JP2004253292A - 密閉式蓄電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】電極と端子を結ぶ電気回路に圧力スイッチ機能を持たせた密閉式蓄電池であって、気密性の高い封口機能を有する密閉式電池を提供する。
【解決手段】本発明に係る密閉式蓄電池は、合成樹脂の成形体からなる封口部材に設けた筒状の透孔に、電池の内部に収納した電極と電池の外面に配置した端子とを結ぶ電気回路を構成する金属製接続部材を貫通させ、前記透孔の壁面と接続部材の壁面とを気密に当接してなる密閉式蓄電池において、前記透孔の筒状部分の外側に筒状剛体を嵌合させて、前記接続部材と筒状剛体により前記透孔の筒状部分を狭持してなる密閉式蓄電池である。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明に係る密閉式蓄電池は、合成樹脂の成形体からなる封口部材に設けた筒状の透孔に、電池の内部に収納した電極と電池の外面に配置した端子とを結ぶ電気回路を構成する金属製接続部材を貫通させ、前記透孔の壁面と接続部材の壁面とを気密に当接してなる密閉式蓄電池において、前記透孔の筒状部分の外側に筒状剛体を嵌合させて、前記接続部材と筒状剛体により前記透孔の筒状部分を狭持してなる密閉式蓄電池である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、密閉式蓄電池に関するものであり、合成樹脂の成型体からなる封口部材に設けた透孔に、電極と電池の端子を結ぶ電気回路を構成する金属製接続部材を貫通させ、前記透孔の壁面と接続部材の壁面とを気密に当接してなる密閉式蓄電池に関するものである。特に電池内圧の大きさに呼応して、電池の内部に収容した正極と負極のうちの一方の電極と電池の外面に配置した端子とを結ぶ電気回路のONとOFFの切り替えを司るスイッチ機能(圧力スイッチ機能)を有する密閉式蓄電池に関するものである。なおここでいう密閉式蓄電池とは完全な密閉式蓄電池のみでなく、制御弁式鉛蓄電池など逆止弁を備える蓄電池を含む。
【0002】
【従来の技術】
密閉形のアルカリ蓄電池や制御弁式鉛蓄電池等の密閉型蓄電池は、耐過充電特性に優れ、一般ユーザーにとって使い易い電池であるところから、携帯電話、小型電動工具、小型パーソナルコンピュータ等の携帯用小型電子機器類用の電源、自動車積載用電源および非常用電源として広く利用されている。
【0003】
従来より密閉式アルカリ蓄電池においてよく用いられる構成は、図7に示すように正極、セパレータおよび負極からなる極板群を金属製の有底筒状の電槽23内に収容し、電槽の開口端に合成樹脂成形体からなるガスケット27を介して金属製の蓋24を載置し電槽23の開口端を折り曲げて蓋24とガスケット27、電槽23とガスケット27をそれぞれ気密に当接させ、かつ、端子25と蓋24に囲まれた空間に配置した合成ゴムの成形体からなる弾性体28を蓋24の上面に押し当て蓋24の中央に設けた排気用の小孔29を弾性体28で塞ぐことにより気密に密閉していた。また、電極(正極)22と外面に端子25を接合した蓋24とをタブ端子26で接続していた。
【0004】
図7に示した従来の密閉式アルカリ蓄電池の場合は、急速充電や過充電などによって電池内に気体が発生し、電池の内圧が異常に高くなったときには、電池の内圧により前記弾性体が上方に押し上げられて透孔29が開口し電池内の気体は、蓋4に設けた透孔29および端子25に設けた透孔30を経由して外部に排気される(ベント機能の作動。ここでいう電池の内圧が異常に高くなるとは、ベント機能が作動するに至った状況を指す。)。
【0005】
前記充電によって発生する気体は、電解液を構成する水分子が分解あるいは電池温度が上昇して気化することによって生成したものである。従って、ベント機能が作動して電池内の気体を外部に排出すると電解液量が減少し、電池性能の低下に直結するので好ましくない。
【0006】
