JP2004255266A - 農業機械における騒音低減装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】籾摺選別装置の風選部等騒音の伝播する閉空間における当該騒音の低減をはかる。
【解決手段】騒音源に通じる閉空間内に、所定の共鳴周波数に設定され孔部34,34…を備えた板材(目抜き鉄板33)の当該孔部近傍の空気を振動させることより騒音を低減する吸音構造部材30を設ける。また、この吸音構造部材30は、機体を構成する側面板31に所定間隔の空気層32を隔てて設けたり、あるいは上記空気層32部分に吸音材35を充填することにより、吸音効果を向上させる。
【選択図】 図5
【解決手段】騒音源に通じる閉空間内に、所定の共鳴周波数に設定され孔部34,34…を備えた板材(目抜き鉄板33)の当該孔部近傍の空気を振動させることより騒音を低減する吸音構造部材30を設ける。また、この吸音構造部材30は、機体を構成する側面板31に所定間隔の空気層32を隔てて設けたり、あるいは上記空気層32部分に吸音材35を充填することにより、吸音効果を向上させる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、騒音低減装置に関し、籾摺選別機等の農業機械に利用するものである。
【0002】
【従来の技術】
農業機械,例えば籾摺選別機の騒音を減少させる従来技術として特許文献1には、操作パネル,籾殻等の排塵部を除いて、発泡スチロール等からなるカバーで機体を被覆して騒音を低減させようとするものである。
【0003】
しかしながら、籾摺選別機には摺落米を風選する風選部が設けられているところ、風選部の吸引部及び排塵部に対する消音の配慮がなされてなく、消音効果に制限があるとして、特許文献2に記載の構成がある。即ち、籾摺選別機の選別風路は左右壁部や上下の選別棚部にて囲われて閉空間を呈し脱ぷロールの摺り出し音がこの閉空間に通じて音が篭り不快感を与えるが、このような閉空間における騒音低減に着目して、特許文献2の構成は、所定空間を隔てた扁平なケースに前後両側面を連続した孔部で構成される独立の空気マスと前後両側面に形成した孔部と中間部がケース内全域と連通状態の空気バネとによる2種類の振動系からなる通気型減音ケースを籾摺選別機に設ける形態としたものである。
【0004】
【特許文献1】
特開昭61−263653号公報
【特許文献2】
特開平02−569号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記後者の構成によると、風選部内に発生した騒音は通気型減音ケース28の空気マス部及び広いケース内空気層の空気バネ部を通過することにより、透過波が互いに逆相となつて干渉し、打ち消し合うことによって騒音を低減させるものであるから、これら通気性減音ケースの構成を要して複雑化するものとなる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、このような問題点を解決するために、次の技術的手段を講じた。即ち、請求項1に記載の発明は、機体内に騒音源を有する農業機械において、該機体内に所定の共鳴周波数に設定され孔部を備えた板材の当該孔部近傍の空気を振動させることより音圧エネルギを減衰して騒音を低減する吸音構造部材を設けてなる農業機械における騒音低減装置の構成とする。
【0007】
農業機械の運転中、機体内において伝播する騒音源からの騒音は、所定の共鳴周波数に設定された吸音構造部材の孔部近傍の空気が振動することにより主として当該周波数成分の音エネルギが共鳴して減衰する。
請求項2に記載の発明は、吸音構造部材は、機体を構成する側面板等の壁部に、所定間隔の空気層を隔てて所定の共鳴周波数に設定された孔部を形成した板材を設けることによって構成される。
【0008】
孔部近傍の空気振動に加えて空気層部の空気振動に伝播することより騒音の音エネルギの共鳴吸収効果を増大する。
更に、請求項3に記載の発明は、側面板と板材との上記空気層部分に吸音材を充填してなる請求項2に記載の農業機械における騒音低減装置の構成とする。
