JP2004259608A - マイクロ波プラズマ発生装置およびその運転方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】機器構成が簡単で操作性が良く、マイクロ波を効率よく導入して高密度プラズマを生成することのできるマイクロ波プラズマ発生装置およびその運転方法を提供する。
【解決手段】内部に所定のガスが導入されてプラズマが生成される放電容器1と、この放電容器1に接続され前記放電容器内にマイクロ波を導入する導波管4とを備えたマイクロ波プラズマ発生装置において、前記導波管4と前記放電容器1の接続部に前記導波管4のE面方向に平行に線状導体16を設けた構成とする。
【選択図】 図1
【解決手段】内部に所定のガスが導入されてプラズマが生成される放電容器1と、この放電容器1に接続され前記放電容器内にマイクロ波を導入する導波管4とを備えたマイクロ波プラズマ発生装置において、前記導波管4と前記放電容器1の接続部に前記導波管4のE面方向に平行に線状導体16を設けた構成とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波によってプラズマを励起し、このプラズマからイオンを取り出して、種々の装置のイオン源として用いられるマイクロ波プラズマ発生装置およびその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、マイクロ波プラズマ発生装置は、核融合のための中性粒子入射加熱装置のイオン源や、半導体装置の製造に使用されるプラズマドライエッチング装置、及ぴプラズマ気相成長装置等のプラズマ源等に用いられている。そして、数百W以上の大電力のマイクロ波を放電容器内に導入してプラズマを生成するマイクロ波プラズマ発生装置では導波管が用いられている。
【0003】
以下、従来のマイクロ波プラズマ発生装置を3例紹介する。
図4は第1の従来例である。1は放電容器であり、この放電容器1の一方のフランジ2には、図示されていないマイクロ波発振器から、放電容器1内にマイクロ波を真空窓3を透過させて導入する矩形の導波管4の片端部が取着されている。真空窓3の材質はマイクロ波の通過に対して透明なアルミナセラミクスである。5,5aは放電容器1の外面に配設された永久磁石で、放電容器1内に磁場を形成する。また、放電容器1内には図示しないガス導入口から所定のガスが導入され、マイクロ波と磁場の相互作用によって放電が発生しプラズマが生成される。
【0004】
放電容器1のもう一方のフランジ6には、プラズマ中のイオンを引き出すための複数枚の引出し電極8,8aが設置されている。引出し電極8,8aにはイオンを通過させるための多数の引出孔9が穿たれており、引出し電極8,8a間にはイオンを所定のエネルギーに加速するための電圧が絶縁材7,7aを介して加えられる。
【0005】
ところで、図4の構成の場合は、真空窓3のアルミナセラミクスがプラズマの熱やプラズマ粒子の衝撃にさらされ、場合によっては破損する。そのため、生成するプラズマ密度に制限が加わり、高密度プラズマを生成することができない。
【0006】
図5は、真空窓3を保護するための対策を施した第2の従来例であり、真空窓3は折曲げした形の導波管であるHコーナ10やEコーナ11によって、プラズマを直視しない位置におかれている(特許文献1参照)。しかしこの配置の場合は図6に示すように、放電容器1内のプラズマが、Hコーナ10やEコーナ11の内部に進入する。導波管内にプラズマが存在すると、真空窓を通過して進行してきたマイクロ波はプラズマ表面近傍で一部が反射されてしまう。そのため放電容器1へ効率よくマイクロ波を投入できない。
【0007】
図7と図8は、前記問題点を克服するための対策を施した第3の従来例であり、放電容器1と導波管(図ではEコーナ10)との間に絶縁材7を配置し、さらに直流電源12で導波管を放電容器1より高電位とする。高電位にするとプラズマ中のイオンに対し静電障壁が形成され、導波管内へのプラズマの進入が抑えられ、大電力のマイクロ波を放電容器1へ容易に投入することができる。図8において、13は引出し電極8とプラズマとの間の電圧を調節するための直流電源で、イオンの引出しを調整する。14は引き出したイオンを加速するための電源である。
【0008】
