JP2004254643A - 生食用エノキ茸 - Google Patents
生食用エノキ茸 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004254643A JP2004254643A JP2003051302A JP2003051302A JP2004254643A JP 2004254643 A JP2004254643 A JP 2004254643A JP 2003051302 A JP2003051302 A JP 2003051302A JP 2003051302 A JP2003051302 A JP 2003051302A JP 2004254643 A JP2004254643 A JP 2004254643A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- medium
- enoki mushroom
- raw
- mushroom
- water
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Mushroom Cultivation (AREA)
- Packging For Living Organisms, Food Or Medicinal Products That Are Sensitive To Environmental Conditiond (AREA)
- Packages (AREA)
- Preparation Of Fruits And Vegetables (AREA)
- Storage Of Fruits Or Vegetables (AREA)
Abstract
【課題】加熱調理を前提としていたエノキ茸を生食用としても適するように茎の短い一口サイズに栽培し、視覚的要素とか食感だけでなく味覚的にも改善するとともに海洋深層水に含まれている多くの天然微量元素を含み、しかも鮮度と見映えを良くするために特定の容器に収納して製品化したエノキ茸を提供することを目的とする。
【解決手段】調製済みの培地を栽培ビンに詰めて、該培地に接種したエノキ茸種菌を茎の短い一口サイズの大きさに生育させてから一株を単位として収穫し、カップ形状の販売用容器6内に収納して透明なドーム形状の蓋部材7を被覆して製品8とする。上記製品8を個別にビニール袋に密閉封入して空気の流入を遮断させる。茎の長さを8cm〜10cmとし、培地を海洋深層水を混合して調整する。
【選択図】 図1
【解決手段】調製済みの培地を栽培ビンに詰めて、該培地に接種したエノキ茸種菌を茎の短い一口サイズの大きさに生育させてから一株を単位として収穫し、カップ形状の販売用容器6内に収納して透明なドーム形状の蓋部材7を被覆して製品8とする。上記製品8を個別にビニール袋に密閉封入して空気の流入を遮断させる。茎の長さを8cm〜10cmとし、培地を海洋深層水を混合して調整する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は生食用エノキ茸に関し、特に従来から鍋料理やみそ汁の材料として加熱調理を前提としていたエノキ茸を、生食用としても適するように茎の短い一口サイズに栽培し、かつ、鮮度と見映えを良くするために特定の容器に収納して製品化した生食用エノキ茸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から栽培ビン等を用いて製造するキノコ類として、エノキ茸、シイタケ、ヒラタケ、ブナシメジ、エリンギ、ナメコ、マイタケ等がある。これらキノコ類、例えばエノキ茸を製造するに際して、培地基材としてのスギ、マツ等の針葉樹のオガクズに栄養源としてトウモロコシの穂軸の粉砕物と米糠とを加え、水道水又は地下水を添加しながら混合して水分が63%〜65%になるように調整して培地とし、この培地をプラスチック容器内に詰め込んで加圧殺菌した後に種菌を接種し、23日〜25日間培養して、発芽を促すために菌掻き処理後、抑制、紙巻き、生育によりエノキ茸の子実体が一定の高さになるのを待って収穫する方法が一般に行われている。
【0003】
図3は従来の生育したエノキ茸の形状例を示しており、根部1から茎部2を介して子実体、つまり笠部3までの全長L1が15cm〜18cm程度であり、一株を分割してからビニール袋等に封入して梱包,輸送及び販売に供している。
【0004】
キノコ類の培地基材として使用するオガクズには、前記のスギ,マツ等の針葉樹以外にナラ,ヒノキ等の広葉樹があるが、使用に当たってはオガクズを最短でも三カ月以上屋外に堆積し、灌水と切り返しをすることによってオガクズに含まれている樹脂などの菌糸成長阻害物質を除去するとともに、時間をかけて水を含ませている。近年はオガクズにトウモロコシの穂軸の粉砕物を一定量もしくは全量混合した培地に変わりつつあるが、培地基材に米糠の一定量を添加してから含水率の測定によって培地の含水率が63%〜65%になるために必要とする加水量を算出して水を加えて栽培用培地を調製する。
【0005】
キノコ類は酵素の作用によって培地中の養分を分解し、培地内の溶液中に溶け出した栄養物質を吸収して成長するが、酵素の働きを促進するためには培地中の水分条件が重要である。特にキノコ菌糸の物質代謝はすべて水を介して行われることから、子実体の発生量やその品質を向上させるためにはキノコ類が利用可能な自由水の含有量、即ち培地中の水分活性をできるだけ高める必要がある。
【0006】
一方、近時は海洋深層水の持つ清浄性と豊富なミネラル成分が需要者の注目を浴びてブームを呼び、該海洋深層水を脱塩処理した水が飲料水の分野に進入している現状にある。上記の海洋深層水は室戸岬沖その他の複数個所で実用的に取水されており、通常海洋表層で見られる風波とか表層温度変化に伴う対流,混合も生じない環境下にある海水で、地上で使用されている各種の油類とか化学物質,農薬等の有害物質に起因する海洋汚染の影響を受けることがなく、しかも海水中の溶存有機物が非常に少なく、微生物的な観点から極めて清浄であるという特徴を有している。水温は年間平均で13℃以下という低温であり、人体が必要とする多くの天然元素を含んでいる。
