JP2004254043A - 車両内ネットワーク制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両内ネットワークに接続されたノードに対して、適切な制御を行うことにより、その消費電力を大きく低減できる車両内ネットワーク制御装置を提供すること。
【解決手段】ステップ100では、ウェイクビット判定処理を行い、その結果の値をSLOK1に格納する。具体的には、各ECU1〜11のウェイクデータが所定期間にわたり「0」であるならば、スリープモードに移行可能であるとして、SLOK1に「0」を設定する処理を行う。ステップ110では、自ECUにおけるスリープ許可判定を行い、その結果の値をSLOK2に格納する処理を行う。ステップ120では、SLOK1が「0」で且つSLOK2が「0」であるか否か判定する。ステップ130では、上記両判定によってスリープモードが許可された状態であるので、エンジンECU1をスリープモードに設定する。
【選択図】 図7
【解決手段】ステップ100では、ウェイクビット判定処理を行い、その結果の値をSLOK1に格納する。具体的には、各ECU1〜11のウェイクデータが所定期間にわたり「0」であるならば、スリープモードに移行可能であるとして、SLOK1に「0」を設定する処理を行う。ステップ110では、自ECUにおけるスリープ許可判定を行い、その結果の値をSLOK2に格納する処理を行う。ステップ120では、SLOK1が「0」で且つSLOK2が「0」であるか否か判定する。ステップ130では、上記両判定によってスリープモードが許可された状態であるので、エンジンECU1をスリープモードに設定する。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両内に配置された複数のノードが、通信線を介して互いに送受信を行う車両内ネットワーク制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、車両の高機能化に伴い、車両内の通信線が増加し、通信システムの大規模化及び複雑化が進行している。そして、この通信線の増加等の問題を解決する手段として、複数のECU(ノード)を通信線によって互いに接続した多重通信システム(車両内ネットワーク)がある。
【0003】
ところが、この車両内ネットワークにおいても、ネットワークが大規模化するに伴い、システムの省電力化の要求が強くなっている。
この対策として、運転状態に応じて、ECUを省電力モード(スリープ)にすることにより、システムの省電力化を図る方法が提案されている。
【0004】
例えば、マスタ・スレーブ通信にて、マスタECU側が各スレーブECUのスリープの可否を判断し、スリープ可能なスレーブECUに対して、スリープ命令を送信する技術が提案されている(特許文献1参照)。
また、これとは別に、各ECUは、自身がスリープに移行できない状態であるときに、そのことを示す信号(スリープ不可信号)を他のECUに送信し、各ECUでは、全てのECUからスリープ不可信号を受信しないときに、自身をスリープに移行する技術が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−25046号公報 (第5頁、図2)
【特許文献2】
特開平9−135257号公報 (第7、8頁、図5)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特許文献1の技術では、マスタECUがスレーブECUのスリープの可否を判定し、各スレーブECUにスリープ命令信号を出すものであるため、ネットワークにつながる全てのECUに対してスリープ制御を行おうとすると、マスタECUは最後にスリープするしかなく、通信の効率化が十分でないばかりでなく、省電力化も不十分という問題があった。
【0007】
また、この特許文献1の技術では、マスタECUのみがスリープ命令を送信するが、システムによっては、スレーブECU側でしかスリープの可否を判断できないものや、複数のECUによりスリープ可能かどうかをチェックしなければならないものがある。そのため、ネットワークにつながる各ECUに対して、各運転状態に応じた最適な制御をすることができず、その点からも、十分に消費電力を低減できないという問題があった。
【0008】
また、特許文献2の技術では、全てのECUがスリープ可能となってから全ECUが一斉にスリープとなるが、全ECUがスリープになる条件が満たされるまでは、消費電力の低減ができず、一層の改善が望まれていた。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、車両内ネットワークに接続されたノードに対して、適切な制御(例えばウェイクアップ/スリープ制御)を行うことにより、その消費電力を大きく低減できる車両内ネットワーク制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
(1)請求項1の発明は、通信線を介して接続された複数のノード(例えばECU)が、前記通信線を介して互いに信号を送受信するように構成された車両内ネットワーク制御装置において、前記信号として、受信側の前記ノードの使用電力が異なる動作状態(例えば通常モードとスリープモード)を示す動作情報(例えばウェイクデータ)を含む情報単位(例えば通信単位であるウェイクフレーム)を設定し、前記各ノードが、前記受信側のノードの情報単位を、前記受信側のノードに対して送信することを特徴とする。
【0010】
本発明では、各ノードから(受信側である)他のノードに対して、受信側の動作情報を含む情報単位を送信するので、その情報単位を受信した各ノードでは、各ノードから受信した情報単位に含まれる動作情報に基づいて、自身のノードの動作状態を例えば省電力モードに設定することができる。
【0011】
これによって、適切な例えばウェイクアップ/スリープ制御等のような省電力のための制御を行うことができるので、従来より通信効率が向上するだけでなく、ネットワーク全体の消費電力を大きく低減することができる。
また、上述した従来技術1よりも、ワイヤ数を低減でき、システムを簡易化できるという利点もある。
【0012】
(2)請求項2の発明では、前記動作情報とは、前記受信側のノードの動作モードが、通常電力の動作モード(通常モード)か省電力の動作モード(省電力モード:例えばスリープモード)かを示す情報であることを特徴とする。
本発明は、動作情報の内容を例示したものであり、通常モードでは、通常の消費電力にて、ノードの例えばマイクロコンピュータが作動し、省電力モードでは、例えばマイクロコンピュータの動作が低下して又は機能が停止して、消費電力を低減する。
【0013】
尚、省電力モード(例えばスリープモード)は、動作クロックとして(通常よりも)低周波のクロックを用いることや、いわゆるSTP端子により、マイクロコンピュータの動作を停止することにより実現できる。
