JP2004256442A - トリフルオロメトキシシクロヘキサン類の製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は従来の方法では、容易に製造することができないトリフルオロメトキシシクロヘキサン類の製造法を提供する。
【解決手段】一般式(1)
【化1】
Figure 2004256442

で表されるトリフルオロメトキシベンゼン類を、水素化還元触媒を用いて水素化還元することを特徴とする一般式(2)
【化2】
Figure 2004256442

で表されるトリフルオロメトキシシクロヘキサン類の製造方法を提供する。
【効果】本発明により提供される製造方法により、従来製造が困難であったトランス−1−置換−4−トリフルオロメトキシシクロヘキサン類を特殊なフッ素化剤等を使用せず、高収率で得ることができる。得られたトランス−1−置換−4−トリフルオロメトキシシクロヘキサン類は液晶および液晶原料として重要である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、農薬、電子材料、化学薬品などまたはその原料などの各種用途に用いられ、とくに液晶および液晶原料として非常に重要な、トリフルオロメトキシシクロヘキサン類の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トリフルオロメトキシシクロヘキサン類は、医薬、農薬、電子材料、化学薬品などまたはその原料などの各種用途に用いられ、とくに液晶および液晶原料として非常に重要である。しかしその製造は非常に困難である。例えばシクロヘキサノールをキサントゲン酸メチルとした後、フッ化水素/ピリジン錯体および酸化剤としてDBH(1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン)を用い、フッ素原子を導入しトリフルオロメトキシシクロヘキサン類を合成する方法(非特許文献1参照)が知られている。
【0003】
【化3】
Figure 2004256442
【0004】
しかしこの方法ではキサントゲン酸メチルを合成する際に毒性を有するチオホスゲンまたは二硫化炭を使用することや−70℃以下といった極低温を必要としたり、フッ素源として使用するフッ化水素/ピリジン錯体が極めて腐食性および毒性が高く、工業化することは極めて困難であった。また原料であるシクロヘキサノールは溶解度が低く、特にテルシクロヘキサノール誘導体はその溶解度の低さにより、トリフルオロメトキシ化することが極めて困難である。
【0005】
また遷移金属触媒を用いたベンゼンの核水素添加は種々知られており、特に1,4−置換ベンゼンを1,4−トランスシクロヘキサンとする方法としては、Pd/C等を触媒とし高温、高圧化で高選択的にトランス体を得る報告(特許文献1〜特許文献6参照)がなされている。しかしこれらに開示される製造方法は置換基として水素添加の進行が容易なカルボニル基を有するものに限られ、アルキルエーテルの例は示されているもののトリフルオロメトキシ基を有するベンゼンの水素添加は実際に行われていない。さらにこの水素化還元により直接液晶材料を得る方法を試みている例は皆無である。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−198143号公報
【特許文献2】
特開平9−40606号公報
【特許文献3】
特開昭56−120636号公報
【特許文献4】
特開平11−29528号公報
【特許文献5】
特開2001−89470号公報
【特許文献6】
特開平8−259492号公報
【非特許文献1】
蟹江澄志(Kiyoshi Kanie),「社団法人日本化学会 欧文誌(Bull. Chem. Soc. Jpn. )」,2000年,第73巻,P.471−484
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、1−置換−4−トリフルオロメトキシベンゼン類を立体選択的に水素化還元してトランス−1−置換−4−トリフルオロメトキシシクロヘキサン類を製造する方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、一般式(1)
【0009】
【化4】
Figure 2004256442
【0010】
