JP2004253160A - 画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スペーサおよび外囲器の強度が高く信頼性の向上した画像表示装置を提供する。
【解決手段】画像表示面を有する第1基板と、第1基板に隙間を置いて対向配置されているとともに、画像表示面を励起する複数の電子源が設けられた第2基板と、を備え、これら第1および第2基板間には、電子ビーム通過孔およびスペーサ開孔を有した板状のグリッド24、およびこれらの基板に作用する大気圧荷重を支持する複数の柱状のスペーサ30aが設けられている。グリッドの表面と平行な方向に沿ったスペーサおよびスペーサ開孔の断面は互いに異なる形状を有し、各スペーサ開孔は、スペーサの両側に延出しスペーサで満たされていない間隙部28aを有している
【選択図】 図5
【解決手段】画像表示面を有する第1基板と、第1基板に隙間を置いて対向配置されているとともに、画像表示面を励起する複数の電子源が設けられた第2基板と、を備え、これら第1および第2基板間には、電子ビーム通過孔およびスペーサ開孔を有した板状のグリッド24、およびこれらの基板に作用する大気圧荷重を支持する複数の柱状のスペーサ30aが設けられている。グリッドの表面と平行な方向に沿ったスペーサおよびスペーサ開孔の断面は互いに異なる形状を有し、各スペーサ開孔は、スペーサの両側に延出しスペーサで満たされていない間隙部28aを有している
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、対向配置された基板と、基板間に配設された複数のスペーサと、を備えた画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高品位放送用あるいはこれに伴う高解像度の画像表示装置が望まれており、そのスクリーン表示性能については一段と厳しい性能が要望されている。これら要望を達成するためにはスクリーン面の平坦化、高解像度化が必須であり、同時に軽量、薄型化も図る必要がある。
【0003】
上記のような要望を満たす画像表示装置として、例えば、フィールドエミッションディスプレイ(以下FEDと称する)等の平面型の画像表示装置が注目されている。このFEDは、所定の隙間を置いて対向配置された第1基板および第2基板を有し、これらの基板は、その周縁部同士が直接あるいは矩形枠状の側壁を介して互いに接合され真空外囲器を構成している。第1基板の内面には蛍光体層が形成され、第2基板の内面には、蛍光体層を励起して発光させる電子源として複数の電子放出素子が設けられている。
【0004】
このFEDにおいて、画像を表示する場合、蛍光体層にアノード電圧が印加され、電子放出素子から放出された電子ビームをアノード電圧により加速して蛍光体層へ衝突させることにより、蛍光体が発光して画像を表示する。
【0005】
このようなFEDでは、電子放出素子の大きさがマイクロメートルオーダーであり、第1基板と第2基板との間隔をミリメートルオーダーに設定することができる。このため、現在のテレビやコンピュータのディスプレイとして使用されている陰極線管(CRT)などと比較して、画像表示装置の高解像度化、軽量化、薄型化を達成することが可能となる。
【0006】
一方、上記構成の画像表示装置では、第1基板および第2基板に加わる大気圧荷重を支えるため、これら基板の間には支持部材として複数のスペーサが配設されている。例えば、特許文献1には、第1および第2基板間に板状のグリッドを設け、このグリッドにスペーサを設けた構成が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−272926号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようにグリッド上にスペーサを設けた画像表示装置において、スペーサは、グリッドに形成されたスペーサ開孔に重ねてスペーサ形成材料を充填した後、スペーサ形成材料を高温で焼成することにより形成されている。しかしながら、スペーサ形成材料を焼成する際、グリッドも一緒に加熱され熱膨張する。そして、このグリッドの熱膨張、熱収縮によりスペーサ形成材料が加圧され、スペーサに反りが生じてしまう恐れがある。すなわち、温度上昇、温度下降に対して、金属のグリッドの方が、有機成分のバインダ、ガラス成分等からなるスペーサに比べ、より早い挙動で熱膨張、熱収縮をする。そのため、スペーサの長さ変化はグリッドについていけず、焼成後にグリッド表面と平行な方向のうねり、反りが残る可能性がある。また、スペーサは、スペーサ開孔に引っかかった構造となっているため、グリッド表面と直交する方向に見て、スペーサ材料成分だけからなる部分と、間にグリッドを挟んだ部分とを有している。この場合、焼成によりスペーサはバインダ成分が焼き飛ばされることにより収縮するが、グリッドについては変化が生じない。そのため、スペーサ材料成分だけからなる部分は、間にグリッドを挟んだ部分に比べ、より収縮し、その結果、間にグリッドを挟んだ部分が引っ張られグリッド表面と直交する方向に反りが生じる可能性がある。
【0009】
スペーサに反りが生じた場合、スペーサの強度が低下するとともに、スペーサの高さにばらつきが生じる。そのため、スペーサにより第1および第2基板を安定して支持することが困難となり、外囲器の強度低下、基板の割れ発生等の不具合が生じる。
【0010】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、スペーサの強度を向上して基板を安定して支持することができ、真空外囲器の強度が高く信頼性の向上した画像表示装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の態様に係る画像表示装置は、画像表示面を有した第1基板と、上記第1基板に隙間を置いて対向配置されているとともに、上記画像表示面を励起する複数の電子源が設けられた第2基板と、上記第1基板と第2基板との間に配設されているとともに、上記電子源から放出された電子が通過する複数の電子ビーム通過孔と複数のスペーサ開孔とを有した板状のグリッドと、それぞれ上記スペーサ開孔に重ねて上記グリッドに固定されているとともに上記第1基板および第2基板間に配設され、第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持する複数の柱状のスペーサと、を備えている。上記グリッドの表面と平行な方向に沿った上記スペーサおよびスペーサ開孔の断面は互いに異なる形状を有し、上記各スペーサ開孔は、上記スペーサの両側に延出しスペーサで満たされていない間隙部を有している。
【0012】
上記のように構成された画像表示装置によれば、スペーサは、スペーサ開孔に重ねてグリッド上に設けられ、スペーサ開孔は、スペーサの両側に位置した間隙部を有している。そのため、スペーサ形成時に生じるスペーサの反りを防止し、スペーサの強度向上およびスペーサ高さの均一化を図ることができる。これにより、外囲器の強度が向上し、信頼性および画像品位の高い画像表示装置を提供することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら、この発明を、平面型の画像表示装置としてFEDの一種である表面伝導型電子放出装置(以下、SEDと称する)に適用した実施の形態について詳細に説明する。
図1ないし図3に示すように、このSEDは、透明な絶縁基板としてそれぞれ矩形状のガラスからなる第1基板10および第2基板12を備え、これらの基板は約1〜2mmの隙間を置いて対向配置されている。第2基板12は、第1基板10よりも僅かに大きな寸法に形成されている。そして、第1基板10および第2基板12は、ガラスからなる矩形枠状の側壁14を介して周縁部同志が接合され、偏平な矩形状の真空外囲器15を構成している。
【0014】
第1基板10の内面には画像表示面として蛍光体スクリーン16が形成されている。この蛍光体スクリーン16は、電子の衝突で赤、青、緑に発光する蛍光体層R、G、B、および黒色着色層11を並べて構成されている。これらの蛍光体層R、G、Bはストライプ状あるいはドット状に形成されている。また、蛍光体スクリーン16上には、アルミニウム等からなるメタルバック17が形成されている。なお、第1基板10と蛍光体スクリーンとの間に、例えばITOからなる透明導電膜あるいはカラーフィルタ膜を設けてもよい。
