JP2008181664A - 光磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】バックイルミネーション方式の光磁気記録媒体において、高い記録密度を達成すること。
【解決手段】本発明の光磁気記録媒体X1は、光透過性を有する基材Sと、記録機能および再生機能を担う磁性部11と、基材Sおよび磁性部11の間に介在し、光透過性を有した酸化金属膜で形成され、且つ、磁性部11に接して当該磁性部11の垂直磁気異方性を高めるためのコラム構造12a面を有する、補助層12と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、バックイルミネーション方式の光磁気記録媒体、および、その製造方法に関する。
近年、光磁気記録媒体が注目を集めている。光磁気記録媒体は、磁性材料における種々の磁気特性を利用して構成され、熱磁気的な記録および磁気光学効果を利用した再生という2つの機能を担う書換え可能な記録媒体である。光磁気記録媒体は、垂直磁化膜からなる記録層を有し、当該記録層において、磁化方向の変化として所定の信号が記録されている。この記録信号は、再生信号読み取り用の所定の光学系で読み取られる。このような光磁気記録媒体については、例えば下記の特許文献1,2に開示されている。
特開平6−111405号公報 特開平6−290496号公報
光磁気記録媒体の技術の分野では、再生信号読取り用の光学系における分解能の限界を超えて高密度に記録された信号を実用的に再生するための、種々の再生方式が開発されている。例えば、MSR(magnetic super resolution)、MAMMOS(magnetic amplifying magneto-optical system)、および、DWDD(domain wall displacement detection)である。
DWDD方式の光磁気記録媒体においては、記録層と、再生層と、これらの間の中間層とによる積層構造を有する磁性材料部が、所定の基板の上に設けられている。これら3層は、各々、一般に希土類−遷移金属アモルファス合金よりなる垂直磁化膜であり、非加熱時において隣接2層間に交換相互作用が働くように積層されている。記録層は相対的に大きな磁壁抗磁力を呈し、再生層は相対的に小さな磁壁抗磁力を呈し、中間層は他の2層より低いキュリー温度を有する。
記録層には、媒体の走査方向に沿って所定の信号が記録されている。具体的には、記録層には、媒体走査方向に連続して交互に磁化が反転し且つ記録信号に応じた所定の長さを各々が有する複数の磁区が形成されており、従って、走査方向に沿って記録信号に応じた間隔で起立する複数の磁壁が形成されている。再生層および中間層は、媒体温度が中間層のキュリー温度より低い温度条件の下では中間層を介して記録層と再生層とが交換結合し、且つ、媒体温度が中間層のキュリー温度を越える所定の温度条件の下では再生層内で磁壁移動現象が起こるように構成されている。媒体温度が中間層のキュリー温度より低い温度条件の下では、中間層を介して記録層と交換結合している再生層には、記録層と同方向に磁化された磁区と、磁区間の磁壁とが固定されている。媒体温度が中間層のキュリー温度より高い温度条件の下では、中間層の自発磁化が消失し、当該中間層を介する記録層および再生層の交換結合は切断される。その結果、磁壁抗磁力の小さな再生層において磁壁が移動可能となる。当該磁壁は、再生層内に温度勾配が存在する場合に、より高温な領域へと移動する。
上述のような構成の磁性材料部よりなる情報トラックが形成されているDWDD方式光磁気ディスクの再生動作においては、当該ディスクを回転させつつ情報トラックに再生用のレーザビームを照射することによって、当該情報トラックを走査する。このとき、磁性材料部よりなる情報トラックの内部には、ビーム照射領域において当該走査方向に温度勾配が生ずる。ビーム照射領域における、中間層のキュリー温度の等温線を、再生層の磁壁が当該走査に伴って低温領域から高温領域へと通過する瞬間に、当該磁壁は再生層内をより高温側へと移動する。再生層内をこのように磁壁が移動すると、当該磁壁移動領域の磁化は反転する。この磁化反転を、反射光の偏光面の変化として所定の光学系で検出することにより、磁壁移動が検知される。情報トラックに沿って再生用レーザビームを照射して磁壁移動を順次検知することにより、当該媒体の記録信号が読み取られることとなる。
このようなDWDD方式に基づく再生においては、再生用レーザビームのスポット全体ではなく、ビームスポット内の等温線(中間層のキュリー温度の等温線)により、情報トラックを構成する再生層ないし記録層の記録パターンが弁別される。したがって、DWDD方式においては、再生信号読取り用の光学系における分解能の限界を超えて記録層に高密度に記録された信号であっても、即ち最小記録マーク長がスポット径よりも小さな記録パターンであっても、再生することが可能なのである。例えば、再生用レーザビームとして赤レーザ(ビームスポット径:約1μm)を採用する場合であっても、長さ0.1μm以下の記録マークは再生され得る。
光磁気記録媒体においては、記録層に形成される安定な記録マークの長さが小さいほど、記録密度が大きくなる。上述のMSR方式、MAMMOS方式、DWDD方式の光磁気記録媒体においては、これらの再生分解能を充分に発揮すべく、記録層の高記録密度化に対する要求は特に強い。例えば、長さ0.1μm以下の連続した記録マークを安定に記録することが可能な記録層が望まれる。
このような微小な記録マークを形成するためには、記録層の構造を微細化する必要がある。すなわち、記録層において、その垂直磁気異方性を高めることによって、微小な磁区を安定に形成可能な磁性状態とする必要がある。
磁性材料の技術分野においては、磁性膜の磁性状態ないし磁気特性は、当該磁性膜が積層形成される下地膜の影響を受け得ることが知られている。そのため、例えば、記録および再生に際して光の照射を伴わない磁気記録媒体では、記録層(磁性膜)の磁性状態を所望に調整すべく、様々な材料よりなる下地膜が採用されている。
