JP3994933B2 - 磁気抵抗効果型磁気ヘッド及び記録再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、テープ状記録媒体に対して摺接して用いられる磁気抵抗効果型磁気ヘッド及びこの磁気抵抗効果型磁気ヘッドを用いた記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気ヘッドは、磁気記録再生装置に搭載されて、磁気記録媒体に対して情報信号の記録及び/又は再生(以下、記録再生という。)を行うものである。このような磁気記録再生装置としては、例えばビデオテープレコーダ(VTR:VideoTape Recorder)やDAT(Digital Audio Tape)レコーダ等のように、高速で回転するドラムに磁気ヘッドを備え、このドラムに対してテープ状の磁気記録媒体を摺動させて、いわゆるヘリカルスキャン方式によって記録再生を行うものがある。
【0003】
磁気ヘッドは、一般に、高透磁率である磁性材料によって形成された磁気コアに対して、コイルが巻回されることによって構成されている。このような磁気ヘッドは、磁気コアとコイルとの電磁誘導を利用して磁気記録媒体に対する記録再生を行うことから、電磁誘導型(インダクティブ型)磁気ヘッドと称される。
【0004】
従来の磁気ヘッドは、バルク型の磁性材料を機械加工によって整形した磁気コア半体を、磁気ギャップを介して接合一体化することによって磁気コアを構成している。
【0005】
近年、磁気記録の分野においては、磁気信号の高記録密度化がより一層進められており、微細な磁気信号を正確に記録再生することが要求されている。ところが、電磁誘導型磁気ヘッドは、バルクの磁性材料から機械加工によって磁気コアが整形されているために、狭トラック化及び狭ギャップ化を十分に図ることができず、高記録密度化に対応することができない。
【0006】
そこで、高記録密度化に対応した磁気ヘッドとして、磁気抵抗効果素子(以下、MR素子と称する。)の磁気抵抗効果を利用して、磁気記録媒体に記録された信号を読み取る磁気抵抗効果型磁気ヘッド(以下、MRヘッドという。)が普及している。
【0007】
MR素子は、抵抗素子の一種であり、磁気記録媒体に記録された信号磁界等の外部磁界の変化に応じて、電気抵抗が変化する。MRヘッドは、MR素子に電流を流し、このMR素子に流れる電流値が磁気記録媒体からの信号磁界に応じて変化することを利用して、磁気記録媒体に記録された信号を読み取る。
【0008】
ところで、近年では、小型で大容量である磁気記録媒体が望まれており、これに伴い、例えば記録トラック幅を狭くするなどの手法によって、磁気記録媒体の高記録密度化がますます進んでいる。
【0009】
MRヘッドは、磁気抵抗効果を示すMR素子が非磁性基板上に形成されてなり、再生専用として用いられる磁気ヘッドである。MRヘッドは、磁気コイルが不要であることから磁気誘導型の磁気ヘッドに比べて小型化が可能であるとともに、高感度であることから再生出力が高く、高記録密度化に適した磁気ヘッドとして注目されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したMRヘッドを搭載した記録再生装置の例としては、ハードディスク装置や磁気テープ装置などが挙げられる。
【0011】
ハードディスク装置においては、一般的にMRヘッドが浮上スライダに搭載され、ディスク状記録媒体上を浮上しながら再生動作を行っている。この場合には、MRヘッドとディスク状記録媒体とが接触することはないので、MRヘッドが摩耗することはほとんどない。
【0012】
一方、磁気テープ装置においては、MRヘッドとテープ状記録媒体とが直接摺動する。この磁気テープ装置のうち、再生ヘッド又はリードヘッドとして固定されたMRヘッドを備える装置においては、摺動する速度が遅く、且つ摺動するときにテープ状記録媒体からMRヘッドの摺動面に加わる面圧も小さい。このため、MRヘッドは摩耗するもののごくわずかしか摩耗しない。また、摩耗粉の量が少ないために発生する付着物の量が少ない。このため、MRヘッドは十分に長い間使用することが可能となる。
【0013】
しかしながら、デジタルビデオカセットレコーダーなどのヘリカルスキャン方式の磁気テープ装置においては、MRヘッドを回転ドラムに搭載し、この回転ドラムを高速で回転させることによって再生動作を行っている。そのため、MRヘッドとテープ状記録媒体とが高速で摺動する。また、MRヘッドとテープ状記録媒体とが確実に接触するようにするために、摺動するときにテープ状記録媒体からMRヘッドの摺動面に加わる面圧を大きくしてある。
【0014】
このことが原因となって、ヘリカルスキャン方式の磁気テープ装置におけるMRヘッドは、磁気シールド部材の偏摩耗や、付着物の付着などによってスペーシングロスが生じてしまう場合がある。これにより、再生出力が低下して再生動作が劣化するため、磁気テープ装置の信頼性が低くなる。
【0015】
このため、ハードディスク装置などに搭載されているMRヘッドを、ヘリカルスキャン方式の磁気テープ装置に搭載する場合には、MRヘッドにおける磁気シールド部材の偏摩耗や、ステインと呼ばれる付着物が摺動面に付着することによるスペーシングロスを防止する必要がある。
【0016】
本発明はこのような従来の実状に鑑みて提案されたものであり、磁気シールド部材の偏摩耗によるスペーシングロスを低減し、高い再生出力を維持することが可能である磁気抵抗効果型磁気ヘッドを提供することを目的とする。また、再生動作が安定であり信頼性の高い記録再生装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、テープ状記録媒体に対して摺接して用いられる磁気抵抗効果型の磁気ヘッドであって、一対の磁気シールド部材のシールド間ギャップに磁気抵抗効果素子が配されてなり、上記一対の磁気シールド部材のうち、当該磁気抵抗効果型磁気ヘッドが上記テープ状記録媒体に対して摺接したときに、上記テープ状記録媒体が進入する側に位置する一方の磁気シールド部材が、上記テープ状記録媒体が退出する他方の磁気シールド部材と比較して、硬度が低く、かつ膜質が粗く、かつ引っ張り応力が強い薄膜よりなることを特徴とする。
【0018】
以上のように構成された本発明に係る磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、ステインが付着しやすい方を、テープ状記録媒体が進入する側に設置することにより、磁気シールド部材の偏摩耗、及び摺動面に対する付着物の付着によってスペーシングロスが生じることを防ぐことが可能となる。
【0019】
また、本発明に係る記録再生装置は、テープ状記録媒体に対して磁気ヘッドを摺接させて、上記テープ状記録媒体に対する信号の記録及び/又は再生を行う記録再生装置において、再生用の磁気ヘッドとして、一対の磁気シールド部材間のシールド間ギャップに磁気抵抗効果素子が配されてなる磁気抵抗効果型磁気ヘッドを備え、上記磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、上記一対の磁気シールド部材のうち、一方に比し硬度が低く、かつ膜質が粗く、かつ引っ張り応力が強い薄膜よりなる磁気シールド部材が、当該磁気ヘッドに摺接するテープ状記録媒体の進入側に位置するように配設されていることを特徴とする。
【0020】
