JP2004255614A - 液滴吐出ヘッド及びアクチュエータ - Google Patents
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Abstract
【課題】大きな機械的駆動力が得られる無鉛アクチュエータがない。
【解決手段】圧力室1の壁面を形成する振動板を金属薄膜11及び12からなる薄膜バイメタル3で構成し、薄膜バイメタル3を構成する金属薄膜11,12の一方はヒータとして、圧力室1に対応する形状にパターン加工し、バイメタル異種材料による熱膨張係数の違いによって、薄膜バイメタル3を屈曲させ、その変位量でアクチエータ駆動力を発生させ、液滴を吐出させる。
【選択図】 図1
【解決手段】圧力室1の壁面を形成する振動板を金属薄膜11及び12からなる薄膜バイメタル3で構成し、薄膜バイメタル3を構成する金属薄膜11,12の一方はヒータとして、圧力室1に対応する形状にパターン加工し、バイメタル異種材料による熱膨張係数の違いによって、薄膜バイメタル3を屈曲させ、その変位量でアクチエータ駆動力を発生させ、液滴を吐出させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は液滴吐出ヘッド及びアクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットヘッドなどの液滴吐出ヘッド、マイクロポンプ、マイクロ光変調デバイス、光スイッチなどの光学デバイス、マイクロスイッチ(マイクロリレー)、マイクロ流量計、圧力センサ、マイクロモータなどの各種マイクロデバイスにおいては、マイクロアクチュエータが用いられる。
【0003】
例えば、プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像記録装置(画像形成装置)として用いるインクジェット記録装置に使用するインクジェットヘッドでは、インク流路内のインクを加圧するエネルギーを発生するアクチュエータ手段として振動板を変形させる圧電素子などの圧電型アクチュエータや静電型アクチュエータが用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、機械的駆動を行うことができるアクチュエータとしては、上述したようなPZTを主体とする圧電型アクチュエータや静電力を用いる静電型アクチュエータがあるが、前者の圧電型アクチュエータは鉛を含むPZTが主体であり、また後者の静電型アクチュエータは発生できる駆動力がさほど大きくないという課題がある。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、十分な滴吐出特性が得られる新規な液滴吐出ヘッド及びアクチュエータを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液室の壁面を形成する振動板が薄膜バイメタルで構成されている構成とした。
【0007】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液室の壁面を形成する振動板を無機材料で形成し、この無機材料の外面側に薄膜バイメタルを設けた構成とした。
【0008】
これらの薄膜バイメタルを備える本発明に係る液滴吐出ヘッドにおいては、1つの層の厚みが対となる層の厚みの50〜150%の範囲内にあることが好ましい。また、薄膜バイメタルを構成する層間に絶縁膜を介在し、いずれか1つの層が液室に対応してパターン化されていることが好ましい。さらに、薄膜バイメタルを構成するいずれか1つの層がパターン化され、このいずれか1つの層の液室に対応する部分以外の領域には層間に絶縁膜が介在されていることが好ましい。
【0009】
また、薄膜バイメタルの構成する層のうちの液体に接する層は金属不動態形成材料又は液体に対する不溶金属から形成されていることが好ましい。さらに、薄膜バイメタルの構成する層のうちの液体に接する層の表面は液体に対する不溶性を有する保護膜で被覆されていることが好ましい。
【0010】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、無機エレクトレット層と薄膜金属加熱パターンとを積層したアクチュエータ手段を有する構成とした。
【0011】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、無機エレクトレット層と薄膜バイメタルとを積層したアクチュエータ手段を有する構成とした。
【0012】
本発明に係るアクチュエータは、変形可能な部材が無機エレクトレット層と薄膜金属加熱パターンとを積層してなる構成とした。
【0013】
本発明に係るアクチュエータは、変形可能な部材が無機エレクトレット層と薄膜バイメタルとを積層してなる構成とした。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
先ず、図1を参照して本発明に液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの第1実施形態について説明する。なお、同図は同ヘッドの要部断面説明図である。
【0015】
このインクジェットヘッドは、液室である圧力室1の隔壁を形成する隔壁部材2と、圧力室1の壁面を形成する変形可能な部材である振動板を兼ねた薄膜バイメタル3と、圧力室1の他方の壁面を形成する部材を兼ねたノズル板4とを有し、薄膜バイメタル(振動板)3を変形させることで圧力室1内のインクを加圧してノズル5から液滴(インク滴)6を吐出させる。
【0016】
ここで、薄膜バイメタル3は熱膨張係数が大きく異なる2以上の薄膜(ここでは、2つの金属膜11,12)を貼り合せたものである。薄膜バイメタル3を構成する金属膜11,12の一方はヒータ(加熱電極:EL)となり、圧力室1形状に対応する形状にパターン加工している(ヒートパターンとしている)。
【0017】
薄膜バイメタル3を構成する金属膜11、12として使用可能な金属または合金は、加熱酸化が小さな特性があり、結晶構造が使用温度範囲で変化が少ない材料、剛性が適当であること、内部応力で結晶変化や脆化が起こりにくいものが好ましく、より好ましくは半導体ホトリソ技術が精度良く実施できて微細加工が可能であることである。
【0018】
例えば、Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Mo,Rh,PD,Pt,Au等は単体での貼り合わせでも用いることができる。剛性向上と耐食性向上更に電気抵抗上昇のため、Fe80B20,Fe80P20,Co80B20,Ni80P20,など金属:非金属の合金があり、またFe90Zr10,Co60Zr40、など高剛性と非晶質金属合金等、信頼性(寿命)向上材料がある。
【0019】
合金材料としては、Fe−Ni,Fe−Pt,Ni−Cu,Ni−Cr,Sn−Cu,Zn−Cu,Fe−Cr,W−Mo,Fe−Ti,Ni−Co、また3種以上の金属:非金属材料合金としては、Mn−Cu−Ni,Fe−Ni−Cr,Ni−Co−Mo,Ni−Cr−Mo−Ti,Fe−Cr−Mo,Fe−Cr−Mn等多くの組み合わせ合金がある。もちろん、低膨張材料として、インバー材との組み合わせは公知の通りである。
【0020】
各金属膜は0.1〜50μm以下の膜厚であり、本発明では特に薄膜の熱蓄積と熱発散の時定数を小さくし、高速、高周波駆動を可能にすることを目的としている。そこで、そこで、金属膜は0.5〜5μm厚さで構成した。
【0021】
製法の一例を挙げると、シリコン基板(Si)に熱酸化膜(SiO2)1μmを作製し、この上にモリブデン(Mo)3μm(熱膨張係数4.5×E−6)をスパッタ製膜する。次に、白金(Pt)−ロジウム10%(Rh)(熱膨張係数8.7×E−6)を同様に3μm製膜する。そして、半導体技術のホトリソ工程で目的マイクロヒータ形状にするため、レジストパターンを焼き付け、公知のドライエッチング工法で微細加工する。このとき、振動板になる膜は熱酸化膜を介していることから、モリブデン膜は3μmから1μmまで薄膜化する。ドライエッチ法で5μm程度膜を掘り下げることになる。即ち、振動板の厚みを薄くすることで、アクチュエータ変位量を大きくし、振動子の固有駆動数を大きくすることで、高周波駆動が可能になる。
【0022】
具体的には、例としてSiウエハ側を300dpiのチャンネルに異方性エッチングし、SIO2膜まで溝加工を行い、圧力室1を形成した。このとき、SiO2膜は後述するように薄膜バイメタル3の保護膜とすることもできるが、ここでは、SiO2膜側を加圧振動板としている。このSiO2膜上のマイクロバイモルフヒータの形状は、300dpi分割素子アクチエータでは、チャンネルピッチが84.6μmであり、支柱壁幅(隔壁幅)15μmを考慮すると、振動幅は振動素子50μmの両端に10μmが確保される。SiO2とMoで2μm厚さの10μmの振動幅を含むマイクロバイメタルアクチュエータが形成される。
【0023】
この形状で個別チャンネルに3V、20μsの電圧を印加するとPt−Rhが約200℃に達して、1.5mm長さのヒータの場合、約1.2μm程度Pt−Rhが伸延する。この変形が外側に膨らみ、圧力室1にはプル・プッシュ駆動力を発生され、インク滴が噴射される。
【0024】
このように液室の壁面を形成する振動板を薄膜バイメタルで構成し、少なくとも一層でヒータパターンを形成し、他層で振動板を兼備させ、バイメタル異種材料による熱膨張係数の違いによって、薄膜バイメタルを屈曲させ、その変位量でアクチエータ駆動力を発生させ、液滴を吐出させる。
【0025】
このとき、薄膜バイメタルの加熱温度は150〜300℃範囲で大きな屈曲変位量を確保でき、薄膜であることから放熱と加熱の時定数が小さく、高周波駆動と消費電力の低減化を図れる。また、インク等メディア材料の物性変化やコゲーション等分解蓄積物が発生しない。