(式中、Rは炭素原子数1〜20の直鎖,分岐または環状部を含んでよいアルキル基、炭素原子数1〜20の直鎖,分岐または環状部を含んでよいアルコキシル基、炭素原子数2〜20の直鎖,分岐または環状部を含んでよいアルコキシルアルキル基、炭素原子数2〜20の直鎖,分岐または環状部を含んでよいアルケニル基または炭素原子数2〜20の直鎖,分岐または環状部を含んでよいアルケニルオキシ基を表し、これらは炭素数1〜10のアルコキシル基または1〜30個のハロゲン原子によって置換されていてもよく、A〜Aはそれぞれ独立にトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、トランス−2,6−デカヒドロナフチル基または2,6−ナフチル基を表し、L〜Lはそれぞれ独立的に−CHCH−、−CHCHCHCH−、−CH=CH−、−CH=CHCHCH−、−CHCHCH=CH−、−CH(CH)CH−、−CHCH(CH)−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−または単結合を表し、nおよびnはそれぞれ独立に0または1を表す。)で表されるトリフルオロメトキシベンゼン類を、ロジウム、ルテニウム、白金、パラジウム、イリジウム、オスミウムおよび各種展開されたラネーニッケルからなる群から選ばれる1または2以上の金属、合金または当該選ばれる金属を含む化合物および/またはそれらの混合物とからなる群から選ばれた少なくとも1種の水素化還元触媒を用いて水素化還元することを特徴とする一般式(2)
【0011】
【化5】
Figure 2004256442
(式中、Rは炭素原子数1〜20の直鎖,分岐または環状部を含んでよいアルキル基またはアルコキシル基を表し、これらは炭素数1〜10のアルコキシル基または1〜30個のハロゲン原子によって置換されていてもよく、A〜Aはそれぞれ独立にトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、トランス−2,6−デカヒドロナフチル基または2,6−ナフチル基を示し、L〜Lはそれぞれ独立的に−CHCH−、−CHCHCHCH−、−CH(CH)CH−、−CHCH(CH)−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−または単結合を表し、nおよびnはそれぞれ独立に0または1を表す。)で表されるトリフルオロメトキシシクロヘキサン類の製造方法を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
【0013】
本発明では、一般式(2)で表わされるトリフルオロメトキシシクロヘキサン類の原料として、一般式(1)で表わされるトリフルオロメトキシベンゼン類を用いる。
としては炭素原子数1〜20の直鎖,分岐または環状部を含んでよいアルキル基、炭素原子数1〜20の直鎖,分岐または環状部を含んでよいアルコキシル基、炭素原子数2〜20の直鎖,分岐または環状部を含んでよいアルコキシルアルキル基、炭素原子数2〜20の直鎖,分岐または環状部を含んでよいアルケニル基または炭素原子数2〜20の直鎖,分岐または環状部を含んでよいアルケニルオキシ基を表し、これらは炭素数1〜10のアルコキシル基または1〜30個のハロゲン原子によって置換されていてもよいが好ましく、炭素原子数1〜20の直鎖のアルキル基、炭素原子数1〜20の直鎖のアルコキシル基、炭素原子数2〜20の直鎖のアルコキシルアルキル基がさらに好ましく、炭素原子数1〜8の直鎖のアルキル基、炭素原子数1〜8の直鎖のアルコキシル基がさらに好ましい。A〜Aはそれぞれ独立にトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、トランス−2,6−デカヒドロナフチル基または2,6−ナフチル基または単結合が好ましく、それぞれ独立にトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基または単結合がさらに好ましく、Aがトランス−1,4−シクロへキシレン基かつAがトランス−1,4−シクロへキシレン基かつAが単結合またはAがトランス−1,4−シクロへキシレン基かつAおよびAが単結合がさらに好ましい。L〜Lはそれぞれ独立的に−CHCH−、−CHCHCHCH−、−CH=CH−、−CH=CHCHCH−、−CHCHCH=CH−、−CH(CH)CH−、−CHCH(CH)−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−または単結合が好ましく、それぞれ独立的に−CHCH−、−CH(CH)CH−、−CHCH(CH)−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−または単結合がさらに好ましく、それぞれ独立的に−CHCH−または単結合がさらに好ましく、単結合が特に好ましい。
【0014】
本発明では、1−置換−4−トリフルオロメトキシベンゼン類を水素化還元することによって、トランス−1−置換−4−トリフルオロメトキシシクロヘキサン類を得る。
【0015】
1−置換−4−トリフルオロメトキシベンゼン類の水素化還元触媒として、(i)ロジウム、ルテニウム、白金、パラジウム、イリジウム、オスミウムおよび各種展開されたラネーニッケルからなる群から選ばれる金属、合金と選ばれる金属を含む化合物とからなる群から選ばれた少なくとも1種を用いる。すなわち、ロジウム、ルテニウム、白金、パラジウム、イリジウムおよびオスミウムの0価の金属そのもの;これらの金属の硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩化物、臭化物、酸化物、水酸化物などの各種無機化合物;アセチルアセトナト化合物などの各種有機化合物;アンミン錯体、ホスフィン錯体、カルボニル化合物などの各種錯体化合物、W−1 ラネーニッケル、W−2 ラネーニッケル、W−3 ラネーニッケル、W−4 ラネーニッケル、W−5 ラネーニッケル、W−6 ラネーニッケル、W−7 ラネーニッケル、W−8 ラネーニッケルなどを水素化還元触媒として用いることができる。
