JP2004253353A - 電気化学素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】構造が簡略であり、信頼性が高く、高い電気容量を有する二次電池を効率的に製造する。
【解決手段】長尺状の第1電極群および第2電極群を、セパレータを介して積層しながら連続的に積層体として供給する工程と、前記積層体を平板状のボビン25で巻き取る工程と、前記ボビンに巻き取られた積層体をY1,Y2で切断し、複数個の積層型極板群を得る工程とを含む電気化学素子の製造方法。
【選択図】 図7
【解決手段】長尺状の第1電極群および第2電極群を、セパレータを介して積層しながら連続的に積層体として供給する工程と、前記積層体を平板状のボビン25で巻き取る工程と、前記ボビンに巻き取られた積層体をY1,Y2で切断し、複数個の積層型極板群を得る工程とを含む電気化学素子の製造方法。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気化学素子に関し、特にリチウムイオン二次電池などの高エネルギー密度を有する二次電池の極板群の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子・電気機器の小型化・軽量化に伴い、二次電池に対する小型化・軽量化への要望が強まってきている。一方、現行の二次電池は、内部構造が複雑であり、一定容積あたりの製品が有する電気容量を向上させるには限界がある。また、複雑な構造が、電池の信頼性の向上を妨げている面もある。例えば、電極に接続された集電タブまたは集電リードが、電極面における均一な電極反応を妨げる場合がある。また、万一、リードの切断面に通常よりも大きな金属バリが生じた場合には、内部短絡の発生が懸念される。
【0003】
二次電池は、正極、負極およびセパレータからなる極板群を有し、極板群には、積層型と捲回型がある。積層型の極板群は、正極と負極とをセパレータを介して交互に積層して得られる。また、捲回型の極板群は、長尺の正極と負極とをセパレータを介して捲回して得られる。これらの極板群は、通常、正極と負極の端部が面一に配列した側面を有する。このような側面から短絡を起こさずに電気を取り出すには、集電タブや集電リードが必要となる。
【0004】
そこで、電池の内部構造を簡略化する観点から、極板群の側面の1つから正極を突出させ、前記側面とは逆側の側面から負極を突出させ、集電タブや集電リードを介さずに、各側面から直接電気を取り出すことが提案されている。例えば、積層型の極板群を有する電池では、突出させた同一極性の極板を、所定の金属部材を用いて一体接合する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、捲回型の極板群を有する電池では、突出させた同一極性の極板の芯材と板状の集電板とを接合する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−126707号公報
【特許文献2】
特開2000−294222号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、極板群の側面の1つから正極を突出させ、前記側面とは逆側の側面から負極を突出させる場合、1つずつ極板群を作製しなければならず、極板群の製造工程が複雑になる。すなわち、複数の極板群を同時に作製することができないという問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記状況を鑑みてなされたものである。本発明によれば、構造が簡略であり、信頼性が高く、高い電気容量を有する電気化学素子を、同時に複数個を効率的に製造することができる。
【0008】
本発明は、長尺状の第1電極群および第2電極群を、セパレータを介して積層しながら連続的に積層体として供給する工程と、前記積層体を平板状のボビンで巻き取る工程と、前記ボビンに巻き取られた積層体を切断し、複数個の積層型極板群を得る工程とを含む電気化学素子の製造方法に関する。
【0009】
前記製造方法においては、前工程として、シート状の絶縁性基材の両面に所定のパターンに基づいて導電層を設けて第1集電体および第2集電体を得る工程と、前記導電層の上に、それぞれ前記パターンに対応させるとともに間隙を設けて第1電極合剤層および第2電極合剤層を形成する工程とにより、前記第1電極および第2電極を得ることが好ましい。
【0010】
前記所定のパターンは、マトリクス状であるのが好ましい。
また、前記所定のパターンは、平行に並ぶ帯状であるのも好ましい。
また、前記製造方法は、前記間隙において前記導電層上に、前記第1電極合剤層および前記第2電極合剤層を挟む位置に、絶縁材料部を形成する工程を含むのが好ましい。
【0011】
また、前記製造方法は、前記積層型極板群の対向する第1側面および第2側面を金属で被覆し、第1端子および第2端子を形成する工程を含むのが好ましい。
前述のセパレータ、第1電極群および第2電極群を供給する工程においては、それらの長さ方向に連続して供給すればよく、これらを捲回する工程においては、これらを供給しながら平板状のボビンに捲回すればよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、長尺状の第1電極群および第2電極群を、セパレータを介して積層しながら連続的に積層体として供給する工程と、前記積層体を平板状のボビンで巻き取る工程と、前記ボビンに巻き取られた積層体を切断し、複数個の積層型極板群を得る工程とを含む電気化学素子の製造方法に関する。
そして、前工程として、シート状の絶縁性基材の両面に所定のパターンに基づいて導電層を設けて第1集電体および第2集電体を得る工程と、前記導電層の上に、それぞれ前記パターンに対応させるとともに間隙を設けて第1電極合剤層および第2電極合剤層を形成する工程とにより、前記第1電極および第2電極を得ることが好ましい。
本発明に係る電気化学素子の製造方法を、工程順に説明する。
【0013】
工程(A)
まず、工程(A)によって、図1の(a)に示すように、シート状の絶縁性基材である樹脂シート10aの両面に導電層11aを所定のパターンで形成し、シート状の第1集電体1aを得る。また、図2の(a)に示すように、シート状の絶縁性基材である樹脂シート10bの両面に導電層11bを所定のパターンで形成し、第1集電体1bを得る。
【0014】
このとき、所定のパターンは、後述するように、図9に示すように、最終的に得られる積層型極板群1において、第1集電体1aの導電層11aのみが第1側面に露出され、第2集電体1bの導電層11bのみが第2側面に露出するように決定する。
【0015】
さらに具体的に説明する。工程(A)においては、シート状の絶縁性基材である樹脂シート10aおよび10bの両面に導電層11aおよび11bを所定のパターンで設けて第1集電体1aおよび第2集電体1bを得る工程を行う。図1の(a)および図2の(a)に示すように、所望数のシート状の集電体を与え得る大きさ(幅)の絶縁性基材である樹脂シート10aおよび10bの両面の同じ位置に、例えば複数行の帯状の導電層11aおよび11bを形成する。このような導電層は、例えば、樹脂シートに帯状のマスクを被覆し、マスクから露出する樹脂シートに金属を蒸着させることにより得ることができる。
【0016】
なお、上述のように、図1および2における樹脂シート10aおよび10bは、便宜上、一定の長さを有するシート状として表したが、長尺状であるのが好ましい。長尺状であれば、例えばフープ状に巻いた原反などから連続して供給することができるため、連続して金属を蒸着させることができ、生産性を向上させることができる。
【0017】
ここで、少なくとも1つの帯状導電層は2つの帯状のシート状の集電体に跨るように形成する。すなわち、n個の帯状のシート状の集電体を与え得る大きさの樹脂シートを用いる場合、樹脂シートの片面あたり、(n−1)個の帯状の導電層を形成する。図1の(a)および図2の(a)においては、3個のシート状の集電体が含まれることを想定しているため、それぞれ太い導電層と細い導電層の2個の帯状の導電層11aを示している。
【0018】
前記樹脂シートの厚さは、例えば0.5〜500μmであることが好ましい。また、導電層の厚さは、0.01〜100μmであることが好ましい。第1電極合剤層の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜1000μmであることが好ましい。
【0019】
ここで、樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのオレフィン系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリアリレートなどのエステル系ポリマー、ポリフェニレンサルファィドなどのチオエーテル系ポリマー、ポリスチレンなどの芳香族ビニル系ポリマー、ポリイミド、アラミド樹脂などの窒素含有ポリマー、ポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素ポリマーなどを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせたコポリマー、ポリマーアロイ、ポリマーブレンドなどを用いてもよい。
また、平坦な表面を有する通常の樹脂シートを用いてもよく、穿孔体、ラス体、多孔質体、ネット、発泡体、織布、不織布などを用いてもよい。また、表面に凹凸を有する樹脂シートを用いることもできる。
【0020】
導電層には、構成された電池において化学変化を起こさない電子伝導体を特に限定なく用いることができる。なお、第1集電体から得られる電極を正極として用いる場合には、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、炭素などを用いることができる。なかでも、特にアルミニウム、アルミニウム合金などが好ましい。
また、第1集電体から得られる電極を負極として用いる場合には、例えば、ステンレス鋼、ニッケル、銅、銅合金、チタンなどを用いることができる。なかでも、特に銅、銅合金などが好ましい。
【0021】
導電層を形成する方法は、例えば樹脂シートに帯状のマスクを被覆し、マスクから露出する樹脂シートに金属を蒸着させる方法により得ることが好ましい。なお、この場合のマスクとは、帯状に開口部を有するように配置されたテープ状のマスクや蒸着金属の付着を阻害する目的で樹脂シート上に帯状に塗布されたオイルなどである。また、そのほかにも、樹脂シートに帯状にインクを印刷し、金属を蒸着した後インクとインク上の蒸着金属を洗浄・除去して得る方法や、樹脂シートに金属を蒸着した後、レーザーなどの金属除去手段を用いて得る方法などがあるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
所定のパターンは、上述のように、シート状集電体の数、すなわち、最終的に作製する捲回型電極群の数に応じて適宜調整すればよい。
【0022】
工程(B)
次に、図1の(b)および図2の(b)に示すように、工程(B)により、第1集電体1aおよび第2集電体1bの前記導電層の上に、それぞれ複数個の第1電極合剤層12aおよび第2電極合剤層12bを、平行に並ぶ帯状に間隙13aおよび13bを設けて形成し、第1電極群14および第2電極群15を得る。なお、図1の(b)および図2の(b)では、第1集電体1aおよび第2集電体1bにおいて、斜線で前記導電層を示した。この場合も、長尺状の第1集電体1aおよび第2集電体1bを用いることが可能である。
【0023】
ここで、図3に、図1の(b)および図2の(b)に示す第1電極群14および第2電極群15をより詳細に表した図を示す。図3に示すように、上記工程(A)で形成した帯状の各導電層11aおよび11bの上に、例えば帯状の第1電極合剤層12aおよび第2電極合剤層12bをそれぞれ3つずつ形成する。3つの帯状の第1電極合剤層12aおよび第2電極合剤層12bの間には、交互に、合剤を有さない導電層が露出した導電露出部20aおよび20bと、絶縁性基材が露出した絶縁露出部21aおよび21bを残しておく。
【0024】
帯状の第1電極合剤層12aは、第1電極合剤からなるペーストを、導電層の中央部を除く全面に塗工することにより形成すればよい。
