JP2004265550A - 磁気ヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気テープの再生時に磁気ヘッドの基板の摺動面に圧力が加わった場合でも、基板の表面から基板を構成している材料の粒子が脱離せず、かつ基板エッジ部の削れを生じることのない磁気ヘッドを提供すること。
【解決手段】基板と絶縁層との間にダイヤモンドライクカーボン膜を有することを特徴とする磁気ヘッド。
【選択図】 なし
【解決手段】基板と絶縁層との間にダイヤモンドライクカーボン膜を有することを特徴とする磁気ヘッド。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、再生時における電磁変換特性を向上させた磁気ヘッド、特に、磁気抵抗効果型磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、データ等の信号を記録および/または再生するための信号記録用テープとして、磁気記録媒体である磁気テープが広く用いられており、近年は、単位面積あたりの記録密度を高くするために、磁気テープのトラック幅をより狭くする狭トラック化が図られている。そのため、磁気テープの狭トラック化に対応できるように、磁気記録再生装置に用いられる磁気ヘッドとしては、その磁気ギャップ幅をより狭くすること(狭ギャップ化)が求められており、薄膜形成技術によって狭ギャップ化が実現できる磁気抵抗効果型ヘッドが多用されている(特許文献1参照)。
【0003】
図5は、従来の磁気抵抗効果型ヘッドの要部を示す断面図である。図5に示すように、従来の磁気抵抗効果型ヘッド30は、薄膜形成技術によって、非磁性材料から構成される基板31上に、絶縁性材料から構成される絶縁層32、磁性材料から構成される下部シールド層33、非磁性材料から構成される下部ギャップ層34、磁気抵抗効果型素子35、非磁性材料から構成される上部ギャップ層36、磁性材料から構成される上部シールド層37および絶縁性材料から構成される保護層38が順次積層されて形成されている。ここで、下部シールド層33と上部シールド層37とで挟まれた部分が、この磁気抵抗効果型ヘッド30における読取用の磁気ギャップGとなる。なお、基板31には、非磁性材料であるアルミナチタンカーバイド(アルチック:Al2O3・TiC)がよく用いられている。また、絶縁層32には、絶縁性材料であるアルミナ(Al2O3)やシリカ(SiO2)等が用いられている。
【0004】
しかしながら、図5に示すような従来の磁気抵抗効果型ヘッド30では、特に、基板31にアルチックのように多結晶物質が用いられている場合は、磁気テープの再生時に磁気テープが磁気抵抗効果型ヘッド30上を摺動し、基板31の磁気テープと摺動する面(摺動面)に圧力が加わると、その圧力によって基板31を構成しているアルチックの粒子が基板31の表面から脱離するという問題があった。
【0005】
基板31の摺動面に圧力が加わった際に、基板31を構成しているアルチックの粒子が基板31の表面から脱離する原因については、磁気抵抗効果型ヘッド30の製造工程において基板31上に下地層としての絶縁層32を成膜する際に、その成膜時の衝撃によって、絶縁層32に含まれている酸素原子(O)が基板31内に侵入し、基板31に含まれているアルミニウム(Al)やチタン(Ti)と結合してそれぞれ酸化物を形成し、基板31を構成しているアルミニウム、チタンおよび炭素間の結合を妨げることが一因と考えられる。
【0006】
基板31の表面からアルチックの粒子が脱離すると、基板31の表面は荒れた状態となり、平滑性が悪くなる。そのため、磁気テープの再生時に、磁気抵抗効果型ヘッド30と磁気テープとの摩擦力が大きくなり、磁気テープの摺動特性が劣化するので、磁気抵抗効果型ヘッド30が磁気テープから信号を正しく読み出すことができなくなる。
【0007】
また、絶縁層32を構成しているアルミナやシリカは、基板31を構成しているアルチックよりも柔らかいため、基板31の表面からアルチックの粒子が脱離すると、その脱離したアルチックの粒子が、絶縁層32から保護層38の各層の磁気テープと摺動する面(摺動面)を磨耗させる。そのため、磁気テープの再生時に、磁気テープと磁気抵抗効果型ヘッド30との間に隙間ができてしまい、磁気抵抗効果型ヘッド30が磁気テープから信号を正しく読み出すことができなくなる。
【0008】
また、基板材料と絶縁層材料とには、硬度差があるため、長時間のテープ摺動により、偏磨耗が生じる。この偏磨耗が進行していくと、基板−絶縁層間の基板エッジにかかる力はより大きくなる。その結果、偏磨耗が進行するに従って、基板−絶縁層間の基板エッジ部が削れることによって溝ができるため、磁気テープと磁気抵抗型素ヘッドとの間にスペーシングロスが生じ、ヘッド当たりが低下し、電磁変換特性が低下するという問題もあった。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−273126号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、磁気テープの再生時に磁気ヘッドの基板の摺動面に圧力が加わった場合でも、基板の表面から基板を構成している材料の粒子が脱離せず、かつ基板エッジ部の削れを生じることのない磁気ヘッドを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、基板と絶縁層との間に、高強度のダイヤモンドライクカーボン膜を設けることにより、基板材料粒子の脱離を防ぎ、再生時の電磁変換特性を向上することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明を解決するための手段は、以下の通りである。
(1) 非磁性基板と絶縁層との間にダイヤモンドライクカーボン膜を有することを特徴とする磁気ヘッド。