【0009】
空気層部分の吸音材の充填により、騒音の共鳴吸収効果に加え、共鳴周波数成分に関らずその音エネルギを吸収する。
【0010】
【発明の効果】
所定の共鳴周波数に設定した吸音構造部材の孔部近傍の空気を振動させて主として当該周波数成分の音エネルギを共鳴して減衰するものであるから、吸音構造部材は板材に孔部を形成する簡単な構成によって騒音低減を可能とする。また、機体の側面板から空気層を隔てて吸音構造部材の板材を設ける場合はこの空気層にも空気振動が伝播して吸音効果を増大する。更にこの空気層部分に吸音材を充填すると騒音の共鳴周波数成分に関らずその音エネルギを吸収でき吸音効果を増すことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示すこの発明の実施例について説明する。まず図1〜図4に基づき、籾摺選別機の全体構成について説明する。籾摺選別機は、籾摺をする籾摺部1,籾摺部1からの摺落米を風選する摺落米風選部2,摺落米風選部2での風選後の混合米を籾・玄米に分離選別する揺動選別部3,混合米揚穀機4及び玄米揚穀機5等により構成されている。
【0012】
籾摺部1は、上部の籾ホッパ6,籾摺ロール7,7の内装されている籾摺室8等で構成されている。摺落米風選部2は、摺落米風選箱9,摺落米風選路10,粃受樋11,摺落米受樋12,吸引フアン13,排塵筒14等により構成されている。
【0013】
次に、揺動選別部3について説明する。多段の揺動選別板15,15…には、板面に選別用の凹凸あるいは選別凸条が形成されていて、縦方向の一側を高い供給側、他側を低い排出側とし、横方向の一方側を高い揺上側、反対側を低い揺下側として、揺動選別板15の縦横2方向ともに傾斜した構成とし、揺動選別板15,15…は揺動アーム,揺動リンクから構成されている揺動装置で、横方向斜め上下に往復揺動される構成である。
【0014】
この揺動選別板15,15…における供給側には供給口が構成されていて、分配供給樋16及び分配ケース17を経由した混合米が多段の揺動選別板15,15…各段に供給される構成である。揺動選別板15,15…に供給された混合米は、粒形の大小,比重の大小,摩擦係数の大小等の関係で選別され、選別穀粒は揺動選別板15の排出側に設けられている玄米仕切板18及び籾仕切板19で仕切られて取り出される。
【0015】
取り出された玄米は、玄米取出樋20,玄米流路21,玄米揚穀機5を経て機外に取り出され、また、混合米は混合米取出樋22,混合米流路23,摺落米受樋12,混合米揚穀機4,混合米ホッパ24,分配供給樋16,分配ケース17を経て、揺動選別板15,15,…に供給されて再選別される。また、取り出された籾は、籾取出樋25,籾流路26,籾揚穀機27を経て籾摺部1に揚穀還元されて、再度の籾摺がなされる構成である。
【0016】
次に、籾摺選別機の作用について説明する。籾摺作業をする場合には、籾摺部1の籾ホッパ6に籾を供給し、籾摺選別機の回転各部を駆動する。次いで、籾ホッパ6から籾摺ロール7,7に籾を供給して籾摺し、摺落米を下方の摺落米風選路10で風選する。軽い籾殻を吸引フアン13,排塵筒14を経て機外に排出し、比較的軽い粃粒は粃受樋11に落下選別され、重い玄米及び籾の混合米は、摺落米受樋12に落下選別される。
【0017】
しかして、選別された混合米は、混合米揚穀機4,混合米ホッパ24,分配供給樋16及び分配ケース17を経て、揺動選別板15,15,…に供給される。混合米は、揺動選別板15が横方向斜上下に往復揺動されると、粒形の大小、比重の大小、摩擦係数の大小等の関係で、小形で比重の重い玄米は揺上側に偏流分布し、また、玄米に比較して大形で比重の軽い籾は揺下側に偏流分布し、また、その中間部には分離されない混合米が分布しつつ選別される。
【0018】
