JP2004256337A - プレス成形装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】上型あるいは下型の突起が胴型のガイド穴の内周面に引っ掛かることのないプレス成形装置を提案すること。
【解決手段】プレス成形装置において、プレスユニット3の上部プレスロッド31の下端面310、および下部プレスロッド32の上端面320を凹状球面とする一方、金型2の上型6の上端面610、および下型7の下端面711を凸状球面として、調芯構造の押圧力伝達部を構成する。これにより胴型8のガイド穴80内において、上型6の上型側突起62、あるいは下型7の下型側突起72が傾くことがない。
【選択図】 図1
【解決手段】プレス成形装置において、プレスユニット3の上部プレスロッド31の下端面310、および下部プレスロッド32の上端面320を凹状球面とする一方、金型2の上型6の上端面610、および下型7の下端面711を凸状球面として、調芯構造の押圧力伝達部を構成する。これにより胴型8のガイド穴80内において、上型6の上型側突起62、あるいは下型7の下型側突起72が傾くことがない。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラスモールドプレスに用いられるプレス成形装置に関するものである。さらに詳しくは、当該プレス成形装置の金型およびプレスユニットの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ヘッド装置に用いられるガラス製の対物レンズは、レンズ面が非球面になっているなどの理由で、研磨などの機械加工では高い精度のものを得ることができない。そのため、近年はガラスモールドプレスによる成形が注目されている。
【0003】
ガラスモールドプレスに使用されるプレス成形装置は、図5に示すように、金型102と、プレスユニット106とを有している。金型102は、ガイド穴105aが形成された胴型105と、上型側フランジ部103aおよび上型側突起103bを備えた上型103と、下型側フランジ部104aおよび下型側突起104bを備えた下型104とを有している。これに対して、プレスユニット106は、上型103を上方から押圧する上部プレスロッド107と、下型104を下方から押圧する下部プレスロッド108とを有している。
【0004】
ここで、押圧面となる上部プレスロッド107の下端面117、および下部プレスロッド108の上端面118はいずれも平面になっている一方、被押圧面となる上型103の上型側フランジ部103aの上端面113、および下型104の下型側フランジ部104aの下端面114も平面になっている。
【0005】
このようなプレス成形装置では、胴型105のガイド穴105aに上型103の上型側突起103bを上方から差し込む一方、ガイド穴105aに下型104の下型側突起104bを下方から差し込んだ状態で、金型102と共に、上型側突起103bと下型側突起104bとの間に配置したガラス素材110を加熱し、この状態でプレスユニット106によってガラス素材110にプレス成形を施す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のプレス成形装置では、胴型105のガイド穴105aに上型103の上型側突起103bを差し込み、ガイド穴105aに下型104の下型側突起104bを差し込んだ状態において、上型側突起103bあるいは下型側突起104bがわずかでも傾いていると、プレスユニット106によって下型103および上型104を押圧した際、上型側突起103bあるいは下型側突起104bがガイド穴105aの内周面に引っ掛かって食い込んでしまう。このような、いわゆる「かじり」が発生すると、胴型105から上型側突起103bあるいは下型側突起104bが抜けなくなってしまい、最悪の場合は金型102が破損してしまうという問題点がある。
【0007】
以上の問題を鑑みて、本発明の課題は、上型あるいは下型の突起が胴型のガイド穴の内周面に引っ掛かることのないプレス成形装置を提案することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、下型、該下型に構成されている下型側突起が下方から差し込まれるガイド穴が形成された胴型、および該胴型の前記ガイド穴に上方から差し込まれる上型側突起が形成された上型を備えた金型と、加熱装置と、プレスユニットとを有し、前記金型および該金型内に配置した成形素材を前記加熱装置により所定の温度に加熱した状態で前記プレスユニットの押圧力により前記成形素材を所定形状にプレス成形するプレス成形装置において、前記プレスユニットの押圧力は、押圧面および被押圧面のうちの一方が凹状球面、他方が凸状球面に形成された調芯構造の押圧力伝達部を介して前記下型側突起および前記上型側突起の少なくとも一方に伝達されることにより、前記金型内において前記下型側突起と前記上型側突起との間に配置された成形素材が所定形状にプレス成形されることを特徴とする。
【0009】
本発明において、プレスユニットの押圧力は、押圧面および被押圧面のうちの一方が凹状球面、他方が凸状球面に形成された調芯構造の押圧力伝達部を介して下型側突起あるいは上型側突起に伝達され、このような調芯構造の押圧力伝達部では、押圧力が凸状球面の頂部と凹状球面の底部とに集中して伝達される。このため、下型側突起あるいは上型側突起には、押圧力が軸線方向に沿って確実に加わるので、これらの突起は傾くことがなく、かつ、傾いている場合でもその姿勢が補正される。それ故、下型側突起あるいは上型側突起が胴型のガイド穴の内周面に引っ掛かって食い込むことがないので、いわゆる「かじり」が発生しない。
【0010】
本発明において、前記成形素材は、例えば、ガラス製の光学部品を製造するためのガラス素材である。
【0011】
本発明において、前記調芯構造の押圧力伝達部は、例えば、前記プレスユニットのプレスロッドと前記下型との間、および前記プレスユニットのプレスロッドと前記上型との間のうちの少なくとも一方に構成する。
【0012】
本発明において、前記下型および前記上型のうちの少なくとも一方が、前記プレスユニットのプレスロッドが当接する基端側部材と、該基端側部材を介して前記プレスユニットの押圧力が伝達される先端側部材とに分割されている場合、前記調芯構造の押圧力伝達部を、例えば、前記基端側部材と前記先端側型部材との間に構成してもよい。