(2) 前記ダイヤモンドライクカーボン膜は、2000kg/mm2以上のビッカーズ硬度を有する(1)に記載の磁気ヘッド。
(3) 前記ダイヤモンドライクカーボン膜の厚さは、100nm以上である(1)または(2)に記載の磁気ヘッド。
(4) 磁気抵抗効果型ヘッドである(1)〜(3)のいずれかに記載の磁気ヘッド。
(5) 基板の一側面上に、ダイヤモンドライクカーボン膜、絶縁層、下部シールド層、下部ギャップ層、磁気抵抗効果型素子、上部ギャップ層、上部シールド層および保護層をこの順に有する(4)に記載の磁気ヘッド。
(6) 非磁性材料から構成される基板の一側面上に、ダイヤモンドライクカーボン膜、絶縁性材料から構成される絶縁層、磁性材料から構成される下部シールド層、非磁性材料から構成される下部ギャップ層、磁気抵抗効果型素子、非磁性材料から構成される上部ギャップ層、磁性材料から構成される上部シールド層および絶縁性材料から構成される保護層をこの順に有する(4)に記載の磁気ヘッド。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明の磁気ヘッドは、絶縁層と基板との間に、ダイヤモンドライクカーボン(以下、「DLC」ともいう)膜を有することを特徴とする。
DLCとは、イオンを利用した気相合成法により合成されるダイヤモンドに類似した高硬度カーボン薄膜である。DLC膜の構造は、通常、水素を若干含有した非晶質(アモルファス)構造で、ダイヤモンド結合やグラファイト結合などを持つものであると言われている。DLC膜は、アモルファス構造のため、結晶粒界を持たず、窒化チタンなどの多結晶構造の硬質薄膜と比べて非常に平滑な表面を有する。こうした表面平滑性とカーボン材料としての物性が、DLC膜に優れた摩擦磨耗特性を付与していると考えられる。
以下に、本発明において、優れた摩擦磨耗特性を有する高硬度DLC膜を、非磁性基板と絶縁層との間に設けることにより得られる効果について説明する。
【0013】
本発明では、絶縁層と基板との間に、DLC膜を設けることにより、磁気ヘッドの製造工程において基板上に下地層としての絶縁層を形成する際に、絶縁層に含まれている酸素原子(O)が基板内に侵入するのを防ぐことができる。したがって、基板を構成している材料の各原子間の結合は保たれるので、磁気テープの再生時に基板の摺動面に圧力が加わった場合でも、基板の表面から基板を構成している材料の粒子が脱離することを防止することができる。
【0014】
更に、本発明では、基板上にDLC膜を設けることにより、磁気テープとの摺動によって最も顕著に削られる部分である基板エッジ部が高強度のDLCで覆われるため、テープとの摺動による基板エッジ部の削れが生じず、良好な電磁変換特性を有する磁気ヘッドを得ることができる。
【0015】
上記DLC膜は、2000kg/mm2以上のビッカーズ硬度を有することが好ましく、3000〜4000kg/mm2のビッカーズ硬度を有することが更に好ましい。DLC膜のビッカーズ硬度が2000kg/mm2以上であれば、前述のテープとの摺動による基板エッジ部の削れを有効に防止することができる。
【0016】
上述のように、本発明では、Al2O3等の絶縁層の磁気媒体摺動による偏磨耗対策として、基板−絶縁層間にDLC膜を設け、基板エッジ部の削れを防止する。DLC膜が薄いと強度的に弱くなるため、かかる効果を得るためには、DLC膜の厚さは、100nm以上であることが好ましく、200〜1000nmであることが更に好ましい。
【0017】
本発明の磁気ヘッドは、例えば、磁気抵抗効果型磁気ヘッド(以下、「MRヘッド」ともいう)であることができる。以下に、MRヘッドの構成について、適宜図面を参照しながら説明するが、本発明はこの態様に限定されるものではない。
【0018】
図1は本発明の磁気抵抗効果型ヘッドの要部を示す断面図、図2は図1に示した磁気抵抗効果型ヘッドの斜視図である。なお、図1では、分かりやすくするために、各層の厚さを誇張して表現している。
【0019】
図1に示すように、MRヘッド10は、基板11の一側面11a上にDLC膜19を有し、その上に、絶縁層12を有する。そして、絶縁層12上に、下部シールド層13、下部ギャップ層14、磁気抵抗効果型素子(以下、「MR素子」ともいう)15、上部ギャップ層16、上部シールド層17および保護層18をこの順に有する。ここで、下部シールド層13と上部シールド層17とで挟まれた部分が、このMRヘッド10における読取用の磁気ギャップGとなる。
【0020】
また、保護層18の一側面18a(図1参照)には保護板20(図2参照)が接合されており、この保護板20の一側面20aは、基板11の一側面11aと共に、DLC膜19、絶縁層12、下部シールド層13、下部ギャップ層14、MR素子15、上部ギャップ層16、上部シールド層17および保護層18を挟持している(図2参照)。
【0021】
そして、図2に示すように、基板11の一方の端面11bおよび保護板20の一方の端面20bは曲面状に形成されており、端面11bおよび端面20bは磁気テープの再生時に磁気テープがMRヘッド10と摺動する面である磁気テープ摺動面Sとなる。この磁気テープ摺動面Sは、磁気テープの走行方向に沿って、なだらかな円弧状の曲面に形成されている。
【0022】
磁気テープ摺動面Sには、前記した読取用の磁気ギャップGが露出しており、磁気ギャップGは、磁気テープが磁気ギャップGの上を通過した際に、磁気テープに磁場として記録された信号をMR素子15で読み出すことができる。具体的には、磁気テープの再生時に、MR素子15に定電流であるセンス電流を流し、MR素子15の電気抵抗値の変化を電圧の変化分として取り出すことにより、磁気テープに記録された信号を読み出すことができる。
【0023】
本発明において、基板11は、非磁性材料であるアルチック(Al2O3・TiC)から構成することができる。また、基板11は、α−Fe2O3(α−ヘマタイト)、NiO−TiO2−MgO、TiO2−CaO、NiO−MnO等の非磁性材料から構成することもでき、Ni−Znフェライト、Mn−Znフェライト等の磁性材料から構成することもできる。