従来、充電時の電池の内圧の異常な上昇や電池温度の上昇を避ける方法として密閉式電池に前記圧力スイッチ機能を持たせることが提案されている。該提案によれば、圧力スイッチ機能を働かせることによって電池温度が電池にとって好ましい温度範囲の上限を超えて上昇しないように電池温度を制御できるとしている。
【0007】
【特許文献1】
WO 02/35618 A1 号公報(FIG.2A、FIG.2B)
【0008】
特許文献5によれば、図5に示すように筒状の電槽11の開放端(図の上部)に、電気絶縁性の封口部材1とリング状金属板5を配置し、封口部材1の中心部分に筒状の透孔2を設け、該透孔に電極10と端子6を結ぶ電気回路を構成する接続部材3を貫通させている。
【0009】
透孔2の内壁と接続部材3の側壁、封口部材1の外周面と電槽の内壁およびリング状金属板5の外周壁と封口部材1をそれぞれ気密に当接させることによって電池を気密に密閉している。
【0010】
電極10と接続部材3とはタブ端子9を介して接続している。接続部材の側壁上部にはリング状の金属製接続片4が接合されており、該接続片4の上面および接続部材3の上部は図に示すように電気絶縁層8で被覆している。前記リング状金属板5の外面(図では上の面)には端子6が接合されており、端子6とリング状金属板5で囲まれた空間に弾性体7を挿入し、該弾性体7によって電気絶縁層を介して接続部材3を電池の内側方向(図では下方向)に押圧している。
【0011】
電池の内圧が規定値以下のときは、弾性体7の押圧力が電池の内圧に勝るため、接続部材3が電池の内方向(図では下方)に押されて、図に示すように、接続片4の下面がリング状金属板5の上面に当接し電極10と端子6を結ぶ回路はONになる。電池の内圧が規定値を超えたときには、電池の内圧が弾性体7の押圧力に勝るため接続部材3が電池の外方向(図では上方向)押されて、接続片8とリング状金属板5が離れて電気回路がOFFに切り替わる。
【0012】
図6は、封口部材1に設けた筒状の透孔2の内壁と接続部材3の側壁を気密に当接させる方法を模式的に示した図である。金属製の接続部材3の円柱部分を合成樹脂成形体からなる封口部材2の透孔に挿通し、接続片4を接続部材3の側壁に接合した後、接続部材3に上下方向の力を加えて接続部材3の円柱部分の径を大きくすることによって、透孔2の内壁と接続部材3の側壁とを気密に当接させる。ただし、接続部材3を上下から加圧したときに接続部材3の円柱分部の径が均一に大きくなるのではなく、図6に示すように、円柱部分の中間部分の径が最も大きくなる傾向にある。このように、円柱部分の中間部分の径が大きくなると透孔2の径が押し広げられ、接続部材の円柱部分の上部と下部に、図に示すように接続部材の側壁と封口部材に設けた透孔2の内壁の間に極小さいが隙間が生じて、十分な気密性が得られない虞がある。
【0013】
封口部分の気密性が十分でないものは、気密不良に起因する悪影響を受ける虞がある。具体的には、電池内で発生した気体の漏出に伴う電解液の減少による性能の低下、電解液の漏出(漏液)、圧力スイッチの機能低下に伴う電池温度の制御機能の低下などである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の欠点に鑑みなされたものであって、合成樹脂の成形体からなる封口部材に設けた筒状の透孔に、電池の内部に収納した電極と電池の外面に配置した端子とを結ぶ電気回路を構成する金属製接続部材を貫通させ、前記透孔の壁面と接続部材の壁面とを気密に当接してなる密閉式蓄電池において、封口部分の気密性を高めるものであり、特に前記圧力スイッチ機能を備えた密閉式電池のスイッチ機能の信頼性を高めるものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、合成樹脂の成形体からなる封口部材に設けた筒状の透孔に、電池の内部に収納した電極と電池の外面に配置した端子とを結ぶ電気回路を構成する金属製接続部材を貫通させ、前記透孔の壁面と接続部材の壁面とを気密に当接してなる密閉式蓄電池において、前記透孔の筒状部分の外側に筒状剛体を嵌合させて、前記接続部材と筒状剛体により前記透孔の筒状部分を狭持することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態をニッケル電極を正極とするアルカリ蓄電池を例に採り、図面に基づいて説明する。
