JP2004253213A - 燃料電池の冷却制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池からラジエタまでの冷却液遅れ時間を考慮して高精度な温度制御を行う。
【解決手段】燃料電池発熱量予測手段21は燃料電池3の出力に基づいて発熱量を予測する。ポンプ制御手段23は予測発熱量に基づいてポンプ5を制御する。冷却液ラジエタ到達遅れ演算手段25は、冷却液が燃料電池3からラジエタ7まで到達する遅れ時間を算出する。冷却液三方弁到達遅れ演算手段27は、冷却液が燃料電池3から三方弁11まで到達する遅れ時間を算出する。ラジエタファン制御手段29は、冷却液ラジエタ到達遅れ演算手段25によって算出された遅れ時間に基づきラジエタファン9を駆動する。三方弁制御手段31は、冷却液三方弁到達遅れ演算手段27によって算出された遅れ時間に基づき三方弁11の開度を制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】燃料電池発熱量予測手段21は燃料電池3の出力に基づいて発熱量を予測する。ポンプ制御手段23は予測発熱量に基づいてポンプ5を制御する。冷却液ラジエタ到達遅れ演算手段25は、冷却液が燃料電池3からラジエタ7まで到達する遅れ時間を算出する。冷却液三方弁到達遅れ演算手段27は、冷却液が燃料電池3から三方弁11まで到達する遅れ時間を算出する。ラジエタファン制御手段29は、冷却液ラジエタ到達遅れ演算手段25によって算出された遅れ時間に基づきラジエタファン9を駆動する。三方弁制御手段31は、冷却液三方弁到達遅れ演算手段27によって算出された遅れ時間に基づき三方弁11の開度を制御する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池とラジエタ間に冷却液を循環させて冷却する燃料電池の冷却制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、水素ガスなどの燃料ガスと酸素を有する酸化ガスとを電解質を介して電気化学的に反応させ、電解質両面に設けた電極間から電気エネルギを直接取り出すものである。特に固体高分子電解質を用いた固体高分子型燃料電池は、動作温度が低く、取り扱いが容易なことから電動車両用の電源として注目されている。すなわち、燃料電池車両は、高圧水素タンク、液体水素タンク、水素吸蔵合金タンクなどの水素貯蔵装置を車両に搭載し、そこから供給される水素と、酸素を含む空気とを燃料電池に送り込んで反応させ、燃料電池から取り出した電気エネルギで駆動輪につながるモータを駆動するものであり、排出物質は水だけであるという究極のクリーン車両である。
【0003】
このような燃料電池は、反応熱を何らかの方法で除去しないと、燃料電池温度が固体高分子膜等の使用材料の耐熱温度を超えたり、運転に最適な温度を超えることになる。
【0004】
このため、通常は、燃料電池本体に冷却液通路を設け、この冷却液通路とラジエータとの間に冷却液を循環させる冷却装置により、燃料電池の反応熱を系外へ放出している。
【0005】
このような冷却装置の従来例として、例えば、特許文献1記載の車両用冷却ファン装置が知られている。この装置によれば、エンジンの運転状態に基づいて該エンジンの発熱量を予測し、予測された発熱量に見合う放熱量が得られるファン駆動力を予測し、このファン駆動力でラジエタ冷却ファンを駆動している。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−8960号公報(第4頁、図4)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の冷却方法を燃料電池に適用しようとした場合、次のような問題点を生じる。
【0008】
燃料電池は、温度が水収支や発電効率などの性能に深く関わり、冷やしすぎや温度過上昇は好ましくない。従って、燃料電池の発熱量が変化したときに、その発熱量に同期してラジエタファンを駆動したのでは、冷却液の放熱が良好に行えない。
【0009】
例えば、燃料電池の出力が上がって発熱量が上昇したときには、すぐにラジエタファンの回転速度が上がって、まだ発熱してないところの冷却液が冷えすぎてしまう。逆に燃料電池の出力が下がったときには、すぐにラジエタファンの回転速度が下がり、まだラジエタまで到達してないところの発熱した冷却液が冷えなくなり、燃料電池の温度が上昇する。
【0010】
また、燃料電池を車両に用いる場合には、燃料電池本体の形状は直方体で大きいため、車両床下に搭載されることが多い。このために、フロントにラジエタとエンジンが搭載される一般車両とは違って、燃料電池車両では、燃料電池からラジエタまでの距離が離されて搭載されることになる。すなわち、冷却液が燃料電池からラジエタまで到達する時間が長くなり、上記の問題点が特に顕著になる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題点を解決するため、ラジエタと燃料電池との間に冷却液を循環させることにより燃料電池を冷却する燃料電池の冷却制御装置において、ラジエタに送風するラジエタファンと、冷却液が燃料電池からラジエタまで到達する遅れ時間を算出する冷却液ラジエタ到達遅れ演算手段と、該冷却液ラジエタ到達遅れ演算手段によって算出された遅れ時間に基づき前記ラジエタファンを駆動するラジエタファン制御手段と、を備えたことを要旨とする。
