JP2004241997A - 車両用電源重畳多重通信システム - Google Patents
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Abstract
【課題】通信効率の低下を招くことなく、通信装置の新たな追加を容易かつ確実に認識することを課題とする。
【解決手段】システムに接続されて新たに追加された時に、スレーブの演算部3はハイレベルに設定された新規追加信号を所定の時間送信し、この新規追加信号を受信したマスターの演算部1は、新規追加信号を送信したスレーブにアドレスを要求し、この要求に応じてスレーブの演算部3は自己のアドレスを送信し、このアドレスを受信したマスターの演算部1は、追加されたスレーブがマスターとの間で双方向通信ができるように処理して構成される。
【選択図】 図1
【解決手段】システムに接続されて新たに追加された時に、スレーブの演算部3はハイレベルに設定された新規追加信号を所定の時間送信し、この新規追加信号を受信したマスターの演算部1は、新規追加信号を送信したスレーブにアドレスを要求し、この要求に応じてスレーブの演算部3は自己のアドレスを送信し、このアドレスを受信したマスターの演算部1は、追加されたスレーブがマスターとの間で双方向通信ができるように処理して構成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両で使用する各種信号を電源線に重畳して通信するマスター側の車両用電源重畳多重通信装置とスレーブ側の車両用電源重畳多重通信装置との間で双方向通信する車両用電源重畳多重通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の高性能化が進み、1台の車両に多数の電子制御ユニット(ECU、Electronic Control Unit )が車載されている。このECUは、エンジンやトランスミッションの制御の他、パワーウィンドー、ランプ、ドアミラー等を制御するものである。それぞれのECUは関連して機能するため、それぞれのECUは、ECU間に設けられた専用の信号線や、各ECUに共通なバスを介して接続され、信号線やバスの通信線を介して信号の入出力が行われている。
【0003】
最近では、1台に搭載されるECUの数が増えたり、制御の複雑化による信号数の増加等により、ECU間を接続する通信線の本数も増加傾向にあり、通信線を含むワイヤハーネスの大型化や価格の上昇を招いていた。
【0004】
これを解消するために、ECU間を入出力する信号を、ECUに電源を供給する電源線に重畳させて、ECU間の通信を行うようにした技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。この技術により通信線の本数を削減して、上記不具合を解消している。
【0005】
また、車両に電源を供給する電源線に通信信号を重畳する車両用電源重畳多重通信において、搬送波が例えば数100Hz〜数kHz帯の低周波数である場合には、電源に接続された電子機器に実装されたバイパスコンデンサにより通信信号が著しく減衰してしまう。このため、数MHz(例えば2.5MHz)の高周波で通信信号をASK(振幅シフトキーイング)変調することで、バイパスコンデンサによる通信信号の減衰が抑制され、電源重畳多重通信を安定して行うことが可能となる。また、ASK変調は、他の変調方式に比べて、簡易な構成で安価に実現することができる。
【0006】
図6に示すように、複数のECUそれぞれに含まれる、マスターの車両用電源重畳多重通信装置(以下、PLCと記す)PLC90と、スレーブ1〜3のPLC(それぞれの負荷に対応したPLC)91〜93との間では、LIN準拠のプロトコルに基づいて一定のサイクルでマスター側のPLC90とスレーブ側のPLC91〜93との間でポーリング動作を行うことにより、マスター側のPLCとスレーブ側のPLC間で双方向通信が行われる。
【0007】
図7は従来のPLC107を含むECU100の概略構成を示す図である。図7において、電圧変動を抑制するバイパスコンデンサ103が接続された電源線101からノイズ除去用のインピーダンス素子102を介して供給される車両用の電源電圧、例えば12Vの電源電圧はレギュレータで構成された電源回路部104で、車両内部の電子機器の動作電源電圧、例えば5Vに変換され、車両内部の電子機器に供給される。リレー等のスイッチング素子で構成された負荷制御部105は、負荷制御信号に基づいてスイッチング制御され、電源線101を介して与えられる負荷駆動電流を制御している。例えばパワーウィンドーやドアミラー等の駆動モータ、ランプ等の負荷106は、電源線101から負荷制御部105を介して与えられる駆動電流により駆動される。電源線101には、電源線101に信号を重畳してECU間の通信を行うPLC107が接続されている。
【0008】
PLC107は、ECU100が通信信号を受信する場合には、電源線101に重畳されて変調された通信信号がバンドパスフィルタ108ならびに電圧変動追従部109を介してコンパレータ部110に与えられ、通信信号は電圧変動追従部109で生成された比較基準レベルと比較されて増幅される。増幅された通信信号は、検波部111で検波されて受信データが得られる。得られた受信データは、波形整形部112に与えられて波形整形されることで短パルス性のノイズが取り除かれる。ノイズが取り除かれた受信データは演算部112に与えられ、各種処理が施され、処理の一つとして負荷制御信号が生成され負荷制御部105に与えられる。
【0009】
一方、PLC107が通信信号を送信する場合には、演算部113で生成された送信データが変調部115に与えられ、変調部115に与えられた送信データは搬送波発振部114で発振された搬送波とともに数MHz帯の高周波信号にASK変調される。ASK変調された送信データは、出力部116を介して電源線101に与えられ、電源線101の直流電力に重畳されて送信される。
【0010】
このように構成されたマスターのPLC(ID0(識別子))とスレーブのPLC(ID1〜IDn(識別子))との間では、例えば図8の通信タイミングチャートに示すように、ポーリング動作により双方向通信が行われていた。すなわち、図9のフローチャートに示すように、マスターのPLCの動作としては、まずPLCが起動されてポーリング動作が開始されると、マスター(ID0)からすべてのスレーブ(ID1〜IDn)に対して、負荷の駆動を指令制御する指令信号が送信される(ステップS900)。その後、マスター(ID0)からスレーブ(ID1)に送信許可信号が送信され(ステップS901)、スレーブ(ID1)は送信許可信号を受けて応答信号を送信する(ステップS902)。次に、マスター(ID0)からスレーブ(ID2)に送信許可信号が送信され(ステップS903)、スレーブ(ID2)は送信許可信号を受けて応答信号を送信する(ステップS904)。このようなポーリング動作がすべてのスレーブ(ID1〜IDn)に対して繰り返し行われる(ステップS905〜S906)。
【0011】
このような車両用電源重畳多重通信システムにおいて、システムにスレーブの通信装置を新たに接続して追加するような場合には、マスターが追加されたスレーブを認識して双方向通信が行えるように、双方向通信を管理制御する演算部のソフトウェアを変更する必要があった。マスターが新しいスレーブが追加されたことを認識する手法としては、例えば追加されたスレーブが、予め設定したタイミングで、追加されたスレーブであることを示すプラグイン信号を送信し、マスターはこのプラグイン信号に基づいて新たなスレーブが追加されたことを認識するもの(手法1)が考えられる。あるいは、マスターは通信当初からスレーブに対してダミーのアドレスを設定し、このダミーのアドレスを含めて通信を行い、新たなスレーブが追加された場合には、このダミーのアドレスを追加されたスレーブのアドレスに割り付けて通信を行うもの(手法2)が考えられる。
