JP2010015698A - プラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】高精細で高輝度の表示性能を備え、かつ低消費電力のプラズマディスプレイパネルを実現することを目的とする。
【解決手段】前面ガラス基板3上に形成した表示電極6を覆うように誘電体層8を形成するとともにその誘電体層8上に保護層9を形成した前面板2と、この前面板2に放電空間を形成するように対向配置されかつ前記表示電極と交差する方向にアドレス電極を形成するとともに前記放電空間を区画する隔壁を設けた背面板とを有し、前記保護層9は、前記誘電体層8上に下地膜91を形成するとともに、その下地膜91にゲッター作用を有するゲッター粒子92を全面に亘って分布するように付着させたゲッター粒子層を設けて構成した。
【選択図】図3
【解決手段】前面ガラス基板3上に形成した表示電極6を覆うように誘電体層8を形成するとともにその誘電体層8上に保護層9を形成した前面板2と、この前面板2に放電空間を形成するように対向配置されかつ前記表示電極と交差する方向にアドレス電極を形成するとともに前記放電空間を区画する隔壁を設けた背面板とを有し、前記保護層9は、前記誘電体層8上に下地膜91を形成するとともに、その下地膜91にゲッター作用を有するゲッター粒子92を全面に亘って分布するように付着させたゲッター粒子層を設けて構成した。
【選択図】図3
Description
本発明は、表示デバイスなどに用いるプラズマディスプレイパネルに関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと呼ぶ)は、高精細化、大画面化の実現が可能であることから、65インチクラスのテレビなどが製品化されている。近年、PDPは従来のNTSC方式に比べて走査線数が2倍以上のハイディフィニションテレビへの適用が進んでいるとともに、環境問題に配慮して鉛成分を含まないPDPが要求されている。
PDPは、基本的には、前面板と背面板とで構成されている。前面板は、フロート法による硼硅酸ナトリウム系ガラスのガラス基板と、ガラス基板の一方の主面上に形成されたストライプ状の透明電極とバス電極とで構成される表示電極と、表示電極を覆ってコンデンサとしての働きをする誘電体層と、誘電体層上に形成された酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層とで構成されている。一方、背面板は、ガラス基板と、その一方の主面上に形成されたストライプ状のアドレス電極と、アドレス電極を覆う下地誘電体層と、下地誘電体層上に形成された隔壁と、各隔壁間に形成された赤色、緑色および青色それぞれに発光する蛍光体層とで構成されている。
前面板と背面板とはその電極形成面側を対向させて気密封着され、隔壁によって仕切られた放電空間にNe−Xeの放電ガスが400Torr〜600Torrの圧力で封入されている。PDPは、表示電極に映像信号電圧を選択的に印加することによって放電させ、その放電によって発生した紫外線が各色蛍光体層を励起して赤色、緑色、青色の発光をさせてカラー画像表示を実現している(特許文献1参照)。
特開2003−128430号公報
このようなPDPにおいて、連続放電を行うと残像が発生するという課題がある。残像には、いくつかのモードがあり、長時間の放電による残像は、蛍光体が劣化することが主要因であるが、比較的短時間の放電による残像は、放電によりMgO、蛍光体、隔壁などから脱離した不純ガス(H2O、炭化水素系ガス)の影響で放電開始電圧が変動することが主要因である。PDPにおける焼付きの低減のためには、蛍光体自身の劣化抑制に加えて、放電時に発生する不純ガスを抑制する必要がある。このような課題に対し、封着排気時の高温化や長時間化などによりパネル内に持込まれる不純ガスを低減する手法が可能であるが、パネル生産時のタクトが長くなり生産性が低下してしまうため、有効な手段ではなかった。
本発明はこのような課題に鑑みなされたもので、生産性を損なうことなく、高品質なPDPを実現することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明のPDPは、基板上に形成した表示電極を覆うように誘電体層を形成するとともにその誘電体層上に保護層を形成した前面板と、この前面板に放電空間を形成するように対向配置されかつ前記表示電極と交差する方向にアドレス電極を形成するとともに前記放電空間を区画する隔壁を設けた背面板とを有し、前記前面板の保護層は、前記誘電体層上に下地膜を形成するとともに、その下地膜にゲッター作用を有するゲッター粒子を全面に亘って分布するように付着させたゲッター粒子層を設けて構成したことを特徴とする。
