JP2004262292A - コンバイン - Google Patents

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泰治 水倉
Wataru Nakagawa
渉 中川
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Abstract

【課題】従来のコンバインにおいて機体の姿勢(左右方向の傾斜角度)を検出するための傾斜センサは、旋回時に作用する遠心力により、実際の機体の傾斜角度と、傾斜センサの検出値との間に測定誤差が生じるので、旋回中の傾斜センサの検出値に基づいて機体の姿勢制御を行うと、基準水平面に対して略平行または所定の設定傾斜角となる姿勢に保持することが困難であった。
【解決手段】傾斜センサ96と、ローリング駆動手段91とを備えるとともに、左右のクローラ1L・1Rの走行速度に基づいて旋回時に機体に作用する遠心力を求め、該遠心力に起因する傾斜センサの検出値の誤差を補正して、機体の姿勢を基準水平面に対して略平行または所定の設定傾斜角に制御するローリング制御を行うようにコンバイン201を構成した。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機体傾斜角度検出手段と、ローリング駆動手段とを備え、機体の姿勢を基準水平面に対して略水平に制御するローリング制御を行うコンバインに関する。
より詳細には、旋回走行時の姿勢制御の精度および走行安定性を向上させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、傾斜センサ等の機体傾斜角度検出手段と、左右のクローラの接地部を結んだ仮想的な接地面に対する機体の左右の傾斜角度を変更するローリング駆動手段とを備え、左右のクローラの接地部を結んだ仮想的な接地面が水平基準面に対して傾斜しているときには、ローリング駆動手段を作動させて機体が水平基準面(重力が作用する方向と略垂直な面)に対して略平行または所定の設定傾斜角となる姿勢に保持するローリング制御を行うコンバインは公知となっている。
例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
【特許文献1】
実用新案登録第2566454号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載のコンバインにおいて機体の姿勢(左右方向の傾斜角度)を検出するための傾斜センサは、一般的には、密封容器に液体が封入され、傾斜時の該液体の液面レベル変化を静電容量の変化として検出することにより傾斜角度を検出するものであるため、走行中に旋回すると、該傾斜センサ内に封入された液体に遠心力が作用し、実際の機体の傾斜角度と、傾斜センサの検出値との間に測定誤差が生じる。従って、旋回中の傾斜センサの検出値に基づいて機体の姿勢制御を行うと、基準水平面に対して略平行または所定の設定傾斜角となる姿勢に保持することができないという問題があった。
そこで、従来のコンバインにおいては、本来走行安定性をより向上させるべき旋回時に姿勢制御をすることが困難であり、旋回時に姿勢制御を一時休止し、旋回開始前の機体のクローラ走行装置に対する傾斜角度を維持し、旋回終了時に姿勢制御を再開していた。このような姿勢制御を行うと、旋回終了時に機体を略水平にするためのローリング量が非常に大きくなる場合があり、姿勢制御の応答性が良くないという問題があった。特に、部分湿田で旋回中に湿田から乾田に移動する場合、機体が旋回前のクローラ走行装置に対する傾斜角度を維持していると旋回終了後すぐに刈り取り作業に移行することが困難な場合があった。
本発明は以上の如き状況に鑑み、旋回中においても姿勢制御を行い走行安定性に優れたコンバインを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、機体傾斜角度検出手段と、ローリング駆動手段とを備え、機体の姿勢を基準水平面に対して略平行または所定の設定傾斜角に制御するローリング制御を行うコンバインにおいて、
該左右のクローラの走行速度に基づいて、旋回時に機体に作用する遠心力を求め、該遠心力に起因する機体角度検出手段の検出値の誤差を補正してローリング制御を行うものである。
【0007】
請求項2においては、前記機体傾斜角度検出手段の前後位置は、機体旋回中心点と略一致するものである。
【0008】
請求項3においては、前記機体傾斜角度検出手段を、前記機体旋回中心点よりも機体前方に配置したものである。
【0009】
請求項4においては、クローラスリップ検出手段を備え、前記機体傾斜角度検出手段の検出値を、クローラスリップ検知手段による検出値に基づいて補正するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施の一形態であるコンバインの左側面図、図2は本発明の実施の一形態であるコンバインの平面図、図3は本発明の実施の一形態であるコンバインの右側面図、図4は本発明の実施の一形態であるコンバインの正面図、図5はクローラ式走行装置の側面図、図6は全高を高くしたときのクローラ式走行装置の側面図、図7は左旋回時のコンバインを示す平面模式図、図8は傾斜センサの断面模式図、図9は制御装置を示すブロック図、図10は本発明のコンバインにおける姿勢制御方法の第一実施例を示すフローチャート図、図11は本発明のコンバインにおける姿勢制御方法の第二実施例を示すフローチャート図、図12は旋回中のコンバインの補正後の傾斜角度θと、機体傾斜検出手段の検出値θと、遠心力による測定誤差θとの関係を示す図、図13は機体中心点に配置された機体傾斜検出手段の旋回中の軌跡を示す模式図、図14は中心点に配置された機体傾斜検出手段の旋回中の検出値θを示す図、図15は機体中心点よりも機体後方に配置された機体傾斜検出手段の旋回中の軌跡を示す模式図、図16は機体中心点よりも機体後方に配置された機体傾斜検出手段の旋回中の検出値θを示す図、図17は機体中心点よりも機体前方に配置された機体傾斜検出手段の旋回中の軌跡を示す模式図、図18は機体中心点よりも機体前方に配置された機体傾斜検出手段の旋回中の検出値θを示す図である。
