JP2004252000A - 電子写真用弾性材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、定着ローラ、定着ベルト等の定着部材に使用される弾性材料等の電子写真用弾性部材を提供するものである。
【解決手段】基材上に、金属アルコキシドと、有機ケイ素化合物とを含むゾル液を加熱ゲル化せしめることによって有機・無機ハイブリッドからなる弾性層を形成し、電子写真用弾性部材とする。
【解決手段】基材上に、金属アルコキシドと、有機ケイ素化合物とを含むゾル液を加熱ゲル化せしめることによって有機・無機ハイブリッドからなる弾性層を形成し、電子写真用弾性部材とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真式の複写機、プリンタ等の部材に使用されるものであり、特に耐熱特性が要求される定着ローラ、定着ベルト等の定着部材等に使用される電子写真用弾性部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真装置における定着ベルト、定着ロール等の定着部材には、熱定着工程での連続使用に耐え得る200℃以上の耐熱耐久性、トナーやメディア(用紙やOHPシート)との離型性、高速複写に対処してニップ部位を広く確保するための柔軟性(低硬度、高反発弾性力)、高画質化のための微細化トナーに対応でし得る平滑性、インスタントオンを実現するための高熱伝導性等が要求される。現在では、これらの要求特性を満たすためシリコンゴムを弾性層にし、表層にフッ素樹脂を設けた複合構造が主流である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−268678号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記構成の弾性層を有する定着部材では、シリコンゴム弾性層と表層のフッ素樹脂の表面硬さと塑性変形の特性相違、このような相違に基づくシリコンゴムとの密着力不足といった点から、複写の高速化に伴うニップ変化に対応できず、表層膜剥離や表層膜の皺といったトラブルが発生する上、作業時や使用時にキズ、打痕等の不具合も目立っている。また、表面平滑性も得られにくく、高画質化に伴うトナー微粒子化に対応できない。基材となるシリコンゴムも低分子成分の存在によるブリードの発生や未反応部位によるタック(表面の付着感)、成形時のエアー巻き、低分子成分やフィラーが原因となる異物不良等による歩留まり低下といった課題を抱えている。さらに、フッ素樹脂やシリコンゴムは高価な材料である。
この定着部材の弾性層用の新規材料として、ポリイミドシリコーンやフッ素変性シリコーン、ウレタンハイブリッド材料等が知られている。しかし、現状では、価格面、トナー離型性、耐熱特性等に課題を残しており、定着部材の弾性層への応用には不充分であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するための手段として、金属アルコキシドと、有機ケイ素化合物とを含むゾル液を加熱ゲル化せしめることによって得られる有機・無機ハイブリッドからなる電子写真用弾性材料を提供する。
上記電子写真用弾性材料の有機・無機ハイブリッドは、有機ケイ素化合物溶液を加熱処理して水分および低分子量成分を除去し、加熱処理した有機ケイ素化合物溶液に金属アルコキシドを滴下して有機・無機ハイブリッドゾル液を加熱ゲル化せしめる方法によって得るものであることが望ましい。
更に該有機ケイ素化合物はフェニル基を含むものであることが望ましく、また該有機ケイ素化合物の重量平均分子量は400〜20,000であることが望ましい。
また更に該有機・無機ハイブリッドにはフィラーを添加しても良い。本発明の弾性材料は主として、電子写真部材の弾性層材料として使用される。
【0006】
【作用】
金属アルコキシドと、有機ケイ素化合物とを含むゾル液を加熱ゲル化せしめることによって得られる有機・無機ハイブリッドは、200℃以上の耐熱特性と良好な柔軟性を有し、トナー離型性にも優れている。
また、有機ケイ素化合物溶液を加熱処理して水分および低分子量成分を除去し、加熱処理した有機ケイ素化合物溶液に金属アルコキシドを滴下して有機・無機ハイブリッドゾル液を加熱ゲル化せしめることによって得られる有機・無機ハイブリッドには低分子量成分が殆ど含まれていないので、該有機・無機ハイブリッドからなる弾性材料は、ブリージングやべたつきがなく、弾性等の機械的性質も向上する。
上記有機ケイ素化合物がフェニル基を含むものであると、耐熱特性は更に向上し、常用200℃以上で特性変化しない。また上記有機ケイ素化合物の重量平均分子量が1,500以上であると、更に耐熱特性が向上すると共に弾性特性も向上する。
上記有機・無機ハイブリッドにフィラーが添加されていると、該有機・無機ハイブリッドの溶液の粘度が高くなり、塗布層を増大することが出来、また熱の良導体フィラーでは得られる弾性層の耐熱性を向上させる。
該弾性材料を電子写真の定着系部材の弾性層の材料として使用すると、耐熱特性、柔軟性、弾性に優れ、従って、ニップ性が向上し、しかもトナー離型性に優れた定着系部材が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
〔有機・無機ハイブリッド〕
本発明の有機・無機ハイブリッドは、金属アルコキシドと、有機ケイ素化合物とを含むゾル液を加熱ゲル化せしめることによって得られる。
【0008】
(金属アルコキシド)
本発明で使用される金属アルコキシドの金属の種類としては、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、ランタン、セリウム、カドミウム、タンタル、タングステン等のアルコキシドを形成し得る金属または半金属が挙げられるが、特に望ましい金属はチタン、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウムである。