塗工方法は特に限定されないが、スクリーン印刷、パターン塗工などを採用することが好ましい。このとき合剤からなるペーストが塗工されなかった導電露出部20aは、最終的に得られる捲回型極板群においては、第1端子との接続部12xとなる(図9参照)。
【0025】
工程(B)においても、第1集電体1aおよび第2集電体1bはあらかじめ切断されていてもよいが、長尺状の第1集電体1aおよび第2集電体1bを用いることが可能である。長尺状であれば、端部から連続して電極合剤層を塗工、形成することができ、生産性を向上させることが可能である。もちろん、フープ状にして供給してもよい。
【0026】
なお、図3には、3列の電極合剤層が描かれているが、通常はより大きな樹脂シートを用い、シート状集電体上に、より多くの導電層と電極合剤層を形成することも可能である。
第1電極合剤は、第1電極群の活物質、導電材、結着剤などを、分散媒と混合することにより調製される。その後、ペーストの塗膜を乾燥し、乾燥後の塗膜をローラで圧延すれば、合剤密度を高めることが可能である。
【0027】
ここで、第1電極群がリチウムイオン二次電池の正極の群として用いられる場合、活物質としては、例えば、リチウム含有遷移金属酸化物を好ましく用いることができる。リチウム含有遷移金属酸化物としては、例えば、LixCoOz、LixNiOz、LixMnOz、LixCoyNi1−yOz、LixCofV1−fOz、LixNi1−yMyOz(M=Ti、V、Mn、Fe)、LixCoaNibMcOz(M=Ti、Mn、Al、Mg、Fe、Zr)、LixMn2O4、LixMn2(1−y)M2yO4(M=Na、Mg、Sc、Y、Fe、Co、Ni、Ti、Zr、Cu、Zn、Al、Pb、Sb)などを挙げることができる。ただし、x値は電池の充放電により、0≦x≦1.2の範囲で変化する。また、0≦y≦1、0.9≦f≦0.98、1.9≦z≦2.3、a+b+c=1、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c<1である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
第1電極群がリチウムイオン二次電池の負極の群として用られる場合、活物質としては、例えば、リチウム、リチウム合金、金属間化合物、炭素材料、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な有機化合物や無機化合物、金属錯体、有機高分子化合物などを好ましく用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
炭素材料としては、コークス、熱分解炭素、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、黒鉛化メソフェーズ小球体、気相成長炭素、ガラス状炭素、炭素繊維(ポリアクリロニトリル系、ピッチ系、セルロース系、気相成長系)、不定形炭素、有機化合物焼成体などが挙げられる。これらのうちでは、特に、天然黒鉛や人造黒鉛が好ましい。
【0030】
また、導電材には、例えば、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、黒鉛などが用いられる。また、結着剤には、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、アクリル系樹脂、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンターポリマーなどを用いることができる。
【0031】
一方、両面に第2電極合剤層を有する第2電極群は、第1電極群と同様の方法で作製することができる。すなわち、所望数のシート状集電体を与え得る大きさの樹脂シート10bの両面の同じ位置に、複数の所定の形状パターンの導電層を設け、各導電層の上に、第2電極合剤層12bを3つずつ形成する。3つの第2電極合剤層12bの間には、図3に示すように、合剤を有さない導電層の導電露出部20bと、絶縁性基材10bが露出した絶縁露出部21bを残しておく。このとき合剤からなるペーストが塗工されなかった導電層の導電露出部20bは、最終的に得られる捲回型極板群の構成後には、第2端子との接続部12yとなる(図9参照)。
【0032】
また、場合によっては、片面だけに第1電極合剤層を有する第1電極群、および片面だけに第2電極合剤層を有する第2電極群を用いることも可能である。すなわち、かかる場合も本発明の技術的範囲に含まれ、他方の面に導電層、第1電極合剤層または第2電極合剤層、および絶縁材料を設けないこと以外、上記と同様の方法で作製することができる。
【0033】
ここで、工程(C)に先だって、捲回型電極群を構成した場合に第2集電体の導電層の導電露出部20aおよび20bと隣接することになる第1電極合剤層12aおよび第2電極合剤層12bの周縁部に沿って、その長さ方向に絶縁材料を塗工して、絶縁材料部18aおよび18bを形成することができる(図9参照)。すなわち、前記間隙において、前記導電層上に絶縁材料部を形成するのが好ましい。なお、図1〜3においては、絶縁材料部を省略している。これにより、最終的に得られる捲回型電極群の底面において、金属層を形成して端子を設けても、第1電極および第1電極が短絡することを防ぐことができる。
【0034】
この絶縁材料部の形成も、パターン塗工を行うことが好ましい。すなわち、所定のパターンにしたがって絶縁材料を塗布するのが好ましい。第1電極合剤層の周縁部のその他の部分にも、絶縁材料部を形成してもよいが、第1集電体の導電層の導電露出部20aおよび20bの全体が覆われないようにすればよい。
【0035】
ここで、絶縁性材料部の位置については、図9に示すように、本発明において得られる積層型極板群1においては、第1電極合剤層12aの周縁部のうち、少なくとも導電層の導電露出部であって接続部である第1端子17aとなる部分の反対側に、絶縁材料部18bを形成すればよい。また、第2電極合剤層12bの周縁部のうち、少なくとも導電層の導電露出部であって接続部である第2端子17bとなる部分の反対側に、絶縁材料部18aを形成すればよい。なお、絶縁材料の塗工は必ずしも必要ではなく、任意に行えばよい。
【0036】
絶縁材料部の厚さは、特に限定されないが、0.001mm以上、さらには0.01mm以上であることが好ましい。
絶縁材料部を形成する方法は、特に限定されないが、例えばスクリーン印刷法により、ペースト状もしくは液状の絶縁材料を所定位置に塗布することにより、形成することができる。また、フィルム状もしくはテープ状の絶縁材料を所定位置に貼り付けたりすることにより、絶縁材料部を形成することもできる。
絶縁材料部に用いる絶縁材料としては、樹脂、ガラス組成物、セラミックスなどが挙げられる。また、織布や不織布に樹脂を含浸させた複合物などを用いることもできる。樹脂には、熱可塑性樹脂を用いてもよく、熱硬化性樹脂を用いてもよい。熱硬化性樹脂を用いる場合には、樹脂の塗膜を加熱して硬化させる工程を要する。
【0037】
絶縁材料部に用いることのできる樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのオレフィン系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネートなどのエステル系ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミドなどのエーテル系ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどのスルホン系ポリマー、ポリアクリロニトリル、AS樹脂、ABS樹脂などのアクリロニトリル系ポリマー、ポリフェニレンサルファィドなどのチオエーテル系ポリマー、ポリスチレンなどの芳香族ビニル系ポリマー、ポリイミド、アラミド樹脂などの窒素含有ポリマー、ポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素ポリマー、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系ポリマーなどを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせたコポリマー、ポリマーアロイ、ポリマーブレンドなどを用いてもよい。また、加熱やUV照射により重合固化して得られるポリマーを用いてもよい。
【0038】
工程(C)
つぎに、図4に示すように、上述のようにして得られた長尺状の第1電極群および第2電極群を、セパレータを介して積層しながら連続的に積層体として供給する。図4は、本発明に係る電気化学素子の製造方法の工程の一部を説明するための図である。
【0039】
セパレータ20、第1電極群21、セパレータ22および第2電極群23を、例えば、それぞれフープ状に巻かれた原反から同時に積層しながら、ローラ24a、24bおよび24cを介して連続的に供給する。
この場合のセパレータ、第1電極群および第2電極群の供給方法については、特に制限はないが、最終的に得ようとする積層型極板群の構造を考慮し、工程(D)において平板状のボビンで巻き取り易い態様で供給するのが好ましい。
【0040】
上記工程(B)において作製された第1電極群21と第2電極群23とを、セパレータ20および22を介して積層する。このとき、第1電極群21の第1電極合剤層12aと第2電極群23の第2電極合剤層12bとが互いに対面するようにこれらを積層する。また、第1電極群21における導電層の導電露出部20aおよび絶縁材料部が、それぞれ第2電極群23における絶縁材料部および導電層の導電露出部20bと対面するように両電極群を配置する。
【0041】
ここで、図4のXで示される部分の拡大図を図5に示す。図5に示すように、平板状のボビン25に供給される積層体は、セパレータ20、第1電極群21、セパレータ22および第2電極群23が積層され、第1電極合剤層と第2電極合剤層が相対する位置関係を保持して供給される。
【0042】
セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマーやガラス繊維などからなる織布や不織布を用いることができる。
また、固体電解質やゲル電解質をセパレータとして用いることもできる。固体電解質には、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなどをマトリックス材料として用いることができる。ゲル電解質としては、例えば、後述の非水電解液をポリマー材料からなるマトリックスに保持させたものを用いることができる。マトリックスを形成するポリマー材料には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマーなどを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、特に、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー、ポリフッ化ビニリデンとポリエチレンオキサイドとの混合物を用いることが好ましい。
【0043】
工程(D)
つぎに、工程(C)によって供給されるセパレータ、第1電極群および第2電極群の積層体を平板状のボビンで巻き取る。
図5に示すように、平板状のボビン25に供給される積層体は、セパレータ20、第1電極群21、セパレータ22および第2電極群23が積層され、第1電極合剤層と第2電極合剤層が相対する位置関係を保持して供給されるが、このとき、ボビン25は、第1電極合剤層および第2電極合剤層の長さ方向(図5の矢印)に沿って前記積層体を巻き取る。
【0044】
また、図6に、ボビン25に巻き取られるセパレータ20、第1電極群21、セパレータ22および第2電極群23の積層体の様子を示す。図6に示すように、セパレータ20、第1電極群21、セパレータ22および第2電極群23が積層された形でボビン25に巻き取られる。この場合、巻き取りの最初の段階、すなわち図6に示すYの部分においては、ボビン25の平板状の部分より外側にまで伸ばしておくのが好ましい。これは、工程(E)で説明するように、ボビン25に巻き取られた積層体のうち両端の折曲部を切断して廃棄するからである。このようにすれば、Yの部分において、第1電極群21と第2電極群23とが短絡するのを防止することができる。
