JP2004256332A - 誘電体磁器組成物およびこれを用いた積層セラミック部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】AgやCu等の低抵抗導体との同時焼成による内挿化、多層化ができる775℃〜1000℃の温度で焼成でき、かつ比誘電率εが8〜20程度で、Q×f値が大きく、且つ熱伝導性に優れ、更に共振周波数fの温度係数τの絶対値が20ppm/℃以下で調整も容易な誘電体磁器組成物を提供する。
【解決手段】一般式xSi−(1−x)(aZnTiO−(1−a)ZnTiO)で表され、xが0.075≦x≦0.925、aが0.3≦a≦1.0の範囲内である主成分100重量部に対して、ガラス成分を5重量部以上150重量部以下含有することを特徴とする誘電体磁器組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、比誘電率εが8〜20程度で、マイクロ波やミリ波などの高周波領域でのQ値が大きく、更に共振周波数fの温度係数τの絶対値も小さく、且つ熱伝導性に優れ、更に低抵抗導体であるAgやCu等との同時焼成が可能な誘電体磁器組成物、およびそれを用いた積層誘電体フィルターや積層誘電体基板等の積層セラミック部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信網の急激な発展に伴い、通信に使用する周波数が拡大すると同時にマイクロ波領域やミリ波領域などの高周波領域に及んでいる。高周波用の誘電体磁器組成物としては、無負荷Q値が大きく、熱伝導性に優れ、更に共振周波数fの温度係数τの絶対値が小さい材料が求められている。一方、マイクロ波回路やミリ波回路の大きさは、比誘電率εが大きくなるほど小型化が可能である。しかし、マイクロ波領域以上の高周波領域に関しては、比誘電率εが大き過ぎると、回路が小さくなりすぎ加工精度の要求が厳しくなるため、比誘電率εは8から20程度の適切な範囲のものが要求されている。
【0003】
また最近、誘電体磁器組成物を積層した積層誘電体フィルターや積層誘電体基板等の積層セラミック部品が開発されており、誘電体磁器組成物と内部電極との同時焼成による積層化が行われている。このような用途で使用される誘電体磁器組成物には電極材料として低抵抗導体で、且つ安価な銀(Ag)、Ag−Pd、およびCu等を使用して、1000℃以下の低温で同時焼成が可能な誘電体磁器組成物が求められ、特に基板を用途とするものには熱伝導性の優れた材料が求められている。
【0004】
従来、Q値が大きく、更に共振周波数fの温度係数τの絶対値が小さい誘電体磁器組成物としては、BaO−MgO−WO系材料(特許文献1参照)や、MgTiO−CaTiO系材料(特許文献2参照)などが提案されている。しかし、これら磁器組成物は、焼成温度が1300℃以上と高いため内部電極との同時焼成を行うことは困難な面があり、積層化構造とするためには電極材料として高温に耐える白金(Pt)等の高価な材料に限定されていた。
【0005】
一方、アルミナ(Al)は、比誘電率εが10で、高周波特性、及び熱伝導性に優れる磁器組成物として知られている。しかし、共振周波数の温度依存性(τ)が−60ppm/℃とマイナス側に大きいため、誘電体共振器や誘電体フィルターなどの温度依存性が小さいことが求められる用途への適用は制限されている。また、焼成温度が1500℃以上と高いため、内部電極との同時焼成を行うことは困難な面があった。
【0006】
また、低温焼結が可能な誘電体磁器組成物としては、ZnAl結晶とα−SiO結晶およびZnSiO結晶並びにガラス層からなる磁器材料が、適度な誘電率で焼成温度も低いことが知られている(特許文献3参照)が、この材料は、機械的強度を重視しており、高周波用誘電体磁器組成物としては、Q値も十分でなく、共振周波数fの温度係数τ、及び熱伝導率の記載もない。
【0007】