【0015】
第2基板12の内面には、蛍光体スクリーン16の蛍光体層を励起する電子源として、それぞれ電子ビームを放出する多数の表面伝導型の電子放出素子18が設けられている。これらの電子放出素子18は、画素毎に対応して複数列および複数行に配列されている。各電子放出素子18は、図示しない電子放出部、この電子放出部に電圧を印加する一対の素子電極等で構成されている。また、第2基板12の内面には、電子放出素子18に電位を供給する多数本の配線21がマトリック状に設けられ、その端部は真空外囲器15の外部に引出されている。
【0016】
接合部材として機能する側壁14は、例えば、低融点ガラス、低融点金属等の封着材20により、第1基板10の周縁部および第2基板12の周縁部に封着され、第1基板および第2基板同志を接合している。
【0017】
図2および図3に示すように、SEDは、第1基板10および第2基板12間に配設されたスペーサアッセンブリ22を備えている。本実施の形態において、スペーサアッセンブリ22は、板状のグリッド24と、グリッドの両面に一体的に立設された複数の柱状のスペーサと、を備えている。
【0018】
詳細に述べると、グリッド24は第1基板10の内面と対向した第1表面24aおよび第2基板12の内面と対向した第2表面24bを有し、これらの基板と平行に配置されている。そして、グリッド24には、エッチング等により多数の電子ビーム通過孔26および複数のスペーサ開孔28が形成されている。電子ビーム通過孔26は、それぞれ電子放出素子18と対向して配列され、電子放出素子から放出された電子ビームを透過する。また、スペーサ開孔28は、それぞれ電子ビーム通過孔26間に位置し所定のピッチで配列されている。
【0019】
グリッド24は、例えば鉄−ニッケル系の金属板により厚さ0.1〜0.25mmに形成され、電子ビーム通過孔26は、例えば、0.15〜0.25mm×0.15〜0.25mmの矩形状に形成されている。また、グリッド24の表面には、ガラス、セラミック等からなる絶縁性物質を塗布、焼成した絶縁層40が形成されている。本実施の形態によれば、グリッド24の全面および各電子ビーム通過孔26の壁面が、Li系のアルカリホウ珪酸ガラスからなる厚さ約10μmの絶縁層40により被覆されている。
【0020】
図1ないし図4に示すように、第1基板10および第2基板12の長手方向をX、幅方向をYとした場合、グリッド24に設けられた電子ビーム通過孔26は、X方向に沿って所定のピッチで配列され、また、Y方向については、X方向のピッチよりも大きなピッチで配列されている。第1基板10に形成された蛍光体スクリーン16の蛍光体層R、G、B、および第2基板12上の電子放出素子18は、X方向およびY方向についてそれぞれ電子ビーム通過孔26と同一のピッチで配列され、それぞれ電子ビーム通過孔と対向している。これにより、各電子放出素子18は、電子ビーム通過孔26を通して、対応する蛍光体層と対向している。
【0021】
なお、グリッド24のスペーサ開孔28は、Y方向およびX方向について、電子ビーム通過孔26のピッチよりも複数倍大きなピッチで配列されている。本実施の形態によれば、スペーサ開孔28は、Y方向について、電子ビーム通過孔26のピッチの数倍、例えば、2倍のピッチで設けられている。
【0022】
図2ないし図4に示すように、グリッド24の第1表面24a上には、それぞれスペーサ開孔28に重ねて複数の第1スペーサ30aが一体的に立設され、その延出端は、メタルバック17および蛍光体スクリーン16の黒色着色層11を介して第1基板10に当接している。
【0023】
また、グリッド24の第2表面24b上には、それぞれスペーサ開孔28に重ねて複数の第2スペーサ30bが一体的に立設され、その延出端は、第2基板12に当接している。ここで、各第2スペーサ30bの延出端は、第2基板12の内面上に設けられた配線21上に位置している。
【0024】
第1および第2スペーサ30a、30bの各々は、グリッド24側から延出端に向かって径が小さくなった先細テーパ状に形成されている。例えば、各第1スペーサ30aは高さが約0.6mmに形成され、各第2スペーサ30bは高さが約0.8mmに形成されている。このように、第1スペーサ30aの高さは、第2スペーサ30bの高さよりも低く形成され、第2スペーサの高さは、第1スペーサの高さに対し約4/3倍以上に設定されている。
【0025】
また、図4および図5(a)、5(b)に示すように、第1および第2スペーサ30a、30bの各々は、グリッド表面と平行な方向に沿った各スペーサの断面は、ほぼ楕円形に形成されている。例えば、各第1スペーサ30aのグリッド24側に位置した基端は、長軸の径asが約1.4mm、短軸の径bsが約0.4mmに形成されている。同様に、各第2スペーサ30bのグリッド24側に位置した基端は、長軸の径asが約1.4mm、短軸の径bsが約0.4mmに形成されている。長軸径asと短軸径bsとの比as/bsは、3以上に形成されている。そして、第1および第2スペーサ30a、30bは、その長軸がグリッド24の長手方向Xと一致した状態でグリッド上に配置されている。
【0026】
一方、グリッド24の各スペーサ開孔28は、長手方向Xに長く延出した長孔として形成されている。そして、スペーサ開孔28の長手方向Xの長さagは約1.5mmに形成され、第1および第2スペーサ30a、30bの基端部の長軸径asよりも長く(ag>as)形成されている。また、スペーサ開孔28の幅方向Yに沿った幅bgは約0.3mmに形成され、第1および第2スペーサ30a、30bの基端部の短軸径asよりも小さく形成されている。
【0027】
各スペーサ開孔28、第1および第2スペーサ30a、30bは互いに整列して位置し、第1および第2スペーサはこのスペーサ開孔28を介して互いに一体的に連結されている。これにより、第1および第2スペーサ30a、30bは、グリッド24を両面から挟み込んだ状態でグリッド24と一体に形成されている。幅方向Yにおいて、第1および第2スペーサ30a、30bの基端は、スペーサ開孔28の両側に突出した状態で、スペーサ開孔に重なって位置している。長手方向Xにおいては、スペーサ開孔28の両端部が第1および第2スペーサ30a、30bの基端から両側へ突出し、それぞれスペーサで満たされていない間隙部28aを規定している。
【0028】
上記のように構成されたスペーサアッセンブリ22は第1基板10および第2基板12間に配設されている。そして、第1および第2スペーサ30a、30bは、第1基板10および第2基板12の内面に当接することにより、これらの基板に作用する大気圧荷重を支持し、基板間の間隔を所定値に維持している。
【0029】
上記のように構成されたSEDでは、画像を表示する場合、蛍光体スクリーン16およびメタルバック17にアノード電圧を印加し、電子放出素子18から放出された電子ビームをアノード電圧により加速して蛍光体スクリーン16へ衝突させる。これにより、蛍光体スクリーン16の蛍光体層が励起されて発光し、画像を表示する。
【0030】
次に、以上のように構成されたSEDの製造方法について説明する。スペーサアッセンブリ22を製造する際、まず、所定寸法のグリッド24を用意する。この場合、Fe−Ni50%からなる板厚0.12mmの薄板を脱脂・洗浄・乾燥した後、エッチングにより多数の電子ビーム通過孔26およびスペーサ開孔28を形成しグリッド24とする。
【0031】
その後、グリッド24の第1表面24a、第2表面24bおよび各電子ビーム通過孔26の壁面上に、Li系のアルカリホウ珪酸ガラスを主成分としたコート液を塗布し、乾燥する。そして、コート液が乾燥した後、焼成することにより、グリッド24の第1および第2表面24a、24b、並びに、各電子ビーム通過孔26の壁面に約10μmの絶縁層40を形成する。
【0032】
続いて、グリッド24とほぼ同一の寸法を有した図示しない矩形板状の第1および第2金型を用意する。これら第1および第2金型は、それぞれスペーサ成形用の多数の透孔を有している。そして、第1金型を、各透孔がグリッド24のスペーサ開孔28と対向するように位置決めした状態でグリッドの第1表面24aに密着させる。同様に、第2金型を、各透孔がグリッド24のスペーサ開孔28および導電層42と対向するように位置決めした状態でグリッドの第2表面24bに密着させる。そして、これら第1金型、グリッド24、および第2金型を図示しないクランパ等を用いて互いに固定する。なお、第1および第2金型には予め剥離剤を塗布しておく。
