JP2009107162A - 液体噴射ヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】振動板の機能の低下を抑えつつ、種々の機能性液体に対応可能な液体噴射ヘッドを提供する。
【解決手段】振動板20におけるインク流路側の面となる樹脂フィルム30に薄膜からなる保護層38を形成したので、振動板の機能の低下、即ち、変動部31における圧力損失を抑えつつ、振動板の樹脂フィルムを侵す可能性のある液体の噴射に対応することが可能となる。特に、保護層の厚さを弾性層の厚さに対して0.06%〜0.65%の範囲に設定することにより、振動板の機能の低下の抑制と樹脂フィルムに対する保護機能を両立させることが可能となる。
【選択図】図5

Description

本発明は、インクなどの液体(機能液体)を噴射させるのに好適な液体噴射ヘッドに関し、特に、樹脂フィルムと支持板を積層して構成され、液体流路を封止する振動板を備える液体噴射ヘッドに関する。
圧力室内の液体に圧力変動を生じさせることで圧力室内の液体をノズル開口から吐出させる液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられるインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等がある。
上記記録ヘッドの一例として、複数のノズル開口を列設してなるノズル列が形成されたノズル形成基板、共通液室(リザーバ)から圧力室を経てノズル開口に至る一連の液体流路を形成する流路形成基板、及び、圧力室及び共通液室の開口を封止する振動板(封止板)を有する流路ユニットと、圧力室内のインクに圧力変動を生じさせ得る圧力発生源とを備えているものがある(例えば、特許文献1参照)。
流路形成基板の材料としては、例えば、シリコン単結晶性基板(シリコンウェハー)が好適に用いられ、このシリコンウェハーの表面から異方性エッチング処理を施すことによって圧力室などのインク流路(液体流路)となる空部や溝部が形成される。この流路形成基板の一方の面には上記ノズル形成基板が接合され、他方の面には、圧力室となる空部等の開口部を封止してインク流路の一部を区画する振動板が接合される。
上記振動板は、例えばステンレス鋼等の金属製の支持板の表面にPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂フィルムを弾性薄膜部としてラミネートした複合板材によって構成されている。この振動板の圧力室に対応する領域には、圧力発生源としての圧電振動子の作動に応じて変形して圧力室内のインクに圧力変動を生じさせ得る変動部が形成されている。この変動部は、圧電振動子の先端面が接続される部分を島部として残した状態でその周囲の支持板をエッチングなどによって除去して樹脂フィルムのみとすることで構成されている。この振動板は、樹脂フィルム側の面を流路形成基板側に向けた姿勢で当該流路形成基板に接着によって接合される。したがって、上記のインク流路には振動板の樹脂フィルムが露出している。
そして、圧電振動子を駆動して素子長手方向に伸縮させると、これに伴って振動板の島部が圧力室に近接する方向或いは離隔する方向に変位する。これにより、圧力室の容積が変化し、圧力室内のインクに圧力変動が生じる。上記記録ヘッドでは、この圧力変動を利用して圧力室内のインクをノズル開口から噴射(吐出)する。
特開2003−291335号公報
ところで、近年では上記構成の記録ヘッドが種々の用途で用いられるようになり、水溶性のインク以外の液体(機能性液体)を噴射する必要性が生じてきた。この液体の中には、例えばパラフィン系インクやグリコール系インクなどの溶剤系のインク等、振動板の樹脂フィルムを侵す虞のある液体もある。このため、このような溶剤系の液体にも対応可能な記録ヘッドが望まれている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、振動板の機能の低下を抑えつつ、種々の液体に対応可能な液体噴射ヘッドを提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、樹脂フィルムと支持板を積層して構成され、圧力発生手段の作動により圧力室の容積を変動させるための変動部を有する振動板を備えた液体噴射ヘッドであって、
前記樹脂フィルムの前記圧力室側の面に薄膜からなる保護層を形成したことを特徴とする。
なお、「薄膜」とは、蒸着やスパッタリング等の手法により形成される数nm〜数μm程度の厚さの原子層を意味する。
上記構成によれば、振動板の樹脂フィルムにおける圧力室側の面に薄膜からなる保護層を形成したので、振動板の樹脂フィルムを侵す可能性のある液体に対し保護層によって樹脂フィルムを保護することができ、その結果、種々の液体の噴射に対応することが可能となる。また、保護層を薄膜としたので、振動板の機能、即ち、圧力室の容積を変動するための変動部の機能低下を抑えることが可能となる。