しかしながら、記録および再生に際して基板の側からの光の照射を伴うバックイルミネーション方式の従来の光磁気記録媒体において、磁気記録媒体で採用されている従来の下地膜を、記録層の垂直磁気異方性向上のために採用するのは現実的でない。当該光磁気記録媒体では、記録用および再生用の光(レーザ)が、基板と記録層を含む磁性材料部との間を充分に透過する必要があるのに対し、磁気記録媒体で採用されている従来の下地膜は充分な光透過性を有さないからである。
本発明はこのような状況の下で考え出されたものであって、バックイルミネーション方式の光磁気記録媒体において、高い記録密度を達成することを目的とする。
本発明の第1の側面によると光磁気記録媒体が提供される。この光磁気記録媒体は、光透過性を有する基材と、記録機能および再生機能を担う磁性部と、基材および磁性部の間に介在し、光透過性を有した酸化金属膜で形成され、且つ、磁性部に接して当該磁性部の垂直磁気異方性を高めるためのコラム構造面を有する、補助層と、を備える。光透過性を有するとは、本光磁気記録媒体の磁性部に対して照射される記録用レーザおよび再生用レーザを充分に透過させることをいう。
このような構成によると、バックイルミネーション方式の光磁気記録媒体において、高い記録密度を達成することができる。本発明の第1の側面における磁性部は、記録機能および再生機能を担い、従って、少なくとも記録層を含む。補助層は、このような磁性部と基材との間に介在し、磁性部と接触する面を有する。すなわち、基材の側から材料を成膜することによって各層が順次形成される本発明の光磁気記録媒体においては、磁性部は、補助層を下地膜として形成されるものである。本発明において、補助層における磁性部との接触面は、複数の細いコラムを含むコラム構造を有し、磁性部は、当該コラム構造上に所定の磁性材料が成膜されることによって形成される。補助層表面の細いコラムを核すなわち基点として磁性材料が堆積成長することによって、形成される磁性部したがってこれに含まれる記録層において、高い垂直磁気異方性が得られるのである。記録層の垂直磁気異方性が高いほど、当該記録層において、安定な記録マークをより微小に形成することが可能となり、その結果、記録層の記録密度を向上するうえで好適となる。
また、補助層は、記録用レーザおよび再生用レーザに対して光透過性を有する。したがって、当該補助層の存在は、本光磁気記録媒体の記録処理および再生を阻害しない。
このように、本発明の第1の側面に係る光磁気記録媒体においては、記録層を含む磁性部の下地膜として設けられる補助層が、磁性部したがって記録層の垂直磁気異方性を高めるためのコラム構造を当該磁性部との界面にて有し、且つ、充分な光透過性を有する。したがって、第1の側面に係る光磁気記録媒体によると、適切に高記録密度化を達成することができるのである。
本発明の第1の側面において、好ましくは、コラム構造面は複数のコラムを有し、当該複数のコラムの平均直径は5〜35nmである。この場合、コラム構造面は、0.6nm以下の平均表面粗さRaを有するのが好ましい。このような微細なコラム構造によると、磁性部したがって記録層の垂直磁気異方性を適切に確保することができる。
好ましくは、補助層をなす酸化金属膜は、Ag,Al,Ni,Ti,Zr,Y,およびRuからなる群より選択される金属の酸化物、若しくは、Ag,Al,Ni,Ti,Zr,Y,およびRuからなる群より選択される金属を含む合金の酸化物よりなる。本発明の補助層は、これらのような金属酸化物によって適切に形成することが可能である。
好ましくは、補助層は0.2〜5nmの厚さを有する。スパッタリング法などによる補助層の形成に際して補助層における磁性部との接触面においてコラム構造を充分に成長させ、且つ、補助層の光透過性を確保する、という観点からは、補助層の厚さはこのような範囲が好ましい。
好ましくは、補助層は2層以上の金属酸化物膜からなる。この場合、隣接する2つの金属酸化物膜は、異なる化学組成を有するのが好ましい。金属酸化物膜を積層形成することによって、補助層のコラム構造面の各コラムを細長く成長させることが可能な場合がある。
好ましくは、磁性部は、記録機能を担う記録層および再生機能を担う再生層を含む多層構造を有する。この場合、再生層はコラム構造面と接するのが好ましい。また、好ましくは、磁性部は、再生方式としてMSR方式、MAMMOS方式、またはDWDD方式を実現するための多層構造を有する。本発明は、垂直磁化膜よりなる記録層を具備する光磁気記録媒体において実施することができ、再生分解能に優れたMSR方式、MAMMOS方式、およびDWDD方式の光磁気記録媒体において実施する場合に特に実益が高い。
本発明の第2の側面によると、光透過性を有する基材と、記録機能および再生機能を担う磁性部と、基材および磁性部の間に介在して光透過性を有し、且つ、磁性部に接して当該磁性部の垂直磁気異方性を高めるためのコラム構造面を有する、補助層と、を備える光磁気記録媒体を製造するための方法が提供される。この製造方法は、基材の上に金属膜を形成するための工程と、金属膜を酸化することによって補助層を形成するための酸化工程と、補助層上に磁性材料を成膜することによって磁性部を形成するための工程と、を含む。ここで、基材とは、補助層が積層形成されるベースとなる部材であって、基板単体、および、積層面に誘電体層などが既に積層形成された基板を含む。
このような方法によると、第1の側面に係る光磁気記録媒体を製造することができる。したがって、本発明の第2の側面によっても、製造される光磁気記録媒体において、第1の側面に関して上述したのと同様の効果が奏される。
本発明の第3の側面によると、光透過性を有する基材と、記録機能および再生機能を担う磁性部と、基材および磁性部の間に介在して光透過性を有し、且つ、磁性部に接して当該磁性部の垂直磁気異方性を高めるためのコラム構造面を有する、補助層と、を備える光磁気記録媒体を製造するための他の方法が提供される。この製造方法は、基材の上に第1金属膜を形成するための工程と、第1金属膜を酸化することによって第1金属酸化物膜を形成するための第1酸化工程と、第1金属酸化物膜上に第2金属膜を形成するための工程と、第2金属膜を酸化して第2金属酸化物膜を形成することによって補助層を形成するための第2酸化工程と、補助層上に磁性材料を成膜することによって磁性部を形成するための工程と、を含む。
このような方法によると、第1の側面に係る光磁気記録媒体を製造することができる。したがって、本発明の第3の側面によっても、製造される光磁気記録媒体において、第1の側面に関して上述したのと同様の効果が奏される。