本発明の構造により、MgO、蛍光体、隔壁等へ付着しパネル内に持込まれた不純ガス(H2O、炭化水素系ガス)が、放電により脱離した際、同時に放電により活性化されたゲッター粒子に取り込まれるため、残像を大幅に低減することができ、高品質なPDPを実現することができる。
以下、本発明の一実施の形態におけるPDPについて図面を用いて説明する。
図1は本発明の実施の形態におけるPDPの構造を示す斜視図である。PDPの基本構造は、一般的な交流面放電型PDPと同様である。図1に示すように、PDP1は前面ガラス基板3などよりなる前面板2と、背面ガラス基板11などよりなる背面板10とが対向して配置され、その外周部をガラスフリットなどからなる封着材によって気密封着されている。封着されたPDP1内部の放電空間16には、NeおよびXeなどの放電ガスが400Torr〜600Torrの圧力で封入されている。
前面板2の前面ガラス基板3上には、走査電極4および維持電極5よりなる一対の帯状の表示電極6とブラックストライプ(遮光層)7が互いに平行にそれぞれ複数列配置されている。前面ガラス基板3上には表示電極6と遮光層7とを覆うようにコンデンサとしての働きをする誘電体層8が形成され、さらにその表面に酸化マグネシウム(MgO)などからなる保護層9が形成されている。
また、背面板10の背面ガラス基板11上には、前面板2の走査電極4および維持電極5と直交する方向に、複数の帯状のアドレス電極12が互いに平行に配置され、これを下地誘電体層13が被覆している。さらに、アドレス電極12間の下地誘電体層13上には放電空間16を区切る所定の高さの隔壁14が形成されている。隔壁14間の溝にアドレス電極12毎に、紫外線によって赤色、緑色および青色にそれぞれ発光する蛍光体層15が順次塗布して形成されている。走査電極4および維持電極5とアドレス電極12とが交差する位置に放電セルが形成され、表示電極6方向に並んだ赤色、緑色、青色の蛍光体層15を有する放電セルがカラー表示のための画素になる。
図2は、本発明の一実施の形態におけるPDP1の前面板2の構成を示す断面図であり、図2は図1と上下反転させて示している。図2に示すように、フロート法などにより製造された前面ガラス基板3に、走査電極4と維持電極5よりなる表示電極6と遮光層7がパターン形成されている。走査電極4と維持電極5はそれぞれインジウムスズ酸化物(ITO)や酸化スズ(SnO2)などからなる透明電極4a、5aと、透明電極4a、5a上に形成された金属バス電極4b、5bとにより構成されている。金属バス電極4b、5bは透明電極4a、5aの長手方向に導電性を付与する目的として用いられ、銀(Ag)材料を主成分とする導電性材料によって形成されている。
誘電体層8は、前面ガラス基板3上に形成されたこれらの透明電極4a、5aと金属バス電極4b、5bと遮光層7を覆って設けた第1誘電体層81と、第1誘電体層81上に形成された第2誘電体層82の少なくとも2層構成とし、さらに第2誘電体層82上に保護層9を形成している。
次に、PDPの製造方法について説明する。まず、前面ガラス基板3上に、走査電極4および維持電極5と遮光層7とを形成する。これらの透明電極4a、5aと金属バス電極4b、5bは、フォトリソグラフィ法などを用いてパターニングして形成される。透明電極4a、5aは薄膜プロセスなどを用いて形成され、金属バス電極4b、5bは銀(Ag)材料を含むペーストを所望の温度で焼成して固化している。また、遮光層7も同様に、黒色顔料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や黒色顔料をガラス基板の全面に形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、焼成することにより形成される。 次に、走査電極4、維持電極5および遮光層7を覆うように前面ガラス基板3上に誘電体ペーストをダイコート法などにより塗布して誘電体ペースト層(誘電体材料層)を形成する。誘電体ペーストを塗布した後、所定の時間放置することによって塗布された誘電体ペースト表面がレベリングされて平坦な表面になる。その後、誘電体ペースト層を焼成固化することにより、走査電極4、維持電極5および遮光層7を覆う誘電体層8が形成される。なお、誘電体ペーストはガラス粉末などの誘電体材料、バインダおよび溶剤を含む塗料である。次に、誘電体層8上に酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層9を真空蒸着法により形成する。以上の工程により前面ガラス基板3上に所定の構成物(走査電極4、維持電極5、遮光層7、誘電体層8、保護層9)が形成され、前面板2が完成する。
