JP2004251578A - 被焼成品の冷却方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】窯炉内で焼成された被焼成品を冷却する方法であって、前記窯炉内に578℃〜673℃の空気を吹き込むことで、前記被焼成品を急冷する被焼成品の冷却方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばトンネル窯や単独窯のような窯において焼成された瓦、タイル、煉瓦等の被焼成品の冷却方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
屋根瓦などの焼成に用いられる窯の一種であるトンネル窯は、例えば次のように構成されている。図7に示すように、このトンネル窯50は入口側から順に、予熱帯a、焼成帯b、急冷帯c、及び冷却帯dが設けられており、屋根瓦などの被焼成品を積載した台車がレールに沿って矢示方向に順次送り込まれる。被焼成品は、予熱帯aで予熱された後に焼成帯bでバーナにより焼成されてから、常温の空気が導入される急冷帯cを通過する際に急冷され、更に冷却帯dを通過する過程で徐冷される。
【0003】
図8は、従来のトンネル窯の急冷帯を示す縦断面図である。同図に示すように、トンネル窯50は、窯内を長手方向に延びるレールに沿って台車60が移動するように構成されており、被焼成品Fは、台車60の棚板62に搭載される。トンネル窯50の天井部には、外気と連通する外気導入ライン70が設けられており、この外気導入ライン70は、ダンパ72及びファン74を備えている。また、急冷帯内部の温度は、温度センサ76により検出可能である。
【0004】
以上の構成を備えたトンネル窯50では、温度センサ76の検出温度に基づいてダンパ72の開閉度を調節することにより、ファン74によって急冷帯に導入される常温空気の量を所望の流量にすることができる。その結果、急冷帯内部を所定の温度にすることができる。
【0005】
なお、トンネル窯としては、上記以外にも種々のものが提案されており、例えば特許文献1には次のようなトンネル窯が開示されている。すなわち、この文献に記載のトンネル窯は、冷却用の空気を噴射する複数の噴射ノズルを備えており、これらのノズルのうちのいくつかが、隣接する被焼成品の間で下向きに冷却用空気を噴射するように配置されている。これによって、各被焼成品が上下方向に均一に冷却され、冷却ムラを防止できるという効果がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−278180号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した従来のトンネル窯では、急冷帯に導入される空気が常温の空気或いは比較的低温の温風であるため、急冷帯内部との温度差が非常に大きかった。そのため、被焼成品が設定温度以下まで冷却されることがあり、被焼成品に割れが生じるという問題があった。さらに、上記のような温度差があるため、導入される空気の流量が僅かに変化するだけで急冷帯内部の温度が急激に変化することがある。そのため、急冷帯を所定の温度に維持することが困難となり、被焼成品Fの光沢や質感にばらつきが生じたり、被焼成品Fに割れが生じることがあった。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、焼成後の被焼成品を急冷する際に、被焼成品の割れを確実に防止することができる被焼成品の冷却方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の前記目的は、窯炉内で焼成された被焼成品を冷却する方法であって、前記窯炉内に578℃〜673℃の空気を吹き込むことで、前記被焼成品を急冷する被焼成品の冷却方法により達成される。
【0010】
このような温度範囲の空気を使用して焼成された被焼成品を急冷すると、被焼成品の割れを確実に防止することができる。その理由は、以下の通りである。
【0011】
一般に、瓦等の被焼成品の素地には、石英が含まれており、この石英は、転移温度である573℃で急激に体積が変化する。これに起因して、被焼成品は転移温度で割れを起こしやすくなる。そこで、本発明のように転移温度より5℃以上高い温度、つまり578℃以上の空気を吹き込むことで、例えば空気の吹き込み量が変動した場合であっても、転移温度以上の空気のみを吹き込むことにより、被焼成品が転移温度以下になるのを確実に防止することができる。その結果、被焼成品の割れを確実に防止することができる。
【0012】