【0026】
なお、この液滴吐出ヘッドにおける薄膜バイメタル3は振動板を兼ねているので、放熱は液体側(インク側)又は大気中側で行われる。放熱が困難な大気中側でも10kHz以上の駆動は可能である。図2はPt−Rhの温度立下り特性の一例を示すものであり、実際には配線パターンを考慮していないので、実際の立下り時間は図2の30〜40%程度と推測される。
【0027】
次に、図3及び図4を参照して本発明に液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの第2実施形態について説明する。なお、図3は同ヘッドの要部斜視説明図、図4は同ヘッドのアクチュエータ部の斜視説明図である。
【0028】
このインクジェットヘッドは、液室である圧力室1の隔壁を形成する隔壁部材2と、圧力室1の壁面を形成するセラミック、酸化膜等の無機材料で形成した変形可能な部材(振動板)である無機材料7を兼ねた薄膜バイメタル3と、圧力室1の他方の壁面を形成する部材を兼ねたノズル板4とを有し、薄膜バイメタル3を変形させることで圧力室1内のインクを加圧してノズル5から液滴(インク滴)6を吐出させる。
【0029】
ここで、薄膜バイメタル3は熱膨張係数が大きく異なる2以上の薄膜を貼り合せたものである。薄膜バイメタル3を構成する金属膜の一方はヒータ(加熱電極:EL)となり、この薄膜バイメタル3は圧力室1形状に対応する形状にパターン加工している(ヒートパターンとしている)。そして、マルチノズルに対応して各チャンネルの薄膜バイメタル3の一方を個別電極14に、他方を共通電極15に接続(一体形成でも良い)している。
【0030】
このような薄膜無機材料とメタルヒータパターンとの積層構成は、無機材料であるセラミックス、SiO2、TiO2、SiON、SiNなどはその熱膨張係数が3〜7×E−6であるが、剛性は、金属は3000〜8000kg/mm2であるが、無機材料は10000〜15000kg/mm2である。この組み合わせにより、アクチュエータ変位量としてバイメタル構成と同等であるが、剛性が大きいことから高周波駆動と瞬時の圧力上昇が可能であり、滴噴射の高速化(Vjの向上)を図ることができる。
【0031】
例えば、製法として、シリコン基板(Si)に熱酸化膜(SiO2)1〜2μmを成膜し、この上に白金(Pt)−ロジウム10%(Rh)(熱膨張係数8.7×E−6)を3μm製膜する。そして、半導体技術のホトリソ工程で目的マイクロヒータ形状にするため、レジストパターンを焼き付け、公知のドライエッチ法で微細加工する。このとき、振動板になる膜は熱酸化膜を介していることから、白金(Pt)−ロジウム10%(Rh)膜は3μmからドライエッチ法で2.5〜2.8μm程度膜を掘り下げることになる。
【0032】
すなわち、振動板を構成するSiO2上に可撓性保護膜として金属膜を薄く残すことで、SiO2膜の亀裂発生を防止する。この場合はマイクロヒータが薄膜で隣接してはいるが、高抵抗であり、基本的には各マイクロヒータは独立して電圧印加で加熱と変形が発揮できる。各圧力室は上記と同様に作製することができる。
【0033】
このように、無機材料の高い剛性により、振動板の固有駆動数を大きくすることによって、高周波駆動と滴速度Vjの高速化が可能になる。
【0034】
上述したように、薄膜バイメタル3を含むヘッドにおいて、薄膜バイメタル3の構成材料の選択により熱伝導係数と比熱、密度が大きく影響し、熱時定数が決定される。また、その熱変位量は熱膨張係数に依存する。このとき、2層の金属膜厚の基本は同一の層厚さであるが、一つの層に対して他の層の厚みを50%〜150%範囲の層厚にすると、熱応力の歪み変形を大きくなり、変位量を大きくすることができ、または熱時定数が小さくなる。
【0035】
この場合、各金属の剛性に合わせて金属厚みで補正し、歪み効果を確保することができる。例えばNi−Cr合金8500kg/mm2に対してPtは6000kg/mm2である。この場合は、Pt金属膜を約1.4倍の膜厚にすることで大きな歪み効果を確保することができる。即ち、バイメタル構成の金属膜厚は一つの層厚さに対して対層の膜厚は50%〜150%範囲とすることにより大きな歪み効果を確保することができる。
【0036】
次に、図5及び図6を参照して本発明に液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの第3実施形態について説明する。なお、図5は同ヘッドの要部断面説明図、図6は同ヘッドのアクチュエータ部の斜視説明図である。
【0037】
このヘッドでは、薄膜バイメタル3として金属薄膜11、12の2層間に絶縁膜13を介在し、ここでは外面側の金属薄膜12を圧力室1に対応してパターン化してヒータパターン(マイクロヒータ)としている。金属薄膜11は厚み1〜10μmの低膨張メタル、金属薄膜12は厚み1〜20μmの高膨張メタルで形成し、絶縁膜13としては厚み0.5〜2μmのSiO2やSiON、SiNを用いている。
【0038】
このように、薄膜バイメタル構成で、2層間に絶縁膜を介在し、ヒータ形成の1層の金属膜は目的形状にパターン化し(各チャンネルで独立させ)、絶縁膜で他層と分離することにより、印加電位はヒータパターンのみに印加されるので、電流の漏れが無く、効率良く加熱制御を行うことができ、熱効率が高い少電力素子が得られ、隣接チャンネルへの熱拡散による干渉を低減することができる。また、絶縁膜の熱伝導率と熱膨張率、比熱、膜厚を制御することによって、熱時定数や変位量の調整が可能になる。
【0039】
次に、図7及び図8を参照して本発明に液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの第4実施形態の異なる例について説明する。なお、各図は各異なる例のヘッドの要部断面説明図である。
【0040】
これらのヘッドは、薄膜バイメタル3として金属薄膜11、12の2層間に絶縁膜13を介在し、金属薄膜11、12のいずれか一方は圧力室1に対応してパターン化してヒータパターン(マイクロヒータ)としている(ヒータとなる側の金属薄膜の符号に「h」を付記する。)。そして、この実施形態では、第3実施形態と異なり、パターン化した部分では絶縁膜13を介在させない構成としている。
【0041】
ここで、図7の例では金属薄膜12をヒートパターンとし、図8の例では金属薄膜11をヒートパターンとしている。この図8の例では金属薄膜11は耐インクに対して不溶性を有する材料で形成するか、後述するように接液面に保護膜を形成することが好ましい。なお、その他の構成は第3実施形態と同様である。
【0042】
このように薄膜バイメタル構成で、2層間に絶縁膜を介在し、どちらか1層の金属薄膜は目的加熱形状にパターン化し、発熱部分では絶縁膜を設けない構成とすることにより、発熱昇温したバイメタルヒータ部分の熱拡散が早く伝達され、インクや空間に熱放出されるので、特に、高速駆動時の熱の授受が効率が向上し、効率的な駆動を行うことができる。
【0043】
例えば、加熱されたマイクロヒータ部分の発熱と放熱は熱伝導率が8.4J/cm・s・°K程度の酸化膜などの絶縁膜が無いので、0.38〜0.52J/cm・s・°K程度である金属材料の熱拡散による熱の授受が高速化され、駆動周波数を高くして、高速でのインク滴噴射が可能になる。特に、マイクロヒータ(ヒータパターン)を圧力室側に形成することで、その熱の発熱と放散は熱容量が大きく流動廃熱されるので、より効率的に機能する。
【0044】
次に、本発明に液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの第5実施形態について説明する。
このヘッドでは、薄膜バイメタル3を構成する圧力室1側の金属薄膜11の材料として、金属材料の表面は酸化物不働体を形成できる材料で形成し、あるいは不溶な保護膜を付着させた面を隔壁部材2に接合する。また、インクに不溶な合金膜や金属で形成する。
【0045】
例えば液体(インク)に接する金属薄膜はクロム合金、マンガン合金、ステンレス合金組織の金属膜、ニッケル−クロム合金、ニッケル−コバルト−クロム合金、チタン−クロム合金等、金属不働態形成材料を用いることができる。あるいは、液体(インク)に不溶な白金、金、チタン、白金合金等、貴金属合金の金属を用いることができる。
【0046】
この場合、保護膜等1〜2μmの低熱伝導材料が介在されないので直接インクへの熱拡散が作用する。また、この金属不働態酸化物は接触角が小さく、インク濡れ性が良いことから、表面処理なくしてインク充填での残留気泡の発生を防止することができる。これにより、高速駆動と信頼性が大きなインクジェットヘッドを得ることができる。
【0047】
次に、図9を参照して本発明に液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの第6実施形態について説明する。なお、同図は同ヘッドの要部断面説明図である。
このヘッドでは、薄膜バイメタル3の2層の金属薄膜11、12間に絶縁膜13を介在し、液体に接する面側の金属薄膜11を加熱形状膜(ヒートパターン)に形成し、金属薄膜11の圧力室1側の表面をインクに不溶な有機材料や無機材料からなる絶縁性の保護膜18で被膜している。
【0048】
これにより、薄膜バイメタル3を構成する金属薄膜の金属材料を目的によって自由に選択できるようにまり、また、圧力室1側表面の濡れ性、撥水性、耐熱性、等の選択性も大きくなる。
【0049】
例えば、有機材料ではパリレン樹脂、ポリイミド樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などを薄膜(0.2〜3μm厚み)製膜する。製膜法としては気相成長法では真空チャンバー装置で選択された、パリレン、尿素、フッ素樹脂等のペレットを加熱蒸着させて、微細加工された溝や壁面に均一に成膜させる。