またアルコキシドの種類としては特に限定されることなく、例えば、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド等が挙げられる。
【0009】
上記金属アルコキシドは、β−ジケトン、β−ケトエステル等の化学修飾剤によって化学修飾されることが望ましい。該化学修飾剤としては、例えば、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル等のアセト酢酸エステル等がある。該化学修飾剤によって修飾された金属アルコキシドは、有機ケイ素化合物と穏やかに反応する。
【0010】
(有機ケイ素化合物)
本発明の有機ケイ素化合物としては、例えば、ジアルキルアルコキシシラン、末端シラノールポリジメチルシロキサン、ポリアルキルフェニルシロキサン等のポリオルガノシロキサン等を使用することが出来る。
【0011】
該ジアルキルジアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン、ジプロピルジブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン等が挙げられる。
【0012】
該末端シラノールポリオルガノシロキサンとしては、例えば、末端シラノールポリジメチルシロキサン等がある。
【0013】
本発明の有機ケイ素化合物として特に望ましいものは、ポリアルキルフェニルシロキサンである。該ポリアルキルフェニルシロキサンは、側鎖にアルキル基とフェニル基とを有するポリシロキサンであり、側鎖にアルキル基のみ有するポリシロキサンに比べて耐熱性や耐炎性が向上する。典型的なポリアルキルフェニルシロキサンであるポリメチルフェニルシロキサンは、例えばメチルフェニルジクロロシランを加水分解して得られる環状四量体(五、六量体)に硫酸などを添加して開環重合させることによって製造される。
なお、ポリアルキルフェニルシロキサンの側鎖のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数が1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基であればよく、また該アルキル基は2−メトキシエチル、2−エトキシエチル等の置換アルキル基であってもよい。
【0014】
該ポリアルキルフェニルシロキサンには、アルコキシ基、アミノキシ基、ケトオキシム基、アセトキシ基、アミド基、アルケニルオキシ基等の加水分解性基が導入されてもよい。特に、アルコキシ基を有することが好ましく、該アルコキシ基としては、特に、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
上記加水分解性基は、ポリアルキルフェニルシロキサンの主鎖および/または側鎖に導入されるが、良好な硬化性を得るために主鎖および/または側鎖の末端に導入されることが好ましい。
該加水分解性基を有するポリアルキルフェニルシロキサンは、例えば、末端にシラノール基を有するポリアルキルフェニルシロキサンに、化学式R14 −aSi(OR2 )n (式中、R1 およびR2 は、炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基、またはアリール基およびその誘導体、aは2〜4の整数)で表現される化合物を、アミン塩酸塩等の適当な触媒存在下で加水分解、縮合重合させること等によって製造される。
なお、上記化学式によって表現される化合物の具体例としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等がある。
【0015】
上記ポリアルキルフェニルシロキサンには、エポキシ基、カルボキシル基等の官能基が導入されてもよい。このような官能基を有するポリアルキルフェニルシロキサンは、ポリアルキルフェニルハイドロジェンシロキサンにアルケニル基と当該官能基とを有する化合物を付加させる方法等によって製造される。
【0016】
更に本発明において使用されるポリアルキルフェニルシロキサンを製造する際、例えばメチルトリクロロシラン等のアルキルトリクロロシランやフェニルトリクロロシランのような三官能性シランを使用すれば、分枝状のポリアルキルフェニルシロキサンが製造される。なお本発明においては、ジメチルジクロロシラン等のフェニル基を含まないシラン化合物を使用してもよい。
【0017】
本発明で使用される有機ケイ素化合物であるポリオルガノシロキサンの重量平均分子量は、400〜20,000の範囲であることが望ましく、特にポリアルキルフェニルシロキサンの重量平均分子量にあっては400〜20,000の範囲であることが好ましく、また末端シラノールポリジメチルシロキサンの重量平均分子量にあっては、400〜20,000の範囲であることが望ましい。
このような重量平均分子量の有機ケイ素化合物を使用すれば、柔軟であり優れた弾性を有する有機・無機ハイブリッドの弾性層が得られる。
【0018】
なお本発明の有機・無機ハイブリッドに有機ケイ素化合物を使用する場合、単独の有機ケイ素化合物のみを使用してもよく、また2種以上の有機ケイ素化合物を組合わせて使用してもよい。
【0019】
(有機・無機ハイブリッドゾル液の調製)
有機・無機ハイブリッドゾル液を調製するには、まず、所望の金属アルコキシドの加水分解物と、上記有機ケイ素化合物等の有機成分とを反応させ、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製する。該有機成分は、加水分解前のアルコキシドに対して配合してもよいし、加水分解したアルコキシドに対して配合してもよい。
具体的には、上記有機ケイ素化合物溶液中に上記金属アルコキシドあるいは所望なれば上記化学修飾剤によって修飾された金属アルコキシドを滴下する。
