JP2004263783A - 液封エンジンマウント - Google Patents

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Ikuaki Hashimoto
郁明 橋本
Masahiko Nagasawa
正彦 長澤
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

【課題】液封エンジンマウントにおいて液室内でキャビテーションが生じ、これが起振源となって車室内に騒音を発生させる問題を解決する。
【解決手段】液封エンジンマウント10を、アウタ部材18と、インナ部材20と、ゴム本体部22と、主液室34及び副液室36と、仕切プレート38を備えた仕切部材16と、環状のオリフィス通路46と、を含んで構成する。そして仕切プレート38に対し、可動膜44の周りの位置において、仕切プレート38とは別体を成すマス部材58を上下方向に重合する状態で取り付けておく。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は液封エンジンマウントに関し、詳しくはキャビテーションにより発生した気泡の消滅による衝撃波に起因した異音の発生を防止するようになしたものに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、液室内部に液体を封入し、その液体の流動による減衰によってゴム単体による防振支持の減衰力不足を補うようになした液封エンジンマウントが広く使用されている。
図8はこの種液封エンジンマウントの従来の一例を示している。
図8(A)に示す液封エンジンマウント200は、エンジンを吊下げ式に弾性支持する吊下げ式の液封エンジンマウントで、下部の本体部材202と、上部の蓋部材204と、中間の仕切部材220とから成っている。
【0003】
この液封エンジンマウント200は、金属製の剛性且つ筒状のアウタ部材206と、同じく金属製の剛性のインナ部材208と、それらを連結するゴム本体部210とを有している。
インナ部材208は、軸直角方向外向きのフランジ部を備えた上側のカップ状部212と、雌ねじ孔214を備えた下側の軸部216とを有しており、その軸部216においてブラケットを介しエンジン側に固定されるようになっている。
また一方アウタ部材206において、ブラケットを介し車両のボデー側に固定されるようになっている。
即ちエンジンがこの液封エンジンマウント200を介して吊下げ状態に車両のボデーに支持されるようになっている。
【0004】
ゴム本体部210は略テーパ形状且つインナ部材208周りに環状をなしており、アウタ部材206における逆テーパ部218と、インナ部材208における軸部216の上部からカップ状部212のフランジ部の先端にかけての部分を内外方向に連結している。
この液封エンジンマウント200にあっては、ゴム本体部210を壁としてその上側に液室が形成されており、その液室に水等の液体Lが封入されている。
【0005】
この液室は仕切部材220によって下側の主液室222と、上側の副液室224とに区画されている。
ここで仕切部材220は、金属製の剛性の仕切プレート225を有しており、その外周端部がアウタ部材206に対しかしめ部226においてかしめ固定され、かかるアウタ部材206に一体的に結合されている。
【0006】
仕切プレート225は、中央部に開口228を有しており、その開口228が、仕切プレート225に一体に加硫接着されたゴム弾性体からなる可動膜230にて閉鎖されている。
この可動膜230は、その中央部を図中上下方向に変位させることによって主液室222内部の液圧の変動を吸収する。
上記蓋部材204は、ダイヤフラム壁232を有しており、その内側に上記副液室224が形成されている。
【0007】
234は仕切プレート225の外周部に沿って周方向に形成された環状のオリフィス通路で、液体Lは、エンジン側,ボデー側の動きによるゴム本体部210の変位に伴って生じる主液室222の液圧変化により、オリフィス通路234を通じて主液室222から副液室224に、若しくはその逆に行き来可能とされている。
このオリフィス通路234は、仕切プレート225の外周部所定位置に形成された第一開口236を通じて主液室222と連通しており、この第一開口236を通じて主液室222とオリフィス通路234との間で液体Lが出入可能とされている。
【0008】
オリフィス通路234はまた、第一開口236に隣接した位置の第二開口240を通じて副液室224と連通しており、この第二開口240を通じて、オリフィス通路234と副液室224との間で液体Lが出入可能とされている。
ここで第二開口240は、図8(B)に示しているように切欠部238によって形成されている。
