把持する必要がある。このため、ロボットハンドなどで把持しつつ持ち上げようとしたときの把持物体の滑り変位や滑り速度を検出し、この検出情報をフィードバックして把持力を制御する方法や、把持物体の静止摩擦係数を測定して把持力を決定する方法などが考えられる。
【0003】
そして、従来、物体の静止摩擦係数を測定する方法としては、ロボットハンドに取り付けた物体と、測定対象となる物体との間での静止摩擦係数を測定することが行われている。このものでは、測定対象となる物体に対しロボットハンドに取り付けた物体をロボットハンドで押し付け、その押付力Nを物体(測定対象)に作用させた状態で、この押付力Nの作用方向とは異なる方向つまり物体(測定対象)に対しロボットハンドの物体がずれ動くような方向の力Fを、ロボットハンドによって物体同士の間に作用させる。そして、ロボットハンド(物体)が物体(測定対象)に対し力Fの方向に動いたか否かを、ロボットハンドに装着されている位置センサで検出し、ロボットハンドが動いた時の力Fと押付力Nに基づいて、物体同士の間の静止摩擦係数を算出する。
【0004】
上記の方法は、任意の物体同士の静止摩擦係数を測定する方法である。そこで、ロボットハンドが把持物体を把持するときに、上記の方法のようにしてロボットハンドと把持物体との間の静止摩擦係数μを測定する場合について考える。
【0005】
このとき、静止摩擦係数μは、物体の接触面に垂直に働く力をN、この力Nに対し垂直に作用して物体を滑らそうとする力をFとすると、
F=μ・N ・・・(1)
の関係で表される。
つまり、静止摩擦係数μが大きいと、接触面に垂直に働く力Nが小さくても物体を滑らそうとする力Fは大きい値が必要となる。よって、静止摩擦係数μが大きければ大きいほど滑りにくくなる。
【0006】
そこで、把持物体とロボットハンドとの間の静止摩擦係数μを測定するためには、図5の(a)に示すように、まず、ロボットハンドaの指部bを把持物体mに接触させる。なお、指部bが装着されている掌部やロボットハンドのアーム部は省略している。
【0007】
それから、静止摩擦係数μを測定するために、指部bを把持物体mに対してx方向に力Nを加えた後、把持物体mに対して滑るように指部bにy方向の力Fを加える。そして、指部bがy方向に動いたときの、x方向に押し付けている力Nと、y方向に加えた力Fとから、上記式(1)を用いて静止摩擦係数μを求める必要がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平3−49887号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述したような方法によりロボットハンドaの指部bによる把持物体mの静止摩擦係数μを測定する場合には、以下のような問題が生じる。
【0010】
すなわち、把持物体mへの押付力Nであるが、これは主にロボットハンドaに複数ある関節部(図示せず)が回転することによって把持物体mへの押付力Nが発生する。しかし、押付力Nを発生させるために駆動する関節部は複数あるので、各関節の駆動量から把持物体mへの押付力Nを計算しなければならず、正確な押付力Nを求めることは非常に困難である。
【0011】
そこで、ロボットハンドaの指部bによる把持物体mへの押付力Nを検出するために、図5の(b)に示すように、指部bにセンサcを装着して押付力Nを測定することが考えられる。このとき、指部bが把持物体mに接触していないときは、図5の(b)に示すように、センサcは指部bの表面から少し飛び出ている。この状態で、図5の(c)に示すように、指部bが把持物体mに接触すると、センサfにはx方向の力Nが作用するので、力Nは測定することができることになる。
【0012】
そして、指部bが把持物体mに対して滑るようなy方向に力Fを加え、指部bが動いたとき、センサcに対しy方向に作用している力Fから把持物体mとロボットハンドaとの間の静止摩擦係数μを求めることが行われる。
【0013】
しかし、図5の(c)にも示すように、センサcにはy方向の力Fが直接的に作用していないので、いくら指部bにy方向の力を加えても、指部bが動き出すまでセンサcが検出しているy方向の力の値は0である。そのため、ロボットハンドaの指部bがy方向に動き出す時の力Fも検出することができない。よって、ロボットハンドaの指部bを動かす方法では、正確な静止摩擦係数μを測定することができない。
【0014】
しかも、把持物体mが小さいとき、静止摩擦係数μを求めようとしてロボットハンドaの指部bをy方向に動かすと、把持物体mもy方向に動いてしまい、うまく把持物体mにy方向の力Fを作用することができないので、把持物体mの静止摩擦係数μを測定できない。
【0015】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ロボットハンドによる把持物体の静止摩擦係数を正確に測定することができるロボットハンドおよびその制御方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、把持対象となる把持物体を把持する少なくとも2本の指部を有し、この各指部に、把持物体に作用する力を検出する力検出部と、その把持物体に接触する接触部とを備えたロボットハンドを前提とする。そして、上記力検出部を上記接触部に対して相対的に位置変位可能に設け、この力検出部を上記接触部表面に対して略垂直方向および略平行方向に駆動しかつ上記接触部に対する力検出部の相対的な位置変位情報を検出する力検出部駆動手段を設ける。更に、上記力検出部駆動手段による力検出部の略垂直方向および略平行方向の駆動力情報並びに力検出部の位置変位情報に基づいて上記把持物体の静止摩擦係数を算出する摩擦係数算出部と、この摩擦係数算出部からの情報に基づいて上記把持物体に適した把持力を算出する把持力算出部とを有する制御手段を具備している。
【0017】
この特定事項により、接触部に対して相対的に位置変位可能な力検出部を接触部表面に対して略垂直方向および略平行方向に力検出部駆動手段により駆動させ、力検出部駆動手段による力検出部の略垂直方向および略平行方向の駆動力情報と力検出部の位置変位情報とに基づいて把持物体の静止摩擦係数を摩擦係数算出部により算出しているので、指部による押し付け方向のx方向(把持物体が押し付けられる方向)の力Nおよびy方向(把持物体がずれ動くような方向)の力Fが力検出部駆動手段によって的確に未知の把持物体(力検出部)に伝達される上、これらの力N,Fによって力検出部が動き出した際の位置変位情報が精度よく検出され、未知の把持物体の正確な静止摩擦係数μが測定されることになる。よって、摩擦係数算出部からの情報に基づいて未知の把持物体に適した把持力が算出され、未知の把持物体を確実に把持することが可能となる。
【0018】
しかも、未知の把持物体が小さくても、ロボットハンドの指部をy方向に動かした際に該把持物体をy方向に動かしてしまうことがなく、未知の把持物体にy方向の力Fを円滑に作用させて、未知の小さな把持物体の静止摩擦係数μを正確に測定することも可能となる。
【0019】
ここで、力検出部を指部の複数箇所に設けている場合には、ロボットハンドの指部による未知の把持物体の静止摩擦係数の分布状況を得ることが可能となる。
【0020】
また、複数の力検出部を少なくとも1つの指部に設けている場合には、指部により把持される箇所での未知の把持物体の静止摩擦係数が得られ、未知の把持物体の滑りを回避することが可能となる。
【0021】
そして、把持物体の形状を認識する形状認識手段を設けている場合には、形状認識手段により認識された未知の把持物体の形状と、未知の把持物体の静止摩擦係数とを組み合わせて、未知の把持物体の把持動作を決定することが可能となる。
