JP2004255532A - 研磨装置及び研磨方法、並びにマスクブランクス用基板の製造方法 - Google Patents

研磨装置及び研磨方法、並びにマスクブランクス用基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】構造を複雑にしたり、大幅なコストアップを伴うことなく、研磨粒子の凝集固着を効果的に防止できるようにする。
【解決手段】上下に対向して設けられた上定盤20と下定盤10との間に、被研磨加工物Wを挟持し、この被研磨加工物Wに研磨液を供給しながら、被研磨加工物の研磨加工を行う研磨装置であって、研磨液と接触する可能性があり、かつ、研磨液が定常的に到達しない箇所、あるいは、研磨加工時に研磨液が定常的に到達し、かつ、研磨加工後も研磨液が停滞する箇所に、この箇所を常に湿った状態に保つ乾燥防止部材70を設ける。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、被研磨加工物を挟持し、この被研磨加工物に研磨液を供給しながら、被研磨加工物の研磨加工を行う研磨装置及び研磨方法、並びにマスクブランクス用基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、リソグラフィ用フォトマスク、磁気ディスク、液晶ディスプレイなどに使用される基板(特に、ガラス基板)を被研磨加工物とし、その両面又は片面を研磨する研磨装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
この種の研磨装置は、上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、被研磨加工物を挟持し、この被研磨加工物に研磨液を供給しながら、被研磨加工物の両面又は片面を研磨するように構成されている。以下、特許文献2に示される遊星歯車方式の研磨装置について説明する。
【0003】
遊星歯車方式の研磨装置は、太陽歯車と、その外方に同心円状に配置される内歯歯車と、太陽歯車及び内歯歯車に噛み合い、太陽歯車及び/又は内歯歯車の回転に応じて公転及び自転するキャリアと、このキャリアに保持された被研磨加工物を上下から挟持可能な上定盤及び下定盤と、上定盤と下定盤との間に研磨液を供給する研磨液供給部とを備えている。
【0004】
研磨加工時には、キャリアに保持された被研磨加工物を上定盤及び下定盤で挟持するとともに、上下定盤の研磨面(研磨パッド)と被研磨加工物との間に研磨液を供給しながら、太陽歯車及び/又は内歯歯車の回転に応じて、キャリアを公転及び自転させる。このとき、上定盤や下定盤も必要に応じて回転駆動させる。
【0005】
このような研磨装置では、太陽歯車と内歯歯車との間で、かつ上定盤と下定盤とに挟まれるドーナツ状の領域が実際の研磨領域となる。研磨液は、上定盤に形成される研磨液供給孔を通じて、このドーナツ状の研磨領域に供給される。
研磨液としては、酸化セリウム、シリカなどの微細な研磨粒子を、水、アルカリ性溶液などの液体中に分散させた各種のものが、研磨の目的に応じて選択的に使用される。
【0006】
近年、半導体製造のリソグラフィでは、集積回路の微細化に伴って、KrF(248nm)、ArF(193nm)、F2(157nm)、EUVなどの短い波長の光が用いられるようになりつつある。
リソグラフィの露光に用いる光が短波長になると、マスク基板上の小さな欠陥が転写パターンに影響を及ぼすようになるため、要求される欠陥のレベルも厳しくなる。
【0007】
このような厳しい欠陥レベルの要求に対応するために、より微細な研磨粒子を用いた研磨加工が行われるようになってきた。
また、近年においては、基板の微細な欠陥を光学的に検出する欠陥検査方法も提案されている。このような欠陥検査方法によれば、目視検査では検出が難しい1μm以下の微細な欠陥についても検出が可能となる。
【0008】
ところが、このような厳しい欠陥レベルの研磨加工において、所望の欠陥レベルが得られるように、十分に微細な研磨粒子を選択しても、許容レベルを超える欠陥が基板に発生することが判明した。
本発明者が調査したところ、上記の欠陥は、研磨装置内に付着した研磨液の研磨粒子が凝集固着(凝集固化)し、これが研磨装置の振動などで剥離して、研磨領域の研磨液に混入するためであることがわかった。
【0009】
このような欠陥は、従来の目視検査では検出できず、しかも、比較的長い波長の光を用いたリソグラフィでは、転写パターンに与える影響が小さい。そのため、従来では、あまり問題とされていなかったが、リソグラフィにおいて短波長の光を用いる場合は、このような欠陥にも対処する必要がある。
【0010】
そこで、太陽歯車及び内歯歯車の歯列に、主として水からなる液体をスプレーする研磨装置が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
このように構成された研磨装置では、太陽歯車や内歯歯車の歯列において、研磨粒子の凝集固着が防止されるため、凝集固着した研磨粒子による欠陥の発生を減少させることが可能になる。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−277114号公報(第3頁、第1図)
【特許文献2】
