JP2004253268A - 非接触給電用給電線及び非接触給電システム - Google Patents
非接触給電用給電線及び非接触給電システム Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004253268A JP2004253268A JP2003043001A JP2003043001A JP2004253268A JP 2004253268 A JP2004253268 A JP 2004253268A JP 2003043001 A JP2003043001 A JP 2003043001A JP 2003043001 A JP2003043001 A JP 2003043001A JP 2004253268 A JP2004253268 A JP 2004253268A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- power supply
- supply line
- sheath
- coating
- covering portion
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Insulated Conductors (AREA)
- Current-Collector Devices For Electrically Propelled Vehicles (AREA)
Abstract
【課題】敷設及び敷設後の配線の修正が容易であり、更に、敷設後に支持部材から垂れ下がることを防止できる非接触給電用給電線、及び該非接触給電用給電線を備える非接触給電システムを提供する。
【解決手段】その保護及び絶縁のために、導線410を軟質被覆411で被覆し、次に、硬質被覆412より低い硬度を有する摺動被覆413で被覆し、更に、軟質被覆411の硬度より高い硬度を有する硬質被覆412で被覆して給電線41を形成し、シースを用いることなく支持部材14,14,…に取り付ける。給電線41を屈曲させる場合は、屈曲部分の硬質被覆412を除去する。
【選択図】 図5
【解決手段】その保護及び絶縁のために、導線410を軟質被覆411で被覆し、次に、硬質被覆412より低い硬度を有する摺動被覆413で被覆し、更に、軟質被覆411の硬度より高い硬度を有する硬質被覆412で被覆して給電線41を形成し、シースを用いることなく支持部材14,14,…に取り付ける。給電線41を屈曲させる場合は、屈曲部分の硬質被覆412を除去する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、交流電流を流すべき非接触給電用給電線、及び該非接触給電用給電線を備える非接触給電システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の非接触給電システムは、交流電流が流れる非接触給電用給電線(以下、給電線という)と、給電線から物理的に非接触の状態で受電して負荷へ給電する非接触給電装置とを備える。
【0003】
図7は、従来の給電線44の構成を示す模式図であり、図7(a)は給電線44の断面図を示し、図7(b)は側面視の斜視図を示している。
略円形の断面形状を有する直径13mmの給電線44は、導線440を中心部に備える。導線440の断面形状は円形であり、導線440の保護及び絶縁のために、導線440の周面を、合成樹脂(例えばポリエチレン)を用いてなる軟質被覆441が覆っている。給電線44を曲線的に配置する場合があるため、軟質被覆441は、給電線44を容易に湾曲又は屈曲させることができる硬度(低い硬度)に形成されている。
【0004】
給電線44を略水平に敷設する場合、給電線44は、例えば、水平方向に夫々離隔して設けられた複数の支持部材15,15,…に取り付けられる。その際、給電線44を直接的に支持部材15,15,…に取り付けたときは、軟質部材の硬度が低いため、支持部材15と支持部材15との間で、自重によって給電線44が垂れてしまったり、垂れた給電線44が、非接触給電装置が備えるピックアップに接触してしまったりすることがあった。
【0005】
給電線44の垂れを防止する場合、従来、給電線44をシース16に挿入させて支持部材15,15,…に取り付ける方法が実施されている。
シース16は、厚さ1mmの円筒状であり、その内部への給電線44の挿入が容易であるように、その内径が、給電線44の外径より大きくなるよう形成されている。ただし、シース16の外径は、シース16が、前記ピックアップに接触しない外径である。また、シース16は、軟質被覆441より硬度が高くなるよう合成樹脂(例えばポリプロピレン)を用いて形成されている。このため、シース16は、容易に湾曲又は屈曲せず、給電線44を支持して、給電線44の垂れ及び垂れによる前記ピックアップへの接触を防止している。
即ち、給電線44は、シース16に挿入してあり、該シース16が支持部材15に取り付けられることによって、垂れることなく敷設される。
【0006】
給電線44を屈曲又は湾曲させて敷設する場合、シース16は屈曲又は湾曲しないため、給電線44の屈曲部又は湾曲部の形状に対応している形状のシース16を用いたり、1本のシース16を切断して2本のシース16,16とし、図7(b)に示すように、シース16とシース16との間(継ぎ目)で給電線44を屈曲又は湾曲させたりする。
給電線の垂れを防止する他の方法としては、導線を熱硬化樹脂で被覆してなる給電線を敷設し、敷設後に通電することによって、導線を発熱させ、熱硬化樹脂を硬化させる方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−344602号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シース16を用いる場合は、給電線44の敷設時に、所要の長さのシース16を準備し、又はシース16を所要の長さに切断し、更に、シース16に給電線44を挿入する必要があるという問題があった。また、長いシース16(例えば200m超のシース16)に給電線44を挿入する作業は困難であり、給電線敷設作業のコストアップが生じるという問題もあった。更に、以上のような問題は、敷設後に配線を修正する場合にも生じることがあった。
【0009】
また、シース16の内径が給電線44の外径より大きいため、シース16に挿入してある給電線44とシース16の内面との間に大きな空隙が存在する。このため、給電線44内部の導線440と、非接触給電装置のピックアップが備えるコイルとの間の距離が大きくなり、非接触給電装置の受電能力が低下するという問題もあった。
【0010】
また、図7(b)に示すような給電線44の屈曲部又は湾曲部では、シース16,16の端部が給電線44の接線方向に突出してしまうため、突出した端部が前記ピックアップに接触してしまうことがあるという問題があった。また、この問題を解決すべく、シース16とシース16との継ぎ目が給電線44の直線部にのみ位置するよう各シース16を配置し、更に、給電線44の屈曲又は湾曲に対応する形状のシース16を用意する必要があった。このため、配線を修正する場合は、修正前と異なる長さ又は形状のシース16を新たに用意しなければならない場合もあった。