また、他の誘電体磁器組成物として、ZnTiOとガラスからなりZnTiOを85〜95重量%含有する誘電体磁器組成物が、900℃〜1000℃の温度で焼成可能であり、30GHz以上の高周波においても高い誘電率(ε=30程度)と低い誘電正接を示すことが開示されている(特許文献4参照)が、ε=8〜20程度の低い誘電率と、誘電正接の逆数であらわされるQ値もさらに大きい値が要求され、共振周波数の温度依存性τf、及び熱伝導率に関する記載もない。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−236708号公報(第11頁段落番号(0033)、表1〜8参照)。
【特許文献2】
特開平6−199568号公報(第5頁段落番号(0018)、表1〜3参照)。
【特許文献3】
特開2002−338341号公報(第10頁段落番号(0050)、表4等参照)。
【特許文献4】
特開平10−101416号公報(第2頁段落番号(0008)、(0009)、表2、表3参照)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の問題を解消し、AgやCu等の低抵抗導体との同時焼成による内挿化、多層化ができる775℃〜1000℃の温度で焼成でき、かつ比誘電率εが8〜20程度で、Q×f値が大きく、且つ熱伝導性に優れ、更に共振周波数fの温度係数τの絶対値が20ppm/℃以下で調整も容易な誘電体磁器組成物を提供することにある。また、このような誘電体磁器組成物からなる誘電体層とAg或いはCuを主成分とする内部電極を有する積層フィルターや積層誘電体基板等の積層セラミック部品を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一般式がxSi−(1−x)(aZnTiO−(1−a)ZnTiO)で表され、xが0.075≦x≦0.925、aが0.3≦a≦1.0の範囲内である主成分100重量部に対して、ガラス成分を5重量部以上150重量部以下含有することを特徴とする誘電体磁器組成物に関する。
【0011】
前記ガラス粉末の成分としてはPbO系ガラス、ZnO系ガラス、SiO系ガラス、およびPbO、ZnO、Bi、BaO、B、SiO、ZrO、TiO、Al、CaO、SrOの群から選択される2種以上の金属酸化物からなるガラスのうち少なくとも一種以上であることが好ましい。
【0012】
更に本発明は複数の誘電体層と、該誘電体層間に形成された内部電極と、該内部電極に電気的に接続された外部電極とを備える積層セラミック部品において、前記誘電体層が前記請求項1又は2記載の誘電体磁器組成物を焼成して得られる誘電体磁器にて構成され、前記内部電極がCu単体若しくはAg単体、又はCu若しくはAgを主成分とする合金材料にて形成されていることを特徴とする積層セラミック部品に関する。
【0013】
本発明における誘電体磁器組成物は、優れた熱伝導性を示し、1000℃以下の焼成温度で焼結ができるため、低抵抗導体であるAgやCu等と同時焼成が可能な磁器を提供することができる。また、本発明における誘電体磁器組成物は共振周波数f(GHz)とQ値の積であるQ×f値が15000(GHz)以上と大きい値を示し、誘電損失の小さい磁器を提供することができる。そして、本発明における誘電体磁器組成物は、共振周波数の温度変化率(τ)の絶対値が20ppm/℃以下であり、温度による影響の少ない磁器が提供できる。更に、比誘電率εが8〜20程度で、本発明の誘電体磁器組成物を用いた高周波用素子や回路は小さくなりすぎることはなく適度な大きさに保つことが可能になり,加工精度や生産性の面で優れている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の誘電体磁器組成物について具体的に説明する。
【0015】
