JP2004259611A - セラミックヒータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】窒化物セラミックス内に、導電成分を主成分としてBN又は窒化珪素を含有してなる発熱抵抗体及び該発熱抵抗体に電力を供給するリード部を埋設したセラミックヒータにおいて、前記導電成分はフレーク状の結晶粒子から構成されており、該結晶粒子同士の平均接触長さが2μm以上であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼式車載暖房装置の点火あるいは炎検知用ヒータ、自動車用グロープラグ、石油ファンヒータ等の各種燃焼機器の点火用ヒータ、酸素センサ等の各種センサの各種センサや測定機器の加熱用ヒータなどに利用されるセラミックヒータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から車載暖房点火用ヒータ、グロープラグ等の1000℃以上の高温で用いられるセラミックヒータにおいては、W、Mo、Ti等の金属、またはこれらの炭化物、窒化物、珪化物からなる導電成分を主成分とする発熱抵抗体を用いて構成されている。
前記導電成分は、熱膨張率が、この発熱抵抗体に含有される他のセラミックス成分(窒化珪素質等)又はセラミック製基材に近ければ近いほど好ましいとされている(例えば、WC等がセラミックス成分等に近い)。また、セラミックヒータは高温で焼成して形成されるので融点が高いものほど好ましい。
従来から特許文献1の段落0012によれば前記導電成分の結晶粒子の平均粒径は11μm以下とされ、これが11μmを超えると、十分な抗折強度を得ることが難しくなり、かつ、通電耐久性能が悪くなるとされていた。
従って、抗折強度、通電耐久性がよくなるという理由で結晶粒子の平均粒径が11μm以下の微細な結晶粒径のセラミックヒータが提案されているが、特許文献1のような方法で製造した場合、結晶粒子のアスペクト比が2以下となり、結晶粒子の長径が電流の流れる方向に並ばない等の理由で結晶粒子同士の接触長さは短かくなっていた。
【0003】
【特許文献1】特開平12−156275号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように結晶粒子のアスペクト比が2以下となっていたり、結晶粒子の長径が電流の流れる方向に並ばない等で結晶粒子同士の接触長が短かくなっていると、窒化物セラミックスと発熱抵抗体との熱膨張率に差がある場合に、昇温、冷却を繰り返すことで結晶粒子の接触位置から断絶しやすくなるという問題点があった。
【0005】
この接触長さが小さければ小さいほど、その間からクラックがは入りやすくなるり、長期の使用により抵抗値が上がり、最終的には着火不良となって取り替えなければならず、耐久性が悪くなるという問題点を有していた。
【0006】
従って、車載暖房装置の酸素センサに用いた場合、抵抗値が高くて耐久性が悪くなると感度が鈍り、使用するのが困難となるという問題点を有していた。
【0007】
また、乗用車用の車載暖房装置については、乗用車のバッテリーとして12Vが用いられているのでセラミックヒータへの供給電圧が低いく、着火速度を速めるために電力を大きくするためにはセラミックヒータの抵抗値を極端に低くしなければならなくなる。この場合、全体抵抗値に対する発熱抵抗体の抵抗比率は小さくなり、その結果、抵抗温度係数は下がる。抵抗温度係数が低いと温度に対する高温抵抗値の変動が小さくなり、その結果、細かな制御ができないという問題があった。
ちなみに抵抗温度係数とは、温度変化に対する抵抗値変化の割合を示すパラメータであって、例えば、25℃における抵抗値をR25、1000℃における抵抗値をR1000とすると、抵抗温度係数=(R1000−R25)÷(1000−25)÷R25×106ppmで定義される。
【0008】