更に、特許文献1に開示されている給電線は、熱硬化樹脂が硬化してるため、敷設後に配線を修正できないという問題があった。
【0011】
本発明は斯かる問題を解決するためになされたものであり、第1被覆部に覆われた導体を、第1被覆部より硬度が高い第2被覆部で覆うことにより、敷設及び配線の修正が容易であり、しかも垂れを防止できる非接触給電用給電線、及び該非接触給電用給電線を備える非接触給電システムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る非接触給電用給電線は、導体と該導体を被覆する第1被覆部とを備える非接触給電用給電線において、前記第1被覆部を被覆する第2被覆部を備え、該第2被覆部の硬度は前記第1被覆部の硬度より高いことを特徴とする。
【0013】
第1発明にあっては、導体を、その保護及び絶縁のために、第1被覆部で被覆し、更に、第1被覆部の硬度より高い硬度を有する第2被覆部で被覆する。第1被覆部で被覆されただけの導体は過度に柔軟であり、例えば、複数の支持部材に取り付けられて水平に敷設された場合に、支持部材と支持部材との間で垂れ下がることがある。しかしながら、第1被覆部及び第2被覆部で被覆された導体(即ち本発明の非接触給電用給電線)は、適度な硬度を有するため、上述のように水平に敷設された場合であっても、垂れ下がることがない。このため、垂れ下がった非接触給電用給電線が他の装置(例えば非接触給電装置)に接触することが防止される。
【0014】
このような非接触給電用給電線の敷設には、シースが不要であり、また、第1被覆部及び/又は第2被覆部が硬化していないため、敷設、及び敷設後の配線の修正が容易である。
また、非接触給電用給電線が、適度な柔軟性を有することによって、配線の自由度が向上する。更に、第2被覆部を部分的に除去することによって、より高い柔軟性を有する非接触給電用給電線となるため、配線の自由度が更に向上する。
【0015】
第2発明に係る非接触給電用給電線は、前記第1被覆部と前記第2被覆部との間に、前記第1被覆部を被覆し、該第1被覆部又は前記第2被覆部に対して摺動する第3被覆部を介在してなり、該第3被覆部の硬度は前記第2被覆部の硬度より低いことを特徴とする。
【0016】
第2発明にあっては、導体を第1被覆部で被覆し、次に、第2被覆部より低い硬度を有する第3被覆部で被覆し、更に、第2被覆部で被覆する。第1被覆部、第2被覆部及び第3被覆部で被覆された導体(即ち本発明の非接触給電用給電線)は、適度な硬度と柔軟性とを有するため、上述のように水平に敷設された場合であっても垂れ下がることがなく、また、配線の自由度が向上する。
また、第2被覆部を除去する場合に、第3被覆部が第1被覆部を保護する。更に、第3被覆部が第1被覆部又は第2被覆部に対して摺動するため、第2被覆部を除去しない場合であっても非接触給電用給電線がより容易に湾曲する。即ち、このような非接触給電用給電線は、その垂れを防止しつつ配線の自由度を更に向上している。
【0017】
第3発明に係る非接触給電システムは、交流電流を流すべき非接触給電用給電線と、該非接触給電用給電線から非接触で受電して負荷へ給電する非接触給電装置とを備える非接触給電システムにおいて、前記非接触給電用給電線が、第1発明又は第2発明に記載の非接触給電用給電線であることを特徴とする。
【0018】
第3発明にあっては、非接触給電用給電線の垂れが防止されているため、非接触給電用給電線と非接触給電装置との接触が防止されている。また、非接触給電用給電線の敷設時にシースが不要であり、更に、非接触給電用給電線の第1被覆部及び/又は第2被覆部が硬化していない。このため、システムを構成する部品点数が少なく、また、接触給電用給電線の敷設に関するシステムの組み立て及び修正が容易である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態 1.)
図1は、本発明の実施の形態1に係る非接触給電システムを備える移動体2を用いた移動体システムの構成を示す斜視図である。
図中1は、モノレール方式の移動体システムを構成するレールである。該レール1は、工場又は倉庫等の天井に敷設されており、レール1に、システムコントローラ11によって駆動制御される複数の移動体2,2,…が夫々懸架されている。また、レール1は、図示しない複数のステーションを結んで、多重のループ状に設けられており、このため、交差部を有する。
【0020】
交差部には、スイッチレール方式の分岐・合流部10,10,…が設けられており、分岐・合流部10,10,…は、移動体2,2,…の目的地に応じてレール1を切り替えるよう構成してある。
各移動体2は、本実施の形態の非接触給電システムを介して、駆動用の電力を得る。非接触給電システムは、AC200V、60Hzの商用電源9(図4参照)から受電して、高周波(例えば10KHz)の定電流(振幅一定又は実効電流一定の交流電流)を出力する高周波電源装置4と、高周波電源装置4に接続されて高周波の定電流を供給される非接触給電用給電線である給電線41(図4参照)と、各移動体2に載置された非接触給電装置8とを備える。
【0021】
図2及び図3は、移動体2の構成を示す側面図及び正面図である。
移動体システムのレール1はI字型の断面形状を有し、その一側面には、支持腕12,12,…が、レール1の長手方向に適宜の間隔で設けられている。レール1は、支持腕12,12,…によって天井から略水平に吊り下げられている。
レール1の他側面には、給電線取付板13がネジ留めされており、給電線取付板13の上下方向中央部に、棒状部材を用いてなる支持部材14,14,…が多数、適宜の間隔で略水平に並んで設けられている。
給電線41は、支持部材14,14,…の先端部に固定されることによって、レール1に沿って敷設されている。
【0022】
各移動体2は、正面視がコの字状である前後一対の車体枠21,22を備え、該車体枠21,22の上部に、前輪21a及び後輪22aを夫々回動可能に備える。移動体2は、前輪21a及び後輪22aをレール1に転接させることによって、レール1に懸架されている。また、車体枠21には、前輪21a近傍に、前輪21aに連繋する走行用のモータMが固定されている。
移動体2は、被搬送物を着脱可能に取り付けることができるキャリア23を備え、キャリア23は、車体枠21,22夫々の下部にわたして設けられ、車体枠21,22によってレール1の下側に吊り下げられている。
【0023】
移動体2が積載している非接触給電装置8は、ピックアップPを構成するコイル51及びコア52を備え、該ピックアップPは、車体枠21のレール1側に固定されている。移動体2は、非接触給電装置8にモータMを接続してあり(図4参照)、非接触給電装置8を介し、給電線41からモータM駆動用の電力を得て、前輪21a及び後輪22aを回転させ、一のステーションから他のステーションへ被搬送物を搬送すべく白抜矢符方向へ走行する。
【0024】
ピックアップPが備えるコア52は、断面形状がコの字状に形成された磁性体(例えばフェライト)であり、背部及び2本の脚部を有し、前記背部に、コイル51が巻回してある。
レール1に移動体2が載架されている場合、移動体2の車体枠21に取り付けられたピックアップPと、レール1の支持部材14,14,…に取り付けられた給電線41とは、所定の間隔を隔てて対面し、給電線41がコア52の脚部の間に位置するよう配置されている。
