JP2006260624A - 光磁気記録媒体 - Google Patents

光磁気記録媒体 Download PDF

Info

Publication number
JP2006260624A
JP2006260624A JP2005073006A JP2005073006A JP2006260624A JP 2006260624 A JP2006260624 A JP 2006260624A JP 2005073006 A JP2005073006 A JP 2005073006A JP 2005073006 A JP2005073006 A JP 2005073006A JP 2006260624 A JP2006260624 A JP 2006260624A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
magneto
recording
reproducing
reproduction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005073006A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshihide Fujita
芳英 藤田
Motonobu Mihara
基伸 三原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujitsu Ltd filed Critical Fujitsu Ltd
Priority to JP2005073006A priority Critical patent/JP2006260624A/ja
Publication of JP2006260624A publication Critical patent/JP2006260624A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】 情報再生時に磁壁移動ないし磁区拡大が生ずる再生層を有する光磁気記録媒体において、記録層に記録された記録マーク(磁区)について再生層への充分な磁区転写性を確保するとともに、情報再生時に再生層にて充分な磁壁駆動力を得ること。
【解決手段】 本発明の光磁気記録媒体X1は、垂直磁化膜よりなり記録機能を担う記録層11と、垂直磁化膜よりなり、磁壁移動を伴う再生機能を担う、再生層13と、記録層11および再生層13の間に介在し、当該記録層11および再生層13の交換結合状態を変化させるための、中間層12と、を含む積層構造を備える。本光磁気記録媒体X1の再生層13は、希土類金属と遷移金属とを含む合金よりなり、中間層12に近い部位ほど低い希土類金属濃度を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、情報再生時に磁壁移動ないし磁区拡大が生ずる再生層を有する光磁気記録媒体に関する。
光学的に情報が読み取られる光メディアの一形態として、光磁気記録媒体が知られている。光磁気記録媒体は、熱磁気的に記録され且つ磁気光学効果を利用して再生される書き換え可能な記録媒体である。また、光磁気記録媒体は、垂直磁化膜からなる記録層を有し、当該記録層において、磁化方向の変化として所定の信号が記録される。この記録信号は、所定の光学系で読み取られて再生信号として出力される。
光磁気記録媒体の技術分野では、読取り用の光学系における分解能の限界を超えて高密度に記録された信号を実用的に再生するための、磁壁移動ないし磁区拡大を伴う再生方式が開発されている。例えば、DWDD(domain wall displacement detection)や、MAMMOS(magnetic amplifying magneto-optical system)である。これらのような再生方式が採用される磁区拡大系の光磁気記録媒体については、例えば下記の特許文献1や特許文献2に記載されている。
特開平6−290496号公報 特開2001−56977号公報
図11は、従来の磁区拡大系光磁気記録媒体の一例である光磁気ディスクX3の径方向の部分断面を表す。光磁気ディスクX3は、基板S2と、記録磁性部30と、熱伝導層41と、誘電体層42,43と、保護膜44とからなる積層構造を有し、フロントイルミネーション方式の光磁気ディスクとして構成されたものである。
記録磁性部30は、記録層31と、中間層32と、再生層33とからなる積層構造を有する。これら三層は、各々、一様な組成の希土類−遷移金属アモルファス合金よりなる垂直磁化膜である。記録層31は、例えばTbFeCoよりなり、相対的に大きな磁壁抗磁力を呈し、再生層33は、例えばGdFeCoよりなり、相対的に小さな磁壁抗磁力を呈し、中間層32は、例えばTbFeよりなり、他の二層より低いキュリー温度を有し、これら三層は、中間層32のキュリー温度より低い温度条件下において隣接二層間に交換相互作用が働くように積層されている。
熱伝導層41は、レーザビーム照射時に記録磁性部30などにて発生する熱を効率よく基板S2の側へ伝えるための部位であり、高熱伝導材料よりなる。誘電体層42,43は、記録磁性部30に対する外部からの不当な磁気的影響などを回避するための部位である。保護膜44は、記録磁性部30を特に塵埃から保護するための部位であり、光透過性の樹脂材料よりなる。
光磁気ディスクX3への情報記録においては、光磁気ディスクX3を回転させた状態で、記録用のレーザビームを保護膜44の側から記録磁性部30に向けて照射することにより記録層31を局所的に順次昇温させつつ、当該昇温箇所に所定の磁界が印加される。このようにして、記録磁性部30内の記録層31には、ディスク周方向に沿って所定の信号が記録される。具体的には、記録層31には、ディスク周方向に延びる情報トラックに沿って連続して交互に磁化が反転し且つ記録信号に応じた所定の長さを各々が有する複数の記録マーク(磁区)が形成される。中間層32のキュリー温度より低い温度条件の下では、記録層31と中間層32とは交換結合し且つ中間層32と再生層33とは交換結合し、再生層33および中間層32には、記録層31の記録マークに対応して磁化された磁区と、磁区間の磁壁とが形成される。
図12は、光磁気ディスクX3の再生方法を表す。図の簡潔化の観点より、図12では、光磁気ディスクX3について、記録磁性部30の周方向の部分断面以外を省略する。光磁気ディスクX3の情報再生においては、光磁気ディスクX3を回転させた状態で、再生用のレーザビームLを情報トラックに沿って再生層33の側から記録磁性部30に対して照射する。照射領域の光磁気ディスクX3に対する相対移動方向を矢印Dで表す。レーザビームLの照射により、記録磁性部30内は局所的に昇温し、記録磁性部30内には、例えば図12のグラフに示すように、ディスク周方向に温度勾配が生じる。そして、中間層32には、そのキュリー温度T5以上に昇温して自発磁化が消失した領域R(斜線ハッチングを付して表す)が生じる。