【0011】
まず、本発明の実施の一形態であるコンバイン201の全体構成について、図1から図4により説明する。
なお、本発明は本実施例のコンバイン201に限定されず、機体傾斜角度検出手段と、ローリング駆動手段とを備え、機体の姿勢を基準水平面に対して略平行または所定の設定傾斜角に制御するローリング制御を行うコンバインであればよく、自脱式コンバイン・汎用コンバインのいずれにも広く適用可能である。
【0012】
本実施例のコンバイン201においては、左右一対のクローラ1L・1Rを備えるクローラ式走行装置1上に機体フレーム2L・2Rが載置される。
【0013】
機体フレーム2L・2R前端には引起し・刈取部3が昇降可能に配設されている。該引起し・刈取部3は前端に分草板4を突出して穀稈を分草し、その後部に引起しケース5を立設して該引起しケース5より突出したタイン6の回転により穀稈を引き起こし、前記分草板4後部に配設した刈刃7にて株元を刈り取るようにしている。刈り取られた穀稈は、上部搬送装置、下部搬送装置、縦搬送装置8にて後部へ搬送され、該縦搬送装置8の上端から株元がフィードチェーン9に受け継がれ、脱穀部12内に穀稈が搬送される。そして、該フィードチェーン9後端には排藁チェーン18が配設され、該排藁チェーン18後部下方には排藁カッター装置、拡散コンベアなどからなる排藁処理部19が形成され、排藁を切断して藁片にした後、拡散しながら圃場に均一放出するようにしている。
【0014】
また、前記脱穀部12側部には選別後の精粒を貯留するグレンタンク13が配設され、該グレンタンク13前部には運転室14が配設される一方、グレンタンク13後部には排出オーガ15の縦オーガ15aが立設され、該縦オーガ15aを中心にしてグレンタンク13が側方へ回動可能とし、本機内部側に配置した駆動系や油圧系のメンテナンスを容易にしている。
そして、該グレンタンク13の底部には排出コンベア16が前後方向に配設され、該排出コンベア16から前記排出オーガ15に動力が伝達されて、排出オーガ15先端よりトラック等へグレンタンク13内の穀粒を排出できるようにしている。更に、脱穀部12下方には、選別部17が配設され、脱穀部12から流下する穀粒や藁屑等から穀粒を選別し、前記グレンタンク13に搬送するようにしている。
【0015】
続いて、図5、図6を用いて、ローリング駆動手段91について説明する。
なお、以後の説明では右側のクローラ1Lを用いて説明し、左側については説明を省略する。
ローリング駆動手段91を構成する部材のうち、右側のクローラ1Lに設けられているものは、昇降用アクチュエータ71R、前部クランク72R、後部クランク73R、平行リンク74R等である。
昇降用アクチュエータ71Rは油圧シリンダ等で構成され、シリンダ側端部が機体フレーム2Rに枢支され、シリンダロッド側端部が後部クランク73Rの一端に枢支される。
前部クランク72Rは略L字型の部材であり、前部クランク72Rの上端には平行リンク74Rの前端が枢支され、前部クランク72Rの中央の屈曲部は機体フレーム2Rに回動可能に枢支され、前部クランク72Rの下端はトラックフレーム75Rに回動可能に枢支される。
後部クランク73Rは略L字型の部材であり、後部クランク73Rの上端には平行リンク74Rの後端および昇降用アクチュエータ71Rのシリンダロッド側端部が枢支され、後部クランク73Rの中央の屈曲部は機体フレーム2Rに回動可能に枢支され、後部クランク73Rの下端はトラックフレーム75Rに回動可能に枢支される。
【0016】
トラックフレーム75Rには遊転輪76・76・・・が回転自在に軸支され、トラックフレーム75Rの後端部には、油圧シリンダ等で構成されるテンションアクチュエータ77Rを介してテンションスプロケット78Rが回転自在に枢支される。
一方、機体フレーム2Rより前方に突設された支持部材79Rには駆動スプロケット80Rが外嵌された駆動軸81Rが軸受けを介して回転可能に軸支される。駆動軸81Rは図4に示す如く、エンジン101からの駆動力を走行用ミッションケース136を介してクローラ1Rに伝達する。
また、機体フレーム2Rの側面中途部に固設された支持部材82Rには上部遊転輪83Rが回転自在に軸支される。そして、駆動スプロケット80R、上部遊転輪83R、テンションスプロケット78R、遊転輪76・76・・・にクローラベルト84Rが巻回される。
【0017】
昇降用アクチュエータ71Rが伸長すると後部クランク73Rがその下端部が下方に移動する方向に回動する。また、後部クランク73Rと平行リンク74Rによって連結された前部クランク72Rもまた、その下端部が下方に移動する方向に回動する。従って、トラックフレーム75Rは機体フレーム2Rに対して下方に離間する方向に揺動し、クローラ1Lの全高が高くなる。
なお、昇降用アクチュエータ71Rの伸縮に応じてテンションアクチュエータ77Rが前後方向に伸縮し、クローラ1Lの全高が変化してもクローラベルト84Rのテンションが略一定に保持されるように構成される。
【0018】
以上の如く、クローラ式走行装置1は、ローリング駆動手段91により、左右のクローラ1L・1Rを、コンバイン201の機体に対して左右別々に高さ変更することが可能である。例えば、コンバイン201が左側方に傾斜した斜面に位置しているとき、左のクローラ1Lの全高を右のクローラ1Rの全高よりも高くすることで、コンバイン201の機体部分の姿勢を水平基準面に対して略平行にすることが可能である。