本発明の第4の側面によると、光透過性を有する基材と、記録機能および再生機能を担う磁性部と、基材および磁性部の間に介在して光透過性を有し、且つ、磁性部に接して当該磁性部の垂直磁気異方性を高めるためのコラム構造面を有する、補助層と、を備える光磁気記録媒体を製造するための他の方法が提供される。この製造方法は、基材の上に第1金属膜を形成するための工程と、第1金属膜上に第2金属膜を形成するための工程と、第1金属膜および第2金属膜を酸化することによって補助層を形成するための酸化工程と、補助層上に磁性材料を成膜することによって磁性部を形成するための工程と、を含む。
このような方法によると、第1の側面に係る光磁気記録媒体を製造することができる。したがって、本発明の第4の側面によっても、製造される光磁気記録媒体において、第1の側面に関して上述したのと同様の効果が奏される。
本発明の第2から第4の側面において、好ましくは、酸化工程では、金属膜は酸素雰囲気に晒される。或は、酸化工程では、金属膜は加熱されてもよい。或は、酸化工程では、金属膜には酸素プラズマエッチングが施されてもよい。一旦成膜された金属を酸化するためのこれらの手法は、微細なコラム構造を形成するうえ好適である。
本発明の第2の側面における金属膜、並びに、第3および第4の側面における第1金属膜および/または第2金属膜は、Ag,Al,Ni,Ti,Zr,Y,およびRuからなる群より選択される単体金属、または、Ag,Al,Ni,Ti,Zr,Y,およびRuからなる群より選択される2つ以上の金属を含む合金である。これらの金属は、微細なコラム構造面を有する補助層を形成するうえで好適である。
図1および図2は、本発明の第1の実施形態に係る光磁気記録媒体X1を表す。光磁気記録媒体X1は、熱磁気的な記録および磁気光学効果を利用した再生という2つの機能を担う書換え可能な、バックイルミネーション方式の光磁気ディスクとして構成されたものであり、基板Sと、磁性部11と、補助層12と、誘電体層13,14と、放熱層15とを備える。図1は、光磁気記録媒体X1の部分断面を模式的に表したものであり、図2は、光磁気記録媒体X1の情報トラックとして利用されるランド部および/またはグルーブ部における積層構成を表す。
基板Sは、ランドおよびグルーブを含む所定の凹凸形状を有し、且つ、光磁気記録媒体X1の記録用レーザおよび再生用レーザに対して充分な透過性を有する。そのような基板Sは、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、エポキシ樹脂、またはポリオレフィン樹脂よりなる。
磁性部11は、熱磁気的な記録および磁気光学効果を利用した再生という2つの機能を担うことが可能な、1または2以上の磁性膜よりなる磁性構造を有し、光磁気記録媒体X1における情報トラックを構成する。例えば、磁性部11は、記録機能および再生機能を併有する単一の記録層よりなる。或は、磁性部11は、相対的に保磁力が大きくて記録機能を担う記録層と、再生用レーザにおけるカー回転角が相対的に大きくて再生機能を担う再生層とからなる、2層構造を有する。或は、磁性部11は、MSR方式、MAMMOS方式、またはDWDD方式を実現するための、記録層、再生層、およびこれらの間の中間層よりなる3層構造を有する。
磁性部11のとり得る各構造における各層は、希土類元素と遷移金属とのアモルファス合金よりなり、垂直磁気異方性を有して垂直方向に磁化された垂直磁化膜である。垂直方向とは、各層を構成する磁性膜の膜面に対して垂直な方向をいう。希土類元素としては、Tb,Gd,Dy,Nd,またはPrなどを用いることができる。遷移金属としては、FeやCoなどを用いることができる。
より具体的には、記録層は、例えば、所定の組成を有するTbFeCо,DyFeCо,またはTbDyFeCоよりなる。再生層を設ける場合、当該再生層は、例えば、所定の組成を有するGdFeCо,GdDyFeCо,GdTbDyFeCо,NdDyFeCо,NdGdFeCо,またはPrDyFeCоよりなる。中間層を設ける場合、当該中間層は、例えば、所定の組成を有するGdFe,TbFe,GdFeCо,GdDyFeCо,GdTbDyFeCо,NdDyFeCо,NdGdFeCо,またはPrDyFeCоよりなる。各層の厚さは、磁性部11に所望される磁性構造に応じて決定される。
補助層12は、その上に積層形成される磁性部11の垂直磁気異方性を高めるためのコラム構造12aを磁性部11との界面にて有する。コラム構造12aには複数のコラムが含まれる。複数のコラムの平均直径は、好ましくは5〜35nmである。また、このようなコラム構造を有する補助層表面の平均粗さRaは、好ましくは0.6nm以下である。また、補助層12は、光磁気記録媒体X1に対する記録用レーザおよび再生用レーザに対して充分な透過性を有する。
磁性部11の垂直磁気異方性を高めるためのコラム構造12aを有するとともに、充分な光透過性を有するこのような補助層12は、Ag,Al,Ni,Ti,Zr,Y,またはRuの酸化物、若しくは、Ag,Al,Ni,Ti,Zr,Y,およびRuから選択される金属を含む合金の酸化物により構成されている。好ましくは、補助層12は、Ag2O,Al23,NiO,Ni23,TiO,TiO2,ZrO,ZrO2,Y23,RuO2,Ru23,AlTiO,AlCrO,NiRuO,またはZrRuOよりなる。また、補助層12の厚さは0.2〜5.0nmの範囲が好ましい。
誘電体層13,14は、磁性部11に対する外部からの磁気的影響を回避ないし抑制するための部位であり、例えば、SiN,SiO2,YSiO2,ZnSiO2,AlO,またはAlNよりなる。
放熱層15は、レーザ照射時などに磁性部11などにて発生する熱を効率よく拡散させるための部位であり、例えば、Ag,Ag合金,Al合金(AlTi,AlCrなど),Au,またはPtなどの高熱伝導材料よりなる。光磁気記録媒体X1は、必要に応じて、このような放熱層15の上に更に所定の保護膜を有してもよい。
このような構造を有する光磁気記録媒体X1の製造においては、基板Sに平滑化表面処理を施した後、まず、当該基板Sに対して誘電体層13を積層形成する。誘電体層13は、所定の材料からなる単一の又は複数のターゲットを用いたスパッタリング法により形成される。