このような照射領域における、中間層32のキュリー温度T5の等温線を、記録層31の所定の磁区31aに対応する再生層33の磁区33aの磁壁33a’が照射領域移動に伴って低温領域から高温領域へと通過する瞬間に、当該磁壁33a’は再生層33内をより高温側へと移動する。照射領域移動方向Dにおける前方から後方に向けて再生層33内をこのように磁壁33a’が移動すると、当該磁壁移動領域の磁化は反転する。この磁化反転を、再生層33の表面にて反射した光の偏光面の変化として所定の光学系で検出することにより、磁壁移動が検知される。情報トラックに沿って再生用のレーザビームLを照射して磁壁移動を順次検知することにより、光磁気ディスクX3の記録信号が読み取られることとなる。そして、記録層31の所定の磁区31bが所定の昇温領域を抜け出るときに、当該磁区31bに対応して中間層32に磁区32bが形成され、更に当該磁区32bに対応して再生層33に磁区33bが形成され、記録層31に形成されている記録マーク(磁区)は再生層33へと転写される。
光磁気ディスクX3において適切に高記録密度化を図るためには、記録層31に短い記録マーク(磁区)を形成した場合に当該記録マークに対応した磁区を再生層33に適切に形成するのに充分な、磁区転写性を確保する必要がある。
光磁気ディスクX3においては、再生層33について、室温付近に補償温度を有する組成(補償組成)となるように希土類金属濃度を比較的低く設定すると(希土類金属がGdの場合は例えば25at%程度に設定すると)、比較的高い磁区転写性が得られる。補償組成となるように再生層33の希土類金属濃度を比較的低く設定すると、室温から中間層32のキュリー温度付近にわたる温度領域において、再生層33の飽和磁化が比較的小さくなって再生層33の垂直磁気異方性が比較的強くなり、また、再生層33の垂直磁気異方性が強くなるほど、記録層31に形成された記録マーク(磁区)の再生層33への転写性は向上するからである。しかしながら、再生層33の希土類金属濃度を低く設定することにより、中間層32のキュリー温度付近での再生層33の飽和磁化が小さくなると、情報再生時に再生層33内に形成される浮遊磁界(再生層33内のディスク周方向およびトラック横断方向の温度勾配に起因して形成される)が小さくなる。再生層33内での磁壁移動ないし磁区拡大の主駆動力は、再生層33内におけるディスク周方向の温度勾配に起因して生ずる磁壁エネルギー密度の勾配であり、磁壁を高温側へと変位させるように作用するところ、情報再生時に再生層33内に形成される浮遊磁界は、情報再生時の再生層33内の磁壁に対し、磁壁駆動力に寄与するように作用する場合がある。そのため、光磁気ディスクX3では、再生層33の希土類金属濃度を低く設定すると、再生層33において発生浮遊磁界が小さすぎて充分な磁壁駆動力が得られない場合がある。
一方、光磁気ディスクX3の再生信号について充分なCNR(キャリアノイズ比)や再生信号振幅を得るためには、情報再生時に再生層33にて充分な磁壁駆動力を得る必要がある。
光磁気ディスクX3においては、再生層33について、希土類磁化優勢組成(REリッチ組成)において希土類金属濃度を比較的高く設定すると(希土類金属がGdの場合は例えば31at%に設定すると)、情報再生時に比較的大きな磁壁駆動力を得られる場合がある。REリッチ組成において再生層33の希土類金属濃度を比較的高く設定すると、中間層32のキュリー温度付近での再生層33の飽和磁化は比較的大きくなり、それに応じて、情報再生時に再生層33内に形成される浮遊磁界は大きくなる。この浮遊磁界は、上述のように、情報再生時の再生層33内の磁壁に対し、磁壁駆動力に寄与するように作用する場合があるため、この場合には、再生層33において、希土類金属濃度を高く設定して大きな浮遊磁界を発生させることにより、情報再生時に大きなな磁壁駆動力を得ることができるのである。しかしながら、REリッチ組成における再生層33の希土類金属濃度が高くなるほど、室温から中間層32のキュリー温度にわたる温度領域において、再生層33の飽和磁化は大きくなって垂直磁気異方性は弱くなる場合があり、従って、記録層31に形成された記録マーク(磁区)の再生層33への転写性は低下してしまう場合がある。
以上のように、従来の光磁気ディスクX3では、充分な磁区転写性を確保しつつ充分な磁壁駆動力を得ることが、困難な場合がある。本発明は、このような事情の下で考え出されたものであって、情報再生時に磁壁移動ないし磁区拡大を生ずる再生層を有する光磁気記録媒体において、記録層に記録された記録マーク(磁区)について再生層への充分な転写性を確保するとともに、情報再生時に再生層にて充分な磁壁駆動力を得ることを、目的とする。
本発明の第1の側面によると、光磁気記録媒体が提供される。本光磁気記録媒体は、垂直磁化膜よりなり記録機能を担う記録層と、垂直磁化膜よりなり、磁壁移動を伴う再生機能を担う、再生層と、記録層および再生層の間に介在し、当該記録層および再生層の交換結合状態を変化させるための、中間層と、を含む積層構造を備える。また、本光磁気記録媒体の再生層は、希土類金属と遷移金属とを含む合金よりなり、中間層に近い部位ほど低い希土類金属濃度を有する。
このような構成の光磁気記録媒体においては、記録層に記録された記録マーク(磁区)について再生層への充分な転写性を確保するとともに、情報再生時に再生層にて充分な磁壁駆動力を得ることが可能である。