【0007】
表1は海洋表層水と海洋深層水の各種項目に関して分析した結果を示す一覧表であり、一般項目をみると、水温平均は海洋表層水の21℃に対して海洋深層水は13.1℃と低く、pHは同8.19に対して7.87、DOは同8.33mg/Lに対して7.28mg/L、TOCは1.60mg/Lに対して0.98mg/Lで、ともに海洋深層水の方が低いが、生菌数は海洋表層水の103〜104に対して海洋深層水は102であり、一桁以上も低くなっている。
【0008】
【表1】
【0009】
ミネラル成分としての栄養塩類の項目では、NO3−Nは海洋表層水の1.49μg−at/Lに対して海洋深層水では25.9μg−at/L、PO4−Pは同0.34μg−at/Lに対して1.65μg−at/L、SiO2−Siは同13.6μg−at/Lに対して64.2μg−at/Lと海洋深層水の方が遙かに大きくなっている。他の微量元素の項目でも海洋表層水よりも海洋深層水の方が含有量が高いという分析結果が得られている。
【0010】
また、海洋深層水の脱塩水を原子吸光光度法により分析した結果、カルシウムが0.4mg/L、マグネシウムが1.0mg/L含まれていることが判明した。更に海洋深層水の濃縮水を同様に原子吸光光度法により分析した結果、カルシウムが560mg/L、マグネシウムが1700mg/Lも含まれているという結果が得られた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように、従来の生育したエノキ茸は、根部1から笠部3までの全長が15cm〜18cm程度と長いため、利用者は根部1をカットしてから更に茎部2も二つ切りにし、食べやすいサイズにして食用に供している。そのため笠部3のない茎部2だけのエノキ茸を食することも多く、見栄えと食感が必ずしも良好とはいえないという課題がある。また、従来の子実体が一定の高さになったエノキ茸は純白色の視覚的要素と歯ごたえの食感を楽しむだけのものであり、鍋物シーズンだけの消費に供されているのが実情であって冬場だけでなく夏場での消費拡大をはかることが切望されている。
【0012】
更に従来から供されているエノキ茸は、収量とか日持ちの良さ及び見た目の綺麗さだけにこだわっていて、味覚に関しては開発途上にあり、生で食す等の利用方法は全然考慮されていない。更に上記食品には人体が必要とする天然の微量元素(ミネラル)が含まれておらず、健康食品用として満足するものが得られていないという問題がある。特に近時は天然に存在する微量元素の重要性が見直されている現状にある。
【0013】
他方で海水は微量元素を多く含んでおり、飲料その他の食品に添加する塩として優れているが、海洋汚染の進んだ現代では海水中の表層水はそのままでは添加することはできない。そこで近時では海洋深層水を脱塩処理した水が多く利用されているが、脱塩作業時に各種の栄養塩類及び微量元素等のミネラル成分の多くが除去されてしまうことが多く、前記表1中の海洋深層水の持つミネラルバランスを実現しているとはいい難いという問題がある。
【0014】
そこで本発明はこのような従来のキノコ類が有している課題を解消して、加熱調理を前提としていたエノキ茸を生食用としても適するように茎の短い一口サイズに栽培し、かつ、視覚的要素とか食感だけでなく、味覚的にも改善するとともに海洋深層水に含まれている多くの天然微量元素(ミネラル)を含み、しかも鮮度と見映えを良くするために特定の容器に収納して製品化したエノキ茸を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、調製済みの培地を栽培ビンに詰めて、該培地に接種したエノキ茸種菌を茎の短い一口サイズの大きさに生育して収穫したことを特徴とする生食用エノキ茸を基本手段としている。
【0016】
具体的には調製済みの培地を栽培ビンに詰めて、該培地に接種したエノキ茸種菌を茎の短い一口サイズの大きさに生育させてから一株を単位として収穫し、カップ形状の販売用容器内に収納して透明なドーム形状の蓋部材を被覆して製品とする。また、上記製品を個別にビニール袋に密閉封入して空気の流入を遮断して生育を停止させる。蓋部材として透明な円錐状,円錐台状,円柱状又は多角形の角錐状のものを使用し、エノキ茸の笠部が外方から視認可能にしてある。
【0017】
更に、販売用容器として透明な円柱状又は逆円錐台状のものを使用し、エノキ茸の茎部が外方から視認可能としている。また、茎の長さを8cm〜10cmとし、培地を海洋深層水を混合して調整している。
【0018】
かかる生食用エノキ茸によれば、茎の短い一口サイズに栽培したことによって利用者は根部をカットするだけで食べやすいサイズになり、笠部のない茎部だけを食用に供することがなく、見栄えと食感を高めることができる。更に海洋深層水を混合して調製した培地を用いたことにより、エノキ茸特有のアクがなく、視覚的要素と歯ごたえの食感を楽しむだけのエノキ茸に甘い味覚を持たせることにより、鍋物だけでなく生で食すことも可能となって年間を通しての消費拡大をはかることができる。得られたエノキ茸には海洋深層水に含まれている天然の微量元素(ミネラル)が有効に生かされており、健康用としても好ましい食品が得られる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて本発明にかかる生食用エノキ茸の具体的な実施形態を説明する。本発明では調製済みの培地を栽培ビンに詰めて、該培地に接種したエノキ茸種菌を茎の短い一口サイズの大きさに生育させてから一株を単位として収穫し、カップ形状の販売用容器内に収納して透明なドーム形状の蓋部材を被覆して製品としたことが大きな特徴となっている。
【0020】
