JP2004253418A - 電磁ソレノイド - Google Patents
電磁ソレノイド Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004253418A JP2004253418A JP2003039179A JP2003039179A JP2004253418A JP 2004253418 A JP2004253418 A JP 2004253418A JP 2003039179 A JP2003039179 A JP 2003039179A JP 2003039179 A JP2003039179 A JP 2003039179A JP 2004253418 A JP2004253418 A JP 2004253418A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- magnetic pole
- shaft
- stage
- stop position
- electromagnetic solenoid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Electromagnets (AREA)
Abstract
【目的】三つの定位置であるポジションを得ることができるコンパクトな電磁ソレノイドを提供する。
【構成】ケース6の軸方向へ直列内蔵した二つのコイル1a,1bと、その二つのコイル1a,1bの間に位置させた共通磁極5と、前記ケース6に固定される二つの固定磁極4a,4bと、前記ケース6の内部及び固定磁極4a,4bの中央を貫通し、軸方向を進退する円軸状のシャフト3と、そのシャフト3に固定され、コイル1a,1bによって発生する磁界によってシャフト3と共に所定の可動域を進退する可動磁極2と、その可動磁極2を非通電時に所定位置へ復帰させるための復帰機構とを備える。その復帰機構は、非通電時に可動磁極2を所定位置へ停止するように縮装される二つの復帰スプリング8a,8bと、その作動範囲を限定するスペーサ9a,9bとを備えて形成する。
【選択図】 図1
【構成】ケース6の軸方向へ直列内蔵した二つのコイル1a,1bと、その二つのコイル1a,1bの間に位置させた共通磁極5と、前記ケース6に固定される二つの固定磁極4a,4bと、前記ケース6の内部及び固定磁極4a,4bの中央を貫通し、軸方向を進退する円軸状のシャフト3と、そのシャフト3に固定され、コイル1a,1bによって発生する磁界によってシャフト3と共に所定の可動域を進退する可動磁極2と、その可動磁極2を非通電時に所定位置へ復帰させるための復帰機構とを備える。その復帰機構は、非通電時に可動磁極2を所定位置へ停止するように縮装される二つの復帰スプリング8a,8bと、その作動範囲を限定するスペーサ9a,9bとを備えて形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、三つの停止位置を得ることができる電磁ソレノイドの技術に関するものである。
【0002】
【先行技術】
本発明の従来技術の説明に当たり、本出願人は、三つの停止位置を得ることができる電磁ソレノイドに関する特許出願を調査し、関連技術として次の技術を抽出した。その関連技術は、特開2000−173821号(電磁式加振装置等)、及び特開2000−306723号(プッシュプル型ソレノイド)の2件である。
【0003】
複数のコイル素子を備えてそれぞれ独立に通電させることによって二つのポジションを得るソレノイドは、特開2000−306723号において開示されているように、プッシュプル型ソレノイドという。プッシュプル型ソレノイドには、二つのポジション間に位置する第三のポジションは存在しない。
【0004】
また、特開2000−306723号に開示されている「アクチュエータ機構部C」には、独立して通電可能な複数のコイル素子を備えると共に通電時に得るプランジャ(可動磁極)の力方向に抗するスプリングを備えている。そして、各コイル素子への同時又は選択的な通電を制御することによってアクチュエータ機構部Cのポジションを連続的に変化させられるように構成している。
【0005】
一方、コイル素子によって発生する推力と対抗させたスプリングとを備える「比例ソレノイド」では、駆動用の電流を制御することで様々なポジションを取ることができる。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−173821号
【特許文献2】
特開2000−306723号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
さて、電磁ソレノイドを用いて三つのポジションを得るための構造は、先行技術の調査によっては発見できなかった。
【0008】
また、比例ソレノイドは、周囲温度などの外的要因や、コイル素子の巻き数などの誤差など内的要因が存在するため、中間的なポジションについて正確さを求められる部位において、定常状態を保ったり、個体差をなくしたりすることは困難であった。
【0009】
本発明が解決すべき課題は、三つの停止位置を得ることができるコンパクトな電磁ソレノイドの構造に関する技術を提供することにある。
【0010】
更に、別の解決すべき課題として、三つの停止位置のうち中間的な第2の停止位置へ復帰する際に、第1の停止位置から復帰するときと、第2の停止位置から復帰するときとで復帰動作を異ならせることができる電磁ソレノイドの構造に関する技術を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した目的を達成するためのものであり、可動磁極(プランジャ)が正方向通電時、逆方向通電時及び非通電時においてそれぞれ三つの停止位置を取ることができる電磁ソレノイドに係る。
【0012】
そこで、請求項1記載の発明は、往復動するシャフトを3段階の停止位置で停止させることが可能な電磁ソレノイドであって、ケースと、そのケースに固定されるとともに、前記シャフトの軸方向に間隙をおいて並べられた第1の固定磁極及び第2の固定磁極と、それらの固定磁極の間に、かつ、前記シャフトの軸方向に間隙をおいて並べられた第1のコイル及び第2のコイルと、[新電元工業株式会社1]それらのコイルの間に位置させた共通磁極と、前記シャフトが固定されるとともに、前記第1の固定磁極と前記第2の固定磁極の間に、前記シャフトの軸方向に往復動可能な状態で位置させた可動磁極と、前記第1のコイル及び前記第2のコイルのいずれにも通電していないときには、前記シャフトを前記3段階の停止位置のうち中間的な第2段階の停止位置へ復帰させるべく前記可動磁極を押圧して、前記シャフトがその第2段階の停止位置に達するまで前記可動磁極を移動させるようになされた復帰機構を備え、前記第1のコイルに通電したときには、前記第1の固定磁極、前記ケース及び前記共通磁極に磁気回路が生成されて、前記可動磁極が前記第1の固定磁極に吸着されることによって、前記シャフトが、前記復帰機構からの押圧力に逆らって、その第1の先端部が前進するように移動して第1段階の停止位置まで至り、前記第2のコイルに通電したときには、前記第2の固定磁極、前記ケース及び前記共通磁極に磁気回路が生成されて、前記可動磁極が前記第2の固定磁極に吸着されることによって、前記シャフトが、前記復帰機構からの押圧力に逆らって、その第2の先端部が前進するように移動して第3段階の停止位置まで至るようになされたことを特徴とするものとした。
【0013】
以上の構成によれば、第1のコイルに通電すると、第1の固定磁極、ケース及び共通磁極に磁気回路が生成されて、第1の固定磁極と可動磁極の間に間隙を埋めるべく、可動磁極が移動して第1の固定磁極に吸着される。シャフトは可動磁極に固定されているので、シャフトもこれに応じて移動する。逆に、第2のコイルに通電すると、第2の固定磁極、ケース及び共通磁極に磁気回路が生成されて、第2の固定磁極と可動磁極の間に間隙を埋めるべく、可動磁極が移動して第2の固定磁極に吸着される。シャフトは、今度は逆の方向に移動する。また、これらのコイルに通電していないときには、復帰機構が可動磁極を押圧して移動させ、シャフトを第2段階の停止位置へ復帰させる。言い換えるならば、二つある固定磁極は、シャフトの推力発生機構となる可動磁極を間に挟んで対向配置されている。これにより、これらの固定磁極が発生する推力の方向は正反対の関係となる2方向となり、シャフトをこれらの方向に対応する第1段階または第3段階の停止位置に移動させる。また、二つあるコイルに通電していないときには、復帰機構が可動磁極を中間的な第2段階の停止位置に保持する。したがって、電磁ソレノイドにおいて、三つの停止位置を得ることが容易に実現できる。
【0014】
なお、上記の課題を解決するための手段において、「共通磁極」とは、二つのコイルで発生する磁束の双方が透過する部品を意味する。また、「第2段階の停止位置」とは、第1のコイル及び第2のコイルに通電していないときにおけるシャフトの停止位置であり、通常、第1の第1の停止位置と第2の停止位置の中間点となる。ただし、各磁極の形状、大きさなどを異ならせることで、中間点でない位置を第2の停止位置とすることもできる。
【0015】
請求項2に記載のものは、請求項1に記載の電磁ソレノイドにおいて、前記ケースは、筒状に形成され、前記第1の固定磁極及び前記第2の固定磁極は、前記ケースの二つの開口部をそれぞれ塞ぐように形成され、前記シャフトは、前記可動磁極に形成された貫通孔に挿通状態で前記可動磁極に固定されると共に、前記第1の先端部側が前記第1の固定磁極に形成された貫通孔に挿通され、前記第2の先端部側が前記第2の固定磁極に形成された貫通孔に挿通され、前記共通磁極、前記第1のコイル及び前記第2のコイルは、前記可動磁極を取り巻くように環状に形成したものとしている。