以上のように構成された本発明に係る記録再生装置は、搭載されている磁気抵抗効果型磁気ヘッドにおいて、磁気シールド部材の偏摩耗、及び摺動面に対する付着物の付着によるスペーシングロスがない。そのため、再生動作が安定し、信頼性の高いものとなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る磁気抵抗効果型磁気ヘッド(以下、MRヘッドという。)及びこの磁気ヘッドを用いた記録再生装置を図面を参照して説明する。
【0022】
なお、以下の説明で用いる図面は、各部の特徴をわかりやすく図示するために、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各部材の寸法の比率が実際と同じであるとは限らない。また、以下では、MRヘッド1を構成する各薄膜の構成や材料等について例示するが、本発明は、例示するMRヘッドに限定されるものではなく、所望とする目的や性能に応じて各薄膜の構成や材料等を選択すればよい。
【0023】
また、以下の説明では、MRヘッドが回転ドラムに搭載されてヘリカルスキャン方式によって再生動作を行う場合を例に挙げて述べるが、本発明は以下の例に限定されるものではない。例えば、いわゆる固定型ヘッドとしてMRヘッドを使用して再生動作を行ってもよい。
【0024】
本発明に係るMRヘッド1は、図1及び図2に示すように、第1の基板2を備え、この第1の基板2上に、下部磁気シールド層3と、平坦化層4とが形成されている。下部磁気シールド層3と、平坦化層4とは、略同一面を形成している。下部磁気シールド層3と、平坦化層4との上に下部ギャップ層5が形成されている。なお、平坦化層4は、図2において図示を省略している。
【0025】
下部ギャップ層5上には、磁気抵抗効果薄膜6(以下、MR薄膜6という。)が形成されている。MR薄膜6の長手方向には、バイアス層7a,7bと、電極層8a,8bとが順次積層されている。また、接続端子9a,9bと、外部接続端子10a,10bとが形成されている。
【0026】
MR薄膜6と、バイアス層7a,7bと、電極層8a,8bとは、摺動面に露出するように形成されている。接続端子9a,9bと、外部接続端子10a,10bとは、摺動面に露出しない位置に形成されている。
【0027】
なお、図1においては、バイアス層7a,7bと、電極層8a,8bとの図示を省略する。また、図2においては、接続端子9a,9bと、外部接続端子10a,10bとの図示を省略する。
【0028】
MR薄膜6と、バイアス層7a,7bと、電極層8a,8bと、接続端子9a,9bとの上には、上部ギャップ層11と、上部磁気シールド層12とが順次形成されている。上部ギャップ層11と、上部磁気シールド層12との上には、保護膜13が形成されている。そして、保護膜13上に、接着層14を介して第2の基板15が形成されている。
【0029】
第1の基板2と第2の基板15とは、高硬度非磁性材料によって形成されている。具体的な材料としては、例えばアルミナ−チタン−カーバイド(アルチック)などが挙げられる。第1の基板2と第2の基板15とは、平面形状が略長方形の薄板形状に成形されてなる。
【0030】
また、第1の基板2と第2の基板15との端面は、テープ状記録媒体が摺動するテープ摺動面16とされている。このテープ摺動面16は、所定の曲率を有する円弧状の曲面とされている。このとき、テープ状記録媒体は、矢印Aの方向に摺動する。
【0031】
下部磁気シールド層3と、上部磁気シールド層12とは、磁気記録媒体からの信号磁界のうち、再生対象外の磁界が、MR薄膜6に引き込まれないように機能する。すなわち、再生の対象外の信号磁界は、下部磁気シールド層3と、上部磁気シールド層12とにより導かれ、再生の対象となる信号磁界だけがMR薄膜6に導かれる。これにより、MR薄膜6の高周波数特性及び読取分解能の向上が図られている。
【0032】
下部磁気シールド層3は、軟磁性材料によって形成されている。この軟磁性材料の例としては、センダスト(Fe−Al−Si合金)、FeTaなどの通常の磁気ヘッドにおいて磁気シールド部材に使用される材料が挙げられる。
【0033】
上部磁気シールド層12は、後述するようなCo系アモルファス材料による軟磁性層から形成されている。ここでは、上部磁気シールド層12を、Co系アモルファス材料による軟磁性薄膜層と、非磁性薄膜層とを交互に堆積させ、少なくとも2層以上の磁性薄膜層を有する積層構造とした。
【0034】
ここで使用されるCo系アモルファス材料は、CoaZrbNbcMd(但し、Mは、Mo,Cr,Ta,Ti,Hf,Pd,W,Vのいずれかである。また、a,b,c,dは、原子パーセントを示しており、これらがそれぞれ79≦a≦83,2≦b≦6,10≦c≦14,1≦d≦5であり、a+b+c+d=100である。)の組成からなる材料であることが望ましい。
【0035】
例えば、上述したCo系アモルファス材料において、M=Taのときには、68≦a≦90,0≦b≦10,0≦c≦20,0≦d≦10,a+b+c+d=100であれば、軟磁性特性が優れている。この組成が、79≦a≦83,2≦b≦6,10≦c≦14,1≦d≦5,a+b+c+d=100のときには、軟磁性特性に加えて、耐熱性、耐摩耗性、及び透磁率も優れたものとなる。
【0036】
このため、この組成のCo系アモルファス材料を用いることによって、上部磁気シールド層12の偏摩耗を減少させることができため、スペーシングロスを減少させることが可能となる。また、このためにMRヘッド1は、高い出力を維持することができると共に、その寿命を延ばすことが可能となる。
【0037】
上述した上部磁気シールド層12に使用される軟磁性材料においては、内部に磁壁が生じる。この磁壁の移動は突発的な磁化の変化をひきおこす。この磁化の変化がMR薄膜6に感知されるとバルクハウゼンノイズが生じ、再生動作が不安定になる。
【0038】
上述したようなバルクハウゼンノイズの発生を防ぐため、上部磁気シールド層12は、軟磁性薄膜層と非磁性薄膜層とを所定の厚みで堆積させることが望ましい。このことにより軟磁性薄膜層同士を静磁結合させ、エネルギーが低く、且つ軟磁性薄膜層に磁区が生じない状態となる。
【0039】
なお、本実施の形態においては、軟磁性薄膜層の厚さを0.28μmとし、非磁性薄膜層の厚みを5nmとして、軟磁性薄膜層が12層となるように軟磁性薄膜層と非磁性薄膜層とを交互に堆積させた。また、Co系アモルファス材料の特性を安定化させるために、下地としてCrなどを数nm程度堆積させることが望ましい。
【0040】
このように形成された下部磁気シールド層3と上部磁気シールド層12とを比較すると、Co系アモルファス材料によって形成された上部磁気シールド層12側の方が、ステインが付着し易い。このため、上部磁気シールド層12がリーディング側となるように、回転ドラムに対してMRヘッド1を設置する。
【0041】
このことにより、MRヘッド1における上部磁気シールド層3と下部磁気シールド層12との偏摩耗、及び摺動面に対するステインの付着によるスペーシングロスを抑制することが可能となり、再生出力の低下及び出力変動などを抑制することが可能となる。また、MRヘッド1は、長時間の使用が可能となり、信頼性の高いものとなる。この理由を以下に述べる。
【0042】
再生のときには、テープ状記録媒体とMRヘッド1とが摺動するが、このときステインは、硬度が低い方に付着しやすい。また、ステインは、緻密性が低い方や、引っ張り応力が強い方に付着しやすい。
【0043】
また、MRヘッド1におけるリーディング側とトレーディング側とを比較した場合には、リーディング側の方が摩耗が生じやすく、トレーディング側の方がステインが付着しやすい。
【0044】