【0012】
【発明の効果】
本発明によれば、ラジエタと燃料電池との間に冷却液を循環させることにより燃料電池を冷却する燃料電池の冷却制御装置において、燃料電池からラジエタまでの冷却液到達遅れ時間を考慮してラジエタファンを駆動する構成としたので、燃料電池発熱量の増減による温度上下を伴った冷却液がラジエタまで到達したときに必要となるラジエタファン駆動量が設定されて、冷却液の温度を良好に制御することができる。
【0013】
従って燃料電池の温度を目標とする温度から低下させすぎたり、過温にすることがなくなり、燃料電池の水収支や発電効率を向上させることができるという効果がある。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る燃料電池の冷却制御装置の一実施形態を説明するための構成図である。尚、図中には、燃料電池の冷却系のみを示し、燃料ガス供給系、酸化剤ガス供給系、負荷系統は省略してある。
【0016】
図1において、燃料電池システム1は、内部に冷却液通路を備えた燃料電池(燃料電池本体、または燃料電池スタック)3と、冷却液を循環させるポンプ5と、冷却液の熱を系外へ放出するラジエタ7と、ラジエタに送風するラジエタファン9と、冷却液通路をラジエタとラジエタバイパス通路とに切替又は分流比を制御する三方弁11と、冷却液の温度を検出する温度検出手段13と、冷却制御装置15とを備えている。
【0017】
燃料電池3は、アノードに水素ガスが、カソードに空気が供給され、以下に示す電極反応が進行され、電力が発電される。
【0018】
【化1】
アノード(水素極):H2→2H++2e−
カソード(酸素極):2H++2e−+(1/2)O2→H2O
ポンプ5は、冷却液制御装置15によって回転速度制御がなされ、冷却液を燃料電池3やラジエタ7に循環させる。
【0019】
ラジエタ7は、冷却液がここを循環して、ラジエタファン9がラジエタにあてる風量を制御することによって、冷却液が冷やされる。
【0020】
三方弁11は、冷却液をラジエタ方向とラジエタバイパス方向に切り替えあるいは分流することによって、冷却液の放熱量を調整して温度を制御する。
【0021】
温度制御手段13は、冷却液の温度を検出して、冷却制御装置15へ出力する。
【0022】
冷却制御装置15は、燃料電池3の出力に基づいて発熱量を予測する燃料電池発熱量予測手段21と、燃料電池発熱量予測手段21が予測した発熱量に基づいてポンプ5を制御するポンプ制御手段23と、冷却液が燃料電池3からラジエタ7まで到達する遅れ時間を算出する冷却液ラジエタ到達遅れ演算手段25と、冷却液が燃料電池3から三方弁11まで到達する遅れ時間を算出する冷却液三方弁到達遅れ演算手段27と、冷却液ラジエタ到達遅れ演算手段25によって算出された遅れ時間に基づきラジエタファン9を駆動するラジエタファン制御手段29と、冷却液三方弁到達遅れ演算手段27によって算出された遅れ時間に基づき三方弁11の開度を制御する三方弁制御手段31とを備えている。
【0023】
冷却制御装置15は、特に限定されないが本実施形態では、CPUと、プログラムROMとワーク用RAMとI/Oインタフェースとを備えたマイクロプロセッサで構成されている。
【0024】
次に、図3及び図4を参照して、ポンプ5の回転速度、ラジエタファン9の回転速度、及び三方弁11の開度の各制御方法について詳細に説明する。
【0025】
まず、図4において、燃料電池発熱量予測手段21は、燃料電池の出力に基づいて単位時間当たりの発熱量を予測する。発熱量予測には、燃料電池の出力電力に対する発熱量マップを参照する方法、燃料電池の出力電圧と出力電流に基づいて化学反応熱と電圧降下ロス分との和として予測する方法等がある。化学反応熱は、出力電流から単位時間当たりの水素反応量(mol/sec)を求め、これに1mol当たりの反応熱を乗算することにより算出できる。
【0026】
次に、ポンプ制御手段23は、燃料電池の出入口の冷却液温度差が規定の温度になるように、予測発熱量に応じて冷却液の目標流量を定め、それに基づきポンプ5の回転速度を定める。予測発熱量から冷却液の目標流量の算出には、発熱量・流量マップ65により予測発熱量を目標流量に換算している。目標流量からポンプ回転速度の算出には、目標流量・ポンプ回転速度マップ67により予測発熱量を目標流量に換算している。
【0027】
ラジエタファン9と三方弁11は、冷却液が燃料電池3からラジエタ7及び三方弁11まで到達するのにかかる遅れ時間を考慮して制御される。
【0028】
もし、冷却液の流量が一定値であれば遅れ時間も一定であるが、燃料電池3の出入口温度差を制御するために燃料電池の出力に応じて冷却液の流量を変える必要性があり、冷却液の到達遅れ時間も流量に伴なって変化する。よって、遅れ時間は流量に応じて演算されなくてはならない。
【0029】
次に、冷却液の到達遅れ時間の演算について説明する。
【0030】
