JP2004265656A - プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】パネル輝度を確保しつつ、蛍光体層からの不純ガスの放出を抑制することで、高輝度で放電特性が安定なPDP、およびその製造方法を実現することを目的とする。
【解決手段】蛍光体層14R、14G、14Bの放電空間15に面する表層に、酸化物あるいは弗化物からなる無機材料のオーバーコート層17を形成する。
これにより、蛍光体層14R、14G、14B中に吸蔵されている不純ガスが、放電によって生じる荷電粒子が蛍光体層に衝突することで脱離するのを抑制することができ、且つ、オーバーコート層17の透過率は高いので、パネル輝度も確保できる。
【選択図】 図1
【解決手段】蛍光体層14R、14G、14Bの放電空間15に面する表層に、酸化物あるいは弗化物からなる無機材料のオーバーコート層17を形成する。
これにより、蛍光体層14R、14G、14B中に吸蔵されている不純ガスが、放電によって生じる荷電粒子が蛍光体層に衝突することで脱離するのを抑制することができ、且つ、オーバーコート層17の透過率は高いので、パネル輝度も確保できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、文字あるいは画像表示用のカラーテレビジョン受像機やディスプレイ等に使用するプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記載する)、およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータやテレビなどの画像表示に用いられているカラー表示デバイスにおいて、PDPを用いたプラズマディスプレイ装置は、大型で薄型軽量を実現することのできるカラー表示デバイスとして注目されている。
【0003】
プラズマディスプレイ装置は、いわゆる3原色(赤、緑、青)を加法混色することにより、フルカラー表示を行っている。このフルカラー表示を行うために、PDPには3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)の各色を発光する蛍光体層が備えられ、この蛍光体層を構成する蛍光体材料は、PDPの放電セル内で発生する紫外線により励起され、各色の可視光を生成している。
【0004】
図3は従来の、交流型(AC型)のPDPの概略構成を示す断面斜視図である。
【0005】
PDP1の前面板2は、表示面側の、例えばガラスのような、透明、且つ絶縁性の基板3上に走査電極4と維持電極5とからなる表示電極6と、低融点ガラスからなる誘電体層7と、MgOからなる保護層8とを備える。ここで、走査電極4および維持電極5は、電気抵抗の低減と透光性確保のために、ITOまたは酸化スズ(SnO2)などの透明導電性材料からなる透明電極4a、5aに、金属材料からなるバス電極4b、5bを順次積層した構成としている。
【0006】
一方、背面板9は、背面側の、例えばガラスのような、透明、且つ絶縁性の基板10上に、アドレス電極11と、低融点ガラスからなる誘電体層12と、隣接するアドレス電極11間の誘電体層12上に相当する位置に、ガラスを主成分とする隔壁13と、隔壁13間に、カラー表示のための3色(赤:R、緑:G、青:B)の蛍光体層14R、14G、14Bとを備える。
【0007】
そして、前面板2と背面板9とは、表示電極6およびアドレス電極11とが直交するように放電空間15を挟んで対向配置して貼り合わされている。すなわち、前面板2と背面板9とは、画像表示領域の外側に低融点ガラス材料からなるシール材を形成し、450℃〜500℃に加熱してシール材としての低融点ガラス材料を溶かすことで接着し気密封止している。
【0008】
その後、PDP1内部を300℃〜400℃に加熱しながら真空排気する、いわゆる排気ベーキングを行い、その後、放電空間15に、放電ガスとして、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノンのうち、少なくとも1種類の希ガスを所定の圧力で封入する。
【0009】
以上により、隔壁13によって仕切られ、表示電極6とアドレス電極11との交差部の放電空間15が放電セル16として動作する(例えば、非特許文献1参照)。
【0010】
【非特許文献1】
内池平樹、御子柴茂生共著、「プラズマディスプレイのすべて」、(株)工業調査会、1997年5月1日、p79−p80
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
PDP駆動時には、放電によって発生した荷電粒子は放電セル16内のあらゆる部位に衝突する。図3に示すように、放電セル16内の放電空間15に面しているのは保護層8と蛍光体層14R、14G、14Bであり、その表面積は、放電セル16のサイズ、形状によっても異なるが、保護層8に対し蛍光体層14R、14G、14Bの表面積は概ね1.5〜4倍になる。すなわち、放電により発生する荷電粒子の60〜80%は、蛍光体層14R、14G、14Bに衝突することになる。
【0012】
ここで、PDP1では、蛍光体層14R、14G、14Bは、蛍光体材料を含有した蛍光体インクを用いて、スクリーン印刷法あるいはインクジェット法などにより塗布した後、蛍光体インクの分散剤として用いられている樹脂成分を除去するための焼成を行うことで形成される。しかしながら、現状使用されている蛍光体材料の粒径は、概ね1〜3μmで比表面積が大きく、したがって、蛍光体層14R、14G、14B中には、水や炭化水素系物質などが除去できずに残った状態となる場合がある。