【0050】
また。溶媒に可溶な樹脂を用いる場合には、粘度調整し、不可なポリイミド、シリコーン樹脂は官能基を持った低分子ポリマーを噴霧、スプレー、静電噴霧、またはスピナー、ロール塗布、アニソロックロール塗布等で、薄膜塗布を行なう。このとき、液状塗布液が流動したり、部分的に厚膜にならないように、さらに接着力向上のため、部品加熱で、塗布された液の瞬時拡散(加熱による濡れ性向上と液の粘性低下)と乾燥(溶媒蒸発と薄膜の表面硬化促進)を速やかにする。成膜は均一に予備加熱乾燥され、本キュアで触媒反応で反応硬化膜が得られ、耐インク性が向上する。
【0051】
また、触媒添加で不純物の心配が大きい場合は、EB(エレクトロビーム)照射でオリゴマーは重合、縮重合反応により硬化膜が得られる。この場合は部品に対する本キュアの様に高温(150〜300℃)処理が無く、低温プロセスであり、部品変形が少ない。無機材料では、SiO2,SiON,SiN,BN,TiN,BC,TiC,Sic,Ta2O5等の絶縁性化合物がある。
【0052】
製膜法は真空蒸着法が好ましい。組成材料をスパッタ、イオンビーム、イオンプレーチング等で成膜することもできる。また、CVD、LP−CVDは目的元素の有機材料を蒸発、プラズマ分解、酸素や窒素と気相反応させ、高分子化させて部品表面に蒸着反応させ、非晶膜や結晶膜、また混合組成膜を形成する。これはガス成分、部品加熱温度や膜成長速度、反応ガスの供給量で制御できる。条件設定で撥水性、密着性、膜硬度、耐化学薬品性、膜厚均一性等を制御できる。
【0053】
次に、図10及び図11を参照して本発明に液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの第7実施形態について説明する。なお、図10は同ヘッドの要部断面説明図、図11はそのヘッドの等価回路図である。
このヘッドは、無機材料エレクトレット層(無機エレクトレット層)21の一方の面に薄膜金属加熱パターン(メタル膜ヒータ、マイクロヒータ)22を、他方の面にエレクトレット電極23を設けたものである。なお、無機エレクトレット層21の詳細については後述する。また、ここでは圧力室1側をメタル膜ヒータ(マイクロヒータ)22としているが、圧力室側と反対の面側にメタル膜ヒータを設けることもできる。
【0054】
このように無機エレクトレット層21に薄膜金属加熱パターン22を付加し、エレクトレット層21内材料の部分結晶の配向に対して、電気分極的に相反印加電場か、順印加電場を与える(図11のスイッチ24をオンして電源25、26から電位を与える)ことで、エレクトレット層21の結晶配位は圧縮か伸延を受け、内部歪みが発生する。図10中の両端矢印は延伸方向、向き合う矢印は内部方向に縮むことを表している。
【0055】
このとき、一方の電極がヒータを兼ねることにより、熱膨張でエレクトレット層21に対して、伸延の力が作用し、さらにエレクトレット層21が内部歪みで縮む場合は、この膜構成でヒータ加熱時は常にエレクトレット層21に対してコンプレッションの方向での変形が得られる。変形方向は決定される。
【0056】
すなわち、エレクトレット層21の内部歪みとマイクロヒータ22の伸延作用が相乗した効果があり、大きな変位が得られる。また、剛性は無機材料であるエレクトレット層21の剛性に支配され、屈曲と反発力が大きく、インク噴射速度が大きく(滴速度Vjが向上し)、高速駆動が可能になる。
【0057】
次に、図12及び図13を参照して本発明に液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの第8実施形態について説明する。なお、図12は同ヘッドの要部断面説明図、図13はそのヘッドの等価回路図である。
このヘッドでは、前記図8で説明した第4実施形態の構造において、薄膜バイメタル3の外面側(圧力室1と反対側)に無機エレクトレット層21とエレクトレット電極23を積層している。
【0058】
この場合、薄膜バイメタル3は金属薄膜11がマイクロヒータを兼ねており、金属薄膜12はエレクトレット層21の電極も兼備している。また、この金属薄膜12は低熱膨張率の金属材料である。
【0059】
このように、無機エレクトレット層21に薄膜バイメタル3を積層した構造とし、エレクトレット層21との対向側にマイクロヒータ(金属薄膜11)を形成し、薄膜バイメタル3のエレクトレット層21とマイクロヒータ11との間のより低熱膨張率の金属薄膜12でエレクトレット層21の電極を兼ねさせることで、図13に示すように電源25、26からの電圧印加による熱膨張でマイクロヒータ(金属薄膜11)が伸延し、さらにバイメタル効果で変位が増長され、同時に電圧印加されるエレクトレット層21内材料の部分結晶の配向は、電気分極的に順印加電場において、エレクトレット層21の結晶配位は圧縮を受け、内部歪みが発生する。なお、図12中の両端矢印は延伸方向、向き合う矢印は内部方向に縮むことを表している。
【0060】
このとき、バイメタル3の外側金属薄膜が加熱ヒータであり、熱膨張でエレクトレット層21に対して、伸延の力が働き、さらにエレクトレット層21が内部歪みで縮む場合は、この膜構成ではマイクロヒータ加熱時はバイメタル変位が常にエレクトレット層21に対してコンプレッションの方向で変形する。変形方向は決定される。
【0061】
即ち、エレクトレット層の内部歪みとバイメタルのマイクロヒータの伸延作用が相乗した効果が生じ、大きな変位が得られる。また、剛性は無機材料であるエレクトレット層の剛性に支配され、屈曲と反発力が大きく、インク噴射速度が大きく(滴速度Vjが向上し)、高速駆動が可能になる。
【0062】
上述した各実施形態におけるヘッドを長尺化したマルチチャンネルヘッドを構成し、圧力室へのインク供給部との一体化を図ることでカートリッジ交換方式で容易に交換可能な長尺ヘッドを得ることができる。この場合、ノズル配置は千鳥状でもよい。これにより、リアルマルチチャンネルの長尺ヘッドを半導体微細加工技術により作製することが可能になる。
【0063】
次に、上記実施形態で説明した無機エレクトレット層について図14以降を参照して説明する。
無機エレクトレット層31は無機材料を配向分極、イオン分極、電子分極させたものである。
【0064】
無機材料は陽イオン性、負イオン性の材料、または陽極性、負極性の分子団、或いは、電気陰性度の異なるイオン元素、または原子団を含ませて結晶化させて、電界を与え配向分極、イオン分極、電子分極させて無機エレクトレット層を構成する。この無機エレクトレット層の両面の電極間に矩形波、あるいは交番電圧を印加することで、全体としてモノモルフ振動或いはモノモルフ機械的駆動が生起する。
【0065】
このような無機エレクトレット層の製造工程の一例について図14及び図15を参照して説明する。
先ず、図14に示すように、例えば、コーデライトの2MgO・2Al2O3・5SiO2複合酸化物の微粉末(平均粒径0.5〜3μm)に微粉末(平均粒径0.5〜3μm)のLa2O3を0.5〜1wt%混合した材料32を、ベルト33上に供給してプレスローラ34で加圧、層厚規制をしながら厚み50μmのグリーンシート31を形成し、このグリーンシート31上にカバーシート35を供給して加圧ローラ36で加圧することで、図15(a)に示すようなグリーンシート部材を得る。
【0066】
そして、図15(b)に示すようにグリーンシート31に脱水処理を施し、同図(b)に示すように400〜500℃で一次焼成を行い、更に同図(d)に示すように、850〜1200℃で焼成させると、高剛性(8000〜15000kg/mm2)の結晶歪みの大きな材料41が得られる。この材料41は結晶性と非晶体の混合組成である。
【0067】
その後、同図(e)に示すように材料41の両面に金属電極42、43を付け、同図(f)に示すように大気中で、450℃雰囲気に置き、電極42、43間にDC300Vを印加させ、1時間保持した後、同(g)に示すようにDC300V電界印加のまま除冷させ室温になるまで放置する。これにより、同図(h)に示すように、配向、分極が生じて、結晶体部分は大きく歪みを保持したまま維持され、内部分極が大きい状態で無機エレクトレット化した無機エレクトレット層30が得られる。
【0068】
このように、無機材料を配向分極、イオン分極、電子分極させたエレクトレット層を含むことで、無鉛の機械的強度の大きなアクチュエータを得ることができる。
【0069】
ここで、無機材料には、強誘電体、誘電体、または固体電解質材料を含む、さらに、これらの粒子配向セラミックスを包含するものである。具体的な材料としては、ZrTiO4−SnO2TiO2、Fe2O3−NiO、Zn2TiO2、ZnNiTiO4、ZnFe2O4、K2OAl2O3−SiO2、CaOAl2O3、BaTiO3、Al2O3TiO2、MgOAl2O3等多くの分極性無機材料がある。
【0070】
また、遷移金属系の添加により、多価原子団によるイオン化、配向分極化が可能である。結晶構造としてはスピネル構造、ぺロブスカイト構造や焼結体の部分的に結晶化し、立方体、長方体、斜方体、菱面体等が存在する。
【0071】
焼結温度は材料の組み合わせと組成比や、原材料の出発材料、さらに材料の粒子依存性による。200℃〜1200℃程度であるが、通常は300℃〜600℃で良い結果が得られる。吸湿性や印加電圧による強電界による分極反転が起き機能劣化が発生するが、本例の雰囲気制御条件では、材料の脱水性、高酸化物状態であり、また表面電極金属膜保護により、信頼性、寿命は満足される。
【0072】
工程としては、これらの結晶の一部に歪みを形成させることが必要であるが、膜厚1μm〜300μm1μmで、300℃〜400℃の加熱温度で、印加電圧はDC50V〜500Vで十分である。