本発明の誘電体磁器組成物の主成分は、SiとZnTiOとからなる、または、Si、ZnTiOおよびZnTiOとからなる磁器組成物であって、一般式がxSi−(1−x)(aZnTiO−(1−a)ZnTiO)で表され、Siのモル分率xが0.075〜0.925の範囲であり、ZnTiOとZnTiOとの合計したモル分率が(1−x)、即ち、0.075〜0.925の範囲にある。
【0016】
また、ZnTiOとZnTiOとの合計量に占めるZnTiOの含有量の割合(モル比)aは、0.3〜1.0の範囲であり、同様にZnTiOとZnTiOとの合計量に占めるZnTiOの割合(モル比)、即ち、(1−a)は、0〜0.7の範囲である。
【0017】
本発明の誘電体磁器組成物は、前記主成分100重量部に対して、ガラス成分を5重量部以上150重量部以下含有することを特徴とする。ここで、ガラスとは非結晶質の固体物質で、溶融により得られたものをいい、粉末ガラスまたはガラス粉末とはガラスを粉砕して粉末状にしたものを指す。なお、ガラスの中に一部結晶化したものを含む結晶化ガラスもガラスに含まれる。本発明に用いるガラスとしては、PbO系ガラス、ZnO系ガラス、SiO系ガラス、その他金属酸化物からなるガラスが挙げられる。PbO系ガラスは、PbOを含有するガラスであり、PbO−SiO、PbO−B、PbO−Pを含有するガラスや、RO−PbO−SiO,RO−CaO−PbO−SiO、RO−ZnO−PbO−SiO、RO−Al−PbO−SiOを含有するガラス(但しここでRはNaO、KO)などが例示される。ZnO系ガラスは、ZnOを含有するガラスであり、ZnO−Al−BaO−SiO、ZnO−Al−RO−SiO、などが例示される。SiO系ガラスは、SiOを含有するガラスであり、SiO−Al−RO、SiO−Al−BaO、などが例示される。
【0018】
さらに、本発明に用いるガラスとしては、PbO系ガラス、ZnO系ガラス、SiO系ガラスの他にも、各種金属酸化物からなるガラスも使用することができ、PbO、ZnO、Bi、BaO、B、SiO、ZrO、TiO、Al、CaO、SrO、SnOの群から選択される2種以上の金属酸化物からなるガラスも用いられる。ガラスは非晶質ガラスや結晶質ガラスのどちらを用いてもよい。PbOを含有すると焼成温度は低下する傾向にあるが、無負荷Q値が低下する傾向にあり、ガラス中のPbO成分の含有量は、40重量%以下が好ましい。また、ガラス中にZnOとAlとBaOとSiO及びBを成分とするガラスは、高い無負荷Q値を得ることができる点から本発明に用いるガラスとして特に好適である。
【0019】
次に本発明における組成の限定理由について説明する。本発明の誘電体磁器組成物は,セラミックスの母材となる前記主成分100重量部に対して、ガラス成分量が5重量部未満では焼成温度が1000℃以上と高くなり、150重量部を超える場合にはガラスが溶出して良好な焼結体を得ることができなくなるため好ましくない。
【0020】
また、前記主成分におけるSiのモル分率xの値が0.075より少ないと、Q×f値が15000より低くなり、且つ熱伝導性が低下し、共振周波数fの温度係数τの絶対値が20ppm/℃より大きくなるため好ましくない。また、Siのモル分率xの値が0.925を超えると共振周波数の温度変化率(τ)の絶対値が20ppm/℃より大きくなるため好ましくない。また主成分である母材組成中のZnTiOとZnTiOとの合計量に占めるZnTiOの含有量の割合(モル比)aが0.3より小さいと共振周波数の温度変化率(τ)の絶対値が20ppm/℃より大きくなり、モル分率xによってはQ×f値が15000より低くなる事があるため好ましくない。本発明の誘電体磁器組成物には、これら主要成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で他成分を含めることが可能である。
【0021】