上記有機ケイ素化合物溶液に使用する溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等の各種アルコールの他、ヘキサン、アセトン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン等が一般的に使用される。
【0020】
本発明にあっては上記有機ケイ素化合物溶液は、水分や低分子量成分を除去するために加熱処理する。水分除去を行えば、有機ケイ素化合物溶液中に金属アルコキシドを添加した場合、該金属アルコキシドの残存水分による加水分解が防止でき、金属アルコキシドの滴下速度を速めて有機・無機ハイブリッド合成を短時間に行うことが出来、また低分子量成分残存による有機・無機ハイブリッドのブリージングやべたつき、弾性等の機械的強度の劣化等の不具合を効果的に解消することが出来る。
【0021】
上記有機ケイ素化合物溶液は塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸等を添加して酸処理されることが望ましい。該酸は、通常、有機ケイ素化合物溶液のpHが4〜7の範囲になるように有機ケイ素化合物溶液に添加される。
【0022】
有機ケイ素化合物溶液に加えられる金属アルコキシドを化学修飾剤によって化学修飾する場合、該化学修飾剤は金属アルコキシド1モルに対して1.5モル以下の量、望ましくは0.5モル以上の量で使用される。
【0023】
上記金属アルコキシドの上記有機ケイ素化合物に対する添加量は、通常質量比率で5:95〜50:50の範囲とする。また該金属アルコキシドに対して該有機ケイ素化合物は80体積%程度であることが望ましい。上記比率よりも金属成分が多いと該金属成分が粒塊を形成して、得られる有機・無機ハイブリッド材料にうねりや気孔が形成され、また有機ケイ素化合物が多いと該材料の表面にタックを生じる恐れがある。
【0024】
上記有機・無機ハイブリッドゾル液には、所望により、例えば、アルミナ、酸化チタン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、シリカ等の良熱伝導材粉末が添加されてもよい。該良熱伝導材粉末の粒度は通常50nm〜30μm程度である。該良熱伝導材は通常有機・無機ハイブリッドゾル液に添加され、通常添加量は上記有機・無機ハイブリッド材料に対して0.5〜95質量%程度添加される。このように良熱伝導材が添加された有機・無機ハイブリッドからなる材料は放熱性が良好で電子機器や電子写真式複写機の部分の材料として好適である。更に上記ゾル液に酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、粘度調節剤等の充填剤が添加されてもよい。
【0025】
上記ゾル液は、所望の基材表面に塗布され、その後、加熱ゲル化されて有機・無機ハイブリッドからなる弾性材料とされる。
該有機・無機ハイブリッドからなる弾性材料は、耐熱性、柔軟性(弾性)、トナー離型性に優れる。
従って、該弾性材料は、電子写真式の複写機、プリンタ等の画像形成装置の定着システムに使用される定着部材の弾性層として有用である。
該定着システムとは、上記画像形成装置において、紙等の画像支持体に転写された未定着のトナー画像を加熱、加圧により該画像支持体に定着させるシステムのことであり、また該定着部材とは該定着システムに使用される定着ベルト(1,11)および定着ローラ(21)である。
【0026】
ここで、上記定着ベルト(1,11)および定着ローラ(21)を使用する定着システムについて説明する。
図1に定着ベルト(1) を使用した定着システムを示す。該定着ベルト(1) は加熱ローラ(2) および剥離ローラ(4) に懸架され、加圧ローラ(3)が該加熱ローラ(2) に対向して配置し該定着ベルト(1) に当接する。
未定着のトナー画像が形成された紙P等の画像支持体は、送りコンベア(7) より定着ベルト(1) と加圧ローラ(3) との間に搬送され、その間で加熱押圧されトナー画像が画像支持体に定着される。該画像支持体は引続きフィン付冷却部(5) により冷却され、冷却された画像支持体は、定着ベルト(1) の曲率が大きくなる剥離ローラ(4) の箇所において定着ベルト(1) から剥離される。なお加熱ローラ(2) とフィン付冷却部(5) との間には断熱部(6) が設けられており、加熱ローラ(2) による加熱およびフィン付冷却部(5) の冷却の双方が効率よく実施される。
【0027】
図2に定着ベルト(11)を使用した他の定着システムを示す。該定着ベルト(11)は駆動ロール(12)、被駆動ロール(13)、およびテンションロール(14)に懸架され、加熱ローラ(15)が圧接する。該定着ベルト(11)と加熱ローラ(15)とは等速回動してその間には送りロール(16)からトナー画像を転写した紙P等の画像支持体が送込まれ、トナー画像の定着が行なわれる。定着後、加熱ローラ(15)に付着したトナーはクリーニングロール(17)によって除去される。
【0028】
図3に定着ローラ(21)を使用した定着システムを示す。該定着ローラ(21)は加熱ローラ(22)と、加熱ローラ(22)に圧接する加圧ローラ(23)とからなり、送りコンベア(24)から等速回転する加熱ローラ(22)および加圧ローラ(23)間に送込まれた紙P等の画像支持体に転写されているトナー画像を構成するトナーを溶融して該トナー画像を画像支持体に定着する。定着後加熱ローラ(22)に付着したトナーはクリーニングロール(25)によって除去する。
【0029】
上記定着システムの定着部材に使用される基材としては、定着ローラの場合は円筒状の芯金あるいは該芯金を内挿した樹脂基材、定着ベルトの場合には樹脂基材が使用される。該樹脂基材を構成する原料樹脂としては、例えば、ポリアミドイミド樹脂(PAI)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアリレート(PAR)等のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(PU)、ポリアミド樹脂(PA)等の公知の樹脂が挙げられ、それぞれ単独でまたは混合して用いられ、あるいはポリマーアロイとして使用される。