【0045】
工程(E)
ついで、前記ボビンに巻き取られた積層体を切断し、複数個の積層型極板群を得る。図7に示すように、ボビン25に巻き取られた積層体のうち積層部分26aおよび26bは、規則正しい積層構造を有しているため、本発明に係る電気化学素子として有効に用いることができるが、両端の折曲部26cは各構成部分が湾曲したり折れ曲がったりして短絡したりし得るため、切断して廃棄することが好ましい。なお、図7においては、積層構造の詳細は省略して表した。
【0046】
この後に得られる積層体の状態を図8に示す。図8は、両端の折曲部を除去した積層体の積層部分26aおよび26bがボビン25上に配置されている様子を示す図である。図8に示すように、この積層体においては、間隙28が積層方向において同じ位置に並んでいる。そこで、この間隙28において、電極合剤層の長さ方向(P方向)に前記積層体を切断することによって、図9に示す積層型極板群1の前駆体を得ることができる。
【0047】
また、所望する積層型極板群の寸法や容量に応じて、図8に示すQ方向においても、所定の位置で前記積層体を切断してもよい。この切断工程は、積層部分26aおよび26bをボビン25から分離させてから行うこともできるが、ボビン25上で行うことも可能である。
これにより、図9に示すような捲回型極板群1を複数個を得ることができる。
【0048】
ボビン25上の積層体の積層部分26aおよび26bは、複数の積層型極板群を含む集合体である。この集合体を個々の積層型極板群ごとに分割すると、導電層の露出部である間隙に対応するシート状集電体の切断部は、端子との接続部12x、12yとなり、その反対側の樹脂シートの露出部に対応する切断部11x、11yは絶縁部となる。
【0049】
従来から一般的に用いられている金属箔からなる集電体の場合、切断時に生じる金属バリが問題となる。金属バリは、セパレータを突き破り、内部短絡を引き起こす大きな原因となるからである。従って、金属バリの発生を防ぐことが重要となるが、金属バリを生じることなく金属箔を切断することは著しく困難である。一方、樹脂シートからなるシート状集電体を用いる場合、切断面のほとんどが樹脂で占められているため、金属バリを生じることがない。従って、電気化学素子の信頼性を大幅に向上させることができる。
【0050】
工程(F)
ここで、図9に示すように、前記積層型極板群の対向する第1側面および第2側面を金属で被覆し、第1端子17aおよび第2端子17bを形成する工程を行うのが好ましい。
第1集電体の導電層の露出部と第2集電体の絶縁部とが交互に配列する側面を、金属で被覆する。例えば、溶融もしくは半溶融状態の金属微粒子を前記側面に吹き付けることにより、前記側面を金属で被覆することができる。
【0051】
前記側面おいて、少なくとも第2電極の端面には絶縁材料が塗工されて絶縁材料部18bが形成されているため、金属被膜と第2電極との短絡は起こらない。こうして形成された金属被膜は、第1集電体の導電層の露出部とだけ電気的に接続される。
第2集電体の導電層の露出部と第1集電体の絶縁部とが交互に配列する側面についても、上記と同様に金属で被覆する。
【0052】
端子が正極端子となる場合には、上記金属微粒子としてアルミニウム粉末を用いることが好ましい。また、端子が負極端子となる場合には、上記金属微粒子として銅粉末を用いることが好ましい。
第1集電体の導電層と電気的に接続された金属の被膜および第2集電体の導電層と電気的に接続された金属の被膜は、それぞれ第1端子および第2端子として機能する。一方、端子を有さない極板群の側面は、そのままの状態でもよいが、できれば多孔質な絶縁材料で被覆することが好ましい。
このようにして、本発明に係る電気化学素子を得ることができる。
【0053】
図9に示す積層型極板群1は、交互に積層された複数の第1電極群14と複数の第2電極群15で構成され、第1電極群14と第2電極群15との間には、セパレータ16が介在している。
第1電極群15は、シート状の第1集電体1aおよび2つの第1電極合剤層12aで構成され、第1集電体1aは、樹脂シート10aおよびその両面に設けられた所定の形状パターンを有する導電層11aで構成される。すなわち、第1集電体1aは、導電層の形状パターンに応じて導電部と絶縁部とを有する。
【0054】
図9においては、樹脂シートの一端部である絶縁部11xを除く全面もしくは端部である絶縁部11xと図9の紙面裏表に位置する端部を除く全面に導電層が設けられている。導電層の上には、第1電極合剤層が設けられている。図9の第1集電体1aにおいては、導電層を有さない樹脂シートの端部である絶縁部11xが絶縁部として機能する。端部である絶縁部11xの反対側に位置する導電層の端部である接続部12xには、導電層の露出部が残されている。
【0055】
ここで、上記においては、前記所定のパターンが帯状の場合について説明したが、図10に示すように、所望数のシート状集電体を与え得る大きさのシート状の絶縁性基材である樹脂シート31aを準備し、樹脂シート31aの両面の同じ位置に、マトリクス状のパターンを設けてもよい。
例えば、所定形状の導電層を、図10に示すように複数行、複数列に樹脂シート上に形成する。このような導電層は、例えば樹脂シートにマトリクス状のマスクを被覆し、マスクから露出する樹脂シートに金属を蒸着させる方法により得ることができる。
【0056】
なお、この場合のマスクとは、帯状に開口部を有するように配置されたテープ状のマスクや蒸着金属の付着を阻害する目的で樹脂シート上にマトリクス状に塗布されたオイルなどである。また、そのほかにも、樹脂シートにマトリクス状にインクを印刷し、金属を蒸着した後インクとインク上の蒸着金属を洗浄・除去して得る方法や、樹脂シートに金属を蒸着した後、レーザーなどの金属除去手段を用いて得る方法などがあるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
樹脂シート31aには、電極2つ分の大きさの導電層36aを複数個形成する。すなわち2n個の電極を得ようとするときには、樹脂シートに片面あたりn個の導電層を形成する。このようにして第1集電体を得る。
【0057】
そして、図11に示すように、前記導電層の上に、それぞれ複数個の第1電極合剤層および第2電極合剤層を、前記パターンに対応させるとともに間隙を設けて形成し、第1電極群および第2電極群を得る。図11の上側に示すように、各導電層の上に、第1電極合剤層32aを2つずつ形成する。2つの第1電極合剤層の間には、間隙として合剤を有さない導電層の導電露出部33aおよび34aを残しておく。また、第1集電体の絶縁性基材を露出させた絶縁露出部35aも残しておく。
【0058】
第1電極合剤層は、第1電極合剤からなるペーストを、導電層の中央部を除く全面に塗工することにより形成される。塗工方法は特に限定されないが、スクリーン印刷、パターン塗工などを採用することが好ましい。このとき合剤からなるペーストが塗工されなかった導電層の露出部は、極板群の構成後には、第1端子との接続部12x(図9参照)となる。
第2集電体も同様にして作製すればよい。すなわち、図10に示すように、所望数の集電体を与え得る大きさの樹脂シート31bの両面の同じ位置に、複数の所定の形状パターンの導電層を設け、第2集電体を得る。ここでも、同様に、2つの第2電極合剤層の間には、間隙として合剤を有さない導電層の導電露出部33bおよび34bを残しておく。また、第1集電体の絶縁性基材を露出させた絶縁露出部35bも残しておく。
【0059】
上述のようにして得られた積層型極板群は、必要に応じて所定形状のケースに所定の電解液とともに収容される。ケースには、例えば、ステンレス鋼板、アルミニウム板などを所定形状に加工したもの、両面に樹脂被膜を有するアルミニウム箔(アルミニウムラミネートシート)、樹脂ケースなどが用いられる。
電気化学素子が、例えばリチウムイオン二次電池の場合、電解液には、非水溶媒にリチウム塩を溶解させたものが用いられる。電解液におけるリチウム塩濃度は、例えば0.5〜1.5mol/Lとすることが好ましい。
【0060】
非水溶媒には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネートなどの非環状カーボネート、蟻酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの脂肪族カルボン酸エステル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどのγ−ラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタンなどの非環状エーテル、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフランなどの環状エーテル、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチルなどのアルキルリン酸エステルやそれらのフッ化物などを用いることができる。これらは複数種を組み合わせて用いることが好ましい。特に、環状カーボネートと非環状カーボネートを含む混合物、環状カーボネートと非環状カーボネートと脂肪族カルボン酸エステルを含む混合物などが好ましい。
【0061】
リチウム塩には、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCl、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiN(CF3SO2)2、Li2B10Cl10、LiN(C2F5SO2)2、LiPF3(CF3)3、LiPF3(C2F5)3などを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、少なくともLiPF6を用いることが好ましい。
【0062】
上記のような製造法によれば、例えば、縦1〜300mm、幅1〜300mm、厚さ0.01〜20mmの範囲であれば、任意の大きさの極板群を効率よく製造することができる。
上述のようにして得られる本発明に係る電気化学素子は、少なくとも1つの第1電極、(b)少なくとも1つの第2電極、および第1電極と第2電極との間に介在するセパレータからなる極板群を有する電気化学素子であって、前記第1電極は、導電部と絶縁部とを有する第1集電体およびこれに担持された少なくとも1つの第1電極合剤層からなり、前記第2電極(b)は、導電部と絶縁部とを有する第2集電体およびこれに担持された少なくとも1つの第2電極合剤層からなる。
【0063】
前記第1集電体の導電部は前記極板群の第1側面において第1端子と接続され、前記第2集電体の導電部は前記極板群の第2側面において第2端子と接続され、前記第1集電体の絶縁部が前記第2側面に配され、前記第2集電体の絶縁部が前記第1側面に配されていることが好ましい。
【0064】
前記第1側面および前記第2側面以外の前記極板群の側面にも、前記第1集電体の絶縁部および前記第2集電体の絶縁部が配されていてもよい。
すなわち、前記極板群は、前記第1側面および前記第2側面以外に、前記第1集電体の絶縁部および/または前記第2集電体の絶縁部が配されている側面を有することができる。
前記第1側面と前記第2側面とは、互いに前記極板群の反対側に位置することが好ましい。
前記第1端子と前記第1側面との間には、前記第1端子と前記第2電極とを絶縁するための第1絶縁材料部を設けることができる。また、前記第2端子と前記第2側面との間には、前記第2端子と前記第1電極とを絶縁するための第2絶縁材料部を設けることができる。
【0065】
換言すると、本発明に係る電気化学素子は、複数の第1電極と複数の第2電極とをセパレータを介して交互に積層した極板群を有する電気化学素子であって、前記複数の第1電極は、それぞれ導電部と絶縁部とを有する第1集電体およびこれに担持された少なくとも1つの第1電極合剤層からなり、前記複数の第2電極は、それぞれ導電部と絶縁部とを有する第2集電体およびこれに担持された少なくとも1つの第2電極合剤層からなり、前記第1集電体の導電部が前記極板群の第1側面において第1端子と接続され、前記第2集電体の導電部が前記極板群の第2側面において第2端子と接続され、前記第1集電体の絶縁部が前記第2側面に配され、前記第2集電体の絶縁部が前記第1側面に配されている。
