JP2005259190A - 光磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 記録層と、再生層と、当該記録層および再生層の間に介在してこれらの間の交換結合状態を変化させる中間層とを含む多層磁性材料部を備え、且つ、情報トラックとして利用可能なランド部およびグルーブ部を有する、光磁気記録媒体において、アニール処理を施さずとも高い再生分解能を達成すること。
【解決手段】 本発明の光磁気記録媒体Xは、記録層11、中間層12、および再生層13を含む多層磁性材料部10を備える。磁性材料部10は、相対的に突出しているランド部1と、相対的に退避しているグルーブ部2と、これらの間の境界部3とを有する。再生層13は、第1および第2材料層が交互に配された多層構造を有し、ランド部1およびグルーブ部2における第1材料層は、境界部3における第1材料層より薄い。
【選択図】 図1

Description

本発明は、記録機能を担うための記録層と、磁壁移動を伴う再生機能を担うための再生層と、当該記録層および再生層の間に介在してこれらの間の交換結合状態を変化させるための中間層とを含む多層磁性材料部を備える、光磁気記録媒体に関する。
近年、光磁気記録媒体が注目を集めている。光磁気記録媒体は、磁性材料における種々の磁気特性を利用して構成され、熱磁気的な記録および磁気光学効果を利用した再生という2つの機能を有する書換え可能な記録媒体である。また、光磁気記録媒体は、垂直磁化膜からなる記録層を有し、当該記録層において、磁化方向の変化として所定の信号が記録されている。この記録信号は、所定の光学系で読み取られて再生信号として出力される。
光磁気記録媒体の技術の分野では、読取り用の光学系における分解能の限界を超えて高密度に記録された信号を実用的に再生するための、種々の再生方式が開発されている。例えば、DWDD(domain wall displacement detection)、および、MAMMOS(magnetic amplifying magneto-optical system)である。これらのような光磁気記録媒体については、例えば下記の特許文献1や特許文献2に記載されている。
特開平6−290496号公報 特開2001−56977号公報
例えばDWDD方式の光磁気記録媒体においては、記録層と、再生層と、これらの間の中間層とからなる積層構造を有する磁性材料部が、所定の基板の上に設けられている。これら3層は、各々、一般に、希土類−遷移金属アモルファス合金よりなる垂直磁化膜である。記録層は相対的に大きな磁壁抗磁力を呈し、再生層は相対的に小さな磁壁抗磁力を呈し、中間層は他の2層より低いキュリー温度を有し、これら3層は、中間層のキュリー温度より低温の所定条件下において隣接2層間に交換相互作用が働くように積層されている。
記録層には、媒体の走査方向に沿って所定の信号が記録されている。具体的には、記録層には、媒体走査方向に連続して交互に磁化が反転し且つ記録信号に応じた所定の長さを各々が有する複数の磁区が形成されており、従って、走査方向に沿って記録信号に応じた間隔で起立する複数の磁壁が形成されている。再生層および中間層は、媒体温度が中間層のキュリー温度より低い温度条件の下では中間層を介して記録層と再生層とが交換結合し、且つ、媒体温度が中間層のキュリー温度を越える所定の温度条件の下では再生層内で磁壁移動現象が起こるように、構成されている。媒体温度が中間層のキュリー温度より低い所定の温度条件の下では、中間層を介して記録層と交換結合している再生層には、記録層と同方向に磁化された磁区と、磁区間の磁壁とが形成されている。媒体温度が中間層のキュリー温度より高い温度条件の下では、中間層の自発磁化が消失し、当該中間層を介する記録層および再生層の交換結合は切断される。その結果、磁壁抗磁力の小さな再生層において磁壁が移動可能となる。当該磁壁は、再生層内に温度勾配が存在する場合に、より高温な領域へと移動し得る。
上述のような積層構造を有する磁性材料部よりなる情報トラックが形成されているDWDD方式光磁気ディスクの再生動作においては、当該ディスクを回転させつつ情報トラックに再生用のレーザビームを照射することによって、当該情報トラックを走査する。このとき、磁性材料部よりなる情報トラックの内部には、ビーム照射領域において当該走査方向に温度勾配が生ずる。ビーム照射領域における、中間層のキュリー温度の等温線を、再生層の磁壁が当該走査に伴って低温領域から高温領域へと通過する瞬間に、当該磁壁は再生層内をより高温側へと移動する。再生層内をこのように磁壁が移動すると、当該磁壁移動領域の磁化は反転する。この磁化反転を、再生層表面にて反射した光の偏光面の変化として所定の光学系で検出することにより、磁壁移動が検知される。情報トラックに沿って再生用レーザビームを照射して磁壁移動を順次検知することにより、当該媒体の記録信号が読み取られることとなる。
DWDD方式に基づく再生においては、再生用レーザビームのスポット全体ではなく、ビームスポット内の等温線(中間層のキュリー温度の等温線)により、情報トラックを構成する再生層ないし記録層の記録パターンが弁別される。したがって、DWDD方式においては、読取り用の光学系における分解能の限界を超えて記録層に高密度に記録された信号であっても、即ち最小記録マーク長がスポット径よりも小さな記録パターンであっても、再生することが可能なのである。
DWDD光磁気記録媒体において、良好な磁壁移動を実現して高い再生分解能を達成するためには、情報トラックにおける再生層内にて媒体走査方向(情報トラックの延び方向)に離隔する各磁壁は、適切に分離独立している必要がある。しかしながら、再生層の形成に際して中間層上に再生層用磁性材料を成膜したのみでは、磁壁は磁区の周囲にて閉じた状態で形成される。すなわち、再生層内において情報トラックの延び方向に離隔する磁壁は、情報トラック間において情報トラック延び方向に延びる磁壁を介して連続している。この場合、磁壁に対しては、磁区を収縮させて磁壁の総面積を縮小させようとする力が作用する。このような磁区収縮力が存在すると、情報トラック延び方向に離隔する磁壁が再生時に再生層内を移動するに際し、当該移動は阻害される。