【0073】
また、粒子配向セラミックスとは焼結させたイオン性の異方性微粉末を一次焼結させ、さらに高温の加圧方向性を持たせ、二次加圧焼結結晶化させると、配向性セラミックスが得られ分極した状態になる。
【0074】
このように、無機材料が強誘電体、誘電体、又は固体電解質材料を含むことで、これらの材料は材料自体がダイポールモーメントを持ち分極配向性があるので、大きな変位量が得られる。
【0075】
また、無機材料に目的金属イオンをイオン打ち込み装置で選択的に打ち込み組成化することもできる。
【0076】
一般的には、有機材料では、コロナ放電によるものが多い。有機樹脂材料についてはフッソ樹脂系を始めナイロン(登録商標)11等、雑多のブレンド樹脂の表面に、電子打ち込みやイオン打ち込みにより結晶構造に欠陥発生を誘起させ、歪みを形成してイオン分極や電荷分極を行っている。
【0077】
これに対して、無機材料ではシリコンウエハの表面熱酸化膜SiO2(結晶性酸化シリコン膜)に電子線を照射し、格子欠陥を発生させ、電荷トラップ層を形成して、エレクトレット層を作成することができる。しかしながら、無機材料では電子打ち込みによる結晶歪みは小さく、効果が殆ど無い。
【0078】
そこで、ここでは、減圧中で金属イオンを打ち込むようにしている。このようなエレクトレット層の製作工程について図16を参照して説明する。
先ず、同図(a)に示すような複合酸化物51に、同図(b)に示すようにB、Sb、P、Ti、Bi、W、Mnなどの加速イオンを打ち込むと、同図(c)に示すように複合酸化物41の表面から100〜3000Å程度までイオンが入るが、ここでは、金属は混在する状態でイオン化していない結晶歪みのみである。
【0079】
さらに、同図(d)に示すように、焼結拡散処理(加熱拡散処理)を行うことで、金属イオンは0.5〜10μmに達しイオン化する。これにより、結晶歪みとイオン効果の相効果が発揮できる。そして、同図(e)に示すように電極42,43を付してエレクトレット化を行ってエレクトレット層30を形成する。この場合、イオン分極と電荷分極、配向分極は大きいものが得られる。
【0080】
このように、無機材料に目的金属イオンが選択的に打ち込まれて組成化されている構成とすることで、結晶歪みの増大と導入多価イオンの組成化でイオン配向と分極が大きくなる。
【0081】
また、無機材料として、金属酸化物(TiO2、NiO、Al2O3、Fe2O3、MnO2、Co2O3/CoO、Sn2O3/SnO、ZnO等)やアルカリ土類元素化合酸化物(BaO、K2O、CaO、MgO等)と強誘電体、誘電体、または固体電解質材料を含むZrTiO4−SnO2TiO2、Fe2O3−NiO、Zn2TiO2、さらにZnNiTiO4、ZnFe2O4、K2OAl2O3−SiO2、CaOAl2O3、BaTiO3、Al2O3TiO2、MgOAl2O3等などの分極性無機材料の混合組成としたものを用いることができる。
【0082】
特に、アルカリ土類元素の化合物は、その元素イオン団が陽イオンとして、他の無機材料が負イオンとして働き、その結晶性も大きく、イオン配向性が高い材料である。複合酸化物焼成時の酸化還元雰囲気制御で、イオン性の大きな材料が得られる。
【0083】
この形態の概念を図17に示している。同図の例はイオン団の陰性度による分極の例であり、配向、分極が容易に起こる。実際は、Mg2Al2O4やK2SiO3、BaFe2O4等の複合塩の物質が高温と電界で分極する。
【0084】
このように、無機材料が金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物を含む構成とすることで、イオン、電荷分極を大きくすることができる。
【0085】
さらに、ZrTiO4−SnO2TiO2、Fe2O3−NiO、Zn2TiO2、さらにZnNiTiO4、ZnFe2O4、K2OAl2O3−SiO2、CaOAl2O3、BaTiO3、Al2O3TiO2、MgOAl2O3等などの分極性無機材料と、非金属元素のSiO2、B2O3、P2O5、Sb2O5、Bi2O3)の混合材料に、さらに遷移元素酸化物である(V2O5、Cr2O3、CuO、Y2O3、Zr2O3、Nb2O3、Mo2O3、PD2O3、La2O3等を混成させた複合酸化物を用いることができ、この遷移元素を含む複合酸化物の焼成状態と雰囲気により、原子価制御が容易である。これは結晶歪みの大きさを結果として制御することができる。
【0086】
この形態の概念図を図18に示している。無機誘電体、多価非金属元素、遷移元素の混合酸化物は、焼成雰囲気、特に、多価原子と遷移元素は第2イオン化電位も低いことから、容易にイオン化し、加熱と電界でイオン分極、配向分極が生じる。
【0087】
このように、無機材料が遷移金属酸化物を含む複合酸化物である構成とすることで、多価元素の持つ、結晶体の中で未結合イオンが保持でき、大きなイオン分極が得られる。
【0088】
次に、無機エレクトレット層における無機材料の成膜について説明する。
例えば、気相成長法を用いることができる。この場合には、プラズマCVD装置を用いて、例えば図19に示すように、無機材料の昇華性の高い有機金属、塩化物を減圧、加熱により下地電極を構成する基板61を保持したチャンバー内62に導入し、プラズマや酸化反応ガスと接触させ、気相成長させる。なお、同図中、63はノズル、64はアノード、65はカソード、66はモータ、67はヒータ、68は摺動接点である。
【0089】
また、蒸着法を用いることができる。この場合には、目的の無機材料や金属を加熱昇華させ、酸化性ガスをチャンバー内に導入し、蒸着法成膜で膜を形成する。
さらに、スパッタ法で金属材料はDC電源とスパッタガス(Ar,He,N2のどれかとさらにO2添加)による放電スパッタで行ない、導電性が無い無機材料は高周波電源を用いて同様のスパッタガスでRFスパッタを行なうことができる。
【0090】
CVD装置やスパッタ装置は、薄膜形成に適しており、その膜成長10〜300Å/分程度である。また、基板加熱により結晶成長させながら成膜することが容易にできる。
【0091】
これらのいずれかの方法を用いて成膜するとき、目的に合わせて、1層或いは多層成膜し、成膜時に基板加熱と反応ガスを導入し、プラズマ反応による酸化物や、チッ化物を形成させ、結晶性や非晶性を制御する。
【0092】
この場合、形成される薄膜は平坦であるので、次に上電極を蒸着法やホトリソ法で形成し、加熱と電界により、無機エレクトレット層とする。
【0093】
また、薄膜で分極効果が大きいことからアクチエータとして、マルチ化で各素子化するとき、電極の個別化のみで、素子分割せずとも各素子間の相互干渉は小さくなる。
【0094】
このように、無機材料を気相成長法又は蒸着法製膜で基板上に1層又は多層成膜し、成膜時に基板加熱と反応ガスを導入して、酸化物又はチッ化物を形成して結晶性又は非晶性を制御してエレクトレット層を形成することで、結晶性や非晶性を容易に制御することができる。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、薄膜バイメタルで振動板を構成し、あるいは薄膜バイメタルを無機材料と組み合わせ、若しくは、無機エレクトレット層と加熱形状パターン又は薄膜バイメタルを組み合わせたので、十分な滴吐出特性が得られる新規な液滴吐出ヘッド及び十分な駆動特性が得られるアクチュエータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の要部断面説明図
【図2】Pt−Rhの温度立下り特性のシミレーション結果の説明図
【図3】本発明の第2実施形態の要部斜視説明図
【図4】同じく要部斜視説明図
【図5】本発明の第3実施形態の要部斜視説明図
【図6】同じく要部断面説明図
【図7】本発明の第4実施形態の一例の要部斜視説明図
【図8】同実施形態の他の例の要部斜視説明図
【図9】本発明の第5実施形態の要部斜視説明図
【図10】本発明の第6実施形態の要部斜視説明図
【図11】同実施形態の等価回路説明図
【図12】本発明の第7実施形態の要部斜視説明図
【図13】同実施形態の等価回路説明図
【図14】無機エレクトレット層の製造工程の一例の説明に供する説明図
【図15】図14に続く工程を説明する断面説明図
【図16】同じく無機エレクトレット層の他の製造工程の説明に供する断面説明図
【図17】同じく他の無機エレクトレット層の説明に供する概念図
【図18】同じく更に他の無機エレクトレット層の説明に供する概念図
【図19】同じく無機エレクトレット層の更に他の製造工程の説明に供するCVD装置の概略説明図
【符号の説明】
1…圧力室、2…薄膜バイメタル、21…無機エレクトレット層。
【産業上の利用分野】
本発明は液滴吐出ヘッド及びアクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットヘッドなどの液滴吐出ヘッド、マイクロポンプ、マイクロ光変調デバイス、光スイッチなどの光学デバイス、マイクロスイッチ(マイクロリレー)、マイクロ流量計、圧力センサ、マイクロモータなどの各種マイクロデバイスにおいては、マイクロアクチュエータが用いられる。
【0003】