このため、摩耗が生じやすく且つステインが付着しやすい方をリーディング側に設置することによって、磁気シールド層における摩耗とステインの付着とのバランスをとることが可能となる。このため、MRヘッド1は、スペーシングロスをなくすことが可能となり、安定した再生出力を得ることができる。
【0045】
異なる硬度の材料により形成された2つの磁気シールド層を比較すると、硬度が低い材料によって形成されている磁気シールド層の方が、ステインが付着しやすい。また、形成された磁気シールド層の緻密性が低い方が、ステインが付着しやすい。また、引っ張り応力が強い方がステインが付着しやすい。
【0046】
本発明においては、下部磁気シールド層3が、センダスト(Fe−Al−Si合金)、FeTaなどによって形成されており、上部磁気シールド層12が、Co系アモルファス材料によって形成されている。このため、下部磁気シールド層3と、上部磁気シールド層12とを比較すると、上部磁気シールド層12の方が、硬度が低い材料によって形成されている。また、上部磁気シールド層12の方が緻密性が低く、且つ引っ張り応力が強い。
【0047】
このため、回転ドラムに対してMRヘッド1を設置するときには、上部磁気シールド層12がリーディング側となるようにする。
【0048】
平坦化層4は、非磁性非導電性材料によって形成される。平坦化層4は、第1の基板2上に下部磁気シールド層3を形成したときにできた凹凸を平坦化するものであり、第1の基板2と略同一面を形成するようにする。平坦化層4は、例えばAl2O3によって形成されることが望ましい。
【0049】
下部ギャップ層5と、上部ギャップ層11とは、非磁性非導電性材料によって薄膜状に形成されている。これらの非磁性非導電性層が存在することによって、絶縁性が保たれる。下部ギャップ層5及び上部ギャップ層11は、絶縁性及び耐摩耗性を考慮すると、例えばAl2O3によって形成されることが望ましい。
【0050】
MR薄膜6は、感磁部であり、磁気記録媒体に記録されている情報記録を読みとる部分である。
【0051】
ここでは、MR薄膜6は、第1の非磁性層と、第1の軟磁性層と、第2の非磁性層と、第2の軟磁性層と、第3の非磁性層とが基板側から順次積層された構造とされ、いわゆるSALバイアス方式の膜として構成されている。第1の非磁性層と、第2の非磁性層と、第3の非磁性層としては、例えばTa等が使用される。第1の軟磁性層としては、例えばNi−Fe等が使用される。第2の軟磁性層としては、例えばNi−Fe−Nb等が使用される。
【0052】
なお、MR薄膜6は、SALバイアス方式の膜に限定されるものではなく、従来から知られているような、いわゆるAMRやGMR等の各種膜構成により形成されていればよい。また、MRヘッド1においては、MR薄膜6の長手方向が摺動面13と平行となるように配設されており、摺動面13と平行な方向にセンス電流が供給される。
【0053】
一対のバイアス層7a,7bは、MR薄膜6に対してバイアス磁界を印加し、MR薄膜6の磁区を単磁区化するための機能を有している。一対のバイアス層7a,7bは、それぞれMR薄膜6の長手方向の両端部に位置して、硬磁性材料によって形成されている。また、一対のバイアス層7a,7bは、それぞれMR薄膜6の両端部に磁気的に接続されている。なお、以下の説明では、一対のバイアス層7a,7bをまとめて、単にバイアス層7と称する。
【0054】
電極層8a,8bは、MR薄膜6に対してセンス電流を供給する。電極層8a,8bは、導電性であり且つ低抵抗である金属材料によって薄膜状に形成されている。ここで低抵抗である材料を使用することにより、MRヘッド1全体の抵抗値を下げることが可能となる。電極層8a及び電極層8bは、MR薄膜6の両端にそれぞれ接続している。電極層8a,8bの材料としては、例えばCr,Ta等が好適である。
【0055】
なお、以下の説明では、電極層8a,8bをまとめて、単に電極層8と称する。
【0056】
接続端子9a,9bは、電極層8a,8bに対してセンス電流を提供する。接続端子9a,9bは、電極層8a,8bと同様に、導電性であり且つ低抵抗である金属材料によって薄膜状に形成されている。接続端子9a,9bの材料としては、例えばCr,Ta等が好適である。
【0057】
外部端子10a,10bは、接続端子9a,9bに対してセンス電流を提供する。外部端子10a,10bは、電極層8a,8bと同様に、導電性であり且つ低抵抗である金属材料によって薄膜状に形成されている。外部端子10a,10bの材料としては、例えばCr,Ta等が好適である。
【0058】
なお、電極層8aと、接続端子9aと、外部接続端子10aとが、接続しており、電極層8bと、接続端子9bと、外部接続端子10bとが、接続している。これにより、MR薄膜6に対してセンス電流を提供することが可能となる。
【0059】
保護層13は、MR素子部分と外部とを電気的及び磁気的に遮断するために形成する。保護膜13は、非磁性非導電性材料によって形成される。
【0060】
接着層14は、第2の基板15を貼り付けるために接着剤を使用することにより形成される。このとき使用される接着剤の例としては、エポキシ系の接着剤などが挙げられる。なお、接着層14は、図1では図示を省略する。
【0061】
この接着層14が存在することにより、第2の基板15側の方が第1の基板2側よりもステインが付着しやすい。このため、MRヘッド1を回転ドラム30に搭載するときには、接着層14により貼り付けられた第2の基板15側がリーディング側となるようにする。
【0062】
このことにより、MRヘッド1は、スペーシングロスの発生を防ぐことが可能となり、再生出力の低下及び出力変動などを抑制することが可能となる。また、MRヘッド1は、長時間の使用が可能となり、信頼性の高いものとなる。
【0063】
なお、このMRヘッド1では、実際には、第1の基板2と、第2の基板15とが他の部分に比べて大きい。例えば、第1の基板2におけるテープ状記録媒体の走行方向の長さt1は、0.8mm程度とされ、MR素子部分の長さt2は、5μmとされる。したがって、このMRヘッド1における摺動面16を形成するのは、ほとんどが第1の基板2と、第2の基板12との端面である。
【0064】
このようなMRヘッド1を後述する回転ドラムに搭載して、テープ状記録媒体に記録された情報信号を、ヘリカルスキャン方式によって再生する。
【0065】
このように構成されたMRヘッド1は、テープ状記録媒体と直接摺動するヘリカルスキャン方式によって再生を行ったときにも、下部磁気シールド層3と上部磁気シールド層12との偏摩耗、及び摺動面に対するステインの付着によるスペーシングロスが生じない。このため、MRヘッド1は、ヘリカルスキャン方式である磁気テープ装置に搭載された場合においても高い再生出力を維持することが可能となり、高密度記録に適したものとなる。
【0066】
次に、上述したMRヘッド1の製造方法について説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴を分かりやすく図示するために、図1及び図2と同様に、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各部材の寸法の比率が実際と同じであるとは限らない。
【0067】
また、以下の説明では、MRヘッド1を構成する各部材並びにその材料、大きさ及び膜厚等について具体的な例を挙げるが、本発明は以下の例に限定されるものではない。例えば、以下の説明では、ハードディスク装置等で実用化されているものと同様な構造を有する、いわゆるシールド型のSAL(Soft Adjacent Layer)バイアス方式のMR薄膜を用いた例を挙げるが、MR薄膜は、この例に限定されるものではない。