【0033】
その後、例えば、第1金型の外面側からペースト状のスペーサ形成材料を供給し、第1金型の透孔、グリッド24のスペーサ開孔28、および第2金型の透孔にスペーサ形成材料を充填する。スペーサ形成材料としては、少なくとも紫外線硬化型のバインダ(有機成分)およびガラスフィラーを含有したガラスペーストを用いる。なお、スペーサ形成材料の充填により間隙部が埋まらないように、金型の透孔形状、大きさ、グリッドにおけるスペーサ開孔のスリット部の寸法等を調節している。
【0034】
続いて、充填されたスペーサ形成材料に対し、第1および第2金型の外面側から放射線として紫外線(UV)を照射し、スペーサ形成材料をUV硬化させる。この後、必要に応じて熱硬化を行なってもよい。次に、熱処理により第1および第2金型の各透孔に塗布された剥離剤を熱分解し、スペーサ形成材料と金型の間にすき間を作り、第1および第2金型をグリッド24から剥離する。
【0035】
更に、スペーサ形成材料が充填されたグリッド24を加熱炉内で熱処理し、スペーサ形成材料内からバインダを飛ばした後、約500〜550℃で30分〜1時間、スペーサ形成材料を本焼成する。これにより、グリッド24上に第1および第2スペーサ30a、30bが作り込まれたスペーサアッセンブリ22が得られる。
【0036】
一方、予め、蛍光体スクリーン16およびメタルバック17の設けられた第1基板10と、電子放出素子18および配線21が設けられているとともに側壁14が接合された第2基板12と、を用意しておく。また、高さ緩和層31を形成するためのインジウム粉末を各第1スペーサ30aの延出端に塗布する。
【0037】
次に、上記のように構成されたスペーサアッセンブリ22を第2基板12上に位置決め配置する。この際、第2スペーサ30bの延出端がそれぞれ配線21上に位置するようにスペーサアッセンブリ22を位置決めする。この状態で、第1基板10、第2基板12、およびスペーサアッセンブリ22を真空チャンバ内に配置し、真空チャンバ内を真空排気した後、側壁14を介して第1基板を第2基板に接合する。これにより、スペーサアッセンブリ22を備えたSEDが製造される。
【0038】
以上のように構成されたSEDによれば、グリッドの各スペーサ開孔28は、第1および第2スペーサ基端の長軸径よりも長く形成され、スペーサ基端の長軸方向両側に間隙部28aを規定しているため、スペーサ焼成時における各スペーサの反りの発生、特に、長軸方向に沿った反りの発生を防止することができる。すなわち、スペーサ基端の長軸方向両側に設けられた間隙部28aにより、温度上昇、温度下降におけるグリッドとスペーサとの間で熱挙動の相違を逃がすことができる。また、スペーサ側壁部がスリット部においてグリッドと接した構造となり、スペーサがこの部分に付着した状態で焼成される。そのため、長軸X方向のうねりおよび反りを抑制することができる。また、グリッド表面と直交する方向について、スペーサの反りは、長軸方向のみならず、短軸方向にも生じ得るが、短軸方向の反りは長軸方向に比べ小さい。このため、間隙部を設けることにより、長軸方向に見た場合、スペーサはグリットを挟まない部分だけからなることになり、グリッド表面と直交する方向について、長軸方向の反りを緩和することができる。
【0039】
これにより、所望形状、および均一な高さのスペーサを形成することができ、その結果、各スペーサの強度向上を図ることができる。同時に、これらのスペーサにより第1および第2基板10、12を安定して支持することができ、これら基板の強度を向上し割れ防止を図ることが可能となる。従って、真空外囲器15の強度が高く信頼性の向上したSEDを得ることができる。
【0040】
また、本実施の形態に係るSEDによれば、第1基板10と第2基板12との間にグリッド24が配置されているとともに、第1スペーサ30aの高さは、第2スペーサ30bの高さよりも低く形成されている。これにより、グリッド24は第2基板12よりも第1基板10側に接近して位置している。そのため、第1基板10側から放電が生じた場合でも、グリッド24により、第2基板12上に設けられた電子放出素子18の放電破損を抑制することが可能となる。従って、放電に対する耐圧性に優れ画像品位の向上したSEDを得ることができる。
次に、この発明の第2の実施の形態に係るSEDについて説明する。本実施の形態によれば、図6に示すように、グリッド24に形成されたスペーサ開孔28は、第1および第2スペーサ30a、30bの基端と相似の楕円形に形成された楕円部29aと、楕円部から長軸方向に沿って両側に延出した一対のスリット29bと、を有している。楕円部29aは、スペーサ基端の長軸径asおよび端軸径bsよりも小さな長軸径および短軸径bgを有し、その長軸がグリッド24の長軸X方向と平行に位置した状態で設けられている。また、スリット29bを含むスペーサ開孔28の長軸方向の長さagは、第1および第2スペーサ30a、30bの基端部の長軸径asよりも長く(ag>as)形成されている。
【0041】
各スペーサ開孔28、第1および第2スペーサ30a、30bは互いに整列して位置し、第1および第2スペーサはこのスペーサ開孔28を介して互いに一体的に連結されている。これにより、第1および第2スペーサ30a、30bは、グリッド24を両面から挟み込んだ状態でグリッド24と一体に形成されている。幅方向Yにおいて、第1および第2スペーサ30a、30bの基端は、スペーサ開孔28の両側に突出した状態で、スペーサ開孔に重なって位置している。長手方向Xにおいては、スペーサ開孔28のスリット29bが第1および第2スペーサ30a、30bの基端から両側へ突出し、それぞれスペーサで満たされていない間隙部28aを規定している。
【0042】
上記のように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。また、スペーサ基端の両側に位置した間隙部28aは、楕円部29aに比較して細いスリット29bによって規定しているため、間隙部の形成に伴うグリッド24の強度低下を防止することができる。
【0043】
図7に示すように、この発明の第3の実施の形態に係るSEDによれば、第1および第2スペーサ30a、30bはそれぞれ楕円形の断面形状を有し、グリッド24に形成されたスペーサ開孔28は、グリッドの長手方向Xに沿って延びた細長い長孔として形成されている。スペーサ開孔28の長手方向Xの長さagは約1.5mmに形成され、第1および第2スペーサ30a、30bの基端部の長軸径asよりも長く(ag>as)形成されている。また、スペーサ開孔28の幅方向Yに沿った幅bgは約0.3mmに形成され、第1および第2スペーサ30a、30bの基端部の短軸径asよりも小さく形成されている。
【0044】
また、グリッド24は、各スペーサ開孔28を横切って延びたブリッジ44を有している。本実施の形態によれば、ブリッジ44は、各スペーサ開孔28に対して例えば2本設けられ、それぞれグリッド24の幅方向Yに沿って延びている。従って、スペーサ開孔28は、これらのブリッジ44により長手方向Xに沿って3つに分割されている。なお、ブリッジ44の数は、1本、あるいは3本以上としてもよく、また、ブリッジは幅方向Yに限らず、他の方向に延びていてもよい。
【0045】
各スペーサ開孔28、第1および第2スペーサ30a、30bは互いに整列して位置し、第1および第2スペーサはこのスペーサ開孔28を介して互いに一体的に連結されている。これにより、第1および第2スペーサ30a、30bは、グリッド24を両面から挟み込んだ状態でグリッド24と一体に形成されている。幅方向Yにおいて、第1および第2スペーサ30a、30bの基端は、スペーサ開孔28の両側に突出した状態で、スペーサ開孔に重なって位置している。長手方向Xにおいては、スペーサ開孔28の両端部が第1および第2スペーサ30a、30bの基端から両側へ突出し、それぞれスペーサで満たされていない間隙部28aを規定している。
【0046】