一方、背面板10は次のようにして形成される。まず、背面ガラス基板11上に、銀(Ag)材料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や、金属膜を全面に形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングする方法などによりアドレス電極12用の構成物となる材料層を形成し、それを所望の温度で焼成することによりアドレス電極12を形成する。次に、アドレス電極12が形成された背面ガラス基板11上にダイコート法などによりアドレス電極12を覆うように誘電体ペーストを塗布して誘電体ペースト層を形成する。その後、誘電体ペースト層を焼成することにより下地誘電体層13を形成する。なお、誘電体ペーストはガラス粉末などの誘電体材料とバインダおよび溶剤を含んだ塗料である。
次に、下地誘電体層13上に隔壁材料を含む隔壁形成用ペーストを塗布して所定の形状にパターニングすることにより、隔壁材料層を形成した後、焼成することにより隔壁14を形成する。ここで、下地誘電体層13上に塗布した隔壁用ペーストをパターニングする方法としては、フォトリソグラフィ法やサンドブラスト法を用いることができる。次に、隣接する隔壁14間の下地誘電体層13上および隔壁14の側面に蛍光体材料を含む蛍光体ペーストを塗布し、焼成することにより蛍光体層15が形成される。以上の工程により、背面ガラス基板11上に所定の構成部材を有する背面板10が完成する。
このようにして所定の構成部材を備えた前面板2と背面板10とを走査電極4とアドレス電極12とが直交するように対向配置して、その周囲をガラスフリットで封着し、放電空間16にNe、Xeなどを含む放電ガスを封入することによりPDP1が完成する。
ここで、前面板2の誘電体層8を構成する第1誘電体層81と第2誘電体層82について詳細に説明する。第1誘電体層81の誘電体材料は、次の材料組成より構成されている。すなわち、酸化ビスマス(Bi2O3)を20重量%〜40重量%含み、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)から選ばれる少なくとも1種を0.5重量%〜12重量%含み、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化セリウム(CeO2)、二酸化マンガン(MnO2)から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%〜7重量%含んでいる。
なお、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化セリウム(CeO2)、二酸化マンガン(MnO2)に代えて、酸化銅(CuO)、酸化クロム(Cr2O3)、酸化コバルト(Co2O3)、酸化バナジウム(V2O7)、酸化アンチモン(Sb2O3)から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%〜7重量%含ませてもよい。
また、上記以外の成分として、酸化亜鉛(ZnO)を0重量%〜40重量%、酸化硼素(B2O3)を0重量%〜35重量%、酸化硅素(SiO2)を0重量%〜15重量%、酸化アルミニウム(Al2O3)を0重量%〜10重量%など、鉛成分を含まない材料組成が含まれていてもよく、これらの材料組成の含有量に特に限定はなく、従来技術程度の材料組成の含有量範囲である。
これらの組成成分からなる誘電体材料を、湿式ジェットミルやボールミルで平均粒径が0.5μm〜2.5μmとなるように粉砕して誘電体材料粉末を作製する。次にこの誘電体材料粉末55重量%〜70重量%と、バインダ成分30重量%〜45重量%とを三本ロールでよく混練してダイコート用、または印刷用の第1誘電体層用ペーストを作製する。
バインダ成分はエチルセルロース、またはアクリル樹脂1重量%〜20重量%を含むターピネオール、またはブチルカルビトールアセテートである。また、ペースト中には、必要に応じて可塑剤としてフタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリブチルを添加し、分散剤としてグリセロールモノオレート、ソルビタンセスキオレヘート、ホモゲノール(Kaoコーポレーション社製品名)、アルキルアリル基のリン酸エステルなどを添加して印刷性を向上させてもよい。
