JPH0612615A - 磁気ヘッド及び磁気ディスク - Google Patents

磁気ヘッド及び磁気ディスク

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JPH0612615A
JPH0612615A JP4169690A JP16969092A JPH0612615A JP H0612615 A JPH0612615 A JP H0612615A JP 4169690 A JP4169690 A JP 4169690A JP 16969092 A JP16969092 A JP 16969092A JP H0612615 A JPH0612615 A JP H0612615A
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JP
Japan
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magnetic
protective film
magnetic head
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underlayer
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JP4169690A
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English (en)
Inventor
Takehiro Takojima
武広 蛸島
Yoshinobu Kakihara
良亘 柿原
Hiromi Ebi
裕美 海老
Toru Sumiya
透 角谷
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Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
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Publication date
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    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/127Structure or manufacture of heads, e.g. inductive
    • G11B5/31Structure or manufacture of heads, e.g. inductive using thin films
    • G11B5/3103Structure or manufacture of integrated heads or heads mechanically assembled and electrically connected to a support or housing
    • G11B5/3106Structure or manufacture of integrated heads or heads mechanically assembled and electrically connected to a support or housing where the integrated or assembled structure comprises means for conditioning against physical detrimental influence, e.g. wear, contamination

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Magnetic Heads (AREA)
  • Adjustment Of The Magnetic Head Position Track Following On Tapes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヘッド本体と保護膜、あるいは磁気ディスク
の保護膜と磁性層の密着性を高める。 【構成】 ヘッド本体の媒体対向面に形成された保護膜
の下地層又は磁気ディスクの上面に形成された保護膜の
下地層が、Si、Cr、Ti、Zr、Ta、Hf、Ni
Crからなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素か
らなる。 【効果】 磁気ヘッドの媒体対向面又は磁気ディスクの
表面の耐摩耗性の向上を図り、かつ、それら相互の摺動
性を良好なものとするとともに、CSS特性の向上を可
能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録再生装置に使
用する磁気ヘッド及び磁気ディスクに関し、特に磁気ヘ
ッドの磁気記録媒体対向面及び磁気ディスクの表面の改
良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気ヘッドは、VTR用、音声用、計算
機用、さらには大型産業用等、その用途に応じて、要求
される条件は幾らか異なるが、磁気記録媒体を磁化する
ことで情報を記録し、磁気記録媒体の残留磁化を読み出
すことにより磁気記録再生を行なう原理は、どれも同様
である。
【0003】つまり、デジタル・アナログ情報を電流の
変化に変えて、これを磁気ヘッドのコイルに加え、磁気
ギッャプの部分を磁気記録媒体に摺接摺動させ、又は前
記磁気記録媒体と一定の浮上量を保ちつつ浮上走行させ
ることで、磁気記録媒体上に、前記情報に対応した磁化
パターンを残し、情報の記録を行なうものである。ま
た、磁気記録媒体上に記録された信号である磁化パター
ンを読み出す場合も、前記磁気記録時と同様に、磁気ギ
ャップを前記磁気記録媒体に摺接摺動、又は磁気記録媒
体と一定浮上量を保ちつつ浮上走行させることで、磁気
記録媒体上に記録された磁化パターンが、これに沿った
磁束の一部として磁気コアを通り、電磁誘導の法則によ
って、この磁束の変化に比例した電圧がコイルに発生す
ることにより、磁気記録の再生が行なわれるのもであ
る。
【0004】例えば、磁気テープを磁気記録媒体とする
場合の例として、図13に示すメタルインギャップ(以
下MIGと略称する)型の磁気ヘッドを例に挙げると、