【0022】
また、把持物体の重量を認識する重量認識手段を設けている場合には、重量認識手段により認識された未知の把持物体の重量と、未知の把持物体の静止摩擦係数とを組み合わせて、未知の把持物体の把持動作を決定することが可能となる。
【0023】
更に、力検出部駆動手段の静電力または磁力によって力検出部を駆動するようにしている場合には、力N,Fによって動き出す力検出部の位置変位情報がより精度よく検出され、未知の把持物体の正確な静止摩擦係数μをより正確に測定することが可能となる。
【0024】
次に、ロボットハンドの制御方法として、以下の構成が掲げられる。
【0025】
つまり、把持対象となる把持物体に作用する力を検出する力検出部とその把持物体に接触する接触部とを有してなる指部を少なくとも2本備えたロボットハンドの制御方法を前提とし、上記力検出部を上記接触部に対して相対的に位置変位可能にかつ上記接触部表面に対して略垂直方向および略平行方向に駆動させて、該力検出部の接触部に対する位置変位情報と力検出部の略垂直方向および略平行方向の駆動力情報を検出し、この検出された位置変位情報および駆動力情報に基づいて上記把持物体の静止摩擦係数を算出し、この算出された把持物体の静止摩擦係数に基づいて上記把持物体に適した把持力を決定し、この決定された把持力によってロボットハンドによる把持物体の把持を行うようにしている。
【0026】
この特定事項により、力N,Fによって力検出部が動き出した際の位置変位情報および力検出部の略垂直方向および略平行方向の駆動力情報に基づく精度のよい未知の把持物体の正確な静止摩擦係数μを取り入れた最適な把持力でロボットハンドを制御することが可能となる。
【0027】
ここで、ロボットハンドによる把持物体の把持が失敗したときに、把持力を所定量増加させて再度ロボットハンドによる把持物体の把持を行うようにしている場合には、未知の把持物体の把持に失敗しても、同じ失敗を繰り返すことなくその把持物体を確実に把持することが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1は、本発明に係わるロボットハンド全体の概略構成を示している。
【0030】
この図1において、ロボットハンド1は、ベース部11に基端が連結された第1アーム部21と、この第1アーム部21の先端に第1関節31を介して基端が連結された第2アーム部22と、この第2アーム部22の先端に第2関節32を介して基端が連結された第3アーム部23と、この第3アーム部23の先端に第3関節33を介して基端が連結された掌部4と、この掌部4の先端にそれぞれ基端が連結された第1および第2指部41,42とを備えている。第1および第2指部41,42は、掌部4に対し関節(図示せず)を介して連結され、互いの角度が広挟となる方向に可動するように、把持対象となる把持物体Mを把持する方向で対峙している。また、第1指部41は、中央付近に1つの関節(図示せず)を有して2つの指体41a,41bが連結され、この各指体41a,41bが折り曲げられるように構成されている。一方、第2指部42は、2つの関節(図示せず)を有して3つの指体42a〜42cが連結され、この各指体42a〜42cが折り曲げられるように構成されている。更に、掌部4は、第3関節33によって第3アーム部23に対しA軸回りの回転が可能となるように構成されている。そして、第1指部41の指体41a,41bおよび第2指部42の指体42a〜42cの腹側には、把持物体Mを把持する際に接触する接触部43,…が設けられている。また、第1指部41の先端側の指体41aの接触部43、並びに第2指部42の先端側の指体42aおよび中央の指体42bの接触部43,43の3箇所には、それぞれ把持物体Mに作用する力を検出する力検出部51,…が設けられている。
【0031】
また、上記ロボットハンド1は、上記各力検出部51からの信号を処理したり力検出部51を駆動させたりする力検出部駆動手段としての力検出部コントローラ52と、ロボットハンド1の各関節31〜33や第1および第2指部41,42(指体41a,41b,42a〜42c)の動作を制御するロボットハンドコントローラ53と、力検出部コントローラ52およびロボットハンドコントローラ53を制御する制御手段としてのメインコントローラ5とを備えている。
【0032】
そして、図2に示すように、各力検出部51は、接触部43に対して相対的に位置変位可能、つまり接触部43の表面に対して略垂直方向および略平行方向に位置変位可能に設けられている。この各力検出部51は、図3に示すように、接触部43の表面に略四角形状に凹設された凹部43a内において接触部43の表面に対する略垂直方向および略平行方向に駆動できるように十分な隙間を存して収容されている。そして、上記凹部43aの内壁には、力検出部51を駆動する静電力発生部54,…が設けられている。上記力検出部51は、電極であり、各静電力発生部54で発生した静電力によって凹部43a内を接触部43の表面に対する略垂直方向および略平行方向に自由に位置変位できるようになっている。また、各静電力発生部54で発生する静電力は、力検出部コントローラ52によって制御されている。この場合、力検出部51は、凹部43a内の所定の静電力発生部54に対し梁(図示せず)などによって連結されている。
【0033】
また、上記力検出部コントローラ52は、接触部43の凹部43a内における力検出部51の相対的な位置変位情報(接触部43の表面に対する略垂直方向および略平行方向の位置変位情報)を検出する機能も備えている。この力検出部コントローラ52では、力検出部51が動きだすと力Fが一定値で安定するため、その直前に力Fの値が大きくなって急に一定値になるその変わり目のときを、力検出部51が動いたときと判断している。この力検出部コントローラ52により検出された力検出部51の位置変位情報は、上記メインコントローラ5に出力される。
【0034】
更に、上記メインコントローラ5は、上記力検出部コントローラ52からの力検出部51の位置変位情報と上記各静電力発生部54による力検出部51の接触部43の表面に対する略垂直方向(把持物体Mに対し力検出部51を押し付ける方向)および略平行方向(接触部43の表面と略平行な方向)の駆動力情報とに基づいて把持物体Mの静止摩擦係数μを算出する摩擦係数算出部55と、この摩擦係数算出部55からの情報に基づいて把持物体Mに適した把持力を算出する把持力算出部56とを備えている。
【0035】
次に、ロボットハンド1の各指部41,42の力検出部51,…を用いて、その各指部41,42による把持物体Mの静止摩擦係数μを測定し、ロボットハンド1により把持物体Mの把持を行う制御の手順を図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0036】
まず、図4のフローチャートのステップS1において、各アーム部21〜23、掌部4および指部41,42をロボットハンドコントローラ53により駆動させ、各指部41,42の指体41a,42a,42bの接触部43にある力検出部51を把持物体Mにそれぞれ接触させる。それから、ステップS2で、力検出部コントローラ52により把持物体2に力Nを作用させるように各指体41a,42a,42bの接触部43の凹部43a内の静電力発生部54に静電力を発生させてそれぞれの力検出部51を把持物体Mに対し押し付ける方向に駆動する。
【0037】
次いで、ステップS3において、把持物体Mに対し各力検出部51を押し付ける方向の力Nを加えた状態のままで、力検出部コントローラ52により把持物体2と接触する接触部43の表面と略平行な方向の力Fを作用させるように接触部43の凹部43a内の静電力発生部54に静電力を発生させて各力検出部51を把持物体Mに対し滑らせるような方向に駆動させる。このとき、各力検出部51に作用する力Fの方向は、把持物体Mに対して力検出部51が滑るような方向であれば、図2に示す方向と逆でも良いし、図2の紙面と直交する方向であっても良い。この場合、力Fは力Nと垂直に交わる方向であれば、静止摩擦係数μを求めるときに計算が容易になる。
