JP2004255246A - 生体部位の熱処理物からの金属除去方法およびこれにより得られる金属除去固形物 - Google Patents

生体部位の熱処理物からの金属除去方法およびこれにより得られる金属除去固形物 Download PDF

Info

Publication number
JP2004255246A
JP2004255246A JP2003046623A JP2003046623A JP2004255246A JP 2004255246 A JP2004255246 A JP 2004255246A JP 2003046623 A JP2003046623 A JP 2003046623A JP 2003046623 A JP2003046623 A JP 2003046623A JP 2004255246 A JP2004255246 A JP 2004255246A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
metal
heat
solid
treated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003046623A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisaaki Nakai
久明 中居
Katsura Ueno
桂 上野
Masaomi Oguma
正臣 小熊
Masao Tamada
正男 玉田
Noriaki Seko
典明 瀬古
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Atomic Energy Agency
Aomori Prefecture
Original Assignee
Japan Atomic Energy Research Institute
Aomori Prefecture
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Atomic Energy Research Institute, Aomori Prefecture filed Critical Japan Atomic Energy Research Institute
Priority to JP2003046623A priority Critical patent/JP2004255246A/ja
Publication of JP2004255246A publication Critical patent/JP2004255246A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/10Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in agriculture
    • Y02A40/20Fertilizers of biological origin, e.g. guano or fertilizers made from animal corpses

Landscapes

  • Fertilizers (AREA)
  • Fodder In General (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)
  • Water Treatment By Sorption (AREA)
  • Soil Conditioners And Soil-Stabilizing Materials (AREA)