このMIG型の磁気ヘッドは、一対のフェライト製の磁
気コア半体1、1の側部に凸部1a、1aを形成し、こ
の凸部1a、1aを覆うようにメタル磁性膜2、2とギ
ャップ層2Aを形成し、磁気コア半体1、1をガラス層
3で接合してなる構造である。
【0005】しかし、このような磁気ヘッド装置を長時
間使用すると、磁気ヘッド本体のテープ摺接面4に機械
的摩耗が生じたり、また、磁気テープに含まれる化学成
分(例えば塩素)によって、テープ摺接面4に腐食が起
こり、これによりテープ摺接面4に摩耗現象が発生し、
磁気特性の劣化を生じる要因となっていた。
【0006】またさらに、この磁気テープの摺動による
テープ摺接面4の摩耗量は、一定ではなく、テープ摺接
面4の磁気コア部分は摩耗量が少なく、その他の部分の
摩耗量が前記磁気コア部分よりも多いなど偏摩耗を生じ
易く、スペーシングロスが発生して磁気ヘッドの磁気特
性の劣化につながるといった問題を有していた。
【0007】一方、磁気ディスクを磁気記録媒体とする
場合には、図14に示すように、磁気ディスク5上を磁
気ヘッド6が浮上走行することによって、磁気ディスク
5の信号の読み取り書き取りを行なうものであり、この
磁気ヘッド6を浮動式磁気ヘッドと称しているが、この
磁気ヘッド6の停止状態と浮上走行状態は、磁気ディス
ク5の起動時において、磁気ヘッド6はそれ自体を支持
するばね板部材6aのばね圧により磁気ディスク5表面
に押し付けられた状態になっている。この状態から磁気
ディスク5が回転を開始すると、前記磁気ヘッド6は回
転する磁気ディスク5に接触したまま摺動する。そし
て、磁気ディスク5の回転速度の向上に伴い、磁気ディ
スク5の表面に生じた気流による揚力が上昇し、この揚
力が磁気ヘッド6に対する前記ばね圧に打ち勝つと、前
記磁気ヘッド6は穏やかに磁気ディスク5表面から上昇
して、磁気ヘッド6の形状と、ばね圧と磁気ディスク5
の周速とにより決定される浮上高さを保ちつつ、磁気デ
ィスク5に対して浮上走行する。このような磁気ヘッド
6の浮上走行と停止接触状態の原理のことをCSS(コ
ンタクト スタート ストップ)と称している。
【0008】すなわち、磁気ヘッド6は、磁気ディスク
5の回転開始時点から磁気ヘッド6の浮上開始時点まで
は、ばね圧で押えつけられながら磁気ディスク5表面を
擦り付けることになる。このため従来、磁気ディスク5
表面あるいは磁気ヘッド6の媒体対向面が摩耗したり、
場合によっては摩擦力が異常に上昇して磁気ディスク5
の表面破壊(クラッシュ)を起こし、磁気ディスク5の
記録内容の書き取り読み出しができなくなる問題を有し
ていた。
【0009】従って、以上説明したように、上述したよ
うな前記従来の各種の磁気ヘッドにおいては、磁気ヘッ
ドの磁気記録再生時における磁気記録媒体対向面との摺
動、又は浮動式ヘッドにおける浮上走行開始時までの摺
動により発生する磁気ヘッドの媒体対向面の摩耗による
磁気記録特性の劣化が問題視されていた。また一方、磁
気ディスク側においても、上述したように、磁気ヘッド
の回転開始時点から浮上開始時点までの間の、ばね圧で
押さえつけながらの摺り付け走行による、磁気ディスク
表面の摩耗が問題視されている。
【0010】そこで、上記のような問題を解決するため
に、様々な研究が行なわれ、以下に示すような工夫が図
られていた。例えば、磁気ヘッドの磁気記録媒体対向面
に、炭素原子層からなる保護膜を形成する技術(特公昭
53−34898)により、又は、前記媒体対向面に非
結晶質炭素層からなる保護膜を形成する技術(特公昭6
1−586123)により、さらには、前記媒体対向面
に炭素を主成分とするダイヤモンドに近い結晶構造と高
硬度を有する保護膜を設ける技術(特公昭61−611
63)により、それぞれ磁気ヘッドの磁気記録媒体対向
面の耐摩耗性の向上を図ることが行なわれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したよう
な磁気ヘッドの媒体対向面に、高硬度の素材からなる保
護膜を薄膜形成技術によって設け、その媒体対向面の耐
摩耗性の改善を試みた磁気ヘッドは、前記保護膜が非常
に大きな硬度を有する素材より形成されていることか
ら、その内部に大きな内部応力が発生し、前記磁気ヘッ
ド本体の媒体対向面と前記保護膜との密着性が良好では
ないという問題を有していた。
【0012】そしてまた、媒体対向面に保護膜を設けた
磁気ヘッドにおいて、以下に説明する構造が、保護膜と
媒体対向面との間の密着性不良の原因ではないかという
ことを本願発明者らは推定している。それは、本願発明
者らが、前記従来の磁気ヘッドおける保護膜の下地基板
となる媒体対向面の表面硬度について、NEC薄膜硬度
計(MHA−400)を使って以下に示す測定を行なっ
た結果、前記磁気ヘッドの媒体対向面に著しく低硬度の
層が存在していることを知見したことから推察がなされ
たものである。そこで、まず、この薄膜硬度計による測
定方法及びその原理について図15を基にして簡単に説
明する。
【0013】この薄膜硬度計は、押し込み深さと押し込
み荷重をパラメータとして用いるもので、電子天秤7に
より0.01mgの精度で押し込み荷重と試料8との接
触を検知し、高精度の高強度型変位計で押し込み深さを
測定するものである。そして、このNEC薄膜硬度計の
測定原理は、荷重検出計Cに用いる電子天秤7に試料8
と鏡9が置かれており、鏡9は変位検出計Bに用いる光
強度型変位計10からの光を反射するものであり、一
方、押し込み駆動系Aに組み込まれた圧電アクチュエー
ター11により圧子12は、設定荷重まで試料8に押し
付けられた際に、圧子12と変位計プローブ13は一体
動作し、圧子12と試料8の接触と同時に変位量は、押
し込み深さデータとして取り込まれている。そして、そ
の荷重データと押し込み深さデータとの演算により硬さ
が求められるものである。
【0014】上記のような測定装置により確認された磁
気ヘッドの媒体対向面の低硬度層の生成理由は、磁気ヘ
ッドの媒体対向面の摺動性を良好にするために行なわれ
る鏡面加工によって生じるものであって、この鏡面加工
により生じた低硬度層(加工変質層)は、磁気ヘッド媒
体対向面の表面から数十μm程度の深さに存在するとい
うことが明かとなっている。
【0015】従って、前述したような磁気ヘッドの媒体
対向の耐摩耗性を図るために設けられた保護膜は、前述
したその内部応力の影響のみならず、この形成基板とな
