JP2004241005A - 光磁気記録媒体 - Google Patents

光磁気記録媒体 Download PDF

Info

Publication number
JP2004241005A
JP2004241005A JP2003025752A JP2003025752A JP2004241005A JP 2004241005 A JP2004241005 A JP 2004241005A JP 2003025752 A JP2003025752 A JP 2003025752A JP 2003025752 A JP2003025752 A JP 2003025752A JP 2004241005 A JP2004241005 A JP 2004241005A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic layer
magnetic
magneto
recording medium
optical recording
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003025752A
Other languages
English (en)
Inventor
Jun Sumioka
潤 住岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2003025752A priority Critical patent/JP2004241005A/ja
Publication of JP2004241005A publication Critical patent/JP2004241005A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】アニール処理を施す磁壁移動検出方式の光磁気記録媒体において、レーザー照射部の媒体膜厚方向への温度分布によって生じるアニール処理ムラが発生しない光磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】磁壁移動検出方式の光磁気記録媒体において、第1の磁性層を成膜後に情報記録トラック間の領域に高出力のレーザービームを照射してアニール処理し、さらに、酸化、腐食した第1の磁性層表面を逆スパッタによって除去し、第2、第3の磁性層を順次透明基板上に成膜する。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁性膜に磁区パターンとして情報を記録し、磁気光学効果を用いて情報を再生する光磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光磁気記録媒体の高記録密度化への要望が高まっており、それに応えるため、光学的分解能を超えるような非常に微細な記録マークを再生する技術が開発されている。記録媒体の工夫によりこれを達成する方法として、磁気超解像再生法が知られている。この方法では、磁性多層膜において再生用レーザーのスポット径よりも狭い検出領域のみに記録マークが転写され、他の領域では磁気的に一方向に揃ってマスクされるため、信号検出領域が実質的に制限され光学系の分解能を超えた再生が可能になる。しかし、磁気超解像再生法において再生分解能を向上させようとすると、有効に使用される信号検出領域を狭くする必要があるので、再生信号振幅自体は低下するという欠点がある。
【0003】
上記問題点を解決する方法として、信号検出領域を狭くするのではなく、記録マークを拡大して再生する方法が提案されている(特許文献1参照)。複数の磁性層からなる光磁気媒体に光スポットを照射して、垂直磁化として記録されている磁区を再生層に転写し、その再生層に転写した磁区の磁壁を移動させて、記録層の磁区よりも大きくして再生する。この磁壁移動検出方式について説明する。
【0004】
図6に、磁壁移動検出方式の光磁気記録媒体及びその再生方法における作用を説明するための模式図を示す。図6(a)に示したように、記録媒体は小さな磁壁抗磁力を有する第1の磁性層11と、相対的に低いキュリー温度Tを有する第2の磁性層12と、大きな磁壁抗磁力を有する第3の磁性層13からなる交換結合3層膜で構成される。各層中の矢印14は電子スピンの向きを表わしている。スピンの向きが相互に逆向きの領域の境界部には磁壁15が形成されている。記録膜面上を再生用のレーザービームスポット16を利用して局所的に加熱すると、図6(b)に示したような温度分布が形成され、これに伴い磁壁エネルギー密度の分布が図6(c)に示したように形成される。磁壁エネルギー密度は一般的に温度が上昇するほど低下するので、ピーク温度の位置で磁壁エネルギー密度が最も低くなるような分布になる。この結果、位置Xに存在する第1の磁性層の磁壁をエネルギー密度の低い高温側へ移動させようとする磁壁駆動力Fが発生する。