一方、冷却用空気の温度を673℃以下にして、転移温度から100℃より高くならないようにすることで、急冷工程から次の徐冷工程に移行したときに、被焼成品の内部温度と外部温度との差を小さくすることができるため、被焼成品の割れを防止することができる。さらに、このようにすると、短時間での被焼成品の冷却が可能となる。
【0013】
また、被焼成品の焼成後に前記窯炉内の空気を吸引し、該窯炉外部の空気と混合した後に、該窯炉内に吹き込むことで前記被焼成品の急冷を行うことが好ましい。こうすることで、焼成時に生じた高温の空気を有効に利用することができ、冷却用の空気を容易に生成することができる。この場合、空気の吸引及び吹き出しには種々の装置を用いることができるが、例えばファン装置を用いることができる。
【0014】
また、前記窯炉が、被焼成品が焼成される焼成帯、及び、該焼成帯から移送された被焼成品が冷却される急冷帯を有するトンネル窯を構成するようにしてもよく、この場合、被焼成品の急冷は、急冷帯内部で行われる。
【0015】
ところで、上記のような578℃を越える高温の空気を窯炉内に導入する際には、耐熱性の高いファン装置を使用する必要がある。このような要求に対しては、例えば、以下のようなファン装置を使用することができる。すなわち、外管及び内管からなる二重管を有し、回転駆動自在に支持される軸本体と、前記外管の外周面から径方向外方に突出する羽根とを備えたファン装置であって、この装置は、前記軸本体に冷却用空気を導入する導入孔、及び導入した冷却用空気を外部に放出する放出孔を備えており、前記外管は、内部が前記羽根の内部と連通するように外周面に形成された外開口部を有し、前記内管は、外周面において前記外開口部に対応する位置に形成された内開口部を有しており、前記導入孔を介して前記内管に導入された冷却用空気が、前記内開口部及び外開口部を介して前記羽根の内部に供給された後、前記外管及び内管の隙間を経て前記放出孔から放出されるように構成されている。
【0016】
上記ファン装置では、内管内部に導入された冷却用空気が、羽根内部及び外管内部を流通して軸本体外部へ放出されるため、この空気により高温下で使用されるファン装置の羽根及び軸本体全体を直接冷却することができる。その結果、ファン装置の耐熱性能を大きく向上させることが可能となる。さらに、このような耐熱性能の向上により、高温下でのファン装置の強度低下を防止できるため、ファン装置を高速で回転駆動させることが可能となり、十分な風量を発生させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の具体的な実施形態について説明する。図1は、本発明に係る被焼成品の冷却方法が用いられるトンネル窯の急冷帯を示す縦断面図である。なお、本実施形態に係るトンネル窯は、図8に示す従来のトンネル窯における急冷帯の構造を改良したものであり、予熱帯、焼成帯及び冷却帯の構造については従来のものと同様である。
【0018】
図1に示すように、このトンネル窯1は、従来と同様に台車60が窯内を長手方向に沿って移動可能に構成されており、被焼成品Fが搭載される棚板62には、長手方向に沿って複数の噴出孔64が形成されている。
【0019】
このトンネル窯1は、急冷帯の天井部に形成された吸込口10aに一端側が接続された循環ライン10を備えており、この循環ライン10の他端側は二股に分岐して、トンネル窯1の両側壁に形成された吹出口10bに接続されている。吹出口10bは、トンネル窯1の長手方向に沿って所定の間隔をおいて複数箇所に設けられており、循環ライン10を経た空気は、台車60の棚板62下方に向けて噴射される。
【0020】
循環ライン10には、モータによって回転駆動されるファン装置14が、上記した二股分岐部と吸込口10aとの間に設けられている。このファン装置14は、高温の空気を送風するため、ニッケル、コバルト等を主成分とする耐熱合金や耐熱鋼のような耐熱性の高い材料で形成されている。また、循環ライン10には、ファン装置14の吸引側に冷却ライン16が接続されている。この冷却ライン16は外気と連通しており、その途中にダンパ18を備えている。
【0021】
循環ライン10の吹出口10b近傍には、吹出温度センサ20が設けられており、急冷帯内部の吸込口10a近傍には、内部温度センサ22が設けられている。吹出温度センサ20及び内部温度センサ22は、図示を省略する制御装置に接続されており、この制御装置は、各センサ20,22の検出温度に基づいてダンパ18の開閉度及びファン装置14における送風空気の流量を調節するようになっている。
【0022】
