JP2004262240A - 樹脂金属積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 金属層の片面に樹脂層が積層された樹脂金属積層体であって、
該樹脂層が少なくとも芳香族液晶ポリエステル樹脂と、該芳香族液晶ポリエステル樹脂中に分散した短繊維状無機フィラーを含有することを特徴とする樹脂金属積層体、及びその製造方法。
【選択図】なし
Description
ところが、芳香族液晶ポリエステル樹脂組成物を金属箔上に塗工法で製膜すると、加熱乾燥・熱処理後に積層体がカールするという新たな問題が発生した。
この現象の原因の一つは、樹脂フィルムと金属箔との線膨張係数の違いであるが、これに対して芳香族液晶ポリエステル樹脂にフィラーを添加し、金属箔との線膨張係数の差を少なくする試みがなされた(特許文献3参照)。
しかしながら、芳香族液晶ポリエステル樹脂フィルムにフィラーを加えて金属層と線膨張係数を合わせたとしても、塗工法で作成した樹脂金属積層体のカール発生を十分には防止することができなかった。
芳香族液晶ポリエステル樹脂と、短繊維状無機フィラーを含有する樹脂層を金属層の片面に積層することによりカールが防止されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、金属層の片面に樹脂層が積層された樹脂金属積層体であって、該樹脂層が少なくとも芳香族液晶ポリエステル樹脂と、該芳香族液晶ポリエステル樹脂中に分散した短繊維状無機フィラーを含有することを特徴とする樹脂金属積層体を提供する。
好ましくは、該樹脂層の短繊維状無機フィラー量が容積分率で5〜50%であり、好ましくは、上記短繊維状無機フィラーが、上記芳香族液晶ポリエステル樹脂中に配向度が1〜5で均一に分散しているものであり、
好ましくは、上記短繊維状無機フィラーの数平均繊維長が1〜25μm、数平均繊維径が0.05〜5.0μm、且つアスペクト比が2〜80である樹脂金属積層体を提供する。
該フィラー分散樹脂液の層を乾燥することを特徴とする樹脂金属積層体の製造方法を提供する。
好ましくは、上記短繊維状無機フィラーの数平均繊維長が1〜30μm、数平均繊維径が 0.05〜5.0μm、且つアスペクト比が2〜150であり、
好ましくは、上記短繊維状無機フィラーがウィスカーであり、
好ましくは、上記芳香族液晶ポリエステル樹脂がp-ヒドロキシ安息香酸30〜80mol %、ヒドロキノン及び/又は4,4’−ジヒドロキシビフェニル10〜35mol%、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸10〜35mol%の原材料構成から形成され、
好ましくは、上記有機溶剤が、下記一般式
1−1.概要
本発明の樹脂金属積層体は、金属層の片面に樹脂層が積層された樹脂金属積層体である。
1−2.樹脂層
1−2−1.概要
また、上記樹脂層は少なくとも芳香族液晶ポリエステル樹脂(以下、単に液晶ポリエステル樹脂ということがある。)と、該芳香族液晶ポリエステル樹脂中に分散した短繊維状無機フィラーを含有している。
(1)種類
本発明の樹脂層に含有されるポリエステル樹脂は、たとえば特開昭2002−329422号等に例示されているサーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれる群のポリエステル樹脂である。例えば、(1)芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸との組み合わせからなるもの、(2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸からなるもの、(3)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせからなるもの、(4)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂に芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させたもの、などが挙げられ、400℃以下の温度で異方性溶融体を形成するものである。なお、これらの芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシカルボン酸の代わりに、それらのエステル形成性誘導体が使用してもよい。
カルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、カルボキシル基が、酸塩化物、酸無水物などの反応活性が高く、ポリエステル樹脂を生成する反応を促進するような誘導体となっているもの、カルボキシル基が、アルコール類やエチレングリコールなどとエステルを形成しており、エステル交換反応によりポリエステル樹脂を生成するような誘導体となっているものが挙げられる。またフェノール性水酸基のエステル形成性誘導体としては、例えば、フェノール性水酸基が、カルボン酸類とエステルを形成しており、エステル交換反応によりポリエステル樹脂を生成するような誘導体となっているものが挙げられる。
また、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールおよび芳香族ヒドロキシカルボン酸は、エステル形成性を阻害しない程度であれば、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、アリル基などで置換されていてもよい。
本発明に用いる芳香族液晶ポリエステル樹脂の合成方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、特公昭47−47870号公報、特公昭63−3888号公報に記載の方法等が挙げられる。
(3)含有量
芳香族液晶ポリエステル樹脂の量は、全樹脂層に対して容積分率で50〜80%が好ましく、カール発生防止と脆さ低減のバランスの観点から55〜75%がより好ましく、60〜70%がさらに好ましい。ここでいう容積分率とは、樹脂容積/(樹脂容積+顔料容積)×100 (%)で算出される。容積分率が50%未満であると得られた樹脂層が脆くなるので好ましくなく、80%を超えるとカール発生を抑える効果が不充分であり好ましくない。
(1)種類
上記芳香族液晶ポリエステル樹脂中には短繊維状無機フィラーが分散して存在する。短繊維状無機フィラーとしてはたとえば、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム、塩基性硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、グラファイト、マグネシア、硫酸カルシウム、リン酸カルシウムナトリウム、ホウ酸マグネシウム、2ホウ化チタン、クリソタイル、ワラストナイトなどのウイスカー類; Eガラス繊維、シリカアルミナガラス繊維、シリカガラス繊維等の非晶質繊維類;チラノ繊維、炭化ケイ素繊維、ジルコニア繊維、γアルミナ繊維、αアルミナ繊維、PAN 系炭素繊維などの結晶質繊維類が使用可能であり、用途に応じて使用される。
中でも分散性、線膨張率等から、短繊維状無機酸化物フィラーは特に有効である。無機酸化物としてはシリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、クレイなどの金属酸化物、ドロマイト、ゼオライト、シリカアルミナ、ワラストナイト、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ化チタンなどの複合金属酸化物を挙げることができる。中でも、2種類以上の酸化物の複合物である複合金属酸化物は物理的特性、電気特性をかねそなえているため好適に使用され、たとえば、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム等のホウ素酸化物を含む複合酸化物、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム等のチタン酸化物を含む短繊維状複合酸化物フィラーは特に好ましい。
さらに短繊維状無機フィラーのなかでもウィスカーは好ましい態様である。ウィスカーとは針状の単結晶を意味する。ウィスカーの中でもホウ酸系のウィスカー、チタン酸系のウィスカーは好適に使用される。特にホウ酸アルミニウムウィスカーは線膨張係数、電気絶縁性等の点から絶縁基板やフレキシブル基板用として特に好適に使用できる。