【0066】
また、本発明に係る電気化学素子は、複数の第1電極と複数の第2電極とをセパレータを介して交互に積層した極板群を有する電気化学素子であって、前記複数の第1電極は、それぞれ導電部と絶縁部とを有する第1集電体およびこれに担持された少なくとも1つの第1電極合剤層からなり、前記複数の第2電極は、それぞれ導電部と絶縁部とを有する第2集電体およびこれに担持された少なくとも1つの第2電極合剤層からなり、前記第1集電体の導電部が前記極板群の第1側面において第1端子と接続され、前記第2集電体の導電部が前記極板群の第2側面において第2端子と接続され、前記第1集電体の絶縁部が前記第2側面に配され、前記第2集電体の絶縁部が前記第1側面に配され、前記第1端子と前記第1側面との間に、前記第1端子と前記第2電極とを絶縁するための第1絶縁材料部が設けられており、前記第2端子と前記第2側面との間に、前記第2端子と前記第1電極とを絶縁するための第2絶縁材料部が設けられている。
【0067】
本発明に係る電気化学素子は、また、複数の第1電極と複数の第2電極とをセパレータを介して交互に積層した極板群を有する電気化学素子であって、前記複数の第1電極は、それぞれ導電部と絶縁部とを有する第1集電体およびこれに担持された少なくとも1つの第1電極合剤層からなり、前記複数の第2電極は、それぞれ導電部と絶縁部とを有する第2集電体およびこれに担持された少なくとも1つの第2電極合剤層からなり、前記第1集電体の導電部が前記極板群の第1側面において第1端子と接続され、前記第2集電体の導電部が前記極板群の第2側面において第2端子と接続され、前記第1集電体の絶縁部が前記極板群の前記第1側面以外の全側面に配され、前記第2集電体の絶縁部が前記極板群の前記第2側面以外の全側面に配されている。
【0068】
さらに、また、本発明に係る電気化学素子は、複数の第1電極と複数の第2電極とをセパレータを介して交互に積層した極板群を有する電気化学素子であって、前記複数の第1電極は、それぞれ導電部と絶縁部とを有する第1集電体およびこれに担持された少なくとも1つの第1電極合剤層からなり、前記複数の第2電極は、それぞれ導電部と絶縁部とを有する第2集電体およびこれに担持された少なくとも1つの第2電極合剤層からなり、前記第1集電体の導電部が前記極板群の第1側面において第1端子と接続され、前記第2集電体の導電部が前記極板群の第2側面において第2端子と接続され、前記第1集電体の絶縁部が前記極板群の前記第1側面以外の全側面に配され、前記第2集電体の絶縁部が前記極板群の前記第2側面以外の全側面に配され、前記第1端子と前記第1側面との間に、前記第1端子と前記第2電極とを絶縁するための第1絶縁材料部が設けられており、前記第2端子と前記第2側面との間に、前記第2端子と前記第1電極とを絶縁するための第2絶縁材料部が設けられている。
以下に、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0069】
【実施例】
《実施例》
本実施例では、以下の要領で積層型のリチウムイオン二次電池を作製した。
工程(A)
まず、シート状の絶縁性基材の両面に所定のパターンに基づいて導電層を設けて第1集電体および第2集電体を得た。
横198mm、縦282mm、厚さ7μmのポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)のシートを準備した。次いで、マトリックス状の開口部を有するマスクを用いて、PETシートの両面の同じ位置に、3行6列に配列する複数の矩形(65mm×46mm)の銅の蒸着膜を形成し、第1集電体を得た。銅の蒸着膜の厚さは、0.1μmとした。
つぎに、横198mm、縦282mm、厚さ7μmのPETシートを準備した。次いで、マトリックス状の開口部を有するマスクを用いて、PETシートの両面の同じ位置に、3行6列に配列する複数の矩形(64mm×45mm)のアルミニウムの蒸着膜を形成し、第2集電体を得た。Al蒸着膜の厚さは、0.1μmとした。
【0070】
工程(B)
つぎに前記導電層の上に、それぞれ複数個の第1電極合剤層および第2電極合剤層を、前記パターンに対応させて間隙を設けて形成し、第1電極群および第2電極群を得た。
活物質の球状黒鉛(黒鉛化メソフェーズ小球体)100重量部と、結着剤のスチレンブタジエンゴム3重量部と、分散媒である適量のカルボキシメチルセルロース水溶液とを混合することにより、第1電極合剤からなるペーストを調製した。
そして、ペーストを各蒸着膜の中央部を除く全面に塗工した。その結果、各蒸着膜の上に、32mm×46mmの第1電極合剤層が2つずつ形成された。2つの第1電極合剤層の間には、幅1mmの溝状に、合剤を有さない銅の蒸着膜の露出部を残した。その後、ペーストの塗膜を乾燥し、乾燥後の塗膜を厚さ70μmになるまでローラで圧延した。
次に、第1電極合剤層の周縁部のうち、蒸着膜の露出部に隣接する部分の反対側の部分に、絶縁材料として、幅0.3mmのポリフッ化ビニリデンを塗工した。こうして、両面に6行6列の第1電極合剤層を有する第1電極群を得た。
【0071】
次に、活物質のコバルト酸リチウム(LiCoO2)100重量部と、導電材のアセチレンブラック3重量部と、結着剤のポリフッ化ビニリデン7重量部と、分散媒である適量のカルボキシメチルセルロース水溶液とを混合することにより、第2電極合剤からなるペーストを調製した。
そして、ペーストを各蒸着膜の中央部を除く全面に塗工した。その結果、各蒸着膜の上に、31mm×45mmの第2電極合剤層が2つずつ形成された。2つの第2電極合剤層の間には、幅2mmの溝状に、合剤を有さないAlの蒸着膜の露出部を残した。その後、ペーストの塗膜を乾燥し、乾燥後の塗膜を厚さ70μmになるまでローラで圧延した。
【0072】
次に、第2電極合剤層の周縁部のうち、蒸着膜の露出部に隣接する部分の反対側の部分に、絶縁材料として、幅0.3mmのポリフッ化ビニリデンを塗工した。こうして、両面に6行6列の第2電極合剤層を有する第2電極群を得た。
一方、片面だけに第2電極合剤層を有する第2電極についても、他方の面に導電層、第2電極合剤層および絶縁材料を設けないこと以外、上記と同様の方法で作製した。
【0073】
工程(C)および(D)
ついで、前記第1電極群および前記第2電極群をセパレータを介して積層しながら連続して供給し、平板上のボビンに巻き取られた積層体を得た。
図4に示すように、セパレータ20、第1電極群21、セパレータ22および第2電極群22を供給しながら連続して積層し、ボビン25に巻き取った。このとき、第1電極合剤層と第2電極合剤層とが互いに対面するように、また、第1電極群における蒸着膜の露出部およびポリフッ化ビニリデンが、それぞれ第2電極群におけるポリフッ化ビニリデンおよび蒸着膜の露出部と対面するように、両極板を配置した。
【0074】
工程(E)
前記積層体から、両端の折曲部を切断して廃棄し、前記間隙の部分および長さ方向の任意の部分において切断することにより、複数個の積層型極板群を得た。
切断位置を、前記間隙、すなわち第1電極における蒸着膜の露出部の中心および第2電極における蒸着膜の露出部の中心に対応させて、複数の積層型極板群からなる集合体を個々の積層型極板群毎に分割した。その結果、一連の塗工・積層工程により、一度に複数個の積層型極板群1を得ることができた。
【0075】
工程(F)
その後、第1集電体の銅の蒸着膜の露出部と第2集電体のPET樹脂部とが交互に配列する側面に、半溶融状態の銅微粒子を吹き付けた。その結果、前記側面に、厚さ0.5mmの銅膜が形成された。このとき、銅の蒸着膜の露出部が、銅膜の内部に深さ0.2mmまで食い込んでいた。この銅膜は、そのまま負極端子として用いることができる。
【0076】
次に、第2集電体のAlの蒸着膜の露出部と第1集電体のPET樹脂部とが交互に配列する側面に、半溶融状態のアルミニウム微粒子を吹き付けた。その結果、前記側面に、厚さ0.5mmのアルミニウム膜が形成された。このとき、Alの蒸着膜の露出部が、アルミニウム膜の内部に深さ0.2mmまで食い込んでいた。このアルミニウム膜は、そのまま正極端子として用いることができる。
こうして得られた積層型極板群の銅膜と、アルミニウム膜とに、それぞれリード線を接続し、外部の充放電装置を用いて、充放電試験を行った。
ここで用いた電解液は、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比30:70で混合した混合溶媒に、LiPF6を1モル/Lの濃度で溶解して調製した。
【0077】
[評価]
充放電は、20℃雰囲気中で行った。
充電および放電は、それぞれ電極面積に対して2.5mA/cm2の電流モードで行った。充電終止電圧は4.2Vとした。放電終止電圧は3.0Vとした。上記条件によって得られた電気容量は900mAhであった。
なお、比較として、従来から用いられている銅箔からなる芯材を用いて負極を作製し、アルミニウム箔からなる芯材を用いて正極を作製したところ、同様の容量の電池を得るためには、電池の容積が実施例のリチウムイオン二次電池の1.2倍となった。このことから、本発明によれば、電気化学素子の容量あたりのエネルギー密度を、従来よりも高められることが明らかとなった。
また、実施例のリチウムイオン二次電池を落下させて機械的衝撃を与えても、内部短絡に由来する電圧降下などの異常は認められなかった。
【0078】
【発明の効果】
上述のように、本発明によれば、正極端子や負極端子の構造が簡略であり、集電タブや集電リードを用いる必要はないため、小型でも高い電気容量を有し、信頼性の高い電気化学素子複数個を同時に効率よく製造することができる。このような電気化学素子を含む非水電解液二次電池を用いることにより、信頼性の高い携帯電話、携帯情報端末機器、カムコーダ、パーソナルコンピュータ、PDA、携帯音響機器、電気自動車、ロードレベリング用電源などの機器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シート状の絶縁性基材に導電層および第1電極合剤層を所定のパターンで形成し、第1電極群を得る工程を示す図である。
【図2】シート状の絶縁性基材に導電層および第2電極合剤層を所定のパターンで形成し、第2電極群を得る工程を示す図である。
【図3】図1の(b)および図2の(b)に示す第1電極群および第2電極群をより詳細に表した図である。
【図4】長尺状の第1電極群および第2電極群を、セパレータを介して積層しながら連続的に積層体として供給する様子を示す図である。
【図5】図4のXで示される部分の拡大図である。
【図6】ボビンに巻き取られるセパレータ、第1電極群、セパレータおよび第2電極群の積層体の様子を示す図である。
【図7】ボビンに巻き取られた積層体の両端部を切断する様子を説明するための図である。
【図8】両端部を切断した後の積層体の様子を示す図である。
【図9】本発明に係る電気化学素子の製造方法によって得られる積層型極板群の断面図である。
【図10】絶縁性基材にマトリクス状に導電層を形成する様子を示す図である。
【図11】図10に示す集電体に電極合剤層を形成する様子を示す図である。
【符号の説明】
1a 第1集電体
1b 第2集電体
10a、10b 樹脂シート
11a、11b 導電層
11x、11y 絶縁部
12x、12y 接続部
12a 第1電極合剤層
12b 第2電極合剤層
13a、13b 間隙
14 第1電極群
15 第2電極群
16 セパレータ
17a 第1端子
17b 第2端子
18a、18b 絶縁材料部
20 セパレータ
21 第1電極群
22 セパレータ
23 第2電極群
24a、24b、24c ローラ
25 ボビン
26a、26b 積層部分
26c 折曲部
28 間隙
31a、31b 樹脂シート
32a 第1電極合剤層
32b 第2電極合剤層
33a、33b、34a、34b 導電露出部
35a、35b 絶縁露出部