【0024】
基板11の一側面11aは略長方形の矩形状に形成されており、一側面11a上には、DLC膜19、絶縁層12、下部シールド層13、下部ギャップ層14、MR素子15、上部ギャップ層16、上部シールド層17および保護層18が順次成膜されている。また、基板11の一方の端面11bは、保護板20の一方の端面20bと共に磁気テープ摺動面Sとなる(図2参照)。基板の厚さは、例えば、60〜100μmとすることができる。
【0025】
絶縁層12は、例えば、絶縁性材料であるアルミナ(Al2O3)やシリカ(SiO2)等から構成することができる。また、絶縁層12は、AlN、Al−N−X(Xは、Si、B、Cr、Ti、Ta、Nbの一種又は二種以上)、SiN、SiC、DLC、BN、MgO、SiAlON、AlON、Si3Na、SiCO、SiON、SiCON等から構成することもできる。この絶縁層12の厚さは、例えば、15〜30μmであることができる。
【0026】
下部シールド層13および上部シールド層17は、例えば、磁性材料であるFe−Si−Al系合金(センダスト)、Ni−Fe系合金(パーマロイ)、Ni−Zn系合金(ヘマタイト)等の多結晶フェライト等から構成することができる。ただし、シールド層を構成する材料としては、良好な軟磁性を示し、かつ磨耗腐食に優れたものであれば特に限定されるものではない。上記シールド層は、MRヘッドの磁気シールドとして機能するためにシステムで用いる全波長に対応する必要があり、通常、最長波長の2倍以上の膜厚が必要とされる。下部シールド層13の厚さは、例えば、2〜4μmとすることができ、上部シールド層17の厚さは、例えば、2〜4μmとすることができる。なお、下部シールド層と上部シールド層は、同じ材料からなるものであることもでき、異なる材料からなるものでもよい。
【0027】
下部ギャップ層14および上部ギャップ層16は、例えば、非磁性材料であるアルミナ(Al2O3)等から構成することができる。
下部ギャップ層の膜厚tdを、最終的にシステムに必要なシールド間距離(いわゆる再生ギャップ)をGとしたとき、td=G/2−(磁気抵抗効果層(例えばNiFe層)の膜厚/2+非磁性層(例えばTa層)の膜厚)を算出して決定することにより、MR素子を、一対の磁気シールド間の中心位置に正確に配置することができる。また、上部ギャップ層の膜厚tuを、tu=(非磁性層(例えばTa層)の膜厚+軟磁性層(例えばNiFeNb層)の膜厚+非磁性層(例えばTa層)の膜厚+磁気抵抗効果層(例えばNiFe層)の膜厚/2)を算出して決定することにより、MR素子を、一対の磁気シールド間の中心位置に正確に配置することができる。
下部ギャップ層14の厚さは、例えば、60〜140nmとすることができ、上部ギャップ層16の厚さは、例えば、80〜160nmとすることができる。ただし、ギャップ層の層厚及び材料は、MRヘッドの使用目的に応じて適切な材料を選択し、適切な膜厚に設定すればよく、特に限定されるものではない。なお、上部ギャップ層と下部ギャップ層は、同じ材料からなるものであることもでき、異なる材料からなるものでもよい。
【0028】
MR素子15の一例としては、例えば、下層として、膜厚約5nmのタンタル層と、SALバイアス層として、膜厚約32nmのNiFeNb層と、中間絶縁層として、膜厚約5nmのタンタル層と、磁気抵抗効果層として、膜厚約30nmのNiFe層と、上層として、膜厚約1nmのタンタル層とを、この順でスパッタリング等により順次積層することによって形成されたMR素子を挙げることができる。このMR素子では、NiFe層が磁気抵抗効果を有する軟磁性層であり、MR素子の感磁部となる、また、このMR素子においては、NiFeNb層がNiFe層に対してバイアス磁界を印加する、いわゆるSAL層となる。ただし、MR素子の層厚および材料は、MRヘッドの使用目的に応じて適切な材料を選択し、適切な膜厚に設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0029】
保護層18は、例えば、前記した絶縁層12と同様に、絶縁性材料であるアルミナ(Al2O3)やシリカ(SiO2)等から構成することができる。保護層18の材料としては、非磁性導電性の材料であれば、上記以外の材料を使用することもできる。ただし、耐環境性や耐磨耗性を考慮すると、アルミナ(Al2O3)及びシリカ(SiO2)が好適である。保護層18の厚さは、例えば、2〜6μmとすることができる。
【0030】
次に、図1に示すMRヘッドの場合を例に、本発明の磁気ヘッドの製造方法を、図3および図4を参照して説明する。図3および図4は、MRヘッド10の製造方法を説明するための断面図である。
【0031】
本発明において、MRヘッドを製造する際は、まず、例えば4インチ程度の円盤状の基板部材を用意する。この基板部材の表面には、鏡面研磨加工を施すことが好ましい。
【0032】
次いで、図3(a)に示すように、基板11の一側面11a上に、DLC膜19を形成する。DLC膜は、スパッタリング、イオンプレーティング法等によって形成することができる。以下に、イオンプレーティング法によってDLC膜を形成する場合の工程について説明する。
真空チャンバー中にベンゼンガス又は他の炭化水素ガスを導入し、直流アーク放電プラズマ中で炭化水素イオンや励起されたラジカルを生成する。次いで、直流の負電圧にバイアスされた基板11の一側面11aに、バイアス電圧に応じたエネルギーで炭化水素イオンを衝突させ、固体化することにより、基板11上にDLC膜を形成することができる。ここで形成するDLC膜の膜厚は、上述のように、100nm以上であることが好ましく、200〜1000nmであることがより好ましい。
【0033】