【0012】
上記手法1では、図10のフローチャートに示すように、図9に示すと同様にマスター(ID0)とスレーブ(ID1〜IDn)との間で双方向通信が一巡して行われた後(ステップS900〜S906)、プラグイン信号が送信されたか否かがマスターで判別され(ステップS1000)、プラグイン信号が送信された場合には(ステップS1001)、マスターは追加されたスレーブにアドレスを割り付け、n個から(n+1)個に増えたスレーブとの間で双方向通信を行う。
【0013】
プラグイン信号を送信するタイミングは、ポーリング動作による双方向通信に影響を及ぼさないように設定しなければならない。例えば図11の通信タイミングチャートに示すように、1台のマスター(ID0)と3台のスレーブ(ID1〜ID3)とが接続され、新たに1台のスレーブ(ID4)が追加される場合に、プラグイン信号は、1フレーム期間が終了して、次の1フレーム期間が開始されるまでの期間に送信される。ここで、1フレーム期間とは、図11に示すように、マスター(ID0)が指令信号を送信した後、次に指令信号を送信するまでの期間とする。しかし、このような送信では、プラグイン信号の信号長、すなわち信号を送信している送信時間の長さが制限されることになる。このため、電源線に載ったノイズに影響されて、プラグイン信号が正確にマスターに送信されなくなるおそれがあった。
【0014】
一方、上記手法2では、図12のフローチャートに示すように、図9に示すと同様にマスター(ID0)とスレーブ(ID1〜IDn)との間で双方向通信が行われるが(ステップS900〜S906)、アドレスIDnはダミーのアドレスに設定され、アドレスIDnのスレーブは存在しないので、スレーブ(IDn)の応答信号はマスター(ID0)で受信されことはない。
【0015】
このような動作において、新たなスレーブが追加されると(ステップS907)、ダミーのアドレスIDnが追加されたスレーブに割り付けられ、マスター(ID0)は、追加されたスレーブ(IDn)からの応答信号を受信する(ステップS908)。その後、マスター(ID0)は、新たなダミーアドレス(ID(n+1))を設定するが、アドレスID(n+1)のスレーブは存在しないので、スレーブ(IDn)の応答信号はマスター(ID0)で受信されない(ステップS909)。
【0016】
例えば1台のマスターと3台のスレーブが接続され、新たに1台のスレーブが追加された場合の通信タイミングチャートを図13に示す。
【0017】
このような手法2においては、マスターが常にダミーのアドレスを送信している期間は、全体の通信において無駄な時間となり、応答性がわるくなり、通信全体の通信効率が低下することになる。
【0018】
【特許文献1】
特開平10−174282号公報(図8)
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、従来の車両用電源重畳多重通信装置において、新たにスレーブの通信装置をシステムに追加する場合に、追加されたスレーブからプラグイン信号を送信することにより、マスターが追加されたスレーブを認識する手法では、プラグイン信号の信号長が制限されていた。このため、ノイズ等によりプラグイン信号が正確にマスターに送信されないおそれがあり、マスターは新たにスレーブが追加されたことを確実に認識できなくなるといった不具合を招いていた。
【0020】
一方、マスターが常時ダミーのアドレスを送信し、このダミーのアドレスを新たに追加されたスレーブに割り付けることにより、マスターが追加されたスレーブを認識する手法では、マスターは常時ダミーのアドレスを送信しなければならず、不要な通信データを送信することによる通信効率の低下を招いていた。
【0021】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、通信効率の低下を招くことなく、通信装置の新たな追加を容易かつ確実に認識することができる車両用電源重畳多重通信システムを提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、課題を解決する第1の手段は、車両内に直流電力を供給する電源線に接続され、前記電源線の直流電力に重畳された通信信号を受けて、直流成分に重畳された通信信号を分離して取り出し、生成した通信信号を前記電源線の直流電力に重畳して送信し、ポーリング動作により通信信号をマスター側の車両用電源重畳多重通信装置と複数のスレーブ側の車両用電源重畳多重通信装置との間で双方向で送受信する車両用電源重畳多重システムにおいて、前記システムに接続されてスレーブ側の通信装置として新たに追加された時に、ハイレベルに設定された新規追加信号を所定の時間送信し、自己のアドレスを要求する通信信号に応じて自己のアドレスを送信する演算部を備えたスレーブ側の車両用電源重畳多重通信装置と、前記スレーブ側の演算部から送信された新規追加信号を検出し、新規追加信号を送信した前記スレーブ側の通信装置に対してアドレスを要求し、要求したアドレスを受信すると、追加された前記スレーブ側の通信装置との間で双方向通信ができるように、受信したアドレスに対応した通信信号を送信できるようにする処理を行う演算部を備えたマスター側の車両用電源重畳多重通信装置とを有することを特徴とする。
【0023】
第2の手段は、前記第1の手段において、前記スレーブ側の通信装置の演算部は、前記システムに接続されてスレーブ側の通信装置として新たに追加された時に、ハイレベルに設定された新規追加信号を所定の時間送信する新規追加信号出力部と、受信した通信信号が、新規に追加されたスレーブ側の通信装置のアドレスを要求する通信信号であるか否かを判定する判定部と、受信した通信信号が、前記判定部によりアドレスを要求する通信信号であると判定された場合には、自己のアドレスを送信する自己アドレス送信部とを有することを特徴とする。
【0024】
第3の手段は、前記第1又は第2の手段において、前記マスター側の通信装置の演算部は、前記スレーブ側の演算部から送信された新規追加信号を検出する検出部と、前記検出部により新規追加信号が送信されたことが検出されると、新規追加信号を送信した前記スレーブ側の通信装置に対してアドレスを要求する、仮アドレスの送信許可信号を送信する送信部と、前記スレーブ側の通信装置から要求したアドレスを受信すると、追加された前記スレーブ側の通信装置との間で双方向通信ができるように、受信したアドレスに対応した通信信号を送信できるようにする処理を行う追加処理部とを有することを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いてこの発明の実施形態を説明する。
【0026】
図1はこの発明の一実施形態に係る車両用電源重畳多重通信システムにおける、マスター側の車両用電源重畳多重通信装置(PLC)に含まれる演算部1の機能ブロックの構成を示す図である。
【0027】
この実施形態のマスター側のPLCは、図7に示すPLCと同様に、インピーダンス素子102、バンドパスフィルタ108、電圧変動追従部109、コンパレータ部110、検波部111、波形整形部112、搬送波発信部114,変調部115、出力部116を備え、図7に示す従来の演算部113が備えている機能に加えて、さらにこの実施形態の特徴となる機能を備えた演算部1を有して構成されている。
【0028】
演算部1は、例えばCPU等のコンピュータにより構成され、プログラムに基づいて様々な処理を行う。演算部1は、マスターと複数のスレーブとの間でポーリング動作により双方向通信を繰り返し行う場合に、新たに追加されたスレーブから出力される新規追加信号を受信し、受信後仮アドレスID*の送信許可信号を生成して送信する。演算部1は、新たに追加されたスレーブに予め割り振られたアドレスを受信し、受信後新たに追加されたスレーブを含めて、ポーリング動作による双方向通信を行う。
【0029】