次に、上記のように構成されたトンネル窯1の動作について説明する。台車60が焼成帯から急冷帯内に移動すると、ファン装置14が作動し、急冷帯内部の高温の空気が吸込口10aから吸引される。これと同時に、常温の外気が冷却ライン16を介して吸引される。こうして吸引された高温の空気と常温の空気は循環ライン10を通過する過程で混合され、吹出口10bから冷却用空気として吐出される。吐出された冷却用空気は、台車60の棚板62下方から噴出孔64を介して被焼成品Fに吹き付けられる。これにより、被焼成品Fが急冷される。
【0023】
このとき、制御装置は、吹出口10bから吹き出す冷却用空気の温度を吹出温度センサ20により検出し、予め設定された温度と比較する。そして、設定温度の方が高い場合には、冷却ライン16のダンパ18の開度を小さくする一方、設定温度の方が低い場合には、ダンパ18の開度を大きくして冷却用空気の温度を設定温度に一致させる。この冷却用空気の設定温度は、後述するように、578℃〜673℃にされており、この範囲内の空気によって被焼成品Fを急冷する。
【0024】
また、制御装置は、ファン装置14の回転速度を調節することによっても温度調整を行っている。すなわち、内部温度センサ22の検出温度を予め設定された温度と比較し、検出温度と設定温度との差に基づいてファン装置14の回転数を調節している。検出温度が設定温度に比べて著しく高い場合には、ファン装置1の回転数を増加させる。これにより、導入される冷却用空気の流量が多くなり、急冷帯が設定温度まで迅速に冷却される。そして、検出温度が徐々に低下して設定温度に近づくにつれてファン装置14の回転数をしだいに減少させることで、急冷帯内部の温度を設定温度の近傍で維持すると共に、ファン装置14の省電力化を図る。検出温度が設定温度よりも低下した場合には、ファン装置14の回転数を更に低下させることで、隣接する高温の焼成帯から受ける熱により急冷帯内部の温度を上昇させ、検出温度を設定温度に近づける。なお、内部温度センサ22の設定温度は、吹出温度センサ20の設定温度と同じであることが好ましいが、多少であれば異なっていてもよい。但し、いずれの場合も、設定温度は587〜673℃にする必要がある。
【0025】
ところで、被焼成品Fを急冷するために吹き出される冷却用空気は、上記のように578℃〜673℃に設定されているが、その理由は以下の通りである。
【0026】
通常、屋根瓦や陶磁器等の被焼成品は、素地の中に石英を含んでいるが、この石英は転移温度である573℃を境としてα−石英とβ−石英との転移が起こり、著しい体積変化を起こす。そのため、被焼成品を冷却する際には、この転移温度で割れが生じやすくなる。そこで、従来は被焼成品を急冷する方法として、常温に近い低温の空気を急冷帯内に導入しながら、センサによって急冷帯内の温度を検知し、この温度が転移温度以下にならないように空気の導入量を調節する方法が提案されていた。しかしながら、この方法では、低温の空気が誤って大量に導入されると、急冷帯内の温度が低下して、転移温度より下がってしまう場合があり、これによって被焼成品に割れが生じることがあった。
【0027】
そこで、空気の導入量が変化した場合等を考慮して、急冷帯に吹き出す冷却用空気の温度を転移温度より10℃以上、つまり583℃以上とすることで、転移温度より高い温度の空気のみを急冷帯内に吹き出すことができる。したがって、急冷帯内の温度が転移温度より低くなるのを防止できるので、石英の転移温度である573℃以下で被焼成品が冷却されることがなく、その結果、被焼成品の割れを確実に防止することができる。このとき、冷却をより効果的に行うためには、転移温度より5℃以上高い温度、つまり578℃以上にすることが好ましい。
【0028】
一方、冷却用空気の温度が高すぎると、被焼成品の温度が高くなり、被焼成品が急冷帯から冷却帯へ移送されたときに、被焼成品の内部と外部との温度差が大きくなるため、被焼成品に割れが生じることがある。そこで、冷却用空気の温度を673℃以下、つまり転移温度から100℃より高くならないようにすると、冷却帯に移送されたときの被焼成品の内部と外部との温度差を小さくすることができ、その結果、被焼成品の割れを防止することができる。また、このようにすると急冷時の温度が高すぎないので、短時間で被焼成品を冷却することができる。このとき、転移温度から70℃より高くならないように、つまり643℃以下にするとより好ましい。
【0029】
上記のような観点から、冷却用空気の設定温度は、578℃〜673℃にされているが、例えばファン装置1の運転、各ライン内の空気の流れ等が安定的な状態にあり、吹出温度センサ20の検出温度を578℃以上に維持できるのであれば、設定温度は578℃にできるだけ近い温度にするのがより好ましい。