特開2002−127000号公報(第7頁、第1図)
【特許文献3】
特開2002−217138号公報(第5頁、第4図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者が調査したところ、上記のような研磨装置では、太陽歯車や内歯歯車の歯列部分だけでなく、上定盤及び下定盤の外周面、太陽歯車及び内歯歯車の上面、研磨液貯留部の側壁上部などでも、研磨粒子の凝集固着が発生しやすいことが判明した。
【0013】
つまり、研磨液と接触する可能性があり、かつ、研磨液が定常的に到達しない箇所や、研磨加工時に前記研磨液が定常的に到達し、かつ、研磨加工後も前記研磨液が停滞する箇所においては、研磨加工中又は研磨加工後に研磨液が乾燥し、研磨粒子の凝集固着が発生しやすい。
【0014】
そこで、上記の箇所に液体をスプレーして、付着した研磨液の乾燥を防ぐことが提案される。しかしながら、研磨装置をこのように構成すると、スプレーノズルや配管の追加によって、構造が複雑になるばかりでなく、大幅なコストアップをまねくという問題がある。
【0015】
そのため従来では、上記の問題に対処するために、上記の箇所を頻繁に清掃しているが、凝集固着した研磨粒子の除去は容易でなく、清掃に時間がかかる。そのため、長時間にわたる研磨加工作業の中断を余儀なくされ、生産性の低下をまねくという問題があった。
【0016】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、構造を複雑にしたり、大幅なコストアップを伴うことなく、研磨粒子の凝集固着を効果的に防止できるようにし、その結果、凝集固着した研磨粒子に起因する欠陥の発生を抑制して、研磨加工の歩留まりを向上させることができるとともに、装置の清掃を容易にして、研磨加工の効率を向上させることができる研磨装置及び研磨方法、並びにマスクブランクス用基板の製造方法の提供を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の研磨装置は、上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、被研磨加工物を挟持し、この被研磨加工物に研磨液を供給しながら、前記被研磨加工物の研磨加工を行う研磨装置であって、前記研磨液と接触する可能性があり、かつ、前記研磨液が定常的に到達しない箇所、あるいは、研磨加工時に前記研磨液が定常的に到達し、かつ、研磨加工後も前記研磨液が停滞する箇所に、この箇所を常に湿った状態に保つ乾燥防止部材が設けられる構成としてある。
【0018】
研磨装置をこのように構成すれば、研磨液が定常的に到達しない箇所における研磨液の乾燥や、研磨加工後も研磨液が停滞する箇所における研磨液の乾燥を、乾燥防止部材によって効果的に防止することが可能になる。
これにより、凝集固着した研磨粒子に起因する欠陥の発生を抑制して、研磨加工の歩留まりを向上させることができるだけでなく、装置の清掃を容易にして、研磨加工の効率を向上させることができる。
しかも、設置が容易で安価な乾燥防止部材を用いて、研磨粒子の凝集固着を防止するため、液体のスプレーによって研磨粒子の凝集固着を防止する場合に比べ、構造を簡略化できるだけでなく、大幅なコストアップを回避することができる。
【0019】
また、上記目的を達成するため本発明の研磨方法は、上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、被研磨加工物を挟持し、この被研磨加工物に研磨液を供給しながら、前記被研磨加工物の研磨加工を行う研磨装置を用い、前記研磨装置のうち、前記研磨液と接触する可能性があり、かつ、前記研磨液が定常的に到達しない箇所、あるいは、研磨加工時に前記研磨液が定常的に到達し、かつ、研磨加工後も前記研磨液が停滞する箇所を、ここに設けられる乾燥防止部材によって、常に湿潤状態に保持しながら研磨加工を行う方法としてある。
【0020】
研磨方法をこのような方法にすれば、研磨液が定常的に到達しない箇所における研磨液の乾燥や、研磨加工後も研磨液が停滞する箇所における研磨粒子の凝集固着を効果的に防止することが可能になる。
これにより、凝集固着した研磨粒子に起因する欠陥の発生を抑制して、研磨加工の歩留まりを向上させることができるだけでなく、装置の清掃を容易にして、研磨加工の効率を向上させることができる。
【0021】
また、本発明の研磨装置(研磨方法)は、前記乾燥防止部材が、湿潤状態を保つ吸水性部材であり、前記箇所に直接接触するように設けられる構成としてある。
研磨装置(研磨方法)をこのように構成すれば、スポンジ部材などの安価な部材を用い、これを前記箇所に貼り付ける程度の容易な構成で本発明を実施することが可能になる。
【0022】
また、本発明の研磨装置(研磨方法)は、前記乾燥防止部材が、前記上定盤の外周面及び/又は前記下定盤の外周面に設けられる構成としてある。
研磨装置(研磨方法)をこのように構成すれば、上定盤の外周面まで巻き上がった研磨液の乾燥や、研磨加工後、下定盤の外周面に停滞している研磨液の乾燥を防止することができる。
【0023】