続いて、図3(b)に示すように、DLC膜19の上に、絶縁層12をスパッタリングにより形成する。具体的には、絶縁層12は、DLC膜19を形成してから所定時間が経過し、DLC膜19の温度が下がって膜が安定した後に、例えば、15〜30μmの厚さで成膜することが好ましい。本発明では、このとき、基板11の一側面11a上には、既にDLC膜19が成膜されているので、絶縁層12を形成する際に、成膜時の衝撃によって絶縁層12に含まれている酸素原子が基板11に侵入することがなく、基板材料粒子の脱離を防止することができる。
【0034】
次いで、図3(c)に示すように、絶縁層12の上に、下部シールド層13および下部ギャップ層を順次形成する。下部シールド層13は、例えば、メッキ法により形成することもでき、スパッタ法により形成することもできる。特に、本発明では、下部シールド層13の形成は、特開2001−101623号公報に記載のリフトオフ法によって行うことが、下部シールド層を高精度に形成することができるため好ましい。
なお、スパッタ法を用いる場合は、まず、絶縁層12上に、シールド層材料からなる膜(以下、「シールド材膜」ともいう)をスパッタリングによって形成し、次いで、このシールド材膜上に、レジスト膜を形成し、フォトリソグラフィ技術を用いて磁気シールドとなる部分のレジスト膜を残し、このレジスト膜をマスクとして、イオンエッチングによりレジスト膜のない部分のシールド材膜を除去することにより、下部シールド層13を形成することができる。その後、イオンエッチングがなされたレジスト膜の表面は、炭化層となっていることから、O2プラズマを行って炭化層部分を除去した後に、アセトン等の用材によってレジスト膜の剥離を行うことができる。但し、スパッタ法では、シールド層の厚さが厚くなるほど、イオンエッチングに費やされる時間が長くなったり、イオンエッチングによってレジスト膜の形状が変形し、シールド層のエッジ部分に傾斜が形成されてしまったり、膜厚制御が困難となる等の問題があるため、本発明では、上述のリフトオフ法を用いることが好ましい。
【0035】
次いで、下部シールド層13の上に、下部ギャップ層14を形成する。下部ギャップ層14は、スパッタリングによって形成することができる。その後、図4(a)に示すように、下部ギャップ層14の上に、磁気抵抗効果型素子15、上部ギャップ層16を、例えばスパッタリングによって順次形成する。
【0036】
続いて、図4(b)に示すように、上部ギャップ層16の上に、上部シールド層17を形成する。上部シールド層17の形成は、上述の下部シールド層13を形成する場合と同様に、メッキ法、スパッタ法、リフトオフ法を用いることができ、中でもリフトオフ法を用いることが好ましい。
【0037】
その後、図4(c)に示すように、上部シールド層17上に、保護層18を形成する。保護層18は、スパッタリング、蒸着法等によって形成することができる。次いで、保護層18の一側面18aに保護板20を、樹脂系等の接着剤によって接合した後、基板11の端面11bおよび保護板20の端面20bを研磨して、なだらかな曲面状の磁気テープ摺動面S(図2参照)を形成することにより、MRヘッドを形成することができる。
【0038】
以上説明したように、本発明の磁気抵抗効果型ヘッドによれば、基板11と絶縁層12との間にDLC膜19を設けたので、磁気抵抗効果型ヘッド10の製造工程において基板11上に下地層としての絶縁層12を形成する際に、絶縁層12に含まれている酸素原子が基板11内に侵入するのを防ぐことができる。したがって、基板11を構成している材料の各原子間の結合(ここでは、アルミニウム、チタンおよび炭素間の結合)は保たれるので、磁気テープの再生時に基板11の摺動面に圧力が加わった場合でも、基板11の表面から基板11を構成している材料の粒子(ここではアルチックの粒子)が脱離することがない。更に、本発明では、基板上に高強度のDLC膜を設けることにより、基板エッジ部の削れを防止し、基板間の溝が広がることを防止して、スペーシングロスを抑えることもできる。
【0039】
【発明の効果】
本発明により、磁気テープの再生時に磁気ヘッドの基板の摺動面に圧力が加わった場合でも、基板の表面から基板を構成している材料の粒子が脱離せず、かつ基板エッジ部の削れを生じることがなく、電磁変換特性の良好な磁気ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気抵抗効果型ヘッドの要部を示す断面図である。
【図2】図1に示した磁気抵抗効果型ヘッドの斜視図である。
【図3】図1に示した磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法を説明するための断面図であり、(a)はDLC膜を形成した状態を示し、(b)は絶縁層を形成した状態を示し、(c)は下部シールド層及び下部ギャップ層を形成した状態を示す。
【図4】図1に示した磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法を説明するための断面図であり、(a)は磁気抵抗効果層及び上部ギャップ層を形成した状態を示し、(b)は上部シールド層を形成した状態を示し、(c)は保護層を形成した状態を示す。
【図5】従来の磁気抵抗効果型ヘッドの要部を示す断面図である。
【符号の説明】
10 磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)
11 基板
12 絶縁層
13 下部シールド層
14 下部ギャップ層
15 磁気抵抗効果型素子(MR素子)
16 上部ギャップ層
17 上部シールド層
18 保護層
19 DLC膜
20 保護板
G 磁気ギャップ
【発明の属する技術分野】