【0013】
本発明において、前記下型および前記上型の双方に対して前記調芯構造の押圧力伝達部が構成されていることが好ましい。
【0014】
本発明において、前記凹状球面は、前記凸状球面より曲率半径が大きく形成されていることが好ましい。このように構成すると、調芯構造の押圧力伝達部では、より確実に凸状球面の頂部と凹状球面の底部とに集中して押圧力が伝達されることになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明を適用したプレス成形装置の実施の形態を説明する。
【0016】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本実施の形態に係るプレス成形装置の概略断面図である。
【0017】
図1に示すように、本形態のプレス成形装置1は、所定の温度に加熱されたガラス素材9(成形素材)を金型2内でプレス成形してガラス素材に金型形状を転写させるものであり、金型2と、金型2を押圧するためのプレスユニット3と、加熱装置4と、プレスユニット3内に金型2を着脱するためのフォーク状の搬送具5とを有している。
【0018】
プレスユニット3は、金型2を上方から押圧する上部プレスロッド31と、金型2を下方から押圧する下部プレスロッド32とを有しており、上部プレスロッド31の下端面310、および下部プレスロッド32の上端面320のそれぞれが押圧面になっている。また、下部プレスロッド32の上端面320は、金型2の載置部になっている。
【0019】
金型2は、上型6と、下型7と、上型6と下型7に挟まれた胴型8とを有している。ここで、光学部品の成形を行う際には、上型6と下型7との間にガラス素材9が配置され、このガラス素材9は、ガラス球やガラスプリフォームなどである。
【0020】
上型6は、円盤状の上型側フランジ部61と、上型側フランジ部61の中央部分から下方に向けて垂直に突出している円柱状の上型側突起62とを備えており、上型側フランジ部61の上端面610は、上部プレスロッド31に押圧される被押圧面になっている。
【0021】
下型7は、下型7の上に胴型8を載せたときに胴型8の外部に位置する円盤状の下型側フランジ部71と、この下型側フランジ部71の中央部分から上方に突出した円柱状の下型側突起72とを備えている。下型側フランジ部71の環状上面は、胴型8を載置するための載置部710となっている。また、下型側フランジ部71の下端面711は、下部プレスロッド32に押圧される被押圧面になっており、その中央には、下型側突起72の先端に届くように形成された熱電対挿入孔73が開口している。
【0022】
胴型8は、中空円筒に形成された内側胴型81と、内側胴型81を囲むように配置された円筒状の外側胴型82を備えている。内側胴型81には、この内側胴型81を上下方向に貫通するガイド穴80が形成されており、このガイド穴80に対して上型6の上型側突起62が上方から差し込まれ、下型7の下型側突起72が下方から差し込まれる。また、胴型8において、上下方向における中間位置付近では空気抜き孔811が横方向に貫通している。また、外側胴型82の外周面上端には大径部820が形成され、この大径部820の環状下面821によって、フォーク状の搬送具5が係合する係合部が構成されている。
【0023】
搬送具5は、胴型8の大径部820と係合可能な2本の爪51を備えたフォーク形状を有している。従って、外側胴型82を両側から挟むように2本の爪51を大径部820の下に差し込んだ後、爪51をわずか上に移動させるだけで、各爪51は、大径部820の下面821に係合する。それ故、金型2をプレスユニット3に搬送したり、プレスユニット3から金型2を搬出したりすることができる。なお、金型2を搬送する際に外側胴型82から内側胴型81および下型7が抜け落ちてしまう惧れがあるため、外側胴型82の外側から抜け落ち防止ピン10が嵌め込まれ、内側胴型81および下型7が外側胴型82と連結されるようになっている。
【0024】
プレスユニット3の外周側に配置されている加熱装置4は、光加熱集光式の赤外線ランプユニット41を有し、例えば700℃まで金型2および金型2内に配置されたガラス素材9を加熱可能である。金型2の温度測定は、下型7に形成されている熱電対挿入孔73に熱電対(図示せず)を挿入することにより行われる。
【0025】
(調芯構造の押圧力伝達部)
このように構成したプレス成形装置1において、上部プレスロッド31の下端面310、および下部プレスロッド32の上端面320は、浅く凹んだ凹状球面からなる押圧面として形成されている。これに対して、上型6の上端面610、および下型7の下端面711は、プレスユニット3の押圧面(上部プレスロッド31の下端面310、および下部プレスロッド32の上端面320)とは反対にわずかに膨らんだ凸状球面からなる被押圧面として形成されている。
【0026】
ここで、上部プレスロッド31の下端面310、および下部プレスロッド32の上端面320(凹状球面からなる押圧面)の曲率半径は、上型6の上端面610、および下型7の下端面711(凸状球面からなる被押圧面)より曲率半径がわずかに大きく設定されている。
【0027】
このようにして本形態では、上部プレスロッド31と上型6との間(上部プレスロッド31と上型側突起62との間)、および下部プレスロッド32と下型7との間(下部プレスロッド32と下型側突起72との間)の双方に、凹状球面からなる押圧面と、凸状球面からなる被押圧面とを備えた調芯構造の押圧力伝達部が構成されている。
【0028】
(光学部品の成形動作)
図2(a)ないし(g)は、プレス成形装置を用いてガラス素材を光学部品に成形する動作を示す説明図である。
【0029】
図2(a)〜(g)を参照して、上記構成のプレス成形装置1を用いて金型2内部に配置されたガラス素材を光学部品に成形する動作を説明する。
【0030】
まず、図2(a)に示すように、下型7の下型側突起72を胴型8のガイド穴80に下方から差し込んで、下型7の上に胴型8を載置した後、下型7が抜け落ちないように胴型7に抜け落ち防止ピン10を嵌め込む。次に、ガラス素材9をガイド穴80の下型側突起72の先端部分に載せる。
