JP2004259387A - 光磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

光磁気記録媒体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光磁気記録媒体の記録層における記録分解能を向上すること。
【解決手段】光磁気記録媒体X1において、相互に並列する複数の柱状磁性粒子14a、および当該複数の柱状磁性粒子14aの間に介在する非磁性領域14bを含むグラニュラ層14と、グラニュラ層14上に積層形成された記録層11と、を備えることとする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、垂直磁化膜よりなる記録層を備える光磁気記録媒体、および、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光磁気記録媒体が注目を集めている。光磁気記録媒体は、磁性材料における種々の磁気特性を利用して構成され、熱磁気的な記録および磁気光学効果を利用した再生という2つの機能を担う書換え可能な記録媒体である。光磁気記録媒体は、垂直磁化膜からなる記録層を有し、当該記録層において、磁化方向の変化として所定の信号が記録されている。この記録信号は、再生信号読み取り用の所定の光学系で読み取られる。
【0003】
光磁気記録媒体の技術の分野では、再生信号読取り用の光学系における分解能の限界を超えて高密度に記録された信号を実用的に再生するための、種々の再生方式が開発されている。例えば、MSR(magnetic super resolution)、MAMMOS(magnetic amplifying magneto−optical system)、および、DWDD(domain wall displacement detection)である。
【0004】
例えばDWDD方式の光磁気記録媒体においては、記録層と、再生層と、これらの間の中間層とによる積層構造を有する磁性材料部が、所定の基板の上に設けられている。これら3層は、各々、一般に希土類−遷移金属アモルファス合金よりなる垂直磁化膜であり、キュリー温度以下において隣接2層間に交換相互作用が働くように積層されている。記録層は相対的に大きな磁壁抗磁力を呈し、再生層は相対的に小さな磁壁抗磁力を呈し、中間層は他の2層より低いキュリー温度を有する。
【0005】
記録層には、媒体の走査方向に沿って所定の信号が記録されている。具体的には、記録層には、媒体走査方向に連続して交互に磁化が反転し且つ記録信号に応じた所定の長さを各々が有する複数の磁区が形成されており、従って、走査方向に沿って記録信号に応じた間隔で起立する複数の磁壁が形成されている。再生層および中間層は、媒体温度が中間層のキュリー温度より低い温度条件の下では中間層を介して記録層と再生層とが交換結合し、且つ、媒体温度が中間層のキュリー温度を越える所定の温度条件の下では再生層内で磁壁移動現象が起こるように、構成されている。媒体温度が中間層のキュリー温度より低い温度条件の下では、中間層を介して記録層と交換結合している再生層には、記録層と同方向に磁化された磁区と、磁区間の磁壁とが固定されている。媒体温度が中間層のキュリー温度より高い温度条件の下では、中間層の自発磁化が消失し、当該中間層を介する記録層および再生層の交換結合は切断される。その結果、磁壁抗磁力の小さな再生層において磁壁が移動可能となる。当該磁壁は、再生層内に温度勾配が存在する場合に、より高温な領域へと移動する。
【0006】
上述のような積層構造を有する磁性材料部よりなる情報トラックが形成されているDWDD方式光磁気ディスクの再生動作においては、当該ディスクを回転させつつ情報トラックに再生用のレーザビームを照射することによって、当該情報トラックを走査する。このとき、磁性材料部よりなる情報トラックの内部には、ビーム照射領域において当該走査方向に温度勾配が生ずる。ビーム照射領域における、中間層のキュリー温度の等温線を、再生層の磁壁が当該走査に伴って低温領域から高温領域へと通過する瞬間に、当該磁壁は再生層内をより高温側へと移動する。再生層内をこのように磁壁が移動すると、当該磁壁移動領域の磁化は反転する。この磁化反転を、反射光の偏光面の変化として所定の光学系で検出することにより、磁壁移動が検知される。情報トラックに沿って再生用レーザビームを照射して磁壁移動を順次検知することにより、当該媒体の記録信号が読み取られることとなる。
【0007】
このようなDWDD方式に基づく再生においては、再生用レーザビームのスポット全体ではなく、ビームスポット内の等温線(中間層のキュリー温度の等温線)により、情報トラックを構成する再生層ないし記録層の記録パターンが弁別される。したがって、DWDD方式においては、再生信号読取り用の光学系における分解能の限界を超えて記録層に高密度に記録された信号であっても、即ち最小記録マーク長がスポット径よりも小さな記録パターンであっても、再生することが可能なのである。例えば、再生用レーザビームとして赤レーザ(ビームスポット径:約1μm)を採用する場合であっても、長さ0.1μm以下の記録マークは原理的には再生され得る。
【0008】
光磁気記録媒体においては、記録層に形成される安定な記録マーク(磁区)の長さが小さいほど、記録分解能が高く、その結果、記録密度が大きくなる。上述のMSR方式、MAMMOS方式、およびDWDD方式の光磁気記録媒体においては、これらの再生分解能を充分に発揮すべく、記録層の高記録密度化に対する要求は特に強い。例えば、長さ0.1μm以下の連続した記録マーク(磁区)を安定に記録することが可能な記録層の実現が望まれている。
【0009】
磁性材料の技術分野においては、アモルファス磁性薄膜に形成される安定磁区の微小さの程度は、当該磁性薄膜が積層形成される面の凹凸形状の影響を受け得ることが知られている。具体的には、当該積層対象面に適度な粗さの凹凸が存在し且つ当該凹凸が微細なほど、その上に形成されるアモルファス磁性薄膜において、より小さな安定磁区を形成できる傾向にあることが知られている。積層対象面の凹凸に起因して、アモルファス磁性薄膜の磁区構造に存在する磁壁の揺らぎ又は移動が抑制され(ピンニング作用)、その結果、当該アモルファス磁性膜の磁区構造が微細化されると考えられる。そのため、例えば磁気記録媒体では、アモルファス記録磁性層の微細化による高記録分解能化を図るべく、記録磁性層が積層形成される側の面に微細な凹凸を有する誘電体膜が、記録磁性層の下地膜として採用される場合がある。記録磁性層下地膜を採用する磁気記録媒体については、例えば特許文献1および特許文献2に開示されている。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−76329号公報