【0030】
なお上記樹脂基材には、例えば、ゴム、熱可塑性エラストマー、あるいは滑剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、防炎剤、酸化防止剤、離型剤、相溶化剤等の添加剤が添加されてもよい。
【0031】
なお上記ゾル液を基材表面に塗布する方法としては、例えば、ディップコート、スプレーコート、ロールコート、フローコート等の公知の塗布方法が適用される。塗布工程は、1回のみ行っても複数回行っても良い。
【0032】
加熱ゲル化処理の条件は、80〜200℃×30秒〜6時間であることが望ましい。また自然乾燥を行ってゾル液の乾燥を行っても良い。
【0033】
上記定着部材の基材上に形成される有機・無機ハイブリッドからなる弾性層の厚さは、定着ローラの場合には、通常、0.1mm〜30mmとされ、また定着ベルトの場合には、通常、1μm〜500μmとされる。
【0034】
なお本発明の有機・無機ハイブリッドからなる弾性層の基材に対する密着性を向上せしめるために、該基材表面に、酸、アルカリ等の化学薬品による処理、プラズマ化して活性化した酸素やアルゴン等の活性ガスによる処理、プライマー処理等の処理を施してもよい。
また該弾性層と基材との間にゾルゲル反応によって形成した無機酸化物からなる薄膜の接着層を介在させてもよい。該無機酸化物の種類としては、アルミニウム、ケイ素、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、カドミウム、タンタル等のアルコキシドを形成し得る金属の酸化物が挙げられる。
【0035】
以下、本発明を実施例によって説明する。なお本発明は、以下に示される実施例のみに限定されるものではない。
【0036】
〔実施例1〕
フェニルジメチルシロキサン(YF3804、GE東芝シリコーン製)0.6mol 、無水エタノール0.1mol の溶液に12N塩酸0.03mol を添加し100℃で加熱処理し、水分および低分子成分を除去してA液とした。
またアセト酢酸エチル0.5mol に、テトライソブトキシド1mol をN2 雰囲気下で加え、攪拌混合してB液とした。
A液にB液を滴下、混合してゾル液を調製した。このゾル液に窒化ホウ素を加えて増粘させ、該ゾル液を芯金(金属シャフト)上にフローコーターによって塗布し、300℃で焼成して該芯金上に有機・無機ハイブリッドからなる弾性層を形成した定着ローラを得た。なお該弾性層の厚みは、0.6mmであった。
この定着ローラを、図3に示す定着システムを有する電子写真式画像形成装置に組み込んで使用し、ランニング評価等を行った。該評価は良好であった。
【0037】
〔実施例2〕
フェニルジメチルシロキサン(YF3804、GE東芝シリコーン製)0.25mol 、ポリジメチルシロキサン(YF3800、GE東芝シリコーン製)0.10mol 、無水エタノール0.1mol の溶液に12N塩酸0.03mol を添加し100℃で加熱処理し、水分および低分子成分を除去してA液とした。
またアセト酢酸エチル0.5mol に、テトライソブトキシド1mol をN2 雰囲気下で加え、攪拌混合してB液とした。
A液にB液を滴下、混合してゾル液を調製した。このゾル液をポリイミド樹脂基材(ベルト)上にフローコーターによって塗布し、300℃で焼成して該基材上に有機・無機ハイブリッドからなる弾性層を形成した定着ベルトを得た。なお該弾性層の厚みは、30μmであった。
この定着ベルトを、図1に示す定着システムを有する電子写真式画像形成装置に組み込んで使用し、ランニング評価等を行った。該評価は良好であった。
【0038】
〔実施例3〕
両末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量1500、GE東芝シリコーン製)0.25mol 、無水エタノール1.0mol の溶液に、更に塩酸0.03mol を添加し、加熱攪拌して水分および低分子量成分を除去しつつ、両末端シラノールポリジメチルシロキサン溶液を調製した。溶液のpHは5であった。
一方、ジルコニアブトキサイド1mol とアセト酢酸エチル0.5mol とを窒素雰囲気下で反応させて、アセト酢酸エチルで化学修飾されたジルコニアブトキサイドを調製し、該ジルコニアブトキサイドを上記両末端シラノールポリジメチルシロキサン溶液に瞬時に流下し、攪拌してゾル液を調製した。上記ゾル液に平均粒径50nmの窒化ホウ素粉末を添加した。添加量は該ゾル液中の有機・無機ハイブリッドに対して30質量%とした。
得られたゾル液を、金属シャフト上にフローコーターによって塗布し、300℃で焼成して該基材上に有機・無機ハイブリッドからなる弾性層を形成した定着ロールを得た。なお該弾性層の厚みは、0.80mmであった。
この定着ベルトを、図2に示す定着システムを有する電子写真式画像形成装置に組み込んで使用し、ランニング評価等を行った。該評価は良好であった。
【0039】
【発明の効果】
本発明では弾性層自体が耐熱特性、柔軟性(弾性)、トナー離型性に優れるから表面処理被膜を形成させる必要がない。従って製造工程の簡略化、材料費の低減を図ることが出来る。当然表面処理被膜剥離の問題も無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】定着ベルトによる定着システムの説明図
【図2】定着ベルトによる定着システムの説明図
【図3】定着ローラによる定着システムの説明図
【符号の説明】
1,11 定着ベルト