演算部1は、図1に示すように、指令信号生成部10、ID1、…、IDn送信許可信号生成部11(−1、…、n)、ポーリング周期設定部12,データ判定部13,データ送受信状態出力部14、新スレーブ検出部15、仮アドレス(ID*)送信許可信号生成部16、新スレーブ(新ID)追加処理部17、総スレーブ数認識部18、切替部19、20の、各機能ブロックを備えて構成されている。
【0030】
指令信号生成部10は、各種モータやライト等の負荷の駆動を指示するスイッチの入力を受けて、マスター(ID0)が管理制御するすべてのスレーブ(ID1〜IDn)に対して、各スレーブ(ID1〜IDn)に対応した負荷の駆動を指令する指令信号を生成する。生成された指令信号は切替部19に与えられる。
ID1、…、IDn送信許可信号生成部11(−1、…、−n)は、対応する各スレーブID1〜IDnに送信される送信許可信号を生成する。生成された送信許可信号は、切替部19に与えられる。
【0031】
ポーリング周期設定部12は、図4に示すように、マスター(ID0)とスレーブ(ID1〜IDn)との間で行われる双方向通信のポーリング動作における通信データの送受信周期を設定する。設定された送受信周期は、切替部19に与えられる。
【0032】
データ判定部13は、受信データを受けて、受信データの内容を判定する。データ判定部13は、受信した通信データが、新たなスレーブが追加されたことを示す、一定時間ハイレベルに設定された新規追加信号であると判定した場合には、判定結果を新スレーブ検出部15に与える。データ判定部13は、受信された通信データが、新たに追加されたスレーブのアドレスであることを判定すると、受信した新規追加スレーブのアドレスを新スレーブ追加処理部17に与える。
【0033】
データ送受信状態出力部14は、データ判定部13の判定結果に基づいて、データの送受信状態を出力制御する。
【0034】
新スレーブ検出部15は、データ判定部13の判定結果に基づいて、システムに新たなスレーブが接続されて追加されたことを検出し、検出後切替制御信号を切替部20に出力する。
【0035】
仮アドレス送信許可信号生成部16は、すべてのスレーブにおいて認識可能なように設定された仮アドレス(ID*)の送信許可信号を生成する。
【0036】
新スレーブ追加処理部17は、データ判定部13で判定された、新たに追加されたスレーブのアドレス(n+1)を受け付けて、新たに追加されたスレーブに対応した送信許可信号を生成するID(n+1)送信許可信号生成部11−(n+1)を作成する。
【0037】
総スレーブ数認識部18は、新スレーブ追加処理部17で行われたスレーブの追加処理に基づいて、マスター(ID0)との間で双方向通信する総スレーブ数を認識する。
【0038】
切替部19は、指令信号生成部10で生成された指令信号、ならびに送信許可信号生成部11で生成された送信許可信号を受けて、これらの信号を、ポーリング周期設定部12から与えられる送信周期に基づいて選択制御し、選択した信号を送信データとして切替部20を介して演算部1から出力する。
【0039】
切替部20は、新スレーブ検出部15から与えられる切替制御信号に基づいて、仮アドレスの送信許可信号、あるいは指令信号、送信許可信号を選択する。
【0040】
図2はこの発明の一実施形態に係る車両用電源重畳多重通信システムにおける、スレーブ側の車両用電源重畳多重通信装置(PLC)に含まれる演算部3の機能ブロックの構成を示す図である。
【0041】
この実施形態のスレーブ側のPLCは、図7に示すPLCと同様に、インピーダンス素子102、バンドパスフィルタ108、電圧変動追従部109、コンパレータ部110、検波部111、波形整形部112、搬送波発信部114,変調部115、出力部116を備え、図7に示す従来の演算部113が備えている機能に加えて、さらにこの実施形態の特徴となる機能を備えた演算部3を有して構成されている。
【0042】
演算部3は、例えばCPU等のコンピュータにより構成され、プログラムに基づいて様々な処理を行う。演算部3は、マスターと複数のスレーブとの間でポーリング動作により双方向通信を繰り返し行うために、システムに接続されて追加された場合には、一定時間ハイレベルに設定された新規追加信号を出力する。演算部3は、マスターから送信された仮アドレスID*を受信すると、これに応答して自己のスレーブに割り振られたアドレスをマスターに送信する。
【0043】
演算部3は、図2に示すように、データ判定部30、負荷駆動判定部31、ID信号判定部32、送信信号生成部33、新規追加信号出力部34、自己アドレス送信部35、新規接続切替部36、切替部37、38の、各機能ブロックを備えて構成されている。
【0044】
データ判定部30は、受信データを受けて、受信データの内容を判定する。データ判定部30は、受信データが負荷の駆動を指令制御する指令信号である場合には、この指令信号を負荷駆動判定部31に与える。データ判定部30は、受信信号が送信許可信号である場合には、この送信許可信号をID信号判定部32に与える。データ判定部30は、受信データがマスターから送信された仮アドレスID*の送信許可信号である場合には、切替制御信号を切替部37に与える。
【0045】
負荷駆動判定部31は、データ判定部30から与えられた指令信号に基づいて、負荷の駆動を判定し、負荷駆動制御信号を出力する。
【0046】
ID信号判定部32は、データ判定部30から与えられた送信許可信号に基づいて、受信した送信許可信号のアドレスが自己のスレーブのアドレスか否かを判定し、判定結果を送信信号生成部33に与える。
【0047】
送信信号生成部33は、ID信号判定部32の判定結果に基づいて、受信した送信許可信号のアドレスが自己のアドレスである場合には、負荷の駆動状態を示す応答信号を送信信号として生成し、生成した応答信号を切替部38を介して送信する。
【0048】
新規追加信号出力部34は、スレーブがシステムに接続されて追加された場合に、新たな追加を示す、一定時間ハイレベルに設定された新規追加信号を出力する。
【0049】
自己アドレス送信部35は、予め自己のスレーブに割り振られたアドレスを送信する。
【0050】
新規接続切替部36は、システムにスレーブが接続されて追加された後、マスターとの間で双方向の通信が行われる際に、切替部38を切替制御する切替制御信号を切替部38に与える。
【0051】
切替部37は、データ判定部30から与えられる切替制御信号に基づいて、システムに新たに接続される初期状態時には、新規追加信号出力部34から出力される新規追加信号を選択し、仮アドレスID*が受信されると、自己アドレス送信部35から出力される自己アドレスを選択する。
【0052】
切替部38は、新規接続切替部36から与えられる切替制御信号に基づいて、システムに新たに接続される初期状態時には、新規追加信号出力部34から出力される新規追加信号を選択し、システムに接続されて自己のアドレスの送信許可信号が受信できる時には、送信信号生成部33から与えられる応答信号を選択する。
【0053】
図3は電源線に重畳される通信信号と新規追加信号の信号波形を示す図である。図3において、新規追加信号は、ハイレベルに設定され、所定の一定時間、例えばアドレス領域とデータ領域とで構成された通信データが2つ分、電源線に重畳されている期間、スレーブの新規追加信号出力部34から出力される。ハイレベルの新規追加信号が一定時間電源線に出力されることにより、スレーブから送信された通信データのアドレス領域ならびにデータ領域は本来の情報内容と異なり、データ領域は決してとり得ないすべてハイレベルのデータとなる。この状態がマスターで検出されて、新たなスレーブが追加されたことが把握される。
【0054】
次に、図4に示す動作フローチャートならびに図5に示す通信タイミングチャートを参照して、この実施形態の動作を説明する。なお、図5に示すタイミングチャートは、1台のマスター(ID0)に3台のスレーブ(ID1〜ID3)が接続された場合の一例を示している。