揺動選別板15,15,…の排出側から流下した穀粒は、玄米仕切板18及び籾仕切板19で仕切られる。玄米仕切板18で仕切られた玄米は、玄米取出樋20,玄米流路21及び玄米揚穀機5を経て機外に取り出され、また、玄米仕切板18及び籾仕切板19で仕切られた混合米は、混合米取出樋22,混合米流路23,混合米揚穀機4,混合米ホッパ24,分配供給樋16及び分配ケース17を経て揺動選別板15に供給されて再選別され、また、籾仕切板19で仕切られた籾は、籾取出樋25,籾流路26及び籾揚穀機27を経て籾摺部1に還元されて再度の籾摺がされる。
【0019】
次に、図5及び図6に基づき籾摺選別機の騒音低減の構成について説明する。騒音低減のための吸音構造部材30は、例えば摺落米風選部2の摺落米風選路10を形成する側面板31に、所定間隔の空気層32を隔てて目抜き鉄板33を設けることによって構成してなる。そして吸音原理について、この目抜き鉄板33には所定孔径d及び所定ピッチDの孔部34,34…を複数に穿設し、上記空気層32等を所定に設定することで共鳴周波数f(Hz)を得て、所定の共鳴周波数fとなし、該共鳴周波数fが孔部34近傍の空気を振動させ摺落風選路10内における騒音等の音圧エネルギを吸収する原理を用いるものである。
【0020】
ここで、音速c≒345(m/s)、目抜き鉄板33に一定のパターンで複数に設ける孔部34,34…の孔ピッチD(m)、孔径d(m)とすると、目抜き鉄板33の開孔率p(d)は、
p(d)=πd2/4・D2……(式1)
で表される。つまり、孔径dの増加に伴って開孔率p(d)も増加するものとなる(図7)。
【0021】
また、目抜き鉄板33の板厚t(m)、前記空気層32厚lとすると、共鳴周波数fは、
f=(c/2π)(p(d)/((t+0.8d)×l))1/2……(式2)
で表される。
【0022】
従って、板厚t、空気層厚lを知って、p(d)を決めると共鳴周波数fが設定できる。
一方、前記摺落米風選部2の摺落米風選路10には、脱ぷロールの擦れ合う際やその他の騒音源の音が篭っているが、周波数分析装置にて予めこの風選路10の騒音の周波数特性を分析しておくことにより、減衰すべき音エネルギの周波数Fを選択し、当該周波数Fと共鳴周波数fとが略一致すべく、例えば上記p(d)値、ひいては孔径dや孔ピッチDを決定するものである。
【0023】
なお、図8は孔径dと共鳴周波数f(d)との関係一例を示すもので、孔径の選択によって共鳴周波数f(d)を決定できる。
上記のように設定した目抜き鉄板33の孔部34,34…近傍の空気が振動され主として当該周波数成分の音エネルギを共鳴吸収して減少させるものとなる。
【0024】
図9,10に実施一例を示す。吸音構造部材30は、摺落米風選部2の摺落米風選路10を形成する左右の側面板31に、それぞれ所定間隔の空気層32を隔てて目抜き鉄板33を設ける。すなわち、上記吸音構造部材30を構成する目抜き鉄板33は、上下多段の選別棚10a及び10bで形成される前記摺落米風選路10の側面板31に対して間隔保持金具37を介することより所定間隔の空気層32を隔てて設ける。また、目抜き鉄板33の下縁33aを上記選別棚10b面との間に間隔をおいて側面板31に取り付けることにより、棚10b面の穀粒等の流下を阻害しない。さらに、側面板31から延出状態に設ける受け体36で目抜き鉄板33の下縁33aを支持することにより、孔部34,34…の切断によって形成される尖端凸状を覆うことができ、流下する藁屑や枝梗等の流れを阻害しない(図10)。後記吸音材35の保持にも有効である。
【0025】
図11は共鳴周波数f=800Hzの例であって、前後所定周波数幅において騒音レベルの減少を呈する状態が認められる。これは、空気振動によって選択された共鳴周波数f値における騒音レベルの低下が顕著であるほか、その前後周辺においても徐々に効果を減少しつつも騒音レベルの低下に寄与するためである(図12)。
【0026】
図13は前記空気層32に不織布、グラスウール等の吸音材35を充填した構成を示すものである。孔部34からの騒音は主として上記共鳴周波数f近傍の音エネルギの減少を司るものとなるが、吸音材35は周波数の高低を問わず、吸収して音エネルギを減衰させる効果がある。
【0027】
上例吸音構造の作用について説明する。