る磁気ヘッドの媒体対向面の表面に生成した加工変質層
の存在によっても、その密着性が損なわれる。つまり、
こうした低硬度の前記加工変質層上に、前記高硬度の保
護膜を薄く形成することは困難であるとともに、成膜さ
れた後も剥離し易い状態にあるのである。そしてまた、
こうした低硬度の加工変質層の介在は、磁気ヘッドがC
SSを行なう際の安定性を損なうために、CSS特性を
低下させる要因ともなる。
【0016】また一方、前記磁気ヘッドの磁気記録媒体
の一つである従来の磁気ディスクは、図16(a)及び
16(b)に示すような構成からなっており、図16
(a)に示すように透孔14が形成されたAl、Al合
金あるいはガラスなどからなる円盤状の基板15と、こ
の基板15の全面に被膜されたNi−Pメッキ層16と
からなる磁気ディスク基板Dが主体となり、磁気ディス
ク基板15の前記Ni−Pメッキ層16上には、図16
(b)に示す積層膜が形成されている。
【0017】図16(b)に示す積層膜は、厚さ150
0Å程度のCr膜17と、Cr層16上に形成された厚
さ700Å程度のCo−Ni系、Co−Cr系等からな
る磁性層18と、前記磁性18上に積層された厚さ30
0Å程度の炭素からなる保護膜19と、保護膜19上に
積層された潤滑膜20とから構成されている。
【0018】そして、上述したような構成からなる前記
従来の磁気ディスクは、保護膜19にグラファイト状カ
ーボンなどを用いたものが広く使用されていたが、この
グラファイト状カーボンは、硬度が低いために、これを
保護膜19に使用した場合、磁気ヘッドとの接触に耐え
得るだけの耐クラッシュ性を与えるため、その厚さを厚
くしなければならず、この膜厚を厚くすれば、必然的に
磁気記録密度の低下をきたし、精密な磁気記録装置には
適さないといった問題を有していた。
【0019】そこで、膜厚が薄くとも充分な硬度を有す
るダイヤモンド状カーボンが、前記保護膜19に使用さ
れることが考え出されたが、前記グラファイト状カーボ
ンやダイヤモンド状カーボン等の炭素からなる保護膜1
9は、Co−Ni、Co−Ni−Cr、Co−Ta−C
r層などからなる磁性層18との密着性が充分でなく、
経時変化等により剥離しやすいため、磁気ディスクの耐
クラッシュ性及び耐候性を充分に高めることが困難であ
り、特に前記ダイヤモンド状カーボンは、その硬度が大
きく、その内部に大きな応力が発生するために、その下
地となる前記磁性層18との密着性が良好ではなかっ
た。
【0020】従って、本発明は上記事情に鑑みてなされ
たもので、磁気ヘッド本体と保護膜との密着性あるい
は、磁気ディスクの保護膜と磁性層の密着性を高め、剥
離し難い保護膜を有する磁気ヘッドと磁気ディスクを提
供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の磁気ヘ
ッドは上記課題を解決するために、磁気ヘッド本体の磁
気記録媒体対向面に、炭素を主成分とするアモルファス
層からなる保護膜を具備してなる磁気ヘッドであって、
前記保護膜の下地層が Si、Cr、Ti、Zr、Ta、Hf、NiCr からなる群から選ばれた1種又は、2種以上の元素から
なることを特徴とするものである。
【0022】請求項2に記載の磁気ヘッドは上記課題を
解決するために、請求項1に記載の磁気ヘッドの下地層
と保護膜との間に、Siもしくは、Siの合金、あるい
は化合物からなる中間層が介在してなることを特徴とす
るものである。
【0023】請求項3に記載の磁気ディスクは上記課題
を解決するために、磁気ディスク本体の磁性層上面に炭
素を主成分とするアモルファス層からなる保護膜を具備
してなる磁気ディスクであって、前記保護膜の下地層が Si、Cr、Ti、Zr、Ta、Hf、NiCr からなる群から選ばれた1種又は、2種以上の元素から
なることを特徴とするものである。
【0024】請求項4に記載の磁気ディスクは上記課題
を解決するために、請求項3に記載の磁気ディスクの下
地層と保護膜との間に、Siもしくは、Siの合金、あ
るいは化合物からなる中間層が介在してなることを特徴
とするものである。
【0025】
【作用】従って、本発明による磁気ヘッドは、その媒体
対向面の耐摩耗性を図るために、炭素を主成分とするア
モルファス層からなる保護膜を形成する際に、前記保護
膜とも密着性が良く、かつ表面がパーマロイ等の磁性材
料やエポキシ樹脂等の高分子材料からなる前記磁気ヘッ
ドの表面とも密着性の良好なSi、Cr、Ti、Zr、
Ta、Hf、NiCrからなる群から選ばれた1種又は
2種以上の元素からなる下地層を介在されることによっ
て、磁気ヘッドの保護膜が媒体との摺動などにより剥離
するのを防止できるとともに、浮動式の磁気ヘッドにお
いては、摺動やゴミなどにより磁気ヘッドと媒体が衝撃
的に接触してもヘッドクラッシュが生じるのを防止でき
る。さらに、本発明による磁気ヘッドは前記下地層と保
護膜との間にSiもしくはSiの合金あるいは化合物か
らなる中間層を介在させることにより、上記作用をより
顕著なものとすることができる。
【0026】また、本発明の磁気ディスクにおいては、
磁気ディスクを構成する磁性膜と炭素を主成分とするア
モルファス層からなる保護膜との間に、Si、Cr、T
i、Zr、Ta、Hf、NiCrからなる群から選ばれ
た1種又は、2種以上の元素からなる下地層を設けるこ
とによって、前記磁性層と下地層及び、下地層と前記C
を主成分とするアモルファス層からなる保護膜の密着性
を向上させ、磁気ヘッドの浮上走行における安定性を確
保し、CSS特性の向上を図ることができる。さらに、
本発明の磁気ディスクは前記下地層と保護膜との間にS
iもしくはSiの合金あるいは化合物からなる中間層を
介在させることにより、上記作用をより顕著なものとす
ることができる。
【0027】
【実施例】以下に、本実施例の磁気ヘッドについて図面
を参照しながら詳細に説明する。 (実施例1)図1及び図2は、本実施例1の3レールタ
イプのモノリシックタイプの浮動式ヘッドを示す図であ
る。図1に示すヘッド本体40は、セラミック材あるい
はMn−Znフェライト材等からなるスライダー40a
の一端部に、フェライト等の磁性材料からなる磁気コア
38を、充填ガラス39でガラス溶着することにより形
成されている。そして、こうした構成からなるヘッド本
体40の媒体対向面40Aに、Si、Cr、Ti、Z
r、Ta、Hf、NiCrからなる群から選ばれた1種