【0038】
その後、ステップS4で、各力検出部51が力Fの方向に動き出すまで力Fの大きさを徐々に大きくし、各力検出部51が接触部43の表面と略平行な方向に動いたか否かを力検出部コントローラ52により個別に検出する。このとき、力検出部51が接触部43の表面と略平行な方向に動きだすと力Fは一定値で安定するが、その直前の力Fの値が大きくなって急に一定値になるその変わり目のときを、力検出部51が動いたときと判断して力検出部51が動いたか否かを検出するようにしており、そのときの力検出部51の位置変位情報を、把持物体Mに対し力検出部51を押し付ける方向の力N(駆動力情報)および力検出部51が動いたときの接触部43の表面と略平行な方向の力F(駆動力情報)と共に摩擦係数算出部55に出力する。このとき、力Fを作用させて力検出部51がすぐに動いてしまって該力検出部51が動いたときの力Fを検出できなかったり、力Fを大きくしても力検出部51がなかなか動きださなかったりした場合は、把持物体Mに作用する力Nを強めたり弱めたり調節して測定すれば良い。
【0039】
そして、ステップS5において、把持物体Mに対し各力検出部51を押し付ける方向の力N、力検出部51が動いたときの接触部43の表面と略平行な方向の力Fおよびそのときの力検出部51の位置変位情報に基づき、上記式(1)を用いて各指体41a,42a,42bの接触部43での把持物体Mの静止摩擦係数μをそれぞれ算出する。この場合、各力検出部51の把持物体Mへの接触面側は、ロボットハンド1の接触部43の表面と同質にしておくと、上記方法で求めた静止摩擦係数μは、ロボットハンド1と把持物体Mとの間の静止摩擦係数μと特定することができる。
【0040】
その後、ステップS6において、各力検出部51ごとに算出した静止摩擦係数μから把持物体Mの静止摩擦係数μ分布を求める。それから、ステップS7で、各力検出部51による把持物体Mの接触箇所の静止摩擦係数μを確認する。このとき、各力検出部51による把持物体Mの接触箇所の静止摩擦係数μのうち、特に静止摩擦係数μが小さい値となった箇所については、その小さい値となった力検出部51の指体を指部ごと動かして把持物体Mへの接触箇所を変更して、静止摩擦係数μがより大きなところで把持物体Mを把持することも可能である。
【0041】
それから、ステップS8において、摩擦係数算出部55からの情報(各力検出部51による把持物体Mの接触箇所の静止摩擦係数μ)を把持力算出部56に出力し、この把持力算出部56により、摩擦係数算出部55からの情報に基づいて把持物体Mに適した把持力を決定する。その後、ステップS9で、把持力算出部56により決定した把持物体Mに適した把持力の情報をロボットハンドコントローラ53に出力し、ロボットハンド1の各関節31〜33や第1および第2指部41,42(指体41a,41b,42a〜42c)の動作を制御して把持物体Mを把持する。そして、ステップS10において、把持物体Mを落とすことなく把持できたか否かを判定し、把持物体Mを把持できなかったNOの場合には、ステップS11で、把持物体Mに対する把持力を増加させた後、上記ステップS9に戻る。
【0042】
したがって、上記実施形態では、接触部43に対して相対的に位置変位可能な力検出部51を接触部43の凹部43a内においてその表面に対し略垂直方向および略平行方向に力検出部コントローラ52による静電力発生部54での静電力の発生により駆動させ、力検出部コントローラ52による各力検出部51の略垂直方向および略平行方向の駆動力情報と力検出部51の位置変位情報とに基づいて把持物体Mの静止摩擦係数μを摩擦係数算出部55により算出しているので、指部41,42の指体41a,42a,42bによる把持物体Mに押し付けられる方向の力Nおよび把持物体Mがずれ動くような方向の力Fが力検出部コントローラ52によって的確に未知の把持物体M(各力検出部51)に伝達される上、これらの力N,Fによって各力検出部51が動き出した際の位置変位情報が精度よく検出され、未知の把持物体Mの正確な静止摩擦係数μを算出することができる。よって、摩擦係数算出部55からの情報(各力検出部51による把持物体Mの接触箇所の静止摩擦係数μ)に基づいて未知の把持物体Mに適した把持力を精度よく算出できる上、この把持物体Mの正確な静止摩擦係数μを取り入れた最適な把持力でロボットハンド1を制御することができる。
【0043】
しかも、未知の把持物体Mが小さくても、ロボットハンド1の指部41,42を接触部43の表面と平行な方向に動かした際に該把持物体Mを動かしてしまうことがなく、未知の把持物体Mにずれ動かす方向の力Fを円滑に作用させて、未知の小さな把持物体Mの静止摩擦係数μを正確に測定することもできる。
【0044】
また、把持物体Mを落とさない程度の最小限度の把持力で把持しているので、把持物体Mを把持した際に傷を付けることがなく、把持物体Mへの負担を最小限度に押さえることができる。
【0045】
そして、力検出部51が指部41,42の指体41a,42a,42bにそれぞれ設けられているので、ロボットハンド1の指部41,42による未知の把持物体Mの静止摩擦係数μの分布状況を得ることができ、把持物体Mを確実に把持する上で非常に有効なものとなる。
【0046】
また、力検出部51が第2指部42の指体42a、42bにそれぞれ設けられているので、第2指部42により把持される箇所での未知の把持物体Mの静止摩擦係数μが得られ、未知の把持物体Mの滑りを確実に回避することができる。
【0047】
そして、接触部43の凹部43a内における各静電力発生部54の静電力によって力検出部51を駆動しているので、力N,Fによって動き出す力検出部51の位置変位情報がより力検出部コントローラ52により精度よく検出され、未知の把持物体Mの正確な静止摩擦係数μをより正確に測定することができる。
【0048】
更に、把持物体Mを把持できなかったときに、把持物体Mに対する把持力を増加させて再度ロボットハンド1による把持物体Mの把持を行うようにしているので、未知の把持物体Mの把持に失敗しても、同じ失敗を繰り返すことなくその把持物体Mを確実に把持することができる。
【0049】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。例えば、上記実施形態では、把持物体Mの静止摩擦係数μに基づいてロボットハンド1による該把持物体Mの把持力を決定する手法を用いたが、把持物体の形状を認識する形状認識手段をロボットハンドに備えていてもよい。この場合には、形状認識手段により認識された未知の把持物体の形状と、上記手法による未知の把持物体の静止摩擦係数とを組み合わせて、未知の把持物体の把持動作を決定することができる。具体的には、把持物体の静止摩擦係数μが小さいと分かり、形状認識手段で形状も小さいと認識されれば、指部の先で摘んで把持すれば把持物体を滑り落とすことが予想されるので、掌部に置いて把持しようとか、形状と静止摩擦係数μを組み合わせる事によって把持動作の詳細な判断まで行うことが可能となる。
【0050】
また、把持物体Mの静止摩擦係数μに基づいてロボットハンド1による該把持物体Mの把持力を決定する手法に加え、把持物体の重量を認識する重量認識手段をロボットハンドに備えていてもよい。この場合には、重量認識手段により認識された未知の把持物体の重量と、上記手法による未知の把持物体の静止摩擦係数とを組み合わせて、未知の把持物体の把持動作を決定することができる。具体的には、上記の手法で検出した静止摩擦係数μと把持物体の重量を組み合わせて、その情報に適した把持動作を決定、例えば同じ形状で同じ静止摩擦係数μでも重量が大きければ把持力を大きくするなどの判断材料を加味して把持動作を決定することができる。