上記のように構成された第3の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。また、グリッド24は、各スペーサ開孔28を横切って延びたブリッジ44を有していることから、グリッドの強度低下を防止しつつ、スペーサの反りの発生を防止することができる。
【0047】
また、図8に示すこの発明の第4の実施の形態に係るSEDによれば、第1および第2スペーサ30a、30bはそれぞれ楕円形の断面形状を有し、グリッド24に形成されたスペーサ開孔28は、グリッドの長手方向Xを長軸とした楕円形に形成されている。スペーサ開孔28の長手方向Xの長さagは、第1および第2スペーサ30a、30bの基端部の長軸径asよりも長く(ag>as)形成されている。また、スペーサ開孔28の幅方向Yに沿った幅bgは、第1および第2スペーサ30a、30bの基端部の短軸径asよりも小さく形成されている。
【0048】
また、グリッド24は、各スペーサ開孔28を横切って延びた複数本のブリッジ44を有している。本実施の形態によれば、これらのブリッジ44は、各スペーサ開孔28の中心に対して放射状に延びているとともに、円周方向に沿って均等に設けられている。従って、スペーサ開孔28は、これらのブリッジ44により複数に分割されている。なお、ブリッジ44の数は、必要に応じて増減可能である。
【0049】
各スペーサ開孔28、第1および第2スペーサ30a、30bは互いに整列して位置し、第1および第2スペーサはこのスペーサ開孔28を介して互いに一体的に連結されている。これにより、第1および第2スペーサ30a、30bは、グリッド24を両面から挟み込んだ状態でグリッド24と一体に形成されている。幅方向Yにおいて、第1および第2スペーサ30a、30bの基端は、スペーサ開孔28の両側に突出した状態で、スペーサ開孔に重なって位置している。長手方向Xにおいては、スペーサ開孔28の両端部が第1および第2スペーサ30a、30bの基端から両側へ突出し、それぞれスペーサで満たされていない間隙部28aを規定している。
【0050】
上記のように構成された第4の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。また、グリッド24は、各スペーサ開孔28を横切って延びたブリッジ44を有していることから、グリッドの強度低下を防止しつつ、スペーサの反りの発生を防止することができる。更に、ブリッジ44は、スペーサ開孔28に対し放射上にかつ均等に設けられているため、スペーサ開孔近傍におけるグリッド24の応力分布ムラの発生を防止することが可能となる。
【0051】
図9に示すように、この発明の第5の実施の形態に係るSEDによれば、第1および第2スペーサ30a、30bはそれぞれ楕円形の断面形状を有し、グリッド24に形成されたスペーサ開孔28は、グリッドの長手方向Xに沿って延びた細長い長孔として形成されている。スペーサ開孔28の長手方向Xの長さagは約1.5mmに形成され、第1および第2スペーサ30a、30bの基端部の長軸径asよりも長く(ag>as)形成されている。また、スペーサ開孔28の幅方向Yに沿った幅bgは約0.3mmに形成され、第1および第2スペーサ30a、30bの基端部の短軸径asよりも小さく形成されている。
【0052】
また、グリッド24の各スペーサ開孔28は、プレス加工あるいは打ち抜き加工により形成されている。そして、グリッド24は、各スペーサ開孔28の周縁部に沿って形成されたばり状の跳ね返り部46を有している。各スペーサ開孔28、第1および第2スペーサ30a、30bは互いに整列して位置し、第1および第2スペーサはこのスペーサ開孔28を介して互いに一体的に連結されている。これにより、第1および第2スペーサ30a、30bは、グリッド24を両面から挟み込んだ状態でグリッド24と一体に形成されている。幅方向Yにおいて、第1および第2スペーサ30a、30bの基端は、スペーサ開孔28の両側に突出した状態で、スペーサ開孔に重なって位置している。長手方向Xにおいては、スペーサ開孔28の両端部が第1および第2スペーサ30a、30bの基端から両側へ突出し、それぞれスペーサで満たされていない間隙部28aを規定している。更に、スペーサ開孔28の周縁に沿って形成された跳ね返り部46は、第1スペーサ30a内に埋め込まれている。
【0053】
上記のように構成された第5の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。また、スペーサにグリッド24の跳ね返り部46を埋め込むことにより、スペーサに芯が入った構成となり、グリッドの表面と平行な方向に沿ったスペーサの強度向上を図ることができる。
【0054】
なお、上述した第2ないし第5の実施の形態において、SEDの他の構成は前述した第1の実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0055】
この発明は上述した実施の形態に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能であるとともに、各実施の形態を適宜組み合わせて用いることも可能である。この発明において、スペーサの径や高さ、その他の構成要素の寸法、材質等は必要に応じて適宜選択可能である。各スペーサは柱状に限らず、細長い板状としても良い。電子源は、表面導電型の電子放出素子に限らず、電界放出型、カーボンナノチューブ等、種々選択可能である。更に、この発明は、SEDに限定されることなく、FED、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)等の種々の画像表示装置にも適用可能である。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、スペーサの強度を向上して基板を安定して支持することができ、真空外囲器の強度が高く信頼性の向上した画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係るSEDを示す斜視図。
【図2】図1の線A−Aに沿って破断した上記SEDの斜視図。
【図3】上記SEDを拡大して示す断面図。
【図4】上記SEDにおけるグリッドの第2表面側を示す平面図。
【図5】上記グリッドのスペーサ開孔およびスペーサ基端を拡大して示す平面図および長軸方向に沿った断面図。
【図6】この発明の第2の実施の形態に係るSEDにおけるグリッドのスペーサ開孔およびスペーサ基端を拡大して示す平面図。
【図7】この発明の第3の実施の形態に係るSEDにおけるグリッドのスペーサ開孔およびスペーサ基端を拡大して示す平面図。
【図8】この発明の第4の実施の形態に係るSEDにおけるグリッドのスペーサ開孔およびスペーサ基端を拡大して示す平面図。
【図9】この発明の第5の実施の形態に係るSEDにおけるスペーサ、およびグリッドのスペーサ開孔およびスペーサ基端を拡大して示す断面図および平面図。
【符号の説明】
10…第1基板、 12…第2基板、 14…側壁、
15…真空外囲器、 16…蛍光体スクリーン、 18…電子放出素子、
22…スペーサアッセンブリ、 24…グリッド、 24a…第1表面、
24b…第2表面、 26…電子ビーム通過孔、 28…スペーサ開孔、
30a…第1スペーサ、 30b…第2スペーサ、 44…グリッド、
46…跳ね返り部
【発明の属する技術分野】
この発明は、対向配置された基板と、基板間に配設された複数のスペーサと、を備えた画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高品位放送用あるいはこれに伴う高解像度の画像表示装置が望まれており、そのスクリーン表示性能については一段と厳しい性能が要望されている。これら要望を達成するためにはスクリーン面の平坦化、高解像度化が必須であり、同時に軽量、薄型化も図る必要がある。
【0003】
上記のような要望を満たす画像表示装置として、例えば、フィールドエミッションディスプレイ(以下FEDと称する)等の平面型の画像表示装置が注目されている。このFEDは、所定の隙間を置いて対向配置された第1基板および第2基板を有し、これらの基板は、その周縁部同士が直接あるいは矩形枠状の側壁を介して互いに接合され真空外囲器を構成している。第1基板の内面には蛍光体層が形成され、第2基板の内面には、蛍光体層を励起して発光させる電子源として複数の電子放出素子が設けられている。
【0004】