上記構成において、前記保護層の厚さを、前記樹脂フィルムを含む弾性層の厚さに対し、0.06%〜0.65%の範囲に設定することが望ましい。
なお、「弾性層」とは、振動板のうち支持板を除く部分を意味し、樹脂フィルムの他、振動板と樹脂フィルムを接着剤によって接合する構成においては接着剤も含まれる。
この構成によれば、樹脂フィルムの保護機能と振動板の機能低下の抑制を両立することが可能となる。
また、前記振動板が、前記液体流路を形成する流路形成基板と接着によって接合する構成に好適である。
上記構成において、前記保護層が、金属被膜であることが望ましい。この構成において、金属被膜を金で構成することができる。また、金属被膜をチタンで構成することも可能である。さらに、金属被膜をクロムで構成することも可能である。
この構成によれば、樹脂フィルムの保護機能を発揮すると共に、振動板を流路形成基板に接着する際の接着性を向上させることができる。これにより、組み立て作業効率を向上させることが可能となる。また、圧力室内の液体の樹脂フィルムを通じた水分蒸発や圧力室内への気体の透過を金属被膜によって抑制できるため、液体の増粘や気泡成長による噴射不良を防止できる。
さらに、上記構成において、前記保護層を二酸化珪素で構成することも可能である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下の説明は、本発明の液体噴射ヘッドとして、インクジェット式記録装置に搭載されるインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を例に挙げて行う。
図1は、本実施形態における記録ヘッド1の分解斜視図、図2は、記録ヘッド1の要部断面図である。なお、図1では導入針ホルダ2とケース4の一部を欠截した状態で示している。
例示した記録ヘッド1は、導入針ホルダ2(以下、「ホルダ2」という)、回路基板3、ケース4、流路ユニット5、及び、アクチュエータユニット6を主な構成要素としている。なお、以下においては、便宜上、記録ヘッド1を構成する各部材の積層方向を上下方向として説明する。
上記ホルダ2は、例えば、エポキシ系樹脂等の合成樹脂によって成型されており、その上面にはフィルタ8を介在させた状態でインク導入針9(液体導入部)が複数取り付けられている。これらのインク導入針9には、液体(機能液体)の一種であるインクを貯留したインクカートリッジ(図示せず)が装着されるようになっている。回路基板3は、図示せぬプリンタ本体側から圧電振動子16へ供給するための駆動信号を中継する基板であり、プリンタ本体側との接続のためのコネクタ10や電子部品等を実装している。コネクタ10にはFFC(フレキシブルフラットケーブル)等の配線部材が接続され、回路基板3は、このFFCを介してプリンタ本体側から駆動信号を受けるようになっている。そして、この回路基板3は、エラストマー等から構成されてパッキンとして機能する弾性シート11を介在させた状態で、インク導入針9とは反対側のホルダ2の底面側に配置される。
ケース4は、合成樹脂製の中空箱体状部材であり、先端面(下面)には流路ユニット5を接合し、内部に形成された収容空部12内にはアクチュエータユニット6を収容し、流路ユニット5側とは反対側の基板取付面14には回路基板3を取り付けるようになっている。
上記アクチュエータユニット6は、櫛歯状に列設された複数の圧電振動子16(圧力発生源)と、この圧電振動子16が接合される固定板17と、回路基板3からの駆動信号を圧電振動子16に伝達するための、TCP(テープキャリアパッケージ)等の配線部材18等から構成される。各圧電振動子16は、固定端部側が固定板17上に接合され、自由端部側が固定板17の先端面よりも外側に突出している。即ち、各圧電振動子16は、所謂片持ち梁の状態で固定板17上に取り付けられている。また、各圧電振動子16を支持する固定板17は、例えば厚さ1mm程度のステンレス鋼によって構成されている。そして、アクチュエータユニット6は、固定板17の背面を、収容空部12を区画するケース内壁面に接着することで収容空部12内に収納・固定されている。
図3に示すように、流路ユニット5は、振動板20(封止板)、流路形成基板21、及びノズル形成基板22からなる各流路ユニット構成部材を積層した状態で接合して一体化することにより作製されており、共通インク室24(共通液室)からインク供給口25及び圧力室26を通りノズル開口27に至るまでの一連のインク流路(液体流路)を形成している。
流路ユニット5の最下部に配置されるノズル形成基板22は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば180dpi)で複数のノズル開口27を、紙送り方向(副走査方向)に列状に開設した金属製の薄い板材であり、本実施形態においてはステンレス鋼によって作製されている。また、このノズル形成基板22においては、180個のノズル開口27によって1つのノズル列が形成されている。