21 定着ローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真式の複写機、プリンタ等の部材に使用されるものであり、特に耐熱特性が要求される定着ローラ、定着ベルト等の定着部材等に使用される電子写真用弾性部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真装置における定着ベルト、定着ロール等の定着部材には、熱定着工程での連続使用に耐え得る200℃以上の耐熱耐久性、トナーやメディア(用紙やOHPシート)との離型性、高速複写に対処してニップ部位を広く確保するための柔軟性(低硬度、高反発弾性力)、高画質化のための微細化トナーに対応でし得る平滑性、インスタントオンを実現するための高熱伝導性等が要求される。現在では、これらの要求特性を満たすためシリコンゴムを弾性層にし、表層にフッ素樹脂を設けた複合構造が主流である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−268678号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記構成の弾性層を有する定着部材では、シリコンゴム弾性層と表層のフッ素樹脂の表面硬さと塑性変形の特性相違、このような相違に基づくシリコンゴムとの密着力不足といった点から、複写の高速化に伴うニップ変化に対応できず、表層膜剥離や表層膜の皺といったトラブルが発生する上、作業時や使用時にキズ、打痕等の不具合も目立っている。また、表面平滑性も得られにくく、高画質化に伴うトナー微粒子化に対応できない。基材となるシリコンゴムも低分子成分の存在によるブリードの発生や未反応部位によるタック(表面の付着感)、成形時のエアー巻き、低分子成分やフィラーが原因となる異物不良等による歩留まり低下といった課題を抱えている。さらに、フッ素樹脂やシリコンゴムは高価な材料である。
この定着部材の弾性層用の新規材料として、ポリイミドシリコーンやフッ素変性シリコーン、ウレタンハイブリッド材料等が知られている。しかし、現状では、価格面、トナー離型性、耐熱特性等に課題を残しており、定着部材の弾性層への応用には不充分であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するための手段として、金属アルコキシドと、有機ケイ素化合物とを含むゾル液を加熱ゲル化せしめることによって得られる有機・無機ハイブリッドからなる電子写真用弾性材料を提供する。
上記電子写真用弾性材料の有機・無機ハイブリッドは、有機ケイ素化合物溶液を加熱処理して水分および低分子量成分を除去し、加熱処理した有機ケイ素化合物溶液に金属アルコキシドを滴下して有機・無機ハイブリッドゾル液を加熱ゲル化せしめる方法によって得るものであることが望ましい。
更に該有機ケイ素化合物はフェニル基を含むものであることが望ましく、また該有機ケイ素化合物の重量平均分子量は400〜20,000であることが望ましい。
また更に該有機・無機ハイブリッドにはフィラーを添加しても良い。本発明の弾性材料は主として、電子写真部材の弾性層材料として使用される。
【0006】
【作用】
金属アルコキシドと、有機ケイ素化合物とを含むゾル液を加熱ゲル化せしめることによって得られる有機・無機ハイブリッドは、200℃以上の耐熱特性と良好な柔軟性を有し、トナー離型性にも優れている。
また、有機ケイ素化合物溶液を加熱処理して水分および低分子量成分を除去し、加熱処理した有機ケイ素化合物溶液に金属アルコキシドを滴下して有機・無機ハイブリッドゾル液を加熱ゲル化せしめることによって得られる有機・無機ハイブリッドには低分子量成分が殆ど含まれていないので、該有機・無機ハイブリッドからなる弾性材料は、ブリージングやべたつきがなく、弾性等の機械的性質も向上する。
上記有機ケイ素化合物がフェニル基を含むものであると、耐熱特性は更に向上し、常用200℃以上で特性変化しない。また上記有機ケイ素化合物の重量平均分子量が1,500以上であると、更に耐熱特性が向上すると共に弾性特性も向上する。
上記有機・無機ハイブリッドにフィラーが添加されていると、該有機・無機ハイブリッドの溶液の粘度が高くなり、塗布層を増大することが出来、また熱の良導体フィラーでは得られる弾性層の耐熱性を向上させる。
該弾性材料を電子写真の定着系部材の弾性層の材料として使用すると、耐熱特性、柔軟性、弾性に優れ、従って、ニップ性が向上し、しかもトナー離型性に優れた定着系部材が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
〔有機・無機ハイブリッド〕
本発明の有機・無機ハイブリッドは、金属アルコキシドと、有機ケイ素化合物とを含むゾル液を加熱ゲル化せしめることによって得られる。
【0008】
(金属アルコキシド)
本発明で使用される金属アルコキシドの金属の種類としては、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、ランタン、セリウム、カドミウム、タンタル、タングステン等のアルコキシドを形成し得る金属または半金属が挙げられるが、特に望ましい金属はチタン、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウムである。
またアルコキシドの種類としては特に限定されることなく、例えば、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド等が挙げられる。
【0009】
上記金属アルコキシドは、β−ジケトン、β−ケトエステル等の化学修飾剤によって化学修飾されることが望ましい。該化学修飾剤としては、例えば、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル等のアセト酢酸エステル等がある。該化学修飾剤によって修飾された金属アルコキシドは、有機ケイ素化合物と穏やかに反応する。
【0010】
(有機ケイ素化合物)
本発明の有機ケイ素化合物としては、例えば、ジアルキルアルコキシシラン、末端シラノールポリジメチルシロキサン、ポリアルキルフェニルシロキサン等のポリオルガノシロキサン等を使用することが出来る。
【0011】
該ジアルキルジアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン、ジプロピルジブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン等が挙げられる。
【0012】
該末端シラノールポリオルガノシロキサンとしては、例えば、末端シラノールポリジメチルシロキサン等がある。
【0013】
本発明の有機ケイ素化合物として特に望ましいものは、ポリアルキルフェニルシロキサンである。該ポリアルキルフェニルシロキサンは、側鎖にアルキル基とフェニル基とを有するポリシロキサンであり、側鎖にアルキル基のみ有するポリシロキサンに比べて耐熱性や耐炎性が向上する。典型的なポリアルキルフェニルシロキサンであるポリメチルフェニルシロキサンは、例えばメチルフェニルジクロロシランを加水分解して得られる環状四量体(五、六量体)に硫酸などを添加して開環重合させることによって製造される。
なお、ポリアルキルフェニルシロキサンの側鎖のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数が1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基であればよく、また該アルキル基は2−メトキシエチル、2−エトキシエチル等の置換アルキル基であってもよい。
【0014】
該ポリアルキルフェニルシロキサンには、アルコキシ基、アミノキシ基、ケトオキシム基、アセトキシ基、アミド基、アルケニルオキシ基等の加水分解性基が導入されてもよい。特に、アルコキシ基を有することが好ましく、該アルコキシ基としては、特に、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
上記加水分解性基は、ポリアルキルフェニルシロキサンの主鎖および/または側鎖に導入されるが、良好な硬化性を得るために主鎖および/または側鎖の末端に導入されることが好ましい。
該加水分解性基を有するポリアルキルフェニルシロキサンは、例えば、末端にシラノール基を有するポリアルキルフェニルシロキサンに、化学式R14 −aSi(OR2 )n (式中、R1 およびR2 は、炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基、またはアリール基およびその誘導体、aは2〜4の整数)で表現される化合物を、アミン塩酸塩等の適当な触媒存在下で加水分解、縮合重合させること等によって製造される。
なお、上記化学式によって表現される化合物の具体例としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等がある。
【0015】
上記ポリアルキルフェニルシロキサンには、エポキシ基、カルボキシル基等の官能基が導入されてもよい。このような官能基を有するポリアルキルフェニルシロキサンは、ポリアルキルフェニルハイドロジェンシロキサンにアルケニル基と当該官能基とを有する化合物を付加させる方法等によって製造される。
【0016】
更に本発明において使用されるポリアルキルフェニルシロキサンを製造する際、例えばメチルトリクロロシラン等のアルキルトリクロロシランやフェニルトリクロロシランのような三官能性シランを使用すれば、分枝状のポリアルキルフェニルシロキサンが製造される。なお本発明においては、ジメチルジクロロシラン等のフェニル基を含まないシラン化合物を使用してもよい。
【0017】
本発明で使用される有機ケイ素化合物であるポリオルガノシロキサンの重量平均分子量は、400〜20,000の範囲であることが望ましく、特にポリアルキルフェニルシロキサンの重量平均分子量にあっては400〜20,000の範囲であることが好ましく、また末端シラノールポリジメチルシロキサンの重量平均分子量にあっては、400〜20,000の範囲であることが望ましい。
このような重量平均分子量の有機ケイ素化合物を使用すれば、柔軟であり優れた弾性を有する有機・無機ハイブリッドの弾性層が得られる。
【0018】
なお本発明の有機・無機ハイブリッドに有機ケイ素化合物を使用する場合、単独の有機ケイ素化合物のみを使用してもよく、また2種以上の有機ケイ素化合物を組合わせて使用してもよい。
【0019】
(有機・無機ハイブリッドゾル液の調製)
有機・無機ハイブリッドゾル液を調製するには、まず、所望の金属アルコキシドの加水分解物と、上記有機ケイ素化合物等の有機成分とを反応させ、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製する。該有機成分は、加水分解前のアルコキシドに対して配合してもよいし、加水分解したアルコキシドに対して配合してもよい。
具体的には、上記有機ケイ素化合物溶液中に上記金属アルコキシドあるいは所望なれば上記化学修飾剤によって修飾された金属アルコキシドを滴下する。
上記有機ケイ素化合物溶液に使用する溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等の各種アルコールの他、ヘキサン、アセトン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン等が一般的に使用される。
【0020】
本発明にあっては上記有機ケイ素化合物溶液は、水分や低分子量成分を除去するために加熱処理する。水分除去を行えば、有機ケイ素化合物溶液中に金属アルコキシドを添加した場合、該金属アルコキシドの残存水分による加水分解が防止でき、金属アルコキシドの滴下速度を速めて有機・無機ハイブリッド合成を短時間に行うことが出来、また低分子量成分残存による有機・無機ハイブリッドのブリージングやべたつき、弾性等の機械的強度の劣化等の不具合を効果的に解消することが出来る。
【0021】
上記有機ケイ素化合物溶液は塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸等を添加して酸処理されることが望ましい。該酸は、通常、有機ケイ素化合物溶液のpHが4〜7の範囲になるように有機ケイ素化合物溶液に添加される。
