JP2004257290A - カムフォロア用ローラおよびその製造方法 - Google Patents

カムフォロア用ローラおよびその製造方法 Download PDF

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【課題】ロッカアームにおけるミスアライメント吸収のために、ローラの外径面にクラウニングを形成するには、砥石にクラウニング相当形状部を形成しておき、ローラの外径面を当てるようにして砥石を回転させる。
【解決手段】弾性を有するバフ砥石20にローラ15を当てることで、バフ砥石20の撓みを利用して安価にローラ15を製造することができ、ローラ15をバフ砥石20に押圧して所定の面圧を負荷することで、クラウニング15a,15bを形成する際、ローラ15の外径面が加熱され、ローラ15の表面硬度が内部硬度に比べてあがるので、ロッカアームとしてカムが転接する厳しい使用環境において必要な耐久性を有し、長期使用に耐え得る。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カムフォロア用ローラおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カムフォロアとして、カムにより傾動してシリンダヘッドに設けられたバルブの開閉を行うロッカアームがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図1に示すように、この種のロッカアーム1は、一対の側壁2,3を有する胴体4と、側壁2,3どうしを一体に連結する連結部5と、側壁2,3どうしに渡すように配置されるローラ支軸11と、側壁間2,3でローラ支軸11回りに回転自在に設けられて、不図示のカムが転接するローラ15とを備えている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−280915号(第3頁,第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のロッカアームにおいて、ミスアライメント吸収のために、ローラ15の外径面にクラウニングを形成する場合がある。このクラウニングを形成するには、図4に示すように、砥石30にクラウニング相当形状部31を形成しておいて、このクラウニング相当形状部31にローラ15の外径面を当てるようにして砥石30を軸心回りに回転させてクラウニングを形成していた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のカムフォロア用ローラは、外径面にカムが転接して回転するようカムフォロアに設けられ、前記外径面に軸方向中心側から軸端側に向けて縮径するクラウニングを形成するとともに、前記外径面の表面層の硬度を、その表面層より深い部分である内部硬度よりも高く設定している。
【0007】
また、前記表面層の深さを100μmとし、その硬度を750Hv〜820Hvに設定している。
【0008】
上記構成のように、表面硬度が内部硬度に対して高く設定されたカムフォロア用ローラによれば、ローラにカムが転接して回転する厳しい使用環境において必要な耐久性を有し、長期使用に耐え得る。
【0009】
上記カムフォロア用ローラは、弾性変形可能な研磨具にカムフォロア用ローラの外径面を当接させ、前記研磨具と前記カムフォロア用ローラとを当接方向に所定の相対的押付け荷重でもって当接させながら、前記研磨具と前記カムフォロア用ローラとを軸心回りに相対的に回転させ、軸方向中心側から軸端側にかけて縮径した母線形状を形成するようにして製造する。
【0010】
このようにして製造することで、上記のように表面硬度を内部硬度に対して高く形成することができ、従来のように剛体の研磨具に、ローラ外径面のクラウニング形状に沿う形状の湾曲面を形成して、この砥石を用いてローラの外径面にクラウニングを形成する場合に比べて製造コストをさげることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係るカムフォロアを、ロッカアームを例に図面に基づいて説明する。
【0012】
図1はロッカアームの分解斜視図、図2はローラの製造途中を示す拡大図である。
【0013】
このロッカアーム1はエンドピボット型で、図1に示すように、一対の、対向する平行な側壁2,3を備えた胴体4を有する。この胴体4は、側壁2,3をその長手方向一方で連続する連結部5を一体に有する。この連結部5に、不図示のラッシュアジャスタの上端部が嵌入される半球状のピボット受け部7を有する。このピボット受け部7は、連結部5に対して絞り加工を施すことで形成されている。
【0014】
胴体4は、その側壁2,3を長手方向他方で連続するよう側壁2,3に一体形成されるバルブ受け部8を有する。このバルブ受け部8は、不図示のバルブステムの上端部が当接するもので、長方形の平板をコ字形に折曲して形成され、両側の垂下壁部10の外面が、側壁2,3の内面にあてがわれた状態で側壁2,3に接合されている。
【0015】
各側壁2,3の長手方向中間部位には、ローラ支軸11を挿通して架渡すための挿通孔12が打抜き加工によって形成されている。両挿通孔12に挿通して側壁2,3間に架渡されたローラ支軸11に、複数個の針状ころ13を介して、カムが転接するローラ15が外装される。ローラ支軸11の端部は、挿通孔12の周壁面に非回転に支持される。針状ころ13は、ローラ15とローラ支軸11との間の環状空間に、周方向に隙間なく配置されている。
【0016】
ローラ15がカムの転接に伴なってローラ支軸11回りに回転させられる際、針状ころ13は、ローラ支軸11の外径面を内輪軌道面とし、ローラ15の内周面を外輪軌道面としてローラ支軸11回りに転動する。
【0017】