Abstract

【課題】食品加工廃棄物であるボイルされたホタテ貝ウロ等の金属を含有する生体部位の加熱処理物中から、カドミウム等の有害金属類を効率的に除去する実用的方法を提供すること。
【解決手段】金属を含有する生体部位の加熱処理物1中に含まれる金属を熱処理物1から溶出させるために、これを一または二種類以上の酸(リン酸を除く。)を用いた酸水溶液中で攪拌処理する酸処理工程P1と;工程P1後の攪拌処理物(懸濁液)を固液分離する一次分離工程P2と;工程P2後の処理液を金属捕集材に接触させて処理液中の溶出金属をこれに吸着させる一次金属捕集工程P3と;工程P2で分離された固形分を水で撹拌・洗浄した後再度固液分離する二次分離工程P4と;工程P4後の処理液を金属捕集材に接触させて処理液中の溶出金属をこれに吸着させる二次金属捕集工程P6と;工程P3、P6において捕集材に吸着された金属を希酸で溶離させて回収する金属回収工程P5a、P5bと;他方、工程P4を経て得られた固形分を回収する固形物回収工程P7と、により、金属除去方法を構成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は金属を含有する生体部位の加熱処理物(以下、単に「熱処理物」ともいう。)中に含まれる金属の除去方法、金属を溶出させる有機酸水溶液を調製するための有機酸の使用、および金属除去方法により得られる金属除去固形物に係り、特に、ホタテ貝の食品加工において利用されずに排出される、ボイルされた中腸腺等の軟体部を主とする廃棄物(本明細書においては以下、中腸腺等の軟体部を主とする廃棄物を、「ウロ」という。)中のカドミウム等の有害金属類を効率的に除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホタテ貝の加工に際して大量に排出されるウロの廃棄処分および回収利用に関しては、ウロに比較的高濃度の有害金属(代表的にはカドミウム)が含まれることから種々の問題がある。ホタテ貝のウロには、平均して約13ppm程度の相当濃度のカドミウムが含有されており、たとえば陸地埋立処分や海洋投棄については環境汚染の可能性があり、また飼肥料としての使用についても二次汚染発生のおそれがある。したがって、産業廃棄物としての処理技術の開発が望まれている。現在までのところ、ホタテ貝のウロについては、焼却、肥料化・飼料化、電解処理、微生物分解法などの処理が実施ないしは提案されている。
【0003】
ホタテ貝のウロを焼却処分する場合、ウロには水分、油分が多量に含まれているために焼却炉および煙突等の内壁の損傷発生が著しく、焼却装置の耐久性が悪くなる。また焼却で生じるフライアッシングに含まれるカドミウムが大気中へ飛散するおそれがある。さらには臭気発生も重大な問題である。また、ホタテ貝ウロの肥料化、飼料化による直接的な利用も提案されているが、含まれるカドミウム等の有害金属がその利用の障害となっている。有害金属を除かない限り、そのような直接利用は好ましくない。たとえば肥料として使用した場合、含有されるカドミウム等の有害金属のために、作物が汚染されるおそれがある。飼料として使用した場合にも、同様な弊害が生じると考えられる。
【0004】
ホタテ貝の加工残さを電解処理する方法は、たとえば「廃棄物学会論文誌」第9巻第3号第145−154頁(2000年)あるいは同第11巻第2/3号第61−68頁(1998年)に記載されている。この記載方法の概要は、ホタテ貝の中腸腺のような廃棄物を硫酸溶液に浸漬して、生体組織に結合しているカドミウムを硫酸溶液中へ溶出させるとともに、溶出されたカドミウムを含む硫酸溶液の電解処理を行って、溶出カドミウムを陰極板上に析出捕集し、除去することからなる。
【0005】
ホタテ貝ウロを微生物学的に処理してカドミウムを除去し、処理済み物を飼料とすることが提案されている〔たとえば「廃棄物学会論文誌」第8巻、第2号、第65−70頁(1997年)参照。〕。この微生物学的方法の概要は、ホタテ貝ウロ抽出液(栄養源)に土壌微生物群と硫酸塩還元菌とを作用させて、土壌微生物群の分泌する酵素類と硫酸塩還元菌によって発生されるHSとによって、生物体組織からのカドミウム等の金属を硫化金属の形で沈殿除去し、残滓を飼料化しようとするものである。
【0006】
また、ホタテ貝ウロをリン酸処理してカドミウムを除去し、処理物を肥料等とすることが提案されている〔たとえば、特許文献1 特開2002−45823参照。〕。このリン酸処理方法の概要は、ホタテ貝ウロのような廃棄物をリン酸溶液に浸漬して、生体組織に結合しているカドミウムをリン酸溶液中へ溶出させ、そのカドミウム含有リン酸溶液を吸着材に接触させ、カドミウムを除去することからなる。
【0007】
さらに、ホタテ貝ウロを水性媒体中でホモジナイズして、水性媒体中に溶出されたカドミウムを繊維状アミドキシム型捕集材により除去する方法が提案されている〔たとえば、特許文献2 特開2002−159952参照。〕。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−45823号公報。
【特許文献2】
特開2002−159952号公報。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらホタテ貝ウロの処理のために提案された従来法にはそれぞれ欠点がある。このうち電解処理法では、電解効率がほぼ0.01%程度であるという、実用上大きな欠点がある。つまり、電解処理に付される溶液の電通が悪く、たとえば海洋投棄のために望まれるカドミウムの濃度0.1ppm程度のレベルまでカドミウムを低減するには、印加電圧をより高くしなければならない。これは、溶液中に存在する油分により電気抵抗が高くためであり、したがって処理速度が遅くなり、廃棄物の大量処理には不向きである。
【0010】
また微生物処理法では、微生物の増殖が不可欠であり、これには少なくとも72時間(3日間)程度の長い処理時間が必要となり、不便かつコストがかかり、実用上大きな欠点がある。
【0011】
また、特開2002−45823で提案されたリン酸処理による方法は、リン酸にはリンが含まれるため、環境上、処理後のリン酸溶液の排水問題がある。
【0012】
また、特開2002−159952で提案される方法は、カドミウム除去方法として優れている技術ではあるが、ボイルされたホタテ貝ウロからのカドミウム溶出方法に問題がある。つまり、水性媒体中でホモジナイズすることによってカドミウムが溶出されるのはボイルされていないホタテ貝ウロだけであり、ボイルされたホタテ貝ウロには適用できない。したがって、通常加熱処理も含まれる食品加工の廃棄物であるウロについての、実用的な有害金属除去技術とはいえない。また、繊維状アミドキシム型捕集材は酸性領域におけるカドミウムの捕集能力が低いため、実用上酸性領域中では使用できない。
【0013】
したがって本発明は、これら従来技術の欠点を解決し、食品加工廃棄物であるボイルされたホタテ貝ウロ等の金属を含有する生体部位の加熱処理物中から、カドミウム等の有害金属類を、より一層効率的に除去する実用的技術、しかも環境に対する負荷をより低減できる技術を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本願発明者が鋭意検討した結果、ウロ等生体部位の加熱処理物からの金属溶出方法、および捕集方法を改善することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明に至った。すなわち、本願において特許請求される発明は以下のとおりである。