籾摺選別機の摺落米風選路10には、籾摺ロール7,7の摺り出し音や吸引ファン13の吸引風音、あるいは摺り出し米の衝突音等が伝播している。そこで、この風選路10の発生音の周波数分析を行い、減衰すべき音エネルギの周波数Fを選択し、これを共鳴周波数fとする。次いで、当該周波数f値と、予め設定した板厚t、空気層厚lの各値より式2の関係に基づき、開孔率p(d)、ひいては孔径d及びピッチDを求め、目抜き鉄板33の形状等の決定する。この目抜き鉄板33を風選路10の上・下棚10a,10b間における側面板31部に装着する。なお、吸音材35、例えば不織布35を空気層32に充填しておく。
【0028】
上記のような準備を行い作業を開始すると、目抜き鉄板33が機体の運転振動に伴って振動すると、共鳴周波数f域のおいて孔部34,34…近傍の空気を振動させることとなり、従って、当該共鳴周波数f域の騒音はこの孔部34,34…の空気振動に作用することで音エネルギが減衰されて騒音低減する。
【0029】
なお、不織布35の充填により、内に無数の微細孔部が形成されて、この不織布35に進入した騒音は周波数の大小を問わず、幾重にも該微細孔部で反射して減衰し、共鳴周波数f以外の周波数成分についても減衰効果がある。
なお、図11のように実施した結果、総合的な騒音判定では、目抜き鉄板33等の吸音構造部材30を構成するか否かにより、85.6デシベル(dB(A))と86.5デシベル(dB(A))となり約1デシベルの吸音効果が認められた。
【0030】
上記の実施例では、摺落米風選部10の側面板31に目抜き鉄板33の吸音構造部材30を構成したが、選別棚10aの裏面に構成してもよく、新たに支持構成部材を構成してこれに装着してもよい。
図14は吸音構造及び制振構造によって騒音を低減する例を示すものである。即ち、前記籾摺ロール7,7を収容する籾摺室8のケース部40は摺落米風選箱9との間に防振部材41を介して防振支持し、次いで、該ケース部40の内面には制振材42を貼付して設け、籾摺時に発生する騒音を低減しようとするものである。図11におけると同様の所定周波数ごとの騒音レベル検出を行うと、吸音構造を設けない仕様Aに対して防振部材41を支持構成する仕様B、更に制振材42の貼付け構成を施す仕様Cの順に振動低減効果が認められた(図15)。
【0031】
また、上記の実施例では吸音構造部材30を籾摺選別装置に応用するものについて説明したが、各部騒音が伝播する閉空間を備える農業機械において効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】全体の切断側面図
【図2】一部切断した背面図
【図3】全体側面図
【図4】全体平面図
【図5】吸音構成部材を施した切断側面図
【図6】(イ)は要部の断面図、(ロ)はその側面図
【図7】孔径と孔あき板の開孔率との関係一例を示すグラフ
【図8】孔径と共鳴周波数との関係一例を示すグラフ
【図9】選別風路の正断面図
【図10】要部の拡大断面図
【図11】吸音構成部材の有無による騒音レベルの差を示すグラフ
【図12】共鳴周波数−吸収効率の概念を示すグラフ
【図13】別実施例を示す要部の断面図
【図14】(イ)は異なる吸音構造の例を示す側断面図、(ロ)はその平断面図
【図15】吸音効果を示すグラフ
【符号の説明】
1…籾摺部、2…摺落米風選部、3…揺動選別部、4…混合米揚穀機、5…玄米揚穀機、6…籾ホッパ、7…籾摺ロール、8…籾摺室、9…摺落米風選箱、10…摺落米風選路、11…粃受樋、12…摺落米受樋、13…吸引フアン、14…排塵筒、15…揺動選別板、16…分配供給樋、17…分配ケース、18…玄米仕切板、19…籾仕切板、20…玄米取出樋、21…玄米流路、22…混合米取出樋、23…混合米流路、24…混合米ホッパ、25…籾取出樋、26…籾流路、27…籾揚穀機、30…吸音構造部材、31…側面板、32…空気層、33…目抜き鉄板、34,34…孔部、35…吸音材
【発明の属する技術分野】
この発明は、騒音低減装置に関し、籾摺選別機等の農業機械に利用するものである。
【0002】
【従来の技術】