高周波電源装置4によって給電線41に高周波交流電流が通電されたとき、給電線41の周囲に、時間的に変化する磁束が形成される。非接触給電装置8は、その磁束がコイル51に鎖交することによってコイル51に発生した誘導起電力を受電し(即ち、非接触で受電し)、負荷であるモータMへ供給する。
【0025】
図4は、非接触給電装置8の構成を示す電気回路図である。
図中9は商用電源であり、商用電源9に接続された高周波電源装置4は、商用電源9の出力を整流し、平滑化して直流とし、該直流をインバータ(DCーAC変換器)に入力して高周波交流電流に変換して、変換した高周波電流を給電線41へ定電流として出力する。
各移動体2に搭載してある非接触給電装置8は、受電回路5を備える。また、受電回路5の出力部に、DCバスDBを介してモータドライバDが接続してあり、モータドライバDは、負荷としてのモータMを駆動する。モータMは交流モータであり、モータドライバDを介して、受電回路5に接続してある。
【0026】
受電回路5は共振回路部50を備え、共振回路部50は、コイル51と、コイル51に並列に接続された共振コンデンサ53とを備える。共振回路部50は、給電線41に誘導結合すべく、給電線41に対し離隔配置されているコイル51のインダクタンスと、共振コンデンサ53のキャパシタンスとが、給電線41を流れる高周波交流電流の周波数と共振状態になるよう構成されている。即ち、共振回路部50は、コイル51に誘起された電力を受けて、高周波交流の定電流源として機能する。
【0027】
受電回路5は、共振回路部50の他に、共振回路部50の出力である定電流を定電圧(振幅一定又は実効電圧一定の交流電圧)に変換するイミタンス変換回路54と、イミタンス変換回路54の出力である定電圧の交流電流を全波整流するダイオードブリッジを用いた整流回路55と、平滑コンデンサを用いてなり、整流回路55が出力した全波整流波形を有する直流電流を平滑化する平滑部56とを備える。
なお、整流回路55を、全波整流するダイオードブリッジの代わりに半波整流するダイオードを用いて構成しても良い。
【0028】
受電回路5は、共振回路部50の出力(定電流)を、イミタンス変換回路54で定電圧に変換し、整流回路55で全波整流し、平滑部56で平滑することによって、直流電流をモータドライバDへ供給する。
モータドライバDはインバータ機能を有するよう構成してあり、供給された直流電流を交流電流に変換して、モータMへ供給する。モータMは、交流電流を受けて回転し、前輪21aを駆動する。
【0029】
図5は、給電線41の構成を示す模式図であり、図5(a)は給電線41の断面図を示し、図5(b)は側面図を示している。
断面形状が略円形の給電線41は、断面形状が略円形の導体である導線410を備え、導線410の保護及び絶縁のため、導線410の周面を、導線410の全長にわたって、合成樹脂(例えばポリエチレン)を用いてなる軟質被覆411(第1被覆部)が密着して覆っている。導線410及び軟質被覆411(軟質被覆411に被覆された導線410)は断面形状が略円形であり、従来の給電線と同じ13mmの直径を有する。また、厚さ0.5mmの硬質被覆412(第2被覆部)が、導線410の全長にわたり、摺動被覆413を介在して、軟質被覆411の周面を覆っている。
【0030】
硬質被覆412は、合成樹脂(例えばポリエチレン)を用いて軟質被覆411の硬度より高い硬度に形成されている。ただし、硬質被覆412の硬度は従来のシースの硬度より低く、かつ、給電線41の湾曲を妨げない。本実施の形態の給電線41は、曲率半径Rが100mm程度の曲線に沿って湾曲させることができる。
また、硬質被覆412は、例えばカッターで切断された場合に、軟質被覆411(及び摺動被覆413)に覆われた導線410から容易に剥がしたり引き抜いたりすることができるよう設けられている。
【0031】
摺動被覆413は、紙テープを用いてなり、軟質被覆411に覆われた導線410を巻回して、軟質被覆411の周面を、導線410の全長にわたって覆っている。摺動被覆413は、軟質被覆411にも硬質被覆412にも固着されておらず、例えば給電線41を湾曲させた場合に、軟質被覆411及び/又は硬質被覆412に対して摺動する。
なお、摺動被覆413は、紙テープのみならず、合成ゴム、合成樹脂、又は布等を用いて構成しても良く、また、テープ状でなくても良い。
【0032】
摺動被覆413は、硬質被覆412を、例えばカッターで切断する場合に、カッターで軟質被覆411が損傷しないだけの硬度及び厚みを有する。ただし、摺動被覆413は、給電線41の湾曲を妨げないよう、硬質被覆412の硬度より低い硬度を有する。また、摺動被覆413の厚みは、従来のシースと給電線との間の空隙の厚みに比べて非常に薄く、また、摺動被覆413は軟質被覆411と硬質被覆412とに夫々接触しているため、軟質被覆411と硬質被覆412との間には、従来の給電線とシースとの間に存在したような大きな空隙がない。このため、給電線41内部の導線410と、非接触給電装置8のピックアップPが備えるコイル51との間の距離が小さくなり、非接触給電装置8の受電能力が向上する。
【0033】
このような給電線41は、導線410を軟質被覆411で被覆し、次いで、摺動被覆413を巻き付け、最後に、硬質被覆412で被覆して形成する。また、このような給電線41を敷設する場合、直線的又は曲線的(100R程度まで)なレール1が備える支持部材14,14,…に取り付ける際には、従来のようなシースを用いず、直接的に給電線41を支持部材14,14,…に取り付ける。このとき、硬質被覆412が十分な硬度を有するため、給電線41の垂れが防止される。即ち、給電線41は、従来の給電線とシースの機能とを一体に設けてあり、敷設時に給電線41の長さに合わせてシースを切断したり、シースに給電線を通したりする作業が必要なく、作業工数が少ない。
【0034】
より曲線的な部位に給電線41を取り付ける場合、又は給電線41を屈曲させる場合、給電線41の湾曲部分又は屈曲部分(例えば図5(b)中のC。以下、曲部Cという)の位置にある硬質被覆412を除去して用いる。このとき、曲部C以外(例えば支持部材14,14,…に取り付ける部分)の位置にある硬質被覆412を除去しないことによって、給電線41の垂れが防止される。また、硬質被覆412はシースよりも硬度が低いため、切断し易く、剥がしたり引き抜いたりし易い。更に、硬質被覆412の切断時に、摺動被覆413が軟質被覆411を保護して、軟質被覆411の損傷を防止する。
【0035】
また、給電線41は、取り付けの際にシースが不要であるため、非接触給電システムの部品点数を削減して簡易な構成とし、また、シースを用いない分だけ作業工数を低減し、シースの継ぎ目がレール1の直線部に位置するよう配置したり給電線41の配置形状に応じた形状のシースを準備したりする必要もないため、非接触給電システムの組み立てを容易にする。
更に、給電線41は、シースが不要であり、硬質被覆412も適度の柔軟性を有するため、配線の修正が容易である。
なお、給電線41の端部においても、例えば高周波電源装置4に接続し易くなるよう、硬質被覆412を除去しても良い。
【0036】
(実施の形態 2.)