また、本発明の研磨装置(研磨方法)は、太陽歯車と、前記太陽歯車の外方に同心円状に配置される内歯歯車と、前記被研磨加工物を保持するとともに、前記太陽歯車及び前記内歯歯車と噛み合う遊星歯車形状のキャリアとを更に備え、前記キャリアに保持された前記被研磨加工物を、前記上定盤及び前記下定盤で挟持するとともに、前記上定盤と前記下定盤との間に前記研磨液を供給し、前記太陽歯車及び/又は前記内歯歯車の回転に応じて、前記キャリアを自転及び公転させながら、前記被研磨加工物の研磨加工を行う構成としてある。
【0024】
研磨装置(研磨方法)をこのように構成すれば、遊星歯車方式の研磨装置において、本発明を効果的に実施することができる。つまり、遊星歯車方式の研磨装置又はこの装置を用いた研磨方法では、キャリアの公転及び自転により研磨液が飛散し、研磨粒子の凝集固着が発生しやすいが、研磨液が飛散する箇所などに乾燥防止部材を設けることにより、研磨粒子の凝集固着を防止することができる。
【0025】
また、本発明の研磨装置(研磨方法)は、前記乾燥防止部材が、前記太陽歯車の上面及び/又は前記内歯歯車の上面に設けられる構成としてある。
研磨装置(研磨方法)をこのように構成すれば、太陽歯車の上面に飛散した研磨液の乾燥や、研磨加工後、内歯歯車の上面に停滞している研磨液の乾燥を防止することができる。
【0026】
また、本発明の研磨装置(研磨方法)は、外部から供給される前記研磨液を受け取り、この研磨液を、前記被研磨加工物に供給する研磨液供給用部材を更に備え、前記研磨液供給用部材が、前記研磨液と接触する可能性があり、かつ、前記研磨液が定常的に到達しない箇所、あるいは、研磨加工時に前記研磨液が定常的に到達し、かつ、研磨加工後も前記研磨液が停滞する箇所に、前記乾燥防止部材を備える構成としてある。
研磨装置(研磨方法)をこのように構成すれば、研磨液供給用部材における研磨液の乾燥を防止することができる。特に、研磨液供給用部材に研磨粒子が凝集固着した場合は、被研磨加工物に傷を付ける可能性が高いため、欠陥の発生を大幅に低下させることが可能になる。
【0027】
また、上記目的を達成するため本発明におけるマスクブランクス用基板の製造方法は、上記研磨方法を用いて、マスクブランクス用基板を研磨する工程が含まれる方法としてある。
マスクブランクス用基板の製造方法をこのような方法にすれば、凝集固着した研磨粒子に起因する欠陥の発生を防止し、マスクブランクス用基板を歩留まり良く製造することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[研磨装置の概略説明]
まず、本発明の実施形態に係る研磨装置の概略(従来と共通の部分)について、図1及び図2を参照して説明する。
【0029】
図1は、研磨装置の断面図、図2は、研磨装置の一部を省略した内部斜視図である。
これらの図に示すように、研磨装置は、下定盤10、上定盤20、太陽歯車30、内歯歯車40、キャリア50、研磨液供給部60などで構成される遊星歯車方式の研磨加工部を備えている。
【0030】
下定盤10は、円環状の水平な上面を有する円盤部材であり、その上面には研磨パッド11が貼り付けられている。下定盤10の下面は、垂直軸A(研磨加工部の中心を通る垂直軸)を中心として回転可能な下部支持部材12に固定されている。下部支持部材12は、下定盤回転駆動部13と連係されており、その駆動によって、下定盤10及び下部支持部材12が回転動作される。
なお、下定盤10は、回転不能に固定されていてもよい。
【0031】
上定盤20は、円環状の水平な下面を有する円盤部材であり、下定盤10と対向する下面には、研磨パッド21が貼り付けられている。上定盤20の上面は、垂直軸Aを中心として回転可能な上部支持部材22に固定されている。上部支持部材22は、上定盤回転駆動部23に連係されており、その駆動によって、上定盤20及び上部支持部材22が回転動作される。
また、上定盤20及び上部支持部材22は、垂直軸Aに沿って昇降自在に支持されるとともに、図示しない上定盤昇降駆動部の駆動によって昇降動作される。
なお、上定盤20は、回転不能に固定されていてもよい。
【0032】
太陽歯車30は、研磨加工部の中央位置に回転可能に設けられており、太陽歯車回転駆動部31の駆動に応じて、垂直軸Aを中心として回転動作される。ただし、内歯歯車40を回転動作させる場合は、太陽歯車30を回転不能に固定してもよい。
また、本実施形態の太陽歯車30は、側面部に歯列が一体形成された平歯車であるが、ピン歯車などとしてもよい。
【0033】
内歯歯車40は、内周側に歯列を有するリング状の歯車であり、太陽歯車30の外方に同心円状に配置されている。本実施形態の内歯歯車40は、回転不能に固定されているが、垂直軸Aを中心として回転可能とし、内歯歯車回転駆動部(図示せず)の駆動に応じて、回転動作するようにしてもよい。
また、内歯歯車40においても、平歯車のほか、ピン歯車などを用いてもよい。
【0034】
キャリア(遊星歯車)50は、外周部に歯列を有する薄板状の円盤部材であり、被研磨加工物Wを保持するためのワーク保持孔50aが1個あるいは複数個形成されている。
なお、キャリア50は、キャリアに形成された孔に、被研磨加工物Wの保持具をゆるく挿入して使用するダブルキャリア方式のものであってもよい。
【0035】
研磨加工部には、通常、複数個のキャリア50が配置される。これらのキャリア50は、太陽歯車30及び内歯歯車40に噛み合い、太陽歯車30及び/又は内歯歯車40の回転に応じて、太陽歯車30の周囲を公転しつつ自転する。