農業機械,例えば籾摺選別機の騒音を減少させる従来技術として特許文献1には、操作パネル,籾殻等の排塵部を除いて、発泡スチロール等からなるカバーで機体を被覆して騒音を低減させようとするものである。
【0003】
しかしながら、籾摺選別機には摺落米を風選する風選部が設けられているところ、風選部の吸引部及び排塵部に対する消音の配慮がなされてなく、消音効果に制限があるとして、特許文献2に記載の構成がある。即ち、籾摺選別機の選別風路は左右壁部や上下の選別棚部にて囲われて閉空間を呈し脱ぷロールの摺り出し音がこの閉空間に通じて音が篭り不快感を与えるが、このような閉空間における騒音低減に着目して、特許文献2の構成は、所定空間を隔てた扁平なケースに前後両側面を連続した孔部で構成される独立の空気マスと前後両側面に形成した孔部と中間部がケース内全域と連通状態の空気バネとによる2種類の振動系からなる通気型減音ケースを籾摺選別機に設ける形態としたものである。
【0004】
【特許文献1】
特開昭61−263653号公報
【特許文献2】
特開平02−569号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記後者の構成によると、風選部内に発生した騒音は通気型減音ケース28の空気マス部及び広いケース内空気層の空気バネ部を通過することにより、透過波が互いに逆相となつて干渉し、打ち消し合うことによって騒音を低減させるものであるから、これら通気性減音ケースの構成を要して複雑化するものとなる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、このような問題点を解決するために、次の技術的手段を講じた。即ち、請求項1に記載の発明は、機体内に騒音源を有する農業機械において、該機体内に所定の共鳴周波数に設定され孔部を備えた板材の当該孔部近傍の空気を振動させることより音圧エネルギを減衰して騒音を低減する吸音構造部材を設けてなる農業機械における騒音低減装置の構成とする。
【0007】
農業機械の運転中、機体内において伝播する騒音源からの騒音は、所定の共鳴周波数に設定された吸音構造部材の孔部近傍の空気が振動することにより主として当該周波数成分の音エネルギが共鳴して減衰する。
請求項2に記載の発明は、吸音構造部材は、機体を構成する側面板等の壁部に、所定間隔の空気層を隔てて所定の共鳴周波数に設定された孔部を形成した板材を設けることによって構成される。
【0008】
孔部近傍の空気振動に加えて空気層部の空気振動に伝播することより騒音の音エネルギの共鳴吸収効果を増大する。
更に、請求項3に記載の発明は、側面板と板材との上記空気層部分に吸音材を充填してなる請求項2に記載の農業機械における騒音低減装置の構成とする。
【0009】
空気層部分の吸音材の充填により、騒音の共鳴吸収効果に加え、共鳴周波数成分に関らずその音エネルギを吸収する。
【0010】
【発明の効果】
所定の共鳴周波数に設定した吸音構造部材の孔部近傍の空気を振動させて主として当該周波数成分の音エネルギを共鳴して減衰するものであるから、吸音構造部材は板材に孔部を形成する簡単な構成によって騒音低減を可能とする。また、機体の側面板から空気層を隔てて吸音構造部材の板材を設ける場合はこの空気層にも空気振動が伝播して吸音効果を増大する。更にこの空気層部分に吸音材を充填すると騒音の共鳴周波数成分に関らずその音エネルギを吸収でき吸音効果を増すことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示すこの発明の実施例について説明する。まず図1〜図4に基づき、籾摺選別機の全体構成について説明する。籾摺選別機は、籾摺をする籾摺部1,籾摺部1からの摺落米を風選する摺落米風選部2,摺落米風選部2での風選後の混合米を籾・玄米に分離選別する揺動選別部3,混合米揚穀機4及び玄米揚穀機5等により構成されている。
【0012】
籾摺部1は、上部の籾ホッパ6,籾摺ロール7,7の内装されている籾摺室8等で構成されている。摺落米風選部2は、摺落米風選箱9,摺落米風選路10,粃受樋11,摺落米受樋12,吸引フアン13,排塵筒14等により構成されている。