したがって、従来の技術においては、磁性材料部の情報トラック間においてトラック延び方向に延びる磁壁を消失させるべく、当該情報トラック間の少なくとも再生層に対して所定の加熱処理(アニール処理)が施される場合が多い。情報トラック間にてトラック延び方向に延びる磁壁を加熱処理により消失せしめることによって、情報トラックにおいてトラック延び方向に離隔する複数の磁壁について、分離独立化が図られるのである。
しかしながら、そのようなアニール処理は、光磁気記録媒体の製造工程の煩雑化を招来するので、好ましくない。また、情報トラックとしてランド部およびグルーブ部の両方が利用される光磁気記録媒体においては、情報トラック間の距離、即ちランド部およびグルーブ部の間の距離が、極めて短いので、そのようなアニール処理を施すのは困難である。
本発明は、このような事情の下で考え出されたものであって、記録機能を担うための記録層と、磁壁移動を伴う再生機能を担うための再生層と、当該記録層および再生層の間に介在してこれらの間の交換結合状態を変化させるための中間層とを含む多層磁性材料部を備え、且つ、情報トラックとして利用可能なランド部およびグルーブ部を有する、光磁気記録媒体において、アニール処理を施さずとも高い再生分解能を達成することを目的とする。
本発明の第1の側面により提供される光磁気記録媒体は、記録機能を担うための記録層と、磁壁移動を伴う再生機能を担うための再生層と、記録層および再生層の間に介在して当該記録層および再生層の間の交換結合状態を変化させるための中間層とからなる積層構造を含む磁性材料部を備える。この磁性材料部は、相対的に突出しているランド部と、相対的に退避しているグルーブ部と、当該ランド部およびグルーブ部の間の境界部とを有する。これらランド部、境界部、およびグルーブ部は、膜状の磁性材料部における膜面広がり方向に連続して並んでいる。再生層は、複数の第1材料層および複数の第2材料層を含んで当該第1材料層および第2材料層が交互に配された多層構造を有し、ランド部における第1材料層の厚さ、および、グルーブ部における第1材料層の厚さは、境界部における第1材料層の厚さより小さい。第1および第2材料層は、各々、アモルファス磁性材料よりなる。
このような構成を有する光磁気記録媒体は、アニール処理を施さずに高い再生分解能を達成するのに適している。
本発明の第1の側面における再生層は、アモルファス磁性材料よりなる第1材料層および第2材料層が交互に配された多層構造を有し、ランド部における第1材料層の厚さ、および、グルーブ部における第1材料層の厚さは、共に、境界部における第1材料層の厚さより小さい。磁気異方性を呈し得る所定の2種類のアモルファス磁性材料が交互に成膜されて形成される多層磁性膜構造は、これを構成する各層が相対的に薄い場合、垂直磁気異方性を呈する傾向にある。一方、多層磁性膜構造を構成する各層が相対的に厚い場合、当該多層磁性膜構造は面内磁気異方性を呈する傾向にある。このような多層磁性膜構造の磁気異方性の傾向は、当該多層磁性膜構造を構成する少なくとも一方の材料層(アモルファス磁性材料よりなる)の厚さに対してより強く依存する場合があり、この場合、当該一方の材料層の所定の厚さ付近にて、多層磁性膜構造の磁気異方性は急峻に変化し得る。例えば、第1材料層がアモルファス遷移金属よりなり、第2材料層がアモルファス希土類金属からなる場合、当該第1および第2材料層が交互に積層されて構成される多層磁性膜構造の磁気異方性の傾向は、第1材料層(アモルファス遷移金属層)の厚さに対してより強く依存し、当該第1材料層の所定の厚さ付近にて、多層磁性膜構造の磁気異方性は急峻に変化する。磁気異方性が急峻に変化する厚さは材料種によって異なる。
本発明の第1の側面においては、アモルファス磁性材料のこのような性質を利用して、ランド部およびグルーブ部と境界部との間で再生層の第1材料層の厚さを異ならしめることによって、再生層について、ランド部およびグルーブ部では垂直磁気異方性を呈し且つ境界部では面内磁気異方性を呈するように、形成することが可能である。具体的には、ランド部およびグルーブ部における再生層の第1材料層については、当該第1材料層の厚さに依存して当該再生層が垂直磁気異方性を有するように相対的に薄く設定しつつ、境界部における再生層の第1材料層については、当該再生層が面内磁気異方性を有するように相対的に厚く設定することが可能である。また、再生層の第2材料層についても、ランド部およびグルーブ部において相対的に薄く設定し、境界部において相対的に厚く設定することが可能である。このようにして形成される再生層は、ランド部およびグルーブ部にて垂直磁気異方性を呈し、且つ、境界部にて面内磁気異方性を呈することとなる。そして、このような再生層においては、情報トラックとして利用可能なランド部およびグルーブ部と情報トラック間の境界部とは磁性的に分離され、即ち、境界部にてトラック延び方向に延びる磁壁の形成が阻害され、従って、ランド部およびグルーブ部にてトラック延び方向に離隔する複数の磁壁について分離独立化が図られる。
このように、本発明の第1の側面に係る光磁気記録媒体によると、情報トラック間の境界部に対してアニール処理を施さずとも、情報トラック(ランド部,グルーブ部)における複数の磁壁の分離独立化を図ることが可能である。このような光磁気記録媒体は、アニール処理を施さずに高い再生分解能を達成するのに適している。
好ましくは、ランド部における第1材料層の厚さと、グルーブ部における第1材料層の厚さとは、同一である。このような構成は、ランド部における再生層およびグルーブ部における再生層について均質な特性を得るうえで好適である。