(本発明の第1の実施形態)
図1は、本発明に係るアルカリ蓄電池の封口構造に関して、その実施形態を説明するための図であって、円筒型密閉式アルカリ蓄電池の上部封口部分の断面図である。基本的な構造は、前記図5に示した従来例と同じであるが、合成樹脂成形体からなる封口部材1の中心部分に設けた透孔2の筒状部分の外側に筒状剛体12を嵌着させた点において従来のものと相違する。該筒状剛体の材質は特に限定されるものではないが、ニッケル等の金属、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の成形体、ガラス繊維や炭素繊維を混合して剛性を高めた強化プラスチック、セラミック等が適用できるが、強度が大きいことと加工が容易であるところから金属製が好ましい。
【0017】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る封口部材1に設けた透孔2の内壁と接続部材3の側壁を気密に当接させる方法を説明するため図である。透孔2に接続部材3の円柱部分を挿通させ、透孔2の筒状部分の外側に筒状剛体12を嵌着させたのち前記筒状接続部材3を上下から力を加え、接続部材3の円柱部分の径を大きくする。前記筒状剛体12を嵌着したために、接続部材3の円柱部分の径が大きくなっても透孔2が押し広げられて前記筒条文の上部および下部に隙間が生じることがない。図に示したように筒状剛体12の内壁が透孔2の筒状部分の外壁に食い込む形となる。ことによって、透孔2の内壁と接続部材3の側壁とを気密に当接させることができる。
【0018】
また、金属製の筒状剛体12を採用すれば、図2の実施形態に示したように接続部材に上下方向から圧力を加えて接続部材の径を大きくするのではなく、筒状剛体の壁面に軸方向の力(ラジアルな押圧)を加えて筒状剛体の径を絞ることによって筒状剛体を透孔2の筒状部分に食い込ませると同時に接続部材3の側壁と透孔2の内壁を気密に当接することができる。筒状剛体の径を容易に均一に絞ることができ、前記図6に示した従来例のように接続部材の円柱部分の上部と下部において、接続部材の側壁と透孔の内壁との間に隙間が生じることがない。
【0019】
(本発明の第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係る電池の封口構造を説明するための図であって封口部材1と接続部材3及び筒状剛体12、リング状接続片4の断面図である。前記第1の実施の形態との相違点は、筒状剛体の上端及び下端に環状突起13を設けた点である。環状突起13の高さ、幅、断面形状等は特に限定されるものではない。該環状突起13は、封口材1に設けた透孔2の筒状部分に食い込み、接続部材3の側壁と透孔2の内壁の当接面は、高い気密性を有する。
【0020】
(本発明の第3の実施形態)
図4は、本発明の第3の実施形態に係る電池の封口構造を説明するための図であって封口部材1と接続部材3及び筒状剛体12、リング状接続片4の断面図である。前記第1の実施の形態との相違点は、接続部材3の側壁に環状突起14を設けた点である。金属製筒状剛体12の径を絞ることによって透孔2の内壁に環状突起14が食い込み、接続部材3の側壁と透孔2の内壁との当接面に高い気密性が確保される。
【0021】
以上、負極に水素吸蔵合金を活物質とするニッケル水素蓄電池を例に採って説明したが、本発明はニッケル水素電池に限定されるものではなく、負極にカドミウムを用いたニッケルカドミウム電池にも適用可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の請求項1によれば、合成樹脂成形体からなる封口部材を電極と端子を結ぶ電気回路が貫通してなる密閉式蓄電池において、気密性を高めた密閉式蓄電池を提供することができる。