【0016】
これら水素化還元触媒のなかでも、得られるトランス−1−置換−4−トリフルオロメトキシシクロヘキサン類の選択性が高いことから、パラジウムおよび/またはパラジウムを含む化合物または、ロジウムおよび/またはロジウムを含む化合物または、ルテニウムおよび/またはルテニウムを含む化合物および/またはそれらの混合物(以下遷移金属類という)を用いることが好ましい。
【0017】
遷移金属類としては、たとえば、パラジウムブラック、パラジウムパウダー、酸化パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、テトラアンミンパラジウム塩化物、テトラアンミンパラジウム硝酸塩、テトラアンミンパラジウム酢酸塩、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム、ビス(シクロペンタジエニル)パラジウム、ロジウムブラック、ロジウムパウダー、酸化ロジウム、塩化ロジウム、臭化ロジウム、ヨウ化ロジウム、テトラアンミンロジウム塩化物、テトラアンミンロジウム硝酸塩、テトラアンミンロジウム酢酸塩、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ビス(アセチルアセトナト)ロジウム、ビス(シクロペンタジエニル)ロジウム、ルテニウムブラック、ルテニウムパウダー、酸化ルテニウム、塩化ルテニウム、臭化ルテニウム、ヨウ化ルテニウム、テトラアンミンルテニウム塩化物、テトラアンミンルテニウム硝酸塩、テトラアンミンルテニウム酢酸塩、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ビス(アセチルアセトナト)ルテニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウムなどを挙げることができる。これらは1種を単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。なお、白金、イリジウムおよびオスミウムの金属および/またはその金属化合物の具体例は、遷移金属類と同様のものを例示することができる。また、これら金属の酸化数はとくに制限されない。
【0018】
水素化還元触媒は、そのまま反応系に存在させることもできるが、担体に担持して使用することもできる。本発明では水素化還元触媒を担体に担持して使用することが好ましい。水素化還元触媒を担体に担持して使用する場合、使用される担体は多孔性の物質であればとくに制限されない。担体としては、たとえば、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ゼオライト、珪藻土、チタニア、ジルコニアなどの結晶性もしくは非結晶性の金属酸化物または複合酸化物、テニオライト、ヘクトライトなどの層状粘土化合物、活性炭などをあげることができる。これらのなかでもアルミナ、シリカ、活性炭が好ましく、さらに好ましくは活性炭である。また、担体担持触媒の形状もとくに制限はなく、粉末のまま、または成形して用いることができる。
【0019】
担体担持触媒の調製はとくに制限されず、たとえば、含浸法、イオン交換法、物理混合法などの各種方法を採用することができる。なお、前記担体担持触媒の活性化方法としては、とくに限定されるものではないが、通常は還元により活性化することができる。たとえば、水素化還元触媒を担体に担持したのち、これを直接還元すること、これを焼成したのちに還元することによって活性化することができる。また、反応系中で還元することによっても活性化することができる。還元方法はとくに制限されず、気相または液相で還元することができる。還元操作後の金属の酸化数はとくに制限なく、0価の金属であっても、酸化された状態であってもよい。
【0020】
担体担持触媒における水素化還元触媒の金属担持率はとくに制限はないが、反応速度や経済的効果を勘案すると0.01〜25質量%程度が好ましい。金属担持率は、少なくなると、反応速度が低下して反応時間が長くなる傾向があったり、多量の触媒が必要となるので0.1質量%以上とすることが好ましく、経済性を考慮すると10質量%以下とすることが好ましい。
【0021】
本発明における水素化還元触媒の使用量はとくに制限はないが、原料であるフッ素含有ナフタレン化合物に対する当該金属分の使用量は下限が通常は金属として0.005モル%以上、好ましくは0.01モル%以上、とくに好ましくは0.05モル%以上であり、上限が通常は金属として25モル%以下、好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下であり、とくに好ましくは1モル%以下である。