しかし、この第3の従来例でも新たな問題点があらわれる。すなわち、放電容器1と導波管(Eコーナ10)とを絶縁したために、放電容器1とマイクロ波発振器を別電位としなければならない。そのためイオン源の各種制御系、冷却系も別の配線、配管が必要になるなど機器構成が複雑になる。さらに引出し電極8,8a間で絶縁破壊が起こった際に、放電容器1の電位の機器と、マイクロ波発振器の電位の機器との間に、まれに高電圧が加わることがあり機器を破壊することがある。
【0009】
【特許文献1】
特開平7−85993号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、放電容器と導波管を異なる電位としたときには、機器構成や操作が複雑になるほか、予測外の絶縁破壊を招いて機器を損傷することがある。 そこで本発明は、機器構成が簡単で操作性が良く、マイクロ波を効率よく導入して高密度プラズマを生成することのできるマイクロ波プラズマ発生装置およびその運転方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、内部に所定のガスが導入されてプラズマが生成される放電容器と、この放電容器に接続され前記放電容器内にマイクロ波を導入する導波管とを備えたマイクロ波プラズマ発生装置において、前記導波管と前記放電容器の接続部に前記導波管のE面方向に平行に線状導体を設けた構成とする。
請求項2の発明は、前記線状導体は前記放電容器および前記導波管と電気的に絶縁されたフランジに取り付けられている構成とする。
【0012】
請求項3の発明は、前記線状導体は、内部に冷媒を通流する孔を有する構成とする。
請求項4の発明はマイクロ波プラズマ発生装置の運転方法であり、前記線状導体に、前記放電容器に対し正の電位を与える構成とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
本発明の第1の実施の形態のマイクロ波プラズマ発生装置は図1に示すように、放電容器1は直径15cm、軸方向長さ15cmの略円筒状であり、その一方のフランジ2aは、中央部分にマイクロ波導入口15が形成されている。このマイクロ波導入口15には、矩形の導波管4がその片端部を放電容器1内に開口するように取着されており、この片端部には複数の線状導体16がE面方向に張設されている。ここで、矩形の導波管4の断面は通常長方形であり、長辺方向をE面、短辺方向をH面とする。
【0014】
導波管4の他端部は、例えば2.45GHzのマイクロ波を発生する図示されていないマイクロ波発振器に接続されている。そしてマイクロ波発振器からのマイクロ波は、導波管4内を伝搬し、マイクロ波導入口15を通過して放電容器1内に導入される。
【0015】
また放電容器1の筒状部の外壁面には、磁場形成手段であるSm−Coの円環状の2個の永久磁石5,5aが、フランジ2,6の近傍に配設されている。これら一対の永久磁石5,5aは半径方向の相反する向きに着磁されており、一方のの永久磁石5aは内径側がN極で外径側がS極に、他方の永久磁石5は内径側がS極で外径側がN極になっている。このため、磁力線が大きく放電容器1内の中心軸方向に張り出すように形成される。
【0016】
放電容器1の内部は、図示されていない排気装置によって0.1Pa台の所定の圧力となるように減圧され、この圧力が維持されながら、図示しないガス導入口からプラズマを生成する水素ガスまたは重水素ガスがガス源から導入される。所定のガス雰囲気にした後、図示されていないマイクロ波発振器から導波管4内を、途中真空窓3を透過して伝搬してきた2.45GHzのマイクロ波が、放電容器1内にマイクロ波導入口15を通じて導入される。マイクロ波は磁場との相互作用により放電容器1内に放電プラスマを生成する。
【0017】
また放電容器1の他方のフランジ6には、複数の絶縁リング7,7aを介在させて引出し電極8,8aが取着されている。引出し電極8,8aは、放電容器1の軸方向をイオン引出方向とするようにしてイオン引出しを行なう引出孔9が中央部分に多数対応して形成されている。引出し電極8,8aには、イオンを引き出し加速させるための所定電圧が加えられている。生成されたプラズマ中の水素イオンは、引出孔9を通過しながら加速されて外部に水素イオンビームとして引き出される。
【0018】
ところで矩形の導波管4のマイクロ波導入口15近くには、導波管4のE面方向に平行に細い線状導体16が約2mm間隔で複数本配設されている。配設された方向がE面方向であるため、マイクロ波の通過にはほとんど影響がない。
【0019】