【0031】
次に、図2(b)に示すように、胴型8のガイド穴80に対して上型6の上型側突起62を上方から差し込んだ後、胴型8の大径部820に搬送具5の爪51を係合させて、図2(c)に示すように、金型2を下部プレスロッド32の上端面320上に配置する。
【0032】
次に、加熱装置4の赤外線ランプユニット41により金型2、および金型2内のガラス素材9を加熱する。そして、ガラス素材9が所定の温度に達すると、図2(d)に示すように、プレスユニット3の上部プレスロッド31が下降し、あるいは下部プレスロッド32が上昇して金型2内のガラス素材9に対するプレス成形を行う。その結果、ガラス素材9は、当該ガラス素材9を挟むように配置された上型6および下型7によって押圧され、金型形状が転写される。
【0033】
金型形状が転写されたガラス素材9については、金型2と共にプレス成形装置1内部で冷却された後、図2(e)に示すように、再び、胴型8の大径部820に搬送具5の爪51を係合させ、金型2をプレス成形装置1外まで搬送する(図2(f)参照)。
【0034】
そして、図2(g)に示すように、金型2の解体を行い、成形品9′(レンズ)を取り出す。そして、金型2については、図2(a)を参照して説明した工程に戻し、次の光学部品の成形を行う。
【0035】
(本形態の効果)
以上説明したように、本形態では、プレスユニット3の押圧力は、押圧面および被押圧面のうちの一方が凹状球面、他方が凸状球面に形成された調芯構造の押圧力伝達部を介して下型7の下型側突起72、および上型6の上型側突起62に伝達され、このような調芯構造の押圧力伝達部では、凸状球面の頂部と凹状球面の底部とに集中して押圧力が伝達される。しかも、本形態では、凹状球面は、凸状球面より曲率半径が大きく形成されているため、より確実に凸状球面の頂部と凹状球面の底部とに集中して押圧力が伝達されることになる。このため、調芯構造の押圧力伝達部において、下型側突起72および上型側突起62には、押圧力が軸線方向に沿って確実に加わるので、これらの突起62、72は傾くことがない。また、下型側突起72および上型側突起62がわずかに傾いている場合でも、押圧部から被押圧部に加わる力は、下型側突起72および上型側突起62の傾き姿勢を補正する方向に作用し、その姿勢が補正される。それ故、下型側突起72、および上型側突起62が胴型8のガイド穴80の内周面に引っ掛かって食い込むことがないので、いわゆる「かじり」が発生しない。
【0036】
[実施の形態2]
図3は、本発明の実施の形態2に係るプレス成形装置の要部を示す概略断面図である。なお、以下に説明する実施の形態2、3に係るプレス成形装置は、基本的な構成が実施の形態1と同様であるため、共通する部分には、同一の符号を付して図示することにして、それらの説明を省略する。
【0037】
図3に示すように、本形態のプレス成形装置でも、実施の形態1と同様、上部プレスロッド31と上型6との間、および下部プレスロッド32と下型6との間に調芯構造の押圧力伝達部が形成されているが、本形態では、上部プレスロッド31の下端面310、および下部プレスロッド32の上端面320は、わずかに膨らんだ凸状球面からなる押圧面として形成されている一方、上型6の上端面610、および下型7の下端面711は、プレスユニット3の押圧面(上部プレスロッド31の下端面310、および下部プレスロッド32の上端面320)とは反対に浅く凹んだ凹状球面からなる被押圧面として形成されている。
【0038】
ここで、上型6の上端面610、および下型7の下端面711(凹状球面からなる被押圧面)の曲率半径は、上部プレスロッド31の下端面310、および下部プレスロッド32の上端面320(凸状球面からなる押圧面)の曲率半径よりわずかに大きく設定されている。
【0039】
このように構成した場合も、プレスユニット3の押圧力は、押圧面および被押圧面のうちの一方が凹状球面、他方が凸状球面に形成された調芯構造の押圧力伝達部を介して下型7の下型側突起72、および上型6の上型側突起62に伝達されるので、これらの突起62、72が傾くことがない。また、下型側突起72および上型側突起62が傾いている場合でも、押圧部から被押圧部に加わる力は、下型側突起72および上型側突起62の傾き姿勢を補正する方向に作用し、その姿勢が補正される。それ故、下型側突起72、および上型側突起62が胴型8のガイド穴80の内周面に引っ掛かって食い込むことがないので、いわゆる「かじり」が発生しない。
【0040】
[実施の形態3]
上記形態1、2は、上型6および下型7がそれぞれ一体に形成されている例であったが、以下に説明するように、上型6あるいは下型7がそれぞれ分割されている場合でも本発明を適用することができる。
【0041】
図4は、本発明の実施の形態3に係るプレス成形装置の要部を示す概略断面図である。
【0042】
図4に示すように、本形態のプレス成形装置も、プレスユニット3は、金型2を上方から押圧する上部プレスロッド31と、金型2を下方から押圧する下部プレスロッド32とを有している。金型2は、上型6と、下型7と、上型6と下型7に挟まれた胴型8とを有している。
【0043】
本形態において、上型6は、上部プレスロッド31が当接する基端側部材6bと、この基端側部材6bを介して上部プレスロッド31の押圧力が伝達される先端側部材6aとに分割されており、先端側部材6aには、円盤状の上型側フランジ部61と、上型側フランジ部61の中央部分から下方に向けて垂直に突出されている円柱状の上型側突起62とが形成されている。
【0044】
また、下型7は、下部プレスロッド32が当接する基端側部材7bと、この基端側部材7bを介して下部プレスロッド32の押圧力が伝達される先端側部材7aとに分割されており、先端側部材7aには、円盤状の下型側フランジ部71と、下型側フランジ部71の中央部分から下方に向けて垂直に突出されている円柱状の下型側突起72とが形成されている。
【0045】
胴型8は、中空円筒に形成された内側胴型81と、内側胴型81を囲むように配置された外側胴型82を備えている。内側胴型81には上面から下面まで当該内側胴型81を貫通する軸方向のガイド穴80が形成されており、このガイド穴80に上型6および下型7の突起62、72が差し込まれる。
【0046】