【0022】
有機ケイ素化合物溶液に加えられる金属アルコキシドを化学修飾剤によって化学修飾する場合、該化学修飾剤は金属アルコキシド1モルに対して1.5モル以下の量、望ましくは0.5モル以上の量で使用される。
【0023】
上記金属アルコキシドの上記有機ケイ素化合物に対する添加量は、通常質量比率で5:95〜50:50の範囲とする。また該金属アルコキシドに対して該有機ケイ素化合物は80体積%程度であることが望ましい。上記比率よりも金属成分が多いと該金属成分が粒塊を形成して、得られる有機・無機ハイブリッド材料にうねりや気孔が形成され、また有機ケイ素化合物が多いと該材料の表面にタックを生じる恐れがある。
【0024】
上記有機・無機ハイブリッドゾル液には、所望により、例えば、アルミナ、酸化チタン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、シリカ等の良熱伝導材粉末が添加されてもよい。該良熱伝導材粉末の粒度は通常50nm〜30μm程度である。該良熱伝導材は通常有機・無機ハイブリッドゾル液に添加され、通常添加量は上記有機・無機ハイブリッド材料に対して0.5〜95質量%程度添加される。このように良熱伝導材が添加された有機・無機ハイブリッドからなる材料は放熱性が良好で電子機器や電子写真式複写機の部分の材料として好適である。更に上記ゾル液に酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、粘度調節剤等の充填剤が添加されてもよい。
【0025】
上記ゾル液は、所望の基材表面に塗布され、その後、加熱ゲル化されて有機・無機ハイブリッドからなる弾性材料とされる。
該有機・無機ハイブリッドからなる弾性材料は、耐熱性、柔軟性(弾性)、トナー離型性に優れる。
従って、該弾性材料は、電子写真式の複写機、プリンタ等の画像形成装置の定着システムに使用される定着部材の弾性層として有用である。
該定着システムとは、上記画像形成装置において、紙等の画像支持体に転写された未定着のトナー画像を加熱、加圧により該画像支持体に定着させるシステムのことであり、また該定着部材とは該定着システムに使用される定着ベルト(1,11)および定着ローラ(21)である。
【0026】
ここで、上記定着ベルト(1,11)および定着ローラ(21)を使用する定着システムについて説明する。
図1に定着ベルト(1) を使用した定着システムを示す。該定着ベルト(1) は加熱ローラ(2) および剥離ローラ(4) に懸架され、加圧ローラ(3)が該加熱ローラ(2) に対向して配置し該定着ベルト(1) に当接する。
未定着のトナー画像が形成された紙P等の画像支持体は、送りコンベア(7) より定着ベルト(1) と加圧ローラ(3) との間に搬送され、その間で加熱押圧されトナー画像が画像支持体に定着される。該画像支持体は引続きフィン付冷却部(5) により冷却され、冷却された画像支持体は、定着ベルト(1) の曲率が大きくなる剥離ローラ(4) の箇所において定着ベルト(1) から剥離される。なお加熱ローラ(2) とフィン付冷却部(5) との間には断熱部(6) が設けられており、加熱ローラ(2) による加熱およびフィン付冷却部(5) の冷却の双方が効率よく実施される。
【0027】
図2に定着ベルト(11)を使用した他の定着システムを示す。該定着ベルト(11)は駆動ロール(12)、被駆動ロール(13)、およびテンションロール(14)に懸架され、加熱ローラ(15)が圧接する。該定着ベルト(11)と加熱ローラ(15)とは等速回動してその間には送りロール(16)からトナー画像を転写した紙P等の画像支持体が送込まれ、トナー画像の定着が行なわれる。定着後、加熱ローラ(15)に付着したトナーはクリーニングロール(17)によって除去される。
【0028】
図3に定着ローラ(21)を使用した定着システムを示す。該定着ローラ(21)は加熱ローラ(22)と、加熱ローラ(22)に圧接する加圧ローラ(23)とからなり、送りコンベア(24)から等速回転する加熱ローラ(22)および加圧ローラ(23)間に送込まれた紙P等の画像支持体に転写されているトナー画像を構成するトナーを溶融して該トナー画像を画像支持体に定着する。定着後加熱ローラ(22)に付着したトナーはクリーニングロール(25)によって除去する。
【0029】
上記定着システムの定着部材に使用される基材としては、定着ローラの場合は円筒状の芯金あるいは該芯金を内挿した樹脂基材、定着ベルトの場合には樹脂基材が使用される。該樹脂基材を構成する原料樹脂としては、例えば、ポリアミドイミド樹脂(PAI)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアリレート(PAR)等のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(PU)、ポリアミド樹脂(PA)等の公知の樹脂が挙げられ、それぞれ単独でまたは混合して用いられ、あるいはポリマーアロイとして使用される。
【0030】
なお上記樹脂基材には、例えば、ゴム、熱可塑性エラストマー、あるいは滑剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、防炎剤、酸化防止剤、離型剤、相溶化剤等の添加剤が添加されてもよい。
【0031】
なお上記ゾル液を基材表面に塗布する方法としては、例えば、ディップコート、スプレーコート、ロールコート、フローコート等の公知の塗布方法が適用される。塗布工程は、1回のみ行っても複数回行っても良い。
【0032】
加熱ゲル化処理の条件は、80〜200℃×30秒〜6時間であることが望ましい。また自然乾燥を行ってゾル液の乾燥を行っても良い。
【0033】
上記定着部材の基材上に形成される有機・無機ハイブリッドからなる弾性層の厚さは、定着ローラの場合には、通常、0.1mm〜30mmとされ、また定着ベルトの場合には、通常、1μm〜500μmとされる。