磁区拡大系光磁気記録媒体の技術分野においては、希土類金属として例えばGdを含む再生層(希土類−遷移金属アモルファス合金よりなる垂直磁化膜)について、補償組成となるように希土類金属濃度を比較的低く設定すると、上述のように、室温から中間層のキュリー温度付近にわたる温度領域において、再生層の飽和磁化は小さくなって垂直磁気異方性は強くなり、従って転写性は向上することが知られている。また、磁区拡大系光磁気記録媒体の技術分野においては、情報再生時に再生層内に形成される浮遊磁界が再生層における磁壁駆動力の増大に資するように設定される場合には、希土類金属として例えばGdを含むREリッチ組成における再生層の希土類金属濃度を比較的高く設定すると、上述のように、中間層のキュリー温度付近での再生層の飽和磁化は比較的大きくなって磁壁駆動力は増大することが知られている。磁区拡大系光磁気記録媒体の再生層においては、一般に、記録層からの磁区転写を中継する中間層に近い部位の特性が再生層全体の磁区転写性に支配的に寄与し、また、中間層とは反対側の再生層表面近傍の部位の特性が再生層全体の磁壁移動性(磁壁移動の生じやすさ)に支配的に寄与すると考えられるところ、本発明の第1の側面に係る光磁気記録媒体の再生層においては、中間層に近い部位ほど磁区転写性が高くなるように、中間層に近い部位ほど希土類金属濃度が低くされて垂直磁気異方性は強く設定され、且つ、中間層から遠い部位ほど、情報再生時に生ずる磁壁駆動力が大きくなるように、中間層から遠い部位ほど希土類金属濃度が高くされて飽和磁化は大きく設定されているので、再生層全体として、充分な転写性を確保するとともに、情報再生時に充分な磁壁駆動力を得ることが可能なのである。このような光磁気記録媒体は、高記録密度化の実効を図るとともに充分なCNRおよび再生信号振幅を得るうえで、好適である。
本発明の第2の側面によると、光磁気記録媒体が提供される。本光磁気記録媒体は、垂直磁化膜よりなり記録機能を担う記録層と、複数の垂直磁化膜よりなり、磁壁移動を伴う再生機能を担う、再生層と、記録層および再生層の間に介在し、当該記録層および再生層の交換結合状態を変化させるための、中間層と、を含む積層構造を備える。また、本光磁気記録媒体の再生層の各垂直磁化膜は、希土類金属と遷移金属とを含む合金よりなり、中間層に近い垂直磁化膜ほど低い希土類金属濃度を有する。
磁区拡大系光磁気記録媒体の再生層においては、上述のように、記録層からの磁区転写を中継する中間層に近い部位の特性が再生層全体の磁区転写性に支配的に寄与し、また、中間層とは反対側の再生層表面近傍の部位の特性が再生層全体の磁壁移動性に支配的に寄与すると考えられるところ、本発明の第2の側面に係る光磁気記録媒体の再生層においては、中間層に近い垂直磁化膜ほど、磁区転写性が高くなるように垂直磁気異方性は強く設定され、且つ、中間層から遠い垂直磁化膜ほど、情報再生時に生ずる磁壁駆動力が大きくなるように飽和磁化は大きく設定されているので、第1の側面に係る光磁気記録媒体と同様に、再生層全体として、充分な転写性を確保するとともに、情報再生時に充分な磁壁駆動力を得ることが可能なのである。
本発明の第1および第2の側面において、好ましい実施の形態では、希土類金属はGdを含み、再生層の各部におけるGd濃度は23〜31at%(アトミックパーセント)である。より好ましくは、再生層の各部におけるGd濃度は25〜31at%である。このようなGd濃度の範囲は、再生層を垂直磁化膜たらしめるうえで好適である。
好ましくは、遷移金属はCoを含み、再生層のキュリー温度が当該再生層の膜厚方向で略一定となるように、再生層におけるCo濃度が調整されている。このような構成は、情報再生時におけるカー回転角の低下など、再生信号の劣化を抑制するうえで、好適である。
再生層を構成する遷移金属にCoが含まれる場合、好ましくは、再生層におけるCo濃度は一様である。このような構成は、再生層のキュリー温度を当該再生層の膜厚方向で略一定とするうえで、好適である。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光磁気ディスクX1の径方向の部分断面を表す。光磁気ディスクX1は、基板S1と、記録磁性部10と、誘電体層21と、熱伝導層22と、誘電体層23,24と、保護膜25とを備え、フロントイルミネーション方式の光磁気ディスクとして構成されたものである。また、光磁気ディスクX1は、誘電体層21から保護膜25までの構造を基板S1の片側のみ又は両側に有する。
基板S1は、光磁気ディスクX1の剛性を確保するための部位であり、渦巻き状または同心円状のプリグルーブが形成された所定の凹凸形状を表面に有する。この凹凸形状を基に、光磁気ディスクX1におけるランドグルーブ形状が形成されている。また、基板S1は、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、エポキシ樹脂、またはポリオレフィン樹脂よりなる。
記録磁性部10は、記録層11、中間層12、および再生層13よりなる積層構造を有し、後に詳述するように、再生層13内での磁壁移動ないし磁区拡大を伴う磁区拡大系再生方式(例えばDWDDやMAMMOS)に基づいて再生可能に構成されている。
記録層11は、光磁気ディスクX1において記録機能を担う部位であり、希土類金属と遷移金属とを含むアモルファス合金よりなり、且つ、垂直磁気異方性を有して垂直方向に磁化された垂直磁化膜である。垂直方向とは、層を構成する磁性膜の膜面に対して垂直な方向をいう。このような記録層11は、例えば、所定の組成比のTbFeCo、DyFeCo、またはTbDyFeCoよりなる。また、記録層11の厚さは、例えば15〜90nmである。
中間層12は、記録層11および再生層13の交換結合状態を変化させるための部位であって、昇温によりそのキュリー温度T1にて垂直磁化状態から自発磁化消失状態に転移(状態変化)し且つ降温によりキュリー温度T1にて自発磁化消失状態から垂直磁化状態に転移する希土類−遷移金属アモルファス合金よりなる。本実施形態では、中間層12のキュリー温度T1は、例えば110〜170℃であり、従って、室温において中間層12は垂直磁化膜である。このような中間層12は、例えば所定の組成比のTbFeまたはTbFeCoよりなり、その厚さは、例えば3〜15nmである。
再生層13は、磁壁移動ないし磁区拡大を伴う再生機能を担う部位であり、希土類−遷移金属アモルファス合金よりなる垂直磁化膜である。再生層13を構成する希土類−遷移金属アモルファス合金としては、例えばGdFeCoやGdFeを採用することができる。再生層13の厚さは例えば10〜35nmである。
再生層13を構成する希土類−遷移金属アモルファス合金の組成比は、再生層13の膜厚方向で連続的に変化しており、希土類金属濃度については、再生層13において中間層12に近い部位ほど低い(即ち、中間層12から遠い部位ほど高い)。再生層13の図1中下端およびその近傍については、例えば図2に示すように室温付近に補償温度T2(<T1)を有する組成(補償組成)となるように希土類金属濃度を比較的低く設定し、再生層13の図1中上端およびその近傍については、例えば図2に示すように比較的高温域に補償温度T2’を有するように、希土類磁化優勢組成(REリッチ組成)において希土類金属濃度を比較的高く設定し、当該下端から当該上端にかけて希土類金属濃度が連続的に増大するように設定する。図2において、実線2Aは、再生層13の図1中下端およびその近傍を構成する希土類−遷移金属アモルファス垂直磁化膜の飽和磁化の温度依存性の一例に相当し、一点鎖線2Bは、再生層13の図1中上端およびその近傍を構成する希土類−遷移金属アモルファス垂直磁化膜の飽和磁化の温度依存性の一例に相当する。