矩形の導波管4におけるマイクロ波の伝播にとって重要な寸法は、その断面の長辺であるE面方向の長さであり、その直角方向のH面方向の寸法は任意である。したがって、E面に平行に配置した線状導体16は、マイクロ波の通過に大きくは影響しない。これに対し線状導体16の存在は、プラズマの移動に対しては障害物になる。E面方向に平行に配置した線状導体16によって、マイクロ波の通過を損なうことなく、プラズマが導波管4の方向へ移動することを抑制することができる。
【0020】
放電容器1内のプラズマ密度、電子温度をそれぞれ1×10−12cm−3、8eV程度とすると、デバイ距離は2mm前後である。線状導体16の間隔とデバイ距離を同程度とすることにより、プラズマに対しては線状導体16は遮蔽物となり、導波管4内へのプラズマの進入は抑制される。
【0021】
この第1の実施の形態のマイクロ波プラズマ発生装置によれば、導波管4と放電容器1とを同電位に保ったままで、導波管4内へのプラズマの進入を抑制することができ、機器構成が複雑になることなく、操作性もよい。そして、放電容器1内に高密度プラズマや大面積プラズマの生成を行うことができ、外部に引き出せるH+ビームの電流も大きいものとすることができる。
【0022】
つぎに図2を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。この実施の形態は、放電容器1のフランジ2と導波管4のフランジ2aの間に絶縁材7bを介在させ、直流電源12によって導波管4を放電容器1に対し正の電位にする。13は引出し電極8とプラズマとの間の電圧を調節するための直流電源であり、イオンの引出しを調整する。14は引き出したイオンを加速するための電源である。
【0023】
この実施の形態においては、放電容器1と導波管4のあいだに形成される静電障壁および線状導体16によって、プラズマが放電容器1から導波管4へ侵入するのをさらに効果的に抑制することができる。
【0024】
ところでこの第2の実施の形態では線状導体16を放電容器1に対して正にバイアスした結果、線状導体16はプラズマの電子の流入を受けて加熱される。この加熱を防ぐためには、線状導体16を中空の管として内部に冷却水を通すのが効果的である。
【0025】
つぎに図3を参照して本発明の第3の実施の形態を説明する。すなわち、放電容器1のフランジ2と導波管4のフランジ2aの間に絶縁材7b,7cを介してフランジ2bを設け、このフランジ2bに複数の線状導体16を取り付けた構成とする。さらに放電容器1と導波管4を同電位とし、フランジ2bを放電容器1に対し正の電位とする。
この第3の実施の形態においては、放電容器1とマイクロ波発振器は同電位で操作できるほか、イオン源の制御系や冷却系も複雑な構成を避けることができる。
【0026】
なお、本発明は上記3つの実施の形態に限定されるものではなく、イオン源の他にマイクロ波プラズマを用いた半導体製造装置や化学処理装置などのマイクロ波プラズマ発生装置にも適用され、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、機器構成が簡単で操作性が良く、マイクロ波を効率よく導入して高密度プラズマを生成することのできるマイクロ波プラズマ発生装置およびその運転方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のマイクロ波プラズマ発生装置を示し、(a)は全体の断面図、(b)は(a)のb−b矢斜視図。
【図2】本発明の第2の実施の形態のマイクロ波プラズマ発生装置を示す断面図。
【図3】本発明の第3の実施の形態のマイクロ波プラズマ発生装置を示す断面図。
【図4】従来の第1の例のマイクロ波プラズマ発生装置を示す断面図。
【図5】従来の第2の例のマイクロ波プラズマ発生装置を示す斜視図。
【図6】従来の第2の例のマイクロ波プラズマ発生装置の問題点を説明する図。
【図7】従来の第3の例のマイクロ波プラズマ発生装置を示す断面図。
【図8】従来の第3の例のマイクロ波プラズマ発生装置を示す斜視図。
【符号の説明】
1…放電容器、2,2a,2b…フランジ、3…真空窓、4…導波管、5,5a…永久磁石、6,6a…フランジ、7,7a,7b,7c…絶縁材,8,8a…引出し電極、9…引出孔、10…Hコーナ、11…Eコーナ、12,13,14…直流電源、15…マイクロ波導入口、16…線状導体。