ノズル形成基板22と振動板20との間に配置される流路形成基板21は、インク流路となる部分、具体的には、共通インク室24となる開口部、インク供給口25となる溝部、及び、圧力室26となる空部が区画形成された板状の部材であり、本実施形態においては、シリコンウェハーを異方性エッチング処理することによって作製されている。圧力室26は、ノズル開口27の列設方向(ノズル列方向)に対して直交する方向に細長い室として形成され、その容積は、後述する振動板20の変動部31の作動によって変動するように構成されている。インク供給口25は、圧力室26と共通インク室24との間を連通する流路幅の狭い狭窄部として形成されている。また、共通インク室24は、インクカートリッジ(図示せず)に貯留されたインクを各圧力室26に供給するための室であり、ケース3の内部に形成されたケース流路23と振動板20に開設された導入口28を介して連通している。そして、インク導入針9から導入されたインクが、ケース流路23および導入口28を通じて共通インク室24内に供給される。また、この共通インク室24は、インク供給口25を通じて対応する各圧力室26に連通しており、導入口28から供給されたインクを各圧力室26に分配する。
ノズル形成基板22とは反対側の流路形成基板21の上面に配置される振動板20は、金属製の支持板29の表面に樹脂フィルム30を接着剤によって接合した複合板材によって構成されている。図4に示すように、この振動板20の圧力室26に対応する領域には、圧電振動子16の作動に応じて変形して圧力室26内のインクに圧力変動を生じさせるための変動部31(ダイヤフラム部)が形成されている。この変動部31は、圧電振動子16の先端面が接続される部分を島部33として残した状態でその周囲の支持板29をエッチング処理で除去して樹脂フィルム30のみとすることで構成されている。
また、この振動板20には、流路形成基板21の開口部の一方の開口面を封止し、共通インク室24の一部を区画するコンプライアンス部32が形成されている。このコンプライアンス部32は、共通インク室24(開口部)に対応する領域の支持板29を、エッチング加工によって除去することにより、樹脂フィルム30のみとされている。そして、このコンプライアンス部32は、圧電振動子16の駆動時のインク流路内のインクの圧力変動を緩和するダンパーとして機能する。なお、この振動板20の詳細については後述する。
上記流路ユニット構成部材、即ち、振動板20、流路形成基板21、及びノズル形成基板22には、基準ピン35に挿通可能な基準穴34(34a,34b,34c)が各部材の厚さ方向を貫通してそれぞれ開設されている。そして、各流路ユニット構成部材は、各々の基準穴34に基準ピン35を挿通することで相対的な位置が合わされた上で接着剤等によって接合されて流路ユニット5としてユニット化される。この際、流路形成基板21のインク流路となる開口部分が振動板20の樹脂フィルム30側の面で封止される。したがって、インク流路には樹脂フィルム30(より詳しくは、後述する保護層38に覆われた樹脂フィルム30)が臨む状態となる。そして、流路ユニット5は、ノズル形成基板22を下側にした姿勢でケース4に固定される。
上記構成の記録ヘッド1では、回路基板3から配線部材18を通じて圧電振動子16に駆動信号が供給されると、この圧電振動子16が素子長手方向に伸縮し、これに伴い変動部31の島部33が圧力室26に近接する方向或いは離隔する方向に移動する。これにより、圧力室26の容積が変化し、圧力室26内のインクに圧力変動が生じる。この圧力変動によって圧力室26内のインクがノズル開口27から噴射される。
次に、上記振動板20について説明する。図5は、上記振動板20の形成工程を説明する断面図である。
上述したように、支持板29は、例えばステンレス鋼等のように、樹脂フィルム30よりも剛性が十分に高い金属製の板材などで作成されている。この支持板29のヤング率は、樹脂フィルム30のヤング率の数十倍〜数百倍程度であることが望ましい。一方、樹脂フィルム30は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の可撓性を有する素材で作成されており、変動部31の島部33の変位を可能とすると共に、コンプライアンス部32においてインクの圧力変動を吸収するように機能するために設けられる。本実施形態における樹脂フィルム30は、数μmの厚さに設定されている。例えば、振動板20全体の厚さT1が3〜10μmであり、そのうち樹脂フィルム30の厚さT2は2〜7μm程度(但し、T2<T1)である。
図5(a)に示すように、振動板20の形成工程では、まず支持板29と樹脂フィルム30とを積層状態で接着によって接合する。続いて、図5(b)に示すように、プレス加工により支持板29と樹脂フィルム30の厚さ方向を貫通して導入口28を開設する。この導入口28は、ケース4のケース流路23側から流下してくるインクを共通インク室24側に導入するための貫通穴であり、本実施形態においては円形の穴に形成されている。