【0016】
以上のものによれば、第1の固定磁極及び第2の固定磁極がケースの蓋を兼ねて、さらに第1のコイル、第2のコイル、共通磁極及び可動磁極を第1の固定磁極と第2の固定磁極との間に収まるように構成できるので、シャフトを3段階の停止位置で停止させることが可能な電磁ソレノイドをコンパクトに形成することが可能となる。
【0017】
請求項3に記載のものは、請求項1に記載の電磁ソレノイドにおいて、前記復帰機構は、前記シャフトが前記第1段階の停止位置から前記第2段階の停止位置までの範囲にあるときには、その弾発力によって前記可動磁極を第1のスペーサを介して前記シャフトの第2の先端部側に向けて押圧し、前記シャフトが前記第2段階の停止位置を越えて前記第3段階の停止位置側にあるときには、前記可動磁極を押圧しない第1の弾性体と、前記シャフトが前記第3段階の停止位置から前記第2段階の停止位置までの範囲にあるときには、その弾発力によって前記可動磁極を第2のスペーサを介して前記シャフトの第1の先端部側に向けて押圧し、前記シャフトが前記第2段階の停止位置を越えて前記第1段階の停止位置側にあるときには、前記可動磁極を押圧しない第2の弾性体を備えるようになしている。
【0018】
以上のものによれば、シャフトがちょうど第2段階の停止位置にあるときには、第1の弾性体と第2の弾性体とが可動磁極を正反対の方向から、すなわち可動磁極を挟みつけるように押圧するので、第1のコイル及び第2のコイルに通電していないときには、シャフトが第2段階の停止位置に安定的に保持される。また、この状態のときに、シャフトに加わる外力によってシャフトが第2段階の停止位置からいずれかの方向に動かされた場合には、いずれか一方の弾性体のみがシャフトを第2段階の停止位置に押し戻すように押圧するので、外力に対する復元力を有するものとなる。
【0019】
なお、上記の課題を解決するための手段において、「弾性体」は、シャフトの三つの停止位置において、それぞれ一定の弾発力を発生するものである。また、この弾性体としては、一般的には金属製コイルスプリングを用いるが、エアスプリングなども利用可能である。
【0020】
請求項4に記載のものは、請求項3に記載の電磁ソレノイドにおいて、前記第1のスペーサは、前記第1の弾性体からの押圧力によって、前記シャフトが前記第1段階の停止位置から前記第2段階の停止位置までの範囲にあるときには前記シャフトに設けられた第1の当接部に押しつけられ、前記シャフトが前記第2段階の停止位置を越えて前記第3段階の停止位置側にあるときには前記第1の固定磁極に設けられた第2の当接部に押しつけられると同時に前記第1の当接部からは離隔するようになされ、前記第2のスペーサは、前記第2の弾性体からの押圧力によって、前記シャフトが前記第3段階の停止位置から前記第2段階の停止位置までの範囲にあるときには前記シャフトに設けられた第3の当接部に押しつけられ、前記シャフトが前記第2段階の停止位置を越えて前記第1段階の停止位置側にあるときには前記第2の固定磁極に設けられた第4の当接部に押しつけられると同時に前記第2の当接部からは離隔するようになしている。
【0021】
以上のものによれば、シャフトが第2段階の停止位置を越えて移動するときに、二つのスペーサに対して押しつけられるものが切り替わるようにし、かつ、二つのスペーサに対して押しつけられるものの一方を固定物としているので、第2段階の停止位置を境界として可動磁極、ひいてはシャフトを移動させる押圧力の向きを正反対に切り替える構成を簡単な構成で実現できる。さらに、シャフトが第2段階の停止位置に停止している状態は、二つの弾性体の弾発力の釣合いに関係なく、二つのスペーサと二つの固定磁極が互いに押し合うことによって実現されているので、シャフトを安定的に停止させることができる。
【0022】
請求項5に記載のものは、請求項4に記載の電磁ソレノイドにおいて、前記第1の当接部は、前記シャフトの、前記第1の先端部側の径をその中央付近の径よりも小さくなるようにして形成された段差部であり、前記第2の当接部は、前記第1の固定磁極の、前記貫通孔の前記可動磁極側の径を他の部分の径よりも小さくなるようにして形成された段差部であり、前記第3の当接部は、前記シャフトの、前記第2の先端部側の径をその中央付近の径よりも小さくなるようにして形成された段差部であり、前記第4の当接部は、前記第2の固定磁極の、前記貫通孔の前記可動磁極側の径を他の部分の径よりも小さくなるようにして形成された段差部であるようにしている。
【0023】
以上のものによれば、シャフト、第1の固定磁極及び第2の固定磁極に対して他の部材を追加することなく、これらに対する付加的な加工だけで第1の当接部、第2の当接部、第3の当接部及び第4の当接部を形成することができるので、復帰機構を単純で、かつ、コンパクトに構成することができる。さらに、シャフトが第2段階の停止位置に停止している状態は、二つの弾性体の弾発力の釣合いに関係なく、二つのスペーサと二つの固定磁極が互いに押し合うことによって実現されているので、シャフトを安定的に停止させることができる。
【0024】
請求項6のものは、請求項4に記載の電磁ソレノイドにおいて、第1の弾性体、第2の弾性体、第1のスペーサ及び第2のスペーサは、前記ケース、前記第1の固定磁極及び前記第2の固定磁極によって構成される閉空間の外部に設けられ、前記第1の当接部は、前記シャフトの、前記第1の先端部側の径をその中央付近の径よりも小さくなるようにして形成された段差部であり、前記第2の当接部は、前記第1の固定磁極の、前記貫通孔の外側の開口部の周囲に形成された平坦面であり、前記第3の当接部は、前記シャフトの、前記第2の先端部側の径をその中央付近の径よりも小さくなるようにして形成された段差部であり、前記第4の当接部は、前記第2の固定磁極の、前記貫通孔の外側の開口部の周囲に形成された平坦面であるようにしている。
【0025】
以上のものによれば、シャフト、第1の固定磁極及び第2の固定磁極に対して他の部材を追加することなく、シャフト、第1の固定磁極及び第2の固定磁極の付加的な加工だけで第1の当接部、第2の当接部、第3の当接部及び第4の当接部を形成することができるので、復帰機構を単純で、かつ、コンパクトに構成することができる。
【0026】
請求項7に記載のものは、請求項3から請求項6のいずれかに記載の電磁ソレノイドにおいて、前記第1の弾性体と前記第2の弾性体は、それぞれの弾発力に係る特性が異なるようにしている。
【0027】
この請求項において、弾発力に係る特性が異なるとは、バネ定数や空気圧、周囲からの与圧によって発生する弾発力、すなわち可動磁極を異ならせることを意味する。具体的には、弾性体としてコイルスプリングを用いる場合には、コイルスプリングのコイル長を異ならせることによって与圧を変更したり、材質を変更することによってバネ定数を異ならせることを意味する。したがって、これらが異なっていると、第1段階の停止位置または第3段階の停止位置から第2段階の停止位置に復帰する際の状況を異ならせることができる。例えば、第1段階の停止位置から第2段階の停止位置への復帰スピードを第3段階の停止位置から第2段階の停止位置への復帰スピードよりも遅くする、といったことが可能になる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態及び図面に基づいて、更に詳しく説明する。ここで使用する図面は、図1乃至図10である。図1から図5は第一の実施形態の構造を示す斜視図又は断面図であり、図6及び図7は原理説明のための図である。図8乃至図10は他の実施形態を示す断面図である。
【0029】
第一の実施形態に係る電磁ソレノイドは、円筒状のケース6と、前記ケース6の軸方向へ直列に内蔵した二つのコイル1a,1bと、その二つのコイル1a,1bの間に位置させた共通磁極5と、前記ケース6に固定されるベース(固定磁極)4a,4bと、前記ケース6の筒内部及びベース4a,4bの中央を貫通し、軸方向を進退する断面円形の長軸状シャフト3と、そのシャフト3の軸方向中央に固定され、コイル1a,1bによって発生する磁界によってシャフト3と共に所定の可動域を進退するプランジャ(可動磁極)2と、その可動磁極2を非通電時に、第2ポジション、すなわち図1に示すシャフト3の位置へ復帰させるための復帰機構とを備える。
【0030】
ベース4a,4bは、ケース6の内径寸法を外径とするフランジ部と、シャフト3を内装するための筒部を中央に備えており、筒部は反フランジ部側に連続して先細りした形状(いわゆる「コニカル型」)をなしている。ただし、本ソレノイドの用途に応じては、いわゆるフラット型を採用してもよい。
【0031】
前述した「復帰機構」とは、相対向する方向から押圧し合うことによって非通電時に可動磁極2を第2ポジションに停止するように縮装される二つの復帰スプリング8a,8bと、その縮装された復帰スプリング8a,8bの縮み状態を確保すると共にベース4a,4bへ固定されてシャフト3を支持する軸受け7a,7bと備える。図5に示すように、シャフト3とベース4a,4bとの間にはスプリング格納部43を備え、復帰スプリング8a,8bはそのスプリング格納部42へ格納される。シャフト3には、その中央部よりも細くなるような段差部31a,31bを設ける。換言すれば、段差部31a,31bは、シャフト3が固定磁極に設けた軸受けによって支持される部分と、中央付近の可動磁極を固定する部分において、中央側が太くなるようにその径を異ならせることによるその外形差によってできる段差である。
【0032】