【0013】
次に、揺動選別部3について説明する。多段の揺動選別板15,15…には、板面に選別用の凹凸あるいは選別凸条が形成されていて、縦方向の一側を高い供給側、他側を低い排出側とし、横方向の一方側を高い揺上側、反対側を低い揺下側として、揺動選別板15の縦横2方向ともに傾斜した構成とし、揺動選別板15,15…は揺動アーム,揺動リンクから構成されている揺動装置で、横方向斜め上下に往復揺動される構成である。
【0014】
この揺動選別板15,15…における供給側には供給口が構成されていて、分配供給樋16及び分配ケース17を経由した混合米が多段の揺動選別板15,15…各段に供給される構成である。揺動選別板15,15…に供給された混合米は、粒形の大小,比重の大小,摩擦係数の大小等の関係で選別され、選別穀粒は揺動選別板15の排出側に設けられている玄米仕切板18及び籾仕切板19で仕切られて取り出される。
【0015】
取り出された玄米は、玄米取出樋20,玄米流路21,玄米揚穀機5を経て機外に取り出され、また、混合米は混合米取出樋22,混合米流路23,摺落米受樋12,混合米揚穀機4,混合米ホッパ24,分配供給樋16,分配ケース17を経て、揺動選別板15,15,…に供給されて再選別される。また、取り出された籾は、籾取出樋25,籾流路26,籾揚穀機27を経て籾摺部1に揚穀還元されて、再度の籾摺がなされる構成である。
【0016】
次に、籾摺選別機の作用について説明する。籾摺作業をする場合には、籾摺部1の籾ホッパ6に籾を供給し、籾摺選別機の回転各部を駆動する。次いで、籾ホッパ6から籾摺ロール7,7に籾を供給して籾摺し、摺落米を下方の摺落米風選路10で風選する。軽い籾殻を吸引フアン13,排塵筒14を経て機外に排出し、比較的軽い粃粒は粃受樋11に落下選別され、重い玄米及び籾の混合米は、摺落米受樋12に落下選別される。
【0017】
しかして、選別された混合米は、混合米揚穀機4,混合米ホッパ24,分配供給樋16及び分配ケース17を経て、揺動選別板15,15,…に供給される。混合米は、揺動選別板15が横方向斜上下に往復揺動されると、粒形の大小、比重の大小、摩擦係数の大小等の関係で、小形で比重の重い玄米は揺上側に偏流分布し、また、玄米に比較して大形で比重の軽い籾は揺下側に偏流分布し、また、その中間部には分離されない混合米が分布しつつ選別される。
【0018】
揺動選別板15,15,…の排出側から流下した穀粒は、玄米仕切板18及び籾仕切板19で仕切られる。玄米仕切板18で仕切られた玄米は、玄米取出樋20,玄米流路21及び玄米揚穀機5を経て機外に取り出され、また、玄米仕切板18及び籾仕切板19で仕切られた混合米は、混合米取出樋22,混合米流路23,混合米揚穀機4,混合米ホッパ24,分配供給樋16及び分配ケース17を経て揺動選別板15に供給されて再選別され、また、籾仕切板19で仕切られた籾は、籾取出樋25,籾流路26及び籾揚穀機27を経て籾摺部1に還元されて再度の籾摺がされる。
【0019】
次に、図5及び図6に基づき籾摺選別機の騒音低減の構成について説明する。騒音低減のための吸音構造部材30は、例えば摺落米風選部2の摺落米風選路10を形成する側面板31に、所定間隔の空気層32を隔てて目抜き鉄板33を設けることによって構成してなる。そして吸音原理について、この目抜き鉄板33には所定孔径d及び所定ピッチDの孔部34,34…を複数に穿設し、上記空気層32等を所定に設定することで共鳴周波数f(Hz)を得て、所定の共鳴周波数fとなし、該共鳴周波数fが孔部34近傍の空気を振動させ摺落風選路10内における騒音等の音圧エネルギを吸収する原理を用いるものである。
【0020】
ここで、音速c≒345(m/s)、目抜き鉄板33に一定のパターンで複数に設ける孔部34,34…の孔ピッチD(m)、孔径d(m)とすると、目抜き鉄板33の開孔率p(d)は、
p(d)=πd2/4・D2……(式1)
で表される。つまり、孔径dの増加に伴って開孔率p(d)も増加するものとなる(図7)。
【0021】