このように構成したプレス成形装置1において、上部プレスロッド31の下端面310、および下部プレスロッド32の上端面320は、平面になっている一方、上型6の基端側部材6bの上端面65、および下型7の基端側部材7bの下端面75も平坦面になっている。
【0047】
一方、上型6の基端側部材6bの下端面66、および下型の基端側部材7bの上端面76は、浅く凹んだ凹状球面からなる押圧面として形成されている。これに対して、上型6の先端側部材6aの上端面68、および下型の先端側部材7aの下端面78は、上型6の基端側部材6bの下端面66、および下型の基端側部材7bの上端面76とは反対にわずかに膨らんだ凸状球面からなる被押圧面として形成されている。
【0048】
ここで、上型6の基端側部材6bの下端面66、および下型の基端側部材7bの上端面76(凹状球面からなる押圧面)の曲率半径は、上型6の先端側部材6aの上端面68、および下型の先端側部材7aの下端面78(凸状球面からなる被押圧面)より曲率半径がわずかに大きく設定されている。
【0049】
このようにして本形態では、上部プレスロッド31と上型側突起62との間、および下部プレスロッド32と下型側突起72との間のいずれにも、凹状球面からなる押圧面と、凸状球面からなる被押圧面とによって構成された調芯構造の押圧力伝達部が構成されている。
【0050】
このように構成したプレス成形装置でも、プレスユニット3の押圧力は、押圧面および被押圧面のうちの一方が凹状球面、他方が凸状球面に形成された調芯構造の押圧力伝達部を介して下型7の下型側突起72、および上型6の上型側突起62に伝達され、このような調芯構造の押圧力伝達部では、凸状球面の頂部と凹状球面の底部とに集中して押圧力が伝達される。しかも、本形態では、凹状球面は、凸状球面より曲率半径が大きく形成されてため、より確実に凸状球面の頂部と凹状球面の底部とに集中して押圧力が伝達されることになる。このため、調芯構造の押圧力伝達部では、下型側突起72および上型側突起62は、押圧力が軸線方向に沿って確実に加わるので、これらの突起62、72は傾くことがない。また、下型側突起72および上型側突起62が傾いている場合でも、押圧部から被押圧部に加わる力は、下型側突起72および上型側突起62の傾き姿勢を補正する方向に作用し、その姿勢が補正される。それ故、下型側突起72、および上型側突起62が胴型8のガイド穴80の内周面に引っ掛かって食い込むことがないので、いわゆる「かじり」が発生しない。
【0051】
また、本形態のプレス成形装置1は、プレスユニット3については従来構造のまま、上型6および下型7を2分割した構造を変更すればよいので、設備費用が大幅に増大しないという利点がある。
【0052】
[その他の実施の形態]
上記のいずれの形態でも、上部プレスロッド31と上型側突起62との間、および下部プレスロッド32と下型側突起72との間の双方に対して、球面からなる押圧面と被押圧面とを備えた調芯構造の押圧力伝達部を構成したが、上部プレスロッド31と上型側突起62との間、および下部プレスロッド32と下型側突起72のうちの一方のみに調芯構造の押圧力伝達部を構成してもよい。
【0053】
また、上部プレスロッド31と上型側突起62との間、および下部プレスロッド32と下型側突起72との間の双方に調芯構造の押圧力伝達部を構成する場合、その一方については、凹状球面からなる押圧面と凸状球面からなる被押圧面とを備えた調芯構造の押圧力伝達部を構成し、他方については、凸状球面からなる押圧面と凹状球面からなる被押圧面とを備えた調芯構造の押圧力伝達部を構成してもよい。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のプレス成形装置において、プレスユニットの押圧力は、押圧面および被押圧面のうちの一方が凹状球面、他方が凸状球面に形成された調芯構造の押圧力伝達部を介して下型の下型側突起あるいは上型の上型側突起に伝達され、このような調芯構造の押圧力伝達部では、下型側突起あるいは上型側突起に対して、押圧力が軸線方向に沿って確実に加わるので、これらの突起は傾くことがなく、かつ、傾いている場合でもその姿勢が補正される。それ故、下型側突起あるいは上型側突起が胴型のガイド穴の内周面に引っ掛かって食い込むことがないので、いわゆる「かじり」が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るプレス成形装置の概略断面図である。
【図2】(a)ないし(g)は、図1に示すプレス成形装置を用いてガラス素材を光学部品に成形する動作を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係るプレス成形装置の要部を示す概略断面図である。
【図4】本発明の実施の形態3に係るプレス成形装置の要部を示す概略断面図である。
【図5】従来のプレス成形装置の要部を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 プレス成形装置
2 金型
3 プレスユニット
31 上部プレスロッド
32 下部プレスロッド
310 上部プレスロッドの下端面
320 下部プレスロッドの上端面
4 加熱装置
41 赤外線ランプユニット
5 フォーク状の搬送具
6 上型
6a 上型の先端側部材
6b 上型の基端側部材
61 上型側フランジ部
610 上型の上端面
62 上型側突起
7 下型
7a 下型の先端側部材
7b 下型の基端側部材
71 下型側フランジ部
711 下型の下端面
72 下型側突起
8 胴型
80 ガイド穴
9 ガラス素材
9′ 成形品(レンズ)
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラスモールドプレスに用いられるプレス成形装置に関するものである。さらに詳しくは、当該プレス成形装置の金型およびプレスユニットの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ヘッド装置に用いられるガラス製の対物レンズは、レンズ面が非球面になっているなどの理由で、研磨などの機械加工では高い精度のものを得ることができない。そのため、近年はガラスモールドプレスによる成形が注目されている。
【0003】