本発明は、上述の課題に鑑みて案出されたものであり、長期に渡って使用した場合でも、抵抗値が安定し、安定した着火が可能で、低抵抗でも抵抗温度係数が高いセラミックヒータおよび車載暖房点火用セラミックヒータを提供することを目的とする。
【0009】
【問題を解決するための手段】
本発明のセラミックヒータは、窒化物セラミックス内に、導電成分を主成分としてBN又は窒化珪素を含有してなる発熱抵抗体及び該発熱抵抗体に電力を供給するリード部を埋設したセラミックヒータにおいて、その導電成分はフレーク状の結晶粒子から構成されており、結晶粒子同士の平均接触長さが2μm以上であることを特徴とする。
【0010】
前記平均接触長さを2μm以上にすることにより、窒化物セラミックスと発熱抵抗体との熱膨張率に差がある場合に、昇温、冷却を繰り返したとしても導電成分の結晶粒子同士が強固に結合してクラックが入ることを防止することができる。これにより、良好な耐久性を得ることができ、その結果、長期の使用に際しても抵抗値が変化せず、安定した着火及び着火検知性能が維持できる。
また、前記導電成分の結晶粒子の平均アスペクト比が2以上であり、前記結晶粒子の長径の平均粒径が3μm以上とするのが良い。これにより結晶粒子同士の接触長さを長くすることができる。
さらに、導電成分の結晶粒子が、前記リード部からの電流の流れる方向に整列しているのが良い。これによっても結晶粒子間の結晶粒子間の接触長くなって導電成分の結晶粒子同士が強固に結合することができるだけでなく、電流の流れる方向に導電成分の結晶粒子が整列しているので抵抗値の変化も少なくすることができる。
【0011】
また、前記発熱抵抗体はWCを主成分としBNを4〜20重量%含有するとよい。窒化物セラミックスに比べて熱膨張率の大きい発熱抵抗体に窒化物セラミックスに比べて熱膨張率が小さいBNを添加することにより、セラミックヒータの昇温降温時の熱膨張差による応力を緩和でき、長期の使用に際しても抵抗値が変化せず、安定した着火及び着火検知性能が維持できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
前記内容について、実施例に基づいて詳しく説明する。
図1はセラミックヒータ1の展開斜視図であり、図2はセラミックヒータの断面図及び図3は本発明に用いる結晶粒子の拡大図である。
【0013】
本発明のセラミックヒータは、図1に示すように、窒化物セラミックス5内に、導電成分を主成分としてBN又は窒化珪素を含有してなる発熱抵抗体6及び発熱抵抗体6に電力を供給するリード部7を埋設してなる。
【0014】
セラミックヒータの構造としては、図1、図2に示すように基体2に上述の発熱抵抗体6、電極引出部8及び発熱抵抗体6と電極引出部8が導通するようにタングステンピン7をそれぞれ接続しており、セラミックヒータ1から露出した電極引出部8の上にガラス、Niを主成分としたメタライズ層を形成し(不図示)、その上にNiメッキを施した鉄あるいはステンレス材からなる電極金具4をロウ付けしてなる。
【0015】
また、車載暖房装置のハーネス(不図示)と電極金具4との接合にはスポット溶接が用いられ、セラミックヒータ1の外表面にロウ付けされた保持金具3でセラミックヒータ1を外部装置(不図示)に固定するようになっている。
また、セラミクヒータ1を車載暖房機の点火用ヒータとして使用する場合、発熱抵抗体6を温度センサとして使用し、燃焼時の温度を発熱抵抗体6の抵抗値から判断することができる。
【0016】
本発明では、発熱抵抗体6に使用する発熱抵抗体6は、図3に示すように導電成分がフレーク状の結晶粒子から構成され、その結晶粒子同士の平均接触長さが2μm以上であることを特徴としている。
【0017】
平均接触長さが2μm未満になると、基材2と発熱抵抗体6との熱膨張率に差がある場合に、昇温、冷却を繰り返すことで結晶粒子同士が断絶しやすく抵抗値が高くなる。このように接触長さが小さければ小さいほど、結晶粒子間の結合力が得られず、その間からクラックがは入りやすいためであると考えられる。これにより、長期の使用に際して抵抗変化が大きくなり好ましくない。ただし、上限としては、平均接触長さを15μm以下とするのが好ましい。この値を超えるとホットプレス等の条件が困難となり、実用的でない。