【0015】
(1)金属を含有する生体部位の加熱処理物(以下、単に「熱処理物」ともいう。)中に含まれる金属を該熱処理物から溶出させるために、これを一または二種類以上の酸(リン酸を除く。)を用いた酸水溶液中で攪拌処理する酸処理工程と;酸処理工程後の攪拌処理物(懸濁液)を固液分離する一次分離工程と;一次分離工程後の処理液を金属捕集材に接触させて処理液中の溶出金属をこれに吸着させる一次金属捕集工程と;一次分離工程で分離された固形分を水で撹拌・洗浄した後再度固液分離する二次分離工程と;二次分離工程後の処理液を金属捕集材に接触させて処理液中の溶出金属をこれに吸着させる二次金属捕集工程と;金属捕集工程において捕集材に吸着された金属を希酸で溶離させて回収する金属回収工程と;他方、二次分離工程を経て得られた固形分を回収する固形物回収工程と、を含む、生体部位の熱処理物からの金属除去方法。
【0016】
(2)前記一次金属捕集工程および二次金属捕集工程は共通化された一つの工程であることを特徴とする、(1)の生体部位の熱処理物からの金属除去方法。
【0017】
(3)前記酸水溶液に用いる酸は、有機酸であることを特徴とする、(1)または(2)の生体部位の熱処理物からの金属除去方法。
【0018】
(4)前記有機酸は、その有するカルボキシル基(−COOH)数が2または3であることを特徴とする、(3)の生体部位の熱処理物からの金属除去方法。
【0019】
(5)前記有機酸は、その有するC数が3ないし6のいずれかであることを特徴とする、(4)の生体部位の熱処理物からの金属除去方法。
【0020】
(6)前記有機酸は、カルボキシル基(−COOH)の結合したCのうち少なくとも1つのCに、他のカルボキシル基(−COOH)、メチリジン基(=CH−)、またはヒドロキシル基(−OH)のいずれかが結合していることを特徴とする、(5)の生体部位の熱処理物からの金属除去方法。
【0021】
(7)前記有機酸は、ジカルボン酸であることを特徴とする、(6)の生体部位の熱処理物からの金属除去方法。
【0022】
(8)前記有機酸は、マロン酸、マレイン酸、またはリンゴ酸の少なくともいずれか一つであることを特徴とする、(7)の生体部位の熱処理物からの金属除去方法。
【0023】
(9)前記熱処理物が、ボイルされたホタテ貝ウロ粉砕物(以下、単に「ウロ粉砕物」ともいう。)である、(1)ないし(8)のいずれかの生体部位の熱処理物からの金属除去方法。
【0024】
(10)ボイルされたホタテ貝ウロ粉砕物等の前記熱処理物中に含まれる金属を溶出させる有機酸水溶液を調製するための、下記各条件(i)ないし(iii)の少なくともいずれか一つを満たす有機酸の使用。
(i)カルボキシル基(−COOH)数が2または3であること。
(ii)C数が3ないし6のいずれかであること。
(iii)カルボキシル基(−COOH)の結合したCのうち少なくとも1つのCに、他のカルボキシル基(−COOH)、メチリジン基(=CH−)、またはヒドロキシル基(−OH)のいずれかが結合していること。
【0025】
(11)ボイルされたホタテ貝ウロ粉砕物等の前記熱処理物中に含まれる金属を溶出させる有機酸水溶液を調製するための、マロン酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、または酒石酸の少なくともいずれか一つの使用。
【0026】
(12)(1)ないし(9)のいずれかの生体部位の熱処理物からの金属除去方法により得られる、生体部位の金属除去固形物。
【0027】
(13)(12)の生体部位のの金属除去固形物を含んでなる、飼料、餌料、肥料、または土壌改良資材。
【0028】
すなわち本発明における熱処理物からの金属除去方法は、ボイルされたホタテ貝ウロの粉砕物(好ましくは微粉砕物)等の熱処理物を、リンゴ酸等の酸水溶液中で攪拌して、ボイルされたウロ粉砕物等から酸水溶液中に有害金属を溶出させ;その酸水溶液と懸濁固形分を固液分離し;さらに分離された固形分を水で撹拌・洗浄して、その水と懸濁固形分を固液分離し;前記固形分洗浄操作後の有害金属含有酸処理液および有害金属含有洗浄処理液を、金属捕集材と接触させて有害金属を捕集材に吸着させ;前記捕集材によって吸着された有害金属を希酸で溶離することにより回収し;他方、前記分離された固形分を系外へ取出す;諸工程を含む、ウロ粉砕物等の熱処理物からの有害金属除去方法を提供するものである。そしてまた本発明は、金属溶出のための酸水溶液に用いる酸、および有害金属除去後の固形物の利用を提案するものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、主としてボイルされたホタテ貝ウロを例に挙げて詳細に説明するが、本発明の適用はこれに限定されるものではない。また以下の説明では、生体部位の加熱処理物を単に熱処理物ともいう。
図1は、本発明の生体部位の熱処理物(ホタテ貝ウロ)からの金属除去方法の構成を示すフロー図である。図において本方法は、熱処理物(ボイルされたホタテ貝のウロ粉砕物)1中に含まれる金属を熱処理物1から溶出させるために、これを一または二種類以上の酸(リン酸を除く。)を用いた酸水溶液中で攪拌処理する酸処理工程P1と;酸処理工程P1後の攪拌処理物(懸濁液)2を固液分離する一次分離工程P2と;一次分離工程P2後の処理液3を金属捕集材に接触させて処理液3中の溶出金属をこれに吸着させる一次金属捕集工程P3と;一次分離工程P2で分離された固形分4を水で撹拌・洗浄した後再度固液分離する二次分離工程P4と;二次分離工程P4後の処理液6を金属捕集材に接触させて処理液6中の溶出金属をこれに吸着させる二次金属捕集工程P6と;各金属捕集工程P3、P6において捕集材に吸着された金属5a、5bを希酸で溶離させて回収する金属回収工程P5a、P5bと;他方、二次分離工程P4を経て得られた固形分7を固形物8として回収する固形物回収工程P7と、とから主として構成される(請求項1)。
【0030】
【作用】
図において本方法は上述の構成をとるため、酸処理工程P1において、金属の含まれる熱処理物(ウロ粉砕物)1は一または二種類以上の酸(リン酸を除く。)を用いた酸水溶液中で攪拌処理されて、熱処理物(ウロ粉砕物)1中に含まれる金属が該酸水溶液中に溶出し;次いで一次分離工程P2において、酸処理工程P1後の攪拌処理物(懸濁液)2が処理液3と固形分4とに固液分離され;次いで一次金属捕集工程P3において、処理液3は金属捕集材に接触させる処理を受けて処理液3中の溶出金属がこれに吸着され;一方、二次分離工程P4において、前記一次分離工程P2で分離された固形分4が、水で撹拌・洗浄処理された後再度処理液6と固形分7に固液分離され;次いで二次金属捕集工程P6において、処理液6は金属捕集材に接触させる処理を受けて処理液6中の溶出金属がこれに吸着され;次いで金属回収工程P5a、P5bにおいて、各金属捕集工程P3、P6で捕集材に吸着された金属5a、5bが希酸による溶離処理を受けて回収され;他方、固形物回収工程P7において、前記二次分離工程S4を経て得られた固形分7が固形物8として回収される。処理液3、処理液6が、それぞれ一次金属捕集工程P3、二次金属捕集工程P6において金属除去処理され、それぞれ排水9a、9bとなる。
【0031】