【0013】
そのような状態で、放電により発生した荷電粒子が、蛍光体層14R、14G、14Bに衝突すると、蛍光体層14R、14G、14B中に残っている水や炭化水素系物質などが叩き出されることとなり、その結果、不純ガスとして脱離することとなる。そして、脱離した不純ガスは、一旦、放電空間15中に浮遊し、その後、蛍光体層14R、14G、14B表面に再付着したり、前面板2の保護層8に吸着されたりする。
【0014】
ここで、保護層8に水や炭化水素系の不純ガスが吸着すると、放電特性が変化する。具体的には、放電遅れ時間が変化し、点灯させるセルを選択するアドレス放電で所定の時間内に放電できなくなるといった不具合が生じる。
【0015】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、パネル輝度を確保しつつ、蛍光体層からの不純ガスの放出を抑制することで、高輝度で放電特性が安定なPDP、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のプラズマディスプレイパネルは、紫外線により励起して発光する蛍光体層を有するプラズマディスプレイパネルにおいて、蛍光体層の表層を無機材料からなるオーバーコート層で覆ったことを特徴とするものである。
【0017】
また、上記目的を達成するために、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、紫外線により励起して発光する蛍光体層により蛍光体層を形成した後、蛍光体層の表層を覆う無機材料からなるオーバーコート層を、真空成膜法により形成することを特徴とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、紫外線により励起して発光する蛍光体層を有するプラズマディスプレイパネルにおいて、蛍光体層の表層を無機材料からなるオーバーコート層で覆ったことを特徴とするプラズマディスプレイパネルである。
【0019】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、オーバーコート層は、紫外線透過率が90%以上であることを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、オーバーコート層は、可視光透過率が95%以上であることを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の発明において、オーバーコート層は、膜厚が2μm以下であることを特徴とするものである。
【0022】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の発明において、オーバーコート層は、酸化物あるいは弗化物からなることを特徴とするものである。
【0023】
また、請求項6に記載の発明は、紫外線により励起して発光する蛍光体層により蛍光体層を形成した後、蛍光体層の表層を覆う無機材料からなるオーバーコート層を、真空成膜法により形成することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
【0024】
以下、本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルについて、図1〜図2を参照して説明する。なお、図1、図2においては、図3に示したものと同じ構成部品には同じ番号を付している。
【0025】
図1は、本発明の一実施の形態によるPDPの概略構成を示す断面斜視図である。PDP1の前面板2は、表示面側の、例えばガラスのような、透明、且つ絶縁性の基板3上に走査電極4と維持電極5とからなる表示電極6と、酸化鉛(PbO)または酸化ビスマス(Bi2O3)または酸化燐(PO4)を主成分とする低融点ガラス(厚み40μm)からなる誘電体層7と、プラズマによる損傷から誘電体層7を保護する、MgOからなる保護層8(厚み:500nm)とを備える。ここで、走査電極4および維持電極5は、電気抵抗の低減と透光性確保のために、ITOまたは酸化スズ(SnO2)などの透明導電性材料からなる透明電極4a、5aに、バス電極4b、5bとして、銀(Ag)厚膜(厚み:2μm〜10μm)、アルミニウム(Al)薄膜(厚み:0.1μm〜1μm)、またはCr/Cu/Cr積層薄膜(厚み:0.1μm〜1μm)を順次積層した構成となっている。また、誘電体層7は、スクリーン印刷、またはダイコート印刷、またはフィルムラミネート法により形成される。また、保護層8は、電子ビーム蒸着法、またはイオンプレーティング法、またはスパッタ法により形成される。
【0026】
一方、背面板9は、背面側の、例えばガラスのような、透明、且つ絶縁性の基板10上に、銀(Ag)厚膜(厚み:2μm〜10μm)、アルミニウム(Al)薄膜(厚み:0.1μm〜1μm)またはCr/Cu/Cr積層薄膜(厚み:0.1μm〜1μm)からなるアドレス電極11と、酸化鉛(PbO)、または酸化ビスマス(Bi2O3)、または酸化燐(PO4)を主成分とする低融点ガラス(厚み:5μm〜20μm)からなる誘電体層12と、隣接するアドレス電極11間の誘電体層12上に相当する位置に、ガラスを主成分とする隔壁13と、隔壁13間の、誘電体層12の表面上と隔壁13の側面上に、カラー表示のための3色(赤:R、緑:G、青:B)の蛍光体層14R、14G、14Bと、そして蛍光体層14R、14G、14Bの表層を覆う無機材料からなるオーバーコート層17とを備えている。ここで、誘電体層12は、蛍光体層14R、14G、14Bの背面板9での密着性を向上させるためのものであり、PDP1の動作に不可欠というものではない。