【0068】
本発明に係るMRヘッド1を製造する際には、先ず、図3及び図4に示すような、最終的に第1の基板2となる例えば直径3インチの円盤状の第1の基板材30を用意する。この第1の基板材30は、リーディング側のガード材となるものであり、非磁性材料が使用される。この第1の基板材30上には、最終的に複数のMRヘッドが形成される。この第1の基板材30に対して、鏡面研磨加工を施す。
【0069】
次に、図5及び図6に示すように、第1の基板材30上に、最終的に下部磁気シールド層3となる第1の軟磁性金属薄膜層31をスパッタリング等により成膜する。
【0070】
次に、図7及び図8に示すように、第1の軟磁性金属層31に対してエッチングを施し、所定の形状とする。先ず、フォトレジスト膜32を塗布する。次に、いわゆるフォトリソグラフィ技術によりこのフォトレジスト膜32に対して露光、現像を施し、フォトレジスト膜32を所定の形状とする。本実施の形態では、後述するMRヘッド素子が形成される位置に横80μm、縦100μmのフォトレジスト膜32を形成した。
【0071】
次に、イオンエッチングを施し、フォトレジスト膜32が形成されていない部分に形成されている第1の軟磁性金属層31を除去する。このことにより、第1の軟磁性金属層31は、所定の形状となる。この後、フォトレジスト膜32を除去する。
【0072】
次に、図9及び図10に示すように、第1の軟磁性金属層31が形成された基板30の表面を平坦化する。
【0073】
先ず、第1の基板30の全面に第1の非磁性非導電層33を形成する。ここで形成する第1の非磁性非導電層33は、第1の軟磁性金属層31が完全に埋まる必要があるため、第1の軟磁性金属層31の厚みより厚くなるように形成する。
【0074】
本実施の形態では、この厚みを3μmとした。また、第1の非磁性非導電層33を形成する方法の例としては、スパッタ法及び蒸着法などが挙げられる。第1の非磁性非導電層33を形成するための材料の例としては、Al2O3、SiO2などが挙げられる。
【0075】
次に、第1の軟磁性金属層31が露出するまで、第1の非磁性非導電層33に対して研磨を施す。この第1の非磁性非導電層33に対する研磨の方法の例としては、ダイヤモンド砥石で削った後に化学的研磨を行う方法や、最初から化学的研磨を行う方法などが挙げられる。第1の軟磁性金属層31は、全面にわたって露出する必要がある。最終的な第1の軟磁性薄膜層31の厚さは、第1の基板材30の反りなどの影響により異なるが、例えば2μm以上であれば良い。
【0076】
次に、第1の軟磁性金属層31に対して熱処理を施す。この熱処理は、第1の軟磁性金属層31を形成した材料に応じて施す。本実施の形態では、第1の軟磁性金属層31をセンダストで形成したため、1時間で550℃まで昇温させた後、550℃で1時間保持し、その後で自然冷却をした。
【0077】
本実施の形態においては、第1の軟磁性金属層31を積層膜としたため、透磁率は1500となった。また、単層膜とした場合には、透磁率は800となった。なお、第1の軟磁性金属層31を、積層膜とした場合と単層膜とした場合とでは、膜構造が変わるものの、その形成方法は各層ともスパッタ法であるため、基本的には変わらない。
【0078】
次に、図11及び図12に示すように、第1の軟磁性金属層31と第1の非磁性非導電層33とで形成された面の上に、最終的に下部ギャップ層4となる第2の非磁性非導電層34を、スパッタリングなどにより形成する。
【0079】
なお、この第2の非磁性非導電性層33の膜厚は、磁気記録媒体に記録された信号の周波数に応じて適切な値に設定すればよい。膜厚の算出方法は、式(1)に示す通りである。本実施の形態においては、この第2の非磁性非導電性層33の膜厚を100nmに設定している。
(下部ギャップ層5の膜厚)=G/2−(a+b+c+d/2)・・・(1)
ただし、GはMR素子におけるバイアス層7a,7b間の距離である。また、aはMR薄膜における下部絶縁層(ここではTa)の膜厚である。bはMR薄膜におけるSALバイアス層(ここではNiFeNb)の膜厚である。cはMR薄膜における中間絶縁層(ここではTa)の膜厚である。dはMR薄膜における感磁層(ここではNiFe)の膜厚である。
【0080】
次に図13及び図14に示すように、第2の非磁性非導電性層34上に、最終的にSALバイアス方式のMR薄膜6を構成するMR薄膜層35を、スパッタリング等により成膜する。具体的には、MR薄膜層35は、例えば膜厚約5nmのTa層、膜厚約32nmのNiFeNb層、膜厚約5nmのTa層、膜厚約30nmのNiFe層、及び膜厚約1nmのTa層が、以上の順でスパッタリング等により順次成膜されることにより形成される。
【0081】
以上のMR薄膜層35においては、NiFe層が磁気抵抗効果を有する軟磁性膜であり、MRヘッドにおける感磁部となる。また、以上のMR薄膜層35においては、NiFeNb層がNiFe層に対してバイアス磁界を印加するための、いわゆるSAL膜となる。
【0082】
なお、MR薄膜層35を構成する各層の材料及びその膜厚は、以上の例に限定されるものではなく、MRヘッド1の使用目的等に応じて適切な材料を選択し、適切な膜厚に設定するようにすればよい。
【0083】
次に、図15乃至図17に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて、最終的にバイアス層7となる2つの矩形状の永久磁石層36a,36bを、MR薄膜層35に対して、各MRヘッド素子毎に埋め込む。
【0084】
この永久磁石層36a,36bは、最終的に上述したMRヘッド1のバイアス層7となるものであり、例えば長辺方向の長さt3が約50μm、短辺方向の長さt4が約10μmとなり、2つの永久磁石層36a,36b間の間隔t5が約5μmとなるように形成される。これら2つの永久磁石層36a,36b間の間隔t5が、最終的にMR薄膜6のトラック幅となる。すなわち、MRヘッド1においては、MR薄膜6のトラック幅が約5μmとなる。
【0085】
なお、MR薄膜6のトラック幅は、以上の例に限定されるものではなく、MRヘッド1の使用目的等に応じて適切な値に設定すればよい。
【0086】
次に、図18及び図19に示すように、永久磁石層36a,36b上に、最終的に第1の電極層8となる第1の導電性金属層37a,37bを成膜する。
【0087】
このような永久磁石層36a,36bと、第1の導電性金属層37a,37bとを成膜するときには、例えば、先ず、フォトレジストにより各ヘッド素子38毎に2つの長方形の開口部を有するマスクを形成する。次に、エッチングを施して、開口部に露呈していたMR薄膜層35を除去する。なお、ここでのエッチングは、ドライ方式でもウエット方式でも構わないが、加工のしやすさ等を考慮するとイオンエッチングが望ましい。
【0088】
次に、マスクが形成されたMR薄膜層35上に、スパッタリング等によって永久磁石層36a,36bを成膜する。なお、永久磁石層36a,36bの材料としては、保磁力が1000[Oe]以上ある材料が好ましく、例えば、CoNiPtやCoCrPt等が好適である。
【0089】
次に、第1の導電性金属層37a,37bを、スパッタリング等により成膜する。
【0090】
なお、永久磁石層36a,36bの膜厚と、第1の導電性金属層37a,37bの膜厚とは、MRヘッド1が用いられる環境において必要とされる抵抗値やMRヘッドのトラック幅等により決定される。本実施の形態においては、永久磁石層36a,36bの膜厚をMR薄膜層35と同程度とし、第1の導電性金属層37a,37bの膜厚を約60nmとした。