図2は本実施形態にかかるエノキ茸の製造工程例を示すフロー図であり、先ずステップ1で培地基材の原材料を用意する。この原材料としてオガクズとトウモロコシ穂軸の粉砕物を用いており、栄養源として米糠、フスマ、乾燥オカラ、pH調整剤として少量の消石灰及び水を用いる。オガクズは最低三ヶ月屋外に堆積して灌水により水を含ませたスギ又はマツを用いるのが好適である。オガクズとトウモロコシ穂軸の粉砕物との混合割合は容量比換算で7:3とし、消石灰添加による適正pHは5.8〜6.2である。
【0021】
ステップ1と並行してステップ2で海水を用意する。この海水として通常の海洋表層水でも良いが、海面下200メートル以深の深海から取水した海洋深層水を用いることが好ましい。或いは海水に代えて水道水等の上水を用いることもできる。
【0022】
ステップ3では原材料に栄養源と海洋深層水を加えてミキサーで混合することにより栽培用培地を調製する。この時にオガクズの含水率を測定し加水量を計算し、培地含水に対して10%程度の海洋深層水をシャワー状の散水装置により添加して培地含水率が63%〜65%になるように調整する。次にステップ4で自動ビン詰め機を用いて培地のビン詰めを行う。自動ビン詰め機は調製した培地を一定量ずつ栽培ビンに充填する装置であって、コンテナ送り込み機、ビン詰め機、穴あけ機、キャッパー(封栓機)によるラインを構成している。
【0023】
次にステップ5で殺菌処理し、ステップ6の冷却処理を行う。ステップ5の殺菌処理は常圧殺菌法と高圧殺菌法とがあるが、常圧殺菌法として湿熱蒸気を殺菌釜に圧力をかけずに送り込み、培地内温度が98℃〜100℃で4時間殺菌処理する。また、高圧殺菌法として高圧釜内の空気を蒸気相と置換した後、1kg/cm2の圧力まで加圧して120℃で約1時間の殺菌を行う。殺菌の目的はオガクズに含まれている有害菌とキノコの菌糸成長阻害物質を加熱処理で除去するとともに、キノコの菌糸がオガクズを分解しやすくするための柔軟化処理と、菌糸の蔓延を促進する目的で充填後の培地の中央部に開けた接種孔が崩れないように培地形状を固化させるためである。
【0024】
ステップ6では殺菌処理の終了した培地の温度が90℃以上の状態で殺菌釜より搬出し、除菌したクリーンな放冷室で殺菌後の培地が15℃〜20℃になるまで無菌的に放冷する。
【0025】
次にステップ7で自動接種機により種菌の接種を行う。接種機は消毒用アルコールで消毒し、接種は無菌室内で1ビン当たり8〜10g程度行うのが良く、培地の表面を均一に覆うようにして種菌を植え付ける。種菌としては完璧に培養された健全なものを用いる。
【0026】
次にステップ8で培養を行う。前記無菌的に接種された培地を接種室から培養室へ搬入し、純白のエノキタケでは培養温度は14℃〜18℃、湿度は65%〜75%で24日〜25日の培養を行う。培養室内の二酸化炭素濃度は3000ppm以下とし、換気にも配慮することが必要である。
【0027】
次にステップ9により菌掻き機の爪を用いて菌掻き処理を行う。菌掻きとは培地から種菌を掻き取る処理を指しており、菌掻き後の菌床の乾燥を防止するため、菌床表面に加圧水を噴霧する。本実施形態では加圧水として海洋深層水を用いている。
【0028】
菌掻き後は直ちに芽出し室に搬入して菌糸再生を行う。芽出しは温度13℃〜15℃で湿度は前半が95%、後半は80%〜90%とし、二酸化炭素濃度1500ppm以下で8日〜10日間管理する。芽出し終了後は低温に慣らす意味において芽出し室(15℃)と後段の生育室(5℃〜6℃)の中間の温度の7℃〜10℃で湿度75%〜85%、二酸化炭素濃度1500ppm以下で3日〜5日間管理する。
【0029】
次にステップ10の抑制処理を行う。この抑制は一ビン当たりの収量を高めるために低温と風、光による成長の抑制をはかることを目的としており、温度5℃〜6℃の低温で湿度65%〜75%、二酸化炭素濃度3000ppm以下で5日〜7日間保持する。純白色系の品種は抑制開始後2日目から200ルクス程度の光を1日合計2時間以内で数回に分けて照射する。
【0030】
次にステップ11で子実体がビン口から3cm〜4cm伸びた頃に紙巻きを行う。紙巻きはキノコを真っ直ぐに伸ばすことを目的としており、高さ7cm〜9cm程度の巻き紙をビン口に巻いて固定する。更にステップ12で生育を行う。生育は温度5℃〜6℃で湿度65%〜75%、二酸化炭素濃度1000ppm〜3000ppmで10日〜15日間保持することにより、エノキ茸が8cm〜10cm程度の一口サイズの大きさに成長する。
【0031】
次にステップ13で収穫を行う。この収穫時には巻き紙を外して手でもぎ取るのが良く、エノキ茸の茎長8cm〜10cm、傘径1cm程度が収穫の適期である。
【0032】
そして図1に示したように、収穫したエノキ茸5を一株を単位として根部1からカップ形状の販売用容器6内に収納し、ドーム形状の蓋部材7を被覆して製品8とする。尚、空気の存在によって製品化した後でもエノキ茸5が生育する問題があるため、製品8を個別にビニール袋等に密閉封入して空気の流入を遮断することが好ましい。製品8の全長L2は9cm〜11cmとなる。以下自動包装機を用いて包装処理して出荷に備える。
【0033】
上記販売用容器6と蓋部材7は透明なプラスチック材料を用いるのが良く、特に蓋部材7は前記ドーム形状の外にも透明な円錐状,円錐台状,円柱状又は多角形の角錐状のものを使用することができて、エノキ茸5の笠部3が該蓋部材7の内側に接して外方から視認可能とすることが好ましい。また、上記販売用容器として透明な円柱状又は逆円錐台状のものを使用し、エノキ茸の茎部が外方から視認可能とすることが好ましい。
【0034】
本発明で採用した海洋深層水は、室戸岬沖の水深320メートル地点から取水した海水であり、深層水中に含まれている三態窒素のうち、アンモニア態窒素,亜硝酸態窒素はごく僅かであり、生物に与える影響は小さく、硝酸態窒素についても表層部では微量であったが、水深が増加するにつれて濃度が高まり、水深200メートル以深の水中での無機溶存態窒素の95%以上が硝酸態窒素で24μM存在している。その他リン酸態リンが1.7μM、珪酸態珪素が41μM溶存しており、いずれも表層部の5〜10倍以上の栄養塩濃度を有している。
【0035】