【0005】
媒体温度が第2の磁性層のキュリー温度Tよりも低い場所では、各磁性層は交換結合しているため、前述の温度勾配による磁壁駆動力が作用しても、第3の磁性層の大きな磁壁抗磁力に阻止されて磁壁移動は起こらない。ところが、媒体温度Tよりも高い場所では第1の磁性層と第3の磁性層との間の交換結合が切断されるため、磁壁抗磁力の小さな移動層中の磁壁は、温度勾配による磁壁駆動力で磁壁移動が可能となる。このため、媒体の走査に伴って、磁壁が温度Tの位置を越えて結合切断領域に侵入した瞬間に、移動層中で高温側へ磁壁移動が起こる。
【0006】
記録膜中に信号に対応した間隔で形成されている磁壁が、媒体の走査に伴って温度Tの位置を通過するたびに、移動層内で磁壁移動が発生する。媒体を一定速度で走査すると、記録されている磁壁の空間的間隔に対応した時間間隔で、この磁壁移動が発生することになる。したがって、磁壁移動の発生を検知することにより記録信号を再生することができる。磁壁移動の発生は、再生用のレーザービームにより、磁壁移動領域の磁化の向きに応じた偏光面の回転(カー効果)を利用して検知することができる。
【0007】
信号振幅は磁壁移動距離で決まり、記録されている磁壁間の距離すなわち磁区長には依存しない。また、再生スポットではなく、温度Tの等温線が記録パターンを弁別していくことになるので、光学系の分解能とは無関係に信号を再生することができる。
【0008】
上記の磁壁移動検出方式を用いる光磁気記録媒体において、ノイズの少ない良好な再生信号を得ようとすると、隣接する情報トラック間の磁性層の磁気的結合を分断する必要がある。これは情報トラック間の磁性膜が物理的、物性的に連続した一様な膜である場合は、記録マークが閉じた磁壁で周囲を囲まれた磁区として存在するので、この記録マークを拡大させる方向に磁壁移動させようとすると、必然的に磁壁面積が拡大して磁壁の有するエネルギーが大きくなるため、結果として磁壁移動の動作が不安定となるからであると考えられる。
【0009】
磁気的結合を分断するために、3つの方法が挙げられている。すなわち、第1の方法として、情報トラックと情報トラックとの間に矩形の案内溝を設けて案内溝側面の磁性膜厚を薄くする方法、第2の方法として、情報トラックと情報トラックの間の案内溝部分の磁性膜を高出力レーザーでアニール処理を施して磁気的性質を変質させる方法、第3の方法として、エッチング処理によってパターニングする方法である。また、第1の方法の変形として、ランド部と矩形溝部を同一幅に構成し、ランドと矩形溝の両方を情報トラックに用いる方法(いわゆるランド・グルーブ記録法)が考えられる。これらの方法はすべて隣接する情報トラック同士を物理的形状、物性変化を伴う方法によって分断して、磁壁面積を増加させることなく記録マークを拡大させようとするものである。
【0010】
本発明の光磁気記録媒体は、上記第2の方法のアニール処理を施して磁気的分断を行うものである。
【0011】
ここで、アニール処理を施して磁性層の磁気的結合を分断するのは、必ずしも第1、第2、第3の磁性層すべてである必要はない。分断を必要とするのは、磁壁が移動する第1の磁性層である。第1の磁性層が分断されていれば、第2、第3の磁性層が分断されていなくても、磁区の磁壁は閉じずに形成されるので安定した磁壁移動動作が行われる。
【0012】
【特許文献1】
特開平6−290496号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上述したアニール処理方法には、基板側からレーザーを照射する方法と、膜面側からレーザーを照射する方法とがある。先程述べたように、分断を必要とするのは磁壁が移動する第1の磁性層であり、第1の磁性層を確実に分断するという意味では、基板側からアニール処理した方が良い。しかし、基板側からレーザーを照射する方法は、基板の内外周での厚みムラやチルト差の影響を著しく受けてしまうため特性が安定せず、実際の製造工程には適していない。それに対して、膜面側からアニール処理する場合は、高NAの対物レンズを使用できるので、基板の内外周での厚みムラやチルト差による収差を小さくすることができ、これらの影響をあまり受けずにアニールすることが可能である。従って、膜面側からアニール処理する方法は、製造工程に適したアニール処理方法だと言える。本発明の光磁気記録媒体は、膜面側からアニール処理を施して磁気的分断を行うものである。