本発明は、再生時における電磁変換特性を向上させた磁気ヘッド、特に、磁気抵抗効果型磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、データ等の信号を記録および/または再生するための信号記録用テープとして、磁気記録媒体である磁気テープが広く用いられており、近年は、単位面積あたりの記録密度を高くするために、磁気テープのトラック幅をより狭くする狭トラック化が図られている。そのため、磁気テープの狭トラック化に対応できるように、磁気記録再生装置に用いられる磁気ヘッドとしては、その磁気ギャップ幅をより狭くすること(狭ギャップ化)が求められており、薄膜形成技術によって狭ギャップ化が実現できる磁気抵抗効果型ヘッドが多用されている(特許文献1参照)。
【0003】
図5は、従来の磁気抵抗効果型ヘッドの要部を示す断面図である。図5に示すように、従来の磁気抵抗効果型ヘッド30は、薄膜形成技術によって、非磁性材料から構成される基板31上に、絶縁性材料から構成される絶縁層32、磁性材料から構成される下部シールド層33、非磁性材料から構成される下部ギャップ層34、磁気抵抗効果型素子35、非磁性材料から構成される上部ギャップ層36、磁性材料から構成される上部シールド層37および絶縁性材料から構成される保護層38が順次積層されて形成されている。ここで、下部シールド層33と上部シールド層37とで挟まれた部分が、この磁気抵抗効果型ヘッド30における読取用の磁気ギャップGとなる。なお、基板31には、非磁性材料であるアルミナチタンカーバイド(アルチック:Al2O3・TiC)がよく用いられている。また、絶縁層32には、絶縁性材料であるアルミナ(Al2O3)やシリカ(SiO2)等が用いられている。
【0004】
しかしながら、図5に示すような従来の磁気抵抗効果型ヘッド30では、特に、基板31にアルチックのように多結晶物質が用いられている場合は、磁気テープの再生時に磁気テープが磁気抵抗効果型ヘッド30上を摺動し、基板31の磁気テープと摺動する面(摺動面)に圧力が加わると、その圧力によって基板31を構成しているアルチックの粒子が基板31の表面から脱離するという問題があった。
【0005】
基板31の摺動面に圧力が加わった際に、基板31を構成しているアルチックの粒子が基板31の表面から脱離する原因については、磁気抵抗効果型ヘッド30の製造工程において基板31上に下地層としての絶縁層32を成膜する際に、その成膜時の衝撃によって、絶縁層32に含まれている酸素原子(O)が基板31内に侵入し、基板31に含まれているアルミニウム(Al)やチタン(Ti)と結合してそれぞれ酸化物を形成し、基板31を構成しているアルミニウム、チタンおよび炭素間の結合を妨げることが一因と考えられる。
【0006】
基板31の表面からアルチックの粒子が脱離すると、基板31の表面は荒れた状態となり、平滑性が悪くなる。そのため、磁気テープの再生時に、磁気抵抗効果型ヘッド30と磁気テープとの摩擦力が大きくなり、磁気テープの摺動特性が劣化するので、磁気抵抗効果型ヘッド30が磁気テープから信号を正しく読み出すことができなくなる。
【0007】
また、絶縁層32を構成しているアルミナやシリカは、基板31を構成しているアルチックよりも柔らかいため、基板31の表面からアルチックの粒子が脱離すると、その脱離したアルチックの粒子が、絶縁層32から保護層38の各層の磁気テープと摺動する面(摺動面)を磨耗させる。そのため、磁気テープの再生時に、磁気テープと磁気抵抗効果型ヘッド30との間に隙間ができてしまい、磁気抵抗効果型ヘッド30が磁気テープから信号を正しく読み出すことができなくなる。
【0008】
また、基板材料と絶縁層材料とには、硬度差があるため、長時間のテープ摺動により、偏磨耗が生じる。この偏磨耗が進行していくと、基板−絶縁層間の基板エッジにかかる力はより大きくなる。その結果、偏磨耗が進行するに従って、基板−絶縁層間の基板エッジ部が削れることによって溝ができるため、磁気テープと磁気抵抗型素ヘッドとの間にスペーシングロスが生じ、ヘッド当たりが低下し、電磁変換特性が低下するという問題もあった。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−273126号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、磁気テープの再生時に磁気ヘッドの基板の摺動面に圧力が加わった場合でも、基板の表面から基板を構成している材料の粒子が脱離せず、かつ基板エッジ部の削れを生じることのない磁気ヘッドを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、基板と絶縁層との間に、高強度のダイヤモンドライクカーボン膜を設けることにより、基板材料粒子の脱離を防ぎ、再生時の電磁変換特性を向上することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明を解決するための手段は、以下の通りである。
(1) 非磁性基板と絶縁層との間にダイヤモンドライクカーボン膜を有することを特徴とする磁気ヘッド。
(2) 前記ダイヤモンドライクカーボン膜は、2000kg/mm2以上のビッカーズ硬度を有する(1)に記載の磁気ヘッド。
(3) 前記ダイヤモンドライクカーボン膜の厚さは、100nm以上である(1)または(2)に記載の磁気ヘッド。
(4) 磁気抵抗効果型ヘッドである(1)〜(3)のいずれかに記載の磁気ヘッド。
(5) 基板の一側面上に、ダイヤモンドライクカーボン膜、絶縁層、下部シールド層、下部ギャップ層、磁気抵抗効果型素子、上部ギャップ層、上部シールド層および保護層をこの順に有する(4)に記載の磁気ヘッド。
(6) 非磁性材料から構成される基板の一側面上に、ダイヤモンドライクカーボン膜、絶縁性材料から構成される絶縁層、磁性材料から構成される下部シールド層、非磁性材料から構成される下部ギャップ層、磁気抵抗効果型素子、非磁性材料から構成される上部ギャップ層、磁性材料から構成される上部シールド層および絶縁性材料から構成される保護層をこの順に有する(4)に記載の磁気ヘッド。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明の磁気ヘッドは、絶縁層と基板との間に、ダイヤモンドライクカーボン(以下、「DLC」ともいう)膜を有することを特徴とする。