このFEDにおいて、画像を表示する場合、蛍光体層にアノード電圧が印加され、電子放出素子から放出された電子ビームをアノード電圧により加速して蛍光体層へ衝突させることにより、蛍光体が発光して画像を表示する。
【0005】
このようなFEDでは、電子放出素子の大きさがマイクロメートルオーダーであり、第1基板と第2基板との間隔をミリメートルオーダーに設定することができる。このため、現在のテレビやコンピュータのディスプレイとして使用されている陰極線管(CRT)などと比較して、画像表示装置の高解像度化、軽量化、薄型化を達成することが可能となる。
【0006】
一方、上記構成の画像表示装置では、第1基板および第2基板に加わる大気圧荷重を支えるため、これら基板の間には支持部材として複数のスペーサが配設されている。例えば、特許文献1には、第1および第2基板間に板状のグリッドを設け、このグリッドにスペーサを設けた構成が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−272926号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようにグリッド上にスペーサを設けた画像表示装置において、スペーサは、グリッドに形成されたスペーサ開孔に重ねてスペーサ形成材料を充填した後、スペーサ形成材料を高温で焼成することにより形成されている。しかしながら、スペーサ形成材料を焼成する際、グリッドも一緒に加熱され熱膨張する。そして、このグリッドの熱膨張、熱収縮によりスペーサ形成材料が加圧され、スペーサに反りが生じてしまう恐れがある。すなわち、温度上昇、温度下降に対して、金属のグリッドの方が、有機成分のバインダ、ガラス成分等からなるスペーサに比べ、より早い挙動で熱膨張、熱収縮をする。そのため、スペーサの長さ変化はグリッドについていけず、焼成後にグリッド表面と平行な方向のうねり、反りが残る可能性がある。また、スペーサは、スペーサ開孔に引っかかった構造となっているため、グリッド表面と直交する方向に見て、スペーサ材料成分だけからなる部分と、間にグリッドを挟んだ部分とを有している。この場合、焼成によりスペーサはバインダ成分が焼き飛ばされることにより収縮するが、グリッドについては変化が生じない。そのため、スペーサ材料成分だけからなる部分は、間にグリッドを挟んだ部分に比べ、より収縮し、その結果、間にグリッドを挟んだ部分が引っ張られグリッド表面と直交する方向に反りが生じる可能性がある。
【0009】
スペーサに反りが生じた場合、スペーサの強度が低下するとともに、スペーサの高さにばらつきが生じる。そのため、スペーサにより第1および第2基板を安定して支持することが困難となり、外囲器の強度低下、基板の割れ発生等の不具合が生じる。
【0010】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、スペーサの強度を向上して基板を安定して支持することができ、真空外囲器の強度が高く信頼性の向上した画像表示装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の態様に係る画像表示装置は、画像表示面を有した第1基板と、上記第1基板に隙間を置いて対向配置されているとともに、上記画像表示面を励起する複数の電子源が設けられた第2基板と、上記第1基板と第2基板との間に配設されているとともに、上記電子源から放出された電子が通過する複数の電子ビーム通過孔と複数のスペーサ開孔とを有した板状のグリッドと、それぞれ上記スペーサ開孔に重ねて上記グリッドに固定されているとともに上記第1基板および第2基板間に配設され、第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持する複数の柱状のスペーサと、を備えている。上記グリッドの表面と平行な方向に沿った上記スペーサおよびスペーサ開孔の断面は互いに異なる形状を有し、上記各スペーサ開孔は、上記スペーサの両側に延出しスペーサで満たされていない間隙部を有している。
【0012】
上記のように構成された画像表示装置によれば、スペーサは、スペーサ開孔に重ねてグリッド上に設けられ、スペーサ開孔は、スペーサの両側に位置した間隙部を有している。そのため、スペーサ形成時に生じるスペーサの反りを防止し、スペーサの強度向上およびスペーサ高さの均一化を図ることができる。これにより、外囲器の強度が向上し、信頼性および画像品位の高い画像表示装置を提供することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら、この発明を、平面型の画像表示装置としてFEDの一種である表面伝導型電子放出装置(以下、SEDと称する)に適用した実施の形態について詳細に説明する。
図1ないし図3に示すように、このSEDは、透明な絶縁基板としてそれぞれ矩形状のガラスからなる第1基板10および第2基板12を備え、これらの基板は約1〜2mmの隙間を置いて対向配置されている。第2基板12は、第1基板10よりも僅かに大きな寸法に形成されている。そして、第1基板10および第2基板12は、ガラスからなる矩形枠状の側壁14を介して周縁部同志が接合され、偏平な矩形状の真空外囲器15を構成している。
【0014】
第1基板10の内面には画像表示面として蛍光体スクリーン16が形成されている。この蛍光体スクリーン16は、電子の衝突で赤、青、緑に発光する蛍光体層R、G、B、および黒色着色層11を並べて構成されている。これらの蛍光体層R、G、Bはストライプ状あるいはドット状に形成されている。また、蛍光体スクリーン16上には、アルミニウム等からなるメタルバック17が形成されている。なお、第1基板10と蛍光体スクリーンとの間に、例えばITOからなる透明導電膜あるいはカラーフィルタ膜を設けてもよい。
【0015】
第2基板12の内面には、蛍光体スクリーン16の蛍光体層を励起する電子源として、それぞれ電子ビームを放出する多数の表面伝導型の電子放出素子18が設けられている。これらの電子放出素子18は、画素毎に対応して複数列および複数行に配列されている。各電子放出素子18は、図示しない電子放出部、この電子放出部に電圧を印加する一対の素子電極等で構成されている。また、第2基板12の内面には、電子放出素子18に電位を供給する多数本の配線21がマトリック状に設けられ、その端部は真空外囲器15の外部に引出されている。
【0016】
接合部材として機能する側壁14は、例えば、低融点ガラス、低融点金属等の封着材20により、第1基板10の周縁部および第2基板12の周縁部に封着され、第1基板および第2基板同志を接合している。
【0017】
図2および図3に示すように、SEDは、第1基板10および第2基板12間に配設されたスペーサアッセンブリ22を備えている。本実施の形態において、スペーサアッセンブリ22は、板状のグリッド24と、グリッドの両面に一体的に立設された複数の柱状のスペーサと、を備えている。
【0018】
詳細に述べると、グリッド24は第1基板10の内面と対向した第1表面24aおよび第2基板12の内面と対向した第2表面24bを有し、これらの基板と平行に配置されている。そして、グリッド24には、エッチング等により多数の電子ビーム通過孔26および複数のスペーサ開孔28が形成されている。電子ビーム通過孔26は、それぞれ電子放出素子18と対向して配列され、電子放出素子から放出された電子ビームを透過する。また、スペーサ開孔28は、それぞれ電子ビーム通過孔26間に位置し所定のピッチで配列されている。
【0019】
グリッド24は、例えば鉄−ニッケル系の金属板により厚さ0.1〜0.25mmに形成され、電子ビーム通過孔26は、例えば、0.15〜0.25mm×0.15〜0.25mmの矩形状に形成されている。また、グリッド24の表面には、ガラス、セラミック等からなる絶縁性物質を塗布、焼成した絶縁層40が形成されている。本実施の形態によれば、グリッド24の全面および各電子ビーム通過孔26の壁面が、Li系のアルカリホウ珪酸ガラスからなる厚さ約10μmの絶縁層40により被覆されている。
【0020】