つまり、キャリア50に保持された被研磨加工物Wを上定盤20及び下定盤10で挟持し、この状態でキャリア50を公転及び自転させることにより、被研磨加工物Wの上下両面が研磨加工される。
【0036】
このような研磨加工部では、通常、上定盤20及び下定盤10の外径が内歯歯車40の内径よりも小さくなっており、太陽歯車30と内歯歯車40との間で、かつ上定盤20と下定盤10とに挟まれるドーナツ状の領域が実際の研磨領域となる。
【0037】
研磨液供給部60は、研磨液を貯溜する研磨液貯留部61と、研磨液貯留部61に貯溜された研磨液を、上定盤20と下定盤10との間の研磨領域に供給する複数のチューブ62とを備えて構成されている。
研磨液貯留部61は、水平面上に環状の研磨液貯溜路を形成しており、複数の支柱部材63を介して、上部支持部材22の上方位置に設けられている。
【0038】
上部支持部材22、上定盤20及び研磨パッド21には、互に連通する貫通孔22a、20a、21aが複数形成されており、ここに各チューブ62の下端部が接続される。これにより、研磨液貯留部61に貯溜された研磨液が、チューブ62及び貫通孔22a、20a、21aを介して、上定盤20と下定盤10との間の研磨領域に供給される。
なお、図示は省略するが、研磨領域に供給された研磨液は、所定の回収路を経由して、タンクに回収された後、ポンプ及びフィルタが介在する還元路を経由して、再び研磨液貯留部61に送られる。
【0039】
[研磨液]
研磨液としては、微細な研磨粒子を液体中に分散させたものが一般的に用いられる。
研磨粒子は、例えば、炭化珪素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化マンガン、コロイダルシリカなどであり、被研磨加工物Wの材質、加工表面粗さなどに応じて適宜選択される。
これらの研磨粒子は、水、酸性溶液、アルカリ性溶液などの液体中に分散され、研磨液とされる。
【0040】
[被研磨加工物]
本発明は、平板状の基板を被研磨加工物Wとした平面研磨に有用である。平面研磨には、両面研磨及び片面研磨が含まれる。
このような被研磨加工物Wとしては、リソグラフィに用いるフォトマスクを形成するためのフォトマスクブランク用基板、液晶表示装置を形成するための基板、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどの情報記録媒体を形成するための基板、半導体ウエハーなどが挙げられる。特に、微細な傷がデバイス性能に影響するフォトマスクブランク用基板に有用である。
【0041】
また、被研磨加工物Wの形状としては、矩形、円形、円盤、ブロック形状などが挙られる。
また、被研磨加工物Wの材料としては、ガラス、結晶化ガラス、シリコン、化合物半導体(炭化珪素やGaAsなど)、金属(アルミニウム、チタン、プラチナなど)、カーボンなどが挙げられる。
【0042】
[乾燥防止部材]
つぎに、本発明に係る研磨装置の特徴部分について、図1及び図3を参照して説明する。
図3は、研磨装置の外端部を示す断面図である。
図1及び図3に示すように、研磨装置において、研磨液と接触する可能性があり、かつ、研磨液が定常的に到達しない箇所、あるいは、研磨加工時に研磨液が定常的に到達し、かつ、研磨加工後も研磨液が停滞する箇所には、この箇所を常に湿った状態に保つ乾燥防止部材70が設けられている。
【0043】
乾燥防止部材70を設ける箇所は、研磨加工中又は研磨加工後に、乾燥によって研磨粒子の凝集固着が生じやすく、かつ、乾燥防止部材70を設けても、研磨加工自体に支障がないことを条件に選定される。
このように研磨粒子の凝集固着が生じやすい箇所に、乾燥防止部材70を設けて、この部分を常に濡れた状態に保てば、乾燥による研磨粒子の凝集固着を防止することが可能になる。
【0044】
乾燥防止部材70は、優れた吸水性(保水性)を有し、かつ、設置する場所の形状に応じて変形可能な可撓性を有する材料で形成されることが好ましい。材料としては、スポンジ状の多孔質材料、吸水性の布や紙などが挙げられるが、設置箇所を常に湿潤した状態に保持できるものであればよい。
【0045】
乾燥防止部材70は、乾燥を防止したい箇所に、直接接触するように設けることが好ましい。例えば、水などの液体で湿潤させた乾燥防止部材70を、必要箇所に直接貼り付けるなど方法により設置することができる。また、接着剤や取付具を用いて、所定箇所に設置するようにしてもよい。
【0046】
また、乾燥防止部材70は、乾燥を防止したい箇所だけに設置することなく、定常的に研磨液が到達する領域を含むように設置することが好ましい。乾燥防止部材70をこのように設置すれば、常に研磨液が乾燥防止部材70に達するようになり、乾燥防止部材70を常に湿潤した状態に保持することが可能になる。
【0047】
なお、乾燥防止部材70を常に湿潤した状態とするために、霧状の液体を乾燥防止部材70に噴霧するようにしてもよい。また、研磨加工の雰囲気を湿度が高い状態に保持するようにしてもよい。この場合、研磨加工の雰囲気は、湿度50%以上の状態とすることが好ましい。
【0048】
[乾燥防止部材の作用]