【0014】
膜面側からアニール処理を施す場合、理想的には膜厚方向に直線的にアニール領域が形成されることが求められる。しかし、従来のアニール処理を施した場合、レーザー照射領域は膜厚方向で温度分布を持っているので、レーザー光源に近く位置する磁性層ほどアニールされ易く、離れて位置する磁性層ほどアニールされにくくなる。つまり、各磁性層間でのアニールされ方にムラが生じることになる。例えば、第3の磁性層はアニールされているが、第1の磁性層は十分にアニールされていない領域が存在して、信号特性を悪化させる原因となる。上記温度分布は、アニール処理時の線速などによりある程度変化させることができるが、膜厚方向に直線的に形成されるよう制御するのは、多層構造とトータル膜厚を考慮すると非常に困難である。
【0015】
本発明の目的は、上記のようなアニール処理ムラが発生しない光磁気記録媒体を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の光磁気記録媒体は、記録トラック間に形成されたアニール領域を有する磁壁移動検出方式の光磁気記録媒体において、磁壁が移動可能な第1の磁性層と、記録磁区を保持し、第1の磁性層より磁壁抗磁力が大きな第3の磁性層と、第1の磁性層及び第3の磁性層よりもキュリー温度の低い、第1の磁性層と第3の磁性層との間に配設された第2の磁性層とから構成されて、アニール領域として第1の磁性層のみアニール処理されている。
【0017】
本発明によれば、アニール処理される層が第1の磁性層のみなので、膜厚方向への温度分布の影響を受けずに、膜厚方向にかなり直線的に近い状態でアニール領域を形成することができる。したがって、従来のような磁性層間のアニールムラを生じずに、磁気的分断を図ることができる。また、アニールパワーを大幅に低減できるので、アニールの高線速化が可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1を参照すると、本発明で用いる光磁気記録媒体の層構成を示した模式的断面図が示されている。即ち、基板26上に少なくとも誘電体層25、第1の磁性層21(再生層)、第2の磁性層22(調整層)、第3の磁性層23(記録層)、誘電体層24が順次積層されている。
【0020】
基板26としては、例えば、ポリカーボネイト、アクリル、ガラス等を用いることができる。誘電体層24や誘電体層25としては、例えば、SiN、AiN、SiO、ZiS、MgF、TaOなどの誘電体材料が使用できる。磁壁の移動を光学的に検出するのでなければ、必ずしも透光性材料である必要はない。磁性層以外の層は必須のものではない。磁性層の積層順序を逆にしても良い。また、この構成に、さらにAl、AlTa、AlTi、AlCr、Cu、Pt、Auなどからなる金属層を付加して、熱的な特性を調整しても良い。また、高分子樹脂からなる保護コートを付与しても良い。
【0021】
これら各層は、例えばマグネトロンスパッタ装置による連続スパッタリング、または連続蒸着などによって被着形成できる。特に各磁性層は、真空を破ることなく連続成膜されることで交換結合をしている。
【0022】
上記の光磁気記録媒体は、第1の磁性層のキュリー温度をTc1、第2の磁性層のキュリー温度をTc2、第3の磁性層のキュリー温度をTc3としたとき、これら磁性層のキュリー温度が次式Tc1>Tc2、Tc3>Tc2の条件を満足するものである。
【0023】
光磁気記録材料としては様々考えられるが、例えばPr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Hoなどの希土類金属元素の1種類あるいは2種類以上が10〜50原子%と、Fe、Co、Niなどの鉄族元素の1種類あるいは2種類以上が90〜50原子%で構成される希土類−鉄族非晶質合金によって構成し得る。また、耐食性向上などのために、これにCr、Mn、Cu、Ti、Al、Si、Pt、Inなどの元素を少量添加しても良い。
【0024】