また、復帰スプリング8a,8bのそれぞれにおける可動磁極2側には、スペーサ9a,9bを備える。このスペーサ9a,9bは、シャフト3における細くなった部位の外径よりも大きく段差部31a,31bの外径よりも小さな内径をなすリング状であり、スプリング格納部42において摺動可能であるように組み込まれる。そして、縮装される復帰スプリング8a,8bの端部に当接する。可動磁極2が第2ポジション(非通電時)に存在するときには、復帰スプリング8a,8bに与えられた縮装による与圧力で、シャフト3の段差部31とベース4a,4bのスプリング格納部42の端部面41とが当接するように押圧している。復帰スプリング8a,8bの端部は、スペーサ9a,9bにも軸受け7a,7bにも固定しておらず、自由端としている。
【0033】
所定位置(非通電時)においては、シャフト3の各端部にある段差部31と、ベース4a,4bにおけるスプリング格納部42の端部面とは、二つの復帰スプリング8a,8bの与圧力によって、スペーサ9a,9bを介して両側から押しつけられることによって同一面となるように位置決めされる。復帰スプリング8a,8bに与えられた縮装による与圧力によって直接釣り合っているのではないため、復帰スプリング8a,8bの与圧力が異なっていても、停止すべき位置が変化することはない。
【0034】
また、前述した「共通磁極5」は、いずれのコイルで発生した磁束も共通して経由する部品である。二つの復帰スプリング8a,8bは、シャフト3の外周とベース4a,4bの内周面との間に位置させ、シャフト3の外周に設置する。なお、二つの復帰スプリング8a,8bは、一般的にはコイルスプリングである。双方とも「縮装」されることによって可動磁極2を両側から押している。その結果、非通電時には、通電時に抗した一のコイルスプリングの反発力によって可動磁極2を第2ポジションへ復帰させる。
【0035】
そして、一方のコイル1に通電すると、通電された側のベース4と、可動磁極2との間に吸着力が発生して可動磁極2とこれに固定されたシャフト3は可動磁極2側に移動する。このとき、シャフト3の段差によってスペーサ9を介して復帰スプリング8を圧縮する。
【0036】
同時に、他の復帰スプリング8は、シャフト3の段差が復帰スプリング8から遠ざかる方向に移動することになる。このとき、当該スプリング8の与圧力は、スペーサ9を介してベースの段差によって受け止められ、シャフト3には影響を与えない。すなわち、通電時には通電された側の復帰スプリング8のみが圧縮され、通電されない側の復帰スプリング8は変化しない。このため、可動磁極2は通電時には必ず一方からのみ反発力を受ける。
【0037】
図2はいずれのコイルにも通電されていない状態を、図3にはコイル1aに通電された状態を、図4にはコイル1bに通電された状態を、それぞれ示している。ここで、図2に示す可動磁極の位置を第2ポジション、図3に示す可動磁極の位置を第1ポジション、図4に示す可動磁極の位置を第3ポジションとする。すなわち、これらのポジションを一直線状に並べると、第1ポジション、第2ポジション、第3ポジションの順に並ぶ。
【0038】
図3に示される状態は、コイル1aに通電され、発生した磁界によって復帰スプリング8aの反発力に抗して、可動磁極2及びシャフト3が移動する。移動後に停止する位置は第1ポジションであり、ベース4aと可動磁極2とが当接する位置である。この後、通電状態が解除された際には、復帰スプリング8aの反発力がスペーサ9aを介して可動磁極2を押し戻す。第2ポジションを超過して移動しようとしたときには、復帰スプリング8bが第2ポジションの方向へ押し戻すこととなり、最終的には第2ポジションに落ち着く。
【0039】
図4に示される状態は、コイル1bに通電され、発生した磁界によって復帰スプリング8bの反発力に抗して、可動磁極2及びシャフト3が移動する。移動後に停止する位置は第3ポジションであり、ベース4bと可動磁極2とが当接する位置である。この後、通電状態が解除された際には、復帰スプリング8bの反発力がスペーサ9bを介して可動磁極2を押し戻す。第2ポジションを超過して移動しようとしたときには、復帰スプリング8aが第2ポジションの方向へ押し戻すこととなり、最終的には第2ポジションに落ち着く。
【0040】
以下、主な寸法やスプリングの性状を記載するが、本発明がこれらに限られないことは言うまでもない。
【0041】
ケースは、その軸方向寸法が56mm、外径が31.8mmである。また、各コイルの大きさは、22mm、シャフトの外径は3.97mmである。ストロークは、約10mm(片側5mm)確保できる。非常にコンパクトでありながら、三つのポジションを得ることができる電磁ソレノイドである。
【0042】
スプリングは、外径5.0mm、素線径0.5mm、バネ定数1.0N/mm、縮装の際に予め与える与圧力は2.5N/mmとしている。
【0043】
図6[A]は、バネ(復帰スプリング)とソレノイドの推力との関係を、力とストロークとの関係において図示したものである。バネの復帰力とソレノイドの推力とが一致する点が静止位置となる。図6[B]は、両側からバネα、βという対抗する二つのバネを配置した場合を示している。バネα、βによって復帰する点は、両バネがバランスした位置となる。
【0044】
電磁ソレノイドに対して三つのポジションを得るために、二つのバネα、βを両側に位置させ、その二つのバネα、βの復帰力の釣り合う位置を復帰位置としたとする。すると、一方のバネがヘタってしまったら、復帰位置が異なってしまうこととなる。
【0045】
図7[A]は、本願発明の原理を示す。非通電時の静止位置は、二つのバネ(復帰スプリング)α、βを直接対抗させてバランスさせるのではなく、シャフト3における段差部31,31やスペーサ9a,9bによってバネの反発力の有効範囲を限定し、その有効範囲の端部を静止位置として共通させることとしている。このため、静止位置は機械加工精度によって決定されるため、図7[B]に示すように、一方のバネαがヘタってしまっても、所定の位置に復帰することができる。
【0046】
さらに、本発明の産業上の利用可能性について述べる。二つの流路を備える流体における流れを、いずれか一方の流路又は遮断という三つのポジション制御するバルブは、色々な場所で使われている。現在、このバルブの制御は、例えば、二つのソレノイドで挟むようにして配置されたバルブ構造体を用いている。図示は省略するが、何れか一方のソレノイドへ通電すると共に他方を断電することによって流体の流路選択を行い、両方のソレノイドへの通電を停止することによっていずれの流路をも遮断するのである。しかし、上記した実施形態に係る電磁ソレノイドの機構を採用すれば、一つのソレノイドを片側に配置するだけで流路の選択及び遮断が行えることとなり、流体制御システムをコンパクトにしたり、設計自由度を高めたりすることに多大な貢献をする。
【0047】
次に、第二の実施形態について述べる。図8に示す第二の実施形態は、第一の実施形態よりも寸法比として長いシャフト103aを採用し、そのシャフト103aにおける可動磁極102の一方側に段差を設ける。そして、二つの復帰スプリング108a,108bは、前記段差のないシャフト103bの端部外側及びシャフト103aの段差よりも軸方向外側に、スペーサ109a,109bを介して位置させる。二つの復帰スプリング108a,108bは、スプリングケース111a,111bに収納する。シャフト103aに対応するスプリングケース111aには、シャフト103aを貫通させる貫通孔を備えている。
【0048】
可動磁極102が無通電時における第一ポジションにあるときに、一方のシャフト103bはその外面端部がベース104bの外面端部と同一面となるようにする。そして、スプリングケース111bに格納された復帰スプリング108bの反発力は、スペーサ109bを介してシャフト103bとベース104bの外面端部に作用させる。
【0049】
一方、シャフト103aは、可動磁極102がコイル101a,101bの無通電時における第一ポジションにあるときにおけるベース104aの外面端部と同一位置に、外径差に基づく段差を設けている。
【0050】
スプリングケース111aに格納された復帰スプリング108aの反発力は、スペーサ109aを介してシャフト103aの段差部とベース104aの外面端部に作用させる。
【0051】
なお、この実施形態の変形例として、両側に段差シャフトを用いても、段差なしのシャフトを用いても同様に機能する。
【0052】
以上のような構成による電磁ソレノイドでは、電磁ソレノイドの軸方向へ復帰スプリング108a,108bを備えることとしたので、電磁ソレノイドの外径方向寸法を抑えたり、復帰スプリング108a,108bの反発力の選択における自由度を高めたりすることができる。
【0053】
さらに、第三の実施形態について述べる。図9に示す第三の実施形態は、第一の実施形態とは復帰スプリングの収納位置を異ならせている。すなわち、二つの復帰スプリング208a,208bは、ベース204a,204bの外周とコイル201a,201bの内側との間に位置させて格納したコイルスプリングとしている。
【0054】
可動磁極202は、先端外周部を平坦としている。また、可動磁極202の外側には、パイプ状のストッパ210a,210bを、共通磁極205に固定すると共に、反対側の端面は、可動磁極202が両コイル201a,201bの無通電時である第一ポジションにあるときに可動磁極202に設けた平坦部と同一面となるようにしている。ストッパの内径は可動磁極の移動に影響を及ぼさないような寸法とする。
【0055】
可動磁極202と208a,208bとの間には、スペーサ209a,209bを備えている。このスペーサ209a,209bは、その内側端面が可動磁極202の平坦部と当接し、外側端面がストッパ210a,210bに当接する寸法とし、スペーサ209a,209自身及び可動磁極202の移動に影響を及ぼさないような寸法とする。
【0056】