乾燥防止部材70は、研磨加工中、湿潤状態に保持される。したがって、乾燥防止部材70が設けられた箇所は、常に濡れた状態に保持される。
研磨加工中、乾燥防止部材70を設けた箇所に研磨液が飛散すると、飛散した研磨液は、乾燥防止部材70に吸収されるとともに、乾燥防止部材70に含まれる水分によって乾燥が防止される。これにより、研磨加工中に飛散した研磨液が、乾燥により凝集固着することを阻止し、凝集固着した研磨粒子に起因する被研磨加工物の欠陥を防止できる。
【0049】
また、乾燥防止部材70は、研磨加工後も湿潤状態に保持される。したがって、乾燥防止部材70が設けられた箇所は、研磨加工後も濡れた状態に保持される。
研磨加工後、乾燥防止部材70を設けた箇所に研磨液が停留すると、停留した研磨液は、乾燥防止部材70に含まれる水分によって乾燥が防止される。これにより、研磨加工後、停留している研磨液が、乾燥により凝集固着することを阻止し、凝集固着した研磨粒子に起因する被研磨加工物の欠陥を防止できる。
【0050】
[乾燥防止部材の設置箇所]
つぎに、本実施形態における乾燥防止部材70の具体的な設置箇所について説明する。
本実施形態では、太陽歯車30の上面に乾燥防止部材70が設けられる。太陽歯車30は、研磨加工部の中心に配置されているため、その上面に研磨液が飛散しやすく、しかも、太陽歯車30の上面は、定常的に研磨液が到達する領域ではないため、研磨粒子の凝集固着が発生しやすかった。
そこで本実施形態では、太陽歯車30の歯列形成部分を除き、上面ほぼ全域に乾燥防止部材を設け、この部分の乾燥を防止している。
【0051】
また、本実施形態では、内歯歯車40の上面に乾燥防止部材70が設けられる。内歯歯車40には、研磨加工中、キャリア50の上面を伝わり、研磨液が到達する。この研磨液は、キャリア50などの遠心力を伴うため、内歯歯車40の上面にも飛散する。内歯歯車40の上面は、定常的に研磨液が到達する領域ではないため、研磨粒子の凝集固着が起こりやすかった。
そこで本実施形態では、内歯歯車40の歯列形成部分を除き、上面ほぼ全域(全周)に乾燥防止部材を設け、この部分の乾燥を防止している。
【0052】
また、本実施形態では、上定盤20の外周面に乾燥防止部材70が設けられる。上定盤20の外周面、特に外周面の下側は、上定盤20の遠心力及び研磨液の表面張力などにより、研磨液が巻き上がりやすく、全周にわたって研磨粒子の凝集固着が発生しやすかった。
そこで本実施形態では、上定盤20の外周面に、ほぼ全周にわたって乾燥防止部材70を設けることにより、この部分の乾燥を防止している。上定盤20の外周面における乾燥防止部材70の設置範囲は、外周面の下端から1cm以上であることが好ましく、更に、外周面の下端から5cmの高さまで全周にわたって乾燥防止部材70を設けることが好ましい。また、上定盤20の外周面全体に乾燥防止部材70を設けてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、下定盤10の外周面に乾燥防止部材70が設けられる。下定盤10の外周面は、研磨加工中、研磨液が常に接触している部分であるが、研磨加工終了後、ここに停留した研磨液が乾燥し、全周にわたって研磨粒子の凝集固着が発生しやすかった。
そこで本実施形態では、下定盤10の外周面に、ほぼ全周にわたって乾燥防止部材70を設けることにより、この部分の乾燥を防止している。下定盤10の外周面における乾燥防止部材70の設置範囲は、外周面の上端から1cm以上であることが好ましく、更に、外周面の上端から5cm以上とし、全周にわたって乾燥防止部材70を設けることが好ましい。また、下定盤10の外周面全体に乾燥防止部材70を設けてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、研磨液貯留部(研磨液供給用部材)61に乾燥防止部材70が設けられる。本実施形態の研磨液貯留部61は、前述したように円環状に形成されており、タンクから供給される研磨液を受け取り、これを研磨加工部に供給するように構成される。この研磨液貯留部61は、通常、上定盤20とともに回転するため、ここに供給される研磨液が樋溝の側壁上部に飛散するとともに、これが乾燥して研磨粒子の凝集固着が発生しやすかった。
【0055】
そこで本実施形態では、研磨液貯留部61の側壁上部に、ほぼ全周にわたって乾燥防止部材70を設けることにより、この部分の乾燥を防止している。このとき、乾燥防止部材70は、少なくとも研磨液貯留部61の内側面上部を含むように設けられるが、図1に示すように、研磨液貯留部61の側壁上部を包み込むように設ければ、研磨液貯留部61の外側面上部でも乾燥が防止される。
【0056】
更に好ましくは、乾燥防止部材70の下端部を、定常的に研磨液が溜まる樋溝の底部近傍まで連続的に設ける。この場合には、乾燥防止部材70が常に研磨液に接触し、湿潤状態に保たれる。
なお、研磨液供給用部材は、樋形状の研磨液貯留部61に限定されるものではなく、樋形状以外の研磨液供給用部材であっても、乾燥防止部材70を用いて研磨液の乾燥を防止することができるものであれば、種々形状のものを利用することができる。
【0057】
[研磨方法]
つぎに、本発明の研磨方法について説明する。
まず、研磨加工に先立ち、研磨加工に支障がなく、かつ、研磨粒子の凝集固着が発生しやすい箇所に、湿潤状態の乾燥防止部材70を設け、ここを濡れた状態とする。