飽和磁化は、希土類元素と鉄族元素の組成比により制御することが可能である。保磁力は、飽和磁化の調整によって制御できるが、本質的には材料元素の選択により、垂直磁気異方性を調整する。一般に、Tb、Dyなどの系の材料は垂直磁気異方性が大きく保磁力も大きいのに対し、Gd系の材料は異方性が小さく保磁力も小さい。また、非磁性元素の添加により垂直磁気異方性は低下する。キュリー温度も、組成比により制御することが可能であるが、飽和磁化と独立に制御するためには、鉄族元素として、Feの一部をCoで置き換えた材料を用い、置換量を制御する方法がより好ましく利用できる。即ち、Fe1原子%をCoで置換することにより、6℃程度のキュリー温度上昇が見込めるので、この関係を用いて所望のキュリー温度となるようにCoの添加量を調整する。また、Cr、Tiなどの非磁性元素を微量添加することにより、逆にキュリー温度を低下させることも可能である。あるいは、2種類以上の希土類元素を用いてそれらの組成比を調整することでもキュリー温度を制御できる。
【0025】
本発明の実施の形態に係る光磁気記録媒体の第1の磁性層11の磁壁抗磁力は、第2の磁性層12のキュリー温度Tc2以上の温度において第3の磁性層13の磁壁抗磁力より小さいものである。第1の磁性層すなわち再生層は、調整層の働きとレーザースポットによる温度勾配を利用して記録層に記録されている磁区を拡大して再生するものである。
【0026】
本発明の光磁気記録媒体のような多層磁性膜では、隣接する磁性層間の同じ種類の副格子磁化の方向を同じ方向に揃えようとするような交換力が働く。この隣接層間の磁気的な結合を交換結合と呼ぶが、本発明の実施の形態に係る光磁気記録媒体においては、第3の磁性層から第2の磁性層を介して第1の磁性層に及ぼされる交換結合力が第1の磁性層の保磁力エネルギーを上回る温度が、周囲温度からTc2の間の温度範囲内に存在する。そのため、昇温・降温動作中にこの温度を経由することにより、周囲温度または周囲温度からTc2の間の温度において、第1の磁性層11及び第2の磁性層12の磁化方向を第3の磁性層13の磁化方向に揃えることができる。
【0027】
また、第3の磁性層13は、磁区として記録された記録情報を安定に保持するために垂直磁気異方性が大きな垂直磁化膜が望ましい。第3の磁性層のキュリー温度Tc3は第2の磁性層のキュリー温度Tc2より高いことが必要であり、かつ、実用的な記録感度を有し、安定な再生動作を行うためには120℃以上360℃以下が望ましい。
【0028】
次に、図2を用いて本発明の光磁気記録媒体の製造工程について説明する。
【0029】
直流マグネトロンスパッタリング装置に、上述した各材料のターゲットを取り付け、トラッキング用の案内溝(案内帯)が形成されたポリカーボネイト基板を基板ホルダーに固定した(S1)後、1×10−5Pa以下の高真空になるまでチャンバー内をクライオポンプで真空排気する。真空排気をしたままArガスをチャンバー内に導入し、基板を回転させながら、ターゲットをスパッタして各層を成膜する。
【0030】
まず最初に、下地層として誘電体層25を成膜する(S2)。引き続き、第1の磁性層を成膜する。
【0031】
第1の磁性層を成膜した(S3)後、光磁気記録媒体をスパッタリング装置から取り出し、アニール処理を行う(S4)。
【0032】
図3は本発明の光磁気記録媒体のアニール処理装置の構成を示すものである。図3に示すように、アニール処理装置はスピンドルモーター31、スピンドルサーボ回路32、光ピックアップ部33、サーボ回路34、レーザーパワーコントロール回路35、コントローラー36から構成されている。
【0033】
図4はアニール処理時の光磁気記録媒体の一部を拡大して示す図である。ここで、図4における光磁気記録媒体は、グルーブ部54すなわちグルーブトラックに主データが記録されるグルーブ記録のものとして説明する。
【0034】
光磁気記録媒体51は、スピンドルサーボ回路32により規定の線速度を保つように制御されるスピンドルモータ31によって、矢印の方向56に回転しているものとする。
【0035】
光ピックアップ部33は、サーボ回路34により、フォーカスサーボやトラッキングサーボ、あるいは、半径方向への移動制御などの各種制御がされる。また、光ピックアップ部33から出射されるレーザービームは、レーザーパワーコントロール回路35によって所定のアニールパワーとなるように制御される。
【0036】