ガラスモールドプレスに使用されるプレス成形装置は、図5に示すように、金型102と、プレスユニット106とを有している。金型102は、ガイド穴105aが形成された胴型105と、上型側フランジ部103aおよび上型側突起103bを備えた上型103と、下型側フランジ部104aおよび下型側突起104bを備えた下型104とを有している。これに対して、プレスユニット106は、上型103を上方から押圧する上部プレスロッド107と、下型104を下方から押圧する下部プレスロッド108とを有している。
【0004】
ここで、押圧面となる上部プレスロッド107の下端面117、および下部プレスロッド108の上端面118はいずれも平面になっている一方、被押圧面となる上型103の上型側フランジ部103aの上端面113、および下型104の下型側フランジ部104aの下端面114も平面になっている。
【0005】
このようなプレス成形装置では、胴型105のガイド穴105aに上型103の上型側突起103bを上方から差し込む一方、ガイド穴105aに下型104の下型側突起104bを下方から差し込んだ状態で、金型102と共に、上型側突起103bと下型側突起104bとの間に配置したガラス素材110を加熱し、この状態でプレスユニット106によってガラス素材110にプレス成形を施す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のプレス成形装置では、胴型105のガイド穴105aに上型103の上型側突起103bを差し込み、ガイド穴105aに下型104の下型側突起104bを差し込んだ状態において、上型側突起103bあるいは下型側突起104bがわずかでも傾いていると、プレスユニット106によって下型103および上型104を押圧した際、上型側突起103bあるいは下型側突起104bがガイド穴105aの内周面に引っ掛かって食い込んでしまう。このような、いわゆる「かじり」が発生すると、胴型105から上型側突起103bあるいは下型側突起104bが抜けなくなってしまい、最悪の場合は金型102が破損してしまうという問題点がある。
【0007】
以上の問題を鑑みて、本発明の課題は、上型あるいは下型の突起が胴型のガイド穴の内周面に引っ掛かることのないプレス成形装置を提案することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、下型、該下型に構成されている下型側突起が下方から差し込まれるガイド穴が形成された胴型、および該胴型の前記ガイド穴に上方から差し込まれる上型側突起が形成された上型を備えた金型と、加熱装置と、プレスユニットとを有し、前記金型および該金型内に配置した成形素材を前記加熱装置により所定の温度に加熱した状態で前記プレスユニットの押圧力により前記成形素材を所定形状にプレス成形するプレス成形装置において、前記プレスユニットの押圧力は、押圧面および被押圧面のうちの一方が凹状球面、他方が凸状球面に形成された調芯構造の押圧力伝達部を介して前記下型側突起および前記上型側突起の少なくとも一方に伝達されることにより、前記金型内において前記下型側突起と前記上型側突起との間に配置された成形素材が所定形状にプレス成形されることを特徴とする。
【0009】
本発明において、プレスユニットの押圧力は、押圧面および被押圧面のうちの一方が凹状球面、他方が凸状球面に形成された調芯構造の押圧力伝達部を介して下型側突起あるいは上型側突起に伝達され、このような調芯構造の押圧力伝達部では、押圧力が凸状球面の頂部と凹状球面の底部とに集中して伝達される。このため、下型側突起あるいは上型側突起には、押圧力が軸線方向に沿って確実に加わるので、これらの突起は傾くことがなく、かつ、傾いている場合でもその姿勢が補正される。それ故、下型側突起あるいは上型側突起が胴型のガイド穴の内周面に引っ掛かって食い込むことがないので、いわゆる「かじり」が発生しない。
【0010】
本発明において、前記成形素材は、例えば、ガラス製の光学部品を製造するためのガラス素材である。
【0011】
本発明において、前記調芯構造の押圧力伝達部は、例えば、前記プレスユニットのプレスロッドと前記下型との間、および前記プレスユニットのプレスロッドと前記上型との間のうちの少なくとも一方に構成する。
【0012】
本発明において、前記下型および前記上型のうちの少なくとも一方が、前記プレスユニットのプレスロッドが当接する基端側部材と、該基端側部材を介して前記プレスユニットの押圧力が伝達される先端側部材とに分割されている場合、前記調芯構造の押圧力伝達部を、例えば、前記基端側部材と前記先端側型部材との間に構成してもよい。
【0013】
本発明において、前記下型および前記上型の双方に対して前記調芯構造の押圧力伝達部が構成されていることが好ましい。
【0014】
本発明において、前記凹状球面は、前記凸状球面より曲率半径が大きく形成されていることが好ましい。このように構成すると、調芯構造の押圧力伝達部では、より確実に凸状球面の頂部と凹状球面の底部とに集中して押圧力が伝達されることになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明を適用したプレス成形装置の実施の形態を説明する。
【0016】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本実施の形態に係るプレス成形装置の概略断面図である。
【0017】
図1に示すように、本形態のプレス成形装置1は、所定の温度に加熱されたガラス素材9(成形素材)を金型2内でプレス成形してガラス素材に金型形状を転写させるものであり、金型2と、金型2を押圧するためのプレスユニット3と、加熱装置4と、プレスユニット3内に金型2を着脱するためのフォーク状の搬送具5とを有している。
【0018】
プレスユニット3は、金型2を上方から押圧する上部プレスロッド31と、金型2を下方から押圧する下部プレスロッド32とを有しており、上部プレスロッド31の下端面310、および下部プレスロッド32の上端面320のそれぞれが押圧面になっている。また、下部プレスロッド32の上端面320は、金型2の載置部になっている。
【0019】
金型2は、上型6と、下型7と、上型6と下型7に挟まれた胴型8とを有している。ここで、光学部品の成形を行う際には、上型6と下型7との間にガラス素材9が配置され、このガラス素材9は、ガラス球やガラスプリフォームなどである。