また、左右のクローラ1L・1Rを略同じ高さとして上下方向の高さ調整することにより、コンバイン201の車高調整をすることも可能である。
なお、ローリング駆動手段はクローラ式走行装置とコンバインの機体との連結部にて、左右に揺動および上下に昇降する構成としてもよく、本実施例に限定されない。
【0019】
続いて、本発明のコンバイン201における車体の姿勢制御方法、機体に作用する遠心力の算出方法、および傾斜センサの検出値の補正方法について説明する。
本実施例においては、コンバイン201の使用状況に応じてローリング制御と復帰制御とを使い分け、安定性(転倒防止)および作業性の向上を図るために姿勢制御が行われる。
「ローリング制御」は、左右のクローラ1L・1Rの接地部を結んだ仮想的な接地面が水平基準面に対して傾斜しているときに、ローリング駆動手段91を作動させて機体が水平基準面に対して略平行または設定傾斜角となる姿勢に保持する制御を指す。
「復帰制御」は、コンバイン201の機体がクローラ1L・1Rに対して予め設定された設定復帰角度および設定復帰高さ(通常はクローラの全高を下げてコンバインの重心位置を下げる)となるようにローリング駆動手段91を作動させる制御を指す。
【0020】
続いて、図7から図9を用いてコンバインの機体に作用する遠心力の算出方法、および傾斜角度の補正方法について説明する。
なお、本実施例では機体傾斜検出手段88として、密封容器に液体が封入され、傾斜時の該液体の液面レベル変化を静電容量の変化として検出することにより傾斜角度を検出する形式の傾斜センサ96を使用しているが、他の形式の傾斜センサでも同様の効果を奏する。
例えば、錘を用いた別の形式の傾斜センサ(内部に錘となるボールを内蔵し、該ボールを接触子とするメカニカル接点式の傾斜センサ、同じく内部に錘となるボールを内蔵し、該ボールの位置をフォトインタラプタで検出する光方式の傾斜センサ、あるいは錘となる磁石をセンサのハウジング内に内蔵し、傾斜による磁石の位置変化に起因する磁気変化をホールICにより検知する方式の傾斜センサなど)や、加速度センサ(錘に加速度が作用したときに板バネが歪み、それをストレインゲージで検知する板バネ式の加速度センサ、錘を圧電素子で支持する圧縮式の傾斜センサなど)を用いても同様の効果を奏する。
【0021】
図7に示す如く、基準水平面に略平行な地面を走行中のコンバイン201が、機体をクローラ式走行装置1に対して傾斜させずに左旋回した場合を考える。
左のクローラ1Lの走行速度をV、右のクローラ1Rの走行速度をVと定義する。Vは左クローラ速度検出手段92、Vは右クローラ速度検出手段93により検出される。
左クローラ速度検出手段92および右クローラ速度検出手段93は、それぞれ左のクローラ1Lおよび右のクローラ1Rの走行速度を検出するためのものであり、タコメータ等の速度センサで構成される。
左クローラ速度検出手段92および右クローラ速度検出手段93は、クローラ式走行装置1の左右の駆動スプロケット80L・80Rを駆動する駆動軸81L・81Rの回転数を検出し、該回転数から左のクローラ1Lおよび右のクローラ1Rの走行速度が求められる。なお、他の方法を用いて左右のクローラの走行速度を検出してもよく、本実施例に限定されない。
【0022】
本実施例では、説明を簡略にするため、コンバイン201の旋回半径を決める際に用いられる機体旋回中心点(コンバイン201が旋回するときにおける重心位置と略一致する)が、平面視でコンバイン201の左右のクローラ1L・1Rの左右前後中央である機体中心点94と一致する場合について考える。
コンバイン201の旋回半径(すなわち、機体旋回中心点(本実施例では機体中心点94)と、コンバインの左右のクローラ1L・1Rの速度差から仮想的に求められる旋回中心点95との間の距離)をR[m]、左右のクローラ1L・1Rの中心線間の距離をB[m]、コンバイン201の旋回時の角速度をω[rad/sec]とすると、左のクローラ1Lの走行速度をVおよび右のクローラ1Rの走行速度をVは、それぞれ以下の(式1)および(式2)で表される。
=(R−B/2)×ω (式1)
=(R+B/2)×ω (式2)
左右のクローラ1L・1Rの中心線間の距離Bは既知の値であることから、(式1)と(式2)から、コンバイン201の角速度ωは以下の(式3)で表される。
ω=(V―V)/B (式3)
また、旋回半径Rは以下の(式4)で表される。
R=(B/2)×{(V+V)/(V―V)} (式4)
(式3)および(式4)より、Rおよびωは、左クローラ速度検出手段92と右クローラ速度検出手段93とにより検出される左のクローラ1Lの走行速度V、右のクローラ1Rの走行速度Vから算出することが可能である。
【0023】
図7に示す如く、機体傾斜検出手段88である傾斜センサ96が機体中心点94(機体旋回中心点)から右側方にA[m]の位置に配置されているとき、傾斜センサ96の旋回速度Vは以下の(式5)で表される。
=(R+A)×ω (式5)
傾斜センサ内の錘(本実施例では傾斜センサ96の密封容器に封入された液体)の質量をM[kg]とすると、該錘に作用する遠心力F[N]は以下の(式6)で表される。
F=M×V×ω=M×(R+A)×ω (式6)
このようにして、旋回中に傾斜センサ96に作用する遠心力を算出することができる。
【0024】
続いて、傾斜センサの検出値の補正方法について説明する。
図8に示す如く、傾斜センサ96内に封入された液体の液面96aが基準水平面から角度θ[rad]の傾きを有しているとする(傾斜角度は機体が左下がりに傾倒する方向を正とする)。