例えば、再生層13がGdFeCoやGdFeからなる場合には、希土類金属であるGdの濃度は、再生層13において中間層12に近い部位から中間層12から遠い部位にわたって次第に増大するように設定されている。当該Gd濃度は、再生層13の図1中下端にて好ましくは23at%以上に設定され、再生層13の図1中上端にて好ましくは31at%以下に設定される。このようなGd濃度範囲は、再生層13がGdFeCoやGdFeからなる場合に当該再生層13を垂直磁化膜たらしめるうえで好適である。
再生層13が遷移金属としてCoを含む場合、再生層13のキュリー温度が再生層13の膜厚方向で略一定となるように、再生層13におけるCo濃度は調整されている。例えば、再生層13におけるCo濃度は再生層13内で一様に設定されている。再生層13のキュリー温度が再生層13の膜厚方向で略一定となるように構成することは、情報再生時におけるカー回転角の低下など、再生信号の劣化を抑制するうえで、好適である。
誘電体層21は、基板S1側から記録磁性部10側への水分の浸入などを防止するための部位であり、例えばSiN、SiO2、YSiO2、ZnSiO2、AlO、またはAlNよりなる。誘電体層21の厚さは例えば5〜40nmである。
熱伝導層22は、光磁気ディスクX1に対して記録用または再生用のレーザビームが照射されるときに記録磁性部10にて発生する熱を効率よく基板S1へと伝えるための部位であり、例えばC、Ag、Ag合金(AgPdCuSi,AgPdCuなど)、Al合金(AlSi,AlTi,AlCrなど)、Au、またはPtなどの、高熱伝導材料よりなる。熱伝導層22の厚さは例えば5〜30nmである。
誘電体層23,24は、記録磁性部10に対する外部からの不当な磁気的影響などを回避ないし抑制するための部位であり、例えばSiN、SiO2、YSiO2、ZnSiO2、AlO、またはAlNよりなる。誘電体層23,24の厚さは例えば20〜90nmである。誘電体層24は、光磁気ディスクX1の情報再生時に再生用レーザビームの反射光のカー回転角を増大するための、エンハンス機能を有してもよい。
保護膜25は、記録磁性部10を特に塵埃などから保護すべく記録磁性部10を覆い、光磁気ディスクX1の記録用または再生用のレーザビームに対して充分な透過性を有する樹脂よりなる。保護膜25の厚さは例えば15〜30μmである。
図3は、光磁気ディスクX1の製造方法を表す。図3においては、光磁気ディスクX1の形成過程をその部分断面図により表す。
光磁気ディスクX1の製造においては、まず、図3(a)に示すように、プリグルーブが形成された所定の凹凸形状を表面に有する基板S1を用意する。基板S1は、例えば、上掲の樹脂を成形材料として用い且つ所定の凹凸形状を有するスタンパを金型内に配設して行う射出成形技術により、作製することができる。
次に、図3(b)に示すように、例えばスパッタリング法により、各々に所定の材料を成膜することによって、基板S1上に、誘電体層21、熱伝導層22、誘電体層23、記録層11、および中間層12を順次形成する。
次に、図3(c)に示すように、例えばスパッタリング法により所定の材料を成膜することによって、中間層12上に再生層13を形成する。成膜過程においては、希土類金属濃度を次第に増大させる。遷移金属としてCoを含む再生層13を形成する場合には、Co濃度が膜厚方向で略一定となるように、成膜過程においてCo濃度を制御する。例えば、GdFeCoよりなる再生層13をスパッタリング法により形成する場合には、Gdターゲット、Feターゲット、およびCoターゲットを用いて行うコスパッタリングにおいて、成膜開始端から成膜終了端にかけてGd濃度(希土類金属濃度)は次第に増大し且つCo濃度は一定となるように、各ターゲットへの投入電力を制御して中間層12上への各ターゲット材料の堆積速度を変化させる。
次に、図3(d)に示すように、再生層13上に、誘電体層24および保護膜25を順次形成する。誘電体層24の形成手法としては、スパッタリング法を採用することができる。保護膜25については、例えば、透明な紫外線硬化性樹脂材料をスピンコート法により誘電体層24上に成膜した後、当該樹脂材料に紫外線を照射することにより、形成することができる。以上のようにして、光磁気ディスクX1を製造することができる。
光磁気ディスクX1への情報記録においては、光磁気ディスクX1を回転させた状態で、記録用のレーザビームを保護膜25の側から記録磁性部10に向けて照射することにより記録層11を局所的に順次昇温させつつ、当該昇温箇所に所定の磁界を印加する。このようにして、記録磁性部10内の記録層11に、ディスク周方向に沿って所定の信号を記録する。具体的には、記録層11には、ディスク周方向に延びる情報トラックに沿って連続して交互に磁化が反転し且つ記録信号に応じた所定の長さを各々が有する複数の記録マーク(磁区)が形成される。中間層12のキュリー温度より低い温度条件の下では、記録層11と中間層12とは交換結合し且つ中間層12と再生層13とは交換結合し、再生層13および中間層12には、記録層11と同方向に磁化された磁区と、磁区間の磁壁とが形成される。
図4は、光磁気ディスクX1の再生方法を表す。図の簡潔化の観点より、図4では、光磁気ディスクX1について、記録磁性部10の周方向の部分断面以外を省略する。光磁気ディスクX1の情報再生においては、光磁気ディスクX1を回転させた状態で、再生用のレーザビームLを情報トラックに沿って再生層13の側から記録磁性部10に対して照射する。照射領域の光磁気ディスクX1に対する相対移動方向を矢印Dで表す。レーザビームLの照射により、記録磁性部10内は局所的に昇温し、記録磁性部10内には、ディスク周方向において、例えば図4のグラフに示すような温度分布が生じる。そして、中間層12には、そのキュリー温度T1以上に昇温して自発磁化が消失した領域R(斜線ハッチングを付して表す)が生じる。
このような照射領域における、中間層12のキュリー温度T1の等温線を、記録層11の所定の磁区11aに対応する再生層13の磁区13aの磁壁13a’が照射領域移動に伴って低温領域から高温領域へと通過する瞬間に、当該磁壁13a’は再生層13内をより高温側へと移動する。すなわち、図4では、再生層13において中間層12のキュリー温度T1まで昇温された位置X1に至った磁壁13a’は、瞬間的に、ピーク温度T3まで昇温された位置X2に向って移動する。この磁壁移動の主駆動力は、再生層13内における温度勾配に起因して生ずる磁壁エネルギー密度の勾配であり、磁壁13a’を高温側へと変位させるように作用する。
