JP2004261303A - 面ファスナー付き差圧成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】差圧成形時における面ファスナーの接合子の変形を防止する。
【解決手段】基部及びこの基部に立設される複数の接合子を備える面ファスナーと、この複数の接合子を露出させた状態で前記面ファスナーの基部に固定的に連結される差圧成形体とを具備する面ファスナー付き差圧成形体の製造方法であって、面ファスナーの接合子側に、差圧成形時におけるこの接合子の変形を抑制する保護部材を設置し、差圧成形金型の成形面の所定部位に前記保護部材を当接させた状態でインサートとして前記面ファスナーを配置し、可塑化した状態のシート材を差圧成形金型に挿入し、差圧力によって前記シート材を前記差圧成形金型の成形面に当接させ、固化させて、前記面ファスナーとその基部において一体化した差圧成形体を形成し、前記面ファスナーから前記保護部材を脱離させることを特徴とする。
【選択図】 図3
【解決手段】基部及びこの基部に立設される複数の接合子を備える面ファスナーと、この複数の接合子を露出させた状態で前記面ファスナーの基部に固定的に連結される差圧成形体とを具備する面ファスナー付き差圧成形体の製造方法であって、面ファスナーの接合子側に、差圧成形時におけるこの接合子の変形を抑制する保護部材を設置し、差圧成形金型の成形面の所定部位に前記保護部材を当接させた状態でインサートとして前記面ファスナーを配置し、可塑化した状態のシート材を差圧成形金型に挿入し、差圧力によって前記シート材を前記差圧成形金型の成形面に当接させ、固化させて、前記面ファスナーとその基部において一体化した差圧成形体を形成し、前記面ファスナーから前記保護部材を脱離させることを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基部に立設される複数の接合子を備える面ファスナーと、複数の接合子を露出させた状態で面ファスナーの基部に固定的に連結される差圧成形体とを具備する面ファスナー付き差圧成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、車体、船体、家庭用機器、建造物等の物体表面に保護や装飾用の添付部材を取着するために、基部と接合子とを備えた面ファスナーを使用することが知られている。この場合、添付部材の本体に面ファスナーの基部が連結され、取着対象の物体表面に対をなす別の面ファスナーが固定される。
【0003】
このような面ファスナーを備えた添付部材を対象の物体表面に取着する場合、面ファスナーの係合保持力を確保するため、面ファスナーと添付部材の本体とを強固に固定しておく必要がある。従来、面ファスナーを添付部材の本体に固定するために、例えば、接着剤、両面粘着テープ、クリップ、ボルト等の別個の固定手段が使用されていた。
【0004】
面ファスナーを添付部材の本体に固定する従来の固定手段は、接着力を確保するために本体表面や面ファスナーの基部表面にプライマー処理を施したり、溶接工程によってクリップをあらかじめ面ファスナーの基部に連結したりすることによって、強固な固定を確実に得ることができる。しかしながら、このような予備作業は煩雑で熟練を要し、製造コストを高める危惧がある。また、本体を成形した後に面ファスナーを固定するため、工程数の増加による作業効率の低下が懸念される。
【0005】
このような課題を解決するため、添付部材の本体の成形時に面ファスナーをインサートとして金型内に配置し、それにより本体に面ファスナーを強固に固定することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−42714号公報(第3頁、第6頁、図6)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、添付部材として、特にパイプのような中空部材を用いる場合、一般に差圧成形(ブロー成形、押圧成形、真空成形)により成形された差圧成形体が用いられる。この差圧成形は、例えば押出機から押出されたシート状や筒状の成形材料を金型に挿入し、この成形材料をクランプし、差圧力(例えば真空力もしくは圧空力)によって成形材料を金型の成形面に当接させ、冷却固化することによって成形体を得る方法である。
【0008】