【特許文献2】
特開2001−134930号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、記録および再生に際して基板の側からの光の照射を伴ういわゆるバックイルミネーション方式であり、且つ、再生方式として上述のようなMSR方式、MAMMOS方式、またはDWDD方式を採用する従来の光磁気記録媒体において、磁気記録媒体で採用されている従来の下地膜を、記録層内部の磁区構造の微細化による高記録分解能化を図るために採用するのは現実的ではない。当該光磁気記録媒体では、再生層や中間層と当該中間層上に積層形成される記録層とが適切に交換結合する必要があるが、磁気記録媒体で採用されている従来の誘電体下地膜(非磁性体)を中間層−記録層間に設けると、そのような交換結合を消滅させてしまうからである。
【0012】
本発明はこのような事情の下で考え出されたものであって、アモルファス垂直磁化膜よりなる記録層を備える光磁気記録媒体において、高い記録分解能を達成することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の側面によると光磁気記録媒体が提供される。この光磁気記録媒体は、相互に並列する複数の柱状磁性粒子、および、当該複数の柱状磁性粒子の間に介在する非磁性領域を含む、グラニュラ層と、グラニュラ層上に積層形成された、少なくとも記録機能を担うための記録層と、を備えることを特徴とする。
【0014】
このような構成によると、アモルファス垂直磁化膜よりなる記録層を備える光磁気記録媒体において、高い記録分解能を達成することができる。本発明の第1の側面における記録層は、例えば希土類−遷移金属アモルファス合金垂直磁化膜などのアモルファス垂直磁化膜よりなり、且つ、記録機能のみ又は記録機能とともに再生機能を担う。また、記録層は、グラニュラ層上に積層形成されたものである。すなわち、当該記録層は、グラニュラ層を下地膜として形成されたものである。本発明のグラニュラ層は、当該層の厚さ方向に延びる複数の柱状磁性粒子(磁性コラム)と当該磁性粒子間に介在する非磁性領域とからなる。グラニュラ層における記録層との接触面は、微細な凹凸を有し得る。具体的には、当該グラニュラ層における記録層との接触面にて柱状磁性粒子の一部が非磁性領域から突き出た形態をとることにより、当該接触面は微細な凹凸を有し得る。グラニュラ層におけるこのような微細凹凸接触面の微小な凸部を核すなわち基点としてアモルファス磁性材料が堆積成長することによって記録層は形成されるので、当該記録層の内部において微細な磁区構造が得られるのである。記録層内部の磁区構造が微細なほど、当該記録層において、安定な記録マーク(磁区)をより微小に形成することが可能となり、従って、記録層の記録分解能が向上する。加えて、第1の側面に係る光磁気記録媒体においては、磁性を有する柱状磁性粒子がグラニュラ層に散在しているので、記録層とは反対の側にてグラニュラ層と面接触する所定の磁性層を設ける場合には、グラニュラ層ないし柱状磁性粒子を介する当該磁性層と記録層との間において、交換結合などの磁性的相互作用を実現することが可能である。
【0015】
このように、本発明の第1の側面に係る光磁気記録媒体においては、記録層の下地膜として設けられるグラニュラ層が、記録層内部の磁区構造を微細とするための凹凸を当該記録層との界面にて有し得る。したがって、第1の側面に係る光磁気記録媒体によると、記録層の記録分解能を適切に向上することができる。このよな光磁気記録媒体は、高記録密度化を達成するうえで好適である。
【0016】
本発明の第2の側面によると他の光磁気記録媒体が提供される。この光磁気記録媒体は、記録機能を担うための記録層と、再生機能を担うための再生層と、記録層および再生層の間に介在して当該記録層および再生層の交換結合状態を変化させるための中間層と、相互に並列する複数の柱状磁性粒子、および、当該複数の柱状磁性粒子の間に介在する非磁性領域を含み、記録層および中間層の間に介在して記録層に接するグラニュラ層と、を備えることを特徴とする。
【0017】
このような構成によると、再生層、記録層、およびこれらの間の中間層を必要とし且つ記録および再生に際して基板の側からの光の照射を伴ういわゆるバックイルミネーション方式の光磁気記録媒体において、第1の側面に係る構成を具備することができる。したがって、本発明の第2の側面によっても、第1の側面に関して上述したのと同様の効果が奏される。当該光磁気記録媒体においては、基板の側から再生層、中間層、グラニュラ層、および記録層が順次積層形成されている。
【0018】
加えて、第2の側面によると、磁性を有する柱状磁性粒子がグラニュラ層に散在しているので、記録層および中間層の間においてグラニュラ層を介して交換結合作用を実現することが可能である。したがって、第2の側面によると、記録機能を担うための記録層と、再生機能を担うための再生層と、記録層および再生層の間に介在して当該記録層および再生層の交換結合状態を変化させるための中間層とを構成要素に含む例えばMSR方式、MAMMOS方式、またはDWDD方式の光磁気記録媒体の記録層において、適切に高記録分解能化を図ることが可能である。
【0019】
本発明の第3の側面によると他の光磁気記録媒体が提供される。この光磁気記録媒体は、記録機能を担うための記録層と、再生機能を担うための再生層と、記録層および再生層の間に介在して当該記録層および再生層の交換結合状態を変化させるための中間層と、相互に並列する複数の柱状磁性粒子、および、当該複数の柱状磁性粒子の間に介在する非磁性領域を含み、中間層とは反対の側にて記録層に接するグラニュラ層と、を備えることを特徴とする。
【0020】