【0030】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、急冷帯の天井部から吸引した空気を、両側壁から吹き出しているが、図2に示すように、これを反対にしてもよい。すなわち、急冷帯の両側壁における吸込口10aから吸引した空気を天井部の吹出口10bから吹き出してもよい。このようにすると、急冷帯内に上から下へ向かう垂直方向の空気の流れを形成することができる。この冷却用空気は、急冷帯内部の高温の空気に比べて重いため、急冷帯の下方へ流れやすく、これによって急冷帯内部に冷却用空気を確実に行き渡らせることができる。したがって、急冷帯内の空気が攪拌されて、温度分布が均一化されるため、被焼成品をムラなく冷却することができる。
【0031】
また、上記実施形態においては、本発明をトンネル窯に適用した例を示したが、578〜673℃の空気で被焼成品を冷却できるものであれば、特に限定されるものではない。例えば被焼成品を移動させず、予熱から徐冷までを1箇所で行う単独窯に適用することもできる。図3に示すように、この単独窯80は、1つの窯室からなり、被焼成品Fの予熱及び焼成を行うバーナ82が設けられていること、及び窯室の天井部に外気と連通する外気ライン83が設けられていること以外は、図1に示すトンネル窯1の急冷帯と同一の構成を有している。外気ライン83は、ダンパ84及びファン装置85を備えており、ダンパ84の開閉度を調整したりファン装置85の流量を調節することで、焼成に必要な空気を窯室内に確保したり、或いは急冷時に窯室内の空気を外部へ流出させる。そして、焼成を行うときは、被焼成品Fを搭載した台車60を窯室の中央に配置した後、窯室の内壁面に設けられたバーナ82により、被焼成品Fの予熱及び焼成を行う。これに続いて、循環ライン10により導入される空気で被焼成品Fを急冷した後、徐冷を行う。
【0032】
以上のような単独窯80においても、上記したトンネル窯1と同様の効果を得ることができる。すなわち、急冷工程において、比較的高温の空気によって被焼成品の急冷を行うことができるため、被焼成品Fの割れを防止することができる。特に、上記のような温度調節を行い、578℃〜673℃の空気のみを吹き込んで急冷を行うと、窯内の温度が石英の転移温度以下にならないため、急激な冷却による被焼成品Fの割れを確実に防止することができる。
【0033】
ところで、上記実施形態で使用されるファン装置14は、窯内の高温の空気と常温の外気とを混合した578℃〜673℃の空気を送風しているため、従来のトンネル窯或いは単独窯で使用されるファン装置よりも高い耐熱性能が要求される。そのため、ファン装置14の耐熱性能を材料面から向上させることに加え、次のように構成すると、耐熱性能がさらに向上する。以下、図4から図6を参照して、このファン装置について説明する。
【0034】
図4に示すように、このファン装置101は、耐熱性の高い例えばステンレス等で構成されており、円筒状に形成され両端部に2個の支持部107が固着された軸本体103と、軸本体103を貫通し両端が突出した状態で軸本体103に一体化された駆動軸108と、軸本体103の外周面に取り付けられた4枚の羽根109とを備えている。また、後述するように、羽根109を含む軸本体103の一部は、ケーシング110(同図中の点線)内に配置されており、外部からケーシング110内に取り入れた空気を、このファン装置101によってケーシング110の外部に送風している。
【0035】
このファン装置101は、例えば軸本体103の長さが約2.5m、羽根109の高さが約0.4mに形成されており、ボールベアリング105に支持部107が回転自在に支持され、駆動軸108に取り付けられたモータ(図示せず)により回転駆動される。但し、ファン装置の大きさは、これに限定されるものではない。
【0036】
図5に示すように、軸本体103は、円筒状の外管111及び内管113からなる2重管で構成され、内管113の両端部が外管111から突出している。外管111の外周面には、断面コ字状に形成された羽根109が90度おきに取り付けられている。また、内管113の中心には、上記した駆動軸108が挿通されており、この駆動軸108に板体からなる4枚のセパレータ117が各羽根109の位置に対応して放射状に取り付けられている。
【0037】
内管113の外周面には、軸方向に延びる4本の内スリット119が90度おきに形成されており、同様に外管111の外周面において、この内スリット119と対応する位置に軸方向に延びる4本の外スリット121が形成されている。そして、内スリット119及びこれに対応する外スリット121の一側縁部119a,121aが、羽根109の一側面109aに接合されることで、外管111と内管113との隙間に形成される環状空間が仕切られて4つの外管流路123が形成されている。また、羽根109の他側面109b側の端部は、外スリット121の他側縁部121bに接合されており、これにより外スリット121が羽根109によって完全に覆われる。