【0027】
蛍光体層14R、14G、14Bを構成する蛍光体材料は、例えば、赤色蛍光体材料として、(YxGd1−x)BO3:Eu3+、また、緑色蛍光体材料として、Zn2SiO4:Mn、そして青色蛍光体材料として、BaMgAl10O17:Eu2+である。これらの蛍光体材料は、5%〜10%のエチルセルロース、あるいはニトロセルロースを含んだα−ターピネオールなどの有機溶媒中に混合分散して得られたペーストをスクリーン印刷またはラインジェットによって隔壁13間に塗布し、500℃〜550℃で焼成することで形成する。
【0028】
そして、前面板2と背面板9とは、表示電極6およびアドレス電極11とが直交するように放電空間15を挟んで対向配置して貼り合わされている。すなわち、前面板2と背面板9とは、画像表示領域の外側に低融点ガラス材料からなるシール材を形成し、450℃〜500℃に加熱してシール材としての低融点ガラス材料を溶かすことで接着し気密封止している。
【0029】
その後、PDP1内部を300℃〜400℃に加熱しながら真空排気する、いわゆる排気ベーキングを行い、その後、放電空間15に、放電ガスとして、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノンのうち、少なくとも1種類の希ガスを所定の圧力で封入する。
【0030】
以上により、隔壁13によって仕切られ、表示電極6とアドレス電極11との交差部の放電空間15が放電セル16として動作する。
【0031】
そしてPDP1の駆動時には、図2の駆動装置のブロック図に示すように、パネル駆動回路を、PDP1の走査電極4、維持電極5、およびアドレス電極11に対して、それぞれ、スキャンドライバ、サステインドライバ、データドライバを介して接続し、点灯させようとする放電セル16の走査電極4とアドレス電極11間に電圧を印加してアドレス放電を行った後に、走査電極4と維持電極5間にパルス電圧を印加して維持放電を行う。そして、当該放電セル16での放電に伴って紫外線を発生させ、これを蛍光体層14R、14G、14Bにより可視光に変換する。このようにして放電セル16を点灯させることによって、画像を表示する。
【0032】
ここで、上述した本実施の形態によるPDP1での特徴的な点は、蛍光体層14R、14G、14Bの表層を覆う無機材料からなるオーバーコート層17とを備えていることであり、オーバーコート層17は、蛍光体層14R、14G、14Bが放電空間15に面する表層に均一に形成されている。
【0033】
オーバーコート層17は、放電によって発生する荷電粒子の衝突を受けた時、荷電粒子が直接蛍光体に衝突しないようにバリアすることで、蛍光体層14R、14G、14B中に吸蔵している不純ガスの脱離を防ぐためのものである。したがって、オーバーコート層17は、蛍光体層14R、14G、14Bの表層に均一な膜厚で形成し、隙間ができないようにすることが望ましいが、厚すぎるとオーバーコート層17自体の紫外線透過率、および可視光透過率が低下してしまい、放電によって発生する紫外線の一部がオーバーコート層17で吸収され、蛍光体層14R、14G、14Bに到達する紫外線量が減少してしまうとともに、蛍光体層14R、14G、14Bの発光自体も、オーバーコート層17に一部吸収されてしまい、トータルとして、取り出すことのできる光量が大きく減少してしまうことになる。すなわち、オーバーコート層17は、薄すぎて島状にならないような、且つ、紫外線透過率、可視光透過率が劣化しないような、適当な膜厚とすることが必要である。
【0034】
また、PDPでは、147nmという、非常に短い波長の紫外線が発生しており、この波長における紫外線透過率を高めるためには、オーバーコート層17の材料としては、酸化物あるいは弗化物であることが望ましい。
【0035】
また、オーバーコート層17を形成する際の下地となる蛍光体層14R、14G、14Bは、基板10の面からの高低差として、100μm程度あり、このような平坦性に欠ける下地面に、均一に成膜するためには、印刷法やインクジェット法などのような、インクを用いて形成する方法だと、重力の影響で放電セル16の側面と底部とに対して均一に形成することは難しい。これを均一に形成するには、重力の影響を受けない真空成膜方法が適している。本発明者らが行った検討により、真空成膜方法によれば、放電セル16がいかなる形状であっても、オーバーコート層17は、放電セル16の側面と底部とに対して、均一に形成することができることを確認した。
【0036】
なお、以上説明した本発明の実施の形態はあくまでも一例であり、本発明の実施の形態は上述の構成に限定されるものではない。
【0037】
以下に、本発明の効果を確認するために、実際にPDPを作製して評価した結果を示す。
【0038】
(実施例)