復帰スプリング208a,208bからの反発力は、スペーサ209a,209bを介して、可動磁極202の平坦部とストッパ210a,210bの端部に作用させている。
【0057】
この第三の実施形態に係る電磁ソレノイドは、第一の実施形態に係る電磁ソレノイドと比較して、復帰スプリングの外径を大きく取れるので、反発力の選択における自由度を高めたりすることができる。
【0058】
図10に示す実施形態は、図9に示した実施形態の変形例である。図9に示した実施形態では、可動磁極202の外縁部を平坦としてこの部分にスペーサ209a,209bを介して復帰スプリング208a,208bの反発力を作用させているが、図10に示す実施形態では、可動磁極302の外周において軸方向の中央部分よりも両側を細くする段差を備え、可動磁極302が両コイル301a,301bの無通電時である第一ポジションにあるときに、段差部と同一面となる位置にストッパ310a,310bを配している。ストッパ310a,310bは可動磁極の移動に影響を及ぼさないようなような寸法とし、中央寄り端面は共通磁極に当接している。
【0059】
二つの復帰スプリング308a,308bは、前記段差における小径部分の外周及びベース304a,304bの外周と両コイル301a,301bの内側との間に位置させたコイルスプリングとし、その反発力はスペーサ309a,309bに作用する。
【0060】
スペーサ309a,309bは内周部付近が可動磁極302の段差と、外周部付近がストッパ310a,310bにそれぞれ当接し、復帰スプリング308a,308bからの反発力を伝達する。
【0061】
なお、この例では、ストッパ310a,310bは他の部材へ固定されておらず、自由に移動可能としているが、共通磁極305に固定してもいいし、スペーサ309a,309bに固定されていてもよい。また、ストッパ310a,310bを廃止してスペーサ309a,309bを変形し、内周部付近が可動磁極302の段差に当たると共に外周部付近が共通磁極305に当たるようにしてもよい。
【0062】
図9に示す実施形態と同じように、復帰スプリング308a,308bについて比較的大径のものを採用することができることで反発力の選択における自由度を高めると共に、軸方向寸法を抑えた電磁ソレノイドを設計することができる。
【0063】
なお、以上の各実施形態においては、復帰スプリングとして、電磁ソレノイドに幅広く利用されているコイルスプリングを用いるものとして説明したが、プランジャ(可動磁極)を第二ポジションに復帰させる機構として他の手段を用いても良い。例えば、用途に応じてエアースプリングやゴムなどを用いることも可能である。また、復帰スプリングに関連して設けられるスペーサをシャフトで支持(保持)する手段は、段差に限られるものではない。例えば、シャフトの周面に切欠き、溝、凹部、または凸部を形成する、あるいは他の部材をシャフトに固着し、これらのものをスペーサやストッパを支持(保持)する手段としても良い。要するに、スペーサを一定位置から先に移動しないように支持(保持)することができればどのような手段でも良く、その電磁ソレノイドに対して求められる設計上の要求に応じて適宜選択すれば良い。また、シャフトにこのような手段を設けるのでなく、プランジャ(可動磁極)や、ベース(固定磁極)、共通磁極に設けることも可能である。さらに、ストッパを支持(保持)することについても、スペーサと同様に、多様な手段を採用することが可能である。
【0064】
【発明の効果】
請求項1から請求項3記載の発明によれば、3段階の停止位置を得ることができるコンパクトな電磁ソレノイドの構造に関する技術を提供することができた。また、請求項4記載の発明によれば、中間のポジションへ復帰する特性を異ならせることができる電磁ソレノイドの構造に関する技術を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態を示す断面図であり、可動鉄心が第二ポジションのときを示す。
【図3】本発明の第一の実施形態を示す断面図であり、可動鉄心が第一ポジションのときを示す。
【図4】本発明の第一の実施形態を示す断面図であり、可動鉄心が第三ポジションのときを示す。
【図5】本発明の第一の実施形態における主要部の拡大断面図であり、可動鉄心が第二ポジションのときを示す。
【図6】本実施形態の原理を説明するための図である。
【図7】本実施形態の原理を説明するための図である。
【図8】本発明の第二の実施形態を示す断面図である。
【図9】本発明の第三の実施形態を示す断面図である。
【図10】本発明の第四の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1,201,301 コイル
2,202,302 プランジャ(可動磁極)
3,203,303 シャフト
31 段差部
4,204,304 ベース(固定磁極)
41 端部面
42 スプリング格納部
5,205,305 共通磁極
6,206,306 ケース
7、207,307 軸受け
8,208,308 復帰スプリング
9,209,309 スペーサ
111 スプリングケース
210,310 ストッパ
【発明が属する技術分野】
この発明は、三つの停止位置を得ることができる電磁ソレノイドの技術に関するものである。
【0002】
【先行技術】
本発明の従来技術の説明に当たり、本出願人は、三つの停止位置を得ることができる電磁ソレノイドに関する特許出願を調査し、関連技術として次の技術を抽出した。その関連技術は、特開2000−173821号(電磁式加振装置等)、及び特開2000−306723号(プッシュプル型ソレノイド)の2件である。
【0003】
複数のコイル素子を備えてそれぞれ独立に通電させることによって二つのポジションを得るソレノイドは、特開2000−306723号において開示されているように、プッシュプル型ソレノイドという。プッシュプル型ソレノイドには、二つのポジション間に位置する第三のポジションは存在しない。
【0004】
また、特開2000−306723号に開示されている「アクチュエータ機構部C」には、独立して通電可能な複数のコイル素子を備えると共に通電時に得るプランジャ(可動磁極)の力方向に抗するスプリングを備えている。そして、各コイル素子への同時又は選択的な通電を制御することによってアクチュエータ機構部Cのポジションを連続的に変化させられるように構成している。
【0005】
一方、コイル素子によって発生する推力と対抗させたスプリングとを備える「比例ソレノイド」では、駆動用の電流を制御することで様々なポジションを取ることができる。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−173821号
【特許文献2】
特開2000−306723号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
さて、電磁ソレノイドを用いて三つのポジションを得るための構造は、先行技術の調査によっては発見できなかった。
【0008】
また、比例ソレノイドは、周囲温度などの外的要因や、コイル素子の巻き数などの誤差など内的要因が存在するため、中間的なポジションについて正確さを求められる部位において、定常状態を保ったり、個体差をなくしたりすることは困難であった。
【0009】
本発明が解決すべき課題は、三つの停止位置を得ることができるコンパクトな電磁ソレノイドの構造に関する技術を提供することにある。
【0010】
更に、別の解決すべき課題として、三つの停止位置のうち中間的な第2の停止位置へ復帰する際に、第1の停止位置から復帰するときと、第2の停止位置から復帰するときとで復帰動作を異ならせることができる電磁ソレノイドの構造に関する技術を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した目的を達成するためのものであり、可動磁極(プランジャ)が正方向通電時、逆方向通電時及び非通電時においてそれぞれ三つの停止位置を取ることができる電磁ソレノイドに係る。
【0012】
そこで、請求項1記載の発明は、往復動するシャフトを3段階の停止位置で停止させることが可能な電磁ソレノイドであって、ケースと、そのケースに固定されるとともに、前記シャフトの軸方向に間隙をおいて並べられた第1の固定磁極及び第2の固定磁極と、それらの固定磁極の間に、かつ、前記シャフトの軸方向に間隙をおいて並べられた第1のコイル及び第2のコイルと、[新電元工業株式会社1]それらのコイルの間に位置させた共通磁極と、前記シャフトが固定されるとともに、前記第1の固定磁極と前記第2の固定磁極の間に、前記シャフトの軸方向に往復動可能な状態で位置させた可動磁極と、前記第1のコイル及び前記第2のコイルのいずれにも通電していないときには、前記シャフトを前記3段階の停止位置のうち中間的な第2段階の停止位置へ復帰させるべく前記可動磁極を押圧して、前記シャフトがその第2段階の停止位置に達するまで前記可動磁極を移動させるようになされた復帰機構を備え、前記第1のコイルに通電したときには、前記第1の固定磁極、前記ケース及び前記共通磁極に磁気回路が生成されて、前記可動磁極が前記第1の固定磁極に吸着されることによって、前記シャフトが、前記復帰機構からの押圧力に逆らって、その第1の先端部が前進するように移動して第1段階の停止位置まで至り、前記第2のコイルに通電したときには、前記第2の固定磁極、前記ケース及び前記共通磁極に磁気回路が生成されて、前記可動磁極が前記第2の固定磁極に吸着されることによって、前記シャフトが、前記復帰機構からの押圧力に逆らって、その第2の先端部が前進するように移動して第3段階の停止位置まで至るようになされたことを特徴とするものとした。
【0013】