ところで、上記のように面ファスナーを金型内に配置してこの差圧成形を行うと、すなわち、差圧成形金型の所定位置に面ファスナーの接合子を当接させた状態で配置し、次いで成形材料をこの成形金型に挿入し、差圧力によって成形材料を金型の成形面に当接させると、加熱溶融状態にある成形材料に対して成形金型の内面に向かう大きな反発圧が発生するため、面ファスナーの基部に撓みが生ずるとともに、接合子はその頭部が金型内面に押し付けられる。その結果、接合子はその圧力に耐えることができず、塑性変形してしまう。このように面ファスナーの接合子が変形すると、面ファスナー同士の係合が困難になり、仮に係合できたとしても係合保持力が低下するという問題が生ずる。
【0009】
本発明は、製造工程における面ファスナーの変形を防止することができ、確実な係合保持力を発揮する、面ファスナー付き差圧成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明によれば、基部及びこの基部に立設される複数の接合子を備える面ファスナーと、この複数の接合子を露出させた状態で前記面ファスナーの基部に固定的に連結される差圧成形体とを具備する面ファスナー付き差圧成形体の製造方法であって、
面ファスナーの接合子側に、差圧成形時におけるこの接合子の変形を抑制する保護部材を設置し、
差圧成形金型の成形面の所定部位に前記保護部材を当接させた状態でインサートとして前記面ファスナーを配置し、
可塑化した状態のシート材を差圧成形金型に挿入し、
差圧力によって前記シート材を前記差圧成形金型の成形面に当接させ、固化させて、前記面ファスナーとその基部において一体化した差圧成形体を形成し、
前記面ファスナーから前記保護部材を脱離させること
を特徴とする面ファスナー付き差圧成形体の製造方法が提供される。
【0011】
面ファスナーをインサートとして成形金型内に配置して差圧成形を行う際に、面ファスナーの接合子側に、差圧成形時におけるこの接合子の変形を抑制する保護部材を設置し、差圧成形金型の成形面の所定部位に前記保護部材を設置した面ファスナーをインサートとして、前記保護部材を当接させた状態で配置することにより、可塑化した状態のシート材の差圧力による接合子の変形を防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明を説明する。本発明においては、従来より使用されている各種の面ファスナーを使用することができる。このような面ファスナーとしては、図1に示すものが例示される。図1aに示す面ファスナー10は、基部11上に立設される複数の接合子12が先細り突起状をなすものであり、この接合子12の側面13は、所定の角度をもって基部11の主面14に対して傾けられている。この接合子12の形状は、先細り形状を形成するものであれば特に限定されず、例えば角錐、円錐、楕円錐等を採用することができる。また、この接合子12は通常中実であり、基部11上の接合子12の配列パターンは特に限定されないが、例えば千鳥パターン、格子パターン等の略規則的パターンである。
【0013】
また面ファスナーは図1bに示す形状のものであってもよい。この面ファスナー15は、基部16及びこの基部に立設される複数の接合子17を備え、この接合子17は、一端で前記基部16に連結される脚部18及びこの脚部18の他端に連結される頭部19を有する有頭突子の形状をなしている。
【0014】
これらの面ファスナーでは、接合子が係合相手の面ファスナーの接合子と互いに噛み合い、特に有頭突子の場合には頭部において相互に係止し、係合力を発揮する。これらの面ファスナーはポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等の高分子材料より、公知の方法によって製造することができる。
【0015】
この面ファスナーをインサートとして差圧成形金型内に配置する際に、本発明においては、この面ファスナーの接合子側に、この接合子の変形を防ぐ保護部材を設置しておく。この保護部材は、差圧成形時の差圧力による接合子の変形を防ぐ機能を果たすものであり、例えば、図2aに示すような、面ファスナー15と同一の形状の面ファスナーを保護部材21として用いることができる。また、図2b及び2cに示すような、面ファスナー15と異なる形状の面ファスナーを保護部材22として用いることもできる。ここで、保護部材21又は22は、その接合子が面ファスナー15の接合子の間に侵入しており、差圧成形時における基部からの差圧力に対して面ファスナーの基部を支え、接合子の変形を防ぐことができる。従って、保護部材21又は22は、接合子の変形を防ぐことができるものであれば、弾性体、樹脂、金属等を用いることができる。
【0016】