好ましくは、ランド部における第2材料層の厚さ、および、グルーブ部における第2材料層の厚さは、境界部における第2材料層の厚さより小さい。この場合、ランド部における第2材料層の厚さと、グルーブ部における第2材料層の厚さとは、同一であるのが好ましい。これらのような構成も、ランド部における再生層およびグルーブ部における再生層について均質な特性を得るうえで好適である。
好ましくは、第1材料層はアモルファス遷移金属を含み、第2材料層はアモルファス希土類金属を含む。この場合、アモルファス遷移金属はFeおよび/またはCoを含み、アモルファス希土類金属はGdを含むのが、好ましい。これらの材料は、ランド部およびグルーブ部にて良好な再生層を形成するうえで好適である。
好ましくは、ランド部における第1材料層の厚さ、および、グルーブ部における第1材料層の厚さは、1nm以下であり、境界部における第1材料層の厚さは1nmより大きい。例えば、Feおよび/またはCoを含むアモルファス遷移金属により第1材料層が構成され、且つ、Gdを含むアモルファス希土類金属により第2材料層が構成される場合、再生層の磁気異方性は、第1材料層の厚さに強く依存し、且つ、当該第1材料層の厚さが1nm付近では急峻に変化する場合がある。
ランド部およびグルーブ部における第1材料層および第2材料層の厚さは0.9nm以下である。このような構成は、ランド部およびグルーブ部にて良好な再生層を形成するうえで好適である。
本発明の第2の側面により提供される光磁気記録媒体は、記録機能を担うための記録層と、磁壁移動を伴う再生機能を担うための再生層と、記録層および再生層の間に介在して当該記録層および再生層の間の交換結合状態を変化させるための中間層とからなる積層構造を含む磁性材料部を備える。この磁性材料部は、相対的に突出しているランド部と、相対的に退避しているグルーブ部と、当該ランド部およびグルーブ部の間の境界部とを有する。再生層は、ランド部およびグルーブ部にて垂直磁気異方性を有し、且つ、境界部にて面内磁気異方性を有する。このような構成は、境界部に対してアニール処理を施さずとも実現されている。
本発明の第2の側面に係る光磁気記録媒体によると、情報トラック間の境界部に対してアニール処理を施さずとも、情報トラックとして利用可能なランド部およびグルーブ部と境界部とは磁性的に分離され、即ち、境界部にてトラック延び方向に延びる磁壁の形成が阻害され、従って、ランド部およびグルーブ部にてトラック延び方向に離隔する複数の磁壁について分離独立化が図られている。このような光磁気記録媒体は、アニール処理を施さずに高い再生分解能を達成するのに適している。
図1および図2は、本発明に係る光磁気記録媒体Xを表す。図1は、光磁気記録媒体Xの部分断面を模式的に表したものであり、図2は、光磁気記録媒体Xの積層構成を表す。
光磁気記録媒体Xは、基板Sと、記録磁性部10と、放熱層21と、誘電体層22と、保護膜23とを備え、フロントイルミネーション方式の光磁気ディスクとして構成されたものである。光磁気記録媒体Xは、放熱層21から保護膜23までの積層構造を基板Sの片側のみ又は両側に有する。また、光磁気記録媒体Xは、信号の記録および再生を担う情報トラックに相当する領域としてランド部1およびグルーブ部2を有し、且つ、これらの間に境界部3を有する。情報トラックは渦巻き状または同心円状であり、ランド部1、境界部3、およびグルーブ部2は、ディスクの径方向に繰り返して連なる。
基板Sは、光磁気記録媒体Xの剛性を確保するための部位であり、渦巻き状または同心円状のプリグルーブが形成された所定の凹凸形状を表面に有する。この凹凸形状は、相対的に突出しているランド面Saと、相対的に退避しているグルーブ面Sbと、これらの間の境界傾斜面Scとにより規定される。本実施形態では、ランド面Saの幅L1は180〜360nmであり、グルーブ面Sbの幅L2は180〜360nmであり、ランド面Saからのグルーブ面Sbの退避長さL3は25〜150nmである。幅L1および幅L2は同一であるのが好ましい。また、本実施形態では、境界傾斜面Scの傾斜角度αは20〜70°である。このような凹凸形状を基に、本光磁気ディスクにおけるランドグルーブ形状(ランド部1,グルーブ部2,境界部3)が形成されている。また、基板Sは、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、エポキシ樹脂、またはポリオレフィン樹脂よりなる。
記録磁性部10は、記録層11、中間層12、および再生層13よりなる積層構造を有し、いずれかの磁区拡大系再生方式(例えばDWDDやMAMMOSなどの再生方式)に基づいて再生可能に構成されている。
記録層11は、情報トラックとして利用されるランド部1およびグルーブ部2において、熱磁気的な記録および磁気光学効果を利用した再生という2つの機能を担う部位であり、希土類元素と遷移金属とを含むアモルファス合金よりなり、且つ、垂直磁気異方性を有して垂直方向に磁化された垂直磁化膜である。垂直方向とは、層を構成する磁性膜の膜面に対して垂直な方向をいう。記録層11を構成するアモルファス合金に含まれる希土類元素としては、Tb,Gd,Dy,Nd,またはPrなどを用いることができる。遷移金属としては、FeやCoなどを用いることができる。より具体的には、記録層11は、例えば、所定の組成を有するTbFeCо,DyFeCо,またはTbDyFeCоよりなる。記録層11の厚さは、例えば25〜70nmである。
中間層12は、希土類元素と遷移金属とを含むアモルファス合金により構成されて垂直磁気異方性を有する垂直磁化膜であり、記録層11および再生層13よりも低いキュリー温度を有して記録層11および再生層13の間の交換結合作用を選択的に中継および遮断する機能を担う部位である。具体的には、中間層12は、そのキュリー温度未満の温度条件下において、記録層11と交換結合するとともに再生層13と交換結合することにより、交換結合を介しての両層の結合関係を成立せしめる。一方、キュリー温度以上の温度条件下においては、中間層12は、自発磁化を消失して記録層11および再生層13との交換結合を解除することにより、交換結合を介しての両層の結合関係を消失せしめる。中間層12のキュリー温度は、例えば100〜170℃である。このような中間層12は、例えば、所定の組成を有するTbFeまたはTbFeCоよりなる。中間層12の厚さは、例えば5〜20nmである。