前記主成分の一般式中、aが1であると、本発明の誘電体磁器組成物の主成分は、xSi−(1−x)ZnTiO(ただし、0.075≦x≦0.925)と表されるが、この2成分系の主成分100重量部に対して、ガラス成分を5重量部以上150重量部以下含有する誘電体磁器組成物においても上記の本発明の効果を有する。本発明の誘電体磁器組成物を750〜1000℃で焼成して得られる誘電体磁器は、主成分のSiの結晶とZnTiOの結晶が存在し、その間にガラス相または結晶化ガラスが入り込んだ組織をしている。
【0022】
本発明の誘電体磁器組成物の最も望ましい実施形態としては、本発明の組成範囲内にあって、Si−ZnTiO−ZnTiOの3成分の主成分化合物とガラス成分からなる誘電体磁器組成物が挙げられる。本発明の誘電体磁器組成物を750〜1000℃で焼成して得られる誘電体磁器は、主成分のSiの結晶とZnTiOの結晶およびZnTiOの結晶が存在し、その間にガラス相または結晶化ガラスが入り込んだ組織をしている。
【0023】
本実施形態で示される3成分の主成分化合物とガラス成分からなる誘電体磁器組成物は、前記Si−ZnTiOの2成分の主成分化合物およびガラス成分からなる誘電体磁器組成物に比べて、ZnTiOが加えられている事により焼成温度を更に下げることができる利点がある。
【0024】
本発明の誘電体磁器組成物の好適な製造方法の一例を次に示す。前記主成分を構成する各母材原料は、例えば、それぞれ次のようにして得られる。ZnTiOは、ZnOとTiOとを1:1のモル比で混合し、また、ZnTiOは、ZnOとTiOとを2:1のモル比で混合し、仮焼することで得られる。なお、亜鉛、チタンの原料としては、ZnO、TiOの酸化物の他に、仮焼時に酸化物となる炭酸塩、水酸化物、有機金属化合物等を使用することができる。
【0025】
このようなSi、ZnTiO、ZnTiOのうち必要な母材原料とガラス粉末を所定量ずつ、水、アルコール等の溶媒と共に湿式混合する。続いて、水、アルコールを除去した後、得られた粉末にポリビニルアルコールの如き有機バインダーおよび水を混合して均質にし、乾燥、粉砕して、例えば圧力100〜1000kg/cm程度で、加圧成形する。そして得られた成型物を空気の如き酸素含有ガス雰囲気下にて850〜925℃で焼成することにより上記組成式で表わされる誘電体磁器組成物が得られる。
【0026】
このようにして得られた誘電体磁器組成物は、適当な形状、およびサイズに加工することにより誘電体共振器として利用できる。また、混合、仮焼、粉砕等の工程を経て得られる誘電体粉末にポリビニルブチラール等の樹脂、フタル酸ジブチル等の可塑剤、およびトルエン等の有機溶剤とを混合した後、ドクターブレード法等によるシート成形を行い、得られたシートと導体とを積層化、一体焼成することにより、各種積層セラミック部品の材料として利用できる。積層セラミック部品としては積層セラミックコンデンサ、LCフィルター、誘電体基板などが挙げられる。
【0027】
本発明の積層セラミック部品は、複数の誘電体層と、該誘電体層間に形成された内部電極と、該内部電極に電気的に接続された外部電極とを備えており、前記誘電体層が前記誘電体磁器組成物を焼成して得られる誘電体磁器にて構成され、前記内部電極がCu単体若しくはAg単体、又はCu若しくはAgを主成分とする合金材料にて形成されている。本発明の積層セラミック部品は、誘電体磁器組成物を含有する誘電体層と、Cu単体若しくはAg単体、又はCu若しくはAgを主成分とする合金材料とを、同時焼成することにより得られる。
【0028】
上記積層セラミック部品の実施形態の一例として、例えば図1に示したトリプレートタイプの共振器が挙げられる。
【0029】
図1は、本発明に係る実施形態の一例であるトリプレートタイプの共振器を示す斜視図である。図1に示すように、トリプレートタイプの共振器は、複数の誘電体層と、該誘電体層間に形成された内部電極2と、該内部電極に電気的に接続された外部電極3とを備える積層セラミック部品である。トリプレートタイプの共振器は、内部電極2を中央部に配置して複数枚の誘電体セラミックス層1を積層して得られる。内部電極2は、図1に示した第1の面Aからこれに対向する第2の面Bまで貫通するように形成されており、第1の面Aのみ開放面で、第1の面Aを除く共振器の5面には外部電極3が形成されており、第2の面Bにおいて内部電極2と外部電極3が接続されている。内部電極2の材料は、CuまたはAgあるいは、それらを主成分として構成されている。本発明の誘電体磁器組成物では低温で焼成が可能なため、これらの内部電極の材料が使用できる。