画面サイズ42インチのテレビ用のPDPとして、隔壁13の高さを0.1mm、隔壁13の間隔を0.36mmに設定し、上述した実施の形態に基づいて、いくつかの構成のオーバーコート層17を形成したPDP1を作製し、その効果について検証した。作製したパネルの一覧を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
パネル番号1から8のPDPは、本発明によるPDPであり、パネル番号9のPDPは、比較のための、従来のPDPである。
【0041】
パネル番号1から4のPDPは、蛍光体層14R、14G、14B上のオーバーコート層17として、SiO2を用い、その膜厚を変化させたものである。また、パネル番号5から8のPDPは、オーバーコート層17の膜厚は1μmで一定とし、材料を変えたものである。また、パネル番号9のPDPは、オーバーコート層17を有しない従来の構成のものである。
【0042】
以上のパネル番号1〜9のPDPに対する評価項目としては、オーバーコート層17の紫外線透過率と可視光透過率、各色のパネル輝度、およびガスレベルの4項目である。
【0043】
透過率の測定は、背面板9にオーバーコート層17を形成する際に、表面が平坦な石英基板にも同時に成膜し、それに対して実施した。
【0044】
また、ガスレベルの評価は、PDP完成直後の、初期状態における放電遅れ時間(Ts1)と、連続駆動を所定時間行った後の、放電遅れ時間(Ts2)とをそれぞれ測定し、放電遅れ時間の変化率(Ts2−Ts1)/Ts1により評価した。これは、放電遅れ時間の変化は、保護層8に対する不純ガスの吸着量に関係し、これは、放電による不純ガスの脱離の量、すなわち、ガスレベルと関係していると考えられるからである。
【0045】
パネル番号1〜4の結果より、オーバーコート層17が同じSiO2である場合、膜厚により紫外線透過率が変化し、パネル輝度に影響していることが判る。すなわち、高輝度を得るためには、オーバーコート層17はできるだけ薄くすることが望ましい。一方、ガスレベルの観点から見れば、オーバーコート層17は厚い方が良いことが判る。すなわち、オーバーコート層17が100nm程度に薄いと、ガスレベルは非常に悪く、オーバーコート層17の効果はほとんど得られていないと考えられるからである。
【0046】
パネル番号1〜4のPDPにおけるオーバーコート層17の状態を調べるために、PDPを割断し、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて蛍光体層14R、14G、14Bの観察を行った。蛍光体層14R、14G、14Bを断面から観察すると、いずれの場合も蛍光体層14R、14G、14Bの表面の粒子にはオーバーコート層17が比較的均一に形成されていた。しかしながら、オーバーコート層17表面から観察すると、オーバーコート層17の膜厚が厚い場合には、蛍光体層14R、14G、14Bを覆うようにオーバーコート層17が形成されているが、膜厚が薄い場合には、ところどころに穴が存在した状態となっているように見えた。蛍光体層14R、14G、14Bは、多数の蛍光体材料の粒子が充填されているため、その最表面の表面粗さは、比較的粗くなっている。したがって、真空成膜法で形成した場合、その形成膜厚が薄い場合には、蛍光体材料の粒子表面にはオーバーコート層17を形成できても、粒子間の隙間を埋めることはできず、その結果、放電に曝された時には、蛍光体層14R、14G、14B内部に含まれていた不純ガスが脱離して放電空間15に放出されるものと考えられる。
【0047】
次に、パネル番号5〜8の結果より、オーバーコート層17の膜厚はすべて1000nmの場合、いずれの材料の場合も、紫外線透過率は高く、オーバーコート層17として適していることが判る。中でも、パネル番号7および8で示すように、オーバーコート層17の材料として弗化物を用いると、透過率が非常に高くなり、パネル輝度が高くなり好ましいことが判る。
【0048】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、蛍光体層の表層に無機材料からなるオーバーコート層を形成することで、パネル輝度を確保しつつ、蛍光体層からの不純ガスの放出を抑制することができ、高輝度で放電特性が安定なPDP、およびその製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す断面斜視図
【図2】本発明のプラズマディスプレイパネルの駆動装置を示すブロック図
【図3】従来のプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す断面斜視図
【符号の説明】
1 プラズマディスプレイパネル
2 前面板
3 基板
4 走査電極
5 維持電極
6 表示電極
7 誘電体層
8 保護層
9 背面板
10 基板
11 アドレス電極
12 誘電体層
13 隔壁
14R 蛍光体層(赤)
14G 蛍光体層(緑)
14B 蛍光体層(青)
15 放電空間
16 放電セル
17 オーバーコート層
【発明の属する技術分野】
本発明は、文字あるいは画像表示用のカラーテレビジョン受像機やディスプレイ等に使用するプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記載する)、およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータやテレビなどの画像表示に用いられているカラー表示デバイスにおいて、PDPを用いたプラズマディスプレイ装置は、大型で薄型軽量を実現することのできるカラー表示デバイスとして注目されている。