コントローラー36は、CPU、ROM、RAMなどを備えたマイクロコンピュータであり、この実施の形態のアニール処理装置の各部を制御するものである。CPUは、再生アドレスデータにより、走査している光磁気記録媒体51上の位置を知り、この再生アドレスデータを基準として、光磁気記録媒体51上の目的とするトラックを走査することができるように、サーボ回路34、スピンドルサーボ回路32などに供給する制御信号を形成し、これを各部に供給する。
【0037】
サーボ回路34には、光ピックアップ部33からのフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号などが供給されるとともに、コントローラー36から、例えば、光磁気記録媒体51上の位置を指示する情報などが供給される。また、スピンドルサーボ回路32、レーザーパワーコントロール回路35にも、光ピックアップ部33からの情報や、コントローラー36からの制御信号が供給され、目的の制御を行うことができるようにされている。
【0038】
また、光ピックアップ部33は、光磁気記録媒体51に照射したレーザービームの反射光を受光するフォトディテクタを備えており、このフォトディテクタの分割された各ディテクタによって受光された反射光の光量から、プッシュプル信号を形成する。このプッシュプル信号はサーボ回路34に供給され、コントローラー36からの制御信号に基づいて目的のトラックを走査することができる。
【0039】
上記構成にて、光磁気記録媒体51に対してアニール処理を行う(S4)。光磁気記録媒体51は、最内周あるいは最外周にレーザースポット53が照射されるように、コントローラー36によって制御される。そして、光磁気記録媒体51は、スピンドルサーボ回路32によりアニール用の線速度を保つように制御され、光ピックアップ部33から出射されるレーザービームは、レーザーパワーコントロール回路35によって所定のアニールパワーとなるように制御されることによって、各種アニール条件が設定される。
【0040】
そして、不図示の機構によって、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を検出し、アニール処理を行うトラックの中心を走査するように制御される。
【0041】
図4において、対物レンズ52によって光磁気記録媒体51の磁性層上にレーザースポット53が集光される。この実施の形態の光磁気記録媒体51は、スパイラルの基板を用いたものである。この例においては、光磁気記録媒体51には、スパイラル状にグルーブ(溝)を形成することにより、グルーブ部54とランド部55が形成される。このランド部55は、グルーブ部54とグルーブ部54に挟まれるようにして形成された凸部分である。
【0042】
アニール処理(S4)は、図4に示すように光磁気記録媒体51のランド部上55a、55b、55cをこの順に走査していき、最内周から最外周に向かって、一定パワーで連続的にアニール処理を行っていく。
【0043】
ここで、本発明はグルーブ記録の光磁気記録媒体に限定されるものではなく、アニール処理を行うすべての光磁気記録媒体に適用することができる。
【0044】
次に、アニール処理が施された光磁気記録媒体をスパッタリング装置内に入れた後、基板側に電力を投入して、第1の磁性層表面を逆スパッタする(S5)。
【0045】
第1の磁性層の構成成分である希土類元素やFeは非常に酸化され易く、空気中の酸素とも容易に結合して酸化物を形成する性質がある。このため、アニール処理中は、このような酸化の進行により腐食や孔食が発生する。本発明では逆スパッタすることによって、酸化、腐食した第1の磁性層表面を除去することができる。
【0046】
続いて、第2、第3の磁性層を順次成膜する(S6)。最後に、保護層として誘電体層26を成膜する(S7、S8)。
【0047】
以上のような工程をもって、図5に示すような本発明の光磁気記録媒体を製造することができる。図5は、本発明の光磁気記録媒体における第1、第2、第3の磁性層61、62、63のアニール領域の様子を横から見た模式的断面図である。
【0048】
即ち、第1の磁性層を成膜後に情報記録トラック間の領域に高出力のレーザービームを照射してアニール処理を施し、さらに、酸化、腐食した第1の磁性層表面を逆スパッタによって除去し、第2、第3の磁性層を順次透明基板上に成膜するものである。これによって、基板の厚みムラやチルト差の影響が少ない膜面からアニール処理する方法を用いて、なお且つ第1の磁性層のみを確実に分断することが可能となる。