照射領域移動方向Dにおける前方から後方に向けて再生層13内を磁壁13a’が移動すると、当該磁壁移動領域の磁化は反転する。この磁化反転を、再生層13の表面にて反射した光の偏光面の変化として所定の光学系で検出することにより、磁壁移動が検知される。情報トラックに沿って再生用のレーザビームLを照射して磁壁移動を順次検知することにより、光磁気ディスクX1の記録信号が読み取られることとなる。そして、記録層11の所定の磁区11bが所定の昇温領域を抜け出るときに、当該磁区11bに対応して中間層12に磁区12bが形成され、更に当該磁区12bに対応して再生層13に磁区13bが形成され、記録層11に形成されている記録マーク(磁区)は再生層13へと転写される。
磁区拡大系光磁気記録媒体の技術分野においては、希土類金属として例えばGdを含む再生層(希土類−遷移金属アモルファス合金よりなる垂直磁化膜)について、補償組成となるように希土類金属濃度を比較的低く設定すると、室温から中間層のキュリー温度付近にわたる温度領域において、再生層の飽和磁化は小さくなって垂直磁気異方性は強くなり、従って転写性は向上することが知られている。また、磁区拡大系光磁気記録媒体の技術分野においては、情報再生時に再生層内に形成される浮遊磁界が再生層における磁壁駆動力の増大に資するように設定される場合には、希土類金属として例えばGdを含むREリッチ組成における再生層の希土類金属濃度を比較的高く設定すると、中間層のキュリー温度付近での再生層の飽和磁化は比較的大きくなって磁壁駆動力は増大することが知られている。磁区拡大系光磁気記録媒体の再生層においては、一般に、記録層からの磁区転写を中継する中間層に近い部位の特性が再生層全体の磁区転写性に支配的に寄与し、また、中間層とは反対側の再生層表面近傍の部位の特性が再生層全体の磁壁移動性(磁壁移動の生じやすさ)に支配的に寄与すると考えられるところ、光磁気ディスクX1の再生層13においては、中間層12に近い部位ほど磁区転写性が高くなるように、中間層12に近い部位ほど希土類金属濃度を低くして垂直磁気異方性は強く設定され、且つ、中間層12から遠い部位ほど、情報再生時に生ずる磁壁駆動力が大きくなるように、中間層12から遠い部位ほど希土類金属濃度を高くして飽和磁化は大きく設定されているので、再生層13全体として、充分な転写性を確保するとともに、情報再生時に充分な磁壁駆動力を得ることが可能なのである。このような光磁気ディスクX1は、高記録密度化の実効を図るとともに充分なCNRおよび再生信号振幅を得るうえで、好適である。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る光磁気ディスクX2の径方向の部分断面を表す。光磁気ディスクX2は、再生層13に代えて再生層14を有する点以外は、光磁気ディスクX1と同様の構成を有する。
再生層14は、磁壁移動ないし磁区拡大を伴う再生機能を担う部位であり、図6に示すように、垂直磁化膜14a〜14dよりなる積層構造を有する。垂直磁化膜14a〜14dを構成する希土類−遷移金属アモルファス合金としては、例えばGdFeCoやGdFeを採用することができる。再生層14全体の厚さは例えば10〜35nmである。
再生層14内において、垂直磁化膜14a〜14dの希土類金属濃度は段階的に変化しており、中間層12に近い垂直磁化膜ほど低い希土類金属濃度を有する(即ち、中間層12から遠い垂直磁化膜ほど高い希土類金属濃度を有する)。垂直磁化膜14aについては、例えば図2に示すように室温付近に補償温度T2(<T1)を有する組成(補償組成)となるように希土類金属濃度を比較的低く設定し、垂直磁化膜14dについては、例えば図2に示すように比較的高温域に補償温度T2’を有するように、希土類磁化優勢組成(REリッチ組成)において希土類金属濃度を比較的高く設定し、垂直磁化膜14aから垂直磁化膜14dにかけて希土類金属濃度が段階的に増大するように設定する。図2において、実線2Aは、垂直磁化膜14aを構成する希土類−遷移金属アモルファス垂直磁化膜の飽和磁化の温度依存性の一例に相当し、一点鎖線2Bは、垂直磁化膜14dを構成する希土類−遷移金属アモルファス垂直磁化膜の飽和磁化の温度依存性の一例に相当する。
例えば、垂直磁化膜14a〜14dがGdFeCoやGdFeからなる場合には、希土類金属であるGdの濃度は、再生層14において中間層12に最も近い垂直磁化膜14aから、中間層12から最も遠い垂直磁化膜14dにかけて段階的に増大するように設定されている。Gd濃度について、垂直磁化膜14aは例えば23〜25at%、垂直磁化膜14bは例えば25〜27at%、垂直磁化膜14cは例えば27〜29at%、垂直磁化膜14dは例えば29〜31at%である。
垂直磁化膜14a〜14dが遷移金属としてCoを含む場合、垂直磁化膜14a〜14dのキュリー温度が再生層14の膜厚方向で略一定となるように、垂直磁化膜14a〜14dにおけるCo濃度は調整されている。例えば、垂直磁化膜14a〜14dにおけるCo濃度は全て同一となるように設定されている。このような構成は、カー回転角の低下など、再生信号の劣化を抑制するうえで、好適である。
このような構成の光磁気ディスクX2は、再生層13に代えて再生層14を形成する以外は、光磁気ディスクX1と同様の過程を経て製造することができる。光磁気ディスクX2の製造において、再生層14は、中間層12上に例えばスパッタリング法により垂直磁化膜14a〜14dを順次形成することによって形成することができる。また、光磁気ディスクX2については、光磁気ディスクX1に関して上述したのと同様の手法により、情報記録および情報再生を実行することができる。情報記録がなされた光磁気ディスクX2においては、記録層11に記録された記録マーク(磁区)は、中間層12を介して再生層14に転写され、再生層14の垂直磁化膜14a〜14dの各々には、記録層11の記録マークに対応した磁区が生じている。また、光磁気ディスクX2の情報再生時には、記録層11内の所定の記録マークに対応する垂直磁化膜14a〜14dの各磁区の磁壁は、一体的となって移動する。