DLCとは、イオンを利用した気相合成法により合成されるダイヤモンドに類似した高硬度カーボン薄膜である。DLC膜の構造は、通常、水素を若干含有した非晶質(アモルファス)構造で、ダイヤモンド結合やグラファイト結合などを持つものであると言われている。DLC膜は、アモルファス構造のため、結晶粒界を持たず、窒化チタンなどの多結晶構造の硬質薄膜と比べて非常に平滑な表面を有する。こうした表面平滑性とカーボン材料としての物性が、DLC膜に優れた摩擦磨耗特性を付与していると考えられる。
以下に、本発明において、優れた摩擦磨耗特性を有する高硬度DLC膜を、非磁性基板と絶縁層との間に設けることにより得られる効果について説明する。
【0013】
本発明では、絶縁層と基板との間に、DLC膜を設けることにより、磁気ヘッドの製造工程において基板上に下地層としての絶縁層を形成する際に、絶縁層に含まれている酸素原子(O)が基板内に侵入するのを防ぐことができる。したがって、基板を構成している材料の各原子間の結合は保たれるので、磁気テープの再生時に基板の摺動面に圧力が加わった場合でも、基板の表面から基板を構成している材料の粒子が脱離することを防止することができる。
【0014】
更に、本発明では、基板上にDLC膜を設けることにより、磁気テープとの摺動によって最も顕著に削られる部分である基板エッジ部が高強度のDLCで覆われるため、テープとの摺動による基板エッジ部の削れが生じず、良好な電磁変換特性を有する磁気ヘッドを得ることができる。
【0015】
上記DLC膜は、2000kg/mm2以上のビッカーズ硬度を有することが好ましく、3000〜4000kg/mm2のビッカーズ硬度を有することが更に好ましい。DLC膜のビッカーズ硬度が2000kg/mm2以上であれば、前述のテープとの摺動による基板エッジ部の削れを有効に防止することができる。
【0016】
上述のように、本発明では、Al2O3等の絶縁層の磁気媒体摺動による偏磨耗対策として、基板−絶縁層間にDLC膜を設け、基板エッジ部の削れを防止する。DLC膜が薄いと強度的に弱くなるため、かかる効果を得るためには、DLC膜の厚さは、100nm以上であることが好ましく、200〜1000nmであることが更に好ましい。
【0017】
本発明の磁気ヘッドは、例えば、磁気抵抗効果型磁気ヘッド(以下、「MRヘッド」ともいう)であることができる。以下に、MRヘッドの構成について、適宜図面を参照しながら説明するが、本発明はこの態様に限定されるものではない。
【0018】
図1は本発明の磁気抵抗効果型ヘッドの要部を示す断面図、図2は図1に示した磁気抵抗効果型ヘッドの斜視図である。なお、図1では、分かりやすくするために、各層の厚さを誇張して表現している。
【0019】
図1に示すように、MRヘッド10は、基板11の一側面11a上にDLC膜19を有し、その上に、絶縁層12を有する。そして、絶縁層12上に、下部シールド層13、下部ギャップ層14、磁気抵抗効果型素子(以下、「MR素子」ともいう)15、上部ギャップ層16、上部シールド層17および保護層18をこの順に有する。ここで、下部シールド層13と上部シールド層17とで挟まれた部分が、このMRヘッド10における読取用の磁気ギャップGとなる。
【0020】
また、保護層18の一側面18a(図1参照)には保護板20(図2参照)が接合されており、この保護板20の一側面20aは、基板11の一側面11aと共に、DLC膜19、絶縁層12、下部シールド層13、下部ギャップ層14、MR素子15、上部ギャップ層16、上部シールド層17および保護層18を挟持している(図2参照)。
【0021】
そして、図2に示すように、基板11の一方の端面11bおよび保護板20の一方の端面20bは曲面状に形成されており、端面11bおよび端面20bは磁気テープの再生時に磁気テープがMRヘッド10と摺動する面である磁気テープ摺動面Sとなる。この磁気テープ摺動面Sは、磁気テープの走行方向に沿って、なだらかな円弧状の曲面に形成されている。
【0022】
磁気テープ摺動面Sには、前記した読取用の磁気ギャップGが露出しており、磁気ギャップGは、磁気テープが磁気ギャップGの上を通過した際に、磁気テープに磁場として記録された信号をMR素子15で読み出すことができる。具体的には、磁気テープの再生時に、MR素子15に定電流であるセンス電流を流し、MR素子15の電気抵抗値の変化を電圧の変化分として取り出すことにより、磁気テープに記録された信号を読み出すことができる。
【0023】
本発明において、基板11は、非磁性材料であるアルチック(Al2O3・TiC)から構成することができる。また、基板11は、α−Fe2O3(α−ヘマタイト)、NiO−TiO2−MgO、TiO2−CaO、NiO−MnO等の非磁性材料から構成することもでき、Ni−Znフェライト、Mn−Znフェライト等の磁性材料から構成することもできる。
【0024】
基板11の一側面11aは略長方形の矩形状に形成されており、一側面11a上には、DLC膜19、絶縁層12、下部シールド層13、下部ギャップ層14、MR素子15、上部ギャップ層16、上部シールド層17および保護層18が順次成膜されている。また、基板11の一方の端面11bは、保護板20の一方の端面20bと共に磁気テープ摺動面Sとなる(図2参照)。基板の厚さは、例えば、60〜100μmとすることができる。
【0025】
絶縁層12は、例えば、絶縁性材料であるアルミナ(Al2O3)やシリカ(SiO2)等から構成することができる。また、絶縁層12は、AlN、Al−N−X(Xは、Si、B、Cr、Ti、Ta、Nbの一種又は二種以上)、SiN、SiC、DLC、BN、MgO、SiAlON、AlON、Si3Na、SiCO、SiON、SiCON等から構成することもできる。この絶縁層12の厚さは、例えば、15〜30μmであることができる。