上記短繊維状無機フィラーの数平均繊維径 (D) は0.05〜5.0μmが好ましく、更に好ましくは0.2〜2.0μmの範囲であり、数平均繊維長 (L) は 1〜25μmが好ましく、更に好ましくは5〜15μmの範囲である。
また平均のアスペクト比 (L/D) は2〜80、好ましくは3〜30の範囲である。数平均繊維径 (D) が0. 05μm未満、または数平均繊維長( L) が1μm未満では、カール防止効果が充分でないので好ましくない。
また数平均繊維径 (D) が5μmを越える場合、または数平均繊維長 (L) が25μmを越える場合は、樹脂層の平滑性が不十分である傾向があるので好ましくない。
樹脂金属積層体の樹脂層に存在する上記短繊維状無機フィラーの形状の測定は、樹脂層の一部を溶剤に溶解し、更に溶剤で希釈して沈降した短繊維状無機フィラーを走査型電子顕微鏡で観察する等の方法で行うことができる。
なお、本発明に使用する上記短繊維状無機フィラ−の表面を公知のカップリング剤 (例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤) などで処理して用いてもよい。
本発明の樹脂金属積層体において、上記短繊維状無機フィラーは芳香族液晶ポリエステル樹脂中に均一に分散している。 本発明において「均一に分散している」とは、樹脂金属積層体の樹脂層の上方から約1000倍の走査型顕微鏡で観察した場合に、フィラーが凝集したり、偏って存在していることが視覚的に認められない状態をいうものとする。
また、上記短繊維状無機フィラーは、上記芳香族液晶ポリエステル樹脂中に配向度が1〜5で分散していることが好ましく、更に好ましい配向度は1〜3であり、特に好ましくは1〜2である。
上記配向度は、上記多くの短繊維状無機フィラーが同じ方向を向いている程度を表すもので、以下の方法で得られる数値である。 この配向度はより小さい方が望ましい。
(1)種類
本発明の樹脂組成物にはその特性に影響を与えない範囲で短繊維状無機フィラ−以外に必要に応じて他のフィラーを添加することも可能である。たとえば、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、ワラストナイト、炭素繊維などの数平均繊維長が1〜25μm(但し、樹脂金属積層体の樹脂中において)以外の繊維状あるいは針状の補強材、炭酸カルシウム、ドロマイト、タルク、マイカ、クレイ、ガラスビーズなどの無機充填材、たとえば、TiO2 、BaTiO3 、PbTiO3 、CaTiO3 、PZT(PbZrTiO3 )、PLZT((Pb1-X LaX )(Zr−Tr))、LiNbO3 等の無機系誘電体粒子、例えばFe−Ni系、Fe−Y系、Fe−AlーSi系、FeーNiーCo系、Ba系フェライト、Co系フェライト、Mg系フェライト、NiーZn系フェライト等の無機系磁性体粒子、たとえば、エポキシ樹脂粉末、メラミン樹脂粉末、尿素樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリエステル樹脂粉末、などの有機系フィラー等を使用することができるが、電気特性を向上させるために無機系誘電体粒子あるいは無機系磁性体粒子の添加が好ましく、特に樹脂層の誘電特性を上げる場合には、酸化チタン、チタン酸金属塩が好ましい。
本発明の樹脂層に含有される短繊維状無機フィラーとその他のフィラーの合計含有量は樹脂層全体(樹脂+フィラー)に対して容積分率で20〜50%が好ましく、カール発生防止と脆さ低減のバランスの観点から25〜45%がより好ましく、30〜40%がさらに好ましい。配合量が20%未満では、カール発生防止効果が充分でなく、50%以上では得られた樹脂層が脆くなるので好ましくない。
前記無機系誘電体粒子及び/又は無機系磁性体粒子を添加する場合には、樹脂層全体に対して、容積分率で15〜45%添加するのが好ましく、25〜35%添加するのが更に好ましい。
また、必要に応じて、染料、顔料などの着色剤、フッ素樹脂などの離型改良剤、カップリング剤、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、難燃化剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、界面活性剤などの通常の添加剤等を1種以上添加することができる。