磁区拡大系光磁気記録媒体の再生層においては、上述のように、記録層からの磁区転写を中継する中間層に近い部位の特性が再生層全体の磁区転写性に支配的に寄与し、また、中間層とは反対側の再生層表面近傍の部位の特性が再生層全体の磁壁移動性に支配的に寄与すると考えられるところ、光磁気ディスクX2の再生層14においては、中間層12に近い垂直磁化膜ほど、磁区転写性が高くなるように希土類金属濃度を低くして垂直磁気異方性は強く設定され、且つ、中間層12から遠い垂直磁化膜ほど、情報再生時に生ずる磁壁駆動力が大きくなるように希土類金属濃度を高くして飽和磁化は大きく設定されているので、光磁気ディスクX1と同様に、再生層全体として、充分な転写性を確保するとともに、情報再生時に充分な磁壁駆動力を得ることが可能なのである。
〔光磁気ディスクの作製〕
図7に示す積層構成を有するフロントイルミネーション方式の光磁気ディスクとして、本実施例の光磁気ディスクを作製した。本実施例の光磁気ディスクは、上述した第1の実施形態の光磁気ディスクX1に相当する。
本実施例の光磁気ディスクの作製においては、まず、スパッタリング法により、表面にランドグルーブ形状を有するポリカーボネート基板(直径120mm,厚さ1.2mm,トラックピッチ0.275nm,グルーブ深さ60nm)の上にSiNを成膜することによって、厚さ20nmの誘電体層を形成した。具体的には、Siターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスおよびN2ガスを使用して行う反応性スパッタリングにより、基板上にSiNを成膜した。本スパッタリングでは、ArガスおよびN2ガスの流量比を2:1とし、スパッタガス圧力を0.5Paとし、投入電力を0.8kWとした。
次に、スパッタリング法により誘電体層上にAgPdCuを成膜することによって、厚さ30nmの熱伝導層を形成した。本スパッタリングでは、AgPdCu合金ターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスを使用し(反応性スパッタリングを除く以下のスパッタリングにおいても同様)、スパッタガス圧力を0.8Paとし、投入電力を0.5kWとした。
次に、スパッタリング法により熱伝導層上にSiNを成膜することによって、厚さ10nmの誘電体層を形成した。具体的には、Siターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスおよびN2ガスを使用して行う反応性スパッタリングにより、基板上にSiNを成膜した。本スパッタリングでは、ArガスおよびN2ガスの流量比を2:1とし、スパッタガス圧力を0.5Paとし、投入電力を0.8kWとした。
次に、スパッタリング法により誘電体層上にTb24Fe56Co20を成膜することによって、厚さ60nmの記録層を形成した。本スパッタリングでは、所定組成比のTbFeCo合金ターゲットを用い、スパッタガス圧力を1.0Paとし、投入電力を0.8kWとした。
次に、スパッタリング法により記録層上にTb22Fe75Co3を成膜することによって、厚さ15nmの中間層を形成した。本スパッタリングでは、所定組成比のTbFeCo合金ターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスを使用し、スパッタガス圧力を0.8Paとし、投入電力を0.8kWとした。
次に、スパッタリング法により中間層上に組成比が連続的に変化するGdFeCoを成膜することによって、厚さ30nmの再生層を形成した。具体的には、Gdターゲット、Feターゲット、およびCoターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスを使用して行うコスパッタリングにより、中間層上にGdFeCoを成膜した。本スパッタリングでは、スパッタガス圧力を0.5Paとし、Gdターゲットの投入電力を0.30kW(成膜開始時)から0.39kW(成膜終了時)まで連続的に上昇させ、Feターゲットの投入電力を成膜開始時から成膜終了時まで0.80kWで一定に維持し、Coターゲットの投入電力を0.25kW(成膜開始時)から0.28kW(成膜終了時)まで連続的に上昇させた。このようにして、成膜開始端から成膜終了端にかけて、Gd濃度が25at%から31at%に連続的に上昇し、Fe濃度が63at%から57at%に連続的に低下し、Co濃度が12at%で一様である、再生層を形成することができた。
次に、スパッタリング法により再生層上にSiNを成膜することによって、厚さ70nmの誘電体層(エンハンス層)を形成した。具体的には、Siターゲットを用い、スパッタガスとしてArガスおよびN2ガスを使用して行う反応性スパッタリングにより、再生層上にSiNを成膜した。本スパッタリングでは、ArガスおよびN2ガスの流量比を2:1とし、スパッタガス圧力を0.5Paとし、投入電力を0.8kWとした。
次に、誘電体層上に厚さ15μmの保護膜を作製した。具体的には、まず、スピンコート法により、紫外線硬化性の透明樹脂を誘電体層上に塗布した。次に、紫外線照射により、当該樹脂膜を硬化させた。以上のようにして、本実施例の光磁気ディスクを作製した。
<CNR測定>
上述のようにして作製した光磁気ディスクについて、再生信号のCNRを測定した。具体的には、まず、本実施例の光磁気ディスクの情報トラックに対し、所定の長さの記録マークを所定の長さのスペースを介して記録した。この記録処理は、所定の装置を使用してレーザパルス磁界変調記録方式により行った。使用した装置のレーザ集光用対物レンズの開口数NAは0.85であり、レーザ波長は405nmである。また、当該記録処理においては、レーザパワーを9mWとし、レーザ発光デューティを30%とし、レーザ走査周速度を3m/sとし、記録磁界を300Oeとした。
次に、上述のようにして記録された信号を再生し、再生信号におけるCNRを測定した。この再生処理は、上述の記録処理と同一の装置を使用して行い、再生用レーザパワーを2.5mWとし、レーザ走査周速度を3m/sとし、再生時の外部磁界を0Oeとした。
このような情報記録およびその後の情報再生を、情報記録時の記録マーク長を変化させて150nmおよび80nmの記録マーク長ごとに行った。その結果、記録マーク長が150nmの場合におけるCNRは40dBであり、記録マーク長が80nmの場合におけるCNRは39dBであった。これらの値は、図10の表に掲げる。下記の実施例および比較例の光磁気ディスクについて行った同様の測定により得られたCNRの値も、図10の表に掲げる。
〔再生信号振幅測定〕