このような構成によると、再生層、記録層、およびこれらの間の中間層を必要とし、且つ、記録および再生に際して基板とは反対の側からの光の照射を伴ういわゆるフロントイルミネーション方式の光磁気記録媒体において、第1の側面に係る構成を具備することができる。したがって、本発明の第3の側面によっても、第1の側面に関して上述したのと同様の効果が奏される。当該光磁気記録媒体においては、基板の側からグラニュラ層、記録層、中間層、および再生層が順次積層形成されている。
【0021】
本発明の第1から第3の側面では、好ましくは、グラニュラ層において、柱状磁性粒子は非磁性領域よりも記録層へ突出している。柱状磁性粒子の突出の程度を調節することにより、記録層内部の磁区構造の微細の程度を調節することが可能である。
【0022】
好ましくは、柱状磁性粒子は、希土類−遷移金属アモルファス合金よりなり、垂直磁気異方性を有する。好ましくは、柱状磁性粒子および中間層は、同一の磁性材料よりなる。或は、柱状磁性粒子および中間層は異なる磁性材料よりなり、且つ、柱状磁性粒子のキュリー温度は、中間層のキュリー温度より高い。これらのような構成は、記録層内部の磁区構造の微細化を図りつつ、記録層とは反対の側にてグラニュラ層と面接触する所定の磁性層と記録層との間において磁性的相互作用を実現するうえで好適である。
【0023】
好ましくは、記録層、中間層、再生層、およびグラニュラ層は、MSR方式、MAMMOS方式、またはDWDD方式を実現するための多層構造をなす。本発明に基づく記録分解能向上という効果は、再生分解能に優れたMSR方式、MAMMOS方式、およびDWDD方式の光磁気記録媒体において本発明を実施する場合に特に実益が高い。
【0024】
好ましくは、複数の柱状磁性粒子の横断面平均径は10nm以下であり、且つ、複数の柱状磁性粒子における隣接粒子間の平均離隔距離は10nm以下である。また、グラニュラ層の厚さは5nm以下であるのが好ましい。グラニュラ層表面の凹凸形状の微細化を図りつつ、グラニュラ層にて良好な磁性を発現するという観点からは、これらのような構成が好適である。
【0025】
本発明の第4の側面によると、少なくとも記録機能を担うための記録層、および、当該記録層に接するグラニュラ層、よりなる積層構造を有する光磁気記録媒体を製造するための方法が提供される。この製造方法は、基材の上に、相互に並列する複数の柱状磁性粒子と当該複数の柱状磁性粒子の間に介在する非磁性領域とを含むグラニュラ層を形成するためのグラニュラ層形成工程と、柱状磁性粒子が非磁性領域よりも突出するように、グラニュラ層の露出積層面をエッチング処理する工程と、グラニュラ層上に磁性材料を成膜することによって記録層を形成するための工程と、を含むことを特徴とする。基材とは、グラニュラ層が積層形成されるベースとなる部材であって、基板単体、および、積層面に誘電体層などが既に積層形成された基板を含む。また、グラニュラ層の露出積層面とは、グラニュラ層において、記録層が積層形成される側の面である。
【0026】
このような方法によると、第1の側面に係る光磁気記録媒体を製造することができる。したがって、本発明の第4の側面によっても、製造される光磁気記録媒体において、第1の側面に関して上述したのと同様の効果が奏される。
【0027】
本発明の第4の側面において、好ましくは、グラニュラ層形成工程では、柱状磁性粒子形成用の磁性体ターゲットとともに非磁性領域形成用の非磁性体ターゲットを用いたコスパッタリング法、柱状磁性粒子形成用の磁性体および非磁性領域形成用の非磁性体の混合圧粉体からなるターゲットを用いたスパッタリング法、柱状磁性粒子形成用の磁性体ターゲットと当該磁性体ターゲット上に積層配置されている非磁性領域形成用の非磁性体チップとを含む複合ターゲットを用いたスパッタリング法、或は、非磁性領域形成用の非磁性体ターゲットと当該非磁性体ターゲット上に積層配置されている柱状磁性粒子形成用の磁性体チップとを含む複合ターゲットを用いたスパッタリング法により、グラニュラ層は形成される。これらのようなスパッタリング法によると、相互に並列する複数の柱状磁性粒子と当該複数の柱状磁性粒子の間に介在する非磁性領域とを含むグラニュラ層を適切に形成することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、本発明の第1の実施形態に係る光磁気記録媒体X1を表す。光磁気記録媒体X1は、基板Sと、記録層11と、再生層12と、中間層13と、グラニュラ層14と、誘電体層15,16とを備え、再生方式としてMSR、MAMMOS、またはDWDDの方式を採用し且つバックイルミネーション方式の光磁気ディスクとして構成されたものである。図1は、光磁気記録媒体X1の部分断面を模式的に表したものであり、図2は、光磁気記録媒体X1の情報トラックとして利用されるランド部および/またはグルーブ部における積層構成を表す。
【0029】
基板Sは、ランドおよびグルーブを含む所定の凹凸形状を有し、且つ、光磁気記録媒体X1の記録用レーザおよび再生用レーザに対して充分な透過性を有する。そのような基板Sは、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、エポキシ樹脂、またはポリオレフィン樹脂よりなる。或は、基板Sとしては、ガラス基板を採用してもよい。
【0030】
記録層11は、ランド部および/またはグルーブ部において記録機能を担う部位であり、希土類元素と遷移金属とを含むアモルファス合金よりなり、且つ、垂直磁気異方性を有して垂直方向に磁化された垂直磁化膜である。垂直方向とは、層を構成する磁性膜の膜面に対して垂直な方向をいう。他の層についても同様である。また、記録層11は、再生層12よりも大きな磁壁抗磁力を有する。記録層11を構成するアモルファス合金に含まれる希土類元素としては、Tb,Gd,Dy,Nd,またはPrなどを用いることができる。遷移金属としては、FeやCoなどを用いることができる。より具体的には、記録層11は、例えば、所定の組成を有するTbFeCо,DyFeCо,またはTbDyFeCоよりなる。記録層11の厚さは、例えば60nmである。
【0031】
再生層12は、ランド部および/またはグルーブ部において再生機能を担う部位であり、希土類元素と遷移金属とを含むアモルファス合金よりなり、且つ、垂直磁気異方性を有して垂直方向に磁化された垂直磁化膜である。また、再生層12は、記録層11よりも小さな磁壁抗磁力を有する。再生層12は、例えば、所定の組成を有するGdFeCо,GdDyFeCо,GdTbDyFeCо,NdDyFeCо,NdGdFeCо,またはPrDyFeCоよりなる。再生層12の厚さは、例えば30nmである。