すなわち図において、熱処理物(ウロ粉砕物)1は、本発明の金属除去方法の各工程を経ることにより、金属5a、5b、固形物8、および排水9a、9bに分離され、熱処理物(ウロ粉砕物)1の主たる処理産物である固形物8からは、金属5a、5bが除去されて、再利用し得る状態となる。また、排水9a、9bはいずれも金属(5a、5b)および固形物8が除去された状態であるため、後述するように次の金属除去処理用として再使用することもできる。すなわち、それぞれ酸処理工程P1における酸水溶液、二次分離工程P4における水として、再使用に供することができる。
【0032】
図2は、本発明の熱処理物(ホタテ貝ウロ)からの金属除去方法につき、別の構成例を示すフロー図である。図において本方法は、前記一次金属捕集工程(図1ではP3。)および二次金属捕集工程(同じくP6。)が共通化された一つの金属捕集工程P36であり、したがってその後に設けられる金属回収工程も共通化された一つの金属回収工程P5である他は、図1のフロー図に示した方法と同一の工程により構成される(請求項2)。
【0033】
図において本方法は上述の構成をとるため、処理液3、処理液6はともに共通の金属捕集工程P36において処理され、金属回収工程P5において金属捕集材に金属5が吸着され、金属の除去された排水9が得られる。処理液3および処理液6に対して同一の捕集材を用いる場合には、本方法を用いることにより、設備、資材を共通化し、処理工程を単純化することができる。
【0034】
図1または2により説明した本発明の熱処理物からの金属除去方法においては、熱処理物からの金属の溶出のための前記酸水溶液に用いる酸として、有機酸を用いることとすることができる(請求項3)。リン酸や他の無機酸では、前述のように排水処理、取り扱いの安全性などが問題となるが、有機酸を用いることにより、かかる問題を解消あるいは低減することができる。したがって、蟻酸、シュウ酸、酢酸、酒石酸、コハク酸、マロン酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、フタル酸などの有機酸を、単独で、あるいは適宜の数を選択して複数組み合わせて用いることができる。組み合わせる場合の各酸の濃度や、その他必要な付随条件の設定は、充分な金属溶出効果が得られる限り、適宜の方法で行うことができる。
【0035】
さらにその有機酸としては、その有するカルボキシル基(−COOH)数が2または3である有機酸を特に用いることとすることができる(請求項4)。たとえば、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マロン酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、フタル酸などであるが、これらに限定されない。これらを単独で、あるいは適宜の数を選択して複数組み合わせて用いることができる。組み合わせる場合の各酸の濃度や、その他必要な付随条件の設定は、充分な金属溶出効果が得られる限り、適宜の方法で行うことができる。
【0036】
さらに上記条件に加えて前記有機酸は、その有するC数が3ないし6のいずれかであるものを、特に用いることとすることができる(請求項5)。すなわちたとえば、酒石酸、コハク酸、マロン酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸などであるが、これらに限定されない。これらを単独で、あるいは適宜の数を選択して複数組み合わせて用いることができる。組み合わせる場合の各酸の濃度や、その他必要な付随条件の設定は、充分な金属溶出効果が得られる限り、適宜の方法で行うことができる。
【0037】
さらに上記条件に加えて前記有機酸は、カルボキシル基(−COOH)の結合したCのうち少なくとも1つのCに、他のカルボキシル基(−COOH)、メチリジン基(=CH−)、またはヒドロキシル基(−OH)のいずれかが結合しているものを、特に用いることとすることができる(請求項6)。すなわちたとえば、酒石酸、マロン酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸などであるが、これらに限定されない。これらを単独で、あるいは適宜の数を選択して複数組み合わせて用いることができる。組み合わせる場合の各酸の濃度や、その他必要な付随条件の設定は、充分な金属溶出効果が得られる限り、適宜の方法で行うことができる。
【0038】
さらに上記条件に加えて前記有機酸としては、ジカルボン酸を、特に用いることとすることができる(請求項6)。すなわちたとえば、酒石酸、マロン酸、マレイン酸、リンゴ酸などであるが、これらに限定されない。これらを単独で、あるいは適宜の数を選択して複数組み合わせて用いることができる。組み合わせる場合の各酸の濃度や、その他必要な付随条件の設定は、充分な金属溶出効果が得られる限り、適宜の方法で行うことができる。
【0039】
本発明の熱処理物からの金属除去方法において用いる有機酸は、マロン酸、マレイン酸、またはリンゴ酸の少なくともいずれか一つとすることができる(請求項8)。これらを単独で、あるいは適宜の数を選択して複数組み合わせて用いることができる。すなわち、単独でも、または二種もしくは三種の酸を組み合わせて用いてもよい。組み合わせる場合の各酸の濃度や、その他必要な付随条件の設定は、充分な金属溶出効果が得られる限り、適宜の方法で行うことができる。
【0040】
本発明の熱処理物からの金属除去方法は、ボイルされたホタテ貝ウロ粉砕物について用いることができる(請求項9)が、本方法の適用はこれに限定されるものではない。すなわち、他の二枚貝のウロ同等の生体部位、その他の貝類における同様の生体部位、イカの中腸腺(肝臓)、その他動物性の水産物を始めとする生物における同様の生体部位に対しても、広く用いることができる。
【0041】
特に、ボイルその他の加熱処理を含む水産加工過程を経て処理される場合のように、熱処理された生体部位において効果的に用いることができるが、本方法の適用はそれに限定されず、加熱以外の処理を加えられたもの、あるいは処理を加えられないものについても、用いることができる。
【0042】
前述のように、ボイルされたホタテ貝ウロ粉砕物等の前記熱処理物中に含まれる金属を溶出させる有機酸水溶液を調製するために、特に、下記各条件(i)ないし(iii)の少なくともいずれか一つを満たす有機酸を使用することによって、金属溶出効果を特に高めることができる(請求項10)。
(i)カルボキシル基(−COOH)数が2または3であること。
(ii)C数が3ないし6のいずれかであること。
(iii)カルボキシル基(−COOH)の結合したCのうち少なくとも1つのCに、他のカルボキシル基(−COOH)、メチリジン基(=CH−)、またはヒドロキシル基(−OH)のいずれかが結合していること。
【0043】
これらの条件のいずれか一つを満たす有機酸としては、たとえば、
(i)シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、フタル酸、オキサロ酢酸、フマル酸、ケトグルタル酸、イソクエン酸、その他。
(ii)マロン酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アセト酢酸、乳酸、ピルビン酸、オキサロ酢酸、フマル酸、ケトグルタル酸、イソクエン酸、その他。
(iii)マロン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、フマル酸、イソクエン酸、その他。