再生層13は、ランド部1およびグルーブ部2において磁壁移動ないし磁区拡大を伴う再生機能を担う部位であり、図2に示すように、第1材料層13aおよび第2材料層13bの2種類の材料層が交互に積層された多層構造を有する。また、再生層13は、全体として、希土類元素と遷移金属とを含むアモルファス合金よりなり、例えばGdFeCо,GdTbFeCо,GdDyFeCо,またはGdTbDyFeCоの組成を有する。本実施形態では、第1材料層13aはアモルファス遷移金属よりなり、第2材料層13bはアモルファス希土類金属よりなる。具体的には、再生層13の全体組成としてGdFeCoを採用する場合、例えば、第1材料層13aはFeCoであり且つ第2材料層13bはGdである。再生層13の全体組成としてGdTbFeCoを採用する場合、例えば、第1材料層13aはFeCoであり且つ第2材料層13bはGdTbである。再生層13の全体組成としてGdDyFeCoを採用する場合、例えば、第1材料層13aはFeCoであり且つ第2材料層13bはGdDyである。このような第1材料層13aおよび第2材料層13bは再生層13内にて同数ずつ含まれ、本実施形態では、図2に示すように第2材料層13bが中間層12上に直接積層される。本発明では、これに代えて、中間層12上には第1材料層13aを直接積層してもよい。
第1材料層13aは、ランド部1およびグルーブ部2にて例えば0.1〜0.9nmの厚さを有して垂直磁気異方性を有し、境界部3にて例えば1nmを越える厚さを有して面内磁気異方性を有する。好ましくは、ランド部1における第1材料層13aの厚さと、グルーブ部2における第1材料層13aの厚さとは、同一である。好ましくは、ランド部1における第2材料層13bの厚さ、および、グルーブ部2における第2材料層13bの厚さは、境界部3における第2材料層13bの厚さより小さく、ランド部1における第2材料層13bの厚さと、グルーブ部2における第2材料層13bの厚さとは、同一である。また、ランド部1およびグルーブ部2における第1材料層13aおよび第2材料層13bの厚さは0.9nm以下であるのが好ましい。このような構成において、再生層13は、ランド部1、境界部3、およびグルーブ部2にわたって例えば10〜40nmの厚さを有し、ランド部1およびグルーブ部2にて垂直磁気異方性を有し且つ境界部3にて面内磁気異方性を有する。再生層13における多層構造の積層数は例えば10〜100である。
放熱層21は、レーザ照射時に記録磁性部10などにて発生する熱を効率よく放熱するための部位であり、例えば、Ag,Ag合金(AgPdCuSi,AgPdCuなど),Al合金(AlTi,AlCrなど),Au,またはPtなどの高熱伝導材料よりなる。放熱層21の厚さは例えば10〜60nmである。放熱層21については、レーザパワー感度を調整すべく、Siを添加したり、Cなどよりなる低熱伝導層が高熱伝導層間に配された構造を採用してもよい。
誘電体層22は、記録磁性部10に対する外部からの磁気的影響や化学的影響などを回避ないし抑制するための部位であり、例えば、SiN,SiO2,YSiO2,ZnSiO2,AlO,またはAlNよりなる。誘電体層22の厚さは、例えば10〜70nmである。また、誘電体層22は、再生層13からの反射光のカー回転角をみかけ上増大させるエンハンス機能を有していてもよい。
保護膜23は、光磁気記録媒体Xの記録用レーザおよび再生用レーザに対して充分な透過性を有する樹脂よりなり、その厚さは例えば10〜40μmである。保護膜23を構成するための樹脂としては、例えば紫外線硬化性樹脂が挙げられる。
図3は、光磁気記録媒体Xの製造方法を表す。光磁気記録媒体Xの製造においては、まず、図3(a)に示すような基板Sを用意する。基板Sは、例えば樹脂射出成形法により形成されたものであり、その表面には、ランド面Sa、グルーブ面Sb、および境界傾斜面Scにより規定される所定の凹凸形状を既に有する。次に、図3(b)に示すように、基板S上に放熱層21、記録層11、および中間層12を順次形成する。各層は、スパッタリング法により形成することができる。
光磁気記録媒体Xの作製においては、次に、図3(c)に示すように、中間層12上に再生層13を形成する。
再生層13の形成においては、具体的には、スパッタリング法により第1材料層13aおよび第2材料層13bを交互に積層形成する。各層を形成する際には、例えば、ランド部1およびグルーブ部2にて、相対的に厚い所定の厚さでスパッタリング材料が成膜されるように、且つ、境界部3にて、相対的に薄い所定の厚さで当該材料が成膜されるように、スパッタリング法においてスパッタリング装置のチャンバ内に生ずるプラズマの形状を調整する。プラズマ形状は、チャンバ内のガス圧力やターゲットごとの投入電力を適宜調節することによって、調整することができる。例えば、第1材料層13aを形成するための遷移金属材料の成膜時におけるガス圧力は相対的に高く設定され、第2材料層13bを形成するための希土類金属材料の成膜時におけるガス圧力は相対的に低く設定される。
次に、図3(d)に示すように、再生層13ないし記録磁性部10上に誘電体層22を形成し、その後、誘電体層22上に保護膜23を形成する。誘電体層22の形成にはスパッタリング法を採用することができる。保護膜23の形成にはスピンコート法を採用することができる。以上のようにして、光磁気記録媒体Xを製造することができる。