例えば、プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像記録装置(画像形成装置)として用いるインクジェット記録装置に使用するインクジェットヘッドでは、インク流路内のインクを加圧するエネルギーを発生するアクチュエータ手段として振動板を変形させる圧電素子などの圧電型アクチュエータや静電型アクチュエータが用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、機械的駆動を行うことができるアクチュエータとしては、上述したようなPZTを主体とする圧電型アクチュエータや静電力を用いる静電型アクチュエータがあるが、前者の圧電型アクチュエータは鉛を含むPZTが主体であり、また後者の静電型アクチュエータは発生できる駆動力がさほど大きくないという課題がある。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、十分な滴吐出特性が得られる新規な液滴吐出ヘッド及びアクチュエータを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液室の壁面を形成する振動板が薄膜バイメタルで構成されている構成とした。
【0007】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液室の壁面を形成する振動板を無機材料で形成し、この無機材料の外面側に薄膜バイメタルを設けた構成とした。
【0008】
これらの薄膜バイメタルを備える本発明に係る液滴吐出ヘッドにおいては、1つの層の厚みが対となる層の厚みの50〜150%の範囲内にあることが好ましい。また、薄膜バイメタルを構成する層間に絶縁膜を介在し、いずれか1つの層が液室に対応してパターン化されていることが好ましい。さらに、薄膜バイメタルを構成するいずれか1つの層がパターン化され、このいずれか1つの層の液室に対応する部分以外の領域には層間に絶縁膜が介在されていることが好ましい。
【0009】
また、薄膜バイメタルの構成する層のうちの液体に接する層は金属不動態形成材料又は液体に対する不溶金属から形成されていることが好ましい。さらに、薄膜バイメタルの構成する層のうちの液体に接する層の表面は液体に対する不溶性を有する保護膜で被覆されていることが好ましい。
【0010】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、無機エレクトレット層と薄膜金属加熱パターンとを積層したアクチュエータ手段を有する構成とした。
【0011】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、無機エレクトレット層と薄膜バイメタルとを積層したアクチュエータ手段を有する構成とした。
【0012】
本発明に係るアクチュエータは、変形可能な部材が無機エレクトレット層と薄膜金属加熱パターンとを積層してなる構成とした。
【0013】
本発明に係るアクチュエータは、変形可能な部材が無機エレクトレット層と薄膜バイメタルとを積層してなる構成とした。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
先ず、図1を参照して本発明に液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの第1実施形態について説明する。なお、同図は同ヘッドの要部断面説明図である。
【0015】
このインクジェットヘッドは、液室である圧力室1の隔壁を形成する隔壁部材2と、圧力室1の壁面を形成する変形可能な部材である振動板を兼ねた薄膜バイメタル3と、圧力室1の他方の壁面を形成する部材を兼ねたノズル板4とを有し、薄膜バイメタル(振動板)3を変形させることで圧力室1内のインクを加圧してノズル5から液滴(インク滴)6を吐出させる。
【0016】
ここで、薄膜バイメタル3は熱膨張係数が大きく異なる2以上の薄膜(ここでは、2つの金属膜11,12)を貼り合せたものである。薄膜バイメタル3を構成する金属膜11,12の一方はヒータ(加熱電極:EL)となり、圧力室1形状に対応する形状にパターン加工している(ヒートパターンとしている)。
【0017】
薄膜バイメタル3を構成する金属膜11、12として使用可能な金属または合金は、加熱酸化が小さな特性があり、結晶構造が使用温度範囲で変化が少ない材料、剛性が適当であること、内部応力で結晶変化や脆化が起こりにくいものが好ましく、より好ましくは半導体ホトリソ技術が精度良く実施できて微細加工が可能であることである。
【0018】
例えば、Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Mo,Rh,PD,Pt,Au等は単体での貼り合わせでも用いることができる。剛性向上と耐食性向上更に電気抵抗上昇のため、Fe80B20,Fe80P20,Co80B20,Ni80P20,など金属:非金属の合金があり、またFe90Zr10,Co60Zr40、など高剛性と非晶質金属合金等、信頼性(寿命)向上材料がある。
【0019】
合金材料としては、Fe−Ni,Fe−Pt,Ni−Cu,Ni−Cr,Sn−Cu,Zn−Cu,Fe−Cr,W−Mo,Fe−Ti,Ni−Co、また3種以上の金属:非金属材料合金としては、Mn−Cu−Ni,Fe−Ni−Cr,Ni−Co−Mo,Ni−Cr−Mo−Ti,Fe−Cr−Mo,Fe−Cr−Mn等多くの組み合わせ合金がある。もちろん、低膨張材料として、インバー材との組み合わせは公知の通りである。
【0020】
各金属膜は0.1〜50μm以下の膜厚であり、本発明では特に薄膜の熱蓄積と熱発散の時定数を小さくし、高速、高周波駆動を可能にすることを目的としている。そこで、そこで、金属膜は0.5〜5μm厚さで構成した。
【0021】
製法の一例を挙げると、シリコン基板(Si)に熱酸化膜(SiO2)1μmを作製し、この上にモリブデン(Mo)3μm(熱膨張係数4.5×E−6)をスパッタ製膜する。次に、白金(Pt)−ロジウム10%(Rh)(熱膨張係数8.7×E−6)を同様に3μm製膜する。そして、半導体技術のホトリソ工程で目的マイクロヒータ形状にするため、レジストパターンを焼き付け、公知のドライエッチング工法で微細加工する。このとき、振動板になる膜は熱酸化膜を介していることから、モリブデン膜は3μmから1μmまで薄膜化する。ドライエッチ法で5μm程度膜を掘り下げることになる。即ち、振動板の厚みを薄くすることで、アクチュエータ変位量を大きくし、振動子の固有駆動数を大きくすることで、高周波駆動が可能になる。
【0022】
具体的には、例としてSiウエハ側を300dpiのチャンネルに異方性エッチングし、SIO2膜まで溝加工を行い、圧力室1を形成した。このとき、SiO2膜は後述するように薄膜バイメタル3の保護膜とすることもできるが、ここでは、SiO2膜側を加圧振動板としている。このSiO2膜上のマイクロバイモルフヒータの形状は、300dpi分割素子アクチエータでは、チャンネルピッチが84.6μmであり、支柱壁幅(隔壁幅)15μmを考慮すると、振動幅は振動素子50μmの両端に10μmが確保される。SiO2とMoで2μm厚さの10μmの振動幅を含むマイクロバイメタルアクチュエータが形成される。
【0023】
この形状で個別チャンネルに3V、20μsの電圧を印加するとPt−Rhが約200℃に達して、1.5mm長さのヒータの場合、約1.2μm程度Pt−Rhが伸延する。この変形が外側に膨らみ、圧力室1にはプル・プッシュ駆動力を発生され、インク滴が噴射される。
【0024】
このように液室の壁面を形成する振動板を薄膜バイメタルで構成し、少なくとも一層でヒータパターンを形成し、他層で振動板を兼備させ、バイメタル異種材料による熱膨張係数の違いによって、薄膜バイメタルを屈曲させ、その変位量でアクチエータ駆動力を発生させ、液滴を吐出させる。
【0025】
このとき、薄膜バイメタルの加熱温度は150〜300℃範囲で大きな屈曲変位量を確保でき、薄膜であることから放熱と加熱の時定数が小さく、高周波駆動と消費電力の低減化を図れる。また、インク等メディア材料の物性変化やコゲーション等分解蓄積物が発生しない。
【0026】
なお、この液滴吐出ヘッドにおける薄膜バイメタル3は振動板を兼ねているので、放熱は液体側(インク側)又は大気中側で行われる。放熱が困難な大気中側でも10kHz以上の駆動は可能である。図2はPt−Rhの温度立下り特性の一例を示すものであり、実際には配線パターンを考慮していないので、実際の立下り時間は図2の30〜40%程度と推測される。
【0027】
次に、図3及び図4を参照して本発明に液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの第2実施形態について説明する。なお、図3は同ヘッドの要部斜視説明図、図4は同ヘッドのアクチュエータ部の斜視説明図である。
【0028】
このインクジェットヘッドは、液室である圧力室1の隔壁を形成する隔壁部材2と、圧力室1の壁面を形成するセラミック、酸化膜等の無機材料で形成した変形可能な部材(振動板)である無機材料7を兼ねた薄膜バイメタル3と、圧力室1の他方の壁面を形成する部材を兼ねたノズル板4とを有し、薄膜バイメタル3を変形させることで圧力室1内のインクを加圧してノズル5から液滴(インク滴)6を吐出させる。
【0029】
ここで、薄膜バイメタル3は熱膨張係数が大きく異なる2以上の薄膜を貼り合せたものである。薄膜バイメタル3を構成する金属膜の一方はヒータ(加熱電極:EL)となり、この薄膜バイメタル3は圧力室1形状に対応する形状にパターン加工している(ヒートパターンとしている)。そして、マルチノズルに対応して各チャンネルの薄膜バイメタル3の一方を個別電極14に、他方を共通電極15に接続(一体形成でも良い)している。
【0030】
このような薄膜無機材料とメタルヒータパターンとの積層構成は、無機材料であるセラミックス、SiO2、TiO2、SiON、SiNなどはその熱膨張係数が3〜7×E−6であるが、剛性は、金属は3000〜8000kg/mm2であるが、無機材料は10000〜15000kg/mm2である。この組み合わせにより、アクチュエータ変位量としてバイメタル構成と同等であるが、剛性が大きいことから高周波駆動と瞬時の圧力上昇が可能であり、滴噴射の高速化(Vjの向上)を図ることができる。