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波によってプラズマを励起し、このプラズマからイオンを取り出して、種々の装置のイオン源として用いられるマイクロ波プラズマ発生装置およびその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、マイクロ波プラズマ発生装置は、核融合のための中性粒子入射加熱装置のイオン源や、半導体装置の製造に使用されるプラズマドライエッチング装置、及ぴプラズマ気相成長装置等のプラズマ源等に用いられている。そして、数百W以上の大電力のマイクロ波を放電容器内に導入してプラズマを生成するマイクロ波プラズマ発生装置では導波管が用いられている。
【0003】
以下、従来のマイクロ波プラズマ発生装置を3例紹介する。
図4は第1の従来例である。1は放電容器であり、この放電容器1の一方のフランジ2には、図示されていないマイクロ波発振器から、放電容器1内にマイクロ波を真空窓3を透過させて導入する矩形の導波管4の片端部が取着されている。真空窓3の材質はマイクロ波の通過に対して透明なアルミナセラミクスである。5,5aは放電容器1の外面に配設された永久磁石で、放電容器1内に磁場を形成する。また、放電容器1内には図示しないガス導入口から所定のガスが導入され、マイクロ波と磁場の相互作用によって放電が発生しプラズマが生成される。
【0004】
放電容器1のもう一方のフランジ6には、プラズマ中のイオンを引き出すための複数枚の引出し電極8,8aが設置されている。引出し電極8,8aにはイオンを通過させるための多数の引出孔9が穿たれており、引出し電極8,8a間にはイオンを所定のエネルギーに加速するための電圧が絶縁材7,7aを介して加えられる。
【0005】
ところで、図4の構成の場合は、真空窓3のアルミナセラミクスがプラズマの熱やプラズマ粒子の衝撃にさらされ、場合によっては破損する。そのため、生成するプラズマ密度に制限が加わり、高密度プラズマを生成することができない。
【0006】
図5は、真空窓3を保護するための対策を施した第2の従来例であり、真空窓3は折曲げした形の導波管であるHコーナ10やEコーナ11によって、プラズマを直視しない位置におかれている(特許文献1参照)。しかしこの配置の場合は図6に示すように、放電容器1内のプラズマが、Hコーナ10やEコーナ11の内部に進入する。導波管内にプラズマが存在すると、真空窓を通過して進行してきたマイクロ波はプラズマ表面近傍で一部が反射されてしまう。そのため放電容器1へ効率よくマイクロ波を投入できない。
【0007】
図7と図8は、前記問題点を克服するための対策を施した第3の従来例であり、放電容器1と導波管(図ではEコーナ10)との間に絶縁材7を配置し、さらに直流電源12で導波管を放電容器1より高電位とする。高電位にするとプラズマ中のイオンに対し静電障壁が形成され、導波管内へのプラズマの進入が抑えられ、大電力のマイクロ波を放電容器1へ容易に投入することができる。図8において、13は引出し電極8とプラズマとの間の電圧を調節するための直流電源で、イオンの引出しを調整する。14は引き出したイオンを加速するための電源である。
【0008】
しかし、この第3の従来例でも新たな問題点があらわれる。すなわち、放電容器1と導波管(Eコーナ10)とを絶縁したために、放電容器1とマイクロ波発振器を別電位としなければならない。そのためイオン源の各種制御系、冷却系も別の配線、配管が必要になるなど機器構成が複雑になる。さらに引出し電極8,8a間で絶縁破壊が起こった際に、放電容器1の電位の機器と、マイクロ波発振器の電位の機器との間に、まれに高電圧が加わることがあり機器を破壊することがある。
【0009】
【特許文献1】
特開平7−85993号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、放電容器と導波管を異なる電位としたときには、機器構成や操作が複雑になるほか、予測外の絶縁破壊を招いて機器を損傷することがある。 そこで本発明は、機器構成が簡単で操作性が良く、マイクロ波を効率よく導入して高密度プラズマを生成することのできるマイクロ波プラズマ発生装置およびその運転方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、内部に所定のガスが導入されてプラズマが生成される放電容器と、この放電容器に接続され前記放電容器内にマイクロ波を導入する導波管とを備えたマイクロ波プラズマ発生装置において、前記導波管と前記放電容器の接続部に前記導波管のE面方向に平行に線状導体を設けた構成とする。