【0020】
上型6は、円盤状の上型側フランジ部61と、上型側フランジ部61の中央部分から下方に向けて垂直に突出している円柱状の上型側突起62とを備えており、上型側フランジ部61の上端面610は、上部プレスロッド31に押圧される被押圧面になっている。
【0021】
下型7は、下型7の上に胴型8を載せたときに胴型8の外部に位置する円盤状の下型側フランジ部71と、この下型側フランジ部71の中央部分から上方に突出した円柱状の下型側突起72とを備えている。下型側フランジ部71の環状上面は、胴型8を載置するための載置部710となっている。また、下型側フランジ部71の下端面711は、下部プレスロッド32に押圧される被押圧面になっており、その中央には、下型側突起72の先端に届くように形成された熱電対挿入孔73が開口している。
【0022】
胴型8は、中空円筒に形成された内側胴型81と、内側胴型81を囲むように配置された円筒状の外側胴型82を備えている。内側胴型81には、この内側胴型81を上下方向に貫通するガイド穴80が形成されており、このガイド穴80に対して上型6の上型側突起62が上方から差し込まれ、下型7の下型側突起72が下方から差し込まれる。また、胴型8において、上下方向における中間位置付近では空気抜き孔811が横方向に貫通している。また、外側胴型82の外周面上端には大径部820が形成され、この大径部820の環状下面821によって、フォーク状の搬送具5が係合する係合部が構成されている。
【0023】
搬送具5は、胴型8の大径部820と係合可能な2本の爪51を備えたフォーク形状を有している。従って、外側胴型82を両側から挟むように2本の爪51を大径部820の下に差し込んだ後、爪51をわずか上に移動させるだけで、各爪51は、大径部820の下面821に係合する。それ故、金型2をプレスユニット3に搬送したり、プレスユニット3から金型2を搬出したりすることができる。なお、金型2を搬送する際に外側胴型82から内側胴型81および下型7が抜け落ちてしまう惧れがあるため、外側胴型82の外側から抜け落ち防止ピン10が嵌め込まれ、内側胴型81および下型7が外側胴型82と連結されるようになっている。
【0024】
プレスユニット3の外周側に配置されている加熱装置4は、光加熱集光式の赤外線ランプユニット41を有し、例えば700℃まで金型2および金型2内に配置されたガラス素材9を加熱可能である。金型2の温度測定は、下型7に形成されている熱電対挿入孔73に熱電対(図示せず)を挿入することにより行われる。
【0025】
(調芯構造の押圧力伝達部)
このように構成したプレス成形装置1において、上部プレスロッド31の下端面310、および下部プレスロッド32の上端面320は、浅く凹んだ凹状球面からなる押圧面として形成されている。これに対して、上型6の上端面610、および下型7の下端面711は、プレスユニット3の押圧面(上部プレスロッド31の下端面310、および下部プレスロッド32の上端面320)とは反対にわずかに膨らんだ凸状球面からなる被押圧面として形成されている。
【0026】
ここで、上部プレスロッド31の下端面310、および下部プレスロッド32の上端面320(凹状球面からなる押圧面)の曲率半径は、上型6の上端面610、および下型7の下端面711(凸状球面からなる被押圧面)より曲率半径がわずかに大きく設定されている。
【0027】
このようにして本形態では、上部プレスロッド31と上型6との間(上部プレスロッド31と上型側突起62との間)、および下部プレスロッド32と下型7との間(下部プレスロッド32と下型側突起72との間)の双方に、凹状球面からなる押圧面と、凸状球面からなる被押圧面とを備えた調芯構造の押圧力伝達部が構成されている。
【0028】
(光学部品の成形動作)
図2(a)ないし(g)は、プレス成形装置を用いてガラス素材を光学部品に成形する動作を示す説明図である。
【0029】
図2(a)〜(g)を参照して、上記構成のプレス成形装置1を用いて金型2内部に配置されたガラス素材を光学部品に成形する動作を説明する。
【0030】
まず、図2(a)に示すように、下型7の下型側突起72を胴型8のガイド穴80に下方から差し込んで、下型7の上に胴型8を載置した後、下型7が抜け落ちないように胴型7に抜け落ち防止ピン10を嵌め込む。次に、ガラス素材9をガイド穴80の下型側突起72の先端部分に載せる。
【0031】
次に、図2(b)に示すように、胴型8のガイド穴80に対して上型6の上型側突起62を上方から差し込んだ後、胴型8の大径部820に搬送具5の爪51を係合させて、図2(c)に示すように、金型2を下部プレスロッド32の上端面320上に配置する。
【0032】
次に、加熱装置4の赤外線ランプユニット41により金型2、および金型2内のガラス素材9を加熱する。そして、ガラス素材9が所定の温度に達すると、図2(d)に示すように、プレスユニット3の上部プレスロッド31が下降し、あるいは下部プレスロッド32が上昇して金型2内のガラス素材9に対するプレス成形を行う。その結果、ガラス素材9は、当該ガラス素材9を挟むように配置された上型6および下型7によって押圧され、金型形状が転写される。
【0033】
金型形状が転写されたガラス素材9については、金型2と共にプレス成形装置1内部で冷却された後、図2(e)に示すように、再び、胴型8の大径部820に搬送具5の爪51を係合させ、金型2をプレス成形装置1外まで搬送する(図2(f)参照)。
【0034】
そして、図2(g)に示すように、金型2の解体を行い、成形品9′(レンズ)を取り出す。そして、金型2については、図2(a)を参照して説明した工程に戻し、次の光学部品の成形を行う。
【0035】
(本形態の効果)
以上説明したように、本形態では、プレスユニット3の押圧力は、押圧面および被押圧面のうちの一方が凹状球面、他方が凸状球面に形成された調芯構造の押圧力伝達部を介して下型7の下型側突起72、および上型6の上型側突起62に伝達され、このような調芯構造の押圧力伝達部では、凸状球面の頂部と凹状球面の底部とに集中して押圧力が伝達される。しかも、本形態では、凹状球面は、凸状球面より曲率半径が大きく形成されているため、より確実に凸状球面の頂部と凹状球面の底部とに集中して押圧力が伝達されることになる。このため、調芯構造の押圧力伝達部において、下型側突起72および上型側突起62には、押圧力が軸線方向に沿って確実に加わるので、これらの突起62、72は傾くことがない。また、下型側突起72および上型側突起62がわずかに傾いている場合でも、押圧部から被押圧部に加わる力は、下型側突起72および上型側突起62の傾き姿勢を補正する方向に作用し、その姿勢が補正される。それ故、下型側突起72、および上型側突起62が胴型8のガイド穴80の内周面に引っ掛かって食い込むことがないので、いわゆる「かじり」が発生しない。