【0022】
水素化還元方法は、溶媒の存在下または非存在下で行なうことができるが、溶媒の存在下で行なうことが望ましい。前記溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、シクロヘキサノールなどのアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、デカリンなどの炭化水素系溶媒が好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、THF、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、1,4−ジオキサン1,4−ジオキサンヘキサン、シクロヘキサンがさらに好ましく、エタノール、プロパノール、THF、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸エチルが特に好ましい。
【0023】
水素化還元は、水素雰囲気下、水素気流下もしくは水素圧力下で行なうことができるが、0.1〜20MPa程度が好ましく、0.1〜10MPa程度がより好ましい。反応温度は、反応速度、溶媒の蒸気圧と反応圧力の関係より、10〜300℃程度が望ましい。反応温度が低くなると反応速度が低下し、反応の完結にかかる時間が長くなるため、反応温度は50℃以上とすることが好ましく、60℃以上とすることがより好ましい。
【0024】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0025】
(実施例1)トランス−1−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−4−トリフルオロメトキシシクロヘキサンの合成
【化6】
Figure 2004256442
内容積100mlのオートクレーブに、原料の1−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−4−トリフルオロメトキシベンゼン5g、5質量%パラジウム活性炭担持(50wt%含水品)触媒0.05gおよび酢酸エチル80mlを加えた。反応系を水素で充分に置換したのち、オートクレーブ内圧が4MPaとなるまで水素を導入したのち、次いで80℃まで昇温した。ついで、6時間攪拌させながら反応を続けた。冷却後、触媒を除いた。生成物をガスクロマトグラフィー(以下、GCと表わす。)、質量分析ガスクロマトグラフィー(以下、GC/MSと表わす)およびNMRで分析した。65%の収率でトランス−1−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−4−トリフルオロメトキシシクロヘキサン(不純物としてシス−1−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−4−トリフルオロメトキシシクロヘキサンを15%、1−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキサンを20%含む)を得た。さらにカラム(シリカゲル、ヘキサン)を用いて精製した後、蒸留、再結晶(エタノール)することにより、トランス−1−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−4−トリフルオロメトキシシクロヘキサン2.8 g (収率55%)の白色固体を得たGC純度 99.7%、GC−MS m/z 320 (M)、融点 29.7−31.3℃
【0026】
(実施例2)トランス−1−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−4−トリフルオロメトキシシクロヘキサンの合成
【化7】
Figure 2004256442
内容積100mlのオートクレーブに、原料の1−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−4−トリフルオロメトキシベンゼン5g、5質量%ルテニウム活性炭担持(50wt%含水品)触媒0.05gおよび酢酸エチル80mlを加えた。反応系を水素で充分に置換したのち、オートクレーブ内圧が4MPaとなるまで水素を導入したのち、次いで120℃まで昇温した。ついで、6時間攪拌させながら反応を続けた。冷却後、触媒を除いた。生成物をガスクロマトグラフィー(以下、GCと表わす。)、質量分析ガスクロマトグラフィー(以下、GC/MSと表わす)およびNMRで分析した。67%の収率でトランス−1−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−4−トリフルオロメトキシシクロヘキサン(不純物としてシス−1−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−4−トリフルオロメトキシシクロヘキサンを12%、1−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキサンを21%含む)を得た。