請求項2の発明は、前記線状導体は前記放電容器および前記導波管と電気的に絶縁されたフランジに取り付けられている構成とする。
【0012】
請求項3の発明は、前記線状導体は、内部に冷媒を通流する孔を有する構成とする。
請求項4の発明はマイクロ波プラズマ発生装置の運転方法であり、前記線状導体に、前記放電容器に対し正の電位を与える構成とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
本発明の第1の実施の形態のマイクロ波プラズマ発生装置は図1に示すように、放電容器1は直径15cm、軸方向長さ15cmの略円筒状であり、その一方のフランジ2aは、中央部分にマイクロ波導入口15が形成されている。このマイクロ波導入口15には、矩形の導波管4がその片端部を放電容器1内に開口するように取着されており、この片端部には複数の線状導体16がE面方向に張設されている。ここで、矩形の導波管4の断面は通常長方形であり、長辺方向をE面、短辺方向をH面とする。
【0014】
導波管4の他端部は、例えば2.45GHzのマイクロ波を発生する図示されていないマイクロ波発振器に接続されている。そしてマイクロ波発振器からのマイクロ波は、導波管4内を伝搬し、マイクロ波導入口15を通過して放電容器1内に導入される。
【0015】
また放電容器1の筒状部の外壁面には、磁場形成手段であるSm−Coの円環状の2個の永久磁石5,5aが、フランジ2,6の近傍に配設されている。これら一対の永久磁石5,5aは半径方向の相反する向きに着磁されており、一方のの永久磁石5aは内径側がN極で外径側がS極に、他方の永久磁石5は内径側がS極で外径側がN極になっている。このため、磁力線が大きく放電容器1内の中心軸方向に張り出すように形成される。
【0016】
放電容器1の内部は、図示されていない排気装置によって0.1Pa台の所定の圧力となるように減圧され、この圧力が維持されながら、図示しないガス導入口からプラズマを生成する水素ガスまたは重水素ガスがガス源から導入される。所定のガス雰囲気にした後、図示されていないマイクロ波発振器から導波管4内を、途中真空窓3を透過して伝搬してきた2.45GHzのマイクロ波が、放電容器1内にマイクロ波導入口15を通じて導入される。マイクロ波は磁場との相互作用により放電容器1内に放電プラスマを生成する。
【0017】
また放電容器1の他方のフランジ6には、複数の絶縁リング7,7aを介在させて引出し電極8,8aが取着されている。引出し電極8,8aは、放電容器1の軸方向をイオン引出方向とするようにしてイオン引出しを行なう引出孔9が中央部分に多数対応して形成されている。引出し電極8,8aには、イオンを引き出し加速させるための所定電圧が加えられている。生成されたプラズマ中の水素イオンは、引出孔9を通過しながら加速されて外部に水素イオンビームとして引き出される。
【0018】
ところで矩形の導波管4のマイクロ波導入口15近くには、導波管4のE面方向に平行に細い線状導体16が約2mm間隔で複数本配設されている。配設された方向がE面方向であるため、マイクロ波の通過にはほとんど影響がない。
【0019】
矩形の導波管4におけるマイクロ波の伝播にとって重要な寸法は、その断面の長辺であるE面方向の長さであり、その直角方向のH面方向の寸法は任意である。したがって、E面に平行に配置した線状導体16は、マイクロ波の通過に大きくは影響しない。これに対し線状導体16の存在は、プラズマの移動に対しては障害物になる。E面方向に平行に配置した線状導体16によって、マイクロ波の通過を損なうことなく、プラズマが導波管4の方向へ移動することを抑制することができる。
【0020】
放電容器1内のプラズマ密度、電子温度をそれぞれ1×10−12cm−3、8eV程度とすると、デバイ距離は2mm前後である。線状導体16の間隔とデバイ距離を同程度とすることにより、プラズマに対しては線状導体16は遮蔽物となり、導波管4内へのプラズマの進入は抑制される。
【0021】
この第1の実施の形態のマイクロ波プラズマ発生装置によれば、導波管4と放電容器1とを同電位に保ったままで、導波管4内へのプラズマの進入を抑制することができ、機器構成が複雑になることなく、操作性もよい。そして、放電容器1内に高密度プラズマや大面積プラズマの生成を行うことができ、外部に引き出せるH+ビームの電流も大きいものとすることができる。