【0091】
次に、マスクとなっていたフォトレジストを、このフォトレジスト上に成膜された永久磁石層36a,36bと、第1の導電性金属層37a,37bとともに除去する。これにより、図18及び図19に示したように、所定のパターンの永久磁石層36a,36bが、MR薄膜層35に埋めこまれ、この永久磁石層36a,36bの上に第1の導電性金属層37a,37bが形成された状態となる。
【0092】
次に、図20及び図21に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて、最終的にMR素子となる部分に相当するMR薄膜層35aと、MR薄膜層35bと、MR薄膜層35cと、第1の導電性金属層37a,37bとを残してMR薄膜層35を除去し、MRヘッド素子38の形状を形成する。
【0093】
このときには、先ずMR薄膜層35aと、MR薄膜層35bと、MR薄膜層35cと、第1の導電性金属層37a,37bとの上に、フォトレジストを形成する。次に、エッチングを施すことによって露出しているMR薄膜層35を除去する。なお、ここでのエッチングは、ドライ方式でもウエット方式でも構わないが、加工のしやすさ等を考慮すると、イオンエッチングが好適である。次に、フォトレジストを除去することにより、MRヘッド素子38の形状が形成される。
【0094】
本実施の形態においては、MR薄膜層35aの幅t6を7μmとした。このt6は、最終的にMR薄膜6のデプス長となる。また、MR薄膜層35b,35cの長さt7を2mmとし、幅t8を80μmとした。また、MR薄膜層35bとMR薄膜層35cとの間隔t9を40μmとした。
【0095】
次に、図22及び図23に示すように、MR薄膜層35b,35cと、第2の導電性金属層39a,39bとを入れ替える。この第2の導電性金属層39a,39bは、第1の導電性金属層37a,37bとそれぞれ接続し、最終的に電極層8となる。
【0096】
具体的には、先ず、MR薄膜層35aと、第1の導電性金属膜36a,36bとの上に、レジストパターンを形成する。次に、エッチングを施して露出しているMR薄膜層35bと、MR薄膜層35cとを除去する。なお、ここでのエッチングは、ドライ方式でもウエット方式でも構わないが、加工のしやすさ等を考慮すると、イオンエッチングが好適である。
【0097】
次に、第2の導電性金属層39となるTi/Cuを成膜する。このとき、第2の導電性金属層39a,39bと、第1の導電性金属層36a,36bとが、それぞれ略同一面を形成するようにする。この後、レジストを剥離することにより、図23に示すように、第2の導電性金属層39a,39bが形成される。
【0098】
次に、図24及び図25に示すように、最終的に上部ギャップ層11となる第3の非磁性非導電性膜40を、スパッタリングなどにより成膜する。この第3の非磁性非導電性膜40の膜厚は、記録信号の周波数に応じて適当な値に設定すればよい。膜厚の算出方法は、式(2)で表される。ここでは、120nmとした。
【0099】
(上部ギャップ層12の膜厚)=G/2−(a+d/2) ・・・・(2)
ただし、GはMR素子におけるバイアス層7a,7b間の距離である。また、aはMR薄膜における下部絶縁層(ここではTa)の膜厚である。dはMR薄膜における感磁層(ここではNiFe)の膜厚である。
【0100】
次に、図26及び図27に示すような、最終的に上部磁気シールド層12となる第2の軟磁性層41を以下に示す手順により形成する。
【0101】
先ず、図28乃至図31に示すように、上部磁気シールド層12が形成される位置を開口部として、ウェハー全面にレジスト膜50を形成する。このとき、開口部におけるレジスト膜の端面は、図28及び図29に示すような逆テーパー型であるか、又は図30及び図31に示すような2層構造で、上層レジスト膜51の方が下層レジスト膜52よりも突出した形状である必要性がある。これにより、第2の軟磁性層41をリフトオフの手法で形成することが可能となる。
【0102】
図28及び図29に示すような、開口部における端面が逆テーパー型のレジスト膜(以下、逆テーパー型レジスト層と称する。)を作製するためには、例えば、日本ゼオン社製ZPN−1100及びクラリアント社製AZ5214Eなどの逆テーパー用レジストを用いればよい。
【0103】
このような逆テーパー用レジストを通常通りプリベークし、露光した後に110℃で加熱し、過大露光を行うことで、逆テーパー型レジスト膜を形成することが可能となる。この逆テーパー型レジスト膜の形成方法は、レジスト製造メーカーが推奨する方法でよい。なお、110℃における加熱は反転ベーキングと呼ばれており、過大露光は反転露光と呼ばれている。
【0104】
また、図30及び図31に示すような、2層構造のレジスト膜を形成するためには、以下の方法に従えばよい。
【0105】
先ず、下層レジスト膜52を、例えば通常は反射防止膜として使用されるBrewer Science社製のARCにより形成する。次に、上層レジスト膜51を、一般的に用いられる、例えばクラリアント社製のAZ6108などにより形成する。露光までは通常の手法で行い、現像のみを長時間行うことによって下層レジスト膜52が多く除去され、上層レジスト膜51が突出した形状である2層構造のレジスト層が形成される。
【0106】
上述したフォトレジストを形成した後、Cr膜を形成する。その後、図32に示すように、最終的に上部磁気シールド10となる第2の軟磁性膜53を形成する。この第2の軟磁性膜53は、非磁性膜とCo系アモルファス膜とを順次積層することによって形成される。
【0107】
なお、ここでは、2層構造レジスト層を形成したときに、第2の軟磁性膜53を形成する方法を例に挙げて説明したが、逆テーパ型レジスト層を形成したときにも、同様に第2の軟磁性膜53を形成することが可能である。
【0108】
次に、2層構造レジスト層と、2層構造レジスト層上に形成された第2の軟磁性層53とを除去する。このとき、2層構造レジスト層は、上述したように上層レジスト膜51が下層レジスト膜52に対して突出した構造とされているため、端面から2層構造レジスト層を除去するための溶剤がしみこみ、2層構造レジスト層の除去が容易になる。
【0109】
次に、図33及び図34に示すように、最終的に外部端子14となる第3の導電性金属層54a,54bを形成する。
【0110】
第3の導電性金属層54a,54bは、例えば硫酸銅メッキ法により形成する。このとき、先ず、第3の導電性金属層54a,54bが形成される部分に開口部を有するフォトレジスト膜を形成する。次に、この開口部に対してエッチングを施すことにより、この開口部に形成されている第3の非磁性非導電性層39を除去する。
【0111】
次に、フォトレジスト膜を残した状態で、第3の非磁性非導電性層39が除去された部分に第3の導電性金属層54を形成する。次に、硫酸銅溶液によりメッキを施す。本実施の形態においては、Cu層が6μm程度の厚さとなるように形成した。なお、第3の導電性金属層54a,54bの形成方法は、他の膜構造に影響を与えない方法であれば、硫酸銅メッキ法以外の方法でも良い。
【0112】
次に、フォトレジストを、同フォトレジスト上に形成された第3の導電性金属層54a,54bと共に除去することにより、第3の導電性金属層54a,54bが形成される。なお、本実施の形態においては、第3の導電性金属層54a,54bの長さt11を50μmとし、幅t12を80μmとした。
【0113】
次に、最終的にMRヘッド1における保護層13となる第4の非磁性非導電層55を形成する。第4の非磁性非導電層55は、例えばAl2O3をスパッタリングすることにより形成する。