又は、2種以上の元素からなる下地層43が設けられ、
さらに、その上面にCを主成分とするアモルファス層か
らなる保護膜44が成膜されいる。
【0028】上述した構成からなる本実施例1の浮動式
ヘッドの特徴は、その媒体対向面40Aに、前記組成か
らなる下地層43を介して保護膜44を設けたところで
あり、これらの下地層43及び保護膜44はIVD法
(イオン蒸着薄膜形成法)などにより成膜されるもので
ある。そこで、前記下地層43及び保護膜44の形成に
用いたIVD法について、以下に説明する。IVD法と
は、電子ビームによる加熱あるいはスパッタリグなどに
よって金属等を蒸発させ、基板上に蒸着膜を体積させる
と同時に、適切なエネルギーに設定されたイオンを基板
に照射させて薄膜を形成する手法である。この際、イオ
ン種として窒素イオンや酸素イオンを用いれば、イオン
のエネルギーのみを使用した薄膜形成ができるものてあ
る。
【0029】これまで、CVD法(化学気相反応法)や
イオンプレーティング法などによって、窒化チタン(T
iN)薄膜をはじめとする各種耐摩耗性コーティングが
工業的に広く応用されてきたのは周知の通りである。I
VD法は、これらの薄膜形成法に比べ以下の特徴を有す
る。 照射イオンと蒸発金属原子の衝突・反跳により、両
者の混合相からなる混合層が基板/薄膜界面に形成さ
れ、薄膜は強固な密着性を有する。 照射イオンと蒸発金属の原子及び電子との衝突によ
って、蒸発金属の励起・移動が引き起こされる。その結
果、拡散、固溶という熱力学に支配される要因に関わり
無く、新物質の合成を設計することができる。 低温下で薄膜形成を行なうため用いる基板種が限定
されない。 金属の蒸発とイオン照射とは独立して制御されるた
め、薄膜の組織化、イオン分布等を任意にコントロール
することができる。
【0030】よって、IVD法により形成されるCを主
成分とするアモルファス層からなる前記保護膜44は、
高硬度を有し、化学的安定性が高いため耐摩耗材として
有用である。特に、これまで高温・高圧相である炭素原
子集団からなる薄膜合成を実現できた例が極めて少ない
中で、IVD法は、Cを主成分とするアモルファス層を
密着性良く形成することができる。
【0031】なお、前記従来の浮動式ヘッドの媒体対向
面40Aに下地層43を形成する場合、前記ヘッド本体
40の媒体対向面40Aは、鏡面加工による加工変質層
が生成されており、不動態化しているため、この加工変
質層上に、上述したようなIVD法によって直接、前記
下地層43を形成する場合、前記下地層が付着しずら
く、形成時間がかかるという欠点を有する。そこで、前
記加工変質層上に、直接下地層を形成する場合には、予
め前記加工変質層上面をイオンクリーニング処理してお
くと、前記下地層の形成時間の短縮化を図ることが可能
である。
【0032】続いて、上記実施例1の保護膜44のIV
D法による実際の作製過程について説明する。まず、高
真空中容器内でのグラファイト電極への電子ビーム照射
により行ない炭素原子イオンを生成し、この炭素原子イ
オンと炭素原子を所定の加速エネルギーで、前記ヘッド
本体40の媒体対向面40Aに設けられた下地層43上
面に照射し、上記炭素を主成分とするアモルファス層か
らなる保護膜44を作製するものである。
【0033】上述したような構成からなる本実施例1の
磁気ヘッドの例に示した浮動式ヘッドは、磁気ディスク
に対して記録再生を行なう場合、図3、図4に示すよう
に、磁気ディスク45に対して微小間隔をあけて浮上走
行しており、この浮上量は磁気記録の性能に大きな影響
を与える。つまり、この浮上量が大きければ大きいほど
浮動式ヘッドのギャップ部42と磁気ディスク45の磁
性層との距離が大きくなって、磁気記録再生性能の低下
をもたらすものである。
【0034】よって、本実施例1のように、浮動式ヘッ
ドの媒体対向面40Aに下地層43及び保護膜44を形
成すると、この下地層43と保護膜44分の厚さだけ、
前記ギャップ部42と磁気ディスク45の磁性層との距
離を大きくし、磁気記録性能の低下につながりかねな
い。従って、前記下地層43の厚さは10〜100Å程
度の範囲で、さらには20〜50Å程度とすることが好
ましい。また、前記保護膜44の膜厚は50Å〜150
Å程度の範囲で、さらには100Å〜130Å程度とす
ることが望ましい。
【0035】そしてさらに、前記浮動式ヘッドの下地層
43及び保護膜44の厚さ分と、磁気ディスク45の磁
性層上面に被膜された保護膜44等の膜厚を合わせて約
300Å程度とすることが好ましい。なお、前記磁気ヘ
ッドの浮上量をさらに微小間隔にすれば、その間隔が小
さいほど、磁気記録性能を向上させることができるが、
例えば現在では前記浮動式ヘッド46の浮上量は、10
00Å程度であり、前記浮動式ヘッド46の浮上量の微
小間隔は、現在の技術レベルにおいては、ある程度の限
界が存在する。
【0036】よって、本実施例1の浮動式ヘッドのよう
に、その媒体対向面に前記下地層43を介して前記保護
膜44を設け、本実施例4の浮動式ヘッド46と磁気デ
ィスク45の間に、ある一定間隔に決められた浮上量範
囲を維持し、かつ前記浮動式ヘッド46のギャップ部4
2と磁気ディスク45の磁性層の間隔を確保することに
よって、浮動式ヘッドにおけるスライダー表面の耐摩耗
性の向上を図り、前記浮動式ヘッドの浮上安定性を確保
し、CSS特性の向上を図ることにより、磁気記録特性
の向上を可能することができる。
【0037】さらにまた、本実施例1の浮動式ヘッドに
おける前記下地層43そして保護膜44の各膜厚は、最
低でも10Å〜50Å程度の範囲でないと、上記方法に
よって形成される膜が、不均一になり易く、さらに薄い
とアイランド状に形成されてしまうことが推測される。
そこで、前記保護層44は最低でも100Å以上である
ことが望ましいが、その下地層43は10Å〜50Å程
度として、多少アイランド状に形成されることを目的と
して、その上面に成膜される保護層44の内部応力の緩
和を図る手段とすることも考えられる。
【0038】従って、以上説明したように、本実施例1
の浮動式ヘッドは、ヘッド本体40の媒体対向面40A
に、Si、Cr、Ti、Zr、Ta、Hf、NiCrか
らなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素からなる
下地層43を形成し、この上面にダイヤモンド状カーボ
ンやグラファイト状カーボン等のCを主成分とするアモ