図6は、本発明の実施の形態2に係る給電線42,43の構成を示す模式図であり、図6(a)は一の給電線42の断面図を示し、図6(b)は他の給電線43の断面図を示している。
本発明の実施の形態2に係る非接触給電システムは、給電線42又は給電線43と、実施の形態1の非接触給電装置8とで構成される。
【0037】
図6(a)の給電線42は、断面形状が略円形の導体である導線420を備え、該導線420の周面を、導線420の全長にわたって、軟質被覆421が密着して覆っている。軟質被覆421に被覆された導線420は断面形状が略円形であり、従来の給電線と同じ13mmの直径を有する。また、硬質被覆422が、導線420の全長にわたり、摺動被覆423を介在して、軟質被覆421の周面を覆って、給電線42の断面形状を略矩形に形成している。
【0038】
図6(b)の給電線43は、断面形状が略矩形の導体である導線430を備え、該導線430の周面を、導線430の全長にわたって、軟質被覆431が密着して覆っている。軟質被覆431に被覆された導線430は断面形状が略矩形であり、更に、硬質被覆432が、導線430の全長にわたり、摺動被覆433を介在して、軟質被覆431の周面を覆って、給電線43の断面形状を略矩形に形成している。
【0039】
以上のような給電線42,43が備える導線420,430、軟質被覆421,431、硬質被覆422,432、及び摺動被覆423,433は、実施の形態1の給電線41が備える導線410、軟質被覆411、硬質被覆412、及び摺動被覆413に対応する。
その他、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
【0040】
以上のような給電線42,43を敷設する場合、レール1が備える支持部材14,14,…に取り付ける際には、従来のようなシースを用いず、直接的に給電線42,43を支持部材14,14,…に取り付ける。このとき、硬質被覆422,432が十分な硬度を有するため、給電線42,43の垂れが防止される。即ち、給電線42,43は、従来の給電線とシースの機能とを一体に設けてあり、敷設時に給電線42,43の長さに合わせてシースを切断したり、シースに給電線を通したりする作業が必要なく、作業工数が少ない。
【0041】
また、給電線42,43の湾曲部分又は屈曲部分の位置にある硬質被覆422,432を除去し、例えば支持部材14,14,…に取り付ける部分の位置にある硬質被覆422,432を除去しないことによって、給電線42,43を大幅に湾曲又は屈曲させて取り付ける場合であっても、給電線42,43の垂れが防止される。
更に、給電線42,43は、取り付けの際にシースが不要であるため、非接触給電システムの部品点数を削減して簡易な構成とし、また、シースを用いない分だけ作業工数を低減し、シースの継ぎ目がレール1の直線部に位置するよう配置したりレール1の形状に応じた形状のシースを準備したりする必要もないため、非接触給電システムの組み立てを容易にする。
【0042】
また、このような給電線42,43の軟質被覆421,431と硬質被覆422,432との間には、従来の給電線とシースとの間に存在したような大きな空隙がない。このため、給電線42,43内部の導線420,430と、非接触給電装置8のピックアップPが備えるコイル51との間の距離が小さくなり、非接触給電装置8の受電能力が向上する。
更に、給電線42,43の断面形状が略矩形であるため、断面積が同じである場合、給電線41の直径よりも、給電線42,43の厚みの方が小さくなる。このため、ピックアップPと給電線42,43との間のエアギャップが小さいときであっても、ピックアップPに給電線42,43を容易に挿入することができ、また、ピックアップPと給電線42,43との接触を防止できる。
【0043】
【発明の効果】
本発明の非接触給電用給電線及び非接触給電システムによれば、敷設時に、従来の非接触給電用給電線を敷設する場合のようにシースを所要の長さに切断して非接触給電用給電線を挿入させるという工程が必要ない。このため、長いシースに非接触給電用給電線を挿入する困難な作業も不要であり、給電線敷設作業のコストダウンが生じる。更に、敷設後に配線を修正する場合にも、シースが不要であり、配線の修正に伴う新たなシースの準備が必要ない。
【0044】
また、シースを用いないため、シースと非接触給電用給電線との間の空隙も存在せず、非接触給電用給電線内部の導体と、非接触給電装置との間の距離が小さくなり、非接触給電装置の受電能力を向上することができる。また、シースが非接触給電装置に接触することもなく、シースと非接触給電装置との接触を防止するためにシースの配置を考慮(例えば、直線部にのみシースとシースとの継ぎ目を配置)したり、敷設時又は敷設後の配線修正時に、非接触給電用給電線の配置形状(直線、屈曲又は湾曲等)に応じた形状のシースを準備したりする必要もない。
【0045】
また、第2被覆部の硬度がシースの硬度より低いため、第2被覆部を切断して非接触給電用給電線から容易に除去することができる。また、第1被覆部を第3被覆部が被覆している場合は、第2被覆部を切断する際にも、非接触給電用給電線を損傷させることがない。
また、非接触給電用給電線は柔軟性を有するため、敷設時及び敷設後の配線修正時に、配線の自由度を向上することができる。
更に、第3被覆部が第1被覆部と第2被覆部との間で摺動することによって、第2被覆部を除去することなく非接触給電用給電線が湾曲し易くなる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る非接触給電システムを備える移動体を用いた移動体システムの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る非接触給電システムを備える移動体の構成を示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る非接触給電システムを備える移動体の構成を示す正面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る非接触給電システムが備える非接触給電装置の構成を示す電気回路図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る非接触給電システムが備える給電線の構成を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る給電線の構成を示す模式図である。
【図7】従来の給電線の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
41,42,43 給電線
410,420,430 導線
411,421,431 軟質被覆
412,422,432 硬質被覆
413,423,433 摺動被覆
8 非接触給電装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、交流電流を流すべき非接触給電用給電線、及び該非接触給電用給電線を備える非接触給電システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の非接触給電システムは、交流電流が流れる非接触給電用給電線(以下、給電線という)と、給電線から物理的に非接触の状態で受電して負荷へ給電する非接触給電装置とを備える。
【0003】
図7は、従来の給電線44の構成を示す模式図であり、図7(a)は給電線44の断面図を示し、図7(b)は側面視の斜視図を示している。