などがあり、複数の条件を満たすものとしては、たとえば、
(i)(ii)マロン酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、オキサロ酢酸、フマル酸、ケトグルタル酸、イソクエン酸。
(i)(iii)マロン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、フマル酸、イソクエン酸。
(ii)(iii)マロン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、フマル酸、イソクエン酸。
(i)(ii)(iii)マロン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、フマル酸、イソクエン酸。
がある。
【0044】
特に上記(i)、(ii)、(iii)の全条件を満たす有機酸として、マロン酸、マレイン酸、またはリンゴ酸の少なくともいずれか一つの使用を採用することができる(請求項11)。あるいはこれに一部の条件を満たす有機酸としてクエン酸、または酒石酸を加えて、それらの中の少なくともいずれか一つの使用を採用することもできる(請求項11)。すなわち、マロン酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、または酒石酸のいずれかを単独で用いてもよいし、あるいはこれらの中から適宜選択される二以上の酸を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
図1または2において、上述したいずれかのホタテ貝ウロ等生体部位の熱処理物からの金属除去方法を適用することにより、金属除去処理産物として、熱処理物の金属除去固形物が得られる(請求項12)。また、該金属除去固形物はこれを、飼料、餌料、肥料、または土壌改良資材に利用することができる(請求項13)。
【0046】
以下、特に、金属溶出用の酸としてリンゴ酸を用いてボイルされたホタテ貝ウロからの有害金属除去する方法を例に挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明方法において、ボイルされたホタテ貝ウロからの有害金属溶出を促進するために、ボイルされたウロをなるべく細かく粉砕した状態でリンゴ酸水溶液と接触させるよう攪拌する。攪拌操作は、リンゴ酸水溶液中へボイルされたウロを投入して、好ましくは強力高速回転攪拌機、さらに好ましくはホモジナイザーを用いて、有害金属が充分に溶出されるまで行う。
【0047】
本発明方法の例において、ボイルされたホタテ貝ウロから有害金属を溶出させる媒体としてリンゴ酸を用いる。これは、処理後のホタテ貝ウロは肥料や飼料などの資源として利用されることを考慮し、食品加工に使用される人体や生物などに有用かつ無害な酸を利用したものである。また、処理後のリンゴ酸溶液は飲料水などに使われる酸であるため、水溶液中の懸濁固形分を凝集剤により沈殿させるか、または分離膜などで懸濁固形分を分離除去することによって、リンゴ酸溶液はpHを5〜9に調整してそのまま排出することができる。
【0048】
遠心分離により形成された固形分(溶出処理後のホタテ貝ウロ)には、リンゴ酸水溶液により溶出された有害金属が、一部付着残留したり、未溶出のまま残留している可能性がある。この固形分に含まれる有害金属をさらに除去するために、固形分に水を加え攪拌、洗浄を行なう。これにより、固形分からの残留金属除去を可能とし、ホタテ貝ウロ全体からの金属除去率を向上させることができる。固形分からの金属除去のための洗浄処理は、必要に応じて反復実施することも有効である。
【0049】
ボイルされたホタテ貝ウロの粉砕物からの有害金属溶出処理後、および固形分からの洗浄処理後のスラリー状液体を遠心分離等により固液分離し、有害金属含有リンゴ酸処理液と有害金属含有洗浄処理液を得る。固液分離には、フィルター、たとえばインライン・フィルター等のフィルターを用いるが、他の分離手段を採用することもできる。
【0050】
本発明方法で前記固液分離したリンゴ酸処理液および前記固液分離した洗浄処理液中の有害金属を吸着するために使用される金属捕集材は、公知方法により作製することができる。たとえば、適宜のキレート化剤を利用した適宜仕様のキレート型金属吸着材を用いることができる。
【0051】
本発明方法で前記固液分離したリンゴ酸処理液および前記固液分離した洗浄処理液中の有害金属を吸着するため、両溶液と金属捕集材との接触は、吸着によって酸性水溶液中の残留金属の濃度が許容できる水準にまで、たとえば平衡濃度ないしはその付近まで低減される所要時間にわたって実施する。この接触操作は、カラムに金属捕集材を充填し、これに前記固液分離したリンゴ酸処理液および前記固液分離した洗浄処理液を適宜条件によって流通させることにより実施することが好ましい。
【0052】
前記金属捕集材に吸着された金属の溶離、回収は、有害金属が吸着、担持された該金属捕集材を、希酸、たとえば希塩酸で洗浄することにより容易に行うことができる。金属捕集材充填カラムを使用する場合には、そのカラムに希酸を流通させることにより、金属の溶離、回収を行うことができ、これによって金属捕集材充填カラムが再生される。必要に応じ、金属捕集材を充填したカラムは蒸留水で洗浄、中和して、次の有害金属吸着操作に再使用することができる。
【0053】
本発明で最終的に形成される固形分は、分離の程度(強度)に応じて、種々の水分量のものとなり得る。すなわち、固めのスラリー状から、ペースト状、半固形状、固形状となり得る。これらは、そのままの形で肥料あるいは飼料として利用でき、または他の肥料成分あるいは飼料成分と配合して肥料組成物、飼料組成物とすることもできる。
【0054】
また本発明方法において、分離固形分を系外へ取出す前に、必要に応じてさらに脱水処理、乾燥処理を施してもよく、このようにして得られる半固形状、固形状のものは、最初の供給ホタテ貝ウロと比較して、大幅な減容が可能となる。一例として、容積を0.08倍程度、重量を0.16倍程度にまで大幅に減容、減量することも可能であり、後続の取扱い、処分、輸送等において、作業簡便化、容易化、低コスト化を図ることができる。
【0055】
図3に、金属溶出用の酸としてリンゴ酸を用いてボイルされたホタテ貝ウロからの有害金属を除去する方法を例に挙げた、上記本発明方法の一実施態様の概要をフロー図で示す。
図において、ボイルされたホタテ貝のウロはホモジナイザーで高速攪拌されて、微粉砕物とされる。必要に応じてヘキサンなどを抽出溶媒として油分が除去される。次に、たとえば重量比にして約3倍量の0.1mol/lのリンゴ酸溶液を加え、攪拌し、ウロをリンゴ酸水溶液に緊密に接触させてウロの組織に結合しているカドミウム等の有害金属をリンゴ酸水溶液中に溶出させる(酸処理)。
【0056】
前記攪拌処理は、有害金属が溶液中に充分溶出するまで、すなわち溶液中において有害金属の濃度が平衡に達成するまで、継続される。平衡濃度の達成は、溶液中の金属濃度を連続的に、または一定時間間隔でモニタリングすることによって検知される。溶液中における有害金属濃度が、平衡濃度(またはその近傍濃度)に達したら、遠心分離により、固形分と有害金属含有リンゴ酸水溶液が分離される。なお、遠心分離に替えてフィルターを用いた固液分離操作を行うこともできる。固液分離により形成された固形分に、たとえば重量比で約4倍量の水が加えられ、攪拌されて、残留する有害金属が固形分から洗浄除去される(洗浄(濯ぎ))。充分な洗浄処理後、遠心分離により固液分離される。