【0023】
本発明の請求項2、請求項3および請求項4によれば、前記請求項1に係る密閉式電池の気密性をさらに高めることができる。
【0024】
本発明の請求項5によれば、電極と端子を結ぶ電気回路に圧力スイッチ機能を持たせた密閉式蓄電池において、気密性を高めることによって、圧力スイッチ機能の信頼性を高めた密閉式蓄電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の1実施形態に係る密閉式アルカリ蓄電池内部の要部を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の1実施例に係る封口部材の筒状透孔の内壁と接続部材の側壁を気密に当接せせる方法を説明するための図である。
【図3】図3は、本発明の1実施例に係る封口部材の筒状透孔の内壁と接続部材の側壁を気密に当接せせる方法を説明するための図である。
【図4】図4は、本発明の1実施例に係る封口部材の筒状透孔の内壁と接続部材の側壁を気密に当接せせる方法を説明するための図である。
【図5】図5は、従来の1実施形態に係る密閉式アルカリ蓄電池内部の要部を示す断面図である。
【図6】図6は、従来の1実施例に係る封口部材の筒状透孔の内壁と接続部材の側壁を気密に当接させる方法を説明するための図である。
【図7】図7は、従来の密閉式電池の封口の構造を示す電池要部の断面図である。
【符号の説明】
1 封口部材
2 筒状透孔
3 接続部材
12 筒状剛体
13 筒状剛体の内壁に設けた環状突起
14 接続部材の側壁に設けた環状突起
【発明の属する技術分野】
本発明は、密閉式蓄電池に関するものであり、合成樹脂の成型体からなる封口部材に設けた透孔に、電極と電池の端子を結ぶ電気回路を構成する金属製接続部材を貫通させ、前記透孔の壁面と接続部材の壁面とを気密に当接してなる密閉式蓄電池に関するものである。特に電池内圧の大きさに呼応して、電池の内部に収容した正極と負極のうちの一方の電極と電池の外面に配置した端子とを結ぶ電気回路のONとOFFの切り替えを司るスイッチ機能(圧力スイッチ機能)を有する密閉式蓄電池に関するものである。なおここでいう密閉式蓄電池とは完全な密閉式蓄電池のみでなく、制御弁式鉛蓄電池など逆止弁を備える蓄電池を含む。
【0002】
【従来の技術】
密閉形のアルカリ蓄電池や制御弁式鉛蓄電池等の密閉型蓄電池は、耐過充電特性に優れ、一般ユーザーにとって使い易い電池であるところから、携帯電話、小型電動工具、小型パーソナルコンピュータ等の携帯用小型電子機器類用の電源、自動車積載用電源および非常用電源として広く利用されている。
【0003】
従来より密閉式アルカリ蓄電池においてよく用いられる構成は、図7に示すように正極、セパレータおよび負極からなる極板群を金属製の有底筒状の電槽23内に収容し、電槽の開口端に合成樹脂成形体からなるガスケット27を介して金属製の蓋24を載置し電槽23の開口端を折り曲げて蓋24とガスケット27、電槽23とガスケット27をそれぞれ気密に当接させ、かつ、端子25と蓋24に囲まれた空間に配置した合成ゴムの成形体からなる弾性体28を蓋24の上面に押し当て蓋24の中央に設けた排気用の小孔29を弾性体28で塞ぐことにより気密に密閉していた。また、電極(正極)22と外面に端子25を接合した蓋24とをタブ端子26で接続していた。
【0004】
図7に示した従来の密閉式アルカリ蓄電池の場合は、急速充電や過充電などによって電池内に気体が発生し、電池の内圧が異常に高くなったときには、電池の内圧により前記弾性体が上方に押し上げられて透孔29が開口し電池内の気体は、蓋4に設けた透孔29および端子25に設けた透孔30を経由して外部に排気される(ベント機能の作動。ここでいう電池の内圧が異常に高くなるとは、ベント機能が作動するに至った状況を指す。)。
【0005】