略円形の断面形状を有する直径13mmの給電線44は、導線440を中心部に備える。導線440の断面形状は円形であり、導線440の保護及び絶縁のために、導線440の周面を、合成樹脂(例えばポリエチレン)を用いてなる軟質被覆441が覆っている。給電線44を曲線的に配置する場合があるため、軟質被覆441は、給電線44を容易に湾曲又は屈曲させることができる硬度(低い硬度)に形成されている。
【0004】
給電線44を略水平に敷設する場合、給電線44は、例えば、水平方向に夫々離隔して設けられた複数の支持部材15,15,…に取り付けられる。その際、給電線44を直接的に支持部材15,15,…に取り付けたときは、軟質部材の硬度が低いため、支持部材15と支持部材15との間で、自重によって給電線44が垂れてしまったり、垂れた給電線44が、非接触給電装置が備えるピックアップに接触してしまったりすることがあった。
【0005】
給電線44の垂れを防止する場合、従来、給電線44をシース16に挿入させて支持部材15,15,…に取り付ける方法が実施されている。
シース16は、厚さ1mmの円筒状であり、その内部への給電線44の挿入が容易であるように、その内径が、給電線44の外径より大きくなるよう形成されている。ただし、シース16の外径は、シース16が、前記ピックアップに接触しない外径である。また、シース16は、軟質被覆441より硬度が高くなるよう合成樹脂(例えばポリプロピレン)を用いて形成されている。このため、シース16は、容易に湾曲又は屈曲せず、給電線44を支持して、給電線44の垂れ及び垂れによる前記ピックアップへの接触を防止している。
即ち、給電線44は、シース16に挿入してあり、該シース16が支持部材15に取り付けられることによって、垂れることなく敷設される。
【0006】
給電線44を屈曲又は湾曲させて敷設する場合、シース16は屈曲又は湾曲しないため、給電線44の屈曲部又は湾曲部の形状に対応している形状のシース16を用いたり、1本のシース16を切断して2本のシース16,16とし、図7(b)に示すように、シース16とシース16との間(継ぎ目)で給電線44を屈曲又は湾曲させたりする。
給電線の垂れを防止する他の方法としては、導線を熱硬化樹脂で被覆してなる給電線を敷設し、敷設後に通電することによって、導線を発熱させ、熱硬化樹脂を硬化させる方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−344602号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シース16を用いる場合は、給電線44の敷設時に、所要の長さのシース16を準備し、又はシース16を所要の長さに切断し、更に、シース16に給電線44を挿入する必要があるという問題があった。また、長いシース16(例えば200m超のシース16)に給電線44を挿入する作業は困難であり、給電線敷設作業のコストアップが生じるという問題もあった。更に、以上のような問題は、敷設後に配線を修正する場合にも生じることがあった。
【0009】
また、シース16の内径が給電線44の外径より大きいため、シース16に挿入してある給電線44とシース16の内面との間に大きな空隙が存在する。このため、給電線44内部の導線440と、非接触給電装置のピックアップが備えるコイルとの間の距離が大きくなり、非接触給電装置の受電能力が低下するという問題もあった。
【0010】
また、図7(b)に示すような給電線44の屈曲部又は湾曲部では、シース16,16の端部が給電線44の接線方向に突出してしまうため、突出した端部が前記ピックアップに接触してしまうことがあるという問題があった。また、この問題を解決すべく、シース16とシース16との継ぎ目が給電線44の直線部にのみ位置するよう各シース16を配置し、更に、給電線44の屈曲又は湾曲に対応する形状のシース16を用意する必要があった。このため、配線を修正する場合は、修正前と異なる長さ又は形状のシース16を新たに用意しなければならない場合もあった。
更に、特許文献1に開示されている給電線は、熱硬化樹脂が硬化してるため、敷設後に配線を修正できないという問題があった。
【0011】
本発明は斯かる問題を解決するためになされたものであり、第1被覆部に覆われた導体を、第1被覆部より硬度が高い第2被覆部で覆うことにより、敷設及び配線の修正が容易であり、しかも垂れを防止できる非接触給電用給電線、及び該非接触給電用給電線を備える非接触給電システムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る非接触給電用給電線は、導体と該導体を被覆する第1被覆部とを備える非接触給電用給電線において、前記第1被覆部を被覆する第2被覆部を備え、該第2被覆部の硬度は前記第1被覆部の硬度より高いことを特徴とする。
【0013】
第1発明にあっては、導体を、その保護及び絶縁のために、第1被覆部で被覆し、更に、第1被覆部の硬度より高い硬度を有する第2被覆部で被覆する。第1被覆部で被覆されただけの導体は過度に柔軟であり、例えば、複数の支持部材に取り付けられて水平に敷設された場合に、支持部材と支持部材との間で垂れ下がることがある。しかしながら、第1被覆部及び第2被覆部で被覆された導体(即ち本発明の非接触給電用給電線)は、適度な硬度を有するため、上述のように水平に敷設された場合であっても、垂れ下がることがない。このため、垂れ下がった非接触給電用給電線が他の装置(例えば非接触給電装置)に接触することが防止される。
【0014】
このような非接触給電用給電線の敷設には、シースが不要であり、また、第1被覆部及び/又は第2被覆部が硬化していないため、敷設、及び敷設後の配線の修正が容易である。
また、非接触給電用給電線が、適度な柔軟性を有することによって、配線の自由度が向上する。更に、第2被覆部を部分的に除去することによって、より高い柔軟性を有する非接触給電用給電線となるため、配線の自由度が更に向上する。
【0015】
第2発明に係る非接触給電用給電線は、前記第1被覆部と前記第2被覆部との間に、前記第1被覆部を被覆し、該第1被覆部又は前記第2被覆部に対して摺動する第3被覆部を介在してなり、該第3被覆部の硬度は前記第2被覆部の硬度より低いことを特徴とする。
【0016】
第2発明にあっては、導体を第1被覆部で被覆し、次に、第2被覆部より低い硬度を有する第3被覆部で被覆し、更に、第2被覆部で被覆する。第1被覆部、第2被覆部及び第3被覆部で被覆された導体(即ち本発明の非接触給電用給電線)は、適度な硬度と柔軟性とを有するため、上述のように水平に敷設された場合であっても垂れ下がることがなく、また、配線の自由度が向上する。
また、第2被覆部を除去する場合に、第3被覆部が第1被覆部を保護する。更に、第3被覆部が第1被覆部又は第2被覆部に対して摺動するため、第2被覆部を除去しない場合であっても非接触給電用給電線がより容易に湾曲する。即ち、このような非接触給電用給電線は、その垂れを防止しつつ配線の自由度を更に向上している。
【0017】
第3発明に係る非接触給電システムは、交流電流を流すべき非接触給電用給電線と、該非接触給電用給電線から非接触で受電して負荷へ給電する非接触給電装置とを備える非接触給電システムにおいて、前記非接触給電用給電線が、第1発明又は第2発明に記載の非接触給電用給電線であることを特徴とする。
【0018】
第3発明にあっては、非接触給電用給電線の垂れが防止されているため、非接触給電用給電線と非接触給電装置との接触が防止されている。また、非接触給電用給電線の敷設時にシースが不要であり、更に、非接触給電用給電線の第1被覆部及び/又は第2被覆部が硬化していない。このため、システムを構成する部品点数が少なく、また、接触給電用給電線の敷設に関するシステムの組み立て及び修正が容易である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態 1.)