本発明の樹脂層の厚さはその用途によって異なるが、一般に10〜100μmである。
1−3.金属層
本発明の樹脂金属積層体は樹脂層と積層された金属層を有する。該金属層は、その用途により最適な物を使用すればよいが、例えば金、白金、銀、銅、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、鉛、ロジウム、パラジウム、コバルト等が用いられ、電気特性等から金、銀、銅、ニッケル、アルミニウムが好ましく、経済性などを考慮すれば銅が最も好まく使用される。銅層の製造方法は特に制限されないが、厚さ9〜35μm、 好ましくは12〜18μmの電解銅箔、圧延銅箔などが好ましく使用できる。
樹脂層と金属層との接着の改善するために、樹脂層を金属層上に塗工等により形成しておくのも好ましい態様である。該樹脂層は、接着性を改善できる樹脂であれば特に制限されないが、本樹脂層に使用される樹脂と同一の芳香族液晶ポリエステル樹脂を使用することができる。
2−1.概要
本発明の樹脂金属積層体は、有機溶剤、芳香族液晶ポリエステル樹脂及び短繊維状無機フィラーからなるフィラー分散樹脂液の層を金属層の片面に形成した後、該フィラー分散樹脂液の層を乾燥するによって製造されるが、その製造方法は、
(1)有機溶剤、芳香族液晶ポリエステル樹脂及び短繊維状無機フィラーを含むフィラー分散樹脂液を製造する工程、(2)金属層の片面に該フィラー分散樹脂液の層を形成する工程、(3)該金属層の片面に形成された該フィラー分散液の層を乾燥する工程、よりなる。更に、上記(3)の工程の後に(4)熱処理の工程を設けることが好ましい。
2−2.フィラー分散樹脂液の製造工程
(1)概要
フィラー分散樹脂液の製造は、芳香族液晶ポリエステル樹脂と短繊維状無機フィラーその他を同時に溶液に溶解しても良いが、芳香族液晶ポリエステル樹脂を容易に完全に溶解させることができるように、好ましくは、芳香族液晶ポリエステル樹脂を溶剤に溶解して樹脂溶液を得た後、その樹脂溶液に短繊維状無機フィラーその他を添加してフィラー分散樹脂液をえるのがよい。
本発明の芳香族液晶ポリエステルの溶解に用いる溶剤としては、フィラー分散樹脂液の層を形成する溶剤であれば特に限定されないが、下記一般式
前記溶剤と混合して使用される溶媒としては、溶解性を妨げない点から、o- ジクロロベンゼン、クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタン、キシレン等が好ましい。
芳香族液晶ポリエステル樹脂を溶剤に溶解して樹脂溶液を得る場合、芳香族液晶ポリエステルの溶媒に対する添加量は、樹脂が溶解する範囲内で、樹脂分として0.5〜30重量%となるような割合で添加することが好ましく、作業性あるいは経済性の観点から1〜20重量%となるような割合で添加することがより好ましく、3〜10重量%となるような割合で添加することがさらに好ましい。0.5重量%未満であると生産効率が低下する傾向があり、30重量%を超えると溶解に長時間を要する。溶解方法は特に制限されないが、溶剤の融点を考えると100℃〜160℃で攪拌溶解するのが好ましい。
この後、芳香族液晶ポリエステル樹脂を溶解した樹脂溶液を、必要に応じて、フィルターなどによってろ過し、溶液中に含まれる微細な異物を除去した後、短繊維状無機フィラー及びその他のフィラー(以下、単にフィラーということがある。 )を添加しフィラー分散樹脂液とするのが好ましい。
上記樹脂溶液に添加する短繊維状無機フィラーは、配合中に折れる可能性があるので、最終的に得られる樹脂金属積層体中の樹脂層中に存在する短繊維状無機フィラーの形状よりもいくらか長いものが好ましい。 樹脂溶液中に添加する短繊維状無機フィラーの数平均繊維長は1〜30μmが好ましく、5〜25μmが更に好ましい。
フィラー全体の添加量は、樹脂層全体(樹脂+フィラー)に対して容積分率で20〜50%になる量が好ましく、カール発生防止と脆さ低減のバランスの観点から25〜45%になる量がより好ましく、30〜40%になる量がさらに好ましい。このフィラー分散樹脂液の固形分は5 〜35%, 好ましくは10〜30%程度である。