尚、蓋部材204には金属製且つプレート状のコア部材242が埋め込まれており、そのコア部材242が、下端部において仕切プレート225とともにアウタ部材206にかしめ固定されている。
【0009】
この液封エンジンマウント200にあっては、低周波数の上下方向の振動入力に対しては、液体Lがオリフィス通路234を通じて主液室222から副液室224に若しくはその逆に行き来して、その際の粘性流動に基づくエネルギー吸収によって入力振動を効果的に減衰する。
その減衰作用は液体Lが液柱共振を生ずる際に最も高く、通常その液柱共振の周波数はシェイク等の10〜20Hz程度の低周波数の振動入力に対してチューニングされる。
【0010】
この液封エンジンマウント200は、それよりも高い周波数の上下方向の振動入力が加わったとき、オリフィス通路234を実質的に液体Lが流動できない状態、即ちオリフィス通路234が実質的に閉鎖された状態となり、高周波数の振動入力に対してはインナ部材208及びゴム本体部210の上下動に基づく主液室222内の液圧変動を可動膜230の上下方向の弾性変位によって吸収する。
【0011】
ところで、近年車室内の静粛性が高められて行く中で、上記の図8に示す液封エンジンマウント200を装着した車両が道路の継目を通過したときや波状路等を走行したとき、ある種の異音が車室内に生ずることが判明した。
そこでその原因を追求したところ、異音の原因が液封エンジンマウント200にあること、更にその起振源となっているのが液室内で生ずるキャビテーションであること等が判明した。
【0012】
図8の液封エンジンマウント200において、道路の継目通過時や波状路等の走行時に、インナ部材208を介してエンジンからの引張荷重が急激に作用して主液室222に負圧が発生すると、オリフィス通路234を通じて液体Lが主液室222内に流入するが、このときオリフィス通路234内の液体Lは図8(B)に示す狭い円弧状の第一開口236を通過して主液室222内に流れ込むこととなり、急激な流路面積の縮小及びこれに続く拡大によってキャビテーションが発生するのである。
【0013】
より詳しくは、液体Lはオリフィス通路234内を主液室222から副液室224に向って若しくはその逆に向って行き来しているが、インナ部材208が下向きに急激に引かれて主液室222内部に負圧が突発的に生じるとき、オリフィス通路234は一瞬液体Lの流動が止まったかのような状態即ち目詰った状態となった後、その後一気にオリフィス通路234内部の液体Lが主液室222内に流れ込み、その際に急激な流路の縮小及び拡大によって、液体L中の溶存ガスが気泡化し且つ弾けて消滅するキャビテーションが発生する。
そして気泡が弾けて消滅するときの衝撃波が仕切部材220における仕切プレート225に作用してこれを叩き振動させる。
【0014】
この仕切プレート225は2mm程度の板材をプレス加工により形成した、肉厚の薄い軽量の部材で振動し易いものであり、上記キャビテーションにより発生した衝撃波によってかかる仕切プレート225が振動を起す。
そしてこれが起振源となって、その振動が仕切プレート225を固定してあるアウタ部材206に伝わり、更にブラケットを介して車両のボデーに伝わって車室へと至り、そこで異音を発生するとの知見が得られたのである。
【0015】
本発明はこのような課題を解決することを目的としてなされたものである。
尚、液封エンジンマウントについては従来各種のものが提案されており、例えば下記特許文献1,特許文献2,特許文献3,特許文献4には、主液室と、副液室と、仕切部材と、オリフィス通路とを備えた形態の液封エンジンマウントにおいて、その仕切部材にマス部材を付加した点が開示されている。
【0016】
しかしながらこれら特許文献1〜特許文献4に開示された液封エンジンマウントは、本発明の対象とする液封エンジンマウントとは異なった形態のものであるとともに、何れもキャビテーションに起因する異音及び振動防止を目的としたものではなく、その解決手段ないし構成において本発明とは異なったものである。
【0017】
【特許文献1】
特開平7−158684号公報
【特許文献2】
特開平8−270717号公報
【特許文献3】
実開昭61−99744号公報
【特許文献4】
実公昭63−40677号公報
【0018】
【課題を解決するための手段】