図1ないし図4に示すように、第1基板10および第2基板12の長手方向をX、幅方向をYとした場合、グリッド24に設けられた電子ビーム通過孔26は、X方向に沿って所定のピッチで配列され、また、Y方向については、X方向のピッチよりも大きなピッチで配列されている。第1基板10に形成された蛍光体スクリーン16の蛍光体層R、G、B、および第2基板12上の電子放出素子18は、X方向およびY方向についてそれぞれ電子ビーム通過孔26と同一のピッチで配列され、それぞれ電子ビーム通過孔と対向している。これにより、各電子放出素子18は、電子ビーム通過孔26を通して、対応する蛍光体層と対向している。
【0021】
なお、グリッド24のスペーサ開孔28は、Y方向およびX方向について、電子ビーム通過孔26のピッチよりも複数倍大きなピッチで配列されている。本実施の形態によれば、スペーサ開孔28は、Y方向について、電子ビーム通過孔26のピッチの数倍、例えば、2倍のピッチで設けられている。
【0022】
図2ないし図4に示すように、グリッド24の第1表面24a上には、それぞれスペーサ開孔28に重ねて複数の第1スペーサ30aが一体的に立設され、その延出端は、メタルバック17および蛍光体スクリーン16の黒色着色層11を介して第1基板10に当接している。
【0023】
また、グリッド24の第2表面24b上には、それぞれスペーサ開孔28に重ねて複数の第2スペーサ30bが一体的に立設され、その延出端は、第2基板12に当接している。ここで、各第2スペーサ30bの延出端は、第2基板12の内面上に設けられた配線21上に位置している。
【0024】
第1および第2スペーサ30a、30bの各々は、グリッド24側から延出端に向かって径が小さくなった先細テーパ状に形成されている。例えば、各第1スペーサ30aは高さが約0.6mmに形成され、各第2スペーサ30bは高さが約0.8mmに形成されている。このように、第1スペーサ30aの高さは、第2スペーサ30bの高さよりも低く形成され、第2スペーサの高さは、第1スペーサの高さに対し約4/3倍以上に設定されている。
【0025】
また、図4および図5(a)、5(b)に示すように、第1および第2スペーサ30a、30bの各々は、グリッド表面と平行な方向に沿った各スペーサの断面は、ほぼ楕円形に形成されている。例えば、各第1スペーサ30aのグリッド24側に位置した基端は、長軸の径asが約1.4mm、短軸の径bsが約0.4mmに形成されている。同様に、各第2スペーサ30bのグリッド24側に位置した基端は、長軸の径asが約1.4mm、短軸の径bsが約0.4mmに形成されている。長軸径asと短軸径bsとの比as/bsは、3以上に形成されている。そして、第1および第2スペーサ30a、30bは、その長軸がグリッド24の長手方向Xと一致した状態でグリッド上に配置されている。
【0026】
一方、グリッド24の各スペーサ開孔28は、長手方向Xに長く延出した長孔として形成されている。そして、スペーサ開孔28の長手方向Xの長さagは約1.5mmに形成され、第1および第2スペーサ30a、30bの基端部の長軸径asよりも長く(ag>as)形成されている。また、スペーサ開孔28の幅方向Yに沿った幅bgは約0.3mmに形成され、第1および第2スペーサ30a、30bの基端部の短軸径asよりも小さく形成されている。
【0027】
各スペーサ開孔28、第1および第2スペーサ30a、30bは互いに整列して位置し、第1および第2スペーサはこのスペーサ開孔28を介して互いに一体的に連結されている。これにより、第1および第2スペーサ30a、30bは、グリッド24を両面から挟み込んだ状態でグリッド24と一体に形成されている。幅方向Yにおいて、第1および第2スペーサ30a、30bの基端は、スペーサ開孔28の両側に突出した状態で、スペーサ開孔に重なって位置している。長手方向Xにおいては、スペーサ開孔28の両端部が第1および第2スペーサ30a、30bの基端から両側へ突出し、それぞれスペーサで満たされていない間隙部28aを規定している。
【0028】
上記のように構成されたスペーサアッセンブリ22は第1基板10および第2基板12間に配設されている。そして、第1および第2スペーサ30a、30bは、第1基板10および第2基板12の内面に当接することにより、これらの基板に作用する大気圧荷重を支持し、基板間の間隔を所定値に維持している。
【0029】
上記のように構成されたSEDでは、画像を表示する場合、蛍光体スクリーン16およびメタルバック17にアノード電圧を印加し、電子放出素子18から放出された電子ビームをアノード電圧により加速して蛍光体スクリーン16へ衝突させる。これにより、蛍光体スクリーン16の蛍光体層が励起されて発光し、画像を表示する。
【0030】
次に、以上のように構成されたSEDの製造方法について説明する。スペーサアッセンブリ22を製造する際、まず、所定寸法のグリッド24を用意する。この場合、Fe−Ni50%からなる板厚0.12mmの薄板を脱脂・洗浄・乾燥した後、エッチングにより多数の電子ビーム通過孔26およびスペーサ開孔28を形成しグリッド24とする。
【0031】
その後、グリッド24の第1表面24a、第2表面24bおよび各電子ビーム通過孔26の壁面上に、Li系のアルカリホウ珪酸ガラスを主成分としたコート液を塗布し、乾燥する。そして、コート液が乾燥した後、焼成することにより、グリッド24の第1および第2表面24a、24b、並びに、各電子ビーム通過孔26の壁面に約10μmの絶縁層40を形成する。
【0032】
続いて、グリッド24とほぼ同一の寸法を有した図示しない矩形板状の第1および第2金型を用意する。これら第1および第2金型は、それぞれスペーサ成形用の多数の透孔を有している。そして、第1金型を、各透孔がグリッド24のスペーサ開孔28と対向するように位置決めした状態でグリッドの第1表面24aに密着させる。同様に、第2金型を、各透孔がグリッド24のスペーサ開孔28および導電層42と対向するように位置決めした状態でグリッドの第2表面24bに密着させる。そして、これら第1金型、グリッド24、および第2金型を図示しないクランパ等を用いて互いに固定する。なお、第1および第2金型には予め剥離剤を塗布しておく。
【0033】
その後、例えば、第1金型の外面側からペースト状のスペーサ形成材料を供給し、第1金型の透孔、グリッド24のスペーサ開孔28、および第2金型の透孔にスペーサ形成材料を充填する。スペーサ形成材料としては、少なくとも紫外線硬化型のバインダ(有機成分)およびガラスフィラーを含有したガラスペーストを用いる。なお、スペーサ形成材料の充填により間隙部が埋まらないように、金型の透孔形状、大きさ、グリッドにおけるスペーサ開孔のスリット部の寸法等を調節している。
【0034】
続いて、充填されたスペーサ形成材料に対し、第1および第2金型の外面側から放射線として紫外線(UV)を照射し、スペーサ形成材料をUV硬化させる。この後、必要に応じて熱硬化を行なってもよい。次に、熱処理により第1および第2金型の各透孔に塗布された剥離剤を熱分解し、スペーサ形成材料と金型の間にすき間を作り、第1および第2金型をグリッド24から剥離する。
【0035】
更に、スペーサ形成材料が充填されたグリッド24を加熱炉内で熱処理し、スペーサ形成材料内からバインダを飛ばした後、約500〜550℃で30分〜1時間、スペーサ形成材料を本焼成する。これにより、グリッド24上に第1および第2スペーサ30a、30bが作り込まれたスペーサアッセンブリ22が得られる。
【0036】
一方、予め、蛍光体スクリーン16およびメタルバック17の設けられた第1基板10と、電子放出素子18および配線21が設けられているとともに側壁14が接合された第2基板12と、を用意しておく。また、高さ緩和層31を形成するためのインジウム粉末を各第1スペーサ30aの延出端に塗布する。
【0037】
次に、上記のように構成されたスペーサアッセンブリ22を第2基板12上に位置決め配置する。この際、第2スペーサ30bの延出端がそれぞれ配線21上に位置するようにスペーサアッセンブリ22を位置決めする。この状態で、第1基板10、第2基板12、およびスペーサアッセンブリ22を真空チャンバ内に配置し、真空チャンバ内を真空排気した後、側壁14を介して第1基板を第2基板に接合する。これにより、スペーサアッセンブリ22を備えたSEDが製造される。
【0038】