上述のようにして作製した光磁気ディスクについて再生信号の振幅を測定した。具体的には、まず、本実施例の光磁気ディスクの情報トラックに対し、記録マーク長80nmの信号をスペース(長さ80nm)を介して繰り返し記録した。この記録処理は、CNR測定に関して上述したのと同様の装置を使用して略同一の条件で行った。次に、上述のようにして記録された信号を再生し、再生信号の振幅を測定した。この再生処理は、上述の記録処理と同一の装置を使用して行い、CNR測定に関して上述したのと略同一の条件で行った。その結果、記録マーク長が80nmの場合の再生信号振幅は40mVであった。この値は、図10の表に掲げる。下記の実施例および比較例について行った同様の測定により得られた再生信号振幅の値も、図10の表に掲げる。
図8に示す積層構成を有するフロントイルミネーション方式の光磁気ディスクとして、本実施例の光磁気ディスクを作製した。本実施例の光磁気ディスクは、上述した第2の実施形態の光磁気ディスクX2に相当し、再生層を4層の垂直磁化膜よりなる積層構造とした点において、実施例1の光磁気ディスクと異なる。このような本実施例の光磁気ディスクは、再生層以外は実施例1の光磁気ディスクと同様にして作製した。
本実施例の再生層の形成においては、Gdターゲット、Feターゲット、およびCoターゲットを用いて行うコスパッタリングにより、中間層上に4種類のGdFeCo垂直磁化膜を順次積層形成した。具体的には、スパッタガス圧力を0.5Paとし、Gdターゲットの投入電力を0.30kW(成膜開始時)から0.39W(成膜終了時)まで所定のタイミングで0.03Wずつ段階的に上昇させ、Feターゲットの投入電力を成膜開始時から成膜終了時まで0.80kWで一定に維持し、Coターゲットの投入電力を0.25kW(成膜開始時)から0.28kW(成膜終了時)まで上記所定タイミングと同じタイミングで0.01kWずつ段階的に上昇させた。このようにして、図8に示す4種類のGeFeCo垂直磁化膜(Gd濃度およびFe濃度は段階的に変化し且つCo濃度は同一)からなる積層構造を有する再生層を形成した。
次に、再生層上に、実施例1と同様にして、誘電体層(SiN,厚さ70nm)および保護膜(紫外線硬化性透明樹脂,厚さ15nm)を順次形成した。以上のようにして、本実施例の光磁気ディスクを作製した。
〔CNR測定および再生信号振幅測定〕
本実施例の光磁気ディスクについて、実施例1と同様にしてCNR測定および再生信号振幅測定を行ったところ、記録マーク長が150nmの場合のCNRは40dB、記録マーク長が80nmの場合のCNRは38dB、再生信号振幅は36mVであった。
比較例1
図9に示す積層構成を有するフロントイルミネーション方式の光磁気ディスクとして、本比較例の光磁気ディスクを作製した。本比較例の光磁気ディスクは、再生層の中間層側から保護膜側(光入射側)にかけて、再生層のGd濃度が25at%で一様である点において、実施例1の光磁気ディスクと異なる。このような本比較例の光磁気ディスクは、再生層以外は実施例1の光磁気ディスクと同様にして作製した。本比較例の再生層の形成においては、所定の組成比のGdFeCo合金ターゲットを用いて行うコスパッタリングにより、中間層上に厚さ30nmのGd25Fe63Co12を成膜した。本スパッタリングでは、スパッタガス圧力を0.5Paとし、投入電力を0.5kWとした。このようにして形成した再生層の組成は実質的に一様である。本比較例の光磁気ディスクについて、実施例1と同様にしてCNR測定および再生信号振幅測定を行ったところ、記録マーク長が150nmの場合のCNRは39dB、記録マーク長が80nmの場合のCNRは33dB、再生信号振幅は24mVであった。
比較例2
再生層のGd濃度を25at%に代えて28at%とした以外は比較例1と同様にして、本比較例の光磁気ディスクを作製した。本比較例における再生層の組成も、比較例1における再生層と同様に、実質的に一様である。また、本比較例の光磁気ディスクについて、実施例1と同様にしてCNR測定および再生信号振幅測定を行ったところ、記録マーク長が150nmの場合のCNRは37dB、記録マーク長が80nmの場合のCNRは34dB、再生信号振幅は26mVであった。
比較例3
再生層のGd濃度を25at%に代えて31at%とした以外は比較例1と同様にして、本比較例の光磁気ディスクを作製した。本比較例における再生層の組成も、比較例1における再生層と同様に、実質的に一様である。また、本比較例の光磁気ディスクについて、実施例1と同様にしてCNR測定および再生信号振幅測定を行ったところ、記録マーク長が150nmの場合のCNRは35dB、記録マーク長が80nmの場合のCNRは35dB、再生信号振幅は28mVであった。
評価
図10の表に示すように、本発明に係る実施例1,2の光磁気ディスクは、記録マーク長が150nmの場合において比較例1〜3の光磁気ディスクよりも高いCNRを示し、記録マーク長が80nmの場合において比較例1〜3の光磁気ディスクよりも高いCNRを示す。記録マーク長が150nmの場合においては、再生層のGd濃度が31at%で一様であって磁区転写性よりも磁壁移動性を優先させた比較例3の光磁気ディスクのCNRは、35dBと特に低い。これに対し、再生層の中間層側から保護膜側(光入射側)にかけて、当該再生層のGd濃度が連続的あるいは段階的に上昇している実施例1,2の光磁気ディスクでは、CNRが40dB以上であって、記録マーク長150nmについて、良好な再生特性が得られた。また、記録マーク長が80nmの場合においては、再生層のGd濃度が25at%,28at%,31at%でそれぞれ一様である比較例1〜3の光磁気ディスクのCNRは、それぞれ33dB,34dB,35dBといずれも低い。これらに対し、再生層の中間層側から保護膜側(光入射側)にかけて、当該再生層のGd濃度が連続的あるいは段階的に上昇している実施例1,2の光磁気ディスクでは、CNRがそれぞれ38dB以上であった。
加えて、図10の表に示すように、本発明に係る実施例1,2の光磁気ディスクは、比較例1〜3の光磁気ディスクよりも高い再生信号振幅を示す。再生層のGd濃度が25at%,28at%,31at%でそれぞれ一様である比較例1〜3の光磁気ディスクの再生信号振幅は、それぞれ24mV,26mV,28mVといずれも低い。これらに対し、再生層の中間層側から保護膜側(光入射側)にかけて、当該再生層のGd濃度が連続的あるいは段階的に上昇している実施例1,2の光磁気ディスクでは、再生信号振幅がそれぞれ36mV以上であった。
以上のように、本発明に係る実施例1,2の光磁気ディスクにおいては、記録マーク長80nmの短マーク記録においても、充分な再生信号振幅およびCNRを確保することができた。