【0057】
前記二段の遠心分離によりそれぞれ分離された、有害金属含有リンゴ酸処理液および有害金属含有洗浄処理液は、キレート型吸着剤などの金属捕集材を充填したカラムに流通され、有害金属が吸着される(有害金属捕集)。有害金属が除去されたリンゴ酸処理液および洗浄処理液は、pH調整され、排水となる。図中、「リンゴ酸水溶液」および「水」から「排水」に至る矢印の流れは、それを示す。しかし、これらリンゴ酸水溶液および水は、次の金属除去処理に再使用することもできる。つまり、飽和または近飽和カラムに、希酸(例:0.5N程度の希塩酸)を流通させることによって、金属捕集材に吸着された有害金属が溶離し、回収される。しかる後に必要に応じて、カラム内を蒸留水で中和することにより、カラム内の金属捕集材の再生が行われ、次の有害金属吸着操作に供することができる。また、二度目の遠心分離により得られた固形分は回収され、資源利用される。
【0058】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>各酸の金属溶出効果
<1−1>酸処理工程および一次分離工程
ボイルされたホタテ貝のウロ100gをホモジナイザーで1時間攪拌処理して粉砕物とした後、これに濃度0.1mol/lの各種酸水溶液を単独で3倍量(重量基準)加え、スターラーを用いて24時間攪拌した(酸処理工程)。酸水溶液に用いた酸は、塩酸、硫酸、ホウ酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、酢酸、酒石酸、コハク酸、マロン酸、リンゴ酸であり、これらをそれぞれ単独で用いた。攪拌後、調製されたスラリー状の液体を遠沈管に入れ、3000rpmで30分間遠心分離し、該スラリー状液体を固液分離した(一次分離工程)。
【0059】
<1−2>二次分離工程
次に、分離された固形分に4倍量(重量基準)の水を加え、スターラーを用いて2時間攪拌した。攪拌後、スラリー状の液体を遠沈管に入れ、<1−1>と同じ条件で遠心分離を行なった(二次分離工程)。
【0060】
<1−3>分析
以上の工程で分離された固形分(図4では「ウロ」。<1−2>での遠心分離後の沈殿物。)、酸処理液(<1−1>での遠心分離後の上澄み液。)、および洗浄処理液(<1−2>での遠心分離後の上澄み液。)をICP(InductivelyCoupled Plasma Spectrometry)法で分析し、それぞれに含有されるカドミウムの濃度を測定し、各酸の金属溶出効果を検討した。
【0061】
その結果を、表1および図4に示す。図4は、ボイルされたホタテ貝のウロ中に当初含有されていたカドミウム(Cd)の、本発明金属除去方法によるウロからの除去効果を示すグラフ図である。当初の含有量を100%とし、各酸使用における固形分(ウロ。)中含有量、酸処理液中含有量、および洗浄処理液中含有量(図中、洗浄処理を「水洗い」と表示する。)の構成比、すなわち分布状況を示したものである。
【0062】
【表1】
Figure 2004255246
【0063】
表1および図4に示すように、塩酸、硫酸、クエン酸、マレイン酸、酒石酸、マロン酸、リンゴ酸をそれぞれ単独で用いた場合、それぞれの酸処理液中には75%〜85%のカドミウム、それぞれの洗浄処理液中には10%〜23%のカドミウムの溶出が認められた。つまり、溶出処理前に試料(ボイルされたホタテ貝ウロ)中に含有されていたカドミウムのうち98%以上が、酸処理液および洗浄処理液中に溶出され、一方固形分(図中、「ウロ」と表示。)中の含有量(残留量)は2%以下であった。特に硫酸、マロン酸、またはマレイン酸のいずれかを単独で用いた場合、各処理液中にカドミウムがよく溶出し、固形分中の含有(残留)カドミウム量が少ない結果が得られた。
【0064】
図5は、酸処理後における固形分(ウロ)中の残留カドミウム濃度測定結果を示すグラフ図である。処理前のホタテ貝ウロのカドミウム濃度は13.4ppmであったが、図示するように、塩酸0.11ppm、硫酸0.07ppm、クエン酸0.26ppm、マレイン酸0.10ppm、酒石酸0.15ppm、マロン酸0.07ppm、リンゴ酸0.12ppmであり、これらの酸ではウロ中の残留カドミウム濃度を0.1ppm前後にまで低下させることができた。
【0065】
<実施例2>酸の存在が金属捕集材の捕集効果に与える影響の有無
カドミウム濃度50ppmの水溶液100mlとカドミウム濃度50ppmの0.1mol/l濃度のリンゴ酸水溶液の2種類を用意した。これらの水溶液に10mm角のキレート型金属捕集材をそれぞれ4枚(重量0.09g)入れ、スターラーで攪拌し、酸の存在が金属捕集材の捕集(金属吸着)効果に与える影響の有無を試験した。pH4〜8の範囲内で検討した。
【0066】
図6は、実施例2の実験結果を示すグラフ図である。図示するように、水と比較してこれにリンゴ酸が存在し酸水溶液となっていることによるカドミウム捕集量の低下は見られず、酸の存在は金属捕集材の捕集(金属吸着)効果に影響を与えないという結果が得られた。つまり本発明方法における酸水溶液の使用は、少なくともキレート型金属捕集材の効果を減じないことが確認された。
【0067】
【発明の効果】
本発明の生体部位の熱処理物からの金属除去方法は上述のように構成されているため、食品加工廃棄物であるボイルされたホタテ貝ウロ等の金属を含有する生体部位の加熱処理物中から、カドミウム等の有害金属類を、より一層効率的に、かつ実用的に、しかも環境に対する負荷をより低減した状態で、除去することができる。
【0068】
つまり本発明によれば、ボイルされたホタテ貝のウロ等の熱処理物を粉砕し、リンゴ酸、マレイン酸等の酸水溶液中で攪拌混合して、有害金属を溶出させ、これを金属捕集材で吸着除去することにより、カドミウムのような有害金属の含有量を容易に基準以下にまで低減することができ、さらに処理液をそのまま排出することができる。分離されたホタテ貝ウロ固形物等は、必要に応じて脱水、乾燥処理を行い、適宜に蛋白源(たとえば飼料等)や肥料として安全に使用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生体部位の熱処理物(ホタテ貝ウロ)からの金属除去方法の構成を示すフロー図である。
【図2】本発明の熱処理物(ホタテ貝ウロ)からの金属除去方法につき、別の構成例を示すフロー図である。
【図3】金属溶出用の酸としてリンゴ酸を用いてボイルされたホタテ貝ウロからの有害金属除去する方法を例に挙げた、上記本発明方法の一実施態様の概要をフロー図である。
【図4】実施例1の、各酸の金属溶出効果検討結果を示すグラフ図である。
【図5】酸処理後における固形分(ウロ)中の残留カドミウム濃度測定結果を示すグラフ図である。
【図6】実施例2の、酸の存在が金属捕集材の捕集効果に与える影響の検討結果を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1…熱処理物、 2…攪拌処理物(懸濁液)、 3…処理液(P2後)、 4…固形分、 5、5a、5b…金属、 6…処理液(P4後)、 7…固形分、 8…固形物、 9、9a、9b…排水、 P1…酸処理工程、 P2…一次分離工程、 P3…一次金属捕集工程、 P4…二次分離工程、 P5、P5a、P5b…金属回収工程、 P6…二次金属捕集工程、 P7…固形物回収工程、 P36…金属捕集工程