光磁気記録媒体Xにおいて、再生層13は、アモルファス磁性材料よりなる第1材料層13aおよび第2材料層13bが交互に配された多層構造を有し、ランド部1における第1材料層13aの厚さ、および、グルーブ部2における第1材料層13aの厚さは、共に、境界部3における第1材料層13aの厚さより小さい。磁気異方性を呈し得る所定の2種類のアモルファス磁性材料が交互に成膜されて形成される多層磁性膜構造は、これを構成する各層が相対的に薄い場合、垂直磁気異方性を呈する傾向にある。一方、多層磁性膜構造を構成する各層が相対的に厚い場合、当該多層磁性膜構造は面内磁気異方性を呈する傾向にある。このような多層磁性膜構造の磁気異方性の傾向は、当該多層磁性膜構造を構成する少なくとも一方の材料層の厚さに対してより強く依存する場合があり、この場合、当該一方の材料層の所定の厚さ付近にて、多層磁性膜構造の磁気異方性は急峻に変化し得る。本発明においては、アモルファス磁性材料のこのような性質を利用して、ランド部1およびグルーブ部2と境界部3との間で再生層13の第1材料層13aの厚さを異ならしめることによって、再生層13について、ランド部1およびグルーブ部2では垂直磁気異方性を呈し且つ境界部3では面内磁気異方性を呈するように、形成されている。具体的には、ランド部1およびグルーブ部2における再生層13の第1材料層13aについては、当該第1材料層13aの厚さに依存して当該再生層13が垂直磁気異方性を有するように相対的に薄く設定され、且つ、境界部3における再生層13の第1材料層13aについては、当該再生層13が面内磁気異方性を有するように相対的に厚く設定されている。また、再生層13の第2材料層13bについても、ランド部1およびグルーブ部2において相対的に薄く設定され、境界部3において相対的に厚く設定されている。このようにして形成されている再生層13は、ランド部1およびグルーブ部2にて垂直磁気異方性を呈し、且つ、境界部3にて面内磁気異方性を呈することとなる。そして、このような再生層13においては、情報トラックとして利用可能なランド部1およびグルーブ部2と情報トラック間の境界部3とは磁性的に分離され、即ち、境界部3にてトラック延び方向に延びる磁壁の形成が阻害され、従って、ランド部1およびグルーブ部2にてトラック延び方向に離隔する複数の磁壁について分離独立化が図られている。
このように、光磁気記録媒体Xによると、情報トラック間の境界部3に対してアニール処理を施さずとも、情報トラック(ランド部1,グルーブ部2)における複数の磁壁の分離独立化が実現されている。このような光磁気記録媒体Xは、アニール処理を施さずに高い再生分解能を達成するのに適している。
図4は、サンプルA,B,C,D,Eの積層構成を表す。サンプルA,C,D,Eの下記の擬似再生層は、本発明に係る光磁気記録媒体Xのランド部1およびグルーブ部2における再生層13の一例に相当する。一方、サンプルBの下記の擬似再生層は、光磁気記録媒体Xの境界部3における再生層13の一例に相当する。
サンプルAの作製においては、まず、スパッタリング法により、平坦なガラス基板(25mm×38mm×0.6mm)の上にAlSiを成膜することによって、厚さ40nmの放熱層を形成した。具体的には、AlターゲットおよびSiターゲットを用いて行うコスパッタリングにより、基板上にAlSiを成膜した。本スパッタリングでは、スパッタガス圧力を0.59Paとし、スパッタ電力を300W(Alターゲット)および200W(Siターゲット)とした。また、本スパッタリングでは、回転カソード型DC・RFマグネトロンスパッタリング装置を使用した。以下のスパッタリングにおいても、この装置を使用した。サンプルAの作製においては、次に、第2材料層としてのGd層(0.7nm)および第1材料層としてのFeCo層(0.7nm)をスパッタリング法により交互に積層形成することにより、擬似再生層(全体組成:Gd27Fe65Co8,厚さ:約20nm,第1材料層数:15,第2材料層数:15)を形成した。Gd層の形成においては、Gdターゲットを用い、スパッタガス圧力を0.3Paとし、スパッタ電力を80Wとした。FeCo層の形成においては、FeCoターゲットを用い、スパッタガス圧力を0.6Paとし、スパッタ電力を250Wとした。次に、スパッタリング法により擬似再生層上にSiNを成膜することによって、厚さ30nmの誘電体層を形成した。本スパッタリングでは、ArガスおよびN2ガスの流量比を2:1とし、スパッタガス圧力を0.3Paとし、スパッタ電力を500Wとした。以上のようにしてサンプルAを作製した。
第1材料層(FeCo層)の厚さ、第2材料層(Gd層)の厚さ、並びに、第1および第2材料層の各積層数について適宜変更した以外はサンプルAの作製手法と同様の手法により、サンプルB,C,D,Eを作製した。第1および第2材料層の厚さは、各層形成時における材料の成膜時間を調節することにより変更した。サンプルBにおいては、Gd層の厚さを0.9nmとし、FeCo層の厚さを1.03nmとし、Gd層数およびFeCo層数を各々10とした。サンプルCにおいては、Gd層の厚さを0.57nmとし、FeCo層の厚さを0.7nmとし、Gd層数およびFeCo層数を各々16とした。サンプルDにおいては、Gd層の厚さを0.49nmとし、FeCo層の厚さを0.6nmとし、Gd層数およびFeCo層数を各々19とした。サンプルEにおいては、Gd層の厚さを0.41nmとし、FeCo層の厚さを0.5nmとし、Gd層数およびFeCo層数を各々22とした。
上述のようにして作製したサンプルA,Bの各擬似再生層について、所定の磁気光学測定装置を使用して、印加磁場を掃引しつつカー回転角を測定した。図5および図6は、各々、サンプルA,Bの測定結果を表すグラフである。図5および図6のグラフにおいて、横軸は印加磁場(kOe)を表し、縦軸はカー回転角(度)を表す。図5に表れているように、第1材料層としてのFeCo層の厚さが1nmより小さいサンプルAの擬似再生層は、H=0でのカー回転角は有意な値を有してヒステリシス曲線を示し、垂直磁気異方性を有していた。また、図6に表れているように、第1材料層としてのFeCo層の厚さが1nmより大きいサンプルBの擬似再生層は、H=0でのカー回転角が略0度であってヒステリシス曲線を示さず、面内磁気異方性を有していた。これらの結果から、多層再生層を構成する所定の材料層の厚さ調節によって当該再生層の磁気異方性を制御し得ることが理解できよう。