(3)請求項3の発明では、前記情報単位には、予め決められたビット位置に、予め決められたノードの動作情報を設定することを特徴とする。
【0014】
本発明では、予め決められたビット位置に、予め決められたノードの動作情報が設定されているので、各ノードでは、自身の動作状態を決定する際に、受信した情報単位の決められたビット位置の動作情報のみをチェックすればよく、ハード及びソフト処理を簡易化できるという利点がある。
【0015】
(4)請求項4の発明では、前記情報単位により、前記ノードの機能を前記省電力の動作モードであるスリープ状態(例えばスリープモード)とすることを特徴とする。
本発明では、受信した情報単位に基づいて、ノードの機能をスリープ状態とすることができるので、容易に消費電力を低減できる。
【0016】
(5)請求項5の発明では、所定の複数の通信相手の前記ノードから受信した複数の前記情報単位の全てに、自身のノードの機能をスリープ状態とすることを許可する動作情報がある場合には、前記自身のノードの機能をスリープ状態とすることを特徴とする。
【0017】
本発明では、各ノードから受信した情報単位の全てに、受信側のノードに関するスリープ状態を要求する動作情報がある場合には、受信側のノードをスリープ状態とするので、スリープ状態とするノードを確実に決定することができる。
(6)請求項6の発明では、前記各ノードをグループ分けし、前記各グループの各ノードが、他のグループ別に設定された前記動作情報を含む前記情報単位を、前記他のグループに対して送信することを特徴とする。
【0018】
本発明では、各ノードをグループ分けして、各グループ別に設定された動作情報を含む情報単位を作成し、この情報単位を、各ノードから各グループ(従って各グループ内のノード)に送信する。従って、その情報単位を受信した各グループの各ノードでは、自身のグループ(従って自身のノード)の動作情報を把握することができるので、自身のグループ(従って各ノード)を、その動作情報に応じた動作状態(例えば省電力モード)に設定することができる。これにより、一層通信を効率化でき、また、送受信する情報単位も簡易化できるので、ソフト処理も容易になるという利点がある。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の車両内ネットワーク制御装置の実施の形態の例(実施例)について、図面に基づいて説明する。
(実施例1)
a)まず、本実施例の車両内ネットワーク制御装置のシステム構成について説明する。
【0020】
本実施例は、内燃機関とモータとによって車両を駆動するいわゆるハイブリッドシステムを搭載した車両の制御を行う装置であり、特に、電子制御装置(ECU:ノード)を通信線(多重通信線)で接続した多重通信システムの制御を行う車両内ネットワーク制御装置である。
【0021】
図1に示す様に、本実施例では、エンジンを制御するエンジンECU1と、車両の挙動を制御するVSCECU3と、自動走行を制御するクルーズECU5と、オートドアロックやパワーウインド等の各種の電装品を制御するボディECU7と、メータパネル内の計器や警告灯等を制御するメータECU9と、モータによるハイブリッド走行を制御するHVECU11とを備えている。
【0022】
前記エンジンECU1には、インジェクタ13及びイグナイタ15が接続され、VSCECU3には、Gセンサ17及び車速センサ19が接続され、クルーズECU5には、車間センサ21及びクルーズスイッチ(SW)23が接続され、ボディECU7には、ドアモータ25及びドアSW27が接続され、メータECU9には、スピードメータ29及びタコメータ31が接続され、HVECU11には、モータ33及びバッテリ35が接続されている。
【0023】
そして、前記6つのECU1〜11は、通信線(通信バス)37を介して接続されており、互いにシリアル通信を行うように構成されている。
また、上記の様な各ECU1〜11は、基本的に、図2に示す構成を備えている。
【0024】
即ち、各ECU1〜11は、通信線37を介してシリアル通信を行うための通信回路39と、通信回路39を介して通信を行うための処理や、自己の制御対象を制御するための処理等を行うためのマイクロコンピュータ41とを備えている。
【0025】
前記マイクロコンピュータ41には、マイクロコンピュータ41の動作クロックを発生するための素子として、2つの発振素子43、45が接続されており、一方の発振素子43によって、通常動作用の周波数(例えば4MHz)のクロックが発生し、他方の発振素子45によって、前記周波数より低い周波数(例えば30kHz)のクロックが発生するようになっている。
【0026】
また、マイクロコンピュータ41の内部には、各発振素子43、45をそれぞれ発振させるための2つの発振回路(OSC)47、49と、その作動させた方の発振回路から得られるクロックを動作クロックとして出力するセレクタ51とを備えている。つまり、マイクロコンピュータ41は、自己の動作クロックを、4MHzと30kHzとに切り替え可能となっている。
【0027】
このように構成された各ECU1〜11では、マイクロコンピュータ41は、通常動作を行う通常モード時には、発振素子43及び発振回路47を作動させて、4MHzのクロックに基づき作動する。また、後述する所定の条件が満たされた場合には、マイクロコンピュータ41は、通常動作を行う通常モード時には、他方の発振素子45及び発振回路49を作動させて、30kHzのクロックで作動することにより、消費電力の少ないスリープモードに入る。
【0028】
特に、本実施例では、前記スリープモードに入るかどうかの条件判定を、OR回路53に相当する処理により行っている。
つまり、後に詳述する様に、他のECUから送信された情報に基づくウェイクビット判定により、スリープモードに入るか否かを判断し、スリープモードに入ると判断された場合には、前記他方の発振素子45及び発振回路49を作動させて、スリープモードに入る。
【0029】
また、他のECUからの情報ではなく、例えば自身のECUに接続されたセンサ等からの情報に基づいて、スリープ許可判定を行い、スリープモードに入ることが許可された場合には、前記と同様に、前記他方の発振素子45及び発振回路49を作動させて、スリープモードに入る。
【0030】
b)次に、本実施例における通信単位(情報単位:データフレーム)及びその通信方法に関して説明する。
▲1▼まず、各ECU1〜11は、通信状態にある場合には、所定の定期通信周期で定期的に信号を送信するとともに、入力しているスイッチ等からの信号が状態変化した時や、他のECUへ制御信号を送る必要が生じた時など、何らかのイベントが発生した時に信号を送信する。
【0031】
そして、各ECU1〜11が送信する信号は、図3に示すようなフレーム構造を有している。
即ち、1フレームは、フレームの先頭を示す「SOF」と、フレームの種類を示す「ID」と、送信するデータの具体的内容を示す「DATA」と、通信誤りを検出するための検査用データ「CRC」と、フレームの終了を示す「EOF」とから構成されている。