本発明の第1の実施形態に係る光磁気ディスクの部分断面図である。 本発明の光磁気ディスクにおける再生層について、飽和磁化の温度依存性の一例を表す。 図1に示す光磁気ディスクの製造方法を表す。 図1に示す光磁気ディスクの再生方法を表す。 本発明の第2の実施形態に係る光磁気ディスクの部分断面図である。 図5の部分拡大図である。 実施例1の光磁気ディスクの積層構成を表す。 実施例2の光磁気ディスクの積層構成を表す。 比較例1の光磁気ディスクの積層構成を表す。 実施例1,2および比較例1〜3の光磁気ディスクについて、CNRの測定結果および再生信号振幅の測定結果をまとめた表である。 従来の光磁気ディスクの部分断面図である。 従来の光磁気ディスクの再生方法を表す。
符号の説明
X1,X2,X3 光磁気ディスク
S1,S2 基板
10,30 記録磁性部
11,31 記録層
12,32 中間層
13,14,33 再生層
21,23,24,42,43 誘電体層
22,41 熱伝導層
25,44 保護膜

Claims (4)

  1. 垂直磁化膜よりなり記録機能を担う記録層と、
    垂直磁化膜よりなり、磁壁移動を伴う再生機能を担う、再生層と、
    前記記録層および前記再生層の間に介在し、当該記録層および再生層の交換結合状態を変化させるための、中間層と、を含む積層構造を備え、
    前記再生層は、希土類金属と遷移金属とを含む合金よりなり、前記中間層に近い部位ほど低い希土類金属濃度を有する、光磁気記録媒体。
  2. 垂直磁化膜よりなり記録機能を担う記録層と、
    複数の垂直磁化膜よりなり、磁壁移動を伴う再生機能を担う、再生層と、
    前記記録層および前記再生層の間に介在し、当該記録層および再生層の交換結合状態を変化させるための、中間層と、を含む積層構造を備え、
    前記再生層の各垂直磁化膜は、希土類金属と遷移金属とを含む合金よりなり、前記中間層に近い垂直磁化膜ほど低い希土類金属濃度を有する、光磁気記録媒体。
  3. 前記希土類金属はGdを含み、前記再生層の各部におけるGd濃度は23〜31at%である、請求項1または2に記載の光磁気記録媒体。
  4. 前記遷移金属はCoを含み、前記再生層におけるCo濃度は一様である、請求項1から3のいずれか一つに記載の光磁気記録媒体。
JP2005073006A 2005-03-15 2005-03-15 光磁気記録媒体 Pending JP2006260624A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005073006A JP2006260624A (ja) 2005-03-15 2005-03-15 光磁気記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005073006A JP2006260624A (ja) 2005-03-15 2005-03-15 光磁気記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006260624A true JP2006260624A (ja) 2006-09-28

Family

ID=37099693

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005073006A Pending JP2006260624A (ja) 2005-03-15 2005-03-15 光磁気記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006260624A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5723227A (en) Magneto-optical recording medium and reproducing method for information recorded on the medium
US6177175B1 (en) Magneto-optical medium utilizing domain wall displacement
JP2957367B2 (ja) 光磁気記録媒体およびその記録方法と記録再生方法
JP3647219B2 (ja) 磁性記録媒体の信号再生方法
JPH11283289A (ja) 光磁気記録媒体、その再生方法及び再生装置
KR100478684B1 (ko) 자벽이동형 광자기기록매체 및 그 재생방법
US6180268B1 (en) Magneto-optical recording medium
US7522479B2 (en) Domain wall displacement for magneto-optical recording medium having multiple magnetic layers
JP2001126328A (ja) 光磁気記録媒体
US6747919B2 (en) Magneto-optical recording medium, and method and apparatus for producing the same
JPH09198731A (ja) 光磁気記録媒体
US7126886B2 (en) Magneto-optical recording medium and method for producing the same
JPH07230637A (ja) 光磁気記録媒体および該媒体を用いた情報記録再生方法
JP2006260624A (ja) 光磁気記録媒体
JP2001126327A (ja) 光磁気記録媒体
JP2006221703A (ja) 光磁気記録媒体
JP2007095124A (ja) 光磁気記録媒体
JPH07114750A (ja) 光磁気記録媒体
JP3516865B2 (ja) 光磁気記録媒体及び再生装置
JP2000207791A (ja) 磁性記録媒体
JP2006268901A (ja) 光磁気記録媒体
JPH11126384A (ja) 光磁気記録媒体及びその記録再生方法
JP2005100562A (ja) 光磁気記録媒体
JP2005293768A (ja) 光学的記録媒体
JPH08249737A (ja) 光学的記録媒体および再生方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20080220

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090512

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090929