以上のような課題を解決するために案出された本発明の液封エンジンマウントは、(イ)車両のボデー側及びエンジン側の一方に固定される剛性且つ筒状のアウタ部材と、(ロ)他方に固定される剛性のインナ部材と、(ハ)それらアウタ部材及びインナ部材を連結する、該インナ部材周りに環状をなすゴム本体部と、(ニ)該ゴム本体部を壁として形成された密閉の液室と、(ホ)(a)該液室を前記ゴム本体部側の主液室と反対側の副液室とに仕切る状態に配置され、中央部に開口を有するとともに外周端部が前記アウタ部材に固定された剛性の仕切プレート及び(b)膜状をなして該開口を閉鎖し、自身の撓み変形により該主液室の液圧変動を吸収する可動膜を備えた仕切部材と、(c)前記仕切プレートの外周部に沿って周方向に形成され、該外周部の所定位置において一端側が前記主液室に、他端側が前記副液室にそれぞれ開口して、それら主液室と副液室とを連通させる略環状のオリフィス通路と、を有しており、且つ前記副液室は前記液室を密閉状態とするダイヤフラム壁の内側に形成されていて、該ダイヤフラム壁の撓み変形によって内容積を変化させるようになしてある液封エンジンマウントにおいて、前記仕切プレートに対し、前記可動膜の周りの位置において該仕切プレートとは別体を成すマス部材を上下方向に重合する状態で取り付けてあることを特徴とする(請求項1)。
【0019】
また請求項2のものは、請求項1において、前記オリフィス通路は前記仕切プレートの外周部に沿って略環状をなしていることを特徴とする。
【0020】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記マス部材は前記主液室の側において前記仕切プレートに取り付けてあることを特徴とする。
【0021】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記マス部材は前記可動膜の周りにリング状をなしていることを特徴とする。
【0022】
請求項5のものは、請求項4において、前記マス部材は全周に亘って実質的に均等な厚みを有していることを特徴とする。
【0023】
請求項6のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記マス部材は前記仕切プレートに直接固定してあることを特徴とする。
【0024】
請求項7のものは、請求項6において、前記仕切プレートには嵌込凹所が形成してあって、前記マス部材が該嵌込凹所に圧入により嵌合状態に固定してあることを特徴とする。
【0025】
請求項8のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記マス部材は、該マス部材と前記仕切プレートとの間に上下に重合する状態で介在させた薄肉のゴム膜を介して該仕切プレートに固定してあることを特徴とする。
【0026】
【作用及び発明の効果】
以上のように本発明は、主液室と、副液室と、仕切プレートを有する仕切部材と、その仕切プレートの外周部に沿って周方向に延び、一端側が主液室に開口するとともに他端側が別の位置で副液室に開口するオリフィス通路とを有する形態の液封エンジンマウントにおいて、その仕切プレートに対し、可動膜の周りの位置において仕切プレートとは別体を成すマス部材を上下方向に重合状態で取り付けたものである。
【0027】
このようになすことで、従来振動し易かった仕切プレートがマス部材を取り付けることで振動し難いものとなり、従って上記キャビテーションにより発生した衝撃波が仕切プレートに作用した場合にも、仕切プレートが振動するのを防止することができる。即ち異音の起振源となっていた仕切プレートの振動を防止することができる。
而して仕切プレートの振動を防止できれば、仕切プレートからアウタ部材へ、更にブラケットを介し車両のボデーに振動が伝達されて、車室内で異音を発生する問題を解消することができる。
【0028】
前記に述べたようにキャビテーションは道路の継目通過時や波状路等の走行時にゴム本体部の変位が大きくなり、その結果主液室側の負圧により生じることが知られており、その際、主液室側に至る液体の流路の長さが長いと流動する際の抵抗が大きくなり、キャビテーションが生じ易くなる。
本発明においては、このため上記オリフィス通路が仕切プレートの外周部に沿って略環状をなすように延びている形態の液封エンジンマウントに適用して効果的なものである(請求項2)。
【0029】
また上記マス部材は主液室の側において仕切プレートに取り付けておくことができる(請求項3)。
マス部材を仕切プレートに取り付けるに際してはその取付けのためのスペースが問題となるが、主液室側は副液室側に比べてそのようなスペースを確保し易く、従ってマス部材を主液室側で仕切プレートに取り付けるようになすことで、容易にかかるマス部材を仕切プレートに取り付けることができる。
【0030】
本発明においては、上記マス部材を可動膜の周りにリング状をなす形状となしておくことができる(請求項4)。
この場合において、そのマス部材は全周に亘って実質的に均等な厚みとなしておくことができる(請求項5)。
【0031】
本発明においては、マス部材を仕切プレートに取り付けるに際し、これを直接仕切プレートに固定するようになすことができる(請求項6)。
この場合において仕切プレートに嵌込凹所を形成しておき、そこにマス部材を圧入により嵌合状態に固定するようになすことができる(請求項7)。