つぎに、下定盤10、上定盤20、太陽歯車30(内歯歯車40)の回転が停止した状態で、上定盤20を上昇させ、下定盤10と上定盤20を離間させる。
この状態で、キャリア50のワーク保持孔50aに被研磨加工物Wをセットする。
【0058】
上定盤20を下降させて、キャリア50に保持された被研磨加工物Wを上定盤20及び下定盤10で挟み、研磨液供給部60から研磨領域に研磨液を供給するとともに、下定盤10、上定盤20、太陽歯車30(内歯歯車40)を回転動作させ、被研磨加工物Wの研磨加工を開始する。
【0059】
被研磨加工物Wを保持したキャリア50は、太陽歯車30(内歯歯車40)の回転動作に応じて、太陽歯車30の周囲を公転しつつ自転する(図2)。
なお、歯車駆動は、太陽歯車30、内歯歯車40の両方、又はいずれか一方でもよい。また、上定盤20、下定盤10の回転動作は必要に応じて行う。
【0060】
所定の時間(又は所定の研磨加工量)だけ加工を行った後、下定盤10、上定盤20、太陽歯車30(内歯歯車40)の回転を停止するとともに、研磨液の供給を停止し、上定盤20を上昇させる。
研磨加工がなされた研磨加工品をキャリア50のワーク保持孔50aより搬出する。
【0061】
上記のような研磨方法によれば、研磨加工中、乾燥防止部材70を設けた箇所に研磨液が飛散しても、飛散した研磨液は、乾燥防止部材70に吸収されるとともに、乾燥防止部材70に含まれる水分によって乾燥が防止される。これにより、研磨加工中に飛散した研磨液が、乾燥により凝集固着することを阻止し、凝集固着した研磨粒子に起因する被研磨加工物の欠陥を防止できる。
【0062】
また、研磨加工後、乾燥防止部材70を設けた箇所に研磨液が停留しても、停留した研磨液は、乾燥防止部材70に含まれる水分によって乾燥が防止される。
これにより、研磨加工後、停留している研磨液が、乾燥により凝集固着することを阻止し、凝集固着した研磨粒子に起因する被研磨加工物の欠陥を防止できる。
【0063】
[実施例及び比較例]
図1に示す本発明の研磨装置において、被研磨加工物Wをフォトマスク用の合成石英ガラス基板とし、研磨粒子の凝集固着が発生しやすい箇所に乾燥防止部材70を設けて研磨加工を行った場合(本発明の研磨方法)と、乾燥防止部材70を設けずに研磨加工を行った場合(従来の研磨方法)を比較した。
【0064】
乾燥防止部材70としては、スポンジ状の部材(樹脂製、厚さ約5mm)を用い、これを水で濡らした状態で所定箇所に直接貼り付けた。
研磨液は、コロイダルシリカの粒子を、水を溶媒として分散させたものを使用した。
各方法で基板を1000枚研磨加工し、研磨加工後の基板1000枚について欠陥を検査するとともに、各箇所における研磨粒子の凝集固着を観察した。
【0065】
欠陥の検査は、特開平11−242001号公報に記載の検査方法で行った。
この検査装置は、基板にレーザー光を導入して、これを全反射によって基板内に閉じ込め、欠陥により散乱されて基板より漏れ出た光を検出することにより、欠陥を検出する方法である。
このような検査方法により欠陥を検査し、大きさが0.1〜0.5μm以上の欠陥が1つでも発生した場合を傷の発生ありとした。
【0066】
[比較例]
乾燥防止部材70を設けない従来の研磨方法では、傷の発生が1000枚中185枚であった。
この研磨方法では、太陽歯車30の上面、内歯歯車40の上面、研磨液貯留部61の側壁上部及び上定盤20の外周面下端部(下端から1cmの範囲)において、研磨粒子の凝集固着が顕著であった。
【0067】
[実施例1]
太陽歯車30の上面(歯列形成部分を除く)に乾燥防止部材70を設けて、研磨加工を行った。この実施例における傷の発生は、1000枚中103枚であり、傷の発生率が低下した。
また、研磨加工中、太陽歯車30の上面は常に濡れており、ここに研磨粒子の凝集固着は発生しなかった。
【0068】
[実施例2]
内歯歯車40の上面全周(歯列形成部分を除く)に乾燥防止部材70を設けて、研磨加工を行った。この実施例における傷の発生は、1000枚中78枚であり、傷の発生率が更に低下した。
また、研磨加工中、内歯歯車40の上面は常に濡れており、ここに研磨粒子の凝集固着は発生しなかった。
【0069】
[実施例3]
上定盤20の外周面全周(下端から5cmの範囲)に乾燥防止部材70を設けて、研磨加工を行った。この実施例における傷の発生は、1000枚中20枚であり、傷の発生率が大幅に低下した。
また、研磨加工中、上定盤20の外周面は常に濡れており、ここに研磨粒子の凝集固着は発生しなかった。
【0070】
[実施例4]
下定盤10の外周面全周(上端から10cmの範囲)に乾燥防止部材70を設けて、研磨加工を行った。この実施例における傷の発生は、1000枚中18枚であり、傷の発生率が大幅に低下した。
また、研磨装置停止後も、下定盤10の外周面は濡れた状態に保持され、ここに研磨粒子の凝集固着は発生しなかった。
【0071】
[実施例5]
研磨液貯留部61の側壁上部全周を包み込み、かつ、下端部が樋溝内に溜まっている研磨液に到達するように乾燥防止部材70を設けて、研磨加工を行った。この実施例における傷の発生は、1000枚中10枚であり、傷の発生率が大幅に低下した。