次に、スパッタリング法により、誘電体層13の上に所定の金属を成膜する。当該金属は、Ag,Al,Ni,Ti,Zr,Y,またはRuの単体金属、若しくは、これらから選択される2つ以上の金属を含む合金である。
次に、形成された金属膜を酸化する。酸化により、金属膜の表面は針状化すなわち微細化し、その結果、補助層12が、その露出面にコラム構造12aを有して形成されることとなる。本工程では、金属膜を酸素雰囲気に晒すことによって酸化を達成することができる。或は、本工程では、金属膜を加熱してもよい。或は、本工程では、金属膜に対して酸素プラズマエッチングを施してもよい。或は、本工程では、これら酸化手法を組み合わせて金属膜を酸化させてもよい。酸素プラズマエッチングを採用する場合、金属膜の一部はエッチング除去されるので、前工程で形成される金属膜は、エッチング除去される量を考慮して厚く形成される。
次に、補助層12の上に磁性部11を形成する。具体的には、磁性部11の磁性構造に応じて、スパッタリング法により所定の磁性材料を補助層12の上に積層することによって、磁性部11を形成する。
次に、スパッタリング法により、磁性部11の上に誘電体層14および放熱層15を順次形成する。このようにして、光磁気記録媒体X1を作製することができる。
光磁気記録媒体X1においては、高い記録密度を達成することができる。光磁気記録媒体X1の有する磁性部11は、記録機能および再生機能を担い、従って、少なくとも記録層を含む。補助層12は、このような磁性部11と光透過性の基板Sとの間に介在し、磁性部11との接触面を有する。補助層12における磁性部11との接触面は、複数の細いコラムを含むコラム構造12aを有し、磁性部11は、当該コラム構造12aの上に所定の磁性材料が成膜されることによって形成される。補助層表面の細いコラムを核として磁性材料が堆積成長することによって、形成される磁性部11したがってそれに含まれる記録層において、高い垂直磁気異方性が得られるのである。記録層の垂直磁気異方性が高いほど、安定な記録マークをより微小に形成することが可能となり、その結果、当該記録層の記録密度を向上するうえで好適となる。
また、補助層12は、記録用レーザおよび再生用レーザに対して光透過性を有する。したがって、補助層12の存在は、光磁気記録媒体X1の記録処理および再生を阻害しない。
このように、光磁気記録媒体X1においては、記録層を含む磁性部11の下地膜として設けられる補助層12が、磁性部11したがって記録層の垂直磁気異方性を高めるためのコラム構造12aを磁性部11との界面にて有し、且つ、充分な光透過性を有する。したがって、光磁気記録媒体X1によると、適切に高記録密度化を達成することができるのである。このような光磁気記録媒体は、再生分解能に優れたMSR方式、MAMMOS方式、およびDWDD方式の光磁気ディスクとして実施する場合に特に実益が高い。
図3は、本発明の第2の実施形態に係る光磁気記録媒体X2の部分断面模式図である。光磁気記録媒体X2は、基板Sと、磁性部11と、補助層20と、誘電体層13,14と、放熱層15とを備え、情報トラックとして利用されるランド部および/またはグルーブ部において、光磁気記録媒体X1と同様の、図2に示すような積層構成を有する。光磁気記録媒体X2は、補助層12とは異なる補助層20を備える点において光磁気記録媒体X1と相違し、他の構成については光磁気記録媒体X1と同様である。
補助層20は、金属酸化物膜21およびその上の金属酸化物膜22よりなる積層構造を有する。金属酸化物膜21は、金属酸化物膜22との界面にて、複数のコラムを含むコラム構造を有する。また、金属酸化物膜22は、その上に積層形成される磁性部11の垂直磁気異方性を高めるためのコラム構造22aを磁性部11との界面にて有する。コラム構造22aには複数のコラムが含まれ、本実施形態では、当該複数のコラムの平均直径は5〜35nmである。また、本実施形態では、このようなコラム構造を有する補助層20の表面の平均粗さRaは0.6nm以下である。
また、補助層20を構成する金属酸化物膜21,22は、光磁気記録媒体X2に対する記録用レーザおよび再生用レーザに対して充分な透過性を有する。
金属酸化物膜21,22の構成材料としては、第1の実施形態における補助層12の構成材料として上掲した金属酸化物を採用することができる。
このような構造を有する光磁気記録媒体X2の製造においては、第1の実施形態において上述したのと同様に、まず、表面平滑化処理を施した基板Sに対して誘電体層13を積層形成する。
次に、第1金属膜形成工程において、スパッタリング法により、誘電体層13の上に所定の金属を成膜する。当該金属は、Ag,Al,Ni,Ti,Zr,Y,またはRu、若しくは、これらから選択される2つ以上の金属を含む合金である。次に、第1酸化工程において、形成された金属膜を酸化する。これにより、金属酸化物膜21が形成されることとなる。
次に、第2金属膜形成工程において、スパッタリング法により、金属酸化物膜21の上に所定の金属を成膜する。当該金属は、Ag,Al,Ni,Ti,Zr,Y,またはRu、若しくは、これらから選択される2つ以上の金属を含む合金である。好ましくは、第2金属膜形成工程にて形成される金属膜は、第1金属膜形成工程にて形成される金属膜とは異なる化学種よりなる。
補助層20の形成においては、次に、第2酸化工程において、第2金属膜形成工程にて形成された金属膜を酸化する。これにより、金属酸化物膜22が、その露出面にコラム構造22aを有して形成されることとなる。第1および第2酸化工程における金属膜の酸化手法については、第1の実施形態における酸化工程に関して上述したのと同様である。
金属酸化物膜22のコラム構造22aは、当該金属酸化物膜22が金属酸化物膜21の微細なコラム構造の上に形成されるため、より針状化すなわち微細化する傾向にある。金属酸化物膜22のコラム構造22aは、金属酸化物膜21のコラム構造上に成長形成されると考えられる。
補助層20の形成においては、上述のような手法に代えて、第1金属膜形成工程において形成した金属膜を酸化する前に、当該金属膜上に、第2金属膜形成工程にて更なる金属膜を積層形成し、その後、これら2つの金属膜を単一の酸化工程にて酸化してもよい。各金属膜形成工程にて用いられる金属材料、および、酸化工程における酸化方法については、上述の手法と同様である。このような手法によっても、金属酸化物膜21と微細なコラム構造22aを有する金属酸化物膜22とからなる補助層20を形成することができる。