次に、図5(c)に示すように、エッチング処理により、変動部31およびコンプライアンス部32を形成する。即ち、流路形成基板21の圧力室26に対応する部分であって圧電振動子16の先端面を接合するための部分を島部33として残した状態で、その周囲の支持板29をエッチング処理によって環状に除去して樹脂フィルム30のみとすることで変動部31を形成する。同様に、共通インク室24に対応する部分を、共通インク室24の開口形状にほぼ倣った形状に支持板29が除去され、樹脂フィルム30のみとすることでコンプライアンス部32を形成する。
ここで、近年では上記構成の記録ヘッドが種々の用途で用いられるようになり、水溶性のインク以外の液体を噴射する必要性が生じてきた。これらの液体の中には、上記のような振動板20の樹脂フィルム30に膨潤などの悪影響を及ぼす液体もある。例えば、溶剤系のインクを使用した場合、このインクによって樹脂フィルム30が膨潤する等して軟化してしまい、これにより、変動部31での圧力損失が大きくなってしまうという問題があった。即ち、圧電振動子16の作動により島部33を変位させたときに、この島部33の周囲の樹脂フィルム30によって圧力が吸収されてしまい、インクに圧力が伝わり難くなる。その結果、ノズル開口27から噴射されるインクの飛翔速度が低下したり、インクの重量が減少したりする虞があった。
このため、本発明に係る記録ヘッド1では、このような溶剤系の液体にも対応するべく、図5(d)に示すように、振動板20における圧力室側(インク流路側)の面、即ち、樹脂フィルム30の表面に薄膜からなる保護層38を形成している。なお、保護層38は、導入口28の開口内周面にも形成される。即ち、保護層38は、樹脂フィルム30の液体接触面に形成される。この保護層38はスパッタリングや蒸着等の成膜方法によって形成された金属被膜からなり、本実施形態においてはこの金属被膜を金で構成している。この保護層38を構成する材料としては、溶剤系に対する耐食性を有すると共に、ヤング率が可及的に低いものが好適である。
即ち、樹脂フィルム30の表面に保護層38を単に形成しただけでは、溶剤系インクを使用した場合における樹脂フィルム30の腐食を防止できる反面、変動部31における樹脂フィルム30の弾性変形を保護層38が阻害することにより、インク飛翔速度の低下やインク重量の減少等の噴射特性の低下が生じる等、振動板20としての機能が損なわれる虞があるため、できるだけヤング率が低いものが好ましい。この耐食性と低ヤング率を両立する材料としては、上記の金の他、チタンやクロムが好適である。また、金属被膜以外には、二酸化珪素(SiO)を用いることも可能である。そして、振動板20としての機能低下を抑制する観点から、樹脂フィルム30に対する保護機能を損なわない程度に保護層38の膜厚をできるだけ薄くすることが望ましい。
ここで、図6は、保護膜38の材料として、金、チタン、二酸化珪素、およびクロムを選択し、保護層38を含む弾性層(保護層38および接着剤層)の厚さに対する変動部31のコンプライアンスについて考察した表である。具体的には、変動部31の島部33を圧力室26側に押したときの撓みやすさ(圧電振動子16側からのコンプライアンス)と、逆に圧力室26よりも遠ざかる方向に引っ張るときの撓みやすさ(圧力室26側からのコンプライアンス)を膜厚毎に表している。圧電振動子16側からのコンプライアンスは、島部33を圧力室側に所定量変位させたときの圧力室体積変化に基づき算出し、圧力室26側からのコンプライアンスは、変動部31の圧力室側面に対して所定の圧力を付与した際の体積変化に基づいて算出している。また、図7は、各保護膜の変動部31における島部33の最大変位量を膜厚毎に示した表である。なお、最大変位量とは、圧電振動子16の作動によって島部33が通常位置(圧電振動子16を作動していない状態)から最も変位したときの変位量である。
図6に示すように、何れの材料についても膜厚を弾性層の厚さに対して0.06%〜0.65%の範囲に設定することで、変動部31におけるコンプライアンスの低下を20数%以下に抑えることができることが判った。同様に、図7に示すように、変動部31の最大変位量の低下に関しても、膜厚を弾性層の厚さに対して0.06%〜0.65%の範囲に設定することで20数%以下の範囲内に抑えることができる。ここで、変動部31におけるコンプライアンスは、圧力室26の幅を変更することで調整することができる。したがって、樹脂フィルム30に保護膜38を形成することに起因して変動部31におけるコンプライアンスが変化した場合においても、圧力室26の幅を変更することで最適なコンプライアンスに調整することが可能である。
なお、保護層38を有さない構成に対し、保護層38を設けたことによる変動部31のコンプライアンスおよび最大変位量の変化の絶対値が25%以内、より好ましくは20%以内となるように、保護層38の材質や膜厚、或いは圧力室26の幅を設定することが望ましい。また、保護層38の厚さは、0.005μm以上に設定することが望ましい。これよりも保護層38の厚さを薄くしてしまうと、樹脂フィルム30に対して保護層38を均一に成膜ができない虞があるためである。