【0027】
(実施例3)トランス−1−[トランス−1−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−4−トリフルオロメトキシシクロヘキサンの合成
【化8】
Figure 2004256442
内容積100mlのオートクレーブに、原料の1−[トランス−1−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−4−トリフルオロメトキシベンゼン5g、5質量%ルテニウム活性炭担持(50wt%含水品)触媒0.05gおよび酢酸エチル80mlを加えた。反応系を水素で充分に置換したのち、オートクレーブ内圧が4MPaとなるまで水素を導入したのち、次いで120℃まで昇温した。ついで、6時間攪拌させながら反応を続けた。冷却後、触媒を除いた。生成物をガスクロマトグラフィー(以下、GCと表わす。)、質量分析ガスクロマトグラフィー(以下、GC/MSと表わす)およびNMRで分析した。67%の収率でトランス−1−[トランス−1−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−4−トリフルオロメトキシシクロヘキサン(不純物としてシス−1−[トランス−1−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−4−トリフルオロメトキシシクロヘキサンを13%、トランス−1−[トランス−1−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル]シクロヘキサンを20%含む)を得た。
【0028】
(比較例)トランス−1−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−4−トリフルオロメトキシシクロヘキサンの合成
【化9】
Figure 2004256442
トランス−1−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキサノール(121 g、0.479 mol)のテトラヒドロフラン溶液(THF、2.4 L)を室温で激しく攪拌している中に、水素化ナトリウム(60%含有、23 g、0.575 mol)を少量ずつ加え、3時間加熱還流した後、二硫化炭素(43 ml、0.714 mol)を加えた。 さらに4時間加熱還流した後、ヨウ化メチル(50 ml、0.803 mol)を加えた。その混合物を2時間加熱還流した後、室温まで放冷した。水を滴下して反応を終了させた後、有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(2回)。集めた有機層を飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残渣をカラム(シリカゲル、ヘキサン)を用いて精製した後、再結晶(ヘキサン)することにより、S−メチル O−[トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル]ジチオカルボナートの白色固体137 g (収率 83.5%)を得た。
【0029】
ジクロロメタン(30 ml)中、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(DBH:8.6 g、30.1 mmol)を0℃で激しく攪拌している中に、ピリジン(10 ml)を加えた。5℃以下に保ちながら、フッ化水素ピリジン溶液(70%含有品、20 ml)を滴下した。5℃以下に保ちながら、上記S−メチル O−[トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル]ジチオカルボナート(3.5 g、10.0 mmol)のジクロロメタン溶液(15 ml)を滴下し加えた。温度を保ちながら、1時間攪拌し続けた後、ヘキサン(30 ml)を加えて希釈した後、その混合物を20%水酸化ナトリウム水溶液(100 ml)中に滴下し、反応を終了させた。有機層を分離し、水層をヘキサンで抽出した(2回)。集めた有機層を10%亜ジチオン酸ナトリウム水溶液、3 M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、残渣をカラム(シリカゲル、ヘキサン)を用いて精製した後、蒸留、再結晶(エタノール)することにより、トランス−1−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−4−トリフルオロメトキシシクロヘキサン0.7 g (収率 7%)の白色固体を得た。
【0030】