【0034】
なお本発明の有機・無機ハイブリッドからなる弾性層の基材に対する密着性を向上せしめるために、該基材表面に、酸、アルカリ等の化学薬品による処理、プラズマ化して活性化した酸素やアルゴン等の活性ガスによる処理、プライマー処理等の処理を施してもよい。
また該弾性層と基材との間にゾルゲル反応によって形成した無機酸化物からなる薄膜の接着層を介在させてもよい。該無機酸化物の種類としては、アルミニウム、ケイ素、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、カドミウム、タンタル等のアルコキシドを形成し得る金属の酸化物が挙げられる。
【0035】
以下、本発明を実施例によって説明する。なお本発明は、以下に示される実施例のみに限定されるものではない。
【0036】
〔実施例1〕
フェニルジメチルシロキサン(YF3804、GE東芝シリコーン製)0.6mol 、無水エタノール0.1mol の溶液に12N塩酸0.03mol を添加し100℃で加熱処理し、水分および低分子成分を除去してA液とした。
またアセト酢酸エチル0.5mol に、テトライソブトキシド1mol をN2 雰囲気下で加え、攪拌混合してB液とした。
A液にB液を滴下、混合してゾル液を調製した。このゾル液に窒化ホウ素を加えて増粘させ、該ゾル液を芯金(金属シャフト)上にフローコーターによって塗布し、300℃で焼成して該芯金上に有機・無機ハイブリッドからなる弾性層を形成した定着ローラを得た。なお該弾性層の厚みは、0.6mmであった。
この定着ローラを、図3に示す定着システムを有する電子写真式画像形成装置に組み込んで使用し、ランニング評価等を行った。該評価は良好であった。
【0037】
〔実施例2〕
フェニルジメチルシロキサン(YF3804、GE東芝シリコーン製)0.25mol 、ポリジメチルシロキサン(YF3800、GE東芝シリコーン製)0.10mol 、無水エタノール0.1mol の溶液に12N塩酸0.03mol を添加し100℃で加熱処理し、水分および低分子成分を除去してA液とした。
またアセト酢酸エチル0.5mol に、テトライソブトキシド1mol をN2 雰囲気下で加え、攪拌混合してB液とした。
A液にB液を滴下、混合してゾル液を調製した。このゾル液をポリイミド樹脂基材(ベルト)上にフローコーターによって塗布し、300℃で焼成して該基材上に有機・無機ハイブリッドからなる弾性層を形成した定着ベルトを得た。なお該弾性層の厚みは、30μmであった。
この定着ベルトを、図1に示す定着システムを有する電子写真式画像形成装置に組み込んで使用し、ランニング評価等を行った。該評価は良好であった。
【0038】
〔実施例3〕
両末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量1500、GE東芝シリコーン製)0.25mol 、無水エタノール1.0mol の溶液に、更に塩酸0.03mol を添加し、加熱攪拌して水分および低分子量成分を除去しつつ、両末端シラノールポリジメチルシロキサン溶液を調製した。溶液のpHは5であった。
一方、ジルコニアブトキサイド1mol とアセト酢酸エチル0.5mol とを窒素雰囲気下で反応させて、アセト酢酸エチルで化学修飾されたジルコニアブトキサイドを調製し、該ジルコニアブトキサイドを上記両末端シラノールポリジメチルシロキサン溶液に瞬時に流下し、攪拌してゾル液を調製した。上記ゾル液に平均粒径50nmの窒化ホウ素粉末を添加した。添加量は該ゾル液中の有機・無機ハイブリッドに対して30質量%とした。
得られたゾル液を、金属シャフト上にフローコーターによって塗布し、300℃で焼成して該基材上に有機・無機ハイブリッドからなる弾性層を形成した定着ロールを得た。なお該弾性層の厚みは、0.80mmであった。
この定着ベルトを、図2に示す定着システムを有する電子写真式画像形成装置に組み込んで使用し、ランニング評価等を行った。該評価は良好であった。
【0039】
【発明の効果】
本発明では弾性層自体が耐熱特性、柔軟性(弾性)、トナー離型性に優れるから表面処理被膜を形成させる必要がない。従って製造工程の簡略化、材料費の低減を図ることが出来る。当然表面処理被膜剥離の問題も無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】定着ベルトによる定着システムの説明図
【図2】定着ベルトによる定着システムの説明図
【図3】定着ローラによる定着システムの説明図
【符号の説明】
1,11 定着ベルト
21 定着ローラ
Claims (6)
- 金属アルコキシドと、有機ケイ素化合物とを含むゾル液を加熱ゲル化せしめることによって得られる有機・無機ハイブリッドからなることを特徴とする電子写真用弾性材料
- 該有機・無機ハイブリッドは、有機ケイ素化合物溶液を加熱処理して水分および低分子量成分を除去し、加熱処理した有機ケイ素化合物溶液に金属アルコキシドを滴下して有機・無機ハイブリッドゾル液を加熱ゲル化せしめる方法によって得られる請求項1に記載の電子写真用弾性材料
- 該有機ケイ素化合物はフェニル基を含む有機ケイ素化合物である請求項1または請求項2に記載の電子写真用弾性材料
- 該有機ケイ素化合物の重量平均分子量は400〜20,000である請求項1〜請求項3に記載の電子写真用弾性材料
- 該有機・無機ハイブリッドにはフィラーが添加されている請求項1〜請求項4に記載の電子写真用弾性材料
- 該弾性材料は電子写真部材の弾性層材料として使用される請求項1〜請求項5に記載の電子写真用弾性材料
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| A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
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