まず、ポンプ制御手段23によって決定された冷却液目標流量に基づいて、燃料電池出口からラジエタ入口までの冷却液の到達遅れ時間が、冷却液ラジエタ到達遅れ演算手段25によって演算される。
【0031】
冷却液の温度を目標温度に一定に保つために、燃料電池発熱量予測手段21によって予測された発熱量を目標ラジエタ放熱量とする。
【0032】
冷却制御装置15のサンプル周期をT[sec]、サンプル周期毎の冷却液流量をqi(i=1〜n)[L/min] 、サンプル周期毎の目標ラジエタ放熱量をRiとして、式(1)に示すような無駄時間計算用の行列Qを用意する。
【0033】
【数1】
Q=[q1, q2, q3, ・・・ ,qx, ・・・,qn] … (1)
この行列Qの各要素の値をサンプル周期ごとに一列づつ順次右側へシフトさせて、q1に新しい値を格納する。
【0034】
燃料電池出口からラジエタ入口までの冷却液の配管容量をVCR[L]とし、式(2)を満足するqxを求める。
【0035】
【数2】
(q1 + q2 + q3 + ・・・ + qx)×60×T ≒ VCR … (2)
このqxの添え字x が燃料電池出口からラジエタ入口までの冷却液の到達遅れ時間(量子化時間)を表す。なお実際の遅れ時間は、量子化時間にサンプル周期を乗じたx・T[sec]である。
【0036】
三方弁の冷却液到達遅れ時間についても同様に、燃料電池出口から三方弁入口までの冷却液の配管容量に基づいて冷却液三方弁到達遅れ演算手段27によって演算される。
【0037】
次に、ラジエタファン制御手段29はラジエタファン9、三方弁制御手段31は三方弁11をそれぞれ冷却液到達遅れ時間を考慮して制御する。
【0038】
ラジエタファン制御手段29は、燃料電池入口冷却液目標温度から同検出温度を減算して冷却液温度の制御誤差を求める加算部71と、冷却液温度の制御誤差に基づいて目標ラジエタ放熱量補正量を算出するPI制御部73と、目標ラジエタ放熱量(=予測発熱量)に無駄時間処理を行うラジエタ無駄時間処理部75と、無駄時間処理された目標ラジエタ放熱量に目標ラジエタ放熱量補正量を加算する加算部77と、ラジエタ放熱量と冷却液流量から風量を求めるラジエタ特性マップ79と、風量及び車速からラジエタファン回転速度を算出するラジエタファン回転速度演算部81とを備えている。
【0039】
三方弁制御手段31は、目標ラジエタ放熱量(=予測発熱量)に無駄時間処理を行う三方弁無駄時間処理部51と、無駄時間処理された目標ラジエタ放熱量に目標ラジエタ放熱量補正量を加算する加算部55と、車速による風量を計算する車速風量演算部53と、ラジエタ放熱量と風量から冷却液流量を求めるラジエタ特性マップ57と、三方弁11における分流率を計算する分流率計三部59と、分流率に基づいて三方弁11の開度を求める三方弁開度マップ61とを備えている。
【0040】
ラジエタファン制御手段29は、サンプル周期毎の燃料電池予測発熱量=目標ラジエタ放熱量をRi(i=1〜n)として、式(3)に示すような無駄時間処理用の行列Rを用意してある。
【0041】
【数3】
R=[R1, R2, R3,・・・,Rx,・・・,Rn] … (3)
ラジエタ無駄時間処理部75は、この行列Rの各要素の値をサンプル周期ごとに一列づつ順次右側へシフトさせて、R1に新しい値を格納しておく。そして、冷却液ラジエタ到達遅れ演算手段25で算出された添え字x がつく行列Rの要素Rxをフィードフォワードで算出された目標ラジエタ放熱量とする。
【0042】
以上説明した冷却液到達遅れ時間から目標ラジエタ放熱量を算出するまでのアルゴリズムを図2のフローチャートに示す。このフローチャートは、冷却制御装置15のサンプル周期毎に実行される。
【0043】
図2において、まずステップS10で、容量積算用のパラメータQCRと、作業変数xとを0に初期化する。
【0044】
次いでステップS12で、xに1を加算する。ステップS14で、QCRにqxを加算する。ステップS16で、QCRがVCRより大きいか否かを判定し、大きくなければ、ステップS12へ戻る。ステップS16の判定で、QCRがVCRより大きければ、ステップS18へ進み、目標ラジエタ放熱量をRxとする。
【0045】
このように無駄時間は、燃料電池の出力が大きいほど大きな値に、つまり冷却水流量が大きいほど大きな値に設定されることになる。
【0046】
ラジエタファン制御手段29の加算器77は、ラジエタ無駄時間処理部75でフィードフォワードで算出された目標ラジエタ放熱量に、燃料電池入口冷却液目標温度と検出温度との制御誤差をフィードバックして補正される。
【0047】
この補正された目標ラジエタ放熱量と冷却液目標流量に応じて、ラジエタ特性(ラジエタ放熱量−冷却液流量−風量)マップ79を参照することにより、ラジエタへの必要風量が算出される。この必要風量と車速に応じてラジエタファン回転速度演算部81が式(4)により、ラジエタファン回転速度を算出する。
【0048】
【数4】
ラジエタファン回転速度=a(風量−b×車速) …(4)
尚、風量=b×車速のとき、ラジエタファン回転速度は0となり、回転を停止する。これより、車速が大きいか、必要風量が小さい(目標ラジエタ放熱量が小さい)には、ラジエタファン9の駆動を停止させて、三方弁11を調整することによって放熱量を調整する。これによりラジエタファン9の消費電力を節約することができる。