【0003】
プラズマディスプレイ装置は、いわゆる3原色(赤、緑、青)を加法混色することにより、フルカラー表示を行っている。このフルカラー表示を行うために、PDPには3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)の各色を発光する蛍光体層が備えられ、この蛍光体層を構成する蛍光体材料は、PDPの放電セル内で発生する紫外線により励起され、各色の可視光を生成している。
【0004】
図3は従来の、交流型(AC型)のPDPの概略構成を示す断面斜視図である。
【0005】
PDP1の前面板2は、表示面側の、例えばガラスのような、透明、且つ絶縁性の基板3上に走査電極4と維持電極5とからなる表示電極6と、低融点ガラスからなる誘電体層7と、MgOからなる保護層8とを備える。ここで、走査電極4および維持電極5は、電気抵抗の低減と透光性確保のために、ITOまたは酸化スズ(SnO2)などの透明導電性材料からなる透明電極4a、5aに、金属材料からなるバス電極4b、5bを順次積層した構成としている。
【0006】
一方、背面板9は、背面側の、例えばガラスのような、透明、且つ絶縁性の基板10上に、アドレス電極11と、低融点ガラスからなる誘電体層12と、隣接するアドレス電極11間の誘電体層12上に相当する位置に、ガラスを主成分とする隔壁13と、隔壁13間に、カラー表示のための3色(赤:R、緑:G、青:B)の蛍光体層14R、14G、14Bとを備える。
【0007】
そして、前面板2と背面板9とは、表示電極6およびアドレス電極11とが直交するように放電空間15を挟んで対向配置して貼り合わされている。すなわち、前面板2と背面板9とは、画像表示領域の外側に低融点ガラス材料からなるシール材を形成し、450℃〜500℃に加熱してシール材としての低融点ガラス材料を溶かすことで接着し気密封止している。
【0008】
その後、PDP1内部を300℃〜400℃に加熱しながら真空排気する、いわゆる排気ベーキングを行い、その後、放電空間15に、放電ガスとして、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノンのうち、少なくとも1種類の希ガスを所定の圧力で封入する。
【0009】
以上により、隔壁13によって仕切られ、表示電極6とアドレス電極11との交差部の放電空間15が放電セル16として動作する(例えば、非特許文献1参照)。
【0010】
【非特許文献1】
内池平樹、御子柴茂生共著、「プラズマディスプレイのすべて」、(株)工業調査会、1997年5月1日、p79−p80
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
PDP駆動時には、放電によって発生した荷電粒子は放電セル16内のあらゆる部位に衝突する。図3に示すように、放電セル16内の放電空間15に面しているのは保護層8と蛍光体層14R、14G、14Bであり、その表面積は、放電セル16のサイズ、形状によっても異なるが、保護層8に対し蛍光体層14R、14G、14Bの表面積は概ね1.5〜4倍になる。すなわち、放電により発生する荷電粒子の60〜80%は、蛍光体層14R、14G、14Bに衝突することになる。
【0012】
ここで、PDP1では、蛍光体層14R、14G、14Bは、蛍光体材料を含有した蛍光体インクを用いて、スクリーン印刷法あるいはインクジェット法などにより塗布した後、蛍光体インクの分散剤として用いられている樹脂成分を除去するための焼成を行うことで形成される。しかしながら、現状使用されている蛍光体材料の粒径は、概ね1〜3μmで比表面積が大きく、したがって、蛍光体層14R、14G、14B中には、水や炭化水素系物質などが除去できずに残った状態となる場合がある。
【0013】
そのような状態で、放電により発生した荷電粒子が、蛍光体層14R、14G、14Bに衝突すると、蛍光体層14R、14G、14B中に残っている水や炭化水素系物質などが叩き出されることとなり、その結果、不純ガスとして脱離することとなる。そして、脱離した不純ガスは、一旦、放電空間15中に浮遊し、その後、蛍光体層14R、14G、14B表面に再付着したり、前面板2の保護層8に吸着されたりする。
【0014】
ここで、保護層8に水や炭化水素系の不純ガスが吸着すると、放電特性が変化する。具体的には、放電遅れ時間が変化し、点灯させるセルを選択するアドレス放電で所定の時間内に放電できなくなるといった不具合が生じる。
【0015】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、パネル輝度を確保しつつ、蛍光体層からの不純ガスの放出を抑制することで、高輝度で放電特性が安定なPDP、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のプラズマディスプレイパネルは、紫外線により励起して発光する蛍光体層を有するプラズマディスプレイパネルにおいて、蛍光体層の表層を無機材料からなるオーバーコート層で覆ったことを特徴とするものである。
【0017】