【0022】
つぎに図2を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。この実施の形態は、放電容器1のフランジ2と導波管4のフランジ2aの間に絶縁材7bを介在させ、直流電源12によって導波管4を放電容器1に対し正の電位にする。13は引出し電極8とプラズマとの間の電圧を調節するための直流電源であり、イオンの引出しを調整する。14は引き出したイオンを加速するための電源である。
【0023】
この実施の形態においては、放電容器1と導波管4のあいだに形成される静電障壁および線状導体16によって、プラズマが放電容器1から導波管4へ侵入するのをさらに効果的に抑制することができる。
【0024】
ところでこの第2の実施の形態では線状導体16を放電容器1に対して正にバイアスした結果、線状導体16はプラズマの電子の流入を受けて加熱される。この加熱を防ぐためには、線状導体16を中空の管として内部に冷却水を通すのが効果的である。
【0025】
つぎに図3を参照して本発明の第3の実施の形態を説明する。すなわち、放電容器1のフランジ2と導波管4のフランジ2aの間に絶縁材7b,7cを介してフランジ2bを設け、このフランジ2bに複数の線状導体16を取り付けた構成とする。さらに放電容器1と導波管4を同電位とし、フランジ2bを放電容器1に対し正の電位とする。
この第3の実施の形態においては、放電容器1とマイクロ波発振器は同電位で操作できるほか、イオン源の制御系や冷却系も複雑な構成を避けることができる。
【0026】
なお、本発明は上記3つの実施の形態に限定されるものではなく、イオン源の他にマイクロ波プラズマを用いた半導体製造装置や化学処理装置などのマイクロ波プラズマ発生装置にも適用され、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、機器構成が簡単で操作性が良く、マイクロ波を効率よく導入して高密度プラズマを生成することのできるマイクロ波プラズマ発生装置およびその運転方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のマイクロ波プラズマ発生装置を示し、(a)は全体の断面図、(b)は(a)のb−b矢斜視図。
【図2】本発明の第2の実施の形態のマイクロ波プラズマ発生装置を示す断面図。
【図3】本発明の第3の実施の形態のマイクロ波プラズマ発生装置を示す断面図。
【図4】従来の第1の例のマイクロ波プラズマ発生装置を示す断面図。
【図5】従来の第2の例のマイクロ波プラズマ発生装置を示す斜視図。
【図6】従来の第2の例のマイクロ波プラズマ発生装置の問題点を説明する図。
【図7】従来の第3の例のマイクロ波プラズマ発生装置を示す断面図。
【図8】従来の第3の例のマイクロ波プラズマ発生装置を示す斜視図。
【符号の説明】
1…放電容器、2,2a,2b…フランジ、3…真空窓、4…導波管、5,5a…永久磁石、6,6a…フランジ、7,7a,7b,7c…絶縁材,8,8a…引出し電極、9…引出孔、10…Hコーナ、11…Eコーナ、12,13,14…直流電源、15…マイクロ波導入口、16…線状導体。
Claims (4)
- 内部に所定のガスが導入されてプラズマが生成される放電容器と、この放電容器に接続され前記放電容器内にマイクロ波を導入する導波管とを備えたマイクロ波プラズマ発生装置において、前記導波管と前記放電容器の接続部に前記導波管のE面方向に平行に線状導体を設けたことを特徴とするマイクロ波プラズマ発生装置。
- 前記線状導体は前記放電容器および前記導波管と電気的に絶縁されたフランジに取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のマイクロ波プラズマ発生装置。
- 前記線状導体は、内部に冷媒を通流する孔を有することを特徴とする請求項1記載のマイクロ波プラズマ発生装置。
- 前記線状導体に、前記放電容器に対し正の電位を与えることを特徴とする請求項1記載のマイクロ波プラズマ発生装置の運転方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003049413A JP2004259608A (ja) | 2003-02-26 | 2003-02-26 | マイクロ波プラズマ発生装置およびその運転方法 |
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