【0032】
中間層13は、記録層11および再生層12の間に作用する交換結合を選択的かつ適切に中継および遮断する機能を担う部位であり、希土類元素と遷移金属とを含むアモルファス合金よりなり、且つ、垂直磁気異方性を有して垂直方向に磁化された垂直磁化膜である。また、中間層13は、記録層11および再生層12よりも低いキュリー温度を有する。中間層13は、例えば、所定の組成を有するGdFe,TbFe,GdFeCо,GdDyFeCо,GdTbDyFeCо,NdDyFeCо,NdGdFeCо,またはPrDyFeCоよりなる。中間層13の厚さは、例えば10nmである。
【0033】
グラニュラ層14は、その上に積層形成される記録層11の内部における磁区構造を微細化するための部位であり、複数の柱状の磁性粒子14aと非磁性領域14bとを含んでなる。磁性粒子14aは、例えばTbFeよりなる。非磁性領域14bは、例えばSiOやSiOよりなる。また、グラニュラ層14は、中間層13のキュリー温度以上の高いキュリー温度を有する。複数の磁性粒子14aは相互に並列して離隔し、当該磁性粒子間に介在する非磁性領域14bよりも記録層11へと突出している。したがって、グラニュラ層14における記録層11に対する接触面は、凹凸形状を有する。記録層11の磁区構造を適切に微細化するためには、このような凹凸形状を有するグラニュラ層14の表面の平均粗さRaは、好ましくは0.4〜0.8nmである。このような凹凸形状を達成するためには、複数の磁性粒子14aの横断面における平均直径は、例えば8〜10nmであり、隣接磁性粒子間の平均離隔距離は、例えば8〜10nmであり、非磁性領域14bからの磁性粒子14aの突出長さは、例えば1〜5nmである。また、グラニュラ層14の厚さは、例えば4〜5nmである。
【0034】
誘電体層15,16は、記録層11、再生層12、中間層13、およびグラニュラ層14が酸化されるのを抑制するための部位であり、例えば、SiN,SiO,SiO,YSiO,ZnSiO,AlO,またはAlNよりなる。誘電体層15は、再生層12からの反射光のカー回転角をみかけ上増大させるためのエンハンス機能を併有する層として構成してもよい。誘電体層15,16の厚さは、各々、例えば30〜70nmである。
【0035】
光磁気記録媒体X1は、誘電体層16の上に更に放熱層を有してもよい。当該放熱層は、レーザ照射時などに記録層11などにて発生する熱を効率よく放散させるための部位であり、例えば、Ag,Ag合金,Al合金(AlTi,AlCrなど),Au,またはPtなどの、高熱伝導材料よりなる。また、光磁気記録媒体X1は、必要に応じて、誘電体層16または存在する場合には放熱層の上に更に所定の保護膜を有してもよい。
【0036】
図3は、光磁気記録媒体X1の製造方法を表す。光磁気記録媒体X1の製造においては、まず、所定のランド・グルーブ形状を有する基板Sに対し、誘電体層15、再生層12、および中間層13を順次積層形成することによって、図3(a)に示すような積層構造体を形成する。各層は、各々に対応する所定の材料からなる単一の又は複数のターゲットを用いたスパッタリング法により、形成することができる。
【0037】
次に、スパッタリング法により、図3(b)に示すように、中間層13の上にグラニュラ構造膜14’を形成する。グラニュラ構造膜14’の形成においては、柱状磁性粒子形成用の上掲の磁性材料からなるターゲットとともに、非磁性領域形成用の上掲の非磁性材料からなるターゲットを用いたコスパッタリング法を採用することができる。或は、上掲の磁性材料および上掲の非磁性材料の混合圧粉体からなるターゲットを用いたスパッタリング法を採用してもよい。或は、柱状磁性粒子形成用の上掲の磁性材料からなるターゲットと、当該磁性体ターゲット上に積層配置されている非磁性領域形成用の上掲の非磁性材料からなるチップとを含む複合ターゲットを用いたスパッタリング法を採用してもよい。或は、非磁性領域形成用の上掲の非磁性材料からなるターゲットと、当該非磁性体ターゲット上に積層配置されている柱状磁性粒子形成用の上掲の磁性材料からなるチップとを含む複合ターゲットを用いたスパッタリング法を採用してもよい。
【0038】
光磁気記録媒体X1の製造においては、次に、図3(c)に示すように、非磁性領域14bを選択的にエッチングすることによって、グラニュラ構造膜14’の露出表面において、磁性粒子14aを非磁性領域14bから所定の長さ突出させる。これにより、光磁気記録媒体X1のグラニュラ層14が形成されることとなる。本工程におけるエッチング手法としては、RFスパッタエッチングを採用することができる。当該エッチングにおいて、エッチングガスとしては、磁性粒子14aおよび非磁性領域14bを構成する材料の組み合わせに応じて、例えば、塩化フッ素、フッ化アンモニウム、フッ化キセノン、またはフッ化水素を使用することができる。
【0039】
次に、図3(d)に示すように、スパッタリング法により各々に所定の材料を成膜することによって、グラニュラ層14の上に、記録層11および誘電体層16を順次形成する。このようにして、光磁気記録媒体X1を製造することができる。
【0040】
光磁気記録媒体X1においては、高い記録分解能を達成することができる。光磁気記録媒体X1の記録層11は、グラニュラ層14を下地膜として形成されたものであり、グラニュラ層14は、この層の厚さ方向に延びる複数の柱状の磁性粒子14aと当該磁性粒子間に介在する非磁性領域14bとからなる。グラニュラ層14における記録層11との接触面は、微細な凹凸を有する。具体的には、グラニュラ層14における記録層11との接触面にて磁性粒子14aの一部が非磁性領域14bよりも突き出た形態をとることにより、当該接触面は微細な凹凸を有する。グラニュラ層14におけるこのような微細凹凸接触面の微小な凸部を核すなわち基点としてアモルファス磁性材料が堆積成長することによって記録層11は形成されるため、当該記録層11の内部において微細な磁区構造が得られるのである。記録層11の内部の磁区構造が微細なほど、当該記録層において、安定な記録マーク(磁区)をより微小に形成することが可能であり、従って、記録層11において高い記録分解能を達成することが可能となる。
【0041】