また、上記目的を達成するために、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、紫外線により励起して発光する蛍光体層により蛍光体層を形成した後、蛍光体層の表層を覆う無機材料からなるオーバーコート層を、真空成膜法により形成することを特徴とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、紫外線により励起して発光する蛍光体層を有するプラズマディスプレイパネルにおいて、蛍光体層の表層を無機材料からなるオーバーコート層で覆ったことを特徴とするプラズマディスプレイパネルである。
【0019】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、オーバーコート層は、紫外線透過率が90%以上であることを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、オーバーコート層は、可視光透過率が95%以上であることを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の発明において、オーバーコート層は、膜厚が2μm以下であることを特徴とするものである。
【0022】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の発明において、オーバーコート層は、酸化物あるいは弗化物からなることを特徴とするものである。
【0023】
また、請求項6に記載の発明は、紫外線により励起して発光する蛍光体層により蛍光体層を形成した後、蛍光体層の表層を覆う無機材料からなるオーバーコート層を、真空成膜法により形成することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
【0024】
以下、本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルについて、図1〜図2を参照して説明する。なお、図1、図2においては、図3に示したものと同じ構成部品には同じ番号を付している。
【0025】
図1は、本発明の一実施の形態によるPDPの概略構成を示す断面斜視図である。PDP1の前面板2は、表示面側の、例えばガラスのような、透明、且つ絶縁性の基板3上に走査電極4と維持電極5とからなる表示電極6と、酸化鉛(PbO)または酸化ビスマス(Bi2O3)または酸化燐(PO4)を主成分とする低融点ガラス(厚み40μm)からなる誘電体層7と、プラズマによる損傷から誘電体層7を保護する、MgOからなる保護層8(厚み:500nm)とを備える。ここで、走査電極4および維持電極5は、電気抵抗の低減と透光性確保のために、ITOまたは酸化スズ(SnO2)などの透明導電性材料からなる透明電極4a、5aに、バス電極4b、5bとして、銀(Ag)厚膜(厚み:2μm〜10μm)、アルミニウム(Al)薄膜(厚み:0.1μm〜1μm)、またはCr/Cu/Cr積層薄膜(厚み:0.1μm〜1μm)を順次積層した構成となっている。また、誘電体層7は、スクリーン印刷、またはダイコート印刷、またはフィルムラミネート法により形成される。また、保護層8は、電子ビーム蒸着法、またはイオンプレーティング法、またはスパッタ法により形成される。
【0026】
一方、背面板9は、背面側の、例えばガラスのような、透明、且つ絶縁性の基板10上に、銀(Ag)厚膜(厚み:2μm〜10μm)、アルミニウム(Al)薄膜(厚み:0.1μm〜1μm)またはCr/Cu/Cr積層薄膜(厚み:0.1μm〜1μm)からなるアドレス電極11と、酸化鉛(PbO)、または酸化ビスマス(Bi2O3)、または酸化燐(PO4)を主成分とする低融点ガラス(厚み:5μm〜20μm)からなる誘電体層12と、隣接するアドレス電極11間の誘電体層12上に相当する位置に、ガラスを主成分とする隔壁13と、隔壁13間の、誘電体層12の表面上と隔壁13の側面上に、カラー表示のための3色(赤:R、緑:G、青:B)の蛍光体層14R、14G、14Bと、そして蛍光体層14R、14G、14Bの表層を覆う無機材料からなるオーバーコート層17とを備えている。ここで、誘電体層12は、蛍光体層14R、14G、14Bの背面板9での密着性を向上させるためのものであり、PDP1の動作に不可欠というものではない。
【0027】
蛍光体層14R、14G、14Bを構成する蛍光体材料は、例えば、赤色蛍光体材料として、(YxGd1−x)BO3:Eu3+、また、緑色蛍光体材料として、Zn2SiO4:Mn、そして青色蛍光体材料として、BaMgAl10O17:Eu2+である。これらの蛍光体材料は、5%〜10%のエチルセルロース、あるいはニトロセルロースを含んだα−ターピネオールなどの有機溶媒中に混合分散して得られたペーストをスクリーン印刷またはラインジェットによって隔壁13間に塗布し、500℃〜550℃で焼成することで形成する。
【0028】
そして、前面板2と背面板9とは、表示電極6およびアドレス電極11とが直交するように放電空間15を挟んで対向配置して貼り合わされている。すなわち、前面板2と背面板9とは、画像表示領域の外側に低融点ガラス材料からなるシール材を形成し、450℃〜500℃に加熱してシール材としての低融点ガラス材料を溶かすことで接着し気密封止している。
【0029】
その後、PDP1内部を300℃〜400℃に加熱しながら真空排気する、いわゆる排気ベーキングを行い、その後、放電空間15に、放電ガスとして、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノンのうち、少なくとも1種類の希ガスを所定の圧力で封入する。
【0030】