また、研磨加工中、研磨液貯留部61の側壁上部は常に濡れており、ここに研磨粒子の凝集固着は発生しなかった。
【0072】
[実施例6]
実施例1及び2の箇所に乾燥防止部材70を設けて、研磨加工を行った。この実施例における傷の発生は、1000枚中43枚であり、傷の発生率が更に低下した。
また、乾燥防止部材70を設けた全ての箇所は常に濡れており、ここに研磨粒子の凝集固着は発生しなかった。
[実施例7]
実施例3及び4の箇所に乾燥防止部材70を設けて、研磨加工を行った。この実施例における傷の発生は、1000枚中13枚であり、傷の発生率が更に低下した。
また、乾燥防止部材70を設けた全ての箇所は常に濡れており、ここに研磨粒子の凝集固着は発生しなかった。
【0073】
[実施例8]
実施例1,2及び5の箇所に乾燥防止部材70を設けて、研磨加工を行った。この実施例における傷の発生は、1000枚中21枚であり、傷の発生率が更に低下した。
また、乾燥防止部材70を設けた全ての箇所は常に濡れており、ここに研磨粒子の凝集固着は発生しなかった。
[実施例9]
実施例3〜5の箇所に乾燥防止部材70を設けて、研磨加工を行った。この実施例における傷の発生は、1000枚中6枚であり、傷の発生率が更に低下した。
また、乾燥防止部材70を設けた全ての箇所は常に濡れており、ここに研磨粒子の凝集固着は発生しなかった。
【0074】
[実施例10]
実施例1〜5のすべての箇所に乾燥防止部材70を設けて、研磨加工を行った。この実施例における傷の発生は、1000枚中1枚であり、傷の発生率が更に大幅に低下した。
また、乾燥防止部材70を設けた全ての箇所は常に濡れており、ここに研磨粒子の凝集固着は発生しなかった。
【0075】
大きさが0.1〜0.5μm以上の欠陥のないガラス基板は、F2エキシマレーザ(波長157nm),ArFエキシマレーザー(波長193nm),KrFエキシマレーザー(波長248nm)露光用のマスクブランクス用基板に相当し、上述の実施例のとおり、傷(欠陥)の発生率が大幅に低下していることから、本発明の研磨装置は、マスクブランクス用基板の製造歩留まりを大幅に向上できることがわかる。
【0076】
上記各実施例1〜10により、基板1000枚の加工を行った後、研磨装置の清掃を行った。その結果、いずれの実施例でも、比較例に比べ、清掃時間が短縮され、清掃が容易であった。
【0077】
[マスクブランクス用ガラス基板の製造方法]
つぎに、本発明の研磨装置及び研磨方法が使用される例として、マスクブランクス用ガラス基板の製造方法を説明する。
図4は、マスクブランクス用ガラス基板の製造方法を示すフローチャートである。
この図に示すように、マスクブランクス用ガラス基板の製造方法には、研削工程(S101)と、粗研磨工程(S102)と、エッチング処理工程(S103)と、精密研磨工程(S104)と、欠陥検査工程(S105)とが含まれる。
【0078】
研削工程は、ガラス基板の表面を平坦にし、形状を整える工程である。例えば、碁盤の目のような溝を形成した鋳鉄定盤に酸化アルミニウムの研磨液を供給しながらガラス基板の研削加工が行われる。
粗研磨工程は、研削工程で得られた平坦性を維持又は向上させつつ表面粗さを低減させる工程である。
例えば、研磨パッドとして硬質ポリシャ(ウレタンパッド)や軟質ポリシャ(スウェードタイプ)を用い、水に酸化セリウムを分散させた研磨液を供給しながら、ガラス基板の研磨加工が行われる。
【0079】
エッチング処理工程は、ガラス基板の表面から深さ方向に延びているクラックをエッチング処理によって顕著化させる工程である。
例えば、ガラス基板を薬液に含浸し、ガラス基板の表面を約0.05μmエッチング除去することにより、ガラス基板の表面近傍に存在するクラックを顕著化させる。薬液としては、フッ酸などの酸性の溶液か、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性の溶液が挙げられる。
【0080】
精密研磨工程は、主に表面粗さを低減させる工程であり、粗研磨工程で使用する研磨粒子より小さな研磨粒子を用いて、ガラス基板を研磨する工程である。
例えば、研磨パッドとして軟質ポリシャ(スウェードタイプ)を用い、水やアルカリ性の溶媒にコロイダルシリカを分散させた研磨液を供給しながら、ガラス基板の研磨加工が行われる。
【0081】
欠陥検査工程は、精密研磨工程を行っても欠陥が取り除かれないガラス基板や、精密研磨工程で欠陥が生じたガラス基板を不良品として排除するために、ガラス基板の欠陥を検査する工程である。
例えば、光学的な検査方法を用いて、ガラス基板の表面に存在する欠陥を検査し、大きさが0.1〜0.5μm以上の欠陥が1つでも発見されたとき、不良品として排除される。
【0082】
前述した本発明の研磨方法は、上記の粗研磨工程や精密研磨工程で実施することができ、特に、最終的な研磨加工が行われる精密研磨工程で実施すると有用である。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明が前記実施形態に限定されないことは勿論である。
乾燥防止部材70は、実施形態に示した箇所に限らず、研磨粒子の凝集固着が発生しやすい他の箇所にも適宜設けることができる。例えば、図5に示すように、下定盤10の外周部下方に、研磨液回収樋64を設け、ここで回収された研磨液を再度研磨加工部に供給するような場合は、研磨液回収樋64の研磨粒子が固着しやすい部分、例えば、研磨液貯留部61と同様に、側壁上部近傍に乾燥防止部材70を設ければ、研磨液の乾燥を効果的に防止することができる。