加えて、光磁気記録媒体X1においては、磁性粒子14aの存在に起因してグラニュラ層14が磁性を有するので、中間層13と記録層11との間において、グラニュラ層14を介して適切に磁性的な交換相互作用を実現することができる。すなわち、中間層13は、再生層12と記録層11の間に作用し得る交換結合を中継および遮断する機能を適切に担うことができる。その結果、光磁気記録媒体X1において、MSR、MAMMOS、またはDWDDの再生方式を良好に実現することが可能なのである。
【0042】
このように、光磁気記録媒体X1においては、記録層11の下地膜として設けられるグラニュラ層14が、記録層11の内部の磁区構造を微細とするための凹凸を当該記録層11との界面にて有し、且つ、当該グラニュラ層14が、中間層13と記録層11との間に働く交換結合を適切に中継することができる。したがって、光磁気記録媒体X1によると、再生分解能に優れたMSR方式、MAMMOS方式、またはDWDD方式の光磁気ディスクにおいて適切に記録分解能を向上することができ、その結果、適切に高記録密度化を達成することが可能となるのである。
【0043】
図4および図5は、本発明の第2の実施形態に係る光磁気記録媒体X2を表す。光磁気記録媒体X2は、基板Sと、記録層11と、再生層12と、中間層13と、グラニュラ層14と、誘電体層15,16とを備え、再生方式としてMSR、MAMMOS、またはDWDDの方式を採用し且つフロントイルミネーション方式の光磁気ディスクとして構成されたものである。図4は、光磁気記録媒体X2の部分断面を模式的に表したものであり、図5は、光磁気記録媒体X2の情報トラックとして利用されるランド部および/またはグルーブ部における積層構成を表す。光磁気記録媒体X2は、異なる積層構成を有する点において光磁気記録媒体X1と相違する。基板Sおよび各層の構造および構成材料については、光磁気記録媒体X1に関して上述したのと同様である。
【0044】
また、光磁気記録媒体X2は、誘電体層15の上に更に放熱層を有してもよい。当該放熱層の構成材料については、光磁気記録媒体X1に関して上述したのと同様である。また、光磁気記録媒体X2は、必要に応じて、誘電体層15または存在する場合には放熱層の上に更に所定の保護膜を有してもよい。
【0045】
図6は、光磁気記録媒体X2の製造方法を表す。光磁気記録媒体X2の製造においては、まず、所定のランド・グルーブ形状を有する基板Sに対し、図6(a)に示すように誘電体層16を積層形成する。誘電体層16は、所定の材料からなる単一の又は複数のターゲットを用いたスパッタリング法により、形成することができる。
【0046】
次に、スパッタリング法により、図6(b)に示すように、誘電体層16の上に、磁性粒子14aおよび非磁性領域14bを含んでなるグラニュラ構造膜14’を形成する。このグラニュラ構造膜14’の形成においては、光磁気記録媒体X1のグラニュラ構造膜14’の形成方法に関して上述したのと同様のスパッタリング法を採用することができる。
【0047】
次に、図6(c)に示すように、非磁性領域14bを選択的にエッチングすることによって、グラニュラ構造膜14’の露出表面において磁性粒子14aを非磁性領域14bよりも所定の長さ突出させる。本工程におけるエッチング手法としては、RFスパッタエッチングを採用することができる。
【0048】
次に、図6(d)に示すように、スパッタリング法により各々に所定の材料を成膜することによって、グラニュラ層14の上に、記録層11、中間層13、再生層12、および誘電体層15を順次形成する。このようにして、光磁気記録媒体X2を製造することができる。
【0049】
光磁気記録媒体X2においては、光磁気記録媒体X1と同様に高い記録分解能を達成することができる。光磁気記録媒体X2の記録層11は、グラニュラ層14を下地膜として形成されたものであり、グラニュラ層14は、この層の厚さ方向に延びる複数の柱状の磁性粒子14aと当該磁性粒子間に介在する非磁性領域14bとからなる。グラニュラ層14における記録層11との接触面にて磁性粒子14aの一部が非磁性領域14bよりも突き出た形態をとることにより、当該接触面は微細な凹凸を有する。光磁気記録媒体X2においても、光磁気記録媒体X1と同様に、グラニュラ層14におけるこのような微細凹凸接触面の微小な凸部を核すなわち基点としてアモルファス磁性材料が堆積成長することによって、記録層11が形成され、その結果、当該記録層11の内部において、微細な磁区構造が得られる。したがって、光磁気記録媒体X2においても、光磁気記録媒体X1と同様に高い記録分解能を達成することができるのである。このように、光磁気記録媒体X2によると、再生分解能に優れたMSR方式、MAMMOS方式、またはDWDD方式の光磁気ディスクにおいて適切に記録分解能を向上することができ、その結果、適切に高記録密度化を達成することが可能となる。
【0050】
【実施例】
次に、本発明の実施例について比較例とともに説明する。
【0051】
【実施例1】
〔光磁気記録媒体の作製〕
図7に示す積層構成を有するDWDD方式かつバックイルミネーション方式の光磁気ディスクとして、本実施例の光磁気記録媒体を作製した。本実施例の光磁気記録媒体では、記録層、中間層、および再生層は、各々、DWDD方式再生を実現するための磁気特性を有する。
【0052】
本実施例の光磁気記録媒体の作製においては、まず、DCマグネトロンスパッタリング装置を使用して行うDCスパッタリング法により、光磁気ディスク用基板(ポリカーボネート製)の上にSiNを成膜することにより、厚さ70nmの誘電体層(エンハンス機能を有する)を形成した。具体的には、Siターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスおよびNガスを使用して行う反応性スパッタリングにより、基板上にSiNを成膜した。基板は、誘電体層積層面に所定のランドおよびグルーブを有する。本スパッタリングでは、ArガスおよびNガスの流量比を2.3:1とし、スパッタガス圧力を0.8Paとし、スパッタ電力を0.8kWとした。
【0053】