光磁気記録媒体X2の製造においては、次に、このようにして形成された補助層20の上に、第1の実施形態に関して上述したのと同様にして、磁性部11、誘電体層14、および放熱層15を順次形成する。このようにして、光磁気記録媒体X2を作製することができる。
光磁気記録媒体X2においては、記録層を含む磁性部11の下地膜として設けられる補助層20が、磁性部11したがって記録層の垂直磁気異方性を高めるためのコラム構造22aを磁性部11との界面にて有し、且つ、充分な光透過性を有する。したがって、光磁気記録媒体X2によると、光磁気記録媒体X1と同様に、適切に高記録密度化を達成することができるのである。
加えて、光磁気記録媒体X2においては、金属酸化物膜21のコラム構造上に金属酸化物膜22が積層形成されているので、金属酸化物膜22ないし補助層20のコラム構造22aは、微細化する傾向にある。コラム構造22aが微細であるほど、その上に積層形成される磁性部11の垂直磁気異方性は高まる。
このような光磁気記録媒体X2は、再生分解能に優れたMSR方式、MAMMOS方式、およびDWDD方式の光磁気ディスクとして実施する場合に特に実益が高い。
〔実施例1〕
図4に示す積層構成を有する光磁気ディスクとして、本実施例の光磁気記録媒体を作製した。本実施例の光磁気記録媒体では、磁性部は単一の記録層よりなる。
本実施例の光磁気記録媒体の作製においては、まず、DCマグネトロンスパッタリング装置を使用して行うDCマグネトロンスパッタリング法により、光磁気ディスク用基板(ポリカーボネート製)の上に、厚さ75nmとなるまでSiNを成膜することにより、誘電体層を形成した。具体的には、Siターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスおよびN2ガスを使用して行う反応性スパッタリングにより、基板上にSiNを成膜した。基板は、誘電体層積層面に所定のランドおよびグルーブを有する。本スパッタリングでは、ArガスおよびN2ガスの流量比を2:1とし、スパッタガス圧力を0.3Paとし、スパッタ電力を0.5kWとした。以降の成膜についても、同一の装置を使用して行うDCマグネトロンスパッタリング法により行った。
次に、誘電体層上に、厚さ0.5nmとなるまでAgを成膜することにより、補助層形成用の金属膜を形成した。本スパッタリングでは、Agターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスを使用し、スパッタガス圧力を0.1Paとし、スパッタ電力を0.5kWとした。
次に、上述のようにして形成された金属膜を酸化した。具体的には、金属膜形成後のDCマグネトロンスパッタリング装置のスパッタリングチャンバ内にO2ガスを導入した後、ガス圧力1Paの条件で当該金属膜を3分間放置した。O2ガスを導入した後、ガス圧
力1Paの条件で金属膜を10分間放置することによっても、当該金属膜を酸化することができることを確認している。また、O2ガスを導入せずに、基板温度80℃の条件でチ
ャンバ内に金属膜を10分間放置することによっても、当該金属膜を酸化することができることを確認している。加えて、当該金属膜の酸化は、酸素プラズマエッチングにより行うことができることも確認している。この場合、例えば、チャンバ内の酸素ガス圧力を0.5Paとし、エッチング時間を20秒とする。
本実施例の光磁気記録媒体の作製においては、次に、補助層上に、厚さ25nmとなるまでTbFeCоアモルファス合金(Tb20Fe70Cо10)を成膜することによって、記録層を形成した。本スパッタリングでは、TbFeCо合金ターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスを使用し、スパッタガス圧力を0.5Paとし、且つ、スパッタ電力を0.5kWとした。形成されたTb20Fe70Cо10記録層のキュリー温度は200℃程度であった。
次に、記録層上に、厚さ15nmとなるまでSiNを成膜することにより、誘電体層を形成した。具体的条件については、本実施例における上述のSiN誘電体層の形成に関して上述したのと同様である。
次に、誘電体層上に、厚さ30nmとなるまでAgを成膜することにより、放熱層を形成した。本スパッタリングでは、Agターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスを使用し、スパッタガス圧力を0.1Paとし、スパッタ電力を0.5kWとした。以上のようにして、本実施例の光磁気記録媒体を作製した。
〔実施例2〜7〕
補助層形成用の金属膜を、Agの成膜に代えて、Al(実施例2)、Ni(実施例3)、Ti(実施例4)、Zr(実施例5)、Y(実施例6)、またはRu(実施例7)の成膜により形成し、且つ、その後の酸化処理において各金属膜に応じた条件(ガス圧力および放置時間)に変更した以外は、実施例1と同様にして、誘電体層(SiN,厚さ75nm)の形成から放熱層(Ag,厚さ30nm)の形成までを行うことによって、各実施例の光磁気記録媒体を作製した。
〔実施例8〕
図5に示す積層構成を有する光磁気ディスクとして、本実施例の光磁気記録媒体を作製した。本実施例の光磁気記録媒体では、磁性部は、記録層および再生層よりなる2層構造を有する。
本実施例の光磁気記録媒体の作製においては、まず、実施例1と同様に、光磁気ディスク用基板の上に、誘電体層(SiN,厚さ75nm)および補助層(酸化銀,厚さ0.5nm)を順次形成した。
次に、補助層上に、厚さ7nmとなるまでGdFeCоアモルファス合金(Gd22Fe58Cо20)を成膜することによって、再生層を形成した。本スパッタリングでは、GdFeCо合金ターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスを使用し、スパッタガス圧力を0.5Paとし、スパッタ電力を0.5kWとした。