機体を基準水平面に略平行に保持したまま左旋回する場合、この角度θは遠心力に起因する傾斜センサ96の測定誤差成分を表している(以後、θを傾斜センサ補正角度と呼ぶ)。このとき、遠心力Fを表すベクトルと、重力G(=M×g)を表すベクトルとの合成ベクトルは、該液面に直交することから、以下の(式7)が成立する。
tanθ=F/G=(R+A)×ω/g (式7)
ここで、gは重力加速度(=9.81[m/sec])である。傾斜センサ96が配設される位置と機体中心点94(機体旋回中心点)との左右方向の距離A、および重力加速度gは既知の値である。また、Rおよびωは前述の如く左クローラ速度検出手段92と右クローラ速度検出手段93とにより検出される左のクローラ1Lの走行速度V、右のクローラ1Rの走行速度Vから算出することが可能である。
すなわち、左右のクローラの走行速度を求めることにより、旋回中のコンバインの傾斜センサの測定誤差を求めることが可能である。
【0025】
よって、旋回中の基準水平面に対するコンバインの機体の補正後の傾斜角度θは、傾斜センサ96の検出値である検出傾斜角度θと、前述の(式1)から(式7)を用いて算出した傾斜センサ補正角度θとに基づいて、以下の(式8)で表される。
θ=θ−θ (式8)
なお、(式8)の関係は、横軸を時間[sec]、縦軸を角度[rad](機体が右下がりに傾斜する方を正とする)とすると、図12に示す如くである。
このようにして、コンバインが走行中に旋回した場合であっても、機体傾斜検出手段88(本実施例では傾斜センサ96)の検出値を補正して、機体の基準水平面に対する傾斜角度を精度良く求めることが可能である。従って、旋回中でもローリング制御を実行して、機体を基準水平面に対して略平行または設定傾斜角度に保持することが可能であり、走行安定性に優れる。
【0026】
続いて、本実施例における傾斜角度補正を伴うローリング制御(機体姿勢制御)を実行する制御装置85について説明する。
【0027】
図9に示す如く、本発明のコンバイン203における制御装置85は、主にCPU54とデータ記憶部55とで構成される。
CPU54は各種入力信号および後述するデータ記憶部55に記憶された各種データに基づいて、ローリング制御および前述の傾斜角度補正に関する演算処理を行い、各種出力信号を出力する。
データ記憶部55には、ローリング制御や傾斜角度補正に関する種々のデータが記憶される。例えば、左右のクローラ1L・1Rの中心線間の距離B[m]、傾斜センサ96が配設される位置と機体中心点94(機体旋回中心点)との左右方向の距離A[m]、重力加速度g(=9.81[m/sec])、傾斜センサ96の密封容器に封入された液体の質量M[kg]等が記憶される。
なお、本実施例では該データ記憶部55としてEEPROM(Electrionically Erasable and Programmable Read Only Memory:不揮発性半導体メモリの一種で、電気的に内容を書き込み可能な読み出し専用記憶装置)を用いたが、その他の形式のROMや他の記憶媒体などでも良い。
【0028】
制御手段85に入力信号を送信するものとしては、機体傾斜検出手段88、左クローラ速度検出手段92、右クローラ速度検出手段93、直進検出手段97等が挙げられる。
【0029】
機体傾斜検出手段88は、コンバイン203の機体部分の傾斜角度を検知するものであり、本実施例においては傾斜センサ96等で構成される。
【0030】
左クローラ速度検出手段92は、左のクローラ1Lの走行速度を検出するためのものであり、タコメータ等の速度センサで構成される。
右クローラ速度検出手段93は、右のクローラ1Rの走行速度を検出するためのものであり、タコメータ等の速度センサで構成される。
【0031】
直進検出手段97はコンバイン201が直進している(旋回状態にない)ことを検出するためのものである。より具体的には、運転室14内に設けられた操向手段が操向ハンドルである場合、中立位置から左右いずれかに所定角度以上回転したことを検出するスイッチを直進検出手段97として使用してもよく、旋回用HSTが作動した(旋回用HSTへの作動油の供給を行うソレノイドバルブが作動した)ことを示す検出信号をCPU54に送信して、直進検出手段の代用としても良い。
また、操向手段が、前後の傾倒による引起し・刈取部3の操作と、左右の傾倒による左右のクローラのクラッチ断接・ブレーキ操作とを一本のレバーで行うオールマイティーステアリングの場合、あるいは左右二本のサイドクラッチレバーにより左右のクラッチ断接・ブレーキ操作を行う場合には、該レバーが所定角度以上回動したことを検出するスイッチや、あるいはフィットステアリングスイッチがオンであることを検出するスイッチでも良い。
【0032】
一方、制御手段85により出力信号を送信されるものとしては、ローリング駆動手段91が挙げられる。
ローリング駆動手段91は、前述の如く昇降用アクチュエータ71R、前部クランク72R、後部クランク73R、平行リンク74R等で構成される。本実施例においては左右のクローラ1L・1Rを、コンバイン201の機体に対して左右別々に高さ変更することにより、左右のクローラ1L・1Rの接地部を結んだ仮想的な接地面に対する機体の左右の傾斜角度を変更し、機体が水平基準面に対して略平行または設定傾斜角となる姿勢に保持する。
【0033】
なお、制御装置85をコンバインの他の部分(脱穀部、選別部など)を制御する制御装置と一体としても、別体としてもよい。
【0034】
以下では、図10を用いて遠心力による傾斜角度の測定誤差を補正した機体の姿勢制御方法の第一実施例の説明を行う。
【0035】