【0055】
図4において、まずマスタならびにスレーブのPLCが起動されてポーリング動作が開始されると、マスター(ID0)からすべてのスレーブ(ID1〜IDn)に対して、負荷の駆動を指令制御する指令信号が送信される(ステップS300)。その後、マスター(ID0)からスレーブ(ID1)に送信許可信号が送信され(ステップS301)、スレーブ(ID1)は送信許可信号を受けて応答信号を送信し、この応答信号をマスター(ID0)が受信する(ステップS302)。
【0056】
ここで、新たなスレーブ(ID(n+1))がシステムに接続されて追加されると、追加されたスレーブ(ID(n+1))の新規追加信号出力部34からハイレベルの新規追加信号が、上述したように一定時間出力されて送信される(ステップS303)。これと並行して、マスター(ID0)からスレーブ(ID2)に送信許可信号が送信される(ステップS304)。スレーブ(ID2)は、ハイレベルの新規追加信号が電源線に出力されているため、マスターから送信された本来の送信許可信号を受けることができず、したがって、応答信号を送信することもできなくなる。これにより、マスター(ID0)は、スレーブ(ID2)から応答信号を受信することができない。ハイレベルの新規追加信号が、図5に示すように出力されている場合には、スレーブ(ID3)においても、上述したスレーブ(ID2)と同様となる。
【0057】
この後、マスター(ID0)からスレーブ(IDn)に送信許可信号が送信され(ステップS306)、スレーブ(IDn)は送信許可信号を受けて応答信号を送信し、この応答信号をマスター(ID0)が受信する(ステップS307)。
【0058】
このようにして、マスター(ID0)とスレーブ(ID1〜IDn)の双方向通信が一巡すると、一定時間以上のハイレベルの追加信号がマスター(ID)で受信されたか否かがマスター(ID0)のデータ判定部13で判定される(ステップS308)。新規追加信号が出力されたことが判定されると、新スレーブ検出部15で新たにスレーブが追加されたことが検出され、仮アドレスID*の送信許可信号が、仮アドレス送信許可信号生成部16から送信される(ステップS308)。図5に示す通信タイミングチャートでは、マスター(ID0)とスレーブ(ID3)との通信タイミングが終了した後、仮アドレスID*の送信許可信号が送信されている。
【0059】
新たに追加されたスレーブ(ID(n+1))は、この仮アドレスID*の送信許可信号を受信し、データ判定部30で仮アドレスID*の送信許可信号であることが判定されると、新たに追加されたスレーブ(ID(n+1))の自己のアドレス(ID(n+1))が、応答信号として自己アドレス送信部35から送信される。図5に示す通信タイミングチャートでは、新たに追加されたスレーブのアドレスは、例えば(ID4)に設定されている。
【0060】
マスター(ID0)は、データ判定部13でこの応答信号により新たに追加されたスレーブのアドレスが(ID(n+1))であることを認識する、これにより、新スレーブ追加処理部17において、新たに追加されたスレーブ(ID(n+1))に対応したアドレス(ID(n+1))の送信許可信号を生成するID(n+1)送信許可信号生成部11−(n+1)を作成する。また、総スレーブ数認識部18でスレーブの個数がn個から(n+1)個に増えたことが認識され、これに基づいて、ポーリング周期設定部12は、ID(n+1)送信許可信号生成部11(n+1)を含めて切替部19を切替制御する(ステップS310)。
【0061】
このように、上記実施形態においては、システムに新たに接続されて追加されたスレーブは、一定時間のハイレベルの新規追加信号を送信することで、マスターはこの新規追加信号を容易かつ正確に検出することが可能となる。すなわち、ノイズか、あるいは新規追加信号かを容易に判別することができる。これにより、マスターは、新たなスレーブがシステムに接続されて追加されたことを確実に検出することが可能となる。
【0062】
また、通常の通信動作において、ダミーアドレス等のような直接通信に関係のない情報も含めて、マスターとスレーブ間で双方向通信を行う必要がないので、通信効率の低下を招くことは回避される。
【0063】
また、追加されるスレーブに割り振られるアドレスは、それまでシステムに接続されているスレーブに割り振られたアドレス以外のアドレスを割り振ればよいので、スレーブのアドレス管理が容易となる。
【0064】
さらに、新たなスレーブが追加された際に、マスターは仮のアドレスの通信データを送信して追加されたスレーブに自己のアドレスを要求し、スレーブはこの応答信号として自己のアドレスをマスターに送信することにより、追加されたスレーブは、複雑な処理を行うことなく容易に、自己のアドレスによりマスターとの間で双方向通信を行うことが可能となる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、新規に追加されたスレーブの通信装置から、ハイレベルに設定された新規追加信号を所定の時間送信するようにしたので、通信効率の低下を招くことなく、通信装置の新たな追加を容易かつ確実にに認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係るマスター側の車両用電源重畳多重通信装置における演算部の構成を示す図である。
【図2】この発明の一実施形態に係るスレーブ側の車両用電源重畳多重通信装置における演算部の構成を示す図である。
【図3】新規追加信号と通信データの信号波形を示す図である。
【図4】この発明の一実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の一実施形態の通信タイミングを示すタイミングチャートである。
【図6】従来のマスターとスレーブの車両用電源重畳多重通信装置の接続例を示す図である。
【図7】従来の車両用電源重畳多重通信装置の構成を示す図である。
【図8】従来の車両用電源重畳多重通信装置における通信タイミングを示す図である。
【図9】従来の車両用電源重畳多重通信装置における通信動作を示すフローチャートである。
【図10】新規スレーブの追加を認識する、従来の動作を示すフローチャートである。
【図11】新規スレーブの追加を認識する、従来の通信タイミングを示すタイミングチャートである。
【図12】新規スレーブの追加を認識する、従来の他の動作を示すフローチャートである。
【図13】新規スレーブの追加を認識する、従来の他の通信タイミングを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1…演算部
3…演算部
10…指令信号生成部
11…送信許可信号生成部
12…ポーリング周期設定部
13…データ判定部
14…データ送受信状態出力部
15…新スレーブ検出部
16…仮アドレス送信許可信号生成部
17 新スレーブ追加処理部
18…総スレーブ数認識部
19,20,37,38…切替部
20…切替部
30…データ判定部
31…負荷駆動判定部
32…ID信号判定部
33…送信信号生成部
34…新規追加信号出力部
35…自己アドレス送信部
36…新規接続切替部
101…電源線
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両で使用する各種信号を電源線に重畳して通信するマスター側の車両用電源重畳多重通信装置とスレーブ側の車両用電源重畳多重通信装置との間で双方向通信する車両用電源重畳多重通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の高性能化が進み、1台の車両に多数の電子制御ユニット(ECU、Electronic Control Unit )が車載されている。このECUは、エンジンやトランスミッションの制御の他、パワーウィンドー、ランプ、ドアミラー等を制御するものである。それぞれのECUは関連して機能するため、それぞれのECUは、ECU間に設けられた専用の信号線や、各ECUに共通なバスを介して接続され、信号線やバスの通信線を介して信号の入出力が行われている。