前記充電によって発生する気体は、電解液を構成する水分子が分解あるいは電池温度が上昇して気化することによって生成したものである。従って、ベント機能が作動して電池内の気体を外部に排出すると電解液量が減少し、電池性能の低下に直結するので好ましくない。
【0006】
従来、充電時の電池の内圧の異常な上昇や電池温度の上昇を避ける方法として密閉式電池に前記圧力スイッチ機能を持たせることが提案されている。該提案によれば、圧力スイッチ機能を働かせることによって電池温度が電池にとって好ましい温度範囲の上限を超えて上昇しないように電池温度を制御できるとしている。
【0007】
【特許文献1】
WO 02/35618 A1 号公報(FIG.2A、FIG.2B)
【0008】
特許文献5によれば、図5に示すように筒状の電槽11の開放端(図の上部)に、電気絶縁性の封口部材1とリング状金属板5を配置し、封口部材1の中心部分に筒状の透孔2を設け、該透孔に電極10と端子6を結ぶ電気回路を構成する接続部材3を貫通させている。
【0009】
透孔2の内壁と接続部材3の側壁、封口部材1の外周面と電槽の内壁およびリング状金属板5の外周壁と封口部材1をそれぞれ気密に当接させることによって電池を気密に密閉している。
【0010】
電極10と接続部材3とはタブ端子9を介して接続している。接続部材の側壁上部にはリング状の金属製接続片4が接合されており、該接続片4の上面および接続部材3の上部は図に示すように電気絶縁層8で被覆している。前記リング状金属板5の外面(図では上の面)には端子6が接合されており、端子6とリング状金属板5で囲まれた空間に弾性体7を挿入し、該弾性体7によって電気絶縁層を介して接続部材3を電池の内側方向(図では下方向)に押圧している。
【0011】
電池の内圧が規定値以下のときは、弾性体7の押圧力が電池の内圧に勝るため、接続部材3が電池の内方向(図では下方)に押されて、図に示すように、接続片4の下面がリング状金属板5の上面に当接し電極10と端子6を結ぶ回路はONになる。電池の内圧が規定値を超えたときには、電池の内圧が弾性体7の押圧力に勝るため接続部材3が電池の外方向(図では上方向)押されて、接続片8とリング状金属板5が離れて電気回路がOFFに切り替わる。
【0012】
図6は、封口部材1に設けた筒状の透孔2の内壁と接続部材3の側壁を気密に当接させる方法を模式的に示した図である。金属製の接続部材3の円柱部分を合成樹脂成形体からなる封口部材2の透孔に挿通し、接続片4を接続部材3の側壁に接合した後、接続部材3に上下方向の力を加えて接続部材3の円柱部分の径を大きくすることによって、透孔2の内壁と接続部材3の側壁とを気密に当接させる。ただし、接続部材3を上下から加圧したときに接続部材3の円柱分部の径が均一に大きくなるのではなく、図6に示すように、円柱部分の中間部分の径が最も大きくなる傾向にある。このように、円柱部分の中間部分の径が大きくなると透孔2の径が押し広げられ、接続部材の円柱部分の上部と下部に、図に示すように接続部材の側壁と封口部材に設けた透孔2の内壁の間に極小さいが隙間が生じて、十分な気密性が得られない虞がある。
【0013】
封口部分の気密性が十分でないものは、気密不良に起因する悪影響を受ける虞がある。具体的には、電池内で発生した気体の漏出に伴う電解液の減少による性能の低下、電解液の漏出(漏液)、圧力スイッチの機能低下に伴う電池温度の制御機能の低下などである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の欠点に鑑みなされたものであって、合成樹脂の成形体からなる封口部材に設けた筒状の透孔に、電池の内部に収納した電極と電池の外面に配置した端子とを結ぶ電気回路を構成する金属製接続部材を貫通させ、前記透孔の壁面と接続部材の壁面とを気密に当接してなる密閉式蓄電池において、封口部分の気密性を高めるものであり、特に前記圧力スイッチ機能を備えた密閉式電池のスイッチ機能の信頼性を高めるものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