本願発明の実施例1では水素圧4MPa、反応温度80℃という穏やかな反応条件で、取り扱いが難しい反応剤を用いずに、目的物を高収率で得ることができた。しかし、比較例では、キサントゲン酸メチルを合成する際に毒性を有する二硫化炭を使用することや、フッ素源として極めて腐食性および毒性が高いフッ化水素/ピリジン錯体を使用し、収率も7%と低いなどの問題がある。
【0031】
【発明の効果】
本発明により提供される1−置換−4−トリフルオロメトキシベンゼン類を立体選択的に水素化還元してトランス−1−置換−4−トリフルオロメトキシシクロヘキサン類を製造する方法によって、従来製造が困難であったトランス−1−置換−4−トリフルオロメトキシシクロヘキサン類を特殊なフッ素化剤等を使用せず、高収率で得ることができる。得られたトランス−1−置換−4−トリフルオロメトキシシクロヘキサン類は液晶および液晶原料として重要である。

Claims (9)

  1. 一般式(1)
    Figure 2004256442
    (式中、Rは炭素原子数1〜20の直鎖,分岐または環状部を含んでよいアルキル基、炭素原子数1〜20の直鎖,分岐または環状部を含んでよいアルコキシル基、炭素原子数2〜20の直鎖,分岐または環状部を含んでよいアルコキシルアルキル基、炭素原子数2〜20の直鎖,分岐または環状部を含んでよいアルケニル基または炭素原子数2〜20の直鎖,分岐または環状部を含んでよいアルケニルオキシ基を表し、これらは炭素数1〜10のアルコキシル基または1〜30個のハロゲン原子によって置換されていてもよく、A〜Aはそれぞれ独立にトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、トランス−2,6−デカヒドロナフチル基または2,6−ナフチル基を表し、L〜Lはそれぞれ独立的に−CHCH−、−CHCHCHCH−、−CH=CH−、−CH=CHCHCH−、−CHCHCH=CH−、−CH(CH)CH−、−CHCH(CH)−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−または単結合を表し、nおよびnはそれぞれ独立に0または1を表す。)で表されるトリフルオロメトキシベンゼン類を、ロジウム、ルテニウム、白金、パラジウム、イリジウム、オスミウムおよび各種展開されたラネーニッケルからなる群から選ばれる1または2以上の金属、合金または当該選ばれる金属を含む化合物および/またはそれらの混合物とからなる群から選ばれた少なくとも1種の水素化還元触媒を用いて水素化還元することを特徴とする一般式(2)
    Figure 2004256442
    (式中、Rは炭素原子数1〜20の直鎖,分岐または環状部を含んでよいアルキル基またはアルコキシル基を表し、これらは炭素数1〜10のアルコキシル基または1〜30個のハロゲン原子によって置換されていてもよく、A〜Aはそれぞれ独立にトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、トランス−2,6−デカヒドロナフチル基または2,6−ナフチル基を示し、L〜Lはそれぞれ独立的に−CHCH−、−CHCHCHCH−、−CH(CH)CH−、−CHCH(CH)−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−または単結合を表し、nおよびnはそれぞれ独立に0または1を表す。)で表されるトリフルオロメトキシシクロヘキサン類の製造方法。
  2. 水素化還元触媒が、担体担持触媒である請求項1記載の製造方法。
  3. 水素化還元触媒が、ロジウム、ルテニウム、白金、パラジウムおよび各種展開されたラネーニッケルからなる群から選ばれる1または2以上の金属、合金または当該選ばれる金属を含む化合物および/またはそれらの混合物とからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2記載の製造方法。
  4. 水素化還元における反応温度が0℃から400℃である請求項1〜3の何れかに記載の製造方法。
  5. 一般式(2)における1,4−シクロヘキシル基のシス体:トランス体の異性体比が4:6以上でトランス体を生成する請求項1〜4の何れかに記載の製造方法。
  6. およびRが炭素数1〜8のアルコキシル基または炭素原子数1〜8の直鎖アルキル基を表す請求項1〜5の何れかに記載の製造方法。
  7. 〜Lがそれぞれ独立的に−CHCH−、−CH(CH)CH−、−CHCH(CH)−または単結合を表す請求項1〜6の何れかに記載の製造方法。
  8. 〜Aがそれぞれ独立的にトランス−1,4−シクロへキシレン基1,4−フェニレン基または単結合を表す請求項1〜7の何れかに記載の製造方法。
  9. 〜Aがそれぞれ独立的にトランス−1,4−シクロへキシレン基または単結合を表す請求項1〜7の何れかに記載の製造方法。
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