この場合接着剤による接着固定を併せて行っておくこともできる。
【0032】
一方請求項8に従い、マス部材を薄肉のゴム膜を介して仕切プレートに取り付けるようになすこともできる。
このようになした場合、ゴム膜と仕切プレートとを一体に加硫接着する際に、同時にマス部材を加硫接着によって固定しておくことができる。
またこのようなゴム膜を介してマス部材を仕切プレートに取り付けるようになした場合、そのゴム膜により振動遮断効果が追加され、より一層の振動防止効果が得られる利点が生ずる。
【0033】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は本例のエンジン吊下げ式の液封エンジンマウントで、互いに別体をなす下部の本体部材12と、上部の蓋部材14と、中間の仕切部材16とから成っている。
この液封エンジンマウント10は、金属製の剛性且つ筒状のアウタ部材18と、同じく金属製の剛性のインナ部材20と、それらを連結するゴム本体部22とを有している。
【0034】
インナ部材20は、軸直角方向外向きのフランジ部を備えた上側のカップ状部24と、雌ねじ孔26を備えた下側の軸部28とを有しており、図2に示しているようにその軸部28においてブラケット30を介しエンジン側に固定されるようになっている。
また一方アウタ部材18において、図2に示しているようにブラケット31を介し車両のボデー側に固定されるようになっている。
即ちエンジンがこの液封エンジンマウント10を介して吊下げ状態に車両のボデーに支持されるようになっている。
【0035】
尚、図1は液封エンジンマウント10をエンジン支持前の状態で示しており、図2はエンジン支持状態でブラケット30,31とともに示している。
図1と図2との比較から明らかなように、この液封エンジンマウント10にあっては、エンジンを支持してインナ部材20に対し下向きの引張り力が作用すると主液室34が負圧となるが、このとき副液室36側の液体Lがオリフィス通路46を通じて主液室34側に流入することでその負圧は解消される。
このとき副液室36はダイヤフラム壁43の変形を伴って容積減少する。
【0036】
ゴム本体部22は、略テーパ形状且つインナ部材20周りに環状をなしており、アウタ部材18における逆テーパ部32と、インナ部材20における軸部28の上部からカップ状部24のフランジ部の先端にかけての部分を内外方向に連結している。
【0037】
この液封エンジンマウント10にあっては、ゴム本体部22を壁としてその上側に液室が形成されており、その液室に水等の非圧縮性の液体Lが封入されている。
ここで液体Lとしては水の他アルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーンオイルその他のものを用いることができ、特に0.1Pa・s以下の低粘性流体を好適に用いることができる。
【0038】
この液室は仕切部材16によって下側の主液室34と、上側の副液室36とに区画されている。
ここで仕切部材16は金属製の剛性の仕切プレート38を有しており、その外周端部がアウタ部材18に対しかしめ部40においてかしめ固定され、かかるアウタ部材18に一体的に結合されている。
【0039】
本例において、この仕切プレート38は金属板材をプレス曲げ加工して形成した薄肉のもである。この例では仕切プレート38はその肉厚t(図5参照)が2mmとされている。
【0040】
仕切プレート38は中央部に大径の開口42を有しており、その開口42が、仕切プレート38に一体に加硫接着されたゴム弾性体からなる可動膜44にて閉鎖されている。
この可動膜44は、その中央部を図中上下方向に弾性変位させることによって主液室34内部の液圧の変動を吸収する。
上記蓋部材14はダイヤフラム壁43を有しており、その内側に上記副液室36が形成されている。
【0041】
46は仕切プレート38の外周部に沿って周方向に形成された環状のオリフィス通路で、液体Lは、エンジン側,ボデー側の動きによるゴム本体部22の変位に伴って生じる主液室34の液圧変化により、オリフィス通路46を通じて主液室34から副液室36に、若しくはその逆に行き来可能とされている。
このオリフィス通路46は、仕切プレート38の外周部所定位置においてこれを貫通する第一開口48を通じて主液室34と連通しており、この第一開口48を通じて主液室34とオリフィス通路46との間で液体Lが出入可能とされている。
【0042】
オリフィス通路46はまた、図4及び図5に示しているように第一開口48に隣接した位置の第二開口50を通じて副液室36と連通しており、この第二開口50を通じてオリフィス通路46と副液室36との間で液体Lが出入可能とされている。