Claims (13)

  1. 金属を含有する生体部位の加熱処理物(以下、単に「熱処理物」ともいう。)中に含まれる金属を該熱処理物から溶出させるために、これを一または二種類以上の酸(リン酸を除く。)を用いた酸水溶液中で攪拌処理する酸処理工程と;酸処理工程後の攪拌処理物(懸濁液)を固液分離する一次分離工程と;一次分離工程後の処理液を金属捕集材に接触させて処理液中の溶出金属をこれに吸着させる一次金属捕集工程と;一次分離工程で分離された固形分を水で撹拌・洗浄した後再度固液分離する二次分離工程と;二次分離工程後の処理液を金属捕集材に接触させて処理液中の溶出金属をこれに吸着させる二次金属捕集工程と;金属捕集工程において捕集材に吸着された金属を希酸で溶離させて回収する金属回収工程と;他方、二次分離工程を経て得られた固形分を回収する固形物回収工程と、を含む、生体部位の熱処理物からの金属除去方法。
  2. 前記一次金属捕集工程および二次金属捕集工程は共通化された一つの工程であることを特徴とする、請求項1に記載の生体部位の熱処理物からの金属除去方法。
  3. 前記酸水溶液に用いる酸は、有機酸であることを特徴とする、請求項1または2に記載の生体部位の熱処理物からの金属除去方法。
  4. 前記有機酸は、その有するカルボキシル基(−COOH)数が2または3であることを特徴とする、請求項3に記載の生体部位の熱処理物からの金属除去方法。
  5. 前記有機酸は、その有するC数が3ないし6のいずれかであることを特徴とする、請求項4に記載の生体部位の熱処理物からの金属除去方法。
  6. 前記有機酸は、カルボキシル基(−COOH)の結合したCのうち少なくとも1つのCに、他のカルボキシル基(−COOH)、メチリジン基(=CH−)、またはヒドロキシル基(−OH)のいずれかが結合していることを特徴とする、請求項5に記載の生体部位の熱処理物からの金属除去方法。
  7. 前記有機酸は、ジカルボン酸であることを特徴とする、請求項6に記載の生体部位の熱処理物からの金属除去方法。
  8. 前記有機酸は、マロン酸、マレイン酸、またはリンゴ酸の少なくともいずれか一つであることを特徴とする、請求項7に記載の生体部位の熱処理物からの金属除去方法。
  9. 前記熱処理物が、ボイルされたホタテ貝ウロ粉砕物(以下、単に「ウロ粉砕物」ともいう。)である、請求項1ないし8のいずれかに記載の生体部位の熱処理物からの金属除去方法。
  10. ボイルされたホタテ貝ウロ粉砕物等の前記熱処理物中に含まれる金属を溶出させる有機酸水溶液を調製するための、下記各条件(i)ないし(iii)の少なくともいずれか一つを満たす有機酸の使用。
    (i)カルボキシル基(−COOH)数が2または3であること。
    (ii)C数が3ないし6のいずれかであること。
    (iii)カルボキシル基(−COOH)の結合したCのうち少なくとも1つのCに、他のカルボキシル基(−COOH)、メチリジン基(=CH−)、またはヒドロキシル基(−OH)のいずれかが結合していること。
  11. ボイルされたホタテ貝ウロ粉砕物等の前記熱処理物中に含まれる金属を溶出させる有機酸水溶液を調製するための、マロン酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、または酒石酸の少なくともいずれか一つの使用。
  12. 請求項1ないし9のいずれかに記載の生体部位の熱処理物からの金属除去方法により得られる、生体部位の金属除去固形物。
  13. 請求項12に記載の生体部位の金属除去固形物を含んでなる、飼料、餌料、肥料、または土壌改良資材。
JP2003046623A 2003-02-24 2003-02-24 生体部位の熱処理物からの金属除去方法およびこれにより得られる金属除去固形物 Pending JP2004255246A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003046623A JP2004255246A (ja) 2003-02-24 2003-02-24 生体部位の熱処理物からの金属除去方法およびこれにより得られる金属除去固形物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003046623A JP2004255246A (ja) 2003-02-24 2003-02-24 生体部位の熱処理物からの金属除去方法およびこれにより得られる金属除去固形物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004255246A true JP2004255246A (ja) 2004-09-16