【0049】
三方弁制御手段31の三方弁無駄時間処理部51もラジエタ無駄時間処理部75と同様にしてフィードフォワードで算出される目標ラジエタ放熱量を求め、これに、加算手段55で目標ラジエタ放熱量補正量を加算して、フィードバック補正を行う。
【0050】
三方弁制御手段31は、加算手段55によりフィードバック補正された目標ラジエタ放熱量と、車速風量演算部53からのラジエタファン停止時にラジエタへあたる走行風量とにより、ラジエタ特性(ラジエタ放熱量−風量−冷却液流量)マップ57を検索してラジエタへの目標冷却液流量を算出する。そして、このラジエタへの目標冷却液流量を、ポンプ制御手段23からの燃料電池への目標流量で除算することにより流量分流率が決まり、この流量分流率から三方弁開度マップ61を参照して三方弁開度が求まる。
【0051】
以上説明したように本実施形態によれば、燃料電池からラジエタまでの冷却液到達遅れ時間を考慮してラジエタファンを駆動する構成としたので、燃料電池発熱量の増減による温度上下を伴った冷却液がラジエタまで到達したときに必要となるラジエタファン駆動量が設定されて、冷却液の温度を良好に制御することができる。
【0052】
また、燃料電池の温度を目標とする温度から低下させすぎたり、過温にすることがなくなり、燃料電池の水収支や効率などの性能を目標値に達成させることができる。
【0053】
また、燃料電池には性能の観点からその出入口温度差を管理する要求もあり、冷却液の流量を燃料電池出力などに応じて変化させることになる。これに伴って、冷却液の到達遅れ時間が変化してしまうので従来から一般的な制御手法で使われる一定時間固定の無駄時間を冷却制御に適用したのでは、過渡時に燃料電池の温度が適正範囲から外れる可能性が有る。
【0054】
そこで、本実施形態では冷却液流量に応じて、つまり燃料電池出力、発熱量に応じた値に無駄時間を可変に設定されるので、温度制御精度を向上させることができる。
【0055】
また、燃料電池の発熱量を予測するフィードフォワード分と、検出された冷却液の温度と目標温度との誤差のフィードバック分で目標ラジエタ放熱量を決定する構成としたため、過渡と定常の温度制御性能が良くなる。
【0056】
ここで、冷却液の燃料電池からラジエタまでの到達遅れ時間をフィードフォワードで算出された目標ラジエタ放熱量の方に無駄時間で設定するようにしたので、以下の効果が得られる。
【0057】
(1)燃料電池の発電によって発熱した冷却液がラジエタまで到達したときの必要なラジエタ放熱量が設定されて、冷却液の温度を良好に制御することができる。
【0058】
(2)冷却液の温度が目標温度からずれた場合、フィードバックが遅れ時間なしで働き、温度が目標温度に早く復帰する。
【0059】
同様に、燃料電池から三方弁までの冷却液到達遅れ時間を考慮して三方弁を駆動する構成としたので、冷却液の温度をより高精度に制御することができる。
【0060】
本実施形態は、ラジエタを車両前部に、燃料電池を車両床下にそれぞれ搭載した場合のように、ラジエタと燃料電池との距離が長くなる構成の燃料電池車両に特に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料電池の冷却制御装置の実施形態を説明する構成図である。
【図2】冷却液到達遅れから目標ラジエタ放熱量を算出するフローチャートである。
【図3】三方弁制御手段の詳細を説明する制御ブロック図である。
【図4】ポンプ制御手段及びラジエタファン制御手段の詳細を説明する制御ブロック図である。
【符号の説明】
1…燃料電池システム
3…燃料電池
5…ポンプ
7…ラジエタ
9…ラジエタファン
11…三方弁
13…温度検出手段
15…冷却制御装置
21…燃料電池発熱量予測手段
23…ポンプ制御手段
25…冷却液ラジエタ到達遅れ演算手段
27…冷却液三方弁到達遅れ演算手段
29…ラジエタファン制御手段
31…三方弁制御手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池とラジエタ間に冷却液を循環させて冷却する燃料電池の冷却制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、水素ガスなどの燃料ガスと酸素を有する酸化ガスとを電解質を介して電気化学的に反応させ、電解質両面に設けた電極間から電気エネルギを直接取り出すものである。特に固体高分子電解質を用いた固体高分子型燃料電池は、動作温度が低く、取り扱いが容易なことから電動車両用の電源として注目されている。すなわち、燃料電池車両は、高圧水素タンク、液体水素タンク、水素吸蔵合金タンクなどの水素貯蔵装置を車両に搭載し、そこから供給される水素と、酸素を含む空気とを燃料電池に送り込んで反応させ、燃料電池から取り出した電気エネルギで駆動輪につながるモータを駆動するものであり、排出物質は水だけであるという究極のクリーン車両である。
【0003】
このような燃料電池は、反応熱を何らかの方法で除去しないと、燃料電池温度が固体高分子膜等の使用材料の耐熱温度を超えたり、運転に最適な温度を超えることになる。