以上のように、本発明に係る記録ヘッド1では、振動板20におけるインク流路側の面となる樹脂フィルム30に薄膜からなる保護層38を形成したので、振動板20の樹脂フィルム30を侵す可能性のある液体に対し保護層38によって樹脂フィルム30を保護することができ、その結果、種々の液体の噴射に対応することが可能となる。また、保護層38を薄膜としたので、振動板20の機能、即ち、圧力室26の容積を変動するための変動部31の機能低下を抑えることが可能となる。特に、保護層38の厚さを弾性層の厚さに対して0.06%〜0.65%の範囲に設定することにより、振動板20の機能の低下の抑制と樹脂フィルム30に対する保護機能を両立させることが可能となる。
また、従来、保護層を有さない振動板では、流路形成基板と接着によって接合する際、振動板の樹脂フィルムは接着剤が馴染みに難いため、予め樹脂フィルムの表面にプラズマをかけて表面を荒らした後、当該表面にプライマを塗布してから接着していた。このため接着作業が煩雑であった。これに対し、本実施形態における記録ヘッド1では、樹脂フィルムよりも接着剤が馴染み易い金属被膜を保護層38として樹脂フィルム30の表面に形成しているので、樹脂フィルム30の保護機能をすると共に、振動板20を流路形成基板21に接着する際の接着性を向上させることができる。これにより、組み立て作業効率を向上させることが可能となる。また、圧力室内の液体の樹脂フィルムを通じた水分蒸発や圧力室内への気体の透過を金属被膜によって抑制できるため、液体の増粘や気泡成長による噴射不良を防止できる。
なお、保護層38の材料として、上記実施形態において例示した金、チタン、クロムに加えてMo(モリブデン)、Ni(ニッケル)、Al(アルミニウム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)の各単体膜/積層膜/合金膜/酸化膜を選択することも可能である。また、本発明の保護層の膜厚についての規定は、現状の記録ヘッドにおける膜付け無し品(従来品)との駆動波形互換性を持たせるため、及び、部品の共通化や検査の共通化のために特に有効あるが、この膜厚みの範囲外の場合でも圧力室の幅を広げたり、駆動波形を変更すれば対応は可能である。
以上の通り、液体噴射ヘッドとして、上記記録ヘッド1を例に挙げて説明したが、本発明は、他の液体噴射ヘッドにも適用することができる。例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも本発明を適用することができる。
記録ヘッドの分解斜視図である。 記録ヘッドの断面図である。 流路ユニットの分解斜視図である 振動板における変動部周辺の拡大図である。 (a)〜(d)は振動板の作成工程を説明する図である。 保護層の厚さに対する変動部のコンプライアンスの関係を示した表である。 保護層の厚さに対する変動部の最大変位量の関係を示した表である。
符号の説明
1…記録ヘッド,2…ホルダ,5…流路ユニット,16…圧電振動子,20…振動板,21…流路形成基板,22…ノズル形成基板,24…共通インク室,26…圧力室,27…ノズル開口,28…導入口,29…支持板,30…樹脂フィルム,31…変動部,32…コンプライアンス部,33…島部,38…保護層

Claims (8)

  1. 樹脂フィルムと支持板を積層して構成され、圧力発生手段の作動により圧力室の容積を変動させるための変動部を有する振動板を備えた液体噴射ヘッドであって、
    前記樹脂フィルムの前記圧力室側の面に薄膜からなる保護層を形成したことを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 前記保護層の厚さが、前記樹脂フィルムを含む弾性層の厚さに対し、0.06%〜0.65%の範囲に設定されたことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
  3. 前記振動板は、前記液体流路を形成する流路形成基板と接着によって接合されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体噴射ヘッド。
  4. 前記保護層が、金属被膜であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  5. 前記金属被膜が、金で構成されたことを特徴とする請求項4に記載の液体噴射ヘッド。
  6. 前記金属被膜が、チタンで構成されたことを特徴とする請求項4に記載の液体噴射ヘッド。
  7. 前記金属被膜が、クロムで構成されたことを特徴とする請求項4に記載の液体噴射ヘッド。
  8. 前記保護層が、二酸化珪素で構成されたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
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