【0032】
このうち、前記「ID」には、このデータフレームがウェイクフレームであるIことを示すID、即ち、各ECUに対する通常モード又はスリープモードの要求を示すデータ(ウェイクデータ)を含むことを示すウェイクフレーム識別子(ウェイクフレームID)が格納されている。
【0033】
また、前記「DATA」には、予め決められたビット位置に、送信先(受信側)のECUのウェイクデータが順次格納されている。具体的には、ウェイクフレームID側から、エンジンECU1、HVECU11、VSCECU3、クルーズECU5、メータECU9、ボディECU7の順で、通常モードを示す「1」又はスリープモードを示す「0」のウェイクデータが格納されている。
【0034】
▲2▼次に、運転状態に応じて設定されるウェイクフレームの内容について説明する。
・停車中(イグニッションスイッチIG=OFF)のウェイクフレームの例
図4に示す様に、停車中には、各ECU1〜11から送信されるウェイクフレームのウェイクデータは、停車中の状態に対応して設定される。
【0035】
例えばエンジンECU1から送信されるウェイクフレーム(同図の上端にて横方に伸びる実線の枠で示されるフレーム)には、上述した様に、エンジンECU1、HVECU11、VSCECU3、クルーズECU5、メータECU9、ボディECU7の順でウェイクデータが格納されている。ここでは、停車中であるので、エンジンECU1と他のECUとの通信は不要であり、よって、他のECUのウェイクデータは、スリープモードを示す「0」に設定されている。
【0036】
一方、メータECU9から送信されるウェイクフレームでは、エンジンECU1、HVECU11、VSCECU3、クルーズECU5のウェイクデータは「0」に設定されているが、ボディECU7のウェイクデータは「1」に設定されている。これは、停車中であっても、例えばドアが開いた場合には、そのデータをボディECU7から受信して、何らかのパネル表示などが必要であるからである。
【0037】
尚、自分自身に対するウェイクデータは、送信不要であるので、例えば「1」に設定したり、他のダミーのデータを設定することが可能である。
そして、上述の様に、各ECU1〜11から送信されたウェイクフレームは、他の各ECUにて受信され、その受信したデータに基づいて、後述するウェイクアップ/スリープ判定により、自身の動作モードを決定する。
【0038】
例えばエンジンECU1では、同図の縦方向に伸びる点線の枠に示す様に、予め決められたビット位置の自身のウェイクデータを読み取り、そのウェイクデータに基づいて動作モードを決める。
ここでは、他のECUから送信されたウェイクフレームにおけるエンジンECU1のビット位置のウェイクデータが、全て「0」であるので、スリープモードが可能であると判定する。尚、1つでも、ウェイクデータに「1」があれば、通常モードと判定される。
【0039】
・エンジン走行中のウェイクフレームの例
図5に示す様に、エンジン走行中には、各ECU1〜11から送信されるウェイクフレームのウェイクデータは、エンジン走行中の状態に対応して設定される。
【0040】
つまり、エンジン走行中には、モータ走行に必要なHVECU11は不要と考えられるので、例えばエンジンECU1から送信されるウェイクフレームでは、HVECU11のウェイクデータは「0」に設定され、他のECUのウェイクデータは「1」に設定される。
【0041】
一方、HVECU11から送信されるウェイクフレームでは、他のECUとの通信は不要であるので、他のECUのウェイクデータは全て「0」に設定されている。
従って、例えばHVECU11では、同図の縦方向に伸びる点線の枠に示す様に、他のECUから送信されたウェイクフレームにおけるエンジンECU1のビット位置のウェイクデータが、全て「0」であるので、スリープモードが可能であると判定する。
【0042】
・モータ走行中のウェイクフレームの例
図6に示す様に、モータ走行中には、各ECU1〜11から送信されるウェイクフレームのウェイクデータは、モータ走行中の状態に対応して設定される。
つまり、モータ走行中には、エンジン走行に必要なエンジンECU1は不要と考えられるので、例えばHVECU11から送信されるウェイクフレームでは、エンジンECU1(更に、メータECU9、ボディECU7)のウェイクデータは「0」に設定され、他のVSCECU3、クルーズECU5のウェイクデータは「1」に設定される。
【0043】
一方、エンジンECU1から送信されるウェイクフレームでは、他のECUとの通信は不要であるので、他のECUのウェイクデータは全て「0」に設定されている。
従って、例えばエンジンECU1では、同図の縦方向に伸びる点線の枠に示す様に、他のECUから送信されたウェイクフレームにおけるエンジンECU1のビット位置のウェイクデータが、全て「0」であるので、スリープモードが可能であると判定する。
【0044】
c)次に、各マイクロコンピュータ41で実施されるウェイクアップ/スリープ処理について説明する。
ここでは、エンジンECU1にて行われるウェイクアップ/スリープ処理、即ち、マイクロコンピュータ41の動作モードを、通常モード(ウェイクモード)に設定するかスリープモードに設定するかの判定を行う処理について説明する。
【0045】
図7に示す様に、ステップ100では、ウェイクフレームの自ノードビットのOR処理(ウェイクビット判定処理)を行い、その結果の値をSLOK1に格納する処理を行う。
具体的には、各ECU1〜11のウェイクデータをチェックし、各ECU1〜11のウェイクデータが所定期間にわたり、全て「0」であるならば、スリープモードに移行することが可能な状態であるとして、SLOK1に「0」を設定する処理を行う。
【0046】
続くステップ110では、自ECUにおけるスリープ許可判定を行い、その結果の値をSLOK2に格納する処理を行う。
具体的には、例えば水温が低い場合には、それに対応した水温チェック等の処理などのために、エンジンECU1を作動させておく必要があるが、その必要の無い例えばエンジン水温安定等の状態の場合には、スリープモードに移行することが可能な状態であるとして、SLOK2に「0」を設定する処理を行う。
【0047】
続くステップ120では、SLOK1が「0」で且つSLOK2が「0」であるか否か判定、即ち、他ECUからのウェイクデータに基づくウェイクビット判定により、スリープモードが許可され、且つ、自ECUのスリープ許可判定により、スリープモードが許可された状態であるか否かを判定する。ここで、肯定判断されるとステップ130に進み、一方否定判断されるとステップ140に進む。
【0048】
ステップ130では、上記両判定によってスリープモードが許可された状態であるので、エンジンECU1をスリープモードに設定し、即ち、低周波クロックを選択し、一旦本処理を終了する。