【0038】
セパレータ117は、内スリット119及び外スリット121を通って羽根109の内部まで延びており、その一方の面に内スリット119の他側縁部119bが接合され、これにより内管113の内部が仕切られて4つの内管流路125が形成されている。また、各羽根109の内部には、内管流路125及び外管流路123と連通し、後述する冷却用の空気が流れる羽根流路127が形成されており、羽根流路127内に延びたセパレータ117によって冷却用の空気が羽根109の内壁面に沿って流れるように案内されている。したがって、このファン装置101では、内管流路125、羽根流路127、及び外管流路123が連通して、冷却用の空気が流通するようになっている。なお、図5では、後述する第1及び第2スクリュー板の図示を省略している。
【0039】
図6に示すように、内管113の両端部に固着された両支持部107には、各内管流路125に対応する位置に導入孔129がそれぞれ形成されるとともに、ロータリジョイント131を介してエアコンプレッサ(図示せず)が接続されている。そして、エアコンプレッサから圧送される冷却用の空気が導入孔129を介して各内管流路125に導入される。
【0040】
また、同図に示すように、外管111の両端には、上記した環状空間の両端を覆う蓋部材133が取り付けられており、これら蓋部材133において各外管流路123に対応する位置に外管111内部の空気を外部へ放出するための4つの放出孔135が形成されている。
【0041】
さらに、内管113内部には、セパレータ117を挟んでその両側に、内管113の端部からセパレータ117の端部に渡って駆動軸18に固着された一対の第1スクリュー板134が設けられている。両第1スクリュー板134は、巻き方向が互いに反対向きにされるとともに、その外端縁が内管113の内壁面に固着されている。そして、軸本体103が所定の方向に回転すると、第1スクリュー板134はこれと一体となって回転し、内管113の両端部からセパレータ117側へ向かう空気の流れを発生させる。これにより、エアコンプレッサから内管113内部へ圧送される空気は、セパレータ117側へ誘導され、多量の冷却用空気が羽根流路127側へ確実に送られる。
【0042】
一方、内管113と外管111との間に形成される環状空間にも、内管113と同様にセパレータ117を挟んで、巻き方向が反対の一対の第2スクリュー板136が設けられている。この第2スクリュー板136は、内管113の外周面に固着されるとともに、その外端縁が外管111の内壁面に固着されている。そして、両第2スクリュー板136が軸本体3とともに所定の方向に回転することで、内管113とは逆に、セパレータ117から外管111の両端部へ向かう空気の流れを発生させる。そのため、羽根流路127及び外管流路123を経た空気は、外管111の両端部へと誘導され、多量の冷却用空気が放出孔135から確実に放出される。
【0043】
図4及び図6に示すように、ケーシング110は、ファン101の最大外径よりやや大きい内径を有するとともに、外管111よりやや短い円筒状に形成されており、その両端部に外管111の端部が突出する穴137が形成されている。また、ケーシング110の外周面において、羽根109の端部と外管111の端部との間に、外部からの空気を取り込む一対の吸入口138が形成されるとともに、これら吸入口138の間に、ケーシング110内の空気を外部へ送風する送風口139が形成されている。さらに、ケーシング110の内壁面において、吸入口138と送風口139との間には、外管111の外径より大きい内径を有する環状の仕切り板140が設けられており、吸入口138から取り込まれた空気が外管111と仕切り板140との隙間から羽根109側に吸入され、羽根109の回転により送風口139から外部へ圧送される。なお、このケーシング110は、図1の循環ライン10において、吸入口138が急冷帯の吸込口10a側に接続されるとともに、送風口139が循環ラインの吹出口10b側へ接続される。
【0044】
次に、上記のように構成されたファン101の動作について説明する。被焼成品Fの焼成が終了すると、モータにより軸本体103を回転駆動し、ケーシング110内に取り込んだ空気を循環ライン10を介して急冷帯内へ送風して、被焼成品Fを急冷する。
【0045】