ルファス層からなる保護膜44を設けることによって、
ヘッド本体40の媒体対向面40Aと前記下地層43の
密着性、そして前記下地層43と保護膜44の密着性を
確保することができ、前記ヘッド本体40の媒体対向面
の耐摩耗性の向上を図り、磁気記録特性を良好なものと
するとともに、前記浮動式ヘッドの長寿命化を図ること
を可能としたものである。
【0039】なお、前記ヘッド本体40を形成するMn
−ZnフェライトとSi、Cr、Ti、Zr、Ta、H
f、NiCrからなる群から選ばれた1種又2種以上の
元素からなる下地層43との密着性が良好な理由は、こ
のMn−Znフェライトを形成しているMnOやZnO
及びFe23の酸素とSi、Cr、Ti、Zr、Ta、
Hf、NiCr等が結び付き酸化物を作り易いためであ
り、さらに、前記下地層43と前記保護膜44の密着性
が良好な理由は、前記下地層43のSi、Cr、Ti、
Zr、Ta、Hf、NiCr等とCが結合し炭化物を作
り易いためである。そして、さらに、前記Mn−Znフ
ェライトからなるヘッド本体40の媒体対向面40Aと
前記下地層43の密着強度と、前記下地層43と前記保
護膜44の密着強度のバランスが良好であることが、本
実施例1のヘッド本体40の媒体対向面40Aに形成さ
れた下地層43及び保護膜44の密着性の強度の確保を
確実なものとしている。
【0040】また、上述した本実施例1の磁気ヘッド
は、Mn−Znフェライトからなる浮動式ヘッドについ
て示したが、Al23−TiC(アルチック)からなる
浮動式ヘッドにおいても、本実施例1と同様に、前記組
成からなる下地層43及び保護膜44を形成すること
で、前記Mn−Znフェライトからなる磁気ヘッドと同
様な効果を得ることが可能である。
【0041】Al23−TiCからなる浮動式ヘッドの
場合に、前記Al23−TiCと前記組成からなる下地
層43、そして前記下地層43と保護膜44の密着性を
確保できる理由は、前記下地層43の組成Si、Cr、
Ti、Zr、Ta、Hf、NiCrと、この下地層43
成分と前記Al23−TiCは、Al23の酸素と結び
付いて酸化物を形成し易く、又、TiCのTi又はCと
結び付いて、チタン化物又は炭化物を形成し易いため
に、前記Al23−TiCと前記下地層43の密着性を
確保できるものであり、そして、前記下地層43と保護
膜44は、上述したMn−Znフェライトの例で説明し
た理由と同じ理由で、その密着性を確保することができ
るものである。そして、このAl23−TiCからなる
浮動式ヘッドの場合も、前記ヘッド本体40の媒体対向
面40AのAl23−TiCと下地層43の密着強度、
そして前記下地層43と保護膜44の密着強度のバラン
スが良好であることにより、ヘッド本体40の媒体対向
面40Aに形成された下地層43及び保護膜44の密着
性強度の確保を確実なものとしている。
【0042】さらに、本実施例1において前記下地層4
3と保護膜44との間に、SiもしくはSiの合金ある
いは化合物、具体的にはSiNxなどのシリコン窒化物
やSiCxなどのシリコン炭化物、SiOxyなどのシ
リコン窒素酸化物を形成すると、さらに高い密着性を確
保できることがわかった。
【0043】(実施例2)本実施例2の浮動式ヘッド
は、そのスライダ40aに下地層36を形成する前に、
加工変質層の除去処理を行ない、これに前記下地層43
及び保護膜44を設けた構成からなる。
【0044】本実施例2の磁気ヘッドの製造工程は、図
1に示す実施例1の磁気ヘッドのMn−Znフェライト
等からなる媒体対向面40Aのスライダ40aを、鏡面
加工した後に、この鏡面加工によって形成されたスライ
ダ40aの加工変質層をエッチングなどにより除去し、
この上面に前記実施例1と同様に下地層43、そしてこ
の下地層43の上面に保護膜44を設ける。
【0045】よって、本実施例2の磁気ヘッドにおいて
は、浮動式ヘッドのスライダ40aの表面に形成された
加工変質層を除去することによって、前記ヘッド本体4
0を形成するMn−Znフェライトと下地層43との密
着性を上記実施例1よりもさらに確実なものとすること
ができるとともに、このスライダ40a表面と下地層4
3との密着強度及び前記下地層43と保護膜44との密
着強度の向上を図り、その媒体対向面の耐摩耗性の向上
を図るとともに、磁気記録特性を良好なものとし、磁気
ヘッドの長寿命化を図ることが可能である。
【0046】なお、上述した本実施例2の浮動式ヘッド
においても、上述した実施例1の浮動式ヘッドと同様
に、Mn−Znフェライトからなる浮動式ヘッド及びA
23−TiCからなる浮動式ヘッドに同様に実施する
ことができる。
【0047】(実施例3)図5、図6及び図7は、本実
施例3の薄膜磁気ヘッドを示すものである。この薄膜磁
気ヘッドは、磁気ディスク等の媒体に向けて配されるス
ライダ48の背面部48bに、フォトリソグラフィ技術
により薄膜磁気ヘッド素子47を設けてなるものであ
る。そして、この薄膜磁気ヘッド素子47は、図7に示
すように、上記スライダ48基板として、その表面に非
磁性体の絶縁層52、下部磁極層(下部コア)53、ギ
ャップ層57、絶縁層55で被包されたコイル導体5
6、上部磁極層54(上部コア)を順次積層してなるも
のであって、各磁極層の先端部をギャップ層57を介し
て重ね合わせることで、それら磁極層の先端部を対の磁
極となして、それらの相互間にギャップを形成するとと
もに、各磁極の先端面をスライダ48の底面側に露出さ
せた構成となっている。
【0048】そして、本実施例3の薄膜磁気ヘッドの特
徴は、上述した構成からなるその媒体対向面48Aに、
Si、Cr、Ti、Zr、Ta、Hf、NiCrからな
群から選ばれた1種又2種以上の元素からなる下地層4
9を介して、ダイヤモンド状カーボンやグラファイト状
カーボン等のCを主成分とするアモルファス層からなる
保護膜50がIVD法等により成膜されているところで
ある。
【0049】薄膜磁気ヘッドは、半導体プロセスに使用
される薄膜形成技術を利用することによって製造開発さ
れた磁気ヘッドであって、半導体プロセスレベルのパタ
ーン精度で形成されるために、その記録密度を極めて高
くできる特徴を持っている。しかし、前記従来の薄膜磁
気ヘッドの媒体対向面は、複数の層が露出しており、こ
れらの各層は、その硬度、そして耐摩耗性等の機械的特
性が、それぞれ異っているために、前記媒体対向面にお