一方、ステップ140では、上記両判定のうち、少なくとも一方の判定によりスリープモードが許可されなかったので、エンジンECU1を通常モードに設定(維持)し、即ち、通常周波クロックを選択し、一旦本処理を終了する。
【0049】
d)次に、本実施例の効果を説明する。
本実施例は、各ECU1〜11から他のECUに、他のECUの動作モードを要求するウェイクフレームを送信し、そのウェイクフレームを受信した各ECU1〜11では、他の全てのECUからのウェイクフレームに格納された自身に関するウェイクデータから、総合的に自身の動作モードを決定することができる。
【0050】
これにより、従来に比べて、可能な場合には的確にスリープモードに設定することができるので、消費電力を大きく低減することができる。
また、従来のメインECUからスレーブECUに対してスリープ命令を送信するものと比べて、ワイヤ数を低減することができ、システムの簡素化を実現することができる。
(実施例2)
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0051】
本実施例は、前記実施例1とは、ECUの構成が異なる。
図8に示す様に、本実施例では、各ECU(例えばエンジンECU61)は、マイクロコンピュータ63と通信回路65とOR回路67とを備えており、通信線69を介して、他のECUとウェイクフレームを送受信している。
【0052】
前記マイクロコンピュータ63は、マイクロコンピュータ63の機能を停止させる周知のSTP端子71と、発振回路73とを備えており、この発振回路73及び発振素子75を駆動することにより、一定の周期のクロックを発生させている。
【0053】
本実施例では、通信回路65にて、他のECUから送信されたウェイクフレームのウェイクビットの判定処理(ウェイクビット判定処理)を行う。具体的には、各ECUに対応したウェイクフレームにおいて、エンジンECU1のビット位置のウェイクデータをチェックする。そして、全てのウェイクデータが「0」の場合には、OR回路67に対して「0」を出力し、そうでない場合には「1」を出力する。
【0054】
一方、マイクロコンピュータ63では、上述した自ECUのスリープ判定を行い、スリープモードを許可する場合には、OR回路67に対して「0」を出力し、そうでない場合には「1」を出力する。
従って、OR回路67では、入力された信号が全て「0」の場合には、STP端子71に対して、マイクロコンピュータ63の機能を停止させる信号として、「0」を出力し、そうでない場合には、「1」を出力する。
【0055】
よって、「0」を示す信号がSTP端子71に入力した場合には、エンジンECU61は自身のマイクロコンピュータ63の機能を停止して、省電力のスリープモードとなる。
尚、マイクロコンピュータ61を通常モードに復帰させる場合には、他のECUからエンジンECU61の通信回路65に、エンジンECU61のビット位置に「1」が設定されたウェイクフレームを入力するようにすれば良い。
【0056】
この様に、本実施例では、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、発振回路73及び発振素子75が1組で済み、また、セレクタも不要であるので、構成を簡易化できるという利点がある。
(実施例3)
次に、実施例3について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0057】
本実施例は、前記実施例1とは異なり、ネットワークの各ECUをグループ分けしたものである。尚、実施例1と同じ構成は図面の同じ番号を用いる。
図8に示す様に、本実施例では、各ECUは、サブネット1〜3の3つのグループにグループ分けされている。
【0058】
具体的には、エンジンECU1とVSCECU3とクルーズECU5とは、サブネット1とされ、VSCECU3とクルーズECU5とHVECU11とは、サブネット2とされ、ボディECU7とメータECU9とは、サブネット3とされている。
【0059】
そして、本実施例では、各ECUから送信されるウェイクフレームは、図10に示す様になっている。
即ち、ウェイクフレームの「DATA」には、予め決められたビット位置に、ウェイクフレームID側から、サブネット1、サブネット2、サブネット3の順で、各サブネットのウェイクデータが格納されている。
【0060】
従って、本実施例では、図11にモータ走行中のウェイクフレームを示す様に、各ECU1〜11から、各サブネットのウェイクデータを格納したウェイクフレームを、他のサブネット(従って他のECU)に対して送信する。
このとき、他のECUでは、自身のサブネットが分かっているので、受信したウェイクフレームから自身のウェイクデータを読みとることができる。
【0061】
つまり、同図の縦方向の点線の枠で示される様に、例えばサブネット2内の全てのECUでは、他のECUからのウェイクデータが全て「0」であるので、スリープモードが可能な状態であることが分かる。
この様に、本実施例では、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、各ECU1〜11がグループ化されているので、バス負担(トラフィック)の軽減と、ソフトウェア処理の簡素化を図ることができる。
【0062】
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の車両内ネットワーク制御装置を示すシステム構成図である。
【図2】実施例1の各ECUにおける電気的構成を示す説明図である。
【図3】実施例1のウェイクフレームの構成を示す説明図である。
【図4】実施例1の各ECUから送信される停車中に対応したウェイクフレームを示す説明図である。
【図5】実施例1の各ECUから送信されるエンジン走行中に対応したウェイクフレームを示す説明図である。
【図6】実施例1の各ECUから送信されるモータ走行中に対応したウェイクフレームを示す説明図である。
【図7】実施例1のウェイクアップ/スリープ処理を示すフローチャートである。
【図8】実施例2の各ECUにおける電気的構成を示す説明図である。
【図9】実施例3の車両内ネットワーク制御装置を示すシステム構成図である。
【図10】実施例3のウェイクフレームの構成を示す説明図である。
【図11】実施例3の各ECUから送信されるモータ走行中に対応したウェイクフレームを示す説明図である。
【符号の説明】
1…エンジンECU1
3…VSCECU3
5…クルーズECU5
7…ボディECU7
9…メータECU9
11…HVECU11
37、69…通信線
37、65…通信回路
41、63…マイクロコンピュータ
53、67…OR回路
43、45、75…発振素子
47、49、73…発振回路(OSC)
71…STP端子