【0003】
最近では、1台に搭載されるECUの数が増えたり、制御の複雑化による信号数の増加等により、ECU間を接続する通信線の本数も増加傾向にあり、通信線を含むワイヤハーネスの大型化や価格の上昇を招いていた。
【0004】
これを解消するために、ECU間を入出力する信号を、ECUに電源を供給する電源線に重畳させて、ECU間の通信を行うようにした技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。この技術により通信線の本数を削減して、上記不具合を解消している。
【0005】
また、車両に電源を供給する電源線に通信信号を重畳する車両用電源重畳多重通信において、搬送波が例えば数100Hz〜数kHz帯の低周波数である場合には、電源に接続された電子機器に実装されたバイパスコンデンサにより通信信号が著しく減衰してしまう。このため、数MHz(例えば2.5MHz)の高周波で通信信号をASK(振幅シフトキーイング)変調することで、バイパスコンデンサによる通信信号の減衰が抑制され、電源重畳多重通信を安定して行うことが可能となる。また、ASK変調は、他の変調方式に比べて、簡易な構成で安価に実現することができる。
【0006】
図6に示すように、複数のECUそれぞれに含まれる、マスターの車両用電源重畳多重通信装置(以下、PLCと記す)PLC90と、スレーブ1〜3のPLC(それぞれの負荷に対応したPLC)91〜93との間では、LIN準拠のプロトコルに基づいて一定のサイクルでマスター側のPLC90とスレーブ側のPLC91〜93との間でポーリング動作を行うことにより、マスター側のPLCとスレーブ側のPLC間で双方向通信が行われる。
【0007】
図7は従来のPLC107を含むECU100の概略構成を示す図である。図7において、電圧変動を抑制するバイパスコンデンサ103が接続された電源線101からノイズ除去用のインピーダンス素子102を介して供給される車両用の電源電圧、例えば12Vの電源電圧はレギュレータで構成された電源回路部104で、車両内部の電子機器の動作電源電圧、例えば5Vに変換され、車両内部の電子機器に供給される。リレー等のスイッチング素子で構成された負荷制御部105は、負荷制御信号に基づいてスイッチング制御され、電源線101を介して与えられる負荷駆動電流を制御している。例えばパワーウィンドーやドアミラー等の駆動モータ、ランプ等の負荷106は、電源線101から負荷制御部105を介して与えられる駆動電流により駆動される。電源線101には、電源線101に信号を重畳してECU間の通信を行うPLC107が接続されている。
【0008】
PLC107は、ECU100が通信信号を受信する場合には、電源線101に重畳されて変調された通信信号がバンドパスフィルタ108ならびに電圧変動追従部109を介してコンパレータ部110に与えられ、通信信号は電圧変動追従部109で生成された比較基準レベルと比較されて増幅される。増幅された通信信号は、検波部111で検波されて受信データが得られる。得られた受信データは、波形整形部112に与えられて波形整形されることで短パルス性のノイズが取り除かれる。ノイズが取り除かれた受信データは演算部112に与えられ、各種処理が施され、処理の一つとして負荷制御信号が生成され負荷制御部105に与えられる。
【0009】
一方、PLC107が通信信号を送信する場合には、演算部113で生成された送信データが変調部115に与えられ、変調部115に与えられた送信データは搬送波発振部114で発振された搬送波とともに数MHz帯の高周波信号にASK変調される。ASK変調された送信データは、出力部116を介して電源線101に与えられ、電源線101の直流電力に重畳されて送信される。
【0010】
このように構成されたマスターのPLC(ID0(識別子))とスレーブのPLC(ID1〜IDn(識別子))との間では、例えば図8の通信タイミングチャートに示すように、ポーリング動作により双方向通信が行われていた。すなわち、図9のフローチャートに示すように、マスターのPLCの動作としては、まずPLCが起動されてポーリング動作が開始されると、マスター(ID0)からすべてのスレーブ(ID1〜IDn)に対して、負荷の駆動を指令制御する指令信号が送信される(ステップS900)。その後、マスター(ID0)からスレーブ(ID1)に送信許可信号が送信され(ステップS901)、スレーブ(ID1)は送信許可信号を受けて応答信号を送信する(ステップS902)。次に、マスター(ID0)からスレーブ(ID2)に送信許可信号が送信され(ステップS903)、スレーブ(ID2)は送信許可信号を受けて応答信号を送信する(ステップS904)。このようなポーリング動作がすべてのスレーブ(ID1〜IDn)に対して繰り返し行われる(ステップS905〜S906)。
【0011】
このような車両用電源重畳多重通信システムにおいて、システムにスレーブの通信装置を新たに接続して追加するような場合には、マスターが追加されたスレーブを認識して双方向通信が行えるように、双方向通信を管理制御する演算部のソフトウェアを変更する必要があった。マスターが新しいスレーブが追加されたことを認識する手法としては、例えば追加されたスレーブが、予め設定したタイミングで、追加されたスレーブであることを示すプラグイン信号を送信し、マスターはこのプラグイン信号に基づいて新たなスレーブが追加されたことを認識するもの(手法1)が考えられる。あるいは、マスターは通信当初からスレーブに対してダミーのアドレスを設定し、このダミーのアドレスを含めて通信を行い、新たなスレーブが追加された場合には、このダミーのアドレスを追加されたスレーブのアドレスに割り付けて通信を行うもの(手法2)が考えられる。
【0012】
上記手法1では、図10のフローチャートに示すように、図9に示すと同様にマスター(ID0)とスレーブ(ID1〜IDn)との間で双方向通信が一巡して行われた後(ステップS900〜S906)、プラグイン信号が送信されたか否かがマスターで判別され(ステップS1000)、プラグイン信号が送信された場合には(ステップS1001)、マスターは追加されたスレーブにアドレスを割り付け、n個から(n+1)個に増えたスレーブとの間で双方向通信を行う。
【0013】
プラグイン信号を送信するタイミングは、ポーリング動作による双方向通信に影響を及ぼさないように設定しなければならない。例えば図11の通信タイミングチャートに示すように、1台のマスター(ID0)と3台のスレーブ(ID1〜ID3)とが接続され、新たに1台のスレーブ(ID4)が追加される場合に、プラグイン信号は、1フレーム期間が終了して、次の1フレーム期間が開始されるまでの期間に送信される。ここで、1フレーム期間とは、図11に示すように、マスター(ID0)が指令信号を送信した後、次に指令信号を送信するまでの期間とする。しかし、このような送信では、プラグイン信号の信号長、すなわち信号を送信している送信時間の長さが制限されることになる。このため、電源線に載ったノイズに影響されて、プラグイン信号が正確にマスターに送信されなくなるおそれがあった。
【0014】
一方、上記手法2では、図12のフローチャートに示すように、図9に示すと同様にマスター(ID0)とスレーブ(ID1〜IDn)との間で双方向通信が行われるが(ステップS900〜S906)、アドレスIDnはダミーのアドレスに設定され、アドレスIDnのスレーブは存在しないので、スレーブ(IDn)の応答信号はマスター(ID0)で受信されことはない。
【0015】