【0051】
そして、上記実施形態では、力検出部コントローラ52による静電力発生部54での静電力の発生により力検出部51を駆動させるようにしたが、その他の駆動力によって力検出部を駆動させるようにしてもよく、例えば、力検出部コントローラによる磁力発生部での磁力の発生により力検出部を駆動させるようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、接触部43の凹部43a内における力検出部51の相対的な位置変位情報を力検出部コントローラ52によって検出するようにしたが、力検出部の相対的な位置変位情報(接触部の表面に対する略垂直方向および略平行方向の位置変位情報)を検出する位置変位情報検出手段が別途設けられていてもよい。
【0053】
更に、上記実施形態では、力検出部51を第1指部41の指体41aおよび第2指部42の指体42a,42bの接触部43にそれぞれ設けたが、掌部、および他の指体の接触部にも設けられていてもよい。また、上記実施形態では、第1および第2指部41,42の2本のみを掌部4に設けたが、3本以上の指部が掌部に設けられていてもよいのはもちろんである。
【0054】
【発明の効果】
以上、説明したように、接触部に対して相対的に位置変位可能な力検出部を接触部表面に対して略垂直方向および略平行方向に力検出部駆動手段により駆動させ、力検出部駆動手段による力検出部の略垂直方向および略平行方向の駆動力情報と力検出部の位置変位情報とに基づいて把持物体の静止摩擦係数を摩擦係数算出部により算出することで、指部による押し付け方向の力Nおよび把持物体がずれ動くような方向の力Fを力検出部駆動手段によって的確に未知の把持物体に伝達し、これらの力N,Fによって力検出部が動き出した際の位置変位情報を精度よく検出して、未知の把持物体の正確な静止摩擦係数μを算出することができる上、未知の把持物体を確実に把持することができる。しかも、未知の把持物体が小さくても、ロボットハンドの指部をy方向に動かした際に該把持物体をy方向に動かしてしまうことがなく、未知の把持物体にy方向の力Fを円滑に作用させて、未知の小さな把持物体の静止摩擦係数μを正確に測定することもできる。
【0055】
そして、力検出部を指部の複数箇所に設けていることで、ロボットハンドの指部による未知の把持物体の静止摩擦係数の分布状況を得ることができる。
【0056】
また、複数の力検出部を少なくとも1つの指部に設けることで、指部により把持する箇所での未知の把持物体の静止摩擦係数を得れ、未知の把持物体の滑りを効果的に回避することができる。
【0057】
そして、把持物体の形状を認識する形状認識手段を設けることで、形状認識手段による未知の把持物体の形状と、未知の把持物体の静止摩擦係数とを組み合わせて、未知の把持物体の把持動作を決定することができる。
【0058】
また、把持物体の重量を認識する重量認識手段を設けることで、重量認識手段による未知の把持物体の重量と、未知の把持物体の静止摩擦係数とを組み合わせて、未知の把持物体の把持動作を決定することができる。
【0059】
更に、力検出部駆動手段の静電力または磁力によって力検出部を駆動させることで、力N,Fによって動き出す力検出部の位置変位情報をより精度よく検出し、未知の把持物体の正確な静止摩擦係数μをより正確に測定することができる。
【0060】
そして、接触部に対して相対的に位置変位可能な力検出部を接触部表面に対して略垂直方向および略平行方向に駆動させた際の力検出部の略垂直方向および略平行方向の駆動力情報と力検出部の位置変位情報とに基づいて把持物体の静止摩擦係数を算出し、これに基づいて把持物体に適した把持力を決定してロボットハンドにより把持物体を把持する制御を行うことで、力N,Fによって力検出部が動き出した際の位置変位情報および力検出部の略垂直方向および略平行方向の駆動力情報に基づく精度のよい未知の把持物体の正確な静止摩擦係数μを取り入れた最適な把持力でロボットハンドを制御することができる。
【0061】
また、ロボットハンドによる把持物体の把持が失敗したときに、把持力を所定量増加させて再度ロボットハンドによる把持物体の把持を行うことで、未知の把持物体の把持に失敗しても、同じ失敗を繰り返すことなくその把持物体を確実に把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係わるロボットハンドの概略構成図である。
【図2】力検出部により把持物体の静止摩擦係数を測定している状態を説明する第2指部の指体付近の説明図である。
【図3】指体の接触部の凹部の断面図である。
【図4】各指部による把持物体の静止摩擦係数より把持物体の把持力を決定する手順を示すフローチャート図である。
【図5】(a)は従来例に係わるロボットハンドによる把持物体の静止摩擦係数を測定する際にロボットハンドの指部を把持物体に接触させた状態を示す説明図である。(b)はその他の従来例に係わる指部にセンサを設けたロボットハンドにより把持物体の押付力を検出する際の説明図である。(c)は同じく指部を把持物体に接触させた状態でy方向の力Fを作用させた状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ロボットハンド
41 第1指部
42 第2指部
43 接触部
5 メインコントローラ(制御手段)
51 力検出部
52 力検出部コントローラ(力検出部駆動手段)
55 摩擦係数算出部
56 把持力算出部
M 把持物体
【発明の属する技術分野】
本発明は、把持物体を把持するロボットハンドおよびその制御方法に関し、詳しくは、ロボットハンドによる未知の把持物体の静止摩擦係数を正確に測定し得る対策に係わる。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ロボットハンドやマニピュレータにより、未知の把持物体を把持しつつ持ち上げて搬送等を行うには、この把持物体がロボットハンドなどの把持力でつぶされず、かつ把持物体が滑り落ちないような力で把持する必要がある。このため、ロボットハンドなどで把持しつつ持ち上げようとしたときの把持物体の滑り変位や滑り速度を検出し、この検出情報をフィードバックして把持力を制御する方法や、把持物体の静止摩擦係数を測定して把持力を決定する方法などが考えられる。
【0003】
そして、従来、物体の静止摩擦係数を測定する方法としては、ロボットハンドに取り付けた物体と、測定対象となる物体との間での静止摩擦係数を測定することが行われている。このものでは、測定対象となる物体に対しロボットハンドに取り付けた物体をロボットハンドで押し付け、その押付力Nを物体(測定対象)に作用させた状態で、この押付力Nの作用方向とは異なる方向つまり物体(測定対象)に対しロボットハンドの物体がずれ動くような方向の力Fを、ロボットハンドによって物体同士の間に作用させる。そして、ロボットハンド(物体)が物体(測定対象)に対し力Fの方向に動いたか否かを、ロボットハンドに装着されている位置センサで検出し、ロボットハンドが動いた時の力Fと押付力Nに基づいて、物体同士の間の静止摩擦係数を算出する。
【0004】
上記の方法は、任意の物体同士の静止摩擦係数を測定する方法である。そこで、ロボットハンドが把持物体を把持するときに、上記の方法のようにしてロボットハンドと把持物体との間の静止摩擦係数μを測定する場合について考える。
【0005】
このとき、静止摩擦係数μは、物体の接触面に垂直に働く力をN、この力Nに対し垂直に作用して物体を滑らそうとする力をFとすると、