上述のようにして作製したサンプルC,D,Eの各擬似再生層について、補償温度を測定した。図7は、その結果を表すグラフである。図7のグラフにおいて、横軸は温度(℃)を表し、縦軸は飽和磁化Ms(emu/cc)を表す。また、図7のグラフにおいて、線71,72,73は、各々、サンプルC,D,Eの測定結果を表す。図7に表れているように、サンプルC,D,Eの擬似再生層は、互いに異なる補償温度を有する。また、サンプルC,D,Eの擬似再生層は、同一の全体組成(Gd27Fe65Co8)を有する。したがって、本発明によると、再生層について、一定の全体組成において補償温度が調節可能であることが理解できよう。
〔光磁気記録媒体の作製〕
図8に示す積層構成をランド部およびグルーブ部にて有するフロントイルミネーション方式の光磁気ディスクとして、本実施例の光磁気記録媒体を作製した。
本実施例の光磁気記録媒体の作製においては、まず、表面にランドグルーブ形状を有するポリカーボネート基板(直径:120mm,厚さ:1.2mm,トラックピッチ:275nm,ランド面幅:257nm,グルーブ面幅:261nm,グルーブ深さ47nm,境界面傾斜角度:55°)の上に、スパッタリング法によりAlSiを成膜することによって、厚さ40nmの放熱層を形成した。具体的には、AlターゲットおよびSiターゲットを用いて行うコスパッタリングにより、基板上にAlSiを成膜した。本スパッタリングでは、スパッタガス圧力を0.59Paとし、スパッタ電力を300W(Alターゲット)および200W(Siターゲット)とし、成膜速度を25.6nm/minとした。
次に、スパッタリング法により放熱層上にTb22Fe62Co16を成膜することによって、厚さ70nmの記録層を形成した。具体的には、TbターゲットおよびFeCoターゲットを用いて行うコスパッタリングにより、放熱層上にTbFeCoを成膜した。本スパッタリングでは、スパッタガス圧力を1.7Paとし、スパッタ電力を46W(Tbターゲット)および200W(FeCoターゲット)とし、成膜速度を14nm/minとした。
次に、スパッタリング法により記録層上にTb22Fe78を成膜することによって、厚さ15nmの中間層を形成した。具体的には、TbターゲットおよびFeターゲットを用いて行うコスパッタリングにより、放熱層上にTbFeを成膜した。本スパッタリングでは、スパッタガス圧力を2.5Paとし、スパッタ電力を76W(Tbターゲット)および300W(Feターゲット)とし、成膜速度を22nm/minとした。
次に、第2材料層としてのGd層(ランド部およびグルーブ部での厚さ:0.51nm,境界部での厚さ:1.02nm)および第1材料層としてのFeCo層(ランド部およびグルーブ部での厚さ:0.6nm,境界部での厚さ:1.2nm)をスパッタリング法により交互に積層することにより、多層再生層(全体組成:Gd27Fe65Co8,情報トラックでの厚さ:約20nm,第1材料層数:18,第2材料層数:18)を形成した。Gd層の形成においては、Gdターゲットを用い、スパッタガス圧力を0.3Paとし、スパッタ電力を80Wとし、成膜速度を12nm/minとした。FeCo層の形成においては、FeCoターゲットを用い、スパッタガス圧力を0.6Paとし、スパッタ電力を250Wとし、成膜速度を15.3nm/minとした。
次に、スパッタリング法により多層再生層上にSiNを成膜することによって、厚さ50nmのエンハンス層(誘電体層)を形成した。本スパッタリングでは、ArガスおよびN2ガスの流量比を2:1とし、スパッタガス圧力を0.3Paとし、スパッタ電力を500Wとした。
次に、エンハンス層上に厚さ15μmの保護膜を形成した。具体的には、まず、スピンコート法により、UV硬化性の透明樹脂を誘電体層上に塗布した。次に、紫外線照射により、当該樹脂膜を硬化させた。以上のようにして、本実施例の光磁気記録媒体を作製した。
〔特性評価〕
本実施例の光磁気記録媒体における記録マークの再生信号波形(MO波形)を調べた。具体的には、まず、本実施例の光磁気記録媒体(光磁気ディスク)における情報トラックに対し、記録マークと同じ長さのスペースを介して所定のマーク長の記録マークを繰り返し記録した。記録は、所定の装置を使用してレーザパルス磁界変調記録方式により行った。この装置の対物レンズの開口数NAは0.85であり、レーザ波長は405nmである。また、レーザ走査速度を4.0m/sとし、記録レーザパワーを13mWとし、印加磁界を200Oeとした。次に、当該光磁気記録媒体を再生して再生信号波形を観察した。当該再生処理は、記録時と同一の装置を使用して行い、再生レーザパワーを2.0mWとし、レーザ走査速度を4.0m/sとした。再生信号の波形ないし出力レベルは、スペクトルアナライザを使用して観察した。このような記録処理およびその後の再生処理を、記録マークのマーク長を変化させて、各記録マーク長ごとに行なった。
その結果、本実施例の光磁気記録媒体においては、長さ75nmのマークであっても、長さ65nmのマークであっても、不当に振幅が低下することなく良好に再生できることが確認された。これは、長さ75nmのマークであっても、長さ65nmのマークであっても、情報トラック(ランド部,グルーブ部)における多層再生層において良好な磁壁移動が生じていることを意味する。このように、本実施例の光磁気記録媒体によると、アニール処理を施さずとも高い再生分解能を達成することができた。
〔光磁気記録媒体の作製〕