以上の構成によれば、第1のコイルに通電すると、第1の固定磁極、ケース及び共通磁極に磁気回路が生成されて、第1の固定磁極と可動磁極の間に間隙を埋めるべく、可動磁極が移動して第1の固定磁極に吸着される。シャフトは可動磁極に固定されているので、シャフトもこれに応じて移動する。逆に、第2のコイルに通電すると、第2の固定磁極、ケース及び共通磁極に磁気回路が生成されて、第2の固定磁極と可動磁極の間に間隙を埋めるべく、可動磁極が移動して第2の固定磁極に吸着される。シャフトは、今度は逆の方向に移動する。また、これらのコイルに通電していないときには、復帰機構が可動磁極を押圧して移動させ、シャフトを第2段階の停止位置へ復帰させる。言い換えるならば、二つある固定磁極は、シャフトの推力発生機構となる可動磁極を間に挟んで対向配置されている。これにより、これらの固定磁極が発生する推力の方向は正反対の関係となる2方向となり、シャフトをこれらの方向に対応する第1段階または第3段階の停止位置に移動させる。また、二つあるコイルに通電していないときには、復帰機構が可動磁極を中間的な第2段階の停止位置に保持する。したがって、電磁ソレノイドにおいて、三つの停止位置を得ることが容易に実現できる。
【0014】
なお、上記の課題を解決するための手段において、「共通磁極」とは、二つのコイルで発生する磁束の双方が透過する部品を意味する。また、「第2段階の停止位置」とは、第1のコイル及び第2のコイルに通電していないときにおけるシャフトの停止位置であり、通常、第1の第1の停止位置と第2の停止位置の中間点となる。ただし、各磁極の形状、大きさなどを異ならせることで、中間点でない位置を第2の停止位置とすることもできる。
【0015】
請求項2に記載のものは、請求項1に記載の電磁ソレノイドにおいて、前記ケースは、筒状に形成され、前記第1の固定磁極及び前記第2の固定磁極は、前記ケースの二つの開口部をそれぞれ塞ぐように形成され、前記シャフトは、前記可動磁極に形成された貫通孔に挿通状態で前記可動磁極に固定されると共に、前記第1の先端部側が前記第1の固定磁極に形成された貫通孔に挿通され、前記第2の先端部側が前記第2の固定磁極に形成された貫通孔に挿通され、前記共通磁極、前記第1のコイル及び前記第2のコイルは、前記可動磁極を取り巻くように環状に形成したものとしている。
【0016】
以上のものによれば、第1の固定磁極及び第2の固定磁極がケースの蓋を兼ねて、さらに第1のコイル、第2のコイル、共通磁極及び可動磁極を第1の固定磁極と第2の固定磁極との間に収まるように構成できるので、シャフトを3段階の停止位置で停止させることが可能な電磁ソレノイドをコンパクトに形成することが可能となる。
【0017】
請求項3に記載のものは、請求項1に記載の電磁ソレノイドにおいて、前記復帰機構は、前記シャフトが前記第1段階の停止位置から前記第2段階の停止位置までの範囲にあるときには、その弾発力によって前記可動磁極を第1のスペーサを介して前記シャフトの第2の先端部側に向けて押圧し、前記シャフトが前記第2段階の停止位置を越えて前記第3段階の停止位置側にあるときには、前記可動磁極を押圧しない第1の弾性体と、前記シャフトが前記第3段階の停止位置から前記第2段階の停止位置までの範囲にあるときには、その弾発力によって前記可動磁極を第2のスペーサを介して前記シャフトの第1の先端部側に向けて押圧し、前記シャフトが前記第2段階の停止位置を越えて前記第1段階の停止位置側にあるときには、前記可動磁極を押圧しない第2の弾性体を備えるようになしている。
【0018】
以上のものによれば、シャフトがちょうど第2段階の停止位置にあるときには、第1の弾性体と第2の弾性体とが可動磁極を正反対の方向から、すなわち可動磁極を挟みつけるように押圧するので、第1のコイル及び第2のコイルに通電していないときには、シャフトが第2段階の停止位置に安定的に保持される。また、この状態のときに、シャフトに加わる外力によってシャフトが第2段階の停止位置からいずれかの方向に動かされた場合には、いずれか一方の弾性体のみがシャフトを第2段階の停止位置に押し戻すように押圧するので、外力に対する復元力を有するものとなる。
【0019】
なお、上記の課題を解決するための手段において、「弾性体」は、シャフトの三つの停止位置において、それぞれ一定の弾発力を発生するものである。また、この弾性体としては、一般的には金属製コイルスプリングを用いるが、エアスプリングなども利用可能である。
【0020】
請求項4に記載のものは、請求項3に記載の電磁ソレノイドにおいて、前記第1のスペーサは、前記第1の弾性体からの押圧力によって、前記シャフトが前記第1段階の停止位置から前記第2段階の停止位置までの範囲にあるときには前記シャフトに設けられた第1の当接部に押しつけられ、前記シャフトが前記第2段階の停止位置を越えて前記第3段階の停止位置側にあるときには前記第1の固定磁極に設けられた第2の当接部に押しつけられると同時に前記第1の当接部からは離隔するようになされ、前記第2のスペーサは、前記第2の弾性体からの押圧力によって、前記シャフトが前記第3段階の停止位置から前記第2段階の停止位置までの範囲にあるときには前記シャフトに設けられた第3の当接部に押しつけられ、前記シャフトが前記第2段階の停止位置を越えて前記第1段階の停止位置側にあるときには前記第2の固定磁極に設けられた第4の当接部に押しつけられると同時に前記第2の当接部からは離隔するようになしている。
【0021】
以上のものによれば、シャフトが第2段階の停止位置を越えて移動するときに、二つのスペーサに対して押しつけられるものが切り替わるようにし、かつ、二つのスペーサに対して押しつけられるものの一方を固定物としているので、第2段階の停止位置を境界として可動磁極、ひいてはシャフトを移動させる押圧力の向きを正反対に切り替える構成を簡単な構成で実現できる。さらに、シャフトが第2段階の停止位置に停止している状態は、二つの弾性体の弾発力の釣合いに関係なく、二つのスペーサと二つの固定磁極が互いに押し合うことによって実現されているので、シャフトを安定的に停止させることができる。
【0022】
請求項5に記載のものは、請求項4に記載の電磁ソレノイドにおいて、前記第1の当接部は、前記シャフトの、前記第1の先端部側の径をその中央付近の径よりも小さくなるようにして形成された段差部であり、前記第2の当接部は、前記第1の固定磁極の、前記貫通孔の前記可動磁極側の径を他の部分の径よりも小さくなるようにして形成された段差部であり、前記第3の当接部は、前記シャフトの、前記第2の先端部側の径をその中央付近の径よりも小さくなるようにして形成された段差部であり、前記第4の当接部は、前記第2の固定磁極の、前記貫通孔の前記可動磁極側の径を他の部分の径よりも小さくなるようにして形成された段差部であるようにしている。
【0023】
以上のものによれば、シャフト、第1の固定磁極及び第2の固定磁極に対して他の部材を追加することなく、これらに対する付加的な加工だけで第1の当接部、第2の当接部、第3の当接部及び第4の当接部を形成することができるので、復帰機構を単純で、かつ、コンパクトに構成することができる。さらに、シャフトが第2段階の停止位置に停止している状態は、二つの弾性体の弾発力の釣合いに関係なく、二つのスペーサと二つの固定磁極が互いに押し合うことによって実現されているので、シャフトを安定的に停止させることができる。
【0024】
請求項6のものは、請求項4に記載の電磁ソレノイドにおいて、第1の弾性体、第2の弾性体、第1のスペーサ及び第2のスペーサは、前記ケース、前記第1の固定磁極及び前記第2の固定磁極によって構成される閉空間の外部に設けられ、前記第1の当接部は、前記シャフトの、前記第1の先端部側の径をその中央付近の径よりも小さくなるようにして形成された段差部であり、前記第2の当接部は、前記第1の固定磁極の、前記貫通孔の外側の開口部の周囲に形成された平坦面であり、前記第3の当接部は、前記シャフトの、前記第2の先端部側の径をその中央付近の径よりも小さくなるようにして形成された段差部であり、前記第4の当接部は、前記第2の固定磁極の、前記貫通孔の外側の開口部の周囲に形成された平坦面であるようにしている。
【0025】
以上のものによれば、シャフト、第1の固定磁極及び第2の固定磁極に対して他の部材を追加することなく、シャフト、第1の固定磁極及び第2の固定磁極の付加的な加工だけで第1の当接部、第2の当接部、第3の当接部及び第4の当接部を形成することができるので、復帰機構を単純で、かつ、コンパクトに構成することができる。
【0026】
請求項7に記載のものは、請求項3から請求項6のいずれかに記載の電磁ソレノイドにおいて、前記第1の弾性体と前記第2の弾性体は、それぞれの弾発力に係る特性が異なるようにしている。
【0027】
この請求項において、弾発力に係る特性が異なるとは、バネ定数や空気圧、周囲からの与圧によって発生する弾発力、すなわち可動磁極を異ならせることを意味する。具体的には、弾性体としてコイルスプリングを用いる場合には、コイルスプリングのコイル長を異ならせることによって与圧を変更したり、材質を変更することによってバネ定数を異ならせることを意味する。したがって、これらが異なっていると、第1段階の停止位置または第3段階の停止位置から第2段階の停止位置に復帰する際の状況を異ならせることができる。例えば、第1段階の停止位置から第2段階の停止位置への復帰スピードを第3段階の停止位置から第2段階の停止位置への復帰スピードよりも遅くする、といったことが可能になる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態及び図面に基づいて、更に詳しく説明する。ここで使用する図面は、図1乃至図10である。図1から図5は第一の実施形態の構造を示す斜視図又は断面図であり、図6及び図7は原理説明のための図である。図8乃至図10は他の実施形態を示す断面図である。