次に、再生層上に、厚さ18nmとなるまでTbFeCоアモルファス合金(Tb20Fe70Cо10)を成膜することによって、記録層を形成した。本スパッタリングでは、TbFeCо合金ターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスを使用し、スパッタガス圧力を0.5Paとし、スパッタ電力を0.5kWとした。形成されたTb20Fe70Cо10記録層のキュリー温度は200℃程度であった。
次に、記録層上に、実施例1と同様に、誘電体層(SiN,厚さ15nm)および放熱層(Ag,厚さ30nm)を順次形成した。以上のようにして、本実施例の光磁気記録媒体を作製した。本実施例の光磁気記録媒体では、記録層は再生層よりも垂直保磁力が大きく、再生層は記録層よりも再生用レーザにおけるカー回転角が大きい。
〔実施例9〕
図6に示す積層構成を有するMSR方式の光磁気ディスクとして、本実施例の光磁気記録媒体を作製した。本実施例の光磁気記録媒体では、磁性部は、MSR方式再生を実現するための、記録層、再生層、およびこれらの間の中間層よりなる3層構造を有する。
本実施例の光磁気記録媒体の作製においては、まず、実施例1と同様に、光磁気ディスク用基板の上に、誘電体層(SiN,厚さ75nm)および補助層(酸化銀,厚さ0.5nm)を順次形成した。
次に、補助層上に、厚さ40nmとなるまでGdFeCоアモルファス合金(Gd25Fe62Co13)を成膜することによって、再生層を形成した。本スパッタリングでは、GdFeCо合金ターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスを使用し、スパッタガス圧力を0.5Paとし、スパッタ電力を0.5kWとした。形成されたGd25Fe62Co13再生層のキュリー温度は300℃程度であった。
次に、再生層上に、厚さ40nmとなるまでGdFeアモルファス合金(Gd31Fe69)を成膜することによって、中間層を形成した。本スパッタリングでは、GdFe合金ターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスを使用し、スパッタガス圧力を0.5Paとし、スパッタ電力を0.5kWとした。形成されたGd31Fe69中間層のキュリー温度は220℃程度であった。
次に、中間層の上に、厚さ50nmとなるまでTbFeCoアモルファス合金(Tb24Fe59Co17)を成膜することによって、記録層を形成した。本スパッタリングでは、TbFeCo合金ターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスを使用し、スパッタガス圧力を0.5Paとし、スパッタ電力を0.5kWとした。形成されたTb24Fe59Co17記録層のキュリー温度は280℃程度であった。
次に、記録層上に、実施例1と同様に、誘電体層(SiN,厚さ15nm)および放熱層(Ag,厚さ30nm)を順次形成した。以上のようにして、本実施例の光磁気記録媒体を作製した。本実施例の光磁気記録媒体では、記録層は再生層よりも垂直保磁力が大きく、再生層は記録層よりも再生用レーザにおけるカー回転角が大きく、中間層は他の層よりもキュリー温度が低い。
〔実施例10〕
図7に示す積層構成を有するMAMMOS方式の光磁気ディスクとして、本実施例の光磁気記録媒体を作製した。本実施例の光磁気記録媒体では、磁性部は、MAMMOS方式再生を実現するための、記録層、再生層、およびこれらの間の中間層よりなる3層構造を有する。
本実施例の光磁気記録媒体の作製においては、まず、実施例1と同様に、光磁気ディスク用基板の上に、誘電体層(SiN,厚さ75nm)および補助層(酸化銀,厚さ0.5nm)を順次形成した。
次に、補助層の上に、厚さ30nmとなるまでGdFeCоアモルファス合金(Gd27Fe62Co11)を成膜することによって、本実施例の再生層を形成した。本スパッタリングでは、GdFeCо合金ターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスを使用し、スパッタガス圧力を0.5Paとし、スパッタ電力を0.5kWとした。形成されたGd27Fe62Co11再生層のキュリー温度は240℃程度であった。
次に、再生層の上に、厚さ10nmとなるまでTbFeCoアモルファス合金(Tb20Fe79Co1)を成膜することによって、本実施例の中間層を形成した。本スパッタリングでは、TbFeCo合金ターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスを使用し、スパッタガス圧力を0.5Paとし、スパッタ電力を0.5kWとした。形成されたTb20Fe79Co1中間層のキュリー温度は130℃程度であった。
次に、中間層の上に、厚さ60nmとなるまでTbFeCoアモルファス合金(Tb27Fe57Co16)を成膜することによって、本実施例の記録層を形成した。本スパッタリングでは、TbFeCo合金ターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスを使用し、スパッタガス圧力を0.5Paとし、スパッタ電力を0.5kWとした。形成されたTb27Fe57Co16記録層のキュリー温度は260℃程度であった。
次に、記録層上に、実施例1と同様に、誘電体層(SiN,厚さ15nm)および放熱層(Ag,厚さ30nm)を順次形成した。以上のようにして、本実施例の光磁気記録媒体を作製した。本実施例の光磁気記録媒体では、記録層は再生層よりも垂直保磁力が大きく、再生層は記録層よりも再生用レーザにおけるカー回転角が大きく、中間層は他の層よりもキュリー温度が低い。
〔実施例11〕
図8に示す積層構成を有するMAMMOS方式の光磁気ディスクとして、本実施例の光磁気記録媒体を作製した。本実施例の光磁気記録媒体では、磁性部は、MAMMOS方式再生を実現するための、記録層、再生層、およびこれらの間の中間層よりなる3層構造を有する。
本実施例の光磁気記録媒体の作製においては、まず、実施例1と同様に、光磁気ディスク用基板の上に、誘電体層(SiN,厚さ75nm)を形成した。
次に、誘電体層上に、厚さ0.5nmとなるまでAgを成膜することにより、第1の金属膜を形成した。本スパッタリングでは、Agターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスを使用し、スパッタガス圧力を0.1Paとし、スパッタ電力を0.5kWとした。