海洋深層水中に含まれている生体の発育上で必須の天然元素とは、Fe(鉄)、I(沃素)、Cu(銅)、Mn(マンガン)、Zn(亜鉛)、Co(コバルト)、Mo(モリブデン)、Se(セレン)、Cr(クロム)、Sn(スズ)、V(バナジウム)、F(フッ素)、Si(ケイ素)、Ni(ニッケル)、As(ヒ素)の15元素であり、これらの元素が海洋深層水に全てバランス良く含まれていることが大きな特徴となっている。従って海洋深層水は海洋生物の生長とか増殖に対しても大きな潜在能力を秘めた海水であるといえる。このような潜在能力は、近年メダイやコンブ、深海サンゴ等の養殖実験に利用されて大きな成果を上げていることからも実証されている。特にノルウエー沖の海洋深層水は、フィヨルド深層水と呼ばれてサケ養殖に適していることが報告されている。
【0036】
海洋深層水中の生菌数は、前記表1中に示したように表層水中のそれと比較して、1桁又はそれ以上少なくなっており、しかも病原生物はほとんど含まれていないため、海水に由来する魚病菌による病気に関する惧れは全くなく、食品に採用した際の安全性が極めて高いという大きな特徴がある。本発明はこのような海洋深層水に含まれている天然元素をエノキ茸5の栽培に採り入れることにより、従来の健康食品では実現することができない特性を持つ食品を提供することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、エノキ茸を茎の短い一口サイズに栽培したことにより、利用者が根部をカットするだけで食べやすいサイズになるとともに笠部のない茎部だけを食するケースはなくなり、エノキ茸自体の見栄えと食感をともに高めることができる。
【0038】
更に海洋深層水を混合して調製した培地を用いたことにより、エノキ茸特有のアクがなく、もともと視覚的要素と歯ごたえの食感を楽しむだけのエノキ茸に甘い味覚を持たせることができて、利用者は生鮮食料品と同様に生のエノキ茸をサラダ感覚で食すことができる。従って冬場の鍋物シーズンに限らず、年間を通して常時エノキ茸を提供することができるため、生産者にとっては売上高の増加が期待できるとともに消費者にとってもまろやかな味わいを持ち健康面からも好ましいエノキ茸をいつでも食べることができる。
【0039】
従って本発明によれば、従来から加熱調理を前提としていたエノキ茸を生食用としても適するように茎の短い一口サイズに栽培し、かつ、視覚的要素とか食感だけでなく、味覚的にも改善するとともに海洋深層水に含まれていて人体が必要とする天然の微量元素(ミネラル)が有効に生かされており、健康用としても好ましく、しかも鮮度と見映えを良くするために特定の容器に収納して製品化したエノキ茸を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるエノキ茸製品の外観図。
【図2】本実施形態にかかるエノキ茸の製造工程例を示すフロー図。
【図3】従来の生育したエノキ茸の形状例を示す外観図。
【符号の説明】
1…根部
2…茎部
3…笠部
5…エノキ茸
6…販売用容器
7…蓋部材
整理番号 P3605
【発明の属する技術分野】
本発明は生食用エノキ茸に関し、特に従来から鍋料理やみそ汁の材料として加熱調理を前提としていたエノキ茸を、生食用としても適するように茎の短い一口サイズに栽培し、かつ、鮮度と見映えを良くするために特定の容器に収納して製品化した生食用エノキ茸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から栽培ビン等を用いて製造するキノコ類として、エノキ茸、シイタケ、ヒラタケ、ブナシメジ、エリンギ、ナメコ、マイタケ等がある。これらキノコ類、例えばエノキ茸を製造するに際して、培地基材としてのスギ、マツ等の針葉樹のオガクズに栄養源としてトウモロコシの穂軸の粉砕物と米糠とを加え、水道水又は地下水を添加しながら混合して水分が63%〜65%になるように調整して培地とし、この培地をプラスチック容器内に詰め込んで加圧殺菌した後に種菌を接種し、23日〜25日間培養して、発芽を促すために菌掻き処理後、抑制、紙巻き、生育によりエノキ茸の子実体が一定の高さになるのを待って収穫する方法が一般に行われている。
【0003】
図3は従来の生育したエノキ茸の形状例を示しており、根部1から茎部2を介して子実体、つまり笠部3までの全長L1が15cm〜18cm程度であり、一株を分割してからビニール袋等に封入して梱包,輸送及び販売に供している。
【0004】
キノコ類の培地基材として使用するオガクズには、前記のスギ,マツ等の針葉樹以外にナラ,ヒノキ等の広葉樹があるが、使用に当たってはオガクズを最短でも三カ月以上屋外に堆積し、灌水と切り返しをすることによってオガクズに含まれている樹脂などの菌糸成長阻害物質を除去するとともに、時間をかけて水を含ませている。近年はオガクズにトウモロコシの穂軸の粉砕物を一定量もしくは全量混合した培地に変わりつつあるが、培地基材に米糠の一定量を添加してから含水率の測定によって培地の含水率が63%〜65%になるために必要とする加水量を算出して水を加えて栽培用培地を調製する。
【0005】
キノコ類は酵素の作用によって培地中の養分を分解し、培地内の溶液中に溶け出した栄養物質を吸収して成長するが、酵素の働きを促進するためには培地中の水分条件が重要である。特にキノコ菌糸の物質代謝はすべて水を介して行われることから、子実体の発生量やその品質を向上させるためにはキノコ類が利用可能な自由水の含有量、即ち培地中の水分活性をできるだけ高める必要がある。
【0006】
一方、近時は海洋深層水の持つ清浄性と豊富なミネラル成分が需要者の注目を浴びてブームを呼び、該海洋深層水を脱塩処理した水が飲料水の分野に進入している現状にある。上記の海洋深層水は室戸岬沖その他の複数個所で実用的に取水されており、通常海洋表層で見られる風波とか表層温度変化に伴う対流,混合も生じない環境下にある海水で、地上で使用されている各種の油類とか化学物質,農薬等の有害物質に起因する海洋汚染の影響を受けることがなく、しかも海水中の溶存有機物が非常に少なく、微生物的な観点から極めて清浄であるという特徴を有している。水温は年間平均で13℃以下という低温であり、人体が必要とする多くの天然元素を含んでいる。