【0049】
以上、本発明の実施の形態が示され説明されたが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は本明細書内特定の説明と図に限定されるのではなく、本特許請求の範囲に全て述べられた様々の修正と変更に及ぶことが理解されるであろう。
【0050】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0051】
本発明の実施態様は、記録トラック間に形成されたアニール領域を有する磁壁移動検出方式の光磁気記録媒体において、磁壁が移動可能な第1の磁性層と、記録磁区を保持し、第1の磁性層より磁壁抗磁力が大きな第3の磁性層と、第1の磁性層及び第3の磁性層よりもキュリー温度の低い、第1の磁性層と第3の磁性層との間に配設された第2の磁性層とから構成されて、アニール領域として第1の磁性層のみアニール処理されている光磁気記録媒体である。
【0052】
本実施態様によれば、アニール処理される層が第1の磁性層のみなので、膜厚方向への温度分布の影響を受けずに、膜厚方向にかなり直線的に近い状態でアニール領域を形成することができる。したがって、従来のような磁性層間のアニールムラを生じずに、磁気的分断を図ることができる。また、アニールパワーを大幅に低減できるので、アニールの高線速化が可能である。
【0053】
また、本発明においては、第1の磁性層表面は逆スパッタされていることが好ましい。
【0054】
本実施態様によれば、逆スパッタすることによって、酸化、腐食した第1の磁性層表面を除去することができる。
【0055】
本発明の実施態様は、記録トラック間に形成されたアニール領域を有する磁壁移動検出方式の光磁気記録媒体の製造方法において、磁壁が移動可能な第1の磁性層を成膜後にアニール処理する工程と、記録磁区を保持し、第1の磁性層より磁壁抗磁力が大きな第3の磁性層と、第1の磁性層及び第3の磁性層よりもキュリー温度の低い、第1の磁性層と第3の磁性層との間に配設された第2の磁性層とを順次透明基板上に成膜する工程とを有する光磁気記録媒体の製造方法である。
【0056】
本実施態様によれば、基板の厚みムラやチルト差の影響が少ない膜面からアニール処理する方法を用いて、なお且つ第1の磁性層のみを確実に分断することが可能となる。
【0057】
また、本発明においては、光磁気記録媒体の製造方法において、第1の磁性層表面を逆スパッタする工程を有することが好ましい。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明には以下の効果がある。
【0059】
即ち、アニール処理される層が第1の磁性層のみなので、膜厚方向への温度分布の影響を受けずに、膜厚方向にかなり直線的に近い状態でアニール領域を形成することができるという効果がある。したがって、従来のような磁性層間のアニールムラを生じずに、磁気的分断を図ることができるという効果がある。また、アニールパワーを大幅に低減できるので、アニールの高線速化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる光磁気記録媒体の層構成を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の光磁気記録媒体の製造工程を示す図である。
【図3】本発明の光磁気記録媒体のアニール処理装置の構成を示す図である。
【図4】アニール処理時の光磁気記録媒体の一部を拡大して示す図である。
【図5】本発明の光磁気記録媒体における第1、第2、第3の磁性層のアニール処理の様子を横から見た模式的断面図である。
【図6】磁壁移動再生方式の光磁気記録媒体を模式的に示した図である。
(a)再生状態における媒体の断面を示し、各磁性層のスピンの配向状態を模式的に示した図である。
(b)(a)に示されている位置における媒体上の温度分布を示した図である。
(c)(a)に示されている位置における磁壁エネルギー密度の分布及びそれに伴って磁壁に作用する力の分布を模式的に示した図である。
【符号の説明】
11、21、61 第1の磁性層
12、22、62 第2の磁性層
13、23、63 第3の磁性層
14 電子スピンの向き
15 磁壁
16 再生用のビームスポット
17 磁壁の移動方向
18、56 媒体移動方向
24、25 誘電体層
26 基板