【0004】
このため、通常は、燃料電池本体に冷却液通路を設け、この冷却液通路とラジエータとの間に冷却液を循環させる冷却装置により、燃料電池の反応熱を系外へ放出している。
【0005】
このような冷却装置の従来例として、例えば、特許文献1記載の車両用冷却ファン装置が知られている。この装置によれば、エンジンの運転状態に基づいて該エンジンの発熱量を予測し、予測された発熱量に見合う放熱量が得られるファン駆動力を予測し、このファン駆動力でラジエタ冷却ファンを駆動している。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−8960号公報(第4頁、図4)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の冷却方法を燃料電池に適用しようとした場合、次のような問題点を生じる。
【0008】
燃料電池は、温度が水収支や発電効率などの性能に深く関わり、冷やしすぎや温度過上昇は好ましくない。従って、燃料電池の発熱量が変化したときに、その発熱量に同期してラジエタファンを駆動したのでは、冷却液の放熱が良好に行えない。
【0009】
例えば、燃料電池の出力が上がって発熱量が上昇したときには、すぐにラジエタファンの回転速度が上がって、まだ発熱してないところの冷却液が冷えすぎてしまう。逆に燃料電池の出力が下がったときには、すぐにラジエタファンの回転速度が下がり、まだラジエタまで到達してないところの発熱した冷却液が冷えなくなり、燃料電池の温度が上昇する。
【0010】
また、燃料電池を車両に用いる場合には、燃料電池本体の形状は直方体で大きいため、車両床下に搭載されることが多い。このために、フロントにラジエタとエンジンが搭載される一般車両とは違って、燃料電池車両では、燃料電池からラジエタまでの距離が離されて搭載されることになる。すなわち、冷却液が燃料電池からラジエタまで到達する時間が長くなり、上記の問題点が特に顕著になる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題点を解決するため、ラジエタと燃料電池との間に冷却液を循環させることにより燃料電池を冷却する燃料電池の冷却制御装置において、ラジエタに送風するラジエタファンと、冷却液が燃料電池からラジエタまで到達する遅れ時間を算出する冷却液ラジエタ到達遅れ演算手段と、該冷却液ラジエタ到達遅れ演算手段によって算出された遅れ時間に基づき前記ラジエタファンを駆動するラジエタファン制御手段と、を備えたことを要旨とする。
【0012】
【発明の効果】
本発明によれば、ラジエタと燃料電池との間に冷却液を循環させることにより燃料電池を冷却する燃料電池の冷却制御装置において、燃料電池からラジエタまでの冷却液到達遅れ時間を考慮してラジエタファンを駆動する構成としたので、燃料電池発熱量の増減による温度上下を伴った冷却液がラジエタまで到達したときに必要となるラジエタファン駆動量が設定されて、冷却液の温度を良好に制御することができる。
【0013】
従って燃料電池の温度を目標とする温度から低下させすぎたり、過温にすることがなくなり、燃料電池の水収支や発電効率を向上させることができるという効果がある。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る燃料電池の冷却制御装置の一実施形態を説明するための構成図である。尚、図中には、燃料電池の冷却系のみを示し、燃料ガス供給系、酸化剤ガス供給系、負荷系統は省略してある。
【0016】
図1において、燃料電池システム1は、内部に冷却液通路を備えた燃料電池(燃料電池本体、または燃料電池スタック)3と、冷却液を循環させるポンプ5と、冷却液の熱を系外へ放出するラジエタ7と、ラジエタに送風するラジエタファン9と、冷却液通路をラジエタとラジエタバイパス通路とに切替又は分流比を制御する三方弁11と、冷却液の温度を検出する温度検出手段13と、冷却制御装置15とを備えている。
【0017】
燃料電池3は、アノードに水素ガスが、カソードに空気が供給され、以下に示す電極反応が進行され、電力が発電される。
【0018】
【化1】
アノード(水素極):H2→2H++2e−
カソード(酸素極):2H++2e−+(1/2)O2→H2O
ポンプ5は、冷却液制御装置15によって回転速度制御がなされ、冷却液を燃料電池3やラジエタ7に循環させる。
【0019】
ラジエタ7は、冷却液がここを循環して、ラジエタファン9がラジエタにあてる風量を制御することによって、冷却液が冷やされる。
【0020】
三方弁11は、冷却液をラジエタ方向とラジエタバイパス方向に切り替えあるいは分流することによって、冷却液の放熱量を調整して温度を制御する。
【0021】
温度制御手段13は、冷却液の温度を検出して、冷却制御装置15へ出力する。
【0022】