【0029】
第一の実施形態に係る電磁ソレノイドは、円筒状のケース6と、前記ケース6の軸方向へ直列に内蔵した二つのコイル1a,1bと、その二つのコイル1a,1bの間に位置させた共通磁極5と、前記ケース6に固定されるベース(固定磁極)4a,4bと、前記ケース6の筒内部及びベース4a,4bの中央を貫通し、軸方向を進退する断面円形の長軸状シャフト3と、そのシャフト3の軸方向中央に固定され、コイル1a,1bによって発生する磁界によってシャフト3と共に所定の可動域を進退するプランジャ(可動磁極)2と、その可動磁極2を非通電時に、第2ポジション、すなわち図1に示すシャフト3の位置へ復帰させるための復帰機構とを備える。
【0030】
ベース4a,4bは、ケース6の内径寸法を外径とするフランジ部と、シャフト3を内装するための筒部を中央に備えており、筒部は反フランジ部側に連続して先細りした形状(いわゆる「コニカル型」)をなしている。ただし、本ソレノイドの用途に応じては、いわゆるフラット型を採用してもよい。
【0031】
前述した「復帰機構」とは、相対向する方向から押圧し合うことによって非通電時に可動磁極2を第2ポジションに停止するように縮装される二つの復帰スプリング8a,8bと、その縮装された復帰スプリング8a,8bの縮み状態を確保すると共にベース4a,4bへ固定されてシャフト3を支持する軸受け7a,7bと備える。図5に示すように、シャフト3とベース4a,4bとの間にはスプリング格納部43を備え、復帰スプリング8a,8bはそのスプリング格納部42へ格納される。シャフト3には、その中央部よりも細くなるような段差部31a,31bを設ける。換言すれば、段差部31a,31bは、シャフト3が固定磁極に設けた軸受けによって支持される部分と、中央付近の可動磁極を固定する部分において、中央側が太くなるようにその径を異ならせることによるその外形差によってできる段差である。
【0032】
また、復帰スプリング8a,8bのそれぞれにおける可動磁極2側には、スペーサ9a,9bを備える。このスペーサ9a,9bは、シャフト3における細くなった部位の外径よりも大きく段差部31a,31bの外径よりも小さな内径をなすリング状であり、スプリング格納部42において摺動可能であるように組み込まれる。そして、縮装される復帰スプリング8a,8bの端部に当接する。可動磁極2が第2ポジション(非通電時)に存在するときには、復帰スプリング8a,8bに与えられた縮装による与圧力で、シャフト3の段差部31とベース4a,4bのスプリング格納部42の端部面41とが当接するように押圧している。復帰スプリング8a,8bの端部は、スペーサ9a,9bにも軸受け7a,7bにも固定しておらず、自由端としている。
【0033】
所定位置(非通電時)においては、シャフト3の各端部にある段差部31と、ベース4a,4bにおけるスプリング格納部42の端部面とは、二つの復帰スプリング8a,8bの与圧力によって、スペーサ9a,9bを介して両側から押しつけられることによって同一面となるように位置決めされる。復帰スプリング8a,8bに与えられた縮装による与圧力によって直接釣り合っているのではないため、復帰スプリング8a,8bの与圧力が異なっていても、停止すべき位置が変化することはない。
【0034】
また、前述した「共通磁極5」は、いずれのコイルで発生した磁束も共通して経由する部品である。二つの復帰スプリング8a,8bは、シャフト3の外周とベース4a,4bの内周面との間に位置させ、シャフト3の外周に設置する。なお、二つの復帰スプリング8a,8bは、一般的にはコイルスプリングである。双方とも「縮装」されることによって可動磁極2を両側から押している。その結果、非通電時には、通電時に抗した一のコイルスプリングの反発力によって可動磁極2を第2ポジションへ復帰させる。
【0035】
そして、一方のコイル1に通電すると、通電された側のベース4と、可動磁極2との間に吸着力が発生して可動磁極2とこれに固定されたシャフト3は可動磁極2側に移動する。このとき、シャフト3の段差によってスペーサ9を介して復帰スプリング8を圧縮する。
【0036】
同時に、他の復帰スプリング8は、シャフト3の段差が復帰スプリング8から遠ざかる方向に移動することになる。このとき、当該スプリング8の与圧力は、スペーサ9を介してベースの段差によって受け止められ、シャフト3には影響を与えない。すなわち、通電時には通電された側の復帰スプリング8のみが圧縮され、通電されない側の復帰スプリング8は変化しない。このため、可動磁極2は通電時には必ず一方からのみ反発力を受ける。
【0037】
図2はいずれのコイルにも通電されていない状態を、図3にはコイル1aに通電された状態を、図4にはコイル1bに通電された状態を、それぞれ示している。ここで、図2に示す可動磁極の位置を第2ポジション、図3に示す可動磁極の位置を第1ポジション、図4に示す可動磁極の位置を第3ポジションとする。すなわち、これらのポジションを一直線状に並べると、第1ポジション、第2ポジション、第3ポジションの順に並ぶ。
【0038】
図3に示される状態は、コイル1aに通電され、発生した磁界によって復帰スプリング8aの反発力に抗して、可動磁極2及びシャフト3が移動する。移動後に停止する位置は第1ポジションであり、ベース4aと可動磁極2とが当接する位置である。この後、通電状態が解除された際には、復帰スプリング8aの反発力がスペーサ9aを介して可動磁極2を押し戻す。第2ポジションを超過して移動しようとしたときには、復帰スプリング8bが第2ポジションの方向へ押し戻すこととなり、最終的には第2ポジションに落ち着く。
【0039】
図4に示される状態は、コイル1bに通電され、発生した磁界によって復帰スプリング8bの反発力に抗して、可動磁極2及びシャフト3が移動する。移動後に停止する位置は第3ポジションであり、ベース4bと可動磁極2とが当接する位置である。この後、通電状態が解除された際には、復帰スプリング8bの反発力がスペーサ9bを介して可動磁極2を押し戻す。第2ポジションを超過して移動しようとしたときには、復帰スプリング8aが第2ポジションの方向へ押し戻すこととなり、最終的には第2ポジションに落ち着く。
【0040】
以下、主な寸法やスプリングの性状を記載するが、本発明がこれらに限られないことは言うまでもない。
【0041】
ケースは、その軸方向寸法が56mm、外径が31.8mmである。また、各コイルの大きさは、22mm、シャフトの外径は3.97mmである。ストロークは、約10mm(片側5mm)確保できる。非常にコンパクトでありながら、三つのポジションを得ることができる電磁ソレノイドである。
【0042】
スプリングは、外径5.0mm、素線径0.5mm、バネ定数1.0N/mm、縮装の際に予め与える与圧力は2.5N/mmとしている。
【0043】
図6[A]は、バネ(復帰スプリング)とソレノイドの推力との関係を、力とストロークとの関係において図示したものである。バネの復帰力とソレノイドの推力とが一致する点が静止位置となる。図6[B]は、両側からバネα、βという対抗する二つのバネを配置した場合を示している。バネα、βによって復帰する点は、両バネがバランスした位置となる。
【0044】
電磁ソレノイドに対して三つのポジションを得るために、二つのバネα、βを両側に位置させ、その二つのバネα、βの復帰力の釣り合う位置を復帰位置としたとする。すると、一方のバネがヘタってしまったら、復帰位置が異なってしまうこととなる。
【0045】
図7[A]は、本願発明の原理を示す。非通電時の静止位置は、二つのバネ(復帰スプリング)α、βを直接対抗させてバランスさせるのではなく、シャフト3における段差部31,31やスペーサ9a,9bによってバネの反発力の有効範囲を限定し、その有効範囲の端部を静止位置として共通させることとしている。このため、静止位置は機械加工精度によって決定されるため、図7[B]に示すように、一方のバネαがヘタってしまっても、所定の位置に復帰することができる。
【0046】
さらに、本発明の産業上の利用可能性について述べる。二つの流路を備える流体における流れを、いずれか一方の流路又は遮断という三つのポジション制御するバルブは、色々な場所で使われている。現在、このバルブの制御は、例えば、二つのソレノイドで挟むようにして配置されたバルブ構造体を用いている。図示は省略するが、何れか一方のソレノイドへ通電すると共に他方を断電することによって流体の流路選択を行い、両方のソレノイドへの通電を停止することによっていずれの流路をも遮断するのである。しかし、上記した実施形態に係る電磁ソレノイドの機構を採用すれば、一つのソレノイドを片側に配置するだけで流路の選択及び遮断が行えることとなり、流体制御システムをコンパクトにしたり、設計自由度を高めたりすることに多大な貢献をする。
【0047】
次に、第二の実施形態について述べる。図8に示す第二の実施形態は、第一の実施形態よりも寸法比として長いシャフト103aを採用し、そのシャフト103aにおける可動磁極102の一方側に段差を設ける。そして、二つの復帰スプリング108a,108bは、前記段差のないシャフト103bの端部外側及びシャフト103aの段差よりも軸方向外側に、スペーサ109a,109bを介して位置させる。二つの復帰スプリング108a,108bは、スプリングケース111a,111bに収納する。シャフト103aに対応するスプリングケース111aには、シャフト103aを貫通させる貫通孔を備えている。
【0048】
可動磁極102が無通電時における第一ポジションにあるときに、一方のシャフト103bはその外面端部がベース104bの外面端部と同一面となるようにする。そして、スプリングケース111bに格納された復帰スプリング108bの反発力は、スペーサ109bを介してシャフト103bとベース104bの外面端部に作用させる。