【0114】
次に、図35及び図36に示すように、第3の導電性金属層54a,54bが表面に露出するまで第4の非磁性非導電層55の表面を研磨する。ここでの研磨は、例えば粒径が約2μmであるダイアモンド砥粒によって第2の導電性金属膜39a,39bの表面が露出するまで研磨した後、シリコン砥粒によって化学的研磨を施し、表面を鏡面状に仕上げる。
【0115】
次に、図37及び図38に示すように、多数のMRヘッド素子38が形成された第1の基板材30を、横方向にMRヘッド素子38が並ぶように短冊状に切り分け、磁気ヘッドブロック60を形成する。なお、本実施の形態においては、磁気ヘッドブロック60の厚さt13を2mmとした。
【0116】
ここで、1つの磁気ヘッドブロック60に並ぶ横方向に並ぶMRヘッド素子38の数は、生産性を考慮するとできる限り多い方がよい。図38においては、簡略化のために、MRヘッド素子38が5個並ぶ磁気ヘッドブロック60を図示しているが、実際には、これ以上のMRヘッド素子38が並ぶようにしても構わない。
【0117】
次に、図39に示すように、磁気ヘッドブロック60上に、最終的にMRヘッド1の第2の基板12となる第2の基板材61を貼り付ける。この第2の基板材61の厚さt14は、例えば約0.7mmとする。この第2の基板材61の貼り付けには、例えばエポキシ系等の接着剤を用いる。なお、図38及び図39では、第1の基板材30上に形成された各薄膜層を省略している。
【0118】
このとき、第2の基板材61の高さt15を磁気ヘッドブロック60の高さよりも低くして、磁気ヘッドブロック60上の各MRヘッド素子38に形成された第3の導電性金属層54を外部に露出させる。これにより第3の導電性金属層54は、外部と電気的に接続することが可能となる。
【0119】
次に、最終的にMRヘッド1のテープ摺動面16となる面に対して円筒研磨加工を施し、この面を円弧状に形成する。具体的には、MR薄膜6の前端がテープ摺動面16に露呈すると共に、このMR薄膜6のデプス長が所定の長さとなるまで円筒研磨加工を行う。これにより、図40に示すように、最終的にMRヘッド1のテープ摺動面16となる面が円弧状の曲面とされる。
【0120】
なお、この円筒研磨加工によって形成されるテープ摺動面16となる面の曲面形状は、テープテンション等に応じて最適な形状とすればよく、特に限定されるものではない。
【0121】
最後に、図41に示すように、磁気ヘッドブロック60を各MRヘッド素子38毎に分割する。具体的には、例えば、磁気記録媒体が摺動する方向の長さが約0.8mm、幅が約300μm、高さが約2mmとなるように、磁気ヘッドブロック60を角度θでMRヘッド素子38毎に分割する。これにより、先に図1で示したMRヘッド1が多数得られる。なお、θは、アジマス角と同じである。
以上のように製造されたMRヘッド1を実際に使用するときには、先ず、MRヘッド1をチップベースに貼り付ける。次に、このチップベースに設けられた端子と、MRヘッド1に設けられた接続端子14とを電気的に接続する。次に、このチップベースに取り付けられたMRヘッド1を、後述するように図42に示すような回転ドラム70に取り付ける。そして、この回転ドラムが、図43に示すような記録再生装置71に備え付けられて使用される。
【0122】
記録再生装置71は、図43に示すように、回転ドラム70と、供給リール72と、巻き取りリール73と、ローラ74a〜74h(以下、ローラ74と称する。)と、キャプスタンローラ75とを備える。
【0123】
回転ドラム70は、上述したMRヘッド1を再生ヘッドとして備えるとともに、電磁誘導型磁気ヘッドを記録ヘッドとして備えている。回転ドラム70は、矢印Cの方向に回転する。
【0124】
回転ドラム70は、図42に示すように、上ドラム80と、下ドラム81と、モータ82とを備える。上ドラム80は、矢印Dの方向に回転する。下ドラム81は、固定されている。下ドラム81は、第1の再生ヘッド83と、第2の再生ヘッド84と、第1の記録ヘッド85と、第2の記録ヘッド86と、リードガイド部87とが備えられる。モータ82は、上ドラム80を回転させる。
【0125】
第1の再生ヘッド83及び第2の再生ヘッド84は、テープ状記録媒体76に記録された情報記録を再生する。第1の再生ヘッド83及び第2の再生ヘッド84には、上述したMRヘッド1が使用されている。
【0126】
第1の記録ヘッド85及び第2の記録ヘッド86は、テープ状記録媒体76に対して情報を記録する。第1の記録ヘッド85及び第2の記録ヘッド86としては、電磁誘導型磁気ヘッドが使用されている。
【0127】
なお、第1の再生ヘッド83と、第2の再生ヘッド84とは、180°の位相差を有する。また、第1の記録ヘッド85と、第2の記録ヘッド86とは、180°の位相差を有する。
【0128】
リードガイド部87は、回転ドラム70の下ドラム81の外周面に沿って、例えば、テープ状記録媒体76の厚さよりもやや大とされる深さで段差状に形成されており、テープ状記録媒体76を支持して案内する。これにより、第1の再生ヘッド83と、第2の再生ヘッド84と、第1の記録ヘッド85と、第2の記録ヘッド86とが、テープ状記録媒体76に対してヘリカルスキャン方式で接触する。
【0129】
回転ドラム70において、テープ状記録媒体76は、下ドラム81におけるリードガイド部87に沿って、矢印Eで示す走行方向通りに斜めに送られる。これにより、第1の再生ヘッド83と、第2の再生ヘッド84と、第1の記録ヘッド85と、第2の記録ヘッド86とは、テープ状記録媒体76に対してヘリカルスキャン方式で接触して案内される。
【0130】
なお、このとき、図44に示すように、上部磁気シールド層12がリーディング側となるように、回転ドラム70に対してMRヘッド1を搭載する。
【0131】
本実施の形態においては、下部磁気シールド層3が、センダスト(Fe−Al−Si合金)、FeTaなどによって形成されており、上部磁気シールド層12が、Co系アモルファス材料によって形成されている。このため、下部磁気シールド層3と、上部磁気シールド層12とを比較すると、上部磁気シールド層12の方が硬度の低い材料によって形成されており、緻密性が低く、且つ外向きの内部応力が大きい。
【0132】
再生のときには、テープ状記録媒体76に対してMRヘッド1が摺動するが、このときステインは、形成されている下部磁気シールド層3と、上部磁気シールド層12とを比較したときに、硬度が低い方に付着しやすい。また、ステインは、形成されている下部磁気シールド層3と、上部磁気シールド層12とを比較したときに、緻密性が低い方や、引っ張り応力が強い方に付着しやすい。
【0133】
また、MRヘッド1において、リーディング側に形成された磁気シールド層とトレーディング側とに形成された磁気シールド層とを比較した場合には、リーディング側に形成された磁気シールド層の方が摩耗しやすく、且つステインが付着しやすい。
【0134】
上述した理由により、リーディング側にステインが付着しやすい材料によって形成された磁気シールド層を設置することによって、磁気シールド層の摩耗とステインの付着とのバランスをとることが可能となり、スペーシングロスが少なく、安定した再生出力を得ることができる。
【0135】
このため、上部磁気シールド層12がリーディング側となるように、回転ドラムに対してMRヘッド1を設置する。
【0136】