この他に、保護部材としては、図2dに示すように、基材24に弾性材料の層25を設けた弾性体23を用いることもできる。この弾性体23の弾性層25が差圧成形時における基部からの差圧力を緩衝し、接合子の変形を防ぐことができる。この弾性層25を構成する材料としては、フォーム体を有するテープ、ゴム等が挙げられ、例えばベータテープ(住友スリーエム社製、商品名)を用いることができる。また、この弾性層の厚さは接合子の少なくとも一部を覆う程度であり、通常0.5mm〜5mmである。
【0017】
次いで、図3に示すように、保護部材を設置した面テープ31を、差圧(ブロー)成形金型32の成形面の所定部位に配置する。この際、保護部材が金型の成形面と当接し、面ファスナーの基部が露出するように配置する。あるいは、図示していないが、保護部材を直接成形金型に埋め込んで固定してもよい。次いで、差圧成形金型の間に、押出機33のダイ34から、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂等からなるチューブ状の成形材料35を挿入し、金型を閉じ、成形材料35をクランプする。
【0018】
この後、図3bに示すように、空気吹込口36から成形材料35内に空気を吹き込み、成形材料35を膨張させる。すると、成形材料(パリソン)35が面ファスナーと相溶性のよい樹脂からなるものであれば、図4aに示すように、成形材料35は、金型内に配置され、露出している面ファスナーの基部16と溶融一体化する。また、成形材料35が面ファスナーと相溶性のよい樹脂からなるものでない場合には、図4bに示すように、成形材料35を面ファスナーの端部の1〜2個の接合子17に絡み付かせることによって機械的に固定化することができる。この際、面ファスナーの接合子は保護部材に覆われているため、差圧(ブロー)成形時の膨張圧によって金型の成形面に押し付けられても接合子が変形することがない。
【0019】
以上のようにしてブロー成形を行った後、冷却し、成形金型からブロー成形体を取り出すのであるが、同時に面ファスナーから保護部材を脱離することになり、面ファスナーの接合子が表面に露出し、成形体と一体となった、面ファスナー付きブロー成形体が得られる。
【0020】
さらに、本発明の方法によれば、成形金型の成形面の形状や面ファスナーの成形金型内における配置位置等を変えることによって、面ファスナーを成形体と様々な形態で一体化させることができる。具体的には、図5に示すように、面ファスナー16を、成形体37の凹部に埋め込んだ形態で一体化したり(図5a)、成形体37と同一面で一体化したり(図5b)、あるいは成形体37の凸部において突出させた形態で一体化したり(図5c)することができる。
【0021】
以上、発明の実施の具体的態様として、ブロー成形への適用事例を挙げたが、本発明は、このブロー成形以外にも、例えば、溶融して可塑状態に準備された樹脂シートを賦形型のキャビティ面に沿わせ、賦形型側に押し圧を加えてキャビティ面に沿ってシートを賦形する、いわゆる圧空成形法、あるいは、賦形型のキャビティ面に脱気用の微細な通孔を開口させ、賦形型背面等からキャビティと前記樹脂シートの間の空気を排気してキャビティ面に沿ってシートを吸着賦形させる、いわゆる真空成形法、又はこれらを組み合わせてキャビティに面する側を負圧にし、かつその裏面を陽圧にする方法についても適用することができる。また、ブロー成形に上記真空成形法の技術を組み合わせてパリソン外面と金型との間の空気を強制排気させることもできる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、面ファスナーの接合子を変形させることなく、この面ファスナーと一体となった差圧成形体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に用いることができる面ファスナーの形態を示す側面図である。
【図2】保護部材を設置した面ファスナーの状態を示す側面図である。
【図3】本発明の方法の工程を示す図である。
【図4】成形材料と面ファスナーの接合状態を示す図である。
【図5】面ファスナーが一体化される成形体の態様を示す図である。
【符号の説明】
10、16…面ファスナー
11、16…基部
12、17…接合子
18…脚部
19…頭部
21、22…保護部材
23…弾性体
24…基材
25…弾性層
31…面テープ
32…ブロー成形金型
33…押出機
34…ダイ
35…成形材料
36…空気吹込口
37…成形体
【発明の属する技術分野】