以上により、隔壁13によって仕切られ、表示電極6とアドレス電極11との交差部の放電空間15が放電セル16として動作する。
【0031】
そしてPDP1の駆動時には、図2の駆動装置のブロック図に示すように、パネル駆動回路を、PDP1の走査電極4、維持電極5、およびアドレス電極11に対して、それぞれ、スキャンドライバ、サステインドライバ、データドライバを介して接続し、点灯させようとする放電セル16の走査電極4とアドレス電極11間に電圧を印加してアドレス放電を行った後に、走査電極4と維持電極5間にパルス電圧を印加して維持放電を行う。そして、当該放電セル16での放電に伴って紫外線を発生させ、これを蛍光体層14R、14G、14Bにより可視光に変換する。このようにして放電セル16を点灯させることによって、画像を表示する。
【0032】
ここで、上述した本実施の形態によるPDP1での特徴的な点は、蛍光体層14R、14G、14Bの表層を覆う無機材料からなるオーバーコート層17とを備えていることであり、オーバーコート層17は、蛍光体層14R、14G、14Bが放電空間15に面する表層に均一に形成されている。
【0033】
オーバーコート層17は、放電によって発生する荷電粒子の衝突を受けた時、荷電粒子が直接蛍光体に衝突しないようにバリアすることで、蛍光体層14R、14G、14B中に吸蔵している不純ガスの脱離を防ぐためのものである。したがって、オーバーコート層17は、蛍光体層14R、14G、14Bの表層に均一な膜厚で形成し、隙間ができないようにすることが望ましいが、厚すぎるとオーバーコート層17自体の紫外線透過率、および可視光透過率が低下してしまい、放電によって発生する紫外線の一部がオーバーコート層17で吸収され、蛍光体層14R、14G、14Bに到達する紫外線量が減少してしまうとともに、蛍光体層14R、14G、14Bの発光自体も、オーバーコート層17に一部吸収されてしまい、トータルとして、取り出すことのできる光量が大きく減少してしまうことになる。すなわち、オーバーコート層17は、薄すぎて島状にならないような、且つ、紫外線透過率、可視光透過率が劣化しないような、適当な膜厚とすることが必要である。
【0034】
また、PDPでは、147nmという、非常に短い波長の紫外線が発生しており、この波長における紫外線透過率を高めるためには、オーバーコート層17の材料としては、酸化物あるいは弗化物であることが望ましい。
【0035】
また、オーバーコート層17を形成する際の下地となる蛍光体層14R、14G、14Bは、基板10の面からの高低差として、100μm程度あり、このような平坦性に欠ける下地面に、均一に成膜するためには、印刷法やインクジェット法などのような、インクを用いて形成する方法だと、重力の影響で放電セル16の側面と底部とに対して均一に形成することは難しい。これを均一に形成するには、重力の影響を受けない真空成膜方法が適している。本発明者らが行った検討により、真空成膜方法によれば、放電セル16がいかなる形状であっても、オーバーコート層17は、放電セル16の側面と底部とに対して、均一に形成することができることを確認した。
【0036】
なお、以上説明した本発明の実施の形態はあくまでも一例であり、本発明の実施の形態は上述の構成に限定されるものではない。
【0037】
以下に、本発明の効果を確認するために、実際にPDPを作製して評価した結果を示す。
【0038】
(実施例)
画面サイズ42インチのテレビ用のPDPとして、隔壁13の高さを0.1mm、隔壁13の間隔を0.36mmに設定し、上述した実施の形態に基づいて、いくつかの構成のオーバーコート層17を形成したPDP1を作製し、その効果について検証した。作製したパネルの一覧を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
パネル番号1から8のPDPは、本発明によるPDPであり、パネル番号9のPDPは、比較のための、従来のPDPである。
【0041】
パネル番号1から4のPDPは、蛍光体層14R、14G、14B上のオーバーコート層17として、SiO2を用い、その膜厚を変化させたものである。また、パネル番号5から8のPDPは、オーバーコート層17の膜厚は1μmで一定とし、材料を変えたものである。また、パネル番号9のPDPは、オーバーコート層17を有しない従来の構成のものである。
【0042】
以上のパネル番号1〜9のPDPに対する評価項目としては、オーバーコート層17の紫外線透過率と可視光透過率、各色のパネル輝度、およびガスレベルの4項目である。
【0043】
透過率の測定は、背面板9にオーバーコート層17を形成する際に、表面が平坦な石英基板にも同時に成膜し、それに対して実施した。
【0044】
また、ガスレベルの評価は、PDP完成直後の、初期状態における放電遅れ時間(Ts1)と、連続駆動を所定時間行った後の、放電遅れ時間(Ts2)とをそれぞれ測定し、放電遅れ時間の変化率(Ts2−Ts1)/Ts1により評価した。これは、放電遅れ時間の変化は、保護層8に対する不純ガスの吸着量に関係し、これは、放電による不純ガスの脱離の量、すなわち、ガスレベルと関係していると考えられるからである。
【0045】