また、目抜き鉄板33の板厚t(m)、前記空気層32厚lとすると、共鳴周波数fは、
f=(c/2π)(p(d)/((t+0.8d)×l))1/2……(式2)
で表される。
【0022】
従って、板厚t、空気層厚lを知って、p(d)を決めると共鳴周波数fが設定できる。
一方、前記摺落米風選部2の摺落米風選路10には、脱ぷロールの擦れ合う際やその他の騒音源の音が篭っているが、周波数分析装置にて予めこの風選路10の騒音の周波数特性を分析しておくことにより、減衰すべき音エネルギの周波数Fを選択し、当該周波数Fと共鳴周波数fとが略一致すべく、例えば上記p(d)値、ひいては孔径dや孔ピッチDを決定するものである。
【0023】
なお、図8は孔径dと共鳴周波数f(d)との関係一例を示すもので、孔径の選択によって共鳴周波数f(d)を決定できる。
上記のように設定した目抜き鉄板33の孔部34,34…近傍の空気が振動され主として当該周波数成分の音エネルギを共鳴吸収して減少させるものとなる。
【0024】
図9,10に実施一例を示す。吸音構造部材30は、摺落米風選部2の摺落米風選路10を形成する左右の側面板31に、それぞれ所定間隔の空気層32を隔てて目抜き鉄板33を設ける。すなわち、上記吸音構造部材30を構成する目抜き鉄板33は、上下多段の選別棚10a及び10bで形成される前記摺落米風選路10の側面板31に対して間隔保持金具37を介することより所定間隔の空気層32を隔てて設ける。また、目抜き鉄板33の下縁33aを上記選別棚10b面との間に間隔をおいて側面板31に取り付けることにより、棚10b面の穀粒等の流下を阻害しない。さらに、側面板31から延出状態に設ける受け体36で目抜き鉄板33の下縁33aを支持することにより、孔部34,34…の切断によって形成される尖端凸状を覆うことができ、流下する藁屑や枝梗等の流れを阻害しない(図10)。後記吸音材35の保持にも有効である。
【0025】
図11は共鳴周波数f=800Hzの例であって、前後所定周波数幅において騒音レベルの減少を呈する状態が認められる。これは、空気振動によって選択された共鳴周波数f値における騒音レベルの低下が顕著であるほか、その前後周辺においても徐々に効果を減少しつつも騒音レベルの低下に寄与するためである(図12)。
【0026】
図13は前記空気層32に不織布、グラスウール等の吸音材35を充填した構成を示すものである。孔部34からの騒音は主として上記共鳴周波数f近傍の音エネルギの減少を司るものとなるが、吸音材35は周波数の高低を問わず、吸収して音エネルギを減衰させる効果がある。
【0027】
上例吸音構造の作用について説明する。
籾摺選別機の摺落米風選路10には、籾摺ロール7,7の摺り出し音や吸引ファン13の吸引風音、あるいは摺り出し米の衝突音等が伝播している。そこで、この風選路10の発生音の周波数分析を行い、減衰すべき音エネルギの周波数Fを選択し、これを共鳴周波数fとする。次いで、当該周波数f値と、予め設定した板厚t、空気層厚lの各値より式2の関係に基づき、開孔率p(d)、ひいては孔径d及びピッチDを求め、目抜き鉄板33の形状等の決定する。この目抜き鉄板33を風選路10の上・下棚10a,10b間における側面板31部に装着する。なお、吸音材35、例えば不織布35を空気層32に充填しておく。
【0028】
上記のような準備を行い作業を開始すると、目抜き鉄板33が機体の運転振動に伴って振動すると、共鳴周波数f域のおいて孔部34,34…近傍の空気を振動させることとなり、従って、当該共鳴周波数f域の騒音はこの孔部34,34…の空気振動に作用することで音エネルギが減衰されて騒音低減する。
【0029】
なお、不織布35の充填により、内に無数の微細孔部が形成されて、この不織布35に進入した騒音は周波数の大小を問わず、幾重にも該微細孔部で反射して減衰し、共鳴周波数f以外の周波数成分についても減衰効果がある。
なお、図11のように実施した結果、総合的な騒音判定では、目抜き鉄板33等の吸音構造部材30を構成するか否かにより、85.6デシベル(dB(A))と86.5デシベル(dB(A))となり約1デシベルの吸音効果が認められた。