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両内に配置された複数のノードが、通信線を介して互いに送受信を行う車両内ネットワーク制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、車両の高機能化に伴い、車両内の通信線が増加し、通信システムの大規模化及び複雑化が進行している。そして、この通信線の増加等の問題を解決する手段として、複数のECU(ノード)を通信線によって互いに接続した多重通信システム(車両内ネットワーク)がある。
【0003】
ところが、この車両内ネットワークにおいても、ネットワークが大規模化するに伴い、システムの省電力化の要求が強くなっている。
この対策として、運転状態に応じて、ECUを省電力モード(スリープ)にすることにより、システムの省電力化を図る方法が提案されている。
【0004】
例えば、マスタ・スレーブ通信にて、マスタECU側が各スレーブECUのスリープの可否を判断し、スリープ可能なスレーブECUに対して、スリープ命令を送信する技術が提案されている(特許文献1参照)。
また、これとは別に、各ECUは、自身がスリープに移行できない状態であるときに、そのことを示す信号(スリープ不可信号)を他のECUに送信し、各ECUでは、全てのECUからスリープ不可信号を受信しないときに、自身をスリープに移行する技術が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−25046号公報 (第5頁、図2)
【特許文献2】
特開平9−135257号公報 (第7、8頁、図5)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特許文献1の技術では、マスタECUがスレーブECUのスリープの可否を判定し、各スレーブECUにスリープ命令信号を出すものであるため、ネットワークにつながる全てのECUに対してスリープ制御を行おうとすると、マスタECUは最後にスリープするしかなく、通信の効率化が十分でないばかりでなく、省電力化も不十分という問題があった。
【0007】
また、この特許文献1の技術では、マスタECUのみがスリープ命令を送信するが、システムによっては、スレーブECU側でしかスリープの可否を判断できないものや、複数のECUによりスリープ可能かどうかをチェックしなければならないものがある。そのため、ネットワークにつながる各ECUに対して、各運転状態に応じた最適な制御をすることができず、その点からも、十分に消費電力を低減できないという問題があった。
【0008】
また、特許文献2の技術では、全てのECUがスリープ可能となってから全ECUが一斉にスリープとなるが、全ECUがスリープになる条件が満たされるまでは、消費電力の低減ができず、一層の改善が望まれていた。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、車両内ネットワークに接続されたノードに対して、適切な制御(例えばウェイクアップ/スリープ制御)を行うことにより、その消費電力を大きく低減できる車両内ネットワーク制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
(1)請求項1の発明は、通信線を介して接続された複数のノード(例えばECU)が、前記通信線を介して互いに信号を送受信するように構成された車両内ネットワーク制御装置において、前記信号として、受信側の前記ノードの使用電力が異なる動作状態(例えば通常モードとスリープモード)を示す動作情報(例えばウェイクデータ)を含む情報単位(例えば通信単位であるウェイクフレーム)を設定し、前記各ノードが、前記受信側のノードの情報単位を、前記受信側のノードに対して送信することを特徴とする。
【0010】
本発明では、各ノードから(受信側である)他のノードに対して、受信側の動作情報を含む情報単位を送信するので、その情報単位を受信した各ノードでは、各ノードから受信した情報単位に含まれる動作情報に基づいて、自身のノードの動作状態を例えば省電力モードに設定することができる。
【0011】
これによって、適切な例えばウェイクアップ/スリープ制御等のような省電力のための制御を行うことができるので、従来より通信効率が向上するだけでなく、ネットワーク全体の消費電力を大きく低減することができる。
また、上述した従来技術1よりも、ワイヤ数を低減でき、システムを簡易化できるという利点もある。
【0012】
(2)請求項2の発明では、前記動作情報とは、前記受信側のノードの動作モードが、通常電力の動作モード(通常モード)か省電力の動作モード(省電力モード:例えばスリープモード)かを示す情報であることを特徴とする。
本発明は、動作情報の内容を例示したものであり、通常モードでは、通常の消費電力にて、ノードの例えばマイクロコンピュータが作動し、省電力モードでは、例えばマイクロコンピュータの動作が低下して又は機能が停止して、消費電力を低減する。
【0013】
尚、省電力モード(例えばスリープモード)は、動作クロックとして(通常よりも)低周波のクロックを用いることや、いわゆるSTP端子により、マイクロコンピュータの動作を停止することにより実現できる。
(3)請求項3の発明では、前記情報単位には、予め決められたビット位置に、予め決められたノードの動作情報を設定することを特徴とする。
【0014】
本発明では、予め決められたビット位置に、予め決められたノードの動作情報が設定されているので、各ノードでは、自身の動作状態を決定する際に、受信した情報単位の決められたビット位置の動作情報のみをチェックすればよく、ハード及びソフト処理を簡易化できるという利点がある。
【0015】
(4)請求項4の発明では、前記情報単位により、前記ノードの機能を前記省電力の動作モードであるスリープ状態(例えばスリープモード)とすることを特徴とする。
本発明では、受信した情報単位に基づいて、ノードの機能をスリープ状態とすることができるので、容易に消費電力を低減できる。
【0016】
(5)請求項5の発明では、所定の複数の通信相手の前記ノードから受信した複数の前記情報単位の全てに、自身のノードの機能をスリープ状態とすることを許可する動作情報がある場合には、前記自身のノードの機能をスリープ状態とすることを特徴とする。
【0017】
本発明では、各ノードから受信した情報単位の全てに、受信側のノードに関するスリープ状態を要求する動作情報がある場合には、受信側のノードをスリープ状態とするので、スリープ状態とするノードを確実に決定することができる。
(6)請求項6の発明では、前記各ノードをグループ分けし、前記各グループの各ノードが、他のグループ別に設定された前記動作情報を含む前記情報単位を、前記他のグループに対して送信することを特徴とする。
【0018】