パネル番号1〜4の結果より、オーバーコート層17が同じSiO2である場合、膜厚により紫外線透過率が変化し、パネル輝度に影響していることが判る。すなわち、高輝度を得るためには、オーバーコート層17はできるだけ薄くすることが望ましい。一方、ガスレベルの観点から見れば、オーバーコート層17は厚い方が良いことが判る。すなわち、オーバーコート層17が100nm程度に薄いと、ガスレベルは非常に悪く、オーバーコート層17の効果はほとんど得られていないと考えられるからである。
【0046】
パネル番号1〜4のPDPにおけるオーバーコート層17の状態を調べるために、PDPを割断し、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて蛍光体層14R、14G、14Bの観察を行った。蛍光体層14R、14G、14Bを断面から観察すると、いずれの場合も蛍光体層14R、14G、14Bの表面の粒子にはオーバーコート層17が比較的均一に形成されていた。しかしながら、オーバーコート層17表面から観察すると、オーバーコート層17の膜厚が厚い場合には、蛍光体層14R、14G、14Bを覆うようにオーバーコート層17が形成されているが、膜厚が薄い場合には、ところどころに穴が存在した状態となっているように見えた。蛍光体層14R、14G、14Bは、多数の蛍光体材料の粒子が充填されているため、その最表面の表面粗さは、比較的粗くなっている。したがって、真空成膜法で形成した場合、その形成膜厚が薄い場合には、蛍光体材料の粒子表面にはオーバーコート層17を形成できても、粒子間の隙間を埋めることはできず、その結果、放電に曝された時には、蛍光体層14R、14G、14B内部に含まれていた不純ガスが脱離して放電空間15に放出されるものと考えられる。
【0047】
次に、パネル番号5〜8の結果より、オーバーコート層17の膜厚はすべて1000nmの場合、いずれの材料の場合も、紫外線透過率は高く、オーバーコート層17として適していることが判る。中でも、パネル番号7および8で示すように、オーバーコート層17の材料として弗化物を用いると、透過率が非常に高くなり、パネル輝度が高くなり好ましいことが判る。
【0048】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、蛍光体層の表層に無機材料からなるオーバーコート層を形成することで、パネル輝度を確保しつつ、蛍光体層からの不純ガスの放出を抑制することができ、高輝度で放電特性が安定なPDP、およびその製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す断面斜視図
【図2】本発明のプラズマディスプレイパネルの駆動装置を示すブロック図
【図3】従来のプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す断面斜視図
【符号の説明】
1 プラズマディスプレイパネル
2 前面板
3 基板
4 走査電極
5 維持電極
6 表示電極
7 誘電体層
8 保護層
9 背面板
10 基板
11 アドレス電極
12 誘電体層
13 隔壁
14R 蛍光体層(赤)
14G 蛍光体層(緑)
14B 蛍光体層(青)
15 放電空間
16 放電セル
17 オーバーコート層
Claims (6)
- 紫外線により励起して発光する蛍光体層を有するプラズマディスプレイパネルにおいて、蛍光体層の表層を無機材料からなるオーバーコート層で覆ったことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
- オーバーコート層は、紫外線透過率が90%以上であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
- オーバーコート層は、可視光透過率が95%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマディスプレイパネル。
- オーバーコート層は、膜厚が2μm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル。
- オーバーコート層は、酸化物あるいは弗化物からなることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル。
- 紫外線により励起して発光する蛍光体層により蛍光体層を形成した後、蛍光体層の表層を覆う無機材料からなるオーバーコート層を、真空成膜法により形成することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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JP2003052848A JP2004265656A (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 |
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WO2008038344A1 (fr) * | 2006-09-27 | 2008-04-03 | Hitachi Plasma Display Limited | Périphérique d'affichage de décharge de gaz |
-
2003
- 2003-02-28 JP JP2003052848A patent/JP2004265656A/ja active Pending
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