、合成樹脂の成形体からなる封口部材に設けた筒状の透孔に、電池の内部に収納した電極と電池の外面に配置した端子とを結ぶ電気回路を構成する金属製接続部材を貫通させ、前記透孔の壁面と接続部材の壁面とを気密に当接してなる密閉式蓄電池において、前記透孔の筒状部分の外側に筒状剛体を嵌合させて、前記接続部材と筒状剛体により前記透孔の筒状部分を狭持することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態をニッケル電極を正極とするアルカリ蓄電池を例に採り、図面に基づいて説明する。
(本発明の第1の実施形態)
図1は、本発明に係るアルカリ蓄電池の封口構造に関して、その実施形態を説明するための図であって、円筒型密閉式アルカリ蓄電池の上部封口部分の断面図である。基本的な構造は、前記図5に示した従来例と同じであるが、合成樹脂成形体からなる封口部材1の中心部分に設けた透孔2の筒状部分の外側に筒状剛体12を嵌着させた点において従来のものと相違する。該筒状剛体の材質は特に限定されるものではないが、ニッケル等の金属、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の成形体、ガラス繊維や炭素繊維を混合して剛性を高めた強化プラスチック、セラミック等が適用できるが、強度が大きいことと加工が容易であるところから金属製が好ましい。
【0017】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る封口部材1に設けた透孔2の内壁と接続部材3の側壁を気密に当接させる方法を説明するため図である。透孔2に接続部材3の円柱部分を挿通させ、透孔2の筒状部分の外側に筒状剛体12を嵌着させたのち前記筒状接続部材3を上下から力を加え、接続部材3の円柱部分の径を大きくする。前記筒状剛体12を嵌着したために、接続部材3の円柱部分の径が大きくなっても透孔2が押し広げられて前記筒条文の上部および下部に隙間が生じることがない。図に示したように筒状剛体12の内壁が透孔2の筒状部分の外壁に食い込む形となる。ことによって、透孔2の内壁と接続部材3の側壁とを気密に当接させることができる。
【0018】
また、金属製の筒状剛体12を採用すれば、図2の実施形態に示したように接続部材に上下方向から圧力を加えて接続部材の径を大きくするのではなく、筒状剛体の壁面に軸方向の力(ラジアルな押圧)を加えて筒状剛体の径を絞ることによって筒状剛体を透孔2の筒状部分に食い込ませると同時に接続部材3の側壁と透孔2の内壁を気密に当接することができる。筒状剛体の径を容易に均一に絞ることができ、前記図6に示した従来例のように接続部材の円柱部分の上部と下部において、接続部材の側壁と透孔の内壁との間に隙間が生じることがない。
【0019】
(本発明の第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係る電池の封口構造を説明するための図であって封口部材1と接続部材3及び筒状剛体12、リング状接続片4の断面図である。前記第1の実施の形態との相違点は、筒状剛体の上端及び下端に環状突起13を設けた点である。環状突起13の高さ、幅、断面形状等は特に限定されるものではない。該環状突起13は、封口材1に設けた透孔2の筒状部分に食い込み、接続部材3の側壁と透孔2の内壁の当接面は、高い気密性を有する。
【0020】
(本発明の第3の実施形態)
図4は、本発明の第3の実施形態に係る電池の封口構造を説明するための図であって封口部材1と接続部材3及び筒状剛体12、リング状接続片4の断面図である。前記第1の実施の形態との相違点は、接続部材3の側壁に環状突起14を設けた点である。金属製筒状剛体12の径を絞ることによって透孔2の内壁に環状突起14が食い込み、接続部材3の側壁と透孔2の内壁との当接面に高い気密性が確保される。
【0021】