本発明は、基部に立設される複数の接合子を備える面ファスナーと、複数の接合子を露出させた状態で面ファスナーの基部に固定的に連結される差圧成形体とを具備する面ファスナー付き差圧成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、車体、船体、家庭用機器、建造物等の物体表面に保護や装飾用の添付部材を取着するために、基部と接合子とを備えた面ファスナーを使用することが知られている。この場合、添付部材の本体に面ファスナーの基部が連結され、取着対象の物体表面に対をなす別の面ファスナーが固定される。
【0003】
このような面ファスナーを備えた添付部材を対象の物体表面に取着する場合、面ファスナーの係合保持力を確保するため、面ファスナーと添付部材の本体とを強固に固定しておく必要がある。従来、面ファスナーを添付部材の本体に固定するために、例えば、接着剤、両面粘着テープ、クリップ、ボルト等の別個の固定手段が使用されていた。
【0004】
面ファスナーを添付部材の本体に固定する従来の固定手段は、接着力を確保するために本体表面や面ファスナーの基部表面にプライマー処理を施したり、溶接工程によってクリップをあらかじめ面ファスナーの基部に連結したりすることによって、強固な固定を確実に得ることができる。しかしながら、このような予備作業は煩雑で熟練を要し、製造コストを高める危惧がある。また、本体を成形した後に面ファスナーを固定するため、工程数の増加による作業効率の低下が懸念される。
【0005】
このような課題を解決するため、添付部材の本体の成形時に面ファスナーをインサートとして金型内に配置し、それにより本体に面ファスナーを強固に固定することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−42714号公報(第3頁、第6頁、図6)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、添付部材として、特にパイプのような中空部材を用いる場合、一般に差圧成形(ブロー成形、押圧成形、真空成形)により成形された差圧成形体が用いられる。この差圧成形は、例えば押出機から押出されたシート状や筒状の成形材料を金型に挿入し、この成形材料をクランプし、差圧力(例えば真空力もしくは圧空力)によって成形材料を金型の成形面に当接させ、冷却固化することによって成形体を得る方法である。
【0008】
ところで、上記のように面ファスナーを金型内に配置してこの差圧成形を行うと、すなわち、差圧成形金型の所定位置に面ファスナーの接合子を当接させた状態で配置し、次いで成形材料をこの成形金型に挿入し、差圧力によって成形材料を金型の成形面に当接させると、加熱溶融状態にある成形材料に対して成形金型の内面に向かう大きな反発圧が発生するため、面ファスナーの基部に撓みが生ずるとともに、接合子はその頭部が金型内面に押し付けられる。その結果、接合子はその圧力に耐えることができず、塑性変形してしまう。このように面ファスナーの接合子が変形すると、面ファスナー同士の係合が困難になり、仮に係合できたとしても係合保持力が低下するという問題が生ずる。
【0009】
本発明は、製造工程における面ファスナーの変形を防止することができ、確実な係合保持力を発揮する、面ファスナー付き差圧成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明によれば、基部及びこの基部に立設される複数の接合子を備える面ファスナーと、この複数の接合子を露出させた状態で前記面ファスナーの基部に固定的に連結される差圧成形体とを具備する面ファスナー付き差圧成形体の製造方法であって、
面ファスナーの接合子側に、差圧成形時におけるこの接合子の変形を抑制する保護部材を設置し、
差圧成形金型の成形面の所定部位に前記保護部材を当接させた状態でインサートとして前記面ファスナーを配置し、
可塑化した状態のシート材を差圧成形金型に挿入し、
差圧力によって前記シート材を前記差圧成形金型の成形面に当接させ、固化させて、前記面ファスナーとその基部において一体化した差圧成形体を形成し、
前記面ファスナーから前記保護部材を脱離させること
を特徴とする面ファスナー付き差圧成形体の製造方法が提供される。
【0011】