制御装置85は、初期条件として、直進検出手段97から取得する情報に基づき、コンバイン201が旋回を開始したことを検出し、傾斜センサ96、左クローラ速度検出手段92および右クローラ速度検出手段93に異常がないことを検出した時点で、遠心力による傾斜角度の測定誤差を補正した機体の姿勢制御方法の第一実施例を開始する(ステップS10に移行する)。
【0036】
制御装置85は、ステップS10において左右のクローラ1L・1Rの走行速度に関する情報を取得後、ステップS20に移行する。
より具体的には、左クローラ速度検出手段92および右クローラ速度検出手段93により左右のクローラ1L・1Rの速度に関する情報が検出され、制御装置85のCPU54に送信される。
【0037】
制御装置85は、ステップS10において左右のクローラ1L・1Rの走行速度に関する情報を取得後、ステップS20において機体傾斜検出手段88(本実施例においては傾斜センサ96)に作用する遠心力を算出し、ステップS40に移行する。
より具体的には、制御装置85のCPU54は、ステップS10において取得した左右のクローラ1L・1Rの速度に関する情報に基づいて左のクローラ1Lの走行速度Vおよび右のクローラ1Rの走行速度Vを求める。次に、CPU54は、VおよびVと、データ記憶部55に予め記憶された設定値である左右のクローラ1L・1Rの中心線間の距離B[m]、傾斜センサ96が配設される位置と機体中心点94(機体旋回中心点)との左右方向の距離A[m]、傾斜センサ96の密封容器に封入された液体の質量M[kg]とに基づき、前記(式1)から(式6)を用いて遠心力F[N]を算出する。
【0038】
制御装置85は、ステップS20において機体傾斜検出手段88(本実施例においては傾斜センサ96)に作用する遠心力を算出後、ステップS40において機体傾斜検出手段88の検出値を補正し、ステップS500に移行する。
より具体的には、制御装置85のCPU54は、ステップS20において算出した遠心力F[N]と、機体傾斜検出手段77から取得した情報に基づいて求めた検出傾斜角度θと、データ記憶部55に予め記憶された設定値である傾斜センサ96の密封容器に封入された液体の質量M[kg]、重力加速度g(=9.81[m/sec])に基づき、前記(式7)および(式8)を用いて補正後の傾斜角度θを算出する。
【0039】
制御装置85は、ステップS40において機体傾斜検出手段88の検出値を補正後、ステップS500においてローリング制御を実行し、ステップS10に移行する。
より具体的には、制御装置85は、ステップS40において算出した補正後の傾斜角度θを打ち消す方向(すなわち、機体が傾倒している方向と逆の方向)に機体を傾倒させ、ローリング制御後の機体の姿勢が、基準水平面に対して略平行、または所定の設定傾斜角度となるようにローリング駆動手段91を作動させる。
【0040】
また、補正後の傾斜角度θを打ち消す方向に機体を傾倒させるとき、実際にローリング駆動手段91により機体を傾倒させる角度は、(θ×k/100)[rad]とする。このとき、k[%]は傾斜補正倍率(0<k≦100)であり、通常はk=100[%]とする。傾斜補正倍率kはデータ記憶部55に予め設定・記憶された値である。コンバイン201が使用される圃場の状況や、グレンタンク13に回収された収穫物の重量等によっては、k=100とする(すなわち、補正後の傾斜角度θと同じ大きさだけ機体を逆方向に傾倒させてローリング制御する)と、ローリング制御が実行される度に機体が左右に揺動(ハンチング)して揺動が収束しなかったり、あるいは補正が大きすぎて逆方向に機体が傾倒したり、補正が小さすぎて姿勢が略水平まで戻らなかったりする場合があるので、このような場合には傾斜補正倍率kの設定値を変更する(0<k<100とする)。
【0041】
以上の如く構成することにより、旋回走行時においても精度良くローリング制御を実行し、コンバインの機体の姿勢を基準水平面に対して略平行または設定傾斜角度に保持することが可能であり、走行安定性が向上するとともに、旋回終了後の圃場の傾斜に対する追従性が向上する。
【0042】
以下では、図11を用いて遠心力による傾斜角度の測定誤差を補正した機体の姿勢制御方法の第二実施例の説明を行う。
【0043】
制御装置85は、初期条件として、直進検出手段97から取得する情報に基づき、コンバイン201が旋回を開始したことを検出し、傾斜センサ96、左クローラ速度検出手段92および右クローラ速度検出手段93に異常がないことを検出した時点で、遠心力による傾斜角度の測定誤差を補正した機体の姿勢制御方法の第二実施例を開始する(ステップS110に移行する)。
【0044】
制御装置85は、ステップS110において左右のクローラ1L・1Rの走行速度に関する情報を取得し、ステップS120に移行する。
より具体的には、左クローラ速度検出手段92および右クローラ速度検出手段93により左右のクローラ1L・1Rの速度に関する情報が検出され、制御装置85のCPU54に送信される。
【0045】
制御装置85は、ステップS110において左右のクローラ1L・1Rの走行速度に関する情報を取得後、ステップS120において機体傾斜検出手段88(本実施例においては傾斜センサ96)に作用する遠心力を算出し、ステップS130に移行する。
より具体的には、制御装置85のCPU54は、ステップS110において取得した左右のクローラ1L・1Rの速度に関する情報に基づいて左のクローラ1Lの走行速度Vおよび右のクローラ1Rの走行速度Vを求める。次に、CPU54は、VおよびVと、データ記憶部55に予め記憶された設定値である左右のクローラ1L・1Rの中心線間の距離B[m]、傾斜センサ96が配設される位置と機体中心点94(機体旋回中心点)との左右方向の距離A[m]、傾斜センサ96の密封容器に封入された液体の質量M[kg]とに基づき、前記(式1)から(式6)を用いて遠心力F[N]を算出する。