接触長さの測定方法は、図3に示すように、セラミックヒータ1の発熱抵抗体6を埋設した部分をセラミックヒータ1の長手方向の中心線に対して垂直な断面で切断し、その切断面を研磨して4本見える発熱抵抗体6の断面の1部をBEM(反射電子像)にて倍率4000倍で導電成分の結晶粒子9を観察し、導電成分の任意の結晶粒子9に対して他の結晶粒子9と接触している接触領域10の合計長さを観察範囲内で測定して平均を取ることで行われる。なお、導電成分の結晶粒子9を斜線で示しているが、その他の部分(白抜きの部分)はBN等の無機絶縁体が含まれている。
【0018】
また、発熱抵抗体6を構成する導電成分の結晶粒子9の平均アスペクト比が2以上であり、結晶粒子9の長手方向の平均粒径が3μm以上であることを特徴とする。結晶粒子9の平均アスペクト比が2以上で、粒子の長径を3μm以上とすることにより、結晶粒子9同士の接触長さを長くすることができる。
さらに、結晶粒子9が、リード部8からの電流の流れる方向に整列しているのが良い。これによっても結晶粒子9間の接触長さを長くすることができる。
また、本発明に用いる発熱抵抗体6はWCを主成分とし無機絶縁体のBNを4〜20重量%含有している。BNを4〜20重量%含有させることにより、長期の使用に際しても抵抗値が変化せず、安定した着火及び着火検知性能が維持できる。
【0019】
即ち、発熱抵抗体6となる導体成分は、外周を覆う窒化珪素セラミックスに較べて熱膨張率が大きいため、通常は引張応力が掛かった状態にある。これに対して、発熱抵抗体6で用いるBNは、窒化珪素セラミックスに較べて熱膨張率が小さく、また発熱抵抗体6の導体成分とは不活性であり、セラミックヒータ1の昇温降温時の熱膨張差による応力を緩和するのに適している。しかし、BNの添加量が4%未満である場合には、昇温降温時の熱膨張差による応力を緩和するのが困難で、長期の使用に際して抵抗値が変化しやすい。また、BNの添加量が20重量%を越えると抵抗値が安定しなくなるので、20重量%が上限である。さらに好ましくは、BNの添加量は4〜10重量%とすることが良い。
【0020】
また、発熱抵抗体6への添加物として、BNの代わりに窒化珪素を10〜40重量%添加することも可能である。窒化珪素の添加量を増すにつれ、発熱抵抗体6の熱膨張率を母材の窒化珪素に近づけることができるので好ましい。ただし、10%未満では、昇温降温時の熱膨張差による応力を緩和するのが困難で、長期の使用に際して抵抗値が変化しやすい。また、40%を超えると抵抗値が安定しなくなるため好ましくない。
【0021】
さらに、極端に抵抗値が低い場合のセラミックヒータであっても抵抗温度係数を高くすることができ安定した着火検知性能を可能にする。
即ち、本発明のセラミックヒータは、平均接触長さを大きくしていくと抵抗温度係数が変化する。乗用車用の車載暖房装置については、セラミックヒータへの供給電圧が低いことと、着火速度を速めるために電力を大きくすることで、セラミックヒータの抵抗値は極端に設計されている。この場合、全体抵抗値に対する発熱抵抗体6の抵抗比率は小さくなり、その結果、抵抗温度係数は下がる。例えば、発熱温度を1200℃としたとき電力が60W以上であり、25℃の環境下におけるセラミックヒータの全体の抵抗値に対する発熱抵抗体6の抵抗比率が75%となるものであっても、結晶粒子の平均接触長さを2μm以上にすることにより抵抗温度係数を2300ppm以上とすることができる。このようにして作製したセラミックヒータ1は、車載暖房用点火用、温度センサとして良好に使用することができる。
つぎに、セラミックヒータ1の製法について説明する。図1は2層の発熱抵抗体7を有するセラミックヒータ1の例である。