面ファスナーをインサートとして成形金型内に配置して差圧成形を行う際に、面ファスナーの接合子側に、差圧成形時におけるこの接合子の変形を抑制する保護部材を設置し、差圧成形金型の成形面の所定部位に前記保護部材を設置した面ファスナーをインサートとして、前記保護部材を当接させた状態で配置することにより、可塑化した状態のシート材の差圧力による接合子の変形を防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明を説明する。本発明においては、従来より使用されている各種の面ファスナーを使用することができる。このような面ファスナーとしては、図1に示すものが例示される。図1aに示す面ファスナー10は、基部11上に立設される複数の接合子12が先細り突起状をなすものであり、この接合子12の側面13は、所定の角度をもって基部11の主面14に対して傾けられている。この接合子12の形状は、先細り形状を形成するものであれば特に限定されず、例えば角錐、円錐、楕円錐等を採用することができる。また、この接合子12は通常中実であり、基部11上の接合子12の配列パターンは特に限定されないが、例えば千鳥パターン、格子パターン等の略規則的パターンである。
【0013】
また面ファスナーは図1bに示す形状のものであってもよい。この面ファスナー15は、基部16及びこの基部に立設される複数の接合子17を備え、この接合子17は、一端で前記基部16に連結される脚部18及びこの脚部18の他端に連結される頭部19を有する有頭突子の形状をなしている。
【0014】
これらの面ファスナーでは、接合子が係合相手の面ファスナーの接合子と互いに噛み合い、特に有頭突子の場合には頭部において相互に係止し、係合力を発揮する。これらの面ファスナーはポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等の高分子材料より、公知の方法によって製造することができる。
【0015】
この面ファスナーをインサートとして差圧成形金型内に配置する際に、本発明においては、この面ファスナーの接合子側に、この接合子の変形を防ぐ保護部材を設置しておく。この保護部材は、差圧成形時の差圧力による接合子の変形を防ぐ機能を果たすものであり、例えば、図2aに示すような、面ファスナー15と同一の形状の面ファスナーを保護部材21として用いることができる。また、図2b及び2cに示すような、面ファスナー15と異なる形状の面ファスナーを保護部材22として用いることもできる。ここで、保護部材21又は22は、その接合子が面ファスナー15の接合子の間に侵入しており、差圧成形時における基部からの差圧力に対して面ファスナーの基部を支え、接合子の変形を防ぐことができる。従って、保護部材21又は22は、接合子の変形を防ぐことができるものであれば、弾性体、樹脂、金属等を用いることができる。
【0016】
この他に、保護部材としては、図2dに示すように、基材24に弾性材料の層25を設けた弾性体23を用いることもできる。この弾性体23の弾性層25が差圧成形時における基部からの差圧力を緩衝し、接合子の変形を防ぐことができる。この弾性層25を構成する材料としては、フォーム体を有するテープ、ゴム等が挙げられ、例えばベータテープ(住友スリーエム社製、商品名)を用いることができる。また、この弾性層の厚さは接合子の少なくとも一部を覆う程度であり、通常0.5mm〜5mmである。
【0017】
次いで、図3に示すように、保護部材を設置した面テープ31を、差圧(ブロー)成形金型32の成形面の所定部位に配置する。この際、保護部材が金型の成形面と当接し、面ファスナーの基部が露出するように配置する。あるいは、図示していないが、保護部材を直接成形金型に埋め込んで固定してもよい。次いで、差圧成形金型の間に、押出機33のダイ34から、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂等からなるチューブ状の成形材料35を挿入し、金型を閉じ、成形材料35をクランプする。
【0018】
この後、図3bに示すように、空気吹込口36から成形材料35内に空気を吹き込み、成形材料35を膨張させる。すると、成形材料(パリソン)35が面ファスナーと相溶性のよい樹脂からなるものであれば、図4aに示すように、成形材料35は、金型内に配置され、露出している面ファスナーの基部16と溶融一体化する。また、成形材料35が面ファスナーと相溶性のよい樹脂からなるものでない場合には、図4bに示すように、成形材料35を面ファスナーの端部の1〜2個の接合子17に絡み付かせることによって機械的に固定化することができる。この際、面ファスナーの接合子は保護部材に覆われているため、差圧(ブロー)成形時の膨張圧によって金型の成形面に押し付けられても接合子が変形することがない。
【0019】