【0084】
また、乾燥防止部材70は、図5に示すように、上定盤20の内周面、上部支持部材22の中央部下面、下定盤10の内周面、下部支持部材12の内周面及び外周面、内歯歯車40を支持する内歯歯車支持部材41の内周面などにも設けることができる。
乾燥防止部材70は、いずれか一箇所のみに設けることも可能であるが、複数箇所に同時に設けるほうが効果的である。
【0085】
研磨装置としては、前記実施形態のように、平板状の被研磨加工物を両面研磨又は片面研磨するものに限らず、円筒状、円柱状などの被研磨加工物を対象とし、その端面研磨を行うものでも適用が可能である。
また、遊星歯車方式の研磨装置に限らず、上定盤の下端部に被研磨加工物を保持し、これに荷重をかけながら、下定盤に対して相対的に運動させる片面研磨装置などでも適用が可能である。
【0086】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、構造を複雑にしたり、大幅なコストアップを伴うことなく、研磨粒子の凝集固着を効果的に防止できるようにし、その結果、凝集固着した研磨粒子に起因する欠陥の発生を抑制して、研磨加工の歩留まりを向上させることができるとともに、装置の清掃を容易にして、研磨加工の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】研磨装置の断面図である。
【図2】研磨装置の一部を省略した内部斜視図である。
【図3】研磨装置の外端部を示す断面図である。
【図4】マスクブランクス用ガラス基板の製造方法を示すフローチャートである。
【図5】乾燥防止部材の他の設置例を示す断面図である。
【符号の説明】
W 被研磨加工物
10 下定盤
20 上定盤
30 太陽歯車
40 内歯歯車
50 キャリア
60 研磨液供給部
61 研磨液貯留部
70 乾燥防止部材

Claims (8)

  1. 上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、被研磨加工物を挟持し、この被研磨加工物に研磨液を供給しながら、前記被研磨加工物の研磨加工を行う研磨装置であって、
    前記研磨液と接触する可能性があり、かつ、前記研磨液が定常的に到達しない箇所、あるいは、研磨加工時に前記研磨液が定常的に到達し、かつ、研磨加工後も前記研磨液が停滞する箇所に、この箇所を常に湿った状態に保つ乾燥防止部材が設けられることを特徴とする研磨装置。
  2. 上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、被研磨加工物を挟持し、この被研磨加工物に研磨液を供給しながら、前記被研磨加工物の研磨加工を行う研磨装置を用い、
    前記研磨装置のうち、前記研磨液と接触する可能性があり、かつ、前記研磨液が定常的に到達しない箇所、あるいは、研磨加工時に前記研磨液が定常的に到達し、かつ、研磨加工後も前記研磨液が停滞する箇所を、ここに設けられる乾燥防止部材によって、常に湿潤状態に保持しながら研磨加工を行うことを特徴とする研磨方法。
  3. 前記乾燥防止部材が、湿潤状態を保つ吸水性部材であり、前記箇所に直接接触するように設けられることを特徴とする請求項2記載の研磨方法。
  4. 前記乾燥防止部材が、前記上定盤の外周面及び/又は前記下定盤の外周面に設けられることを特徴とする請求項2又は3記載の研磨方法。
  5. 太陽歯車と、
    前記太陽歯車の外方に同心円状に配置される内歯歯車と、
    前記被研磨加工物を保持するとともに、前記太陽歯車及び前記内歯歯車と噛み合う遊星歯車形状のキャリアとを更に備え、
    前記キャリアに保持された前記被研磨加工物を、前記上定盤及び前記下定盤で挟持するとともに、前記上定盤と前記下定盤との間に前記研磨液を供給し、前記太陽歯車及び/又は前記内歯歯車の回転に応じて、前記キャリアを自転及び公転させながら、前記被研磨加工物の研磨加工を行うことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の研磨方法。
  6. 前記乾燥防止部材が、前記太陽歯車の上面及び/又は前記内歯歯車の上面に設けられることを特徴とする請求項5記載の研磨方法。
  7. 外部から供給される前記研磨液を受け取り、この研磨液を、前記被研磨加工物に供給する研磨液供給用部材を更に備え、
    前記研磨液供給用部材が、前記研磨液と接触する可能性があり、かつ、前記研磨液が定常的に到達しない箇所、あるいは、研磨加工時に前記研磨液が定常的に到達し、かつ、研磨加工後も前記研磨液が停滞する箇所に、前記乾燥防止部材を備えることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の研磨方法。
  8. 請求項2〜7のいずれかに記載研磨方法を用いて、マスクブランクス用基板を研磨する工程が含まれることを特徴とするマスクブランクス用基板の製造方法。
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