これと同時に、上記したエアコンプレッサを駆動すると、図6に示すように、軸本体103の両側から両支持部107を介して内管流路125へ空気が圧送される。図5に示すように、この空気は、第1スクリュー板134によって誘導されながら内管流路125から内スリット119を介して径方向外方に流れ出し、セパレータ117により羽根流路127へ案内される。そして、羽根流路127に流入した空気はセパレータ117に案内されながら羽根109の内壁面に沿って流れ、これによって羽根109が内部から直接冷却される。羽根流路127を通過した空気は、外管流路123を通過して外管111を冷却しながら、第2スクリュー板136によって誘導され、放出孔135からファン101外部へ放出される。
【0046】
このように構成されたファン101では、エアコンプレッサにより軸本体103内部に圧送された常温の空気が、内管流路125を介して羽根流路127及び外管流路123に送り込まれるため、この空気により高温下で使用されるファン101の軸本体103及び羽根109を直接冷却することができる。そのため、上記のような高温の空気を送風するトンネル窯或いは単独窯でも十分な耐熱性能を発揮する。また、耐熱性能の向上により、高温下でのファンの強度低下を防止できるため、ファン101を高速で回転駆動させることが可能となり、窯内へ十分な風量を送ることができるという利点もある。
【0047】
特に、このファン101は、上記した特有の構成により羽根109の冷却効果を大きく向上させることが可能となっている。すなわち、内管113において各羽根109に対応する位置に、軸方向に延びる複数の内スリット119が形成されているため、内管113の両端部から軸方向に導入された冷却用の空気を、この内スリット119を介して径方向外方に流出させることができ、その結果、各羽根109側へ空気を確実に送ることができる。さらに、内スリット119から流れ出た空気は、セパレータ117によって羽根流路127へ案内されるとともに、羽根109の内壁面に沿って流れるようにガイドされているため、この空気によって羽根109の表面全体を内部から確実に冷却することができる。
【0048】
以上、本発明に係る被焼成品の冷却方法で使用するファン装置の一例を示したが、ファン装置の構成はこれに限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記ファン装置は、スクリュー板を設けることで、装置内に導入される空気量を増大させているが、コンプレッサにより十分な空気を送り込めるのであれば、スクリュー板134,136は特には必要ない。
【0049】
また、上記以外の構成であっても、578℃以上の高温の空気を送風できるものであれば、本発明の方法に適用することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る被焼成品の冷却方法によれば、焼成後の被焼成品を急冷する際に、被焼成品の割れを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る被焼成品の冷却方法が適用されるトンネル窯の縦断面図である。
【図2】図1のトンネル窯の他の例を示す縦断面図である。
【図3】本発明に係る被焼成品の冷却方法が適用される単独窯の縦断面図である。
【図4】本発明に係る被焼成品の冷却方法に使用されるファン装置の例を示す斜視図である。
【図5】図4のファン装置の断面図である。
【図6】図4のA−A線断面図である。
【図7】従来のトンネル窯を示す横断面図である。
【図8】従来のトンネル窯を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 トンネル窯
14 ファン装置
80 単独窯
F 被焼成品
Claims (3)
- 窯炉内で焼成された被焼成品を冷却する方法であって、
前記窯炉内に578℃〜673℃の空気を吹き込むことで、前記被焼成品を急冷する被焼成品の冷却方法。 - 被焼成品の焼成後に前記窯炉内の空気を吸引し、該窯炉外部の空気と混合した後に、該窯炉内に吹き込むことで前記被焼成品の急冷を行う請求項1に記載の被焼成品の急冷方法。
- 前記窯炉は、被焼成品が焼成される焼成帯、及び、該焼成帯から移送された被焼成品が冷却される急冷帯を有するトンネル窯を構成し、
前記被焼成品の急冷は、前記急冷帯内部で行われる請求項1または2に記載の被焼成品の冷却方法。
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CN106643181A (zh) * | 2016-12-29 | 2017-05-10 | 尹彦征 | 一种采用快速降温解决镉红色釉瓷板凸板的方法 |
CN118293685A (zh) * | 2024-05-08 | 2024-07-05 | 黄冈市华泰窑炉工业有限公司 | 一种顺流式隧道窑快烧装置 |
-
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