【0030】
【実施例】
実施例1
ZnOとTiOのモル比が1:1の割合になるように各粉末を秤量した後、エタノール、ZrOボールと共にボールミルに入れ、24時間湿式混合した後に溶媒を脱媒乾燥した。続いて、各々の乾燥後の混合粉末を大気雰囲気中にて1000℃の温度で2時間仮焼してZnTiOの結晶粉末を得た。
【0031】
続いて、Siが90.0mol%、ZnTiOが10.0mol%となるように秤量し主成分母材とした。さらに、この主成分母材100重量部に対して、SiOが6.0wt%、Alが11.0wt%、ZnOが47.0wt%、BaOが4.0wt%、SrOが0.2wt%、CaOが0.2wt%、SnOが0.2wt%、Bが30.0wt%で構成されているガラス粉末が30重量部となるように、前記主成分母材の粉末と前記ガラス粉末とを所定量(全量として150g)を秤量し、エタノール、ZrOボールと共にボールミルに入れ、24時間湿式混合した後、溶媒を脱媒乾燥した。
【0032】
得られた混合粉を粉砕した後、適量のポリビニルアルコール溶液を加えて乾燥した後に直径10mm、厚さ5mmのペレットに成形し、空気雰囲気中、925℃の温度で2時間焼成して本発明の組成を有する誘電体セラミックスを得た。
【0033】
こうして得られた磁器組成物のセラミックスを、直径8mm、厚み4mmの大きさに加工した後、誘電共振法によって測定し、共振周波数9〜13GHzにおけるQ×f値、比誘電率ε、共振周波数の温度係数τ及び熱伝導率λを求めた。その結果を表2に示す。
【0034】
また、前記主成分母材とガラス粉末とを混合、脱媒して得られた乾燥混合粉100gに対して、結合剤としてポリビニルブチラール9g、可塑剤としてフタル酸ジブチル6gおよび溶剤としてトルエン60gとイソプロピルアルコール30gを添加しドクターブレード法により厚さ100μmのグリーンシートを作製した。そして、このグリーンシートを、65℃の温度で200kg/cmの圧力を加える熱圧着により、20層積層した。その際、内部電極としてAgを印刷した層が厚み方向の中央部にくるように配置した。得られた積層体を925℃で2時間焼成した後、幅5.0mm、高さ1.5mm、長さ9.5mmに加工し、外部電極を形成して図1に示すようなトリプレートタイプの共振器を作製した。得られたトリプレートタイプの共振器について共振周波数2.5GHzで無負荷Q値を評価した。その結果を表2に示す。
【0035】
実施例2〜6
実施例1と同様の方法にて、Si、ZnTiOの各粉末とガラス粉末を表1に示した組成比になるように配合し、混合後、実施例1と同一条件で成形し、空気雰囲気下において、表1に示したように875℃〜900℃の温度にて2時間焼成して誘電体セラミックスを作製し、実施例1と同様な方法で特性を評価した。その結果を表2に示す。
【0036】
比較例1〜2
実施例1と同様の方法で、Si、ZnTiOの各粉末とガラス粉末を表1に示した配合量で混合後、実施例1と同一条件で成形し、空気雰囲気下において表2に示したように900℃〜950℃の温度にて2時間焼成して誘電体セラミックスを作製し、実施例1と同様な方法で特性を評価した。その結果を表2に示す。
【0037】
実施例1と比較例1との比較により、Siの含有量が多すぎると、共振周波数の温度変化率(τ)の絶対値がより大きくなることがわかる。また、実施例2と比較例2とを比較することにより、Siの含有量が少ないと、比誘電率εが大きくなり、Q×f値が小さく、且つ熱伝導性が低下し、更に共振周波数fの温度係数τの絶対値が大きくなることが分かる。
【0038】
実施例7