冷却制御装置15は、燃料電池3の出力に基づいて発熱量を予測する燃料電池発熱量予測手段21と、燃料電池発熱量予測手段21が予測した発熱量に基づいてポンプ5を制御するポンプ制御手段23と、冷却液が燃料電池3からラジエタ7まで到達する遅れ時間を算出する冷却液ラジエタ到達遅れ演算手段25と、冷却液が燃料電池3から三方弁11まで到達する遅れ時間を算出する冷却液三方弁到達遅れ演算手段27と、冷却液ラジエタ到達遅れ演算手段25によって算出された遅れ時間に基づきラジエタファン9を駆動するラジエタファン制御手段29と、冷却液三方弁到達遅れ演算手段27によって算出された遅れ時間に基づき三方弁11の開度を制御する三方弁制御手段31とを備えている。
【0023】
冷却制御装置15は、特に限定されないが本実施形態では、CPUと、プログラムROMとワーク用RAMとI/Oインタフェースとを備えたマイクロプロセッサで構成されている。
【0024】
次に、図3及び図4を参照して、ポンプ5の回転速度、ラジエタファン9の回転速度、及び三方弁11の開度の各制御方法について詳細に説明する。
【0025】
まず、図4において、燃料電池発熱量予測手段21は、燃料電池の出力に基づいて単位時間当たりの発熱量を予測する。発熱量予測には、燃料電池の出力電力に対する発熱量マップを参照する方法、燃料電池の出力電圧と出力電流に基づいて化学反応熱と電圧降下ロス分との和として予測する方法等がある。化学反応熱は、出力電流から単位時間当たりの水素反応量(mol/sec)を求め、これに1mol当たりの反応熱を乗算することにより算出できる。
【0026】
次に、ポンプ制御手段23は、燃料電池の出入口の冷却液温度差が規定の温度になるように、予測発熱量に応じて冷却液の目標流量を定め、それに基づきポンプ5の回転速度を定める。予測発熱量から冷却液の目標流量の算出には、発熱量・流量マップ65により予測発熱量を目標流量に換算している。目標流量からポンプ回転速度の算出には、目標流量・ポンプ回転速度マップ67により予測発熱量を目標流量に換算している。
【0027】
ラジエタファン9と三方弁11は、冷却液が燃料電池3からラジエタ7及び三方弁11まで到達するのにかかる遅れ時間を考慮して制御される。
【0028】
もし、冷却液の流量が一定値であれば遅れ時間も一定であるが、燃料電池3の出入口温度差を制御するために燃料電池の出力に応じて冷却液の流量を変える必要性があり、冷却液の到達遅れ時間も流量に伴なって変化する。よって、遅れ時間は流量に応じて演算されなくてはならない。
【0029】
次に、冷却液の到達遅れ時間の演算について説明する。
【0030】
まず、ポンプ制御手段23によって決定された冷却液目標流量に基づいて、燃料電池出口からラジエタ入口までの冷却液の到達遅れ時間が、冷却液ラジエタ到達遅れ演算手段25によって演算される。
【0031】
冷却液の温度を目標温度に一定に保つために、燃料電池発熱量予測手段21によって予測された発熱量を目標ラジエタ放熱量とする。
【0032】
冷却制御装置15のサンプル周期をT[sec]、サンプル周期毎の冷却液流量をqi(i=1〜n)[L/min] 、サンプル周期毎の目標ラジエタ放熱量をRiとして、式(1)に示すような無駄時間計算用の行列Qを用意する。
【0033】
【数1】
Q=[q1, q2, q3, ・・・ ,qx, ・・・,qn] … (1)
この行列Qの各要素の値をサンプル周期ごとに一列づつ順次右側へシフトさせて、q1に新しい値を格納する。
【0034】
燃料電池出口からラジエタ入口までの冷却液の配管容量をVCR[L]とし、式(2)を満足するqxを求める。
【0035】
【数2】
(q1 + q2 + q3 + ・・・ + qx)×60×T ≒ VCR … (2)
このqxの添え字x が燃料電池出口からラジエタ入口までの冷却液の到達遅れ時間(量子化時間)を表す。なお実際の遅れ時間は、量子化時間にサンプル周期を乗じたx・T[sec]である。
【0036】
三方弁の冷却液到達遅れ時間についても同様に、燃料電池出口から三方弁入口までの冷却液の配管容量に基づいて冷却液三方弁到達遅れ演算手段27によって演算される。
【0037】
次に、ラジエタファン制御手段29はラジエタファン9、三方弁制御手段31は三方弁11をそれぞれ冷却液到達遅れ時間を考慮して制御する。
【0038】
ラジエタファン制御手段29は、燃料電池入口冷却液目標温度から同検出温度を減算して冷却液温度の制御誤差を求める加算部71と、冷却液温度の制御誤差に基づいて目標ラジエタ放熱量補正量を算出するPI制御部73と、目標ラジエタ放熱量(=予測発熱量)に無駄時間処理を行うラジエタ無駄時間処理部75と、無駄時間処理された目標ラジエタ放熱量に目標ラジエタ放熱量補正量を加算する加算部77と、ラジエタ放熱量と冷却液流量から風量を求めるラジエタ特性マップ79と、風量及び車速からラジエタファン回転速度を算出するラジエタファン回転速度演算部81とを備えている。
【0039】
三方弁制御手段31は、目標ラジエタ放熱量(=予測発熱量)に無駄時間処理を行う三方弁無駄時間処理部51と、無駄時間処理された目標ラジエタ放熱量に目標ラジエタ放熱量補正量を加算する加算部55と、車速による風量を計算する車速風量演算部53と、ラジエタ放熱量と風量から冷却液流量を求めるラジエタ特性マップ57と、三方弁11における分流率を計算する分流率計三部59と、分流率に基づいて三方弁11の開度を求める三方弁開度マップ61とを備えている。
【0040】