まず、窒化物セラミックス5となるセラミック生成形体50の上に発熱抵抗体6と取出電極8をプリント法により形成する。その後、タングステンピン7を発熱抵抗体6、取出電極8が導通するように設置し、セラミック生成形体50の2層とこれらの蓋となるセラミック生成形体50を重ねて密着させ、ホットプレスにより焼成することでセラミックヒータが得られる。
【0022】
そして、本発明の特徴である発熱抵抗体6に用いる導電成分の結晶粒子の平均接触長さを2μm以上にするためには、ホットプレス焼成の温度条件を1650〜1800℃、圧力条件を300kgf/cm2以上、圧力をかけるタイミングを温度が1000℃になる以前にかけることが有効である。さらにホットプレス焼成に用いるカーボン型のうち、少なくともセラミックヒータ1に直接触れる部分を、その密度が1.70〜1.95g/cm3にすることが有効である。
こうすることにより、導電成分の結晶粒子9について長径を3μm以上、アスペクト比を2以上にすることができ、その結果、平均接触長さが2μm以上になる。
上述のホットプレスの温度条件が1650℃未満になると導電成分の結晶粒子の粒成長が進まずに平均接触長さを2μm以上にすることはできず、1800℃を超えると発熱抵抗体6の珪化が進み耐久性が低くなる。また、圧力が300kgf/cm2以上にすることにより結晶粒子の平均アスペクト比が2以上になり、さらに圧力が高いことで結晶粒子が平行に並ぶことにより平均接触長さを長くすることができる。
圧力をかけるタイミングは、早くかける方がよい。結晶粒子の粒成長を進めるためには焼成温度を上述の温度にする必要がある。温度が高いと窒化珪素の分解が進み発熱抵抗体が珪化しやすい。圧力を1000℃未満でかけることにより発熱抵抗体の珪化を抑えることができる。
カーボン型の密度が1.70g/cm3未満になると、カーボン型による雰囲気のシール性が低下するため、窒化珪素セラミックスの分解が進み、発熱抵抗体6の珪化が進みやすくなるので好ましくない。特に、外周部の発熱抵抗体の珪化が進む。
【0023】
焼成後、焼結体を円柱状に加工し、表面に露出した取出電極8に電極金具4をロウ付けしてセラミックヒータ1が得られる。その後、セラミックヒータ1の外周に保持金具3をロウ付けする。
【0024】
セラミックヒータ1のセラミック基材の材質としては窒化物セラミックスであり、この材質には窒化珪素、窒化アルミニウム等を用いることが可能である。中でも、窒化珪素セラミックスが高強度、高靱性、高絶縁性、耐熱性の観点で一番優れている。
窒化珪素セラミックスとしては、主成分の窒化珪素に対し、焼結助剤として3〜12重量%の希土類元素酸化物と0.5〜3重量%のAl2O3、さらに焼結体に含まれるSiO2量として1.5〜5重量%となるようにSiO2を混合し、発熱抵抗体7、取り出し電極9、タングステンピン8とともに1650〜1800℃でホットプレス焼成することにより、焼結体を得ることができる。ここで示すSiO2量とは、窒化珪素原料中に含まれる不純物酸素から生成するSiO2と、他の添加物に含まれる不純物としてのSiO2と、意図的に添加したSiO2の総和である。
【0025】
また、母材の窒化珪素セラミックスにMoSi2やWSi2を分散させることにより、母材の熱膨張率を発熱抵抗体6の熱膨張率に近づけることにより、発熱抵抗体6の耐久性を向上させることが可能である。また、セラミックヒータの母材の材質として窒化アルミニウムを用いる場合は、窒化アルミニウムに対して、焼結助剤としてY2O3等の希土類元素酸化物やCaOを2〜8重量%添加したものを使用する。
【0026】
また、発熱抵抗体6として用いられる導電成分としてはW、Mo、Tiの炭化物、窒化物、珪化物を主成分とするものを使用することが可能であるが、中でもWCが熱膨張率、耐熱性、比抵抗の面から発熱抵抗体6の材料として優れている。
【0027】
タングステンピン7については、耐熱性のある材質であれば他の材質を用いることも可能であるが、特にセラミック基材が窒化珪素の場合、Wを用いるのが望ましい。