図1は、本発明の実施の形態1に係る非接触給電システムを備える移動体2を用いた移動体システムの構成を示す斜視図である。
図中1は、モノレール方式の移動体システムを構成するレールである。該レール1は、工場又は倉庫等の天井に敷設されており、レール1に、システムコントローラ11によって駆動制御される複数の移動体2,2,…が夫々懸架されている。また、レール1は、図示しない複数のステーションを結んで、多重のループ状に設けられており、このため、交差部を有する。
【0020】
交差部には、スイッチレール方式の分岐・合流部10,10,…が設けられており、分岐・合流部10,10,…は、移動体2,2,…の目的地に応じてレール1を切り替えるよう構成してある。
各移動体2は、本実施の形態の非接触給電システムを介して、駆動用の電力を得る。非接触給電システムは、AC200V、60Hzの商用電源9(図4参照)から受電して、高周波(例えば10KHz)の定電流(振幅一定又は実効電流一定の交流電流)を出力する高周波電源装置4と、高周波電源装置4に接続されて高周波の定電流を供給される非接触給電用給電線である給電線41(図4参照)と、各移動体2に載置された非接触給電装置8とを備える。
【0021】
図2及び図3は、移動体2の構成を示す側面図及び正面図である。
移動体システムのレール1はI字型の断面形状を有し、その一側面には、支持腕12,12,…が、レール1の長手方向に適宜の間隔で設けられている。レール1は、支持腕12,12,…によって天井から略水平に吊り下げられている。
レール1の他側面には、給電線取付板13がネジ留めされており、給電線取付板13の上下方向中央部に、棒状部材を用いてなる支持部材14,14,…が多数、適宜の間隔で略水平に並んで設けられている。
給電線41は、支持部材14,14,…の先端部に固定されることによって、レール1に沿って敷設されている。
【0022】
各移動体2は、正面視がコの字状である前後一対の車体枠21,22を備え、該車体枠21,22の上部に、前輪21a及び後輪22aを夫々回動可能に備える。移動体2は、前輪21a及び後輪22aをレール1に転接させることによって、レール1に懸架されている。また、車体枠21には、前輪21a近傍に、前輪21aに連繋する走行用のモータMが固定されている。
移動体2は、被搬送物を着脱可能に取り付けることができるキャリア23を備え、キャリア23は、車体枠21,22夫々の下部にわたして設けられ、車体枠21,22によってレール1の下側に吊り下げられている。
【0023】
移動体2が積載している非接触給電装置8は、ピックアップPを構成するコイル51及びコア52を備え、該ピックアップPは、車体枠21のレール1側に固定されている。移動体2は、非接触給電装置8にモータMを接続してあり(図4参照)、非接触給電装置8を介し、給電線41からモータM駆動用の電力を得て、前輪21a及び後輪22aを回転させ、一のステーションから他のステーションへ被搬送物を搬送すべく白抜矢符方向へ走行する。
【0024】
ピックアップPが備えるコア52は、断面形状がコの字状に形成された磁性体(例えばフェライト)であり、背部及び2本の脚部を有し、前記背部に、コイル51が巻回してある。
レール1に移動体2が載架されている場合、移動体2の車体枠21に取り付けられたピックアップPと、レール1の支持部材14,14,…に取り付けられた給電線41とは、所定の間隔を隔てて対面し、給電線41がコア52の脚部の間に位置するよう配置されている。
高周波電源装置4によって給電線41に高周波交流電流が通電されたとき、給電線41の周囲に、時間的に変化する磁束が形成される。非接触給電装置8は、その磁束がコイル51に鎖交することによってコイル51に発生した誘導起電力を受電し(即ち、非接触で受電し)、負荷であるモータMへ供給する。
【0025】
図4は、非接触給電装置8の構成を示す電気回路図である。
図中9は商用電源であり、商用電源9に接続された高周波電源装置4は、商用電源9の出力を整流し、平滑化して直流とし、該直流をインバータ(DCーAC変換器)に入力して高周波交流電流に変換して、変換した高周波電流を給電線41へ定電流として出力する。
各移動体2に搭載してある非接触給電装置8は、受電回路5を備える。また、受電回路5の出力部に、DCバスDBを介してモータドライバDが接続してあり、モータドライバDは、負荷としてのモータMを駆動する。モータMは交流モータであり、モータドライバDを介して、受電回路5に接続してある。
【0026】
受電回路5は共振回路部50を備え、共振回路部50は、コイル51と、コイル51に並列に接続された共振コンデンサ53とを備える。共振回路部50は、給電線41に誘導結合すべく、給電線41に対し離隔配置されているコイル51のインダクタンスと、共振コンデンサ53のキャパシタンスとが、給電線41を流れる高周波交流電流の周波数と共振状態になるよう構成されている。即ち、共振回路部50は、コイル51に誘起された電力を受けて、高周波交流の定電流源として機能する。
【0027】
受電回路5は、共振回路部50の他に、共振回路部50の出力である定電流を定電圧(振幅一定又は実効電圧一定の交流電圧)に変換するイミタンス変換回路54と、イミタンス変換回路54の出力である定電圧の交流電流を全波整流するダイオードブリッジを用いた整流回路55と、平滑コンデンサを用いてなり、整流回路55が出力した全波整流波形を有する直流電流を平滑化する平滑部56とを備える。
なお、整流回路55を、全波整流するダイオードブリッジの代わりに半波整流するダイオードを用いて構成しても良い。
【0028】
受電回路5は、共振回路部50の出力(定電流)を、イミタンス変換回路54で定電圧に変換し、整流回路55で全波整流し、平滑部56で平滑することによって、直流電流をモータドライバDへ供給する。
モータドライバDはインバータ機能を有するよう構成してあり、供給された直流電流を交流電流に変換して、モータMへ供給する。モータMは、交流電流を受けて回転し、前輪21aを駆動する。
【0029】
図5は、給電線41の構成を示す模式図であり、図5(a)は給電線41の断面図を示し、図5(b)は側面図を示している。
断面形状が略円形の給電線41は、断面形状が略円形の導体である導線410を備え、導線410の保護及び絶縁のため、導線410の周面を、導線410の全長にわたって、合成樹脂(例えばポリエチレン)を用いてなる軟質被覆411(第1被覆部)が密着して覆っている。導線410及び軟質被覆411(軟質被覆411に被覆された導線410)は断面形状が略円形であり、従来の給電線と同じ13mmの直径を有する。また、厚さ0.5mmの硬質被覆412(第2被覆部)が、導線410の全長にわたり、摺動被覆413を介在して、軟質被覆411の周面を覆っている。
【0030】
硬質被覆412は、合成樹脂(例えばポリエチレン)を用いて軟質被覆411の硬度より高い硬度に形成されている。ただし、硬質被覆412の硬度は従来のシースの硬度より低く、かつ、給電線41の湾曲を妨げない。本実施の形態の給電線41は、曲率半径Rが100mm程度の曲線に沿って湾曲させることができる。
また、硬質被覆412は、例えばカッターで切断された場合に、軟質被覆411(及び摺動被覆413)に覆われた導線410から容易に剥がしたり引き抜いたりすることができるよう設けられている。
【0031】
摺動被覆413は、紙テープを用いてなり、軟質被覆411に覆われた導線410を巻回して、軟質被覆411の周面を、導線410の全長にわたって覆っている。摺動被覆413は、軟質被覆411にも硬質被覆412にも固着されておらず、例えば給電線41を湾曲させた場合に、軟質被覆411及び/又は硬質被覆412に対して摺動する。