ラジエタファン制御手段29は、サンプル周期毎の燃料電池予測発熱量=目標ラジエタ放熱量をRi(i=1〜n)として、式(3)に示すような無駄時間処理用の行列Rを用意してある。
【0041】
【数3】
R=[R1, R2, R3,・・・,Rx,・・・,Rn] … (3)
ラジエタ無駄時間処理部75は、この行列Rの各要素の値をサンプル周期ごとに一列づつ順次右側へシフトさせて、R1に新しい値を格納しておく。そして、冷却液ラジエタ到達遅れ演算手段25で算出された添え字x がつく行列Rの要素Rxをフィードフォワードで算出された目標ラジエタ放熱量とする。
【0042】
以上説明した冷却液到達遅れ時間から目標ラジエタ放熱量を算出するまでのアルゴリズムを図2のフローチャートに示す。このフローチャートは、冷却制御装置15のサンプル周期毎に実行される。
【0043】
図2において、まずステップS10で、容量積算用のパラメータQCRと、作業変数xとを0に初期化する。
【0044】
次いでステップS12で、xに1を加算する。ステップS14で、QCRにqxを加算する。ステップS16で、QCRがVCRより大きいか否かを判定し、大きくなければ、ステップS12へ戻る。ステップS16の判定で、QCRがVCRより大きければ、ステップS18へ進み、目標ラジエタ放熱量をRxとする。
【0045】
このように無駄時間は、燃料電池の出力が大きいほど大きな値に、つまり冷却水流量が大きいほど大きな値に設定されることになる。
【0046】
ラジエタファン制御手段29の加算器77は、ラジエタ無駄時間処理部75でフィードフォワードで算出された目標ラジエタ放熱量に、燃料電池入口冷却液目標温度と検出温度との制御誤差をフィードバックして補正される。
【0047】
この補正された目標ラジエタ放熱量と冷却液目標流量に応じて、ラジエタ特性(ラジエタ放熱量−冷却液流量−風量)マップ79を参照することにより、ラジエタへの必要風量が算出される。この必要風量と車速に応じてラジエタファン回転速度演算部81が式(4)により、ラジエタファン回転速度を算出する。
【0048】
【数4】
ラジエタファン回転速度=a(風量−b×車速) …(4)
尚、風量=b×車速のとき、ラジエタファン回転速度は0となり、回転を停止する。これより、車速が大きいか、必要風量が小さい(目標ラジエタ放熱量が小さい)には、ラジエタファン9の駆動を停止させて、三方弁11を調整することによって放熱量を調整する。これによりラジエタファン9の消費電力を節約することができる。
【0049】
三方弁制御手段31の三方弁無駄時間処理部51もラジエタ無駄時間処理部75と同様にしてフィードフォワードで算出される目標ラジエタ放熱量を求め、これに、加算手段55で目標ラジエタ放熱量補正量を加算して、フィードバック補正を行う。
【0050】
三方弁制御手段31は、加算手段55によりフィードバック補正された目標ラジエタ放熱量と、車速風量演算部53からのラジエタファン停止時にラジエタへあたる走行風量とにより、ラジエタ特性(ラジエタ放熱量−風量−冷却液流量)マップ57を検索してラジエタへの目標冷却液流量を算出する。そして、このラジエタへの目標冷却液流量を、ポンプ制御手段23からの燃料電池への目標流量で除算することにより流量分流率が決まり、この流量分流率から三方弁開度マップ61を参照して三方弁開度が求まる。
【0051】
以上説明したように本実施形態によれば、燃料電池からラジエタまでの冷却液到達遅れ時間を考慮してラジエタファンを駆動する構成としたので、燃料電池発熱量の増減による温度上下を伴った冷却液がラジエタまで到達したときに必要となるラジエタファン駆動量が設定されて、冷却液の温度を良好に制御することができる。
【0052】
また、燃料電池の温度を目標とする温度から低下させすぎたり、過温にすることがなくなり、燃料電池の水収支や効率などの性能を目標値に達成させることができる。
【0053】
また、燃料電池には性能の観点からその出入口温度差を管理する要求もあり、冷却液の流量を燃料電池出力などに応じて変化させることになる。これに伴って、冷却液の到達遅れ時間が変化してしまうので従来から一般的な制御手法で使われる一定時間固定の無駄時間を冷却制御に適用したのでは、過渡時に燃料電池の温度が適正範囲から外れる可能性が有る。
【0054】
そこで、本実施形態では冷却液流量に応じて、つまり燃料電池出力、発熱量に応じた値に無駄時間を可変に設定されるので、温度制御精度を向上させることができる。
【0055】
また、燃料電池の発熱量を予測するフィードフォワード分と、検出された冷却液の温度と目標温度との誤差のフィードバック分で目標ラジエタ放熱量を決定する構成としたため、過渡と定常の温度制御性能が良くなる。
【0056】
ここで、冷却液の燃料電池からラジエタまでの到達遅れ時間をフィードフォワードで算出された目標ラジエタ放熱量の方に無駄時間で設定するようにしたので、以下の効果が得られる。
【0057】
(1)燃料電池の発電によって発熱した冷却液がラジエタまで到達したときの必要なラジエタ放熱量が設定されて、冷却液の温度を良好に制御することができる。
【0058】
(2)冷却液の温度が目標温度からずれた場合、フィードバックが遅れ時間なしで働き、温度が目標温度に早く復帰する。