【0036】
[実施の形態2]
図3は、本発明の実施の形態2に係るプレス成形装置の要部を示す概略断面図である。なお、以下に説明する実施の形態2、3に係るプレス成形装置は、基本的な構成が実施の形態1と同様であるため、共通する部分には、同一の符号を付して図示することにして、それらの説明を省略する。
【0037】
図3に示すように、本形態のプレス成形装置でも、実施の形態1と同様、上部プレスロッド31と上型6との間、および下部プレスロッド32と下型6との間に調芯構造の押圧力伝達部が形成されているが、本形態では、上部プレスロッド31の下端面310、および下部プレスロッド32の上端面320は、わずかに膨らんだ凸状球面からなる押圧面として形成されている一方、上型6の上端面610、および下型7の下端面711は、プレスユニット3の押圧面(上部プレスロッド31の下端面310、および下部プレスロッド32の上端面320)とは反対に浅く凹んだ凹状球面からなる被押圧面として形成されている。
【0038】
ここで、上型6の上端面610、および下型7の下端面711(凹状球面からなる被押圧面)の曲率半径は、上部プレスロッド31の下端面310、および下部プレスロッド32の上端面320(凸状球面からなる押圧面)の曲率半径よりわずかに大きく設定されている。
【0039】
このように構成した場合も、プレスユニット3の押圧力は、押圧面および被押圧面のうちの一方が凹状球面、他方が凸状球面に形成された調芯構造の押圧力伝達部を介して下型7の下型側突起72、および上型6の上型側突起62に伝達されるので、これらの突起62、72が傾くことがない。また、下型側突起72および上型側突起62が傾いている場合でも、押圧部から被押圧部に加わる力は、下型側突起72および上型側突起62の傾き姿勢を補正する方向に作用し、その姿勢が補正される。それ故、下型側突起72、および上型側突起62が胴型8のガイド穴80の内周面に引っ掛かって食い込むことがないので、いわゆる「かじり」が発生しない。
【0040】
[実施の形態3]
上記形態1、2は、上型6および下型7がそれぞれ一体に形成されている例であったが、以下に説明するように、上型6あるいは下型7がそれぞれ分割されている場合でも本発明を適用することができる。
【0041】
図4は、本発明の実施の形態3に係るプレス成形装置の要部を示す概略断面図である。
【0042】
図4に示すように、本形態のプレス成形装置も、プレスユニット3は、金型2を上方から押圧する上部プレスロッド31と、金型2を下方から押圧する下部プレスロッド32とを有している。金型2は、上型6と、下型7と、上型6と下型7に挟まれた胴型8とを有している。
【0043】
本形態において、上型6は、上部プレスロッド31が当接する基端側部材6bと、この基端側部材6bを介して上部プレスロッド31の押圧力が伝達される先端側部材6aとに分割されており、先端側部材6aには、円盤状の上型側フランジ部61と、上型側フランジ部61の中央部分から下方に向けて垂直に突出されている円柱状の上型側突起62とが形成されている。
【0044】
また、下型7は、下部プレスロッド32が当接する基端側部材7bと、この基端側部材7bを介して下部プレスロッド32の押圧力が伝達される先端側部材7aとに分割されており、先端側部材7aには、円盤状の下型側フランジ部71と、下型側フランジ部71の中央部分から下方に向けて垂直に突出されている円柱状の下型側突起72とが形成されている。
【0045】
胴型8は、中空円筒に形成された内側胴型81と、内側胴型81を囲むように配置された外側胴型82を備えている。内側胴型81には上面から下面まで当該内側胴型81を貫通する軸方向のガイド穴80が形成されており、このガイド穴80に上型6および下型7の突起62、72が差し込まれる。
【0046】
このように構成したプレス成形装置1において、上部プレスロッド31の下端面310、および下部プレスロッド32の上端面320は、平面になっている一方、上型6の基端側部材6bの上端面65、および下型7の基端側部材7bの下端面75も平坦面になっている。
【0047】
一方、上型6の基端側部材6bの下端面66、および下型の基端側部材7bの上端面76は、浅く凹んだ凹状球面からなる押圧面として形成されている。これに対して、上型6の先端側部材6aの上端面68、および下型の先端側部材7aの下端面78は、上型6の基端側部材6bの下端面66、および下型の基端側部材7bの上端面76とは反対にわずかに膨らんだ凸状球面からなる被押圧面として形成されている。
【0048】
ここで、上型6の基端側部材6bの下端面66、および下型の基端側部材7bの上端面76(凹状球面からなる押圧面)の曲率半径は、上型6の先端側部材6aの上端面68、および下型の先端側部材7aの下端面78(凸状球面からなる被押圧面)より曲率半径がわずかに大きく設定されている。
【0049】
このようにして本形態では、上部プレスロッド31と上型側突起62との間、および下部プレスロッド32と下型側突起72との間のいずれにも、凹状球面からなる押圧面と、凸状球面からなる被押圧面とによって構成された調芯構造の押圧力伝達部が構成されている。
【0050】
このように構成したプレス成形装置でも、プレスユニット3の押圧力は、押圧面および被押圧面のうちの一方が凹状球面、他方が凸状球面に形成された調芯構造の押圧力伝達部を介して下型7の下型側突起72、および上型6の上型側突起62に伝達され、このような調芯構造の押圧力伝達部では、凸状球面の頂部と凹状球面の底部とに集中して押圧力が伝達される。しかも、本形態では、凹状球面は、凸状球面より曲率半径が大きく形成されてため、より確実に凸状球面の頂部と凹状球面の底部とに集中して押圧力が伝達されることになる。このため、調芯構造の押圧力伝達部では、下型側突起72および上型側突起62は、押圧力が軸線方向に沿って確実に加わるので、これらの突起62、72は傾くことがない。また、下型側突起72および上型側突起62が傾いている場合でも、押圧部から被押圧部に加わる力は、下型側突起72および上型側突起62の傾き姿勢を補正する方向に作用し、その姿勢が補正される。それ故、下型側突起72、および上型側突起62が胴型8のガイド穴80の内周面に引っ掛かって食い込むことがないので、いわゆる「かじり」が発生しない。