【0031】
例えば、製法として、シリコン基板(Si)に熱酸化膜(SiO2)1〜2μmを成膜し、この上に白金(Pt)−ロジウム10%(Rh)(熱膨張係数8.7×E−6)を3μm製膜する。そして、半導体技術のホトリソ工程で目的マイクロヒータ形状にするため、レジストパターンを焼き付け、公知のドライエッチ法で微細加工する。このとき、振動板になる膜は熱酸化膜を介していることから、白金(Pt)−ロジウム10%(Rh)膜は3μmからドライエッチ法で2.5〜2.8μm程度膜を掘り下げることになる。
【0032】
すなわち、振動板を構成するSiO2上に可撓性保護膜として金属膜を薄く残すことで、SiO2膜の亀裂発生を防止する。この場合はマイクロヒータが薄膜で隣接してはいるが、高抵抗であり、基本的には各マイクロヒータは独立して電圧印加で加熱と変形が発揮できる。各圧力室は上記と同様に作製することができる。
【0033】
このように、無機材料の高い剛性により、振動板の固有駆動数を大きくすることによって、高周波駆動と滴速度Vjの高速化が可能になる。
【0034】
上述したように、薄膜バイメタル3を含むヘッドにおいて、薄膜バイメタル3の構成材料の選択により熱伝導係数と比熱、密度が大きく影響し、熱時定数が決定される。また、その熱変位量は熱膨張係数に依存する。このとき、2層の金属膜厚の基本は同一の層厚さであるが、一つの層に対して他の層の厚みを50%〜150%範囲の層厚にすると、熱応力の歪み変形を大きくなり、変位量を大きくすることができ、または熱時定数が小さくなる。
【0035】
この場合、各金属の剛性に合わせて金属厚みで補正し、歪み効果を確保することができる。例えばNi−Cr合金8500kg/mm2に対してPtは6000kg/mm2である。この場合は、Pt金属膜を約1.4倍の膜厚にすることで大きな歪み効果を確保することができる。即ち、バイメタル構成の金属膜厚は一つの層厚さに対して対層の膜厚は50%〜150%範囲とすることにより大きな歪み効果を確保することができる。
【0036】
次に、図5及び図6を参照して本発明に液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの第3実施形態について説明する。なお、図5は同ヘッドの要部断面説明図、図6は同ヘッドのアクチュエータ部の斜視説明図である。
【0037】
このヘッドでは、薄膜バイメタル3として金属薄膜11、12の2層間に絶縁膜13を介在し、ここでは外面側の金属薄膜12を圧力室1に対応してパターン化してヒータパターン(マイクロヒータ)としている。金属薄膜11は厚み1〜10μmの低膨張メタル、金属薄膜12は厚み1〜20μmの高膨張メタルで形成し、絶縁膜13としては厚み0.5〜2μmのSiO2やSiON、SiNを用いている。
【0038】
このように、薄膜バイメタル構成で、2層間に絶縁膜を介在し、ヒータ形成の1層の金属膜は目的形状にパターン化し(各チャンネルで独立させ)、絶縁膜で他層と分離することにより、印加電位はヒータパターンのみに印加されるので、電流の漏れが無く、効率良く加熱制御を行うことができ、熱効率が高い少電力素子が得られ、隣接チャンネルへの熱拡散による干渉を低減することができる。また、絶縁膜の熱伝導率と熱膨張率、比熱、膜厚を制御することによって、熱時定数や変位量の調整が可能になる。
【0039】
次に、図7及び図8を参照して本発明に液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの第4実施形態の異なる例について説明する。なお、各図は各異なる例のヘッドの要部断面説明図である。
【0040】
これらのヘッドは、薄膜バイメタル3として金属薄膜11、12の2層間に絶縁膜13を介在し、金属薄膜11、12のいずれか一方は圧力室1に対応してパターン化してヒータパターン(マイクロヒータ)としている(ヒータとなる側の金属薄膜の符号に「h」を付記する。)。そして、この実施形態では、第3実施形態と異なり、パターン化した部分では絶縁膜13を介在させない構成としている。
【0041】
ここで、図7の例では金属薄膜12をヒートパターンとし、図8の例では金属薄膜11をヒートパターンとしている。この図8の例では金属薄膜11は耐インクに対して不溶性を有する材料で形成するか、後述するように接液面に保護膜を形成することが好ましい。なお、その他の構成は第3実施形態と同様である。
【0042】
このように薄膜バイメタル構成で、2層間に絶縁膜を介在し、どちらか1層の金属薄膜は目的加熱形状にパターン化し、発熱部分では絶縁膜を設けない構成とすることにより、発熱昇温したバイメタルヒータ部分の熱拡散が早く伝達され、インクや空間に熱放出されるので、特に、高速駆動時の熱の授受が効率が向上し、効率的な駆動を行うことができる。
【0043】
例えば、加熱されたマイクロヒータ部分の発熱と放熱は熱伝導率が8.4J/cm・s・°K程度の酸化膜などの絶縁膜が無いので、0.38〜0.52J/cm・s・°K程度である金属材料の熱拡散による熱の授受が高速化され、駆動周波数を高くして、高速でのインク滴噴射が可能になる。特に、マイクロヒータ(ヒータパターン)を圧力室側に形成することで、その熱の発熱と放散は熱容量が大きく流動廃熱されるので、より効率的に機能する。
【0044】
次に、本発明に液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの第5実施形態について説明する。
このヘッドでは、薄膜バイメタル3を構成する圧力室1側の金属薄膜11の材料として、金属材料の表面は酸化物不働体を形成できる材料で形成し、あるいは不溶な保護膜を付着させた面を隔壁部材2に接合する。また、インクに不溶な合金膜や金属で形成する。
【0045】
例えば液体(インク)に接する金属薄膜はクロム合金、マンガン合金、ステンレス合金組織の金属膜、ニッケル−クロム合金、ニッケル−コバルト−クロム合金、チタン−クロム合金等、金属不働態形成材料を用いることができる。あるいは、液体(インク)に不溶な白金、金、チタン、白金合金等、貴金属合金の金属を用いることができる。
【0046】
この場合、保護膜等1〜2μmの低熱伝導材料が介在されないので直接インクへの熱拡散が作用する。また、この金属不働態酸化物は接触角が小さく、インク濡れ性が良いことから、表面処理なくしてインク充填での残留気泡の発生を防止することができる。これにより、高速駆動と信頼性が大きなインクジェットヘッドを得ることができる。
【0047】
次に、図9を参照して本発明に液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの第6実施形態について説明する。なお、同図は同ヘッドの要部断面説明図である。
このヘッドでは、薄膜バイメタル3の2層の金属薄膜11、12間に絶縁膜13を介在し、液体に接する面側の金属薄膜11を加熱形状膜(ヒートパターン)に形成し、金属薄膜11の圧力室1側の表面をインクに不溶な有機材料や無機材料からなる絶縁性の保護膜18で被膜している。
【0048】
これにより、薄膜バイメタル3を構成する金属薄膜の金属材料を目的によって自由に選択できるようにまり、また、圧力室1側表面の濡れ性、撥水性、耐熱性、等の選択性も大きくなる。
【0049】
例えば、有機材料ではパリレン樹脂、ポリイミド樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などを薄膜(0.2〜3μm厚み)製膜する。製膜法としては気相成長法では真空チャンバー装置で選択された、パリレン、尿素、フッ素樹脂等のペレットを加熱蒸着させて、微細加工された溝や壁面に均一に成膜させる。
【0050】
また。溶媒に可溶な樹脂を用いる場合には、粘度調整し、不可なポリイミド、シリコーン樹脂は官能基を持った低分子ポリマーを噴霧、スプレー、静電噴霧、またはスピナー、ロール塗布、アニソロックロール塗布等で、薄膜塗布を行なう。このとき、液状塗布液が流動したり、部分的に厚膜にならないように、さらに接着力向上のため、部品加熱で、塗布された液の瞬時拡散(加熱による濡れ性向上と液の粘性低下)と乾燥(溶媒蒸発と薄膜の表面硬化促進)を速やかにする。成膜は均一に予備加熱乾燥され、本キュアで触媒反応で反応硬化膜が得られ、耐インク性が向上する。
【0051】
また、触媒添加で不純物の心配が大きい場合は、EB(エレクトロビーム)照射でオリゴマーは重合、縮重合反応により硬化膜が得られる。この場合は部品に対する本キュアの様に高温(150〜300℃)処理が無く、低温プロセスであり、部品変形が少ない。無機材料では、SiO2,SiON,SiN,BN,TiN,BC,TiC,Sic,Ta2O5等の絶縁性化合物がある。
【0052】
製膜法は真空蒸着法が好ましい。組成材料をスパッタ、イオンビーム、イオンプレーチング等で成膜することもできる。また、CVD、LP−CVDは目的元素の有機材料を蒸発、プラズマ分解、酸素や窒素と気相反応させ、高分子化させて部品表面に蒸着反応させ、非晶膜や結晶膜、また混合組成膜を形成する。これはガス成分、部品加熱温度や膜成長速度、反応ガスの供給量で制御できる。条件設定で撥水性、密着性、膜硬度、耐化学薬品性、膜厚均一性等を制御できる。
【0053】
次に、図10及び図11を参照して本発明に液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの第7実施形態について説明する。なお、図10は同ヘッドの要部断面説明図、図11はそのヘッドの等価回路図である。
このヘッドは、無機材料エレクトレット層(無機エレクトレット層)21の一方の面に薄膜金属加熱パターン(メタル膜ヒータ、マイクロヒータ)22を、他方の面にエレクトレット電極23を設けたものである。なお、無機エレクトレット層21の詳細については後述する。また、ここでは圧力室1側をメタル膜ヒータ(マイクロヒータ)22としているが、圧力室側と反対の面側にメタル膜ヒータを設けることもできる。