次に、この第1誘電体層用ペーストを用い、表示電極6を覆うように前面ガラス基板3にダイコート法あるいはスクリーン印刷法で印刷して乾燥させ、その後、誘電体材料の軟化点より少し高い温度の575℃〜590℃で焼成する。
次に、第2誘電体層82について説明する。第2誘電体層82の誘電体材料は、次の材料組成より構成されている。すなわち、酸化ビスマス(Bi2O3)を11重量%〜20重量%を含み、さらに、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)から選ばれる少なくとも1種を1.6重量%〜21重量%含み、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化セリウム(CeO2)から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%〜7重量%含んでいる。
なお、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化セリウム(CeO2)に代えて、酸化銅(CuO)、酸化クロム(Cr2O3)、酸化コバルト(Co2O3)、酸化バナジウム(V2O7)、酸化アンチモン(Sb2O3)、酸化マンガン(MnO2)から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%〜7重量%含ませてもよい。
また、上記以外の成分として、酸化亜鉛(ZnO)を0重量%〜40重量%、酸化硼素(B2O3)を0重量%〜35重量%、酸化硅素(SiO2)を0重量%〜15重量%、酸化アルミニウム(Al2O3)を0重量%〜10重量%など、鉛成分を含まない材料組成が含まれていてもよく、これらの材料組成の含有量に特に限定はなく、従来技術程度の材料組成の含有量範囲である。
これらの組成成分からなる誘電体材料を、湿式ジェットミルやボールミルで平均粒径が0.5μm〜2.5μmとなるように粉砕して誘電体材料粉末を作製する。次にこの誘電体材料粉末55重量%〜70重量%と、バインダ成分30重量%〜45重量%とを三本ロールでよく混練してダイコート用、または印刷用の第2誘電体層用ペーストを作製する。バインダ成分はエチルセルロース、またはアクリル樹脂1重量%〜20重量%を含むターピネオール、またはブチルカルビトールアセテートである。また、ペースト中には、必要に応じて可塑剤としてフタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリブチルを添加し、分散剤としてグリセロールモノオレート、ソルビタンセスキオレヘート、ホモゲノール(Kaoコーポレーション社製品名)、アルキルアリル基のリン酸エステルなどを添加して印刷性を向上させてもよい。
次にこの第2誘電体層用ペーストを用いて第1誘電体層81上にスクリーン印刷法あるいはダイコート法で印刷して乾燥させ、その後、誘電体材料の軟化点より少し高い温度の550℃〜590℃で焼成する。
なお、誘電体層8の膜厚については、第1誘電体層81と第2誘電体層82とを合わせ、可視光透過率を確保するためには41μm以下が好ましい。第1誘電体層81は、金属バス電極4b、5bの銀(Ag)との反応を抑制するために酸化ビスマス(Bi2O3)の含有量を第2誘電体層82の酸化ビスマス(Bi2O3)の含有量よりも多くし、20重量%〜40重量%としている。そのため、第1誘電体層81の可視光透過率が第2誘電体層82の可視光透過率よりも低くなるので、第1誘電体層81の膜厚を第2誘電体層82の膜厚よりも薄くしている。
なお、第2誘電体層82において酸化ビスマス(Bi2O3)が11重量%以下であると着色は生じにくくなるが、第2誘電体層82中に気泡が発生しやすく好ましくない。また、40重量%を超えると着色が生じやすくなり透過率を上げる目的には好ましくない。
また、誘電体層8の膜厚が小さいほどパネル輝度の向上と放電電圧を低減するという効果は顕著になるので、絶縁耐圧が低下しない範囲内であればできるだけ膜厚を小さく設定するのが望ましい。このような観点から、本発明の実施の形態では、誘電体層8の膜厚を41μm以下に設定し、第1誘電体層81を5μm〜15μm、第2誘電体層82を20μm〜36μmとしている。
このようにして製造されたPDPは、表示電極6に銀(Ag)材料を用いても、前面ガラス基板3の着色現象(黄変)が少なくて、なおかつ、誘電体層8中に気泡の発生などがなく、絶縁耐圧性能に優れた誘電体層8を実現することを確認している。