このように、記録再生装置71は、MRヘッド1を回転ドラム70に備える。このことにより、記録再生装置71は、MRヘッド1における下部磁気シールド層3及び上部磁気シールド層12の偏摩耗による再生出力の低下や、再生出力の変動などを抑制する事が可能となる。また、記録再生装置71は、高記録密度化に適したものとなり、信頼性の高いものとなる。
【0137】
供給リール72は、図示しないテープカートリッジから引き出されたテープ状記録媒体76を、回転ドラム70に対して供給する。巻き取りリール73は、回転ドラム70に対して供給されたテープ状記録媒体76を巻き取る。ローラ74は、テープ状記録媒体76を支持する。キャプスタン75は、図示しないモータによって回転し、テープ状記録媒体76を送る。このとき、テープ状記録媒体76は、矢印Dの方向に送られる。
【0138】
以上の説明からも明らかなように、記録再生装置71は、回転ドラム70にMRヘッド1を搭載しているため、MRヘッド1における下部磁気シールド層3及び上部磁気シールド層12の偏摩耗による、再生出力の低下や、出再生力の変動などを抑制することが可能となる。また、高記録密度化に適したものとなり、信頼性の高いものとなると共に、寿命が長くなる。
【0139】
以上の説明からも明らかなように、本発明に係るMRヘッド1は、摺動方向を規定することにより、磁気シールド層の偏摩耗によるスペーシングロス、及びステインの付着などによる再生出力の低下や、出力変動などを抑制することが可能となる。このことにより、MRヘッド1は、長時間使用することが可能となり、信頼性が高いものとなる。
【0140】
また、本発明に係る記録再生装置71は、回転ドラム70にMRヘッド1を搭載しているため、再生出力の低下や、再生出力の変動などを抑制することが可能となる。また、高記録密度化に適したものとなり、信頼性の高いものとなると共に、寿命が長くなる。
【0141】
【実施例】
次に、上述したMRヘッドと従来のMRヘッドとにおける走行時間と出力との関係について、実施例及び比較例に基づいて説明する。
【0142】
実施例
上述した方法によってMRヘッドを製造し、回転ドラムに搭載するときに、Co系アモルファス材料によって形成された上部磁気シールド層が、リーディング側となるように設置した。このとき、接着層もリーディング側となっている。このようにMRヘッドを搭載した回転ドラムを備える記録再生装置において、テープ状記録媒体を摺動し、摺動時間と再生出力との関係を調べた。
【0143】
比較例
実施例と同様にMRヘッドを製造し、回転ドラムに搭載するときに、Co系アモルファス材料によって形成された上部磁気シールド層が、トレーディング側となるように設置した。このようにMRヘッドを搭載した回転ドラムを備える記録再生装置において、テープ状記録媒体を摺動し、摺動時間と再生出力との関係を調べた。
【0144】
実施例と比較例とにおける結果を、図45に示した。図45に示すように、実施例においては、摺動を500時間以上行った場合においても、再生出力の低下は約2dBであった。しかしながら、比較例においては、摺動を500時間行ったときの再生出力の低下は、約10dBであった。
【0145】
上述した結果から、硬度が低く、膜質が粗く、且つ引っ張り応力が強い薄膜によって形成された磁気シールド層をリーディング側に配置したときの方が、再生出力の低下が少なく、且つ信頼性の高いものとなる。
【0146】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明に係る磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、スペーシングロスが生じにくくなる。このことにより、再生出力の低下や、再生出力の変動などを抑制することが可能となる。これにより、磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、高い再生出力を維持することが可能となり、高密度記録に適したものとなる。
【0147】
また、本発明に係る記録再生装置は、再生出力の低下、及び再生出力の変動が少ない。また、この記録再生装置は、高記録密度化に適したものとなり、信頼性の高いものとなると共に、寿命が長いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るMRヘッドの断面図である。
【図2】MRヘッドをテープ摺動面側からみた平面図である。
【図3】磁気ヘッドの製造工程を説明する図であり、第1の基板材を示す平面図である。
【図4】磁気ヘッドの製造工程を説明する図であり、図3におけるX1−X2線断面図である。
【図5】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、第1の基板材上に非磁性非導電性層が成膜された状態を示す平面図である。
【図6】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、図5におけるX3−X4線断面である。
【図7】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、軟磁性薄膜層を所定の形状とするためのフォトレジスト膜が形成された状態を示す平面図である。
【図8】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、図7におけるX5−X6線断面図である。
【図9】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、軟磁性薄膜層が第1の非磁性非導電層によって平坦化された状態を示す平面図である。
【図10】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、図9におけるX7−X8線断面図である。
【図11】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、第2の非磁性非導電層が形成された状態を示す平面図である。
【図12】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、図11におけるX9−X10線断面図である。
【図13】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、MR素子用薄膜が成膜された状態を示す平面図である。
【図14】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、図13におけるX11−X12線断面図である。
【図15】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、一対の永久磁石層が形成された状態を示す平面図である。
【図16】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、図15におけるB部を拡大して示す平面図である。
【図17】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、図16におけるX13−X14線断面図である。
【図18】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、一対の永久磁石層上に第1の導電性金属層が形成された状態を示す平面図である。
【図19】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、図18におけるX15−X16線断面図である。
【図20】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、MR薄膜層が、MR素子となる部分と、第2の導電性金属層となる部分とを除いて除去された状態を示す平面図である。