次に、第1の金属膜上に、厚さ0.5nmとなるまでRuを成膜することにより、第2の金属膜を形成した。本スパッタリングでは、Ruターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスを使用し、スパッタガス圧力を0.2Paとし、スパッタ電力を0.5kWとした。
次に、上述のようにして形成された第1および第2の金属膜を酸化した。具体的には、金属膜形成後のDCマグネトロンスパッタリング装置のスパッタリングチャンバ内にO2ガスを導入した後、ガス圧力1Paの条件で当該金属膜を15分間放置した。このようにして、第1の金属酸化物膜および第2の金属酸化物膜よりなる積層構造を有する本実施例の補助層を形成した。
次に、補助層上に、実施例10と同様に、再生層(Gd27Fe62Co11,厚さ30nm)、中間層(Tb20Fe79Co1,厚さ10nm)、記録層(Tb27Fe57Co16,厚さ
60nm)、誘電体層(SiN,厚さ15nm)、および放熱層(Ag,厚さ30nm)を順次形成した。以上のようにして、本実施例の光磁気記録媒体を作製した。本実施例の光磁気記録媒体では、記録層は再生層よりも垂直保磁力が大きく、再生層は記録層よりも再生用レーザにおけるカー回転角が大きく、中間層は他の層よりもキュリー温度が低い。
〔実施例12〜21〕
補助層の厚さ(補助層形成用金属膜の厚さ)を、0.5nmに代えて、0.1nm(実施例12)、0.2nm(実施例13)、0.7nm(実施例14)、1.0nm(実施例15)、1.5nm(実施例16)、2.0nm(実施例17)、3.0nm(実施例18)、4.0nm(実施例19)、5.0nm(実施例20)、または6.0nm(実施例21)とした以外は、実施例1と同様に誘電体層(SiN,厚さ75nm)の形成から放熱層(Ag,厚さ30nm)の形成までを行うことによって、各実施例の光磁気記録媒体を作製した。
〔比較例1〕
図9に示す積層構成を有する光磁気ディスクとして、本比較例の光磁気記録媒体を作製した。具体的には、補助層形成用の金属膜の形成およびその後の酸化処理を行わなかったということ以外は、実施例1と同様に誘電体層(SiN,厚さ75nm)の形成から放熱層(Ag,厚さ30nm)の形成までを行うことによって、本比較例の光磁気記録媒体を作製した。
〔比較例2〜4〕
補助層形成用の金属膜の形成およびその後の酸化処理を行わなかったということ以外は、実施例8、実施例9、および実施例10と同様に、誘電体層(SiN,厚さ75nm)の形成から放熱層(Ag,厚さ30nm)の形成までを行うことによって、比較例2、比較例3、および比較例4の光磁気記録媒体を作製した。したがって、比較例2の光磁気記録媒体は、実施例8の光磁気記録媒体から補助層を除いた積層構成を有する。同様に、比較例3,4の各光磁気記録媒体は、対応する実施例9,10の光磁気記録媒体から補助層を除いた積層構成を有する。
〔補助層表面の観察〕
実施例1の媒体作製過程の途中、補助層上に記録層を形成する前に、原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメント製)を使用して補助層表面を観察した。観察により得られた表面形状を、図10にて模式的に表す。図10においては、補助層の断面にハッチングが付されている。補助層の表面には針状のコラムが複数形成されていた。実施例1における補助層の平均表面粗さRaは0.3nmであり、コラムの平均直径は12nmであった。コラムの半分の高さにおける直径を各コラムの直径として、当該平均直径を求めた。これらの結果は、図12の表に掲げる。
実施例2〜7,11における媒体作製過程の途中、補助層上に磁性部を形成する前に、実施例1と同様にして補助層表面を観察した。各実施例における補助層について、観察によって得られた平均表面粗さRaおよびコラム平均直径を、図12の表に掲げる。
各実施例における補助層のコラム構造は、補助層上に形成される磁性部(記録層)の露出面においても略維持されていることを確認している。
比較例1における媒体作製過程の途中、誘電体層上に記録層を形成する前に、実施例1と同様にして誘電体層表面を観察した。観察により得られた表面形状を、図11にて模式的に表す。図11では、誘電体層表面の断面が、ハッチングが付されて、図10と同一のスケールで表されている。本比較例における誘電体層の平均表面粗さRaは0.9nmであり、各凸形状をコラムとみなすとコラムの平均直径は53nmであった。これらの結果は、図12の表に掲げる。
図10および図11の比較より、実施例1における補助層表面のコラム構造は、比較例1における誘電体層表面の凹凸形状よりも、針状化ないし微細化していることが判る。
図12の表からは、実施例1〜7,11における補助層表面のコラム構造は、比較例1における誘電体層表面の凹凸形状よりも、微細であることが判る。
〔特性評価〕
実施例1,8〜11および比較例1〜5の各光磁気記録媒体の記録再生特性を調べた。
実施例1の光磁気記録媒体については、まず、実施例1の光磁気記録媒体(光磁気ディスク)における情報トラックに対し、充分に長いスペース(スペース長:2.0μm)を介して所定のマーク長の記録マークを繰り返し記録した。当該記録処理は、リード/ライトテスタを使用して光変調記録方式により行った。このテスタの対物レンズの開口数NAは0.6であり、レーザ波長は650nmである。当該記録処理では、記録用レーザのパワーを適宜変化させ、レーザ走査速度を6m/sとし、印加磁界を150Oeとした。次に、当該光磁気記録媒体を再生して、強度が最大となる再生信号のキャリアレベル(Cレベル)を測定した。当該再生処理は、同一のリード/ライトテスタを使用して行い、レーザパワーを1.5mWとし、レーザ走査速度を6m/sとし、印加磁界を0Oeとした。再生信号のCレベルは、スペクトルアナライザを使用して測定した。このような記録処理および再生処理を、記録マークのマーク長を変化させて、マーク長ごとに行った。一方、比較例1の光磁気記録媒体についても、同一の条件で記録再生特性を調べた。実施例1および比較例1の各光磁気記録媒体の特性評価の結果を、図13のグラフにて示す。図13のグラフにおいては、横軸にてマーク長を表し、縦軸にて、マーク長が充分に長い場合のCレベルからの変化を表す。横軸および縦軸については、後出の図14〜17のグラフにおいても同様である。