ける摩耗の状態が不均一になり、偏摩耗を生じる問題が
ある。
【0050】そこで、上記のような問題の解決を図るべ
く、本実施例3の薄膜磁気ヘッドは、図6に示すように
その媒体対向面48Aに、Si、Cr、Ti、Zr、T
a、Hf、NiCrからな群から選ばれた1種又2種以
上の元素からなる下地層49を介して、ダイヤモンド状
カーボンやグラファイト状カーボン等のCを主成分とす
るアモルファス層からなる保護層50をIVD法により
成膜することにより、前記従来の薄膜磁気ヘッド本体4
8の媒体対向面48Aと前記下地層49の密着性、そし
て前記下地層49と保護層50の密着性を確保し、前記
磁気ヘッド本体48の媒体対向面48Aの耐摩耗性の向
上を図り、さらにその偏摩耗を回避することにより、磁
気記録特性を良好なものとし、薄膜磁気ヘッドの長寿命
化を図ることが可能である。
【0051】また、本実施例3の薄膜磁気ヘッドは、磁
気ディスクに対して記録再生を行なう場合、図7に示す
ように磁気ディスク58に対して微小間隔をあけて浮上
走行しており、この浮上量は磁気記録の性能に大きな影
響を与える。つまり、この浮上量が大きければ大きいほ
ど磁気ヘッドのギャップと磁気ディスク58の磁性層と
の距離が大きくなって、磁気記録再生性能の低下につな
がる。
【0052】よって、本実施例3の上述した構成からな
る薄膜磁気ヘッドのスライダー48の表面に下地層49
及び保護膜50を形成すると、この下地層49と保護膜
50分の厚さだけ、前記ギャップと磁気ディスク58の
磁性層との距離が大きくなるために、磁気記録性能の低
下につながる。従って、前記下地層49の厚さ及び保護
膜50の膜厚は、上述した実施例1と同様な範囲で形成
することが好ましい。
【0053】従って、本実施例3の薄膜磁気ヘッドは、
その媒体対向面に、前記下地層49を介して前記保護膜
50を設け、さらに本実施例の薄膜磁気ヘッドと前記磁
気ディスク58との間に、ある一定間隔に決められた浮
上量範囲を維持し、かつ前記薄膜磁気ヘッドのギャップ
と磁気ディスクの磁性層の間隔を確保することにより、
本実施例5の薄膜磁気ヘッド本体48のスライダー48
aの表面の耐摩耗性の向上を図るとともに、その浮上走
行の安定性を確保し、CSS特性の向上を図るととも
に、磁気記録性能の向上を可能にするものである。
【0054】なお、前記下地層49そして保護膜50の
各膜厚は、上述した実施例1及び、実施例2の磁気ヘッ
ドと同様に、最低でも10Å〜50Å程度の範囲にない
と、上記方法によって形成される膜が、不均一になり易
く、さらに薄いとアイランド状に形成されてしまうこと
が推測される。そこで、前記保護層49は最低でも10
0Å以上であることが望ましいが、その下地層49は1
0Å〜50Å程度として、故意にアイランド状に形成さ
れることを目的として、その上面に成膜される保護層4
9の内部応力の緩和を図る手段とすることも一つの構成
例として考えられる。
【0055】また、前記薄膜磁気ヘッド本体を形成する
Mn−ZnフェライトとSi、Cr、Ti、Zr、T
a、Hf、NiCrからなる群から選ばれた1種又2種
以上の元素からなる下地層49との密着性が良好な理由
は、上記実施例1の磁気ヘッドで述べたものと同様であ
る。なお、本実施例3の薄膜磁気ヘッドをAl23−T
iCから形成した場合も上記実施例1で述べた理由によ
り、前記Mn−Znフェライトからなる磁気ヘッドと同
様な効果を得ることができる。
【0056】また、前記薄膜磁気ヘッドのスライダ48
a表面は、その摺動性を良好にするために鏡面加工がさ
れているが、上述した本実施例3の薄膜磁気ヘッドは、
この鏡面加工により生成された加工変質層を除去するこ
となく、下地層49及び保護膜50が形成された構成か
らなるが、上記実施例2に示した方法と同様に、前記薄
膜磁気ヘッドのスライダ48aに下地層49を形成する
前に、加工変質層の除去処理を行ない、これに前記下地
層49及び保護膜50を設けた構成からなる薄膜磁気ヘ
ッドは、本実施例3の薄膜磁気ヘッドよりも、さらに、
前記媒体対向面48Aと下地層49の密着強度を確実な
ものとし、前記磁気媒体対向面48Aと下地層49の密
着強度、及び前記下地層49と保護膜50の密着強度の
バランスを良好なものとし、薄膜磁気ヘッドの媒体対向
面の耐摩耗性の向上を図り、磁気記録特性を向上させる
ことができる。
【0057】(実施例4)図8及び図9に示す本実施例
4の磁気ヘッドは、VTR映像用、固定磁気ディスク用
等に使用されるMIG型の磁気ヘッドの例を示してい
る。図8に示されるMIG型の磁気ヘッドは、Mn−Z
nフェライトからなる一対の磁気コア半体22、22の
各々の対向端面に、例えばFe−Al−Si系合金(セ
ンダスト)、パーマロイ、アモルファス金属等の金属磁
性層23、23を設けるとともに、この金属磁性層2
3、23を設けた磁気コアの対向端面との間にSiO2
等の非磁性体からなるギャップ層24を設けることによ
って主ギャップRを形成し、上記のように成膜された磁
気コア半体22、22をガラス層25で接合することに
より形成された磁気ヘッド本体28の媒体対向面28a
に、Si、Cr、Ti、Zr、Ta、Hf、NiCrか
らなる群から選ばれた1種又は、2種以上の元素からな
る下地層26が設けられ、さらに、その上面にダイヤモ
ンド状カーボンやグラファイト状カーボンのようなCを
主成分とするアモルファス層からなる保護膜27が成膜
されてなるものである。
【0058】そして、上述したような構成からなる本実
施例4の磁気ヘッドの特徴は、前記磁気ヘッド本体28
の媒体対向面28aに下地層26を介して保護膜27を
設けたところであり、これらの下地層26及び保護膜2
7は、上述した実施例1において説明したIVD法(イ
オン蒸着薄膜形成法)により成膜されたものである。
【0059】前記IVD法による前記保護膜27の成膜
方法について説明すると、高真空中容器内でのグラファ
イト電極への電子ビーム照射により炭素原子イオンを生
成する。そして、この炭素原子イオンと炭素原子を、所
定の加速エネルギーで前記磁気ヘッド本体28の媒体対
向面28aに設けた下地層26上面に照射することによ
り、前記下地層26上面にダイヤモンド状カーボンや、
グラファイト状カーボン等のCを主成分とするアモルフ
ァス層からなる保護膜27を形成するものである。
【0060】よって、上記方法により本実施例4の磁気
ヘッド本体の媒体対向面28に前記下地層26及び保護