保持金具3の材質としては、ステンレス鋼、耐熱鋼、Fe−Ni−Cr合金、インコネル等の耐熱性に優れたものが好適である。
【0028】
【実施例】
本発明の有効性を確認するために、発熱抵抗体6を構成する導電成分の結晶粒子9について導電成分の結晶粒子同士の接触長さを異ならせたテスト品を作り、下記試験を実施して、平均接触長さが2μm未満である従来の構造のものと比較した。
(実施例 1)
テストを実施するために、外径4.2mm、全長を40mmのセラミックヒータ1を用意した。
まず、セラミックヒータ1の製法について図1を用いて説明する。まず、窒化珪素(Si3N4)粉末にイッテリビウム(Yb)等の希土類元素の酸化物からなる焼結助剤10wt%添加したセラミック原料粉末を周知のプレス成型法等でセラミック生成形体50を得た。セラミック生成形体50の上に発熱抵抗体6と取出電極8をプリント法により形成した。発熱抵抗体にはWC90wt%、BN10wt%とWC85%、Si3N415%をそれぞれ混合したペースト2種類を用いた。また、発熱抵抗体6の形状は、発熱温度を1200℃としたとき電力が60W以上であり、室温での全体抵抗に対する発熱部の抵抗比率が75%になるように設計した。その後、タングステンピン7を前記発熱抵抗体6と取出電極8が導通するように設置し、前記セラミック生成形体50を2層とこれらの蓋となるセラミック生成形体50を重ねて密着させ、密着させた生成形体数十本とカーボン板を交互に段重ねした。これを円筒のカーボン型に入れた後、還元雰囲気下、ホットプレスにより焼成する。焼成条件である焼成温度を1600〜1800℃、焼成圧力を250〜400kgf/cm2の範囲で6水準振った。また、圧力をかけるタイミングは初期より、製品に接するカーボン型の密度は1.70〜1.80g/cm3のものを用いた。焼成後、焼結体を円柱状に加工し、表面に露出した取出電極8にNiからなる電極金具4をロウ付けすることでセラミックヒータ1を得た。その後、セラミックヒータ1の外周に保持金具3をロウ付けした。
【0029】
このようにして作製したセラミックヒータ1の発熱抵抗体6について導電成分の結晶粒子9同士の接触長さ、長手方向の粒径、アスペクト比、粒子の配列方向及び抵抗温度係数を調査するとともに、それぞれの通電耐久性を調査した。
平均接触長さの測定方法は、まず、セラミックヒータ1の発熱抵抗体6を埋設した部分をセラミックヒータ1の長手方向の中心線に対して垂直な断面で切断して、切断面を研磨して4本見える発熱抵抗体6の断面の1部をBEM(反射電子像)にて倍率4000倍で観察し、図3に示すように導電成分の任意の結晶粒子9に対して他の結晶粒子9と接触している接触領域10の合計長さを観察範囲内で測定して平均を取ることで行われる。平均粒径、平均アスペクト比、粒子の配列方向についても同様にBEMにて倍率4000倍で観察している。平均粒径については、各粒子の最大径を観察範囲内で測定してその平均値とした。平均アスペクト比については、各粒子の最小径、最大径を測定してアスペクト比をだし、平均値を求めた。配列方向もBEMより判断している。
通電耐久性は、セラミックヒータ1に通電し、1300℃昇温保持2分後、通電を止めて外部冷却ファンにより1分冷却。これを1サイクルとして30000サイクルの耐久試験を実施し、抵抗変化率を調査した。耐久性が良好であるか否かは抵抗変化率10%を基準に判断している。各条件10本のサンプルを作製し、その平均値をデータとした。これらの結果を表1に示した。
【表1】
【0030】
表1に示す通り、本発明品であるNo.3〜10は、結晶粒子の平均接触長さが2μm以上、平均アスペクト比2以上、結晶粒子の長径が3μm以上、結晶粒子の長径が電流の流れる方向に並んでおり、耐久テスト後の抵抗変化率が10%以下と小さく、安定した耐久性を得ることができた。