実施例8および比較例2の光磁気記録媒体については、実施例1の光磁気記録媒体と同様にして記録再生特性を調べた。実施例8および比較例2の各光磁気記録媒体の特性評価の結果を、図14のグラフにて示す。
実施例9の光磁気記録媒体については、まず、実施例9の光磁気記録媒体における情報トラックに対し、所定のマーク長の記録マークを繰り返し記録した。当該記録処理は、実施例1において使用したのと同一のリード/ライトテスタを使用して光変調記録方式により行った。当該記録処理では、記録用レーザのパワーを適宜変化させ、レーザ走査速度を6m/sとし、印加磁界を300Oeとした。次に、同一のリード/ライトテスタを使用して当該光磁気記録媒体を再生し、再生信号のCレベルを測定した。当該再生処理では、レーザパワーを2.7mWとし、レーザ走査速度を6m/sとし、印加磁界を300Oeとした。再生信号のCレベルは、スペクトルアナライザを使用して測定した。このような記録処理および再生処理を、記録マークのマーク長を変化させて、マーク長ごとに行った。比較例3の光磁気記録媒体についても、同一の条件で記録再生特性を調べた。実施例9および比較例3の各光磁気記録媒体の特性評価の結果を、図15のグラフにて示す。
実施例10の光磁気記録媒体については、まず、実施例10の光磁気記録媒体における情報トラックに対し、所定のマーク長の記録マークを繰り返し記録した。当該記録処理は、実施例1において使用したのと同一のリード/ライトテスタを使用してレーザストローブ磁界調記録方式により行った。当該記録処理では、記録用レーザのパワーを10mWとし、レーザ走査速度を6m/sとし、印加磁界を250Oeとした。次に、同一のリード/ライトテスタを使用して当該光磁気記録媒体を再生し、再生信号のCレベルを測定した。当該再生処理では、レーザパワーを2.2mWとし、レーザ走査速度を6m/sとし、印加磁界を0Oeとした。再生信号のCレベルは、スペクトルアナライザを使用して測定した。このような記録処理および再生処理を、記録マークのマーク長を変化させて、マーク長ごとに行った。比較例4の光磁気記録媒体についても、同一の条件で記録再生特性を調べた。実施例10および比較例4の各光磁気記録媒体の特性評価の結果を、図16のグラフにて示す。
実施例11の光磁気記録媒体については、実施例10の光磁気記録媒体と同一の条件で記録再生特性を調べた。実施例11の光磁気記録媒体の特性評価の結果を、比較例4の結果とともに、図17のグラフにて示す。
図13〜図17の各グラフに表れているように、マーク長が短い記録マークの再生に際し、本発明の実施例に係る光磁気記録媒体は、補助層を有さない以外は同一の積層構成を有する比較例に係る光磁気記録媒体よりも、高いCレベルを示す。したがって、実施例1,8〜11の光磁気記録媒体は、対応する比較例1〜4の光磁気記録媒体よりも、マーク長の短い記録マークを安定に記録するのに有利であることが判る。
〔補助層の厚さに対するコラム構造の依存性〕
補助層の厚さの異なる実施例12〜21の媒体作製過程の途中、補助層上に記録層を形成する前に、原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメント製)を使用して補助層表面を観察し、各補助層の平均表面粗さRaと平均コラム径を調べた。その結果を図18のグラフにて表す。当該グラフにおいては、横軸にて補助層厚さを表し、左縦軸にて平均表面粗さRaを表し、右縦軸にて平均コラム径を表す。補助層厚さ0nmにおける2つのプロットは、図12の表に掲げた比較例1に関するデータに対応する。図18のグラフでは、線31は、補助層厚さに対する平均表面粗さRaの依存性を表し、線32は、補助層厚さに対する平均コラム径の依存性を表す。
図18のグラフに表れているように、平均表面粗さRaおよびコラム径は、補助層厚さが0.1nmから0.2nmの間において共に急激に小さくなり、補助層厚さが0.2nmでは共に充分に小さい。また、補助層厚さが5nmを超えると、特にコラム径が有意に大きくなる。このように、図18のグラフからは、補助層厚さが0.2〜5.0nmの範囲において、補助層表面のコラム構造が微細であることが判る。したがって、本発明においては、補助層厚さは0.2〜5.0nmの範囲であるのが好ましいことが理解できよう。
本発明の第1の実施形態に係る光磁気記録媒体の部分断面模式図である。 本発明に係る光磁気記録媒体の積層構成を表す。 本発明の第2の実施形態に係る光磁気記録媒体の部分断面模式図である。 実施例1の光磁気記録媒体の積層構成を表す。 実施例8の光磁気記録媒体の積層構成を表す。 実施例9の光磁気記録媒体の積層構成を表す。 実施例10の光磁気記録媒体の積層構成を表す。 実施例11の光磁気記録媒体の積層構成を表す。 比較例1の光磁気記録媒体の積層構成を表す。 実施例1に関し、補助層表面付近の断面拡大模式図である。 比較例1に関し、誘電体層表面付近の断面拡大模式図である。 実施例1〜7,11の補助層および比較例1の誘電体層における平均表面粗さRaと平均コラム径が掲げられた表である。 実施例1および比較例1における特性評価の結果を表す。 実施例8および比較例2における特性評価の結果を表す。 実施例9および比較例3における特性評価の結果を表す。 実施例10および比較例4における特性評価の結果を表す。 実施例11および比較例4における特性評価の結果を表す。 補助層に関し、平均表面粗さRaの厚さ依存性、および、平均コラム径の厚さ依存性を表す。

Claims (2)

  1. 光透過性を有する基材と、
    記録機能および再生機能を担う磁性部と、
    前記基材および前記磁性部の間に介在し、光透過性を有した酸化金属膜で形成され、且つ、前記磁性部に接して当該磁性部の垂直磁気異方性を高めるためのコラム構造面を有する、補助層と、を備える、光磁気記録媒体。
  2. 前記酸化金属膜は、Ag,Al,Ni,Ti,Zr,YおよびRuからなる群より選択される金属の酸化物、若しくは、Ag,Al,Ni,Ti,Zr,YおよびRuからなる群より選択される金属を含む合金の酸化物よりなる、請求項1に記載の光磁気記録媒体。
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