次に、DCスパッタリング法により誘電体層上にGdFeCоアモルファス合金(Gd25Fe55Cо20)を成膜することによって、厚さ30nmの再生層を形成した。本スパッタリングでは、GdFeCо合金ターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスを使用し、スパッタガス圧力を0.5Paとし、スパッタ電力を0.8kWとした。形成されたGd25Fe55Cо20再生層のキュリー温度は280℃であった。
【0054】
次に、DCスパッタリング法により再生層上にTbFeアモルファス合金(Tb20Fe80)を成膜することによって、厚さ10nmの中間層を形成した。本スパッタリングでは、TbFe合金ターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスを使用し、スパッタガス圧力を0.5Paとし、スパッタ電力を0.8kWとした。形成されたTb20Fe80中間層のキュリー温度は150℃であった。
【0055】
次に、DCスパッタリング法により中間層上に、Tb20Fe80よりなる柱状の磁性粒子と、SiOよりなる非磁性領域とからなる厚さ(磁性粒子の高さ)5nmのグラニュラ層を形成した。具体的には、まず、TbFe合金ターゲットおよびSiOターゲットを同時にDCスパッタリングするコスパッタリング法により、グラニュラ構造を有する膜を形成した。本スパッタリングでは、スパッタガス圧力を0.5Paとし、TbFe合金ターゲットのスパッタ電力を0.5kWとし、SiOターゲットのスパッタ電力を0.7kWとした。続いて、このようにして形成されたグラニュラ構造膜の露出表面を、RFスパッタリングによりエッチング処理した。本スパッタリングでは、エッチングガスとして塩化フッ素を使用し、スパッタガス圧力を1.0Paとし、RF投入電力を300kWとし、エッチング時間を約1分間とした。このようなエッチング処理により、磁性粒子が非磁性領域から約1nm突出する凹凸形状が形成された。このようにして、露出表面に微細な凹凸を有するグラニュラ層を形成した。形成されたグラニュラ層におけるTb20Fe80磁性粒子のキュリー温度は150℃であった。
【0056】
各実施例の媒体作製過程の途中、グラニュラ構造膜を形成した後であって当該膜表面のエッチング処理を行う前に、原子間力顕微鏡(商品名:SPA500、セイコーインスツルメント製)を使用して当該グラニュラ構造膜の表面を観察し、磁性粒子間の平均離隔距離を測定した。この平均離隔距離は、隣接磁性粒子間の最短距離の平均値に相当する。
【0057】
本実施例の光磁気記録媒体の作製においては、次に、DCスパッタリング法により、グラニュラ層上にTbFeCоアモルファス合金(Tb25Fe55Cо20)を成膜することによって、厚さ60nmの記録層を形成した。本スパッタリングにおいては、TbFeCо合金ターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスを使用し、スパッタガス圧力を1.0Paとし、スパッタ電力を0.5kWとした。形成されたTb25Fe55Cо20記録層のキュリー温度は270℃であった。
【0058】
次に、DCスパッタリング法により、記録層上にSiNを成膜することにより、誘電体層を形成した。具体的条件については、本実施例における上述のSiN誘電体層の形成に関して上述したのと同様である。
【0059】
次に、DCスパッタリング法により、誘電体層上にAgPdCuを成膜することにより、厚さ20nmの放熱層を形成した。本スパッタリングでは、AgPdCuターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスを使用し、スパッタガス圧力を0.5Paとし、スパッタ電力を0.2kWとした。以上のようにして、本実施例の光磁気記録媒体を作製した。
【0060】
〔記録再生特性〕
本実施例の光磁気記録媒体の記録再生特性を調べた。具体的には、まず、本実施例の光磁気記録媒体(光磁気ディスク)における情報トラックに対し、記録マークと同じ長さのスペースを介して所定のマーク長の記録マークを繰り返し記録した。当該記録処理は、テスタ(商品名:LM330A、シバソク製)を使用して光変調記録方式により行った。このテスタの対物レンズの開口数NAは0.65であり、レーザ波長は405nmである。当該記録処理では、記録用レーザのパワーを適宜変化させ、レーザ走査速度を3.0m/sとし、印加磁界を300Oeとした。次に、当該光磁気記録媒体を再生して、再生信号のCNR(dB)を測定した。当該再生処理は、同一のテスタ(商品名:LM330A、シバソク製)を使用して行い、レーザパワーを2.0mWとし、レーザ走査速度を3.0m/sとし、印加磁界を0Oeとした。再生信号の出力レベルは、スペクトルアナライザを使用して測定した。
【0061】
このような記録処理およびその後の再生処理を、記録マークのマーク長を変化させて、マーク長0.5μm、0.4μm、0.3μm、0.2μm、0.15μm、0.1μm、0.08μm、および0.06μmの各々の場合について行い、各記録マーク長におけるCNRを測定した。この結果を、図9のグラフにて線A1で表す。図9のグラフにおいては、横軸にて記録マーク長(μm)を表し、縦軸にてCNR(dB)を表す。
【0062】
【比較例】
〔光磁気記録媒体の作製〕
グラニュラ層を形成しない以外は実施例1と同様にして、基板上への誘電体層(SiN,厚さ70nm)の形成から放熱層(AgPdCu,厚さ20nm)の形成までを行うことによって、図8に示す積層構成を有する本比較例の光磁気記録媒体を作製した。この光磁気記録媒体は、実施例1と同様に、DWDD方式かつバックイルミネーション方式の光磁気ディスクである。
【0063】
〔記録再生特性〕
本比較例の光磁気記録媒体について、実施例1と同様にして、各記録マーク長ごとにCNRを測定した。この結果を、図9のグラフにて線A2で表す。
【0064】
【実施例2〜5】
〔光磁気記録媒体の作製〕
本発明の光磁気記録媒体においては、グラニュラ層の磁性コラム構造(非磁性母領域に柱状の磁性粒子が分散する構造)が微細であるほど、当該グラニュラ層における記録層との界面の凹凸が微細となり、記録層内部の磁区構造が微細化する傾向にある。グラニュラ層の表面凹凸の微細の程度は、磁性粒子の横断面のサイズ(直径)に依存し、当該サイズは、グラニュラ構造を形成する際の条件からの影響を受けると考えられる。そこで、磁性粒子横断面平均径の、グラニュラ構造膜形成時のスパッタリングにおける磁性体ターゲットのスパッタ電力依存性を調べるべく、実施例2〜5の光磁気記録媒体を作製した。