本発明では、各ノードをグループ分けして、各グループ別に設定された動作情報を含む情報単位を作成し、この情報単位を、各ノードから各グループ(従って各グループ内のノード)に送信する。従って、その情報単位を受信した各グループの各ノードでは、自身のグループ(従って自身のノード)の動作情報を把握することができるので、自身のグループ(従って各ノード)を、その動作情報に応じた動作状態(例えば省電力モード)に設定することができる。これにより、一層通信を効率化でき、また、送受信する情報単位も簡易化できるので、ソフト処理も容易になるという利点がある。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の車両内ネットワーク制御装置の実施の形態の例(実施例)について、図面に基づいて説明する。
(実施例1)
a)まず、本実施例の車両内ネットワーク制御装置のシステム構成について説明する。
【0020】
本実施例は、内燃機関とモータとによって車両を駆動するいわゆるハイブリッドシステムを搭載した車両の制御を行う装置であり、特に、電子制御装置(ECU:ノード)を通信線(多重通信線)で接続した多重通信システムの制御を行う車両内ネットワーク制御装置である。
【0021】
図1に示す様に、本実施例では、エンジンを制御するエンジンECU1と、車両の挙動を制御するVSCECU3と、自動走行を制御するクルーズECU5と、オートドアロックやパワーウインド等の各種の電装品を制御するボディECU7と、メータパネル内の計器や警告灯等を制御するメータECU9と、モータによるハイブリッド走行を制御するHVECU11とを備えている。
【0022】
前記エンジンECU1には、インジェクタ13及びイグナイタ15が接続され、VSCECU3には、Gセンサ17及び車速センサ19が接続され、クルーズECU5には、車間センサ21及びクルーズスイッチ(SW)23が接続され、ボディECU7には、ドアモータ25及びドアSW27が接続され、メータECU9には、スピードメータ29及びタコメータ31が接続され、HVECU11には、モータ33及びバッテリ35が接続されている。
【0023】
そして、前記6つのECU1〜11は、通信線(通信バス)37を介して接続されており、互いにシリアル通信を行うように構成されている。
また、上記の様な各ECU1〜11は、基本的に、図2に示す構成を備えている。
【0024】
即ち、各ECU1〜11は、通信線37を介してシリアル通信を行うための通信回路39と、通信回路39を介して通信を行うための処理や、自己の制御対象を制御するための処理等を行うためのマイクロコンピュータ41とを備えている。
【0025】
前記マイクロコンピュータ41には、マイクロコンピュータ41の動作クロックを発生するための素子として、2つの発振素子43、45が接続されており、一方の発振素子43によって、通常動作用の周波数(例えば4MHz)のクロックが発生し、他方の発振素子45によって、前記周波数より低い周波数(例えば30kHz)のクロックが発生するようになっている。
【0026】
また、マイクロコンピュータ41の内部には、各発振素子43、45をそれぞれ発振させるための2つの発振回路(OSC)47、49と、その作動させた方の発振回路から得られるクロックを動作クロックとして出力するセレクタ51とを備えている。つまり、マイクロコンピュータ41は、自己の動作クロックを、4MHzと30kHzとに切り替え可能となっている。
【0027】
このように構成された各ECU1〜11では、マイクロコンピュータ41は、通常動作を行う通常モード時には、発振素子43及び発振回路47を作動させて、4MHzのクロックに基づき作動する。また、後述する所定の条件が満たされた場合には、マイクロコンピュータ41は、通常動作を行う通常モード時には、他方の発振素子45及び発振回路49を作動させて、30kHzのクロックで作動することにより、消費電力の少ないスリープモードに入る。
【0028】
特に、本実施例では、前記スリープモードに入るかどうかの条件判定を、OR回路53に相当する処理により行っている。
つまり、後に詳述する様に、他のECUから送信された情報に基づくウェイクビット判定により、スリープモードに入るか否かを判断し、スリープモードに入ると判断された場合には、前記他方の発振素子45及び発振回路49を作動させて、スリープモードに入る。
【0029】
また、他のECUからの情報ではなく、例えば自身のECUに接続されたセンサ等からの情報に基づいて、スリープ許可判定を行い、スリープモードに入ることが許可された場合には、前記と同様に、前記他方の発振素子45及び発振回路49を作動させて、スリープモードに入る。
【0030】
b)次に、本実施例における通信単位(情報単位:データフレーム)及びその通信方法に関して説明する。
▲1▼まず、各ECU1〜11は、通信状態にある場合には、所定の定期通信周期で定期的に信号を送信するとともに、入力しているスイッチ等からの信号が状態変化した時や、他のECUへ制御信号を送る必要が生じた時など、何らかのイベントが発生した時に信号を送信する。
【0031】
そして、各ECU1〜11が送信する信号は、図3に示すようなフレーム構造を有している。
即ち、1フレームは、フレームの先頭を示す「SOF」と、フレームの種類を示す「ID」と、送信するデータの具体的内容を示す「DATA」と、通信誤りを検出するための検査用データ「CRC」と、フレームの終了を示す「EOF」とから構成されている。
【0032】
このうち、前記「ID」には、このデータフレームがウェイクフレームであるIことを示すID、即ち、各ECUに対する通常モード又はスリープモードの要求を示すデータ(ウェイクデータ)を含むことを示すウェイクフレーム識別子(ウェイクフレームID)が格納されている。
【0033】
また、前記「DATA」には、予め決められたビット位置に、送信先(受信側)のECUのウェイクデータが順次格納されている。具体的には、ウェイクフレームID側から、エンジンECU1、HVECU11、VSCECU3、クルーズECU5、メータECU9、ボディECU7の順で、通常モードを示す「1」又はスリープモードを示す「0」のウェイクデータが格納されている。
【0034】
▲2▼次に、運転状態に応じて設定されるウェイクフレームの内容について説明する。
・停車中(イグニッションスイッチIG=OFF)のウェイクフレームの例
図4に示す様に、停車中には、各ECU1〜11から送信されるウェイクフレームのウェイクデータは、停車中の状態に対応して設定される。
【0035】
例えばエンジンECU1から送信されるウェイクフレーム(同図の上端にて横方に伸びる実線の枠で示されるフレーム)には、上述した様に、エンジンECU1、HVECU11、VSCECU3、クルーズECU5、メータECU9、ボディECU7の順でウェイクデータが格納されている。ここでは、停車中であるので、エンジンECU1と他のECUとの通信は不要であり、よって、他のECUのウェイクデータは、スリープモードを示す「0」に設定されている。
【0036】