F=μ・N ・・・(1)
の関係で表される。
つまり、静止摩擦係数μが大きいと、接触面に垂直に働く力Nが小さくても物体を滑らそうとする力Fは大きい値が必要となる。よって、静止摩擦係数μが大きければ大きいほど滑りにくくなる。
【0006】
そこで、把持物体とロボットハンドとの間の静止摩擦係数μを測定するためには、図5の(a)に示すように、まず、ロボットハンドaの指部bを把持物体mに接触させる。なお、指部bが装着されている掌部やロボットハンドのアーム部は省略している。
【0007】
それから、静止摩擦係数μを測定するために、指部bを把持物体mに対してx方向に力Nを加えた後、把持物体mに対して滑るように指部bにy方向の力Fを加える。そして、指部bがy方向に動いたときの、x方向に押し付けている力Nと、y方向に加えた力Fとから、上記式(1)を用いて静止摩擦係数μを求める必要がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平3−49887号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述したような方法によりロボットハンドaの指部bによる把持物体mの静止摩擦係数μを測定する場合には、以下のような問題が生じる。
【0010】
すなわち、把持物体mへの押付力Nであるが、これは主にロボットハンドaに複数ある関節部(図示せず)が回転することによって把持物体mへの押付力Nが発生する。しかし、押付力Nを発生させるために駆動する関節部は複数あるので、各関節の駆動量から把持物体mへの押付力Nを計算しなければならず、正確な押付力Nを求めることは非常に困難である。
【0011】
そこで、ロボットハンドaの指部bによる把持物体mへの押付力Nを検出するために、図5の(b)に示すように、指部bにセンサcを装着して押付力Nを測定することが考えられる。このとき、指部bが把持物体mに接触していないときは、図5の(b)に示すように、センサcは指部bの表面から少し飛び出ている。この状態で、図5の(c)に示すように、指部bが把持物体mに接触すると、センサfにはx方向の力Nが作用するので、力Nは測定することができることになる。
【0012】
そして、指部bが把持物体mに対して滑るようなy方向に力Fを加え、指部bが動いたとき、センサcに対しy方向に作用している力Fから把持物体mとロボットハンドaとの間の静止摩擦係数μを求めることが行われる。
【0013】
しかし、図5の(c)にも示すように、センサcにはy方向の力Fが直接的に作用していないので、いくら指部bにy方向の力を加えても、指部bが動き出すまでセンサcが検出しているy方向の力の値は0である。そのため、ロボットハンドaの指部bがy方向に動き出す時の力Fも検出することができない。よって、ロボットハンドaの指部bを動かす方法では、正確な静止摩擦係数μを測定することができない。
【0014】
しかも、把持物体mが小さいとき、静止摩擦係数μを求めようとしてロボットハンドaの指部bをy方向に動かすと、把持物体mもy方向に動いてしまい、うまく把持物体mにy方向の力Fを作用することができないので、把持物体mの静止摩擦係数μを測定できない。
【0015】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ロボットハンドによる把持物体の静止摩擦係数を正確に測定することができるロボットハンドおよびその制御方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、把持対象となる把持物体を把持する少なくとも2本の指部を有し、この各指部に、把持物体に作用する力を検出する力検出部と、その把持物体に接触する接触部とを備えたロボットハンドを前提とする。そして、上記力検出部を上記接触部に対して相対的に位置変位可能に設け、この力検出部を上記接触部表面に対して略垂直方向および略平行方向に駆動しかつ上記接触部に対する力検出部の相対的な位置変位情報を検出する力検出部駆動手段を設ける。更に、上記力検出部駆動手段による力検出部の略垂直方向および略平行方向の駆動力情報並びに力検出部の位置変位情報に基づいて上記把持物体の静止摩擦係数を算出する摩擦係数算出部と、この摩擦係数算出部からの情報に基づいて上記把持物体に適した把持力を算出する把持力算出部とを有する制御手段を具備している。
【0017】
この特定事項により、接触部に対して相対的に位置変位可能な力検出部を接触部表面に対して略垂直方向および略平行方向に力検出部駆動手段により駆動させ、力検出部駆動手段による力検出部の略垂直方向および略平行方向の駆動力情報と力検出部の位置変位情報とに基づいて把持物体の静止摩擦係数を摩擦係数算出部により算出しているので、指部による押し付け方向のx方向(把持物体が押し付けられる方向)の力Nおよびy方向(把持物体がずれ動くような方向)の力Fが力検出部駆動手段によって的確に未知の把持物体(力検出部)に伝達される上、これらの力N,Fによって力検出部が動き出した際の位置変位情報が精度よく検出され、未知の把持物体の正確な静止摩擦係数μが測定されることになる。よって、摩擦係数算出部からの情報に基づいて未知の把持物体に適した把持力が算出され、未知の把持物体を確実に把持することが可能となる。
【0018】
しかも、未知の把持物体が小さくても、ロボットハンドの指部をy方向に動かした際に該把持物体をy方向に動かしてしまうことがなく、未知の把持物体にy方向の力Fを円滑に作用させて、未知の小さな把持物体の静止摩擦係数μを正確に測定することも可能となる。
【0019】
ここで、力検出部を指部の複数箇所に設けている場合には、ロボットハンドの指部による未知の把持物体の静止摩擦係数の分布状況を得ることが可能となる。
【0020】
また、複数の力検出部を少なくとも1つの指部に設けている場合には、指部により把持される箇所での未知の把持物体の静止摩擦係数が得られ、未知の把持物体の滑りを回避することが可能となる。
【0021】
そして、把持物体の形状を認識する形状認識手段を設けている場合には、形状認識手段により認識された未知の把持物体の形状と、未知の把持物体の静止摩擦係数とを組み合わせて、未知の把持物体の把持動作を決定することが可能となる。
【0022】
また、把持物体の重量を認識する重量認識手段を設けている場合には、重量認識手段により認識された未知の把持物体の重量と、未知の把持物体の静止摩擦係数とを組み合わせて、未知の把持物体の把持動作を決定することが可能となる。
【0023】
更に、力検出部駆動手段の静電力または磁力によって力検出部を駆動するようにしている場合には、力N,Fによって動き出す力検出部の位置変位情報がより精度よく検出され、未知の把持物体の正確な静止摩擦係数μをより正確に測定することが可能となる。
【0024】
次に、ロボットハンドの制御方法として、以下の構成が掲げられる。
【0025】
つまり、把持対象となる把持物体に作用する力を検出する力検出部とその把持物体に接触する接触部とを有してなる指部を少なくとも2本備えたロボットハンドの制御方法を前提とし、上記力検出部を上記接触部に対して相対的に位置変位可能にかつ上記接触部表面に対して略垂直方向および略平行方向に駆動させて、該力検出部の接触部に対する位置変位情報と力検出部の略垂直方向および略平行方向の駆動力情報を検出し、この検出された位置変位情報および駆動力情報に基づいて上記把持物体の静止摩擦係数を算出し、この算出された把持物体の静止摩擦係数に基づいて上記把持物体に適した把持力を決定し、この決定された把持力によってロボットハンドによる把持物体の把持を行うようにしている。
【0026】