【0007】
表1は海洋表層水と海洋深層水の各種項目に関して分析した結果を示す一覧表であり、一般項目をみると、水温平均は海洋表層水の21℃に対して海洋深層水は13.1℃と低く、pHは同8.19に対して7.87、DOは同8.33mg/Lに対して7.28mg/L、TOCは1.60mg/Lに対して0.98mg/Lで、ともに海洋深層水の方が低いが、生菌数は海洋表層水の103〜104に対して海洋深層水は102であり、一桁以上も低くなっている。
【0008】
【表1】
【0009】
ミネラル成分としての栄養塩類の項目では、NO3−Nは海洋表層水の1.49μg−at/Lに対して海洋深層水では25.9μg−at/L、PO4−Pは同0.34μg−at/Lに対して1.65μg−at/L、SiO2−Siは同13.6μg−at/Lに対して64.2μg−at/Lと海洋深層水の方が遙かに大きくなっている。他の微量元素の項目でも海洋表層水よりも海洋深層水の方が含有量が高いという分析結果が得られている。
【0010】
また、海洋深層水の脱塩水を原子吸光光度法により分析した結果、カルシウムが0.4mg/L、マグネシウムが1.0mg/L含まれていることが判明した。更に海洋深層水の濃縮水を同様に原子吸光光度法により分析した結果、カルシウムが560mg/L、マグネシウムが1700mg/Lも含まれているという結果が得られた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように、従来の生育したエノキ茸は、根部1から笠部3までの全長が15cm〜18cm程度と長いため、利用者は根部1をカットしてから更に茎部2も二つ切りにし、食べやすいサイズにして食用に供している。そのため笠部3のない茎部2だけのエノキ茸を食することも多く、見栄えと食感が必ずしも良好とはいえないという課題がある。また、従来の子実体が一定の高さになったエノキ茸は純白色の視覚的要素と歯ごたえの食感を楽しむだけのものであり、鍋物シーズンだけの消費に供されているのが実情であって冬場だけでなく夏場での消費拡大をはかることが切望されている。
【0012】
更に従来から供されているエノキ茸は、収量とか日持ちの良さ及び見た目の綺麗さだけにこだわっていて、味覚に関しては開発途上にあり、生で食す等の利用方法は全然考慮されていない。更に上記食品には人体が必要とする天然の微量元素(ミネラル)が含まれておらず、健康食品用として満足するものが得られていないという問題がある。特に近時は天然に存在する微量元素の重要性が見直されている現状にある。
【0013】
他方で海水は微量元素を多く含んでおり、飲料その他の食品に添加する塩として優れているが、海洋汚染の進んだ現代では海水中の表層水はそのままでは添加することはできない。そこで近時では海洋深層水を脱塩処理した水が多く利用されているが、脱塩作業時に各種の栄養塩類及び微量元素等のミネラル成分の多くが除去されてしまうことが多く、前記表1中の海洋深層水の持つミネラルバランスを実現しているとはいい難いという問題がある。
【0014】
そこで本発明はこのような従来のキノコ類が有している課題を解消して、加熱調理を前提としていたエノキ茸を生食用としても適するように茎の短い一口サイズに栽培し、かつ、視覚的要素とか食感だけでなく、味覚的にも改善するとともに海洋深層水に含まれている多くの天然微量元素(ミネラル)を含み、しかも鮮度と見映えを良くするために特定の容器に収納して製品化したエノキ茸を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、調製済みの培地を栽培ビンに詰めて、該培地に接種したエノキ茸種菌を茎の短い一口サイズの大きさに生育して収穫したことを特徴とする生食用エノキ茸を基本手段としている。
【0016】
具体的には調製済みの培地を栽培ビンに詰めて、該培地に接種したエノキ茸種菌を茎の短い一口サイズの大きさに生育させてから一株を単位として収穫し、カップ形状の販売用容器内に収納して透明なドーム形状の蓋部材を被覆して製品とする。また、上記製品を個別にビニール袋に密閉封入して空気の流入を遮断して生育を停止させる。蓋部材として透明な円錐状,円錐台状,円柱状又は多角形の角錐状のものを使用し、エノキ茸の笠部が外方から視認可能にしてある。
【0017】
更に、販売用容器として透明な円柱状又は逆円錐台状のものを使用し、エノキ茸の茎部が外方から視認可能としている。また、茎の長さを8cm〜10cmとし、培地を海洋深層水を混合して調整している。
【0018】
かかる生食用エノキ茸によれば、茎の短い一口サイズに栽培したことによって利用者は根部をカットするだけで食べやすいサイズになり、笠部のない茎部だけを食用に供することがなく、見栄えと食感を高めることができる。更に海洋深層水を混合して調製した培地を用いたことにより、エノキ茸特有のアクがなく、視覚的要素と歯ごたえの食感を楽しむだけのエノキ茸に甘い味覚を持たせることにより、鍋物だけでなく生で食すことも可能となって年間を通しての消費拡大をはかることができる。得られたエノキ茸には海洋深層水に含まれている天然の微量元素(ミネラル)が有効に生かされており、健康用としても好ましい食品が得られる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて本発明にかかる生食用エノキ茸の具体的な実施形態を説明する。本発明では調製済みの培地を栽培ビンに詰めて、該培地に接種したエノキ茸種菌を茎の短い一口サイズの大きさに生育させてから一株を単位として収穫し、カップ形状の販売用容器内に収納して透明なドーム形状の蓋部材を被覆して製品としたことが大きな特徴となっている。
【0020】
図2は本実施形態にかかるエノキ茸の製造工程例を示すフロー図であり、先ずステップ1で培地基材の原材料を用意する。この原材料としてオガクズとトウモロコシ穂軸の粉砕物を用いており、栄養源として米糠、フスマ、乾燥オカラ、pH調整剤として少量の消石灰及び水を用いる。オガクズは最低三ヶ月屋外に堆積して灌水により水を含ませたスギ又はマツを用いるのが好適である。オガクズとトウモロコシ穂軸の粉砕物との混合割合は容量比換算で7:3とし、消石灰添加による適正pHは5.8〜6.2である。