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気化学素子に関し、特にリチウムイオン二次電池などの高エネルギー密度を有する二次電池の極板群の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子・電気機器の小型化・軽量化に伴い、二次電池に対する小型化・軽量化への要望が強まってきている。一方、現行の二次電池は、内部構造が複雑であり、一定容積あたりの製品が有する電気容量を向上させるには限界がある。また、複雑な構造が、電池の信頼性の向上を妨げている面もある。例えば、電極に接続された集電タブまたは集電リードが、電極面における均一な電極反応を妨げる場合がある。また、万一、リードの切断面に通常よりも大きな金属バリが生じた場合には、内部短絡の発生が懸念される。
【0003】
二次電池は、正極、負極およびセパレータからなる極板群を有し、極板群には、積層型と捲回型がある。積層型の極板群は、正極と負極とをセパレータを介して交互に積層して得られる。また、捲回型の極板群は、長尺の正極と負極とをセパレータを介して捲回して得られる。これらの極板群は、通常、正極と負極の端部が面一に配列した側面を有する。このような側面から短絡を起こさずに電気を取り出すには、集電タブや集電リードが必要となる。
【0004】
そこで、電池の内部構造を簡略化する観点から、極板群の側面の1つから正極を突出させ、前記側面とは逆側の側面から負極を突出させ、集電タブや集電リードを介さずに、各側面から直接電気を取り出すことが提案されている。例えば、積層型の極板群を有する電池では、突出させた同一極性の極板を、所定の金属部材を用いて一体接合する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、捲回型の極板群を有する電池では、突出させた同一極性の極板の芯材と板状の集電板とを接合する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−126707号公報
【特許文献2】
特開2000−294222号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、極板群の側面の1つから正極を突出させ、前記側面とは逆側の側面から負極を突出させる場合、1つずつ極板群を作製しなければならず、極板群の製造工程が複雑になる。すなわち、複数の極板群を同時に作製することができないという問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記状況を鑑みてなされたものである。本発明によれば、構造が簡略であり、信頼性が高く、高い電気容量を有する電気化学素子を、同時に複数個を効率的に製造することができる。
【0008】
本発明は、長尺状の第1電極群および第2電極群を、セパレータを介して積層しながら連続的に積層体として供給する工程と、前記積層体を平板状のボビンで巻き取る工程と、前記ボビンに巻き取られた積層体を切断し、複数個の積層型極板群を得る工程とを含む電気化学素子の製造方法に関する。
【0009】
前記製造方法においては、前工程として、シート状の絶縁性基材の両面に所定のパターンに基づいて導電層を設けて第1集電体および第2集電体を得る工程と、前記導電層の上に、それぞれ前記パターンに対応させるとともに間隙を設けて第1電極合剤層および第2電極合剤層を形成する工程とにより、前記第1電極および第2電極を得ることが好ましい。
【0010】
前記所定のパターンは、マトリクス状であるのが好ましい。
また、前記所定のパターンは、平行に並ぶ帯状であるのも好ましい。
また、前記製造方法は、前記間隙において前記導電層上に、前記第1電極合剤層および前記第2電極合剤層を挟む位置に、絶縁材料部を形成する工程を含むのが好ましい。
【0011】
また、前記製造方法は、前記積層型極板群の対向する第1側面および第2側面を金属で被覆し、第1端子および第2端子を形成する工程を含むのが好ましい。
前述のセパレータ、第1電極群および第2電極群を供給する工程においては、それらの長さ方向に連続して供給すればよく、これらを捲回する工程においては、これらを供給しながら平板状のボビンに捲回すればよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、長尺状の第1電極群および第2電極群を、セパレータを介して積層しながら連続的に積層体として供給する工程と、前記積層体を平板状のボビンで巻き取る工程と、前記ボビンに巻き取られた積層体を切断し、複数個の積層型極板群を得る工程とを含む電気化学素子の製造方法に関する。
そして、前工程として、シート状の絶縁性基材の両面に所定のパターンに基づいて導電層を設けて第1集電体および第2集電体を得る工程と、前記導電層の上に、それぞれ前記パターンに対応させるとともに間隙を設けて第1電極合剤層および第2電極合剤層を形成する工程とにより、前記第1電極および第2電極を得ることが好ましい。
本発明に係る電気化学素子の製造方法を、工程順に説明する。
【0013】
工程(A)
まず、工程(A)によって、図1の(a)に示すように、シート状の絶縁性基材である樹脂シート10aの両面に導電層11aを所定のパターンで形成し、シート状の第1集電体1aを得る。また、図2の(a)に示すように、シート状の絶縁性基材である樹脂シート10bの両面に導電層11bを所定のパターンで形成し、第1集電体1bを得る。
【0014】
このとき、所定のパターンは、後述するように、図9に示すように、最終的に得られる積層型極板群1において、第1集電体1aの導電層11aのみが第1側面に露出され、第2集電体1bの導電層11bのみが第2側面に露出するように決定する。
【0015】
さらに具体的に説明する。工程(A)においては、シート状の絶縁性基材である樹脂シート10aおよび10bの両面に導電層11aおよび11bを所定のパターンで設けて第1集電体1aおよび第2集電体1bを得る工程を行う。図1の(a)および図2の(a)に示すように、所望数のシート状の集電体を与え得る大きさ(幅)の絶縁性基材である樹脂シート10aおよび10bの両面の同じ位置に、例えば複数行の帯状の導電層11aおよび11bを形成する。このような導電層は、例えば、樹脂シートに帯状のマスクを被覆し、マスクから露出する樹脂シートに金属を蒸着させることにより得ることができる。
【0016】
なお、上述のように、図1および2における樹脂シート10aおよび10bは、便宜上、一定の長さを有するシート状として表したが、長尺状であるのが好ましい。長尺状であれば、例えばフープ状に巻いた原反などから連続して供給することができるため、連続して金属を蒸着させることができ、生産性を向上させることができる。
【0017】
ここで、少なくとも1つの帯状導電層は2つの帯状のシート状の集電体に跨るように形成する。すなわち、n個の帯状のシート状の集電体を与え得る大きさの樹脂シートを用いる場合、樹脂シートの片面あたり、(n−1)個の帯状の導電層を形成する。図1の(a)および図2の(a)においては、3個のシート状の集電体が含まれることを想定しているため、それぞれ太い導電層と細い導電層の2個の帯状の導電層11aを示している。
【0018】
前記樹脂シートの厚さは、例えば0.5〜500μmであることが好ましい。また、導電層の厚さは、0.01〜100μmであることが好ましい。第1電極合剤層の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜1000μmであることが好ましい。
【0019】
ここで、樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのオレフィン系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリアリレートなどのエステル系ポリマー、ポリフェニレンサルファィドなどのチオエーテル系ポリマー、ポリスチレンなどの芳香族ビニル系ポリマー、ポリイミド、アラミド樹脂などの窒素含有ポリマー、ポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素ポリマーなどを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせたコポリマー、ポリマーアロイ、ポリマーブレンドなどを用いてもよい。
また、平坦な表面を有する通常の樹脂シートを用いてもよく、穿孔体、ラス体、多孔質体、ネット、発泡体、織布、不織布などを用いてもよい。また、表面に凹凸を有する樹脂シートを用いることもできる。
【0020】
導電層には、構成された電池において化学変化を起こさない電子伝導体を特に限定なく用いることができる。なお、第1集電体から得られる電極を正極として用いる場合には、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、炭素などを用いることができる。なかでも、特にアルミニウム、アルミニウム合金などが好ましい。
また、第1集電体から得られる電極を負極として用いる場合には、例えば、ステンレス鋼、ニッケル、銅、銅合金、チタンなどを用いることができる。なかでも、特に銅、銅合金などが好ましい。
【0021】
導電層を形成する方法は、例えば樹脂シートに帯状のマスクを被覆し、マスクから露出する樹脂シートに金属を蒸着させる方法により得ることが好ましい。なお、この場合のマスクとは、帯状に開口部を有するように配置されたテープ状のマスクや蒸着金属の付着を阻害する目的で樹脂シート上に帯状に塗布されたオイルなどである。また、そのほかにも、樹脂シートに帯状にインクを印刷し、金属を蒸着した後インクとインク上の蒸着金属を洗浄・除去して得る方法や、樹脂シートに金属を蒸着した後、レーザーなどの金属除去手段を用いて得る方法などがあるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
所定のパターンは、上述のように、シート状集電体の数、すなわち、最終的に作製する捲回型電極群の数に応じて適宜調整すればよい。
【0022】
工程(B)
次に、図1の(b)および図2の(b)に示すように、工程(B)により、第1集電体1aおよび第2集電体1bの前記導電層の上に、それぞれ複数個の第1電極合剤層12aおよび第2電極合剤層12bを、平行に並ぶ帯状に間隙13aおよび13bを設けて形成し、第1電極群14および第2電極群15を得る。なお、図1の(b)および図2の(b)では、第1集電体1aおよび第2集電体1bにおいて、斜線で前記導電層を示した。この場合も、長尺状の第1集電体1aおよび第2集電体1bを用いることが可能である。
【0023】
ここで、図3に、図1の(b)および図2の(b)に示す第1電極群14および第2電極群15をより詳細に表した図を示す。図3に示すように、上記工程(A)で形成した帯状の各導電層11aおよび11bの上に、例えば帯状の第1電極合剤層12aおよび第2電極合剤層12bをそれぞれ3つずつ形成する。3つの帯状の第1電極合剤層12aおよび第2電極合剤層12bの間には、交互に、合剤を有さない導電層が露出した導電露出部20aおよび20bと、絶縁性基材が露出した絶縁露出部21aおよび21bを残しておく。
【0024】
帯状の第1電極合剤層12aは、第1電極合剤からなるペーストを、導電層の中央部を除く全面に塗工することにより形成すればよい。
塗工方法は特に限定されないが、スクリーン印刷、パターン塗工などを採用することが好ましい。このとき合剤からなるペーストが塗工されなかった導電露出部20aは、最終的に得られる捲回型極板群においては、第1端子との接続部12xとなる(図9参照)。
【0025】
工程(B)においても、第1集電体1aおよび第2集電体1bはあらかじめ切断されていてもよいが、長尺状の第1集電体1aおよび第2集電体1bを用いることが可能である。長尺状であれば、端部から連続して電極合剤層を塗工、形成することができ、生産性を向上させることが可能である。もちろん、フープ状にして供給してもよい。
【0026】
なお、図3には、3列の電極合剤層が描かれているが、通常はより大きな樹脂シートを用い、シート状集電体上に、より多くの導電層と電極合剤層を形成することも可能である。
第1電極合剤は、第1電極群の活物質、導電材、結着剤などを、分散媒と混合することにより調製される。その後、ペーストの塗膜を乾燥し、乾燥後の塗膜をローラで圧延すれば、合剤密度を高めることが可能である。
【0027】