以上、負極に水素吸蔵合金を活物質とするニッケル水素蓄電池を例に採って説明したが、本発明はニッケル水素電池に限定されるものではなく、負極にカドミウムを用いたニッケルカドミウム電池にも適用可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の請求項1によれば、合成樹脂成形体からなる封口部材を電極と端子を結ぶ電気回路が貫通してなる密閉式蓄電池において、気密性を高めた密閉式蓄電池を提供することができる。
【0023】
本発明の請求項2、請求項3および請求項4によれば、前記請求項1に係る密閉式電池の気密性をさらに高めることができる。
【0024】
本発明の請求項5によれば、電極と端子を結ぶ電気回路に圧力スイッチ機能を持たせた密閉式蓄電池において、気密性を高めることによって、圧力スイッチ機能の信頼性を高めた密閉式蓄電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の1実施形態に係る密閉式アルカリ蓄電池内部の要部を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の1実施例に係る封口部材の筒状透孔の内壁と接続部材の側壁を気密に当接せせる方法を説明するための図である。
【図3】図3は、本発明の1実施例に係る封口部材の筒状透孔の内壁と接続部材の側壁を気密に当接せせる方法を説明するための図である。
【図4】図4は、本発明の1実施例に係る封口部材の筒状透孔の内壁と接続部材の側壁を気密に当接せせる方法を説明するための図である。
【図5】図5は、従来の1実施形態に係る密閉式アルカリ蓄電池内部の要部を示す断面図である。
【図6】図6は、従来の1実施例に係る封口部材の筒状透孔の内壁と接続部材の側壁を気密に当接させる方法を説明するための図である。
【図7】図7は、従来の密閉式電池の封口の構造を示す電池要部の断面図である。
【符号の説明】
1 封口部材
2 筒状透孔
3 接続部材
12 筒状剛体
13 筒状剛体の内壁に設けた環状突起
14 接続部材の側壁に設けた環状突起
Claims (5)
- 合成樹脂の成形体からなる封口部材に設けた筒状の透孔に、電池の内部に収納した電極と電池の外面に配置した端子とを結ぶ電気回路を構成する金属製接続部材を貫通させ、前記透孔の壁面と接続部材の壁面とを気密に当接してなる密閉式蓄電池において、前記透孔の筒状部分の外側に筒状剛体を嵌合させて、前記接続部材と筒状剛体により前記透孔の筒状部分を狭持してなることを特徴とする密閉型蓄電池。
- 前記筒状剛体を前記透孔の筒状部分の壁面に食い込ませたことを特徴とする請求項1記載の密閉型蓄電池。
- 前記筒状剛体の内壁面の少なくとも上端および下端に環状凸部を設けたことを特徴とする請求項2記載の密閉型蓄電池。
- 前記接続部材の側壁に環状突起を設けたことを特徴とする請求項1記載の密閉式蓄電池。
- 前記封口部材が、その外周部分と前記透孔を形成する筒状部分との間に可撓性を持たせ、前記接続部材の位置が電池の内圧の大きさに応じて変化することを利用して前記電気回路に、電池の内圧が規定値を超えたときに電気回路をONからOFFに切り替え、電池の内圧が規定値以下になったときに電気回路をOFFからONに切り替えるスイッチ機能を持たせたことを特徴とする請求項1記載の密閉式蓄電池。
Priority Applications (1)
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Applications Claiming Priority (1)
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JP (1) | JP2004253292A (ja) |
-
2003
- 2003-02-21 JP JP2003043629A patent/JP2004253292A/ja active Pending
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