【0065】
具体的には、グラニュラ構造膜の形成において、非磁性領域形成用のSiOターゲットのスパッタ電力を0.7kWに代えて1.0kWとし、且つ、磁性粒子形成用のTbFeターゲットのスパッタ電力を0.5kWに代えて0.4kW(実施例2)、0.5kW(実施例3)、0.7kW(実施例4)、または0.9kW(実施例5)とした以外は、実施例1と同様にして、基板上への誘電体層(SiN,厚さ70nm)の形成から放熱層(AgPdCu,厚さ20nm)の形成までを行うことによって、実施例2〜5の各光磁気記録媒体を作製した。
【0066】
〔グラニュラ構造膜表面の観察〕
各実施例の媒体作製過程の途中、グラニュラ構造膜を形成した後であって当該膜表面のエッチング処理を行う前に、原子間力顕微鏡(商品名:SPA500、セイコーインスツルメント製)を使用して当該グラニュラ構造膜の表面を観察し、磁性粒子の平均粒径を測定した。この平均粒径は、柱状の磁性粒子の延び方向に対する横断面における平均直径に相当する。これらの結果は、図10のグラフにまとめる。
【0067】
【実施例6,7】
〔光磁気記録媒体の作製〕
本発明の光磁気記録媒体においては、上述のように、グラニュラ層の磁性コラム構造が微細であるほど、記録層内部の磁区構造が微細化する傾向にある。グラニュラ層の表面凹凸の微細の程度は、磁性粒子の横断面サイズに加えて、磁性粒子間の平均離隔距離にも依存し、当該距離は、グラニュラ構造を形成する際の条件から影響を受けると考えられる。そこで、磁性粒子間平均離隔距離の、グラニュラ構造膜形成時のスパッタリングにおける非磁性体ターゲットのスパッタ電力依存性を調べるべく、実施例6,7の光磁気記録媒体を作製した。
【0068】
具体的には、グラニュラ構造膜の形成において、非磁性領域形成用のSiOターゲットのスパッタ電力を0.7kWに代えて0.5kW(実施例6)または0.9kW(実施例7)とした以外は、実施例1と同様にして、基板上への誘電体層(SiN,厚さ70nm)の形成から放熱層(AgPdCu,厚さ20nm)の形成までを行うことによって、実施例6,7の各光磁気記録媒体を作製した。
【0069】
〔グラニュラ構造膜表面の観察〕
各実施例の媒体作製過程の途中、グラニュラ構造膜を形成した後であって当該膜表面のエッチング処理を行う前に、原子間力顕微鏡(商品名:SPA500、セイコーインスツルメント製)を使用して当該グラニュラ構造膜の表面を観察し、磁性粒子間の平均離隔距離を測定した。これらの結果は、実施例1の光磁気記録媒体に関して測定した平均離隔距離とともに、図11のグラフにまとめる。
【0070】
【評価】
〔CNR測定について〕
図9のグラフからは、実施例1の光磁気記録媒体は、比較例の光磁気記録媒体よりも記録分解能が高いことが判る。図9のグラフに表れているように、比較例の光磁気記録媒体におけるCNRは、記録マーク長が0.3μm以上の場合に対して、記録マーク長0.15μm程度で有意に低下し、記録マーク長が0.1μm以下では、実用に供し得る40dBを下回ってしまう。これに対し、実施例1の光磁気記録媒体におけるCNRは、記録マーク長が0.3μm以上の場合の高レベルを、記録マーク長0.1μm程度まで維持し、記録マーク長が0.08μmの場合であっても、実用に供し得る40dBを上回っている。このように、本発明に係る実施例1の光磁気記録媒体は、比較例の光磁気記録媒体よりも記録分解能に優れている。
【0071】
〔磁性粒子径について〕
図10のグラフからは、グラニュラ構造膜形成時のコスパッタリングにおいて磁性体ターゲットのスパッタ電力が高いほど、磁性粒子の平均粒径(横断面平均径)が大きくなることが判る。このような傾向を考慮することにより、適切に微細化しつつグラニュラ層を形成することができる。例えば、実施例2の光磁気記録媒体では、原子間力顕微鏡を使用したグラニュラ構造膜表面の観察により磁性粒子の分布にムラがあることが確認されているが、グラニュラ構造膜形成時のコスパッタリングにおける磁性体ターゲットのスパッタ電力を例えば0.5kW以上とすることにより、このようなムラを解消できることを確認している。
【0072】
〔磁性粒子離隔距離について〕
図11のグラフからは、グラニュラ構造膜形成時のコスパッタリングにおいて非磁性体ターゲットのスパッタ電力が高いほど、磁性粒子間の平均離隔距離が大きくなることが判る。このような傾向を考慮することにより、適切に微細化しつつグラニュラ層を形成することができる。例えば、実施例2の光磁気記録媒体では、原子間力顕微鏡を使用したグラニュラ構造膜表面の観察により磁性粒子どうしが結合する箇所が散見されることが確認されているが、グラニュラ構造膜形成時のコスパッタリングにおける非磁性体ターゲットのスパッタ電力を例えば0.7kW以上とすることにより、このような結合箇所を無くする又は有意に減少することができることを確認している。
【0073】
以上のまとめとして、本発明の構成およびそのバリエーションを以下に付記として列挙する。
【0074】
(付記1)相互に並列する複数の柱状磁性粒子、および、当該複数の柱状磁性粒子の間に介在する非磁性領域を含む、グラニュラ層と、
前記グラニュラ層上に積層形成された、少なくとも記録機能を担うための記録層と、を備えることを特徴とする、光磁気記録媒体。
(付記2)記録機能を担うための記録層と、
再生機能を担うための再生層と、
前記記録層および前記再生層の間に介在して当該記録層および再生層の交換結合状態を変化させるための中間層と、
相互に並列する複数の柱状磁性粒子、および、当該複数の柱状磁性粒子の間に介在する非磁性領域を含み、前記記録層および前記中間層の間に介在して前記記録層に接するグラニュラ層と、を備えることを特徴とする、光磁気記録媒体。
(付記3)記録機能を担うための記録層と、
再生機能を担うための再生層と、
前記記録層および前記再生層の間に介在して当該記録層および再生層の交換結合状態を変化させるための中間層と、
相互に並列する複数の柱状磁性粒子、および、当該複数の柱状磁性粒子の間に介在する非磁性領域を含み、前記中間層とは反対の側にて前記記録層に接するグラニュラ層と、を備えることを特徴とする、光磁気記録媒体。
(付記4)前記グラニュラ層において、前記柱状磁性粒子は前記非磁性領域よりも前記記録層へ突出している、付記1から3のいずれか1つに記載の光磁気記録媒体。