ところで、ローラ15がカムに転接する際、取付け誤差によるローラ15の軸心とカムの軸心とのずれであるミスアライメントを吸収するために、ローラ15の外径面には、その軸中心側から軸方向外方(各軸端側)に向けて縮径するクラウニング15a,15bが形成されている。クラウニング15a,15bよりもさらに軸方向外方には、面取り15c,15dが形成されている。
【0018】
図2に示すように、この実施の形態で各クラウニング15a,15bの落込み量d1,d2を、1μm〜5μm、好ましくは2.5μmに設定している。図3に示すように、クラウニング15a,15bは、ローラ15を、バフ砥石20を研磨具として研磨(以下、「バフ研磨」という)することで形成している。
【0019】
なお一般に、バフ研磨とは、麻や綿の被覆層を表面に設けた回転研磨ロールに♯400,♯600,♯800などの所定の粗さの砥粒を添加して被研磨物を研磨する方法をいう。
【0020】
またローラ15において、表面硬度を内部硬度に対して高く設定している。具体的には、ローラ15の最表面から100μmの深さまでの表面硬度を750Hv〜820Hvに設定し、それより深い内部の硬度を720Hv〜790Hvと、ローラ15の表面に比べて30Hv程度低く設定している。Hvはビッカース硬さを示す。
【0021】
次に、ローラ15の製造方法を説明する。図3に示すように、バフ砥石20の研磨面に、円筒状に形成したローラ15(例えばJIS SUJ2が用いられる)の外径面を当て、ローラ15をバフ砥石20の研磨部分にバフ砥石20を変形し得るような所定の押付け荷重、例えば2kg/cm(従来は1kg/cm程度)で押圧し、この状態でバフ砥石20をその軸心回りに回転させる。
【0022】
そうすると、バフ砥石20はその弾性(可撓性)により、ローラ15で押圧される部分はローラ15の外径面形状に沿って押圧され、その軸方向両側は無負荷の形状に近付くよう撓んだ形状となる。
【0023】
つまり、バフ砥石20が弾性変形することにより、ローラ15の軸方向両側の面圧が軸方向中心側の面圧に比べて高くなり、これによって軸方向中心側から軸端側にかけて縮径した母線形状(ローラ15の軸方向両側に軸方向端部側に向けて落込む湾曲面)、すなわちクラウニング15a,15bが形成される。なお、前述のように、クラウニングの落込み量d1,d2は、1μm〜5μm、好ましくは2.5μmとなるように押付け荷重等を設定する。
【0024】
このようにローラ15に所定の面圧を負荷させることで、バフ砥石20に押圧してクラウニング15a,15bを形成する際、ローラ15の外径面が加熱され、ローラ15の表面硬度が内部硬度に比べてあがる。
【0025】
具体的には上述したように、ローラ15の表面硬度は、内部硬度に比べて30Hv程度高く形成されることになる。このようにして製造されたローラ15は、ロッカアーム1としてカム14が転接する厳しい使用環境において必要な耐久性を有し、長期使用に耐え得る。
【0026】
そして従来は、剛的な砥石を用いてこれにクラウニング形状に沿う形状の研磨面を形成することで、ローラ15の外径面にクラウニング15a,15bを形成していたため、砥石に特別な加工を施す必要があり、このため製造コストが高かった。
【0027】
しかし、本発明の実施の形態では、弾性を有するバフ砥石20をそのまま用いてローラ15を製造することができるので、従来に比べて製造コストを下げることができる。
【0028】
なお本発明では、ローラ15にクラウニング15a,15bを形成する製造工程中に、一個のローラ15ごとに間欠的に製造することもできるし、複数個のローラ15に連続的に製造することも可能である。連続的に製造することによれば、いっそう製造コストを下げ得ることは勿論である。
【0029】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、表面硬度が内部硬度に対して高く設定されたカムフォロア用ローラによれば、厳しい使用環境において必要な耐久性を有して長期使用に耐え、研磨具にローラ外径面のクラウニング形状に沿う形状の湾曲面を形成してクラウニングを形成する場合に比べて製造コストをさげることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態および従来例を示すロッカアームの概略構成を示す分解図である。
【図2】同じくローラを製造する際の製造工程図である。
【図3】同じくローラの単体図である。
【図4】従来のローラの製造工程図である。
【符号の説明】
1 ロッカアーム
2,3 側壁
4 胴体
5 連結部
11 ローラ支軸
12 挿通孔
13 針状ころ
14 カム
15 ローラ
15a クラウニング
15b クラウニング
20 バフ砥石

Claims (3)

  1. 外径面にカムが転接して回転するようカムフォロアに設けられるローラにおいて、
    前記外径面に軸方向中心側から軸端側に向けて縮径するクラウニングを形成するとともに、前記外径面の表面層の硬度を、その表面層より深い部分である内部硬度よりも高く設定した、ことを特徴とするカムフォロア用ローラ。
  2. 請求項1記載のカムフォロア用ローラにおいて、
    前記表面層の深さを100μmとし、その硬度を750Hv〜820Hvに設定した、ことを特徴とするカムフォロア用ローラ。
  3. カムが転接して回転するカムフォロア用ローラの製造方法において、
    弾性変形可能な研磨具にカムフォロア用ローラの外径面を当接させ、前記研磨具と前記カムフォロア用ローラとを当接方向に所定の相対的押付け荷重でもって当接させながら、前記研磨具と前記カムフォロア用ローラとを軸心回りに相対的に回転させ、軸方向中心側から軸端側にかけて縮径した母線形状を形成する、ことを特徴とするカムフォロア用ローラの製造方法。
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