なお、摺動被覆413は、紙テープのみならず、合成ゴム、合成樹脂、又は布等を用いて構成しても良く、また、テープ状でなくても良い。
【0032】
摺動被覆413は、硬質被覆412を、例えばカッターで切断する場合に、カッターで軟質被覆411が損傷しないだけの硬度及び厚みを有する。ただし、摺動被覆413は、給電線41の湾曲を妨げないよう、硬質被覆412の硬度より低い硬度を有する。また、摺動被覆413の厚みは、従来のシースと給電線との間の空隙の厚みに比べて非常に薄く、また、摺動被覆413は軟質被覆411と硬質被覆412とに夫々接触しているため、軟質被覆411と硬質被覆412との間には、従来の給電線とシースとの間に存在したような大きな空隙がない。このため、給電線41内部の導線410と、非接触給電装置8のピックアップPが備えるコイル51との間の距離が小さくなり、非接触給電装置8の受電能力が向上する。
【0033】
このような給電線41は、導線410を軟質被覆411で被覆し、次いで、摺動被覆413を巻き付け、最後に、硬質被覆412で被覆して形成する。また、このような給電線41を敷設する場合、直線的又は曲線的(100R程度まで)なレール1が備える支持部材14,14,…に取り付ける際には、従来のようなシースを用いず、直接的に給電線41を支持部材14,14,…に取り付ける。このとき、硬質被覆412が十分な硬度を有するため、給電線41の垂れが防止される。即ち、給電線41は、従来の給電線とシースの機能とを一体に設けてあり、敷設時に給電線41の長さに合わせてシースを切断したり、シースに給電線を通したりする作業が必要なく、作業工数が少ない。
【0034】
より曲線的な部位に給電線41を取り付ける場合、又は給電線41を屈曲させる場合、給電線41の湾曲部分又は屈曲部分(例えば図5(b)中のC。以下、曲部Cという)の位置にある硬質被覆412を除去して用いる。このとき、曲部C以外(例えば支持部材14,14,…に取り付ける部分)の位置にある硬質被覆412を除去しないことによって、給電線41の垂れが防止される。また、硬質被覆412はシースよりも硬度が低いため、切断し易く、剥がしたり引き抜いたりし易い。更に、硬質被覆412の切断時に、摺動被覆413が軟質被覆411を保護して、軟質被覆411の損傷を防止する。
【0035】
また、給電線41は、取り付けの際にシースが不要であるため、非接触給電システムの部品点数を削減して簡易な構成とし、また、シースを用いない分だけ作業工数を低減し、シースの継ぎ目がレール1の直線部に位置するよう配置したり給電線41の配置形状に応じた形状のシースを準備したりする必要もないため、非接触給電システムの組み立てを容易にする。
更に、給電線41は、シースが不要であり、硬質被覆412も適度の柔軟性を有するため、配線の修正が容易である。
なお、給電線41の端部においても、例えば高周波電源装置4に接続し易くなるよう、硬質被覆412を除去しても良い。
【0036】
(実施の形態 2.)
図6は、本発明の実施の形態2に係る給電線42,43の構成を示す模式図であり、図6(a)は一の給電線42の断面図を示し、図6(b)は他の給電線43の断面図を示している。
本発明の実施の形態2に係る非接触給電システムは、給電線42又は給電線43と、実施の形態1の非接触給電装置8とで構成される。
【0037】
図6(a)の給電線42は、断面形状が略円形の導体である導線420を備え、該導線420の周面を、導線420の全長にわたって、軟質被覆421が密着して覆っている。軟質被覆421に被覆された導線420は断面形状が略円形であり、従来の給電線と同じ13mmの直径を有する。また、硬質被覆422が、導線420の全長にわたり、摺動被覆423を介在して、軟質被覆421の周面を覆って、給電線42の断面形状を略矩形に形成している。
【0038】
図6(b)の給電線43は、断面形状が略矩形の導体である導線430を備え、該導線430の周面を、導線430の全長にわたって、軟質被覆431が密着して覆っている。軟質被覆431に被覆された導線430は断面形状が略矩形であり、更に、硬質被覆432が、導線430の全長にわたり、摺動被覆433を介在して、軟質被覆431の周面を覆って、給電線43の断面形状を略矩形に形成している。
【0039】
以上のような給電線42,43が備える導線420,430、軟質被覆421,431、硬質被覆422,432、及び摺動被覆423,433は、実施の形態1の給電線41が備える導線410、軟質被覆411、硬質被覆412、及び摺動被覆413に対応する。
その他、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
【0040】
以上のような給電線42,43を敷設する場合、レール1が備える支持部材14,14,…に取り付ける際には、従来のようなシースを用いず、直接的に給電線42,43を支持部材14,14,…に取り付ける。このとき、硬質被覆422,432が十分な硬度を有するため、給電線42,43の垂れが防止される。即ち、給電線42,43は、従来の給電線とシースの機能とを一体に設けてあり、敷設時に給電線42,43の長さに合わせてシースを切断したり、シースに給電線を通したりする作業が必要なく、作業工数が少ない。
【0041】
また、給電線42,43の湾曲部分又は屈曲部分の位置にある硬質被覆422,432を除去し、例えば支持部材14,14,…に取り付ける部分の位置にある硬質被覆422,432を除去しないことによって、給電線42,43を大幅に湾曲又は屈曲させて取り付ける場合であっても、給電線42,43の垂れが防止される。
更に、給電線42,43は、取り付けの際にシースが不要であるため、非接触給電システムの部品点数を削減して簡易な構成とし、また、シースを用いない分だけ作業工数を低減し、シースの継ぎ目がレール1の直線部に位置するよう配置したりレール1の形状に応じた形状のシースを準備したりする必要もないため、非接触給電システムの組み立てを容易にする。
【0042】
また、このような給電線42,43の軟質被覆421,431と硬質被覆422,432との間には、従来の給電線とシースとの間に存在したような大きな空隙がない。このため、給電線42,43内部の導線420,430と、非接触給電装置8のピックアップPが備えるコイル51との間の距離が小さくなり、非接触給電装置8の受電能力が向上する。
更に、給電線42,43の断面形状が略矩形であるため、断面積が同じである場合、給電線41の直径よりも、給電線42,43の厚みの方が小さくなる。このため、ピックアップPと給電線42,43との間のエアギャップが小さいときであっても、ピックアップPに給電線42,43を容易に挿入することができ、また、ピックアップPと給電線42,43との接触を防止できる。
【0043】
【発明の効果】
本発明の非接触給電用給電線及び非接触給電システムによれば、敷設時に、従来の非接触給電用給電線を敷設する場合のようにシースを所要の長さに切断して非接触給電用給電線を挿入させるという工程が必要ない。このため、長いシースに非接触給電用給電線を挿入する困難な作業も不要であり、給電線敷設作業のコストダウンが生じる。更に、敷設後に配線を修正する場合にも、シースが不要であり、配線の修正に伴う新たなシースの準備が必要ない。
【0044】