【0049】
一方、シャフト103aは、可動磁極102がコイル101a,101bの無通電時における第一ポジションにあるときにおけるベース104aの外面端部と同一位置に、外径差に基づく段差を設けている。
【0050】
スプリングケース111aに格納された復帰スプリング108aの反発力は、スペーサ109aを介してシャフト103aの段差部とベース104aの外面端部に作用させる。
【0051】
なお、この実施形態の変形例として、両側に段差シャフトを用いても、段差なしのシャフトを用いても同様に機能する。
【0052】
以上のような構成による電磁ソレノイドでは、電磁ソレノイドの軸方向へ復帰スプリング108a,108bを備えることとしたので、電磁ソレノイドの外径方向寸法を抑えたり、復帰スプリング108a,108bの反発力の選択における自由度を高めたりすることができる。
【0053】
さらに、第三の実施形態について述べる。図9に示す第三の実施形態は、第一の実施形態とは復帰スプリングの収納位置を異ならせている。すなわち、二つの復帰スプリング208a,208bは、ベース204a,204bの外周とコイル201a,201bの内側との間に位置させて格納したコイルスプリングとしている。
【0054】
可動磁極202は、先端外周部を平坦としている。また、可動磁極202の外側には、パイプ状のストッパ210a,210bを、共通磁極205に固定すると共に、反対側の端面は、可動磁極202が両コイル201a,201bの無通電時である第一ポジションにあるときに可動磁極202に設けた平坦部と同一面となるようにしている。ストッパの内径は可動磁極の移動に影響を及ぼさないような寸法とする。
【0055】
可動磁極202と208a,208bとの間には、スペーサ209a,209bを備えている。このスペーサ209a,209bは、その内側端面が可動磁極202の平坦部と当接し、外側端面がストッパ210a,210bに当接する寸法とし、スペーサ209a,209自身及び可動磁極202の移動に影響を及ぼさないような寸法とする。
【0056】
復帰スプリング208a,208bからの反発力は、スペーサ209a,209bを介して、可動磁極202の平坦部とストッパ210a,210bの端部に作用させている。
【0057】
この第三の実施形態に係る電磁ソレノイドは、第一の実施形態に係る電磁ソレノイドと比較して、復帰スプリングの外径を大きく取れるので、反発力の選択における自由度を高めたりすることができる。
【0058】
図10に示す実施形態は、図9に示した実施形態の変形例である。図9に示した実施形態では、可動磁極202の外縁部を平坦としてこの部分にスペーサ209a,209bを介して復帰スプリング208a,208bの反発力を作用させているが、図10に示す実施形態では、可動磁極302の外周において軸方向の中央部分よりも両側を細くする段差を備え、可動磁極302が両コイル301a,301bの無通電時である第一ポジションにあるときに、段差部と同一面となる位置にストッパ310a,310bを配している。ストッパ310a,310bは可動磁極の移動に影響を及ぼさないようなような寸法とし、中央寄り端面は共通磁極に当接している。
【0059】
二つの復帰スプリング308a,308bは、前記段差における小径部分の外周及びベース304a,304bの外周と両コイル301a,301bの内側との間に位置させたコイルスプリングとし、その反発力はスペーサ309a,309bに作用する。
【0060】
スペーサ309a,309bは内周部付近が可動磁極302の段差と、外周部付近がストッパ310a,310bにそれぞれ当接し、復帰スプリング308a,308bからの反発力を伝達する。
【0061】
なお、この例では、ストッパ310a,310bは他の部材へ固定されておらず、自由に移動可能としているが、共通磁極305に固定してもいいし、スペーサ309a,309bに固定されていてもよい。また、ストッパ310a,310bを廃止してスペーサ309a,309bを変形し、内周部付近が可動磁極302の段差に当たると共に外周部付近が共通磁極305に当たるようにしてもよい。
【0062】
図9に示す実施形態と同じように、復帰スプリング308a,308bについて比較的大径のものを採用することができることで反発力の選択における自由度を高めると共に、軸方向寸法を抑えた電磁ソレノイドを設計することができる。
【0063】
なお、以上の各実施形態においては、復帰スプリングとして、電磁ソレノイドに幅広く利用されているコイルスプリングを用いるものとして説明したが、プランジャ(可動磁極)を第二ポジションに復帰させる機構として他の手段を用いても良い。例えば、用途に応じてエアースプリングやゴムなどを用いることも可能である。また、復帰スプリングに関連して設けられるスペーサをシャフトで支持(保持)する手段は、段差に限られるものではない。例えば、シャフトの周面に切欠き、溝、凹部、または凸部を形成する、あるいは他の部材をシャフトに固着し、これらのものをスペーサやストッパを支持(保持)する手段としても良い。要するに、スペーサを一定位置から先に移動しないように支持(保持)することができればどのような手段でも良く、その電磁ソレノイドに対して求められる設計上の要求に応じて適宜選択すれば良い。また、シャフトにこのような手段を設けるのでなく、プランジャ(可動磁極)や、ベース(固定磁極)、共通磁極に設けることも可能である。さらに、ストッパを支持(保持)することについても、スペーサと同様に、多様な手段を採用することが可能である。
【0064】
【発明の効果】
請求項1から請求項3記載の発明によれば、3段階の停止位置を得ることができるコンパクトな電磁ソレノイドの構造に関する技術を提供することができた。また、請求項4記載の発明によれば、中間のポジションへ復帰する特性を異ならせることができる電磁ソレノイドの構造に関する技術を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態を示す断面図であり、可動鉄心が第二ポジションのときを示す。
【図3】本発明の第一の実施形態を示す断面図であり、可動鉄心が第一ポジションのときを示す。
【図4】本発明の第一の実施形態を示す断面図であり、可動鉄心が第三ポジションのときを示す。
【図5】本発明の第一の実施形態における主要部の拡大断面図であり、可動鉄心が第二ポジションのときを示す。
【図6】本実施形態の原理を説明するための図である。
【図7】本実施形態の原理を説明するための図である。
【図8】本発明の第二の実施形態を示す断面図である。
【図9】本発明の第三の実施形態を示す断面図である。
【図10】本発明の第四の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1,201,301 コイル
2,202,302 プランジャ(可動磁極)
3,203,303 シャフト
31 段差部
4,204,304 ベース(固定磁極)
41 端部面
42 スプリング格納部
5,205,305 共通磁極
6,206,306 ケース
7、207,307 軸受け
8,208,308 復帰スプリング
9,209,309 スペーサ
111 スプリングケース
210,310 ストッパ
Claims (7)
- 往復動するシャフトを3段階の停止位置で停止させることが可能な電磁ソレノイドであって、
ケースと、
そのケースに固定されるとともに、前記シャフトの軸方向に間隙をおいて並べられた第1の固定磁極及び第2の固定磁極と、
それらの固定磁極の間に、かつ、前記シャフトの軸方向に間隙をおいて並べられた第1のコイル及び第2のコイルと、
それらのコイルの間に位置させた共通磁極と、
前記シャフトが固定されるとともに、前記第1の固定磁極と前記第2の固定磁極の間に、前記シャフトの軸方向に往復動可能な状態で位置させた可動磁極と、
前記第1のコイル及び前記第2のコイルのいずれにも通電していないときには、前記シャフトを前記3段階の停止位置のうち中間的な第2段階の停止位置へ復帰させるべく前記可動磁極を押圧して、前記シャフトがその第2段階の停止位置に達するまで前記可動磁極を移動させるようになされた復帰機構を備え、
前記第1のコイルに通電したときには、前記第1の固定磁極、前記ケース及び前記共通磁極に磁気回路が生成されて、前記可動磁極が前記第1の固定磁極に吸着されることによって、前記シャフトが、前記復帰機構からの押圧力に逆らって、その第1の先端部が前進するように移動して第1段階の停止位置まで至り、
前記第2のコイルに通電したときには、前記第2の固定磁極、前記ケース及び前記共通磁極に磁気回路が生成されて、前記可動磁極が前記第2の固定磁極に吸着されることによって、前記シャフトが、前記復帰機構からの押圧力に逆らって、その第2の先端部が前進するように移動して第3段階の停止位置まで至るようになされたことを特徴とする電磁ソレノイド。 - 請求項1に記載の電磁ソレノイドにおいて、
前記ケースは、筒状に形成され、
前記第1の固定磁極及び前記第2の固定磁極は、前記ケースの二つの開口部をそれぞれ塞ぐように形成され、
前記シャフトは、前記可動磁極に形成された貫通孔に挿通状態で前記可動磁極に固定されると共に、前記第1の先端部側が前記第1の固定磁極に形成された貫通孔に挿通され、前記第2の先端部側が前記第2の固定磁極に形成された貫通孔に挿通され、
前記共通磁極、前記第1のコイル及び前記第2のコイルは、前記可動磁極を取り巻くように環状に形成されていることを特徴とする電磁ソレノイド。 - 請求項1に記載の電磁ソレノイドにおいて、