【0046】
制御装置85は、ステップS120において機体傾斜検出手段88(本実施例においては傾斜センサ96)に作用する遠心力を算出後、該算出された遠心力Fの大きさが、所定の閾値より大きいか否かをステップS130において判断する。
制御装置85は、ステップS130において(遠心力F)≧(閾値)と判断した場合は制御用傾斜角度θ=θとしてステップS140に移行し、ステップS130において(遠心力F)<(閾値)と判断した場合は制御用傾斜角度θ=θとしてステップS700に移行する。
より具体的には、制御装置85のCPU54は、ステップS120において算出した遠心力Fと、データ記憶部55に予め設定・記憶された閾値(実験等で求められる値)とを比較する。
【0047】
(遠心力F)<(閾値)を満たすということは、機体の旋回時の走行速度(VおよびVの平均値で表される)が小さい、または旋回半径Rが大きい結果、機体傾斜検知手段88(傾斜センサ96)の遠心力に起因する測定誤差(すなわちθ)が無視できる程小さいことを意味する。従って、制御用傾斜角度θ=θ≒θと見なすのである。
【0048】
制御装置85は、ステップS130において(遠心力F)≧(閾値)と判断した場合に、ステップS140において機体傾斜検出手段88の検出値を補正し、ステップS700に移行する。
より具体的には、制御装置85のCPU54は、ステップS120において算出した遠心力F[N]と、機体傾斜検出手段77から取得した情報に基づいて求めた検出傾斜角度θと、データ記憶部55に予め記憶された設定値である傾斜センサ96の密封容器に封入された液体の質量M[kg]、重力加速度g(=9.81[m/sec])に基づき、前記(式7)および(式8)を用いて補正後の傾斜角度θを算出する。そして、制御用傾斜角度θ=θ=θ−θとする。
【0049】
制御装置85は、▲1▼ステップS130において(遠心力F)<(閾値)と判断した場合、または▲2▼ステップS140において機体傾斜検出手段88の検出値を補正した場合に、ステップS700においてローリング制御を実行し、ステップS110に移行する。
より具体的には、制御装置85は、ステップS130において(遠心力F)<(閾値)と判断した場合に求めた制御用傾斜角度θ、またはステップS140において算出した制御用傾斜角度θ、を打ち消す方向(すなわち、機体が傾倒している方向と逆の方向)に機体を傾倒させ、ローリング制御後の機体の姿勢が基準水平面に対して略平行、または所定の設定傾斜角度となるようにローリング駆動手段91を作動させる。
また、制御用傾斜角度θを打ち消す方向に機体を傾倒させるとき、ローリング駆動手段91により機体を傾倒させる角度は、(θ×k/100)[rad]とする。このとき、k[%]は傾斜補正倍率(0<k≦100)であり、通常はk=100[%]とする。傾斜補正倍率kはデータ記憶部55に予め設定・記憶された値である。
コンバイン201が使用される圃場の状況や、グレンタンク13に回収された収穫物の重量等によっては、k=100とする(すなわち、制御用傾斜角度θと同じ大きさだけ機体を逆方向に傾倒させてローリング制御する)と、ローリング制御が実行される度に機体が左右に揺動(ハンチング)して揺動が収束しなかったり、あるいは補正が大きすぎて逆方向に機体が傾倒したり、補正が小さすぎて姿勢が略水平まで戻らなかったりする場合があるので、このような場合には傾斜補正倍率kの設定値を変更する(0<k<100とする)。
【0050】
以上の如く構成することにより、旋回走行時においても精度良くローリング制御を実行し、コンバインの機体の姿勢を基準水平面に対して略平行または設定傾斜角度に保持することが可能であり、走行安定性が向上するとともに、旋回終了後の圃場の傾斜に対する追従性が向上する。
特に、走行速度が小さいとき、または旋回半径が大きいときは、旋回時の機体の姿勢制御(ローリング制御)がビジーになる(過度な姿勢制御が実行される)傾向があるが、旋回時の遠心力が傾斜センサへ及ぼす影響が小さいと考えられる場合については、閾値を用いて傾斜センサ96の検出値をそのまま用いてローリング制御を行うことにより機体の姿勢が安定する。
【0051】
続いて、機体傾斜検出手段88(本実施例における傾斜センサ96)のコンバイン201への前後方向の取付位置が、旋回中の機体傾斜検出手段88の測定誤差におよぼす影響について、図7、および図13から図18を用いて説明する。なお、以後の説明では、傾斜センサ96は、機体中心点94(機体旋回中心点)を通り、機体の前後方向に平行な直線上で取付位置が変更され、コンバイン201が左旋回する場合を考える。
【0052】
図13に示す如く、傾斜センサ96の取付位置が機体中心点94(機体旋回中心点)と一致する場合、傾斜センサ96の旋回時の軌跡は、機体中心点94の旋回時の軌跡(図13における実線)と一致する。
従って、コンバイン201の旋回中における傾斜センサ96の検出値である検出傾斜角度θは図14に示す如くであり、コンバイン201の旋回開始時における傾斜センサ96の位置である旋回開始点121a、およびコンバイン201の旋回終了時における傾斜センサ96の位置である旋回終了点122aにおいて検出傾斜角度θの逆振れおよびオーバーシュートに起因する応答遅れは発生しない。
【0053】