この特定事項により、力N,Fによって力検出部が動き出した際の位置変位情報および力検出部の略垂直方向および略平行方向の駆動力情報に基づく精度のよい未知の把持物体の正確な静止摩擦係数μを取り入れた最適な把持力でロボットハンドを制御することが可能となる。
【0027】
ここで、ロボットハンドによる把持物体の把持が失敗したときに、把持力を所定量増加させて再度ロボットハンドによる把持物体の把持を行うようにしている場合には、未知の把持物体の把持に失敗しても、同じ失敗を繰り返すことなくその把持物体を確実に把持することが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1は、本発明に係わるロボットハンド全体の概略構成を示している。
【0030】
この図1において、ロボットハンド1は、ベース部11に基端が連結された第1アーム部21と、この第1アーム部21の先端に第1関節31を介して基端が連結された第2アーム部22と、この第2アーム部22の先端に第2関節32を介して基端が連結された第3アーム部23と、この第3アーム部23の先端に第3関節33を介して基端が連結された掌部4と、この掌部4の先端にそれぞれ基端が連結された第1および第2指部41,42とを備えている。第1および第2指部41,42は、掌部4に対し関節(図示せず)を介して連結され、互いの角度が広挟となる方向に可動するように、把持対象となる把持物体Mを把持する方向で対峙している。また、第1指部41は、中央付近に1つの関節(図示せず)を有して2つの指体41a,41bが連結され、この各指体41a,41bが折り曲げられるように構成されている。一方、第2指部42は、2つの関節(図示せず)を有して3つの指体42a〜42cが連結され、この各指体42a〜42cが折り曲げられるように構成されている。更に、掌部4は、第3関節33によって第3アーム部23に対しA軸回りの回転が可能となるように構成されている。そして、第1指部41の指体41a,41bおよび第2指部42の指体42a〜42cの腹側には、把持物体Mを把持する際に接触する接触部43,…が設けられている。また、第1指部41の先端側の指体41aの接触部43、並びに第2指部42の先端側の指体42aおよび中央の指体42bの接触部43,43の3箇所には、それぞれ把持物体Mに作用する力を検出する力検出部51,…が設けられている。
【0031】
また、上記ロボットハンド1は、上記各力検出部51からの信号を処理したり力検出部51を駆動させたりする力検出部駆動手段としての力検出部コントローラ52と、ロボットハンド1の各関節31〜33や第1および第2指部41,42(指体41a,41b,42a〜42c)の動作を制御するロボットハンドコントローラ53と、力検出部コントローラ52およびロボットハンドコントローラ53を制御する制御手段としてのメインコントローラ5とを備えている。
【0032】
そして、図2に示すように、各力検出部51は、接触部43に対して相対的に位置変位可能、つまり接触部43の表面に対して略垂直方向および略平行方向に位置変位可能に設けられている。この各力検出部51は、図3に示すように、接触部43の表面に略四角形状に凹設された凹部43a内において接触部43の表面に対する略垂直方向および略平行方向に駆動できるように十分な隙間を存して収容されている。そして、上記凹部43aの内壁には、力検出部51を駆動する静電力発生部54,…が設けられている。上記力検出部51は、電極であり、各静電力発生部54で発生した静電力によって凹部43a内を接触部43の表面に対する略垂直方向および略平行方向に自由に位置変位できるようになっている。また、各静電力発生部54で発生する静電力は、力検出部コントローラ52によって制御されている。この場合、力検出部51は、凹部43a内の所定の静電力発生部54に対し梁(図示せず)などによって連結されている。
【0033】
また、上記力検出部コントローラ52は、接触部43の凹部43a内における力検出部51の相対的な位置変位情報(接触部43の表面に対する略垂直方向および略平行方向の位置変位情報)を検出する機能も備えている。この力検出部コントローラ52では、力検出部51が動きだすと力Fが一定値で安定するため、その直前に力Fの値が大きくなって急に一定値になるその変わり目のときを、力検出部51が動いたときと判断している。この力検出部コントローラ52により検出された力検出部51の位置変位情報は、上記メインコントローラ5に出力される。
【0034】
更に、上記メインコントローラ5は、上記力検出部コントローラ52からの力検出部51の位置変位情報と上記各静電力発生部54による力検出部51の接触部43の表面に対する略垂直方向(把持物体Mに対し力検出部51を押し付ける方向)および略平行方向(接触部43の表面と略平行な方向)の駆動力情報とに基づいて把持物体Mの静止摩擦係数μを算出する摩擦係数算出部55と、この摩擦係数算出部55からの情報に基づいて把持物体Mに適した把持力を算出する把持力算出部56とを備えている。
【0035】
次に、ロボットハンド1の各指部41,42の力検出部51,…を用いて、その各指部41,42による把持物体Mの静止摩擦係数μを測定し、ロボットハンド1により把持物体Mの把持を行う制御の手順を図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0036】
まず、図4のフローチャートのステップS1において、各アーム部21〜23、掌部4および指部41,42をロボットハンドコントローラ53により駆動させ、各指部41,42の指体41a,42a,42bの接触部43にある力検出部51を把持物体Mにそれぞれ接触させる。それから、ステップS2で、力検出部コントローラ52により把持物体2に力Nを作用させるように各指体41a,42a,42bの接触部43の凹部43a内の静電力発生部54に静電力を発生させてそれぞれの力検出部51を把持物体Mに対し押し付ける方向に駆動する。
【0037】
次いで、ステップS3において、把持物体Mに対し各力検出部51を押し付ける方向の力Nを加えた状態のままで、力検出部コントローラ52により把持物体2と接触する接触部43の表面と略平行な方向の力Fを作用させるように接触部43の凹部43a内の静電力発生部54に静電力を発生させて各力検出部51を把持物体Mに対し滑らせるような方向に駆動させる。このとき、各力検出部51に作用する力Fの方向は、把持物体Mに対して力検出部51が滑るような方向であれば、図2に示す方向と逆でも良いし、図2の紙面と直交する方向であっても良い。この場合、力Fは力Nと垂直に交わる方向であれば、静止摩擦係数μを求めるときに計算が容易になる。
【0038】
その後、ステップS4で、各力検出部51が力Fの方向に動き出すまで力Fの大きさを徐々に大きくし、各力検出部51が接触部43の表面と略平行な方向に動いたか否かを力検出部コントローラ52により個別に検出する。このとき、力検出部51が接触部43の表面と略平行な方向に動きだすと力Fは一定値で安定するが、その直前の力Fの値が大きくなって急に一定値になるその変わり目のときを、力検出部51が動いたときと判断して力検出部51が動いたか否かを検出するようにしており、そのときの力検出部51の位置変位情報を、把持物体Mに対し力検出部51を押し付ける方向の力N(駆動力情報)および力検出部51が動いたときの接触部43の表面と略平行な方向の力F(駆動力情報)と共に摩擦係数算出部55に出力する。このとき、力Fを作用させて力検出部51がすぐに動いてしまって該力検出部51が動いたときの力Fを検出できなかったり、力Fを大きくしても力検出部51がなかなか動きださなかったりした場合は、把持物体Mに作用する力Nを強めたり弱めたり調節して測定すれば良い。
【0039】