【図21】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、図20におけるX17−X18線断面図である。
【図22】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、第2の導電性金属層が形成された状態を示す平面図である。
【図23】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、図22におけるX19−X20線断面図である。
【図24】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、第3の非磁性非導電性層が形成された状態を示す平面図である。
【図25】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、図24におけるX21−X22線断面図である。
【図26】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、第2の軟磁性金属層が形成された状態を示す平面図である。
【図27】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、図26におけるX23−X24線断面図である。
【図28】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、逆テーパ型レジスト層が形成された状態を示す平面図である。
【図29】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、図28におけるX25−X26線断面図である。
【図30】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、2層型レジスト層が形成された状態を示す平面図である。
【図31】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、図30におけるX27−X28線断面図である。
【図32】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、第2の軟磁性金属層が2層型レジスト層のパターン通りに形成された状態を示す断面図である。
【図33】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、第3の導電性金属層が形成された状態を示す平面図である。
【図34】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、図33におけるX29−X30線断面図である。
【図35】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、第4の非磁性非導電性層が形成された状態を示す平面図である。
【図36】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、図35におけるX31−X32線断面図である。
【図37】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、多数のMRヘッド素子が形成された第1の基板材を示す平面図である。
【図38】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、多数のMRヘッド素子が横方向に並ぶよう切断された磁気ヘッドブロックを示す平面図である。
【図39】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、第2の基板材を貼り付けた磁気ヘッドブロックを示す斜視図である。
【図40】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、媒体摺動面に対して研削加工を施した磁気ヘッドブロックを示す斜視図である。
【図41】MRヘッドの製造工程を説明する図であり、磁気ヘッドブロックの分割方法を示す平面図である。
【図42】MRヘッドを搭載した回転ドラムを示す斜視図である。
【図43】MRヘッドを搭載した記録再生装置における記録再生機構を示す概略図である。
【図44】MRヘッドの摺動面における摺動方向を示す概略図である。
【図45】MRヘッドと従来のMRヘッドとにおける走行時間と出力の関係を示した図である。
【符号の説明】
1 MRヘッド、 2 第1の基板、 3 下部磁気シールド層、 5 下部ギャップ層、 6 MR薄膜、 7 バイアス層、 8 電極層、 11 上部ギャップ層、 12 上部磁気シールド層、 13 保護層、 14 接着層、15 第2の基板
Claims (6)
- テープ状記録媒体に対して摺接して用いられる磁気抵抗効果型の磁気ヘッドであって、
一対の磁気シールド部材のシールド間ギャップに磁気抵抗効果素子が配されてなり、
上記一対の磁気シールド部材のうち、当該磁気抵抗効果型磁気ヘッドが上記テープ状記録媒体に対して摺接したときに、上記テープ状記録媒体が進入する側に位置する一方の磁気シールド部材が、上記テープ状記録媒体が退出する他方の磁気シールド部材と比較して、硬度が低く、かつ膜質が粗く、かつ引っ張り応力が強い薄膜よりなることを特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッド。 - 上記他方の磁気シールド部材は、第1の基板上に成膜された薄膜よりなり、上記一方の磁気シールド部材は、上記磁気抵抗効果素子を間に挟んで上記他方の磁気シールド部材上に成膜されてなると共に、上記一方の磁気シールド部材上に、接着剤を介して第2の基板材が接合されていることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果型磁気ヘッド。
- 回転ドラムに搭載されて、テープ状記録媒体に対してヘリカルスキャン方式により再生動作を行うことを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果型磁気ヘッド。
- テープ状記録媒体に対して磁気ヘッドを摺接させて、上記テープ状記録媒体に対する信号の記録及び/又は再生を行う記録再生装置において、
再生用の磁気ヘッドとして、一対の磁気シールド部材間のシールド間ギャップに磁気抵抗効果素子が配されてなる磁気抵抗効果型磁気ヘッドを備え、
上記磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、上記一対の磁気シールド部材のうち、一方に比し硬度が低く、かつ膜質が粗く、かつ引っ張り応力が強い薄膜よりなる磁気シールド部材が、当該磁気ヘッドに摺接するテープ状記録媒体の進入側に位置するように配設されていることを特徴とする記録再生装置。 - 上記一対の磁気シールド部材のうち、一方の磁気シールド部材は第1の基板上に成膜された薄膜よりなり、他方の磁気シールド部材は上記磁気抵抗効果素子を間に挟んで上記一方の磁気シールド部材上に成膜され、上記他方の磁気シールド部材上に、接着剤を介して第2の基板材が接合されていることを特徴とする請求項4記載の記録再生装置。
- 上記磁気抵抗効果型磁気ヘッドは回転ドラムに搭載されてなり、テープ状記録媒体に対してヘリカルスキャン方式により再生動作を行うことを特徴とする請求項4記載の記録再生装置。
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