【0026】
下部シールド層13および上部シールド層17は、例えば、磁性材料であるFe−Si−Al系合金(センダスト)、Ni−Fe系合金(パーマロイ)、Ni−Zn系合金(ヘマタイト)等の多結晶フェライト等から構成することができる。ただし、シールド層を構成する材料としては、良好な軟磁性を示し、かつ磨耗腐食に優れたものであれば特に限定されるものではない。上記シールド層は、MRヘッドの磁気シールドとして機能するためにシステムで用いる全波長に対応する必要があり、通常、最長波長の2倍以上の膜厚が必要とされる。下部シールド層13の厚さは、例えば、2〜4μmとすることができ、上部シールド層17の厚さは、例えば、2〜4μmとすることができる。なお、下部シールド層と上部シールド層は、同じ材料からなるものであることもでき、異なる材料からなるものでもよい。
【0027】
下部ギャップ層14および上部ギャップ層16は、例えば、非磁性材料であるアルミナ(Al2O3)等から構成することができる。
下部ギャップ層の膜厚tdを、最終的にシステムに必要なシールド間距離(いわゆる再生ギャップ)をGとしたとき、td=G/2−(磁気抵抗効果層(例えばNiFe層)の膜厚/2+非磁性層(例えばTa層)の膜厚)を算出して決定することにより、MR素子を、一対の磁気シールド間の中心位置に正確に配置することができる。また、上部ギャップ層の膜厚tuを、tu=(非磁性層(例えばTa層)の膜厚+軟磁性層(例えばNiFeNb層)の膜厚+非磁性層(例えばTa層)の膜厚+磁気抵抗効果層(例えばNiFe層)の膜厚/2)を算出して決定することにより、MR素子を、一対の磁気シールド間の中心位置に正確に配置することができる。
下部ギャップ層14の厚さは、例えば、60〜140nmとすることができ、上部ギャップ層16の厚さは、例えば、80〜160nmとすることができる。ただし、ギャップ層の層厚及び材料は、MRヘッドの使用目的に応じて適切な材料を選択し、適切な膜厚に設定すればよく、特に限定されるものではない。なお、上部ギャップ層と下部ギャップ層は、同じ材料からなるものであることもでき、異なる材料からなるものでもよい。
【0028】
MR素子15の一例としては、例えば、下層として、膜厚約5nmのタンタル層と、SALバイアス層として、膜厚約32nmのNiFeNb層と、中間絶縁層として、膜厚約5nmのタンタル層と、磁気抵抗効果層として、膜厚約30nmのNiFe層と、上層として、膜厚約1nmのタンタル層とを、この順でスパッタリング等により順次積層することによって形成されたMR素子を挙げることができる。このMR素子では、NiFe層が磁気抵抗効果を有する軟磁性層であり、MR素子の感磁部となる、また、このMR素子においては、NiFeNb層がNiFe層に対してバイアス磁界を印加する、いわゆるSAL層となる。ただし、MR素子の層厚および材料は、MRヘッドの使用目的に応じて適切な材料を選択し、適切な膜厚に設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0029】
保護層18は、例えば、前記した絶縁層12と同様に、絶縁性材料であるアルミナ(Al2O3)やシリカ(SiO2)等から構成することができる。保護層18の材料としては、非磁性導電性の材料であれば、上記以外の材料を使用することもできる。ただし、耐環境性や耐磨耗性を考慮すると、アルミナ(Al2O3)及びシリカ(SiO2)が好適である。保護層18の厚さは、例えば、2〜6μmとすることができる。
【0030】
次に、図1に示すMRヘッドの場合を例に、本発明の磁気ヘッドの製造方法を、図3および図4を参照して説明する。図3および図4は、MRヘッド10の製造方法を説明するための断面図である。
【0031】
本発明において、MRヘッドを製造する際は、まず、例えば4インチ程度の円盤状の基板部材を用意する。この基板部材の表面には、鏡面研磨加工を施すことが好ましい。
【0032】
次いで、図3(a)に示すように、基板11の一側面11a上に、DLC膜19を形成する。DLC膜は、スパッタリング、イオンプレーティング法等によって形成することができる。以下に、イオンプレーティング法によってDLC膜を形成する場合の工程について説明する。
真空チャンバー中にベンゼンガス又は他の炭化水素ガスを導入し、直流アーク放電プラズマ中で炭化水素イオンや励起されたラジカルを生成する。次いで、直流の負電圧にバイアスされた基板11の一側面11aに、バイアス電圧に応じたエネルギーで炭化水素イオンを衝突させ、固体化することにより、基板11上にDLC膜を形成することができる。ここで形成するDLC膜の膜厚は、上述のように、100nm以上であることが好ましく、200〜1000nmであることがより好ましい。
【0033】
続いて、図3(b)に示すように、DLC膜19の上に、絶縁層12をスパッタリングにより形成する。具体的には、絶縁層12は、DLC膜19を形成してから所定時間が経過し、DLC膜19の温度が下がって膜が安定した後に、例えば、15〜30μmの厚さで成膜することが好ましい。本発明では、このとき、基板11の一側面11a上には、既にDLC膜19が成膜されているので、絶縁層12を形成する際に、成膜時の衝撃によって絶縁層12に含まれている酸素原子が基板11に侵入することがなく、基板材料粒子の脱離を防止することができる。
【0034】
次いで、図3(c)に示すように、絶縁層12の上に、下部シールド層13および下部ギャップ層を順次形成する。下部シールド層13は、例えば、メッキ法により形成することもでき、スパッタ法により形成することもできる。特に、本発明では、下部シールド層13の形成は、特開2001−101623号公報に記載のリフトオフ法によって行うことが、下部シールド層を高精度に形成することができるため好ましい。