ここで第二開口50は、図4及び図5に示しているように仕切プレート38に対して可動膜44と一体に成形され且つ仕切プレート38に加硫接着されたゴム弾性体52を部分的に径方向に切欠くことによって形成されている。図4及び図5において54はその切欠部を表している。
【0043】
上記オリフィス通路46は、このゴム弾性体52と蓋部材14との間に形成されている。
尚、蓋部材14には金属製且つプレート状のコア部材56が埋め込まれており、そのコア部材56が、下端部において仕切プレート38とともにアウタ部材18にかしめ固定されている(図1参照)。
【0044】
本例においては、仕切プレート38に対し主液室34側において所定の質量を有する金属製のマス部材58が取り付けられている。
ここでマス部材58は全周に亘って均一な厚みT(図5参照)のリング状をなしており、可動膜44を取り巻く外周側の位置において仕切プレート38に取り付けられている。
【0045】
この例では、マス部材58は仕切プレート38に対し圧入による嵌合によって固定されている。
詳しくは、図3,図5に示しているように仕切プレート38には円形の嵌込凹所60が形成されていて、そこにリング状をなすマス部材58が圧入され、以ってマス部材58が仕切プレート38に対し所定の摩擦力で嵌合状態に固定されている。
但し本例ではマス部材58の接着固定も併せて行われている。
【0046】
この液封エンジンマウント10にあっては、低周波数の上下方向の振動入力に対しては液体Lがオリフィス通路46を通じて主液室34から副液室36に、若しくはその逆に行き来して、その際の粘性流動に基づくエネルギー吸収によって入力振動を効果的に減衰する。
その減衰作用は液体Lが液柱共振を生ずる際に最も高く、この例ではその液柱共振の周波数はシェイク等の10〜20Hz程度の低周波数の振動入力に対してチューニングされている。
【0047】
この液封エンジンマウント10は、それよりも高い周波数の上下方向の振動入力が加わったとき、オリフィス通路46を実質的に液体Lが流動しない状態、即ちオリフィス通路46が実質的に閉鎖された状態となり、高周波数の振動入力に対してはインナ部材20及びゴム本体部22の上下動に基づく主液室34内の液圧変動を可動膜44の上下方向の弾性変位によって吸収する。
【0048】
本例の液封エンジンマウント10にあっては、従来肉厚が薄く軽量で振動し易かった仕切プレート38に質量の大なるマス部材58が取付固定された結果、仕切プレート38が振動し難いものとされている。
従って液室内で上記のようなキャビテーション現象が生じた場合にも、特にオリフィス通路46内の液体Lが第一開口48から主液室34内に一気に勢い良く流れ込むのに伴ってキャビテーション現象が生じ、そして発生した気泡が弾ける際に衝撃波を発して仕切プレート38を叩いた場合にも、仕切プレート38の振動が良好に抑制される。
【0049】
因みに図6は仕切プレート38(質量147g)に対し様々な質量のマス部材58を取り付けたときの振動測定結果を示している。
図6中(イ)は仕切プレート38単独でマス部材58を取り付けていないときの測定結果を示しており、また(ロ),(ハ),(ニ),(ホ)は、仕切プレート38に対し厚みが2mmで質量30gのマス部材58,厚みが4mmで質量60gのマス部材58,厚みが6mmで質量86gのマス部材58,厚みが8mmで質量120gのマス部材58をそれぞれ取り付けたときの測定結果を示している。
尚横軸は時間を、縦軸は振動加速度(G)を表している。
【0050】
この結果に示しているように、マス部材58の厚み即ち質量を上げて行くのに伴い、仕切プレート38の振動が効果的に低減している。特にこの例では厚み8mm,質量120gのマス部材58を取り付けたときに仕切プレート38の振動は殆ど消失している。
尚この測定結果はインナ部材20に対して強制的に加振力を加えてブラケット31に伝達される振動を測定したものである。
【0051】
本例においては、マス部材58の付加により仕切プレート38を効果的に振動防止する上で、マス部材58の質量を86g以上となしておくことが望ましい。
【0052】
以上のような本例によれば、キャビテーションの発生により異音の起振源となっていた仕切プレート38の振動を良好に抑制ないし防止でき、仕切プレート38の振動がアウタ部材18へ、更にブラケット31を介して車両のボデーに伝わって車室内に異音を発生する問題を解消することができる。
【0053】
またマス部材58をスペースの確保が容易な主液室34側で仕切プレート38に取り付けるようになしていることから、容易にマス部材58を仕切プレート34に取り付けることができる。
【0054】
図7は本発明の他の実施例を示している。
この例は、マス部材58をゴム膜62を介して仕切プレート38に、詳しくは可動膜44周りの外周部に主液室34側において固定した例である。