一方、図15に示す如く、傾斜センサ96の取付位置が機体中心点94(機体旋回中心点)よりも後方にある場合、傾斜センサ96の旋回時の軌跡(図15における点線)は機体中心点94(機体旋回中心点)の旋回時の軌跡(図15における実線)と一致せず、旋回開始点121bにおいて傾斜センサ96は急激に機体の右方向に振られるため、機体の左方向(すなわち、左旋回時に傾斜センサ96に作用する遠心力の方向とは逆の方向)に慣性力が作用する。また、旋回終了点122bにおいて傾斜センサ96は急激に機体の左方向に振られるため、機体の右方向(すなわち、左旋回時に傾斜センサ96に作用する遠心力の方向と同じ方向)に慣性力が作用する。
従って、コンバインの旋回中における傾斜センサ96の検出値である検出傾斜角度θは図16に示す如くであり、旋回開始点121bにおいて検出傾斜角度θの逆振れによる応答遅れが起こるとともに、旋回終了点122bにおいて検出傾斜角度θのオーバーシュートによる応答遅れが起こる。
【0054】
また、図17に示す如く、傾斜センサ96の取付位置が機体中心点94(機体旋回中心点)よりも前方にある場合、傾斜センサ96の旋回時の軌跡(図17における点線)は機体中心点94(機体旋回中心点)の旋回時の軌跡(図17における実線)と一致せず、旋回開始点121cにおいて傾斜センサ96は急激に機体の左方向に振られるため、機体の右方向(すなわち、左旋回時に傾斜センサ96に作用する遠心力の方向と同じ方向)に慣性力が作用する。また、旋回終了点122cにおいて傾斜センサ96は急激に機体の右方向に振られるため、機体の左方向(すなわち、左旋回時に傾斜センサ96に作用する遠心力の方向とは逆方向)に慣性力が作用する。
従って、コンバインの旋回中における傾斜センサ96の検出値である検出傾斜角度θは図18に示す如くであり、旋回開始点121cにおいて検出傾斜角度θのオーバーシュートが起こるものの、応答遅れは起きない。また、旋回終了点122cにおいて検出傾斜角度θの逆振れが起こるものの、応答遅れは起きない。
【0055】
以上の如く、機体の姿勢制御の応答遅れを回避するという観点から見れば、機体中心点94(機体旋回中心点)と一致する位置または機体中心点94(機体旋回中心点)よりも前方に傾斜センサ96を配置することが望ましい。また、検出傾斜角度θの逆振れおよびオーバーシュートを防止して機体の姿勢制御の精度を向上させるという観点から見れば、傾斜センサ96の配置位置を機体中心点94(機体旋回中心点)に近づけることが望ましい。
【0056】
なお、本発明の傾斜センサ96を用いた機体の姿勢制御に関して、走行旋回中の機体に生じる振動(横揺れ)が傾斜センサ96におよぼす影響を軽減する必要がある。
例えば、傾斜センサ96による検出値(検出傾斜角度θ)および算出された遠心力に起因する測定誤差(傾斜センサ補正角度θ)とも、カットオフ周波数0.5Hz、サンプリング周期10msの1次フィルタをかける等の処置を施すことにより、旋回時の振動(横揺れ)の影響を軽減し、姿勢制御(ローリング制御)の精度を向上させることが可能である。なお、カットオフ周波数およびサンプリング周期については、機体の種類や圃場の状況等に応じて適宜選択すればよい。
【0057】
また、算出された遠心力に起因する測定誤差(傾斜センサ補正角度θ)の絶対値には上限を定めて、該絶対値が上限値以上の値を取るときは、該上限値を測定誤差の絶対値として用いることが望ましい。これは、たとえ機体が旋回中に左右どちらかに傾倒していても、短時間で機体の姿勢を大きく変化させる(ローリング制御により機体の姿勢を修正する)ことは、かえって走行安定性の確保という観点から見て好ましくない場合があることによる。例えば、算出された遠心力に起因する測定誤差(傾斜センサ補正角度θ)の絶対値の上限値を10度と定めておき、該測定誤差の絶対値が10度を超えるときは上限値である10度を測定誤差として、以後のローリング制御に用いることにより、急激な姿勢変化による走行安定性の低下を防止することが可能である。
【0058】
さらに、算出された遠心力に起因する測定誤差(傾斜センサ補正角度θ)の絶対値が小さいとき(圃場の凹凸が小さいときなど)は、θ≒tanθの近似式を用いて、前記(式7)に代えて以下の(式9)に基づいて傾斜センサ補正角度θを求めても良い。
θ≒tanθ=F/G=(R+A)×ω/g (式9)
【0059】
また、本実施例においては、左右のクローラ1L・1Rは圃場に対してスリップしない条件での姿勢制御方法を示しているが、圃場の状況によっては、左右どちらか一方または両方のクローラが圃場に対してスリップし、実際の走行速度と、左クローラ速度検出手段92および右クローラ速度検出手段93により検出される走行速度Vおよび走行速度Vとの間に誤差が生じる場合がある。
例えば、左旋回中に外側のクローラとなる右クローラ1Rがスリップすると、(旋回中の実際の右クローラ速度VRSLIP)<(右クローラ速度検出手段93による走行速度V)となる。
このとき、(式3)により算出されるωSLIP=(VRSLIP―V)/B<ω、(式4)により算出されるRSLIP=(B/2)×{1+2×V/(VRSLIP―V)}>R、(式6)により算出されるFSLIP=M×(RSLIP+A)×ωSLIP <F、(式7)により算出される|tanθESLIP|=|FSLIP/G|<|tanθ|となる。
すなわち、機体の姿勢を基準水平面に対して略平行に保持しているつもりでも、θの絶対値がスリップの影響によりθESLIPの絶対値よりも大きく見積もられることとなり、機体は内側(左旋回中は左下がりに)に傾斜した状態で姿勢制御(ローリング制御)されてしまう。
【0060】
従って、クローラスリップ検知手段(例えば、クローラの回転速度とエンジン負荷との関係からクローラが接地面に対してスリップしているかどうかを判断するなど)を設けて、スリップの発生の有無を検出し、スリップが発生している事を検出した場合にはスリップ率(実際のクローラ走行速度と右クローラ速度検出手段93による走行速度Vとの比率)に応じて旋回時のクローラの走行速度を補正した上でθを算出する、あるいは初めから前記傾斜補正倍率k[%]を0<k<100の値とし、過度のローリング制御が行われないように構成することが望ましい。