図9に示す積層構成をランド部およびグルーブ部にて有するフロントイルミネーション方式の光磁気ディスクとして、本実施例の光磁気記録媒体を作製した。本実施例の光磁気記録媒体は、多層再生層の形成以外は実施例1と同様にして作製した。本実施例においては、第2材料層としてのGd層(ランド部およびグルーブ部での厚さ:0.57nm,境界部での厚さ:1.14nm)および第1材料層としてのFeCo層(ランド部およびグルーブ部での厚さ:0.7nm,境界部での厚さ:1.4nm)をスパッタリング法により交互に積層することにより、多層再生層(全体組成:Gd27Fe65Co8,情報トラックでの厚さ:約20nm,第1材料層数:16,第2材料層数:16)を形成した。Gd層の形成においては、Gdターゲットを用い、スパッタガス圧力を0.3Paとし、スパッタ電力を80Wとし、成膜速度を12nm/minとした。FeCo層の形成においては、FeCoターゲットを用い、スパッタガス圧力を0.6Paとし、スパッタ電力を250Wとし、成膜速度を15.3nm/minとした。
〔特性評価〕
本実施例の光磁気記録媒体における記録マークの再生信号波形(MO波形)を、実施例1と同様にして調べた。その結果、本実施例の光磁気記録媒体については、実施例1の光磁気記録媒体と同様に、長さ75nmのマークであっても、長さ65nmのマークであっても、不当に振幅が低下することなく良好に再生できていることが確認された。このように、本実施例の光磁気記録媒体によると、アニール処理を施さずとも高い再生分解能を達成することができた。
〔光磁気記録媒体の作製〕
図10に示す積層構成をランド部およびグルーブ部にて有するフロントイルミネーション方式の光磁気ディスクとして、本実施例の光磁気記録媒体を作製した。本実施例の光磁気記録媒体は、多層再生層の形成以外は実施例1と同様にして作製した。本実施例においては、第2材料層としてのGd層(ランド部およびグルーブ部での厚さ:0.49nm,境界部での厚さ:0.98nm)および第1材料層としてのFeCo層(ランド部およびグルーブ部での厚さ:0.6nm,境界部での厚さ:1.2nm)をスパッタリング法により交互に積層することにより、多層再生層(全体組成:Gd27Fe65Co8,情報トラックでの厚さ:約20nm,第1材料層数:19,第2材料層数:19)を形成した。Gd層の形成においては、Gdターゲットを用い、スパッタガス圧力を0.3Paとし、スパッタ電力を80Wとし、成膜速度を12nm/minとした。FeCo層の形成においては、FeCoターゲットを用い、スパッタガス圧力を0.6Paとし、スパッタ電力を250Wとし、成膜速度を15.3nm/minとした。
〔特性評価〕
本実施例の光磁気記録媒体における記録マークの再生信号波形(MO波形)を、実施例1と同様にして調べた。その結果、本実施例の光磁気記録媒体については、実施例1の光磁気記録媒体と同様に、長さ75nmのマークであっても、長さ65nmのマークであっても、不当に振幅が低下することなく良好に再生できていることが確認された。このように、本実施例の光磁気記録媒体によると、アニール処理を施さずとも高い再生分解能を達成することができた。
〔光磁気記録媒体の作製〕
図11に示す積層構成をランド部およびグルーブ部にて有するフロントイルミネーション方式の光磁気ディスクとして、本実施例の光磁気記録媒体を作製した。本実施例の光磁気記録媒体は、多層再生層の形成以外は実施例1と同様にして作製した。本実施例においては、第2材料層としてのGd層(ランド部およびグルーブ部での厚さ:0.41nm,境界部での厚さ:0.82nm)および第1材料層としてのFeCo層(ランド部およびグルーブ部での厚さ:0.5nm,境界部での厚さ:1.0nm)をスパッタリング法により交互に積層することにより、多層再生層(全体組成:Gd27Fe65Co8,情報トラックでの厚さ:約20nm,第1材料層数:22,第2材料層数:22)を形成した。Gd層の形成においては、Gdターゲットを用い、スパッタガス圧力を0.3Paとし、スパッタ電力を80Wとし、成膜速度を12nm/minとした。FeCo層の形成においては、FeCoターゲットを用い、スパッタガス圧力を0.6Paとし、スパッタ電力を250Wとし、成膜速度を15.3nm/minとした。
〔特性評価〕
本実施例の光磁気記録媒体における記録マークの再生信号波形(MO波形)を、実施例1と同様にして調べた。その結果、本実施例の光磁気記録媒体については、実施例1の光磁気記録媒体と同様に、長さ75nmのマークであっても、長さ65nmのマークであっても、不当に振幅が低下することなく良好に再生できていることが確認された。このように、本実施例の光磁気記録媒体によると、アニール処理を施さずとも高い再生分解能を達成することができた。
比較例
〔光磁気記録媒体の作製〕
図12に示す積層構成を有するフロントイルミネーション方式の光磁気ディスクとして、本比較例の光磁気記録媒体を作製した。本比較例の光磁気記録媒体は、再生層の形成以外は実施例1と同様にして作製した。本比較例においては、中間層(TbFe,15nm)上にGd27Fe65Co8を一様に成膜することによって、厚さ20nmの再生層を形成した。本スパッタリングでは、GdターゲットおよびFeCoターゲットを用い、スパッタガス圧力を0.3Paとし、スパッタ電力を80Wとして両ターゲットに対して同時に放電し、成膜速度を27.5nm/minとした。
〔特性評価〕
本比較例の光磁気記録媒体における記録マークの再生信号波形(MO波形)を、実施例1と同様にして調べた。その結果、本比較例の光磁気記録媒体では、長さ75nmのマークおよび長さ65nmのマークは再生できなかった。また、長さ90nmのマークでさえも、良好な再生波形が得られるほどには再生できなかった。これは、情報トラック(ランド部,グルーブ部)における再生層において適切な磁壁移動が生じていないことを意味する。このように、本比較例の光磁気記録媒体によると、アニール処理を施さない場合に充分な再生分解能が得られなかった。
以上のまとめとして、本発明の構成およびそのバリエーションを以下に付記として列挙する。