一方、メータECU9から送信されるウェイクフレームでは、エンジンECU1、HVECU11、VSCECU3、クルーズECU5のウェイクデータは「0」に設定されているが、ボディECU7のウェイクデータは「1」に設定されている。これは、停車中であっても、例えばドアが開いた場合には、そのデータをボディECU7から受信して、何らかのパネル表示などが必要であるからである。
【0037】
尚、自分自身に対するウェイクデータは、送信不要であるので、例えば「1」に設定したり、他のダミーのデータを設定することが可能である。
そして、上述の様に、各ECU1〜11から送信されたウェイクフレームは、他の各ECUにて受信され、その受信したデータに基づいて、後述するウェイクアップ/スリープ判定により、自身の動作モードを決定する。
【0038】
例えばエンジンECU1では、同図の縦方向に伸びる点線の枠に示す様に、予め決められたビット位置の自身のウェイクデータを読み取り、そのウェイクデータに基づいて動作モードを決める。
ここでは、他のECUから送信されたウェイクフレームにおけるエンジンECU1のビット位置のウェイクデータが、全て「0」であるので、スリープモードが可能であると判定する。尚、1つでも、ウェイクデータに「1」があれば、通常モードと判定される。
【0039】
・エンジン走行中のウェイクフレームの例
図5に示す様に、エンジン走行中には、各ECU1〜11から送信されるウェイクフレームのウェイクデータは、エンジン走行中の状態に対応して設定される。
【0040】
つまり、エンジン走行中には、モータ走行に必要なHVECU11は不要と考えられるので、例えばエンジンECU1から送信されるウェイクフレームでは、HVECU11のウェイクデータは「0」に設定され、他のECUのウェイクデータは「1」に設定される。
【0041】
一方、HVECU11から送信されるウェイクフレームでは、他のECUとの通信は不要であるので、他のECUのウェイクデータは全て「0」に設定されている。
従って、例えばHVECU11では、同図の縦方向に伸びる点線の枠に示す様に、他のECUから送信されたウェイクフレームにおけるエンジンECU1のビット位置のウェイクデータが、全て「0」であるので、スリープモードが可能であると判定する。
【0042】
・モータ走行中のウェイクフレームの例
図6に示す様に、モータ走行中には、各ECU1〜11から送信されるウェイクフレームのウェイクデータは、モータ走行中の状態に対応して設定される。
つまり、モータ走行中には、エンジン走行に必要なエンジンECU1は不要と考えられるので、例えばHVECU11から送信されるウェイクフレームでは、エンジンECU1(更に、メータECU9、ボディECU7)のウェイクデータは「0」に設定され、他のVSCECU3、クルーズECU5のウェイクデータは「1」に設定される。
【0043】
一方、エンジンECU1から送信されるウェイクフレームでは、他のECUとの通信は不要であるので、他のECUのウェイクデータは全て「0」に設定されている。
従って、例えばエンジンECU1では、同図の縦方向に伸びる点線の枠に示す様に、他のECUから送信されたウェイクフレームにおけるエンジンECU1のビット位置のウェイクデータが、全て「0」であるので、スリープモードが可能であると判定する。
【0044】
c)次に、各マイクロコンピュータ41で実施されるウェイクアップ/スリープ処理について説明する。
ここでは、エンジンECU1にて行われるウェイクアップ/スリープ処理、即ち、マイクロコンピュータ41の動作モードを、通常モード(ウェイクモード)に設定するかスリープモードに設定するかの判定を行う処理について説明する。
【0045】
図7に示す様に、ステップ100では、ウェイクフレームの自ノードビットのOR処理(ウェイクビット判定処理)を行い、その結果の値をSLOK1に格納する処理を行う。
具体的には、各ECU1〜11のウェイクデータをチェックし、各ECU1〜11のウェイクデータが所定期間にわたり、全て「0」であるならば、スリープモードに移行することが可能な状態であるとして、SLOK1に「0」を設定する処理を行う。
【0046】
続くステップ110では、自ECUにおけるスリープ許可判定を行い、その結果の値をSLOK2に格納する処理を行う。
具体的には、例えば水温が低い場合には、それに対応した水温チェック等の処理などのために、エンジンECU1を作動させておく必要があるが、その必要の無い例えばエンジン水温安定等の状態の場合には、スリープモードに移行することが可能な状態であるとして、SLOK2に「0」を設定する処理を行う。
【0047】
続くステップ120では、SLOK1が「0」で且つSLOK2が「0」であるか否か判定、即ち、他ECUからのウェイクデータに基づくウェイクビット判定により、スリープモードが許可され、且つ、自ECUのスリープ許可判定により、スリープモードが許可された状態であるか否かを判定する。ここで、肯定判断されるとステップ130に進み、一方否定判断されるとステップ140に進む。
【0048】
ステップ130では、上記両判定によってスリープモードが許可された状態であるので、エンジンECU1をスリープモードに設定し、即ち、低周波クロックを選択し、一旦本処理を終了する。
一方、ステップ140では、上記両判定のうち、少なくとも一方の判定によりスリープモードが許可されなかったので、エンジンECU1を通常モードに設定(維持)し、即ち、通常周波クロックを選択し、一旦本処理を終了する。
【0049】
d)次に、本実施例の効果を説明する。
本実施例は、各ECU1〜11から他のECUに、他のECUの動作モードを要求するウェイクフレームを送信し、そのウェイクフレームを受信した各ECU1〜11では、他の全てのECUからのウェイクフレームに格納された自身に関するウェイクデータから、総合的に自身の動作モードを決定することができる。
【0050】
これにより、従来に比べて、可能な場合には的確にスリープモードに設定することができるので、消費電力を大きく低減することができる。
また、従来のメインECUからスレーブECUに対してスリープ命令を送信するものと比べて、ワイヤ数を低減することができ、システムの簡素化を実現することができる。
(実施例2)
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0051】
本実施例は、前記実施例1とは、ECUの構成が異なる。
図8に示す様に、本実施例では、各ECU(例えばエンジンECU61)は、マイクロコンピュータ63と通信回路65とOR回路67とを備えており、通信線69を介して、他のECUとウェイクフレームを送受信している。
【0052】
前記マイクロコンピュータ63は、マイクロコンピュータ63の機能を停止させる周知のSTP端子71と、発振回路73とを備えており、この発振回路73及び発振素子75を駆動することにより、一定の周期のクロックを発生させている。
【0053】