そして、ステップS5において、把持物体Mに対し各力検出部51を押し付ける方向の力N、力検出部51が動いたときの接触部43の表面と略平行な方向の力Fおよびそのときの力検出部51の位置変位情報に基づき、上記式(1)を用いて各指体41a,42a,42bの接触部43での把持物体Mの静止摩擦係数μをそれぞれ算出する。この場合、各力検出部51の把持物体Mへの接触面側は、ロボットハンド1の接触部43の表面と同質にしておくと、上記方法で求めた静止摩擦係数μは、ロボットハンド1と把持物体Mとの間の静止摩擦係数μと特定することができる。
【0040】
その後、ステップS6において、各力検出部51ごとに算出した静止摩擦係数μから把持物体Mの静止摩擦係数μ分布を求める。それから、ステップS7で、各力検出部51による把持物体Mの接触箇所の静止摩擦係数μを確認する。このとき、各力検出部51による把持物体Mの接触箇所の静止摩擦係数μのうち、特に静止摩擦係数μが小さい値となった箇所については、その小さい値となった力検出部51の指体を指部ごと動かして把持物体Mへの接触箇所を変更して、静止摩擦係数μがより大きなところで把持物体Mを把持することも可能である。
【0041】
それから、ステップS8において、摩擦係数算出部55からの情報(各力検出部51による把持物体Mの接触箇所の静止摩擦係数μ)を把持力算出部56に出力し、この把持力算出部56により、摩擦係数算出部55からの情報に基づいて把持物体Mに適した把持力を決定する。その後、ステップS9で、把持力算出部56により決定した把持物体Mに適した把持力の情報をロボットハンドコントローラ53に出力し、ロボットハンド1の各関節31〜33や第1および第2指部41,42(指体41a,41b,42a〜42c)の動作を制御して把持物体Mを把持する。そして、ステップS10において、把持物体Mを落とすことなく把持できたか否かを判定し、把持物体Mを把持できなかったNOの場合には、ステップS11で、把持物体Mに対する把持力を増加させた後、上記ステップS9に戻る。
【0042】
したがって、上記実施形態では、接触部43に対して相対的に位置変位可能な力検出部51を接触部43の凹部43a内においてその表面に対し略垂直方向および略平行方向に力検出部コントローラ52による静電力発生部54での静電力の発生により駆動させ、力検出部コントローラ52による各力検出部51の略垂直方向および略平行方向の駆動力情報と力検出部51の位置変位情報とに基づいて把持物体Mの静止摩擦係数μを摩擦係数算出部55により算出しているので、指部41,42の指体41a,42a,42bによる把持物体Mに押し付けられる方向の力Nおよび把持物体Mがずれ動くような方向の力Fが力検出部コントローラ52によって的確に未知の把持物体M(各力検出部51)に伝達される上、これらの力N,Fによって各力検出部51が動き出した際の位置変位情報が精度よく検出され、未知の把持物体Mの正確な静止摩擦係数μを算出することができる。よって、摩擦係数算出部55からの情報(各力検出部51による把持物体Mの接触箇所の静止摩擦係数μ)に基づいて未知の把持物体Mに適した把持力を精度よく算出できる上、この把持物体Mの正確な静止摩擦係数μを取り入れた最適な把持力でロボットハンド1を制御することができる。
【0043】
しかも、未知の把持物体Mが小さくても、ロボットハンド1の指部41,42を接触部43の表面と平行な方向に動かした際に該把持物体Mを動かしてしまうことがなく、未知の把持物体Mにずれ動かす方向の力Fを円滑に作用させて、未知の小さな把持物体Mの静止摩擦係数μを正確に測定することもできる。
【0044】
また、把持物体Mを落とさない程度の最小限度の把持力で把持しているので、把持物体Mを把持した際に傷を付けることがなく、把持物体Mへの負担を最小限度に押さえることができる。
【0045】
そして、力検出部51が指部41,42の指体41a,42a,42bにそれぞれ設けられているので、ロボットハンド1の指部41,42による未知の把持物体Mの静止摩擦係数μの分布状況を得ることができ、把持物体Mを確実に把持する上で非常に有効なものとなる。
【0046】
また、力検出部51が第2指部42の指体42a、42bにそれぞれ設けられているので、第2指部42により把持される箇所での未知の把持物体Mの静止摩擦係数μが得られ、未知の把持物体Mの滑りを確実に回避することができる。
【0047】
そして、接触部43の凹部43a内における各静電力発生部54の静電力によって力検出部51を駆動しているので、力N,Fによって動き出す力検出部51の位置変位情報がより力検出部コントローラ52により精度よく検出され、未知の把持物体Mの正確な静止摩擦係数μをより正確に測定することができる。
【0048】
更に、把持物体Mを把持できなかったときに、把持物体Mに対する把持力を増加させて再度ロボットハンド1による把持物体Mの把持を行うようにしているので、未知の把持物体Mの把持に失敗しても、同じ失敗を繰り返すことなくその把持物体Mを確実に把持することができる。
【0049】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。例えば、上記実施形態では、把持物体Mの静止摩擦係数μに基づいてロボットハンド1による該把持物体Mの把持力を決定する手法を用いたが、把持物体の形状を認識する形状認識手段をロボットハンドに備えていてもよい。この場合には、形状認識手段により認識された未知の把持物体の形状と、上記手法による未知の把持物体の静止摩擦係数とを組み合わせて、未知の把持物体の把持動作を決定することができる。具体的には、把持物体の静止摩擦係数μが小さいと分かり、形状認識手段で形状も小さいと認識されれば、指部の先で摘んで把持すれば把持物体を滑り落とすことが予想されるので、掌部に置いて把持しようとか、形状と静止摩擦係数μを組み合わせる事によって把持動作の詳細な判断まで行うことが可能となる。
【0050】
また、把持物体Mの静止摩擦係数μに基づいてロボットハンド1による該把持物体Mの把持力を決定する手法に加え、把持物体の重量を認識する重量認識手段をロボットハンドに備えていてもよい。この場合には、重量認識手段により認識された未知の把持物体の重量と、上記手法による未知の把持物体の静止摩擦係数とを組み合わせて、未知の把持物体の把持動作を決定することができる。具体的には、上記の手法で検出した静止摩擦係数μと把持物体の重量を組み合わせて、その情報に適した把持動作を決定、例えば同じ形状で同じ静止摩擦係数μでも重量が大きければ把持力を大きくするなどの判断材料を加味して把持動作を決定することができる。
【0051】
そして、上記実施形態では、力検出部コントローラ52による静電力発生部54での静電力の発生により力検出部51を駆動させるようにしたが、その他の駆動力によって力検出部を駆動させるようにしてもよく、例えば、力検出部コントローラによる磁力発生部での磁力の発生により力検出部を駆動させるようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、接触部43の凹部43a内における力検出部51の相対的な位置変位情報を力検出部コントローラ52によって検出するようにしたが、力検出部の相対的な位置変位情報(接触部の表面に対する略垂直方向および略平行方向の位置変位情報)を検出する位置変位情報検出手段が別途設けられていてもよい。
【0053】
更に、上記実施形態では、力検出部51を第1指部41の指体41aおよび第2指部42の指体42a,42bの接触部43にそれぞれ設けたが、掌部、および他の指体の接触部にも設けられていてもよい。また、上記実施形態では、第1および第2指部41,42の2本のみを掌部4に設けたが、3本以上の指部が掌部に設けられていてもよいのはもちろんである。
【0054】
【発明の効果】