該フィラー分散樹脂液の粘度は、1000〜30000mPa ・ s、好ましくは2000〜20000mPa ・ s、特に好ましくは3000〜10000mPa ・ sである。粘度が1000mPa ・ s 未満であれば塗工後に分散液が流動が大きく、所定の膜厚が得られなかったり、不均一な膜厚になるので好ましくなく、30000mPa ・ s以上であれば、分散時にシェアーが掛かり過ぎてフィラーが壊れたり、塗工時にフィラーが配向したりして、カール防止効果を充分に発揮できないので好ましくない。前記粘度範囲での分散・塗工が、フィラーの配向や分散状態に大きな影響を及ぼすので、分散・塗工時には、装置の冷却条件や分散速度に対応させ、分散液が上記粘度範囲を保つように温度を適宜調整することが特に好ましい。
金属層の片面に該フィラー分散樹脂液の層を形成する工程金属層の片面に該フィラー分散樹脂液の層を形成する方法としては、フィラー分散樹脂液の層をドクターブレードによる塗工、コンマコーターによる塗工、ローラーコート法、スプレイコート法、スピナーコート法、カーテンコート法、スロットコート法、スクリーンコート法などがいずれの方法で金属層の片面に形成しても良いが安定した膜厚が得られる点でドクターブレードによる塗工、コンマコーターによる塗工の方法で形成するのが好ましい。
乾燥方法は特に制限は無いが、前記フィラー分散樹脂液の層を金属箔上に形成しながら連続的に乾燥するのが好ましい。 。
この場合にはロール上に巻いた金属箔を繰りだしながら、塗工機で連続的に分散液を塗布する。不純物の混入を防ぐため、塗工はクリーンな雰囲気下で行なわれることが好ましく、特に電子部品用途にはクラス10000以下、好ましくはクラス1000以下、特に好ましくはクラス100以下のクリーン度の雰囲気で塗工するのがよい。
塗工した分散液から、溶媒を除去する方法としては、通常知られている乾燥方法を使用すれば良く、塗工機で製膜しながら引き続き溶媒を蒸発させる方法は効率的である。具体的には、加熱乾燥、減圧乾燥、通風乾燥などの方法が挙げられ、中でも生産効率、取り扱い性の点から加熱乾燥することが好ましく、通風しつつ加熱して乾燥することがより好ましい。減圧乾燥も可能であるが、装置の密閉化、溶剤の回収等が困難となる。
本発明の金属層として使用される金属箔は、金属箔をそのまま使用することも、また、背面にフィルムなどを補強材として金属箔と背面フィルムを積層した複合金属箔積層体を使用することもできる。必要に応じて塗工面に剥離調整剤等を添加することによりスムーズに背面フィルムを連続的に積層体から剥離させることができる。
溶媒除去後に熱処理工程を取る場合には、樹脂金属積層体を250℃〜400℃で20〜180分間、好ましくは 280℃〜350℃で30〜80分間加熱処理する。この加熱処理によって乾燥工程での残留溶剤が揮発すると共に、結晶化が起こり樹脂の特性が発現する。
本発明の短繊維状無機フィラーは、熱処理工程を採用することにより、体積収縮を最小限にしてカールの発生を更に押さえることができる。
このようにして得られた樹脂金属積層体は、容易に低温で樹脂層を形成することによって得られるので、寸法安定性に優れ、形状や大きさにかかわらずカールの発生のない、樹脂金属積層体である。
以下本発明を実施例により説明するが、本発明は下記実施例によって限定されるものではない。
次いで、縦30cm×横20cm厚さ18μmの電解銅箔(古川サーキットホイル株式会社製:GTS-MP)上にドクターブレードを用いてDry 膜厚が50μmとなるように上記フィラー分散樹脂液を塗工し、熱風循環式乾燥機で120℃×5分間 → 140℃×5分間 → 160℃×5分間の3段階で乾燥した。
なお上記物性値は、以下に示す方法によって測定した
(1)製膜性
分散液をドクターブレードを用いて塗工する際の状態や塗工後の塗面の状態を目視で観察し、下記の基準に従って判定する。
○:スムーズに塗工でき、均一で平滑な塗面が得られる
△:塗工時にやや抵抗感があり、塗面に凹凸が認められる
×:抵抗が強く、塗工が困難
(2)外観
熱処理工程まで実施した樹脂銅箔積層体の樹脂面の状態を目視で観察し、
下記の基準に従って判定する。
○:平滑な塗膜が得られている
△:やや凹凸が認められる
×:凹凸が大きい