以上のようにしてブロー成形を行った後、冷却し、成形金型からブロー成形体を取り出すのであるが、同時に面ファスナーから保護部材を脱離することになり、面ファスナーの接合子が表面に露出し、成形体と一体となった、面ファスナー付きブロー成形体が得られる。
【0020】
さらに、本発明の方法によれば、成形金型の成形面の形状や面ファスナーの成形金型内における配置位置等を変えることによって、面ファスナーを成形体と様々な形態で一体化させることができる。具体的には、図5に示すように、面ファスナー16を、成形体37の凹部に埋め込んだ形態で一体化したり(図5a)、成形体37と同一面で一体化したり(図5b)、あるいは成形体37の凸部において突出させた形態で一体化したり(図5c)することができる。
【0021】
以上、発明の実施の具体的態様として、ブロー成形への適用事例を挙げたが、本発明は、このブロー成形以外にも、例えば、溶融して可塑状態に準備された樹脂シートを賦形型のキャビティ面に沿わせ、賦形型側に押し圧を加えてキャビティ面に沿ってシートを賦形する、いわゆる圧空成形法、あるいは、賦形型のキャビティ面に脱気用の微細な通孔を開口させ、賦形型背面等からキャビティと前記樹脂シートの間の空気を排気してキャビティ面に沿ってシートを吸着賦形させる、いわゆる真空成形法、又はこれらを組み合わせてキャビティに面する側を負圧にし、かつその裏面を陽圧にする方法についても適用することができる。また、ブロー成形に上記真空成形法の技術を組み合わせてパリソン外面と金型との間の空気を強制排気させることもできる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、面ファスナーの接合子を変形させることなく、この面ファスナーと一体となった差圧成形体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に用いることができる面ファスナーの形態を示す側面図である。
【図2】保護部材を設置した面ファスナーの状態を示す側面図である。
【図3】本発明の方法の工程を示す図である。
【図4】成形材料と面ファスナーの接合状態を示す図である。
【図5】面ファスナーが一体化される成形体の態様を示す図である。
【符号の説明】
10、16…面ファスナー
11、16…基部
12、17…接合子
18…脚部
19…頭部
21、22…保護部材
23…弾性体
24…基材
25…弾性層
31…面テープ
32…ブロー成形金型
33…押出機
34…ダイ
35…成形材料
36…空気吹込口
37…成形体
Claims (1)
- 基部及びこの基部に立設される複数の接合子を備える面ファスナーと、この複数の接合子を露出させた状態で前記面ファスナーの基部に固定的に連結される差圧成形体とを具備する面ファスナー付き差圧成形体の製造方法であって、
面ファスナーの接合子側に、差圧成形時におけるこの接合子の変形を抑制する保護部材を設置し、
差圧成形金型の成形面の所定部位に前記保護部材を当接させた状態でインサートとして前記面ファスナーを配置し、
可塑化した状態のシート材を差圧成形金型に挿入し、
差圧力によって前記シート材を前記差圧成形金型の成形面に当接させ、固化させて、前記面ファスナーとその基部において一体化した差圧成形体を形成し、
前記面ファスナーから前記保護部材を脱離させること
を特徴とする面ファスナー付き差圧成形体の製造方法。
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JP2003053394A JP2004261303A (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | 面ファスナー付き差圧成形体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003053394A JP2004261303A (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | 面ファスナー付き差圧成形体の製造方法 |
Publications (1)
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JP2003053394A Pending JP2004261303A (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | 面ファスナー付き差圧成形体の製造方法 |
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