(付記1)記録機能を担うための記録層と、磁壁移動を伴う再生機能を担うための再生層と、前記記録層および前記再生層の間に介在して当該記録層および再生層の間の交換結合状態を変化させるための中間層とからなる積層構造を含み、且つ、相対的に突出しているランド部と、相対的に退避しているグルーブ部と、当該ランド部およびグルーブ部の間の境界部とを有する、磁性材料部を備え、
前記再生層は、複数の第1材料層および複数の第2材料層を含んで当該第1材料層および第2材料層が交互に配された多層構造を有し、前記ランド部における前記第1材料層の厚さ、および、前記グルーブ部における前記第1材料層の厚さは、前記境界部における前記第1材料層の厚さより小さい、光磁気記録媒体。
(付記2)前記再生層は、前記ランド部および前記グルーブ部にて垂直磁気異方性を有し、且つ、前記境界部にて面内磁気異方性を有する、付記1に記載の光磁気記録媒体。
(付記3)前記ランド部における前記第1材料層の厚さと、前記グルーブ部における前記第1材料層の厚さとは、同一である、付記1または2に記載の光磁気記録媒体。
(付記4)前記ランド部における前記第2材料層の厚さ、および、前記グルーブ部における前記第2材料層の厚さは、前記境界部における前記第2材料層の厚さより小さい、付記1から3のいずれか一つに記載の光磁気記録媒体。
(付記5)前記ランド部における前記第2材料層の厚さと、前記グルーブ部における前記第2材料層の厚さとは、同一である、付記4に記載の光磁気記録媒体。
(付記6)前記第1材料層はアモルファス遷移金属を含み、前記第2材料層はアモルファス希土類金属を含む、付記1から5のいずれか一つに記載の光磁気記録媒体。
(付記7)前記アモルファス遷移金属はFeおよび/またはCoを含み、前記アモルファス希土類金属はGdを含む、付記6に記載の光磁気記録媒体。
(付記8)前記ランド部における前記第1材料層の厚さ、および、前記グルーブ部における前記第1材料層の厚さは、1nm以下であり、前記境界部における前記第1材料層の厚さは1nmより大きい、付記1から7のいずれか一つに記載の光磁気記録媒体。
(付記9)前記ランド部および前記グルーブ部における前記第1材料層および前記第2材料層の厚さは0.9nm以下である、付記1から8のいずれか一つに記載の光磁気記録媒体。
(付記10)記録機能を担うための記録層と、磁壁移動を伴う再生機能を担うための再生層と、前記記録層および前記再生層の間に介在して当該記録層および再生層の間の交換結合状態を変化させるための中間層とからなる積層構造を含み、且つ、相対的に突出しているランド部と、相対的に退避しているグルーブ部と、当該ランド部およびグルーブ部の間の境界部とを有する磁性材料部を備え、
前記再生層は、前記ランド部および前記グルーブ部にて垂直磁気異方性を有し、且つ、前記境界部にて面内磁気異方性を有する、光磁気記録媒体。
本発明に係る光磁気記録媒体の部分断面図である。 図1に示す光磁気記録媒体の積層構成を表す。 図1に示す光磁気記録媒体の製造過程を表す。 サンプルA〜Eの積層構成を表す。 サンプルAのカーループ測定結果を表す。 サンプルBのカーループ測定結果を表す。 サンプルC,D,Eについて、飽和磁化の温度依存性を表すグラフである。 実施例1の光磁気記録媒体の積層構成を表す。 実施例2の光磁気記録媒体の積層構成を表す。 実施例3の光磁気記録媒体の積層構成を表す。 実施例4の光磁気記録媒体の積層構成を表す。 比較例の光磁気記録媒体の積層構成を表す。
符号の説明
X 光磁気記録媒体
1 ランド部
2 グルーブ部
3 境界部
S 基板
Sa ランド面
Sb グルーブ面
Sc 境界傾斜面
10 記録磁性部
11 記録層
12 中間層
13 再生層
13a 第1材料層
13b 第2材料層
21 放熱層
22 誘電体層
23 保護膜

Claims (5)

  1. 記録機能を担うための記録層と、磁壁移動を伴う再生機能を担うための再生層と、前記記録層および前記再生層の間に介在して当該記録層および再生層の間の交換結合状態を変化させるための中間層とからなる積層構造を含み、且つ、相対的に突出しているランド部と、相対的に退避しているグルーブ部と、当該ランド部およびグルーブ部の間の境界部とを有する、磁性材料部を備え、
    前記再生層は、複数の第1材料層および複数の第2材料層を含んで当該第1材料層および第2材料層が交互に配された多層構造を有し、前記ランド部における前記第1材料層の厚さ、および、前記グルーブ部における前記第1材料層の厚さは、前記境界部における前記第1材料層の厚さより小さい、光磁気記録媒体。
  2. 前記再生層は、前記ランド部および前記グルーブ部にて垂直磁気異方性を有し、且つ、前記境界部にて面内磁気異方性を有する、請求項1に記載の光磁気記録媒体。
  3. 前記第1材料層は、Feおよび/またはCoを含むアモルファス遷移金属を含み、前記第2材料層は、Gdを含むアモルファス希土類金属を含む、請求項1または2に記載の光磁気記録媒体。
  4. 前記ランド部における前記第1材料層の厚さ、および、前記グルーブ部における前記第1材料層の厚さは、1nm以下であり、前記境界部における前記第1材料層の厚さは1nmより大きい、請求項1から3のいずれか一つに記載の光磁気記録媒体。
  5. 記録機能を担うための記録層と、磁壁移動を伴う再生機能を担うための再生層と、前記記録層および前記再生層の間に介在して当該記録層および再生層の間の交換結合状態を変化させるための中間層とからなる積層構造を含み、且つ、相対的に突出しているランド部と、相対的に退避しているグルーブ部と、当該ランド部およびグルーブ部の間の境界部とを有する磁性材料部を備え、
    前記再生層は、前記ランド部および前記グルーブ部にて垂直磁気異方性を有し、且つ、前記境界部にて面内磁気異方性を有する、光磁気記録媒体。
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