以上のように構成されたSEDによれば、グリッドの各スペーサ開孔28は、第1および第2スペーサ基端の長軸径よりも長く形成され、スペーサ基端の長軸方向両側に間隙部28aを規定しているため、スペーサ焼成時における各スペーサの反りの発生、特に、長軸方向に沿った反りの発生を防止することができる。すなわち、スペーサ基端の長軸方向両側に設けられた間隙部28aにより、温度上昇、温度下降におけるグリッドとスペーサとの間で熱挙動の相違を逃がすことができる。また、スペーサ側壁部がスリット部においてグリッドと接した構造となり、スペーサがこの部分に付着した状態で焼成される。そのため、長軸X方向のうねりおよび反りを抑制することができる。また、グリッド表面と直交する方向について、スペーサの反りは、長軸方向のみならず、短軸方向にも生じ得るが、短軸方向の反りは長軸方向に比べ小さい。このため、間隙部を設けることにより、長軸方向に見た場合、スペーサはグリットを挟まない部分だけからなることになり、グリッド表面と直交する方向について、長軸方向の反りを緩和することができる。
【0039】
これにより、所望形状、および均一な高さのスペーサを形成することができ、その結果、各スペーサの強度向上を図ることができる。同時に、これらのスペーサにより第1および第2基板10、12を安定して支持することができ、これら基板の強度を向上し割れ防止を図ることが可能となる。従って、真空外囲器15の強度が高く信頼性の向上したSEDを得ることができる。
【0040】
また、本実施の形態に係るSEDによれば、第1基板10と第2基板12との間にグリッド24が配置されているとともに、第1スペーサ30aの高さは、第2スペーサ30bの高さよりも低く形成されている。これにより、グリッド24は第2基板12よりも第1基板10側に接近して位置している。そのため、第1基板10側から放電が生じた場合でも、グリッド24により、第2基板12上に設けられた電子放出素子18の放電破損を抑制することが可能となる。従って、放電に対する耐圧性に優れ画像品位の向上したSEDを得ることができる。
次に、この発明の第2の実施の形態に係るSEDについて説明する。本実施の形態によれば、図6に示すように、グリッド24に形成されたスペーサ開孔28は、第1および第2スペーサ30a、30bの基端と相似の楕円形に形成された楕円部29aと、楕円部から長軸方向に沿って両側に延出した一対のスリット29bと、を有している。楕円部29aは、スペーサ基端の長軸径asおよび端軸径bsよりも小さな長軸径および短軸径bgを有し、その長軸がグリッド24の長軸X方向と平行に位置した状態で設けられている。また、スリット29bを含むスペーサ開孔28の長軸方向の長さagは、第1および第2スペーサ30a、30bの基端部の長軸径asよりも長く(ag>as)形成されている。
【0041】
各スペーサ開孔28、第1および第2スペーサ30a、30bは互いに整列して位置し、第1および第2スペーサはこのスペーサ開孔28を介して互いに一体的に連結されている。これにより、第1および第2スペーサ30a、30bは、グリッド24を両面から挟み込んだ状態でグリッド24と一体に形成されている。幅方向Yにおいて、第1および第2スペーサ30a、30bの基端は、スペーサ開孔28の両側に突出した状態で、スペーサ開孔に重なって位置している。長手方向Xにおいては、スペーサ開孔28のスリット29bが第1および第2スペーサ30a、30bの基端から両側へ突出し、それぞれスペーサで満たされていない間隙部28aを規定している。
【0042】
上記のように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。また、スペーサ基端の両側に位置した間隙部28aは、楕円部29aに比較して細いスリット29bによって規定しているため、間隙部の形成に伴うグリッド24の強度低下を防止することができる。
【0043】
図7に示すように、この発明の第3の実施の形態に係るSEDによれば、第1および第2スペーサ30a、30bはそれぞれ楕円形の断面形状を有し、グリッド24に形成されたスペーサ開孔28は、グリッドの長手方向Xに沿って延びた細長い長孔として形成されている。スペーサ開孔28の長手方向Xの長さagは約1.5mmに形成され、第1および第2スペーサ30a、30bの基端部の長軸径asよりも長く(ag>as)形成されている。また、スペーサ開孔28の幅方向Yに沿った幅bgは約0.3mmに形成され、第1および第2スペーサ30a、30bの基端部の短軸径asよりも小さく形成されている。
【0044】
また、グリッド24は、各スペーサ開孔28を横切って延びたブリッジ44を有している。本実施の形態によれば、ブリッジ44は、各スペーサ開孔28に対して例えば2本設けられ、それぞれグリッド24の幅方向Yに沿って延びている。従って、スペーサ開孔28は、これらのブリッジ44により長手方向Xに沿って3つに分割されている。なお、ブリッジ44の数は、1本、あるいは3本以上としてもよく、また、ブリッジは幅方向Yに限らず、他の方向に延びていてもよい。
【0045】
各スペーサ開孔28、第1および第2スペーサ30a、30bは互いに整列して位置し、第1および第2スペーサはこのスペーサ開孔28を介して互いに一体的に連結されている。これにより、第1および第2スペーサ30a、30bは、グリッド24を両面から挟み込んだ状態でグリッド24と一体に形成されている。幅方向Yにおいて、第1および第2スペーサ30a、30bの基端は、スペーサ開孔28の両側に突出した状態で、スペーサ開孔に重なって位置している。長手方向Xにおいては、スペーサ開孔28の両端部が第1および第2スペーサ30a、30bの基端から両側へ突出し、それぞれスペーサで満たされていない間隙部28aを規定している。
【0046】
上記のように構成された第3の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。また、グリッド24は、各スペーサ開孔28を横切って延びたブリッジ44を有していることから、グリッドの強度低下を防止しつつ、スペーサの反りの発生を防止することができる。
【0047】
また、図8に示すこの発明の第4の実施の形態に係るSEDによれば、第1および第2スペーサ30a、30bはそれぞれ楕円形の断面形状を有し、グリッド24に形成されたスペーサ開孔28は、グリッドの長手方向Xを長軸とした楕円形に形成されている。スペーサ開孔28の長手方向Xの長さagは、第1および第2スペーサ30a、30bの基端部の長軸径asよりも長く(ag>as)形成されている。また、スペーサ開孔28の幅方向Yに沿った幅bgは、第1および第2スペーサ30a、30bの基端部の短軸径asよりも小さく形成されている。
【0048】
また、グリッド24は、各スペーサ開孔28を横切って延びた複数本のブリッジ44を有している。本実施の形態によれば、これらのブリッジ44は、各スペーサ開孔28の中心に対して放射状に延びているとともに、円周方向に沿って均等に設けられている。従って、スペーサ開孔28は、これらのブリッジ44により複数に分割されている。なお、ブリッジ44の数は、必要に応じて増減可能である。
【0049】
各スペーサ開孔28、第1および第2スペーサ30a、30bは互いに整列して位置し、第1および第2スペーサはこのスペーサ開孔28を介して互いに一体的に連結されている。これにより、第1および第2スペーサ30a、30bは、グリッド24を両面から挟み込んだ状態でグリッド24と一体に形成されている。幅方向Yにおいて、第1および第2スペーサ30a、30bの基端は、スペーサ開孔28の両側に突出した状態で、スペーサ開孔に重なって位置している。長手方向Xにおいては、スペーサ開孔28の両端部が第1および第2スペーサ30a、30bの基端から両側へ突出し、それぞれスペーサで満たされていない間隙部28aを規定している。
【0050】
上記のように構成された第4の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。また、グリッド24は、各スペーサ開孔28を横切って延びたブリッジ44を有していることから、グリッドの強度低下を防止しつつ、スペーサの反りの発生を防止することができる。更に、ブリッジ44は、スペーサ開孔28に対し放射上にかつ均等に設けられているため、スペーサ開孔近傍におけるグリッド24の応力分布ムラの発生を防止することが可能となる。
【0051】