Family

ID=33113077

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003046623A Pending JP2004255246A (ja) 2003-02-24 2003-02-24 生体部位の熱処理物からの金属除去方法およびこれにより得られる金属除去固形物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004255246A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007108286A1 (ja) * 2006-03-17 2007-09-27 National University Corporation Tokyo University Of Marine Science And Technology 水産加工残滓からの有機肥料の製造方法
JP2008012372A (ja) * 2006-07-03 2008-01-24 Kumamoto Technology & Industry Foundation 動物の組織、または臓器から重金属を除去する方法
CN103084384A (zh) * 2013-01-08 2013-05-08 四川农业大学 草酸在清除土壤镉污染中的应用
CN106387302A (zh) * 2016-09-06 2017-02-15 南昌大学 一种吸附取代降低玉米蛋白中铅、镉含量的方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007108286A1 (ja) * 2006-03-17 2007-09-27 National University Corporation Tokyo University Of Marine Science And Technology 水産加工残滓からの有機肥料の製造方法
JP5250814B2 (ja) * 2006-03-17 2013-07-31 国立大学法人東京海洋大学 水産加工残滓からの有機肥料の製造方法
JP2008012372A (ja) * 2006-07-03 2008-01-24 Kumamoto Technology & Industry Foundation 動物の組織、または臓器から重金属を除去する方法
CN103084384A (zh) * 2013-01-08 2013-05-08 四川农业大学 草酸在清除土壤镉污染中的应用
CN106387302A (zh) * 2016-09-06 2017-02-15 南昌大学 一种吸附取代降低玉米蛋白中铅、镉含量的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Deng et al. Extraction of heavy metal from sewage sludge using ultrasound-assisted nitric acid
CN104741371A (zh) 一种污染土地的修复方法
CN107639108A (zh) 一种重金属污染土壤的异位淋洗修复方法
JP3245138B2 (ja) 重金属類除去方法
CN106277669A (zh) 一种生态清淤资源化方法
CN110143661A (zh) 一种用生物炭去除富钙高砷地下水中砷的方法
JP2015129065A (ja) バーク堆肥の製造方法
KR101257428B1 (ko) 납 흡착제 및 이를 이용한 납 제거 방법
JP2004255246A (ja) 生体部位の熱処理物からの金属除去方法およびこれにより得られる金属除去固形物
JP4547516B2 (ja) ホタテ貝のうろから有害金属を除去する方法
CN108658363A (zh) 一种淘米水污水及含蛋白质污水的处理方法
RU2311973C2 (ru) Способ очистки почвы от тяжелых металлов
CN108975442A (zh) 一种矿山含氟废水中氟离子的处理方法
CN113264650A (zh) 一种生物法含油污泥处理工艺方法
JPH11172344A (ja) 魚介類の内臓からカドミウムを除去する方法並びに魚介類内臓の処理方法
JP2002045823A (ja) 重金属類除去方法
JPH05293496A (ja) 下水汚泥含有重金属の除去方法
JPH10286591A (ja) 廃棄物処理方法
JP2006212575A (ja) 有機物処理装置及び有機物処理方法
GB1587205A (en) Process for the treatment disinfection neutralisation and/or detoxification of heavily polluted waste waters
CN104591475A (zh) 一种餐厨垃圾中油脂物质处理方法
JP2002177931A (ja) 海棲生物の処理装置
JP2001095564A (ja) 塩分を含有する有機物分解方法及び装置
JP4106458B2 (ja) 廃液処理方法及び廃液処理装置
JP4995755B2 (ja) 油脂分含有率の高い有機性廃棄物の湿式メタン発酵処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060224

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20060228

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060303

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060502

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20060503

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071211

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071218

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080325

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080714