(付記5)前記柱状磁性粒子は、希土類−遷移金属アモルファス合金よりなり、垂直磁気異方性を有する、付記1から4のいずれか1つに記載の光磁気記録媒体。
(付記6)前記柱状磁性粒子および前記中間層は、同一の磁性材料よりなる、付記1から5のいずれか1つに記載の光磁気記録媒体。
(付記7)前記柱状磁性粒子のキュリー温度は、前記中間層のキュリー温度より高い、付記1から5のいずれか1つに記載の光磁気記録媒体。
(付記8)前記記録層、前記中間層、前記再生層、および前記グラニュラ層は、MSR方式、MAMMOS方式、またはDWDD方式を実現するための多層構造をなす、付記1から7のいずれか1つに記載の光磁気記録媒体。
(付記9)前記複数の柱状磁性粒子の横断面平均径は10nm以下であり、且つ、前記複数の柱状磁性粒子における隣接粒子間の平均離隔距離は10nm以下である、付記1から8のいずれか1つに記載の光磁気記録媒体。
(付記10)前記グラニュラ層の厚さは5nm以下である、付記1から9のいずれか1つに記載の光磁気記録媒体。
(付記11)少なくとも記録機能を担うための記録層、および、当該記録層に接するグラニュラ層、よりなる積層構造を有する光磁気記録媒体を製造するための方法であって、
基材の上に、相互に並列する複数の柱状磁性粒子と当該複数の柱状磁性粒子の間に介在する非磁性領域とを含むグラニュラ層を形成するためのグラニュラ層形成工程と、
前記柱状磁性粒子が前記非磁性領域よりも突出するように、グラニュラ層の露出積層面をエッチング処理する工程と、
前記グラニュラ層上に磁性材料を成膜することによって記録層を形成するための工程と、を含むことを特徴とする、光磁気記録媒体の製造方法。
(付記12)前記グラニュラ層形成工程では、柱状磁性粒子形成用の磁性体ターゲットとともに非磁性領域形成用の非磁性体ターゲットを用いたコスパッタリング法、柱状磁性粒子形成用の磁性体および非磁性領域形成用の非磁性体の混合圧粉体からなるターゲットを用いたスパッタリング法、柱状磁性粒子形成用の磁性体ターゲットと当該磁性体ターゲット上に積層配置されている非磁性領域形成用の非磁性体チップとを含む複合ターゲットを用いたスパッタリング法、或は、非磁性領域形成用の非磁性体ターゲットと当該非磁性体ターゲット上に積層配置されている柱状磁性粒子形成用の磁性体チップとを含む複合ターゲットを用いたスパッタリング法により、グラニュラ層は形成される、付記11に記載の光磁気記録媒体の製造方法。
【0075】
【発明の効果】
本発明によると、光磁気記録媒体において、アモルファス垂直磁化膜よりなる記録層の磁区構造を適切に微細化することができる。したがって、本発明によると、光磁気記録媒体において、記録層の記録分解能を向上することによって適切に高記録密度化を図ることが可能である。また、本発明は、再生分解能に優れたMSR方式、MAMMOS方式、およびDWDD方式の光磁気記録媒体において実施する場合に特に実益が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光磁気記録媒体の部分断面模式図である。
【図2】図1に示す光磁気記録媒体の積層構成を表す。
【図3】図1に示す光磁気記録媒体の製造方法を表す。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る光磁気記録媒体の部分断面模式図である。
【図5】図4に示す光磁気記録媒体の積層構成を表す。
【図6】図4に示す光磁気記録媒体の製造方法を表す。
【図7】実施例1の光磁気記録媒体の積層構成を表す。
【図8】比較例の光磁気記録媒体の積層構成を表す。
【図9】実施例1および比較例の各光磁気記録媒体におけるCNRの記録マーク長依存性を表す。
【図10】実施例2〜5に基づいて得られた、磁性粒子の横断面平均径のスパッタ電力依存性を表す。
【図11】実施例1,6,7に基づいて得られた、磁性粒子間平均離隔距離のスパッタ電力依存性を表す。
【符号の説明】
X1,X2 光磁気記録媒体
S 基板
11 記録層
12 再生層
13 中間層
14 グラニュラ層
14a 磁性粒子
14b 非磁性領域
15,16 誘電体層

Claims (5)

  1. 相互に並列する複数の柱状磁性粒子、および、当該複数の柱状磁性粒子の間に介在する非磁性領域を含む、グラニュラ層と、
    前記グラニュラ層上に積層形成された、少なくとも記録機能を担うための記録層と、を備えることを特徴とする、光磁気記録媒体。
  2. 記録機能を担うための記録層と、
    再生機能を担うための再生層と、
    前記記録層および前記再生層の間に介在して当該記録層および再生層の交換結合状態を変化させるための中間層と、
    相互に並列する複数の柱状磁性粒子、および、当該複数の柱状磁性粒子の間に介在する非磁性領域を含み、前記記録層および前記中間層の間に介在して前記記録層に接するグラニュラ層と、を備えることを特徴とする、光磁気記録媒体。
  3. 記録機能を担うための記録層と、
    再生機能を担うための再生層と、
    前記記録層および前記再生層の間に介在して当該記録層および再生層の交換結合状態を変化させるための中間層と、
    相互に並列する複数の柱状磁性粒子、および、当該複数の柱状磁性粒子の間に介在する非磁性領域を含み、前記中間層とは反対の側にて前記記録層に接するグラニュラ層と、を備えることを特徴とする、光磁気記録媒体。
  4. 前記グラニュラ層において、前記柱状磁性粒子は前記非磁性領域よりも前記記録層へ突出している、請求項1から3のいずれか1つに記載の光磁気記録媒体。
  5. 少なくとも記録機能を担うための記録層、および、当該記録層に接するグラニュラ層、よりなる積層構造を有する光磁気記録媒体を製造するための方法であって、
    基材の上に、相互に並列する複数の柱状磁性粒子と当該複数の柱状磁性粒子の間に介在する非磁性領域とを含むグラニュラ層を形成するためのグラニュラ層形成工程と、
    前記柱状磁性粒子が前記非磁性領域よりも突出するように、前記グラニュラ層の露出積層面をエッチング処理する工程と、
    前記グラニュラ層上に磁性材料を成膜することによって記録層を形成するための工程と、を含むことを特徴とする、光磁気記録媒体の製造方法。
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