ここで、第1電極群がリチウムイオン二次電池の正極の群として用いられる場合、活物質としては、例えば、リチウム含有遷移金属酸化物を好ましく用いることができる。リチウム含有遷移金属酸化物としては、例えば、LixCoOz、LixNiOz、LixMnOz、LixCoyNi1−yOz、LixCofV1−fOz、LixNi1−yMyOz(M=Ti、V、Mn、Fe)、LixCoaNibMcOz(M=Ti、Mn、Al、Mg、Fe、Zr)、LixMn2O4、LixMn2(1−y)M2yO4(M=Na、Mg、Sc、Y、Fe、Co、Ni、Ti、Zr、Cu、Zn、Al、Pb、Sb)などを挙げることができる。ただし、x値は電池の充放電により、0≦x≦1.2の範囲で変化する。また、0≦y≦1、0.9≦f≦0.98、1.9≦z≦2.3、a+b+c=1、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c<1である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
第1電極群がリチウムイオン二次電池の負極の群として用られる場合、活物質としては、例えば、リチウム、リチウム合金、金属間化合物、炭素材料、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な有機化合物や無機化合物、金属錯体、有機高分子化合物などを好ましく用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
炭素材料としては、コークス、熱分解炭素、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、黒鉛化メソフェーズ小球体、気相成長炭素、ガラス状炭素、炭素繊維(ポリアクリロニトリル系、ピッチ系、セルロース系、気相成長系)、不定形炭素、有機化合物焼成体などが挙げられる。これらのうちでは、特に、天然黒鉛や人造黒鉛が好ましい。
【0030】
また、導電材には、例えば、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、黒鉛などが用いられる。また、結着剤には、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、アクリル系樹脂、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンターポリマーなどを用いることができる。
【0031】
一方、両面に第2電極合剤層を有する第2電極群は、第1電極群と同様の方法で作製することができる。すなわち、所望数のシート状集電体を与え得る大きさの樹脂シート10bの両面の同じ位置に、複数の所定の形状パターンの導電層を設け、各導電層の上に、第2電極合剤層12bを3つずつ形成する。3つの第2電極合剤層12bの間には、図3に示すように、合剤を有さない導電層の導電露出部20bと、絶縁性基材10bが露出した絶縁露出部21bを残しておく。このとき合剤からなるペーストが塗工されなかった導電層の導電露出部20bは、最終的に得られる捲回型極板群の構成後には、第2端子との接続部12yとなる(図9参照)。
【0032】
また、場合によっては、片面だけに第1電極合剤層を有する第1電極群、および片面だけに第2電極合剤層を有する第2電極群を用いることも可能である。すなわち、かかる場合も本発明の技術的範囲に含まれ、他方の面に導電層、第1電極合剤層または第2電極合剤層、および絶縁材料を設けないこと以外、上記と同様の方法で作製することができる。
【0033】
ここで、工程(C)に先だって、捲回型電極群を構成した場合に第2集電体の導電層の導電露出部20aおよび20bと隣接することになる第1電極合剤層12aおよび第2電極合剤層12bの周縁部に沿って、その長さ方向に絶縁材料を塗工して、絶縁材料部18aおよび18bを形成することができる(図9参照)。すなわち、前記間隙において、前記導電層上に絶縁材料部を形成するのが好ましい。なお、図1〜3においては、絶縁材料部を省略している。これにより、最終的に得られる捲回型電極群の底面において、金属層を形成して端子を設けても、第1電極および第1電極が短絡することを防ぐことができる。
【0034】
この絶縁材料部の形成も、パターン塗工を行うことが好ましい。すなわち、所定のパターンにしたがって絶縁材料を塗布するのが好ましい。第1電極合剤層の周縁部のその他の部分にも、絶縁材料部を形成してもよいが、第1集電体の導電層の導電露出部20aおよび20bの全体が覆われないようにすればよい。
【0035】
ここで、絶縁性材料部の位置については、図9に示すように、本発明において得られる積層型極板群1においては、第1電極合剤層12aの周縁部のうち、少なくとも導電層の導電露出部であって接続部である第1端子17aとなる部分の反対側に、絶縁材料部18bを形成すればよい。また、第2電極合剤層12bの周縁部のうち、少なくとも導電層の導電露出部であって接続部である第2端子17bとなる部分の反対側に、絶縁材料部18aを形成すればよい。なお、絶縁材料の塗工は必ずしも必要ではなく、任意に行えばよい。
【0036】
絶縁材料部の厚さは、特に限定されないが、0.001mm以上、さらには0.01mm以上であることが好ましい。
絶縁材料部を形成する方法は、特に限定されないが、例えばスクリーン印刷法により、ペースト状もしくは液状の絶縁材料を所定位置に塗布することにより、形成することができる。また、フィルム状もしくはテープ状の絶縁材料を所定位置に貼り付けたりすることにより、絶縁材料部を形成することもできる。
絶縁材料部に用いる絶縁材料としては、樹脂、ガラス組成物、セラミックスなどが挙げられる。また、織布や不織布に樹脂を含浸させた複合物などを用いることもできる。樹脂には、熱可塑性樹脂を用いてもよく、熱硬化性樹脂を用いてもよい。熱硬化性樹脂を用いる場合には、樹脂の塗膜を加熱して硬化させる工程を要する。
【0037】
絶縁材料部に用いることのできる樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのオレフィン系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネートなどのエステル系ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミドなどのエーテル系ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどのスルホン系ポリマー、ポリアクリロニトリル、AS樹脂、ABS樹脂などのアクリロニトリル系ポリマー、ポリフェニレンサルファィドなどのチオエーテル系ポリマー、ポリスチレンなどの芳香族ビニル系ポリマー、ポリイミド、アラミド樹脂などの窒素含有ポリマー、ポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素ポリマー、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系ポリマーなどを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせたコポリマー、ポリマーアロイ、ポリマーブレンドなどを用いてもよい。また、加熱やUV照射により重合固化して得られるポリマーを用いてもよい。
【0038】
工程(C)
つぎに、図4に示すように、上述のようにして得られた長尺状の第1電極群および第2電極群を、セパレータを介して積層しながら連続的に積層体として供給する。図4は、本発明に係る電気化学素子の製造方法の工程の一部を説明するための図である。
【0039】
セパレータ20、第1電極群21、セパレータ22および第2電極群23を、例えば、それぞれフープ状に巻かれた原反から同時に積層しながら、ローラ24a、24bおよび24cを介して連続的に供給する。
この場合のセパレータ、第1電極群および第2電極群の供給方法については、特に制限はないが、最終的に得ようとする積層型極板群の構造を考慮し、工程(D)において平板状のボビンで巻き取り易い態様で供給するのが好ましい。
【0040】
上記工程(B)において作製された第1電極群21と第2電極群23とを、セパレータ20および22を介して積層する。このとき、第1電極群21の第1電極合剤層12aと第2電極群23の第2電極合剤層12bとが互いに対面するようにこれらを積層する。また、第1電極群21における導電層の導電露出部20aおよび絶縁材料部が、それぞれ第2電極群23における絶縁材料部および導電層の導電露出部20bと対面するように両電極群を配置する。
【0041】
ここで、図4のXで示される部分の拡大図を図5に示す。図5に示すように、平板状のボビン25に供給される積層体は、セパレータ20、第1電極群21、セパレータ22および第2電極群23が積層され、第1電極合剤層と第2電極合剤層が相対する位置関係を保持して供給される。
【0042】
セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマーやガラス繊維などからなる織布や不織布を用いることができる。
また、固体電解質やゲル電解質をセパレータとして用いることもできる。固体電解質には、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなどをマトリックス材料として用いることができる。ゲル電解質としては、例えば、後述の非水電解液をポリマー材料からなるマトリックスに保持させたものを用いることができる。マトリックスを形成するポリマー材料には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマーなどを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、特に、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー、ポリフッ化ビニリデンとポリエチレンオキサイドとの混合物を用いることが好ましい。
【0043】
工程(D)
つぎに、工程(C)によって供給されるセパレータ、第1電極群および第2電極群の積層体を平板状のボビンで巻き取る。
図5に示すように、平板状のボビン25に供給される積層体は、セパレータ20、第1電極群21、セパレータ22および第2電極群23が積層され、第1電極合剤層と第2電極合剤層が相対する位置関係を保持して供給されるが、このとき、ボビン25は、第1電極合剤層および第2電極合剤層の長さ方向(図5の矢印)に沿って前記積層体を巻き取る。
【0044】
また、図6に、ボビン25に巻き取られるセパレータ20、第1電極群21、セパレータ22および第2電極群23の積層体の様子を示す。図6に示すように、セパレータ20、第1電極群21、セパレータ22および第2電極群23が積層された形でボビン25に巻き取られる。この場合、巻き取りの最初の段階、すなわち図6に示すYの部分においては、ボビン25の平板状の部分より外側にまで伸ばしておくのが好ましい。これは、工程(E)で説明するように、ボビン25に巻き取られた積層体のうち両端の折曲部を切断して廃棄するからである。このようにすれば、Yの部分において、第1電極群21と第2電極群23とが短絡するのを防止することができる。
【0045】
工程(E)
ついで、前記ボビンに巻き取られた積層体を切断し、複数個の積層型極板群を得る。図7に示すように、ボビン25に巻き取られた積層体のうち積層部分26aおよび26bは、規則正しい積層構造を有しているため、本発明に係る電気化学素子として有効に用いることができるが、両端の折曲部26cは各構成部分が湾曲したり折れ曲がったりして短絡したりし得るため、切断して廃棄することが好ましい。なお、図7においては、積層構造の詳細は省略して表した。
【0046】
この後に得られる積層体の状態を図8に示す。図8は、両端の折曲部を除去した積層体の積層部分26aおよび26bがボビン25上に配置されている様子を示す図である。図8に示すように、この積層体においては、間隙28が積層方向において同じ位置に並んでいる。そこで、この間隙28において、電極合剤層の長さ方向(P方向)に前記積層体を切断することによって、図9に示す積層型極板群1の前駆体を得ることができる。
【0047】