【0054】
このように無機エレクトレット層21に薄膜金属加熱パターン22を付加し、エレクトレット層21内材料の部分結晶の配向に対して、電気分極的に相反印加電場か、順印加電場を与える(図11のスイッチ24をオンして電源25、26から電位を与える)ことで、エレクトレット層21の結晶配位は圧縮か伸延を受け、内部歪みが発生する。図10中の両端矢印は延伸方向、向き合う矢印は内部方向に縮むことを表している。
【0055】
このとき、一方の電極がヒータを兼ねることにより、熱膨張でエレクトレット層21に対して、伸延の力が作用し、さらにエレクトレット層21が内部歪みで縮む場合は、この膜構成でヒータ加熱時は常にエレクトレット層21に対してコンプレッションの方向での変形が得られる。変形方向は決定される。
【0056】
すなわち、エレクトレット層21の内部歪みとマイクロヒータ22の伸延作用が相乗した効果があり、大きな変位が得られる。また、剛性は無機材料であるエレクトレット層21の剛性に支配され、屈曲と反発力が大きく、インク噴射速度が大きく(滴速度Vjが向上し)、高速駆動が可能になる。
【0057】
次に、図12及び図13を参照して本発明に液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの第8実施形態について説明する。なお、図12は同ヘッドの要部断面説明図、図13はそのヘッドの等価回路図である。
このヘッドでは、前記図8で説明した第4実施形態の構造において、薄膜バイメタル3の外面側(圧力室1と反対側)に無機エレクトレット層21とエレクトレット電極23を積層している。
【0058】
この場合、薄膜バイメタル3は金属薄膜11がマイクロヒータを兼ねており、金属薄膜12はエレクトレット層21の電極も兼備している。また、この金属薄膜12は低熱膨張率の金属材料である。
【0059】
このように、無機エレクトレット層21に薄膜バイメタル3を積層した構造とし、エレクトレット層21との対向側にマイクロヒータ(金属薄膜11)を形成し、薄膜バイメタル3のエレクトレット層21とマイクロヒータ11との間のより低熱膨張率の金属薄膜12でエレクトレット層21の電極を兼ねさせることで、図13に示すように電源25、26からの電圧印加による熱膨張でマイクロヒータ(金属薄膜11)が伸延し、さらにバイメタル効果で変位が増長され、同時に電圧印加されるエレクトレット層21内材料の部分結晶の配向は、電気分極的に順印加電場において、エレクトレット層21の結晶配位は圧縮を受け、内部歪みが発生する。なお、図12中の両端矢印は延伸方向、向き合う矢印は内部方向に縮むことを表している。
【0060】
このとき、バイメタル3の外側金属薄膜が加熱ヒータであり、熱膨張でエレクトレット層21に対して、伸延の力が働き、さらにエレクトレット層21が内部歪みで縮む場合は、この膜構成ではマイクロヒータ加熱時はバイメタル変位が常にエレクトレット層21に対してコンプレッションの方向で変形する。変形方向は決定される。
【0061】
即ち、エレクトレット層の内部歪みとバイメタルのマイクロヒータの伸延作用が相乗した効果が生じ、大きな変位が得られる。また、剛性は無機材料であるエレクトレット層の剛性に支配され、屈曲と反発力が大きく、インク噴射速度が大きく(滴速度Vjが向上し)、高速駆動が可能になる。
【0062】
上述した各実施形態におけるヘッドを長尺化したマルチチャンネルヘッドを構成し、圧力室へのインク供給部との一体化を図ることでカートリッジ交換方式で容易に交換可能な長尺ヘッドを得ることができる。この場合、ノズル配置は千鳥状でもよい。これにより、リアルマルチチャンネルの長尺ヘッドを半導体微細加工技術により作製することが可能になる。
【0063】
次に、上記実施形態で説明した無機エレクトレット層について図14以降を参照して説明する。
無機エレクトレット層31は無機材料を配向分極、イオン分極、電子分極させたものである。
【0064】
無機材料は陽イオン性、負イオン性の材料、または陽極性、負極性の分子団、或いは、電気陰性度の異なるイオン元素、または原子団を含ませて結晶化させて、電界を与え配向分極、イオン分極、電子分極させて無機エレクトレット層を構成する。この無機エレクトレット層の両面の電極間に矩形波、あるいは交番電圧を印加することで、全体としてモノモルフ振動或いはモノモルフ機械的駆動が生起する。
【0065】
このような無機エレクトレット層の製造工程の一例について図14及び図15を参照して説明する。
先ず、図14に示すように、例えば、コーデライトの2MgO・2Al2O3・5SiO2複合酸化物の微粉末(平均粒径0.5〜3μm)に微粉末(平均粒径0.5〜3μm)のLa2O3を0.5〜1wt%混合した材料32を、ベルト33上に供給してプレスローラ34で加圧、層厚規制をしながら厚み50μmのグリーンシート31を形成し、このグリーンシート31上にカバーシート35を供給して加圧ローラ36で加圧することで、図15(a)に示すようなグリーンシート部材を得る。
【0066】
そして、図15(b)に示すようにグリーンシート31に脱水処理を施し、同図(b)に示すように400〜500℃で一次焼成を行い、更に同図(d)に示すように、850〜1200℃で焼成させると、高剛性(8000〜15000kg/mm2)の結晶歪みの大きな材料41が得られる。この材料41は結晶性と非晶体の混合組成である。
【0067】
その後、同図(e)に示すように材料41の両面に金属電極42、43を付け、同図(f)に示すように大気中で、450℃雰囲気に置き、電極42、43間にDC300Vを印加させ、1時間保持した後、同(g)に示すようにDC300V電界印加のまま除冷させ室温になるまで放置する。これにより、同図(h)に示すように、配向、分極が生じて、結晶体部分は大きく歪みを保持したまま維持され、内部分極が大きい状態で無機エレクトレット化した無機エレクトレット層30が得られる。
【0068】
このように、無機材料を配向分極、イオン分極、電子分極させたエレクトレット層を含むことで、無鉛の機械的強度の大きなアクチュエータを得ることができる。
【0069】
ここで、無機材料には、強誘電体、誘電体、または固体電解質材料を含む、さらに、これらの粒子配向セラミックスを包含するものである。具体的な材料としては、ZrTiO4−SnO2TiO2、Fe2O3−NiO、Zn2TiO2、ZnNiTiO4、ZnFe2O4、K2OAl2O3−SiO2、CaOAl2O3、BaTiO3、Al2O3TiO2、MgOAl2O3等多くの分極性無機材料がある。
【0070】
また、遷移金属系の添加により、多価原子団によるイオン化、配向分極化が可能である。結晶構造としてはスピネル構造、ぺロブスカイト構造や焼結体の部分的に結晶化し、立方体、長方体、斜方体、菱面体等が存在する。
【0071】
焼結温度は材料の組み合わせと組成比や、原材料の出発材料、さらに材料の粒子依存性による。200℃〜1200℃程度であるが、通常は300℃〜600℃で良い結果が得られる。吸湿性や印加電圧による強電界による分極反転が起き機能劣化が発生するが、本例の雰囲気制御条件では、材料の脱水性、高酸化物状態であり、また表面電極金属膜保護により、信頼性、寿命は満足される。
【0072】
工程としては、これらの結晶の一部に歪みを形成させることが必要であるが、膜厚1μm〜300μm1μmで、300℃〜400℃の加熱温度で、印加電圧はDC50V〜500Vで十分である。
【0073】
また、粒子配向セラミックスとは焼結させたイオン性の異方性微粉末を一次焼結させ、さらに高温の加圧方向性を持たせ、二次加圧焼結結晶化させると、配向性セラミックスが得られ分極した状態になる。
【0074】
このように、無機材料が強誘電体、誘電体、又は固体電解質材料を含むことで、これらの材料は材料自体がダイポールモーメントを持ち分極配向性があるので、大きな変位量が得られる。
【0075】
また、無機材料に目的金属イオンをイオン打ち込み装置で選択的に打ち込み組成化することもできる。
【0076】
一般的には、有機材料では、コロナ放電によるものが多い。有機樹脂材料についてはフッソ樹脂系を始めナイロン(登録商標)11等、雑多のブレンド樹脂の表面に、電子打ち込みやイオン打ち込みにより結晶構造に欠陥発生を誘起させ、歪みを形成してイオン分極や電荷分極を行っている。
【0077】
これに対して、無機材料ではシリコンウエハの表面熱酸化膜SiO2(結晶性酸化シリコン膜)に電子線を照射し、格子欠陥を発生させ、電荷トラップ層を形成して、エレクトレット層を作成することができる。しかしながら、無機材料では電子打ち込みによる結晶歪みは小さく、効果が殆ど無い。
【0078】
そこで、ここでは、減圧中で金属イオンを打ち込むようにしている。このようなエレクトレット層の製作工程について図16を参照して説明する。
先ず、同図(a)に示すような複合酸化物51に、同図(b)に示すようにB、Sb、P、Ti、Bi、W、Mnなどの加速イオンを打ち込むと、同図(c)に示すように複合酸化物41の表面から100〜3000Å程度までイオンが入るが、ここでは、金属は混在する状態でイオン化していない結晶歪みのみである。
【0079】
さらに、同図(d)に示すように、焼結拡散処理(加熱拡散処理)を行うことで、金属イオンは0.5〜10μmに達しイオン化する。これにより、結晶歪みとイオン効果の相効果が発揮できる。そして、同図(e)に示すように電極42,43を付してエレクトレット化を行ってエレクトレット層30を形成する。この場合、イオン分極と電荷分極、配向分極は大きいものが得られる。
【0080】