【0021】
ステップ1と並行してステップ2で海水を用意する。この海水として通常の海洋表層水でも良いが、海面下200メートル以深の深海から取水した海洋深層水を用いることが好ましい。或いは海水に代えて水道水等の上水を用いることもできる。
【0022】
ステップ3では原材料に栄養源と海洋深層水を加えてミキサーで混合することにより栽培用培地を調製する。この時にオガクズの含水率を測定し加水量を計算し、培地含水に対して10%程度の海洋深層水をシャワー状の散水装置により添加して培地含水率が63%〜65%になるように調整する。次にステップ4で自動ビン詰め機を用いて培地のビン詰めを行う。自動ビン詰め機は調製した培地を一定量ずつ栽培ビンに充填する装置であって、コンテナ送り込み機、ビン詰め機、穴あけ機、キャッパー(封栓機)によるラインを構成している。
【0023】
次にステップ5で殺菌処理し、ステップ6の冷却処理を行う。ステップ5の殺菌処理は常圧殺菌法と高圧殺菌法とがあるが、常圧殺菌法として湿熱蒸気を殺菌釜に圧力をかけずに送り込み、培地内温度が98℃〜100℃で4時間殺菌処理する。また、高圧殺菌法として高圧釜内の空気を蒸気相と置換した後、1kg/cm2の圧力まで加圧して120℃で約1時間の殺菌を行う。殺菌の目的はオガクズに含まれている有害菌とキノコの菌糸成長阻害物質を加熱処理で除去するとともに、キノコの菌糸がオガクズを分解しやすくするための柔軟化処理と、菌糸の蔓延を促進する目的で充填後の培地の中央部に開けた接種孔が崩れないように培地形状を固化させるためである。
【0024】
ステップ6では殺菌処理の終了した培地の温度が90℃以上の状態で殺菌釜より搬出し、除菌したクリーンな放冷室で殺菌後の培地が15℃〜20℃になるまで無菌的に放冷する。
【0025】
次にステップ7で自動接種機により種菌の接種を行う。接種機は消毒用アルコールで消毒し、接種は無菌室内で1ビン当たり8〜10g程度行うのが良く、培地の表面を均一に覆うようにして種菌を植え付ける。種菌としては完璧に培養された健全なものを用いる。
【0026】
次にステップ8で培養を行う。前記無菌的に接種された培地を接種室から培養室へ搬入し、純白のエノキタケでは培養温度は14℃〜18℃、湿度は65%〜75%で24日〜25日の培養を行う。培養室内の二酸化炭素濃度は3000ppm以下とし、換気にも配慮することが必要である。
【0027】
次にステップ9により菌掻き機の爪を用いて菌掻き処理を行う。菌掻きとは培地から種菌を掻き取る処理を指しており、菌掻き後の菌床の乾燥を防止するため、菌床表面に加圧水を噴霧する。本実施形態では加圧水として海洋深層水を用いている。
【0028】
菌掻き後は直ちに芽出し室に搬入して菌糸再生を行う。芽出しは温度13℃〜15℃で湿度は前半が95%、後半は80%〜90%とし、二酸化炭素濃度1500ppm以下で8日〜10日間管理する。芽出し終了後は低温に慣らす意味において芽出し室(15℃)と後段の生育室(5℃〜6℃)の中間の温度の7℃〜10℃で湿度75%〜85%、二酸化炭素濃度1500ppm以下で3日〜5日間管理する。
【0029】
次にステップ10の抑制処理を行う。この抑制は一ビン当たりの収量を高めるために低温と風、光による成長の抑制をはかることを目的としており、温度5℃〜6℃の低温で湿度65%〜75%、二酸化炭素濃度3000ppm以下で5日〜7日間保持する。純白色系の品種は抑制開始後2日目から200ルクス程度の光を1日合計2時間以内で数回に分けて照射する。
【0030】
次にステップ11で子実体がビン口から3cm〜4cm伸びた頃に紙巻きを行う。紙巻きはキノコを真っ直ぐに伸ばすことを目的としており、高さ7cm〜9cm程度の巻き紙をビン口に巻いて固定する。更にステップ12で生育を行う。生育は温度5℃〜6℃で湿度65%〜75%、二酸化炭素濃度1000ppm〜3000ppmで10日〜15日間保持することにより、エノキ茸が8cm〜10cm程度の一口サイズの大きさに成長する。
【0031】
次にステップ13で収穫を行う。この収穫時には巻き紙を外して手でもぎ取るのが良く、エノキ茸の茎長8cm〜10cm、傘径1cm程度が収穫の適期である。
【0032】
そして図1に示したように、収穫したエノキ茸5を一株を単位として根部1からカップ形状の販売用容器6内に収納し、ドーム形状の蓋部材7を被覆して製品8とする。尚、空気の存在によって製品化した後でもエノキ茸5が生育する問題があるため、製品8を個別にビニール袋等に密閉封入して空気の流入を遮断することが好ましい。製品8の全長L2は9cm〜11cmとなる。以下自動包装機を用いて包装処理して出荷に備える。
【0033】
上記販売用容器6と蓋部材7は透明なプラスチック材料を用いるのが良く、特に蓋部材7は前記ドーム形状の外にも透明な円錐状,円錐台状,円柱状又は多角形の角錐状のものを使用することができて、エノキ茸5の笠部3が該蓋部材7の内側に接して外方から視認可能とすることが好ましい。また、上記販売用容器として透明な円柱状又は逆円錐台状のものを使用し、エノキ茸の茎部が外方から視認可能とすることが好ましい。
【0034】
本発明で採用した海洋深層水は、室戸岬沖の水深320メートル地点から取水した海水であり、深層水中に含まれている三態窒素のうち、アンモニア態窒素,亜硝酸態窒素はごく僅かであり、生物に与える影響は小さく、硝酸態窒素についても表層部では微量であったが、水深が増加するにつれて濃度が高まり、水深200メートル以深の水中での無機溶存態窒素の95%以上が硝酸態窒素で24μM存在している。その他リン酸態リンが1.7μM、珪酸態珪素が41μM溶存しており、いずれも表層部の5〜10倍以上の栄養塩濃度を有している。
【0035】