また、所望する積層型極板群の寸法や容量に応じて、図8に示すQ方向においても、所定の位置で前記積層体を切断してもよい。この切断工程は、積層部分26aおよび26bをボビン25から分離させてから行うこともできるが、ボビン25上で行うことも可能である。
これにより、図9に示すような捲回型極板群1を複数個を得ることができる。
【0048】
ボビン25上の積層体の積層部分26aおよび26bは、複数の積層型極板群を含む集合体である。この集合体を個々の積層型極板群ごとに分割すると、導電層の露出部である間隙に対応するシート状集電体の切断部は、端子との接続部12x、12yとなり、その反対側の樹脂シートの露出部に対応する切断部11x、11yは絶縁部となる。
【0049】
従来から一般的に用いられている金属箔からなる集電体の場合、切断時に生じる金属バリが問題となる。金属バリは、セパレータを突き破り、内部短絡を引き起こす大きな原因となるからである。従って、金属バリの発生を防ぐことが重要となるが、金属バリを生じることなく金属箔を切断することは著しく困難である。一方、樹脂シートからなるシート状集電体を用いる場合、切断面のほとんどが樹脂で占められているため、金属バリを生じることがない。従って、電気化学素子の信頼性を大幅に向上させることができる。
【0050】
工程(F)
ここで、図9に示すように、前記積層型極板群の対向する第1側面および第2側面を金属で被覆し、第1端子17aおよび第2端子17bを形成する工程を行うのが好ましい。
第1集電体の導電層の露出部と第2集電体の絶縁部とが交互に配列する側面を、金属で被覆する。例えば、溶融もしくは半溶融状態の金属微粒子を前記側面に吹き付けることにより、前記側面を金属で被覆することができる。
【0051】
前記側面おいて、少なくとも第2電極の端面には絶縁材料が塗工されて絶縁材料部18bが形成されているため、金属被膜と第2電極との短絡は起こらない。こうして形成された金属被膜は、第1集電体の導電層の露出部とだけ電気的に接続される。
第2集電体の導電層の露出部と第1集電体の絶縁部とが交互に配列する側面についても、上記と同様に金属で被覆する。
【0052】
端子が正極端子となる場合には、上記金属微粒子としてアルミニウム粉末を用いることが好ましい。また、端子が負極端子となる場合には、上記金属微粒子として銅粉末を用いることが好ましい。
第1集電体の導電層と電気的に接続された金属の被膜および第2集電体の導電層と電気的に接続された金属の被膜は、それぞれ第1端子および第2端子として機能する。一方、端子を有さない極板群の側面は、そのままの状態でもよいが、できれば多孔質な絶縁材料で被覆することが好ましい。
このようにして、本発明に係る電気化学素子を得ることができる。
【0053】
図9に示す積層型極板群1は、交互に積層された複数の第1電極群14と複数の第2電極群15で構成され、第1電極群14と第2電極群15との間には、セパレータ16が介在している。
第1電極群15は、シート状の第1集電体1aおよび2つの第1電極合剤層12aで構成され、第1集電体1aは、樹脂シート10aおよびその両面に設けられた所定の形状パターンを有する導電層11aで構成される。すなわち、第1集電体1aは、導電層の形状パターンに応じて導電部と絶縁部とを有する。
【0054】
図9においては、樹脂シートの一端部である絶縁部11xを除く全面もしくは端部である絶縁部11xと図9の紙面裏表に位置する端部を除く全面に導電層が設けられている。導電層の上には、第1電極合剤層が設けられている。図9の第1集電体1aにおいては、導電層を有さない樹脂シートの端部である絶縁部11xが絶縁部として機能する。端部である絶縁部11xの反対側に位置する導電層の端部である接続部12xには、導電層の露出部が残されている。
【0055】
ここで、上記においては、前記所定のパターンが帯状の場合について説明したが、図10に示すように、所望数のシート状集電体を与え得る大きさのシート状の絶縁性基材である樹脂シート31aを準備し、樹脂シート31aの両面の同じ位置に、マトリクス状のパターンを設けてもよい。
例えば、所定形状の導電層を、図10に示すように複数行、複数列に樹脂シート上に形成する。このような導電層は、例えば樹脂シートにマトリクス状のマスクを被覆し、マスクから露出する樹脂シートに金属を蒸着させる方法により得ることができる。
【0056】
なお、この場合のマスクとは、帯状に開口部を有するように配置されたテープ状のマスクや蒸着金属の付着を阻害する目的で樹脂シート上にマトリクス状に塗布されたオイルなどである。また、そのほかにも、樹脂シートにマトリクス状にインクを印刷し、金属を蒸着した後インクとインク上の蒸着金属を洗浄・除去して得る方法や、樹脂シートに金属を蒸着した後、レーザーなどの金属除去手段を用いて得る方法などがあるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
樹脂シート31aには、電極2つ分の大きさの導電層36aを複数個形成する。すなわち2n個の電極を得ようとするときには、樹脂シートに片面あたりn個の導電層を形成する。このようにして第1集電体を得る。
【0057】
そして、図11に示すように、前記導電層の上に、それぞれ複数個の第1電極合剤層および第2電極合剤層を、前記パターンに対応させるとともに間隙を設けて形成し、第1電極群および第2電極群を得る。図11の上側に示すように、各導電層の上に、第1電極合剤層32aを2つずつ形成する。2つの第1電極合剤層の間には、間隙として合剤を有さない導電層の導電露出部33aおよび34aを残しておく。また、第1集電体の絶縁性基材を露出させた絶縁露出部35aも残しておく。
【0058】
第1電極合剤層は、第1電極合剤からなるペーストを、導電層の中央部を除く全面に塗工することにより形成される。塗工方法は特に限定されないが、スクリーン印刷、パターン塗工などを採用することが好ましい。このとき合剤からなるペーストが塗工されなかった導電層の露出部は、極板群の構成後には、第1端子との接続部12x(図9参照)となる。
第2集電体も同様にして作製すればよい。すなわち、図10に示すように、所望数の集電体を与え得る大きさの樹脂シート31bの両面の同じ位置に、複数の所定の形状パターンの導電層を設け、第2集電体を得る。ここでも、同様に、2つの第2電極合剤層の間には、間隙として合剤を有さない導電層の導電露出部33bおよび34bを残しておく。また、第1集電体の絶縁性基材を露出させた絶縁露出部35bも残しておく。
【0059】
上述のようにして得られた積層型極板群は、必要に応じて所定形状のケースに所定の電解液とともに収容される。ケースには、例えば、ステンレス鋼板、アルミニウム板などを所定形状に加工したもの、両面に樹脂被膜を有するアルミニウム箔(アルミニウムラミネートシート)、樹脂ケースなどが用いられる。
電気化学素子が、例えばリチウムイオン二次電池の場合、電解液には、非水溶媒にリチウム塩を溶解させたものが用いられる。電解液におけるリチウム塩濃度は、例えば0.5〜1.5mol/Lとすることが好ましい。
【0060】
非水溶媒には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネートなどの非環状カーボネート、蟻酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの脂肪族カルボン酸エステル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどのγ−ラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタンなどの非環状エーテル、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフランなどの環状エーテル、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチルなどのアルキルリン酸エステルやそれらのフッ化物などを用いることができる。これらは複数種を組み合わせて用いることが好ましい。特に、環状カーボネートと非環状カーボネートを含む混合物、環状カーボネートと非環状カーボネートと脂肪族カルボン酸エステルを含む混合物などが好ましい。
【0061】
リチウム塩には、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCl、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiN(CF3SO2)2、Li2B10Cl10、LiN(C2F5SO2)2、LiPF3(CF3)3、LiPF3(C2F5)3などを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、少なくともLiPF6を用いることが好ましい。
【0062】
上記のような製造法によれば、例えば、縦1〜300mm、幅1〜300mm、厚さ0.01〜20mmの範囲であれば、任意の大きさの極板群を効率よく製造することができる。
上述のようにして得られる本発明に係る電気化学素子は、少なくとも1つの第1電極、(b)少なくとも1つの第2電極、および第1電極と第2電極との間に介在するセパレータからなる極板群を有する電気化学素子であって、前記第1電極は、導電部と絶縁部とを有する第1集電体およびこれに担持された少なくとも1つの第1電極合剤層からなり、前記第2電極(b)は、導電部と絶縁部とを有する第2集電体およびこれに担持された少なくとも1つの第2電極合剤層からなる。
【0063】
前記第1集電体の導電部は前記極板群の第1側面において第1端子と接続され、前記第2集電体の導電部は前記極板群の第2側面において第2端子と接続され、前記第1集電体の絶縁部が前記第2側面に配され、前記第2集電体の絶縁部が前記第1側面に配されていることが好ましい。
【0064】
前記第1側面および前記第2側面以外の前記極板群の側面にも、前記第1集電体の絶縁部および前記第2集電体の絶縁部が配されていてもよい。
すなわち、前記極板群は、前記第1側面および前記第2側面以外に、前記第1集電体の絶縁部および/または前記第2集電体の絶縁部が配されている側面を有することができる。
前記第1側面と前記第2側面とは、互いに前記極板群の反対側に位置することが好ましい。
前記第1端子と前記第1側面との間には、前記第1端子と前記第2電極とを絶縁するための第1絶縁材料部を設けることができる。また、前記第2端子と前記第2側面との間には、前記第2端子と前記第1電極とを絶縁するための第2絶縁材料部を設けることができる。
【0065】
換言すると、本発明に係る電気化学素子は、複数の第1電極と複数の第2電極とをセパレータを介して交互に積層した極板群を有する電気化学素子であって、前記複数の第1電極は、それぞれ導電部と絶縁部とを有する第1集電体およびこれに担持された少なくとも1つの第1電極合剤層からなり、前記複数の第2電極は、それぞれ導電部と絶縁部とを有する第2集電体およびこれに担持された少なくとも1つの第2電極合剤層からなり、前記第1集電体の導電部が前記極板群の第1側面において第1端子と接続され、前記第2集電体の導電部が前記極板群の第2側面において第2端子と接続され、前記第1集電体の絶縁部が前記第2側面に配され、前記第2集電体の絶縁部が前記第1側面に配されている。
【0066】
また、本発明に係る電気化学素子は、複数の第1電極と複数の第2電極とをセパレータを介して交互に積層した極板群を有する電気化学素子であって、前記複数の第1電極は、それぞれ導電部と絶縁部とを有する第1集電体およびこれに担持された少なくとも1つの第1電極合剤層からなり、前記複数の第2電極は、それぞれ導電部と絶縁部とを有する第2集電体およびこれに担持された少なくとも1つの第2電極合剤層からなり、前記第1集電体の導電部が前記極板群の第1側面において第1端子と接続され、前記第2集電体の導電部が前記極板群の第2側面において第2端子と接続され、前記第1集電体の絶縁部が前記第2側面に配され、前記第2集電体の絶縁部が前記第1側面に配され、前記第1端子と前記第1側面との間に、前記第1端子と前記第2電極とを絶縁するための第1絶縁材料部が設けられており、前記第2端子と前記第2側面との間に、前記第2端子と前記第1電極とを絶縁するための第2絶縁材料部が設けられている。
【0067】