また、シースを用いないため、シースと非接触給電用給電線との間の空隙も存在せず、非接触給電用給電線内部の導体と、非接触給電装置との間の距離が小さくなり、非接触給電装置の受電能力を向上することができる。また、シースが非接触給電装置に接触することもなく、シースと非接触給電装置との接触を防止するためにシースの配置を考慮(例えば、直線部にのみシースとシースとの継ぎ目を配置)したり、敷設時又は敷設後の配線修正時に、非接触給電用給電線の配置形状(直線、屈曲又は湾曲等)に応じた形状のシースを準備したりする必要もない。
【0045】
また、第2被覆部の硬度がシースの硬度より低いため、第2被覆部を切断して非接触給電用給電線から容易に除去することができる。また、第1被覆部を第3被覆部が被覆している場合は、第2被覆部を切断する際にも、非接触給電用給電線を損傷させることがない。
また、非接触給電用給電線は柔軟性を有するため、敷設時及び敷設後の配線修正時に、配線の自由度を向上することができる。
更に、第3被覆部が第1被覆部と第2被覆部との間で摺動することによって、第2被覆部を除去することなく非接触給電用給電線が湾曲し易くなる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る非接触給電システムを備える移動体を用いた移動体システムの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る非接触給電システムを備える移動体の構成を示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る非接触給電システムを備える移動体の構成を示す正面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る非接触給電システムが備える非接触給電装置の構成を示す電気回路図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る非接触給電システムが備える給電線の構成を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る給電線の構成を示す模式図である。
【図7】従来の給電線の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
41,42,43 給電線
410,420,430 導線
411,421,431 軟質被覆
412,422,432 硬質被覆
413,423,433 摺動被覆
8 非接触給電装置
Claims (3)
- 導体と該導体を被覆する第1被覆部とを備える非接触給電用給電線において、
前記第1被覆部を被覆する第2被覆部を備え、該第2被覆部の硬度は前記第1被覆部の硬度より高いことを特徴とする非接触給電用給電線。 - 前記第1被覆部と前記第2被覆部との間に、前記第1被覆部を被覆し、該第1被覆部又は前記第2被覆部に対して摺動する第3被覆部を介在してなり、該第3被覆部の硬度は前記第2被覆部の硬度より低いことを特徴とする請求項1に記載の非接触給電用給電線。
- 交流電流を流すべき非接触給電用給電線と、該非接触給電用給電線から非接触で受電して負荷へ給電する非接触給電装置とを備える非接触給電システムにおいて、
前記非接触給電用給電線が、請求項1又は2に記載の非接触給電用給電線であることを特徴とする非接触給電システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003043001A JP2004253268A (ja) | 2003-02-20 | 2003-02-20 | 非接触給電用給電線及び非接触給電システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003043001A JP2004253268A (ja) | 2003-02-20 | 2003-02-20 | 非接触給電用給電線及び非接触給電システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004253268A true JP2004253268A (ja) | 2004-09-09 |
Family
ID=33026129
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003043001A Pending JP2004253268A (ja) | 2003-02-20 | 2003-02-20 | 非接触給電用給電線及び非接触給電システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004253268A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010267585A (ja) * | 2009-05-18 | 2010-11-25 | Yazaki Corp | シールド電線の処理構造 |
-
2003
- 2003-02-20 JP JP2003043001A patent/JP2004253268A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010267585A (ja) * | 2009-05-18 | 2010-11-25 | Yazaki Corp | シールド電線の処理構造 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2006136197A (ja) | 非接触給電式走行台車 | |
JP2004322936A (ja) | 誘導線路カバーの接続構造 | |
JP2004253268A (ja) | 非接触給電用給電線及び非接触給電システム | |
JP2005170380A (ja) | 非接触給電システム | |
JP3522413B2 (ja) | 地上移動体の非接触給電装置 | |
JP3114360B2 (ja) | 移動体の無接触給電設備 | |
JP3432530B2 (ja) | 移動体の無接触給電設備 | |
JPH08308152A (ja) | 非接触受電装置 | |
JPH05344602A (ja) | 無接触給電設備に使用するリッツ線 | |
JP3303686B2 (ja) | 移動体への非接触式給電システム及びピックアップコイルユニット | |
JP3491177B2 (ja) | 非接触電力供給システム | |
JP3261427B2 (ja) | 給電線保持装置 | |
JP4218656B2 (ja) | ピックアップユニットおよびそのピックアップユニットを備えた無接触給電設備 | |
JP2004120880A (ja) | 非接触給電装置及び移動体 | |
JP3263421B2 (ja) | 移動体の無接触給電設備のピックアップユニットおよびこのピックアップユニットを備えた移動体 | |
JP2006211804A (ja) | 非接触給電システム | |
JPH05336606A (ja) | 移動体の無接触給電設備 | |
JP2822780B2 (ja) | 治具パレットの無接触給電設備 | |
JP3588908B2 (ja) | 移動体の無接触給電設備 | |
JP3555308B2 (ja) | 移動体の無接触給電設備 | |
JPH0678406A (ja) | 移動体の無接触給電設備 | |
JPH05328508A (ja) | 移動体の無接触給電設備 | |
JP3298348B2 (ja) | 非接触給電システム | |
JPH0956088A (ja) | エレベータの給電装置 | |
JP3306890B2 (ja) | 移動体の無接触給電設備およびそのピックアップユニット |