膜27を形成した場合、形成された下地層26及び保護
膜27の厚さ分のスペーシングロスが発生するが、この
下地層26及び保護膜27の厚さは1000Å以下に抑
えることにより、通常使用するには無視できる程度のロ
スにとどめることができ、実用上での問題はなくなる。
【0061】しかし、前記下地層26そして保護膜27
の各々は、最低でも膜厚が10Å〜50Å程度でない
と、上記方法によって形成された膜は、不均一になり易
く、さらに薄いとアイランド状に形成されてしまうこと
が推測される。そこで、前記保護膜27は最低でも10
0Å以上であることが望ましいが、その下地層26は1
0Å〜50Å程度として、故意にアイランド状に形成さ
れることを目的とし、その上面に成膜される保護膜27
の内部応力の緩和を図る手段とすることも一つの構成例
として考えられる。
【0062】よって、本実施例4の磁気ヘッドは、前記
磁気ヘッド本体28の媒体対向面28aに、Si、C
r、Ti、Zr、Ta、Hf、NiCrからなる群から
選ばれた1種又は2種以上の元素からなる下地層26を
形成した上面にダイヤモンド状カーボンやグラファイト
状カーボンなどのCを主成分とするアモルファス層から
なる保護膜27を形成することによって、磁気ヘッド本
体28の媒体対向面28aと前記下地層26の密着性、
そして前記下地層26と保護膜27の密着性を確保する
ことができ、前記磁気ヘッドの媒体対向面の耐摩耗性の
向上を図り、磁気記録再生特性を良好なものとするとと
もに、磁気ヘッドの長寿命化を図ることが可能である。
【0063】また、前記磁気ヘッドの本体を形成するM
n−ZnフェライトとSi、Cr、Ti、Zr、Ta、
Hf、NiCrからなる群から選ばれた1種又は2種以
上の元素からなる下地層26との密着性が良好な理由
は、上記実施例1の磁気ヘッドで述べたものと同様であ
る。なお、本実施例4の磁気ヘッドをAl23−TiC
から形成した場合も、上記実施例1で述べた理由によ
り、前記Mn−Znフェライトからなる磁気ヘッドと同
様な効果を得ることができる。
【0064】(実施例5)図10及び図11は、本実施
例5の磁気ヘッドを示すものである。図10に示す磁気
ヘッドは、カセットテープレコーダー等に組み込まれて
いる磁気ヘッドの一例である。この磁気ヘッドは、パー
マロイ等からなる略直方体箱状のシールドケース29の
内部にRチャンネル(右チャンネル)コア30aと、L
ch(左チャンネル)コア30bとからなる磁気コア3
0が挿入されるとともに、シールドケース29内部の空
間部に樹脂材が充填され、さらに電気回路が接続されて
なるものである。また、上記磁気コア30のテープ摺接
面31には、それぞれギャップ層32が形成され、隣接
する磁気コアの間にはシールド板33が設けられてい
る。そして、この磁気ヘッド34の上面のテープ摺接面
31は、磁気テープ35と当接する方向に膨らんだ形状
となっている。さらに、このテープ摺接面上にはエポキ
シ樹脂が露出している。
【0065】一般に、磁気テープと摺動関係となる形式
の磁気ヘッドは、コイルの巻回された磁気コア31の先
端が、シールドケース29に形成されている孔部からテ
ープ摺接面31に露出することで概略構成されている。
【0066】そして、本実施例5の磁気ヘッドにおいて
は、前記磁気テープ摺接面31の全面又は、少なくとも
磁気テープ接触部αに、IVD法によりSi、Cr、T
i、Zr、Ta、Hf、NiCrからなる群から選ばれ
た1種又は2種以上の元素からなる下地層36を形成
し、この上面にダイヤモンド状カーボンやグラファイト
状カーボンなどのCを主成分とするアモルファス層から
なる保護膜37を形成することによって目的を達成して
いる。
【0067】(実施例6)図12(a)及び図12
(b)は、本実施例6の磁気ディスクの構成を示す図で
ある。図12(a)に示すように本実施例6の磁気ディ
スクは、中央部に透孔59が形成されたAl、Al合金
あるいはガラスなどからなる円盤状の基板60と、この
基板60の全面に被膜されたNi−Pメッキ層61とか
らなる磁気ディスク基板Eが主体となり、磁気ディスク
基板EのNi−Pメッキ層61上に、図12(b)のよ
うな積層膜が形成されている。
【0068】図12(b)に示す積層膜は、厚さ千数百
Å程度のCr膜63と、Cr膜63上に形成された厚さ
数百Å程度のCo−Cr合金、Co−Cr−Ni合金、
Co−Cr−Pt合金等Co系合金からなる磁性膜64
と磁性層64上に積層されたSi、Cr、Ti、Zr、
Ta、Hf、NiCrからな群から選ばれた1種又2種
以上の元素からなる下地層65と、この下地層65上
に、ダイヤモンド状カーボンやグラファイト状カーボン
等のCを主成分とするアモルファス層からなる保護層6
6が上述したIVD法により成膜されている。
【0069】前記従来の磁気ディスクにおいては、Cか
らなる保護層66とCo−Ni、Co−Ni−Cr等か
らなる磁性層64との密着性が良好でなく、前記保護層
66が剥離し易いために、磁気ディスクの耐クラッシュ
性及び耐候性を充分に高めることが困難であったが、本
実施例6の磁気ディスクは、前記磁性層64との密着強
度の高い、Si、Cr、Ti、Zr、Ta、Hf、Ni
Crからな群から選ばれた1種又2種以上の元素からな
る下地層65を介して、さらに、この下地層65との密
着強度の高い、ダイヤモンド状カーボンやグラファイト
状カーボン等のCを主成分とするアモルファス層からな
る保護層66を形成するとともに、前記磁性層64と下
地層65の密着強度そして前記下地層65と保護層66
の密着強度のバランスを図ることにより、本実施例6の
磁気ディスク表面の耐摩耗性を向上させ、磁気記録特性
の向上を図ることができる。
【0070】そして、上述した構成からなる本実施例6
の磁気ディスクは、下地層65及び保護層66の厚さを
数100Å以下に抑えることが好ましい。しかし、前記
下地層65そして保護層66の各膜厚は、最低でも10
Å〜50Å程度でないと、上記方法によって形成される
膜が、不均一になり易く、さらに薄いとアイランド状に
形成されてしまうことが推測される。そこで、前記保護
層66は、最低でも100Å以上であることが望ましい
が、その下地層65は10Å〜50Å程度として、故意
にアイランド状に形成されることを目的として、その上
面に成膜される保護層65の内部応力の緩和を図ること
も考えられる。
【0071】従って、本実施例6の磁気ディスクは、前