本発明に係る電気化学素子は、また、複数の第1電極と複数の第2電極とをセパレータを介して交互に積層した極板群を有する電気化学素子であって、前記複数の第1電極は、それぞれ導電部と絶縁部とを有する第1集電体およびこれに担持された少なくとも1つの第1電極合剤層からなり、前記複数の第2電極は、それぞれ導電部と絶縁部とを有する第2集電体およびこれに担持された少なくとも1つの第2電極合剤層からなり、前記第1集電体の導電部が前記極板群の第1側面において第1端子と接続され、前記第2集電体の導電部が前記極板群の第2側面において第2端子と接続され、前記第1集電体の絶縁部が前記極板群の前記第1側面以外の全側面に配され、前記第2集電体の絶縁部が前記極板群の前記第2側面以外の全側面に配されている。
【0068】
さらに、また、本発明に係る電気化学素子は、複数の第1電極と複数の第2電極とをセパレータを介して交互に積層した極板群を有する電気化学素子であって、前記複数の第1電極は、それぞれ導電部と絶縁部とを有する第1集電体およびこれに担持された少なくとも1つの第1電極合剤層からなり、前記複数の第2電極は、それぞれ導電部と絶縁部とを有する第2集電体およびこれに担持された少なくとも1つの第2電極合剤層からなり、前記第1集電体の導電部が前記極板群の第1側面において第1端子と接続され、前記第2集電体の導電部が前記極板群の第2側面において第2端子と接続され、前記第1集電体の絶縁部が前記極板群の前記第1側面以外の全側面に配され、前記第2集電体の絶縁部が前記極板群の前記第2側面以外の全側面に配され、前記第1端子と前記第1側面との間に、前記第1端子と前記第2電極とを絶縁するための第1絶縁材料部が設けられており、前記第2端子と前記第2側面との間に、前記第2端子と前記第1電極とを絶縁するための第2絶縁材料部が設けられている。
以下に、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0069】
【実施例】
《実施例》
本実施例では、以下の要領で積層型のリチウムイオン二次電池を作製した。
工程(A)
まず、シート状の絶縁性基材の両面に所定のパターンに基づいて導電層を設けて第1集電体および第2集電体を得た。
横198mm、縦282mm、厚さ7μmのポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)のシートを準備した。次いで、マトリックス状の開口部を有するマスクを用いて、PETシートの両面の同じ位置に、3行6列に配列する複数の矩形(65mm×46mm)の銅の蒸着膜を形成し、第1集電体を得た。銅の蒸着膜の厚さは、0.1μmとした。
つぎに、横198mm、縦282mm、厚さ7μmのPETシートを準備した。次いで、マトリックス状の開口部を有するマスクを用いて、PETシートの両面の同じ位置に、3行6列に配列する複数の矩形(64mm×45mm)のアルミニウムの蒸着膜を形成し、第2集電体を得た。Al蒸着膜の厚さは、0.1μmとした。
【0070】
工程(B)
つぎに前記導電層の上に、それぞれ複数個の第1電極合剤層および第2電極合剤層を、前記パターンに対応させて間隙を設けて形成し、第1電極群および第2電極群を得た。
活物質の球状黒鉛(黒鉛化メソフェーズ小球体)100重量部と、結着剤のスチレンブタジエンゴム3重量部と、分散媒である適量のカルボキシメチルセルロース水溶液とを混合することにより、第1電極合剤からなるペーストを調製した。
そして、ペーストを各蒸着膜の中央部を除く全面に塗工した。その結果、各蒸着膜の上に、32mm×46mmの第1電極合剤層が2つずつ形成された。2つの第1電極合剤層の間には、幅1mmの溝状に、合剤を有さない銅の蒸着膜の露出部を残した。その後、ペーストの塗膜を乾燥し、乾燥後の塗膜を厚さ70μmになるまでローラで圧延した。
次に、第1電極合剤層の周縁部のうち、蒸着膜の露出部に隣接する部分の反対側の部分に、絶縁材料として、幅0.3mmのポリフッ化ビニリデンを塗工した。こうして、両面に6行6列の第1電極合剤層を有する第1電極群を得た。
【0071】
次に、活物質のコバルト酸リチウム(LiCoO2)100重量部と、導電材のアセチレンブラック3重量部と、結着剤のポリフッ化ビニリデン7重量部と、分散媒である適量のカルボキシメチルセルロース水溶液とを混合することにより、第2電極合剤からなるペーストを調製した。
そして、ペーストを各蒸着膜の中央部を除く全面に塗工した。その結果、各蒸着膜の上に、31mm×45mmの第2電極合剤層が2つずつ形成された。2つの第2電極合剤層の間には、幅2mmの溝状に、合剤を有さないAlの蒸着膜の露出部を残した。その後、ペーストの塗膜を乾燥し、乾燥後の塗膜を厚さ70μmになるまでローラで圧延した。
【0072】
次に、第2電極合剤層の周縁部のうち、蒸着膜の露出部に隣接する部分の反対側の部分に、絶縁材料として、幅0.3mmのポリフッ化ビニリデンを塗工した。こうして、両面に6行6列の第2電極合剤層を有する第2電極群を得た。
一方、片面だけに第2電極合剤層を有する第2電極についても、他方の面に導電層、第2電極合剤層および絶縁材料を設けないこと以外、上記と同様の方法で作製した。
【0073】
工程(C)および(D)
ついで、前記第1電極群および前記第2電極群をセパレータを介して積層しながら連続して供給し、平板上のボビンに巻き取られた積層体を得た。
図4に示すように、セパレータ20、第1電極群21、セパレータ22および第2電極群22を供給しながら連続して積層し、ボビン25に巻き取った。このとき、第1電極合剤層と第2電極合剤層とが互いに対面するように、また、第1電極群における蒸着膜の露出部およびポリフッ化ビニリデンが、それぞれ第2電極群におけるポリフッ化ビニリデンおよび蒸着膜の露出部と対面するように、両極板を配置した。
【0074】
工程(E)
前記積層体から、両端の折曲部を切断して廃棄し、前記間隙の部分および長さ方向の任意の部分において切断することにより、複数個の積層型極板群を得た。
切断位置を、前記間隙、すなわち第1電極における蒸着膜の露出部の中心および第2電極における蒸着膜の露出部の中心に対応させて、複数の積層型極板群からなる集合体を個々の積層型極板群毎に分割した。その結果、一連の塗工・積層工程により、一度に複数個の積層型極板群1を得ることができた。
【0075】
工程(F)
その後、第1集電体の銅の蒸着膜の露出部と第2集電体のPET樹脂部とが交互に配列する側面に、半溶融状態の銅微粒子を吹き付けた。その結果、前記側面に、厚さ0.5mmの銅膜が形成された。このとき、銅の蒸着膜の露出部が、銅膜の内部に深さ0.2mmまで食い込んでいた。この銅膜は、そのまま負極端子として用いることができる。
【0076】
次に、第2集電体のAlの蒸着膜の露出部と第1集電体のPET樹脂部とが交互に配列する側面に、半溶融状態のアルミニウム微粒子を吹き付けた。その結果、前記側面に、厚さ0.5mmのアルミニウム膜が形成された。このとき、Alの蒸着膜の露出部が、アルミニウム膜の内部に深さ0.2mmまで食い込んでいた。このアルミニウム膜は、そのまま正極端子として用いることができる。
こうして得られた積層型極板群の銅膜と、アルミニウム膜とに、それぞれリード線を接続し、外部の充放電装置を用いて、充放電試験を行った。
ここで用いた電解液は、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比30:70で混合した混合溶媒に、LiPF6を1モル/Lの濃度で溶解して調製した。
【0077】
[評価]
充放電は、20℃雰囲気中で行った。
充電および放電は、それぞれ電極面積に対して2.5mA/cm2の電流モードで行った。充電終止電圧は4.2Vとした。放電終止電圧は3.0Vとした。上記条件によって得られた電気容量は900mAhであった。
なお、比較として、従来から用いられている銅箔からなる芯材を用いて負極を作製し、アルミニウム箔からなる芯材を用いて正極を作製したところ、同様の容量の電池を得るためには、電池の容積が実施例のリチウムイオン二次電池の1.2倍となった。このことから、本発明によれば、電気化学素子の容量あたりのエネルギー密度を、従来よりも高められることが明らかとなった。
また、実施例のリチウムイオン二次電池を落下させて機械的衝撃を与えても、内部短絡に由来する電圧降下などの異常は認められなかった。
【0078】
【発明の効果】
上述のように、本発明によれば、正極端子や負極端子の構造が簡略であり、集電タブや集電リードを用いる必要はないため、小型でも高い電気容量を有し、信頼性の高い電気化学素子複数個を同時に効率よく製造することができる。このような電気化学素子を含む非水電解液二次電池を用いることにより、信頼性の高い携帯電話、携帯情報端末機器、カムコーダ、パーソナルコンピュータ、PDA、携帯音響機器、電気自動車、ロードレベリング用電源などの機器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シート状の絶縁性基材に導電層および第1電極合剤層を所定のパターンで形成し、第1電極群を得る工程を示す図である。
【図2】シート状の絶縁性基材に導電層および第2電極合剤層を所定のパターンで形成し、第2電極群を得る工程を示す図である。
【図3】図1の(b)および図2の(b)に示す第1電極群および第2電極群をより詳細に表した図である。
【図4】長尺状の第1電極群および第2電極群を、セパレータを介して積層しながら連続的に積層体として供給する様子を示す図である。
【図5】図4のXで示される部分の拡大図である。
【図6】ボビンに巻き取られるセパレータ、第1電極群、セパレータおよび第2電極群の積層体の様子を示す図である。
【図7】ボビンに巻き取られた積層体の両端部を切断する様子を説明するための図である。
【図8】両端部を切断した後の積層体の様子を示す図である。
【図9】本発明に係る電気化学素子の製造方法によって得られる積層型極板群の断面図である。
【図10】絶縁性基材にマトリクス状に導電層を形成する様子を示す図である。
【図11】図10に示す集電体に電極合剤層を形成する様子を示す図である。
【符号の説明】
1a 第1集電体
1b 第2集電体
10a、10b 樹脂シート
11a、11b 導電層
11x、11y 絶縁部
12x、12y 接続部
12a 第1電極合剤層
12b 第2電極合剤層
13a、13b 間隙
14 第1電極群
15 第2電極群
16 セパレータ
17a 第1端子
17b 第2端子
18a、18b 絶縁材料部
20 セパレータ
21 第1電極群
22 セパレータ
23 第2電極群
24a、24b、24c ローラ
25 ボビン
26a、26b 積層部分
26c 折曲部
28 間隙
31a、31b 樹脂シート
32a 第1電極合剤層
32b 第2電極合剤層
33a、33b、34a、34b 導電露出部
35a、35b 絶縁露出部
Claims (6)
- 長尺状の第1電極群および第2電極群を、セパレータを介して積層しながら連続的に積層体として供給する工程と、前記積層体を平板状のボビンで巻き取る工程と、前記ボビンに巻き取られた積層体を切断し、複数個の積層型極板群を得る工程とを含む電気化学素子の製造方法。
- シート状の絶縁性基材の両面に所定のパターンに基づいて導電層を設けて第1集電体および第2集電体を得る工程と、前記導電層の上に、それぞれ前記パターンに対応させるとともに間隙を設けて第1電極合剤層および第2電極合剤層を形成する工程とにより、前記第1電極および第2電極を得ることを特徴とする請求項1記載の電気化学素子の製造方法。
- 前記所定のパターンが、マトリクス状であることを特徴とする請求項2記載の電気化学素子の製造方法。
- 前記所定のパターンが、平行に並ぶ帯状であることを特徴とする請求項2記載の電気化学素子の製造方法。
- 前記間隙において前記導電層上に、前記第1電極合剤層および前記第2電極合剤層を挟む位置に、絶縁材料部を形成する工程を含むことを特徴とする請求項2記載の電気化学素子の製造方法。
- 前記積層型極板群の対向する第1側面および第2側面を金属で被覆し、第1端子および第2端子を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の電気化学素子の製造方法。
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