このように、無機材料に目的金属イオンが選択的に打ち込まれて組成化されている構成とすることで、結晶歪みの増大と導入多価イオンの組成化でイオン配向と分極が大きくなる。
【0081】
また、無機材料として、金属酸化物(TiO2、NiO、Al2O3、Fe2O3、MnO2、Co2O3/CoO、Sn2O3/SnO、ZnO等)やアルカリ土類元素化合酸化物(BaO、K2O、CaO、MgO等)と強誘電体、誘電体、または固体電解質材料を含むZrTiO4−SnO2TiO2、Fe2O3−NiO、Zn2TiO2、さらにZnNiTiO4、ZnFe2O4、K2OAl2O3−SiO2、CaOAl2O3、BaTiO3、Al2O3TiO2、MgOAl2O3等などの分極性無機材料の混合組成としたものを用いることができる。
【0082】
特に、アルカリ土類元素の化合物は、その元素イオン団が陽イオンとして、他の無機材料が負イオンとして働き、その結晶性も大きく、イオン配向性が高い材料である。複合酸化物焼成時の酸化還元雰囲気制御で、イオン性の大きな材料が得られる。
【0083】
この形態の概念を図17に示している。同図の例はイオン団の陰性度による分極の例であり、配向、分極が容易に起こる。実際は、Mg2Al2O4やK2SiO3、BaFe2O4等の複合塩の物質が高温と電界で分極する。
【0084】
このように、無機材料が金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物を含む構成とすることで、イオン、電荷分極を大きくすることができる。
【0085】
さらに、ZrTiO4−SnO2TiO2、Fe2O3−NiO、Zn2TiO2、さらにZnNiTiO4、ZnFe2O4、K2OAl2O3−SiO2、CaOAl2O3、BaTiO3、Al2O3TiO2、MgOAl2O3等などの分極性無機材料と、非金属元素のSiO2、B2O3、P2O5、Sb2O5、Bi2O3)の混合材料に、さらに遷移元素酸化物である(V2O5、Cr2O3、CuO、Y2O3、Zr2O3、Nb2O3、Mo2O3、PD2O3、La2O3等を混成させた複合酸化物を用いることができ、この遷移元素を含む複合酸化物の焼成状態と雰囲気により、原子価制御が容易である。これは結晶歪みの大きさを結果として制御することができる。
【0086】
この形態の概念図を図18に示している。無機誘電体、多価非金属元素、遷移元素の混合酸化物は、焼成雰囲気、特に、多価原子と遷移元素は第2イオン化電位も低いことから、容易にイオン化し、加熱と電界でイオン分極、配向分極が生じる。
【0087】
このように、無機材料が遷移金属酸化物を含む複合酸化物である構成とすることで、多価元素の持つ、結晶体の中で未結合イオンが保持でき、大きなイオン分極が得られる。
【0088】
次に、無機エレクトレット層における無機材料の成膜について説明する。
例えば、気相成長法を用いることができる。この場合には、プラズマCVD装置を用いて、例えば図19に示すように、無機材料の昇華性の高い有機金属、塩化物を減圧、加熱により下地電極を構成する基板61を保持したチャンバー内62に導入し、プラズマや酸化反応ガスと接触させ、気相成長させる。なお、同図中、63はノズル、64はアノード、65はカソード、66はモータ、67はヒータ、68は摺動接点である。
【0089】
また、蒸着法を用いることができる。この場合には、目的の無機材料や金属を加熱昇華させ、酸化性ガスをチャンバー内に導入し、蒸着法成膜で膜を形成する。
さらに、スパッタ法で金属材料はDC電源とスパッタガス(Ar,He,N2のどれかとさらにO2添加)による放電スパッタで行ない、導電性が無い無機材料は高周波電源を用いて同様のスパッタガスでRFスパッタを行なうことができる。
【0090】
CVD装置やスパッタ装置は、薄膜形成に適しており、その膜成長10〜300Å/分程度である。また、基板加熱により結晶成長させながら成膜することが容易にできる。
【0091】
これらのいずれかの方法を用いて成膜するとき、目的に合わせて、1層或いは多層成膜し、成膜時に基板加熱と反応ガスを導入し、プラズマ反応による酸化物や、チッ化物を形成させ、結晶性や非晶性を制御する。
【0092】
この場合、形成される薄膜は平坦であるので、次に上電極を蒸着法やホトリソ法で形成し、加熱と電界により、無機エレクトレット層とする。
【0093】
また、薄膜で分極効果が大きいことからアクチエータとして、マルチ化で各素子化するとき、電極の個別化のみで、素子分割せずとも各素子間の相互干渉は小さくなる。
【0094】
このように、無機材料を気相成長法又は蒸着法製膜で基板上に1層又は多層成膜し、成膜時に基板加熱と反応ガスを導入して、酸化物又はチッ化物を形成して結晶性又は非晶性を制御してエレクトレット層を形成することで、結晶性や非晶性を容易に制御することができる。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、薄膜バイメタルで振動板を構成し、あるいは薄膜バイメタルを無機材料と組み合わせ、若しくは、無機エレクトレット層と加熱形状パターン又は薄膜バイメタルを組み合わせたので、十分な滴吐出特性が得られる新規な液滴吐出ヘッド及び十分な駆動特性が得られるアクチュエータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の要部断面説明図
【図2】Pt−Rhの温度立下り特性のシミレーション結果の説明図
【図3】本発明の第2実施形態の要部斜視説明図
【図4】同じく要部斜視説明図
【図5】本発明の第3実施形態の要部斜視説明図
【図6】同じく要部断面説明図
【図7】本発明の第4実施形態の一例の要部斜視説明図
【図8】同実施形態の他の例の要部斜視説明図
【図9】本発明の第5実施形態の要部斜視説明図
【図10】本発明の第6実施形態の要部斜視説明図
【図11】同実施形態の等価回路説明図
【図12】本発明の第7実施形態の要部斜視説明図
【図13】同実施形態の等価回路説明図
【図14】無機エレクトレット層の製造工程の一例の説明に供する説明図
【図15】図14に続く工程を説明する断面説明図
【図16】同じく無機エレクトレット層の他の製造工程の説明に供する断面説明図
【図17】同じく他の無機エレクトレット層の説明に供する概念図
【図18】同じく更に他の無機エレクトレット層の説明に供する概念図
【図19】同じく無機エレクトレット層の更に他の製造工程の説明に供するCVD装置の概略説明図
【符号の説明】
1…圧力室、2…薄膜バイメタル、21…無機エレクトレット層。
Claims (11)
- ノズルが連通する液室の壁面を変形させることで前記ノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、前記液室の壁面を形成する振動板が薄膜バイメタルで構成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- ノズルが連通する液室の壁面を変形させることで前記ノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、前記液室の壁面を形成する振動板を無機材料で形成し、この無機材料の外面側に薄膜バイメタルを設けたことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記薄膜バイメタルの1つの層の厚みが対となる層の厚みの50〜150%の範囲内にあることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記薄膜バイメタルを構成する層間に絶縁膜を介在し、いずれか1つの層が前記液室に対応してパターン化されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記薄膜バイメタルを構成するいずれか1つの層がパターン化され、このいずれか1つの層の前記液室に対応する部分以外の領域には層間に絶縁膜が介在されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記薄膜バイメタルの構成する層のうちの液体に接する層は金属不動態形成材料又は液体に対する不溶金属から形成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記薄膜バイメタルの構成する層のうちの液体に接する層の表面は液体に対する不溶性を有する保護膜で被覆されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- ノズルが連通する液室の壁面を変形させることで前記ノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、無機エレクトレット層と薄膜金属加熱パターンとを積層したアクチュエータ手段を有することを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- ノズルが連通する液室の壁面を変形させることで前記ノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、無機エレクトレット層と薄膜バイメタルとを積層したアクチュエータ手段を有することを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 変形可能な部材を変形させるアクチュエータにおいて、前記変形可能な部材が無機エレクトレット層と薄膜金属加熱パターンとを積層してなることを特徴とするアクチュエータ。
- 変形可能な部材を変形させるアクチュエータにおいて、前記変形可能な部材が無機エレクトレット層と薄膜バイメタルとを積層してなることを特徴とするアクチュエータ。
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