次に、本発明の実施の形態におけるPDPにおいて、これらの誘電体材料によって第1誘電体層81において黄変や気泡の発生が抑制される理由について考察する。すなわち、酸化ビスマス(Bi2O3)を含む誘電体ガラスに酸化モリブデン(MoO3)、または酸化タングステン(WO3)を添加することによって、Ag2MoO4、Ag2Mo2O7、Ag2Mo4O13、Ag2WO4、Ag2W2O7、Ag2W4O13といった化合物が580℃以下の低温で生成しやすいことが知られている。本発明の実施の形態では、誘電体層8の焼成温度が550℃〜590℃であることから、焼成中に誘電体層8中に拡散した銀イオン(Ag+)は誘電体層8中の酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO3)酸化セリウム(CeO2)、酸化マンガン(MnO2)と反応し、安定な化合物を生成して安定化する。すなわち、銀イオン(Ag+)が還元されることなく安定化されるために、凝集してコロイドを生成することがない。したがって、銀イオン(Ag+)が安定化することによって、銀(Ag)のコロイド化に伴う酸素の発生も少なくなるため、誘電体層8中への気泡の発生も少なくなる。
一方、これらの効果を有効にするためには、酸化ビスマス(Bi2O3)を含む誘電体ガラス中に酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化マンガン(MnO2)の含有量を0.1重量%以上にすることが好ましいが、0.1重量%以上7重量%以下がさらに好ましい。特に、0.1重量%未満では黄変を抑制する効果が少なく、7重量%を超えるとガラスに着色が起こり好ましくない。
すなわち、本発明の実施の形態におけるPDPの誘電体層8は、銀(Ag)材料よりなる金属バス電極4b、5bと接する第1誘電体層81では黄変現象と気泡発生を抑制し、第1誘電体層81上に設けた第2誘電体層82によって高い光透過率を実現している。その結果、誘電体層8全体として、気泡や黄変の発生が極めて少なく透過率の高いPDPを実現することが可能となる。
次に、本発明によるPDPの特徴である保護層の構成及び製造方法について説明する。
本発明によるPDPにおいては、図3に示すように、保護層9は、前記誘電体層8上に、Alを不純物として含有するMgOからなる下地膜91を形成するとともに、その下地膜91上に、ゲッター作用を有する非蒸発型ゲッターであるゲッター粒子92を離散的に散布させ、全面に亘ってほぼ均一に分布するように付着させることにより構成している。
このゲッター粒子としては、Al2O3、TiO2、ZnO、SiO2、MgO、ZrO2、V2O5、BaO、(Y,P)VO4、YVO4、Zn2SiO4、(Zn,Mg)2SiO4、BaMgAl10O17、BaAl12O19のうち、少なくとも1種以上よりなる酸化物を用いることができる。さらに、水素吸蔵性の合金も用いることができる。
次に、本発明による保護層を有するPDPの効果を確認するために行った実験結果について説明する。
まず、構成の異なる保護層を有するPDPを試作した。試作品1は、MgOによる保護層のみを形成したPDP、試作品2〜17は本発明品で、MgOによる下地膜上に、ゲッター作用を有する各種ゲッター粒子を全面に亘ってほぼ均一に分布するように付着させたPDPである。
このゲッター粒子については、平均粒径(ここでは、体積累積平均径(D50)のことを意味する)が5μm以下のものを使用した。これは、粒子径が大きいと、前面板と背面板を組み合わせる際に隔壁と接触により、部分的な隔壁の欠けが発生し、セル不灯につながる懸念があるためである。
また、ゲッター粒子の付着は以下のようにして行った。まず、所定の粒度分布を持つゲッター粒子を樹脂成分とともに溶剤に混合したゲッター粒子ペーストを準備し、スクリーン印刷法により、下地膜上に塗布してゲッター粒子膜を形成した。なお、ゲッター粒子ペーストを下地膜上に塗布してゲッター粒子膜を形成するための方法として、スクリーン印刷法以外に、スプレー法、スピンコート法、ダイコート法、スリットコート法等も用いることができる。このゲッター粒子ペースト膜を形成した後、ゲッター粒子ペースト膜を乾燥し、その後、数百度の温度で加熱焼成し、ゲッター粒子ペースト膜に残っている溶剤や樹脂成分を除去することにより、下地膜上にゲッター粒子を付着させた保護層を形成した。
これらの保護層の構成を有するPDPについて、残像特性を調べた。