ここでゴム膜62は、可動膜44及びオリフィス通路46を形成するゴム弾性体52と一体に仕切プレート38に加硫成形されている。そしてそのゴム膜62に対し、マス部材58もまた加硫成形により一体に固着されている。
【0055】
本例によれば、ゴム膜62と仕切プレート38とを一体に加硫接着する際に、同時にマス部材58を加硫接着によって固定しておくことができる。
またこのようにゴム膜62を介してマス部材58を仕切プレート38に取り付ければ、そのゴム膜62により振動遮断効果が追加され、より一層の振動防止効果が得られる。
【0056】
以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば図1〜図6の第一の実施例及び図7の第二の実施例において、仕切プレート38及びマス部材58を外側からゴム被覆するようになすことも可能であるし、また本発明においてはマス部材58の形状を上例以外の形状としたり、また場合によってマス部材58を仕切プレート38に対し図中下側ではなく上側において固定するようになすことも可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である液封エンジンマウントを示す図である。
【図2】同実施例の液封エンジンマウントを、エンジンを支持したときの状態でブラケットとともに示した図である。
【図3】同実施例の液封エンジンマウントを各部材に分解して示す断面図である。
【図4】同実施例の液封エンジンマウントを各部材に分解して示す斜視図である。
【図5】同実施例の仕切部材の構成を示す図である。
【図6】同実施例の液封エンジンマウントの仕切プレートの振動測定結果を示す図である。
【図7】本発明の他の実施例の要部を示す図である。
【図8】従来用いられている液封エンジンマウントを示す図である。
【符号の説明】
10 液封エンジンマウント
16 仕切部材
18 アウタ部材
20 インナ部材
22 ゴム本体部
34 主液室
36 副液室
38 仕切プレート
42 開口
43 ダイヤフラム壁
44 可動膜
46 オリフィス通路
48 第一開口
50 第二開口
58 マス部材
60 嵌込凹所
62 ゴム膜

Claims (8)

  1. (イ)車両のボデー側及びエンジン側の一方に固定される剛性且つ筒状のアウタ部材と、(ロ)他方に固定される剛性のインナ部材と、(ハ)それらアウタ部材及びインナ部材を連結する、該インナ部材周りに環状をなすゴム本体部と、(ニ)該ゴム本体部を壁として形成された密閉の液室と、(ホ)(a)該液室を前記ゴム本体部側の主液室と反対側の副液室とに仕切る状態に配置され、中央部に開口を有するとともに外周端部が前記アウタ部材に固定された剛性の仕切プレート及び(b)膜状をなして該開口を閉鎖し、自身の撓み変形により該主液室の液圧変動を吸収する可動膜を備えた仕切部材と、(c)前記仕切プレートの外周部に沿って周方向に形成され、該外周部の所定位置において一端側が前記主液室に、他端側が前記副液室にそれぞれ開口して、それら主液室と副液室とを連通させる略環状のオリフィス通路と、を有しており、且つ前記副液室は前記液室を密閉状態とするダイヤフラム壁の内側に形成されていて、該ダイヤフラム壁の撓み変形によって内容積を変化させるようになしてある液封エンジンマウントにおいて、
    前記仕切プレートに対し、前記可動膜の周りの位置において該仕切プレートとは別体を成すマス部材を上下方向に重合する状態で取り付けてあることを特徴とする液封エンジンマウント。
  2. 請求項1において、前記オリフィス通路は前記仕切プレートの外周部に沿って略環状をなしていることを特徴とする液封エンジンマウント。
  3. 請求項1,2の何れかにおいて、前記マス部材は前記主液室の側において前記仕切プレートに取り付けてあることを特徴とする液封エンジンマウント。
  4. 請求項1〜3の何れかにおいて、前記マス部材は前記可動膜の周りにリング状をなしていることを特徴とする液封エンジンマウント。
  5. 請求項4において、前記マス部材は全周に亘って実質的に均等な厚みを有していることを特徴とする液封エンジンマウント。
  6. 請求項1〜5の何れかにおいて、前記マス部材は前記仕切プレートに直接固定してあることを特徴とする液封エンジンマウント。
  7. 請求項6において、前記仕切プレートには嵌込凹所が形成してあって、前記マス部材が該嵌込凹所に圧入により嵌合状態に固定してあることを特徴とする液封エンジンマウント。
  8. 請求項1〜5の何れかにおいて、前記マス部材は、該マス部材と前記仕切プレートとの間に上下に重合する状態で介在させた薄肉のゴム膜を介して該仕切プレートに固定してあることを特徴とする液封エンジンマウント。
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