海洋深層水中に含まれている生体の発育上で必須の天然元素とは、Fe(鉄)、I(沃素)、Cu(銅)、Mn(マンガン)、Zn(亜鉛)、Co(コバルト)、Mo(モリブデン)、Se(セレン)、Cr(クロム)、Sn(スズ)、V(バナジウム)、F(フッ素)、Si(ケイ素)、Ni(ニッケル)、As(ヒ素)の15元素であり、これらの元素が海洋深層水に全てバランス良く含まれていることが大きな特徴となっている。従って海洋深層水は海洋生物の生長とか増殖に対しても大きな潜在能力を秘めた海水であるといえる。このような潜在能力は、近年メダイやコンブ、深海サンゴ等の養殖実験に利用されて大きな成果を上げていることからも実証されている。特にノルウエー沖の海洋深層水は、フィヨルド深層水と呼ばれてサケ養殖に適していることが報告されている。
【0036】
海洋深層水中の生菌数は、前記表1中に示したように表層水中のそれと比較して、1桁又はそれ以上少なくなっており、しかも病原生物はほとんど含まれていないため、海水に由来する魚病菌による病気に関する惧れは全くなく、食品に採用した際の安全性が極めて高いという大きな特徴がある。本発明はこのような海洋深層水に含まれている天然元素をエノキ茸5の栽培に採り入れることにより、従来の健康食品では実現することができない特性を持つ食品を提供することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、エノキ茸を茎の短い一口サイズに栽培したことにより、利用者が根部をカットするだけで食べやすいサイズになるとともに笠部のない茎部だけを食するケースはなくなり、エノキ茸自体の見栄えと食感をともに高めることができる。
【0038】
更に海洋深層水を混合して調製した培地を用いたことにより、エノキ茸特有のアクがなく、もともと視覚的要素と歯ごたえの食感を楽しむだけのエノキ茸に甘い味覚を持たせることができて、利用者は生鮮食料品と同様に生のエノキ茸をサラダ感覚で食すことができる。従って冬場の鍋物シーズンに限らず、年間を通して常時エノキ茸を提供することができるため、生産者にとっては売上高の増加が期待できるとともに消費者にとってもまろやかな味わいを持ち健康面からも好ましいエノキ茸をいつでも食べることができる。
【0039】
従って本発明によれば、従来から加熱調理を前提としていたエノキ茸を生食用としても適するように茎の短い一口サイズに栽培し、かつ、視覚的要素とか食感だけでなく、味覚的にも改善するとともに海洋深層水に含まれていて人体が必要とする天然の微量元素(ミネラル)が有効に生かされており、健康用としても好ましく、しかも鮮度と見映えを良くするために特定の容器に収納して製品化したエノキ茸を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるエノキ茸製品の外観図。
【図2】本実施形態にかかるエノキ茸の製造工程例を示すフロー図。
【図3】従来の生育したエノキ茸の形状例を示す外観図。
【符号の説明】
1…根部
2…茎部
3…笠部
5…エノキ茸
6…販売用容器
7…蓋部材
整理番号 P3605
Claims (7)
- 調製済みの培地を栽培ビンに詰めて、該培地に接種したエノキ茸種菌を茎の短い一口サイズの大きさに生育して収穫したことを特徴とする生食用エノキ茸。
- 調製済みの培地を栽培ビンに詰めて、該培地に接種したエノキ茸種菌を茎の短い一口サイズの大きさに生育させてから一株を単位として収穫し、カップ形状の販売用容器内に収納して透明なドーム形状の蓋部材を被覆して製品としたことを特徴とする生食用エノキ茸。
- 上記製品を個別にビニール袋に密閉封入して空気の流入を遮断した請求項2に記載の生食用エノキ茸。
- 上記蓋部材として透明な円錐状,円錐台状,円柱状又は多角形の角錐状のものを使用し、エノキ茸の笠部が外方から視認可能とした請求項2又は3に記載の生食用エノキ茸。
- 上記販売用容器として透明な円柱状又は逆円錐台状のものを使用し、エノキ茸の茎部が外方から視認可能とした請求項2,3又は4に記載の生食用エノキ茸。
- 茎の長さを8cm〜10cmとした請求項1,2,3,4又は5に記載の生食用エノキ茸。
- 培地を海洋深層水を混合して調整した請求項1,2,3,4,5又は6に記載の生食用エノキ茸。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003051302A JP2004254643A (ja) | 2003-02-27 | 2003-02-27 | 生食用エノキ茸 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003051302A JP2004254643A (ja) | 2003-02-27 | 2003-02-27 | 生食用エノキ茸 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004254643A true JP2004254643A (ja) | 2004-09-16 |
Family
ID=33116478
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003051302A Pending JP2004254643A (ja) | 2003-02-27 | 2003-02-27 | 生食用エノキ茸 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004254643A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006240698A (ja) * | 2005-03-04 | 2006-09-14 | Takara Bio Inc | きのこ用包装容器 |
KR100800511B1 (ko) | 2006-04-21 | 2008-02-04 | 그린합명회사 | 팽이버섯 재배방법 |
KR101169358B1 (ko) | 2010-01-26 | 2012-07-30 | 이성주 | 해양심층수를 첨가한 배지로 배양한 고품질 느타리버섯의 제조방법 |