なお、スパッタ法を用いる場合は、まず、絶縁層12上に、シールド層材料からなる膜(以下、「シールド材膜」ともいう)をスパッタリングによって形成し、次いで、このシールド材膜上に、レジスト膜を形成し、フォトリソグラフィ技術を用いて磁気シールドとなる部分のレジスト膜を残し、このレジスト膜をマスクとして、イオンエッチングによりレジスト膜のない部分のシールド材膜を除去することにより、下部シールド層13を形成することができる。その後、イオンエッチングがなされたレジスト膜の表面は、炭化層となっていることから、O2プラズマを行って炭化層部分を除去した後に、アセトン等の用材によってレジスト膜の剥離を行うことができる。但し、スパッタ法では、シールド層の厚さが厚くなるほど、イオンエッチングに費やされる時間が長くなったり、イオンエッチングによってレジスト膜の形状が変形し、シールド層のエッジ部分に傾斜が形成されてしまったり、膜厚制御が困難となる等の問題があるため、本発明では、上述のリフトオフ法を用いることが好ましい。
【0035】
次いで、下部シールド層13の上に、下部ギャップ層14を形成する。下部ギャップ層14は、スパッタリングによって形成することができる。その後、図4(a)に示すように、下部ギャップ層14の上に、磁気抵抗効果型素子15、上部ギャップ層16を、例えばスパッタリングによって順次形成する。
【0036】
続いて、図4(b)に示すように、上部ギャップ層16の上に、上部シールド層17を形成する。上部シールド層17の形成は、上述の下部シールド層13を形成する場合と同様に、メッキ法、スパッタ法、リフトオフ法を用いることができ、中でもリフトオフ法を用いることが好ましい。
【0037】
その後、図4(c)に示すように、上部シールド層17上に、保護層18を形成する。保護層18は、スパッタリング、蒸着法等によって形成することができる。次いで、保護層18の一側面18aに保護板20を、樹脂系等の接着剤によって接合した後、基板11の端面11bおよび保護板20の端面20bを研磨して、なだらかな曲面状の磁気テープ摺動面S(図2参照)を形成することにより、MRヘッドを形成することができる。
【0038】
以上説明したように、本発明の磁気抵抗効果型ヘッドによれば、基板11と絶縁層12との間にDLC膜19を設けたので、磁気抵抗効果型ヘッド10の製造工程において基板11上に下地層としての絶縁層12を形成する際に、絶縁層12に含まれている酸素原子が基板11内に侵入するのを防ぐことができる。したがって、基板11を構成している材料の各原子間の結合(ここでは、アルミニウム、チタンおよび炭素間の結合)は保たれるので、磁気テープの再生時に基板11の摺動面に圧力が加わった場合でも、基板11の表面から基板11を構成している材料の粒子(ここではアルチックの粒子)が脱離することがない。更に、本発明では、基板上に高強度のDLC膜を設けることにより、基板エッジ部の削れを防止し、基板間の溝が広がることを防止して、スペーシングロスを抑えることもできる。
【0039】
【発明の効果】
本発明により、磁気テープの再生時に磁気ヘッドの基板の摺動面に圧力が加わった場合でも、基板の表面から基板を構成している材料の粒子が脱離せず、かつ基板エッジ部の削れを生じることがなく、電磁変換特性の良好な磁気ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気抵抗効果型ヘッドの要部を示す断面図である。
【図2】図1に示した磁気抵抗効果型ヘッドの斜視図である。
【図3】図1に示した磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法を説明するための断面図であり、(a)はDLC膜を形成した状態を示し、(b)は絶縁層を形成した状態を示し、(c)は下部シールド層及び下部ギャップ層を形成した状態を示す。
【図4】図1に示した磁気抵抗効果型ヘッドの製造方法を説明するための断面図であり、(a)は磁気抵抗効果層及び上部ギャップ層を形成した状態を示し、(b)は上部シールド層を形成した状態を示し、(c)は保護層を形成した状態を示す。
【図5】従来の磁気抵抗効果型ヘッドの要部を示す断面図である。
【符号の説明】
10 磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)
11 基板
12 絶縁層
13 下部シールド層
14 下部ギャップ層
15 磁気抵抗効果型素子(MR素子)
16 上部ギャップ層
17 上部シールド層
18 保護層
19 DLC膜
20 保護板
G 磁気ギャップ
Claims (6)
- 基板と絶縁層との間にダイヤモンドライクカーボン膜を有することを特徴とする磁気ヘッド。
- 前記ダイヤモンドライクカーボン膜は、2000kg/mm2以上のビッカーズ硬度を有する請求項1に記載の磁気ヘッド。
- 前記ダイヤモンドライクカーボン膜の厚さは、100nm以上である請求項1または2に記載の磁気ヘッド。
- 磁気抵抗効果型ヘッドである請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気ヘッド。
- 基板の一側面上に、ダイヤモンドライクカーボン膜、絶縁層、下部シールド層、下部ギャップ層、磁気抵抗効果型素子、上部ギャップ層、上部シールド層および保護層をこの順に有する請求項4に記載の磁気ヘッド。
- 非磁性材料から構成される基板の一側面上に、ダイヤモンドライクカーボン膜、絶縁性材料から構成される絶縁層、磁性材料から構成される下部シールド層、非磁性材料から構成される下部ギャップ層、磁気抵抗効果型素子、非磁性材料から構成される上部ギャップ層、磁性材料から構成される上部シールド層および絶縁性材料から構成される保護層をこの順に有する請求項4に記載の磁気ヘッド。
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