このように構成することにより、クローラのスリップが発生しても機体の姿勢制御が過度に行われることがなく、旋回中の機体の姿勢が安定するとともに、旋回終了時点での機体の姿勢を基準水平面に対して略平行に保持することが容易となり、旋回終了後、即座に刈り取り作業に取りかかることができる。
【0061】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0062】
即ち、請求項1に示す如く、機体傾斜角度検出手段と、ローリング駆動手段とを備え、機体の姿勢を基準水平面に対して略平行または所定の設定傾斜角に制御するローリング制御を行うコンバインにおいて、
該左右のクローラの走行速度に基づいて、旋回時に機体に作用する遠心力を求め、該遠心力に起因する機体角度検出手段の検出値の誤差を補正してローリング制御を行うので、旋回走行時においても精度良くローリング制御を実行し、コンバインの機体の姿勢を基準水平面に対して略平行または設定傾斜角度に保持することが可能であり、走行安定性が向上するとともに、旋回終了後の圃場の傾斜に対する追従性が向上する。
【0063】
請求項2に示す如く、前記機体傾斜角度検出手段の前後位置は、機体旋回中心点と略一致するので、機体傾斜角度検出手段の検出値の逆振れおよびオーバーシュートを防止して機体の姿勢制御の精度を向上させ、機体の姿勢制御の応答遅れを防止することが可能である。従って、旋回走行時においても精度良くローリング制御を実行し、コンバインの機体の姿勢を基準水平面に対して略平行または設定傾斜角度に保持することが可能であり、走行安定性が向上するとともに、旋回終了後の圃場の傾斜に対する追従性が向上する。
【0064】
請求項3に示す如く、前記機体傾斜角度検出手段を、前記機体旋回中心点よりも機体前方に配置したので、機体の姿勢制御の応答遅れを防止することが可能である。従って、旋回走行時においても精度良くローリング制御を実行し、コンバインの機体の姿勢を基準水平面に対して略平行または設定傾斜角度に保持することが可能であり、走行安定性が向上するとともに、旋回終了後の圃場の傾斜に対する追従性が向上する。
【0065】
請求項4に示す如く、クローラスリップ検出手段を備え、前記機体傾斜角度検出手段の検出値を、クローラスリップ検知手段による検出値に基づいて補正するので、クローラのスリップが発生しても機体の姿勢制御が過度に行われることがなく、旋回中の機体の姿勢が安定するとともに、旋回終了時点での機体の姿勢を基準水平面に対して略平行に保持することが容易となり、旋回終了後、即座に刈り取り作業に取りかかることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態であるコンバインの左側面図。
【図2】本発明の実施の一形態であるコンバインの平面図。
【図3】本発明の実施の一形態であるコンバインの右側面図。
【図4】本発明の実施の一形態であるコンバインの正面図。
【図5】クローラ式走行装置の側面図。
【図6】全高を高くしたときのクローラ式走行装置の側面図。
【図7】左旋回時のコンバインを示す平面模式図。
【図8】傾斜センサの断面模式図。
【図9】制御装置を示すブロック図。
【図10】本発明のコンバインにおける姿勢制御方法の第一実施例を示すフローチャート図。
【図11】本発明のコンバインにおける姿勢制御方法の第二実施例を示すフローチャート図。
【図12】旋回中のコンバインの補正後の傾斜角度θと、機体傾斜検出手段の検出値θと、遠心力による測定誤差θとの関係を示す図。
【図13】機体中心点に配置された機体傾斜検出手段の旋回中の軌跡を示す模式図。
【図14】機体中心点に配置された機体傾斜検出手段の旋回中の検出値θを示す図。
【図15】機体中心点よりも機体後方に配置された機体傾斜検出手段の旋回中の軌跡を示す模式図。
【図16】機体中心点よりも機体後方に配置された機体傾斜検出手段の旋回中の検出値θを示す図。
【図17】機体中心点よりも機体前方に配置された機体傾斜検出手段の旋回中の軌跡を示す模式図。
【図18】機体中心点よりも機体前方に配置された機体傾斜検出手段の旋回中の検出値θを示す図。
【符号の説明】
1L 左クローラ
1R 右クローラ
88 機体傾斜角度検出手段
91 ローリング駆動手段
201 コンバイン

Claims (4)

  1. 機体傾斜角度検出手段と、ローリング駆動手段とを備え、機体の姿勢を基準水平面に対して略平行または所定の設定傾斜角に制御するローリング制御を行うコンバインにおいて、
    該左右のクローラの走行速度に基づいて、旋回時に機体に作用する遠心力を求め、該遠心力に起因する機体角度検出手段の検出値の誤差を補正してローリング制御を行うことを特徴とするコンバイン。
  2. 前記機体傾斜角度検出手段の前後位置は、機体旋回中心点と略一致することを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
  3. 前記機体傾斜角度検出手段を、前記機体旋回中心点よりも機体前方に配置したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
  4. クローラスリップ検出手段を備え、前記機体傾斜角度検出手段の検出値を、クローラスリップ検知手段による検出値に基づいて補正することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のコンバイン。
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