【0059】
同様に、燃料電池から三方弁までの冷却液到達遅れ時間を考慮して三方弁を駆動する構成としたので、冷却液の温度をより高精度に制御することができる。
【0060】
本実施形態は、ラジエタを車両前部に、燃料電池を車両床下にそれぞれ搭載した場合のように、ラジエタと燃料電池との距離が長くなる構成の燃料電池車両に特に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料電池の冷却制御装置の実施形態を説明する構成図である。
【図2】冷却液到達遅れから目標ラジエタ放熱量を算出するフローチャートである。
【図3】三方弁制御手段の詳細を説明する制御ブロック図である。
【図4】ポンプ制御手段及びラジエタファン制御手段の詳細を説明する制御ブロック図である。
【符号の説明】
1…燃料電池システム
3…燃料電池
5…ポンプ
7…ラジエタ
9…ラジエタファン
11…三方弁
13…温度検出手段
15…冷却制御装置
21…燃料電池発熱量予測手段
23…ポンプ制御手段
25…冷却液ラジエタ到達遅れ演算手段
27…冷却液三方弁到達遅れ演算手段
29…ラジエタファン制御手段
31…三方弁制御手段
Claims (10)
- ラジエタファンが送風するラジエタと燃料電池との間に冷却液を循環させることにより燃料電池を冷却する燃料電池の冷却制御装置において、
冷却液が燃料電池からラジエタまで到達する遅れ時間を算出する冷却液ラジエタ到達遅れ演算手段と、
該冷却液ラジエタ到達遅れ演算手段によって算出された遅れ時間に基づき前記ラジエタファンを駆動するラジエタファン制御手段と、を備えたことを特徴とする燃料電池の冷却制御装置。 - 燃料電池とラジエタとの間に三方弁を配設し、該三方弁によりラジエタとラジエタバイパス通路との流路切替または分流比制御により冷却調整される燃料電池の冷却制御装置において、
冷却液が燃料電池から三方弁まで到達する遅れ時間を算出する冷却液三方弁到達遅れ演算手段と、
前記冷却液三方弁到達遅れ演算手段によって算出された遅れ時間に基づき三方弁の開度を制御する三方弁制御手段と、を備えたことを特徴とする燃料電池の冷却制御装置。 - ラジエタファンが送風するラジエタと燃料電池との間に冷却液を循環させることにより燃料電池を冷却する燃料電池の冷却制御装置において、
冷却液の温度を検出する温度検出手段と、
燃料電池の出力に基づきフィードフォワードで目標ラジエタ放熱量を算出するとともに、
前記温度検出手段で検出された冷却液の温度と目標温度の偏差をフィードバックすることにより前記目標ラジエタ放熱量を補正し、
該補正された目標ラジエタ放熱量に基づいて前記ラジエタファンを制御するラジエタファン制御手段を備え、
該ラジエタファン制御手段はフィードフォワードで算出された目標ラジエタ放熱量に無駄時間を設定することを特徴とする燃料電池の冷却制御装置。 - 燃料電池の出力に基づいて発熱量を予測する燃料電池発熱量予測手段を備え、
前記ラジエタファン制御手段は、前記予測された燃料電池の発熱量に基づきフィードフォワードで目標ラジエタ放熱量を算出することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池の冷却制御装置。 - 燃料電池とラジエタとの間に三方弁を配設し、該三方弁によりラジエタとラジエタバイパス通路との流路切替または分流比制御により冷却調整される燃料電池の冷却制御装置において、
冷却液の温度を検出する温度検出手段と、
燃料電池の出力に基づきフィードフォワードで目標ラジエタ放熱量を算出するとともに、
前記温度検出手段で検出された冷却液の温度と目標温度の偏差をフィードバックすることにより前記目標ラジエタ放熱量を補正し、
該補正された目標ラジエタ放熱量に基づいて三方弁の開度を制御する三方弁制御手段と、を備え、
前記三方弁制御手段はフィードフォワードで算出された目標ラジエタ放熱量に無駄時間を設定することを特徴とする燃料電池の冷却制御装置。 - 燃料電池の出力に基づいて発熱量を予測する燃料電池発熱量予測手段を備え、
前記ラジエタファン制御手段は、前記予測された燃料電池の発熱量に基づきフィードフォワードで目標ラジエタ放熱量を算出することを特徴とする請求項5に記載の燃料電池の冷却制御装置。 - 前記無駄時間は、燃料電池の出力が大きいほど大きな値に設定されることを特徴とする請求項3乃至請求項6の何れか1項に記載の燃料電池の冷却制御装置。
- 前記無駄時間は、冷却水流量が大きいほど大きな値に設定されることを特徴とする請求項3乃至請求項6の何れか1項に記載の燃料電池の冷却制御装置。
- 前記無駄時間は、冷却液の燃料電池からラジエタまでの到達時間分を設定することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の燃料電池の冷却制御装置。
- 前記無駄時間は、冷却液の燃料電池から三方弁までの到達時間分を設定することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の燃料電池の冷却制御装置。
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