51 光磁気記録媒体
52 対物レンズ
53 レーザースポット
54a、b、c、65 グルーブ部
55a、b、c、64 ランド部
66 アニール処理部

Claims (1)

  1. 記録トラック間に形成されたアニール領域を有する磁壁移動検出方式の光磁気記録媒体において、
    磁壁が移動可能な第1の磁性層と、記録磁区を保持し、前記第1の磁性層より磁壁抗磁力が大きな第3の磁性層と、前記第1の磁性層及び前記第3の磁性層よりもキュリー温度の低い、前記第1の磁性層と前記第3の磁性層との間に配設された第2の磁性層とから構成されて、前記アニール領域として前記第1の磁性層のみアニール処理されていることを特徴とする光磁気記録媒体。
JP2003025752A 2003-02-03 2003-02-03 光磁気記録媒体 Pending JP2004241005A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003025752A JP2004241005A (ja) 2003-02-03 2003-02-03 光磁気記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003025752A JP2004241005A (ja) 2003-02-03 2003-02-03 光磁気記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004241005A true JP2004241005A (ja) 2004-08-26

Family

ID=32953956

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003025752A Pending JP2004241005A (ja) 2003-02-03 2003-02-03 光磁気記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004241005A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3332458B2 (ja) 光磁気記録媒体
JP3332750B2 (ja) 磁気記録媒体、記録方法、再生方法、及び、磁性記録媒体の製造方法
JPH11134732A (ja) 情報記録再生方法
JPH10149592A (ja) 磁壁移動を利用して情報を再生する光磁気記録媒体および信号再生方法
US20090268599A1 (en) Magnetic recording medium and recording and reproducing method and apparatus for the same
JPH08147777A (ja) 光学的記録媒体、記録再生方法および再生装置
JP2004241005A (ja) 光磁気記録媒体
JP2004133989A (ja) 光磁気記録媒体及びその製造方法
JP2005044440A (ja) 光磁気記録媒体及びその製造方法
JP2004071086A (ja) 光磁気記録媒体のアニール処理方法
JPH11328762A (ja) 光磁気記録媒体
JP2005251369A (ja) 光磁気記録媒体
JP2002319197A (ja) 光磁気記録媒体およびその製造方法
JP3631194B2 (ja) 光磁気記録媒体の製造方法
JP4157099B2 (ja) 光磁気記録媒体の製造方法
JP2008198238A (ja) 磁気記録媒体とその製造方法、および、磁気記録媒体の記録再生方法
JP2008152842A (ja) 磁性記録媒体
JP3332905B2 (ja) 光磁気記録媒体の再生方法および再生装置
JP3332913B2 (ja) 磁性記録媒体
JP2003263807A (ja) 磁気記録媒体及び光磁気記録媒体のアニール処理方法
US20040163097A1 (en) Domain-wall-displacement-type magnetooptical recording medium
JP2000207791A (ja) 磁性記録媒体
JP2003123337A (ja) 光磁気記録媒体のアニール処理方法及びアニール処理装置
JP2003303456A (ja) 光磁気記録媒体、および、その製造方法
JP2003272262A (ja) 光磁気記録媒体