記従来の磁気ディスクの全面に、Si、Cr、Ti、Z
r、Ta、Hf、NiCrからなる群から選ばれた1種
又は2種以上の元素からなる下地層65を形成し、この
上面にCを主成分とするアモルファス層からなる保護層
66を形成することによって、磁気ヘッドの媒体対向面
と前記下地層65の密着性、そして前記下地層65と保
護層66の密着性を確保することができ、前記従来の磁
気ディスクの媒体対向面の耐摩耗性の向上を図り、磁気
記録特性を良好なものとするとともに、磁気ヘッドの長
寿命化を図ることが可能である。
【0072】なお、実施例2から実施例5において下地
層と保護層とが直接隣接積層されてなる構造を示した
が、実施例1と同様に中間層を介在させることにより、
保護膜をより強固に形成できることはいうまでもない。
また、実施例6においても同様である。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による磁気
ヘッドは、その磁気記録媒体対向面の耐摩耗性を図るた
めに、炭素を主成分とするアモルファス層からなる保護
膜を形成する際に、前記保護膜とも密着性が良く、かつ
表面がパーマロイ等の磁性材料やエポキシ樹脂等の高分
子材料からなる前記磁気ヘッドの表面とも密着性の良好
なSi、Cr、Ti、Zr、Ta、Hf、NiCrから
なる群から選ばれた1種又は2種以上の元素からなる下
地層を介在させることによって、磁気ヘッドの保護膜が
媒体との摺動などにより剥離するのを防止できるととも
に浮動式ヘッドにおいては、摺動やゴミなどにより磁気
ヘッドと媒体が衝撃的に接触してもヘッドクラッシュが
生じるのを防止できる。さらに、本発明による磁気ヘッ
ドは前記下地層と保護膜との間にSiもしくはSiの合
金あるいは化合物からなる中間層を介在させることによ
り、上記作用をより顕著なものとすることができる。
【0074】また、本発明の磁気ディスクにおいては、
磁気ディスクを構成する磁性膜とCを主成分とするアモ
ルファス層からなる保護膜との間に、Si、Cr、T
i、Zr、Ta、Hf、NiCrからなる群から選ばれ
た1種又は、2種以上の元素からなる下地層を設けるこ
とによって前記磁性層と下地層及び、下地層と前記Cを
主成分とするアモルファス層からなる保護膜の密着性を
向上させ、磁気ヘッドの浮上走行における安定性を確保
し、安定したCSS特性を得ることができる。さらに、
本発明の磁気ディスクは前記下地層と保護膜との間にS
iもしくはSiの合金あるいは化合物からなる中間層を
介在させることによって、上記作用をより顕著なものと
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本実施例1のモノリシック型の3レー
ル浮動ヘッドを示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の浮動式ヘッドの正面図である。
【図3】図3は、図1に示す浮動式ヘッドが磁気ディス
ク上を浮上走行している状態を説明するための図であ
る。
【図4】図4は、図3の側面図である。
【図5】図5は、本実施例3の薄膜磁気ヘッドを示す斜
視図である。
【図6】図6は、図5の薄膜磁気ヘッドの正面図であ
る。
【図7】図7は、図5に示す薄膜磁気ヘッドの断面図で
ある。
【図8】図8は、本実施例4の磁気ヘッドを示す斜視図
である。
【図9】図9は、図8の磁気ヘッドの正面図である。
【図10】図10は、本実施例5の磁気ヘッドを示す斜
視図である。
【図11】図11は、図10に示す磁気ヘッドのA−
A’面の断面図である。
【図12】図12(a)は、本実施例6の磁気ディスク
における磁気ディスク基板の断面図である。図12
(b)は、本実施例6の磁気ディスクにおける磁気ディ
スク基板に積層された積層膜の断面構造を示す図であ
る。
【図13】図13は、従来のMIG型磁気ヘッドを示す
斜視図である。
【図14】図14は、磁気ヘッドが磁気ディスクを浮上
走行する状態を示す図である。
【図15】図15は、NEC薄膜硬度計(MHA−40
0)の測定方法及び原理を説明するための図である。
【図16】図16(a)は、従来の磁気デイスクにおけ
る磁気ディスク基板の断面図である。図16(b)は、
従来の磁気ディスクにおける磁気ディスク基板ら積層さ
れた積層膜の断面構造を示す図である。
【符号の説明】
5 磁気ディスク 6 磁気ヘッド 17 Cr層 18 磁性層 19 保護膜 23 磁性層 26 下地層 27 保護膜 28 磁気ヘッド本体 36 下地層 37 保護膜 40 ヘッド本体 40A 媒体対向面 43 下地層 44 保護膜 48A 媒体対向面 49 下地層 50 保護膜 63 Cr層 64 磁性層 65 下地層 66 保護膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 角谷 透 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気ヘッド本体の磁気記録媒体対向面
    に、炭素を主成分とするアモルファス層からなる保護膜
    を具備してなる磁気ヘッドであって、前記保護膜の下地
    層が Si、Cr、Ti、Zr、Ta、Hf、NiCr からなる群から選ばれた1種又は、2種以上の元素から
    なることを特徴とする磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記下地層と保護膜との間に、Siもし
    くは、Siの合金、あるいは化合物からなる中間層が介
    在してなることを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッ
    ド。
  3. 【請求項3】 磁気ディスク本体の磁性層上面に炭素を
    主成分とするアモルファス層からなる保護膜を具備して
    なる磁気ディスクであって、前記保護膜の下地層が Si、Cr、Ti、Zr、Ta、Hf、NiCr からなる群から選ばれた1種又は、2種以上の元素から
    なることを特徴とする磁気ディスク。
  4. 【請求項4】 前記下地層と保護膜との間に、Siもし
    くは、Siの合金、あるいは化合物からなる中間層が介
    在してなることを特徴とする請求項3に記載の磁気ディ
    スク。
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