前記復帰機構は、前記シャフトが前記第1段階の停止位置から前記第2段階の停止位置までの範囲にあるときには、その弾発力によって前記可動磁極を第1のスペーサを介して前記シャフトの第2の先端部側に向けて押圧し、前記シャフトが前記第2段階の停止位置を越えて前記第3段階の停止位置側にあるときには、前記可動磁極を押圧しない第1の弾性体と、
前記シャフトが前記第3段階の停止位置から前記第2段階の停止位置までの範囲にあるときには、その弾発力によって前記可動磁極を第2のスペーサを介して前記シャフトの第1の先端部側に向けて押圧し、前記シャフトが前記第2段階の停止位置を越えて前記第1段階の停止位置側にあるときには、前記可動磁極を押圧しない第2の弾性体を備えていることを特徴とする電磁ソレノイド。 - 請求項3に記載の電磁ソレノイドにおいて、
前記第1のスペーサは、前記第1の弾性体からの押圧力によって、前記シャフトが前記第1段階の停止位置から前記第2段階の停止位置までの範囲にあるときには前記シャフトに設けられた第1の当接部に押しつけられ、前記シャフトが前記第2段階の停止位置を越えて前記第3段階の停止位置側にあるときには前記第1の固定磁極に設けられた第2の当接部に押しつけられると同時に前記第1の当接部からは離隔するようになされ、
前記第2のスペーサは、前記第2の弾性体からの押圧力によって、前記シャフトが前記第3段階の停止位置から前記第2段階の停止位置までの範囲にあるときには前記シャフトに設けられた第3の当接部に押しつけられ、前記シャフトが前記第2段階の停止位置を越えて前記第1段階の停止位置側にあるときには前記第2の固定磁極に設けられた第4の当接部に押しつけられると同時に前記第2の当接部からは離隔するようになされていることを特徴とする電磁ソレノイド。 - 請求項4に記載の電磁ソレノイドにおいて、
前記第1の当接部は、前記シャフトの、前記第1の先端部側の径をその中央付近の径よりも小さくなるようにして形成された段差部であり、
前記第2の当接部は、前記第1の固定磁極の、前記貫通孔の前記可動磁極側の径を他の部分の径よりも小さくなるようにして形成された段差部であり、
前記第3の当接部は、前記シャフトの、前記第2の先端部側の径をその中央付近の径よりも小さくなるようにして形成された段差部であり、
前記第4の当接部は、前記第2の固定磁極の、前記貫通孔の前記可動磁極側の径を他の部分の径よりも小さくなるようにして形成された段差部であることを特徴とする電磁ソレノイド。 - 請求項4に記載の電磁ソレノイドにおいて、
第1の弾性体、第2の弾性体、第1のスペーサ及び第2のスペーサは、前記ケース、前記第1の固定磁極及び前記第2の固定磁極によって構成される閉空間の外部に設けられ、
前記第1の当接部は、前記シャフトの、前記第1の先端部側の径をその中央付近の径よりも小さくなるようにして形成された段差部であり、
前記第2の当接部は、前記第1の固定磁極の、前記貫通孔の外側の開口部の周囲に形成された平坦面であり、
前記第3の当接部は、前記シャフトの、前記第2の先端部側の径をその中央付近の径よりも小さくなるようにして形成された段差部であり、
前記第4の当接部は、前記第2の固定磁極の、前記貫通孔の外側の開口部の周囲に形成された平坦面であることを特徴とする電磁ソレノイド。 - 前記第1の弾性体と前記第2の弾性体は、それぞれの弾発力に係る特性が異なることを特徴とする請求項3から請求項6のいずれかに記載の電磁ソレノイド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003039179A JP2004253418A (ja) | 2003-02-18 | 2003-02-18 | 電磁ソレノイド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003039179A JP2004253418A (ja) | 2003-02-18 | 2003-02-18 | 電磁ソレノイド |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004253418A true JP2004253418A (ja) | 2004-09-09 |
Family
ID=33023421
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003039179A Pending JP2004253418A (ja) | 2003-02-18 | 2003-02-18 | 電磁ソレノイド |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004253418A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007103887A (ja) * | 2005-09-30 | 2007-04-19 | Toshiaki Miyasaka | プランジャー型ソレノイド |
JP2012511823A (ja) * | 2008-12-13 | 2012-05-24 | カムコン・オイル・リミテッド | 多安定電磁式アクチュエータ |
JP2013040672A (ja) * | 2011-08-19 | 2013-02-28 | Okimoto Tamada | ベアリングギア変速機 |
JP2016534689A (ja) * | 2013-10-21 | 2016-11-04 | シュネーデル、エレクトリック、インダストリーズ、エスアーエスSchneider Electric Industries Sas | 電磁アクチュエータおよび該アクチュエータを製造するための方法 |
-
2003
- 2003-02-18 JP JP2003039179A patent/JP2004253418A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007103887A (ja) * | 2005-09-30 | 2007-04-19 | Toshiaki Miyasaka | プランジャー型ソレノイド |
JP2012511823A (ja) * | 2008-12-13 | 2012-05-24 | カムコン・オイル・リミテッド | 多安定電磁式アクチュエータ |
US8710945B2 (en) | 2008-12-13 | 2014-04-29 | Camcon Oil Limited | Multistable electromagnetic actuators |
JP2013040672A (ja) * | 2011-08-19 | 2013-02-28 | Okimoto Tamada | ベアリングギア変速機 |
JP2016534689A (ja) * | 2013-10-21 | 2016-11-04 | シュネーデル、エレクトリック、インダストリーズ、エスアーエスSchneider Electric Industries Sas | 電磁アクチュエータおよび該アクチュエータを製造するための方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6667677B2 (en) | Magnet movable electromagnetic actuator | |
US7455075B2 (en) | Servo valve with miniature embedded force motor with stiffened armature | |
JP2001146941A (ja) | 電磁操作式アクチュエータの動的応答を変化させるための装置及び方法 | |
JP2018186230A (ja) | 電磁アクチュエータ | |
JP2004253418A (ja) | 電磁ソレノイド | |
JP2001349459A (ja) | 電磁弁 | |
JP7255145B2 (ja) | 電磁ソレノイド | |
JP2009079605A (ja) | 電磁弁装置 | |
WO2018110000A1 (ja) | 電磁アクチュエータおよび油圧調整機構 | |
JP2001343086A (ja) | 電磁弁装置 | |
JP2003207067A (ja) | 電磁弁装置 | |
JP4013440B2 (ja) | 電磁駆動装置及びそれを用いた電磁弁 | |
JP2006158135A (ja) | リニアアクチュエータ、それを用いたバルブ装置 | |
JP4258982B2 (ja) | 変速操作装置 | |
JP3818910B2 (ja) | 磁石可動型電磁アクチュエータ | |
WO2001042699A1 (fr) | Electrovalve | |
JP2006183754A (ja) | 電磁弁 | |
JP2020088043A (ja) | 電磁ソレノイド | |
JP6333496B1 (ja) | 電磁アクチュエータおよび油圧調整機構 | |
JP4065158B2 (ja) | ソレノイド | |
JP2001006929A (ja) | 被駆動体の直線駆動装置 | |
JP2001280531A (ja) | 電磁弁装置 | |
JPH02212685A (ja) | 2位置電磁弁 | |
JPH01198005A (ja) | 電磁石 | |
JP2001289018A (ja) | 弁の電磁駆動装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051219 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20081002 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081021 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090414 |