ZnOとTiOのモル比が2:1の割合になるように各粉末を秤量した後、エタノール、ZrOボールと共にボールミルに入れ、24時間湿式混合した後に溶媒を脱媒乾燥した。続いて混合乾燥した粉末を大気雰囲気中にて1000℃の温度で2時間仮焼してZnTiOの結晶粉末を得た。また、実施例1と同様にして、ZnTiOの各粉末を得た。
【0039】
続いて、SiとZnTiOとZnTiOの各粉末とガラス粉末とを表1に示した配合量で実施例1と同一条件で混合、成形し、空気雰囲気下において850℃の温度にて2時間焼成して誘電体セラミックスを作製し、実施例1と同様な方法で特性を評価した。その結果を表2に示す。
【0040】
実施例8〜15
実施例7と同様の方法で、SiとZnTiOとZnTiOの各粉末とガラス粉末とを表1に示した組成比になるように配合し、混合後、実施例1と同一条件で成形し、空気雰囲気下において、表2に示したように775℃〜850℃の温度にて2時間焼成して誘電体セラミックスを作製し、実施例1と同様な方法で特性を評価した。その結果を表2に示す。
【0041】
比較例3〜6
実施例7と同様の方法で、SiとZnTiOとZnTiOの各粉末とガラス粉末とを表1に示した配合量で混合後、実施例1と同一条件で成形し、空気雰囲気下において表2に示したように850℃〜1000℃の温度にて2時間焼成して誘電体セラミックスを作製し、実施例1と同様な方法で特性を評価した。その結果を表2に示す。
【0042】
比較例3,4より、ZnTiOの含有量が少ないと、Q×f値が小さく、更に共振周波数fの温度係数τの絶対値が大きくなることが分かる。また、比較例5,6より、ガラス量が適切な範囲外では、好ましい焼結体が得られないことが分かる。
【0043】
【表1】
Figure 2004256332
【0044】
【表2】
Figure 2004256332
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、1000℃以下の焼成温度で焼結が可能であり、且つ熱伝導性に優れ、比誘電率εが8〜20程度で、高周波領域でのQ値が大きく、更に共振周波数の温度変化率(τ)の絶対値が20ppm/℃以下の誘電体磁器組成物を提供することができる。1000℃以下の焼成温度で焼結ができるため、焼成に要する電力費が低減されるとともに、比較的安価で低抵抗導体であるAgやCu等と同時焼成が可能であり、さらにこれを内部電極とした積層部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層セラミック部品の実施形態の説明図である。
【符号の説明】
1 誘電体セラミック層
2 内部電極
3 外部電極

Claims (3)

  1. 一般式xSi−(1−x)(aZnTiO−(1−a)ZnTiO)で表され、xが0.075≦x≦0.925、aが0.3≦a≦1.0の範囲内である主成分100重量部に対して、ガラス成分を5重量部以上150重量部以下含有することを特徴とする誘電体磁器組成物。
  2. 前記ガラス成分が、PbO系ガラス、ZnO系ガラス、SiO系ガラス、およびPbO、ZnO、Bi、BaO、B、SiO、ZrO、TiO、Al、CaO、SrOの群から選択される2種以上の金属酸化物からなるガラスから選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載の誘電体磁器組成物。
  3. 複数の誘電体層と、該誘電体層間に形成された内部電極と、該内部電極に電気的に接続された外部電極とを備える積層セラミック部品において、前記誘電体層が前記請求項1又は2記載の誘電体磁器組成物を焼成して得られる誘電体磁器にて構成され、前記内部電極がCu単体若しくはAg単体、又はCu若しくはAgを主成分とする合金材料にて形成されていることを特徴とする積層セラミック部品。
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