なお、本発明による残像改善は、上述のように部分的な連続点灯(放電)により発生した不純ガスにより、点灯部と非点灯部で放電開始電圧に差が発生することにより引き起こされる残像に対し、発生した不純ガスをゲッター粒子に吸着させることで放電開始電圧の差を低減する効果である。よって、走査電極に印加する電圧(以下Vs点灯電圧と呼称する)の電圧値に対し、点灯部と非点灯部のVs点灯電圧の差(以下ΔVs)を残像特性の指標とした。
表1に、試作した各PDPにおいて、30分間、部分点灯した後の点灯部と非点灯部のVs点灯電圧の差ΔVsを示す。この結果、ゲッター粒子のないPDP(試作品1)に比べ、ゲッター作用のある各種酸化物を散布したPDPにおいて、ΔVsが5〜15V抑制され、残像が低減された(試作品2〜15)。また、ゲッター粒子に非蒸発型ゲッターZr0.70V0.25Fe0.05を使用した試作品16において、ΔVsが13V抑制され、残像が低減された。なお、この実施例において、非蒸発型ゲッターとして、Zr0.70V0.25Fe0.05を使用したが、この材料に限るものではない。また、水素吸蔵合金Ti−V−Mnを使用した試作品17において、ΔVsが11V抑制され、残像が低減された。この実施例において、水素吸蔵合金として、Ti−V−Mnを使用したが、この材料に限るものではない。
以上のように本発明は、高品質なPDPを実現する上で有用な発明である。
1 PDP
2 前面板
3 前面ガラス基板
4 走査電極
4a、5a 透明電極
4b、5b 金属バス電極
5 維持電極
6 表示電極
7 遮光層
8 誘電体層
9 保護層
10 背面板
11 背面ガラス基板
12 アドレス電極
13 下地誘電体層
14 隔壁
15 蛍光体層
16 放電空間
81 第1誘電体層
82 第2誘電体層
91 下地膜
92 ゲッター粒子
2 前面板
3 前面ガラス基板
4 走査電極
4a、5a 透明電極
4b、5b 金属バス電極
5 維持電極
6 表示電極
7 遮光層
8 誘電体層
9 保護層
10 背面板
11 背面ガラス基板
12 アドレス電極
13 下地誘電体層
14 隔壁
15 蛍光体層
16 放電空間
81 第1誘電体層
82 第2誘電体層
91 下地膜
92 ゲッター粒子
Claims (4)
- 基板上に形成した表示電極を覆うように誘電体層を形成するとともにその誘電体層上に保護層を形成した前面板と、この前面板に放電空間を形成するように対向配置されかつ前記表示電極と交差する方向にアドレス電極を形成するとともに前記放電空間を区画する隔壁を設けた背面板とを有し、前記前面板の保護層は、前記誘電体層上に下地膜を形成するとともに、その下地膜にゲッター作用を有するゲッター粒子を全面に亘って分布するように付着させたゲッター粒子層を設けて構成したことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
- 前記ゲッター粒子が、Al2O3、TiO2、ZnO、SiO2、MgO、ZrO2、V2O5、BaO、(Y,P)VO4、YVO4、Zn2SiO4、(Zn,Mg)2SiO4、BaMgAl10O17、BaAl12O19のうち、少なくとも1種以上よりなる酸化物であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記ゲッター粒子が非蒸発型ゲッターであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記ゲッター粒子が水素吸蔵性の合金であることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2011093043A1 (ja) | 2010-01-27 | 2011-08-04 | 国立大学法人北海道大学 | 回折顕微法 |
JPWO2011114701A1 (ja) * | 2010-03-15 | 2013-06-27 | パナソニック株式会社 | プラズマディスプレイパネル |
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2008
- 2008-07-01 JP JP2008172045A patent/JP2010015698A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2011093043A1 (ja) | 2010-01-27 | 2011-08-04 | 国立大学法人北海道大学 | 回折顕微法 |
JPWO2011114701A1 (ja) * | 2010-03-15 | 2013-06-27 | パナソニック株式会社 | プラズマディスプレイパネル |
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