このような動作において、新たなスレーブが追加されると(ステップS907)、ダミーのアドレスIDnが追加されたスレーブに割り付けられ、マスター(ID0)は、追加されたスレーブ(IDn)からの応答信号を受信する(ステップS908)。その後、マスター(ID0)は、新たなダミーアドレス(ID(n+1))を設定するが、アドレスID(n+1)のスレーブは存在しないので、スレーブ(IDn)の応答信号はマスター(ID0)で受信されない(ステップS909)。
【0016】
例えば1台のマスターと3台のスレーブが接続され、新たに1台のスレーブが追加された場合の通信タイミングチャートを図13に示す。
【0017】
このような手法2においては、マスターが常にダミーのアドレスを送信している期間は、全体の通信において無駄な時間となり、応答性がわるくなり、通信全体の通信効率が低下することになる。
【0018】
【特許文献1】
特開平10−174282号公報(図8)
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、従来の車両用電源重畳多重通信装置において、新たにスレーブの通信装置をシステムに追加する場合に、追加されたスレーブからプラグイン信号を送信することにより、マスターが追加されたスレーブを認識する手法では、プラグイン信号の信号長が制限されていた。このため、ノイズ等によりプラグイン信号が正確にマスターに送信されないおそれがあり、マスターは新たにスレーブが追加されたことを確実に認識できなくなるといった不具合を招いていた。
【0020】
一方、マスターが常時ダミーのアドレスを送信し、このダミーのアドレスを新たに追加されたスレーブに割り付けることにより、マスターが追加されたスレーブを認識する手法では、マスターは常時ダミーのアドレスを送信しなければならず、不要な通信データを送信することによる通信効率の低下を招いていた。
【0021】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、通信効率の低下を招くことなく、通信装置の新たな追加を容易かつ確実に認識することができる車両用電源重畳多重通信システムを提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、課題を解決する第1の手段は、車両内に直流電力を供給する電源線に接続され、前記電源線の直流電力に重畳された通信信号を受けて、直流成分に重畳された通信信号を分離して取り出し、生成した通信信号を前記電源線の直流電力に重畳して送信し、ポーリング動作により通信信号をマスター側の車両用電源重畳多重通信装置と複数のスレーブ側の車両用電源重畳多重通信装置との間で双方向で送受信する車両用電源重畳多重システムにおいて、前記システムに接続されてスレーブ側の通信装置として新たに追加された時に、ハイレベルに設定された新規追加信号を所定の時間送信し、自己のアドレスを要求する通信信号に応じて自己のアドレスを送信する演算部を備えたスレーブ側の車両用電源重畳多重通信装置と、前記スレーブ側の演算部から送信された新規追加信号を検出し、新規追加信号を送信した前記スレーブ側の通信装置に対してアドレスを要求し、要求したアドレスを受信すると、追加された前記スレーブ側の通信装置との間で双方向通信ができるように、受信したアドレスに対応した通信信号を送信できるようにする処理を行う演算部を備えたマスター側の車両用電源重畳多重通信装置とを有することを特徴とする。
【0023】
第2の手段は、前記第1の手段において、前記スレーブ側の通信装置の演算部は、前記システムに接続されてスレーブ側の通信装置として新たに追加された時に、ハイレベルに設定された新規追加信号を所定の時間送信する新規追加信号出力部と、受信した通信信号が、新規に追加されたスレーブ側の通信装置のアドレスを要求する通信信号であるか否かを判定する判定部と、受信した通信信号が、前記判定部によりアドレスを要求する通信信号であると判定された場合には、自己のアドレスを送信する自己アドレス送信部とを有することを特徴とする。
【0024】
第3の手段は、前記第1又は第2の手段において、前記マスター側の通信装置の演算部は、前記スレーブ側の演算部から送信された新規追加信号を検出する検出部と、前記検出部により新規追加信号が送信されたことが検出されると、新規追加信号を送信した前記スレーブ側の通信装置に対してアドレスを要求する、仮アドレスの送信許可信号を送信する送信部と、前記スレーブ側の通信装置から要求したアドレスを受信すると、追加された前記スレーブ側の通信装置との間で双方向通信ができるように、受信したアドレスに対応した通信信号を送信できるようにする処理を行う追加処理部とを有することを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いてこの発明の実施形態を説明する。
【0026】
図1はこの発明の一実施形態に係る車両用電源重畳多重通信システムにおける、マスター側の車両用電源重畳多重通信装置(PLC)に含まれる演算部1の機能ブロックの構成を示す図である。
【0027】
この実施形態のマスター側のPLCは、図7に示すPLCと同様に、インピーダンス素子102、バンドパスフィルタ108、電圧変動追従部109、コンパレータ部110、検波部111、波形整形部112、搬送波発信部114,変調部115、出力部116を備え、図7に示す従来の演算部113が備えている機能に加えて、さらにこの実施形態の特徴となる機能を備えた演算部1を有して構成されている。
【0028】
演算部1は、例えばCPU等のコンピュータにより構成され、プログラムに基づいて様々な処理を行う。演算部1は、マスターと複数のスレーブとの間でポーリング動作により双方向通信を繰り返し行う場合に、新たに追加されたスレーブから出力される新規追加信号を受信し、受信後仮アドレスID*の送信許可信号を生成して送信する。演算部1は、新たに追加されたスレーブに予め割り振られたアドレスを受信し、受信後新たに追加されたスレーブを含めて、ポーリング動作による双方向通信を行う。
【0029】
演算部1は、図1に示すように、指令信号生成部10、ID1、…、IDn送信許可信号生成部11(−1、…、n)、ポーリング周期設定部12,データ判定部13,データ送受信状態出力部14、新スレーブ検出部15、仮アドレス(ID*)送信許可信号生成部16、新スレーブ(新ID)追加処理部17、総スレーブ数認識部18、切替部19、20の、各機能ブロックを備えて構成されている。
【0030】
指令信号生成部10は、各種モータやライト等の負荷の駆動を指示するスイッチの入力を受けて、マスター(ID0)が管理制御するすべてのスレーブ(ID1〜IDn)に対して、各スレーブ(ID1〜IDn)に対応した負荷の駆動を指令する指令信号を生成する。生成された指令信号は切替部19に与えられる。
ID1、…、IDn送信許可信号生成部11(−1、…、−n)は、対応する各スレーブID1〜IDnに送信される送信許可信号を生成する。生成された送信許可信号は、切替部19に与えられる。
【0031】
ポーリング周期設定部12は、図4に示すように、マスター(ID0)とスレーブ(ID1〜IDn)との間で行われる双方向通信のポーリング動作における通信データの送受信周期を設定する。設定された送受信周期は、切替部19に与えられる。
【0032】
データ判定部13は、受信データを受けて、受信データの内容を判定する。データ判定部13は、受信した通信データが、新たなスレーブが追加されたことを示す、一定時間ハイレベルに設定された新規追加信号であると判定した場合には、判定結果を新スレーブ検出部15に与える。データ判定部13は、受信された通信データが、新たに追加されたスレーブのアドレスであることを判定すると、受信した新規追加スレーブのアドレスを新スレーブ追加処理部17に与える。
【0033】
データ送受信状態出力部14は、データ判定部13の判定結果に基づいて、データの送受信状態を出力制御する。
【0034】