【0030】
上記の実施例では、摺落米風選部10の側面板31に目抜き鉄板33の吸音構造部材30を構成したが、選別棚10aの裏面に構成してもよく、新たに支持構成部材を構成してこれに装着してもよい。
図14は吸音構造及び制振構造によって騒音を低減する例を示すものである。即ち、前記籾摺ロール7,7を収容する籾摺室8のケース部40は摺落米風選箱9との間に防振部材41を介して防振支持し、次いで、該ケース部40の内面には制振材42を貼付して設け、籾摺時に発生する騒音を低減しようとするものである。図11におけると同様の所定周波数ごとの騒音レベル検出を行うと、吸音構造を設けない仕様Aに対して防振部材41を支持構成する仕様B、更に制振材42の貼付け構成を施す仕様Cの順に振動低減効果が認められた(図15)。
【0031】
また、上記の実施例では吸音構造部材30を籾摺選別装置に応用するものについて説明したが、各部騒音が伝播する閉空間を備える農業機械において効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】全体の切断側面図
【図2】一部切断した背面図
【図3】全体側面図
【図4】全体平面図
【図5】吸音構成部材を施した切断側面図
【図6】(イ)は要部の断面図、(ロ)はその側面図
【図7】孔径と孔あき板の開孔率との関係一例を示すグラフ
【図8】孔径と共鳴周波数との関係一例を示すグラフ
【図9】選別風路の正断面図
【図10】要部の拡大断面図
【図11】吸音構成部材の有無による騒音レベルの差を示すグラフ
【図12】共鳴周波数−吸収効率の概念を示すグラフ
【図13】別実施例を示す要部の断面図
【図14】(イ)は異なる吸音構造の例を示す側断面図、(ロ)はその平断面図
【図15】吸音効果を示すグラフ
【符号の説明】
1…籾摺部、2…摺落米風選部、3…揺動選別部、4…混合米揚穀機、5…玄米揚穀機、6…籾ホッパ、7…籾摺ロール、8…籾摺室、9…摺落米風選箱、10…摺落米風選路、11…粃受樋、12…摺落米受樋、13…吸引フアン、14…排塵筒、15…揺動選別板、16…分配供給樋、17…分配ケース、18…玄米仕切板、19…籾仕切板、20…玄米取出樋、21…玄米流路、22…混合米取出樋、23…混合米流路、24…混合米ホッパ、25…籾取出樋、26…籾流路、27…籾揚穀機、30…吸音構造部材、31…側面板、32…空気層、33…目抜き鉄板、34,34…孔部、35…吸音材
Claims (3)
- 機体内に騒音源を有する農業機械において、該機体内に所定の共鳴周波数に設定され孔部を備えた板材の当該孔部近傍の空気を振動させることより音圧エネルギを減衰して騒音を低減する吸音構造部材を設けてなる農業機械における騒音低減装置。
- 吸音構造部材は、機体を構成する側面板等の壁部に、所定間隔の空気層を隔てて所定の共鳴周波数に設定された孔部を形成した板材を設けることによって構成してなる請求項1に記載の農業機械における騒音低減装置。
- 側面板等の壁部と板材との上記空気層部分に吸音材を充填してなる請求項2に記載の農業機械における騒音低減装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003047563A JP2004255266A (ja) | 2003-02-25 | 2003-02-25 | 農業機械における騒音低減装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014059520A (ja) * | 2012-09-19 | 2014-04-03 | Osaka Gas Co Ltd | 騒音抑制方法及び屋外機 |
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2003
- 2003-02-25 JP JP2003047563A patent/JP2004255266A/ja active Pending
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