熱処理工程まで実施した樹脂銅箔積層体を用い、銅を塩化第二鉄溶液でエッチングし、得られたフィルムをセイコーインスツルメント株式会社製 サーマルメカニカルアナライザー(TMA SS6000 )により、250 ℃に昇温後5℃/min で冷却して240 ℃から100 ℃までの平均の線膨張率を算出して求めた。
(4)ピール強度
JIS C 6481に準じて実施した。引っ張り試験機を用いて、幅10mmの樹脂銅箔積層体の樹脂側を両面テープによりアルミ板に固定し、銅箔を90゜方向に50mm/min の速度で剥離して求めた。
(5)カール
熱処理工程まで実施した樹脂銅箔積層体を10cm×10cm切り出し、
水平面に置き、カールの状態を目視で観察し、下記の基準に従って判定する。
◎:カールが殆ど認められない。
○:緩やかなカールが認められる。
△:ややカールが大きい。
×:カールが大きく筒状になる。
得られた樹脂金属積層体は、外観も良く、カールが全く存在しない良好な物であった。
Claims (15)
- 金属層の片面に樹脂層が積層された樹脂金属積層体であって、
該樹脂層が少なくとも芳香族液晶ポリエステル樹脂と、該芳香族液晶ポリエステル樹脂中に分散した短繊維状無機フィラーを含有することを特徴とする樹脂金属積層体。 - 該樹脂層の短繊維状無機フィラー量が容積分率で5〜50%である請求項1記載の樹脂金属積層体。
- 上記短繊維状無機フィラーが、上記芳香族液晶ポリエステル樹脂中に配向度が1〜5で均一に分散している請求項1又は2のいずれかに記載の樹脂金属積層体。
- 上記短繊維状無機フィラーの数平均繊維長が1〜25μm、数平均繊維径が0.05〜5.0μm、且つアスペクト比が2〜80である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂金属積層体。
- 上記短繊維状無機フィラーがウィスカーである請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂金属積層体。
- 上記芳香族液晶ポリエステル樹脂がp-ヒドロキシ安息香酸30〜80mol %、ヒドロキノン及び/又は4,4’−ジヒドロキシビフェニル10〜35mol %、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸10〜35mol%の原材料構成から形成された芳香族液晶ポリエステル樹脂である請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂金属積層体。
- 上記原材料構成が更に6,2−ヒドロキシナフトエ酸5 〜50mol%を含むものである請求項6に記載の樹脂金属積層体。
- 上記樹脂層中に無機系誘電体粒子及び/又は無機系磁性体粒子が容積分率で15〜45%含有される請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂金属積層体。
- 上記無機誘電体粒子が酸化チタン、若しくはチタン酸金属塩である請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂金属積層体。
- 有機溶剤、芳香族液晶ポリエステル樹脂及び短繊維状無機フィラーからなるフィラー分散樹脂液の層を金属層の片面に形成した後、
該フィラー分散樹脂液の層を乾燥することを特徴とする樹脂金属積層体の製造方法。 - 上記短繊維状無機フィラーの数平均繊維長が1〜30μm、数平均繊維径が0.05〜5.0μm、且つアスペクト比が2〜150である請求項10に記載の樹脂金属積層体の製造方法。
- 上記短繊維状無機フィラーがウィスカーである請求項10又は11に記載の樹脂金属積層体の製造方法。
- 上記芳香族液晶ポリエステル樹脂がp-ヒドロキシ安息香酸30〜80mol %、ヒドロキノン及び/又は4,4’−ジヒドロキシビフェニル10〜35mol%、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸10〜35mol%の原材料構成から形成された芳香族液晶ポリエステル樹脂である請求項10〜12のいずれかに記載の樹脂金属積層体の製造方法。
- 上記フィラー分散樹脂液の層の乾燥後に250〜400℃で熱処理をする請求項10〜14のいずれかに記載の樹脂金属積層体の製造方法。
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