新スレーブ検出部15は、データ判定部13の判定結果に基づいて、システムに新たなスレーブが接続されて追加されたことを検出し、検出後切替制御信号を切替部20に出力する。
【0035】
仮アドレス送信許可信号生成部16は、すべてのスレーブにおいて認識可能なように設定された仮アドレス(ID*)の送信許可信号を生成する。
【0036】
新スレーブ追加処理部17は、データ判定部13で判定された、新たに追加されたスレーブのアドレス(n+1)を受け付けて、新たに追加されたスレーブに対応した送信許可信号を生成するID(n+1)送信許可信号生成部11−(n+1)を作成する。
【0037】
総スレーブ数認識部18は、新スレーブ追加処理部17で行われたスレーブの追加処理に基づいて、マスター(ID0)との間で双方向通信する総スレーブ数を認識する。
【0038】
切替部19は、指令信号生成部10で生成された指令信号、ならびに送信許可信号生成部11で生成された送信許可信号を受けて、これらの信号を、ポーリング周期設定部12から与えられる送信周期に基づいて選択制御し、選択した信号を送信データとして切替部20を介して演算部1から出力する。
【0039】
切替部20は、新スレーブ検出部15から与えられる切替制御信号に基づいて、仮アドレスの送信許可信号、あるいは指令信号、送信許可信号を選択する。
【0040】
図2はこの発明の一実施形態に係る車両用電源重畳多重通信システムにおける、スレーブ側の車両用電源重畳多重通信装置(PLC)に含まれる演算部3の機能ブロックの構成を示す図である。
【0041】
この実施形態のスレーブ側のPLCは、図7に示すPLCと同様に、インピーダンス素子102、バンドパスフィルタ108、電圧変動追従部109、コンパレータ部110、検波部111、波形整形部112、搬送波発信部114,変調部115、出力部116を備え、図7に示す従来の演算部113が備えている機能に加えて、さらにこの実施形態の特徴となる機能を備えた演算部3を有して構成されている。
【0042】
演算部3は、例えばCPU等のコンピュータにより構成され、プログラムに基づいて様々な処理を行う。演算部3は、マスターと複数のスレーブとの間でポーリング動作により双方向通信を繰り返し行うために、システムに接続されて追加された場合には、一定時間ハイレベルに設定された新規追加信号を出力する。演算部3は、マスターから送信された仮アドレスID*を受信すると、これに応答して自己のスレーブに割り振られたアドレスをマスターに送信する。
【0043】
演算部3は、図2に示すように、データ判定部30、負荷駆動判定部31、ID信号判定部32、送信信号生成部33、新規追加信号出力部34、自己アドレス送信部35、新規接続切替部36、切替部37、38の、各機能ブロックを備えて構成されている。
【0044】
データ判定部30は、受信データを受けて、受信データの内容を判定する。データ判定部30は、受信データが負荷の駆動を指令制御する指令信号である場合には、この指令信号を負荷駆動判定部31に与える。データ判定部30は、受信信号が送信許可信号である場合には、この送信許可信号をID信号判定部32に与える。データ判定部30は、受信データがマスターから送信された仮アドレスID*の送信許可信号である場合には、切替制御信号を切替部37に与える。
【0045】
負荷駆動判定部31は、データ判定部30から与えられた指令信号に基づいて、負荷の駆動を判定し、負荷駆動制御信号を出力する。
【0046】
ID信号判定部32は、データ判定部30から与えられた送信許可信号に基づいて、受信した送信許可信号のアドレスが自己のスレーブのアドレスか否かを判定し、判定結果を送信信号生成部33に与える。
【0047】
送信信号生成部33は、ID信号判定部32の判定結果に基づいて、受信した送信許可信号のアドレスが自己のアドレスである場合には、負荷の駆動状態を示す応答信号を送信信号として生成し、生成した応答信号を切替部38を介して送信する。
【0048】
新規追加信号出力部34は、スレーブがシステムに接続されて追加された場合に、新たな追加を示す、一定時間ハイレベルに設定された新規追加信号を出力する。
【0049】
自己アドレス送信部35は、予め自己のスレーブに割り振られたアドレスを送信する。
【0050】
新規接続切替部36は、システムにスレーブが接続されて追加された後、マスターとの間で双方向の通信が行われる際に、切替部38を切替制御する切替制御信号を切替部38に与える。
【0051】
切替部37は、データ判定部30から与えられる切替制御信号に基づいて、システムに新たに接続される初期状態時には、新規追加信号出力部34から出力される新規追加信号を選択し、仮アドレスID*が受信されると、自己アドレス送信部35から出力される自己アドレスを選択する。
【0052】
切替部38は、新規接続切替部36から与えられる切替制御信号に基づいて、システムに新たに接続される初期状態時には、新規追加信号出力部34から出力される新規追加信号を選択し、システムに接続されて自己のアドレスの送信許可信号が受信できる時には、送信信号生成部33から与えられる応答信号を選択する。
【0053】
図3は電源線に重畳される通信信号と新規追加信号の信号波形を示す図である。図3において、新規追加信号は、ハイレベルに設定され、所定の一定時間、例えばアドレス領域とデータ領域とで構成された通信データが2つ分、電源線に重畳されている期間、スレーブの新規追加信号出力部34から出力される。ハイレベルの新規追加信号が一定時間電源線に出力されることにより、スレーブから送信された通信データのアドレス領域ならびにデータ領域は本来の情報内容と異なり、データ領域は決してとり得ないすべてハイレベルのデータとなる。この状態がマスターで検出されて、新たなスレーブが追加されたことが把握される。
【0054】
次に、図4に示す動作フローチャートならびに図5に示す通信タイミングチャートを参照して、この実施形態の動作を説明する。なお、図5に示すタイミングチャートは、1台のマスター(ID0)に3台のスレーブ(ID1〜ID3)が接続された場合の一例を示している。
【0055】
図4において、まずマスタならびにスレーブのPLCが起動されてポーリング動作が開始されると、マスター(ID0)からすべてのスレーブ(ID1〜IDn)に対して、負荷の駆動を指令制御する指令信号が送信される(ステップS300)。その後、マスター(ID0)からスレーブ(ID1)に送信許可信号が送信され(ステップS301)、スレーブ(ID1)は送信許可信号を受けて応答信号を送信し、この応答信号をマスター(ID0)が受信する(ステップS302)。
【0056】
ここで、新たなスレーブ(ID(n+1))がシステムに接続されて追加されると、追加されたスレーブ(ID(n+1))の新規追加信号出力部34からハイレベルの新規追加信号が、上述したように一定時間出力されて送信される(ステップS303)。これと並行して、マスター(ID0)からスレーブ(ID2)に送信許可信号が送信される(ステップS304)。スレーブ(ID2)は、ハイレベルの新規追加信号が電源線に出力されているため、マスターから送信された本来の送信許可信号を受けることができず、したがって、応答信号を送信することもできなくなる。これにより、マスター(ID0)は、スレーブ(ID2)から応答信号を受信することができない。ハイレベルの新規追加信号が、図5に示すように出力されている場合には、スレーブ(ID3)においても、上述したスレーブ(ID2)と同様となる。
【0057】
この後、マスター(ID0)からスレーブ(IDn)に送信許可信号が送信され(ステップS306)、スレーブ(IDn)は送信許可信号を受けて応答信号を送信し、この応答信号をマスター(ID0)が受信する(ステップS307)。
【0058】