CN104488548A (zh) * | 2014-12-16 | 2015-04-08 | 苍南县净源菇业有限公司 | 一种针叶树木屑周年栽培金针菇的方法 |
KR101511314B1 (ko) | 2013-08-23 | 2015-04-14 | 농업회사법인 서림농장 주식회사 | 줄기를 이용한 식물 포장체 및 줄기를 이용한 포장방법 |
TWI674837B (zh) * | 2018-08-31 | 2019-10-21 | 李無惑 | 香菇栽培方法 |
JP2021097606A (ja) * | 2019-12-20 | 2021-07-01 | 株式会社佐藤菌苑 | 茸菌床の製造方法及びそれによる茸菌床及び菌床材料の冷却装置 |
-
2003
- 2003-02-27 JP JP2003051302A patent/JP2004254643A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006240698A (ja) * | 2005-03-04 | 2006-09-14 | Takara Bio Inc | きのこ用包装容器 |
KR100800511B1 (ko) | 2006-04-21 | 2008-02-04 | 그린합명회사 | 팽이버섯 재배방법 |
KR101169358B1 (ko) | 2010-01-26 | 2012-07-30 | 이성주 | 해양심층수를 첨가한 배지로 배양한 고품질 느타리버섯의 제조방법 |
KR101511314B1 (ko) | 2013-08-23 | 2015-04-14 | 농업회사법인 서림농장 주식회사 | 줄기를 이용한 식물 포장체 및 줄기를 이용한 포장방법 |
CN104488548A (zh) * | 2014-12-16 | 2015-04-08 | 苍南县净源菇业有限公司 | 一种针叶树木屑周年栽培金针菇的方法 |
TWI674837B (zh) * | 2018-08-31 | 2019-10-21 | 李無惑 | 香菇栽培方法 |
JP2021097606A (ja) * | 2019-12-20 | 2021-07-01 | 株式会社佐藤菌苑 | 茸菌床の製造方法及びそれによる茸菌床及び菌床材料の冷却装置 |
JP7328694B2 (ja) | 2019-12-20 | 2023-08-17 | 株式会社佐藤菌苑 | 茸菌床の製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN105900692B (zh) | 一种利用玉米芯栽培猴头菇的方法 | |
CN103004469B (zh) | 天麻培养方法、天麻酒及小口径容器培养天麻生产工艺 | |
CN108812079B (zh) | 一种羊肚菌菌种分离方法 | |
KR20170079322A (ko) | 셀레늄을 함유한 계종버섯 재배방법 | |
CN103907477A (zh) | 蘑菇盆景式栽培的方法及用于栽培蘑菇的培养基 | |
CN103907476B (zh) | 鸡腿菇盆景式栽培的方法及用于栽培鸡腿菇的培养基 | |
CN102285844A (zh) | 一种香水百合营养肥的配制方法 | |
Eliseeva et al. | Microgreens: a newly merging product, aspects, prospectives, and disadvantages | |
JP2004254643A (ja) | 生食用エノキ茸 | |
CN104206170A (zh) | 一种富集dnj成分的灵芝的培养方法 | |
CN106962015A (zh) | 一种金针菇的培养工艺 | |
CN105237189A (zh) | 一种羊肚菌营养包的配制及栽培方法 | |
JP3595782B2 (ja) | 海洋深層水を利用したエノキタケの栽培方法 | |
KR101784291B1 (ko) | 영양성분이 강화된 녹색콩나물 재배방법 | |
CN1079102A (zh) | 天麻室内无土栽培技术 | |
Musmade et al. | Cucumber and melon | |
JPH11155365A (ja) | ササクレヒトヨタケの栽培方法 | |
Hakim et al. | Effect of compost tea and partial root zone drying on tomato productivity and quality | |
KR101496343B1 (ko) | 편백나무를 이용한 콩나물 및 재배방법 | |
CN114731867B (zh) | 一种便捷种植的鲜植罐头及其制备方法 | |
KR102642096B1 (ko) | 녹차를 이용하는 채소 또는 곡물 재배방법 | |
Kadhila-Muandingi et al. | Mushroom cultivation: A beginners guide | |
KR20100036479A (ko) | 콩나물 재배 시스템과 방법 | |
TWI280278B (en) | Food microorganism for incubation of eryngii mushroom and process for cultivating and for manufacturing the same | |
MANISHA et al. | GROWTH SUBSTRATES EFFICACY ON VARIOUS BIO COMPOUNDS AND YIELD OF OYSTER MUSHROOM (Pleurotus florida) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050304 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050315 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20050719 |