【0051】
また、本形態のプレス成形装置1は、プレスユニット3については従来構造のまま、上型6および下型7を2分割した構造を変更すればよいので、設備費用が大幅に増大しないという利点がある。
【0052】
[その他の実施の形態]
上記のいずれの形態でも、上部プレスロッド31と上型側突起62との間、および下部プレスロッド32と下型側突起72との間の双方に対して、球面からなる押圧面と被押圧面とを備えた調芯構造の押圧力伝達部を構成したが、上部プレスロッド31と上型側突起62との間、および下部プレスロッド32と下型側突起72のうちの一方のみに調芯構造の押圧力伝達部を構成してもよい。
【0053】
また、上部プレスロッド31と上型側突起62との間、および下部プレスロッド32と下型側突起72との間の双方に調芯構造の押圧力伝達部を構成する場合、その一方については、凹状球面からなる押圧面と凸状球面からなる被押圧面とを備えた調芯構造の押圧力伝達部を構成し、他方については、凸状球面からなる押圧面と凹状球面からなる被押圧面とを備えた調芯構造の押圧力伝達部を構成してもよい。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のプレス成形装置において、プレスユニットの押圧力は、押圧面および被押圧面のうちの一方が凹状球面、他方が凸状球面に形成された調芯構造の押圧力伝達部を介して下型の下型側突起あるいは上型の上型側突起に伝達され、このような調芯構造の押圧力伝達部では、下型側突起あるいは上型側突起に対して、押圧力が軸線方向に沿って確実に加わるので、これらの突起は傾くことがなく、かつ、傾いている場合でもその姿勢が補正される。それ故、下型側突起あるいは上型側突起が胴型のガイド穴の内周面に引っ掛かって食い込むことがないので、いわゆる「かじり」が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るプレス成形装置の概略断面図である。
【図2】(a)ないし(g)は、図1に示すプレス成形装置を用いてガラス素材を光学部品に成形する動作を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係るプレス成形装置の要部を示す概略断面図である。
【図4】本発明の実施の形態3に係るプレス成形装置の要部を示す概略断面図である。
【図5】従来のプレス成形装置の要部を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 プレス成形装置
2 金型
3 プレスユニット
31 上部プレスロッド
32 下部プレスロッド
310 上部プレスロッドの下端面
320 下部プレスロッドの上端面
4 加熱装置
41 赤外線ランプユニット
5 フォーク状の搬送具
6 上型
6a 上型の先端側部材
6b 上型の基端側部材
61 上型側フランジ部
610 上型の上端面
62 上型側突起
7 下型
7a 下型の先端側部材
7b 下型の基端側部材
71 下型側フランジ部
711 下型の下端面
72 下型側突起
8 胴型
80 ガイド穴
9 ガラス素材
9′ 成形品(レンズ)
Claims (6)
- 下型、該下型に構成されている下型側突起が下方から差し込まれるガイド穴が形成された胴型、および該胴型の前記ガイド穴に上方から差し込まれる上型側突起が形成された上型を備えた金型と、加熱装置と、プレスユニットとを有し、前記金型および該金型内に配置した成形素材を前記加熱装置により所定の温度に加熱した状態で前記プレスユニットの押圧力により前記成形素材を所定形状にプレス成形するプレス成形装置において、
前記プレスユニットの押圧力は、押圧面および被押圧面のうちの一方が凹状球面、他方が凸状球面に形成された調芯構造の押圧力伝達部を介して前記下型側突起および前記上型側突起の少なくとも一方に伝達されることにより、前記金型内において前記下型側突起と前記上型側突起との間に配置された成形素材が所定形状にプレス成形されることを特徴とするプレス成形装置。 - 請求項1において、前記成形素材は、ガラス製の光学部品を製造するためのガラス素材であることを特徴とするプレス成形装置。
- 請求項1または2において、前記調芯構造の押圧力伝達部は、前記プレスユニットのプレスロッドと前記下型との間、および前記プレスユニットのプレスロッドと前記上型との間のうちの少なくとも一方に構成されていることを特徴とするプレス成形装置。
- 請求項1または2において、前記下型および前記上型のうちの少なくとも一方は、前記プレスユニットのプレスロッドが当接する側の基端側部材と、該基端側部材を介して前記プレスユニットの押圧力が伝達される先端側部材とに分割され、
前記調芯構造の押圧力伝達部は、前記基端側部材と前記先端側型部材との間に構成されていることを特徴とするプレス成形装置。 - 請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記下型および前記上型の双方に対して前記調芯構造の押圧力伝達部が構成されていることを特徴とするプレス成形装置。
- 請求項1ないし5のいずれかにおいて、前記凹状球面は、前記凸状球面より曲率半径が大きく形成されていることを特徴とするプレス成形装置。
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---|---|---|---|---|
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JP2009242140A (ja) * | 2008-03-28 | 2009-10-22 | Fujifilm Corp | 成形装置及び方法 |
-
2003
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