このようにして、マスター(ID0)とスレーブ(ID1〜IDn)の双方向通信が一巡すると、一定時間以上のハイレベルの追加信号がマスター(ID)で受信されたか否かがマスター(ID0)のデータ判定部13で判定される(ステップS308)。新規追加信号が出力されたことが判定されると、新スレーブ検出部15で新たにスレーブが追加されたことが検出され、仮アドレスID*の送信許可信号が、仮アドレス送信許可信号生成部16から送信される(ステップS308)。図5に示す通信タイミングチャートでは、マスター(ID0)とスレーブ(ID3)との通信タイミングが終了した後、仮アドレスID*の送信許可信号が送信されている。
【0059】
新たに追加されたスレーブ(ID(n+1))は、この仮アドレスID*の送信許可信号を受信し、データ判定部30で仮アドレスID*の送信許可信号であることが判定されると、新たに追加されたスレーブ(ID(n+1))の自己のアドレス(ID(n+1))が、応答信号として自己アドレス送信部35から送信される。図5に示す通信タイミングチャートでは、新たに追加されたスレーブのアドレスは、例えば(ID4)に設定されている。
【0060】
マスター(ID0)は、データ判定部13でこの応答信号により新たに追加されたスレーブのアドレスが(ID(n+1))であることを認識する、これにより、新スレーブ追加処理部17において、新たに追加されたスレーブ(ID(n+1))に対応したアドレス(ID(n+1))の送信許可信号を生成するID(n+1)送信許可信号生成部11−(n+1)を作成する。また、総スレーブ数認識部18でスレーブの個数がn個から(n+1)個に増えたことが認識され、これに基づいて、ポーリング周期設定部12は、ID(n+1)送信許可信号生成部11(n+1)を含めて切替部19を切替制御する(ステップS310)。
【0061】
このように、上記実施形態においては、システムに新たに接続されて追加されたスレーブは、一定時間のハイレベルの新規追加信号を送信することで、マスターはこの新規追加信号を容易かつ正確に検出することが可能となる。すなわち、ノイズか、あるいは新規追加信号かを容易に判別することができる。これにより、マスターは、新たなスレーブがシステムに接続されて追加されたことを確実に検出することが可能となる。
【0062】
また、通常の通信動作において、ダミーアドレス等のような直接通信に関係のない情報も含めて、マスターとスレーブ間で双方向通信を行う必要がないので、通信効率の低下を招くことは回避される。
【0063】
また、追加されるスレーブに割り振られるアドレスは、それまでシステムに接続されているスレーブに割り振られたアドレス以外のアドレスを割り振ればよいので、スレーブのアドレス管理が容易となる。
【0064】
さらに、新たなスレーブが追加された際に、マスターは仮のアドレスの通信データを送信して追加されたスレーブに自己のアドレスを要求し、スレーブはこの応答信号として自己のアドレスをマスターに送信することにより、追加されたスレーブは、複雑な処理を行うことなく容易に、自己のアドレスによりマスターとの間で双方向通信を行うことが可能となる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、新規に追加されたスレーブの通信装置から、ハイレベルに設定された新規追加信号を所定の時間送信するようにしたので、通信効率の低下を招くことなく、通信装置の新たな追加を容易かつ確実にに認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係るマスター側の車両用電源重畳多重通信装置における演算部の構成を示す図である。
【図2】この発明の一実施形態に係るスレーブ側の車両用電源重畳多重通信装置における演算部の構成を示す図である。
【図3】新規追加信号と通信データの信号波形を示す図である。
【図4】この発明の一実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の一実施形態の通信タイミングを示すタイミングチャートである。
【図6】従来のマスターとスレーブの車両用電源重畳多重通信装置の接続例を示す図である。
【図7】従来の車両用電源重畳多重通信装置の構成を示す図である。
【図8】従来の車両用電源重畳多重通信装置における通信タイミングを示す図である。
【図9】従来の車両用電源重畳多重通信装置における通信動作を示すフローチャートである。
【図10】新規スレーブの追加を認識する、従来の動作を示すフローチャートである。
【図11】新規スレーブの追加を認識する、従来の通信タイミングを示すタイミングチャートである。
【図12】新規スレーブの追加を認識する、従来の他の動作を示すフローチャートである。
【図13】新規スレーブの追加を認識する、従来の他の通信タイミングを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1…演算部
3…演算部
10…指令信号生成部
11…送信許可信号生成部
12…ポーリング周期設定部
13…データ判定部
14…データ送受信状態出力部
15…新スレーブ検出部
16…仮アドレス送信許可信号生成部
17 新スレーブ追加処理部
18…総スレーブ数認識部
19,20,37,38…切替部
20…切替部
30…データ判定部
31…負荷駆動判定部
32…ID信号判定部
33…送信信号生成部
34…新規追加信号出力部
35…自己アドレス送信部
36…新規接続切替部
101…電源線
Claims (3)
- 車両内に直流電力を供給する電源線に接続され、前記電源線の直流電力に重畳された通信信号を受けて、直流成分に重畳された通信信号を分離して取り出し、生成した通信信号を前記電源線の直流電力に重畳して送信し、ポーリング動作により通信信号をマスター側の車両用電源重畳多重通信装置と複数のスレーブ側の車両用電源重畳多重通信装置との間で双方向で送受信する車両用電源重畳多重通信システムにおいて、
前記システムに接続されてスレーブ側の通信装置として新たに追加された時に、ハイレベルに設定された新規追加信号を所定の時間送信し、自己のアドレスを要求する通信信号に応じて自己のアドレスを送信する演算部
を備えたスレーブ側の車両用電源重畳多重通信装置と、
前記スレーブ側の演算部から送信された新規追加信号を検出し、新規追加信号を送信した前記スレーブ側の通信装置に対してアドレスを要求し、要求したアドレスを受信すると、追加された前記スレーブ側の通信装置との間で双方向通信ができるように、受信したアドレスに対応した通信信号を送信できるようにする処理を行う演算部
を備えたマスター側の車両用電源重畳多重通信装置と
を有することを特徴とする車両用電源重畳多重通信システム。 - 前記スレーブ側の通信装置の演算部は、
前記システムに接続されてスレーブ側の通信装置として新たに追加された時に、ハイレベルに設定された新規追加信号を所定の時間送信する新規追加信号出力部と、
受信した通信信号が、新規に追加されたスレーブ側の通信装置のアドレスを要求する通信信号であるか否かを判定する判定部と、
受信した通信信号が、前記判定部によりアドレスを要求する通信信号であると判定された場合には、自己のアドレスを送信する自己アドレス送信部と
を有することを特徴とする請求項1記載の車両用電源重畳多重通信システム。 - 前記マスター側の通信装置の演算部は、
前記スレーブ側の演算部から送信された新規追加信号を検出する検出部と、
前記検出部により新規追加信号が送信されたことが検出されると、新規追加信号を送信した前記スレーブ側の通信装置に対してアドレスを要求する、仮アドレスの送信許可信号を送信する送信部と、
前記スレーブ側の通信装置から要求したアドレスを受信すると、追加された前記スレーブ側の通信装置との間で双方向通信ができるように、受信したアドレスに対応した通信信号を送信できるようにする処理を行う追加処理部と
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の車両用電源重畳多重通信システム。
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