図9に示すように、この発明の第5の実施の形態に係るSEDによれば、第1および第2スペーサ30a、30bはそれぞれ楕円形の断面形状を有し、グリッド24に形成されたスペーサ開孔28は、グリッドの長手方向Xに沿って延びた細長い長孔として形成されている。スペーサ開孔28の長手方向Xの長さagは約1.5mmに形成され、第1および第2スペーサ30a、30bの基端部の長軸径asよりも長く(ag>as)形成されている。また、スペーサ開孔28の幅方向Yに沿った幅bgは約0.3mmに形成され、第1および第2スペーサ30a、30bの基端部の短軸径asよりも小さく形成されている。
【0052】
また、グリッド24の各スペーサ開孔28は、プレス加工あるいは打ち抜き加工により形成されている。そして、グリッド24は、各スペーサ開孔28の周縁部に沿って形成されたばり状の跳ね返り部46を有している。各スペーサ開孔28、第1および第2スペーサ30a、30bは互いに整列して位置し、第1および第2スペーサはこのスペーサ開孔28を介して互いに一体的に連結されている。これにより、第1および第2スペーサ30a、30bは、グリッド24を両面から挟み込んだ状態でグリッド24と一体に形成されている。幅方向Yにおいて、第1および第2スペーサ30a、30bの基端は、スペーサ開孔28の両側に突出した状態で、スペーサ開孔に重なって位置している。長手方向Xにおいては、スペーサ開孔28の両端部が第1および第2スペーサ30a、30bの基端から両側へ突出し、それぞれスペーサで満たされていない間隙部28aを規定している。更に、スペーサ開孔28の周縁に沿って形成された跳ね返り部46は、第1スペーサ30a内に埋め込まれている。
【0053】
上記のように構成された第5の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。また、スペーサにグリッド24の跳ね返り部46を埋め込むことにより、スペーサに芯が入った構成となり、グリッドの表面と平行な方向に沿ったスペーサの強度向上を図ることができる。
【0054】
なお、上述した第2ないし第5の実施の形態において、SEDの他の構成は前述した第1の実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0055】
この発明は上述した実施の形態に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能であるとともに、各実施の形態を適宜組み合わせて用いることも可能である。この発明において、スペーサの径や高さ、その他の構成要素の寸法、材質等は必要に応じて適宜選択可能である。各スペーサは柱状に限らず、細長い板状としても良い。電子源は、表面導電型の電子放出素子に限らず、電界放出型、カーボンナノチューブ等、種々選択可能である。更に、この発明は、SEDに限定されることなく、FED、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)等の種々の画像表示装置にも適用可能である。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、スペーサの強度を向上して基板を安定して支持することができ、真空外囲器の強度が高く信頼性の向上した画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係るSEDを示す斜視図。
【図2】図1の線A−Aに沿って破断した上記SEDの斜視図。
【図3】上記SEDを拡大して示す断面図。
【図4】上記SEDにおけるグリッドの第2表面側を示す平面図。
【図5】上記グリッドのスペーサ開孔およびスペーサ基端を拡大して示す平面図および長軸方向に沿った断面図。
【図6】この発明の第2の実施の形態に係るSEDにおけるグリッドのスペーサ開孔およびスペーサ基端を拡大して示す平面図。
【図7】この発明の第3の実施の形態に係るSEDにおけるグリッドのスペーサ開孔およびスペーサ基端を拡大して示す平面図。
【図8】この発明の第4の実施の形態に係るSEDにおけるグリッドのスペーサ開孔およびスペーサ基端を拡大して示す平面図。
【図9】この発明の第5の実施の形態に係るSEDにおけるスペーサ、およびグリッドのスペーサ開孔およびスペーサ基端を拡大して示す断面図および平面図。
【符号の説明】
10…第1基板、 12…第2基板、 14…側壁、
15…真空外囲器、 16…蛍光体スクリーン、 18…電子放出素子、
22…スペーサアッセンブリ、 24…グリッド、 24a…第1表面、
24b…第2表面、 26…電子ビーム通過孔、 28…スペーサ開孔、
30a…第1スペーサ、 30b…第2スペーサ、 44…グリッド、
46…跳ね返り部
Claims (9)
- 画像表示面を有した第1基板と、
上記第1基板に隙間を置いて対向配置されているとともに、上記画像表示面を励起する複数の電子源が設けられた第2基板と、
上記第1基板と第2基板との間に配設されているとともに、上記電子源から放出された電子が通過する複数の電子ビーム通過孔と複数のスペーサ開孔とを有した板状のグリッドと、
それぞれ上記スペーサ開孔に重ねて上記グリッドに固定されているとともに上記第1基板および第2基板間に配設され、第1および第2基板に作用する大気圧荷重を支持する複数の柱状のスペーサと、を備え、
上記グリッドの表面と平行な方向に沿った上記スペーサおよびスペーサ開孔の断面は互いに異なる形状を有し、上記各スペーサ開孔は、上記スペーサの両側に延出しスペーサで満たされていない間隙部を有していることを特徴とする画像表示装置。 - 上記スペーサおよびスペーサ開孔の各断面は長軸および短軸それぞれを有し、上記グリッドの表面において、上記スペーサ断面の長軸長さasは上記スペーサ開孔断面の長軸長さagよりも短く、上記スペーサ断面の短軸長さbsは上記スペーサ開孔断面の短軸長さbgよりも長く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
- 上記グリッドの表面において、上記各スペーサの断面は、長軸長さasと短軸長さbsとの比as/bsが3以上に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
- 上記各スペーサは楕円形状の断面を有し、上記各スペーサ開孔は長軸方向に細長い長孔により形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像表示装置。
- 上記各スペーサ開孔の断面は、上記スペーサの断面形状と相似で寸法の小さい相似形状部と、この相似形状部から上記長軸に沿って両側に延出したスリットと、を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像表示装置。
- 上記グリッドは、各スペーサ開孔を横切って延びたブリッジを備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
- 上記ブリッジは、上記各スペーサ開孔の中心に対して放射状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。
- 上記ブリッジは、上記各スペーサ開孔の周縁部に沿って形成された跳ね返り部を有し、上記跳ね返り部の少なくとも一部は上記スペーサ内に埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
- 上記グリッドは、上記第1基板に対向した第1表面、および上記第2基板に対向した第2表面を有し、
上記スペーサは、上記スペーサ開孔に重ねて上記グリッドの第1表面上に立設され上記第1基板に当接した複数の第1スペーサと、上記スペーサ開孔に重ねて上記グリッドの第2表面上に立設され上記第2基板に当接した複数の第2スペーサとを含み、上記第1および第2スペーサは上記スペーサ開孔を介して互いに連結されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の画像表示装置。
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2003
- 2003-02-18 JP JP2003039419A patent/JP2004253160A/ja active Pending
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