これに対して本発明の請求範囲外であるNo.1及びNo.2は、結晶粒子の平均接触長さが2μm未満、平均アスペクト比2未満、結晶粒子の長径が3μm未満、結晶粒子の長径が電流の流れる方向に並んでおらず、その結果、耐久テスト後の抵抗変化率が10%を超え、好ましくなかった。なお、表中の値は平均値である。
(実施例 2)
発熱抵抗体7の主成分であるWCに対し、BNの添加量を1〜15重量%の範囲で6水準振って、実施例1に記載の方法でセラミックヒータ1を作製し、セラミックヒータ1の通電耐久性を評価した。焼成温度は1700℃、焼成圧力は380kgf/cm2としている。
【0031】
セラミックヒータ1に通電し、1300℃昇温保持2分後、通電を止めて外部冷却ファンにより1分冷却。これを1サイクルとして30000サイクルの耐久試験を実施し、抵抗変化率を調査した。各条件10本のサンプルを作製し、その平均値をデータとした。これらの結果を、表2に示した。
【表2】
【0032】
表2に示す通り、本発明品であるBNの添加量を4〜15重量%添加したNo.3〜6は、耐久テスト後の抵抗変化率が10%以下であり、安定した耐久性を得ることができた。これに対し、本発明の請求範囲外であるBNの添加量を1〜2重量%にしたNo.1、2は、耐久テスト後の抵抗変化率が10%を超えてしまい好ましくなかった。
【0033】
【発明の効果】
本発明のセラミックヒータによれば、窒化物セラミックス中に導電性セラミックスからなる発熱抵抗体と、該発熱抵抗体に電力を供給するためのリード部を埋設したセラミックヒータにおいて、前記発熱抵抗体を構成する導電成分の結晶粒子間の粒子1個に対する平均接触長さが2μm以上にすることにより良好な耐久性を得ることができ、その結果、長期の使用に際しても抵抗値が変化せず、安定した着火及び着火検知性能が維持できる。
また、前記発熱抵抗体を構成する導電成分の結晶粒子の平均アスペクト比が2以上、粒子の長径が3μm以上にすることにより平均接触長さを長くすることができる。
さらに、導電成分の結晶粒子が、前記リード部からの電流の流れる方向に整列しているために、結晶粒子間の接触長さが長くなって導電成分の結晶粒子同士が強固に結合することができるだけでなく、電流の流れる方向に導電成分の結晶粒子が整列しているので抵抗値の変化も少なくすることができるセラミックヒータを提供することができる。
【0034】
また、前記発熱抵抗体はWCを主成分としBNを4〜20重量%含有することにより、長期の使用に際しても抵抗値が変化せず、安定した着火及び着火検知性能が維持できたセラミックヒータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミックヒータの分解斜視図である。
【図2】本発明のセラミックヒータの断面図である。
【図3】本発明のセラミックヒータの発熱抵抗体の結晶粒子を説明するための拡大図である。
【符号の説明】
1:セラミックヒータ
2:基体
3:保持金具
4:電極金具
5:窒化物セラミックス
50:セラミック生成形体
6:発熱抵抗体
7:タングステンピン
8:取出電極
9:結晶粒子
10:結晶粒子の接触領域
Claims (4)
- 窒化物セラミックス内に、導電成分を主成分としてBN又は窒化珪素を含有してなる発熱抵抗体及び該発熱抵抗体に電力を供給するリード部を埋設したセラミックヒータにおいて、前記導電成分はフレーク状の結晶粒子から構成されており、該結晶粒子同士の平均接触長さが2μm以上であることを特徴とするセラミックヒータ。
- 前記導電成分の結晶粒子の平均アスペクト比が2以上であり、前記結晶粒子の長径の平均粒径が3μm以上であることを特徴とする請求項1記載のセラミックヒータ。
- 前記導電成分の結晶粒子が、前記リード部からの電流の流れる方向に整列していることを特徴とする請求項1記載のセラミックヒータ。
- 前記発熱抵抗体はWCを主成分としBNを4〜20重量%含有することを特徴とする請求項1記載のセラミックヒータ。
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