本実施例では、通信回路65にて、他のECUから送信されたウェイクフレームのウェイクビットの判定処理(ウェイクビット判定処理)を行う。具体的には、各ECUに対応したウェイクフレームにおいて、エンジンECU1のビット位置のウェイクデータをチェックする。そして、全てのウェイクデータが「0」の場合には、OR回路67に対して「0」を出力し、そうでない場合には「1」を出力する。
【0054】
一方、マイクロコンピュータ63では、上述した自ECUのスリープ判定を行い、スリープモードを許可する場合には、OR回路67に対して「0」を出力し、そうでない場合には「1」を出力する。
従って、OR回路67では、入力された信号が全て「0」の場合には、STP端子71に対して、マイクロコンピュータ63の機能を停止させる信号として、「0」を出力し、そうでない場合には、「1」を出力する。
【0055】
よって、「0」を示す信号がSTP端子71に入力した場合には、エンジンECU61は自身のマイクロコンピュータ63の機能を停止して、省電力のスリープモードとなる。
尚、マイクロコンピュータ61を通常モードに復帰させる場合には、他のECUからエンジンECU61の通信回路65に、エンジンECU61のビット位置に「1」が設定されたウェイクフレームを入力するようにすれば良い。
【0056】
この様に、本実施例では、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、発振回路73及び発振素子75が1組で済み、また、セレクタも不要であるので、構成を簡易化できるという利点がある。
(実施例3)
次に、実施例3について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0057】
本実施例は、前記実施例1とは異なり、ネットワークの各ECUをグループ分けしたものである。尚、実施例1と同じ構成は図面の同じ番号を用いる。
図8に示す様に、本実施例では、各ECUは、サブネット1〜3の3つのグループにグループ分けされている。
【0058】
具体的には、エンジンECU1とVSCECU3とクルーズECU5とは、サブネット1とされ、VSCECU3とクルーズECU5とHVECU11とは、サブネット2とされ、ボディECU7とメータECU9とは、サブネット3とされている。
【0059】
そして、本実施例では、各ECUから送信されるウェイクフレームは、図10に示す様になっている。
即ち、ウェイクフレームの「DATA」には、予め決められたビット位置に、ウェイクフレームID側から、サブネット1、サブネット2、サブネット3の順で、各サブネットのウェイクデータが格納されている。
【0060】
従って、本実施例では、図11にモータ走行中のウェイクフレームを示す様に、各ECU1〜11から、各サブネットのウェイクデータを格納したウェイクフレームを、他のサブネット(従って他のECU)に対して送信する。
このとき、他のECUでは、自身のサブネットが分かっているので、受信したウェイクフレームから自身のウェイクデータを読みとることができる。
【0061】
つまり、同図の縦方向の点線の枠で示される様に、例えばサブネット2内の全てのECUでは、他のECUからのウェイクデータが全て「0」であるので、スリープモードが可能な状態であることが分かる。
この様に、本実施例では、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、各ECU1〜11がグループ化されているので、バス負担(トラフィック)の軽減と、ソフトウェア処理の簡素化を図ることができる。
【0062】
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の車両内ネットワーク制御装置を示すシステム構成図である。
【図2】実施例1の各ECUにおける電気的構成を示す説明図である。
【図3】実施例1のウェイクフレームの構成を示す説明図である。
【図4】実施例1の各ECUから送信される停車中に対応したウェイクフレームを示す説明図である。
【図5】実施例1の各ECUから送信されるエンジン走行中に対応したウェイクフレームを示す説明図である。
【図6】実施例1の各ECUから送信されるモータ走行中に対応したウェイクフレームを示す説明図である。
【図7】実施例1のウェイクアップ/スリープ処理を示すフローチャートである。
【図8】実施例2の各ECUにおける電気的構成を示す説明図である。
【図9】実施例3の車両内ネットワーク制御装置を示すシステム構成図である。
【図10】実施例3のウェイクフレームの構成を示す説明図である。
【図11】実施例3の各ECUから送信されるモータ走行中に対応したウェイクフレームを示す説明図である。
【符号の説明】
1…エンジンECU1
3…VSCECU3
5…クルーズECU5
7…ボディECU7
9…メータECU9
11…HVECU11
37、69…通信線
37、65…通信回路
41、63…マイクロコンピュータ
53、67…OR回路
43、45、75…発振素子
47、49、73…発振回路(OSC)
71…STP端子
Claims (6)
- 通信線を介して接続された複数のノードが、前記通信線を介して互いに信号を送受信するように構成された車両内ネットワーク制御装置において、
前記信号として、受信側の前記ノードの使用電力が異なる動作状態を示す動作情報を含む情報単位を設定し、
前記各ノードが、前記受信側のノードの情報単位を、前記受信側のノードに対して送信することを特徴とする車両内ネットワーク制御装置。 - 前記動作情報とは、前記受信側のノードの動作モードが、通常電力の動作モードか省電力の動作モードかを示す情報であることを特徴とする前記請求項1に記載の車両内ネットワーク制御装置。
- 前記情報単位には、予め決められたビット位置に、予め決められたノードの動作情報を設定することを特徴とする前記請求項1又は2に記載の車両内ネットワーク制御装置。
- 前記情報単位により、前記ノードの機能を前記省電力の動作モードであるスリープ状態とすることを特徴とする前記請求項1〜3のいずれかに記載の車両内ネットワーク制御装置。
- 所定の複数の通信相手の前記ノードから受信した複数の前記情報単位の全てに、自身のノードの機能をスリープ状態とすることを許可する動作情報がある場合には、前記自身のノードの機能をスリープ状態とすることを特徴とする前記請求項4に記載の車両内ネットワーク制御装置。
- 前記各ノードをグループ分けし、前記各グループの各ノードが、他のグループ別に設定された前記動作情報を含む前記情報単位を、前記他のグループに対して送信することを特徴とする前記請求項1〜5のいずれかに記載の車両内ネットワーク制御装置。
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2003
- 2003-02-19 JP JP2003041716A patent/JP2004254043A/ja active Pending
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