以上、説明したように、接触部に対して相対的に位置変位可能な力検出部を接触部表面に対して略垂直方向および略平行方向に力検出部駆動手段により駆動させ、力検出部駆動手段による力検出部の略垂直方向および略平行方向の駆動力情報と力検出部の位置変位情報とに基づいて把持物体の静止摩擦係数を摩擦係数算出部により算出することで、指部による押し付け方向の力Nおよび把持物体がずれ動くような方向の力Fを力検出部駆動手段によって的確に未知の把持物体に伝達し、これらの力N,Fによって力検出部が動き出した際の位置変位情報を精度よく検出して、未知の把持物体の正確な静止摩擦係数μを算出することができる上、未知の把持物体を確実に把持することができる。しかも、未知の把持物体が小さくても、ロボットハンドの指部をy方向に動かした際に該把持物体をy方向に動かしてしまうことがなく、未知の把持物体にy方向の力Fを円滑に作用させて、未知の小さな把持物体の静止摩擦係数μを正確に測定することもできる。
【0055】
そして、力検出部を指部の複数箇所に設けていることで、ロボットハンドの指部による未知の把持物体の静止摩擦係数の分布状況を得ることができる。
【0056】
また、複数の力検出部を少なくとも1つの指部に設けることで、指部により把持する箇所での未知の把持物体の静止摩擦係数を得れ、未知の把持物体の滑りを効果的に回避することができる。
【0057】
そして、把持物体の形状を認識する形状認識手段を設けることで、形状認識手段による未知の把持物体の形状と、未知の把持物体の静止摩擦係数とを組み合わせて、未知の把持物体の把持動作を決定することができる。
【0058】
また、把持物体の重量を認識する重量認識手段を設けることで、重量認識手段による未知の把持物体の重量と、未知の把持物体の静止摩擦係数とを組み合わせて、未知の把持物体の把持動作を決定することができる。
【0059】
更に、力検出部駆動手段の静電力または磁力によって力検出部を駆動させることで、力N,Fによって動き出す力検出部の位置変位情報をより精度よく検出し、未知の把持物体の正確な静止摩擦係数μをより正確に測定することができる。
【0060】
そして、接触部に対して相対的に位置変位可能な力検出部を接触部表面に対して略垂直方向および略平行方向に駆動させた際の力検出部の略垂直方向および略平行方向の駆動力情報と力検出部の位置変位情報とに基づいて把持物体の静止摩擦係数を算出し、これに基づいて把持物体に適した把持力を決定してロボットハンドにより把持物体を把持する制御を行うことで、力N,Fによって力検出部が動き出した際の位置変位情報および力検出部の略垂直方向および略平行方向の駆動力情報に基づく精度のよい未知の把持物体の正確な静止摩擦係数μを取り入れた最適な把持力でロボットハンドを制御することができる。
【0061】
また、ロボットハンドによる把持物体の把持が失敗したときに、把持力を所定量増加させて再度ロボットハンドによる把持物体の把持を行うことで、未知の把持物体の把持に失敗しても、同じ失敗を繰り返すことなくその把持物体を確実に把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係わるロボットハンドの概略構成図である。
【図2】力検出部により把持物体の静止摩擦係数を測定している状態を説明する第2指部の指体付近の説明図である。
【図3】指体の接触部の凹部の断面図である。
【図4】各指部による把持物体の静止摩擦係数より把持物体の把持力を決定する手順を示すフローチャート図である。
【図5】(a)は従来例に係わるロボットハンドによる把持物体の静止摩擦係数を測定する際にロボットハンドの指部を把持物体に接触させた状態を示す説明図である。(b)はその他の従来例に係わる指部にセンサを設けたロボットハンドにより把持物体の押付力を検出する際の説明図である。(c)は同じく指部を把持物体に接触させた状態でy方向の力Fを作用させた状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ロボットハンド
41 第1指部
42 第2指部
43 接触部
5 メインコントローラ(制御手段)
51 力検出部
52 力検出部コントローラ(力検出部駆動手段)
55 摩擦係数算出部
56 把持力算出部
M 把持物体
Claims (9)
- 把持対象となる把持物体を把持する少なくとも2本の指部を有し、この各指部に、把持物体に作用する力を検出する力検出部と、その把持物体に接触する接触部とを備えたロボットハンドにおいて、
上記力検出部は、上記接触部に対して相対的に位置変位可能に設けられ、
この力検出部を上記接触部の表面に対して略垂直方向および略平行方向に駆動させ、かつ上記接触部に対する力検出部の相対的な位置変位情報を検出する力検出部駆動手段を備えており、
上記力検出部駆動手段による力検出部の略垂直方向および略平行方向の駆動力情報並びに力検出部の位置変位情報に基づいて上記把持物体の静止摩擦係数を算出する摩擦係数算出部と、この摩擦係数算出部からの情報に基づいて上記把持物体に適した把持力を算出する把持力算出部とを有する制御手段を具備していることを特徴とするロボットハンド。 - 上記請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
力検出部は、指部の複数箇所に設けられていることを特徴とするロボットハンド。 - 上記請求項2に記載のロボットハンドにおいて、
複数の力検出部は、少なくとも1つの指部に設けられていることを特徴とするロボットハンド。 - 上記請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のロボットハンドにおいて、
把持物体の形状を認識する形状認識手段を備えていることを特徴とするロボットハンド。 - 上記請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のロボットハンドにおいて、
把持物体の重量を認識する重量認識手段を備えていることを特徴とするロボットハンド。 - 上記請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載のロボットハンドにおいて、
力検出部駆動手段は、力検出部を静電力で駆動するようにしていることを特徴とするロボットハンド。 - 上記請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載のロボットハンドにおいて、
力検出部駆動手段は、力検出部を磁力で駆動するようにしていることを特徴とするロボットハンド。 - 把持対象となる把持物体に作用する力を検出する力検出部とその把持物体に接触する接触部とを有してなる指部を少なくとも2本備えたロボットハンドの制御方法であって、
上記力検出部を上記接触部に対して相対的に位置変位可能にかつ上記接触部表面に対して略垂直方向および略平行方向に駆動させて、該力検出部の接触部に対する位置変位情報と力検出部の略垂直方向および略平行方向の駆動力情報を検出し、
この検出された位置変位情報および駆動力情報に基づいて上記把持物体の静止摩擦係数を算出し、
この算出された把持物体の静止摩擦係数に基づいて上記把持物体に適した把持力を決定し、
この決定された把持力によってロボットハンドによる把持物体の把持を行うようにしていることを特徴とするロボットハンドの制御方法。 - 上記請求項8に記載のロボットハンドの制御方法において、
ロボットハンドによる把持物体の把持が失敗したときに、把持力を所定量増加させて再度ロボットハンドによる把持物体の把持を行うようにしていることを特徴とするロボットハンドの制御方法。
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